JP2002079340A - 鍛造用最適粗地形状決定装置、鍛造用最適粗地形状決定方法、鍛造用最適粗地形状決定プログラム、およびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

鍛造用最適粗地形状決定装置、鍛造用最適粗地形状決定方法、鍛造用最適粗地形状決定プログラム、およびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

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JP2002079340A
JP2002079340A JP2001070838A JP2001070838A JP2002079340A JP 2002079340 A JP2002079340 A JP 2002079340A JP 2001070838 A JP2001070838 A JP 2001070838A JP 2001070838 A JP2001070838 A JP 2001070838A JP 2002079340 A JP2002079340 A JP 2002079340A
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JP2001070838A
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Akira Ishihara
章 石原
Katsumasa Kimura
勝正 樹村
Masatoshi Izawa
昌敏 伊澤
Shinichiro Fujikawa
真一郎 藤川
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の基準に基づいて自動的に、型磨耗量の
最も少ない最適粗地形状を決定することにある。 【解決手段】 仕上げ形状から所定条件に基づき複数種
類の粗地形状を設定する粗地形状設定部1と、複数種類
の粗地形状の各々について仕上げ形状への鍛造過程を少
なくとも粗地形状側について剛塑性有限要素法により解
析するFEM解析部2と、複数種類の粗地形状の各々に
ついて剛塑性有限要素法による解析結果における表面節
点の応力、速度、型接触時間から型磨耗量を算出し、こ
の型磨耗量の最も小さい粗地形状を最適粗地形状に決定
する最適粗地形状決定部4とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鍛造用最適粗地形
状決定装置、鍛造用最適粗地形状決定方法、鍛造用最適
粗地形状決定プログラム、およびこのプログラムを記録
したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】鍛造用の最適粗地形状は、従来、鍛造型
の設計者がコンピュータを用いて、まず何種類かの粗地
形状をCAD(コンピュータ支援設計)ソフトウエアに
よって設定した後、別のFEM(有限要素法)解析ソフ
トウエアによってそれらの粗地形状の各々につき仕上げ
形状への鍛造過程の塑性変形解析を行い、その解析結果
に基づき、経験的に定めた種々の要素を判断して決定し
ていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の方法では、最適粗地形状を決定するまでの解析工
数が膨大なものとなることから、解析結果の判断に個人
差がでるため、判断の信頼性を確保するには決定を経験
者に頼らざるを得ないという不都合があった。
【0004】そこで、本発明の目的は、複数の粗地形状
の中から、容易に最適な粗地形状を決定することのでき
る鍛造用最適粗地形状決定装置、鍛造用最適粗地形状決
定方法、鍛造用最適粗地形状決定プログラム、およびこ
のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記
録媒体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、以下の
構成により達成される。
【0006】(1)仕上げ形状から所定条件に基づき複
数種類の粗地形状を設定する粗地形状設定手段と、前記
複数種類の粗地形状の各々について、粗地形状から前記
仕上げ形状に至るまでの鍛造過程を、少なくとも前記粗
地形状側について剛塑性FEM解析するFEM解析手段
と、前記複数種類の粗地形状の各々について、前記剛塑
性FEM解析の結果から、各粗地形状における表面節点
の応力、速度、および型接触時間を元に型摩耗量を算出
し、当該型摩耗量評価値の最も小さな粗地形状を最適粗
地形状として決定する最適粗地形状決定手段と、を有す
ることを特徴とする鍛造用最適粗地形状決定装置。
【0007】(2)前記鍛造用最適粗地形状決定装置
は、さらに、前記鍛造過程の剛塑性FEM解析の結果か
ら、型表面に接触した後、再び離脱した表面節点のある
粗地形状を検出する再離脱表面節点検出手段を有し、前
記最適粗地形状決定手段は、当該再離脱表面節点検出手
段によって検出された型表面から再離脱した表面節点が
ある粗地形状を最適粗地形状の決定対象から除外するこ
とを特徴とする。
【0008】(3)前記最適粗地形状決定手段は、粗地
形状における各表面節点の応力、速度、および型接触時
間の積を算出し、当該算出した積のうち最大値をその粗
地形状の型磨耗量評価値とすることを特徴とする。
【0009】(4)前記FEM解析手段は、鍛造工程に
おける前記粗地形状側の形状変化のみを剛塑性FEM解
析することを特徴とする。
【0010】(5)前記最適粗地形状決定手段は、剛塑
性FEM解析の結果から、鍛造型表面に複数の任意の点
を設け、当該複数の任意の点ごとに、当該任意の点から
前記粗地形状の表面節点のうち最近接節点を検索し、当
該最近接節点の応力、速度、および型接触時間から、前
記複数の任意の点ごとの型摩耗量を算出し、当該算出し
た前記複数の任意の点ごとの型摩耗量の総和を算出し
て、当該総和をその粗地形状の型摩耗量評価値とするこ
とを特徴とする。
【0011】(6)前記粗地形状設定手段は、前記FE
M解析手段と共通の形状記述方式を用いることを特徴と
する。
【0012】(7)仕上げ形状から所定条件に基づき複
数種類の粗地形状を設定する段階と、前記複数種類の粗
地形状の各々について、粗地形状から前記仕上げ形状に
至るまでの鍛造過程を、少なくとも前記粗地形状側につ
いて剛塑性FEM解析する段階と、前記剛塑性FEM解
析の結果出力される各粗地形状における表面節点の応
力、速度、および型接触時間から、各粗地形状の型摩耗
量評価値を求める段階と、前記型摩耗量評価値の値が最
も小さい粗地形状を最適粗地形状に決定する段階と、を
有することを特徴とする最適粗地形状決定方法。
【0013】(8)前記鍛造用最適粗地形状決定方法
は、さらに、前記剛塑性FEM解析の結果から、型表面
から再離脱した表面節点のある粗地形状を検索する段階
と、前記最適粗地形状を決定する段階の前に、当該再離
脱した表面節点のある粗地形状は最適粗地形状を決定す
る際の候補から除外する段階と、を有することを特徴と
する。
【0014】(9)前記各粗地形状の型摩耗量評価値を
求める段階は、粗地形状における各表面節点の応力、速
度、および型接触時間の積を算出し、当該算出した積の
うち最大値をその粗地形状の型磨耗量評価値とすること
を特徴とする。
【0015】(10)前記剛塑性FEM解析する段階
は、鍛造工程における前記粗地形状側の形状変化のみ剛
塑性FEM解析することを特徴とする。
【0016】(11)前記型摩耗量評価値を求める段階
は、前記FEM解析の結果から、鍛造型表面に複数の任
意の点を設けて、当該複数の任意の点ごとに、当該任意
の点から前記粗地形状の表面節点のうち最近接節点を検
索する段階と、当該最近接節点の応力、速度、および型
接触時間から、前記複数の任意の点ごとの型摩耗量を算
出する段階と、当該算出した前記複数の任意の点ごとの
型摩耗量の総和を算出して、当該総和をその粗地形状の
型摩耗量評価値とする段階と、からなることを特徴とす
る。
【0017】(12)仕上げ形状から所定条件に基づき
複数種類の粗地形状の形状データを作成する手順と、前
記複数種類の粗地形状の形状データを用いて、前記複数
種類の粗地形状の各々について、粗地形状から前記仕上
げ形状に至るまでの鍛造過程を、少なくとも前記粗地形
状側について剛塑性FEM解析する手順と、前記剛塑性
FEM解析の結果出力される各粗地形状の表面節点の応
力、速度、および型接触時間から、各粗地形状の型摩耗
量評価値を求める手順と、前記型摩耗量評価値の値が最
も小さい粗地形状を最適粗地形状に決定する手順と、を
有することを特徴とする鍛造用最適粗地形状決定プログ
ラム。
【0018】(13)前記鍛造用最適粗地形状決定プロ
グラムは、さらに、前記剛塑性FEM解析の結果から、
型表面から再離脱した表面節点のある粗地形状を検索す
る手順と、前記最適粗地形状を決定する手順の前に、当
該再離脱した表面節点のある粗地形状は最適粗地形状を
決定する際の候補から除外する手順と、を有することを
特徴とする。
【0019】(14)前記各粗地形状の型摩耗量評価値
を求める手順は、粗地形状における各表面節点の応力、
速度、および型接触時間の積を算出し、当該算出した積
のうち最大値をその粗地形状の型磨耗量評価値とするこ
とを特徴とする。
【0020】(15)前記剛塑性FEM解析プログラム
を実行させる手順は、鍛造工程における前記粗地形状側
の形状変化のみを粗地形状から前記仕上げ形状に至るま
で剛塑性FEM解析させることを特徴とする。
【0021】(16)前記各粗地形状の型摩耗量評価値
を求める手順は、前記FEM解析の結果から、鍛造型表
面に複数の任意の点を設け、当該複数の任意の点ごと
に、当該任意の点から前記粗地形状の表面節点のうち最
近接節点を検索する手順と、当該最近接節点の応力、速
度、および型接触時間から、前記複数の任意の点ごとの
型摩耗量を算出する手順と、当該算出した前記複数の任
意の点ごとの型摩耗量の総和を算出して、当該総和をそ
の粗地形状の型摩耗量評価値とする手順と、からなるこ
とを特徴とする。
【0022】(17)前記(12)〜(16)のいずれ
か一つに記載の鍛造用最適粗地形状決定プログラムを記
録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記
録媒体。
【0023】
【発明の効果】本発明は請求項ごとに以下の効果を奏す
る。
【0024】請求項1記載の鍛造用最適粗地形状決定装
置によれば、粗地形状設定手段が、仕上げ形状から所定
条件に基づいて複数種類の粗地形状を設定し、FEM解
析手段が、前記複数種類の粗地形状の各々について前記
仕上げ形状への鍛造過程を剛塑性FEM解析し、そして
最適粗地形状決定手段が、複数種類の粗地形状の各々に
ついて、剛塑性FEM解析による鍛造過程での各粗地形
状の表面節点の応力と速度と型接触時間から型摩耗量評
価値を求め、その型摩耗量評価値の最も小さい粗地形状
を最適粗地形状に決定することとしたので、所定の基準
に基づいて自動的に型摩耗量の最も少ない最適粗地形状
を決定することができ、決定を経験者に頼らざるを得な
いという不都合を解消することができる。
【0025】請求項2記載の鍛造用最適粗地形状決定装
置によれば、再離脱表面節点検出手段が、型表面から再
離脱するような表面節点のある粗地形状を検出して、最
適粗地形状決定手段が、型表面から再離脱した表面節点
がある粗地形状を最適粗地形状の決定対象から除外する
こととしたので、再離脱することのにより鍛造傷が発生
するような粗地形状を最適粗地形状の決定候補から排除
し得るとともに、最適粗地形状決定手段の評価対象から
無駄なものを除いて最適粗地形状の決定処理を迅速化す
ることができる。
【0026】請求項3記載の鍛造用最適粗地形状決定装
置によれば、最適粗地形状決定手段が各粗地形状の型磨
耗量評価値を求める際に、粗地形状における各表面節点
の応力、速度、および型接触時間の積を算出し、当該算
出した積のうち最大値をその粗地形状の型磨耗量評価値
としたので、複数種類の粗地形状の型磨耗量評価値を簡
単な計算で求めることができ、かつ一つの粗地形状に対
して一つの型磨耗量評価値が決定されるようになり、最
適粗地形状の決定処理を迅速化することができる。
【0027】請求項4記載の鍛造用最適粗地形状決定装
置によれば、FEM解析手段が、鍛造工程における粗地
形状から仕上げ形状に至るまでの剛塑性FEM解析を行
う際に、粗地形状側の形状変化のみを解析することとし
たので、最適粗地形状の決定を行うための処理を大きく
迅速化することができる。
【0028】請求項5記載の鍛造用最適粗地形状決定装
置によれば、最適粗地形状決定手段は、FEM解析手段
が、粗地形状側の形状変化のみをFEM解析する場合に
は、剛塑性FEM解析の結果から、鍛造型表面に複数の
任意の点を設け、当該複数の任意の点ごとに、当該任意
の点から前記粗地形状の表面節点のうち最近接節点を検
索し、当該最近接節点の応力、速度、および型接触時間
から、前記複数の任意の点ごとの型摩耗量を算出し、当
該算出した前記複数の任意の点ごとの型摩耗量の総和を
算出して、当該総和をその粗地形状の型摩耗量評価値と
することとしたので、FEM解析の際に型側の解析を行
うことなく、型側を鍛造工程においても変形しないもの
とした場合でも、より正確に型磨耗量評価値を求めるこ
とができる。
【0029】請求項6記載の鍛造用最適粗地形状決定装
置によれば、粗地形状設定手段は、FEM解析手段と共
通の形状記述方式を用いることとしたので、粗地形状設
定手段とFEM解析手段との間での仕上げ形状および粗
地形状のデータ変換を不要とし得て、粗地形状から仕上
げ形状への鍛造過程の剛塑性FEM解析の準備時間を短
縮し得るとともにその解析精度も高めることができる。
【0030】請求項7記載の鍛造用最適粗地形状決定方
法によれば、仕上げ形状から所定条件に基づいて複数種
類の粗地形状を設定して、設定した複数種類の粗地形状
の各々について仕上げ形状への鍛造過程を剛塑性FEM
解析し、複数種類の粗地形状の各々について、剛塑性F
EM解析結果から鍛造過程での各粗地形状の表面節点の
応力と速度と型接触時間から型摩耗量評価値を求め、そ
の型摩耗量評価値の最も小さい粗地形状を最適粗地形状
に決定することとしたので、所定の基準に基づいて自動
的に型摩耗量の最も少ない最適粗地形状を決定すること
ができ、決定を経験者に頼らざるを得ないという不都合
を解消することができる。
【0031】請求項8記載の鍛造用最適粗地形状決定方
法によれば、型表面から再離脱するような表面節点のあ
る粗地形状を検出して、検出した型表面から再離脱した
表面節点がある粗地形状を最適粗地形状の決定対象から
除外することとしたので、再離脱することのにより鍛造
傷が発生するような粗地形状を最適粗地形状の決定候補
から排除し得るとともに、最適粗地形状決定手段の評価
対象から無駄なものを除いて最適粗地形状の決定処理を
迅速化することができる。
【0032】請求項9記載の鍛造用最適粗地形状決定方
法によれば、各粗地形状の型磨耗量評価値を求める際
に、粗地形状における各表面節点の応力、速度、および
型接触時間の積を算出し、当該算出した積のうち最大値
をその粗地形状の型磨耗量評価値としたので、複数種類
の粗地形状の型磨耗量評価値を簡単な計算で求めること
ができ、かつ一つの粗地形状に対して一つの型磨耗量評
価値が決定されるようになり、最適粗地形状の決定処理
を迅速化することができる。
【0033】請求項10記載の鍛造用最適粗地形状決定
方法によれば、鍛造工程における粗地形状から仕上げ形
状に至るまでの剛塑性FEM解析を行う際に、粗地形状
側の形状変化のみを解析することとしたので、最適粗地
形状の決定を行うための処理を大きく迅速化することが
できる。
【0034】請求項11記載の鍛造用最適粗地形状決定
方法によれば、粗地形状側の形状変化のみをFEM解析
する場合には、剛塑性FEM解析の結果から、鍛造型表
面に複数の任意の点を設け、当該複数の任意の点ごと
に、当該任意の点から前記粗地形状の表面節点のうち最
近接節点を検索し、当該最近接節点の応力、速度、およ
び型接触時間から、前記複数の任意の点ごとの型摩耗量
を算出し、当該算出した前記複数の任意の点ごとの型摩
耗量の総和を算出して、当該総和をその粗地形状の型摩
耗量評価値とすることとしたので、FEM解析の際に型
側の解析を行うことなく、型側を鍛造工程においても変
形しないものとした場合でも、より正確に型磨耗量評価
値を求めることができる。
【0035】請求項12記載の鍛造用最適粗地形状決定
プログラムによれば、仕上げ形状から所定条件に基づい
て複数種類の粗地形状を設定して、設定した複数種類の
粗地形状の各々について仕上げ形状への鍛造過程を剛塑
性FEM解析し、複数種類の粗地形状の各々について、
剛塑性FEM解析結果から鍛造過程での各粗地形状の表
面節点の応力と速度と型接触時間から型摩耗量評価値を
求め、その型摩耗量評価値の最も小さい粗地形状を最適
粗地形状に決定する処理をコンピュータに実行させるこ
ととしたので、所定の基準に基づいて自動的に型摩耗量
の最も少ない最適粗地形状を決定することができ、決定
を経験者に頼らざるを得ないという不都合を解消するこ
とができる。
【0036】請求項13記載の鍛造用最適粗地形状決定
プログラムによれば、型表面から再離脱するような表面
節点のある粗地形状を検出して、検出した型表面から再
離脱した表面節点がある粗地形状を最適粗地形状の決定
対象から除外する処理をコンピュータに実行させること
としたので、再離脱することのにより鍛造傷が発生する
ような粗地形状を最適粗地形状の決定候補から排除し得
るとともに、最適粗地形状決定手段の評価対象から無駄
なものを除いて最適粗地形状の決定処理を迅速化するこ
とができる。
【0037】請求項14記載の鍛造用最適粗地形状決定
プログラムによれば、各粗地形状の型磨耗量評価値を求
める際に、粗地形状における各表面節点の応力、速度、
および型接触時間の積を算出し、当該算出した積のうち
最大値をその粗地形状の型磨耗量評価値とする処理をコ
ンピュータに実行させることとしたので、複数種類の粗
地形状の型磨耗量評価値を簡単な計算で求めることがで
き、かつ一つの粗地形状に対して一つの型磨耗量評価値
が決定されるようになり、最適粗地形状の決定処理を迅
速化することができる。
【0038】請求項15記載の鍛造用最適粗地形状決定
プログラムによれば、鍛造工程における粗地形状から仕
上げ形状に至るまでの剛塑性FEM解析を行う際に、粗
地形状側の形状変化のみを解析する処理をコンピュータ
に実行させることとしたので、最適粗地形状の決定を行
うための処理を大きく迅速化することができる。
【0039】請求項16記載の鍛造用最適粗地形状決定
プログラムによれば、粗地形状側の形状変化のみをFE
M解析する場合には、剛塑性FEM解析の結果から、鍛
造型表面に複数の任意の点を設け、当該複数の任意の点
ごとに、当該任意の点から前記粗地形状の表面節点のう
ち最近接節点を検索し、当該最近接節点の応力、速度、
および型接触時間から、前記複数の任意の点ごとの型摩
耗量を算出し、当該算出した前記複数の任意の点ごとの
型摩耗量の総和を算出して、当該総和をその粗地形状の
型摩耗量評価値とする処理をコンピュータに実行させる
こととしたので、FEM解析の際に型側の解析を行うこ
となく、型側を鍛造工程においても変形しないものとし
た場合でも、より正確に型磨耗量評価値を求めることが
できる。
【0040】請求項17記載のコンピュータ読み取り可
能な記憶媒体は、請求項12〜16のいずれか一つに記
載の鍛造用最適粗地形状決定プログラムを記録したこと
ものであるので、所定の基準に基づいて自動的に型摩耗
量の最も少ない最適粗地形状を決定することができるコ
ンピュータプログラムを提供することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下添付した図面を参照して本発
明の一実施の形態を説明する。
【0042】(第1の実施の形態)第1の実施の形態
は、本発明を適用し、粗地形状と鍛造型の両方について
FEM解析を行うことによって鍛造用最適粗地形状を決
定するものである。なお、ここでは、軸対称の仕上げ形
状を持つ鍛造部品用の最適粗地形状を決定すること例に
説明する。
【0043】図1は、本発明による鍛造用最適粗地形状
決定装置の構成を示すブロック図である。
【0044】この鍛造用最適粗地形状決定装置は、粗地
形状設定手段としての粗地形状設定部1と、FEM解析
手段としてのFEM解析部2と、再離脱表面節点検出手
段としての再離脱検出部3と、最適粗地形状決定手段と
しての最適粗地形状決定部4とを備えている。なお、こ
の装置は具体的には、後述する手順に基づき作成された
プログラムをコンピュータが実行することにより作動
し、上記各部の機能を奏する。また、このようなプログ
ラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録さ
れて提供される。
【0045】図2は、上記コンピュータが、粗地形状設
定部1、FEM解析部2、再離脱表面節点検出部3およ
び最適粗地形状決定部4の各々の機能を奏するための処
理手順を示すフローチャートである。
【0046】まず、ステップ11では、仕上げ形状情報
の読み込みを行う。すなわちここでは、鍛造部品の種類
が設計者によって指定され、あらかじめ鍛造部品の種類
毎にパターン化されている型形状の中から、その型形状
に応じてパラメトリックに規定された鍛造部品押し上げ
形状を算出し、算出された仕上げ形状を読み込むもので
ある。
【0047】これは、たとえば図3に半部のみの断面で
示した仕上げ形状FFから、その鍛造部品として指定さ
れた種類に対応するパラメータにより具体的な仕上げ形
状を算出し、その算出結果を読み込む。図3の仕上げ形
状としては、たとえば、A3=100mm、B3=80
mm、D3=10mm、E3=20mm、X=2mm、
R1=2mm、R2=5mmというように設計者によっ
て仕上げ寸法値が入力され、これらのパラメータにより
仕上げ形状が算出される。仕上げ形状の算出は、通常の
CAD処理により自動的に行われる。なお、図3、およ
び後述する図4、図5中の符号CLは中心軸線を示す。
【0048】次のステップ12では、たとえば図4
(a)〜(c)に半部のみの断面でそれぞれ示す粗地形
状RF1〜RF3の如く複数の粗地形状を自動的に作成
する。すなわちここでは、あらかじめ鍛造部品の種類毎
に複数個設定されている粗地寸法定義式のうちから、た
とえば図4(a)の粗地形状の例ではA2=A3−10
mm、B2=A2×0.6、C2=A2×0.4、D2
=4.0mm、E2:仕上げ形状体積=粗地形状体積、
というような、上記指定された鍛造部品の種類に対応す
る複数の粗地寸法定義式を読み込んで、それらの粗地寸
法定義式を用いて複数の粗地形状を自動的に作成する。
なお、Nは作成された粗地形状の個数である。
【0049】次のステップ13では、粗地形状番号iの
数値を0にするとともに、型摩耗量評価値の値S(0)
を∞にする初期設定を行う。
【0050】続くステップ14では、粗地形状番号iの
数値がi≧Nとなるまで繰り返し、後述のループ端であ
るステップ21までの処理ループを開始する。
【0051】次のステップ15では、粗地形状番号iの
数値をi+1とすることで、iをインクリメントし、上
記ルーブの実行毎にi=1から始めてi=Nまで順次、
その粗地形状番号iの粗地形状につきFEM解析を行
う。
【0052】ここで行うFEM解析は、たとえば図4
(a)〜(c)の粗地形状RF1〜RF3を図5(a)
〜(c)の仕上げ形状FF1〜FF3にそれぞれ鍛造す
る場合の如く、粗地形状から仕上げ形状に至るまでの鍛
造過程における、粗地形状側の形状変形と鍛造型側の形
状変形の両方についてFEM解析を行うものである。
【0053】FEM解析を行うためのコンピュータソフ
トは、一般に公知のものを用いれば良い。有限要素解析
の手法自体については、たとえば「有限要素法入門」
(三好敏郎著、培風館出版、昭和61年10月30日初
版第12刷発行(昭和53年12月10日初版発行))
等に詳しく述べられており、また、剛塑性有限要素法に
ついては、たとえば「非線形有限要素法」(社団法人日
本塑性加工学会編、コロナ社、1997年12月25初
版第3刷発行)の第36ページ〜第70ページに詳しく
述べられている。したがって、ここでは、本発明にこの
剛塑性有限要素法による解析を用いる際の概略のみ説明
する。
【0054】FEM解析は、図6に示すように、一般的
に、プリプロセッシング(S1)、剛性方程式の解法
(ソルバー)(S2)、およびポストプロセッシング
(S3)の手順で行われる。
【0055】ここで、ポストプロセッシング(S1)
は、周知のとおり、FEM解析を行う形状データについ
て、座標系を選定し、任意の有限要素に分割し、また、
拘束条件、荷重条件の設定などを行う処理である。本実
施の形態では、ここで、前記図4に示した粗地形状RF
1〜RF3と型形状の両方に対し、これらの処理を行
い、任意の有限要素数に分割する。
【0056】続くソルバー(S2)は、実際にFEM解
析を行う処理であり、粗地形状側の形状変形と、鍛造型
側の形状変形についてFEM解析を行う。なお、ここ
で、剛性方程式としては、剛塑性有限要素法に従うた
め、たとえば、前記「非線形有限要素法」によれば弾性
変形による影響を無視した剛塑性変形解析によって行う
ことになる。
【0057】続くポストプロセッシング(S3)は、周
知のとおり、FEM解析により、各節点における位置が
所定位置に移動したときの、各節点の速度(移動速度)
と型接触時間からひずみや応力の計算が行い、必要によ
り、グラフィック表示するための処理を行う。
【0058】なお、前記ステップ15でのFEM解析に
入力する形状データと共通の形状記述方式で、上記仕上
げ形状および上記粗地形状の形状データを作成してい
る。したがって、データ変換を不要とし得て、上記鍛造
過程の剛塑性FEM解析の準備時間を短縮し得るととも
にその解析精度も高めることができる。
【0059】次のステップ16では、上記鍛造過程のF
EM解析において、粗地形状の多数の要素の表面節点の
うちで、一旦鍛造型の表面に接触した後に再度その型表
面より離脱した節点があるか否かを判断し、再離脱した
節点がある場合には、その粗地形状番号iの粗地形状は
鍛造傷が発生すると判断してルーブ端のステップ21へ
進む。一方、再離脱した節点がない場合には、その粗地
形状は鍛造傷が発生しないと判断して次のステップ17
へ進む。
【0060】これは鍛造工程における経験から、鍛造工
程においては一度型表面に接触した部分が再び離れてし
まうと、この部分で鍛造傷が発生することが多いため、
このような鍛造傷の発生する可能性が高い粗地形状を、
FEM解析の結果から再離脱した表面節点の有無により
検出し、再離脱した表面節点がある粗地形状について
は、最終的な最適粗地表面を決定する候補から除外する
ようにしたものである。
【0061】続くステップ17では、型摩耗評価式S=
aσvTを用いて、その粗地形状番号iの粗地形状にお
けるすべての表面節点の各々について、型摩耗量Sを求
めた後、そのなかの最大値を求めて、この型摩耗量Sの
最大値をその粗地形状iの型摩耗量評価値S(i)とす
る。なお、上記式中、aは所定の係数、σはその表面節
点の応力、vはその表面節点の速度、Tはその表面節点
の型接触時間である。
【0062】このように型摩耗量を表面節点の応力と速
度と型接触時間との積で評価するのは、図7に示すよう
に、仕上げ形状の隅部CP(図3参照)を形成する仕上
げ鍛造パンチの隅部PPに沿って、表面上に等間隔に点
P1〜P8を設定し、それらの点について、実際の型摩
耗量の計測値と上記係数を適当に設定した評価値(計算
値)とを対比したところ、図8に示すように、FEM解
析の要素数を増やす程計算点が計測点に近くなり、破線
で示す要素数12000の時の近似曲線では、実線で示
す計測点の近似曲線に極めて近いものとなることが確認
され、それゆえ型摩耗量が節点の応力と速度と型接触時
間とに依存することが判明したからである。
【0063】図8において、縦軸は磨耗量の計測値およ
び計算値を示し、横軸は前記P1〜P8の位置であるセ
グメント位置を示してある。なお、このセグメント位置
は、点P1〜P8を、鍛造パンチの隅部PPに沿って表
面上に、各点を中心とする同じ円周上の距離で等間隔に
設定したものである。
【0064】また、型磨耗量評価式によりすべての表面
節点の型磨耗量を求めた後、そのうちの最大値をその粗
地形状の型磨耗量評価値としたのは、型磨耗量の最も大
きな部分が、最終的には鍛造工程おいて不良を発生させ
る要因となるため、ここでは、すべての表面節点におけ
る型磨耗量を評価する必要はなく、そのうち最も大きく
磨耗した部分同士を比較することで、処理を短縮するよ
うにしたものである。もちろん、この他に様々な評価値
を用いることも可能であり、たとえば、型磨耗量評価式
により算出したすべての表面節点における型磨耗量が余
り差がないようなときには、それらの平均値を粗地形状
のおける型磨耗量評価値としてもよいし、あるいは、す
べての表面節点における型磨耗量の偏差値などを型磨耗
量評価値とするなど様々な値とすることも可能である。
つまり、最終的に必要な型磨耗量評価値は、複数種類の
粗地形状同士を比較するために必要な値であるから、粗
地形状の表面節点から得られた複数の型磨耗量を一つの
数値として表すことができればよいのである。
【0065】続くステップ18では、今回のループ処理
での粗地形状番号iの粗地形状の型摩耗量評価値S
(i)と、比較対象型摩耗量評価値S(i−1)の値
(初回ループ処理ではS(i−1)=S(0)=∞)と
を対比して、今回の型摩耗量評価値S(i)の方が大き
いか等しい場合(≧)には、上記比較対象型摩耗量評価
値S(i−1)の値をS(i)の値とした後に上記ルー
プ端のステップ21に進む。これにより、その小さい方
の値であるS(i−1)の値が、iのインクリメントに
かかわらず次回のループ処理でも比較対象型摩耗量評価
値S(i−1)となり、比較対象型摩耗量評価値S(i
−1)には常に前回までのループ処理での最小値が維持
される。
【0066】一方、上記の対比で、今回の型摩耗量評価
値S(i)の方が小さい場合(<)には、そのiの値を
最適粗地形状番号Kの値とした後に上記ルーブ端のステ
ップ21に進んでステップ14へ戻る。これにより、次
回のループ処理ではiのインクリメントによって、今回
の型摩耗量評価値S(i)が比較対象型摩耗量評価値S
(i−1)となり、比較対象型摩耗量評価値がより小さ
い値に更新される。
【0067】上記i=1からi=Nまでのループ処理が
終了すると、次のステップ22に進んで、粗地形状番号
が上記の最適粗地形状番号Kである粗地形状を最適粗地
形状に決定し、この処理を終了する。
【0068】したがって、上記ステップ11およびステ
ップ12が粗地形状設定部1に、上記ステップ15がF
EM解析部2に、上記ステップ16が再離脱表面節点検
出部3に、そして上記ステップ13、14、17〜21
が最適粗地形状決定部4に相当する。
【0069】本第1の実施の形態によれば、所定の基準
に基づいて自動的に、型摩耗量の最も少ない最適粗地形
状を決定することができるので、決定を経験者に頼らざ
るを得ないという不都合を解消することができる。
【0070】しかも、仕上げ形状に鍛造傷が発生するよ
うな粗地形状を再離脱表面節点検出部3によって排除し
得て、鍛造傷の発生を有効に防止し得るとともに、最適
粗地形状決定部4の評価対象から無駄なものを除いて最
適粗地形状の決定処理を迅速化することができる。
【0071】さらに、粗地形状設定部1とFEM解析部
2との間での仕上げ形状および粗地形状のデータ変換を
不要とし得て、粗地形状から仕上げ形状への鍛造過程の
剛塑性FEM解析の準備時間を短縮し得るとともにその
解析精度も高めることができる。
【0072】(第2の実施の形態)第2の実施の形態
は、本発明を適用し、粗地形状のみFEM解析を行うこ
とによって鍛造用最適粗地形状を決定するものである。
【0073】本第2の実施の形態においても、装置構成
としては図1に示したものと同様であり、粗地形状設定
部1と、FEM解析手段としてのFEM解析部2と、再
離脱表面節点検出手段としての再離脱検出部3と、最適
粗地形状決定手段としての最適粗地形状決定部4とを備
えている。そして、この装置においても具体的には、後
述する手順に基づき作成されたプログラムをコンピュー
タが実行することにより作動し、上記各部の機能を奏す
る。また、このプログラムはコンピュータ読み取り可能
か記憶媒体に記録されて提供される。
【0074】図9〜10は、本第2の実施の形態におけ
る処理手順を示すフローチャートである。
【0075】ここで、ステップ101〜106までは、
第1の実施の形態と同様である。すなわち、仕上げ形状
情報の読み込み(S101)、複数粗地形状の作成(S
102)、粗地形状番号iの初期化(S103)、ルー
プ開始(S104)、各粗地形状のFEM解析(S10
5)、およびFEM解析において再離脱表面節点の検出
(S106)と続くことになる。このため、本第2の実
施の形態においても、ステップ106において表面節点
で型から再離脱した点のある粗地形状については除外さ
れる。
【0076】ここで本第2の実施の形態では、ステップ
105におけるFEM解析を前述した第1の実施の形態
とは異なり、粗地形状の変形過程のみを求めており、鍛
造型については変形しないものとして扱っている。した
がって、たとえば図11に示すように、上型101と下
型102によって鍛造を行う場合、プリプロセッシング
の段階で、これらの型101および102については、
FEM解析に使用する形状データを要素分割する必要は
ない。すなわち要素数を0とする。一方、粗地形状10
0については、前述した第1の実施の形態と同様に、分
割する要素数を入力する。
【0077】続いて、ステップ107では、鍛造型表面
に複数の任意の点(型計算点j)を設け、各型計算点か
ら粗地形状の各表面節点まで距離を、FEM解析におけ
る時間ステップごとに算出し、そのうち型計算点ごとに
最も近い表面節点(最近接節点)を求める。ここで、型
計算点jは、たとえば図12に示すように、鍛造型表面
に複数の点#1〜#10などのようにする(図では、鍛
造型の一部しか示していないが、この型計算点jは鍛造
型表面の全面に設ける)。
【0078】続いて、ステップ108では、前記ステッ
プ107で求められた最近接節点のすべてについて、F
EM解析結果から各最近接節点の応力σ、各最近接節点
の速度v、および各最近接節点の型接触時間Tを求め
る。なお、型接触時間Tは、最近接節点が、FEM解析
のひとつの時間ステップΔtを最近接節点であったステ
ップ回数分足した時間となる。
【0079】続いて、ステップ109では、型計算点j
ごとに、求めた各最近接節点の応力σ、速度v、型接触
時間Tを元に各型計算点の型摩耗量Wjを求める。型摩
耗量Wjは、Wj=aσvΔtT2として求める。
【0080】ここで、aは、所定の係数であり、実験の
結果と、この式による型磨耗量Wjの計算結果を一致さ
せるために用いる係数であり、T2は実験の結果とこの
式による型磨耗量Wjの計算結果を一致させるために、
型磨耗量の計算式を補正するためのものである。
【0081】また、応力σおよび速度vは、図13に示
すように、粗地形状100の表面上の最近接節点Jが移
動した方向をVとし、この節点での型102との接触部
分における接線に対する法線方向の圧力Pが応力σであ
り、移動方向Vに移動した距離とFEM解析のステップ
時間Δtから速度vが算出される。
【0082】続いて、ステップ110では、前記ステッ
プ109で求められた型計算点ごとの型摩耗量Wjの総
和を算出して、その粗地形状における型摩耗量評価値S
(i)とする。
【0083】以降、前述した第1の実施の形態における
ステップ18〜21と同様にして、まずステップ111
では、今回のループ処理での粗地形状番号iの粗地形状
の型摩耗量評価値S(i)と、i番目以前の比較対象と
なる型摩耗量評価値S(i−1)の値(初回ループ処理
ではS(i−1)=S(0)=∞)とを対比して、今回
の型摩耗量評価値S(i)の方が大きいか等しい場合
(≧)には、ステップ112で、比較対象型摩耗量評価
値S(i−1)の値をS(i)の値とし、ループ端であ
るステップ113に進でステップ104へ戻る。この結
果、S(i−1)の値が、iのインクリメントにかかわ
らず次回のループ処理でも比較対象型摩耗量評価値S
(i−1)となり、比較対象型摩耗量評価値S(i−
1)には常に前回までのループ処理での最小値が維持さ
れる。
【0084】一方、この対比で、今回の型摩耗量評価値
S(i)の最大値の方が小さい場合(<)には、ステッ
プ113で、iの値を最適粗地形状番号Kの値とした後
にルーブ端であるステップ114に進んでステップ10
4へ戻る。これにより、次回のループ処理ではiのイン
クリメントによって、今回の型摩耗量評価値S(i)の
最大値が比較対象型摩耗量評価値S(i−1)となり、
比較対象型摩耗量評価値がより小さい値に更新される。
【0085】そして、i=1からi=Nまでのループ処
理が終了すると、次のステップ115に進んで、Kの値
として維持されている粗地形状番号の粗地形状が最適粗
地形状として決定される。
【0086】このように本第2の実施の形態によれば、
型摩耗量を評価する際に、鍛造型表面に任意の計算手を
設け、この型計算点からの最近接節点を求めて、この際
近接節点における応力、速度、および型接触時間から、
各型計算点における型摩耗量を求めることとし、これに
先立つFEM解析において、鍛造型側のFEM解析を省
略することができるようにしている。したがって、FE
M解析にかかる時間を大幅に短縮した上で、型摩耗量の
最も少ない最適粗地形を決定することができる。
【0087】以上、本発明を適用した実施の形態を説明
したが、この発明はこれらの実施の形態に限定されるも
のではない。たとえば、粗地形状設定部1とFEM解析
部2と再離脱表面節点検出部3と最適粗地形状決定部4
とのうちの一つまたは複数を別のソフトウエアで構成し
ても良く、その場合には、複数の鍛造型を設計する際
に、それらのソフトウエアを複数のコンピュータで並列
的に実行させ得て、処理時間をより短縮することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した鍛造用最適粗地形状決定装
置の構成を示すブロック図である。
【図2】 第1の実施の形態における鍛造用最適粗地形
状決定のための処理手順を示すフローチャートである。
【図3】 上記装置が読み込む仕上げ形状を示す断面図
である。
【図4】 上記装置が作成する粗地形状を例示する断面
図である。
【図5】 上記各粗地形状から上記仕上げ形状への鍛造
工程のFEM解析結果をそれぞれ例示する断面図であ
る。
【図6】 FEM解析の概略手順を示す図面である。
【図7】 仕上げ形状の隅部を形成する仕上げ鍛造パン
チの隅部に設定した点を示す説明図である。
【図8】 上記仕上げ形状の隅部についての摩耗量の実
際の計測値と計算値とを対比して示す図面である。
【図9】 第2の実施の形態における鍛造用最適粗地形
状決定のための処理手順を示すフローチャートである。
【図10】 図9に続くフローチャートである。
【図11】 第2の実施の形態におけるFEM解析の際
の鍛造型と粗地形状の一例を示す図面である。
【図12】 鍛造型表面に設ける任意の型計算点を説明
するための図面である。
【図13】 上記鍛造用最適粗地形状決定の際に用いる
最近接節点の応力σおよび速度vを説明するための図面
である。
【符号の説明】
1…粗地形状設定部 2…FEM解析部 3…再離脱表面節点検出部 4…最適粗地形状決定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊澤 昌敏 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 藤川 真一郎 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4E087 AA10 DA02 GA01 5B046 AA05 DA02 JA07

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上げ形状から所定条件に基づき複数種
    類の粗地形状を設定する粗地形状設定手段と、 前記複数種類の粗地形状の各々について、粗地形状から
    前記仕上げ形状に至るまでの鍛造過程を、少なくとも前
    記粗地形状側について剛塑性FEM解析するFEM解析
    手段と、 前記複数種類の粗地形状の各々について、前記剛塑性F
    EM解析の結果から、各粗地形状における表面節点の応
    力、速度、および型接触時間を元に型摩耗量を算出し、
    当該型摩耗量評価値の最も小さな粗地形状を最適粗地形
    状として決定する最適粗地形状決定手段と、 を有することを特徴とする鍛造用最適粗地形状決定装
    置。
  2. 【請求項2】 前記鍛造用最適粗地形状決定装置は、さ
    らに、前記鍛造過程の剛塑性FEM解析の結果から、型
    表面に接触した後、再び離脱した表面節点のある粗地形
    状を検出する再離脱表面節点検出手段を有し、 前記最適粗地形状決定手段は、当該再離脱表面節点検出
    手段によって検出された型表面から再離脱した表面節点
    がある粗地形状を最適粗地形状の決定対象から除外する
    ことを特徴とする請求項1記載の鍛造用最適粗地形状決
    定装置。
  3. 【請求項3】 前記最適粗地形状決定手段は、粗地形状
    における各表面節点の応力、速度、および型接触時間の
    積を算出し、当該算出した積のうち最大値をその粗地形
    状の型磨耗量評価値とすることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の鍛造用最適粗地形状決定装置。
  4. 【請求項4】 前記FEM解析手段は、鍛造工程におけ
    る前記粗地形状側の形状変化のみを剛塑性FEM解析す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の鍛造用最適
    粗地形状決定装置。
  5. 【請求項5】 前記最適粗地形状決定手段は、剛塑性F
    EM解析の結果から、鍛造型表面に複数の任意の点を設
    け、当該複数の任意の点ごとに、当該任意の点から前記
    粗地形状の表面節点のうち最近接節点を検索し、当該最
    近接節点の応力、速度、および型接触時間から、前記複
    数の任意の点ごとの型摩耗量を算出し、当該算出した前
    記複数の任意の点ごとの型摩耗量の総和を算出して、当
    該総和をその粗地形状の型摩耗量評価値とすることを特
    徴とする請求項4記載の鍛造用最適粗地形状決定装置。
  6. 【請求項6】 前記粗地形状設定手段は、前記FEM解
    析手段と共通の形状記述方式を用いることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれか一つに記載の鍛造用最適粗地形
    状決定装置。
  7. 【請求項7】 仕上げ形状から所定条件に基づき複数種
    類の粗地形状を設定する段階と、 前記複数種類の粗地形状の各々について、粗地形状から
    前記仕上げ形状に至るまでの鍛造過程を、少なくとも前
    記粗地形状側について剛塑性FEM解析する段階と、 前記剛塑性FEM解析の結果出力される各粗地形状にお
    ける表面節点の応力、速度、および型接触時間から、各
    粗地形状の型摩耗量評価値を求める段階と、 前記型摩耗量評価値の値が最も小さい粗地形状を最適粗
    地形状に決定する段階と、 を有することを特徴とする最適粗地形状決定方法。
  8. 【請求項8】 前記鍛造用最適粗地形状決定方法は、さ
    らに、前記剛塑性FEM解析の結果から、型表面から再
    離脱した表面節点のある粗地形状を検索する段階と、 前記最適粗地形状を決定する段階の前に、当該再離脱し
    た表面節点のある粗地形状は最適粗地形状を決定する際
    の候補から除外する段階と、 を有することを特徴とする請求項7記載の最適粗地形状
    決定方法。
  9. 【請求項9】 前記各粗地形状の型摩耗量評価値を求め
    る段階は、粗地形状における各表面節点の応力、速度、
    および型接触時間の積を算出し、当該算出した積のうち
    最大値をその粗地形状の型磨耗量評価値とすることを特
    徴とする請求項7または8記載の鍛造用最適粗地形状決
    定方法。
  10. 【請求項10】 前記剛塑性FEM解析する段階は、鍛
    造工程における前記粗地形状側の形状変化のみ剛塑性F
    EM解析することを特徴とする請求項7または8記載の
    最適粗地形状決定方法。
  11. 【請求項11】 前記型摩耗量評価値を求める段階は、
    前記FEM解析の結果から、鍛造型表面に複数の任意の
    点を設けて、当該複数の任意の点ごとに、当該任意の点
    から前記粗地形状の表面節点のうち最近接節点を検索す
    る段階と、 当該最近接節点の応力、速度、および型接触時間から、
    前記複数の任意の点ごとの型摩耗量を算出する段階と、 当該算出した前記複数の任意の点ごとの型摩耗量の総和
    を算出して、当該総和をその粗地形状の型摩耗量評価値
    とする段階と、 からなることを特徴とする請求項10記載の最適粗地形
    状決定方法。
  12. 【請求項12】 仕上げ形状から所定条件に基づき複数
    種類の粗地形状の形状データを作成する手順と、 前記複数種類の粗地形状の形状データを用いて、前記複
    数種類の粗地形状の各々について、粗地形状から前記仕
    上げ形状に至るまでの鍛造過程を、少なくとも前記粗地
    形状側について剛塑性FEM解析する手順と、 前記剛塑性FEM解析の結果出力される各粗地形状の表
    面節点の応力、速度、および型接触時間から、各粗地形
    状の型摩耗量評価値を求める手順と、 前記型摩耗量評価値の値が最も小さい粗地形状を最適粗
    地形状に決定する手順と、 を有することを特徴とする鍛造用最適粗地形状決定プロ
    グラム。
  13. 【請求項13】 前記鍛造用最適粗地形状決定プログラ
    ムは、さらに、前記剛塑性FEM解析の結果から、型表
    面から再離脱した表面節点のある粗地形状を検索する手
    順と、 前記最適粗地形状を決定する手順の前に、当該再離脱し
    た表面節点のある粗地形状は最適粗地形状を決定する際
    の候補から除外する手順と、 を有することを特徴とする請求項12記載の鍛造用最適
    粗地形状決定プログラム。
  14. 【請求項14】 前記各粗地形状の型摩耗量評価値を求
    める手順は、粗地形状における各表面節点の応力、速
    度、および型接触時間の積を算出し、当該算出した積の
    うち最大値をその粗地形状の型磨耗量評価値とすること
    を特徴とする請求項12または13記載の鍛造用最適粗
    地形状決定プログラム。
  15. 【請求項15】 前記剛塑性FEM解析プログラムを実
    行させる手順は、鍛造工程における前記粗地形状側の形
    状変化のみを粗地形状から前記仕上げ形状に至るまで剛
    塑性FEM解析させることを特徴とする請求項12また
    は13記載の鍛造用最適粗地形状決定プログラム。
  16. 【請求項16】 前記各粗地形状の型摩耗量評価値を求
    める手順は、前記FEM解析の結果から、鍛造型表面に
    複数の任意の点を設け、当該複数の任意の点ごとに、当
    該任意の点から前記粗地形状の表面節点のうち最近接節
    点を検索する手順と、 当該最近接節点の応力、速度、および型接触時間から、
    前記複数の任意の点ごとの型摩耗量を算出する手順と、 当該算出した前記複数の任意の点ごとの型摩耗量の総和
    を算出して、当該総和をその粗地形状の型摩耗量評価値
    とする手順と、 からなることを特徴とする請求項15記載の鍛造用最適
    粗地形状決定プログラム。
  17. 【請求項17】 請求項12〜16のいずれか一つに記
    載の鍛造用最適粗地形状決定プログラムを記録したこと
    を特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
JP2001070838A 2000-07-04 2001-03-13 鍛造用最適粗地形状決定装置、鍛造用最適粗地形状決定方法、鍛造用最適粗地形状決定プログラム、およびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Withdrawn JP2002079340A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009526927A (ja) * 2006-01-20 2009-07-23 エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー ねじ連結部群の評価方法及びシステム
JP2015501036A (ja) * 2011-11-23 2015-01-08 スネクマ 構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定するシステムおよび方法
CN109807269A (zh) * 2019-01-02 2019-05-28 中国原子能科学研究院 一种异形构筑坯料的设计方法

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