JP2002068880A - 被覆生物活性粒状物およびその製造方法 - Google Patents

被覆生物活性粒状物およびその製造方法

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JP2002068880A
JP2002068880A JP2001178713A JP2001178713A JP2002068880A JP 2002068880 A JP2002068880 A JP 2002068880A JP 2001178713 A JP2001178713 A JP 2001178713A JP 2001178713 A JP2001178713 A JP 2001178713A JP 2002068880 A JP2002068880 A JP 2002068880A
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coated
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resin
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JP2001178713A
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Yoshihiro Chikami
世始裕 千頭
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JNC Corp
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1粒1粒の粒子間においてその放出機能にば
らつきが少ない被覆生物活性粒状物の提供。 【解決手段】 生物活性物質を含有する芯材粒子の表面
を、フィラーを含有する被膜で被覆した被覆生物活性粒
状物において、被膜おけるフィラー分散の変動係数が5
0%以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被覆生物活性粒状物
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】就農人口が減少し、且つ就農者が高齢化
している近年の農業環境においては、肥料や農薬をはじ
めとする生物活性物質の施肥や散布などの作業の省力化
と効率化が求められ、樹脂や硫黄で肥料粒子を被覆した
被覆肥料や、樹脂で農薬粒子を被覆した被覆農薬が開発
され、その技術内容は特許などを通じて既に公開されて
いる。
【0003】被覆肥料としては、例えば特開昭63−1
62593号公報には、作物の吸収にあわせて肥料成分
を適期に供給することができる被覆粒状尿素硝酸加里肥
料が開示され、特開平4−202079号公報には、溶
出開始時期が調節できる重層被覆粒状肥料が開示されて
いる。一方、被覆農薬としては、例えば特公昭64−5
002号公報には、農薬成分の放出を徐放化した被覆粒
状農薬が開示され、特開平6−9303号公報には、高
吸水膨潤性物質層とオレフィン系重合体層からなる多層
被膜で農薬粒剤を被覆した被覆農薬粒剤が開示されてい
る。
【0004】これらの被覆肥料、被覆農薬は被覆された
肥料や農薬に代表される生物活性物質の放出を徐放化す
るものであり、施肥や農薬散布などの農作業の省力化に
有効な資材である。特に、施用後一定期間肥料の放出が
抑制された放出抑制期間(以下「d1」と記述する)
と、一定期間経過後放出が持続する放出期間(以下「d
2」と記述する)とからなる時限放出型の徐放機能を有
する被覆肥料は、その徐放機能により、多量の該肥料を
播種若しくは本圃への苗の移植と同時に施用することを
可能とし、施肥の省力化を一層向上させた。さらには植
物の根に接触して用いることで植物利用率を非常に高
め、生物活性物質の使用量を最小限にした高効率の使用
法が可能となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
被覆肥料や被覆農薬に代表される被覆生物活性粒状物
の、各活性物質の放出制御機能は極めて有効なものであ
るが、該被覆生物活性粒状物1粒1粒の粒子間において
その放出機能にばらつきがあった。被覆生物活性粒状物
を植物の根に接触させて、もしくはその近傍に施用して
用いる場合に、該ばらつきが大きい場合には、植物の固
体間に生育および病害の発生において、大きなばらつき
が生じる場合があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の従来
技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、生物活性
物質を含有する芯材粒子の表面を、フィラーを含有する
被膜で被覆した被覆生物活性粒状物において、被膜おけ
るフィラー分散の変動係数が50%以下である被覆生物
活性粒状物であれば、該被覆生物活性粒状物1粒1粒の
粒子間においてその放出機能にばらつきが少ないこと見
出し、この知見にも基づいて本発明を完成させた。
【0007】本発明は以下の(1)〜(4)の構成から
なる。 (1)生物活性物質を含有する芯材粒子の表面を、フィ
ラーを含有する被膜で被覆した被覆生物活性粒状物にお
いて、該被膜おけるフィラー分散の変動係数が50%以
下である被覆生物活性粒状物。
【0008】(2)生物活性物質を含有する芯材粒子の
表面を、フィラーを含有する被膜で被覆した被覆生物活
性粒状物において、該被膜おけるフィラー分散の変動係
数が35%以下である被覆生物活性粒状物。
【0009】(3)生物活性物質を含有する芯材粒子の
表面に、被膜材料を溶剤に溶解させた被膜材料溶解液を
付着させ、該表面に被膜を形成させる被覆生物活性粒状
物の製造方法において、該被膜材料溶解液の粘度が0.
5〜40[mPa・s]の範囲であることを特徴とする
前記第1項または第2項に記載の被覆生物活性粒状物の
製造方法。
【0010】(4)生物活性物質を含有する芯材粒子の
表面に、被膜材料を溶剤に溶解させた被膜材料溶解液を
付着させ、該表面に被膜を形成させる被覆生物活性粒状
物の製造方法において、該被膜材料溶解液の粘度が0.
5〜40[mPa・s]の範囲であり、且つ下記工程を
順に20〜160回繰り返し行うことを特徴とする前記
第1項または第2項に記載の被覆生物活性粒状物の製造
方法。 層厚で1〜6μmになる量の該被膜材料溶解液を、生
物活性物質を含有する芯材粒子の表面に付着させる工
程。 被膜を形成させる工程。
【0011】
【発明の実施の形態】生物活性物質とは、農作物、有用
植物、農産物などの植物体の育成、保護の目的で用いら
れるものであり、使用目的に応じて増収、農作物の高品
質化、病害防除、害虫防除、有害動物防除、雑草防除、
更には、農作物の生育促進、生育抑制、矮化などの効果
をもたらすものであって、具体的には肥料、農薬、微生
物等を挙げることができる。特に被覆生物活性粒状物に
用いる場合、生物活性物質が肥料または農薬であると、
その使用目的に対して比較的高い効果が得られる。
【0012】肥料としては、窒素質肥料、燐酸質肥料、
加里質肥料のほか、植物必須要素のカルシウム、マグネ
シウム、硫黄、鉄、微量要素やケイ素等を含有する肥料
を挙げることができる。具体的には、窒素質肥料として
硫酸アンモニア、尿素、硝酸アンモニアのほか、イソブ
チルアルデヒド縮合尿素、アセトアルデヒド縮合尿素等
が挙げられ、燐酸質肥料としては過燐酸石灰、熔成リン
肥、焼成リン肥等が挙げられ、加里質肥料としては硫酸
加里、塩化加里、けい酸加里肥料等が挙げられ、その形
態としては特に限定はない。また、肥料の三要素の合計
成分量が30%以上の高度化成肥料や配合肥料、更に
は、有機質肥料でもよい。また、硝酸化成抑制材や農薬
を添加した肥料でもよい。
【0013】農薬としては、病害防除剤、害虫防除剤、
有害動物防除剤、雑草防除剤、植物生長調節剤を挙げる
ことができ、これらであればその種類に制限なく使用す
ることができる。病害防除剤とは、農作物等を病原微生
物の有害作用から保護するために用いられる薬剤であ
り、主として殺菌剤が挙げられる。害虫防除剤とは、農
作物等の害虫を防除する薬剤であり、主として殺虫剤が
挙げられる。有害動物防除剤とは、農作物等を加害する
植物寄生性ダニ、植物寄生性線虫、野そ、鳥、その他の
有害動物を防除するために用いる薬剤である。雑草防除
剤とは農作物や樹木等に有害となる草木植物の防除に用
いられる薬剤であり、除草剤とも呼ばれる。植物生長調
節剤とは、植物の生理機能の増進あるいは抑制を目的に
用いられる薬剤である。
【0014】農薬は、常温で固体の粉状であることが望
ましいが常温で液体であっても良い。また、本発明にお
いては、農薬が水溶性であっても、水難溶性であって
も、水不溶性のものであっても用いることができ特に限
定されるものではない。農薬としてその具体例を下記に
挙げるが、これらはあくまでも例示であり、これらに限
定されるものではない。また、農薬は1種であっても、
2種以上の複合成分からなるものであっても良い。
【0015】例えば、1−(6−クロロ−3−ピリジル
メチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンア
ミン、O,O−ジエチル−S−2−(エチルチオ)エチ
ルホスホロジチオエート、1,3−ビス(カルバモイル
チオ)−2−(N,N−ジメチルアミノ)プロパン塩酸
塩、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ
〔b〕フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチル
カルバマート、(2−イソプロピル−4−メチルピリミ
ジル−6)−ジエチルチオホスフェート、5−ジメチル
アミノ −1,2,3−トリチアンシュウ酸塩、O,O−
ジプロピル−O−4−メチルチオフェニルホスフェー
ト、
【0016】エチル=N−〔2,3−ジヒドロ−2,2
−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル
(メチル)アミノチオ〕−N−イソプロピル−β−アラ
ニナート、1−ナフチル−N−メチルカーバメート、2
−イソプロポキシフェニル−N−メチルカーバメート、
ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イリデン−
マロネート、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ
〔3,4−b〕ベンゾチアゾール、1,2,5,6−テ
トラヒドロピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−
オン、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾー
ル−1,1−ジオキシド、2,4−ジクロロフェノキシ
酢酸のナトリウム塩、ジメチルアミン塩またはエチルエ
ステル。
【0017】2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸の
ナトリウム塩またはエチル、ブチルエステル。2−メチ
ル−4−クロロフェノキシ酪酸のナトリウム塩またはエ
チルエステル。α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニ
リド、S−1−メチル−1−フェニルエチル=ピペリジ
ン−1−カルボチオアート、S−(4−クロロベンジ
ル)−N,N−ジエチルチオカーバメート、5−ターシ
ャリーブチル−3−(2,4−ジクロル−5−イソプロ
ポキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2
−オン、
【0018】2−〔4−(2,4−ジクロロベンゾイ
ル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕
アセトフェノン、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)
−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンス
ルホネート、3−イソプロピル−2,1,3−ベンゾ−
チアジアジノン−(4)−2,2−ジオキシドまたはそ
のナトリウム塩、2−クロロ−4−エチルアミノ−6−
イソプロピルアミノ−s−トリアジン、
【0019】2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−
(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジ
ン、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−
s−トリアジン、2−メチルチオ−4,6−ビス(イソ
プロピルアミノ)−s−トリアジン、1−(α,α−ジ
メチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素、メチル=
α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバ
モイルスルファモイル)−ο−トルアート、
【0020】2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−
N−メチルアセトアニリド、1−(2−クロロイミダゾ
[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−
(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル尿素、S−
ベンジル=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカ
ルバマート、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テ
ニル)−2´,6´−ジメチルアセトアニリド等を挙げ
ることができる。
【0021】更に、農薬として、植物が接触した後に植
物によって合成され、植物体内に蓄積する低分子の抗菌
性物質であるファイトアレキシンを誘導する物質を挙げ
ることができる。微生物としては、病原微生物の繁殖抑
制効果のあるものを用いることができる。具体的にはト
リコデルマ属(トリコデルマ・リグノーラム、トリコデ
ルマ・ビィリディなど)、グリオクラディウム属(グリ
オクラディウム・ビレンスなど)、セファロスポリウム
属、コニオシリウム属、スポリデスミウム属、ラエティ
サリア属などの糸状菌、アグロバクテリウム属(アグロ
バクテリウム・ラディオバクター)、バチルス属(バチ
ルス・ズブチリス)、シュードモナス属(シュードモナ
ス・セパシア、シュードモナス・グルメ、シュードモナ
ス・グラディオリ、シュードモナス・フロルエッセン
ス、シュードモナス・アウレオファシエンス、シュード
モナス・プチダなど)、キサントモナス属、エルビニア
属、アースロバクター属、コリネバクテリウム属、
【0022】エンテロバクター属、アゾトバクター属、
フラボバクテリウム属、ストレプトマイセス属(ストレ
プトマイセス・アクロモゲナス、ストレプトマイセス・
ファエオパーピュレンス、ストレプトマイセス・ヒグロ
スコピカス、ストレプトマイセス・ニトロスポレンス、
ストレプトマイセス・バーネンシスなど)、アクチノプ
ラネス属、アルカリゲネス属、アモルフォスポランギウ
ム属、セルロモナス属、マイクロモノスポラ属、パスチ
ュリア属、ハフニア属、リゾビウム属、ブラディリゾビ
ウム属、セラティア属、ラストニア属(ラストニア・ソ
ラナセアラム)などの細菌および放線菌を挙げることが
できる。
【0023】これらの中で好ましく使用できるものは、
抗菌活性物質産生菌である。具体的には抗菌物質生産能
の高いシュードモナス属細菌であり、例えば抗生物質を
生産する菌株としては抗生物質ピロールニトリン(対ダ
イコン苗立枯病菌)を生産するシュードモナス・セパシ
ア、抗生物質フェナジンカルボン酸(対コムギ立枯病
菌)やピロールニトリン、ピオルテオリン(対ワタ苗立
枯病菌、キュウリ苗立枯病菌)、シアン化物(タバコ黒
根病菌)、ディアセチルフログルシノール(対コムギ立
枯病菌)などを生産するシュードモナス フロルエッセ
ンス、更には土壌中の鉄を病原菌に利用させず、植物に
のみ利用できるようにする鉄キレート物質シデロフォア
(シュードバクチン、蛍光性シデロフォア:ピオベルデ
ィン)などを生産する蛍光性シュードモナス属菌(シュ
ードモナス・プチダ、シュードモナス・フロルエッセン
スなど)を挙げることができる。
【0024】その他の微生物としては、バクテリオシン
のアグロシン84(対根頭がんしゅ病菌)を生産するア
グロバクテリウム・ラディオバクターや植物ホルモンな
どの生育増進物質を生産する生育増進性根圏細菌(PG
PR)として蛍光性シュードモナス(シュードモナス・
プチダ、シュードモナス・フロルエッセンスなど)やバ
チルス属などが挙げられる。特にCDU分解菌群(シュ
ードモナス属、アースロバクター属、コリネバクテリウ
ム属、アグロバクテリウム属など)やストレプトマイセ
ス属の菌株(例えば特公平5−26462号公報に開示
の微工研寄託第10533号)は土壌伝染性の病原性糸
状菌に対し顕著な抑止力を有するため好ましく用いられ
る。
【0025】生物活性物質を含有する芯材粒子の組成
は、1種以上の生物活性物質を含有していれば、特に限
定されるものではない。生物活性物質単独で造粒された
ものであってもよく、クレー、カオリン、タルク、ベン
トナイト、炭酸カルシウムなどの担体や、ポリビニルア
ルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、澱
粉類などの結合剤を用いて造粒したものであっても構わ
ない。また、必要に応じ、例えばポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル等の界面活性剤や廃糖蜜、動物
油、植物油、水素添加油、脂肪酸、脂肪酸金属塩、パラ
フィン、ワックス、グリセリンなどを含有したものであ
っても構わない。
【0026】該芯材粒子の造粒方法としては、押出し造
粒法、流動層式造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、被覆
造粒法、吸着造粒法等を用いることができる。本発明に
おいては、これらの造粒法のいずれを使用しても良い
が、押し出し造粒法が最も簡易である。
【0027】該芯材粒子の粒径は特に限定されるもので
はないが、例えば、肥料の場合においては1.0〜1
0.0mmであり、農薬の場合においては0.3〜3.
0mmであることが好ましい。これらは篩いを用いるこ
とにより、前記範囲内で任意の粒径を選択することがで
きる。
【0028】該芯材粒子の形状は特に限定されるもので
はないが、時限放出型の徐放機能を発現させるためには
球状のものが好ましい。具体的には、芯材粒子の円形度
合いを知るための尺度である円形度係数を用いるとよ
く、式{(4π×芯材粒子の投影面積)/(芯材粒子投影
図の輪郭の長さ)2}によって求められた値が0.7以上
のものが好ましく、より好ましくは0.75以上であ
り、更に好ましくは0.8以上である。円形度係数の最
大値は1であり、1に近づくほど芯材粒子は真円に近づ
き、芯材粒子形状が真円から崩れるに従って円形度係数
は小さくなる。
【0029】例えば、施用後一定期間生物活性物質の放
出が抑制された放出抑制期間(以下「d1」と記述す
る。)と、施用後一定期間経過後放出が持続する放出期
間(以下「d2」と記述する。)とからなる時限放出型
の徐放機能を有する被覆生物活性粒状物(以下「時限溶
出型被覆生物活性粒状物」と記述する。)において、円
形度係数が0.7を下回る生物活性物質を含有する芯材
粒子が増えると、該生物活性物質を含有する芯材粒子を
用いて得られる時限放出型の徐放機能を有する被覆生物
活性粒状物のd1における放出抑制が不十分となり、生
物活性物質の洩れを生じやすくなる傾向にあるため、本
発明に用いる粒子は、全てが0.7以上のものであるこ
とが好ましいが、本発明の効果を大きく損なわない限り
において、下限値未満のものが若干量存在していても差
し支えない。なお上記の円形度係数は、PIAS−IV
(株式会社ピアス製)等の市販の測定機器を用いること
により測定することができる。
【0030】被覆生物活性粒状物の被膜は被膜材料とし
て、樹脂を含有するものや硫黄などの無機物質を含有す
るものを挙げることができる。樹脂を含有する被膜にお
いて、樹脂の含有割合は被膜重量に対し、10〜100
重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、
20〜100重量%の範囲である。また、無機物質を含
有する被膜において、無機物質の含有割合は被膜重量に
対し、20〜100重量%の範囲であることが好まし
く、より好ましくは、50〜90重量%の範囲である。
【0031】被膜に使用する樹脂は特に限定されるもの
ではなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エマルジョン
等を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては具体的
に、オレフィン系重合体、塩化ビニリデン系重合体、ジ
エン系重合体、ワックス類、ポリエステル、石油樹脂、
天然樹脂、油脂およびその変性物、ウレタン樹脂を挙げ
ることができる。
【0032】オレフィン系重合体としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−一酸化炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共
重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、ポリブテン、
ブテン−エチレン共重合体、ブテン−プロピレン共重合
体、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−
アクリル酸共重合体、およびエチレン−メタアクリル酸
エステル共重合体等が例示でき、塩化ビニリデン系重合
体としては、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体が例
示できる。
【0033】ジエン系重合体としては、ブタジエン重合
体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、ブタジエ
ン−スチレン共重合体、EPDM重合体、スチレン−イ
ソプレン共重合体等が例示できる。
【0034】ワックス類としては、密ロウ、木ロウ、パ
ラフィン等が例示でき、ポリエステルとしてはポリ乳
酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルやポリ
エチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルが例
示でき、天然樹脂としては、天然ゴム、ロジン等が例示
でき、油脂及びその変性物としては、硬化物、固形脂肪
酸および金属塩等を例示することができる。
【0035】熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、
フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ケトン
ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、アルキド樹脂、不
飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ウレタ
ン樹脂、および乾性油などを挙げることができる。これ
らの熱硬化性樹脂は数多くのモノマーの組み合わせが有
るが、本発明においては、モノマーの種類や組み合わせ
は限定されるものではない。また、モノマー同士の重合
物の他に、2量体あるいはポリマー化したもの、または
その混合物の重合物であっても良い。また、種類の異な
る複数の樹脂を配合したものであっても良い。
【0036】フェノール樹脂としては、フェノール、o-
クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,4-キシレ
ノール、2,3-キシレノール、3,5-キシレノール、2,5-キ
シレノール、2,6-キシレノール、および3,4-キシレノー
ルなどのフェノール類から選ばれた1種以上と、ホルム
アルデヒドに代表されるアルデヒド類から選ばれた1種
以上との縮合反応によって得られたものを使用すること
ができる。
【0037】フラン樹脂の代表的なものとしてフェノー
ル・フルフラール樹脂、フルフラール・アセトン樹脂、
およびフルフリルアルコール樹脂などを挙げることがで
きる。キシレン・ホルムアルデヒド樹脂は、o-キシレ
ン、m-キシレン、p-キシレン、およびエチルベンゼンな
どのキシレン類から選ばれた1種以上と、ホルムアルデ
ヒドに代表されるアルデヒド類から選ばれた1種以上と
の縮合反応によって得られたものを使用することができ
る。
【0038】ケトンホルムアルデヒド樹脂としては、ア
セトン・ホルムアルデヒド樹脂、シクロヘキサノン・ホ
ルムアルデヒド樹脂、アセトフェノン・ホルムアルデヒ
ド樹脂、および高級脂肪族ケトン・ホルムアルデヒド樹
脂などを挙げることができる。
【0039】アミノ樹脂としては、尿素、メラミン、チ
オ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、グアナミン
類、およびアニリンなどのアミノ基含有モノマーから選
ばれた1種以上と、ホルムアルデヒドとの縮合反応によ
って得られたものを挙げることができる。
【0040】アルキド樹脂は非転化型、転化型のどちら
でもよく、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ソルビトール、マン
ニトール、およびトリメチロールプロパンなどの多価ア
ルコールから選ばれた1種以上と、無水フタル酸、イソ
フタル酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、アジピ
ン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ジフェン酸、1,8-
ナフタリル酸、またテルペン油、ロジン、不飽和脂肪酸
とマレイン酸の付加物などの多塩基酸から選ばれた1種
以上とを縮合させて得られたものを挙げることができ
る。
【0041】また、アルキド樹脂を変性させる際に使用
する脂肪油または脂肪酸としては、アマニ油、大豆油、
エゴマ油、魚油、桐油、ヒマワリ油、クルミ油、オイチ
シカ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、蒸留脂肪酸、綿実
油、ヤシ油、およびそれらの脂肪酸、またはグリセリン
とエステル交換したモノグリセリドを挙げることができ
る。このほかロジン、エステルロジン、コーパル、フェ
ノールレジン等の樹脂変成物も使用することができる。
【0042】不飽和ポリエステルとしては、無水マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、無水フタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6-
エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、テトラクロル無水フタル酸、および3,
6-エンドジクロルメチレンテトラクロルフタル酸などの
有機酸から選ばれた1種以上と、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール、水素化ビスフェノールA、2,2-
ビス(4-オキシエトキシフェニル)プロパン、および2,2-
ビス(4-オキシプロポキシフェニル)プロパンなどのポリ
オールから選ばれた1種以上とを縮合反応させて得られ
たものを挙げることができる。
【0043】更に、該不飽和ポリエステルの硬化促進を
目的として、スチレン、ビニルトルエン、ジアリルフタ
レート、メタクリル酸メチル、トリアリルシアヌル酸、
およびトリアリルリン酸などのビニルモノマーから選ば
れた1種以上とを縮合時に加えて得られたものも使用す
ることができる。
【0044】エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA
型、ノボラック型、ビスフェノールF型、テトラビスフ
ェノールA型、およびジフェノール酸型のエポキシ樹脂
を挙げることができる。
【0045】さらに、ポリエステル樹脂をウレタン化し
たものなど、複合化した樹脂を使用することも可能であ
る。
【0046】ウレタン樹脂としては、トリレンジイソシ
アナート、3,3'-ビトリレン-4,4'-ジイソシアナート、
ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアナート、ポリメチレ
ンポリフェニレンポリイソシアナート、3,3'-ジメチル-
ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアナート、メタフェニ
レンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシ
アナート、2,4-トリレンジイソシアナート、トリジンジ
イソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イ
ソホロンジイソシアナート、キシレンジイソシアナー
ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、水添キ
シレンジイソシアナート、およびナフタリン-1,5-ジイ
ソシアナートなどのジイソシアナートから選ばれた1種
以上と、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシ
エチレンポリオール、アクリロニトリル-プロピレンオ
キシド重合物、スチレン-プロピレンオキシド重合物、
ポリオキシテトラメチレングリコール、アジピン酸-エ
チレングリコール、アジピン酸-ブチレングリコール、
アジピン酸-トリメチロールプロパン、グリセリン、ポ
リカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオー
ル、ポリブタジエンポリオール、およびポリアクリラー
トポリオールなどのポリオールから選ばれた1種以上と
を、ポリ付加重合させることによって得られたものを挙
げることができる。
【0047】長期にわたる徐放機能、更には時限放出型
の徐放機能の達成には、芯材粒子の表面を透湿性の低い
樹脂で完全に被覆し、水分の透過を極僅かに抑えること
ができる被膜を形成させることが必要である。つまり、
ピンホールや亀裂の無い被膜を形成することが重要であ
る。特に、時限放出型の徐放機能において、長いd1が
必要な場合には、芯材粒子の表面に透湿性の小さな被膜
を形成させることが有効である。透湿性の小さい樹脂被
膜を該芯材粒子表面に被覆することにより、外部に存在
する水分を徐々に時間をかけて生物活性物質を含有する
芯材粒子にまで浸透させることができる。
【0048】そのためには、熱可塑性樹脂を含有する被
膜で該粒子を被覆することが有効であり、更に、熱可塑
性樹脂としてオレフィン重合体、オレフィン共重合体、
塩化ビニリデン重合体、塩化ビニリデン共重合体を用い
ることが有効である。特にポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−一酸化
炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン
−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体及びこ
れらの混合物を最も好ましい被膜材料として挙げること
ができる。これらの被膜材料を用い、ピンホールや亀裂
のない被膜が形成されれば、水分の透過量は極僅かとな
る。
【0049】更に、該被覆生物活性粒状物は、被膜に親
水性付与のための界面活性剤などを添加したものであっ
てもよい。界面活性剤としては、ポリオールの脂肪酸エ
ステルに代表されるノニオン界面活性剤を挙げることが
できる。
【0050】被覆生物活性粒状物は、1種以上の生物活
性物質からなる芯材粒子を予め製造し、該芯材粒子の表
面を被膜で被覆することによって製造することが出来
る。生物活性物質を含有する芯材粒子の表面を被膜で被
覆する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、
溶融させた被膜材料を該芯材粒子表面に噴霧する方法、
溶剤に被膜材料を溶解させた被膜材料溶解液を該芯材粒
子表面に噴霧する方法、被膜材料の粉体を該芯材粒子表
面に付着させ、その後溶融する方法、モノマーを該粒子
表面に噴霧し、該芯材粒子表面で反応させ樹脂化(被膜
化)する方法、更に、被膜材料の溶融液ないし被膜材料
溶解液に、該粒子を浸すディップ法などを挙げることが
できる。
【0051】樹脂を含む被膜材料を該芯材粒子に被覆す
る方法としては、該被膜材料中の樹脂を溶解し得る溶剤
に溶解させた被膜材料溶解液を、噴霧により該芯材粒子
表面に付着させ、被膜を形成させる方法(以下「溶解液
噴霧法」と云う)、若しくは該被膜材料を加熱により溶
融させて得られた被膜材料溶融液を、噴霧により該芯材
粒子表面に付着させ、被膜を形成させる方法(以下「溶
融液噴霧法」と云う)を挙げることができる。
【0052】被覆生物活性粒状物は、どちらの方法で得
られたものであっても構わないが、生産効率の高さや、
得られる被膜の均一性などの面から、転動または流動状
態にある該粒子に該被膜材料溶解液を噴霧により付着さ
せ、その後に熱風に晒すことにより被膜を形成させる方
法が好ましい。
【0053】本発明において、フィラーを含有する被膜
におけるフィラー分散の変動係数は50%以下であり、
好ましくは35%以下である。該変動係数が50%を越
える場合には、被覆生物活性粒状物の粒子間の溶出機能
のばらつきが大きくなる傾向にある。該変動係数は0に
近いほど好ましいが、5%に満たない場合には、下記の
変動係数の測定方法では、フィラーの形状による測定誤
差のために測定が困難であることから、本発明において
該変動係数は、好ましくは5〜50%、より好ましくは
5〜35%である。
【0054】該被膜におけるフィラー分散の変動係数と
は、被覆生物活性粒状物の被膜の切断面において、膜厚
方向を縦、膜表面に対して平行方向を横とし、被覆生物
活性粒状物の被膜の切断面から任意に、縦×横=20μ
m×50μmの範囲を10箇所、任意に抽出した20粒
について走査型電子顕微鏡で観察し、各箇所毎に存在す
るフィラー数を計測し、その計測結果から求めた(該変
動係数=標準偏差/平均値×100)ものである。
【0055】本発明に使用するフィラーは特に限定され
るものではないが、具体的には、タルク、クレー、カオ
リン、ベントナイト、硫黄、白雲母、金雲母、雲母状酸
化鉄、金属酸化物、珪酸質、ガラス、アルカリ土類金属
の炭酸塩、硫酸塩、および澱粉等を挙げることができ
る。
【0056】本発明の被覆生物活性粒状物は、生物活性
物質を含有する芯材粒子の表面に、被膜材料を溶剤に溶
解させた被膜材料溶解液を付着させ、該表面に被膜を形
成させる方法(以下「溶解液付着法」と記述する。)で
得ることが好ましい。その際の被膜材料溶解液の粘度は
0.5〜40[mPa・s]の範囲であることが好まし
く、さらに好ましくは0.5〜30[mPa・s]の範囲
であることが好ましい。40[mPa・s]を超えるとフ
ィラーの分散性が低下する場合がある。0.5[mPa
・s]以下であると、フィラーと溶剤の比重差による分
散性の悪化の影響が大きくなる。
【0057】さらに本発明において、被膜の形成は一度
の操作で行うよりも、複数回に分けて被膜を形成するこ
とが好ましく、具体的には、下記工程を順に20〜16
0回繰り返し行うことが好ましい。 (1)層厚で1〜6μmになる量の該被膜材料溶解液
を、生物活性物質を含有する芯材粒子の表面に付着させ
る工程。 (2)被膜を形成させる工程。
【0058】該溶解液付着法に使用し得る被覆装置の一
例について、図1に示した噴流装置を参照しながら説明
する。該方法においては、無機フィラー等の溶剤に不溶
な被膜材料を、被膜材料溶解液中に均一に分散させるた
め、特に被膜材料溶解液の撹拌を強力に行う必要があ
る。さらに、この装置においても溶解液の粘度がフィラ
ーの分散性に影響する。好ましくは0.5〜40[mP
a・s]の範囲であり、さらに好ましくは0.5〜30
[mPa・s]の範囲であることが好ましい。これを超
えるとフィラーの分散性が低下する為に好ましくない。
0.5[mPa・s]以下であると、フィラーと溶剤の
比重差による分散性の悪化の影響が大きくなる。この噴
流装置は、噴流状態にある芯材粒子3に対し、被膜材溶
解液を配管5経由で輸送、スプレーノズル2により噴霧
し、芯材粒子3の表面に吹き付けて、該表面を被覆する
と同時並行的に、高温気体を噴流塔1に下部からガイド
管6へ流入させ、該高速熱風流によって、該粒子表面に
付着している被膜材溶解液中の溶剤を瞬時に蒸発乾燥さ
せるものである。噴霧時間は被膜材料溶解液の樹脂濃
度、及び該溶液のスプレー速度、被覆率等により異なる
が、これらは目的に応じて適宜選択されるべきものであ
る。
【0059】図1に示した噴流装置以外の本発明に使用
し得る被覆装置としては、流動層型または噴流層型の被
覆装置として、特公昭42−24281号公報及び特公
昭42−24282号公報に開示の、ガス体により粒子
の噴水型流動層を形成せしめ、中心部に生ずる粒子分散
層にコーティング剤を噴霧する装置を挙げることがで
き、回転型の被覆装置としては、特開平7−31914
号公報及び特開平7−195007号公報に開示の、ド
ラムの回転によりドラム内周に具えたリフタによって粉
粒体を上方に移送した後に落下させ、落下中の粉粒体表
面にコーティング剤を塗布し、被膜を形成させる装置を
挙げることができる。
【0060】該溶解液付着法で被覆生物活性粒状物を得
る場合、使用する溶剤は特に限定されるものではない
が、被膜に用いる樹脂の種類毎に、各溶剤に対する溶解
特性が異なることから、使用する樹脂に併せて溶剤を選
択すればよい。例えば、樹脂としてオレフィン重合体、
オレフィン共重合体、塩化ビニリデン重合体、塩化ビニ
リデン共重合体などを用いる場合には、塩素系溶剤や炭
化水素系溶剤が好ましく、その中でもテトラクロロエチ
レン、トリクロロエチレン、トルエンを用いた場合に
は、緻密で均一な被膜が得られることから特に好ましい
溶剤である。
【0061】また、被覆生物活性粒状物に含まれる揮発
物質の濃度を低下させる工程として、該芯材粒子の表面
に被膜を形成させた後に、揮発物質を被覆生物活性粒状
物から除去するための脱気工程を設けることが出来る。
脱気の方法は特に限定されないが、通熱風、赤外線照
射、マイクロウェーブ等により、被膜が損傷しない程度
に該被覆生物活性粒状物を加熱する方法を挙げることが
できる。本発明において、脱気は通熱風によるものであ
ることが好ましく、具体的には、該被覆生物活性粒状物
に対し、揮発物質を含有していない、加熱された窒素や
空気、水蒸気等のガスを吹き付ける処理を行えばよい。
【0062】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により限定されるべきものではな
い。尚、以下の実施例における「%」は特に断りがない
限り「重量%」である。 1.実施例1〜4の製造 図1に示される噴流層被覆装置(塔径450mm、高さ
4000mm、空気噴出口径70mm、円錐角50度)
を用い、生物活性物質を含有する芯材粒子として、粒径
が2.0〜3.4mmの範囲であり、円形度係数が0.
8の粒状尿素を用い、その表面を、タルク(平均粒径
5μm)/PE(低密度ポリエチレン(MFR=23g
/10min[JIS K 6760]、密度:d=0.916/c
3、融点105℃))/EVA(エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体(MI=20、酢酸ビニル30重量%))=
60/25/15(重量部)の被膜材料で、被覆率が1
2%になるまで被覆した。製造条件は以下のとおり。ま
た、被覆率は被覆生物活性粒状物の重量(A)と被膜の
重量(B)との和を100重量%とした被覆生物活性粒
状物に対する被膜の重量(A)の比率であり、算式[B
×100/(A+B)]で求めた。被膜材料溶解液は、
前述の被膜材料を溶剤(パークロロエチレン)に均一に
溶解、分散させ、被膜材料溶解液に対する該被膜材料の
濃度を1.0重量%にした。 一流体ノズル:出口径0.8mmフルコーン型 粒状尿素:10kg 被覆中の粒子温度:70℃ 溶解温度:100〜110℃ 噴霧液温度:80〜100℃ 熱風温度:100〜110℃ 熱風風量:240m3/hr スプレー流速:0.5kg/min 被覆回数は、図1中のガイド管6の直径と、ガイド管6
と噴流塔1最下部のオリフィス部との距離を調節するこ
とで粒子の循環回数を変化させ実施例1〜4の被覆生物
活性粒状物を得た。循環回数は噴流塔1下部の粒子充填
部の粒子移動速度を外部から計測し、被覆時間から算出
した。下記に示す方法で被膜中のタルク分散度と、溶解
液の粘度、溶出のバラツキを測定し、その結果を表1に
記載した。
【0063】2.比較例1の製造 溶液濃度を15%とする以外は実施例1に準拠して操作
し、粒子の循環回数を実施例2に合わせ、比較例1の被
覆生物活性粒状物を得た。
【0064】3.比較例2の製造 沸点のより5から10℃低い温度まで加熱したパークロ
ロエチレンを入れた撹拌機付き溶解槽に、PEをPEワ
ックス(融点68〜70℃)に変えた以外は実施例1〜
4と同じ組成の被膜材料を入れ、撹拌して溶解させ、固
形分50重量%の被膜材料溶解液を得た。該被膜材料溶
解液は常時撹拌し均一な分散状態を保持した。回転パン
中に実施例1〜4で用いた粒状尿素と同じものを5kg
入れて転動させ、該粒状尿素を熱風で50℃に維持し
た。次いで、転動状態にある該粒状尿素に該被膜材料溶
解液を1.36kg添加し、転動させながら熱風で溶剤
を蒸発させ比較例2の被覆生物活性粒状物を得た。回転
パンとして直径30cmの糖衣機を使用した。回転数は
30rpm。径5cmの熱風噴出口より200m3/H
Rの100±2℃(出口温度)の熱風を粒状尿素転動面
より約20cmのところから吹き付けた。該被膜材料溶
解液は該溶解槽にて溶解・分散した後、撹拌を継続しな
がら約100℃に保持し、該被膜材料溶解液をポンプで
糖衣機に付設したスプレーノズルに送り、圧縮空気にて
該粒状尿素に添加し、乾燥途中で固結防止剤としてSi
2ダスト(金属珪素製造用溶融炉から発生する煙霧中
に存在する主としてSiO2より成る微粉末)を30g
添加して製造した。下記に示す方法で被膜中のタルク分
散度と、溶出のばらつき(単粒溶出分散度)を測定し、
その結果を表1に記載した。
【0065】
【表1】
【0066】4.性能評価試験 1)タルク分散度の測定 被覆生物活性粒子をカッターで二つに切断し、被膜と生
物活性物質とをピンセットで剥離した。さらに得られた
被膜を十分に水洗した後、乾燥させ、液体チッソで凍結
後破砕した。被覆生物活性粒状物の被膜の破断面を電子
顕微鏡で観察し、膜厚方向を縦、膜表面に対して平行方
向を横とし、被覆生物活性粒状物の被膜の切断面から任
意に、縦×横=20μm×50μmの範囲を10箇所、
任意に抽出した20粒について走査型電子顕微鏡で観察
し、各箇所毎に存在するフィラー数を計測した。その計
測結果からフィラーの変動係数を求めた。 変動係数=標準偏差/平均値×100 2)溶解液の粘度 溶解タンクより溶解液を抜き出し、100℃に保温して
B型粘度計(東京計器)を用いて測定した。 3)単粒溶出分散度の測定 製造した被覆生物活性粒剤の粒間の溶出速度のばらつき
を測定するために、単粒における80%溶出日数の変動
係数を測定しばらつきの指標とした。実施例1〜4及び
比較例1〜2のそれぞれ80粒を任意に取りだし、3m
l水中に浸漬して25℃に静置し、所定期間経過後被覆
生物活性粒状物と水とに分け、水中に溶出した尿素を定
量分析により求めた。肥料には新水3mlを入れて再び
25℃に静置し、所定期間経過後同様の操作を行う。こ
のような動作を反復して水中に溶出した尿素の溶出累計
と日数の関係をグラフ化して溶出速度曲線を作成し、グ
ラフから溶出累計が80%に到達する日数(d1)を読
みとった。各サンプル80粒についてd1の変動係数を
求め、単粒溶出分散度とした。 単粒溶出の変動係数=(d1の標準偏差)/(d1の平
均値)×100
【0067】
【発明の効果】本発明の被覆生物活性粒状物であれば、
粒子間の放出機能のばらつきが少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】噴流層被覆装置の断面図
【図2】脱気処理装置の断面図
【符号の説明】
1.噴流塔 2.スプレーノズル 3.芯材粒子 4.熱風導入管 5.被膜材料導入管 6.ガイド管

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物活性物質を含有する芯材粒子の表面
    を、フィラーを含有する被膜で被覆した被覆生物活性粒
    状物において、該被膜おけるフィラー分散の変動係数が
    50%以下である被覆生物活性粒状物。
  2. 【請求項2】 生物活性物質を含有する芯材粒子の表面
    を、フィラーを含有する被膜で被覆した被覆生物活性粒
    状物において、該被膜おけるフィラー分散の変動係数が
    35%以下である被覆生物活性粒状物。
  3. 【請求項3】 生物活性物質を含有する芯材粒子の表面
    に、被膜材料を溶剤に溶解させた被膜材料溶解液を付着
    させ、該表面に被膜を形成させる被覆生物活性粒状物の
    製造方法において、該被膜材料溶解液の粘度が0.5〜
    40[mPa・s]の範囲であることを特徴とする請求
    項1または2に記載の被覆生物活性粒状物の製造方法。
  4. 【請求項4】 生物活性物質を含有する芯材粒子の表面
    に、被膜材料を溶剤に溶解させた被膜材料溶解液を付着
    させ、該表面に被膜を形成させる被覆生物活性粒状物の
    製造方法において、該被膜材料溶解液の粘度が0.5〜
    40[mPa・s]の範囲であり、且つ下記工程を順に
    20〜160回繰り返し行うことを特徴とする請求項1
    または2に記載の被覆生物活性粒状物の製造方法。 層厚で0.1〜6μmになる量の該被膜材料溶解液
    を、生物活性物質を含有する芯材粒子の表面に付着させ
    る工程。 被膜を形成させる工程。
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