JP2002070765A - スクロール型圧縮機における過圧縮防止機構 - Google Patents

スクロール型圧縮機における過圧縮防止機構

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JP2002070765A JP2000268902A JP2000268902A JP2002070765A JP 2002070765 A JP2002070765 A JP 2002070765A JP 2000268902 A JP2000268902 A JP 2000268902A JP 2000268902 A JP2000268902 A JP 2000268902A JP 2002070765 A JP2002070765 A JP 2002070765A
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Hiroshi Ogawa
博史 小川
Takeshi Nomura
健 野村
Hiroshi Okada
弘 岡田
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Soken Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクロール型圧縮機における過圧縮を防止す
るために、構造が簡単で安価に製作し得るバイパス機構
を提供すること。 【解決手段】 両歯のスクロール型圧縮機1の場合、ロ
ータ円板19には、中心部に形成される前後の吐出空間
25と26を連通させるために必要な第1の連通孔27
の他に、ロータ円板の前後に対称的に形成される閉じた
作動室22,23の間を連通させる第2の連通孔31が
設けられる。そして、第2の連通孔と実質的に対応する
位置において、ハウジングの側壁8を越えてバイパス孔
29が設けられ、後側の閉じた作動室23を吐出ポート
11側のバイパス室10に連通させ得るようになってい
る。バイパス孔29には逆止弁30が設けられているの
で、前後の作動室22又は23内の圧力がバイパス室1
0の圧力より高くなる過圧縮の運転状態になると、逆止
弁30が開弁してそれ以上の圧縮を回避する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール型圧縮
機に設けられる過圧縮防止機構に関する。
【0002】
【従来の技術】スクロール型圧縮機においては、ハウジ
ング側に形成された固定の渦巻き形の羽根と、ロータに
形成された可動の渦巻き形の羽根とが噛み合うことによ
って、両者の間に形成される作動室が外周部の吸入空間
に向かって開いているときにその中へ流体を取り込み、
ロータが公転をするときに作動室が閉じて、作動室がロ
ータの外周部から中心部に向かって容積を縮小しながら
移動することにより、作動室の内部の流体を圧縮して、
作動室が中心部の吐出空間に向かって開いたときに加圧
された流体を吐出するようになっている。スクロール型
圧縮機の圧縮比、即ち作動室の容積がロータの外周部と
中心部との間でどの程度縮小するかということは、固定
及び可動の渦巻き形の羽根の形状や大きさによって幾何
学的に決まる問題である。従って、スクロール型圧縮機
が設けられた空調装置等の運転状態によっては、作動室
から吐出空間へ吐出される時の流体の圧力が、吐出空間
の圧力よりも過度に高くなるという所謂「過圧縮」の運
転状態になることがあり、その状態ではスクロール型圧
縮機が流体を過度に圧縮しているために動力損失を生じ
ている。
【0003】この問題を解消するために従来は、例えば
特公平8−30471号公報に記載されているように、
固定の渦巻き形の羽根が設けられるハウジング側の端板
や、場合によっては可動の渦巻き形の羽根が設けられた
ロータ側の端板を貫通するバイパス孔を穿孔すると共
に、このバイパス孔の出口と吐出室との間に逆止弁を設
けて、通常の運転状態では逆止弁が閉じているが、作動
室内の流体の圧力が吐出室の圧力よりも過度に高くなっ
たときには逆止弁が自動的に開くようにするという対策
を講じている。それによって、作動室内における流体の
過圧縮を防止して無駄な動力消費を回避している。
【0004】この従来例のように、端板の片側のみに渦
巻き形の羽根が形成されている所謂「片歯の」形式のス
クロール型圧縮機であれば、バイパス孔と逆止弁を唯一
の端板に設けるだけで作動室と吐出室とを連通させるこ
とが可能であるが、ロータの円板の両側に可動の渦巻き
形の羽根が形成されていて、それらに噛み合う固定の渦
巻き形の羽根がロータの前後のハウジング側に設けられ
る形式の、所謂「両歯の」スクロール型圧縮機において
は、多数の作動室がロータの円板の前後両側に形成され
るので、それら両側の作動室に対してバイパス孔と逆止
弁を設ける必要があり、構成が複雑になるだけでなくコ
ストも上昇する。しかしながら、両歯のスクロール型圧
縮機には、吐出容量が大きくても小型であること、軸方
向の圧力による荷重がロータの前後で釣り合って相殺さ
れるために、スラスト軸受のような軸方向の支持構造が
簡素化され得ること、ロータの円板の両面における渦巻
き形の羽根の歯丈(軸方向の高さ)をいずれも小さくす
ることができるので歯の変形量が少なくなり、固定の渦
巻き形の羽根との間のクリアランスを小さくすることが
できる結果、圧縮機としての効率が高くなること等の数
々の優れた長所があるので、この問題を解決すれば、そ
の特質を活かすことができる。
【0005】また、前述の従来例のような片歯のスクロ
ール型圧縮機であっても、多数のバイパス孔を穿孔し
て、それらにそれぞれ逆止弁を設けるというバイパス機
構は決して製作や保守が容易なものではなく、バイパス
機構を設けることによってかなりのコスト上昇を招くこ
とは避けられない。従って、バイパス機構を更に構成が
簡単で安価なものにすることが望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のスク
ロール型圧縮機におけるバイパス機構に見られる前述の
ような問題に対処して、両歯のスクロール型圧縮機に対
しても、普通の片歯のスクロール型圧縮機に使用されて
いるような片側だけの簡単なバイパス機構を利用するこ
とができるようにすること、更に、バイパス孔と逆止弁
による従来のバイパス機構に替わり得る、構造がより簡
単で安価に製作することができる新規なバイパス機構を
提供することを目的としており、いずれにしてもスクロ
ール型圧縮機の作動室における過圧縮を防止し、動力の
無駄な消費を回避して運転効率の向上を図ることを目的
としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するための手段として、特許請求の範囲の請求項1
に記載されたスクロール型圧縮機における過圧縮防止機
構を提供する。
【0008】この両歯のスクロール型圧縮機のロータ円
板においては、中心部の軸方向の前後に形成される2つ
の吐出空間を連通させるために必要な第1の連通孔の他
に、ロータ円板の前後に対称的に形成される閉じた作動
室の間を連通させる第2の連通孔が形成される。そし
て、第2の連通孔と実質的に対応する位置においてハウ
ジングの壁等を越えてバイパス孔が設けられていて、前
後の閉じた作動室のいずれか一方を吐出ポート側に連通
させ得るようになっている。このバイパス孔の吐出ポー
ト側には逆止弁が設けられる。
【0009】この場合は、ロータ円板の前後に対称的に
形成される閉じた作動室が第2の連通孔によって相互に
連通していると共に、それらの作動室の一方がバイパス
孔によって吐出ポート側に連通可能となっているので、
閉じた作動室内の流体の圧力が吐出ポート側の圧力より
も高くなって過圧縮の運転状態になると、バイパス孔に
設けられた逆止弁が開いて、前後の閉じた作動室内にあ
る流体を同時に吐出ポート側へ流出させる。従って、両
歯のスクロール型圧縮機においても、片歯のスクロール
型圧縮機と同様に簡単な構成のバイパス機構によって、
ロータ円板の前後の閉じた作動室における過圧縮の状態
を同時に解消させることができる。
【0010】本発明はまた、前記の課題を解決するため
の他の手段として、特許請求の範囲の請求項3及び4に
記載されたスクロール型圧縮機における過圧縮防止機構
を提供する。
【0011】チップシール溝において内側となる壁面の
うちの、渦巻き形の羽根の巻き始めの領域に、チップシ
ール溝の底面に達するように切り欠き状の連通溝が形成
されるスクロール型圧縮機においては、吐出空間を含む
内側の作動室の圧力が外側の作動室の圧力よりも高くな
っているという正常な運転状態では、高圧側となる内側
の流体が切り欠き状の連通溝を通ってチップシール溝内
の底部まで流入し、チップシールをチップシール溝内の
連通溝が設けられていない壁面に向かって押しつけると
共に、チップシール溝の底部からチップシールを押し出
すように作用する。それによって、チップシールの密封
性能が高められる。
【0012】これに対して、外側の作動室の圧力が吐出
空間を含む内側の作動室の圧力よりも高くなるという好
ましくない運転状態においては、高圧側となる外側の作
動室内の流体がチップシールを押圧して内側へ移動させ
て、チップシール溝内の切り欠き状の連通溝が形成され
ている壁面に向かって押しつけるので、チップシールの
周りには流体が流れる一連の流路が形成される。従っ
て、その流路を通って高圧となった外側の作動室から低
圧の内側の作動室に向かって流体が流れるので、外側の
作動室が高圧となっている状態が解消し、作動室内にお
ける過圧縮が防止される結果、動力が無駄に消費される
ことがなくなる。同じ作用効果は、切り欠き状の連通溝
をチップシールの内側となる壁面に形成した場合にも奏
することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1実施例として
の両歯のスクロール型圧縮機1の構造を示す縦断面図で
ある。2は圧縮機1のセンターハウジング(又はシェ
ル)であって、その前後にはフロントハウジング3とリ
アハウジング4が、図示しないボルトのような手段によ
って一体的に締結される。フロントハウジング3とセン
ターハウジング2の内部には、軸方向に見たときに渦巻
き形に重なって見える固定の羽根5,6が相互に対向す
るように突出して形成されている。固定の羽根6の渦巻
き形の形状は図2に示されている。ハウジング2の外周
の一部には吸入ポート7が形成されていて、加圧すべき
流体をハウジング2の内部へ導入する。また、ハウジン
グ2の側壁8の中心部には吐出開口9が形成されてい
て、加圧された流体をリアハウジング4内に形成された
バイパス室10へ吐出することができる。リアハウジン
グ4の一部にはバイパス室10に開口する吐出ポート1
1が設けられている。
【0014】フロントハウジング3の前方には概ね円筒
形の軸受支持部12が突出して形成されており、その中
に主軸受13が取り付けられていると共に、この主軸受
13によって入力回転軸であるシャフト14が回転可能
に支持されている。センターハウジング2の内部におい
て、シャフト14の中央部分には偏心軸部15が形成さ
れている。また、シャフト14の前端には駆動用のプー
リや歯車等を取り付けるか、或いはモータのような原動
機を直結する。
【0015】シャフト14の偏心軸部15にはニードル
ベアリング16が設けられていて、ロータ17の中心の
有底円筒形のハブ部18を回転可能に支持している。ハ
ブ部18にはロータ円板19が一体化されている。ロー
タ円板19の両面には対称的に軸方向の前後に突出する
渦巻き形の羽根20及び21が形成されていて、前述の
固定の渦巻き形の羽根5,6と噛み合うことにより、そ
れらの間に軸方向に見たときに三日月形に見える複数個
の作動室22,23を形成する。
【0016】また、センターハウジング2の内部で噛み
合っている固定の羽根5,6と可動の羽根20,21の
外周には、吸入ポート7と連通する吸入空間24が概ね
環状に形成されると共に、中心部分には吐出開口9を介
してバイパス室10と吐出ポート11に連通する前後の
吐出空間25及び26が形成される。吐出空間25及び
26はロータ円板19の中心部寄りに開口している第1
の連通孔27によって相互に連通している。第1実施例
においては、第1の連通孔27は図2に示すように円弧
状の長孔であって、ハブ部18の周りに4個設けられて
いる。なお、図示していないが、ロータ17とハウジン
グ2又は3との間には、ロータ17の自転を阻止して公
転のみを許す自転防止機構が設けられる。また、図1に
示す28はシャフト14に取り付けられたバランスウエ
イトである。
【0017】以上の構成は従来から知られている両歯の
スクロール型圧縮機と同様なものであって、このような
基本的構成により、スクロール型圧縮機1は従来の両歯
のスクロール型圧縮機と同様な流体の圧縮作用をする。
即ち、まず、シャフト14が回転駆動され、その偏心軸
部15と図示しない自転防止機構によってロータ17が
偏心軸部15の偏心量と実質的に同じ大きさの公転半径
において公転し、ロータ17の外周部において作動室2
2,23が外方の吸入空間24に向かって開いたとき
に、吸入ポート7から吸入空間24内へ導入される流体
が作動室22,23内へ取り込まれる。
【0018】ロータ17が自転を伴わない公転を続ける
ことにより、吸入空間24に向かって開いていた作動室
22,23は閉じて、次第に容積を縮小しながら中心部
に向かって移動し、最後に吐出空間25及び26に向か
って開いたときに、作動室22,23の中で圧縮された
流体が吐出される。フロント側の吐出空間25へ吐出さ
れる圧縮された流体は、第1の連通孔27を通ってリア
側の吐出空間26へ合流する。このようにして加圧され
た流体は吐出空間26から吐出開口9と吐出ポート11
を通って外部へ供給される。
【0019】第1実施例の両歯のスクロール型圧縮機1
の特徴は、作動室22,23内における流体の過圧縮を
防止するために、閉じた状態の作動室23に連通し得る
ようにセンターハウジング2の側壁8に形成されたバイ
パス孔29と、それをリアハウジング4内に形成された
バイパス室10の側から閉塞する逆止弁30と、バイパ
ス孔29に実質的に対応する位置において、閉じた状態
の作動室22及び23を連通するようにロータ円板19
に形成された第2の連通孔31とからなるバイパス機構
を設けた点にある。このバイパス機構の一部は図1のみ
ならず図2及び図3にも示されている。更に、この圧縮
機1の運転状態において、バイパス孔29と第2の連通
孔31の位置関係がどのように変化するかということ
を、作動室23と固定の羽根6及び可動の羽根21と共
に、図4の(a)〜(d)に経時図として示している。
【0020】図1においてはバイパス孔29が破線によ
って示されているが、この図によっては表示されないそ
の半径方向の位置は、図3と、図4の(a)〜(c)を
参照すれば明らかなように、作動室23が閉じた状態に
あるときに、それに向かってバイパス孔29ができるだ
け長く開口状態を維持することができるように選ばれた
適所である。その位置は、図2と図3を比較すれば明ら
かなように、中心部の吐出空間26に開口している第1
の連通孔27よりも大きな半径の位置にある。しかしな
がら、あまり外周部に近い位置にバイパス孔29を開口
させると、作動室23内の流体の圧力が十分に上昇しな
いうちにバイパス孔29が開口可能な状態になるため意
味がない。
【0021】なお、バイパス孔29は閉じた状態にある
作動室23とバイパス室10との間を、それらの間の圧
力関係に応じて逆止弁30が自動的に開弁したときは、
いつでも連通させ得る状態にあることが望ましいので、
バイパス孔29はできるだけロータ17のリア側の羽根
21の端縁によって閉塞されない位置を選んで設けるべ
きである。しかし、どのような位置を選んでも、バイパ
ス孔29が可動の羽根21によって短い期間だけ閉塞さ
れることを避けることはできないから、そのようにバイ
パス孔29が閉塞される時期を、作動室23が中心部の
吐出空間26又は外周部の吸入空間24に向かって開く
時期と合致させることにより、閉じた状態にある作動室
23は実質的にいつでもバイパス室10に連通すること
ができるようにすべきである。固定の羽根5,6や可動
の羽根20,21の巻き数が多いときは、この条件を満
たすことが難しくなるので、図示例のようにバイパス孔
29を一対の2個だけでなく、半径方向に異なる位置に
も設けたり、孔の形状を円形ではなく長孔にするという
ようなことも考慮すべきである。
【0022】また、第1実施例の最大の特徴としてロー
タ円板19に開口させる第2の連通孔31の位置は、前
述のバイパス孔29と実質的に対応する位置であるが、
ロータ17が公転すると第2の連通孔31も公転して移
動するので、その位置を常時バイパス孔29の位置と一
致させることが難しくなる。そこで、作動室23が閉じ
ている状態では、なるべく第2の連通孔31が固定の羽
根6の端縁によって閉塞されないように第2の連通孔3
1の位置を適所に選ぶ。更に、第2の連通孔31をバイ
パス孔29よりも大径とするか長孔とする。それによっ
て、作動室23が閉じているときは、同様に閉じている
フロント側の作動室22と常に連通しているようにす
る。従って、第2の連通孔31が固定の羽根6の端縁に
よって閉塞されている時期は、同時に作動室22及び作
動室23が中心部の吐出空間25及び26に向かって開
いているか、或いは外周部の吸入空間24に向かって開
いているように設定するのがよい。第2の連通孔31が
なるべく長時間2つの作動室22,23を連通させ得る
ように、第1実施例においては第2の連通孔31の形状
を円弧状の長孔としている。なお、渦巻き形の羽根の巻
き数が多くなるときは形成される作動室の数も多くなる
ので、第2の連通孔31の数を増加させる。
【0023】第1実施例の両歯のスクロール型圧縮機1
はこのような構成を有するので、作動時には前述のよう
なスクロール型圧縮機としての基本的な流体圧縮作用を
行うことによって、作動室22,23から吐出された高
圧の流体が、吐出空間25及び26から吐出開口9を経
てバイパス室10へ流出し、更に吐出ポート11を通っ
て外部へ供給される。このとき、フロント側の吐出空間
25内の流体がロータ円板19の中心部に形成された第
1の連通孔27を通ってリア側の吐出空間26へ合流す
ることは言うまでもない。軸方向に見たときの作動室2
2及び23の形状の変化と移動の様子は実質的に同じで
あって、図4の(a)〜(d)に示すリア側の作動室2
3の経時的変化から明らかであり、作動室22,23と
先に説明したバイパス孔29や第2の連通孔31との位
置関係も図4に示されている。
【0024】図5は、両歯のスクロール型圧縮機1にお
ける作動室22,23の容積及び圧力の変化を示したも
ので、(a)は吐出空間の圧力と作動室の吐出圧力が整
合した良好な運転状態を示しており、この状態では過圧
縮が生じないが、(b)のように作動室の吐出圧力が吐
出空間の圧力を大きく上回る運転状態においては、作動
室内では過圧縮の状態となって動力の損失を生じる。そ
こで、本発明の第1実施例のバイパス機構を設けること
により、図5の(c)に示すように、過圧縮となる部分
を第2の連通孔31とバイパス孔29及び逆止弁30を
介してバイパスさせて、実質的に動力の損失を防止す
る。
【0025】このように、本発明の第1実施例によれ
ば、両歯のスクロール型圧縮機1においても、単にロー
タ円板19に第2の連通孔31を設けることによって、
片歯のスクロール型圧縮機と同様なバイパス孔29と逆
止弁30からなるバイパス機構によって、きわめて簡単
に、フロント側及びリア側の作動室22,23の過圧縮
を同時に防止することができる。それによって運転効率
が向上するが、この場合は実質的に第2の連通孔31を
穿孔するだけであるから、コストの増加が僅かで済むと
いう優れた効果が得られる。
【0026】次に、図6〜図9によって本発明の第2実
施例を説明する。第2実施例はスクロール型圧縮機に使
用し得る、第1実施例とは異なる構成からなるバイパス
機構を提供するものである。第2実施例のバイパス機構
は、勿論、両歯のスクロール型圧縮機に使用することが
できるが、そのような形式に限られることなく、片歯の
スクロール型圧縮機を含む一般的なスクロール型圧縮機
にも広く適用することができる。
【0027】スクロール型圧縮機においては、固定側及
び可動側の渦巻き形の羽根の端縁の表面に羽根に沿って
溝を形成し、その溝の中にチップシールと呼ばれる細い
帯状のシール材を設けて、シール材を相手方のロータ円
板やハウジング等の内壁面に摺動状態で押しつけること
により、閉じた作動室の密封性を高めて、作動室内の加
圧された流体が低圧側へ漏れ出るのを防止することが行
われている。第2実施例の特徴は、バイパス機構がこの
チップシールの溝を利用して簡単に形成されている点に
ある。
【0028】図6は、全体構成を図示しないスクロール
型圧縮機の、可動の渦巻き形の羽根32のチップシール
溝33に形成されたバイパス機構を示している。羽根3
2と噛み合う相手としての固定の渦巻き形の羽根34は
ハウジング35と一体的に形成される。固定の羽根34
のチップシール溝にも同様なバイパス機構が設けられる
が、図6は断面図であるから現れていない。図6の
(b)における部分Aを拡大して(a)に示したよう
に、羽根32の巻き始めの部分、即ち、ロータ円板36
の中心部に近い領域にあるチップシール溝33の特に内
側となる壁面に、底面まで達する切り欠き状の連通溝3
7が多数設けられてバイパス機構を構成している。この
バイパス機構の構成は分解斜視図として示す図7からも
明らかである。この場合、チップシール溝33内に僅か
に移動可能な状態で装着されるチップシール38は、通
常使用されるようなものでよい。作動室39は可動の渦
巻き形の羽根32と固定の渦巻き形の羽根34との間に
閉じたり開いたりする三日月形の形状で形成される。吐
出空間40は渦巻き形の羽根32,34の中心部に形成
される。
【0029】第2実施例のバイパス機構はこのように構
成されているので、それが適用されたスクロール型圧縮
機が運転されるときは図8に示すように作動する。即
ち、スクロール型圧縮機が所定の正常な運転状態にある
ときは、閉じた作動室39内の最大の流体圧力は吐出空
間40のそれと等しくなる。この状態では、圧縮の途中
にある閉じた作動室39内の圧力は吐出空間40のそれ
よりも低くなっているから、図8の(a)に示すよう
に、吐出空間40内の高圧の流体がチップシール溝33
の内側となる壁面に形成された切り欠き状の連通溝37
を通って、チップシール38の内側と頂面側に回り込ん
で、チップシール38をチップシール溝33の外側とな
る平滑な壁面と、チップシール38が摺動するハウジン
グ35の内面に向かって押しつける。それによってチッ
プシール38の密封性能が向上する。
【0030】好ましくない運転状態においては、図5の
(b)に示したように閉じた作動室39内の最大の流体
圧力が吐出空間40のそれよりも大幅に高くなる。この
状態では、圧縮の途中にある閉じた作動室39内の圧力
も、ロータ円板36の中心部に近いところでは吐出空間
40のそれよりも高くなるから、図8の(b)に示すよ
うに、チップシール38が圧力差によってチップシール
溝33内で左方へ移動し、切り欠き状の連通溝37が形
成された壁面に押しつけられる。しかし、連通溝37が
あるために密封状態は得られないので、作動室39内で
過圧縮された流体はチップシール溝33内でチップシー
ル38との隙間と連通溝37を通って吐出空間40へバ
イパスされる。従って、作動室39内の圧力が吐出空間
40内の圧力を上回る過圧縮の状態は発生しないので、
過圧縮のための動力の損失を避けることができる。
【0031】このように、本発明の第2実施例のバイパ
ス機構として、切り欠き状の連通溝37をチップシール
溝33内に設けるだけで、常に〔内側の作動室(吐出空
間を含む)の圧力〕≧〔外側の作動室の圧力〕というス
クロール型圧縮機として望ましい運転条件が形成され、
第1実施例と同様な効果を奏すると共に、バイパス機構
を構造が簡単で安価なものとすることができる。
【0032】図9は本発明の第2実施例の変形例を示し
たものである。第2実施例ではバイパス機構を構成する
切り欠き状の連通溝37をチップシール溝33の内側と
なる壁面に形成しているが、図9に示す変形例では、チ
ップシール溝33には切り欠きを形成しないで平滑な壁
面のままとし、チップシール38の内側となる壁面の方
に切り欠き状の連通溝41を形成している。この変形例
が第2実施例と同様な作用効果を奏することは説明を要
しないと思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の両歯のスクロール型圧縮機を示す
縦断面図である。
【図2】図1におけるII−II横断面図である。
【図3】図1におけるIII −III 横断面図である。
【図4】(a)〜(d)は作動状態における横断面を示
す経時図である。
【図5】(a)〜(c)は本発明の作用効果を説明する
ために、作動室の容積と圧力の変化を示す線図である。
【図6】第2実施例のスクロール型圧縮機の要部のみを
示す横断面図であって、(a)は(b)の一部Aの拡大
図である。
【図7】第2実施例の要部の分解斜視図である。
【図8】第2実施例の作用効果を説明するための要部の
縦断面図であって、(a)は正常な運転状態を、(b)
は異常な運転状態を示している。
【図9】第2実施例の変形例を示す要部の分解斜視図で
ある。
【符号の説明】
1…両歯のスクロール型圧縮機(第1実施例) 2…ハウジング 5,6…固定の渦巻き形の羽根 8…センターハウジングの側壁 10…バイパス室 11…吐出ポート 19…両歯のロータ円板 20,21…可動の渦巻き形の羽根 22,23…前後の作動室 25,26…吐出空間 27…第1の連通孔 29…バイパス孔 30…逆止弁 31…第2の連通孔 32…可動の渦巻き形の羽根 33…チップシール溝 34…固定の渦巻き形の羽根 36…ロータ円板 37…切り欠き状の連通溝 38…チップシール 39…作動室 40…吐出空間 41…切り欠き状の連通溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 健 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 岡田 弘 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3H029 AA02 AA09 BB48 BB53 CC03 CC12 CC54 CC87 3H039 AA06 BB17 CC30 CC40

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 公転をするロータ円板の軸方向の前後両
    側に渦巻き形の羽根が対称的に形成された両歯のロータ
    と、前記両歯のロータの前後の渦巻き形の羽根にそれぞ
    れ噛み合うようにハウジング側に固定された前側の渦巻
    き形の羽根と後側の渦巻き形の羽根とを備えている両歯
    のスクロール型圧縮機において、それらの渦巻き形の羽
    根の中心部にそれぞれ形成される前後の吐出空間を連通
    させるために前記ロータ円板に形成されている第1の連
    通孔の他に、それらの渦巻き形の羽根によって前記ロー
    タ円板の前後に対称的に形成される閉じた作動室の間を
    連通させる第2の連通孔が前記ロータ円板に形成されて
    おり、更に、前記第2の連通孔に実質的に対応する位置
    において前記前後の閉じた作動室のいずれか一方に開口
    してそれを吐出ポート側に連通させ得るバイパス孔と、
    前記バイパス孔を前記吐出ポート側から閉塞する逆止弁
    とが設けられていることを特徴とする、スクロール型圧
    縮機における過圧縮防止機構。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記第2の連通孔及
    び前記バイパス孔の少なくとも一方が前記渦巻き形の羽
    根の端縁によって閉塞される時期が、前記作動室が開い
    ている時期と一致するように、前記第2の連通孔及び前
    記バイパス孔の少なくとも一方の位置が選定されている
    ことを特徴とする、スクロール型圧縮機における過圧縮
    防止機構。
  3. 【請求項3】 相互に噛み合う可動の渦巻き形の羽根と
    固定の渦巻き形の羽根との少なくとも一方の端縁にチッ
    プシール溝が形成されると共に、前記チップシール溝内
    に移動可能な状態でチップシールが装着されるスクロー
    ル型圧縮機において、前記チップシール溝の内側となる
    壁面のうちの、前記渦巻き形の羽根の巻き始めの領域に
    おいて前記チップシール溝の底面に達するように切り欠
    き状の連通溝が形成されていることを特徴とする、スク
    ロール型圧縮機における過圧縮防止機構。
  4. 【請求項4】 相互に噛み合う可動の渦巻き形の羽根と
    固定の渦巻き形の羽根との少なくとも一方の端縁にチッ
    プシール溝が形成されると共に、前記チップシール溝内
    に移動可能な状態でチップシールが装着されるスクロー
    ル型圧縮機において、前記チップシールの内側となる壁
    面のうちの、前記渦巻き形の羽根の巻き始めの領域にお
    いて前記チップシール溝の底面に達するように切り欠き
    状の連通溝が形成されていることを特徴とする、スクロ
    ール型圧縮機における過圧縮防止機構。
JP2000268902A 2000-09-05 2000-09-05 スクロール型圧縮機における過圧縮防止機構 Withdrawn JP2002070765A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102017102645B4 (de) 2017-02-10 2019-10-10 Hanon Systems Kältemittel-Scrollverdichter für die Verwendung innerhalb einer Wärmepumpe

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