JP2002070204A - 電磁波反射吸収体及び電波障害防止方法 - Google Patents

電磁波反射吸収体及び電波障害防止方法

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JP2002070204A
JP2002070204A JP2000264273A JP2000264273A JP2002070204A JP 2002070204 A JP2002070204 A JP 2002070204A JP 2000264273 A JP2000264273 A JP 2000264273A JP 2000264273 A JP2000264273 A JP 2000264273A JP 2002070204 A JP2002070204 A JP 2002070204A
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electromagnetic wave
building
reflection
electromagnetic
band
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Kenichi Harakawa
健一 原川
Toru Furukawa
徹 古川
Kazuyuki Ito
和幸 伊藤
Kenji Kageyama
健二 影山
Toshio Saito
俊夫 斉藤
Yoshiaki Takahashi
好明 高橋
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Takenaka Komuten Co Ltd
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Takenaka Komuten Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 建築物の設計の自由度を著しく低下させるこ
となく、広い周波数帯域に亘って電波障害の発生を防止
する。 【解決手段】 λ/4型電磁波吸収体の抵抗膜と反射膜
の間に分割導電体膜を設け、VFH帯の電磁波を吸収す
るように構成した電磁波反射吸収体10を、UHF帯を
含む高周波の電磁波が電波障害の生じ難い方向(例えば
斜め上方)へ反射されるように傾斜させて、建築物30
の各階の外壁として各階毎に独立に配設する。建築物3
0に到来した電磁波のうち、VHF帯の電磁波は電磁波
反射吸収体10によって吸収され、UHF帯を含む高周
波の電磁波は電磁波反射吸収体10の反射膜18によっ
て電波障害の生じ難い方向へ反射されることで、電波障
害の発生を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁波反射吸収体及
び電波障害防止方法に係り、特に、建築物の外壁部に配
設される電磁波反射吸収体、及び該電磁波反射吸収体を
ビルディング等の建築物の外壁部に配設することで電波
障害の発生を防止する電波障害防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、電磁波(電波)はラジオ、TV、
携帯電話、無線通信等を始めとして様々な分野で利用さ
れているが、これらの電磁波が他の電磁波の妨害を受け
ることにより種々の不都合が生ずる所謂電波障害は従来
より問題となっている。この電波障害の原因となる電磁
波としては、ビルディングや鉄塔等の建築物で反射され
た電磁波や、電気・電子機器から放射される不要電磁波
等が挙げられる。このうち、特にVHFやUHF等のT
V周波数帯域の電磁波が建築物で反射し、受信アンテナ
に局から直接到来した電磁波(直接波)と建築物の外壁
で反射された電磁波(反射波)とが各々入射する等によ
り生ずるゴースト等の電波障害は、近年の高層ビルディ
ングの増加に伴って社会問題となっている。
【0003】電波障害の防止方法としては、ビルディン
グの外壁を鉛直方向に対して傾斜させ電磁波の反射板と
して機能させることで、到来した電磁波を外壁によって
斜め上方へ反射させる手法が知られている。また、電磁
波吸収体をビルディングの外壁に貼付することで、到来
した電磁波を電磁波吸収体によって吸収させる手法も知
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】反射板によって所望の
方向に電磁波を反射させるためには(反射板の向きを調
節することで電磁波の反射方向を調節可能とするために
は)、反射板の端部(隣り合う反射板と段差が生じてい
る部分)における散乱効果を考慮し、反射板のサイズ
(縦横の長さ)を反射させる電磁波の波長の2〜3倍以
上にする必要がある。UHF帯の電磁波より長波長のV
HF帯(およそ100〜200MHz)の電磁波の波長は1.
5〜3m程度であるので、例えば100MHzの電磁波(波
長は3m)を反射するために必要な反射板のサイズは6
〜9m以上となる。従って、先に述べた外壁を傾斜させ
る手法において、ビルディングの外壁によってVHF帯
の電磁波を所望の方向へ反射させるためには、少なくと
もビルディングの二階分〜三階分を通した傾斜面をビル
ディングの外壁に形成するか、又はビルディング外壁面
全体を傾斜させる必要がある。
【0005】このように、ビルディングの外壁を傾斜さ
せる手法を適用して、広い周波数帯域(VHF帯〜UH
F帯)に亘って電波障害の発生を防止するためには、ビ
ルディングの外壁面を特有の形状とする必要があり、ビ
ルディングの設計の自由度が著しく低下するので、ビル
ディングの設計に際して受け容れられない場合が多い。
また、ビルディングの外壁に形成した複数階分を通した
傾斜面に窓等を設ける場合、窓のサッシの構造が階毎に
相違することになるため、ビルディングの建設コスト上
昇の要因になる、という問題もある。
【0006】一方、電磁波吸収体としては従来より種々
の構成のものが提案されているが、特にフェライト等の
磁性体から成る電磁波吸収体の中にはVHF帯及びUH
F帯の電磁波を各々吸収する特性を有するものもある。
しかしながら、磁性体から成る電磁波吸収体は光透過性
を有していないので配設可能な箇所が限られ、特に外壁
を硝子カーテンウォールとしたビルディングでは配設可
能な箇所が大幅に制限されるので、電波障害の発生を防
止することは困難であった。また、磁性体から成る電磁
波吸収体は重量が嵩むという欠点もある。
【0007】また、硝子カーテンウォール型のビルディ
ングにおいて、ビルディングのLLC(Life Cycle Cos
t)を低減させるために、最近は硝子カーテンウォール
として、赤外線の透過を遮断する高断熱複層硝子が多用
されるようになってきている。通常の硝子は電磁波を透
過させるため、通常の硝子で構成された硝子カーテンウ
ォール配設部位に入射した電磁波は、硝子カーテンウォ
ールを透過してビルディング内部で散乱・減衰される。
これに対し、高断熱複層硝子は表面に金属が蒸着されて
おり電磁波の反射率が高いので、高断熱複層硝子で硝子
カーテンウォールを構成したビルディングでは電波障害
が顕著に生ずる。
【0008】本発明は上記事実を考慮して成されたもの
で、建築物の設計の自由度を著しく低下させることな
く、広い周波数帯域に亘って電波障害の発生を防止する
ことができる電磁波反射吸収体及び電波障害防止方法を
得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1記載の発明に係る電磁波反射吸収体は、建築
物の外壁部に配設される電磁波反射吸収体であって、前
記建築物に到来した電磁波のうち所定帯域の電磁波を吸
収する電磁波吸収部材と、前記所定帯域よりも高い周波
数帯域の電磁波を反射可能なサイズの反射面を備え、前
記建築物に到来した電磁波のうち前記所定帯域よりも高
い周波数帯域の電磁波を電波障害が生じ難い所定の方向
へ反射するように前記反射面の向きが調整された電磁波
反射部材と、を備えたことを特徴としている。
【0010】請求項1記載の発明では、建築物に到来し
た電磁波のうち所定帯域の電磁波が電磁波吸収部材によ
って吸収され、所定帯域よりも高い周波数帯域の電磁波
が、電磁波反射部材によって電波障害が生じ難い所定の
方向へ反射される。なお、前記所定の方向は、例えば斜
め上方であってもよいし、公園や駐車場等のように電磁
波の受信設備が存在しない施設が存在する方向であって
もよい。また、請求項2に記載したように、所定帯域と
しては例えばVHF帯を適用することができ、所定周波
数よりも高い周波数帯域には例えばUHF帯を含めるこ
とができる。
【0011】請求項1記載の発明では、到来した電磁波
のうち所定帯域よりも高い周波数帯域の電磁波が、電磁
波反射部材によって反射されるので、本発明に係る電磁
波吸収部材として、例えば磁性体から成る電磁波吸収体
等のように、電磁波吸収帯域が広帯域である代わりに光
透過性がなく重量も嵩む等の欠点を有する電磁波吸収体
を用いる必要がなくなる。従って、本発明に係る電磁波
吸収部材として、電磁波吸収帯域が比較的狭帯域の様々
な電磁波吸収体(所定帯域の電磁波に対しては電磁波吸
収性能を有しているものの、所定帯域よりも高い周波数
帯域の電磁波に対しては電磁波吸収性能を有していない
電磁波吸収部材)の中から、例えば光透過性を有する電
磁波吸収体を選択的に用いることも可能となる。
【0012】また、本発明に係る電磁波反射部材につい
ても、到来した電磁波のうち所定帯域の電磁波が電磁波
吸収部材によって吸収されることから、所定帯域の電磁
波を反射する機能を持たせる必要がなくなり、反射面の
サイズを、所定帯域よりも高い周波数帯域の電磁波を反
射可能なサイズとすることができる(すなわち、所定帯
域の電磁波を所望の方向へ反射する機能を持たせる場合
と比較して、反射面のサイズをより小サイズ化すること
ができる)。
【0013】従って、請求項1記載の発明によれば、電
磁波吸収部材及び電磁波反射部材により、広い周波数帯
域(所定帯域及び所定帯域よりも高い周波数帯域を含む
周波数帯域)に亘って電波障害の発生を防止することが
できると共に、電磁波反射部材の反射面のサイズを小サ
イズ化できるので、建築物の設計の自由度が著しく低下
することも防止することができる。
【0014】なお、本発明に係る電磁波反射吸収体は、
電磁波吸収部材と電磁波反射部材を製造時に一体化して
もよいし、電磁波吸収部材と電磁波反射部材を別々に製
造してもよい。製造時に両者を一体化した場合には、建
築物への電磁波反射吸収体の配設時に、電磁波反射部材
の反射面が入射した電磁波を電波障害が生じ難い所定の
方向へ反射する向きとなるように、電磁波反射吸収体全
体の向きを調整すればよい。この場合、建築物へ電磁波
反射吸収体を配設するための施工を容易に行うことがで
きる。
【0015】また、電磁波吸収部材と電磁波反射部材を
別々に製造した場合には、電磁波吸収部材及び電磁波反
射部材を電磁波の到来方向に沿って並列に配置すると共
に、電磁波反射部材の反射面が入射した電磁波を電波障
害が生じ難い所定の方向へ反射する向きとなるように、
電磁波反射部材についてのみ向きを調整すればよい。こ
の場合、電磁波吸収部材の向きは、電磁波反射部材の向
きと無関係に設定することも可能となるので、建築物の
設計の自由度が向上する。
【0016】また請求項1記載の発明において、電磁波
反射吸収体を構成する各部材は、請求項3に記載したよ
うに略透明であることが好ましい。先にも述べたよう
に、本発明に係る電磁波吸収部材は、電磁波吸収帯域が
必ずしも広帯域である必要はないので略透明に構成する
ことも可能であり、電磁波反射部材についても略透明に
構成できる。これにより、本発明に係る電磁波反射吸収
体を、建築物の窓部等に配設したり、硝子カーテンウォ
ールに代えて外壁に配設することが可能となる。
【0017】また、本発明に係る電磁波吸収部材として
は、フェライト等の磁性体から成る電磁波吸収体を含む
公知の種々の電磁波吸収体を適用可能であり、例えば到
来した電磁波の一部を反射し他の一部を透過させる抵抗
部材と、到来した電磁波を反射する反射部材(該反射部
材は本発明に係る電磁波反射部材で代用することも可能
である)と、が吸収すべき電磁波の波長の1/4に相当
する距離を隔てて配置された1/4型電磁波吸収体を適
用することができる。
【0018】但し、電磁波吸収部材の薄型化(電磁波到
来方向に沿った電磁波吸収部材のサイズの小サイズ化)
を考慮すると、請求項4に記載したように、到来した電
磁波の一部を反射し他の一部を透過させる抵抗部材と、
前記抵抗部材よりも電磁波到来方向下流側に前記抵抗部
材と距離を隔てて配置された前記電磁波反射部材、又は
前記抵抗部材よりも電磁波到来方向下流側に前記抵抗部
材と距離を隔てて配置され到来した電磁波を反射する反
射部材と、前記抵抗部材との間に設けられ、前記抵抗部
材と前記電磁波反射部材又は前記反射部材の並ぶ方向と
交差する方向に沿って間隔を空けて配列された複数の導
体と、を含んで電磁波吸収体を構成することが好まし
い。
【0019】或る媒質を伝播する電磁波の波長λは、電
磁波の周波数をf、媒質の誘電率をε(=εSε0:εS
は比誘電率、ε0は真空の誘電率)、媒質の透磁率をμ
(=μ Sμ0:μSは比透磁率、μ0は真空の透磁率)とす
ると、 λ=1/f・√(εμ) …(1) であるので、波長λは媒質の誘電率に応じて変化する。
従って、抵抗部材によって反射されて射出される一次射
出電磁波の位相に対し、電磁波反射部材又は反射部材に
よって反射されて射出される二次射出電磁波の位相が略
逆位相となる周波数帯域は、抵抗部材と電磁波反射部材
又は反射部材の距離が一定であったとしても、抵抗部材
と電磁波反射部材又は反射部材との間に存在する媒質の
誘電率に応じて変化する。
【0020】請求項4記載の発明では、抵抗部材と本発
明に係る電磁波反射部材又は該電磁波反射部材と別に設
けられた反射部材との間に、抵抗部材と電磁波反射部材
又は反射部材の並ぶ方向と交差する方向に沿って間隔を
空けて複数の導体を配列した場合、抵抗部材と電磁波反
射部材又は反射部材との間の実効比誘電率εeffは、導
体と抵抗部材との間及び導体と電磁波反射部材又は反射
部材との間に存在する媒質の誘電率をεa,εb、抵抗部
材と電磁波反射部材又は反射部材の並ぶ方向と交差する
方向に沿った導体の幅及び間隔をb,d、抵抗部材と電
磁波反射部材又は反射部材の並ぶ方向に沿った導体の厚
さをaとすると、次の(2)式で表される。
【0021】
【数1】
【0022】上記の(2)式より明らかなように、抵抗
部材と電磁波反射部材又は反射部材との間の実効比誘電
率εeffは抵抗部材と電磁波反射部材又は反射部材の並
ぶ方向と交差する方向に沿った導体の幅b、前記交差す
る方向に沿った間隔d、及び抵抗部材と電磁波反射部材
又は反射部材の並ぶ方向に沿った導体の厚さaに応じて
変化し、導体の厚さa、導体の幅b及び間隔dの値を適
切に設定することで、1よりも明らかに大きな値とする
(εeff≫1)ことを容易に実現できる。従って、請求
項4記載の発明によれば、所定帯域の電磁波を吸収する
電磁波吸収部材の薄型化(電磁波到来方向に沿ったサイ
ズの小サイズ化)を実現できる。
【0023】なお、請求項4記載の発明において、本発
明に係る電磁波反射部材を電磁波吸収部材の反射部材と
しても用いる場合には、本発明に係る電磁波反射吸収体
の構成が簡単になる。一方、電磁波吸収部材の反射部材
を電磁波反射部材と別に設けた場合には、電磁波反射部
材の配設位置と無関係に電磁波吸収部材を配設すること
ができるので、電磁波吸収部材の配設位置の自由度が向
上する。
【0024】請求項5記載の発明に係る電波障害防止方
法は、建築物に到来した電磁波のうち所定帯域の電磁波
を吸収する電磁波吸収部材を前記建築物の外壁部に配設
すると共に、前記所定帯域よりも高い周波数帯域の電磁
波を反射可能なサイズの反射面を備え、前記建築物に到
来した電磁波のうち前記所定帯域よりも高い周波数帯域
の電磁波を電波障害が生じ難い所定の方向へ反射するよ
うに前記反射面の向きが調整された電磁波反射部材を前
記建築物の外壁部に配設する。
【0025】請求項5記載の発明では、請求項1記載の
発明と同様に、所定帯域の電磁波を吸収する電磁波吸収
部材を建築物の外壁部に配設すると共に、所定帯域より
も高い周波数帯域の電磁波を電波障害が生じ難い所定の
方向へ反射する電磁波反射部材を建築物の外壁部に配設
するので、請求項1記載の発明と同様に、建築物の設計
の自由度を著しく低下させることなく、広い周波数帯域
に亘って電波障害の発生を防止することができる。
【0026】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明において、前記電磁波吸収部材及び前記電磁波反射部
材を、前記建築物の各階毎に独立に配設すると共に、各
階毎に配設した電磁波吸収部材及び電磁波反射部材の間
隙に相当する部分に、前記所定帯域及び前記所定帯域よ
りも高い周波数帯域の電磁波を吸収する電磁波吸収体を
配設することを特徴としている。
【0027】先にも述べたように、本発明によれば電磁
波反射部材の反射面のサイズを小サイズ化できるので、
例えば電磁波吸収部材及び電磁波反射部材のサイズを建
築物の一階分に対応するサイズとし、上記のように建築
物の各階毎に独立に配設することも可能となる。但し、
電磁波吸収部材及び電磁波反射部材を各階毎に独立に配
設した場合、各階に配設した電磁波吸収部材及び電磁波
反射部材の間隙に相当する部分に到来した電磁波に対し
て電磁波吸収部材及び電磁波反射部材が作用せず、電波
障害を生じさせる可能性がある。
【0028】これに対して請求項6記載の発明では、電
磁波吸収部材及び電磁波反射部材の間隙に相当する部分
に、所定帯域及び所定帯域よりも高い周波数帯域の電磁
波を吸収する電磁波吸収体(例えばフェライト等の磁性
体から成る電磁波吸収体)を配設するので、前記間隙に
相当する部分に到来した電磁波を前記電磁波吸収体によ
って吸収することができ、電波障害が発生することをよ
り確実に防止することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本発明に係
る電磁波反射吸収体としての電磁波反射吸収パネル10
が外壁として配設された建築物30の一部が示されてい
る。以下では、まず電磁波反射吸収パネル10について
説明する。
【0030】図2に示すように、電磁波反射吸収パネル
10は、絶縁性材料から成り扁平な平板状で一定の間隔
を隔てて互いに平行に配置された絶縁性基板12,14
を備えている。また、絶縁性基板12,14の間隔は、
絶縁性基板12,14の間に一定又は不定の間隔で設け
られた図示しないスペーサによって一定に維持されてい
る。
【0031】本実施形態に係る電磁波反射吸収パネル1
0は、硝子カーテンウォールに代えて、透光性を有する
建築物30のカーテンウォールとして用いられるため、
光透過性を有していることが要求されている。このた
め、絶縁性基板12,14は、光透過性を有する絶縁性
材料、例えばガラス等のセラミクス、或いは光透過性を
有するビニールやプラスチック等の樹脂材料を平板状に
形成することで構成されている。なお、電磁波反射吸収
パネル10に対し、光透過性を有していることが要求さ
れていない場合には、絶縁性基板12,14についても
光透過性を有しない公知の様々な絶縁性材料、例えば木
材、コンクリート、紙、樹脂材料等の中から任意の材料
を選択的に用いて平板状に形成することで構成すること
ができる。
【0032】絶縁性基板12には、絶縁性基板14側の
面の全面に導電性被膜(抵抗膜)16が形成されてい
る。抵抗膜16は請求項4に記載の抵抗部材に対応して
おり、電磁波が到来すると、その一部を吸収すると共に
他の一部を反射し、残りを透過させるように、導電率
(単位面積当りの抵抗値:面抵抗値)が調整されてい
る。抵抗膜16に好適な面抵抗値は単位面積当り50Ω
〜3000Ω程度であり、より好ましくは単位面積当り
200Ω〜1500Ω程度である。
【0033】一方、絶縁性基板14のうち絶縁性基板1
2側の面には、全面に導電性被膜(反射膜)18が形成
されている。反射膜18は到来した電磁波の殆どを反射
するように導電率(面抵抗値)が調整されており、本発
明の電磁波反射部材に対応していると共に、本発明の電
磁波吸収部材の一部を構成している。
【0034】反射膜18に好適な面抵抗値は単位面積当
り1μΩ〜30Ω程度であり、より好ましくは単位面積
当り10mΩ〜20Ω程度であるが、電磁波反射吸収パ
ネル10が光透過性を有していることが要求されていな
いのであれば面抵抗値をより小さくすることができ、到
来した電磁波の反射割合をより高くすることができる。
なお、反射部材としては、導電性被膜(反射膜)以外
に、金属膜、導電性材料から成るメッシュ、鉄筋等を使
用可能である。
【0035】また、抵抗膜16の上面には絶縁性フィル
ム層20、分割導電体層22が順に形成されている。分
割導電体層22としては、例えば図3(A)に示す構成
又は図3(B)に示す構成を採用することができる。図
3(A)に示す分割導電体層22は、一定の厚みの扁平
な長尺状で、長手方向が抵抗膜16と反射膜18の並ぶ
方向に直交する一定の方向(図1の紙面に垂直な方向、
図3の矢印A方向:以下、第2方向という)に沿うよう
に配置された複数の導電膜24が、幅方向(図1及び図
3の矢印B方向、抵抗膜16と反射膜18の並ぶ方向及
び第2方向と各々直交する第1方向)に隣り合う導電膜
24と各々間隔dを空けて配列されて構成されている。
なお、導電膜24の幅bは好ましくはb≦50cmであ
る。
【0036】また、図3(B)に示す分割導電体層22
は、一定の厚みの扁平な矩形状の多数個の導電膜26が
第1方向及び第2方向に沿ってマトリクス状に配置さ
れ、第1方向及び第2方向に隣り合う導電膜26と各々
間隔dを空けて配列されて構成されている。なお、第1
方向に沿った導電膜26の幅b1は好ましくはb1≦50
cmであり、第2方向に沿った導電膜26の幅b2も好
ましくはb2≦50cmである。
【0037】また、導電膜24,26に好適な面抵抗値
は単位面積当り1μΩ〜40Ω程度であり、より好まし
くは単位面積当り10mΩ〜20Ω程度である。また、
導電膜24又は導電膜26が形成された絶縁性基板の絶
縁抵抗値RdはRd≧30kΩである。なお、図3
(B)のように導体(導電膜26)を2次元に配列する
構成において、導体の配列方向としての2方向(第1方
向及び第2方向)は必ずしも直交している必要はなく、
前記2方向は互いに交差する方向であればよい。なお、
分割導電体層22の導電膜24,26は請求項4に記載
の複数の導体に対応している。
【0038】また、抵抗膜16、反射膜18及び導電膜
24,26は、公知の様々な導電性材料の中から任意の
材料を選択的に用いて構成することができるが、例えば
酸化スズ(SnO2)を主成分とする透明導電膜、酸化
インジウム(In23)を主成分とする透明導電膜、酸
化チタン(TiOX:x=1〜2.5)を主成分とする
透明導電膜、窒化チタン(TiNX:x=0.5〜2)
を主成分とする透明導電膜、Ag,Au,Cu,Alの
何れかを主成分とする金属膜は電磁波反射吸収パネル1
0の光透過性を容易に確保できるので好適である。上記
のような透明導電膜や金属膜は、太陽光に含まれる近赤
外光を反射すると共に、熱線の輻射量が低いという特性
を有しているため、上記の材料を用いて構成した電磁波
反射吸収パネル10を建築物の窓部に用いることで、室
内の冷暖房の省エネルギー化も実現できる。
【0039】また、電磁波反射吸収パネル10に結露が
生ずると、結露水によって電気的特性の変化や、抵抗膜
16、導電膜24又は導電膜26、反射膜18の劣化等
が生ずる可能性がある。このため、絶縁性基板12,1
4の間の空間に乾燥空気を密封するか、又は樹脂材料等
のように経時劣化の少ない絶縁性材料を封入することが
好ましい。また、電磁波反射吸収パネル10の外面につ
いても、配設された状態で乾燥空気又は樹脂材料等の絶
縁性材料に接するように配設することが望ましい。
【0040】なお、電磁波反射吸収パネル10では反射
膜18及び分割導電体層22が露出しているので、反射
膜18及び分割導電体層22の表面に保護層を形成する
ことが好ましい。この保護層は、表面抵抗の大きな無機
材料や樹脂材料をパネル状又はシート状に形成するか、
或いはコーティングすることによって形成することがで
きる。
【0041】また、本実施形態に係る電磁波反射吸収パ
ネル10は、抵抗膜16側から到来した電磁波のうち、
VHF帯(本発明の所定帯域)の電磁波が吸収される
(詳細は後述)ように、抵抗膜16と反射膜18の間
隔、分割導電体層22の各部の寸法(分割導電体層22
を長尺状の多数の導電膜24で構成した場合は導電膜2
4の厚みa、幅b及び間隔d、分割導電体層22を矩形
状の多数の導電膜26で構成した場合は導電膜26の厚
みa、幅b1,b2及び間隔d)が設定されている。
【0042】図1に示すように、本実施形態に係る電磁
波反射吸収パネル10は、絶縁性基板12側より電磁波
が到来するように、建築物30の外壁として建築物30
に配設されるが、分割導電体層22として図3(A)に
示す構成(長尺状の導電膜24から成る分割導電体層2
2)を採用した電磁波反射吸収パネル10を配設する場
合には、導電膜24の配列方向が建築物30に到来する
電磁波の偏波面の方向に略一致するように、建築物30
への配設時の天地方向を定めている(例えば建築物30
に垂直偏波の電磁波が到来する場合には、図2の上下方
向が建築物30への配設時の電磁波反射吸収パネル10
の天地方向とされる)。
【0043】また、本実施形態では、建築物30に到来
した電磁波のうちUHF帯の電磁波は電磁波反射吸収パ
ネル10によって反射される(詳細は後述)。このた
め、電磁波反射吸収パネル10は、UHF帯の電磁波の
反射方向が電波障害の生じ難い方向(例えば図1の例で
は斜め上方)となるように、配設状態での電磁波反射吸
収パネル10の傾斜角度が予め設定されている。
【0044】そして本実施形態では、予め設定された傾
斜角度だけ傾斜させたときに、電磁波反射吸収パネル1
0の鉛直方向に沿った長さ(高さ)が、建築物30の階
高に一致するように(各階に設けられた梁32の端部の
外側(スパンドレル部)も覆うように)、配設状態での
上下方向に沿った寸法が定められており、各階毎に予め
設定された傾斜角度だけ傾斜するように、各階の外壁と
して各階毎に独立に配設される。
【0045】次に本実施形態の作用を説明する。VHF
帯(およそ100〜200MHz)の電磁波の波長は1.5〜
3m程度であるので、例えば100MHzの電磁波(波長は
3m)を反射するために必要な反射板のサイズは6〜9
m以上となる。これに対し、本実施形態に係る電磁波反
射吸収パネル10は、配設状態での上下方向に沿った寸
法が建築物30の階高と同程度であるので、建築物30
の各階に設けられた電磁波反射吸収パネル10の反射膜
18は、VHF帯の電磁波を所望の方向へ反射する反射
板として機能しない(反射膜18の端部での散乱によ
り、反射膜18による電磁波の反射方向は電磁波の到来
方向に対する反射膜18の向きの影響を受けにくい)。
【0046】これに対し、建築物30に到来したVHF
帯の電磁波(図4に示す電磁波E0)は、電磁波反射吸
収パネル10の絶縁性基板12を透過して抵抗膜16に
入射され、一部が抵抗膜16によって反射され一次射出
電磁波Er1として射出されると共に、一部が抵抗膜16
によって吸収され、残りは抵抗膜16を透過し電磁波E
t1として反射膜18側へ射出される。
【0047】この電磁波Et1は、分割導電体層22及び
絶縁性基板14を透過して反射膜18に入射され、反射
膜18によってその殆どが反射され、絶縁性基板14及
び分割導電体層22を再び透過して抵抗膜16に入射さ
れる。抵抗膜16に入射された電磁波Et1は、一部が抵
抗膜16及び絶縁性基板12を透過し二次射出電磁波E
r2として射出されると共に、一部が抵抗膜16によって
吸収され、残りは抵抗膜16によって反射され電磁波E
t2として反射膜18側へ射出される。
【0048】更に、電磁波Et2は、分割導電体層22及
び絶縁性基板14を透過して反射膜18に入射され、反
射膜18によってその殆どが反射され、絶縁性基板14
及び分割導電体層22を再び透過して抵抗膜16に入射
される。抵抗膜16に入射された電磁波Et2は、一部が
抵抗膜16及び絶縁性基板12を透過し三次射出電磁波
r3として射出されると共に、一部が抵抗膜16によっ
て吸収され、残りは抵抗膜16によって反射され電磁波
t3として反射膜18側へ射出される。
【0049】上記の現象が繰り返されることで、電磁波
反射吸収パネル10に到来した電磁波は、一次射出電磁
波〜nMAX次電磁波(理論的にはnMAX=∞)に分割され
て電磁波反射吸収パネル10から射出されるので、抵抗
膜16が形成された絶縁性基板12側から到来した電磁
波反射吸収パネル10の反射係数Γは、
【0050】
【数2】
【0051】となる。
【0052】ここで、抵抗膜16に入射された電磁波
は、その一部が抵抗膜16によって吸収されることで抵
抗膜16を透過又は抵抗膜16で反射されて射出される
電磁波の電界強度が小さくなる。n次射出電磁波の次数
nは対応する電磁波の抵抗膜16への入射回数を表して
おり、次数nの値が大きくなるに伴って抵抗膜16への
入射回数も増大するので、抵抗膜16における電磁波の
吸収率αの値にも依存するが、次数nの値が大きい高次
の射出電磁波(例えばn≧3の射出電磁波)は電界強度
が非常に小さくなるために無視できる。
【0053】また、抵抗膜16と反射膜18との間の導
電膜24又は導電膜26の配列方向(分割導電体層22
が導電膜24で構成されている場合には第2方向、分割
導電体層22が導電膜26で構成されている場合には第
1方向及び第2方向)についての実効比誘電率は、導電
膜24又は導電膜26の幅bを(2)式における導体の
幅b、導電膜24又は導電膜26の間隔dを(2)式に
おける間隔d、導電膜24又は導電膜26の膜厚aを
(2)式における導体の厚さaとして各々用いること
で、(2)式によって求まる実効比誘電率εeffに一致
する。これに伴って、抵抗膜16と反射膜18との間を
往復伝播する電磁波Etnの波長も、その周波数に比して
非常に短くなる(電磁波Etnの波長は実効比誘電率の平
方根に反比例する)。
【0054】電磁波反射吸収パネル10は、VHF帯に
おいて、電磁波反射吸収パネル10から射出される一次
射出電磁波Er1と二次射出電磁波Er2が逆位相となるよ
うに、抵抗膜16と反射膜18の間隔、分割導電体層2
2の各部の寸法が設定されているので、電磁波反射吸収
パネル10に到来したVHF帯の電磁波は、一次射出電
磁波Er1と二次射出電磁波Er2が逆位相となり、互いに
打ち消し合うことで大幅に減衰・吸収される(但し、分
割導電体層22が長尺状の導電膜24で構成されている
場合には、偏波面の方向が導電膜24の配列方向(第2
方向)に沿った電磁波のみ減衰・吸収される)。従っ
て、建築物30に到来したVHF帯の電磁波によって電
波障害が発生することを防止することができる。
【0055】また、分割導電体層22を設けたことで、
電磁波の減衰・吸収が生ずる周波数帯域(VHF帯)に
比して電磁波反射吸収パネル10を大幅に薄型化するこ
とができ、建築物30のスペース利用効率を向上させる
ことができる。更に、分割導電体層22を導電膜26で
構成した場合には、薄型の電磁波反射吸収パネル10に
より、到来したVHF帯の電磁波を、その偏波面の方向
に拘わらず(例えば円偏波等であっても)吸収すること
ができる。
【0056】また、上記のように、VHF帯の電磁波は
電磁波反射吸収パネル10によって吸収されるので、V
HF帯の電磁波による電波障害の発生を防止するために
電磁波反射吸収パネル10のサイズを大型化する必要が
なく、各階毎に小型かつ同一サイズの電磁波反射吸収パ
ネル10を配設することができるので、建築物30の設
計の自由度が著しく低下することを回避できると共に、
各階に同一の建材を適用できるので、建築物の建設コス
トを低減することができる。
【0057】一方、建築物30に到来した電磁波のうち
UHF帯の電磁波は、一次射出電磁波Er1と二次射出電
磁波Er2が逆位相にならないため、電磁波反射吸収パネ
ル10による電磁波の減衰量はVHF帯と比較して明ら
かに小さくなる。しかしながら、UHF帯の電磁波の波
長は例えば500MHz付近で60cm程度であり、500M
Hzの電磁波を反射するために必要な反射板のサイズは1
20〜180cm程度である。本実施形態に係る電磁波反射
吸収パネル10は、配設状態での上下方向に沿った寸法
が建築物30の階高と同程度であるので、UHF帯及び
UHF帯よりも高周波の電磁波(本発明の「所定帯域よ
りも高い周波数帯域の電磁波」に相当)に対しては、電
磁波反射吸収パネル10の反射膜18が反射板として機
能する。
【0058】そして電磁波反射吸収パネル10は、UH
F帯の電磁波(及びUHF帯よりも高周波の電磁波)の
反射方向が電波障害の生じ難い方向となるように傾斜さ
れているので、電磁波反射吸収パネル10の配設位置に
到来したUHF帯及びUHF帯よりも高周波の電磁波
は、電磁波反射吸収パネル10によって電波障害の生じ
難い方向へ反射される(図1に示す破線の矢印参照)。
これにより、建築物30に到来したUHF帯及びUHF
帯よりも高周波の電磁波によって電波障害が発生するこ
とも防止することができる。
【0059】また、本実施形態に係る電磁波反射吸収パ
ネル10は光透過性を有しているので、硝子カーテンウ
ォールの代わりに用いることができると共に、電磁波反
射吸収パネル10が配設された箇所の採光も確保するこ
とができる。
【0060】なお、図1では各階に設けられた梁32の
端部の外側も電磁波反射吸収パネル10によって覆われ
るように電磁波反射吸収パネル10を配設していたが、
これに限定されるものではなく、例として図5に示すよ
うに、各階に設けられた梁32の間隙に相当する部分に
ついてのみ、電磁波反射吸収パネル10を建築物32の
外壁として設けてもよい。図5に示した例では、梁32
の端部の外側(スパンドレル部)にフェライト板40が
配置されており、フェライト板40の外側には建築物3
2の外壁を構成する外壁部材42が配置されている。な
お、外壁部材42は電磁波が透過するものであればよ
く、例えば硝子板等を適用可能である。フェライト板4
0は請求項6に記載の電磁波吸収体に対応している。
【0061】図5に示した例では、建築物32のうち電
磁波反射吸収パネル10が配設された箇所に到来した電
磁波は、図1に示した例と同様に、VHF帯の電磁波が
電磁波反射吸収パネル10によって吸収され、UHF帯
及びUHF帯よりも高周波の電磁波が電磁波反射吸収パ
ネル10によって電波障害の生じ難い方向へ反射される
(図5に示す破線の矢印参照)。また、建築物32のう
ち電磁波反射吸収パネル10が配設されていない箇所
(各階に設けられた梁32の外側の部分)に到来した電
磁波は、外壁部材42を透過し、外壁部材40の内側に
配置されたフェライト板40に入射するので、フェライ
ト板40により広い周波数帯域に亘って吸収される。
【0062】これにより、建築物32に到来した電磁波
によって電波障害が発生することを防止することができ
る。また、図5の例においても、VHF帯の電磁波によ
る電波障害の発生を防止するために電磁波反射吸収パネ
ル10のサイズを大型化する必要がなく、各階毎に小型
かつ同一サイズの電磁波反射吸収パネル10を配設する
ことができるので、建築物30の設計の自由度が著しく
低下することを回避できると共に、各階に同一の建材を
適用できるので、建築物の建設コストを低減することが
できる。
【0063】また、電磁波反射吸収パネル10は図6に
示すように配設してもよい。すなわち図6に示す例で
は、建築物34の外壁として、電磁波透過性を有し鉛直
方向に沿って配置された外壁部材(例えば通常の硝子板
等)44が取付けられており、電磁波反射吸収パネル1
0は外壁部材44の内側のうち、各階に設けられた梁3
2の間隙に相当する部分にのみ配設されている。また、
梁32の端部の外側には、図5に示した例と同様にフェ
ライト板40が配置されている。
【0064】図6に示した例では建築物34に到来した
電磁波が外壁部材44を透過する。外壁部材44を透過
した電磁波のうち、電磁波反射吸収パネル10が配設さ
れた箇所に到達した電磁波は、図1及び図5に示した例
と同様に、VHF帯の電磁波が電磁波反射吸収パネル1
0によって吸収され、UHF帯及びUHF帯よりも高周
波の電磁波が電磁波反射吸収パネル10によって電波障
害の生じ難い方向へ反射される(図6に示す破線の矢印
参照)。また、外壁部材44を透過した電磁波のうち、
電磁波反射吸収パネル10が配設されていない箇所に到
達した電磁波はフェライト板40に入射し、フェライト
板40により広い周波数帯域に亘って吸収される。
【0065】これにより、建築物30に到来した電磁波
によって電波障害が発生することを防止することができ
る。また、図6の例においても、VHF帯の電磁波によ
る電波障害の発生を防止するために電磁波反射吸収パネ
ル10のサイズを大型化する必要がなく、各階毎に小型
かつ同一サイズの電磁波反射吸収パネル10を配設する
ことができると共に、更に鉛直方向に沿って配置された
外壁部材44によって建築物34の外面が覆われてお
り、鉛直方向に沿って建築物34の外面が連続している
ので、電磁波反射吸収パネル10を配設するために建築
物34の設計の自由度が著しく低下することを回避する
ことができる。また、各階に同一の建材を適用できるの
で、建築物の建設コストを低減することができる。
【0066】なお、電波障害の生じ難い電磁波の反射方
向は、建築物外面の全面に亘って一定とは限らず、例え
ば高さが異なると電波障害の生じ難い電磁波の反射方向
が相違することも多い。上記を考慮すると、例えば電磁
波反射吸収パネル10を配設する建築物の各階毎に、各
階における電波障害の生じ難い反射方向に応じて、電磁
波反射吸収パネル10の傾斜角度を相違させるようにし
てもよい。
【0067】また、上記では光透過性を有する電磁波反
射吸収パネル10を、透光性を有する部材で外壁を構成
すべき建築物30に配設した場合を説明したが、これに
限定されるものではなく、本発明に係る電磁波反射吸収
体は、透光性を有しない部材で外壁を構成すべき建築物
に配設することも可能であることは言うまでもない。
【0068】また、上記では本発明に係る電磁波吸収部
材として、抵抗膜16及び分割導電体層22を備えた電
磁波吸収体を例に説明したが、これに限定されるもので
はなく、所定帯域(例えばVHF帯)の電磁波を吸収す
る機能を備えた公知の電磁波吸収体、例えばPC板にフ
ェライト等の磁性体を貼り付けた構成の電磁波吸収体
や、該電磁波吸収体に窓ガラスを付けた構成の電磁波吸
収体、或いはλ/4型の電磁波吸収体を、本発明に係る
電磁波吸収部材として適用しても良いことは言うまでも
ない。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように請求項1及び請求項
5記載の発明は、建築物に到来した電磁波のうち所定帯
域の電磁波を吸収する電磁波吸収部材と、建築物に到来
した電磁波のうち所定帯域よりも高い周波数帯域の電磁
波を電波障害が生じ難い所定の方向へ反射する電磁波反
射部材を配設したので、建築物の設計の自由度を著しく
低下させることなく、広い周波数帯域に亘って電波障害
の発生を防止することができる、という優れた効果を有
する。
【0070】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、電磁波反射吸収体を構成する各部材を略透
明としたので、上記効果に加え、本発明に係る電磁波反
射吸収体を建築物の窓部等に配設するすることが可能と
なる、という効果を有する。
【0071】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発
明において、電磁波吸収体を、到来した電磁波の一部を
反射し他の一部を透過させる抵抗部材と、電磁波反射部
材又は反射部材と抵抗部材との間に設けられ、抵抗部材
と電磁波反射部材又は反射部材の並ぶ方向と交差する方
向に沿って間隔を空けて配列された複数の導体と、を含
んで構成したので、上記効果に加え、電磁波吸収部材の
薄型化を実現できる、という効果を有する。
【0072】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明において、電磁波吸収部材及び電磁波反射部材を建築
物の各階毎に独立に配設し、電磁波吸収部材及び電磁波
反射部材の間隙に相当する部分に、所定帯域及び所定帯
域よりも高い周波数帯域の電磁波を吸収する電磁波吸収
体を配設したので、上記効果に加え、電波障害が発生す
ることをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る電磁波反射吸収パネルの配
設状態を示す概略図である。
【図2】 電磁波反射吸収パネルの概略断面図である。
【図3】 分割導電膜の構成の一例を示す平面図であ
る。
【図4】 電磁波反射吸収パネルによる電磁波吸収の原
理を説明するための概念図である。
【図5】 電磁波反射吸収パネルの他の配設状態を示す
概略図である。
【図6】 電磁波反射吸収パネルの他の配設状態を示す
概略図である。
【符号の説明】
10 電磁波反射吸収パネル 16 抵抗膜 18 反射膜 22 分割導電体層 30,32,34 建築物 40 フェライト板 42,44 外壁部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 和幸 愛知県名古屋市中区錦一丁目18番22号 株 式会社竹中工務店名古屋支店内 (72)発明者 影山 健二 千葉県印西市大塚一丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 斉藤 俊夫 千葉県印西市大塚一丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 高橋 好明 愛知県名古屋市中区錦一丁目18番22号 株 式会社竹中工務店名古屋支店内 Fターム(参考) 2E001 DH01 FA04 GA06 GA12 GA23 GA32 GA42 GA77 HA04 HA14 HA20 HB02 HC01 HC07 HD11 HD13 5E321 AA43 AA44 BB25 GG05 GG11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築物の外壁部に配設される電磁波反射
    吸収体であって、 前記建築物に到来した電磁波のうち所定帯域の電磁波を
    吸収する電磁波吸収部材と、 前記所定帯域よりも高い周波数帯域の電磁波を反射可能
    なサイズの反射面を備え、前記建築物に到来した電磁波
    のうち前記所定帯域よりも高い周波数帯域の電磁波を電
    波障害が生じ難い所定の方向へ反射するように前記反射
    面の向きが調整された電磁波反射部材と、 を備えたことを特徴とする電磁波反射吸収体。
  2. 【請求項2】 前記所定帯域はVHF帯であり、前記所
    定周波数よりも高い周波数帯域にはUHF帯が含まれる
    ことを特徴とする請求項1記載の電磁波反射吸収体。
  3. 【請求項3】 電磁波反射吸収体を構成する各部材が略
    透明であることを特徴とする請求項1記載の電磁波反射
    吸収体。
  4. 【請求項4】 前記電磁波吸収部材は、 到来した電磁波の一部を反射し他の一部を透過させる抵
    抗部材と、 前記抵抗部材よりも電磁波到来方向下流側に前記抵抗部
    材と距離を隔てて配置された前記電磁波反射部材、又は
    前記抵抗部材よりも電磁波到来方向下流側に前記抵抗部
    材と距離を隔てて配置され到来した電磁波を反射する反
    射部材と、前記抵抗部材との間に設けられ、前記抵抗部
    材と前記電磁波反射部材又は前記反射部材の並ぶ方向と
    交差する方向に沿って間隔を空けて配列された複数の導
    体と、 を含んで構成されていることを特徴とする請求項1記載
    の電磁波反射吸収体。
  5. 【請求項5】 建築物に到来した電磁波のうち所定帯域
    の電磁波を吸収する電磁波吸収部材を前記建築物の外壁
    部に配設すると共に、 前記所定帯域よりも高い周波数帯域の電磁波を反射可能
    なサイズの反射面を備え、前記建築物に到来した電磁波
    のうち前記所定帯域よりも高い周波数帯域の電磁波を電
    波障害が生じ難い所定の方向へ反射するように前記反射
    面の向きが調整された電磁波反射部材を前記建築物の外
    壁部に配設する電波障害防止方法。
  6. 【請求項6】 前記電磁波吸収部材及び前記電磁波反射
    部材を、前記建築物の各階毎に独立に配設すると共に、 各階毎に配設した電磁波吸収部材及び電磁波反射部材の
    間隙に相当する部分に、前記所定帯域及び前記所定帯域
    よりも高い周波数帯域の電磁波を吸収する電磁波吸収体
    を配設することを特徴とする請求項5記載の電波障害防
    止方法。
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