JP2002062556A - 高調波出力安定化方法及びそれを利用する短波長レーザ光源 - Google Patents

高調波出力安定化方法及びそれを利用する短波長レーザ光源

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JP2002062556A JP2001206425A JP2001206425A JP2002062556A JP 2002062556 A JP2002062556 A JP 2002062556A JP 2001206425 A JP2001206425 A JP 2001206425A JP 2001206425 A JP2001206425 A JP 2001206425A JP 2002062556 A JP2002062556 A JP 2002062556A
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公典 水内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体レーザを用いた短波長レーザ光源から
の基本波を光波長変換素子に入射して高調波に変換する
際に、出射される変換後の高調波の光学特性を安定化す
る。 【解決手段】 LiTaO3基板に分極反転領域3と光導波路
2とを形成した光波長変換素子22の光導波路2に半導
体レーザ光P1を入射させ、波長変換することで青色光
を得る。その際に、DBR半導体レーザ21aのDBR
部40の駆動電流を変化させ、半導体レーザ21aの発
振波長を光波長変換素子22の位相整合波長に合わせ
て、発生する高調波P2を一定に制御する。これによ
り、環境温度が変化しても半導体レーザの波長は一定で
あり、安定な動作が行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コヒ−レント光を
利用する光情報処理分野や光応用計測制御分野にて使用
される高調波出力安定化方法、及びそれを利用した短波
長レーザ光源に関する。
【0002】
【従来の技術】光情報処理分野では、光記録用短波長レ
ーザ光源は数mW以上の出力が必要である。青色レーザ
光源としては、基本波を発する半導体レーザと基本波の
高調波を発生する光波長変換素子との組み合わせが有望
である。
【0003】図22は、青色光を発生する従来の短波長
レーザ光源5000の構成を示す断面図である。半導体
レーザ121から出た基本波P1は、コリメータレンズ
124で平行化された後に、フォーカスレンズ125に
よって、光波長変換素子122の内部に形成された光導
波路102に集光される。光導波路102の内部で基本
波P1は高調波P2に変換されて、外部に取り出され
る。なお、短波長レーザ光源5000の各構成要素は、
Alでできた基材120の上に搭載されている。また、
光波長変換素子122は、その光導波路102が形成さ
れている面を下に向けて石英板123の上に配置されて
いる。
【0004】次に、従来の短波長レーザ光源5000で
使用されている光波長変換素子122について、詳しく
説明する。
【0005】図23(a)は、従来の光波長変換素子1
22の斜視図であり、図23(b)は、図23(a)の
線23B−23Bにおける断面図である。以下では、光
波長変換素子122の動作を、波長873nmの基本波
に対する高調波の発生(波長437nm)を例にとって
説明する(Kazuhisa Yamamoto and Kiminori Mizuuchi,
"Blue light generation by frequency doubling of
a laser diode in a periodically-domain inverted Li
TaO3 waveguide", IEEE Photonics TechnologyLetters,
Vol.4, No.5, P435-437,1992年、参照)。
【0006】図23(a)及び(b)に示されるよう
に、光波長変換素子122では、LiTaO3基板10
1に光導波路102が形成され、さらに光導波路102
には周期的に分極の反転した層(分極反転領域)103
が形成されている。基本波P1と発生する高調波P2と
の伝搬定数の不整合を、分極反転領域103と非分極反
転領域104の周期構造で補償する。これによって、基
本波P1は高効率で高調波P2に変換されて、出射され
る。なお、図23(b)の矢印は、各領域における分極
の方向を示している。
【0007】次に、図24(a)及び(b)を用いて、
光波長変換素子122における高調波の増幅の原理を説
明する。
【0008】図24(a)は、非分極反転素子131及
び分極反転素子132の内部構成、すなわち分極の方向
を、模式的に示している。なお、図24(a)の矢印
は、各領域における分極の方向を示している。
【0009】分極反転していない非分極反転素子131
では、分極反転領域は形成されておらず、分極の方向は
一方向に揃っている。この非分極反転素子131を基本
波が進行する際にも、基本波の一部は高調波に変換され
る。しかし、非分極反転素子131の構成では、光導波
路の進行方向に対して、高調波出力131aは図24
(b)に示すように増減を繰り返しているだけである。
【0010】これに対して、周期的に分極が反転してい
る1次周期の分極反転波長変換素子132では、高調波
出力132aは、図24(b)に示されるように光導波
路の長さLの2乗に比例して増大する。ただし、分極反
転構造において、入射する基本波P1に対して高調波P
2の出力が得られるのは、擬似位相整合が成立するとき
だけである。擬似位相整合は、分極反転領域の周期Λ1
がλ/(2(N2ω−Nω))に一致するときに限って
成立する。ここで、Nωは基本波(波長λ)の実効屈折
率、N2ωは高調波(波長λ/2)の実効屈折率であ
る。
【0011】このような、分極反転構造を基本構成要素
としている従来の光波長変換素子5000の製造方法に
ついて説明する。
【0012】まず、非線形光学結晶であるLiTaO3
基板101の上に、蒸着とフォトリソグラフィとによっ
て、幅数μmの周期のTa膜のパターンを形成する。次
に、温度260℃でTaパターンに対してプロトン交換
処理を行った後に、550℃程度の温度で熱処理を行
い、LiTaO3基板101に対して分極が反対向きに
反転している分極反転領域103を形成する。次に、T
a膜によるスリットを再び形成した後に、温度260℃
に設定したピロ燐酸の中で12分間の熱処理を行い、さ
らにその後に温度420℃で1分間のアニール処理を行
う。これによって、光導波路102を形成する。
【0013】上記のようにして作製される光波長変換素
子122で、光導波路102の長さを10mmとすれ
ば、波長873nmの基本波P1に対して、基本波P1
のパワーが37mWであるときに、1.1mWのパワー
を有する高調波P2が出射される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、光波長変換素
子122の基本波波長に対する許容幅は、一般に0.1
nmと狭い。そのために、半導体レーザのモードホップ
や出射光の波長の広がりを許容できない。
【0015】例えば、上記のような分極反転領域を基本
とした従来の波長変換素子122では、素子長が10m
mのときの基本波レーザ光の波長変動に対する許容度は
非常に狭く、典型的には半値幅で0.1nm程度しかな
い。また、温度に対する許容幅も、典型的には3℃と狭
い。そのため、光波長変換素子と半導体レーザとを組み
合わせた場合に、半導体レーザの出力が温度変化によっ
て影響を受けて、出力光に波長変動が生じると、高調波
への変換が行われなくなるか、または変換されて出射さ
れる高調波の出力が大きく変動するといった問題があ
る。
【0016】これらの問題点について、以下に説明す
る。
【0017】典型的には、半導体レーザの波長が0.0
5nmずれただけで、得られる高調波出力は、所期の値
の半分になる。半導体レーザの波長変化に対する許容度
は、このように小さい。例えば、半導体レーザの動作時
の周囲温度が20℃から21℃に1℃だけ温度変化する
と、半導体レーザの縦モードはひとつずれて、発振波長
が820.0nmから820.2nmに変化する。この
ため、高調波出力はゼロになる。
【0018】一方、光波長変換素子122の温度変化に
対する許容幅に関しても、環境温度が変化すると、たと
え半導体レーザの発振波長が安定していても、高調波出
力は得られなくなる。また、モードホップがたびたび起
こるとノイズの原因となり、光ディスクの読み取り等で
は問題となる。
【0019】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、環境温度に左右されな
い、すなわち環境温度が変わっても安定した高調波出力
が得られる高調波出力安定化方法、およびそれを利用し
た短波長レーザ光源を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明のある局面によれ
ば、高調波出力安定方法が、波長可変部を有する分布ブ
ラッグ反射型半導体レーザから出射された基本波を光波
長変換素子の中で高調波へと変換する工程と、該分布ブ
ラッグ反射型半導体レーザの該波長可変部の印加電流を
制御して、該分布ブラッグ反射型半導体レーザの発振波
長を変え、それによって、該高調波のピークに該発振波
長を合わせる工程と、を包含しており、それによって上
記目的が達成される。
【0021】本発明の他の局面によれば、高調波出力安
定方法が、半導体レーザから出射された基本波を光波長
変換素子の中で高調波へと変換する工程と、該半導体レ
ーザに対して光フィードバックを適用して、該半導体レ
ーザの発振波長を所定の値に設定する工程と、該半導体
レーザの駆動電流を制御して該発振波長を変え、それに
よって、該高調波のピーク出力に該発振波長を合わせる
工程と、を包含しており、それによって上記目的が達成
される。
【0022】本発明のさらに他の局面によれば、高調波
出力安定方法が、第1の波長可変手段および第2の波長
可変手段を有する分布ブラッグ反射型半導体レーザから
出射された基本波を光波長変換素子で高調波へと変換す
る工程と、該第1の波長可変手段で該分布ブラッグ反射
型半導体レーザの発振波長を粗調整し、該第2の波長可
変手段で該発振波長を微調整して、それによって、該高
調波のピークに該発振波長を合わせる工程と、を包含し
ており、そのことによって上記目的が達成される。
【0023】本発明のさらに他の局面によれば、高調波
出力安定方法が、波長可変部を有する分布ブラッグ反射
型半導体レーザから出射された基本波を光波長変換素子
で高調波へと変換する工程と、該高調波出力を差動検出
し、検出結果を用いて該分布ブラッグ反射型半導体レー
ザの該波長可変部の印加電流を制御して該分布ブラッグ
反射型半導体レーザの発振波長を変え、それによって、
該高調波のピークに該発振波長を合わせる工程と、を包
含しており、そのことによって上記目的が達成される。
【0024】本発明のさらに他の局面によれば、高調波
出力安定化方法が、波長ロックされた半導体レーザから
出射された基本波を、該半導体レーザの発振縦モード間
隔に対して広い許容波長半値幅を有する光波長変換素子
の中で高調波へと変換する工程と、該半導体レーザの印
加電流を制御して、該半導体レーザの発振波長を変え、
それによって、該高調波のピーク出力に該発振波長を合
わせる工程と、を包含しており、そのことによって上記
目的が達成される。
【0025】ある実施形態では、前記光波長変換素子が
光導波路型である。
【0026】他の実施形態では、前記光波長変換素子が
バルク型である。
【0027】さらに他の実施形態では、基本波出力をモ
ニタして電流を制御する。
【0028】さらに他の実施形態では、縦モード間隔が
1nm以上となるように、前記半導体レーザのへき開面
とDBR部との間に反射体がさらに設けられている。
【0029】さらに他の実施形態では、前記分布ブラッ
グ反射型半導体レーザにおいて、前記波長可変部或いは
前記第1の波長可変手段が、前記光波長変換素子から遠
い側に配置されている。
【0030】さらに他の実施形態では、前記分布ブラッ
グ反射型半導体レーザ或いは前記半導体レーザ、及び前
記光波長変換素子は基材の上にマウントされており、該
半導体レーザの活性層及び該光波長変換素子の光導波路
が、それぞれ該基材から遠い側に配置されている。
【0031】本発明のさらに他の局面によれば、短波長
レーザ光源が、非線形光学結晶中に形成された周期状分
極反転領域を有する光波長変換素子と、分布ブラッグ反
射型半導体レーザと、を備えていて、該分布ブラッグ反
射型半導体レーザは波長可変部を有し、該分布ブラッグ
反射型半導体レーザから出射された基本波が該光波長変
換素子の中で高調波へと変換され、該分布ブラッグ反射
型半導体レーザの該波長可変部の印加電流の制御によっ
て、該分布ブラッグ反射型半導体レーザの発振波長を変
化させて該高調波のピークに該発振波長を合わせ、それ
によって一定の高調波出力が取り出され、そのことによ
って上記目的が達成される。
【0032】本発明のさらに他の局面によれば、短波長
レーザ光源が、非線形光学結晶中に形成された周期状分
極反転領域を有する光波長変換素子と、分布ブラッグ反
射型半導体レーザとを備え、該分布ブラッグ反射型半導
体レーザから出射された基本波が該光波長変換素子の中
で高調波へと変換され、そのことによって上記目的が達
成される。
【0033】本発明のさらに他の局面によれば、短波長
レーザ光源が、非線形光学結晶中に形成された周期状分
極反転領域を有する光波長変換素子と、半導体レーザ
と、を備え、該半導体レーザから出射された基本波が該
光波長変換素子の中で高調波へと変換され、光フィード
バックにより所定の値に設定されている該半導体レーザ
の発振波長を、該半導体レーザの駆動電流の制御によっ
て変え、それによって、該高調波のピーク出力に該発振
波長を合わせることで一定の高調波出力を取り出し、そ
のことによって上記目的が達成される。
【0034】本発明のさらに他の局面によれば、短波長
レーザ光源が、非線形光学結晶中に形成された周期状分
極反転領域を有する光波長変換素子と、第1の波長可変
手段および第2の波長可変手段を有する分布ブラッグ反
射型半導体レーザと、を備え、該分布ブラッグ反射型半
導体レーザから出射された基本波が該光波長変換素子で
高調波へと変換され、該第1の波長可変手段は該分布ブ
ラッグ反射型半導体レーザの発振波長を粗調整し、該第
2の波長可変手段は該発振波長を微調整して、それによ
って、該高調波のピークに該発振波長を合わせて、一定
の高調波出力を取り出し、そのことによって上記目的が
達成される。
【0035】本発明のさらに他の局面によれば、短波長
レーザ光源が、第1の波長可変手段を有する分布ブラッ
グ反射型半導体レーザと、第2の波長可変手段と非線形
光学結晶中に形成された周期状分極反転領域とを有する
光波長変換素子と、を備え、該分布ブラッグ反射型半導
体レーザから出射された基本波が該光波長変換素子で高
調波へと変換され、該第1の波長可変手段は該分布ブラ
ッグ反射型半導体レーザの発振波長を粗調整し、該第2
の波長可変手段は該光波長変換素子の位相整合波長を微
調整して、それによって、該高調波のピークを該発振波
長に合わせて、一定の高調波出力を取り出し、それによ
って上記目的が達成される。
【0036】本発明のさらに他の局面によれば、短波長
レーザ光源が、波長ロックされた半導体レーザと、該半
導体レーザの発振縦モード間隔に対して広い許容波長半
値幅を有する光波長変換素子と、を備え、該半導体レー
ザから出射された基本波が該光波長変換素子の中で高調
波へと変換され、該半導体レーザの印加電流を制御して
該半導体レーザの発振波長を変えて、該高調波のピーク
出力に該発振波長を合わせて一定の高調波出力を取り出
し、そのことによって上記目的が達成される。
【0037】本発明のさらに他の局面によれば、短波長
レーザ光源が、非線形光学結晶中に形成された周期状分
極反転領域を有する光波長変換素子と、波長可変部を有
する分布ブラッグ反射型半導体レーザと、を備え、該分
布ブラッグ反射型半導体レーザの外部に反射体をさらに
有していて、該反射体と該分布ブラッグ反射型半導体レ
ーザとの間でレーザ発振が生じ、該分布ブラッグ反射型
半導体レーザから出射された基本波が該光波長変換素子
の中で高調波へと変換され、該分布ブラッグ反射型半導
体レーザの波長可変部の印加電流を制御して該分布ブラ
ッグ反射型半導体レーザの発振波長を変え、発生する該
高調波のピークに該発振波長を合わせて、一定の高調波
出力を取り出し、そのことによって上記目的が達成され
る。
【0038】本発明のさらに他の局面によれば、短波長
レーザ光源が、非線形光学結晶中に形成された少なくと
も3つ以上の周期状分極反転領域を有する光波長変換素
子と、半導体レーザと、を備え、該3つ以上の周期状分
極反転領域は、周期Λの第1の周期状分極反転領域と、
周期Λ1の第2の周期状分極反転領域と、周期Λ2の第
3の周期状分極反転領域と、を含み、周期の関係がΛ1
<Λ<Λ2であり、周期Λ1の第第2の周期状分極反転
領域で発生した高調波と周期Λ2の該第3の周期状分極
反転領域で発生した高調波とは、それぞれ異なる検出器
で検出され、そのことによって上記目的が達成される。
【0039】ある実施形態では、前記光波長変換素子が
光導波路型である。好ましくは、前記光導波路がプロト
ン交換光導波路である。
【0040】他の実施形態では、前記光波長変換素子が
バルク型である。
【0041】さらに他の実施形態では、前記非線形光学
結晶がLiNbxTa1-x3(0≦X≦1)基板であ
る。
【0042】さらに他の実施形態では、ディテクタおよ
びビームスプリッタをさらに有する。
【0043】さらに他の実施形態では、基本波出力をモ
ニタして電流を制御する。
【0044】さらに他の実施形態では、縦モード間隔が
1nm以上となるように、前記半導体レーザのへき開面
とDBR部との間に反射体がさらに設けられている。
【0045】さらに他の実施形態では、前記光波長変換
素子の入射面または出射面のいずれかに反射体がさらに
設けられている。
【0046】さらに他の実施形態では、前記光波長変換
素子における前記基本波の反射戻り光が0.2%以下で
ある。
【0047】さらに他の実施形態例では、前記分布ブラ
ッグ反射型半導体レーザをRF駆動する。
【0048】さらに他の実施形態では、ペルチエ素子の
第1の面にて前記半導体レーザの温度を制御し、該ペル
チエ素子の第2の面にて前記光波長変換素子の温度を制
御し、かつ該第1の面と該第2の面とでは温度変化がお
互いに逆である。
【0049】さらに他の実施形態では、前記基本波の波
長を前記光波長変換素子の位相整合波長からずらすこと
によって、高調波出力を変調する。
【0050】さらに他の実施形態では、前記基本波の波
長を前記光波長変換素子の位相整合波長に合わせた後
に、前記半導体レーザの駆動電流を調整して高調波出力
を調整する。
【0051】さらに他の実施形態では、前記分布ブラッ
グ反射型半導体レーザにおいて、前記波長可変部或いは
前記第1の波長可変手段が、前記光波長変換素子から遠
い側に配置されている。
【0052】さらに他の実施形態では、前記分布ブラッ
グ反射型半導体レーザ或いは前記半導体レーザ、及び前
記光波長変換素子は基材の上にマウントされており、該
半導体レーザの活性層及び該光波長変換素子の光導波路
が、それぞれ該基材から遠い側に配置されている。
【0053】以下、作用について説明する。
【0054】本発明では、半導体レーザの駆動電流をわ
ずかに変化させることによって発振波長を変え、光波長
変換素子(SHG)の位相整合波長に発振波長を合わせ
ることができる。通常は、環境温度が変化すると位相整
合波長が変化し、光波長変換素子の擬似位相整合条件が
満足されなくなって高調波出力が得られなくなる。これ
に対して、本発明によれば、位相整合波長が変化して
も、駆動電流を変化させることで半導体レーザの発振波
長λを変化させ、位相整合波長に合わせることで、常に
最高の高調波出力が得られる条件が維持される。
【0055】分布ブラッグ反射型半導体レーザ(以下、
「DBR半導体レーザ」と称する)は、活性層に印加す
る電流を変えても発振波長はほとんど変化しないが、D
BR部に電流注入機能を加えてそこに電流を流すと、屈
折率が変化して反射波長が変わる。このようにして、発
振波長を変化させることができる。つまり、半導体レー
ザのDBR部への注入電流を変化させることで屈折率が
変化し、フィードバックされる発振波長が変わる。これ
により、レーザの発振波長を変えることができ、光波長
変換素子の擬似位相整合波長に合わせることができる。
【0056】高調波出力をディテクタでモニタし、常に
最高値となるように電流を調整することにより、高調波
が安定に保たれる。また、最初から擬似的に位相整合す
る波長からずれていたとしても電流を印加することで擬
似位相整合条件にすることができ高調波を高効率に取り
出すことができる。
【0057】さらに、上記のような構成により、本発明
によれば、電流印加に対して効率的に屈折率が変化し
て、高調波出力を変調することが可能となる。すなわ
ち、初期状態で位相整合がとれている場合に、電流印加
によって屈折率が大きく変化して、位相整合波長からの
ずれが生じる。これを利用すれば、印加する電流の変化
により、高調波出力のON/OFF制御をすることがで
きる。
【0058】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)図1は、本発
明の第1の実施形態における短波長レーザ光源100の
構成を示す断面図である。
【0059】この短波長レーザ光源100では、非線形
光学結晶であるLiTaO3基板1の表面に周期状の分極反転
領域3が形成されている光波長変換素子22aを用い
る。さらに、光波長変換素子22aの周期状の分極反転
領域3が形成されている表面には、プロトン交換を用い
て光導波路2が形成されている。
【0060】また、短波長レーザ光源100は、波長可
変部を有するDBR半導体レーザ21aを用いている。
DBR半導体レーザ21a及び光波長変換素子22a
は、Alでできた基材20の上に固定されている。半導
体レーザ21aから出射された基本波P1は、コリメー
タレンズ24で平行光にされた後、半波長板26を介し
てフォーカスレンズ25で集光され、光波長変換素子2
2aの光導波路2に入射面10から入射する。半波長板
26は、基本波P1の偏光方向を90度回転させ、光導
波路2の偏光方向に一致させるために挿入されている。
【0061】光導波路2に入った基本波P1は、位相整
合長Lの長さを持った分極反転領域3で高調波P2に変
換される。さらに、その後に続く同じくLの長さを持っ
た非分極反転領域4で、高調波のパワーが増幅される。
このようにして、光導波路2の内部で増幅された高調波
P2は、出射面12より放射される。
【0062】高調波が発生する波長(位相整合波長)
は、擬似位相整合により、非線形光学結晶の屈折率と分
極反転領域3の周期とにより決まる。このため、環境温
度が変わると屈折率が変わり、位相整合波長が変化す
る。
【0063】次に、DBR半導体レーザ21aについて
説明する。
【0064】DBR半導体レーザ21aは、発光部4
2、位相制御部41、およびDBR部40に分かれてい
る。各部分42、41及び40は、それぞれ電極42
a、41a、40aにより独立に制御できる。発光部4
2に電極42aを介して電流を注入することで、活性層
44が発光する。注入電流が発振しきい値を越えると、
半導体レーザ21aの前面のへき開面45とDBR部4
0に設けられている回折格子43とが起こす反射によっ
て共振が生じ、レーザ発振する。
【0065】半導体レーザ21aのDBR部40への注
入電流を変化させることで、屈折率が変化するので、フ
ィードバックされる波長が変わる。これを利用すれば、
DBR部40を波長可変部として動作させることがで
き、これにより、レーザの発振波長を変えることができ
る。
【0066】さらに、位相制御部41に電極41aを介
して電流を注入することで、発振波長を連続的に変える
ことができる。したがって、この位相制御部41も、波
長可変部として機能する。
【0067】次に、高調波出力安定化方法について説明
する。
【0068】環境温度が変化すると、光波長変換素子2
2aの位相整合波長が変わる。これに対して、DBR半
導体レーザ21aの発振波長を変えることで、光波長変
換素子22aの変化後の位相整合波長にレーザ21aの
発振波長を合わせることができる。
【0069】このとき、光波長変換素子22aからの高
調波出力をビームスプリッタ27で分岐し、その一部を
Siディテクタ28でモニタする構成としても良い。こ
のような構成とすれば、ディテクタ28における検出結
果を用いて、高調波出力が常に最高値となるように電極
40aおよび41aに印加する電流値を調整することが
でき、高調波P2の出力が安定して所期の値に保たれ
る。
【0070】高調波出力の制御方法としては、例えば、
以下の方法によることができる。まず、電極40a及び
41aに注入する電流を+方向にわずかに変化させ、高
調波P2の出力を検出する。高調波出力が低下したら、
注入電流値を−方向に変化させて、高調波出力を増加さ
せる。高調波出力が所期の値よりも増加したら、注入電
流を再び+側に変化させる。これを繰り返すことで、高
調波出力を常にピーク値の周辺に保つことができる。
【0071】図2に、半導体レーザ21aにおける電極
40aへの印加電流と発振波長との関係を示す。これよ
り、注入電流が約150mAの幅で変化すると、発振波
長は約10nm変化する。これより、擬似位相整合波長
が変化しても、注入電流値の制御によって、半導体レー
ザの発振波長を広い範囲で変化させて、位相整合波長の
変化に追随させることが可能である。
【0072】図3は、環境温度と高調波出力との関係を
示すグラフである。これより、温度が0〜70℃の範囲
において、高調波出力の変動は±3%以内である。
【0073】本実施形態における短波長レーザ光源10
0では、基本波から高調波への変換効率は、入力パワー
40mWに対して5%である。また、動作時間が経過し
ても、光損傷はなく、例えば500時間の連続動作中の
高調波出力の変動は、±3%以内と非常に安定してい
る。
【0074】さらに、光波長変換素子22aの入射部1
0及び出射部12に反射防止のためのコーティングを施
せば、基本波に対する反射を防いで、DBR半導体レー
ザの安定した動作を実現できる。好ましくは、基本波に
対する反射率は0.2%以下に設定する。反射率がこれ
よりも大きいと、動作が不安定になる場合がある。
【0075】次に、高調波出力の変調について説明す
る。
【0076】上記の短波長レーザ光源100の構成で
は、DBR部40への印加電流に対して効率的に屈折率
が変化する。これによって、半導体レーザ21aの発振
波長の変調が可能となる。例えば、初期状態で位相整合
がとれている場合に、DBR部40に電流を印加する
と、屈折率が大きく変化して、半導体レーザ21aの発
振波長が光波長変換素子22aの位相整合波長からずれ
る。よって、DBR部40への注入電流の変化によっ
て、高調波出力のON/OFF制御を行うことができ
る。短波長レーザ光源100の構成では、10MHzの
変調信号が印加された注入電流を電極40aに印加する
ことによって、高調波出力が対応して変調されることを
確認している。
【0077】(第2の実施形態)図4は、本発明の第2
の実施形態における短波長レーザ光源200の構成を示
す断面図である。
【0078】この短波長レーザ光源200では、−Z板
(Z軸に垂直に切り出された基板の−側)のLiTaO3基板
1の表面に周期状の分極反転領域3が形成されている光
波長変換素子22bを用いる。さらに、光波長変換素子
22bの周期状の分極反転領域3が形成されている表面
には、プロトン交換を用いて光導波路2が形成されてい
る。LiTaO3は、光導波路2や分極反転領域3の形成が容
易であって、使い易い材料である。
【0079】また、短波長レーザ光源200は、波長可
変部を有するDBR半導体レーザ21bを用いている。
DBR半導体レーザ21b及び光波長変換素子22b
は、Alでできた基材20の上に固定されている。半導
体レーザ21aから出射された基本波P1は、コリメー
タレンズ24で平行光にされた後、半波長板26を介し
てフォーカスレンズ25で集光され、光波長変換素子2
2bの光導波路2に入射面10から入射する。半波長板
26は、基本波P1の偏光方向を90度回転させ、光導
波路2の偏光方向に一致させるために挿入されている。
【0080】光導波路2に入った基本波P1は、位相整
合長Lの長さを持った分極反転領域3で高調波P2に変
換される。さらに、その後に続く同じくLの長さを持っ
た非分極反転領域4で、高調波のパワーが増幅される。
このようにして、光導波路2の内部で増幅された高調波
P2は、出射面12より放射される。
【0081】次に、DBR半導体レーザ21bについて
説明する。
【0082】DBR半導体レーザ21bは、発光部42
およびDBR部40に分かれている。発光部42に電極
42aを介して電流を注入することで、活性層44が発
光する。注入電流が発振しきい値を越えると、半導体レ
ーザ21bの前面のへき開面45とDBR部40に設け
られている回折格子43とが起こす反射によって共振が
生じ、レーザ発振する。電極42aに一定の電流を注入
することで、発振する基本波P1のパワーは一定とな
る。
【0083】次に、短波長レーザ光源200の安定動作
について説明する。
【0084】図4に示す短波長レーザ光源200では、
光波長変換素子22bの光導波路2の上に、薄膜ヒータ
15が形成されている。LiTaO3は温度変化により屈折率
が変わり位相整合波長が変化するが、薄膜ヒータ15の
設置により、光波長変換素子22bの表面温度は一定温
度になっている。一方、DBR半導体レーザ21bは、
基材20の反対側の表面に設けられたペルチエ素子48
により、一定温度、例えば20℃に保たれている。
【0085】DBR半導体レーザ21bの発振波長は、
通常のファブリーペロー型に比べて安定である。その理
由は、発振波長がDBR部40の回折格子43の周期と
その部分の実効屈折率とにより決まり、電極42aを介
して活性層44に注入される電流を変えても、発振波長
に対する影響がほとんどないからである。そのため、温
度を一定に保てば、発振波長は変化しない。長期的に
は、屈折率の変化にともなうわずかな波長変動が生じ得
るが、このような変化量は微弱であり、半導体レーザ2
1bの駆動電流をわずかに変化させることで対応でき
る。また、発振波長の大きな変化は、光波長変換素子の
薄膜ヒータの温度を変えて安定化できる。
【0086】次に、この光波長変換素子の製造方法を、
図5(a)〜(d)を参照して説明する。
【0087】まず、図5(a)に示すように、LiTaO3
板1に、通常のフォトプロセスとドライエッチングとを
用いてTa膜6aを周期状の所定のパターンに形成す
る。次に、所定のパターンのTa膜6aが形成されたLi
TaO3基板1に、ピロ燐酸中で温度260℃にて30分間
のプロトン交換処理を行い、Ta膜6aで覆われていな
い箇所の基板1の表面に、厚さ0.8μmのプロトン交
換層を形成する。その後に、温度550℃で1分間の熱
処理を行う。これにより、図5(b)に示すような周期
状の分極反転領域3が形成される。Ta膜6aで覆われ
ていた部分は、非分極反転領域4に相当する。
【0088】次に、先に形成したTa膜6aを除去し
て、光導波路を形成する工程で使用するプロトン交換用
の保護マスクとして、新たに厚さ30nmのTa膜をス
トライプ状のパターンで基板1の表面に形成する。その
後に、温度260℃で16分間のプロトン交換処理を行
う。その後、温度380℃で10分間のアニールを行
い、図5(c)に示すような光導波路2を形成する。そ
の後に、Ta膜は除去する。
【0089】さらに、図5(d)に示すように、SiO2
14を保護膜として形成し、さらにそのSiO2膜14の上
に、Ti膜を形成する。Ti膜の厚さは、典型的には約
200nmである。次に、フォトリソグラフィとドライ
エッチングとを用いて、Ti膜を所定の形状にパターニ
ングして、薄膜ヒータ15とする。
【0090】最後に、研磨により、基板1の側端面に入
出射面を形成する。
【0091】以上のプロセスによって形成される光導波
路2は、典型的には、幅が約4μmで長さは約1cmで
ある。また、分極反転領域3の周期は約3.8μmで、
分極反転領域3の厚みは約2.0μmである。なお、図
5(a)〜(d)の中の矢印は、各領域における分極の
方向を示している。
【0092】薄膜ヒータ15を備える光波長変換素子2
00は、擬似位相整合波長の変化による動作特性への影
響はほとんどなく、広い環境温度範囲で使用可能であ
る。基本波P1から高調波P2への変換効率は、波長8
58nmで40mWの入力に対して2.5%である。ま
た、光損傷もなく、非常に安定した高調波出力が得られ
る。
【0093】さらに、また、高調波の光導波路2からの
出射にあたっては、非点収差の無いスポットを簡単に且
つ安定して得ることができる。
【0094】(第3の実施形態)図6は、本発明の第3
の実施形態における短波長レーザ光源300の構成を示
す断面図である。
【0095】短波長レーザ光源300は、基本的に、S
iサブマウント20aの上に固定されたファブリーペロ
ー型半導体レーザ21c及び光波長変換素子22cより
構成される。
【0096】半導体レーザ21cから出射された基本波
P1は、光波長変換素子22cの光導波路2に直接導入
され、光導波路2を伝搬する間に高調波P2へ変換され
る。ここで、光波長変換素子22cの構成は、第1の実
施形態における光波長変換素子22aと同様の分極反転
型である。
【0097】本実施形態の光波長変換素子22cでは、
MgOをドープしたLiNbO3基板1aに対して温度112
0℃で熱処理を施して、分極反転領域3を形成する。さ
らに、光導波路2として、分極反転領域3の形成時の熱
処理温度に比べて低温での処理によって形成することが
できるプロトン交換光導波路を用いる。光導波路2の上
には、薄膜ヒータ15が形成されている。以上の構成を
有する光波長変換素子22cは、薄膜ヒータ15がSi
サブマウント20aに対向するような向きで、Siサブ
マウント20aの上に配置されている。
【0098】半導体レーザ21cから出射された基本波
P1は、光波長変換素子22cに入射後に、回折格子1
7で反射されて波長がロックされる。一方、半導体レー
ザ21cの出射面(光波長変換素子22cに対向してい
る端面)とは逆側の端面からも基本波の一部P1aが出
力されるが、その量はSiディテクタ28により検出さ
れる。検出量に基づくフィードバック制御によって、光
波長変換素子22cに供給される基本波P1の出力が最
大になるように半導体レーザ21cの駆動電流を制御す
れば、結果的に高調波P2の出力を一定に保つことがで
きる。
【0099】図7は、半導体レーザ21cの駆動電流と
出射される基本波のパワーとの関係を示すグラフであ
る。
【0100】光フィードバックがかかっている状態で
は、半導体レーザ21cの発振波長は、フィードバック
波長に近接したモード(半導体レーザ21cの長さと屈
折率で決定される)の内で波長が近い方に固定される。
しかし、温度や駆動電流が変化すると、固定されるモー
ドは入れ替わる。例えば、駆動電流が変化すると、半導
体レーザ21cの出力は、モードホップを生じる電流値
に駆動電流値が一致したときに最小となり、一方、フィ
ードバックされるピーク波長と一致した発振波長を与え
る電流値に駆動電流値が一致したときに、最高値とな
る。そのため、駆動電流値が増加すると、図7に示すよ
うに周期的な出力の増減が認められる。
【0101】図6に示す短波長レーザ光源300の構成
で、半導体レーザ21cから光波長変換素子22cとは
反対側に出射される基本波P1aの量は、光波長変換素
子22cに入射される基本波P1の量と相関がある。し
たがって、基本波出力P1aをディテクタ28で検出し
て、その検出結果をフィードバックして駆動電流を変化
させることで、温度が変化しても、基本波の出力がピー
ク状態にあるように、すなわちモードの安定状態が保た
れるように安定化のための制御を行うことができる。こ
のような安定化制御を行えば、80mWの基本波入力に
対する高調波への変換効率は4%であり、±30℃程度
の温度範囲にわたって、非常に安定した出力が得られ
る。
【0102】以上のように、本実施形態の短波長レーザ
光源300では、半導体レーザ21cの発振波長は安定
化されており、また環境温度が変わっても、光波長変換
素子22cの光導波路2の温度は薄膜ヒータ15により
一定に保たれる。これによって、常に最大の高調波出力
(3mW)が保たれる。相対雑音強度ノイズは、ー14
0dB/Hzと極めて低く、実用的な値である。また、
基本波がモードホップするとノイズが大きくなって光デ
ィスクの読み取りが困難になるが、本実施形態によれ
ば、モードホップの発生が防止されて、短波長レーザ装
置の実用性が向上する。
【0103】なお、ディテクタ28による基本波出力の
モニタは、光導波路2から出射された後の基本波に対し
て行っても良い。
【0104】このように、半導体レーザ21cの駆動電
流を変えることにより、その発振波長を調節して安定化
を図ることができる。以上の説明のように、光フィード
バックによって発振波長のロックを実現すると、基本波
が周期的に増減してピーク検出が容易になる。光フィー
ドバックの方法は、上記で説明したDBR以外のもので
あってもよく、例えば、外部回折格子の利用、共焦点光
学系での反射の利用などを適用することができる。
【0105】(第4の実施形態)次に、本発明の第4の
実施形態における短波長レーザ光源を、以下に説明す
る。
【0106】本実施形態における短波長レーザ光源は、
第1の実施形態で図1を参照して説明した短波長レーザ
光源100と同様の構成を有する。ただし、制御方法
が、第1の実施形態におけるものとは異なっており、微
調整制御及び粗調整制御を併用している。
【0107】この短波長レーザ光源100では、非線形
光学結晶であるLiTaO3基板1の表面に周期状の分極反転
領域3が形成されている光波長変換素子22aを用い
る。さらに、光波長変換素子22aの周期状の分極反転
領域3が形成されている表面には、プロトン交換を用い
て光導波路2が形成されている。
【0108】また、短波長レーザ光源100は、波長可
変部を有するDBR半導体レーザ21aを用いている。
DBR半導体レーザ21a及び光波長変換素子22a
は、Alでできた基材20の上に固定されている。半導
体レーザ21aから出射された基本波P1は、コリメー
タレンズ24で平行光にされた後、半波長板26を介し
てフォーカスレンズ25で集光され、光波長変換素子2
2aの光導波路2に入射面10から入射する。半波長板
26は、基本波P1の偏光方向を90度回転させ、光導
波路2の偏光方向に一致させるために挿入されている。
【0109】光導波路2に入った基本波P1は、位相整
合長Lの長さを持った分極反転領域3で高調波P2に変
換される。さらに、その後に続く同じくLの長さを持っ
た非分極反転領域4で、高調波のパワーが増幅される。
このようにして、光導波路2の内部で増幅された高調波
P2は、出射面12より放射される。
【0110】高調波が発生する波長(位相整合波長)
は、擬似位相整合により、非線形光学結晶の屈折率と分
極反転領域3の周期とにより決まる。このため、環境温
度が変わると屈折率が変わり、位相整合波長が変化す
る。
【0111】次に、DBR半導体レーザ21aについて
説明する。
【0112】DBR半導体レーザ21aは、発光部4
2、位相制御部41、およびDBR部40に分かれてい
る。各部分42、41及び40は、それぞれ電極42
a、41a、40aにより独立に制御できる。発光部4
2に電極42aを介して電流を注入することで、活性層
44が発光する。注入電流が発振しきい値を越えると、
半導体レーザ21aの前面のへき開面45とDBR部4
0に設けられている回折格子43とが起こす反射によっ
て共振が生じ、レーザ発振する。
【0113】半導体レーザ21aのDBR部40への注
入電流を変化させることで、屈折率が変化するので、フ
ィードバックされる波長が変わる。これを利用して、D
BR部40を第1の波長可変部として動作させることが
でき、これにより、レーザの発振波長を変えることがで
きる。
【0114】さらにその後に、位相制御部41に電極4
1aを介して電流を注入することで、発振波長を連続的
に変えることができる。したがって、この位相制御部4
1を、第2の波長可変部として機能させることができ
る。
【0115】特に、本実施形態では、DBR部40によ
る制御を粗調整制御とし、位相制御部41による制御を
微調整制御とする。本実施形態におけるこの高調波出力
安定化方法を、短波長レーザ光源100の立ち上げ時を
例にとって、図8に示されるフローチャートを参照して
説明する。
【0116】電源を入れた時点では発振波長と位相整合
波長とがずれていて、高調波が発生しないとする。高調
波出力は、ビームスプリッタ27で分岐して、その一部
をSiディテクタ28でモニタしている。
【0117】まず最初に、ステップ810で、DBR部
40の駆動電流を変化させる。図9に示す駆動電流値と
発振波長とのグラフからわかるように、DBR部40の
電極40aに流す駆動電流が変化すると、発振波長は、
一部でモードホップしながら変化する。発振波長が位相
整合波長に接近すると、高調波P2を発生する。この高
調波の発生を検知したら(ステップ820)、DBR部
40への電流を固定する(ステップ830)。
【0118】次に、ステップ840で、位相制御部41
の電極41aに流す電流を変化させる。位相制御部41
への電流が変化する場合、DBR部40の電流の変化に
比べて、モードホップなしに発振波長が変化できる範囲
が広い。そのため、発振周波数を、高調波の出力がピー
クになるような波長に、容易に合わせることができる。
このようにして、高調波の出力が最大になったかどうか
を検知して(ステップ850)、出力が最大になったら
位相制御部41に流す電流を固定する(ステップ86
0)。
【0119】以上の操作によって、最大高調波出力が得
られる発振波長への設定が行われる。
【0120】環境温度が変化すると、光波長変換素子2
2aの位相整合波長が変わる。これに対して、DBR半
導体レーザ21aの発振波長を変えて、光波長変換素子
22aの変化した擬似位相整合波長に発振波長を合わせ
ることができる。
【0121】すなわち、上記で説明したものと同様の過
程により、高調波出力が常に最高値となるように電極4
0a及び41aへの印加電流を調整して、高調波P2を
安定に保つことができる。また、光波長変換素子の擬似
位相整合波長の変化に対しては、半導体レーザの発振波
長を広い範囲で変化させて、位相整合波長の変化に発振
波長を追随させることができる。
【0122】本実施形態によれば、温度0〜70℃の範
囲において、高調波出力の変動を±2%以内に抑えるこ
とができる。また、基本波から高調波への変換効率は、
40mWの入力に対して5%である。また、図8のフロ
ーチャートに示すような制御を行っても、半導体レーザ
の立ち上がり時間は0.1秒以内と短時間である。さら
に、500時間にわたる長期の連続動作中の経時変化に
ついても、光損傷はなく、高周波出力の変動は±2%以
内と非常に安定している。
【0123】このような安定した動作は、発振波長に対
する粗調整制御と微調整制御とを組み合わせることで達
成される。すなわち、発振波長の変化における若干のモ
ードホップは生じるものの広い範囲で発振波長を可変で
きるDBR部40への電流印加を粗調整制御に使用し、
一方、モードホップは発生しないが発振波長の可変範囲
が狭い位相制御部41への電流印加を微調整制御に使用
することによって、高速で広範囲な発振波長の制御が可
能である。
【0124】なお、図8を参照して説明した上記の一連
の制御において、微調整制御にペルチエ素子による温度
変化を利用することができる。この場合の制御フローチ
ャートを、図10に示す。具体的には、図8に示す位相
制御部への電流の制御(ステップ840及び860)の
代わりに、ペルチエ素子に流す電流を制御して温度変化
を生じさせる(ステップ845及び865)。これによ
って、DBR部40への電流の制御と組み合わせて、発
振波長の制御を行う。なお、図10の他のステップは図
8と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0125】図10に示すペルチェ素子を使用する制御
方法においても、高調波出力の変動を2%以内におさめ
ることができる。また、この場合には半導体レーザに位
相制御部41を形成する必要がないので、歩留まり良く
半導体レーザを形成することができるという効果もあ
る。
【0126】なお、薄膜ヒータを形成してヒータへの通
電電流を制御することによって、微調整制御を行うこと
もできる。特に、ヒータをDBR半導体レーザの上に集
積して形成すれば、半導体レーザあるいは短波長レーザ
光源を小型化することができる。
【0127】粗調整制御の方法としては、広い範囲にわ
たって発振波長が可変できるものであれば、特定のもの
に限られることはない。また、薄膜ヒータを光波長変換
素子の上に形成して、それへの通電電流を使用して微調
整制御をすることもできる。すなわち、光波長変換素子
に第2の波長可変手段を設けても、発振波長の連続的な
微調整を行うことができる。
【0128】(第5の実施形態)次に、本発明の第5の
実施形態による短波長レーザ光源を図11を参照して説
明する。
【0129】本実施形態でも、短波長レーザ光源に含ま
れる光波長変換素子22dとして、LiTaO3基板1の中に
分極反転領域3を形成して、さらにプロトン交換を用い
て光導波路2を形成した光導波路型の光波長変換素子2
2dを使用する。入射面10から入射された基本波P1
は、光導波路2を伝搬する間に高調波P2に変換され
て、出射面12から出射される。
【0130】この出射される高調波P2の出力を安定さ
せるための制御方法として、光波長変換素子22dでは
差動検出方法を用いる。そのために、光波長変換素子2
2dでは、通常の波長変換を行う第1の分極反転領域3
に加えて、それより入射面10に近い箇所に、周期の短
い(周期Λ1)第2の周期状の分極反転領域3a、及び
周期の長い(Λ2)第3の周期状の分極反転領域3bが
形成されている。すなわち、周期が異なる3種類の分極
反転領域3a、3b及び3が設けられている。周期の関
係は、Λ1<Λ<Λ2である。
【0131】さらに、分極反転領域3a及び3bの上に
は、お互いに異なる周期を有する回折格子17a、17
bがそれぞれ形成されている。この回折格子17a、1
7bは、入射面10から入射した基本波P1は通過させ
る。しかし、第2及び第3の分極反転領域3a及び3b
によってそれぞれ基本波から変換された高調波P2a及
びP2bは、基板1の内部へ向けて回折させる。さら
に、基板1の反対側の表面にはディテクタ28a及び2
8bが設けられていて、そのようにして回折された高調
波P2a及びP2bがそれぞれ入射するように配置され
ている。
【0132】図11には図示していないが、半導体レー
ザとしては、波長可変機能を有するDBR半導体レーザ
を用いている。半導体レーザから出射された基本波P1
は、光波長変換素子22dの光導波路2に入射する。光
導波路2に入った基本波P1は、周期状の分極反転領域
3a、3b及び3でそれぞれ高調波P2a、P2b及び
P2に変換される。
【0133】図12は、入力される基本波の波長と発生
する高調波出力との関係を示すグラフである。第2の分
極反転領域3aが周期状に形成されている領域の長さは
1mmであり、この部分の位相整合波長(ピーク波長)
は861nm、波長半値幅は1nmである。また、第3
の分極反転領域3bが周期状に形成されている部分の長
さは1mmであり、この部分の位相整合波長は862n
m、波長半値幅は1nmである。また、第1の分極反転
領域3が周期状に形成されている部分の長さは9mmで
あり、この部分の位相整合波長は861.5nm、波長
半値幅は0.1nmである。
【0134】半導体レーザの発振波長が光波長反転素子
の位相整合波長に一致していれば、第1の分極反転領域
3が反応して高調波P2が発生し、出射面12から出射
される。しかし、発振波長が短いと、第2の周期状分極
反転領域3aが反応して高調波P2aが発生する。ある
いは、発振波長が長すぎると、第3の周期状分極反転領
域3bが反応して高調波P2bが発生する。それぞれの
部分で発生した高調波P2a及びP2bは、回折格子1
7a及び17bで回折されてディテクタ28a及び28
bに入射し、そこで電気信号に変換される。
【0135】DBR半導体レーザの波長を変えた場合の
ディテクタ28a及び28bの出力電気信号(出力電流
値)を、図13(a)に示す。ここで、ディテクタ28
aの信号をI、ディテクタ28bの信号をIIとすれば、
その差動出力はI−IIとなる。
【0136】図13(b)には、半導体レーザの発振波
長を印加電流で制御する場合の、差動出力I−IIを示
す。実際の制御にあたっては、差動出力I−IIの変動が
±2%の範囲に納まるように、印加電流によって発振波
長を制御する。これにより、高調波出力の値を、常にピ
ーク値の周辺に保つことができる。具体的には、温度が
5〜70℃の範囲で変動すると、例えば±1%以内の出
力の変動が発生する。
【0137】このように、差動検出を用いると高調波出
力を簡単且つ十分に安定させることができる。基本波P
1から高調波P2への変換効率は、入力パワーが60m
Wの場合に5%である。実際の高調波出力を得るための
第1の周期状分極反転領域3と差動検出に使う第2及び
第3の周期状分極反転領域3a及び3bは、同一の基板
1の上に同一マスクを用いて同一プロセスで作製でき
る。そのため、それぞれ分極反転領域3、3a及び3b
の位相整合波長の関係は一定であり、差動検出により発
振波長が高周波出力のピークに容易に固定される。
【0138】上記の説明では、半導体レーザの発振波長
を変化させているが、温度や電界などに関する条件を制
御して、光波長変換素子の位相整合波長を変化させて
も、同様の効果を得ることができる。
【0139】(第6の実施形態)次に、本発明の第6の
実施形態の短波長レーザ光源を説明する。図14は、本
実施例の短波長レーザ光源に用いられる光波長変換素子
22eの構成を示す平面図である。
【0140】本実施形態でも、短波長レーザ光源に含ま
れる光波長変換素子22eとして、LiTaO3基板1の中に
分極反転領域3を形成して、さらにプロトン交換を用い
て光導波路2を形成した光導波路型の光波長変換素子2
2eを使用する。入射面10から入射された基本波P1
は、光導波路2を伝搬する間に高調波P2に変換され
て、出射面12から出射される。
【0141】この出射される高調波P2の出力を安定さ
せるための制御方法としては、やはり差動検出方法を用
いる。そのために、光波長変換素子22eでは、通常の
波長変換を行う第1の分極反転領域3に加えて、それよ
り入射面10に近い箇所に、周期の短い(周期Λ1)第
2の周期状の分極反転領域3a、及び周期の長い(Λ
2)第3の周期状の分極反転領域3bが形成されてい
る。すなわち、周期が異なる3種類の分極反転領域3
a、3b及び3が設けられている。周期の関係は、Λ1
<Λ<Λ2である。
【0142】さらに、第2及び第3の分極反転領域3a
及び3bの上には、分岐光導波路2a及び2bが形成さ
れている。基本波P1は、方向性結合器50によって分
岐光導波路2a及び2bに結合されている。分岐光導波
路2a及び2bを通って伝搬する基本波P1に基づいて
発生する高調波P2a及びP2bは、基板1の外に出力
される。さらに、基板1の側面にはディテクタ28a及
び28bが設けられていて、そのようにして回折された
高調波P2a及びP2bがそれぞれ入射するように配置
されている。
【0143】図14には図示していないが、半導体レー
ザとしては、波長可変機能を有するDBR半導体レーザ
を用いている。半導体レーザから出射された基本波P1
は、光波長変換素子22eの光導波路2に入射する。光
導波路2に入った基本波P1は、周期状の分極反転領域
3で高調波P2に変換される。変換された高調波P2
は、そのまま光導波路2を伝搬して、出射面12から外
部に出射される。
【0144】一方、変換されずに残った基本波P1は、
方向性結合器50によって分岐光導波路2a及び2bに
結合される。分岐光導波路2a及び2bを通って伝搬す
る基本波P1は、それぞれの光導波路2a及び2bの先
端に設けられた第2及び第3の分極反転領域3a及び3
bによって高調波P2a及びP2bに変換される。
【0145】第2の周期状の分極反転領域3a(周期Λ
1)が形成されている領域の長さは1mmであり、この
部分の位相整合波長は861nm、波長半値幅は1nm
である。また、第3の周期状の分極反転領域3b(周期
Λ2)が形成されている部分の長さは1mmであり、こ
の部分の位相整合波長は862nm、波長半値幅は1n
mである。また、第1の周期状の分極反転領域3が形成
されている部分の長さは9mmであり、位相整合波長は
861.5nm、波長半値幅は0.1nmである。
【0146】先の実施例に関連して述べたように、半導
体レーザの発振波長が光波長反転素子の位相整合波長に
一致していれば、第1の分極反転領域3が反応して高調
波P2が発生し、出射面12から出射される。しかし、
発振波長が短いと、第2の周期状分極反転領域3aが反
応して高調波P2aが発生する。あるいは、発振波長が
長すぎると、第3の周期状分極反転領域3bが反応して
高調波P2bが発生する。それぞれの部分で発生した高
調波P2a及びP2bは、ディテクタ28a及び28b
に入射し、そこで電気信号に変換される。このようにし
てディテクタ28a及び28bで検出される信号から、
先の実施例と同様の原理に基づいて差動信号を得る。そ
して、差動信号の変動が±2%の範囲におさまるよう
に、印加電流によって発振波長を制御することにより、
高調波出力の値を常にピーク値の周辺に保つことができ
る。具体的には、温度が5〜70℃の範囲で変動する
と、例えば±1%以内の出力の変動が発生する。
【0147】基本波P1から高調波P2への変換効率
は、入力パワーが60mWの場合に7%である。なお、
本実施形態のように出射面12の側に差動検出用の周期
状分極反転領域3a及び3bを形成すれば、すでに高調
波への変換が終了した「使用済」の基本波を利用するこ
とができるので、変換効率に影響が及ぼされることがな
いという効果も有する。
【0148】上記の説明では、半導体レーザの発振波長
を変化させているが、温度や電界などに関する条件を制
御して、光波長変換素子の位相整合波長を変化させて
も、同様の効果を得ることができる。
【0149】(第7の実施形態)次に、本発明の第7の
実施形態の短波長レーザ光源を説明する。図15は、本
実施例の短波長レーザ光源700の構成を示す断面図で
ある。
【0150】この短波長レーザ光源700では、非線形
光学結晶であるLiTaO3基板1の内部に周期状の分極反転
領域3が形成されている光波長変換素子22fを用い
る。さらに、本実施形態における光波長変換素子22f
は、これまでの実施形態の光波長変換素子のように周期
状の分極反転領域が形成されている表面に光導波路を形
成して使用するのではなく、全体をバルクとして使用す
るバルク型の素子である。なお、周期状の分極反転領域
3の形成は、例えば電界印加法によって行うことができ
るが、他の方法を適用してもよい。
【0151】また、短波長レーザ光源700は、波長可
変部を有するDBR半導体レーザ21fを用いている。
DBR半導体レーザ21f及び光波長変換素子22f
は、Alでできた基材20の上に固定されている。半導
体レーザ21fから出射された基本波P1は、レンズ2
4aで平行光にされた後、光波長変換素子22fに入射
面10から入射する。
【0152】光波長変換素子22fに入った基本波P1
は、位相整合長Lの長さを持った分極反転領域3で高調
波P2に変換される。さらに、その後に続く同じくLの
長さを持った非分極反転領域4で、高調波のパワーが増
幅される。このようにして、光波長変換素子22fの内
部で増幅された高調波P2は、出射面12より放射され
る。
【0153】高調波が発生する波長(位相整合波長)
は、擬似位相整合により、非線形光学結晶の屈折率と分
極反転領域3の周期とにより決まる。このため、環境温
度が変わると屈折率が変わり、位相整合波長が変化す
る。
【0154】次に、DBR半導体レーザ21fについて
説明する。
【0155】DBR半導体レーザ21fは、発光部42
及びDBR部40に分かれている。各部分42及び40
は、それぞれ電極42a及び40aにより独立に制御で
きる。発光部42に電極42aを介して電流を注入する
ことで、活性層44が発光する。注入電流が発振しきい
値を越えると、半導体レーザ21fの前面のへき開面4
5とDBR部40に設けられている回折格子43とが起
こす反射によって共振が生じ、レーザ発振する。
【0156】半導体レーザ21fのDBR部40への注
入電流を変化させることで、屈折率が変化するので、フ
ィードバックされる波長が変わる。これを利用すれば、
DBR部40を波長可変部として動作させることがで
き、これにより、レーザの発振波長を変えることができ
る。
【0157】次に、高調波出力安定化方法について説明
する。
【0158】短波長レーザ光源700は、全体がペルチ
ェ素子48の上にマウントされていて、環境温度の変化
にかかわらずその温度が常に一定に保たれるようになっ
ている。しかし、長時間に渡って短波長レーザ光源70
0を使用すると、経時変化等により光波長変換素子22
fの擬似位相整合波長または半導体レーザ21fの発振
波長が変化して、疑似位相整合波長と発振波長との間に
ずれが生じるようにななる。これに対して、DBR半導
体レーザ21fの発振波長を変えることで、光波長変換
素子22fの変化後の位相整合波長に、半導体レーザ2
1fの発振波長を合わせることができる。
【0159】このとき、光波長変換素子22fからの高
調波出力P2をビームスプリッタ27で分岐し、その一
部をSiディテクタ28でモニタする構成としても良
い。このような構成とすれば、ディテクタ28における
検出結果を用いて、高調波出力が常に最高値となるよう
に電極40aに印加する電流値を調整することができ、
高調波P2の出力が安定して所期の値に保たれる。
【0160】なお、ディテクタ28は、図15に示され
るように、出射面12から得られる高調波出力P2を検
出する構成に限られるものではない。例えば、光波長変
換素子22fの内部で変換された高調波の一部は、素子
22fの入射面10から外部に放出される。そこで、半
導体レーザ21aと光波長変換素子22fとの間隙の上
方にディテクタ28を設置して、素子22fの入射面1
0から出てくる高調波を検出する構成とすることもでき
る。
【0161】本実施形態によれば、温度0〜60℃の範
囲において、高調波出力の変動を±3%以内に抑えるこ
とができる。また、基本波から高調波への変換効率は、
300mWの入力に対して0.5%であり、出力1.5
mWのブルー光が得られる。また、本実施形態の短波長
レーザ光源700に含まれるようなバルク型の光波長変
換素子22fは、光路のアライメントが簡単に行えると
ともに機械的振動にも強く、実用的である。
【0162】次に、図15の短波長レーザ光源700の
構成において、DBR半導体レーザ21fをRF駆動す
る。具体的には、周波数800MHzのサイン波電流を
電極40aに印加する。これによって、基本波P1の平
均パワー100mWに対して、パワー2mWの高調波P
2の出力が得られる。
【0163】光波長変換素子の変換効率は基本波のパワ
ーに比例するので、上記のように半導体レーザ21fに
RF駆動を行って基本波P1をパルス列として光波長変
換素子22fに入力することにより、その変換効率を向
上することができる。DBR半導体レーザ21fは、R
F駆動においても縦モードが乱れることがなく、有効に
波長変換できる。
【0164】なお、半導体レーザのRF駆動は、本実施
形態のようにバルク型の光波長変換素子22fを用いる
場合に限らず、光導波路型の光波長変換素子を含む短波
長レーザ光源の構成に対しても適用できる。一方、第4
の実施形態として説明した粗調整及び微調整制御の手
法、あるいは、第5の実施形態として説明した差動検出
の手法を、本実施形態におけるバルク型の光波長変換素
子22fを含む短波長レーザ光源700の構成に適用す
ることも可能である。
【0165】(第8の実施形態)次に、本発明の第8の
実施形態の短波長レーザ光源を説明する。図16は、本
実施例の短波長レーザ光源800の構成を示す断面図で
ある。
【0166】図16に示す短波長レーザ光源800でも
ペルチェ素子48を用いて短波長レーザ光源800の温
度制御を行うが、その配置は、図15に示した第7の実
施形態の短波長レーザ光源700とは異なっている。す
なわち、DBR半導体レーザ21gと基材20を挟んで
対向する位置に銅ブロック59aが配置されており、同
様に、光波長変換素子22gと基材20を挟んで対向す
る位置に銅ブロック59bが配置されている。基材20
は、典型的には真鍮でできていて、厚さは例えば0.5
mmである。このため、DBR半導体レーザ21gから
光波長変換素子22gへは、熱が伝達しにくい。
【0167】ペルチェ素子48の第1の面48aは銅ブ
ロック59aに接触し、第2の面48bは銅ブロック5
9bに接触している。ペルチェ素子48に電流を印加す
ると、第1の面48a及び第2の面48bは、お互いに
逆の温度特性を示す。例えば、第1の面48aが発熱し
て加熱作用を示す場合には、第2の面48bは吸熱して
冷却作用を示す。これによって、ペルチェ素子48の第
1の面48aに銅ブロック59aを介して接している半
導体レーザ21gの温度、及び第2の面48bに銅ブロ
ック59bを介して接している光波長変換素子22gの
温度を、ペルチェ素子48への印加電流の制御を通じて
制御することができる。
【0168】例えば、銅ブロック59aの温度を、室温
30℃を挟んで約5℃から約55℃まで変化させると、
銅ブロック59bの温度は、約10℃から約50℃まで
変化する。この結果、半導体レーザ21gの発振波長を
例えば2.6nmの範囲で変化させることができ、一
方、光波長変換素子22gの位相整合波長は例えば2.
0nmの範囲で変化させることができる。したがって、
合計では4.6nmの範囲で波長を制御することができ
る。図15に示す短波長レーザ光源700の構成では、
全体の構成を基材20を介してペルチェ素子48の同一
の面の上に配置しているが、この場合には波長の可変範
囲は約0.6nmである。したがって、本実施形態の構
成にすることによって、約8倍の広い範囲にわたって波
長を制御することが可能になる。
【0169】また、DBR半導体レーザ21gの発振波
長、及び光波長変換素子22gの位相整合波長のいずれ
もが、温度に対して連続的に変化する。そのため、安定
且つ滑らかな波長のチューニングを行うことができる。
【0170】(第9の実施形態)次に、本発明の第9の
実施形態の短波長レーザ光源を説明する。図17は、本
実施形態の短波長レーザ光源に含まれる半導体レーザの
構成を示す断面図である。
【0171】この短波長レーザ光源では、非線形光学結
晶であるKNbO3基板に周期状の分極反転領域が形成され
ている光波長変換素子を用いる。KNbO3は、800nm
帯の発振波長を有する半導体レーザの波長に対して位相
整合する材料である。なお、周期状の分極反転領域の形
成は、例えばイオン注入法によって行うことができる
が、他の方法を適用してもよい。
【0172】また、本実施形態の短波長レーザ光源で
は、波長可変部を有するDBR半導体レーザ21hを用
いている。DBR半導体レーザ21hはAlでできた基
材20の上に固定されていて、半導体レーザ21hから
出射された基本波P1は、コリメータレンズで平行光に
された後、半波長板を介してフォーカスレンズで集光さ
れ、光波長変換素子(図17には不図示)の光導波路に
入射面から入射する。半波長板は、基本波P1の偏光方
向を90度回転させ、光導波路の偏光方向に一致させる
ために挿入されている。
【0173】光導波路に入った基本波P1は、位相整合
長Lの長さを持った分極反転領域で高調波に変換され
る。さらに、その後に続く同じくLの長さを持った非分
極反転領域で、高調波のパワーが増幅される。このよう
にして、光導波路の内部で増幅された高調波は、出射面
より放射される。
【0174】本実施形態では、後述するように、制御を
簡略化するために単独の電流印加により高調波の安定化
を実現している。
【0175】次に、DBR半導体レーザ21hについて
説明する。
【0176】DBR半導体レーザ21hは、発光部4
2、DBR部40、及びアンプ部47に分かれている。
各部分42、40及び47は、それぞれ電極42a、4
0a、及び47aにより独立に制御できる。発光部42
に電極42aを介して電流を注入することで、活性層4
4が発光する。注入電流が発振しきい値を越えると、半
導体レーザ21hの後面のへき開面46とDBR部40
に設けられている回折格子43とが起こす反射によって
共振が生じ、レーザ発振する。
【0177】半導体レーザ21hのDBR部40への注
入電流を変化させることで、屈折率が変化するので、フ
ィードバックされる波長が変わる。これを利用すれば、
DBR部40を波長可変部として動作させることがで
き、これにより、レーザの発振波長を変えることができ
る。
【0178】発光部42で発生した光は、アンプ部47
で増幅されて出射される。このとき、半導体レーザ21
hの前面のへき開面45に無反射コーティングを施すこ
とによって、へき開面45における反射を0.01%と
極めて小さくすることができる。これによって、複合モ
ードが立たなくなる。
【0179】一方、本実施形態では、半導体レーザ21
hの後面のへき開面46とDBR部40の実効反射面と
の間の距離である実効共振器長(キャビティ長)Dは1
50μmに設定されており、縦モードの間隔は0.7n
mになっている。そのために、0.7nmの範囲内で
は、電極40aへの印加電流の制御のみで、モードホッ
プなしに連続的に波長を制御できる。また、DBR部4
0は、1nmと十分な反射波長幅を有している。
【0180】図18に、キャビティ長Dと縦モードの間
隔との関係を示す。図18に示されているように、キャ
ビティ長Dと縦モードの間隔とは反比例する。縦モード
間隔以内であれば、モードホップなしに波長を変更して
調整することができ、さらにキャビティ長Dを小さくし
て縦モード間隔を広げれば、その調整可能な範囲を広げ
ることができる。
【0181】温度範囲20℃にわたる光波長変換素子の
位相整合波長の変動を補償するためには、一般には0.
5nmの範囲にわたって波長を変更することが望まし
く、そのためには図18のグラフから、キャビティ長D
は200μm以下に設定することが望ましい。さらに
は、キャビティ長Dを100μm以下に設定すれば、温
度範囲40℃に対応する波長の調整を行うことが可能に
なり、さらに好ましい。
【0182】なお、一般に、キャビティ長Dが短くなる
と、発振されるレーザ光のパワーが小さくなる。これに
対して本実施形態の半導体レーザ21hでは、アンプ部
47を設けることによって、弱い発振レーザ光を増幅し
ている。
【0183】次に、高調波出力安定化方法について説明
する。
【0184】環境温度が変化すると、光波長変換素子の
位相整合波長が変わる。これに対して、これまでの実施
形態においてと同様に、DBR半導体レーザ21hの発
振波長を変えることで、光波長変換素子の変化後の位相
整合波長にレーザ21hの発振波長を合わせることがで
きる。
【0185】すなわち、光波長変換素子からの高調波出
力をビームスプリッタで分岐し、その一部をSiディテ
クタでモニタする。このような構成において、ディテク
タにおける検出結果を用いて、高調波出力が常に最高値
となるように電極40aに印加する電流値を調整するこ
とにより、高調波の出力が安定して所期の値に保たれ
る。
【0186】例えば、電極40aへの印加電流を40m
Aだけ変化させると、発振波長は例えば約0.6nm変
化する。このようにして、広い範囲で半導体レーザの発
振波長を変化させて、光波長変換素子の擬似位相整合波
長の変化に追随することができる。
【0187】また、具体的には、温度が15〜45℃の
範囲で変化する際に、高調波出力の変動は±3%以内で
ある。また、本実施形態では、基本波から高調波への変
換効率は、入力パワー40mWに対して5%である。
【0188】図19には、本実施形態の短波長レーザ光
源の変形例として、DBR部40の上に電極40aを形
成していない構成を有するDBR半導体レーザ21jの
断面図を示す。この構成では、発光部42の上に設けら
れた電極42aに電流を印加してレーザ発振を生じさせ
るとともに、電極42aへの印加電流の量を変化させる
ことによって、その発振波長を調整する。つまり、発光
部42が、電極42aへの電流印加にともなう発光機能
に加えて、印加電流量の調整にともなう発振波長の調整
という位相制御機能を兼ね備えている。なお、発振され
るレーザ光の出力レベルは、アンプ部47の上に設けら
れた電極47aへの印加電流量の調整によって調整され
る。
【0189】なお、図17あるいは図19に示す本実施
形態の半導体レーザの構成において、DBR部40とへ
き開面との間に凹部を設けて反射体を作り、短共振器を
形成することもできる。このような構成とすることによ
って、極めて短いキャビティ長Dを有する共振器が実現
される。
【0190】(第10の実施形態)次に、本発明の第1
0の実施形態の短波長レーザ光源を説明する。図20
は、本実施例の短波長レーザ光源1000の構成を示す
断面図である。
【0191】この短波長レーザ光源1000では、非線
形光学結晶であるLiTaO3基板22の表面に周期状の分極
反転領域(不図示)が形成されている光波長変換素子2
2kを用いる。さらに、光波長変換素子22kの周期状
の分極反転領域3が形成されている表面には、プロトン
交換を用いて光導波路2が形成されている。
【0192】短波長レーザ光源1000は、波長可変部
を有するDBR半導体レーザ21kを用いている。本実
施形態では、光波長変換素子22kの出射面12に反射
体58を形成し、そこからの外部反射光を活性層44に
フィードバックして発振波長の制御を行っている。これ
によって、縦モード間隔を極めて小さくすることができ
る。
【0193】DBR半導体レーザ21kは基材(不図
示)の上に固定されていて、半導体レーザ21kから出
射された基本波P1は、レンズ25aで平行光にされた
後、光波長変換素子22kに入射面10から入射する。
【0194】光波長変換素子22kに入った基本波P1
は、位相整合長Lの長さを持った分極反転領域で高調波
P2に変換される。さらに、その後に続く同じくLの長
さを持った非分極反転領域で、高調波のパワーが増幅さ
れる。このようにして、光導波路2の内部で増幅された
高調波P2は、出射面12より放射される。
【0195】次に、DBR半導体レーザ21kについて
説明する。
【0196】DBR半導体レーザ21kは、発光部42
及びDBR部40に分かれている。各部分42及び40
は、それぞれ電極42a及び40aにより独立に制御で
きる。発光部42に電極42aを介して電流を注入する
ことで、活性層44が発光する。注入電流が発振しきい
値を越えると、光波長変換素子22kに設けられている
反射体58とDBR部40に設けられている回折格子4
3とが起こす反射によって共振が生じ、レーザ発振す
る。
【0197】半導体レーザ21kの前面のへき開面45
には、無反射コーティングが施されている。また、反射
体58は、800nm帯の波長を有する基本波の光は約
98%反射するが、400nm帯の波長を有する高調波
の光は95%透過する。
【0198】半導体レーザ21kのDBR部40への注
入電流を変化させることで、屈折率が変化するので、フ
ィードバックされる波長が変わる。これを利用すれば、
DBR部40を波長可変部として動作させることがで
き、これにより、レーザの発振波長を変えることができ
る。
【0199】このとき、本実施形態の構成では、反射体
58とDBR部40の実効反射面との間の距離であるキ
ャビティ長Dは11mmに設定されており、縦モードの
間隔は0.01nmになっている。このように縦モード
の間隔を狭くすることによって、見かけ上は連続的に波
長を変更させることができる。また、光波長変換素子2
2kの許容波長半値幅は、0.2nmである。
【0200】本実施形態における光波長変換素子22k
は、60℃の温度範囲にわたって低ノイズで安定した高
調波出力を供給する。なお、上記の説明では、反射体5
8を光波長変換素子22kの出力側に設けている。これ
によって、基本波が光波長変換素子22kの内部を伝搬
した後に反射体58で反射されるので、基本波から高調
波への変換に際して有効にパワーを使用できる。しか
し、反射体58は、光波長変換素子22kの入射側に設
けることもできる。
【0201】上記で説明した本実施形態のように、光波
長変換素子22kの許容波長半値幅が半導体レーザ21
kの縦モード間隔より広ければ、高調波は常に出力され
る。この点を、図21を参照して説明する。
【0202】図21は、半導体レーザの縦モードと光波
長変換素子の高調波強度との関係を模式的に示す図であ
り、一例として、許容波長半値幅以内に2本の縦モード
A及びBが存在している場合を示している。この2本の
縦モードA及びBのどちらを選んでも光波長変換素子の
出力強度は1以上となるが、半導体レーザの出力を制御
することそのレベルを下げることができ、光波長変換素
子からの実際の出力は一定に保たれる。
【0203】このように、光波長変換素子の許容波長半
値幅を半導体レーザの縦モード間隔より広くするには、
一般に、半導体レーザのキャビティ長Dを長くする方法
が有効である。あるいは、それ以外の方法として、光波
長変換素子の分極反転領域の周期を部分的に変化させる
方法も有効である。後者では、光導波路の長さ方向に対
して分極反転領域の周期を徐々に或いは分割して変化さ
せることで、任意の許容幅を持つ光波長変換素子が実現
できる。
【0204】上記の説明に含まれていた半導体レーザで
は、その発光部を光波長変換素子に近い側に、DBR部
を光波長変換素子から遠い側に、それぞれ配置すること
が好ましい。これは、そのような配置によって、光波長
変換素子に入射するレーザ光の損失を少なくすることが
できるためである。
【0205】レーザ光は発光部でゲインを得るので、発
光部を半導体レーザの出射側の端面に近い側に、すなわ
ち光波長変換素子に近い側に配置すれば、出力されるパ
ワーを最大限に活用することができる。また、発光部か
らDBR部へ向けて出射されたレーザ光は、DBR部の
回折格子でほとんど回折される。このとき、回折格子の
ピッチを適切に設定することによって、回折効率を自由
に設定できる。回折効率は、例えば90%程度に設定す
る。
【0206】一方、DBR部を光波長変換素子に近い側
に、発光部を光波長変換素子から遠い側に、それぞれ配
置すると、発光部から発せられたレーザ光は、光波長変
換素子に入射する前に、その大部分、典型的には約90
%が回折されて発光部に戻る結果となる。したがって、
DBR部の側の端面から光波長変換素子へ向けては、レ
ーザ光がほとんど出射しなくなる。
【0207】また、半導体レーザ及び光波長変換素子を
光波長変換素子を金属製の基材の上にマウントする際に
は、以下の理由により、半導体レーザの活性層及び光波
長変換素子の光導波路が金属製の基材から遠い側に存在
するような配置にすることが好ましい。
【0208】すなわち、半導体レーザには複数の電極を
設ける必要があるので、電極に接続する配線をワイヤボ
ンディングなどで形成する工程を容易にするためには、
電極が半導体レーザの上面に配置されるようにすること
が好ましい。
【0209】一方、光波長変換素子を、その光導波路が
金属製の基材に直接的に接触する様な位置に配置する
と、屈折率の大きい金属製の基材へむけて、光損失が発
生する。そのような光損失を防ぐためには、基材と光波
長変換素子(光導波路)との間にSiO2膜などによる
保護膜を形成する必要が生じる。しかし、光導波路が上
側に存在するような配置にすることによって、そのよう
な保護膜の形成を省略することができる。
【0210】なお、以上の説明では、非線形光学結晶と
してLiTaO3またはLiNbO3を用いているが、それ以外に
も、KTP(KTiOPO4)、KNbO3、またはMgO、Nb、Ndなど
をドープしたLiTaO3やLiNbO3、あるいは、LiTaO3とLiNb
O3との混晶であるLiNb(1ーx)TaXO3(0≦X≦1)などの
強誘電体を使用することができる。あるいは、MNAや
DAN等の有機非線形光学結晶などを使用することもで
きる。
【0211】また、高調波出力のピークがいくつかある
場合、所定の出力が必要な場合等であっても、本発明が
適用できることは言うまでもない。
【0212】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の高調波
出力安定化方法によれば、半導体レーザの電流を変えて
レーザの発振波長を制御し、光波長変換素子の擬似位相
整合波長にレーザ発振波長を合わせることによって、簡
単に高調波出力の安定化を行うことができる。
【0213】また、本発明の短波長レーザ光源によれ
ば、半導体レーザの印加電流を制御することにより、光
波長変換素子の擬似位相整合波長に半導体レーザの発振
波長を合わせて、簡単且つ安定に高調波を発生すること
ができる。
【0214】さらに、本発明の短波長レーザ光源によれ
ば、半導体レーザの波長変動を防止し、低ノイズな高調
波出射を実現できる。特に、分布ブラッグ反射型(DB
R)半導体レーザを用いると、波長を広い範囲にわたっ
て安定に調整して安定化することができる。
【0215】また、半導体レーザに波長可変部を設ける
ことによって、波長安定化動作の高速化を図ることがで
き、実用上極めて効果がある。
【0216】また、本発明の光波長変換素子によれば、
高調波を光導波路から取り出して、非点収差のないスポ
ットを安定に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における短波長レーザ
光源の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における半導体レーザ
の印加電流と発振波長との関係を示すグラフである。
【図3】環境温度と高調波出力と関係を示すグラフであ
る。
【図4】本発明の第2の実施形態における短波長レーザ
光源の構造を示す断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、図4の短波長レーザ光源に
含まれる光波長変換素子の製造工程を示す断面図であ
る。
【図6】本発明の第3の実施形態における短波長レーザ
光源の構造を示す断面図である。
【図7】半導体レーザの駆動電流と出射される基本波の
パワーとの関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第4の実施形態における高調波出力の
安定化法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施形態における半導体レーザ
のDBR部の駆動電流と発振波長との関係を示すグラフ
である。
【図10】本発明の第4の実施形態において、微調整制
御にペルチェ素子を利用した場合における高調波出力の
安定化法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第5の実施形態における短波長レー
ザ光源に含まれる光波長変換素子の構成を示す断面図で
ある。
【図12】図11の光波長変換素子における入力される
基本波の波長と発生する高調波出力との関係を示すグラ
フである。
【図13】(a)は、本発明の第5の実施形態の短波長
レーザ光源において、半導体レーザの発振波長を変化さ
せたときのディテクタの出力電気信号を示すグラフであ
り、(b)は、そのときの差動出力を示すグラフであ
る。
【図14】本発明の第6の実施形態における短波長レー
ザ光源に含まれる光波長変換素子の構成を示す平面図で
ある。
【図15】本発明の第7の実施形態における短波長レー
ザ光源の構造を示す断面図である。
【図16】本発明の第8の実施形態における短波長レー
ザ光源の構造を示す断面図である。
【図17】本発明の第9の実施形態における短波長レー
ザ光源に含まれる半導体レーザの構成を示す断面図であ
る。
【図18】実効共振器長(キャビティ長)と縦モード間
隔との関係を示すグラフである。
【図19】本発明の第9の実施形態における短波長レー
ザ光源に含まれる半導体レーザの他の構成を示す断面図
である。
【図20】本発明の第10の実施形態における短波長レ
ーザ光源の構造を示す断面図である。
【図21】縦モード間隔と高調波の許容波長幅との関係
を示すグラフである。
【図22】従来の短波長レーザ光源の構成を示す断面図
である。
【図23】(a)は、従来の光波長変換素子の構成を示
す斜視図であり、(b)は、(a)の線23B−23B
における断面図である。
【図24】(a)及び(b)は、光波長変換素子による
波長変換の原理を説明する図である。
【符号の説明】
1、101 LiTaO3基板 1a MgOドープLiNbO3基板 2、2a、2b、102 光導波路 3、3a、3b、103 分極反転領域 4、104 非分極反転領域 6a Ta膜 10 入射面 12 出射面 14 SiO2層 15 薄膜ヒータ 17a、17b 回折格子 20、120 基材 20a Siサブマウント 21a、21b、21f、21g、21h、21j、2
1k 分布ブラッグ反射型(DBR)半導体レーザ 21c ファブリーペロー型半導体レーザ 22a、22b、22c、22d、22e、22f、2
2g、22k、122光波長変換素子 24、124 コリメータレンズ 25、125 フォーカスレンズ 26 半波長板 27 ビームスプリッタ 28、28a、28b ディテクタ 40 DBR部 41 位相制御部 42 発光部 40a、41a、42a、47a 電極 43 回折格子 44 活性層 45、46 へき開面 47 アンプ部 48 ペルチエ素子 58 反射体 59a、59b 銅ブロック 100、200、300、700、800、1000、
5000 短波長レーザ光源 121 半導体レーザ P1、P1a 基本波 P2、P2a、P2b 高調波
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01S 5/14 H01S 5/14 (72)発明者 水内 公典 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 加藤 誠 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2K002 AA05 AB12 BA03 DA01 DA06 EA07 EB15 FA26 FA27 HA20 5F073 AA65 AA83 AB23 EA03 GA13

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長可変部を有する分布ブラッグ反射型
    半導体レーザから出射された基本波を光波長変換素子で
    高調波へと変換する工程と、該高調波出力を差動検出
    し、検出結果を用いて該分布ブラッグ反射型半導体レー
    ザの該波長可変部の印加電流を制御して該分布ブラッグ
    反射型半導体レーザの発振波長を変え、それによって、
    該高調波出力の略ピークに該発振波長を合わせる工程と
    を包含する高調波出力安定化方法。
  2. 【請求項2】 非線形光学結晶中に形成された少なくと
    も3つ以上の周期状分極反転領域を有する光波長変換素
    子と、半導体レーザと、を備え、該3つ以上の周期状分
    極反転領域は、周期Λの第1の周期状分極反転領域と、
    周期Λ1の第2の周期状分極反転領域と、周期Λ2の第
    3の周期状分極反転領域と、を含み、周期の関係がΛ1
    <Λ<Λ2であり、周期Λ1の第2の周期状分極反転領
    域で発生した高調波と周期Λ2の該第3の周期状分極反
    転領域で発生した高調波とは、それぞれ異なる検出器で
    検出される短波長レーザ光源。
  3. 【請求項3】 前記光波長変換素子が光導波路型である
    請求項1に記載の高調波出力安定化方法。
  4. 【請求項4】 前記光波長変換素子が光導波路型である
    請求項2に記載の短波長レーザ光源。
  5. 【請求項5】 前記光波長変換素子がバルク型である請
    求項1に記載の高調波出力安定化方法。
  6. 【請求項6】 前記光波長変換素子がバルク型である請
    求項2に記載の短波長レーザ光源。
  7. 【請求項7】 前記非線形光学結晶がLiNbxTa1-x
    3(0≦X≦1)基板である請求項2に記載の短波長
    レーザ光源。
  8. 【請求項8】 前記光導波路がプロトン交換光導波路で
    ある請求項4に記載の短波長レーザ光源。
  9. 【請求項9】 ディテクタおよびビームスプリッタをさ
    らに有する請求項2に記載の短波長レーザ光源。
  10. 【請求項10】 基本波出力をモニタして電流を制御す
    る請求項1に記載の高調波出力安定化方法。
  11. 【請求項11】 基本波出力をモニタして電流を制御す
    る請求項2に記載の短波長レーザ光源。
  12. 【請求項12】 縦モード間隔が1nm以上である前記
    半導体レーザを用いたことを特徴とする請求項1に記載
    の高調波出力安定化方法。
  13. 【請求項13】 縦モード間隔が1nm以上である、前
    記半導体レーザを用いたことを特徴とする請求項2に記
    載の短波長レーザ光源。
  14. 【請求項14】 前記光波長変換素子における前記基本
    波の反射戻り光が0.2%以下である請求項2に記載の
    短波長レーザ光源。
  15. 【請求項15】 ペルチエ素子の第1の面にて前記半導
    体レーザの温度を制御し、該ペルチエ素子の第2の面に
    て前記光波長変換素子の温度を制御し、かつ該第1の面
    と該第2の面とでは温度変化がお互いに逆である請求項
    2に記載の短波長レーザ光源。
  16. 【請求項16】 前記分布ブラッグ反射型半導体レーザ
    において、前記波長可変部が、前記光波長変換素子から
    遠い側に配置されている請求項1に記載の高調波出力安
    定化方法。
  17. 【請求項17】 前記分布ブラッグ反射型半導体レーザ
    及び前記光波長変換素子は基材の上にマウントされてお
    り、該分布ブラッグ反射型半導体レーザの活性層及び該
    光波長変換素子の光導波路が、それぞれ該基材から遠い
    側に配置されている請求項1に記載の高調波出力安定化
    方法。
  18. 【請求項18】 前記半導体レーザ及び前記光波長変換
    素子は基材の上にマウントされており、該半導体レーザ
    の活性層及び該光波長変換素子の光導波路が、それぞれ
    該基材から遠い側に配置されている請求項2に記載の短
    波長レーザ光源。
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JP2013190517A (ja) * 2012-03-13 2013-09-26 Ngk Insulators Ltd 高調波発生装置

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