JP2002060407A - 放射線硬化性樹脂組成物、その硬化物、およびその使用方法 - Google Patents

放射線硬化性樹脂組成物、その硬化物、およびその使用方法

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JP2002060407A
JP2002060407A JP2000246959A JP2000246959A JP2002060407A JP 2002060407 A JP2002060407 A JP 2002060407A JP 2000246959 A JP2000246959 A JP 2000246959A JP 2000246959 A JP2000246959 A JP 2000246959A JP 2002060407 A JP2002060407 A JP 2002060407A
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Nobuyasu Shinohara
宣康 篠原
Akira Nishikawa
昭 西川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面粘着性を有していないにもかかわらず、
低温接着可能な放射線硬化性樹脂組成物およびその製造
方法等を提供する。 【解決手段】 放射線硬化性樹脂組成物において、下記
(A)〜(D)成分を含有するとともに、エチレン性不
飽和単量体を高分子量化して、表面粘着性を低下させ
る。 (A)熱可塑性エラストマー (B)エチレン性不飽和単量体 (C)光開始剤 (D)充填剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線硬化性樹脂
組成物、その硬化物およびその使用方法に関する。より
詳細には、ICカードの基材等の貼り合わせに適した、
室温で表面粘着性を有しないにもかかわらず、幅広い温
度域で圧着可能な放射線硬化性樹脂組成物、このような
放射線硬化性樹脂組成物からなる硬化物、およびこのよ
うな放射線硬化性樹脂組成物の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ICカードを製造する際には、対
向するICカード用基板間に、熱硬化型樹脂や、ホット
メルト型樹脂や、あるいは紫外線硬化型樹脂を充填し、
加熱/加圧処理する接着剤貼り合わせ法等が多用されて
いた。また、特開平11−105476号公報に開示さ
れているように、熱硬化型樹脂や、ホットメルト型樹脂
や、あるいは紫外線硬化型樹脂を基板シート上に樹脂層
として付与した後、ICチップを含む部品を樹脂層上に
載置して加熱/加圧処理することにより樹脂層内に封入
し、次いで、熱硬化型樹脂や、ホットメルト型樹脂や、
あるいは紫外線硬化型樹脂からなる樹脂層を有する他の
基板シートを重ねて加熱/加圧処理する製造方法が採ら
れていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱硬化
型樹脂を用いた場合には、短時間で十分に熱硬化するこ
とが困難であり、一方、硬化不良を防止するために高温
条件で加熱すると、ICカード用基板が損傷したり、熱
変形するなどの問題が見られた。また、樹脂が熱硬化し
ているため、対向するICカード用基板同士を位置ずれ
した状態で接着した場合に、リペアして、ICカード用
基板を再利用することが困難であった。また、ホットメ
ルト型樹脂を用いた場合には、ICカード用基板の所定
場所に正確に塗布することが困難であり、また、ホット
メルト型樹脂が溶融状態のうちに対向するICカード用
基板を加熱/加圧処理しなければならないなどの制約が
大きかった。さらに、従来の紫外線硬化型樹脂を用いた
場合は、ICカード用基板上に塗布した場合に、表面に
べたつきがあるため、接着前のICカード用基板を複数
枚積層した状態で保管することは不可能であった。ま
た、紫外線硬化型樹脂も硬化しているため、位置ずれし
てICカード用基板を接着した場合に、リペアして、I
Cカード用基板を再利用することが困難であった。
【0004】一方、加熱せずに、加圧接着可能であっ
て、しかもリペアして、ICカード用基板を再利用する
ためには、アクリル系粘着剤等を使用することが考えら
れるが、従来のアクリル系粘着剤等は、ポリエステル系
基材に対しては難接着であり、しかも、表面粘着性が高
いために、接着前のICカード用基板を複数枚積層した
状態では保管することは不可能であった。
【0005】そこで、本発明者らは、鋭意検討した結
果、特定の構成成分から放射線硬化性樹脂組成物を構成
することにより、接着前の基板を複数枚積層した状態で
保管しても容易に剥離することができ、しかも、ポリエ
ステル系基材等の難接着基材に対しても、例えば、0℃
〜150℃程度の幅広い温度域で圧着可能であることを
見出した。すなわち、本発明は、室温で表面粘着性を有
しておらず、難接着性基材に対しても優れた接着性を示
し、しかも幅広い温度域で圧着可能である放射線硬化性
樹脂組成物を提供すること、このような放射線硬化性樹
脂組成物からなる硬化物、およびこのような放射線硬化
性樹脂組成物の使用方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記
(A)〜(D)成分を含有し、紫外線照射後の硬化物が
室温で表面粘着性を有していないことを特徴とする放射
線硬化性樹脂組成物が提供され、上述した課題を解決す
ることができる。 (A)熱可塑性エラストマー (B)エチレン性不飽和単量体 (C)光開始剤 (D)充填剤 このように構成することにより、充填剤等の働きにより
表面粘着性を低下させることができ、また、熱可塑性エ
ラストマー等の働きにより、幅広い種類の基材に対して
も優れた接着性を示すことができる。しかも熱可塑性エ
ラストマーとエチレン性不飽和単量体とを適宜組合わせ
ることにより、幅広い温度域で圧着可能である放射線硬
化性樹脂組成物を提供することができる。なお、放射線
硬化性樹脂組成物の紫外線照射後の硬化物が室温で表面
粘着性を有していないとは、放射線硬化性樹脂組成物の
表面に、空気下、照射量1J/cmの紫外線を照射し
て硬化させた後、実施例1に示す表面粘着性試験におい
て、ベタつきがないこと(評価〇)や、少々ベタつきが
ある程度(評価△)を意味している。
【0007】また、本発明の放射線硬化性樹脂組成物を
構成するにあたり、紫外線照射により、(B)成分が高
分子量化されることが好ましい。このように構成するこ
とにより、(B)成分に起因した粘着性が短時間で低下
するため、放射線硬化性樹脂組成物の表面粘着性の制御
がより容易になり、また、放射線硬化性樹脂組成物を安
価に提供することができる。
【0008】また、本発明の放射線硬化性樹脂組成物を
構成するにあたり、(A)成分がスチレン系熱可塑性エ
ラストマーであり、(B)成分がアクリレート系単量体
であることが好ましい。このように構成することによ
り、表面粘着性や接着性の制御についてもさらに容易と
なる。なお、通常、スチレン系熱可塑性エラストマー
と、アクリレート系単量体とは相溶性がないと言われて
いるが、スチレン系熱可塑性エラストマーにおけるスチ
レン含量、分子量、水素添加率等を調整したり、あるい
は、アクリレート系単量体の種類、添加量等を調整する
ことにより、これらの化合物を完全に、または部分的に
相溶させることができる。
【0009】また、本発明の別の態様は、紫外線照射後
の硬化物が150℃以下で、加圧接着可能であるととも
に、室温で表面粘着性を有していないことを特徴とする
放射線硬化性樹脂組成物である。このように構成するこ
とにより、放射線硬化性樹脂組成物を基材に積層した状
態で、基材同士を重ねて保管することができる。また、
かかる放射線硬化性樹脂組成物の硬化物は、室温付近は
もちろんのこと、0℃程度の低温度であっても、あるい
は150℃程度の高温度であっても、幅広い温度域での
圧着が可能であることから、圧着温度が多少ばらついて
も、接着力自体のばらつきが小さくなり、また、基材同
士を接着する場合に、基材や、基材に搭載された回路部
品等に対して、熱損傷を与えるおそれが少なくなる。
【0010】また、本発明の別の態様は、上述した放射
線硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。この
ように構成することにより、室温で表面粘着性を有して
おらず、難接着性基材に対しても優れた接着性を示し、
しかも幅広い温度域で圧着可能である放射線硬化性樹脂
組成物の硬化物を提供することができる。
【0011】また、本発明の別の態様は、上述した放射
線硬化性樹脂組成物を対向する基材間に挟持した後、1
50℃以下の圧着温度条件下に、加圧することを特徴と
する放射線硬化性樹脂組成物の使用方法である。このよ
うに実施することにより、基材同士を接着する場合に、
基材や、基材に搭載された回路部品等に対して、熱損傷
を与えるおそれが少なくなる。
【0012】また、本発明の使用方法を実施するにあた
り、基材がポリエステル系樹脂からなることが好まし
い。このように実施することにより、汎用の基材同士を
接着することができ、したがって、ポリエステル系樹脂
を基材として多用しているICカードや、液晶素子等を
容易に製造することができる。なお、上述した放射線硬
化性樹脂組成物は、通常、難接着と言われているポリエ
ステル系樹脂に対しても優れた接着性を示すことができ
る。
【0013】また、本発明の使用方法を実施するにあた
り、基材がICカード用基材であることが好ましい。こ
のように実施することにより、ポリエステル系樹脂やポ
リスルホン系樹脂、あるいはポリイミド系樹脂等を基材
として多用しているICカードを容易に製造することが
できる。なお、上述した放射線硬化性樹脂組成物は、通
常、難接着と言われているポリエステル系樹脂、ポリス
ルホン系樹脂およびポリイミド系樹脂に対しても、優れ
た接着性を示すことができる。
【0014】また、本発明の別の態様は、ICカード用
基材を接着するための放射線硬化性樹脂組成物であっ
て、下記(A)〜(D)成分を含有することを特徴とす
る放射線硬化性樹脂組成物である。 (A)熱可塑性エラストマー (B)エチレン性不飽和単量体 (C)光開始剤 (D)充填剤 このように構成することにより、表面粘着性が低いとと
もに、幅広い温度域で圧着可能であり、しかも幅広い種
類の基材に対して、優れた接着力が得られるICカード
用基材を接着するための硬化物(接着剤と称する場合が
ある。)を、光照射するだけで容易かつ迅速に得ること
ができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明における放射線硬化性樹脂
組成物に関する実施形態(第1の実施形態)、および放
射線硬化性樹脂組成物の使用方法に関する実施形態(第
2の実施形態)について、それぞれ具体的に説明する。
【0016】[第1の実施形態]第1の実施形態は、下
記(A)〜(D)成分を含有するとともに、紫外線照射
後の硬化物が室温で表面粘着性を有していない放射線硬
化性樹脂組成物である。 (A)熱可塑性エラストマー (B)エチレン性不飽和単量体 (C)光開始剤 (D)充填剤
【0017】(1)(A)成分 (A)成分としての熱可塑性エラストマーは、主とし
て、放射線硬化性樹脂組成物における優れた接着特性を
発現するために添加される。すなわち、熱可塑性エラス
トマーを使用することにより、幅広い種類の基材に対し
て、強固に接着することが可能である。
【0018】種類 (A)成分の熱可塑性エラストマーとしては、凝集力が
高く、優れた接着力が得られることからスチレン系熱可
塑性エラストマーであることが好ましく、より具体的に
は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体
(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−
スチレンブロック共重合体(SEBS)等の一種単独ま
たは二種以上の組合わせが挙げられる。また、これらの
熱可塑性エラストマーのうち、(B)成分のエチレン性
不飽和単量体との相溶性が良好であり、しかも耐熱性や
耐酸化性が高いことから、SEBSであることが好まし
い。さらにまた、上述した熱可塑性エラストマーの分子
鎖中に、カルボキシル基やエポキシ基を有する変性熱可
塑性エラストマーであることも好ましい。このように極
性基を有することにより、(B)成分との相溶性がさら
に良好となるとともに、これらの極性基を利用して反応
させることができるためである。
【0019】分子量 また、(A)成分の分子量についても特に制限されるも
のではないが、GPCにより測定されるポリスチレン換
算の重量平均分子量において、1,000〜500,0
00の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、
かかる重量平均分子量が1,000未満となると、放射
線硬化性樹脂組成物の凝集力が低下し、得られる接着力
が低下する場合があるためであり、一方、かかる重量平
均分子量が500,000を超えると、(B)成分のエ
チレン性不飽和単量体との相溶性が低下する場合がある
ためである。そのため、(A)成分の重量平均分子量
を、2,000〜300,000の範囲内の値とするこ
とがより好ましく、5,000〜150,000の範囲
内の値とすることがさらに好ましい。
【0020】スチレン含量 また、(A)成分がスチレン系熱可塑性エラストマーで
ある場合、スチレン含量を10〜40重量%の範囲内の
値とすることが好ましい。この理由は、かかるスチレン
含量が10重量%未満の値となると、放射線硬化性樹脂
組成物の凝集力が低下し、得られる接着力が低下する場
合があるためである。一方、かかるスチレン含量が40
重量%を超えると、(B)成分のエチレン性不飽和単量
体との相溶性が低下したり、低温接着により加圧接着す
ることが困難となる場合があるためである。そのため、
スチレン含量を10〜30重量%の範囲内の値とするこ
とがより好ましく、10〜20重量%の範囲内の値とす
ることがさらに好ましい。
【0021】水素添加率 また、(A)成分がSEBSや変性SEBSの場合の水
素添加率についても特に制限されるものではないが、例
えば、かかる水素添加率を、水素添加前の不飽和結合量
(100mol%)に対する、水素添加後の不飽和結合
量の比率で表した場合に、30%以下の値とすることが
好ましく、また、20%以下の値とすることがより好ま
しい。この理由は、かかる水素添加率を30%以下の値
とすることにより、(B)成分との相溶性が良好とな
り、しかも耐熱性や耐酸化性も著しく向上するためであ
る。
【0022】(2)(B)成分 (B)成分としてのエチレン性不飽和単量体は、主とし
て、(A)成分の熱可塑性エラストマー、特にゴム部分
のみを可塑化し、放射線硬化性樹脂組成物における低温
(0℃)から高温(150℃)での幅広い温度域での接
着性を発現するために添加される。
【0023】種類 (B)成分のエチレン性不飽和単量体としては、(C)
成分の光開始剤により重合し、高分子量化する化合物で
あれば好適に使用できるが、例えば、N−ビニルピロリ
ドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾー
ル、ビニルピリジン、イソボルニル(メタ)アクリレー
ト、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニ
ル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)
アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリ
レート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、
イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)
アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソア
ミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレ
ート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メ
タ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル
(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、
イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)
アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレ
ート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒ
ドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル
(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール
(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリ
レート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アク
リレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)
アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イ
ソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ
メチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)
アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、ヒドロキシブチルビルエーテル、ラウリルビニルエ
ーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビ
ニルエーテル等の一種単独または二種以上の組合わせが
挙げられる。
【0024】また、B成分として、下記一般式(1)ま
たは(2)で表されるエチレン性不飽和単量体が挙げら
れる。
【0025】
【化1】
【0026】(式中、R1は水素原子又はメチル基を示
し、R2は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、繰り返
し数wは1〜8の数を示す)
【0027】
【化2】
【0028】(式中、R3、R5及びR6は、それぞれ独
立して水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数2〜
8のアルキレン基を示し、繰り返し数xは1〜8の数を
示す)
【0029】また、(B)成分は、これらのエチレン性
不飽和単量体のうち単官能であることが好ましい。この
理由は、多官能となると、紫外線を照射した場合に架橋
して、その後の熱圧着性が低下する場合があるためであ
る。また、これらのエチレン性不飽和単量体を二種以上
組み合わせる場合、重合時のガラス転移点が30℃未満
のエチレン性不飽和単量体と、重合時のガラス転移点が
30℃以上となるエチレン性不飽和単量体とを組み合わ
せることが好ましい。この理由は、このように組み合わ
せると、紫外線硬化後に、優れた圧着性や相溶性が得ら
れるためである。
【0030】さらに、(B)成分は、(A)成分の熱可
塑性エラストマーと完全または部分的に相溶する単量体
であることが好ましく、具体的には、イソボロニル(メ
タ)アクリレートや、ラウリル(メタ)アクリレート等
であることがより好ましい。さらに、イソボロニル(メ
タ)アクリレートと、ラウリル(メタ)アクリレートと
を混合使用することにより、それぞれ単独では得られな
い程、PETフィルムに対する接着性を著しく向上させ
ることができる。また、表面粘着性の制御についても容
易となることから、これらは好ましいエチレン性不飽和
単量体の組合わせと言える。なお、イソボロニル(メ
タ)アクリレートと、ラウリル(メタ)アクリレートと
を混合使用する場合、その混合割合を、重量比で、9
5:5〜5:95の範囲内の値とすることが好ましく、
80:20〜20:80の範囲内の値とすることがより
好ましく、70:30〜30:70の範囲内の値とする
ことがさらに好ましい。
【0031】添加量 また、(B)成分の添加量を、(A)成分100重量部
に対して、10〜2,000重量部の範囲内の値とする
ことが好ましい。この理由は、かかる(B)成分の添加
量が10重量部未満となると、粘度が高くなりすぎた
り、混合できない場合があるためであり、また、放射線
硬化性樹脂組成物の低温条件での加圧接着性が不充分と
なる場合があるためである。一方、(B)成分の添加量
が2,000重量部を超えると、放射線硬化性樹脂組成
物の硬化後の熱圧着性が低下する場合があるためであ
る。そのため、放射線硬化性樹脂組成物の低温接着性
と、熱圧着性等とのバランスがより良好となるため、か
かる(B)成分の添加量を、(A)成分100重量部に
対して、50〜500重量部の範囲内の値とすることが
より好ましく、100〜300重量部の範囲内の値とす
ることがさらに好ましい。
【0032】(3)(C)成分 (C)成分としての光開始剤は、主として、(B)成分
のエチレン性不飽和単量体を光重合して、高分子量化さ
せることにより、基材への密着力が発現するとともに、
放射線硬化性樹脂組成物における表面粘着性を制御する
ために添加される。
【0033】種類 (C)成分の光開始剤は、光照射により分解してラジカ
ルを発生させ、(B)成分のエチレン性不飽和単量体を
重合可能な化合物であればいずれでもよいが、例えばア
セトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジ
メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、
フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アント
ラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メ
チルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,
4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ
ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチ
ルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒド
ロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オ
ン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イ
ソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサント
ン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]
−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−
トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,
4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等の一
種または二種以上の組合わせが挙げられる。
【0034】これらのうち、比較的少量の添加で(B)
成分を重合可能であり、しかも比較的安価であることか
ら、(C)成分として、1−ヒドロキシシクロヘキシル
フェニルケトンがより好ましい。なお、上述した(C)
成分以外に、熱重合開始剤を併用することも好ましい。
このように構成すると、(C)成分の光開始剤によって
十分に光重合しない未反応不飽和単量体が残留していた
としても、加熱することにより、かかる未反応不飽和単
量体を熱重合することが可能となるためである。したが
って、熱重合開始剤を併用することにより、表面粘着性
の制御が容易となるばかりか、優れた接着特性が得られ
るものである。
【0035】添加量 また、(C)成分の添加量についても、特に制限される
ものではないが、(B)成分を100重量部としたとき
に、かかる(C)成分の添加量を0.1〜30重量部の
範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、(C)成
分の添加量が0.1重量部未満となると、(B)成分に
対する光重合性が著しく低下し、放射線硬化性樹脂組成
物の凝集力が低下し、結果として接着力が低下したり、
あるいは表面粘着性の制御が困難となる場合があるため
である。一方、(C)成分の添加量が30重量部を超え
ると、(B)成分に対する反応性を制御することが困難
となり、保存安定性が低下する場合があるためである。
そのため、(C)成分の添加量を、(B)成分を100
重量部としたときに、0.5〜20重量部の範囲内の値
とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の
値とすることがさらに好ましい。
【0036】(4)(D)成分 (D)成分としての充填剤(フィラー)は、主として、
放射線硬化性樹脂組成物における表面粘着性の制御のた
めに添加される。また、このような充填剤を添加するこ
とにより、放射線硬化性樹脂組成物の凝集力や流動性、
さらには透明性についても調節することができる。
【0037】種類 (D)成分の充填剤としては、放射線硬化性樹脂組成物
の表面粘着性の制御が可能なものであれば特に制限され
るものではないが、例えば、シリカ、溶融シリカ、ガラ
ス、石英、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、
チタン酸化物、亜鉛酸化物、アルミニウム酸化物、硼素
酸化物、スズ酸化物、リン酸化物、インジウムスズ酸化
物、金属、金属窒化物、炭素同位体、ポリマー粒子等の
一種単独または二種以上の組合わせが挙げられる。これ
のうち、比較的少量の添加で表面粘着性の制御が可能で
あり、しかも安価であることから、より好ましい(D)
成分として、シリカ、溶融シリカあるいはガラスが挙げ
られる。
【0038】形態 また、(D)成分の形状についても特に制限されるもの
ではなく、例えば、球状、板状、繊維状、不定形、中空
等のいずれのものでも良い。また、(D)成分の数平均
粒子径を、0.1〜50μmの範囲内の値とするのが好
ましい。この理由は、数平均粒子径が0.1μmの値と
なると、多量に添加しないと放射線硬化性樹脂組成物の
表面粘着性の制御が困難となる場合があるためであり、
一方、数平均粒子径が50μmを超えると、放射線硬化
性樹脂組成物に均一に分散することが困難となる場合が
あるためである。そのため、(D)成分の数平均粒子径
を、1〜30μmの範囲内の値とするのがより好まし
く、2〜20μmの範囲内の値とするのがさらに好まし
い。
【0039】添加量 (D)成分の添加量は、特に制限されるものではない
が、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し
て、10〜200重量部の範囲内の値とするのが好まし
い。かかる(D)成分の添加量が10重量部未満となる
と、表面粘着性の制御が困難となる場合があり、一方、
200重量部を超えると、放射線硬化性樹脂組成物の粘
度が上昇したり、均一に分散することが困難となり、結
果として放射線硬化性樹脂組成物の取り扱いが困難とな
る場合があるためである。そのため、(D)成分の添加
量を、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対
して、15〜150重量部の範囲内の値とするのがより
好ましく、20〜100重量部の範囲内の値とするのが
さらに好ましい。
【0040】(5)添加剤 本発明の効果を損なわない範囲で、放射線硬化性樹脂組
成物中に、添加剤として、有機溶剤、反応性希釈剤、高
分子添加剤、反応性希釈剤、重合禁止剤、重合開始助
剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防カビ
剤、調湿剤、染料溶解剤、緩衝溶液、キレート剤、難燃
剤、硬化剤、硬化促進剤等の一種単独または二種以上の
組合わせを含有させることもできる。例えば、高分子添
加剤として、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を添
加することにより、放射線硬化性樹脂組成物の凝集力
や、表面粘着性の制御をより容易とすることができる。
【0041】(6)製造方法 上記(A)〜(D)成分を、プロペラミキサーやボール
ミル等の常法に従い、均一に混合して、放射線硬化性樹
脂組成物を調製することが好ましい。なお、比較的混合
に時間を要する(A)熱可塑性エラストマーと、(B)
エチレン性不飽和単量体とを予め加熱攪拌等して、均一
に混合しておくことも好ましい。
【0042】また、放射線硬化性樹脂組成物を製造する
に際して、その粘度を、100〜1,000,000c
P(測定温度:25℃、以下、同様である。)の範囲内
の値とするのが好ましい。この理由は、粘度がこの範囲
外となると、放射線硬化性樹脂組成物の取り扱い性や保
存安定性が低下したり、あるいは、均一な厚さを有する
接着剤層を形成することが困難となる場合があるためで
ある。したがって、放射線硬化性樹脂組成物の粘度を、
200〜500,000cPの範囲内の値とするのがよ
り好ましく、500〜300,000cPの範囲内の値
とするのがさらに好ましい。なお、放射線硬化性樹脂組
成物の粘度の調整は、(A)成分と、(B)成分との混
合比を調節したり、(A)成分や(B)成分の種類を変
えたり、さらには、溶剤や反応性希釈剤を添加して、実
施することが好ましい。
【0043】[第2の実施形態]本発明の第2の実施形
態は、第1の実施形態である放射線硬化性樹脂組成物の
使用方法に関する実施態様である。以下、ICカード用
基材を積層することを想定して説明する。
【0044】(1)ICカード用基材 ICカード用基材の種類としては、特に制限されるもの
ではないが、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹
脂、ポリイミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系
樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、ノルボルネン系樹脂
等が挙げられる。特に、ポリエステル系樹脂のうちのポ
リエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる基材
は、耐熱性や機械的特性に優れているとともに、安価で
あることからICカード用基材として好適である。な
お、本発明の放射線硬化性樹脂組成物は、幅広い種類の
基材に対して優れた接着性を示し、特にPET樹脂に対
して優れた接着性を示すことが確認されている。
【0045】(2)塗布方法 放射線硬化性樹脂組成物を光重合(硬化)させるにあた
り、粘度調整した放射線硬化性樹脂組成物を、基材等に
塗布することが好ましい。このような塗布方法として
は、公知の塗布方法を使用することができ、例えば、デ
ィッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコー
ト法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印
刷法、シルクスクリーン法、またはインクジェット法等
の塗布方法を用いることが好ましい。
【0046】(3)光重合条件 また、放射線硬化性樹脂組成物の光重合条件(硬化条
件)についても特に制限されるものではないが、照射量
を0.01〜10J/cm2の範囲内の値とすることが
好ましい。この理由は、このような照射量であれば、放
射線硬化性樹脂組成物の凝集力や、表面粘着性の制御が
容易となるためである。また、このような照射量であれ
ば、一般的な紫外線照射装置等を使用することができる
とともに、硬化時間が過度に長くならないためである。
そのため照射量を0.1〜5J/cm2の範囲内の値と
することがより好ましく、0.3〜3J/cm2の範囲
内の値とすることがさらに好ましい。
【0047】(4)圧着条件 圧着温度 ICカード用基材を、放射線硬化性樹脂組成物を介して
積層する際の圧着温度としては、0℃〜150℃の範囲
内の値であることが好ましい。この理由は、圧着温度が
0℃未満となると、放射線硬化性樹脂組成物の接着性が
発現しない場合があるためであり、一方、圧着温度が1
50℃を超えると、ICカード用基材を損傷する場合が
あるためである。そのため、圧着温度を10℃〜120
℃の範囲内の値とすることがより好ましく、20℃〜1
00℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0048】圧着圧力 また、ICカード用基材を、放射線硬化性樹脂組成物を
介して積層する際の圧着圧力は特に制限されるものでは
ないが、100〜1,000N/cmの範囲内の値と
することが好ましい。この理由は、圧着圧力が100N
/cm未満となると、放射線硬化性樹脂組成物の接着
性が発現しない場合があるためであり、一方、圧着圧力
が1,000N/cmを超えると、ICカード用基材
や、それに搭載されている電子部品を損傷する場合があ
るためである。そのため、圧着圧力を200〜800N
/cmの範囲内の値とすることがより好ましく、30
0〜600N/cmの範囲内の値であることがさらに
好ましい。
【0049】(5)ICカードの製造例1 図1に示すように、少なくともカバーシート10と、電
子部品12を収納するための開口部14を有するコアシ
ート16と、配線パターン17が形成され、電子部品1
2が搭載された回路基板シート18とを、順次に放射線
硬化性樹脂組成物を介して積層してなるICカード20
を例に採ってICカードの製造例を説明する。
【0050】回路基板シート18上に搭載した電子部
品12を埋設し、電気絶縁するためにホットメルト接着
剤や、エポキシ系接着剤あるいはシリコーン系粘着剤等
の充填用接着剤(図示せず。)を塗布する。ただし、か
かる充填用接着剤の代わりに、本発明の放射線硬化性樹
脂組成物(第1の放射線硬化性樹脂組成物と称する。)
を塗布した後、紫外線を照射して、硬化物とすることも
好ましい。
【0051】次いで、カバーシート10、コアシート
16および回路基板シート18の接合面の少なくともい
ずれか一方に、放射線硬化性樹脂組成物用材料を塗布す
るとともに、紫外線を照射して、第2の放射線硬化性樹
脂組成物の硬化物からなる接着剤層24を形成する。な
お、この時点において、接着剤層を形成したカバーシー
ト10、コアシート16および回路基板シート18を重
ねて保管しておいたとしても、接着剤層の表面粘着性が
低下しているために、使用する際には、容易に引き剥が
すことが可能である。
【0052】次いで、回路基板シート18上に搭載さ
れた電子部品12が、コアシート16における開口部1
4にそれぞれを適合するように位置合わせした後、回路
基板シート18とコアシート16とを加熱加圧して、積
層する。この場合、第2の放射線硬化性樹脂組成物の硬
化物からなる接着剤層24は、加熱加圧前であれば、容
易に引き剥がすことが可能である。そのため、回路基板
シート18とコアシート16とが位置ずれしていたとし
ても、容易に修正することが可能である。また、回路基
板シート18とコアシート16とを加熱加圧した後であ
っても、これらを引き剥がすこと自体は可能であり、そ
の後、本発明の放射線硬化性樹脂組成物であれば実質的
に架橋していないために、回路基板シート18やコアシ
ート16を、当該放射線硬化性樹脂組成物を再利用し
て、接着することも可能である。
【0053】次いで、カバーシート10を、回路基板
シート18とコアシート16とからなる積層体の表面に
位置合わせした後、カバーシート10側から150℃以
下の温度条件下に加熱加圧して、第2の放射線硬化性樹
脂組成物の硬化物からなる接着剤層24を介して接合す
る。 最後に、得られたカバーシート10と、回路基板シー
ト18と、コアシート16とからなる積層体を、所望に
より所定の寸法に切断するとともに、周囲を封止してI
Cカード20とする。
【0054】(6)ICカードの製造例2 図2に、図1とは別の態様のICカードにおける製造工
程例を示す。まず、この製造例では、図2(a)および
(b)に示すように、ICカード用基材32に、放射線
硬化性樹脂組成物30を均一な厚さに塗布した後、図2
(c)に示すように、紫外線を照射して、硬化物36と
する。すなわち、放射線硬化性樹脂組成物30に含まれ
る(C)成分の働きにより、同様に含まれる(B)成分
を高分子量化して、(B)成分に起因した粘着性を著し
く低下させることができる。したがって、(D)成分と
相俟って、硬化物36の表面粘着性を実質的に無いもの
とすることができ、そのため、この段階で、複数重ねて
保管することも可能である。
【0055】次いで、この製造例では、図2(d)に示
すように、ICカード用基材32に硬化物36が積層さ
れた第1の積層部材38と、第2の積層部材40とを用
意し、これらの積層部材間に、ICチップ42等を所定
位置に配置する。この段階でも、硬化物36には、表面
粘着性が実質的に無いため、積層部材間の位置合わせ
や、積層部材に対するICチップ42等の位置合わせを
容易に行うことができ、仮に誤った場合でも、ICチッ
プ42等を容易にリペアすることができる。
【0056】次いで、図2(e)に示すように、積層部
材間を150℃以下の温度条件下に加圧することによ
り、ICチップ42等の周囲が硬化物36により保護さ
れた状態のICカード44を製造することができる。な
お、このようにICカード44を製造することにより、
ICカードの製造例1で得られるICカードよりも部品
点数を減少させることができ、また、対称的な積層部材
を使用することもできるために、極めて安価なICカー
ド44を提供することができる。
【0057】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に
説明する。なお、実施例中の部および%は、特に断らな
い限り重量部および重量%である。
【0058】[実施例1] (1)放射線硬化性樹脂組成物の調製 熱可塑性エラストマーとして、市販のSEBS樹脂であ
るダイナロン8600P(JSR(株)製、スチレン含
量15重量%、重量平均分子量9万、SEBS1と称す
る。)を用意した。次いで、セパラブルフラスコ内に、
ダイナロン8600P 33gと、イソボロニルアクリ
レート(IBAと称する。)44gと、ラウリルアクリ
レート(LAと称する。)23gとを収容した後、セパ
ラブルフラスコ内をミキサーで攪拌しながら、60℃の
オイルバスを用いて加熱した。熱可塑性エラストマー
が、2種類のアクリレートモノマー中に均一に溶解し、
透明な液体状態となった時点で、光開始剤として、1−
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを3gと、充
填剤として、ガラスフィラーであるサンスフィアNP1
00(旭硝子(株)製、数平均粒子径10μm)を50
g添加した。さらに、ミキサーで1時間攪拌した後、室
温に戻して、放射線硬化性樹脂組成物とした。
【0059】(2)放射線硬化物の作成 (1)で得られた放射線硬性樹脂組成物を、厚さ100
μmの未処理PETフィルム上にギャップ15mil
(381μm)のアプリケーターを用いて塗布した。そ
の上から、別の厚さ100μmの未処理PETフィルム
をラミネートした後、メタルハライドランプを装着した
UVコンベアを用いて、空気下、1J/cmの露光量
になるように、紫外線を照射した。次いで、得られた積
層体を2cm幅に切断し、PET密着性測定用サンプル
とした。また、接着力測定用サンプルは、後述するよう
に熱圧着機を用いて加圧して作成するが、圧着前サンプ
ルとしては、上述した別の未処理PETフィルムを用い
ることなく、未処理PETフィルム上の放射線硬化性樹
脂組成物に対し、UVコンベアを用いて、空気下、1J
/cmの紫外線を照射して作成した。さらに、表面粘
着性測定用サンプルとしては、基材として、上述した圧
着前サンプルにおける未処理PETフィルムの代りに、
厚さ1mmのガラス板を用いた以外は、圧着前サンプル
と同様に作成した。
【0060】(3)放射線硬化物の評価 表面粘着性(紫外線照射後) (2)で得られた表面粘着性測定用サンプルを、テーブ
ル上に載置した状態で、放射線硬化物の表面を指触し、
以下の3段階の基準で表面粘着性を評価した。 〇:ベタツキがない。したがって、指触後、指を離して
も、放射線硬化物が積層されたガラス板が持ち上がるこ
とがない。 △:ベタツキが少々有り。したがって、指触後、指を離
した場合に、放射線硬化物が積層されたガラス板がわず
かに持ち上がった後、離れる。 ×:顕著なベタツキが有り。したがって、指触後、指を
離した場合に、放射線硬化物が積層されたガラス板が持
ち上がる。
【0061】PET密着力 (2)で得られたPET密着性サンプルを、引っ張り試
験機を用い、引張りスピード10mm/分の条件で、1
80°ピール強度を測定した。それぞれ得られた評価結
果を表1に示す。
【0062】圧着力 (1)で得られた圧着前サンプルを2枚用意し、放射線
硬化物が形成された面同士を貼り合わせた。次いで、熱
プレス機を用いて、室温(25℃)、圧力294N/c
、時間60秒の条件で加圧接着した。加圧接着後、
幅2cmの短冊状に切断し、接着力測定サンプルとし
た。次いで、引張り試験機を用い、引張りスピード10
mm/分の条件で、接着力測定サンプルの180°ピー
ル強度を測定した。それぞれ得られた評価結果を表1に
示す。
【0063】[実施例2〜3]実施例2では、実施例1
の放射線硬化性樹脂組成物において、エチレン性不飽和
単量体の混合物をラウリルアクリレート単独に変えたほ
かは、実施例1と同様に放射線硬化性樹脂組成物を作成
して、評価した。また、実施例3では、実施例1の放射
線硬化性樹脂組成物において、エチレン性不飽和単量体
の混合物をイソボロニルアクリレート単独に変えたほか
は、実施例1と同様に放射線硬化性樹脂組成物を作成し
て、評価した。それぞれ得られた結果を表1に示す。
【0064】[実施例4〜5]実施例4〜5では、実施
例1の放射線硬化性樹脂組成物において、表1に示すよ
うに、イソボロニルアクリレート(IBA)と、ラウリ
ルアクリレート(LA)との混合比を変えたほかは、実
施例1と同様に放射線硬化性樹脂組成物を作成して、評
価した。それぞれ得られた結果を表1に示す。
【0065】[実施例6]実施例6では、実施例1の放
射線硬化性樹脂組成物において、表1に示すように、ガ
ラス粒子の添加量を50gから20gに低下させたほか
は、実施例1と同様に放射線硬化性樹脂組成物を作成し
て、評価した。得られた結果を表1に示す。結果から明
らかなように、ガラス粒子の添加量が20gに低下する
と、粘着性の評価が低下する傾向が見られた。なお、ガ
ラス粒子の添加量が10g未満にさらに低下すると、粘
着性の評価が著しく低下することが別途判明している。
【0066】[実施例7〜8]実施例7では、実施例1
の放射線硬化性樹脂組成物において、SEBS樹脂とし
て、ダイナロン8900Pを用い、スチレン含量を、1
5重量%から48重量%に変えたほかは、実施例1と同
様に放射線硬化性樹脂組成物を作成して、評価した。な
お、表1において、実施例7で使用したダイナロン89
00PをSEBS2と表わしている。実施例8では、実
施例1の放射線硬化性樹脂組成物において、SEBS樹
脂として、ダイナロン1320Pを用い、重量平均分子
量を、11万から30万に変えるとともに、スチレン含
量を、15重量%から10重量%に変えたほかは、実施
例1と同様に放射線硬化性樹脂組成物を作成して、評価
した。なお、表1において、実施例8で使用したダイナ
ロン1320PをSEBS3と表わしている。結果から
明らかなように、SEBS樹脂のスチレン含量が多くな
ったり、あるいは、分子量が増加すると、紫外線照射前
の塗工表面の平滑性が低下する傾向が見られた。
【0067】[比較例1〜4]比較例1では、実施例1
の放射線硬化性樹脂組成物において、熱可塑性エラスト
マーを添加しなかったほかは、実施例1と同様に放射線
硬化性樹脂組成物を作成し、評価した。また、比較例2
では、実施例1の放射線硬化性樹脂組成物において、エ
チレン性不飽和単量体を添加しなかったほかは、実施例
1と同様に放射線硬化性樹脂組成物を作成し、評価し
た。また、比較例3では、実施例1の放射線硬化性樹脂
組成物において、光開始剤を添加しなかったほかは、実
施例1と同様に放射線硬化性樹脂組成物を作成し、評価
した。また、比較例4では、実施例1の放射線硬化性樹
脂組成物において、充填剤を添加しなかったほかは、実
施例1と同様に放射線硬化性樹脂組成物を作成し、評価
した。それぞれ得られた結果を表1に示す。結果から明
らかなように、放射線硬化性樹脂組成物において、熱可
塑性エラストマー、エチレン性不飽和単量体、光開始剤
および充填剤のいずれを欠いても、紫外照射による硬化
後に、表面粘着性を有さず、幅広い温度域で圧着可能で
あり、しかも幅広い種類の基材に対して優れた接着力を
得ることができる放射線硬化物を効果的に得ることがで
きないことが判明した。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】本発明の放射線硬化性樹脂組成物によれ
ば、硬化物が、室温で表面粘着性を有していないととも
に、例えば、0℃〜150℃程度の幅広い温度域で基材
を圧着することが可能であり、しかも幅広い種類の基材
に対して優れた接着力を得ることができるようになっ
た。したがって、ICカードや液晶素子等の製造に好適
に使用することが可能となった。
【0070】また、本発明の放射線硬化性樹脂組成物
(その硬化物を含む。)の使用方法によれば、例えば、
0℃〜150℃程度の幅広い温度域で、ポリエステル基
材等からなるICカード用基材等を、容易に接着して、
製造することができるようになった。したがって、圧着
温度がばらついたような場合であっても、常に優れた接
着特性が得られるようになった。また、本発明の放射線
硬化性樹脂組成物の使用方法によれば、硬化後に、実質
的に熱可塑性の特性を示す放射線硬化性樹脂組成物を使
用するために、ICカード用基材や液晶素子基材等の位
置合わせを誤ったような場合であっても、ICカード用
基材や液晶素子基材等をリペアし、再利用することが可
能になった。よって、ICカードや液晶素子等を、極め
て経済的に製造することが可能となる。さらに、本発明
の放射線硬化性樹脂組成物の使用方法によれば、紫外線
照射して高分子量化してあるために、加圧接着した場合
であっても、所定場所からのはみ出しが少なく、外観に
優れたICカードや液晶素子等を提供することが可能と
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ICカードの分解図である。
【図2】別の態様のICカードにおける製造工程例を示
す図である。
【符号の説明】
10 カバーシート 12 電子部品 14 開口部 16 コアシート 17 配線パターン 18 回路基板シート 20 ICカード 24 接着剤層(第2の硬化物) 30 放射線硬化性樹脂組成物 32 ICカード用基材 36 硬化物 42 ICチップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C005 MA12 MA19 MA32 MA40 PA04 PA19 RA04 RA05 4J011 PA65 PA69 PB22 PC08 QA03 QA06 QA08 QA33 QA34 QA36 QA37 QA39 QA45 RA10 SA01 SA21 SA51 SA61 SA63 UA04 VA01 WA02 4J026 AC16 BA27 BA28 BA30 BA32 DB36 GA07 5B035 AA04 BA03 BB09 CA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)〜(D)成分を含有し、紫外
    線照射後の硬化物が室温で表面粘着性を有していないこ
    とを特徴とする放射線硬化性樹脂組成物。 (A)熱可塑性エラストマー (B)エチレン性不飽和単量体 (C)光開始剤 (D)充填剤
  2. 【請求項2】 紫外線照射により、前記(B)成分が高
    分子量化されることを特徴とする請求項1に記載の放射
    線硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記(A)成分がスチレン系熱可塑性エ
    ラストマーであり、前記(B)成分がアクリレート系単
    量体であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    放射線硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 紫外線照射後の硬化物が150℃以下
    で、加圧接着可能であるとともに、室温で表面粘着性を
    有していないことを特徴とする放射線硬化性樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の放
    射線硬化性樹脂組成物の硬化物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の放
    射線硬化性樹脂組成物を対向する基材間に挟持した後、
    150℃以下の圧着温度条件下に、加圧することを特徴
    とする放射線硬化性樹脂組成物の使用方法。
  7. 【請求項7】 前記基材がポリエステル系樹脂からなる
    ことを特徴とする請求項6に記載の放射線硬化性樹脂組
    成物の使用方法。
  8. 【請求項8】 前記基材がICカード用基材であること
    を特徴とする請求項請求項6または7に記載の放射線硬
    化性樹脂組成物の使用方法。
  9. 【請求項9】 ICカード用基材を接着するための放射
    線硬化性樹脂組成物であって、下記(A)〜(D)成分
    を含有することを特徴とする放射線硬化性樹脂組成物。 (A)熱可塑性エラストマー (B)エチレン性不飽和単量体 (C)光開始剤 (D)充填剤
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