JP2002067849A - エアバッグ - Google Patents

エアバッグ

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JP2002067849A
JP2002067849A JP2000255715A JP2000255715A JP2002067849A JP 2002067849 A JP2002067849 A JP 2002067849A JP 2000255715 A JP2000255715 A JP 2000255715A JP 2000255715 A JP2000255715 A JP 2000255715A JP 2002067849 A JP2002067849 A JP 2002067849A
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airbag
capacity
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internal pressure
air bag
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Kazumi Kobayashi
小林一三
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Takata Corp
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Takata Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】エアバッグ当接時の乗員の衝撃緩和をより十分
かつより効果的に行うようにしつつ、しかも部品点数を
低減することのできるエアバッグを提供する。 【解決手段】インフレータのガスで、最初に小容量のエ
アバッグ9が初期膨張展開する。この初期膨張展開が完
了した状態のエアバッグ9に乗員が当たると、エアバッ
グ9の内圧が上昇する。この内圧が所定圧以上に上昇す
ると、容量制御手段10のテアシーム8による縫合が破
断し、エアバッグ9の容量が増大して、エアバッグ9の
内圧が低下する。これにより、乗員のエアバッグ当接時
の衝撃が吸収緩和される。また、ベントホール5が表面
に現れ、エアバッグ9の内部がこれらのベントホール5
を介して外部と連通するので、エアバッグ9内のガスが
ベントホール5を介して外部へ排出される。これによ
り、エアバッグ9の内圧が更に一層低下し、乗員のエア
バッグ当接時の衝撃がより効果的に吸収緩和される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両衝突時等の緊
急時にインフレータからのガスにより膨張展開して前進
してくる乗員を受け止めるためのエアバッグの技術分野
に属するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の座席前方のステアリングホイー
ルやインストルメントパネル下部等の車体固定部に設け
られるエアバッグ装置においては、車両衝突時などの緊
急時において、の車体固定部に固定されたインフレータ
から放出される反応ガスによりエアバッグが膨張して、
前方へ移動してくる乗員を受け止めて車体に衝突するこ
とによる負傷等から乗員を保護する役割を有している。
【0003】ところで、このようなエアバッグ装置に用
いられているエアバッグには、初期膨張展開時の膨張展
開速度を速くして初期膨張展開時の膨張展開完了までに
要する時間を短くすること、および乗員が膨張展開した
エアバッグに当接したときにエアバッグから乗員に加え
られる衝撃を小さくなるように抑制することが求められ
る。
【0004】このような要求に応えた従来のエアバッグ
として、エアバッグを膨張させるガスを排出するための
排出孔を設け、最初この排出孔を閉塞手段で閉塞してお
き、エアバッグの初期膨張展開完了後に乗員がエアバッ
グに当接したときに上昇する内圧により閉塞手段が排出
孔を開放することにより、初期膨張展開をできるだけ迅
速に行うとともに、乗員のエアバッグへの当接後はエア
バッグ内のガスを排出孔から排出してエアバッグへの当
接による乗員の衝撃を小さくしたエアバッグが、例えば
特開平7−32964号公報や特開平11−22754
9号公報等において知られている。
【0005】また、エアバッグを、最初、その容量が容
量制御手段により所定量小さく制御された小容量のエア
バッグにして初期膨張展開時には小容量のエアバッグを
より迅速に膨張展開完了させ、次に、初期膨張展開完了
後に乗員がエアバッグに当接したときに上昇する内圧に
より容量制御手段が容量制御を解除してエアバッグの容
量が拡大されることによりエアバッグの内圧が低下し
て、エアバッグへの当接による乗員の衝撃を小さくした
エアバッグが、例えば特開平9−48317号公報や特
開平11−227549号公報等において知られてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
7−32964号公報や特開平11−227549号公
報にそれぞれ記載されたエアバッグでは、排出孔を閉塞
するための閉塞手段を設ける必要があるため、部品点数
が多くなっている。また、特開平9−48317号公報
に記載されたエアバッグでは、容量制御手段により容量
制御を単に行うだけであるので、乗員のエアバッグ当接
時の衝撃がある程度緩和されるが、その衝撃緩和が十分
かつ効果的であるとはいえない。そこで、特開平11−
227549号公報に記載のエアバッグは、前述の排出
孔と容量制御手段とを組み合わせることにより、衝撃緩
和をより十分かつより効果的に行うようにしている。し
かしながら、この特開平11−227549号公報に記
載のエアバッグでは、前述のように初期膨張展開時に排
出孔を閉塞する閉塞手段を設ける必要があり、部品点数
が多いという問題を有している。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、エアバッグ当接時の乗員
の衝撃緩和をより十分かつより効果的に行うようにしつ
つ、しかも部品点数を低減することのできるエアバッグ
を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明は、初期膨張展開時にはエアバッ
グの容量を比較的小さく設定し、乗員が初期膨張展開し
たエアバッグに当接することでエアバッグの内圧が所定
圧以上になったとき、エアバッグの容量を増大させる容
量制御手段が設けられていることを特徴としている。ま
た、請求項2の発明は、容量制御手段が、基布の縫合で
初期膨張展開時のエアバッグの容量を比較的小さく設定
し、エアバッグの内圧が所定圧以上になったとき基布の
縫合が破断することにより、エアバッグの容量を増大さ
せることを特徴としている。
【0009】更に、請求項3の発明は、前記基布の縫合
が、前記エアバッグの容量がそれぞれ異なるように設定
する複数の縫合からなり、これらの複数の縫合がそれぞ
れ順次異なるタイミングで破断することにより、エアバ
ッグの容量を段階的に増大させるようになっていること
を特徴としている。更に、請求項4の発明は、前記エア
バッグの内圧が前記所定圧以上になったとき前記基布の
縫合が破断することにより、前記エアバッグの内部をエ
アバッグの外部に連通させて前記エアバッグ内のガスを
外部に排出させる排出孔が設けられていることを特徴と
している。更に、請求項5の発明は、前記容量制御手段
が、更に前記エアバッグの内圧が前記所定圧以上になっ
たとき前記基布の縫合が破断することにより、乗員が当
接するエアバッグの当接面積を増大させるようになって
いることを特徴としている。
【0010】
【作用】このように構成された本発明にかかるエアバッ
グにおいては、初期膨張展開時にはエアバッグの容量が
比較的小さく設定されるので、エアバッグはより迅速に
膨張展開するようになる。そして、膨張展開したエアバ
ッグに乗員が当接したときは、エアバッグの容量が増大
するので、エアバッグの内圧が効率よく低減する。した
がって、乗員のエアバッグへの当接時の衝撃はより効果
的にかつより十分に吸収緩和されるようになる。また、
容量制御手段が基布の縫合で構成されるので、基布を単
に縫合するだけで容量制御手段が構成される。したがっ
て、容量制御手段の構造が簡易になるとともに、容量制
御手段の製造が容易になる。
【0011】更に、基布の縫合が複数の縫合からなり、
これらの複数の縫合がそれぞれ順次異なるタイミングで
破断することで、エアバッグの容量が段階的に増大する
ようになる。これにより、初期膨張展開時のエアバッグ
の容量をより一層小さくできるので、エアバッグは初期
膨張展開時により一層迅速に膨張展開するようになる。
また、エアバッグは初期膨張展開以降、容量が段階的に
増大するように膨張展開するので、エアバッグの内圧が
より一層効率よく低減するようになり、乗員のエアバッ
グへの当接時の衝撃が更に効果的に吸収緩和されるよう
になる。更に、乗員のエアバッグへの当接後、エアバッ
グ内のガスが排出孔から外部に排出され、エアバッグ内
の内圧がより効果的に低下する。したがって、乗員のエ
アバッグへの当接時の衝撃が更に一層吸収緩和されるよ
うになる。
【0012】更に、容量制御手段により、エアバッグの
内圧が所定圧以上になったとき基布の縫合が破断するこ
とにより、乗員が当接するエアバッグの当接面積が増大
するようになる。これにより、乗員が小容量のエアバッ
グに対し偏当たりして、乗員の一部が小容量のエアバッ
グで受け止められないような場合にも、乗員はほぼ全体
が表面積の増大したエアバッグで受け止められるように
なる。したがって、乗員はエアバッグによってより一層
効果的に保護されるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明の実
施の形態を説明する。図1は、本発明にかかるエアバッ
グの実施の形態の第1例を示し、(a)は第1例のエア
バッグの取付側基布を示す図、(b)は第1例のエアバ
ッグの乗員対向側基布を示す図、(c)は取付側基布と
乗員対向側基布とを縫合した第1例のエアバッグおよび
その容量制御手段の設置位置を示す図、(d)は第1例
の容量制御手段を説明する、(c)におけるID−ID線に
沿う断面図、(e)は小容量に制御された状態で取付側
から見た第1例のエアバッグを示す図、(f)は初期膨
張展開が完了したときの第1例のエアバッグを示す斜視
図である。
【0014】この第1例のエアバッグは、ステアリング
ホイールやインストルメントパネル等の車体に固定され
るインフレータ(不図示)に取り付けられる図1(a)
に示す円形状の取付側基布1と、この取付側基布1と同
じ大きさに形成され、乗員に対向する図1(b)に示す
円形状の乗員対向側基布2とから構成されている。取付
側基布1の中心部には、インフレータの一部が挿入され
る円形のインフレータ挿入孔3が穿設されているととも
に、その周囲には所定数(図示例では4個)の取付孔4
が周方向に等間隔で穿設されている。更に、取付側基布
1のインフレータ挿入孔3と外周縁との間には、乗員が
エアバッグに当たったときエアバッグ内のガスを排出す
る所定数(図示例では4個)のベントホール(本発明の
排出孔に相当する)5が周方向に等間隔で穿設されてい
る。これらのインフレータ挿入孔3、取付孔4およびベ
ントホール5は、それぞれ従来の運転者用のエアバッグ
の周知のインフレータ挿入孔、周知の取付孔および周知
のベントホールと同様のものである。
【0015】2枚の取付側基布1および乗員対向側基布
2は、それぞれ同図(c)に示すように互いに重ね合わ
されて、それらの周縁部1a,2aを互いにこれらの基
布1,2の周縁と同心円形状に縫合6することにより、
袋状に形成される。その場合、縫合6は、エアバッグが
膨張した後、乗員が当たることでエアバッグの内圧が上
昇しても破断しない縫合強度に設定されている。また、
取付側基布1のすべてのベントホール5の近傍に、それ
ぞれ、径方向に延びる折れ線7が設定されており、図1
(d)に示すように取付側基布1の一部が折れ線7に沿
って折られることにより、折り重ね部1b,1cが形成
されるとともに、更にこれらの折り重ね部1b,1cの
根元部が折れ線7に平行に延びるテアシーム8によりそ
れぞれ縫合されている。テアシーム8による縫合は、エ
アバッグが膨張展開した後、乗員が当たることで所定圧
以上に上昇したエアバッグの内圧で破断する縫合強度に
設定されている。このテアシーム8により、その縫合の
破断前はエアバッグの容量を小容量に設定し、また縫合
の破断後はエアバッグの容量を大容量(エアバッグの全
容量)に設定する容量制御手段10が構成されている。
そして、一方の折り重ね部1bにベントホール5が位置
するようにされている。なお、両基布1,2の周縁部1
a,2aの縫合6における縫合強度は、エアバッグ9の
上昇した内圧では縫合が破断しない大きさに設定されて
いることはいうまでもない。
【0016】このように袋状に形成されたものを、その
内側が外側にまたその外側が内側になるように反転させ
ることにより、図1(e)に示すように小容量のエアバ
ッグ9が形成される。このとき、図2(a)に拡大して
示すようにすべての折り重ね部1b,1cは小容量のエ
アバッグ9の内部に位置してベントホール5が隠れた状
態となるので、実質的にベントホール5のないエアバッ
グとなっている。また、小容量のエアバッグ9の取付側
基布1の表面には、テアシーム8の縫合による容量制御
手段10の窪んだ縫合ラインが形成されている。したが
って、この小容量のエアバッグ9は、インフレータのガ
ス噴出部がインフレータ挿入孔3に挿入され、取付側基
布1のインフレータ挿入孔3近傍部分がインフレータの
取り付けられた状態では、エアバッグ9の内部が外部と
遮断されるようになる。なお、図1(e)に示すエアバ
ッグ9は完全な円形に記載されているが、テアシーム8
による縫合で、実際には完全な円形にならないことはい
うまでもない。
【0017】このように構成された第1例のエアバッグ
においては、緊急時にインフレータが作動してガスを発
生し、このガスで、まず最初に小容量のエアバッグ9が
膨張展開し、図1(f)に示すように小容量のエアバッ
グ9は初期膨張展開が完了した状態となる。この初期膨
張展開時でのエアバッグ9の容量は容量制御手段10に
よって比較的小さくなっているので、エアバッグ9はよ
り迅速に膨張するようになる。そして、乗員がその慣性
により前進して初期膨張展開が完了したエアバッグ9に
当たると、エアバッグ9の内圧が更に上昇する。
【0018】すると、このときの内圧上昇により、容量
制御手段10のテアシーム8による縫合が破断して図2
(b)に示すように取付側基布1が引き延ばされ、エア
バッグ9内に位置していたすべての折り重ね部1b,1
cが取付側基布1の一部として折り重ならない状態で表
面に現れ、折り重ねが消滅する。これにより、図2
(c)に示すようにエアバッグ9の容量が増大し、エア
バッグ9の内圧が低下するので、乗員のエアバッグ当接
時の衝撃が吸収緩和される。なお、図2(b)および
(c)に二点鎖線で折れ線7の跡が示されている。ま
た、折り重ね部1b,1cが折り重ならない状態で表面
に現れることにより、折り重ね部1bに位置していたす
べてのベントホール5も表面に現れるので、エアバッグ
9の内部がこれらのベントホール5を介して外部と連通
する。すると、エアバッグ9内のガスがベントホール5
を介して外部へ排出されるので、エアバッグ9の内圧が
更に一層低下し、乗員のエアバッグ当接時の衝撃がより
一層効果的に吸収緩和される。
【0019】このようにして、この第1例のエアバッグ
9によれば、初期膨張展開時にはその容量を比較的小さ
く設定するとともにベントホール5を隠すことで、エア
バッグ9内に導入されるガスを外部へ漏出させずにエア
バッグ9を膨張展開させるようにしているので、エアバ
ッグ9をより迅速に膨張展開させることができる。ま
た、この膨張展開したエアバッグ9に乗員が当接したと
きは、エアバッグ9の容量を増大させかつエアバッグ9
内のガスをベントホール5から外部に排出するようにし
ているので、エアバッグ9の内圧を効率よく低減させる
ことができるようになる。したがって、乗員のエアバッ
グ9への当接時の衝撃をより効果的にかつより十分に吸
収緩和することができる。
【0020】しかも、容量制御手段10をテアシーム8
による縫合で構成しているので、基布を単に縫合するだ
けで容量制御手段10を構成でき、部品点数が少なく、
容量制御手段10の構造を簡易にできるとともに、容量
制御手段10の製造を容易にできる。なお、4つのテア
シーム8のうち、いくつかのテアシーム8の縫合強度と
残りのテアシーム8の縫合強度とをそれぞれ異なるよう
に設定することもできる。このようにすれば、エアバッ
グ9を段階的に膨張展開させることができる。
【0021】図3は、本発明にかかるエアバッグの実施
の形態の第2例を示し、(a)は第2例のエアバッグの
取付側基布と乗員側基布とを縫合した状態を示す、図1
(c)と同様の図、(b)は小容量に制御された状態で
取付側から見た第2例のエアバッグを示す、図1(e)
と同様の図である。なお、前述の第1例と同じ構成要素
には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略す
る。
【0022】図3(a)に示すように、この第3例のエ
アバッグ9の取付側基布1と乗員側基布2は、それらの
周縁部1a,2aが同心円形状に縫合6されて袋状に形
成されているとともに、2つの円形状の内、外側テアシ
ーム8a,8bにより縫合6と同心円状に互いに縫合さ
れている。その場合、インフレータ挿入孔3に近い内側
テアシーム8aの縫合強度がインフレータ挿入孔3に遠
い外側テアシーム8bの縫合強度より小さく設定されて
いる。
【0023】また、取付側基布1には、2つの内、外側
テアシーム8a,8bの間に位置して所定数(図示例で
は2個)の内側ベントホール5aが穿設されているとと
もに、縫合6と外側テアシーム8bとの間に位置して所
定数(図示例では2個)の外側ベントホール5bが穿設
されている。その場合、内側ベントホール5aの径が外
側ベントホール5bの径より小さく設定されている。こ
のように2枚の基布1,2が袋状に縫合されたものが前
述の第1例と同様に反転されて、図3(b)に示すよう
に内側テアシーム8aで囲まれる小容量の第2例のエア
バッグ9が形成される。この第2例のエアバッグ9の、
テアシームおよびベントホール以外の他の構成は、第1
例と同じである。
【0024】このように構成された第2例のエアバッグ
9においては、緊急時に発生するインフレータのガス
で、まず最初に図3(b)に示す内側テアシーム8aで
囲まれる小容量のエアバッグ9が膨張展開して、小容量
のエアバッグ9の初期膨張展開が完了する。この初期膨
張展開状態でのエアバッグ9の容量は比較的小さいの
で、小容量のエアバッグ9はより迅速に膨張するように
なる。そして、乗員がその慣性により前進して初期膨張
展開が完了したエアバッグ9に当たると、エアバッグ9
の内圧が更に上昇する。
【0025】そして、上昇した内圧が内側テアシーム8
aの破断圧以上になると、この内圧により、内側テアシ
ーム8aによる縫合が破断して図4(a)に示すように
外側テアシーム8bで囲まれる中容量のエアバッグ9が
形成される。これにより、エアバッグ9の容量が第1所
定量増大し、エアバッグ9の内圧が低下するので、乗員
のエアバッグ当接時の衝撃に対する第1段階の吸収緩和
が行われる。また、内側テアシーム8aによる縫合が破
断することにより、内、外側テアシーム8a,8bの間
に位置していた内側ベントホール5aが表面に現れるの
で、エアバッグ9の内部がこれらの内側ベントホール5
aを介して外部と連通する。すると、エアバッグ9内の
ガスが内側ベントホール5aを介して外部へ排出される
ので、エアバッグ9の内圧が更に一層低下し、乗員のエ
アバッグ当接時の衝撃がより一層効果的に吸収緩和され
る。
【0026】乗員の更なる慣性移動で、乗員のエアバッ
グ9への当接が更に大きくなると、一旦低下したエアバ
ッグ9の内圧が再び上昇する。そして、この内圧が外側
テアシーム8bの破断圧以上になると、この内圧によ
り、外側テアシーム8bによる縫合が破断して図4
(b)に示すように縫合6で囲まれる大容量のエアバッ
グ9が形成される。これにより、エアバッグ9の容量が
更に第2所定量(>第1所定量)増大し、エアバッグ9
の内圧が再び前回より大きく低下するので、乗員の衝撃
に対する第2段階の吸収緩和が行われる。また、外側テ
アシーム8bによる縫合が破断することにより、外側テ
アシーム8bと縫合6との間に位置していた外側ベント
ホール5bも表面に現れるので、エアバッグ9の内部が
これらの外側ベントホール5bも介して外部と連通す
る。すると、エアバッグ9内のガスが内、外側ベントホ
ール5a,5bを介して外部へ排出されるので、エアバ
ッグ9の内圧が更に一層迅速に低下し、乗員のエアバッ
グ当接時の衝撃がより一層効果的に吸収緩和される。
【0027】このようにして、この第2例のエアバッグ
9によれば、内、外側テアシーム8a,8bによる各縫
合をそれぞれ異なるタイミングで破断させてエアバッグ
9の膨張展開を段階的に行うようにすることで、初期膨
張展開時にはその容量を更に一層小さく設定するととも
に内、外側ベントホール5a,5bを隠すことで、エア
バッグ9内に導入されるガスを外部へ漏出させずにエア
バッグ9を膨張展開させるようにしているので、エアバ
ッグ9をより一層迅速に膨張展開させることができる。
また、この膨張展開したエアバッグ9に乗員が当接した
ときは、エアバッグ9の容量を段階的に増大させかつエ
アバッグ9内のガスを段階的に内、外側ベントホール5
a,5bから外部に排出するようにしているので、エア
バッグ9の内圧を衝撃緩和に対してより一層効率よく低
減させることができるようになる。したがって、乗員の
エアバッグ9への当接時の衝撃をより効果的にかつより
十分に吸収緩和することができる。この第2例のエアバ
ッグ9の他の作用効果は、第1例と同じである。
【0028】なお、内、外側テアシーム8a,8bの縫
合強度は同じに設定することもできるし、第2例と逆に
設定することもできる。また、内、外側ベントホール5
a,5bの径も、同様に同じに設定することもできる
し、第2例と逆に設定することもできる。テアシーム8
を3以上設けることで、エアバッグ9を3段階以上の複
数段階で膨張展開することもできる。
【0029】図5は、本発明にかかるエアバッグの実施
の形態の第3例を示し、(a)は第3例のエアバッグの
取付側基布と乗員側基布とを縫合した状態を示す、図1
(c)と同様の図、(b)は小容量に制御された状態で
取付側から見た第3例のエアバッグを示す、図1(e)
と同様の図、(c)は最大に膨張展開した状態で取付側
から見た第3例のエアバッグを示す、図2(c)と同様
の図である。なお、前述の第1および第2例と同じ構成
要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略
する。
【0030】図5(a)に示すように、この第3例のエ
アバッグの両基布1,2の周縁部が、前述の第1および
第2例のエアバッグと同様に円形状に縫合6されて袋状
に形成されている。また、前述の第2例の円形状のエア
バッグ9では、2つの円形状の内、外側テアシ−ム8
a,8bが設けられているが、この第3例では1つの円
形状のテアシ−ム8が円形状の縫合6と同心円状に設け
られている。その場合、このテアシーム8による縫合
は、初期膨張展開したエアバッグに乗員が当たることで
所定圧に上昇したエアバッグの内圧で破断する縫合強度
に設定されている。また、第3例のエアバッグ9におい
ては、テアシ−ム8と円形状の縫合6との間の表面積
が、後述するようにエアバッグ9にある程度偏当たりし
たときにもこのエアバッグ9によって乗員のほぼ全体を
確実に受け止めることができるような大きさに設定され
ている。
【0031】更に、この第3例のエアバッグ9は前述の
第1例と同じ所定数(図示例では4個)のベントホール
5が設けられている。そして、図5(a)に示す袋状に
縫合された両基布1,2を前述の第1および第2例と同
様に反転することにより、図5(b)に示すテアシーム
8で囲まれる小容量の第3例のエアバッグ9が形成され
ている。このとき、エアバッグ9の表面積も比較的小さ
くなっている。この第3例のエアバッグ9の他の構成
は、第1および第2例と同じである。
【0032】このように構成された第3例のエアバッグ
9においては、緊急時に発生するインフレータのガス
で、まず最初に図5(b)に示すテアシーム8で囲まれ
る小容量のエアバッグ9が膨張展開して、小容量のエア
バッグ9の初期膨張展開が完了する。この初期膨張展開
状態でのエアバッグ9の容量は比較的小さいので、小容
量のエアバッグ9はより迅速に膨張するようになる。そ
して、乗員がその慣性により前進して初期膨張展開が完
了したエアバッグ9に当たると、エアバッグ9の内圧が
更に上昇する。
【0033】そして、上昇した内圧がテアシーム8の破
断圧以上になると、この内圧により、テアシーム8によ
る縫合が破断して図5(c)に示すように縫合6で囲ま
れる大容量のエアバッグ9が形成される。これにより、
エアバッグ9の容量が所定量増大し、エアバッグ9の内
圧が低下するので、乗員のエアバッグ当接時の衝撃が吸
収緩和される。また、テアシーム8による縫合が破断す
ることにより、テアシーム8と縫合6との間に位置して
いたベントホール5が表面に現れるので、エアバッグ9
の内部がこれらのベントホール5を介して外部と連通す
る。すると、エアバッグ9内のガスがベントホール5を
介して外部へ排出されるので、エアバッグ9の内圧が更
に一層低下し、乗員のエアバッグ当接時の衝撃がより一
層効果的に吸収緩和される。
【0034】更に、テアシーム8による縫合が破断する
ことにより、エアバッグ9の表面積が比較的大きく増大
する。したがって、例えば、図5(b)に二点鎖線で示
すように乗員が小容量のエアバッグ9に対し偏当たりし
て、乗員の一部がエアバッグ9の表面積(本発明の当接
面積に相当)で受け止められないとき、エアバッグ9の
表面積が増大することにより、図5(c)に二点鎖線で
示すように乗員はほぼ全体が大表面積のエアバッグ9で
受け止められる。これにより、乗員はエアバッグ9によ
ってより一層効果的に保護されるようになる。この第3
例のエアバッグ9の他の作用効果は、第1および第2例
と同じである。
【0035】図6および図7は、それぞれ、本発明の第
4および第5例のエアバッグを模式的に示し、それぞれ
(a)は小容量時のエアバッグの膨張展開を示す図、
(b)は大容量時のエアバッグの膨張展開を示す図であ
る。前述の第1ないし第3例のエアバッグ9は円形状に
形成された運転者用のエアバッグであるが、これらの第
4および第5例のエアバッグ9は矩形状に形成されたパ
ッセンジャ(助手席の乗員)用のエアバッグである。そ
の場合、図6(a)に示すように第4例のエアバッグ9
では、その下部にテアシーム8が横方向に延びて設けら
れている。したがって、この第4例のエアバッグ9も初
期膨張展開時には小容量となっていて、エアバッグ9の
初期膨張展開時での膨張展開が迅速に行われる。また、
エアバッグ9の初期膨張展開時では、第4例のエアバッ
グ9は第3例と同様に小表面積となっており、このた
め、例えば図6(a)に二点鎖線で示すように乗員の下
部が小表面積のエアバッグ9で受け止められない場合が
ある。
【0036】また、前述の各例と同様に、乗員当接時に
上昇したエアバッグ9の内圧でテアシーム8の縫合が破
断し、このテアシーム8の破断により図6(b)に示す
ようにエアバッグ9が下方に膨張展開してエアバッグ9
の容量が増大するのでエアバッグ9の内圧が低下し、乗
員の衝撃が緩和される。このとき、テアシーム8の破断
によりエアバッグ9の表面積も増大するので、図6
(b)に二点鎖線で示すように乗員の下部もエアバッグ
9の下部も受け止められるようになり、乗員はエアバッ
グ9でより効果的に保護されるようになる。
【0037】一方、図7(a)に示すように第5例のエ
アバッグ9では、その両端部にそれぞれテアシーム8が
縦方向に延びて設けられている。したがって、この第5
例のエアバッグ9も初期膨張展開時には小容量となって
いて、エアバッグ9の初期膨張展開時での膨張展開が迅
速に行われる。また、エアバッグ9の初期膨張展開時で
は、第5例のエアバッグ9も第3例と同様に小表面積と
なっており、このため、例えば図7(a)に二点鎖線で
示すように乗員がエアバッグ9に偏当たりすると、乗員
の側部が小表面積のエアバッグ9で受け止められない場
合がある。
【0038】また、前述の各例と同様に、乗員当接時に
上昇したエアバッグ9の内圧でテアシーム8の縫合が破
断し、このテアシーム8の破断により図7(b)に示す
ようにエアバッグ9が左右に膨張展開してエアバッグ9
の容量が増大するのでエアバッグ9の内圧が低下し、乗
員の衝撃が緩和される。このとき、テアシーム8の破断
によりエアバッグ9の表面積も増大するので、図7
(b)に二点鎖線で示すようにエアバッグ9に偏当たり
した乗員の側部もエアバッグ9に受け止められるように
なり、乗員はエアバッグ9でより効果的に保護されるよ
うになる。これらの第4および第5例のエアバッグ9の
他の構成および他の作用効果は、第3例と同じである。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のエアバッグによれば、初期膨張展開時にはエアバッグ
の容量が比較的小さく設定し、乗員が当接したときは、
エアバッグの容量を増大させているので、初期膨張展開
時にエアバッグをより迅速に膨張展開させることがで
き、しかも、乗員のエアバッグへの当接時の衝撃をより
効果的にかつより十分に吸収緩和できるようになる。ま
た、容量制御手段を基布の縫合により構成しているの
で、部品点数を少なくでき、容量制御手段の構造を簡易
にできるとともに、容量制御手段の製造を容易にでき
る。
【0040】更に、エアバッグの容量を段階的に増大す
るようにしているので、初期膨張展開時のエアバッグの
容量をより一層小さくでき、エアバッグを初期膨張展開
時により一層迅速に膨張展開させることができるととも
に、エアバッグの内圧をより一層効果的に低減させるこ
とができ、乗員のエアバッグへの当接時の衝撃をより適
切に吸収緩和することができる。更に、乗員のエアバッ
グへの当接後、エアバッグ内のガスを排出孔から外部に
排出させるようにしているので、エアバッグ内の内圧を
更に効果的に低下させることができ、乗員のエアバッグ
への当接時の衝撃を更に一層吸収緩和させることができ
る。
【0041】更に、乗員の当接後に乗員のエアバッグへ
の当接面積を増大するようにしているので、乗員のほぼ
全体をエアバッグでより確実に受け止めることができる
ようになり、乗員をエアバッグによってより一層効果的
に保護できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるエアバッグの実施の形態の第
1例を示し、(a)は第1例のエアバッグの取付側基布
を示す図、(b)は第1例のエアバッグの乗員対向側基
布を示す図、(c)は取付側基布と乗員対向側基布とを
縫合した第1例のエアバッグおよびその容量制御手段の
設置位置を示す図、(d)は第1例の容量制御手段を説
明する、(c)におけるID−ID線に沿う断面図、(e)
は小容量に制御された状態で取付側から見た第1例のエ
アバッグを示す図、(f)は初期膨張展開が完了したと
きの第1例のエアバッグを示す斜視図である。
【図2】 (a)は第1例のエアバッグの一部を拡大し
て示す斜視図、(b)は(a)におけるテアシームによ
る縫合が破断した状態を示す斜視図、(c)は大容量に
膨張展開した状態の第1例のエアバッグを示す図であ
る。
【図3】 本発明の実施の形態の第2例を示し、(a)
は2枚の基布を袋状に縫合した状態を示す図、(b)は
(a)の袋状の基布を反転して形成された小容量の第2
例のエアバッグを示す図である。
【図4】 (a)は第1段階で膨張展開した第2例のエ
アバッグを示す図、(b)は第2段階で膨張展開した第
2例のエアバッグを示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態の第3例を示し、(a)
は2枚の基布を袋状に縫合した状態を示す図、(b)は
(a)の袋状の基布を反転して形成された小容量の第3
例のエアバッグを示すとともに、乗員のエアバッグへの
偏当たりを説明する図、(c)は大容量に膨張展開した
状態の第3例のエアバッグを示すとともに、乗員のエア
バッグへの当接を説明する図である。
【図6】 本発明の実施の形態の第4例を模式的に示
し、(a)は膨張展開前の小容量の第4例のエアバッグ
を示すとともに、乗員のエアバッグへの偏当たりを説明
する図、(b)は大容量に膨張展開した状態の第4例の
エアバッグを示すとともに、乗員のエアバッグへの当接
を説明する図である。
【図7】 本発明の実施の形態の第5例を模式的に示
し、(a)は膨張展開前の小容量の第5例のエアバッグ
を示すとともに、乗員のエアバッグへの偏当たりを説明
する図、(b)は大容量に膨張展開した状態の第5例の
エアバッグを示すとともに、乗員のエアバッグへの当接
を説明する図である。
【符号の説明】
1…取付側基布、2…乗員対向側基布、3…たて糸、5
…ベントホール、6…縫合、8…テアシーム、8a…内
側テアシーム、8b…外側テアシーム、9…エアバッ
グ、10…容量制御手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 袋状に形成された基布からなり、インフ
    レータからのガスによって膨張展開するエアバッグにお
    いて、 初期膨張展開時にはエアバッグの容量を比較的小さく設
    定し、乗員が初期膨張展開したエアバッグに当接するこ
    とでエアバッグの内圧が所定圧以上になったとき、エア
    バッグの容量を増大させる容量制御手段が設けられてい
    ることを特徴とするエアバッグ。
  2. 【請求項2】 前記容量制御手段は、前記基布の縫合で
    初期膨張展開時のエアバッグの容量を比較的小さく設定
    し、前記エアバッグの内圧が前記所定圧以上になったと
    き前記基布の縫合が破断することにより、エアバッグの
    容量を増大させることを特徴とする請求項1記載のエア
    バッグ。
  3. 【請求項3】 前記基布の縫合は、前記エアバッグの容
    量がそれぞれ異なるように設定する複数の縫合からな
    り、これらの複数の縫合がそれぞれ順次異なるタイミン
    グで破断することにより、エアバッグの容量を段階的に
    増大させるようになっていることを特徴とする請求項2
    記載のエアバッグ。
  4. 【請求項4】 前記エアバッグの内圧が前記所定圧以上
    になったとき前記基布の縫合が破断することにより、前
    記エアバッグの内部をエアバッグの外部に連通させて前
    記エアバッグ内のガスを外部に排出させる排出孔が設け
    られていることを特徴とする請求項2記載のエアバッ
    グ。
  5. 【請求項5】 前記容量制御手段は、更に前記エアバッ
    グの内圧が前記所定圧以上になったとき前記基布の縫合
    が破断することにより、乗員が当接するエアバッグの当
    接面積を増大させるようになっていることを特徴とする
    請求項2ないし3のいずれか1記載のエアバッグ。
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