JP2002051609A - 種まき用種子シート及びその製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 種子をロール状に巻かれた紙シートの面に固
定して、紙シートで土壌を覆うと、窓孔から光が差し込
めるようにし、芽はシートの上に、根は下へ伸びるよう
にして育苗促進に役立つ種子シート及びその製造装置を
提供する。 【解決手段】 土壌に対して分解可能な材質で帯状のシ
ート材１０に、間隔を隔てて種子１１を接着し、シート
材を地面に敷設する種まき用種子シートにおいて、シー
ト材の地面側となる面に前記種子を接着するとともに、
この接着された種子の近傍位置におけるシート面に発芽
用の窓孔を設け、窓孔に対して芽が指向するように規定
している。間欠送りするシート材に対して発芽用の窓孔
を開設する穴明け装置２０と、窓孔の近傍位置に糊を点
状に付着する糊付け装置３０と、点状の糊の上に種子を
供給する種子定量供給装置４０とを備え、穴明けと点状
糊付け、及びシート材に種子を押付けて固定する各動作
をシート材の間欠送りの停止時に行うように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、稲の種籾等の種子
を、ロール状に巻かれたシート材の面に固定して、シー
ト材を地面を覆うように敷設することにより播種し育苗
するのに好適な種子シート及びその製造装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】稲籾等の種子を紙シートの面に貼り付け
て固定し、この紙シートを地面に敷設することにより播
種し育苗する種まき方法は、既に一般に知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来のもの
は、紙シートで土壌を覆うため、土壌に光が入らずその
為発芽の促進が妨げられるという問題がある。また、数
個の種子を１個所に集めて貼り付けるものでは、間引き
作業を実施しないと弱い植物が育成され、而も１個の種
子を分離して貼り付けたものでは、発芽しない弱い種子
が混入している場合はさらに問題があった。

【０００４】また、上記の紙シートに種子を貼り付け固
定する作業は手作業で行うより方法がなかった。

【０００５】本発明は上記した従来の技術の問題点に鑑
みてなされたもので、土壌に光が差し込めるようにする
とともに、種子の芽がシートを破らないのでシートの上
に出ることができるようにして発芽を促進し而も、この
ような種子シートを簡単な装置で提供することを目的と
するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１記載の発明に係る種まき用種子シートは、
土壌に対して分解可能な材質で巾のある帯状のシート材
に、所要の間隔を隔てて１粒又は複数粒の種子を接着
し、このシート材を、水田又は畠等に地面を覆うように
敷設する種まき用種子シートにおいて、シート材の地面
側となる面に前記種子を接着固定するとともに、この接
着固定された種子の近傍位置におけるシート面に種子の
芽がシート材を破らないで表面側へ延出できるように発
芽用の窓孔を設け、且つこの窓孔に対して種子の芽が指
向するように方向を規定してなるものである。

【０００７】また、請求項２記載の発明に係る種まき用
種子シート製造装置は、土壌に対して分解可能な材質で
巾のある帯状のシート材を、間欠的に送り出してロール
状に巻き取る装置において、間欠送りする途中のシート
材に対して所定の間隔に発芽用の窓孔を開設するように
配備された穴明けプレスによる穴明け装置と、この穴明
けされた窓孔の近傍位置に少量の糊料を点状に付着する
ように配置された糊付け装置と、この糊付けされた点状
の糊料の上に定量の種子を取出して押し付けるように供
給する種子定量供給装置とを備え、これら穴明けと点状
糊付け、及びシート材に種子を押付けて固定する各動作
をシート材の間欠送りの停止時に行いつつ、シート材を
ロール状に巻き込むように構成してなるものである。

【０００８】さらに、種子定量供給装置は、種子を収納
したホッパーとそのホッパーの底部より内部に貫通して
一定のストローク往復運動する種子取出し矢とを備えた
ものからなり、種子取出し矢は先端部に１個分の種子を
方向を定めて嵌置できるように種子嵌置部を設けられて
なるものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】請求項１に記載の種子シートにお
いては、種子を貼り付けたシート材を種子が下側になる
ように地面上に敷設すると、シート材に覆われた部分の
地面は光が遮られるが、発芽用の窓孔を通して部分的に
光が差し込むため、この光に反応して発芽する。シート
材の下側の種子は窓孔の方向を指向しているため窓孔か
ら差し込む光に反応して発芽し発芽ともに窓孔の方向へ
延び窓孔からシート材の上面側へ伸び根は下へ伸びてい
く。シート材で覆われた部分は光が当らないので、雑草
も生え難い。

【００１０】請求項２に記載の装置においては、シート
材は一方から他方へ間欠送りされてロール状に巻取ら
れ、その間欠送りの停止時に穴明けプレスによりシート
材の面に発芽用の窓孔が連続的に明けられる。次いでこ
の窓孔の近傍位置に糊付け装置により少量の糊が点状に
塗布される。さらに、その前方位置では糊付けされた部
部へホッパーから種子（籾）が取り出されそのまま押付
けられて接着するため、連続且つ全自動でロール状に巻
かれた種子シートが簡単に得られるものである。

【００１１】また、請求項３に記載の如く構成すること
により、シート材の下面に接着される種子は１個づつ正
確に間隔をあけて適正位置に固定され、而も窓孔の方向
を指向して正確に接着できるものである。

【００１２】

【実施例】以下、添付図面に従って一実施例を説明す
る。図１の（イ）（ロ）に示すものは、稲育生用のシー
トであって、シート材１０は、化学薬品や合成材料など
有害物質を含まず、土壌に対しては数ヶ月の間に自然に
分解するような材質で巾２メートル程度の長尺の紙シー
トが適当である。シート材のサイズは、水田の大きさや
地形等に合わせて、巾の狭いものや、中間巾のもの、又
はサイズの異なるものを組合わせて使用することが好ま
しい。

【００１３】シート材１０の面の窓孔１２は、長孔をシ
ート材に対し縦又は横に向けて開設する。図１の（イ）
は、横長の窓孔をシート材の中央部に所要の間隔を保っ
て列設し、各窓孔１２．１２間に１個の種子１１を縦向
きに貼り付けたものであり、図１の（ロ）は、縦長の窓
孔を左右２列に列設し、一対の窓孔間に各１個の種子１
１を横向きに貼り付けた場合である。このような窓孔１
２は長孔に限られるものではなく、円形又は楕円形、或
いは矩形や三角形等であってもよい。

【００１４】上記のような種子シートは、図２に示す装
置により製造される。同図において、１は送り出し側の
ロールで、このロールに巻かれたシート材１０を一端よ
り水平に引き出して中間ロール３及び間欠送り用の駆動
ロール４．５を経て巻取り側のロール２に巻取るように
したものである。２０は穴明け装置であり、送り出側の
ロール１から引出して中間ロール３に向う中途のシート
材１０の水平部に設置される。この穴明け装置２０は雌
雄の金型２１．２２からなる穴明けプレスが用いられ
る。３０は上記穴明け装置２０の次段に設置された注出
機３１を備えた糊付け装置であり、水平移動されるシー
ト材１０の上面に間欠送りの停止時に液状の糊を適量づ
つ滴下するものである。４０は種子定量供給装置であり
該装置は、図２及び図３に示すように中間ロール３に種
子取出し矢４２が対向するように配備される。上記装置
４０は、種子（籾）１１を収容したホッパー４１と、そ
のホッパー４１の底部を貫通して一定のストローク上下
に往復運動する種子取出し矢４２を備えたものからな
る。種子取出し矢４２は、エアシリンダー４４に嵌挿し
たピストン４６に取付けられ、取出し矢４２の先端には
１個分の種子１１が方向を定めて嵌置できるように凹状
の嵌置部４３が設けられている。このような種子取出し
矢４２はホッパー４１の傾斜した壁面４５に沿ってスラ
イドするように上下動し底部から上方へ移動するときに
ホッパー内の種子１１を１個分だけすくい上げるように
嵌置部４３に嵌置して押し上げ、そのまま中間ロール３
に向けて上動し、シート材の糊部に接着するものであ
る。

【００１５】

【発明の効果】本発明は種子シートが上記請求項１のよ
うに構成されているので、このように構成された種子シ
ートを育稲籾播きに使用するときは、光をシート材の面
の窓孔からとり入れてシート材の下面に貼り付けられた
種子の発芽を促進し、芽は窓孔から上にの伸び、根は下
へ伸ばせるため、発芽及び稲育成を効率よく促進するこ
とができる。又地面は大部分シート材に覆われるため、
雑草等の繁殖も抑制できる。さらに、種子はシート材の
下面に貼り付けられて外部から見えない為、野鳥等の被
害も少くなる。シート材の下面に貼り付けられた種子は
夫々の芽が発芽用窓孔の方向を指向しているので、発芽
と同時に窓孔から差し込む光に素早く反応して発芽を著
るしく促進させることができる。

【００１６】また、本発明は上記のような種子シートを
製造する装置が請求項２及び３のように構成されている
ので、ロール状に巻かれたシート材を一方から他方のロ
ールへ間欠送りするように送り移動する間に穴明け装置
により窓孔が明けられると、次に種子を接着するための
糊付けが窓孔の近傍で且つ適正位置に施工され、さら
に、この糊部の上にホッパーから取出し矢によって１個
づつ取出された種子を前記の糊部に押し付けて接着でき
るため、これらの全工程を連続且つ全自動で効率よく実
施することができる。しかも構成が簡単でコスト的にも
安価に実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の種子シートの実施例を示す平面図で、
（イ）はその第１実施例、（ロ）は第２実施例を夫々示
す。

【図２】本発明の種子シート製造装置の実施例で、装置
全体の側面図を示す。

【図３】種子定量供給装置の一実施例を示す拡大した側
面図である。

【図４】（イ）は種子取出し矢の先端部の拡大図、
（ロ）は他の実施例を示す拡大図である。

【符号の説明】

１０ シート材 １１ 種子 １２ 窓孔 ２０ 穴明け装置 ３０ 糊付け装置 ４０ 種子定量供給装置 ４２ 種子取出し矢 ４３ 嵌置部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 土壌に対して分解可能な材質で巾のある
   帯状のシート材（１０）に、所要の間隔を隔てて１粒又
   は複数粒の種子（１１）を接着し、このシート材を、水
   田又は畠等に地面を覆うように敷設する種まき用種子シ
   ートにおいて、シート材（１０）の地面側となる面に前
   記種子を接着固定するとともに、この接着固定された種
   子の近傍位置におけるシート面に種子の芽がシート材を
   破らないで表面側へ延出できるように発芽用の窓孔（１
   ２）を設け、且つこの窓孔に対して種子の芽が指向する
   ように方向を規定してなることを特徴とする種まき用種
   子シート。
2. 【請求項２】 土壌に対して分解可能な材質で巾のある
   帯状のシート材（１０）を、間欠的に送り出してロール
   状に巻き取る装置において、間欠送りする途中のシート
   材（１０）に対して所定の間隔に発芽用の窓孔（１２）
   を開設するように配備された穴明けプレスによる穴明け
   装置（２０）と、この穴明けされた窓孔の近傍位置に少
   量の糊料を点状に付着するように配置された糊付け装置
   （３０）と、この糊付けされた点状の糊料の上に定量の
   種子を取出して押し付けるように供給する種子定量供給
   装置（４０）とを備え、これら穴明けと点状糊付け、及
   びシート材（１０）に種子（１１）を押付けて固定する
   各動作をシート材の間欠送りの停止時に行いつつ、シー
   ト材（１０）をロール状に巻き込むように構成してなる
   ことを特徴とする種まき用種子シートの製造装置。
3. 【請求項３】 種子定量供給装置（４０）は、種子を収
   納したホッパー（４１）とそのホッパーの底部より内部
   に貫通して一定のストローク往復運動する種子取出し矢
   （４２）とを備えたものからなり、種子取出し矢（４
   ２）は先端部に１個分の種子を方向を定めて嵌置できる
   ように種子嵌置部（４３）を設けられてなる請求項２記
   載の種子シートの製造装置。