JP2002078494A - カンジダ属酵母の検出方法 - Google Patents
カンジダ属酵母の検出方法Info
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Abstract
酸性プロテアーゼ遺伝子配列を明らかにし、その検出方
法及びそれに用いるキットを提供する。 【解決手段】 カンジダ属酵母の分泌性酸性プロテアー
ゼをコードする遺伝子にアニーリング可能なプライマ
ー。該プライマーを用いて増幅されたDNAを検出する
ためのプローブ。該プライマー及びプローブを用いてカ
ンジダ属酵母を検出するカンジダ属酵母の検出方法。該
プライマー又はプローブを含有しているカンジダ属酵母
の検出キット。 【効果】 試料中のカンジダ属酵母の高感度検出方法及
び検出キットが提供された。
Description
遺伝子及び検出方法に関し、更に詳細にはカンジダ属酵
母の分泌性酸性プロテアーゼ遺伝子及びその検出に関す
る。本発明はまた、このような検出のための検出キット
に関する。
加傾向にある日和見感染症の最も重篤な疾患の1つであ
るカンジダ症は、その臨床的意義の重大さにもかかわら
ず、治療と密接に関連した有効な検査方法が確立されて
いない。現在市販されている検査薬としては、病原性カ
ンジダ属酵母の細胞壁成分の1つであるマンナン抗原を
用い、血清中の抗カンジダマンナン抗体を測定する検査
薬があるが、この検査薬は、正常人においても有意に高
値を示す場合がしばしば見られる(高木宏治、下野信
行、石丸敏行、岡田薫、澤江義郎;第10回 関東地方
医真菌懇話会講演抄録、第13頁)。また、カンジダの
代謝産物あるいは菌体成分を生化学的にアッセイする方
法があるが、これらの方法も、病理学的にカンジダ症と
認められない患者に対しても有意に高値を示すことがあ
り、よりカンジダ症に特異的な検査方法の確立が望まれ
ている。
子診断方法が開発されてきた。病原性カンジダ属酵母の
特徴はその遺伝子により規定されており、この病原性カ
ンジダ属酵母に特徴的な遺伝子配列を特定できれば、そ
の存在を確定することができる。一方カンジダ属酵母の
中で、分泌性酸性プロテアーゼを産生する菌種は病原性
酵母に限られており、この病原性酵母に特徴的な分泌性
酸性プロテアーゼ遺伝子配列を高感度かつ迅速に検出で
きれば、病原性カンジダ属酵母の存在を簡便に、確定す
ることができる。すなわち、本発明の目的は、試料中の
病原性カンジダ属酵母特有の分泌性酸性プロテアーゼ遺
伝子配列を明らかにし、その検出方法及びそれに用いる
キットを提供することにある。
発明の第1の発明はカンジダ属酵母の分泌性酸性プロテ
アーゼ遺伝子を検出するための特定プライマー又はプロ
ーブに関する。本発明の第2の発明は、上記第1の発明
のプライマー又はプローブを用いてカンジダ属酵母を検
出することを特徴とするカンジダ属酵母の検出方法に関
する。そして本発明の第3の発明は、上記第2の発明の
方法に用いる検出キットであって、少なくともカンジダ
属酵母の分泌性酸性プロテアーゼ遺伝子を検出するため
のプライマー又はプローブを含有していることを特徴と
するカンジダ属酵母の検出キットに関する。
る。病原性カンジダアルビカンスの分泌性酸性プロテア
ーゼ遺伝子は例えば以下の手順でその全塩基配列を決定
することができる。 (1)病原性カンジダ属酵母として、例えば病原性カン
ジダアルビカンスNo.114株を培養し、培養菌体よ
りmRNAを調製する。 (2)配列表の配列番号2で示されるcDNA合成用M
13M4−オリゴ(dT)プライマーを用い、mRNA
よりcDNAを合成する。 (3)病原性カンジダアルビカンスNo.114の分泌
性酸性プロテアーゼのN末端のアミノ酸配列は既に配列
表の配列番号3に示す様に決定されている。このアミノ
酸配列から、該プロテアーゼ遺伝子クローニングのため
のPCR〔Polymerase Chain Reaction :サイキ(Saik
i)ら、サイエンス(Science)、第230巻、第1350
〜1354頁(1985)〕用ミックスプライマー及び
検出用ミックスプローブを合成、精製し、次にこのミッ
クスプライマーと、ランダムプライマーを用い、特開平
3−236781号公報記載の方法を用い、該プロテア
ーゼのN末端付近をコードする遺伝子を増幅、クローニ
ングし、塩基配列を決定する。 (4)前工程で決定された塩基配列を基にネステッド
(nested)PCRプライマーと、検出用プローブを合
成、精製し、該プライマーとM13M4プライマー(宝
酒造)を用いたPCRにより、該プロテアーゼのC末端
部を含む遺伝子を増幅、クローニングし、塩基配列を決
定する。 (5)前工程で決定された塩基配列を基にネステッドP
CR用プライマーを合成、精製する。前述cDNAをT
4DNAポリメラーゼにより平滑末端化後、EcoRI
アダプターを接続し、EcoRIで切断したファージベ
クターλgt10にライゲーションし、鋳型DNAを調
製する。次にネステッドPCR用プライマーとλgt1
0リバースプライマーを用いたPCRにより、該プロテ
アーゼのN末端部を含む遺伝子を増幅、クローニング
し、塩基配列を決定する。 (6)配列表の配列番号4が該プロテアーゼのN末端付
近をコードする327bpの塩基配列、配列表の配列番
号5がC末端部をコードする塩基配列を含む933bp
の塩基配列、配列表の配列番号6がN末端部をコードす
る塩基配列を含む547bpの塩基配列であり、これら
より、配列表の配列番号1で示す分泌性酸性プロテアー
ゼ遺伝子の塩基配列が決定される。なお、配列表の配列
番号7がcDNAの全長、及び該プロテアーゼのアミノ
酸配列を示すものである。この遺伝子内には病原性カン
ジダ属酵母に特有な領域があり、この領域を検出するこ
とにより、該酵母の存在を確認することができる。
ション法等の遺伝子検出方法で良いが、PCR法が現在
最も高感度な遺伝子検出方法である。PCR法で選定領
域を増幅させるために一対のオリゴヌクレオチドプライ
マーDNAが必要である。検出感度を上昇させるために
は、更にもう一対のプライマーDNAが必要である。こ
れらのプライマーは上記決定領域にアニーリングできる
ものであれば良い。その一例として、配列表の配列番号
8で示すプライマー1、配列表の配列番号9で示すプラ
イマー2、配列表の配列番号10で示すプライマー3、
配列表の配列番号11で示すプライマー4、配列表の配
列番号12で示すプライマー5等があり、DNA合成機
により合成でき、HPLCにて精製できる。
病原性カンジダ感染試料より調製することができる。P
CR法についてはタック−ポリメラーゼ(Taq-polymeras
e)を含む遺伝子増幅キット及び自動遺伝子増幅装置が宝
酒造社から市販されており、これと本発明のプライマー
対を用い、病原性カンジダ属酵母DNAの増幅反応を行
えばよい。PCR法によれば、酵素として、例えば耐熱
性タック−ポリメラーゼを用い、DNAの変性(94
℃)の工程、プライマーDNAのアニーリング(55
℃)の工程、DNA相補鎖の酵素的合成(72℃)の工
程より成る温度サイクルを任意の回数繰返すことで、目
的遺伝子のみを指数的に増幅することができる。例えば
温度サイクルを25回繰返せば、目的DNAは約10万
倍に増幅され、微量試料より高感度にDNAを検出する
には、このPCR法が最も有効である。増幅後の分泌性
酸性プロテアーゼ遺伝子DNAの検出は、例えばアガロ
ースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、
スポット法、及びサザンブロット法を用いて行うことが
できる。スポット法、サザンブロット法の際は増幅領域
内でプローブDNAを選択すればよい。その一例として
配列表の配列番号13のプローブ1がある。
同様の方法で合成、精製することができる。プローブD
NAは、標識化することにより、高感度な検出が可能と
なる。標識化の方法は放射性同位元素標識法に限らず、
酵素標識、蛍光標識、ビオチン、アビジン系標識、ケミ
プローブ標識法等公知の方法なら何でもよい。実際選定
されたプライマーを用い、病原性カンジダ属酵母の分泌
性酸性プロテアーゼ遺伝子のPCR反応を行うことがで
き、電気泳動法、サザンハイブリダイゼーション法等に
より高感度に検出することができる。
酸性プロテアーゼに特有の遺伝子領域が明らかになり、
この領域を検出することによりカンジダ属酵母を高感度
に検出することができる。PCR法の場合、高感度な検
出を行うことができ、病原性カンジダ属酵母の早期検出
が可能となり、その治療に利用可能となる。また、本発
明に従って、病原性カンジダ属酵母の分泌性酸性プロテ
アーゼDNA領域を増幅させるためのプライマー対、及
び増幅されたDNA領域を検出するためのプローブをそ
ろえてキットしておくことにより、病原性カンジダ属酵
母の検出を簡便に行うことができる。なお、キットに用
いる試薬は溶液状でも良いし、凍結乾燥物でもよい。以
上PCR法を用いた病原性カンジダ属酵母の高感度検出
法について詳細に説明してきたが、本発明はPCR法に
限定されるものではなく、特定の核酸及びその相補鎖を
高感度に検出する方法はすべて本発明に含まれるもので
あり、例えばQβ−レプリケース アンプリフィケーシ
ョンシステム〔バイオ/テクノロジー(Bio/technolog
y)、第6巻、第1197頁(1988年) 〕による方法
が挙げられる。
の分泌性酸性プロテアーゼの全アミノ酸配列が決定され
た。本発明の遺伝子を用いれば、該プロテアーゼを遺伝
子工学的に製造することができる。遺伝子工学的に発現
されたポリペプチド、アミノ酸配列から合成したポリペ
プチド等はタンパク質工学、免疫工学、診断用試薬等の
分野において有用である。
明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるも
のではない。
アーゼcDNAのPCR法によるクローニングと塩基配
列決定 (1)カンジダアルビカンスNo.114のmRNAの
調製 カンジダアルビカンスの培養、スフェロプラストの調
製、全RNAの調製、ポリ(A)−mRNAの分画を阿
部らの方法〔昭和62年11月10日、(株)ソフトサ
イエンス社発行、口野嘉幸ほか2名編「遺伝子・タンパ
ク質 実験操作ブロッティング法」(初版)〕により行
い、最終的に培養液400mlより約150μgのmR
NAを得た。 (2)cDNAの合成 上記ポリ(A)−mRNA 約11μgよりアマーシャ
ム社製cDNA合成キット(コード番号 RPN.12
56)及びM13M4−オリゴ(dT)プライマーを用
い、cDNAを合成し、二本鎖cDNA約2μgを得
た。 (3)PCR法による分泌性酸性プロテアーゼcDNA
の部分クローニング 上記cDNA約0.1μgを0.5ml用チューブに取
り、ジーンアンプTMキット(宝酒造社)中の5μlの1
0倍濃縮増幅用緩衝液〔100mM トリス−HCl、
pH 8.3、500mM KCl、15mM MgC
l2、0.01%(w/v)ゼラチン〕、8μlの1.2
5mM dNTP混合液(dATP、dGTP、dCT
P、TTP)、0.5μgの配列表の配列番号14で示
すミックスプライマー1、0.2μgのランダムプライ
マー(デカマー)、0.5μlの5ユニット/μlアン
プリタックTM(宝酒造社)を加え、滅菌水を加えて50
μlのミネラルオイル(シグマ社)を重層した後、自動
遺伝子増幅装置サーマル・サイクラー(宝酒造社)によ
り増幅を行った。反応条件は、(1)94℃で30秒間
(熱変性)→55℃で2分間(アニーリング)→72℃
で1分間(合成反応)のサイクルを35サイクル行っ
た。次に上記反応液1μlを0.5ml用チューブに取
り、ジーンアンプTMキット中の5μlの10倍濃縮増幅
用緩衝液、8μlの1.25mM dNTP混合液、
0.5μgの配列表の配列番号15で示すミックスプラ
イマー2、0.2μgのランダムプライマー(デカマ
ー)、0.5μlの5ユニット/μlアンプリタックTM
を加え、滅菌水を加えて50μlのミネラルオイルを重
層した後、自動遺伝子増幅装置サーマル・サイクラーに
より増幅を行った。反応後、反応液を10μl取り、ア
ガロースゲル(宝酒造社製)にて電気泳動を行い、ナイ
ロンメンブラン ハイボンド(Hybond)−N(アマーシャ
ム社)を用いてサザンハイブリダイゼーションを行っ
た。プローブは配列表の配列番号16で示すミックスプ
ローブ1を〔γ−32P〕ATPで末端標識したものを用
いた。このサザンハイブリダイゼーションの結果、分泌
性酸性プロテアーゼcDNAの一部、約300bpの断
片が増幅されていることが確認できた。この断片をゲル
から切り出して精製し、DNAブランティングキット
(宝酒造社)を用いて末端を平滑化し、pUC18ベク
ターのHincIIサイトにサブクローニングし、上記
ミックスプローブ1をプローブとして、コロニーハイブ
リダイゼーションを行って得たポジティブ・クローンを
ジデオキシ法によりシークエンシングし、カンジダアル
ビカンスNo.114の分泌性酸性プロテアーゼcDN
Aの一部、配列表の配列番号4で示した327bpの塩
基配列を決定した。 (4)ネステッドPCR法による分泌性酸性プロテアー
ゼC末端領域cDNAのクローニング 1−(3)で決定した塩基配列よりPCR用プライマー
のプライマー1、及びプライマー2を合成精製し、実施
例1−(2)記載のcDNAを鋳型に用いてPCRを行
った。これらはすべて実施例1−(3)記載の反応液組
成、反応手順に従った。ただし1回目のPCRにはプラ
イマー1とM13プライマーM4(宝酒造社製)を用
い、2回目のPCRにはプライマー2とM13プライマ
ーM4を用いた。この結果、分泌性酸性プロテアーゼc
DNAのC末端領域、約900bp断片が増幅されてい
ることが確認できた。この断片を実施例1−(3)の方
法に従いサブクローニング、シークエンシングを行いカ
ンジダアルビカンスNo.114の分泌性酸性プロテア
ーゼcDNAのC末端領域を含み、配列表の配列番号5
で示した933bpの塩基配列を決定した。 (5)ネステッドPCR法による分泌性酸性プロテアー
ゼN末端領域cDNAのクローニング 1−(4)で決定した塩基配列よりPCR用プライマー
のプライマー3、及びプライマー4を合成、精製しPC
Rのプライマーとして用いた。鋳型としては、実施例1
−(2)記載のcDNAとファージベクターλgt10
を制限酵素EcoRIで消化したものを、cDNAクロ
ーニングシステムλgt10(アマーシャム社製)を用
いてライゲーションしたものを使用した。PCRの反応
液組成、反応手順はすべて実施例1−(3)に従った。
ただし1回目のPCRにはプライマー3とλgt10プ
ライマー・リバース(宝酒造社製)を用い、2回目のP
CRにはプライマー4とλgt10プライマー・リバー
スを用いた。この結果、分泌性酸性プロテアーゼcDN
AのN末端領域、約550bpの断片が増幅されている
ことが確認できた。この断片を実施例1−(3)の方法
に従いサブクローニング、シークエンシングを行い、カ
ンジダアルビカンスNo.114の分泌性酸性プロテア
ーゼcDNAのN末端領域を含み、配列表の配列番号6
で示した547bpの塩基配列を決定し、配列表の配列
番号1及び配列番号7で示した、分泌性酸性プロテアー
ゼの遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列を決定した。
アーゼ遺伝子DNAのPCRによる検出 (1)プライマーDNA及びプローブDNAの合成及び
精製 配列表の配列番号8〜13に示したプライマーDNA及
びプローブDNAをアプライドバイオシステムズ社のD
NA合成機を用いて合成し、脱保護の後、イオン交換H
PLC(TSKゲル、DEAE−2SWカラム)で精製
し、セプーパク(SEP−PAC)C18(ウォーターズ
社)で脱塩し、各DNAを約50μg得た。 (2)カンジダアルビカンスNo.114のゲノムDN
Aの調製 カンジダアルビカンスの培養(60ml)、スフェロプ
ラストの調製、ゲノムDNAの調製は阿部らの方法〔既
述の遺伝子・タンパク質 実験操作ブロッティング法、
ソフトサイエンス社〕により行い、最終的に培養液60
mlより約340μgのゲノムDNAを得た。 (3)カンジダアルビカンスNo.114の分泌性酸性
プロテアーゼ遺伝子DNAに特異的な領域のPCR法に
よる増幅 実施例2−(2)で調製したカンジダアルビカンスN
o.114のDNA 680ng、公知の方法により調
製したマウスのDNA 240ng、大腸菌HB101
のDNA 300ng、サッカロミセスセレビシェのD
NA 500ng、ヒトのDNA 1μg、コイのDN
A 300ngをそれぞれ0.5ml用チューブに取
り、10μlの10×増幅用緩衝液、16μlの1.2
5mM dNTP混合液(dATP、dGTP、dCT
P、TTP)1μlの0.1μg/μlプライマー1、
1μlの0.1μg/μlプライマー5、0.5μlの
5ユニット/μlタックポリメラーゼを加え、更に滅菌
水を加えて100μlの溶液にした。この反応液は上層
に100μlのミネラルオイルを加えた後、自動遺伝子
増幅装置サーマル−サイクラーにより増幅反応を行っ
た。反応条件は、94℃、30秒間の変性→55℃、2
分間のプライマーのアニーリング→72℃、1分間の合
成反応のサイクルを30サイクル行った。反応後、上層
のミネラルオイルを除去した後、反応液を10μl取
り、1%アガロース(宝酒造社製)ゲル電気泳動を行
い、エチジウムブロマイドでDNAを染色し、増幅され
たDNAを確認した。その結果、カンジダアルビカンス
No.114DNAを鋳型にした場合のみ312bpの
バンドを確認した。他のDNAからは増幅は認められな
かった。 (4)サザンハイブリダイゼーションによるカンジダア
ルビカンスDNAの検出 実施例2−(3)で記載のPCR反応液を泳動した1%
アガロースゲルをアルカリ変性後、ナイロンメンブラン
(アマーシャムハイボンド−N)に一晩サザンブロット
した。紫外線トランスイルミネーター(254nm)に
10分間照射させ、DNAをメンブランに固定させた。
このメンブランは、プレハイブリダイゼーション緩衝液
(5×デンハーツ液、5×SSC、0.1%SDS、1
00μg/mlサケ精子DNA)5ml中で37℃、2
時間プレハイブリダイゼーションを行った。次に32Pに
て5′末端をラベルしたプローブ1を加え、37℃、一
晩ハイブリダイゼーションを行った。プローブの32P−
ラベルはメガラベル キット(MEGALABEL Kit) (宝酒
造)を用いて次のように行った。10pmoleのプロー
ブ、1μlの10×リン酸化緩衝液、50μCiの〔γ
−32P〕ATP(アマーシャム社)、10ユニットのT
4−ポリヌクレオチドキナーゼを含む反応液に滅菌水を
加えて10μlにし、37℃、30分間反応させた。反
応後、94℃、5分間処理し、この反応液の全量(約1
08cpm)をハイブリダイゼーションに用いた。ハイブ
リダイゼーション後、メンブランを2×SSC、0.1
%SDSを含む洗浄液1で室温5分間で1回洗浄し、続
いて2×SSC、0.1%SDSを含む洗浄液2で37
℃、30分間で1回洗浄した。更に、0.5×SSC、
0.1%SDSを含む洗浄液3で37℃、30分間で1
回洗浄した。メンブランは乾燥させた後、X線フィルム
(富士フィルム)を入れたカセット内で−70℃、1時
間感光させ、オートラジオグラフをとった。この結果、
カンジダアルビカンスのPCR増幅DNAはプローブ1
とハイブリダイゼーションし、バンドが現われたが、そ
の他のサンプルではバンドが認められなかった。このこ
とは、プライマー1、及びプライマー5でカンジダアル
ビカンスのDNAが特異的に増幅され、プローブ1との
ハイブリダイゼーションで、カンジダアルビカンスのD
NAが特異的に検出できることを示すものである。
遺伝子DNAのPCRによる検出 (1)ゲノムDNAの調製 カンジダアルビカンスTIMM0167、TIMM21
41、TIMM2290、TIMM2297、TIMM
2325、TIMM2329(帝京大学医真菌研究セン
ター)、No.114の各コロニーをつまようじでかき
取り、1.5ml用チューブ内の100μlのリシス緩
衝液(100mM トリス−塩酸 pH7.5、0.5
%SDS、30mM EDTA)に懸濁した。100℃
で15分間熱処理した後50μlの5M酢酸カリウムを
加え、かくはん後、0℃で1時間インキュベートした。
室温で5分間遠心した後、上清70μlを新しい1.5
ml用チューブに移し、それに70μlのイソプロピル
アルコールを加えかくはんした。次に4℃で5分間遠心
し、上清を除いた後95%エタノール500μlでリン
スした。風乾後100μlの滅菌蒸留水に溶解した。 (2)プライマー1及びプライマー5を用いたPCRに
よる分泌性酸性プロテアーゼ遺伝子の検出 上記DNA溶液5μlを0.5ml用チューブに取り、
ジーンアンプTMキット中の5μlの10倍濃縮増幅用緩
衝液、8μlの1.25mM dNTP混合液、0.0
5μgのプライマー1、0.05μgのプライマー5、
0.25μlの5ユニット/μlアンプリタックTMを加
え、滅菌水を加えて50μlのミネラルオイルを重層し
た後サーマル・サイクラーにより増幅を行った。反応条
件は、94℃で30秒間、55℃で1分間、72℃で3
0秒間のサイクルを25サイクル行った。反応後、反応
液を10μl取り、エチジウムブロマイドを含むアガロ
ースゲルにて電気泳動を行い増幅の確認をした。この結
果7種類の菌株すべてに312bpの増幅が認められ
た。
感度の検定 (1)鋳型DNAの濃度限界の検定 実施例2−(2)で調製したカンジダアルビカンスN
o.114のゲノムDNAを1ng/μlのλ−Hin
d III digest (宝酒造社製)で順次10倍希釈し
ていき10ng/μl〜1fg/μlのモデルテンプレ
ートDNAを調製した。このテンプレートDNA溶液1
μlを用いて実施例3−(2)に示した方法でPCR、
それに続く電気泳動を行った。ただしプライマーとし
て、プライマー1及びプライマー3を用いた。この結
果、鋳型DNA量が1pgまで366bpのバンドが確
認された。次に1回目PCR反応液1μlを0.5ml
用チューブに取り、実施例3−(2)に示した方法に従
い2回目のPCRを行った。ただしプライマーとしてプ
ライマー2、プライマー4を用いた。電気泳動を行った
結果、鋳型DNA量が10fgまで125bpのバンド
が確認された。酵母のハプロイド当りの質量は約20f
gであるので、理論的には、少なくともカンジダアルビ
カンス1個が存在していれば検出可能ということにな
る。 (2)カンジダアルビカンスの検出限界 カンジダアルビカンスNo.114を実施例2−(2)
記載の方法で培養後、血球計算盤により菌数を算出した
(1×107個/ml)。次に各1.5mlチューブ
に、それぞれ菌数が1×105個、1×104個、1×1
03個、100個、10個、1個相当の上記培養液を取
り、実施例3−(1)記載の方法によりDNAを調製し
た。このテンブレート溶液10μlを用い実施例4−
(1)で示した方法に従いネステッドPCRを行った。
この結果、1個相当の菌数より調製したDNA量でも1
25bpのバンドが確認された。これは実施例4−
(1)の結果とよく符号するものであった。
ためのキットを作製した。DNA増幅用プライマーとし
て、プライマー1、プライマー3が各20μM溶液とな
るようにTE緩衝液20μlに溶解し、カンジダプライ
マーA−1液(A−1剤)とした。同じくDNA増幅用
プライマーとしてプライマー2、プライマー4が各20
μM溶液となるようにTE緩衝液20μlに溶解し、カ
ンジダプライマーA−2液(A−2剤)とした。DNA
検出用プローブとして、プローブ1の1μgをTE緩衝
液20μlに溶解し、カンジダプローブB−1液(B−
1剤)とした。A−1剤、A−2剤、B−1剤を1組と
して、病原性カンジダ属酵母の増幅・検出キットとした
(表1)。
より病原性カンジダ属酵母の分泌性酸性プロテアーゼ遺
伝子領域が明らかになり、この領域を検出することによ
る、試料中のカンジダ属酵母の高感度検出方法及び検出
キットが提供された。
Claims (6)
- 【請求項1】 下記(a)〜(f)に記載の遺伝子から
選択されるカンジダ属酵母の分泌性酸性プロテアーゼを
コードする遺伝子にアニーリング可能なプライマー。 (a)配列表の配列番号7で示されるアミノ酸配列をコ
ードする遺伝子、(b)配列表の配列番号7で示される
アミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸残基
が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがな
されているアミノ酸配列をコードする遺伝子、(c)配
列表の配列番号1で示される塩基配列を有する遺伝子、
(d)配列表の配列番号1で示される塩基配列におい
て、1個又は複数個の塩基が欠失、付加、挿入若しくは
置換の少なくとも1つがなされている遺伝子、(e)上
記(c)又は(d)に記載の遺伝子に厳密な条件下でハ
イブリダイズする遺伝子、(f)上記(c)〜(e)に
記載の遺伝子を含んでなる遺伝子、 - 【請求項2】 配列表の配列番号8〜12記載の少なく
ともいずれか1つで示される塩基配列を有することを特
徴とするプライマー。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のプライマーを用い
て増幅されたDNAを検出するためのプローブ。 - 【請求項4】 配列表の配列番号13記載の塩基配列を
有することを特徴とする請求項3記載のプローブ。 - 【請求項5】 請求項1又は2記載のプライマー、及び
請求項3又は4記載のプローブを用いてカンジダ属酵母
を検出することを特徴とするカンジダ属酵母の検出方
法。 - 【請求項6】 請求項5記載の方法に用いる検出キット
であって、少なくともカンジダ属酵母の分泌性酸性プロ
テアーゼ遺伝子を検出するためのプライマー又はプロー
ブを含有していることを特徴とするカンジダ属酵母の検
出キット。
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US8715698B2 (en) | 2007-09-19 | 2014-05-06 | Pevion Biotech, Ag | Truncated secretory aspartyl proteinase 2 |
US9610334B2 (en) | 2007-09-19 | 2017-04-04 | Istituto Superiore Di Sanita | Truncated secretory aspartyl proteinase 2 |
JP2019033704A (ja) * | 2017-08-18 | 2019-03-07 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 酵母検出用オリゴヌクレオチドプローブ、酵母検出用マイクロアレイ、及び酵母検出用キット |
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