JP2002056803A - 反応性試料のための電離箱 - Google Patents

反応性試料のための電離箱

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JP2002056803A
JP2002056803A JP2001216264A JP2001216264A JP2002056803A JP 2002056803 A JP2002056803 A JP 2002056803A JP 2001216264 A JP2001216264 A JP 2001216264A JP 2001216264 A JP2001216264 A JP 2001216264A JP 2002056803 A JP2002056803 A JP 2002056803A
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nitride
disulfide
ion source
coating
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JP2001216264A
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Patrick D Perkins
パトリック・ディー・パーキンズ
Jeffrey T Kernan
ジェフリー・ティー・カーナン
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Agilent Technologies Inc
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J27/00Ion beam tubes
    • H01J27/02Ion sources; Ion guns

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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来分析が困難であったある種の化合物につい
て、電離箱の改良によって分析を可能にすること。 【解決手段】本発明は、質量分析計等に使用され得る電
離箱の改良に関する。一実施態様によれば、電離箱は、
無機導電性の窒化物化合物を含む内面を備えている。窒
化物化合物は、例えば、窒化チタン、或いは、窒化アル
ミニウムチタン或いは炭窒化チタンのような混合された
金属窒化物とされ得る。他の実施態様によれば、電離箱
の内面が無機導電性二硫化物化合物を含む。二硫化物化
合物は、例えば、二硫化タングステン或いは二硫化モリ
ブデンからなることができ、層状の微細構造をとること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的に、質量分
析法に関連して用いられる電離箱に関する。更に詳しく
は、本発明は、反応性試料との干渉を防止するためのコ
ーティングされた内面を備えた電離箱に関する。
【0002】
【従来の技術】代表的な質量分析計は、電離箱を備えた
イオン源を有している。検体を含む試料は、試料導入手
段を介して電離箱に導かれる。検体が一旦電離箱内に配
置されると、イオン源は、試料からイオンを発生させ
る。得られたイオンは、次いで、それらの質量電荷比に
従ってイオンを分離する少なくとも一つの分析器或いは
フィルタによって処理される。イオンはディテクタ内に
集められ、ディテクタは、イオンの数と分布を測定し、
従って、データ処理システムが、このディテクタからの
測定結果を使って検体の質量スペクトルを発生させる。
試料は、気体であることができ、或いは、特別の検体分
離およびイオン化手段に対応して、最初に、液体或いは
ゲルの成分であることができる。
【0003】質量分析法(以後、MSとする)に使うこ
とができるイオン源には、様々なタイプがある。イオン
源のタイプは、これに限定されないが、電子による衝
撃、化学的なイオン化、プラズマ、小イオン或いは原子
ボンバードメント、電界脱離、レーザ脱離、プラズマ脱
離、温度スプレーおよび電子スプレーを含む。気体検体
に対するイオン源に最も広く使われる二つが、電子によ
る衝撃(以後、EIとする)および化学的なイオン化
(CI)の源である。
【0004】EI源は、通常、陽極方向に加速されると
ともに電離箱に導き入れられる気体の検体分子に衝突す
る電子を放出する加熱されたフィラメントを含んでい
る。通常、電子は、約70eVのエネルギーを備え、数
%以下の効率でイオンを発生させる。このエネルギー
は、イオン化に必要で分子を断片化するのに必要な最小
のエネルギーを十分超えており、大部分の分子に対する
イオン化効率曲線のピークか或いはその付近にあるので
通常選択される。イオン源内の総合的な圧力は、通常、
10-3トル以下に維持されている。発生させられたイオ
ンは、電界を印可することによりEI源から抽出される
とともに質量電荷比によって分離されるように分析器内
に導き入れられる。質量分析計のイオン検出および信号
処理系によって特定の質量/電荷のイオン流特性として
記録される。それらのイオンは、理想的には、選択され
たイオンは、EI源内で形成されたときからディテクタ
内に集められるときまでその他の分子或いは面には衝突
しない。EI源は、溶離時間によって検体の成分を分離
するガスクロマトグラフィ(GC)との関連においてM
Sにしばしば使われる。
【0005】EI源は、しばしば、イオン断片化パター
ンの安定性と再現可能性のために四重極質量分析計に用
いられる。発生させられたパターンは、共通して「古典
的」スペクトルと呼ばれ、イオンの分子構成を反映して
いる。実際に、選択されたイオンモニタリングを行なう
ことによって、このような質量分析計の操作者は、その
ような構成の存在を示すそれらのイオンのみをモニタす
る。かくして、イオン源によって発生させられたスペク
トルパターンの質は、データの解釈に大きな寄与をする
ことができる。
【0006】EIにおいて、試料中の分子から分析可能
なイオンの特性および量は、イオン源を含む電離箱内面
に生じる反応に依存する。まず、検体のイオン化を行お
うとする電離箱に検体が導き入れられる。しかしなが
ら、イオン化に先立って、多量の試料が、通常、加熱さ
れている電離箱の内面に対面する。試料とそれらの内面
の干渉が、好ましくない結果を発生させる。例えば、試
料の一部分が電離箱の面に付着すると、この部分は、有
効にイオン化されてディテクタに導かれることができな
い。その結果、そのような検体の分析装置における感度
に悪影響が出る。更に、試料は劣化し、すなわち、他の
化合物に変化し、或いは、電離箱の面に吸着されてこの
面を脱着する。この化合物に対応して、多くの予期せぬ
イオンが、この化合物と面との干渉の結果として現われ
る。この結果は、クロマトグラフピークの尾引き、感度
の損失、非直線性、誤差の多い性能など望ましくないも
のである。更に、清潔さがEI源を用いる質量分析計の
適切な性能に決定的であって、特に、農薬残留物、薬剤
残留物、および、代謝産物のGC/MS分析のような低
濃度の材料の定量分析、および、有機化合物のこん跡分
析にとって決定的である。汚染はこのような分析には受
け入れられないので、先行したテストからの残留検体或
いは検体反応生成物は、許容できない。しばしば、研磨
清掃が、電離箱の汚染を無くするために用いられる。
【0007】EIイオン源とは異なり、CIイオン源
は、検体中の分子と電離箱内に存在する一次イオンとの
衝突により、或いは、電離箱内に存在する低エネルギー
電子の付着によりイオンを発生させる。CIイオン源
は、衝突の頻度を高めるためにEIイオン源よりもはる
かに高圧で作動する。作動中におけるCIイオン源の全
体的な圧力は、通常、約0.1〜約2トルの範囲にあ
る。この圧力は、CIイオン源を収容している電離箱内
に汲み込まれるメタン、イソブタン、アンモニアなどの
ような試薬ガスの流れにより発生させられる。代表的な
構成において、試薬ガスと検体とは、気密シールを介し
てCIイオン源を収容している電離箱内に導かれる。試
薬ガスと検体とは、通常1mm以下の直径の小さなオリ
フィスを介してフィラメントから50〜300eVのエ
ネルギーを備えた電子とともにスプレーされる。形成さ
れたイオンは、やはり、通常1mm以下の直径の別に設
けられた小さなオリフィスを介して取り出され、分析器
或いはフィルタに導かれる。電界がCIイオン源に印加
されるが、それらはCIイオン源に必ず必要というもの
ではない。イオンは、試薬ガス流中での拡散および飛沫
同伴の組み合わせによりCIイオン源を最終的に通過す
る。かくして、CIイオン源は、EIイオン源とはまっ
たく異なるやり方で作動する。しかしながら、試料と電
離箱面との望ましくない干渉が、上述したようなEIイ
オン源におけるのと同様にCIイオン源にも発生する。
【0008】特にEIイオン源における電離箱の面を交
換するか或いは修正することによって、質量分析器の電
離箱における試料劣化問題に取り組む努力が行なわれて
きた。このような努力には効果的な特性を備えた金属面
の提供を含む。例えば、電離箱は、全体的な活性面領域
の減少のために電解研磨されたステンレス鋼面でつくら
れた。しかしながら、このような電離箱を用いる質量分
析計は、変動の多い結果を生じるとともにともになお時
間と共に検体の劣化を生じることが判った。Taylo
rなどに与えられた米国特許第5,055,678号
は、面に接触する試料の劣化および分解を防ぐためにイ
オントラップ或いは電離箱のような試料分析イオン化装
置におけるクロム面或いは酸化クロム面の使用を開示し
ている。この参考文献は、また、金、ニッケル、或い
は、ロジウムのような耐腐蝕性或いは不活性について知
られている材料により電離箱の内面をコーティングする
ことが、ある程度まで農薬、薬剤および代謝産物のよう
な検体に生じる劣化を少なくすると述べている。このよ
うな面は、金属コーティングが柔らかいか或いは高い摩
擦係数を備えているために分解組み立てが難しくて引っ
かき傷を受けるというような種々の欠点がある。
【0009】更に、Brittainなどに与えられた
米国特許第5,633,497号は、電離箱面に接触す
る試料の吸着、劣化或いは分解を防ぐためのイオントラ
ップ或いはEI電離箱の内面に不活性無機非金属絶縁体
或いは半導体の薄膜の使用を開示している。この参考文
献に記載されている材料は、融解石英と酸化アルミニウ
ム、窒化ケイ素および代替物質として与えられた「選択
された半導体」とを組み合わせたものである。これらの
面薄膜は高い電気抵抗を示すが、薄膜が厚すぎると、そ
れらの薄膜上に望ましくない電荷の蓄積が生じる。この
参考文献に述べられている発明の重要な特徴は、電荷効
果が生じない十分に薄い絶縁体膜の使用にある。
【0010】Palermoに与えられた米国特許第
5,796,100号は、モリブデンにより形成された
内面を備えた四重極イオントラップを開示している。
【0011】更に、Dowellなどに与えられた米国
特許第6,037,587号は、モリブデンにより形成
された内面を備えた化学的な電離箱を収容したCIイオ
ン源を有する質量分析計を開示している。
【0012】分析装置の金属内面を不動態化する薬品に
より処理して活性面サイトをマスクするか或いは消失さ
せることによって劣化問題を回避しようとする試みもあ
る。例えば、アルキルクロルシラン他のシラン化剤が、
インジェクタ、クロマトグラフカラム、GC内の転送ラ
インおよびディテクタを処理するために用いられてい
る。参考文献として、Wellsなどに与えられた米国
特許第4,999,162号を参照されたい。このよう
な処理は、金属面を不活性化するのに効果的であり、従
って、ある種の検体の劣化阻止を行なえる。残念なこと
に、このような処理に使える材料は検体と共にイオン化
される電離箱容積内の気相において有機物質を形成する
の十分に高い蒸気圧を備えるので、質量スペクトルにと
って大きな化学的なバックグラウンドを発生する。
【0013】汚染に対する環境試験へのGC/MSの適
用において、いくつかの重要な反応検体が従来周知のイ
オン電離箱において劣化を生じ、識別および存在量決定
において低い精度を伴うことが、判った。このような反
応検体は、限定はされないが、アセトフェノン、2−ア
セチルアミノフルオレン、1―アセチル―2−チオ尿
素、アルドリン、4−アミノビフェニル、アラマイト、
バルバン、ベンジジン、安息香酸、ベンゾピレン、1,
4−ジクロロベンゼン、2,4−ジニトロフェノール、
ヘキサクロロシクロペンタジエン、4−ニトロフェノー
ル、N−ニトロソ−ジ−n−プロピルアミン、および、
種々の固体廃棄物マトリックス、土壌、および、水試料
などに生じるその他の化合物を含んでいる。
【0014】かくして、電離箱におけるこれらの重要な
検体イオンの吸着、劣化および分解を回避するとともに
従来周知のコーティングに生じる問題を軽減するニーズ
がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、従来技術における上述した不利益を克服し、これま
で分析が困難であったある種の化合物に不活性な無機導
電性で、機械的に堅牢な化合物を備えた内面を有する電
離箱を提供することにある。
【0016】本発明のその他の目的は、特にEI電離箱
である電離箱により質量分析計を改善することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明におけるその他の
目的、利点、および、新規な構成は、以下の記述により
部分的に説明され、および、以下の説明を検討した当該
技術に通常の知識を有する者には明らかに理解できるも
のであり、或いは、実施できるものであろう。
【0018】一般的な観点において、本発明は、流体を
イオン化するための質量分析計或いはMSシステムの電
離箱に関するものである。電離箱は、無機導電性の窒化
物化合物を含む内面を備えている。窒化物化合物は、例
えば、窒化チタン、或いは、窒化アルミニウムチタン或
いは炭窒化チタンのような混合された金属窒化物である
ことができる。
【0019】その他の観点において、本発明は、電離箱
の内面が無機導電性二硫化物化合物を含むような上述の
電離箱に関するものである。二硫化物化合物は、例え
ば、二硫化タングステン或いは二硫化モリブデンからな
ることができ、層状の微細構造をとることができる。
【0020】その他の一般的な観点において、本発明
は、約10-1オームcm未満の、好ましくは約10-3
ームcm未満の電気抵抗率を備えた無機導電性化合物を
含む内面を有するような流体試料をイオン化する電離箱
に関するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本明細書の記載では、単数を対象
とする記載であっても、明確な指摘がない限り、複数の
ものを含み得る。例えば、「材料」という表現は、複数
の材料を含むものであり、「化合物」という表現は、化
合物の混合物を含み、「二硫化物」という表現は、二つ
以上の二硫化物を含み、「窒化物」という表現は、複数
の窒化物を含む。
【0022】本発明を記述し、特許請求の範囲を規定す
るとき、以下の用語が、以下の定義に従って使われるも
のとする。
【0023】ここで使われる用語「電離箱」は、通常は
気体である試料がイオン化される容積をほぼ包囲してい
る剛体構造を示している。この剛体構造は、また、質量
分析計の一部分を構成することができ、例えば、電子に
よる衝撃或いは化学的なイオン化がトラップ内で生じる
ようなイオントラップを構成することができる。
【0024】ここで使われる用語「内面」は、検体との
望ましくない干渉を受けることがある電離箱内のすべて
の面を示している。この用語は、電離箱の一部分ではな
いが、試料を導入するための手段のような電離箱内に配
置された構成要素の面を含む。
【0025】ここで使われる用語「微細構造」は、材料
の顕微鏡的な構造を示し、格子構造、結晶化度、転移、
粒界などのような概念を含むものである。
【0026】用語「窒化物化合物」は、その従来周知の
意味で使われるものであり、窒素を含むとともに少なく
とももう一つの正に帯電した元素を示す。通常、窒化物
は、高い硬さを示し、ウルツ鉱状の微細構造を有するこ
とができる。
【0027】用語「抵抗率」は、その従来周知の意味で
使われるものであり、電流の流れに対する材料の抵抗を
示している。別途特定されなければ、抵抗率は、オーム
cmで測定され、シーメンス/cmで測定される「導電
率」の逆数である。材料の抵抗率は、温度に従って変化
することができるので、別途特定されなければ、抵抗率
は、室温で測定されるものとする。半導体は、室温にお
いておよびイオン源の作動の正規温度(<300℃)に
おいて比較的に非導電的であると考えられる。
【0028】用語「二硫化物化合物」は、その従来周知
の意味で使われるものであり、それぞれ少なくとももう
一つの正に帯電した元素に対して二つの硫黄原子を含む
化合物を示す。通常、二硫化物は、潤滑性を備え、層状
の微細構造を備えることができる。
【0029】ここで使われる用語「メタリック」は、低
い抵抗率(約10-1或いは0.1オームcm)を示し、
薄膜形状における磨耗について硬さと抵抗を備え、以下
に述べられるような化合物に対して不活性であるような
材料を指示する。特に、メタリック材料は、絶縁体から
区別され、通常、半導体であり、10-1或いは0.1オ
ームcmをはるかに超える抵抗率を備える。メタリック
材料は、更に、クロム、タングステン、鉄、金、モリブ
デンのような純金属、および、それらの酸化物からも区
別され、窒化ケイ素のようなメタロイドおよび窒化ホウ
素のような非金属を含む化合物である。
【0030】本発明は、添付の図面に従って説明され
る。図面の寸法は比例尺ではなく、プレゼンテーション
を明瞭にするために誇張されている。図1(a)は、四
重極質量分析計の概略を示すものである。この実施例或
いは図面は、EIイオン源を示しているが、本発明は、
この特定のイオン源に狭く限定されるものではなく、従
来周知のその他のイオン源に適用できるものである。E
Iイオン源10は、通常、イオン化ハウジング或いは基
板11、反射電極12、および、箱22を形成する内面
13を含む(図1(a)参照)。ハウジング或いは基板
11は、以下に述べられるような窒化物或いは二硫化物
を含むことができる。本発明の第2の実施例において、
内面13′は、基板或いはハウジング11に対するコー
ティングとして付着される(図1(b)参照)。コーテ
ィング13′は、以下に述べられるような窒化物或いは
二硫化物を含むことができる。発明のこの実施例におい
て、基板或いはハウジング11は、導電性材料であるこ
とができる。EIの場合には、検体である気体17は、
通常、GC装置(図示せず)から注入オリフィス(図示
せず)を介して電離箱に試料の流れとして導き入れられ
る。オリフィス19を介してフィラメント14から電子
コレクタ16に向かって電離箱22を通過する電子ビー
ム15は、検体気体流の検体分子17と干渉する。この
干渉は、イオンに関して反射電圧に充電される反射電極
12によって反射される検体イオン18の形成中に生じ
る。反射電圧は、検体イオン18のそれと同じ極性を備
えている。反射力は、レンズ系20と質量電荷比によっ
てイオンを選択する質量分析計30を通過するようにイ
オンを駆動する。イオン18がディテクタシステム40
に到達すると、それらの発生量が測定されて試料に対す
る質量スペクトルを形成する。四重極質量フィルタが本
発明には適切であるが、様々なタイプの分析器が周知で
あって、例えば、イオントラップ、飛行時間機器、およ
び、磁気セクタ分析計などが使える。
【0031】無機導電性窒化物化合物が、ステンレス
鋼、金、ニッケル、クロム、および、酸化クロム、融解
石英、酸化アルミニウムおよび酸化モリブデンのような
従来の電離箱面材料よりもある種の周知の反応試料に関
してイオン化電離箱内の面をより不活性にするという予
期せぬ結果が、発見された。それらの反応試料は、限定
はされないが、アセトフェノン、2−アセチルアミノフ
ルオレン、1―アセチル―2−チオ尿素、アルドリン、
4−アミノビフェニル、アラマイト、バルバン、ベンジ
ジン、安息香酸、ベンゾピレン、1,4−ジクロロベン
ゼン、2,4−ジニトロフェノール、ヘキサクロロシク
ロペンタジエン、4−ニトロフェノール、N−ニトロソ
−ジ−n−プロピルアミン、および、種々の固体廃物マ
トリックス、土壌、および、水試料などに生じるその他
の化合物を含んでいる。導電性窒化物化合物は、窒化チ
タン、或いは、窒化アルミニウムチタンのような混合さ
れた金属窒化物であることができる。窒化チタンは、多
くのこのような検体に関して稀な不活性特性を示す。そ
の他の窒化物は、限定はされないが、炭窒化チタン、窒
化チタンアルミニウム、窒化アルミニウムチタン、窒化
クロム、窒化ジルコン、および、窒化タングステンを含
む。更に、窒化物は、通常、質量分析計アプリケーショ
ンに特に有益なその他の特性を示す。例えば、イオン化
電離箱の面に蒸着されたとき、窒化物は、非常に硬く、
比較的硬い研磨剤を用いてのコーティング部分に対する
清浄化を可能にする。本発明による窒化物は、約200
0kg/mmヌープ硬度或いはビッカース微少硬さを超
える、約2500〜約3000であるような硬さを示
す。これは、約85Rcに相当する。更に、ある窒化物
は、化合物の化学量論に依存するか或いは依存しない微
細構造の多形性を示す。多形性は、化合物がどのように
して形成されるかの結果である。
【0032】或いは、イオン化電離箱に好ましい内面
は、導電性の二硫化物化合物である。二硫化物化合物
は、層状に構成することができる。導電性の層状二硫化
物化合物の例は、これに限定されないが、二硫化タング
ステン、二硫化モリブデン、二硫化鉄、二硫化銅、およ
び、二硫化チタンを含む。これらの層状の化合物は、通
常、高い温度で化学的に不活性である。特に、二硫化タ
ングステンは、質量分析計アプリケーションにおいて予
期せぬ優れた不活性特性を示すことが判った。イオン化
電離箱の面が二硫化タングステンのような層状の材料を
付着されたとき、この層状の化合物は、潤滑性を示し、
換言すれば、イオン化電離箱を形成する或いはイオン化
電離箱内に配置される構成要素の組み立てを容易にす
る。驚くべきことに、これらの材料は、また、ある種の
周知の反応試料に関して不活性であるとともに硬くて機
械的に堅牢であることが判った。
【0033】イオン化電離箱に誘電体が付着されたと
き、静電荷が、イオン化処理中にこの誘電体上に蓄積さ
れる。このような電荷は、偽信号を発生させるアークを
生じ、或いは、このような静電荷の分布は、電界を歪ま
せ、イオンを発生させる電離箱の能力を変化させる。か
くして、不活性なコーティングがイオン化電離箱の内面
に使われるときは、このコーティングは、十分な導電性
を備えて以下に述べるように電荷を消失させることが好
ましい。低い抵抗率を備えた材料は、イオン化電離箱に
おける内面に厚めのコーティングを形成することができ
る。このコーティングに関係無く、コーティングは、均
一に付着されて非付着領域やピンホールを生じないよう
にするとともにこの面上の活性な領域を被覆するのに十
分なカバレッジを備えているようにされる。電極面を含
むイオン化電離箱のいかなる面も、電荷を与えられてい
ない反応気体或いは検体と干渉を生じることは明らかで
ある。
【0034】ある種の重要な反応検体物質に対する予期
せぬ不活性さに加えて、イオン化電離箱内面に用いるた
めにここで開示された化合物は、ある種のその他の利点
を示す。約10-1オームcm、好ましくは約10-3オー
ムcmを超えない電気的な抵抗率を備えたこれらの化合
物は、更に高い抵抗率を備えた材料よりもイオンボンバ
ードメントによる電荷に耐える導電性面を提供できる。
特に、通常の絶縁材料或いは半導体材料がイオン化電離
箱面のためのコーティングの形成のために使われると
き、このようなコーティングは、通常、好ましくない電
荷形成がコーティング面上にイオンの蓄積が生じる前に
約1000Åを超えることができないことが知られてい
る。電荷形成を回避する最適の厚さは、約200Å以下
である。しかしながら、面上に薄膜コーティングの均一
な被覆を形成することは通常困難であり、薄いコーティ
ングは、コーティング下方における面の反応特性を隠す
には余りにも薄いピンホール或いは領域を含んでいる。
その上、薄膜の均一な被覆が可能であったとしても、薄
膜は、厚い膜に比べて耐引っかき傷性が低い。導電性の
薄膜は、電荷形成の恐れなくいかなる厚さにもすること
ができるので、導電性薄膜は、薄い非導電性薄膜よりも
好ましい。更に、窒化物化合物は、ほとんどの金属より
も硬いので、本発明によるコーティングは、金属よりも
良い耐引っかき傷性を備えており、低い電気的な抵抗率
を示すことを可能にしている。また、基板面に付着させ
られたある種のイオン化された薄膜について、例えば、
金属基板上の窒化チタンにおいて、薄膜の硬さは、基板
の硬さに依存するということが判った。
【0035】多くのイオン化された化合物は、約10オ
ームcm以下の電気抵抗率を有していない。例えば、酸
化アルミニウム、窒化ケイ素、および、窒化ホウ素のよ
うなイオン化された化合物は、約1013オームcm以上
の電気抵抗率を示す。低い抵抗率を備えた金属窒化物の
例には、これに限定されないが、窒化チタン、窒化ジル
コン、窒化クロム、および、アルミニウムをドープされ
た窒化チタンのような混合された金属の窒化物がある。
いくつかの導電性イオン化材料において、化学量論およ
び微細構造が、抵抗率に非常に影響する。しかしなが
ら、当該技術に通常の知識を有する者であれば、日常業
務を通じて、ここで述べられている多くの技術を使って
つくり出すことができる本発明による導電性化合物に対
する最適の化学量論を定めることができる。コーティン
グは、基本的には、上述したような低い抵抗率を備えた
窒化物或いは二硫化化合物であることが好ましい。
【0036】本発明による化合物をイオン化電離箱の内
面にコーティングするのに使える多くの方法がある。一
つの方法は、2ステップの処理を含んでおり、すなわ
ち、該当する面上に金属或いは合金の薄膜を付着し、次
いで、必要な化合物を形成するのに適切な干渉条件の下
でこの面を適当な要素に対して露出するというものであ
る。金属の薄膜は、例えば、蒸着、スパッタリング、電
気メッキ、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PV
D)などのような従来技術として周知の多くのやり方で
付着させることができる。しかしながら、メタリック層
付着のすべての方法がいかなる特定の金属に対しても容
易に使えるということではない。例えば、低い溶融点温
度(融点)或いは沸騰点温度(沸点)を備えた金属は、
蒸着により付着させるのに特に適している。逆に、タン
グステンのように高い溶融点を備えた金属は、蒸着によ
って容易に付着できない。金属の層が一旦付着される
と、この層は、必要な化合物を形成するのに適切な条件
下に適当な負に帯電された要素源に露出されることがで
きる。例えば、金属層面は、グロー放電プラズマに露出
される。窒化物を用いると、金属層面を備えた基板は、
真空室内に配置される。次いで、イオン化された窒素ガ
スが、その他のガスと混合され、高圧がグローを当てて
基板と干渉するようにする。適切な薄膜形成条件は高温
処理を含むことができるので、面が変換されるべき材料
は、すべての処理条件に対して耐性を備えていなければ
ならない。更に、金属層の本発明による化合物への変換
は、負に帯電されたものの金属層内への拡散速度に依存
するので、このような変換は、本発明によるいくつかの
化合物に対しては不十分である。
【0037】或いは、本発明による化合物は、上述した
ような二つの独立したステップを含まない真空処理にお
いて面上に付着できる。このような真空処理は、これに
限定されないが、陰極アークPVD、電子ビーム蒸着、
エンハンストアークPVD、CVD、マグネトロンスパ
ッタリング、分子線エピタキシ、これらの技術の組み合
わせ、および、従来周知の様々なその他の技術を含む。
当該技術に通常の知識を有する者であれば、CVDが、
通常、必要な薄膜を形成するために気体状の有機物質を
分解するのに十分な高い温度に基板面を加熱することを
含んでいることに気付くであろう。このような加熱は、
通常、薄膜が付着させられている面としてのプラスチッ
クの使用を除外する。PVDは、しかしながら、基板と
してプラスチックを除外する必要はなく、マスクを使う
薄膜付着を可能にする。しかしながら、これらの方法
は、コーティング材料源の「視線」内にある面のみをコ
ーティングし、従って、「ブラインド」スポットへのコ
ーティングはない。更に、いくつかの基板加熱は、薄膜
付着を強化するために物理蒸着法において使われる。
【0038】窒化チタンの場合には、中空陰極放電イオ
ンプレーティングが広く使われた。この方法は、反応気
体としての窒素ガスの存在下でのチタン付着を含む。中
空陰極放電イオンプレーティングにおいては、チタン分
子として形成できる密度の高い薄膜が、窒素ガスを導入
しつつ蒸着される。しかしながら、最適の付着を行なう
ための配慮が必要である。処理に際してのエネルギーが
余りにも低いと、蒸着されたチタンは、窒素と反応せ
ず、得られた薄膜は、面に対して良好に付着しない。他
方、過剰のエネルギーが、基板からの再蒸発を生じるか
或いは基板を損傷する。
【0039】本発明による高い導電性を備えた面は、上
述の方法を用いて用意できる。上述した如く、高い導電
性を備えた材料のコーティングは、通常の半導体コーテ
ィング或いは絶縁体コーティングよりも厚い。通常、本
発明によるコーティングは、約1000Å〜約10ミク
ロンの厚さを備えるように付着される。PVDにより得
られる厚さは、約0.5〜約2ミクロンであり、CVD
処理は、通常、約2〜約5ミクロンの厚さを与える。本
発明による化合物と面との間の接着は、非常に大きな厚
さにおける限界の質につながることが判る。更に、コー
ティング層とこのコーティングが施される面との間の温
度係数の差は、この面が急激な温度変化を受けたときの
接着の問題に関係する。
【0040】使われる特定のコーティング技術は、通
常、付着した材料の微細構造、形状、および、その他の
物理的性質に影響する。更に、上述の付着技術が使われ
るとき、処理パラメータの変化が、基本的に、付着した
薄膜の形状に変化を与える。通常、ほぼ均一な厚さを備
えた滑らかな薄膜が形成されることが好ましい。滑らか
な薄膜は小さな面領域につながり、薄膜を検体との反応
の活性にとって不都合な状態にする。薄膜の滑らかさ
は、しかしながら、それが載っている面の滑らかさに大
きく依存するとともに通常それによって定められる。
【0041】その他に、面コーティング材料は、粉末と
してコーティングに使用されることができる。粉末コー
ティングの一つの方法は、粉末状の導電性化合物を用意
することと、粉末が面に機械的に接着するような高速度
で流体内に飛沫同伴された粉末をスプレーするための高
圧を使うことを包含している。その他の方法は、溶媒内
に粉末を懸濁させて塗料を構成し、このペイントを面に
塗布して溶媒を蒸発させるというものである。この溶媒
は、比較的不活性なキャリヤであることができ、或い
は、粉末粒子間の或いは粉末と面間の化学的な接着を容
易にするものであることができる。更に、熱が加えられ
て溶媒を蒸発させるか或いは化学的な接着を促進する。
有機材料が十分に高い蒸気圧においてガス放出をして試
料に関してイオン化された気相を生じ、質量スペクトル
に高いバックグラウンドを発生するので、無機バインダ
が使われる。しかしながら、本発明による薄膜は、全体
のガス放出が十分に少ないときは、少量の有機バインダ
を使うことを除外する必要はない。粉末の適用は、二硫
化モリブデン、二硫化タングステン、二硫化クロムなど
のような二硫化物に適している。しかしながら、この方
法の一つの欠点は、得られたコーティングが摩擦による
洗浄に耐えられず、再度コーティングされねばならない
ことにある。
【0042】上述の方法の変形は、当該技術に通常の知
識を有する者にとっては自明のことであろう。例えば、
これらのコーティングは、ステンレス鋼により構成され
た面に塗布されるが、このようなコーティングは、ま
た、質量分析計のイオン化電離箱或いはその他の構成を
形成するために通常使われるアルミニウム他の構造材料
のようなその他の面に塗布できる。更に、いくつかの化
合物は、いくつかの検体に対して特に不活性であり、従
って、特定のコーティングが、特定の検体に露出される
ように設計された面に塗布できる。例えば、ジニトロフ
ェノールは、特に、従来周知の質量分析計の構成要素に
反応する。従来技術において使われているような絶縁性
の化合物および導電性化合物に対して、例えば、窒化チ
タン、および、二硫化タングステンのような種々の二硫
化物を含む本発明による導電性化合物は、ジニトロフェ
ノールに関して予期せぬ不活性な性質を示すことが判っ
ている。窒化チタンは、また、ジニトロフェノールより
も更に低い反応性の化合物に関して予期せぬ不活性な性
質を示す。
【0043】本発明はその好ましい実施例に関連して記
述されたが、これは、それがフォローする例に関連し
て、説明を意図したものであり、従って、本発明の技術
的な範囲を限定するものでないことは明らかであろう。
その他の特徴、利点、および、修正は、本発明の技術的
な範囲内に属し、本発明に関与する当該技術に通常の知
識を有する者にとっては明らかなことであろう。
【0044】すべての特許、特許出願、および、ここで
述べられた刊行物は、それらの全体において参考例とし
て取り扱われるべきものである。
【0045】
【実施例1】316ステンレス鋼イオン化電離箱の清浄
化された内面は、AgilentTechnologi
es Incによって製造された質量分析計のイオン源
内に用意された。この内面は、研磨により清浄化された
ものとされる。標準濃度のCis40ng/μL中の校正
標準、アセナフテン−d10が、質量分析計を用いて分析
された。質量164における質量分析計の応答が、アセ
ナフテン−d10の検出のために使われた。分析は、内部
標準に対してAisであるピーク領域を発生した。次い
で、Cs160,120、80、50、20、および、
10ng/μLの濃度中の2,4−ジニトロフェノール
を含む一連の検体溶液が用意された。質量184におけ
る質量分析計の応答が、2,4−ジニトロフェノールの
検出のために使われた。それぞれの溶液は、質量分析計
によって分析され、Asである一連のピーク領域を発生
した。それぞれの溶液に対して、相対的な応答係数(R
RF)が、以下の式 RRF=(As×Cis)/(Ais×Cs) (I) に従って決定された。
【0046】それぞれの溶液に対するRRFは、図2に
示されている。これらのRRFは、コーティングの不活
性な性質が評価される標準を提供する。
【0047】
【実施例2】実施例1におけるイオン化電離箱の内面
は、窒化チタンをコーティングされた。コーティング
は、業者によって塗布された。2,4−ジニトロフェノ
ールを含む一連の検体溶液は、質量分析計において分析
された。それぞれの溶液に対して、RRFが、式(1)
に従って決定された。それぞれの溶液に対するRRF
は、図2に示されている。2,4−ジニトロフェノール
のすべての濃度に対して、RRFは、窒化チタンコーテ
ィングが使われたとき、大きなものであったことが明白
である。これは、窒化チタン面がコーティングを備えて
いない洗浄されたばかりの316ステンレス鋼面よりも
2,4−ジニトロフェノールに関して反応性が低いこと
を示している。
【0048】
【実施例3】二硫化タングステンの層をコーティングさ
れた実施例1におけるイオン化電離箱の内面が、実施例
1における質量分析計内に用意された。コーティング
は、イオン源が二硫化タングステン粒子のジェットに曝
されるように塗布された。実施例1における一連の検体
溶液が、質量分析計内で分析された。それぞれの溶液に
対して、RRFが、式(1)に従って決定された。それ
ぞれの溶液に対するRRFは、図2に示されている。
2,4−ジニトロフェノールのすべての濃度に対して、
RRFは、二硫化タングステンコーティングされたステ
ンレス鋼が使われたとき、大きなものであったことが明
白である。これは、二硫化タングステン面がコーティン
グを備えていない洗浄されたばかりの316ステンレス
鋼面よりも2,4−ジニトロフェノールに関して反応性
が低いことを示している。
【0049】即ち、本発明は、イオン源のための電離箱
において、金属の窒化物或いは二硫化物からなる群から
選択された無機導電性材料を含む内面を備えた電離箱を
提供する。
【0050】好ましくは、前記群は、更に、窒化チタ
ン、窒化チタンアルミニウム、窒化アルミニウムチタ
ン、炭窒化チタン、窒化クロム、窒化ジルコン、窒化タ
ングステン、アルミニウムドープされた窒化チタン、窒
化モリブデン、窒化ニオブ、窒化バナジウム、二硫化タ
ングステン、二硫化モリブデン、二硫化鉄、二硫化銅お
よび二硫化チタンを含む。
【0051】好ましくは、前記内面が、0.1オームc
m未満の抵抗率を備える。
【0052】好ましくは、前記内面が、0.01オーム
cm未満の抵抗率を備える。
【0053】好ましくは、前記内面が、0.001オー
ムcm未満の抵抗率を備える。
【0054】好ましくは、前記内面が、コーティングの
外面であるようにする。
【0055】好ましくは、更に、前記コーティングを支
持するために配置された導電性の基板を設けた。
【0056】更に、本発明は、イオン源のための電離箱
において、反応性試料との干渉を防止するためのコーテ
ィングされた内面を備え、その際前記コーティングされ
た内面が、0.1ミクロンを超える厚さを備えた耐磨耗
メタリックを含む。
【0057】好ましくは、前記厚さが、更に、約10ミ
クロン未満とする。
【0058】好ましくは、前記面が、少なくとも200
0kg/mm微小ビッカース硬度である硬さを備える。
【0059】好ましくは、前記硬さが、3500kg/
mm微小ビッカース硬度未満とされる。
【0060】好ましくは、前記面の硬さが、約3000
kg/mm微小ビッカース硬度である。
【0061】更に、本発明は、成分を備えた試料を分析
するシステムにおいて、内部容積を規定する内面を備え
た電離層を有するイオン源を含み、その際前記内部容積
が、前記成分に対して露出され、および、前記電離箱
が、導電性の基板と前記基板によって支持されている内
面層を備え、前記層が、金属の窒化物或いは二硫化物を
含む群から選択された不活性な無機材料を有するように
したことを特徴とするシステムを提供する。
【0062】更に、本発明は、反応性の検体とイオン源
の面との干渉を防止するための方法において、金属の窒
化物或いは二硫化物を含む群から選択されたコーティン
グを前記面に付着させるようにしたことを特徴とする方
法を提供する。
【0063】好ましくは、前記面は、導電性材料を含
む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明と協働するEI電離箱を含む質量分析計
の実施例を単純化された概略断面図で示す図であり、
(a)、(b)は、それぞれ第1及び第2の実施例を示
す図である。
【図2】ステンレス鋼、窒化チタン、および、二硫化タ
ングステンからなるイオン源面材料に対する2,4−ジ
ニトロフェノールの相対的な応答係数(RRF)を比較
した表である。
【符号の説明】
13、13’ 内面 22 電離箱
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 399117121 395 Page Mill Road P alo Alto,California U.S.A. (72)発明者 ジェフリー・ティー・カーナン アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタ・ クルズ ウェスト・バイン・ヒル・ロード 2321 Fターム(参考) 5C030 DD04 DE01 5C038 GG01 GG06 GH02

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン源のための電離箱において、 金属の窒化物或いは二硫化物からなる群から選択された
    無機導電性材料を含む内面を備えた電離箱。
  2. 【請求項2】前記群は、更に、窒化チタン、窒化チタン
    アルミニウム、窒化アルミニウムチタン、炭窒化チタ
    ン、窒化クロム、窒化ジルコン、窒化タングステン、ア
    ルミニウムドープされた窒化チタン、窒化モリブデン、
    窒化ニオブ、窒化バナジウム、二硫化タングステン、二
    硫化モリブデン、二硫化鉄、二硫化銅および二硫化チタ
    ンを含むようにしたことを特徴とする請求項1に記載の
    電離箱。
  3. 【請求項3】前記内面が、0.1オームcm未満の抵抗
    率を備えているようにしたことを特徴とする請求項1に
    記載の電離箱。
  4. 【請求項4】前記内面が、0.01オームcm未満の抵
    抗率を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電
    離箱。
  5. 【請求項5】前記内面が、0.001オームcm未満の
    抵抗率を備えていることを特徴とする請求項1に記載の
    電離箱。
  6. 【請求項6】前記内面が、コーティングの外面であるよ
    うにしたことを特徴とする請求項1に記載の電離箱。
  7. 【請求項7】更に、前記コーティングを支持するために
    配置された導電性の基板を設けたことを特徴とする請求
    項6に記載の電離箱。
  8. 【請求項8】イオン源のための電離箱において、 反応性試料との干渉を防止するためのコーティングされ
    た内面を備え、その際前記コーティングされた内面が、
    0.1ミクロンを超える厚さを備えた耐磨耗メタリック
    を含むようにしたことを特徴とする電離箱。
  9. 【請求項9】前記厚さが、更に、約10ミクロン未満で
    あるようにしたことを特徴とする請求項8に記載の電離
    箱。
  10. 【請求項10】前記面が、少なくとも2000kg/m
    m微小ビッカース硬度である硬さを備えていることを特
    徴とする請求項8に記載の電離箱。
  11. 【請求項11】前記硬さが、3500kg/mm微小ビ
    ッカース硬度未満であるようにしたことを特徴とする請
    求項10に記載の電離箱。
  12. 【請求項12】前記面の硬さが、約3000kg/mm
    微小ビッカース硬度であるようにしたことを特徴とする
    請求項8に記載の電離箱。
  13. 【請求項13】成分を備えた試料を分析するシステムに
    おいて、 内部容積を規定する内面を備えた電離層を有するイオン
    源を含み、その際前記内部容積が、前記成分に対して露
    出され、および、前記電離箱が、導電性の基板と前記基
    板によって支持されている内面層を備え、前記層が、金
    属の窒化物或いは二硫化物を含む群から選択された不活
    性な無機材料を有するようにしたことを特徴とするシス
    テム。
  14. 【請求項14】反応性の検体とイオン源の面との干渉を
    防止するための方法において、 金属の窒化物或いは二硫化物を含む群から選択されたコ
    ーティングを前記面に付着させるようにしたことを特徴
    とする方法。
  15. 【請求項15】前記面が、導電性材料を含むようにした
    ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
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