JP2002059359A - 研磨用パッドおよび研磨装置ならびに研磨方法 - Google Patents

研磨用パッドおよび研磨装置ならびに研磨方法

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JP2002059359A
JP2002059359A JP2000253476A JP2000253476A JP2002059359A JP 2002059359 A JP2002059359 A JP 2002059359A JP 2000253476 A JP2000253476 A JP 2000253476A JP 2000253476 A JP2000253476 A JP 2000253476A JP 2002059359 A JP2002059359 A JP 2002059359A
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polishing
polishing pad
layer
filler
water
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JP2000253476A
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English (en)
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Masaaki Shimagaki
昌明 島垣
Naoshi Minamiguchi
尚士 南口
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被研磨物表面へのダスト付着性を少なくし、ス
クラッチ傷の低減を果たし、さらに平坦化特性をも両立
させること、さらに、凹凸加工する前の半導体ウェハー
自身の微細な凹凸、すなわち、wavinessや、n
anotopologyなどと表現される欠陥を簡単な
研磨方法で取り除くことをその課題とする。 【解決手段】層の数が2以上のシート状層を積層した主
に有機高分子マトリクスからなる研磨パッド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加工砥粒を含む研磨
液を供給しながらおよび/または砥粒を含まない研磨液
を供給しながら、被加工物を回転する弾性パッドに押し
つけ、相対運動を行わせながら、被加工物表面を鏡面に
仕上げるための、もしくは被加工物表面の凹凸の凸の部
分を研磨材で優先的に研磨するための、化学機械研磨
(CMP)などに用いられる研磨パッドおよび研磨装置
ならびに研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高度に集積度を増した半導体を製造する
に当たり多層配線を実現するためには、絶縁膜の表面を
完全に平坦化する必要がある。これまでに、この平坦化
法の代表的な技術として、SOG (Spin-On-Glass )
法や、エッチバック法(P.Elikins,K.Reinhardt,and R.
Layer,"A planarization process for double metalCMO
Susing Spin-on Glass as a sacrificial layer,"Proce
eding of 3rd InternationalIEEE VMIC Conf.,100(198
6))、そして、リフトオフ法(K.Ehara,T.Morimoto,S.M
uramoto,and S.Matsuo,"Planar Interconnection Techn
ology for LSI FabricationUtilizing Lift-off Proces
s",J.Electrochem Soc.,Vol.131,No.2,419(1984).)な
どが検討されてきた。
【0003】SOG 法に関して、これはSOG 膜の流
動性を利用した平坦化法であるが、これ自身で完全平坦
化を実施することは不可能である。また、エッチバック
法は、もっとも多く使われている技術であるが、レジス
トと絶縁膜とを同時にエッチングすることによるダスト
発生の問題があり、ダスト管理の点で容易な技術ではな
い。そして、リフトオフ法は、使用するステンシル材が
リフトオフ時に完全に溶解しないためにリフトオフでき
ないなどの問題を生じ、制御性や歩留りが不完全なた
め、実用化に至っていない。
【0004】そこでCMP法が近年注目されてきた。こ
れは被加工物を回転する弾性パッドに押しつけ、相対運
動を行わせながら、被加工物表面の凹凸の凸の部分を研
磨パッドで優先的に研磨する方法であり、プロセスの簡
易性から今では広く利用されている。また近年は、凹凸
加工する前の半導体ウェハー自身が持つ微細な凹凸、す
なわち、wavinessや、nanotopolog
yなどと表現される従来問題がなかった表面欠陥が問題
になり、両面研磨法、アルカリを流しながら研磨する方
法などが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら懸かるC
MP法において、被研磨物表面に発生する、スクラッチ
傷、ダストの付着、グローバル平坦性不良等の問題が挙
げられる。例えば層間絶縁膜等の被研磨面にこのような
ダストの付着やスクラッチ傷が発生すると、後工程でこ
の上にAlやCu系金属等による配線を形成した場合
に、段切れ等が発生し、エレクトロマイグレーション耐
性の劣化等の信頼性の低下が発生するおそれがある。ま
たHDD (Hard DiskDrive)用非磁性
基板等の研磨においてドロップアウト等、再生信号欠落
が発生する原因となる。スクラッチ傷の発生は、研磨粒
子の分散不良による凝集塊に起因するものと考えられて
いる。特に、金属膜のCMP に用いられる、研磨粒子
としてアルミナを採用した研磨スラリは分散性が悪く、
スクラッチ傷を完全に防止するに至っていない。ダスト
の付着に関してはその原因さえよくわかっていないのが
現状である。常識的にはグローバル平坦性を良くするた
めには硬質の研磨パッドが望ましいが、逆にダストの付
着やスクラッチ傷が起こり易くなるために、両者を両立
することはできないと考えられている。例えば、特表平
8−500622号公報や、特開2000−34416
号公報などにそのための試みがなされているが、ダスト
付着・スクラッチ傷と平坦化特性を両立するに至ってい
ない。
【0006】本発明は上述した問題点の中で特に被研磨
物表面へのダスト付着性を少なくし、スクラッチ傷の低
減を果たし、さらに平坦化特性をも両立させることをそ
の課題とする。
【0007】さらに、凹凸加工する前の半導体ウェハー
自身の微細な凹凸、すなわち、wavinessや、n
anotopologyなどと表現される欠陥を簡単な
研磨方法で取り除くことが可能な研磨用パッドおよび研
磨装置ならびに研磨方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、下記の構成を有する。すなわち、 (1)層の数が2以上のシート状層を積層した主に有機
高分子マトリクスからなることを特徴とする研磨パッ
ド。
【0009】(2)親水性で実質的に水に不溶のフィラ
ーを含有するシート状層を含むことを特徴とする前記
(1)記載の研磨パッド。
【0010】(3)シート状層の層ごとの厚みが1μm
以上であることを特徴とする前記(1)または(2)記
載の研磨パッド。
【0011】(4)親水性で実質的に水に不溶のフィラ
ーが公定水分率3%以上のものであることを特徴とする
前記(2)または(3)記載の研磨パッド。
【0012】(5)親水性で実質的に水に不溶のフィラ
ーが公定水分率5%以上のものであることを特徴とする
前記(2)または(3)記載の研磨パッド。
【0013】(6)層の数が3以上であることを特徴と
する前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の研磨パ
ッド。
【0014】(7)フィラーの中に空隙を有することを
特徴とする前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の
研磨パッド。
【0015】(8)フィラーは、不織布状、織物状、編
み物状、フエルト状、多孔膜状、フィルム状、スポンジ
状、粒子状、および繊維状の少なくとも1つから選ばれ
てなるものであることを特徴とする前記(1)ないし
(7)のいずれかに記載の研磨パッド。
【0016】(9)フィラーの外側にさらに空隙を有す
ることを特徴とする前記(1)ないし(8)のいずれか
に記載の研磨パッド。
【0017】(10)無機微粒子を含むことを特徴とす
る前記(1)ないし(9)のいずれかに記載の研磨パッ
ド。
【0018】(11)前記(1)ないし(10)のいず
れかに記載の研磨用パッドを用いることを特徴とする研
磨装置。
【0019】(12)前記(1)ないし(10)のいず
れかに記載の研磨用パッドを用いることを特徴とする研
磨方法。
【0020】(13)前記(1)ないし(10)のいず
れかに記載の研磨用パッドを用いて加工することを特徴
とする半導体ウェハまたは半導体チップの製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。
【0022】本発明は、層の数が2以上の複数のシート
状層を積層したことによって、従来トレードオフの関係
にあった、ダスト付着やスクラッチ傷を起こさず、研磨
パッド自体を高硬度化でき、曲げ弾性率を従来技術から
なる研磨パッドに比べ、飛躍的に大きくすることができ
るため、きわめて良い平坦化特性を実現できる。
【0023】さらに、親水性で実質的に水に不溶のフィ
ラーを含むシート状層を研磨の際に被研磨物と接する部
分である上層に積層することで、研磨パッド表面の濡れ
性が良くなり、詳細なメカニズムはわからないが被研磨
物表面へのダスト付着が少なくなる。それに伴い、スク
ラッチ傷を低減できると考えている。高い平坦化特性を
出すためには、同時に高い曲げ弾性率が求められるが、
これは親水性で実質的に水に不溶のフィラーを含むシー
ト状層に担わせることも可能であるし、積層させた下層
構造で担わせることができる。また、従来から存在する
表面硬度が柔らかい研磨層でもその厚みを薄くして上層
に用い、下層に高硬度の研磨層を積層させることで、平
坦化特性の改善を行うことも可能である。ここでいう積
層構造には、従来から用いられている研磨層の下に用い
るいわゆるクッション層を含めて数えてはいない。
【0024】このように、機能分担させた層構造を積層
させることで、従来発現困難であった特性を容易に具体
化できることがわかった。
【0025】従来は、クッション層を除き、力学特性を
ひとつの層の中で満たす必要があったため、極めて研磨
パッドの設計は難しかった。また、研磨装置の定盤に、
研磨パッドを貼りつける際にも従来のパッドは主にポリ
ウレタンからなるため、研磨定盤との間に研磨プロセス
実行中に水分が入り込みやすく、接着強度が低下する危
険があった。この問題に関しても本発明によって最下層
に疎水性の層を設定することでこの問題を回避すること
ができる。
【0026】実質的に水に不溶であるとは、25℃の水
に対する溶解度が1%以下のものを指す。親水性とは基
本的に樹脂の中に水を吸水する性質の表現であって、マ
クロな樹脂間の空隙に水を抱え込むことを意味したもの
ではない。すなわち、親水性を評価するときには、水に
24時間浸漬した後の水中から取り上げた試験片を密封
容器に取り1400Gから1450Gの遠心力を30秒
かけ水分を振り切った状態で吸湿重量を測定した。重量
増加率は以下の式1に従って求めたものである。
【0027】 重量増加率(%)={(吸湿重量−乾燥重量)/乾燥重量}×100(式1) ここで親水性とは、50℃の水に24時間浸漬したとき
の重量増加率が2.0%以上の特性を指す。本発明で
は、重量増加率は5.0%以上がさらに好ましい。高く
なりすぎると今度は、研磨の最中にも研磨パッドの膨潤
が起こり、研磨パッド表面の平坦性が損なわれること
で、研磨速度のばらつきが大きくなり好ましくない。さ
らに体積膨潤率が大きい場合は研磨パッド自身の強度が
研磨中に大きく劣化するため良くない。最大でも、15
%以下が好ましく、通常は10%以下が好ましい。
【0028】さらに定量的表現として、公定水分率で表
現する。これは、湿度65%、温度20℃での水分率を
表し、以下の式で求められる。
【0029】 公定水分率(%)={(吸湿重量−乾燥重量)/乾燥重量}×100(式2) また、水吸収率とは、25℃の水中に浸漬したときの1
0分後の水分率であって 水吸収率(%)=({吸湿重量−乾燥重量)/乾燥重量}×100(式3) で表す。
【0030】水吸収の速度は速い方が望ましく、10分
以内に飽和に達することが望ましいが、その変化が24
時間で90%起これば、この樹脂を適用することはでき
る。ただし、水吸収率が10000%を越えるとパッド
自体の変形が起こりまたは、研摩面の歪みが大きくなり
すぎるため使用できない。好ましくは3000%以内で
あり、さらに好ましくは2000%以内である。
【0031】公定水分率は、1%程度のものから使用で
きるが、好ましくは3%以上が使用される。さらにダス
ト付着を抑えるためには、5%以上が好ましく、7%以
上のものでは、粒子およびまたは繊維状物の混合量を低
下することができるためさらに好適に使用できる。
【0032】親水性で実質的に水に不溶のフィラーの混
合量は、上記公定水分率、水吸収率によって左右される
が、基本的に公定水分率、水吸収率が大きい場合は少な
くでき、小さい場合は多くする必要が生じる。フィラー
の混合量は3重量%以上であることが好ましい。フィラ
ーの混合量が3重量%未満では十分効果を発揮できない
場合が多く、これ以上であればダストの付着やスクラッ
チ傷を少なくできる。また親水性度の高いマトリックス
樹脂を用いるほど少量の添加量から効果が生じる。混合
比率が少ないとその効果は小さく、多いとその効果は大
きくなるが、パッドの物性が悪化する場合が多い。すな
わち、パッドの持つ硬度は下がり、曲げ強度が弱く脆性
破壊しやすくなる。このため、好適には5から60重量
%使われ、さらに好適には、20から50重量%が用い
られる。マトリクスとして用いられる樹脂の比重によっ
ても左右されるが、上記要件を知ればこの配合比を調整
することは同業者にはたやすいことである。
【0033】フィラーの混合量は研磨パッドのマトリッ
クス樹脂や添加物(フィラー・粒子・水溶性高分子な
ど))の総重量に対するフィラーの重量%で表す。 フィラーの混合量={フィラー重量/(マトリックス樹
脂+粒子+水溶性高分子+フィラー)重量}×100 親水性で実質的に水に不溶のフィラーとは、不織布状、
織物状、編み物状、フエルト状、多孔膜状、スポンジ
状、フィルム状、粒子状、繊維状から選ばれた少なくと
も1つからなるものであることが好ましい。不織布状と
は、繊維を交絡させた広義の布を指すが、歪んでいた
り、凹凸があっても良い。不織布状、織物状、編み物
状、フエルト状のものも、繊維状物から得られる。多孔
膜状、スポンジ状とは、2次元的および/または3次元
的に開孔した、空隙率が大きい広義の膜を意味し、フィ
ルム状とは、実質開孔部がないものを意味する。粒子状
とは、基本的に球形をさすが、歪んでいたり、凹凸があ
っても良い。いわゆるヒュームドシリカのような、いび
つに入り組んだ形状のものも好ましく使用できる。ま
た、長繊維を短くカットしても良い。繊維状物とは、長
軸と短軸の比が3を越えるような、長細い形状を指す。
【0034】これらを構成する繊維の直径(球以外の場
合最大径を指す)は、100μm以下が好ましく、50
μm以下がさらに好適に使われ、2から20μm程度が
より好適に使われる。極細繊維では2μmを切る直径の
ものも有り、これらを用いるのが便利である。直径が大
きいと、マトリックスからの離脱が多くなり、研磨パッ
ドとしての耐久性が減じやすく好ましくない。繊維状物
は中空糸状あってもかまわない。またその断面形状は
円、楕円、星形などの合成繊維あるいは新合繊として提
案されているいかなる形状のものでもかまわない。多孔
膜状、スポンジ状のものは、孔と孔の間が細い柱で連結
されるが、通常その直径は10nmから1mm程度まで
存在するが、その大きさにはこだわることはない。全体
積の中で空隙を占める割合、すなわち空隙率が、25%
を越える高いものを用い、厚さ方向に圧縮して成形する
ことで、厚み方向のばらつきを抑えることができ好適に
用いられる。またフィルム状のものは、積層体の個々の
層を分離する層(分離層)を形成するのに好適に用いら
れる。特に1μmを切るような超薄フィルムについて
は、不織布状、織物状、編み物状、フエルト状、多孔膜
状、スポンジ状のシート状物と同様に使用できる。
【0035】通常これらフィラーの中にもマトリックス
樹脂が含浸し、空隙を有さない構造であるが、フィラー
とマトリックス樹脂の接着を阻害しない程度に含浸量を
制限することで、フィラーの中に空隙を持たせることが
できる。ここで言う空隙は、マトリックス樹脂とフィラ
ーの界面にできるものではなく、フィラーに囲まれた部
分を指す。この空隙によって、メカニズムの詳細は不明
であるが、おそらく研磨の際の水吸収作用が向上するた
めダスト付着やスクラッチ傷の問題をより効果的に改善
できる。この空隙は、50倍の光学顕微鏡による観察に
基づくものである。空隙を有する場合は、フィラー表面
がフィラー固有の色であり、マトリックス樹脂に由来し
た着色は見られない。
【0036】これらフィラーを混合して作成したシート
状層は複数枚積層し、ひとつの研磨パッドを形成する。
このため、本発明による研磨パッドは、曲げに対する強
度が極めて高く、極めて割れを生じることが少ない。ま
た、これら以外にフィラーを混合しないシート状層と組
み合わせることができる。1枚当たり1μm程度および
/またはこれより厚みがある層を形成し、複数層重ね合
わせた方が、研磨特性の安定性は高く、なおかつ研摩面
の状態を精巧に制御できる研磨パッドを形成しやすくな
る。通常は5μm以上が使われ最適には100から30
0μmが用いられる。各層の厚みや材質が同じである必
要はなく、1層ごとにマトリクス樹脂の樹脂含有率およ
び/または種類を変えたり、層ごとにシート状物の厚み
および/または種類を変えることで、研磨パッドを精密
に設計できる。
【0037】例えば、発泡ポリウレタンや、ゴムシート
などからなるクッション層を、研磨層部分、クッション
層部分、分離層部分をセットにしてそれを複数層積層す
ることで、研磨パッドを研磨定盤に1度貼りつければ、
従来の何倍もの長期にわたってパッド交換を行わなくて
も良い長寿命研磨パッドを提供できる。分離層を設ける
ことで研磨層部分が研磨液に接触したり、研摩面から浸
潤してきた研磨分散液に接触することもなく、ドレッシ
ングによって形成されたバージン面をもって研磨できる
ため、極めて高い研磨安定性を得ることができる。ま
た、層間絶縁膜、メタル研磨が交互に必要な場合も、用
途に最適の例えば層間絶縁膜研磨には非常に硬い層を用
い、メタル研磨用には柔らかい層が使えるように順序を
決めて成型することもできる。このように本発明によれ
ば、製造のためのスループット向上にも繋がり、トータ
ルコストダウンにも有効である。
【0038】また、フィラーを用いない硬質のシート状
層を下層に用い、上層にフィラー混合系を用いることで
平坦化特性の良好な研磨パッドを安価に作成できる。こ
の場合、上層の研磨パッドの硬度幅を従来よりも幅広く
選択できるため、層間絶縁膜用途の研磨パッドのみなら
ず、Cuなどのメタル用研磨パッドまで、幅広く対応取
れる研磨パッドの作成処方を容易に提供できる。以上例
を挙げたように本発明による研磨パッドは積層構造を持
たせることが特徴のひとつであって、n=3以上、さら
に5以上、9以上などのものを設計することができる。
【0039】研磨パッドを構成する樹脂である、有機高
分子マトリクスとしては、ポリアミド系、ポリアクリル
系、ポリオレフィン系、ポリビニル系、アイオノマー
系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系、ポリウレ
タン系、ポリイミド系などの熱可塑性樹脂およびその誘
導体、共重合体、グラフト体などを用いることができ
る。これらの混合でもかまわないが硬度が出るように配
合することが重要である。例えば、無機微粒子を混合
し、硬度を向上させる工夫を凝らすことも有効である。
ナノコンポジットなどで開示された技術を応用展開可能
である。具体的には無機微粒子としてシリカ、セリア、
アルミナ、ジルコニア、チタン、タングステン、炭酸バ
リウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、モンモリロ
ナイトなどの粘土、ゼオライトなどの結晶などを用いる
ことができる。またこれらの混合も可能である。マトリ
ックスとのなじみを改善するためにあらかじめ表面を改
質処理することも可能である。
【0040】無機微粒子の粒子径としては、3nm程度
から、50μm程度のものが使えるが、大きすぎるとス
クラッチを起こす危険が増大する。このためさらに好ま
しくは、20μm以下、より好ましくは5μm以下のも
のがよい。シリカ、セリア、アルミナ、ジルコニア、チ
タン、タングステン、炭酸バリウム、硫酸バリウム、カ
ーボンブラック、モンモリロナイトなどの粘土、ゼオラ
イトなどの結晶などの微粒子混合重量%としては、1%
程度でも効果があり、80%程度まで混合できる。高濃
度混合した場合は、研磨パッドの硬度を上げる効果だけ
でなく、砥粒を内包したいわゆる固定砥粒研磨パッドと
して有効になる。この場合には粒子径が小さいと効果が
少なく、粒子径30nm以上が好ましく、研磨速度向上
の面から100nm以上がさらに好ましい。これら微粒
子の粒径や混合量を変えることで、被研磨物の特性に合
わせた研磨パッドを製造できる。
【0041】その他利用できる有機高分子マトリックス
としては、ポリウレタン系、エポキシ系、フェノール
系、メラミン系、ユリア系、ポリイミド系などの熱硬化
性樹脂を用いることができる。これらの樹脂の混合体
(アロイ化も含む)や、共重合、グラフト、変性品など
の改質技術をも用いることができる。本発明において研
磨パッドを構成する樹脂は、所望の硬度、弾性率、耐摩
耗性を基礎に、適宜選択すればよい。この場合も、上記
熱可塑性樹脂を用いたときと同様に無機微粒子を混合す
ることができる。すなわち、具体的には無機微粒子とし
てシリカ、セリア、アルミナ、ジルコニア、チタン、タ
ングステン、炭酸バリウム、硫酸バリウム、カーボンブ
ラック、モンモリロナイトなどの粘土、ゼオライトなど
の結晶などを用いることができる。またこれらの混合も
可能である。マトリックスとのなじみを改善するために
あらかじめ表面を改質処理することも可能である。
【0042】熱可塑性樹脂の場合は一般に熱硬化性樹脂
に比べ柔らかいため、混合する実質的に水に不溶な親水
性有機物からなるシート状物の公定水分率は低くても良
く、1%程度から用いられるが、ダストの付着やスクラ
ッチ傷をより少なくするためには3%以上が望ましい。
熱可塑性ウレタンよりも熱硬化性ウレタンの方が重量増
加率が高いことが多いように、熱硬化性樹脂でも公定水
分率は1以上が望ましい。特にこの場合は3%以上が好
ましく、さらに5%以上が好ましい。
【0043】本発明の研磨パッド成型後のD硬度は65
を越えることが望ましい。65以下であると柔らかくな
りすぎて、ディッシングやエロージョンが起きやすくな
るため、好ましくない。さらに研磨速度を大きくするた
めにも、70以上が好ましく、さらには80以上が好ま
しい。本発明では、さらに硬度を上げてD硬度が90を
越えてもスクラッチ傷やダスト付着の問題は起こらず、
利用可能である。このため、従来なし得なかった良好な
研磨平坦化特性を発揮できる。
【0044】本発明の研磨パッドにおいて使用される実
質的に水に不溶な親水性有機物からなるフィラーについ
ては、たとえば、セルロース系やデンプン系、キチンな
どの多糖類、タンパク質、ポリアクリル酸やポリメタク
リル酸などのアクリル系、アラミド系、ポリアミド系、
ポリビニルアルコール系、エチレン−ビニルアルコール
共重合系、ポリビニルポリピロリドンなどの樹脂もしく
はその樹脂を主成分とする架橋体や共重合体を用いるこ
とができる。絹、羊毛、綿、麻などの天然繊維や、ポリ
ビニルピロリドン/ポリビニルイミダゾール共重合体、
高吸水性樹脂、パルプ、レーヨン、紙、セルロースエス
テル系イオン交換用の各種荷電付与したセルロースなど
も市販されており有効に利用できる。また、本来疎水性
である樹脂にスルホン基、アミノ基、カルボキル基、水
酸基を導入したものも使用可能である。疎水性とは、上
述式2で求められる重量増加率が2%未満のものを指
す。また400ppm以下にナトリウムイオンの混入を
抑えたものを用いることが好ましい。さらに好ましくは
50ppm以下、より好ましくは10ppm以下であ
る。
【0045】また、本発明の研磨パッドにおいてはその
他に水溶性物質を含んでいても良い。市販されているも
のにも各種ポリアルキレングルコール、ポリビニルビニ
リドン、ポリビニアルコール、ポリ酢酸ビニル、キトサ
ン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、
水溶性多糖類などがあり、これら高分子を利用すること
ができる。これ以外にも、各種無機塩などの低分子物質
を混合することもできる。研磨パッドを成形する際に、
本発明においては実質的に水に不溶な親水性有機物から
なるシート状物、すなわち親水性高分子を含むため、こ
れらを乾燥した上で使用するが水分の完全除去は難し
く、成形の際に加熱によって蒸気が発生する。このた
め、粒子およびまたは繊維状物以外の部分で空隙を形成
することができる。また熱硬化性樹脂の場合にはフェノ
ール樹脂のように硬化の際に水を生成するものがあるた
め、これを利用して粒子およびまたは繊維状物以外の部
分で空隙を形成することができる。空隙の大きさを制御
するために例えば成形時にこれら水蒸気をうまく抜いて
硬化させることができるが、さらに微妙に制御が必要な
場合に少量の水溶性物質を混合することでそれが可能に
なる。
【0046】さらに、これら水溶性物質が研磨を行う際
に溶け出した場合研磨パッド表面のみに空隙を形成す
る。これらフィラーの外側の空隙が研磨スラリー中の遊
離砥粒の保持性を上げたり、研磨屑の除去に効果があり
結果として研磨速度向上に有利に働く。またこの水溶性
物質が研磨液の分散液に溶解することその粘度を変化さ
せることができるため、例えば水溶性の多糖類のひとつ
であるキサンタンガムを混合した場合、それが溶け出す
ことで研磨液がビンガム流体様の性質を持つようにな
り、おそらく凹凸付き半導体ウェハの凹部において研磨
粒子の拡散が抑えられることなどから研磨したときの平
坦性、特にグローバル平坦性を改善する効果が得られ
る。これらの効果を発現するためには研磨パッドの重量
当たり水溶性物質を0.01wt%〜10wt%添加す
ることが好ましい。水溶性物質を0.01wt%程度添
加した場合でも効果があるが好ましくは0.1wt%以
上5wt%以下の添加量が有効的に用いられる。10w
t%を越えると、研磨分散液の性質が変化しすぎるた
め、好ましくない。分散液粘度に影響の少ない低分子物
質を用いればさらに多量に混合できるが、コスト面から
考えても実際的でない。
【0047】研磨パッドの成形方法としては、親水性で
実質的に水に不溶のフィラーに、マトリックスと さら
に場合によっては無機微粒子およびまたは水溶性物質を
あらかじめコンパウンド化して混合の後、熱圧縮成型す
ることもできるし、この場合溶剤を用いて粘度を調節し
た上で含浸し、乾燥後に熱圧縮成形することもできる。
不織布状のフィラーの場合、マトリクス樹脂のみを加圧
含浸し、この上に無機微粒子を均一に分散すること、お
よびまたは水溶性物質を同様に均一に蒔くことによって
作った層を、積層化した後加熱圧縮成型することができ
る。層の数を多くすることによってできあがった研磨パ
ッドの物性ばらつきを少なくできる。
【0048】また、マトリックスのモノマー分子を親水
性で実質的に水に不溶のスポンジ状フィラーに、さらに
場合によってはさらに無機微粒子および/または水溶性
物質に含浸後重合することも可能である。マトリックス
がポリウレタンのように2液系のものはあらかじめ主剤
または硬化剤を混合後に、フィラーに加圧含浸させ成形
することができる。その後研削加工を施し研磨パッドの
形状に仕上げることも可能である。具体的には各マトリ
ックスと親水性でかつ水不溶性の高分子の相溶性や個々
の耐熱性、重合特性、溶融粘度などの物性に依存する
が、当業者のものにとってその組み合わせを選択するこ
とは容易である。本発明の研磨パッドはこの様に製造方
法に関しては公知技術の組み合わせを用いることが可能
である。
【0049】研磨パッドの曲げ弾性率は、以上説明した
とおり従来の研磨パッドよりも大きくすることが容易で
ある。平坦化特性を良好にするため、0.5GPa以上
が望ましく、さらに望ましくは2GPa以上である。本
発明の研磨パッドにおいては、ダスト付着やスクラッチ
傷の問題がないため、さらに大きい5GPa以上がさら
に好ましい。ただし、大きすぎると研磨パッドの装着に
困難になるため、100GPa以下が好ましい。
【0050】研磨面への供給とそこからの排出を促進す
るなどの目的で、表面に溝や孔が設けられていることが
好ましい。溝の形状としては、同心円、渦巻き、放射、
碁盤目など種々の形状のものが採用できる。溝の断面形
状としては四角、三角、半円などの形状のものが採用で
きる。溝の深さは0.1mmから該研磨層の厚さまでの
範囲で、溝の幅は0.1〜5mmの範囲で、溝のピッチ
は2〜100mmの範囲で選ぶことができる。孔は研磨
層を貫通していても良いし、貫通していなくても良い。
孔の直径は0.2〜5mmの範囲で選ぶことができる。
また、孔のピッチは2〜100mmの範囲で選ぶことが
できる。これらの形状は、研磨液がうまく研磨面へ供給
されること、研磨液の保持性を高めること、またそこか
ら研磨屑を伴って良好に排出することおよび/または促
進することなどを満たせば良い。研磨パッド自体の形状
は、円板状、ドーナツ状、ベルト状など様々な形に加工
できる。厚みも、上記に示したとおり、積層構造の繰り
返しを多くすることで、長寿命研磨パッドを製造できる
などから、原理上0.1mm程度から、50mm程度も
しくはこれ以上の厚みのものも製造可能であり、研磨特
性が良好である。円板状、ドーナツ状に加工した場合の
直径についても、被研磨物の大きさを基準として、1/
5から5倍程度のものまで製造されるが、あまり大きい
と加工効率が低下してしまうため好ましくない。
【0051】本発明で得られた研磨パッドは、クッショ
ン性を有するクッションシートと積層して複合研磨パッ
ドとして使用することも可能である。半導体基板は局所
的な凹凸とは別にもう少し大きなうねりが存在してお
り、このうねりを吸収する層として硬い研磨パッドの下
(研磨定盤側)にクッションシートをおいて研磨する場
合が多い。クッションシートとしては、発泡ウレタン
系、ゴム系のものを組み合わせて使うことができる。も
ちろん使用しなくても良い。もちろんクッション層を研
磨層の中に積層化同化させることも可能である。
【0052】本発明の研磨パッドは、例えば半導体チッ
プ製造に使用される場合、まず第1に、凹凸加工する前
の半導体ウェハー(ベアウェハ、および/または酸化膜
付きウェハ)の研磨に採用し、ウェハー自身が持つ微細
な凹凸、すなわち、wavinessや、nanoto
pologyなどと表現される表面欠陥を無くすことが
好ましい。このあと、リソグラフィー等での表面パター
ンの加工を施し、CMP研磨を行う。この片方に本発明
を適用することで、極めて平坦度の高いウェハを加工で
きるが、この両方の工程を本発明からなる研磨装置を用
いて行うことで、さらに極めて平坦度の高い加工が可能
になり、半導体チップの多層化、高集積度化、配線の微
細化の要求を容易に満たすことが可能になる。また本発
明の研磨パッドは、400ppm以下にナトリウムイオ
ンの混入を抑えたものを用いることが好ましい。さらに
好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm
以下である。
【0053】曲げ弾性率、D硬度、ダスト付着量、酸化
膜研磨速度、平坦化特性の評価、ディッシングの評価
は、以下のようにして行った。 (曲げ弾性率の測定)研磨パッドから、厚さ1.0mm
〜1.5mmの範囲、1×8.5cmの長方形の試験片
を作成した。この試験片について、 ORIENTEC
社製材料試験機(テンシロン RTM−100)を用い
て、JIS−7203に従って曲げ弾性率の測定を行っ
た。曲げ弾性率は以下の式に従って求めたものである。
【0054】曲げ弾性率={(支点間距離)3 ×(荷重
−撓み曲線のはじめの直線部分の任意に選んだ点の荷重
(kgf))}/{4×(試験片の幅)×(試験片の厚
さ)3×荷重Fにおける撓み} (D硬度の測定)厚さ1.0mm〜1.5mmの範囲に
入るサンプル(大きさは1cm角以上)を、D硬度90
以上の表面硬度を有する平面上に置き、JIS規格(硬
さ試験)K6253に準拠した、デュロメーター・タイ
プD(実際には、高分子計器(株)製”アスカーD型硬
度計”)を用い、5点測定しその平均値をD硬度とし
た。測定は室温(25℃)で行った。
【0055】(ダスト付着量の測定)厚さ1.2mm、
直径38cmの円形の研磨パッドを作成し、表面に、幅
2.0mm、深さ0.5mm、ピッチ15mmのいわゆ
るX−Yグルーブ加工(格子状溝加工)を施した。この
パッドを研磨機(ラップマスターSFT社製、“L/M
-15E”)の定盤にクッション層として、ロデール社
製Suba400を貼り、その上に両面接着テープ(3
M社製、“442J”)で張り付けた。旭ダイヤモンド
工業(株)のコンディショナー(“CMP−M”、直径
14.2cm)を用い、押しつけ圧力0.04MPa、
定盤回転数25rpm、コンディショナー回転数25r
pmで同方向に回転させ、純水を10ml/minで供
給しながら5分間研磨パッドのコンディショニングを行
った。研磨機に純水を100ml/min流しながら研
磨パッド上を2分間洗浄し次ぎに、酸化膜付きウェハ
(4インチダミーウェハCZP型、信越化学工業
(株))を研磨機に設置し、説明書記載使用濃度のキャ
ボット社製スラリー分散液(“SC−1”)を100m
l/minで研磨パッド上に供給しながら、押しつけ圧
力0.04MPa、定盤回転数45rpm、コンディシ
ョナー回転数45rpmで同方向に回転させ、5分間研
磨を実施した。ウェハ表面を乾かさないようにし、すぐ
さま純水をかけながら、ポリビニルアルコールスポンジ
でウェハ表面を洗浄し、乾燥圧縮空気を吹き付けて乾燥
した。その後ウェーハ表面ゴミ検査装置(トプコン社
製、“WM−3”)を用いて、直径が0.5μm以上の
表面ダスト数を測定した。本試験方法では、400個以
下であれば半導体生産上問題を生じることが無く合格で
ある。また研磨後のウエハー表面のスクラッチ数は、自
動X−Yステージを具備したキーエンス社製デジタルマ
イクロスコープ(VH6300)でカウントした。10
個以下を合格領域とした。
【0056】(酸化膜研磨速度の測定)ウェハ(4イン
チダミーウェハCZP型、信越化学工業(株))表面の
酸化膜の厚みを、あらかじめ大日本スクリーン社製“ラ
ムダエース”(VM−2000)を用いて決められた点
196ポイント測定した。研磨機(ラップマスターSF
T社製、“L/M-15E”)の定盤にクッション層とし
て、ロデール社製“Suba400”を貼り、その上に
両面接着テープ(3M社製、“442J”)で試験すべ
き研磨パッドを張り付けた。旭ダイヤモンド工業(株)
のコンディショナー(“CMP−M”、直径14.2c
m)を用い、押しつけ圧力0.04MPa、定盤回転数
25rpm、コンディショナー回転数25rpmで同方
向に回転させ、純水を10ml/minで供給しながら
5分間研磨パッドのコンディショニングを行った。研磨
機に純水を100ml/min流しながら研磨パッド上
を2分間洗浄し次ぎに、酸化膜厚みを測定し終わった酸
化膜付きウェハを研磨機に設置し、説明書記載使用濃度
のキャボット社製スラリー分散液(“SC−1”)を1
00ml/minで研磨パッド上に供給しながら、押し
つけ圧力0.04MPa、定盤回転数50rpm、コン
ディショナー回転数50rpmで同方向に回転させ、5
分間研磨を実施した。ウェハ表面を乾かさないように
し、すぐさま純水をかけながら、ポリビニルアルコール
スポンジでウェハ表面を洗浄し、乾燥圧縮空気を吹き付
けて乾燥した。この研磨後のウェハ表面の酸化膜の厚み
を大日本スクリーン社製“ラムダエース”(VM−20
00)を用いて決められた点196ポイント測定し、各
々の点での研磨速度を計算し、その平均値を酸化膜研磨
速度とした。 (平坦化特性の評価) まず、以下の手順でグローバル段差評価用テストウェハ
を準備した。グローバル段差評価用テストウェハ:酸化
膜付き4インチシリコンウェハ(酸化膜厚:2μm)に
10mm角のダイを配置する。フォトレジストを使用し
てマスク露光をおこない、RIEによって10mm角の
ダイの中に20μm幅、高さ0.7μmのラインと23
0μmのスペースで左半分にラインアンドスペースで配
置し、230μm幅、高さ0.7μmのラインを20μ
のスペースで右半分にラインアンドスペースで配置す
る。直径38cmの円形の研磨層を作製し、表面に幅
2.0mm、深さ0.5mm、ピッチ15mmのいわゆ
るX−Yグルーブ加工(格子状溝加工)を施した。この
研磨パッドを研磨機(ラップマスターSFT社製、L/
M―15E)の定盤にクッッション層として、ロデール
社製“Suba400”を貼り、その上に両面接着テー
プ(3M社製、“442J”)で貼り付けた。旭ダイヤ
モンド工業(株)のコンディショナー(“CMP−
M”、直径14.2cm)を用い、押しつけ圧力0.0
4MPa、定盤回転数25rpm、コンディショナー回
転数25rpmで同方向に回転させ、純水を10cc/
分で供給しながら5分間研磨パッドのコンディショニン
グを行った。研磨機に純水を100cc/分流しながら
研磨パッド上を2分間洗浄し次に、グローバル段差評価
用テストウェハを研磨機に設置し、説明書記載使用濃度
のキャボット社製スラリー(“SC−1”)を100m
l/minで研磨パッド上に供給しながら、押しつけ圧
力0.04MPa、定盤回転数50rpm(ウェハの中
心での線速度は3000(cm/分))、半導体ウェハ
保持試料台を回転数50rpmで同方向に回転させ、所
定時間研磨を実施した。半導体ウェハ表面を乾かさない
ようにし、すぐさま純水をかけながら、ポリビニルアル
コールスポンジでウェハ表面を洗浄し、乾燥圧縮空気を
吹き付けて乾燥した。グローバル段差評価用テストウェ
ハのセンタ10mmダイ中の20μmラインと230μ
ラインの酸化膜厚みを大日本スクリーン社製ラムダエー
ス(“VM−2000”)を用いて測定し、それぞれの
厚みの差をグローバル段差として評価した。研磨層の加
工形態については、その他形状のものも上記と同様の手
順で行った。20μm幅配線領域と230μm幅配線領
域のグローバル段差は研磨時間は5分で45nm以下で
あれば合格とした。
【0057】(ディッシングの評価)タングステン配線
ディッシング評価用テストウェーハ:酸化膜付き4イン
チシリコンウェーハ(酸化膜厚:2μm)に100μm
幅で深さが0.7μmの溝をスペースが100μm間隔
で形成する。この上にスパッタ法でタングステンを厚み
2μm形成して、タングステン配線ディッシング評価用
テストウェーハを作成した。直径38cmの円形の研磨
層を作製し、表面に幅2.0mm、深さ0.5mm、ピ
ッチ15mmのいわゆるX−Yグルーブ加工(格子状溝
加工)を施した。この研磨パッドを研磨機(ラップマス
ターSFT社製、L/M―15E)の定盤にクッッショ
ン層として、ロデール社製“Suba400”を貼り、
その上に両面接着テープ(3M社製、“442J”)で
貼り付けた。旭ダイヤモンド工業(株)のコンディショ
ナー(“CMP−M”、直径14.2cm)を用い、押
しつけ圧力0.04MPa、定盤回転数25rpm、コ
ンディショナー回転数25rpmで同方向に回転させ、
純水を10cc/分で供給しながら5分間研磨パッドの
コンディショニングを行った。研磨機に純水を100c
c/分流しながら研磨パッド上を2分間洗浄し次に、タ
ングステン配線ディシング評価用テストウェハを研磨機
に設置し、説明書記載使用濃度のキャボット社製スラリ
ー(“SEMI―SPERSE W―A400”)とキ
ャボット社製酸化剤(“SEMI―SPERSE FE
―400”)を1:1で混合したスラリー溶液を所定供
給量で研磨パッド上に供給しながら、押しつけ圧力0.
04MPa、定盤回転数45rpm(ウェハの中心での
線速度は3000(cm/分))、半導体ウェハ保持試
料台を回転数45rpmで同方向に回転させ、所定時間
研磨を実施した。半導体ウェハ表面を乾かさないように
し、すぐさま純水をかけながら、ポリビニルアルコール
スポンジでウェハ表面を洗浄し、乾燥圧縮空気を吹き付
けて乾燥した。タングステン表面のディッシング状態を
キーエンス社製超深度形状測定顕微鏡“VK―850
0”で測定した。なお、研磨層の表面加工形態について
は、その他の形状のものも上記と同様の手順で行った。
タングステン配線の中央深さを測り、0.04μm以下
であれば合格とした。
【0058】以下、実施例によってさらに詳細に説明す
る。
【0059】
【実施例】まず、シート状層を準備した。フィラーの入
っていない樹脂板としては、市販のポリエチレン、ポリ
メチルメタクリレート、ポリウレタンシートを利用し
た。これらを、所望の厚みに成型しシート状層として用
いた。フィラーを含むシート状層は、以下のようにして
作成した。用いたフィラーは、ワットマン社製1Chr
濾紙(厚み180μm、公定水分率11%)、アドバン
テック社製濾紙粉末(Eタイプ、公定水分率10%)、
ナイロン6の孔径5μmの粒子(公定水分率4.5
%)、厚み0.18mmのクラフト紙(公定水分率11
%)である。無機粒子として1μm径のシリカ粒子、水
溶性高分子として多糖類のキサンタンガムを利用した。
その他ポリテトラフルオロエチレンの0.2mm厚の発
泡シートを用いた。マトリックス樹脂として2液系ポリ
ウレタン樹脂C-4421/N−4276(日本ポリウ
レタン(株)製 )(混合比51/49重量%)、液状
フェノール樹脂(住友デュレズ製、PR−5512
3)、MMA(メタクリル酸メチル)/AIBN(アゾ
イソブチロニトリル)=999/1を混合した溶液を用
いた。ここに掲げるのは、本発明の1部であり、これら
だけの組み合わせに限定されない。以下に、実施例で用
いた各層を説明する。 A;ワットマン社製1chr濾紙を40cm角に成形
後、2液系ポリウレタン樹脂C-4421/N-4276
(日本ポリウレタン(株)製 )(混合比51/49重
量%)が65重量%になるように含浸させ、これを40
cm角の金型に入れ真空脱泡後樹脂板を成形し、これを
A1とする。樹脂量が55重量%のものをA2とする。
樹脂量を減らしそのかわりに1μm径のシリカ粒子3重
量%を添加し同様に作成した樹脂板を、A3とする。 B;厚み0.18mmのクラフト紙(公定水分率11
%)に、液状フェノール樹脂(住友デュレズ製、PR-
55123)を乾燥重量で60重量%になるように含浸
させ、乾燥後、40cm角に成形しこれをB1とした。
樹脂量が55重量%のものをB2とした。樹脂量を減ら
しそのかわりに1μm径のシリカ粒子3重量%を添加し
同様に作成した樹脂板を、B3とする。B3にさらに親
水性高分子キサンタンガム0.3重量%添加したものを
B4とする。 C;市販のポリメチルメタクリレート板(0.5mm
厚)を40cm角に成形し、これをCとする。 D;メラミン1モルに対し3.1モルのホルマリン(3
7%水溶液)を添加し、アルカリ条件下75℃で反応さ
せた。この溶液を、ワットマン社製1chr濾紙に、樹
脂が67wt%になるよう含浸乾燥後、40cm角に成
形し、これをDとする。 E;尿素1モルに対し1.5モルのホルマリン(37%
水溶液)を添加し、pH5.3、80℃で反応させた。
この溶液を、クラフト紙(公定水分率11%)に樹脂が
乾燥重量比で70wt%になるよう含浸乾燥後、40c
m角に成形しEとする。 F;市販のポリエチレンシート(厚み0.5mm)を、
40cm角に成形し、これをFとする。 G;ポリテトラフルオロエチレンからなる貫通孔を有す
る発泡シート(厚み0.2mm)に、液状フェノール樹
脂(住友デュレズ製、PR−53717)を乾燥重量で
60重量%になるように含浸し、40cm角に成形し、こ
れをGとした。 H;日本ユニポリマー社製ポリウレタンフィルム(1m
m厚)を0.5mm厚に研削後40cm角に成形し、これ
をHとした。 I;ワットマン社製1chr濾紙を40cm角に成形
後、MMA(メタクリル酸メチル)/AIBN(アゾイ
ソブチロニトリル)=999/1を混合した溶液を55
部含浸させ、ガラス板に挟み65℃温浴中で5時間板間
重合した。この後、100℃の乾燥機中で3時間放置し
重合を完結させた。これをIとした。 J;ナイロン6の孔径5μmの粒子30重量%と2液系
ポリウレタン樹脂C−4421/N−4276(日本ポ
リウレタン(株)製 )(混合比51/49重量%)7
0重量%になるように混合し、真空脱泡の後0.5mm
厚に押し出し成形した。 K;タイガースポリマー社製ゴムシート(厚み0.5m
m、TNKL7007−HP)を40cm角に成形し、
これをKとした。
【0060】実施例1 Cを一番下に、その上にB1のプリプレグを1枚重ね、
さらにその上にA1(3枚)を重ね、180℃で熱圧着
とフェノール樹脂の硬化を行ない、樹脂板を成形し、研
磨パッドを作成した。最下層が疎水性のため、研磨の際
に定盤から研磨パッドが剥離することがなかった。
【0061】実施例2 下層にCを置き、上層に同B1を3枚重ね、180℃で
熱圧着と、フェノール樹脂の硬化を行い、樹脂板を成形
した。これを用い研磨パッドを作成した。
【0062】実施例3 最下層にFを置き、その上にB2を1層、その上にDを
3枚重ねて、170℃4MPaで15分圧着した。これ
を用い研磨パッドを作成した。
【0063】実施例4 最下層にFを置き、その上にB2を1層、その上にEを
3枚重ねて、170℃4MPaで15分圧着した。これ
を用い研磨パッドを作成した。
【0064】実施例5 Cを最下層に置き、Gを1層、最上層にA3を3枚重
ね、180℃で熱圧着および、フェノール樹脂の硬化を
行った。これを用い研磨パッドを作成した。
【0065】実施例6 Cを下層に置き、B4を4枚重ね、180℃で熱圧着し
た。これを用い研磨パッドを作成した。
【0066】実施例7 Kを下層に置き、表面に液状フェノール樹脂(住友デュ
レズ製、PR−53717)をコーティングし乾燥した
後A2を4層重ね、180℃で熱圧着した。これを用い
研磨パッドを作成した。
【0067】実施例8 Cを最下層に置き、表面に液状フェノール樹脂(住友デ
ュレズ製、PR−53717)をコーティングし乾燥し
た後Hを1層置き、最上部にB3を2層重ね、180℃
で熱圧着した。これを用い研磨パッドを作成した。断面
を顕微鏡で観察した結果、B3の層のクラフト紙中に空
隙が見られた。
【0068】実施例9 Fの上に、Iを4層重ね、この間に液状フェノール樹脂
(住友デュレズ製、PR−53717)をコーティング
し乾燥した後、180℃で熱圧着した。これを用い研磨
パッドを作成した。断面を顕微鏡で観察した結果、コー
ティングしたフェノール樹脂層に空隙が見られた。
【0069】実施例10 Cを下層に置き、表面に液状フェノール樹脂(住友デュ
レズ製、PR−53717)をコーティングし乾燥した
後Hを1層置き、180℃で熱圧着した。これを用い研
磨パッドを作成した。Hは、表面硬度が低く、曲げ弾性
率も小さいが、下層の機械強度が高いため、平坦化特性
が良好であった。
【0070】実施例11 Cを下層に置き、表面に液状フェノール樹脂(住友デュ
レズ製、PR−53717)をコーティングし乾燥した
後Jを1層置き、180℃で熱圧着した。これを用い研
磨パッドを作成した。
【0071】比較例1 市販の1mm厚のポリメチルメタクリレート樹脂板を用
いて研磨パッドを作成した。硬いため、ダスト付着数や
スクラッチ傷の発生が不良であった。
【0072】比較例2 日本ユニポリマー社製ポリウレタンフィルム(1mm
厚、D硬度63)を用いて研磨パッドを作成した。柔ら
かいため、平坦化特性が悪かった。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、被研磨物表面へのダス
ト付着性を少なくすることができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】層の数が2以上のシート状層を積層した主
    に有機高分子マトリクスからなることを特徴とする研磨
    パッド。
  2. 【請求項2】親水性で実質的に水に不溶のフィラーを含
    有するシート状層を含むことを特徴とする請求項1記載
    の研磨パッド。
  3. 【請求項3】シート状層の層ごとの厚みが1μm以上で
    あることを特徴とする請求項1または2記載の研磨パッ
    ド。
  4. 【請求項4】親水性で実質的に水に不溶のフィラーが公
    定水分率3%以上のものであることを特徴とする請求項
    2または3記載の研磨パッド。
  5. 【請求項5】親水性で実質的に水に不溶のフィラーが公
    定水分率5%以上のものであることを特徴とする請求項
    2または3記載の研磨パッド。
  6. 【請求項6】層の数が3以上であることを特徴とする請
    求項1ないし5のいずれかに記載の研磨パッド。
  7. 【請求項7】フィラーの中に空隙を有することを特徴と
    する請求項1ないし6のいずれかに記載の研磨パッド。
  8. 【請求項8】フィラーは、不織布状、織物状、編み物
    状、フエルト状、多孔膜状、フィルム状、スポンジ状、
    粒子状、および繊維状の少なくとも1つから選ばれてな
    るものであることを特徴とする請求項1ないし7のいず
    れかに記載の研磨パッド。
  9. 【請求項9】フィラーの外側にさらに空隙を有すること
    を特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の研磨
    パッド。
  10. 【請求項10】無機微粒子を含むことを特徴とする請求
    項1ないし9のいずれかに記載の研磨パッド。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の研磨
    用パッドを用いることを特徴とする研磨装置。
  12. 【請求項12】請求項1〜10のいずれかに記載の研磨
    用パッドを用いることを特徴とする研磨方法。
  13. 【請求項13】請求項1〜10のいずれかに記載の研磨
    用パッドを用いて加工することを特徴とする半導体ウェ
    ハまたは半導体チップの製造方法。
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