JP2002047313A - プロピレン重合体 - Google Patents

プロピレン重合体

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JP2002047313A
JP2002047313A JP2000321373A JP2000321373A JP2002047313A JP 2002047313 A JP2002047313 A JP 2002047313A JP 2000321373 A JP2000321373 A JP 2000321373A JP 2000321373 A JP2000321373 A JP 2000321373A JP 2002047313 A JP2002047313 A JP 2002047313A
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copolymer
mol
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JP2000321373A
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English (en)
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Masato Nakano
正人 中野
Tsutomu Shioda
勉 潮田
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JNC Corp
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】メタロセン触媒を用いて得られたプロピレン重
合体であって、立体規則性が高度に制御されたプロピレ
ン重合体を提供すること 【解決手段】メタロセン触媒を用いて製造し、以下の特
性(1)および(2)を充足するように、プロピレン重
合体を構成する。 (1)アイソタクチックトリアッド分率(I3)が、
0.50〜0.99である。 (2)プロピレン重合体を構成しているプロピレン単位
の総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1−挿入
反応に起因するプロピレン単位のモル数およびプロピレ
ンモノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単
位のモル数の占める割合が、いずれも0.05モル%未
満である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタロセン触媒を
用いて製造されたプロピレン重合体に関し、更に詳しく
は、立体規則性が高度に制御されたプロピレン重合体に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンの立体規則性を制御して
いる先行例として、例えば、特開平10−273507
号公報には、(A)頭−尾結合からなるプロピレン単位
連鎖部の、13C−NMRで測定したアイソタクチックト
リアッド分率が97%以上であること、(B)13C−N
MRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノ
マーの2,1−挿入に基づく位置不規則単位の割合が
0.5〜2.0%であり、かつプロピレンモノマーの
1,3−挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.06
〜0.4%の範囲であること、(C)ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均
分子量Mwが10,000〜1,000,000の範囲
にあること、を充足することを特徴とする、高立体規則
性プロピレン重合体について報告されている。
【0003】さらに、特開平11−171925号公報
には、(A)頭−尾結合からなるプロピレン単位連鎖部
の、13C−NMRで測定したアイソタクチックトリアッ
ド分率が98%以上、(B)13C−NMRで測定した、
全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1−挿
入に基づく位置不規則単位の割合が0.03%以下、か
つプロピレンモノマーの1,3−挿入に基づく位置不規
則単位の割合が0.06%以上、(C)重量平均分子量
が10000〜1000000、(D)融点が160℃
以上であることを特徴とする高立体規則性プロピレン系
重合体が報告されている。
【0004】また、特開平7−145212号公報に
は、(a)頭−尾結合からなるプロピレン単位連鎖部
の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティー
が90.0%以上であり、(b)13C-NMRで測定し
た、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿
入に基づく位置不規則単位の割合が0.7%以上、か
つ、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則
単位の割合が0.05%以下であり、(c)135℃、
デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜12dl/g
の範囲にあることを特徴とする、高剛性、高耐熱性のプ
ロピレン系重合体が報告されている。
【0005】また、特開平7−149832号公報に
は、(a)プロピレン単位を95〜99.5モル%、エ
チレン単位を0.5〜5モル%含んでなり、(b)頭−
尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMR
で測定したトリアドタクティシティーが90.0%以上
であり、(c)13C-NMRで測定した、全プロピレン
挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不
規則単位の割合が0.5%以上、かつ、プロピレンモノ
マーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.0
5%以下であり、(d)135℃、デカリン中で測定し
た極限粘度が0.1〜12dl/gの範囲にあることを
特徴とする、高剛性、高耐熱性のプロピレン系共重合体
が報告されている。
【0006】特開平11−302470には、下記の条
件(1)〜(6)を充足するプロピレン単独重合体、或
いは、プロピレンを主成分とするプロピレン・α−オレ
フィン−ランダム共重合体が報告されている。 (1)メルトフローレートが0.5〜50.0g/10
分であること、(2)メモリーイフェクトが0.9〜
1.4であること、(3)示差走査型熱量計で求めた主
たる融解ピークの温度[TP]が、100〜160℃で
あること、(4)示差走査型熱量計で求めた融解終了温
度[TE](℃)が、[TP]−[TE]≦8であるこ
と、(5)頭−尾結合からなるプロピレン単位連鎖部
の、13C−NMRで測定したアイソタクチックトリアッ
ド分率が97%以上であること、(6) 13C−NMRで
測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの
2,1−挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.5〜
2.0%であり、かつプロピレンモノマーの1,3−挿
入に基づく位置不規則単位の割合が0.06〜0.4%
の範囲である。
【0007】また、特開平8−73532号公報には、
(a)プロピレン単位を95〜99.5モル%、エチレ
ン単位を0.5〜5モル%含んでなり、(b)13C-N
MRにより求められる、頭−尾結合からなるプロピレン
単位連鎖部のトリアドタクティシティーが95.0%以
上であり、(c)13C-NMRにより求められる、全プ
ロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づ
く位置不規則単位の割合が0.05%〜0.5%であ
り、(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴
とするプロピレン系共重合体、が報告されている。
【0008】また、さらに特開平7−149833号公
報には、(a)プロピレン単位を50〜95モル%、エ
チレン単位を5〜50モル%含んでなり、(b)13C-
NMRにより求められる、頭−尾結合からなるプロピレ
ン単位連鎖部のトリアドタクティシティーが90.0%
以上であり、(c)13C-NMRにより求められる、全
プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基
づく位置不規則単位の割合が0.05〜0.5%であ
り、(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴
とするプロピレン系エラストマーが、開示されている。
【0009】特開平7−138326号公報には、
(a)プロピレン単位を50〜95モル%、エチレン単
位を5〜50モル%含んでなり、(b)13C-NMRに
より求められる、頭−尾結合からなるプロピレン単位連
鎖部のトリアドタクティシティーが90. 0%以上であ
り、(c)13C-NMRにより求められる、全プロピレ
ン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置
不規則単位の割合が0. 5%以上、かつ、プロピレンモ
ノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.
05%以下であり、(d)135℃、デカリン中で測定
した極限粘度が0.1〜12dl/gの範囲にあること
を特徴とするプロピレン系エラストマーが、報告されて
いる。
【0010】特開平8−283343号公報には、 (1)
プロピレンから導かれる単位を50〜95モル%の量
で、1-ブテンから導かれる単位を5〜50モル%の量で
含有し、(2) (i) 頭−尾結合したプロピレン単位3連
鎖、または(ii)頭−尾結合したプロピレン単位とブテン
単位とからなり、かつ第2単位目にプロピレン単位を含
むプロピレン・ブテン3連鎖中の第2単位目のプロピレ
ン単位の側鎖メチル基について13C−NMRスペクトル
(ヘキサクロロブタジエン溶液、テトラメチルシランを
基準)を測定し、19.5〜21.9ppm に表れるピーク
の全面積を100%とした場合に、21.0〜21.9pp
m に表れるピークの面積が90%以上であり、(3) 13
5℃、デカリン中で測定される極限粘度が0.1〜12d
l/gであり、(4) ゲルパーミエイションクロマトグラ
フィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/
Mn)が3以下であり、(5) 共重合モノマー連鎖分布の
ランダム性を示すパラメータB値が、1.0〜1.5であ
ることを特徴とするプロピレン系エラストマー、が記載
されている。このプロピレン系エラストマーは、明細書
中の詳細な説明に記載されているように、 (8) プロピ
レン連鎖中に存在するプロピレンの2,1-挿入あるいは1,
3-挿入に基づく異種結合単位(位置不規則単位)を含む
構造を少量有していることがあり、特に、実施例におい
て、2,1−挿入に基づく異種結合量が、0.35〜
0.88%のプロピレン系エラストマーの例が記載され
ている。
【0011】しかしながら、本発明者らの知るところに
よれば、メタロセン触媒を用いて得られるプロピレン重
合体であって、かつ、プロピレンモノマーの2,1−挿
入反応に起因するプロピレン単位およびプロピレンモノ
マーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位に代
表される位置不規則単位をいずれも0.05mol%を
下回る範囲で含有するような、高度に立体規則性が制御
されたプロピレン重合体を得ることは困難とされてき
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、メタロセン
触媒を用いて得られたプロピレン重合体であって、立体
規則性が高度に制御されたプロピレン重合体を提供する
ことを目的とする。本発明のプロピレン重合体を用いる
と、剛性、耐熱性に優れた各種成形品を得ることができ
る。また、溶剤への抽出率が低いため、食品包装用フィ
ルムや食品保存容器等の分野に好適に使用することがで
きる。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は下記に示され
る。 (1)メタロセン触媒を用いて製造され、以下の特性
(1)および(2)を充足しているプロピレン重合体。 特性(1):アイソタクチックトリアッド分率(I3
が、0.50〜0.99である。 特性(2):プロピレン重合体を構成しているプロピレ
ン単位の総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1
−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数およびプ
ロピレンモノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピ
レン単位のモル数の占める割合が、いずれも0.05モ
ル%未満である。
【0014】(2)プロピレン重合体が、プロピレン単
独重合体、もしくは共重合体の重量基準でプロピレン単
位を50重量%以上含有するプロピレンとプロピレンを
除く少なくとも1つのオレフィンとのプロピレン/オレ
フィン共重合体である、前記(1)項記載のプロピレン
重合体。
【0015】(3)プロピレン重合体が、共重合体の重
量基準でプロピレン単位を50重量%以上含有するプロ
ピレンとプロピレンを除く少なくとも1つのオレフィン
とのプロピレン/オレフィン共重合体であり、該少なく
とも1つのオレフィンが、エチレンもしくは1−ブテン
である、前記(1)項記載のプロピレン重合体。
【0016】(4)プロピレン/オレフィン共重合体
が、共重合体の重量基準でプロピレン単位を70重量%
以上含有する共重合体である、前記(3)項記載のプロ
ピレン重合体。
【0017】(5)プロピレン/オレフィン共重合体
が、共重合体の重量基準でプロピレン単位を90重量%
以上含有する共重合体である、前記(3)項記載のプロ
ピレン重合体。
【0018】(6)プロピレン重合体が、共重合体の重
量基準で、プロピレン単位を50重量%以上含有する、
プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1−ブテ
ン共重合体、もしくは、プロピレン/エチレン/1−ブ
テン共重合体である、前記(1)項記載のプロピレン重
合体。
【0019】(7)プロピレン/オレフィン共重合体
が、ランダム共重合体、ブロック共重合体もしくはラン
ダムブロック共重合体である、前記(3)項記載のプロ
ピレン重合体。
【0020】(8)前記(1)項の特性(2)におい
て、プロピレン重合体を構成しているプロピレン単位の
総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1−挿入反
応に起因するプロピレン単位のモル数およびプロピレン
モノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位
のモル数の占める割合が、いずれも0.02モル%未満
であることを特徴とする、前記(1)項記載のプロピレ
ン重合体。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明において、「プロピレン重
合体」は、プロピレン単独重合体、もしくは、プロピレ
ン単位とプロピレンを除くオレフィン単位とを含むプロ
ピレン/オレフィン共重合体である。ここで、プロピレ
ンを除くオレフィンとは、エチレン、及び、炭素数4か
ら20のオレフィンである。炭素数4から20のオレフ
ィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1
−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1
−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、
これらの2種以上の混合物であってもよい。また、これ
らオレフィンに、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ジ
エンなどを共重合させてもよい。
【0022】本発明において、好ましいプロピレン重合
体は、プロピレン単独重合体、もしくは共重合体の重量
基準でプロピレン単位を50重量%以上含有するプロピ
レンとプロピレンを除く少なくとも1つのオレフィンと
のプロピレン/オレフィン共重合体である。
【0023】本発明のプロピレン重合体が、プロピレン
/オレフィン共重合体である場合には、共重合体の重量
基準でプロピレン単位を70重量%以上、更に好ましく
はプロピレン単位を90重量%以上含有するのが好まし
い。
【0024】そして、前記少なくとも1つのオレフィン
が、エチレンもしくは1−ブテンであるプロピレン/オ
レフィン共重合体が好ましい。
【0025】更に、プロピレン/オレフィン共重合体
が、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1−
ブテン共重合体、もしくは、プロピレン/エチレン/1
−ブテン共重合体であることが好ましい。
【0026】本発明のプロピレン重合体が、プロピレン
/オレフィン共重合体である場合には、ランダム共重合
体、ブロック共重合体もしくはランダムブロック共重合
体のいずれであってもよい。
【0027】本発明のプロピレン重合体は、以下の特性
(1)および(2)を充足している。 特性(1):アイソタクチックトリアッド分率(I3
が、0.50〜0.99である。 特性(2):プロピレン重合体を構成しているプロピレ
ン単位の総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1
−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数およびプ
ロピレンモノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピ
レン単位のモル数の占める割合が、いずれも0.05モ
ル%未満である。
【0028】本発明のプロピレン重合体は、アイソタク
チックトリアッド分率(I3)が、好ましくは、0.6
0〜0.99、さらに好ましくは、0.80〜0.9
4、特に好ましくは、0.85〜0.93である。
【0029】本発明のプロピレン重合体は、プロピレン
重合体を構成しているプロピレン単位の総モル数に対
し、プロピレンモノマーの2,1−挿入反応に起因する
プロピレン単位のモル数およびプロピレンモノマーの
1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の
占める割合が、好ましくはいずれも0.04モル%未
満、特に好ましくはいずれも0.02モル%未満であ
る。
【0030】上記のアイソタクチックトリアッド分率
(I3)、プロピレン重合体を構成しているプロピレン
単位の総モル数に対する、プロピレンモノマーの2,1
−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数およびプ
ロピレンモノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピ
レン単位のモル数のそれそれが占める割合は、次のよう
な方法に従って測定した13C核磁気共鳴スペクトルの測
定結果に基づき求められる。
【0031】すなわち、o−ジクロロベンゼン/臭化ベ
ンゼン=8/2重量比の混合溶液に、試験体(プロピレ
ン重合体)を、その混合溶液中での濃度が20重量%と
なるように溶解する。この試験液について、測定波長が
67.20MHz,測定温度が130℃で、13C核磁気
共鳴スペクトルを測定する。測定装置としては、例えば
日本電子(株)社製「JEOL−GX270NMR(商
品名)」を用いることができる。
【0032】「アイソタクチックトリアッド分率
(I3)」は、プロピレン単独重合体の場合には、エイ
・ザンベリ(A.Zambelli)等の「マクロモレ
キュールズ(Macromolecules)6,92
5(1973)」で提案された13C核磁気共鳴スペクト
ルにより測定し求められる、重合体の立体規則性を示す
指標である。本13C核磁気共鳴スペクトルの測定におけ
るピークの帰属決定法はエイ・ザンベリ(A.Zamb
elli)等の「マクロモレキュールズ(Macrom
olecules)8,687(1975)」で提案さ
れた帰属に従った。また、共重合体のアイソタクチック
トリアッド分率(I3)は、特開平7−149833号
公報および特開平8−283343号公報に提案された
方法に基づいて算出した。
【0033】アイソタクチックトリアッド分率(I3
とは、プロピレン重合体分子鎖中のプロピレン単位の総
数に対して、3個連続してメソ結合をしているプロピレ
ン単位の占める割合を表す。従って、アイソタクチック
トリアッド分率(I3)が高いほどアイソタクチック性
が高いことを示す。
【0034】上記の、プロピレン重合体を構成している
プロピレン単位の総モル数に対する、プロピレンモノマ
ーの2,1−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル
数およびプロピレンモノマーの1,3−挿入反応に起因
するプロピレン単位のモル数のそれそれが占める割合と
は、筒井(T.Tsutsui)等によって「ポリマー
(Polymer),30,1350(1989)」に
発表された方法に基づき13C核磁気共鳴スペクトルによ
り測定し求められる、プロピレン重合体の立体規則性を
示す指標である。
【0035】本発明のプロピレン重合体は、融点を有し
ても、有しなくても良いが、上記の特性を有することに
起因して、好ましくは、60〜165℃、より好ましく
は、70〜155℃、特に好ましくは、130〜150
℃の融点を有する。
【0036】融点(Tm)は、パーキン・エルマー社製
「DSC7型示差走査熱量分析計」を用いて測定され
る。まず、試験体である重合体を、室温から30℃/分
の速度で230℃まで昇温し、同温度にて10分間保持
した後、−20℃/分の速度で−20℃まで降温、同温
度にて10分間保持する。その後、あらためて20℃/
分の速度で昇温していく際に、融解のピークを示す温度
を融点とした。
【0037】また、本発明のプロピレン重合体は、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定
した重量平均分子量(Mw)が、10,000〜1,0
00,000g/molであり、好ましくは、80,0
00〜500,000g/mol、より好ましくは10
0,000〜400,000g/molである。
【0038】また、本発明のプロピレン重合体は、重量
平均分子量(Mw)の数平均分子量に対する比(Mw/
Mn)が、1.5〜3.8、好ましくは、1.5〜3.
5、さらに好ましくは、1.8〜3.3、特に好ましく
は、1.8〜3.0、最も好ましくは、1.8〜2.5
の値を有する。
【0039】また、本発明のプロピレン重合体は、メル
トフローレート(JIS K 7210に準拠し、表1
の条件14で測定)が、好ましくは0.3〜300g/
10分、更に好ましくは0.5〜100g/10分の範
囲にある。メルトフローレートが0.3g/10分より
小さくても、300g/10分より大きくても、従来公
知の成形加工法での成形が困難となり好ましくない。
【0040】本発明のプロピレン重合体の製造方法には
特に限定はないが、好ましくは、以下の(1)に示した
メタロセン触媒を用いて製造される。
【0041】(1)メタロセン化合物(以降、「(A)
成分」と言う場合がある。)および活性化化合物(以
降、「(B)成分」と言う場合がある。)、および所望
により使用する有機アルミニウム化合物(以降、
「(C)成分」と言う場合がある。)を含むメタロセン
触媒(以降、「メタロセン均一系触媒」と言う場合があ
る。)。
【0042】(A)成分のメタロセン化合物としては、
好ましくは、ジメチルシリレンビス(2−(2−チエニ
ル)−4,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2
−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロライド、または、下記一般式
(1)で表されるメタロセン化合物が用いられる。 Q(C54-m1 m)(C54-n2 n)MXY (1) 尚、式(1)中、(C54-m1 m)および(C54-n
2 n)はシクロペンタジエニル基を示し、C54-m及びC
54-nは、シクロペンタジエニル環を示す。mは1〜3
の整数を示すが、好ましいのは3の整数である。nは、
mとは独立して、2もしくは3の整数を示すが、好まし
いのは3の整数である。
【0043】R1およびR2は、それぞれ、C54-mおよ
びC54-nに結合する結合基であり、互いに独立して、
炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、
もしくはヘテロ芳香族基を示す。R1 mのそれぞれ、及び
2 nのそれぞれは、互いに同一でも異なっていてもよ
い。
【0044】炭素数1〜20の炭化水素基としては、メ
チル基、エチル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−
ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、シクロヘ
キシル基、およびフェニル基が例示でき、好ましいの
は、メチル基、t−ブチル基、フェニル基である。
【0045】炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基と
しては、トリメチルシリル基が好ましく例示できる。
【0046】ヘテロ芳香族基は、ヘテロ芳香族環と、所
望により、該環に結合する少なくとも1つの結合基を有
している。
【0047】ヘテロ芳香族環は、単環もしくは多環構造
を有するものが使用できるが、好ましくは単環もしくは
2環のヘテロ芳香族環であり、特に好ましくは単環のヘ
テロ芳香族環である。
【0048】また、ヘテロ芳香族環が有するヘテロ原子
は特に限定されない。好ましいのは、ヘテロ原子とし
て、酸素原子もしくはイオウ原子を含むヘテロ芳香族環
であり、酸素原子を含むヘテロ芳香族環が特に好まし
い。具体的に好ましい芳香族環は、フリル環、チエニル
環、ベンゾフリル環もしくはベンゾチエニル環であり、
更に好ましいのは、2−フリル環、2−チエニル環、2
−ベンゾフリル環もしくは2−ベンゾチエニル環であ
り、特に好ましいのは、2−フリル環である。
【0049】所望により、ヘテロ芳香族環に結合しても
よい結合基は、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはケ
イ素含有炭化水素基である。炭素数1〜20の炭化水素
基及びケイ素含有炭化水素基としては、C54-mおよび
54-nに結合する結合基として前記したものと同じ炭
化水素基及びケイ素含有炭化水素基を挙げることができ
る。
【0050】ヘテロ芳香族基は、ヘテロ芳香族環と、該
環に結合する少なくとも1つの結合基を有するのが好ま
しい。具体的には、ヘテロ芳香族環が、フリル環、チエ
ニル環、ベンゾフリル環もしくはベンゾチエニル環であ
り、該環に結合する少なくとも1つの結合基が、メチル
基、エチル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチ
ル基、フェニル基もしくはトリメチルシリル基であるヘ
テロ芳香族基を例示できる。更に、好ましいのは、ヘテ
ロ芳香族環が、2−フリル環、2−チエニル環、2−ベ
ンゾフリル環もしくは2−ベンゾチエニル環であり、該
環に結合する少なくとも1つの結合基が、メチル基、t
−ブチル基、フェニル基もしくはトリメチルシリル基で
あるヘテロ芳香族基である。具体的には、2−(5−メ
チル)−フリル基、2−(5−t−ブチル)−フリル
基、2−(5−トリメチルシリル)−フリル基、2−
(5−メチル)−チエニル基、2−(5−t−ブチル)
−チエニル基、2−(5−トリメチルシリル)−チエニ
ル基、2−(4,5−ジメチル)−フリル基、2−
(4,5−ジメチル)−チエニル基、2−ベンゾフリル
基、2−ベンゾチエニル基を例示することができる。
【0051】R2 nのうち一対のR2は互いに結合し、単
環もしくは多環を形成している。環の数は特に制限され
ないが、好ましくは1〜5であり、特に好ましくは1も
しくは2である。該1対のR2が互いに結合して形成す
る少なくとも1つの環(すなわち単環もしくは多環)が
シクロペンタジエニル環C54-nと共に構成する環構造
として好ましいのは、インデニル環、テトラヒドロイン
デニル環、ベンゾインデニル環、フルオレニル環、ジヒ
ドロアズレニル環もしくはシクロペンタフェナンスレン
環であり、更に好ましいのは、インデニル環、ベンゾイ
ンデニル環、ジヒドロアズレニル環である。
【0052】mが2もしくは3である場合、R1 mのうち
1対のR1は互いに結合し、前記一対のR2が形成する環
とは独立して、少なくとも1つの環(すなわち単環もし
くは多環)を形成していてもよい。該1対のR1が互い
に結合して形成する少なくとも1つの環がシクロペンタ
ジエニル環C54- mと共に構成する環構造として好まし
いのは、インデニル環、テトラヒドロインデニル環、ベ
ンゾインデニル環、フルオレニル環、ジヒドロアズレニ
ル環もしくはシクロペンタフェナンスレン環であり、更
に好ましいのは、インデニル環、ベンゾインデニル環、
ジヒドロアズレニル環である。
【0053】前記一対のR1が形成する少なくとも1つ
の環及び前記一対のR2が形成する少なくとも1つの環
は、同一でも異なっていてもよい。一対のR1が形成す
る少なくとも1つの環とC54- mとで構成される環構造
が、インデニル環、ベンゾインデニル環、もしくはジヒ
ドロアズレニル環であり、一対のR2が形成する少なく
とも1つの環とC54- nとで構成される環構造が、イン
デニル環、ベンゾインデニル環、もしくはジヒドロアズ
レニル環であるのが好ましい。更に好ましいのは、一対
のR1が形成する少なくとも1つの環とC54- mとで構
成される環構造、及び、一対のR2が形成する少なくと
も1つの環とC54- nとで構成される環構造が、共に、
インデニル環、ベンゾインデニル環、もしくはジヒドロ
アズレニル環であるメタロセン化合物である。
【0054】前記一対のR1が形成する少なくとも1つ
の環及び前記一対のR2が形成する少なくとも1つの環
は、独立して、それぞれの環に結合する少なくとも1つ
の結合基を有していても良い。それぞれの環に結合する
少なくとも1つの結合基は、炭素数1〜20の炭化水素
基、ケイ素含有炭化水素基もしくはヘテロ芳香族基であ
る。
【0055】炭素数1〜20の炭化水素基としては、メ
チル基、エチル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−
ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、シクロヘ
キシル基、およびフェニル基が例示でき、好ましいの
は、メチル基、t−ブチル基、およびフェニル基であ
る。
【0056】炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基と
しては、トリメチルシリル基が好ましく例示できる。
【0057】ヘテロ芳香族基は、ヘテロ芳香族環と、所
望により、該環に結合する少なくとも1つの結合基を有
している。
【0058】ヘテロ芳香族環は、単環もしくは多環構造
を有するものが使用できるが、好ましくは単環もしくは
2環のヘテロ芳香族環であり、特に好ましくは単環のヘ
テロ芳香族環である。
【0059】また、ヘテロ芳香族環が有するヘテロ原子
は特に限定されない。好ましいのは、ヘテロ原子とし
て、酸素原子もしくはイオウ原子を含むヘテロ芳香族環
である。特に好ましいのは、ヘテロ原子として酸素原子
を含むヘテロ芳香族環である。より具体的には、好まし
いヘテロ芳香族環として、フリル環、チエニル環、ベン
ゾフリル環もしくはベンゾチエニル環が例示でき、更に
好ましいのは、2−フリル環、2−チエニル環、2−ベ
ンゾフリル環もしくは2−ベンゾチエニル環であり、特
に好ましいのは、2−フリル環である。
【0060】所望により、ヘテロ芳香族環に結合しても
よい結合基は、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはケ
イ素含有炭化水素基である。炭素数1〜20の炭化水素
基及びケイ素含有炭化水素基としては、C54-mおよび
54-nに結合する結合基として前に例示したものと同
じものを挙げることができる。
【0061】ヘテロ芳香族基は、ヘテロ芳香族環と、該
環に結合する少なくとも1つの結合基を有するのが好ま
しい。具体的には、ヘテロ芳香族環が、フリル環、チエ
ニル環、ベンゾフリル環もしくはベンゾチエニル環であ
り、該環に結合する少なくとも1つの結合基が、メチル
基、エチル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチ
ル基、フェニル基もしくはトリメチルシリル基であるヘ
テロ芳香族基を例示できる。更に、好ましいのは、ヘテ
ロ芳香族環が、2−フリル環、2−チエニル環、2−ベ
ンゾフリル環もしくは2−ベンゾチエニル環であり、該
環に結合する少なくとも1つの結合基が、メチル基、t
−ブチル基、フェニル基もしくはトリメチルシリル基で
あるヘテロ芳香族基であり、具体的には、2−(5−メ
チル)−フリル基、2−(5−t−ブチル)−フリル
基、2−(5−トリメチルシリル)−フリル基、2−
(5−メチル)−チエニル基、2−(5−t−ブチル)
−チエニル基、2−(5−トリメチルシリル)−チエニ
ル基、2−(4,5−ジメチル)−フリル基、2−
(4,5−ジメチル)−チエニル基、2−ベンゾフリル
基、2−ベンゾチエニル基を例示することができる。
【0062】また、本発明のプロピレン重合体の製造に
は、R1 m及びR2 nで示される結合基群、ならびに、前記
一対のR1が形成する少なくとも1つの環および前記一
対のR2が形成する少なくとも1つの環に結合する結合
基もしくは結合基群のうち少なくとも1つの結合基が、
ヘテロ芳香族環と、該環に結合する少なくとも1つの結
合基を有する前述したヘテロ芳香族基であるメタロセン
化合物が好適に使用できる。
【0063】Qは、(C54-m1 m)と(C5
4-n2 n)を架橋するいずれも2価の、炭化水素基、非
置換シリレン基、炭化水素置換シリレン基、もしくはR
3 2NB構造を有するホウ素化合物である。ここで、R3
は、炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基もしくはヘテロ
芳香族基である。Qとしては、具体的には、メチレン
基、エチレン基、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリ
レン基、ジメチルアミドボラン基、ジイソプロピルアミ
ドボラン基、ビス(トリメチルシラン)アミドボラン基
を例示できるが、好ましくはジメチルシリレン基であ
る。
【0064】Mはチタン原子、ジルコニウム原子もしく
はハフニウム原子を示すが、好ましいのはジルコニウム
原子である。
【0065】XおよびYは、独立して、水素原子、ハロ
ゲン原子もしくは炭化水素基を示す。
【0066】本発明のプロピレン重合体の製造には、n
が3の整数であり、C54-n2 nにおいて、1対のR2
が互いに結合して少なくとも1つの環(単環もしくは多
環)を形成しており、該1対のR2以外のR2が、ヘテロ
芳香族環と該環に結合する少なくとも1つの結合基を有
する前述したヘテロ芳香族基であるメタロセン化合物が
好適に使用できる。一対のR2が形成する少なくとも1
つの環とC54- nとで構成される環構造として好ましい
のは、インデニル環、テトラヒドロインデニル環、ベン
ゾインデニル環、フルオレニル環、ジヒドロアズレニル
環もしくはシクロペンタフェナンスレン環であり、更に
好ましいのは、インデニル環、ベンゾインデニル環、ジ
ヒドロアズレニル環である。
【0067】また、本発明のプロピレン重合体の製造に
は、nが3の整数であり、C54-n2 nにおいて、1対
のR2が互いに結合して少なくとも1つの環を形成して
おり、該1対のR2以外のR2が、シクロペンタジエニル
環C54-nの2−位の位置に結合しているメタロセン化
合物が好適に使用できる。前記一対のR2が形成する少
なくとも1つの環とC54- nとで構成される環構造とし
て好ましいのは、インデニル環、テトラヒドロインデニ
ル環、ベンゾインデニル環、フルオレニル環、ジヒドロ
アズレニル環もしくはシクロペンタフェナンスレン環で
あり、更に好ましいのは、インデニル環、ベンゾインデ
ニル環、ジヒドロアズレニル環である。
【0068】さらに、該1対のR2以外のR2は、ヘテロ
芳香族環と該環に結合する少なくとも1つの結合基を有
する前述のヘテロ芳香族基であるのが好ましい。
【0069】また、本発明のプロピレン重合体の製造に
は、更に、R1およびR2の相違、及びシクロペンタジエ
ニル環へのそれらの結合位置の相違のうち、少なくとも
いずれかによって、Mを含む対称面が存在しない構造を
形成しているメタロセン化合物が好適に使用できる。
【0070】また、本発明のプロピレン重合体の製造に
は、更に、R1 m及びR2 nで示される結合基群、ならび
に、前記一対のR1が形成する環および前記一対のR2
形成する環に結合する結合基または結合基群のうち少な
くとも1つの結合基が、ヘテロ芳香族環と、該ヘテロ芳
香族環に結合する炭素数1〜20の炭化水素基またはケ
イ素含有炭化水素基を有するヘテロ芳香族基であって、
該ヘテロ芳香族環が、2―フリル環、2−チエニル環、
2−ベンゾフリル環、または、2−ベンゾチエニル環で
あるメタロセン化合物が好適に使用できる。
【0071】また、本発明のプロピレン重合体の製造に
は、更に、R1 m及びR2 nで示される結合基群、ならび
に、前記一対のR1が形成する環および前記一対のR2
形成する環に結合する結合基または結合基群のうち、少
なくとも1つの結合基が、2−(5−メチル)−フリル
基、2−(5−t−ブチル)−フリル基、2−(5−ト
リメチルシリル)−フリル基、2−(5−メチル)−チ
エニル基、2−(5−t−ブチル)−チエニル基、2−
(5−トリメチルシリル)−チエニル基、2−(4,5
−ジメチル)−フリル基、2−(4,5−ジメチル)−
チエニル基、2−ベンゾフリル基、または、2−ベンゾ
チエニル基であるメタロセン化合物が好適に使用でき
る。
【0072】本発明のプロピレン重合体の製造に好適に
使用できるメタロセン化合物の非限定的な例としては、
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フ
リル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメ
チルシリレンビス(2−(2−(5−フェニル)−フリ
ル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチ
ルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)−フリ
ル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチ
ルシリレンビス(2−(2−(5−トリメチルシリル)
−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2−(2−チエニル)−インデ
ニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビ
ス(2−(2−チエニル)−4,5−ジメチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシ
リレンビス(2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
【0073】ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−
メチル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジク
ロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−フ
ェニル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジク
ロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t
−ブチル)−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジ
クロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−
トリメチルシリル)−チエニル)−インデニル)ジルコ
ニウムジクロライド、が挙げられる。
【0074】このうち、更に好ましいメタロセン化合物
は、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)
−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)
−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−トリメチルシ
リル)−フリル)−インデニル)ジルコニウムジクロラ
イド、ジメチルシリレンビス(2−(2−チエニル)−
インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリ
レンビス(2−(2−チエニル)−4,5−ジメチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメ
チルシリレンビス(2−(2−フリル)−4,5−ジメ
チル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライ
ド、である。
【0075】また、特にこれらの中で最も好ましく用い
られるメタロセン化合物は、ジメチルシリレンビス(2
−(2−チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロ
ライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−チエニル)
−4,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フ
リル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−
(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコ
ニウムジクロライド、である。
【0076】(B)成分としては、有機アルミニウムオ
キシ化合物、もしくは(A)成分と反応してイオン対を
形成する化合物が用いられる。
【0077】該有機アルミニウムオキシ化合物として
は、下記の一般式(2)もしくは(3)で表されるアル
ミノキサンが用いられる。
【0078】
【0079】
【0080】式中、R3は炭素数が1〜6の炭化水素基
である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基
等のアルキル基、アリル基、2−メチルアリル基、プロ
ペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペ
ニル基、ブテニル基等のアルケニル基、シクロプロピル
基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基等のシクロアルキル基、およびアリール基等が挙げ
られる。これらのうち、炭素数が1〜4の炭化水素基が
好ましく。特に好ましいのは炭化水素基がアルキル基で
ある場合である。各R3は同一でも異なっていてもよ
い。qは4〜30の整数であり、好ましくは6〜30、
特に好ましくは8〜30の整数である。
【0081】上記のアルミノキサンは公知の様々な条件
下に調製することが可能である。具体的には、以下の方
法を例示できる。すなわち、 トルエン、エーテル等の有機溶剤中で、トリアルキル
アルミニウムと水とを直接反応させる方法、 トリアルキルアルミニウムと、硫酸銅水和物、硫酸ア
ルミニウム水和物等の結晶水を有する塩類とを反応させ
る方法、 トリアルキルアルミニウムと、シリカゲル等に含浸さ
せた水分とを反応させる方法。 トルエン、エーテル等の有機溶剤中で、トリメチルア
ルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとの混合物
を、水と直接反応させる方法、 トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウ
ムとの混合物を、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和
物等の結晶水を有する塩類と反応させる方法、 シリカゲル等含浸させた水分と、トリイソブチルアル
ミニウムとを反応させた後、トリメチルアルミニウムを
更に反応させる方法、を例示できる。
【0082】(A)成分と反応してイオン対を形成する
化合物としては、特表平1−501950号公報、特表
平1−502036号公報、特開平3−179005号
公報、特開平3−179006号公報、特開平3−20
7704号公報、US547718号公報、などに記載
されたルイス酸、イオン性化合物およびボラン化合物、
カルボラン化合物を挙げることができる。
【0083】ルイス酸としては、ホウ素原子を含有する
ルイス酸が好適で、非限定的な具体例としては、トリフ
ルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フル
オロフェニル)ボロン、トリス(3,5−フルオロフェ
ニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)
ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−ト
リル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボ
ロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン等が挙
げられる。これらのうちではトリス(ペンタフルオロフ
ェニル)ボロンが特に好ましい。
【0084】イオン性化合物は、カチオン性化合物とア
ニオン性化合物とからなる塩である。アニオン性化合物
はメタロセン化合物と反応することに該メタロセン化合
物をカチオン化し、イオン対を形成することにより遷移
金属カチオン種を安定化させる働きがある。そのような
アニオン性化合物としては、有機ホウ素化合物アニオ
ン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物
アニオンなどがあり、比較的嵩高で、遷移金属カチオン
を安定化させるものが好ましい。カチオン性化合物とし
ては、金属カチオン、有機金属カチオン、カルボニウム
カチオン、トリピウムカチオン、オキソニウムカチオ
ン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ア
ンモニウムカチオンなどが挙げられる。具体的には、ト
リフェニルカルベニウムカチオン、トリブチルアンモニ
ウムカチオン、N,N−ジメチルアンモニウムカチオ
ン、フェロセニウムカチオンなどである。
【0085】イオン性化合物は、アニオン性化合物とし
てホウ素化合物を含有する塩が好適に使用される。具体
的には、トリアルキル置換アンモニウム塩としての、ト
リエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ
プロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ
(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ
素、トリメチルアンモニウム(p−トリル)ホウ素、ト
リメチルアンモニウム(o−トリル)ホウ素、トリブチ
ルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチ
ルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ
(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアン
モニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホ
ウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−ト
リル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ
(4−フルオロフェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0086】N,N−ジアルキルアニリニウム塩として
は、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)
ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニ
ル)ホウ素、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルア
ニリニウム(フェニル)ホウ素などが挙げられ、ジアル
キルアンモニウム塩としては、例えば、ジ(n−プロピ
ル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ素などが挙げられ、トリアルキル
ホスフォニウム塩及びトリアリールホスフォニウム塩と
しては、例えば、トリメチルホスフォニウムテトラ(フ
ェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウ
ムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニ
ル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙
げられる。
【0087】ホウ素原子を含有するイオン性化合物とし
て、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウ
ムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フ
ェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレー
トも挙げることができる。
【0088】上記の(B)成分の中でも、特に、アルミ
ノキサンが好ましく用いられる。
【0089】また、上記のメタロセン均一系触媒Iに所
望により用いられる(C)成分は、一般式 AlR4 s
5 t3-(s+t)で表される化合物である。
【0090】式中、R4およびR5は、それぞれ独立して
炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリ
ール基等の炭化水素基、アルコキシ基、フッ素原子、メ
チル基、トリフルオロフェニル基などの置換基を有して
いてもよいフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表
し、sおよびtは、0<s+t≦3を満たす任意の整数
を示す。
【0091】上記一般式で表される(C)成分として、
たとえば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミ
ニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチ
ルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ
−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアル
ミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアル
ミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド、ジ
エチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニ
ウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;メ
チルアルミノウムセスキクロリド、エチルアルミニウム
セスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド、
イソプロピルアルミニウムセスキクロリド等のアルキル
アルミニウムセスキハライド等およびそれらの2種以上
の混合物が挙げられる。好ましいのは、トリアルキルア
ルミニウムである。
【0092】本発明のプロピレン重合体を製造するプロ
セスとしては、公知のプロピレン重合プロセスが使用可
能であり、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イ
ソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水
素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭
化水素、ガソリン留分や水素化ジーゼル油留分等の不活
性溶媒中でプロピレンを重合させるスラリー重合法を採
用することができる。また、プロピレン自身を溶媒とし
て用いるバルク重合法、プロピレンの重合を気相中で実
施する気相重合法を採用することもできる。そして、こ
れらのプロセスの2種以上を組み合わせた重合プロセス
を採用することもできる。この重合プロセスの組み合わ
せとしては、第1ステージをバルク重合法で行い、引き
続く第2ステージを気相重合法で行う組み合わせが最も
好ましい。また、溶液重合法を採用することも可能であ
る。
【0093】本発明のプロピレン重合体の製造は、重合
温度が−50〜150℃、好ましくは20〜120℃、
さらに好ましくは40〜100℃、重合圧力が大気圧〜
9.9MPa(ゲ−ジ圧)、好ましくは0.4〜5.0M
Pa(ゲ−ジ圧)の条件下で行なわれる。また、必要に
応じて水素のような連鎖移動剤を導入して得られるプロ
ピレン重合体の分子量を調節しても良い。
【0094】重合反応終了後、重合系から未反応単量体
及び水素を分離し、触媒失活処理等を行って、プロピレ
ン重合体を得る。
【0095】本発明のプロピレン重合体は、必要に応じ
て酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑
剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質ま
たは有機質の充填剤等の各種添加剤、更には種々の合成
樹脂を配合した後、通常、溶融混練機を用いて190〜
350℃の温度で20秒〜30分間程度加熱溶融混練
し、必要に応じてストランド状に押し出した後に、更に
細断して粒状体、すなわちペレットの形態で各種成形品
の製造に供される。
【0096】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例により
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。実施例および比較例において使用する用
語の定義および測定方法は以下の通りである。 (1)メルトフローレート(MFR)(単位:g/10
分):JIS K7210に準拠して、表1の条件14
(21.18N荷重下、230℃条件下)で測定した。 (2)アイソタクチックトリアッド分率(I3):測定
装置として、日本電子(株)社製「JEOL−GX27
0」(商品名)を用いて、前述の方法で測定した。 (3)プロピレン重合体を構成しているプロピレン単位
の総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1−挿入
反応に起因するプロピレン単位のモル数およびプロピレ
ンモノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単
位のモル数の占める割合(単位:mol%):測定装置
として、日本電子(株)社製「JEOL−GX270」
(商品名)を用いて、前述の方法で測定した。検出下限
界値は0.02mol%である。 (4)重量平均分子量(Mw)(単位:g/mol):
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
で、カラムとして、東ソー(株)社製「PSKgel
GMH6−HT」(商品名)を使用し、測定装置とし
て、ウォーターズ社製「GPC−150C」(商品名)
を用いて、試験体(プロピレン重合体)を、o−ジクロ
ロベンゼンに、その濃度が0.05wt%となるように溶
解し、得られた溶液を温度135℃で測定して求めた。 (5)重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)
に対する比(Mw/Mn):ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)法で、カラムとして、東ソー
(株)社製「PSKgel GMH6−HT」(商品
名)を使用し、測定装置として、ウォーターズ社製「G
PC−150C」(商品名)を用いて、試験体(プロピ
レン重合体)を、o−ジクロロベンゼンに、その濃度が
0.05wt%となるように溶解し、得られた溶液を温度
135℃で測定して求めた。 (6)融点(℃):パーキン・エルマー社製「DSC7
型示差走査熱量分析計」を用いて、前述の方法で測定し
た。 (7)極限粘度(η)(単位:dl/g):三井東圧
(株)製の自動粘度測定装置(「AVS2型」(商品
名))を使用し、溶媒としてテトラリンを用いて135
℃の温度で測定した。 (8)プロピレン重合体中の、プロピレンを除くオレフ
ィン単位の含有量(単位:重量%):13C NMRを測
定し求めた。
【0097】
【実施例1】〔rac−ジメチルシリレンビス(2−
(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコ
ニウムジクロライドの合成〕 (1)2−(2−(5−メチル)−フリル)−インデン
の合成 500mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン2
0g(0.24mol)、THF250mlを加えドラ
イアイス−メタノール浴で−50℃まで冷却した。ここ
に1.50mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン
溶液160ml(0.24mol)を滴下した。滴下
後、室温に戻し3時間攪拌した。再びドライアイス−メ
タノール浴で−30℃まで冷却し、2−インダノン32
g(0.24mol)を含むTHF溶液100mlを滴
下した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌した。反応液
をドライアイス−メタノール浴で−20℃まで冷却し、
2N−塩酸100mlを滴下した。この反応液を、分液
ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、無水硫酸
ナトリウムを加え一晩放置し乾燥させた。無水硫酸ナト
リウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、そこにトルエン
600mlとp−トルエンスルホン酸0.5g(2.6
mmol)を加え1時間加熱還流させた。この反応液
を、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、
無水硫酸ナトリウムを加え一晩放置し乾燥させた。無水
硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカ
ゲルカラムで精製し、2−(2−(5−メチル)−フリ
ル)−インデンの淡黄色結晶22g(収率46%)を得
た。構造はNMRで確認した。
【0098】(2)ジメチルビス(2−(2−(5−メ
チル)−フリル)−インデニル)シランの合成 200mlのガラス製反応容器に、2−(2−(5−メ
チル)−フリル)−インデン30g(0.15mo
l)、イソシアン酸銅0.9g(7.4mmol)、T
HF300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で
−70℃まで冷却した。ここに1.50mol/Lのn
−ブチルリチウム−ヘキサン溶液102ml(0.15
mol)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しなが
ら16時間攪拌した。再びドライアイス−メタノール浴
で−50℃まで冷却し、ジメチルジクロロシラン9.9
g(0.077mol)を含むTHF溶液70mlを滴
下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら16時間攪拌
した。反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水
で中性になるまで洗浄した。ここに無水硫酸ナトリウム
を加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリ
ウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラム
で精製し、ヘキサンで再結晶を行いジメチルビス(2−
(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)シラン
の無色結晶27g(収率78%)を得た。
【0099】(3)ジメチルシリレンビス(2−(2−
(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコニウム
ジクロライドの合成 100mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−
(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)シラン
5.0g(0.011mol)、ジエチルエーテル10
0mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃
まで冷却した。ここに1.50mol/Lのn−ブチル
リチウム−ヘキサン溶液15ml(0.023mol)
を滴下した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌した。反
応液の溶媒を20ml程度まで減圧濃縮し、トルエン1
70mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70
℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム2.6g
(0.012mol)を加えた。その後、徐々に室温に
戻しながら2日間攪拌した。溶媒を減圧留去し、トルエ
ン/ヘキサンで再結晶を行い、ラセミ体(純度99%以
上)2.8g(収率42%)を得た。該メタロセン化合
物について測定した1H−NMR値(CDCl3)は、以
下の通りであった.1 H−NMR値(CDCl3) ラセミ体:δ1.12
(s,6H),δ2.42(s,6H),δ6.07
(d,2H),δ6.27(d,2H),δ6.71
(t,2H),δ6.92(s,2H),δ6.92
(d,2H),δ7.31(t,2H),δ7.54
(d,2H)。
【0100】〔rac−ジメチルシリレンビス(2−
(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコ
ニウムジクロライドを用いたプロピレン単独重合体の製
造〕SUS製オートクレーブにトルエン1L,メチルア
ルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MM
AO3A」)(Al/Zr=10,000),ジメチル
シリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−
インデニル)ジルコニウムジクロライド−トルエン溶液
3ml(0.34×10-6mol)を順に加え、30℃
に加熱した。ここに0.3MPaの圧力でプロピレンを
導入し、1時間重合を行った。重合後、ポリマーをろ過
し、塩酸性メタノール1リットルで触媒成分を分解し
た。その後、ろ過、洗浄、乾燥を順に行いプロピレン単
独重合体8.7gを得た。重合活性は、26kg−ポリ
マー/mmol(Zr)・hrであった。得られたプロ
ピレン単独重合体を分析した結果、MFRが0.004
g/10分、アイソタクチックトリアッド分率(I3
が0.946で、プロピレン単独重合体を構成している
プロピレン単位の総モル数に対し、プロピレンモノマー
の2,1−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数
およびプロピレンモノマーの1,3−挿入反応に起因す
るプロピレン単位のモル数の占める割合がいずれも、検
出限界値未満、即ち0.02mol%未満、Mwが1.
61×106g/mol、Mw/Mnが3.0、融点が
146.2℃であった。
【0101】
【比較例1】〔rac−ジメチルシリレンビス(2−メ
チル−インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成〕
特開平4−300887号公報に記載された方法によ
り、rac−ジメチルシリレンビス(2−メチル−イン
デニル)ジルコニウムジクロライドを合成した。
【0102】〔rac−ジメチルシリレンビス(2−メ
チル−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いた
プロピレン単独重合体の製造〕SUS製オートクレーブ
にトルエン1L,メチルアルミノキサン−トルエン溶液
(東ソーアクゾ社製「MMAO3A」)(Al/Zr=
10,000),rac−ジメチルシリレンビス(2−
メチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド−トル
エン溶液3ml(0.42×10-6mol)を順に加
え、30℃に加熱した。ここに0.3MPaの圧力でプ
ロピレンを導入し、1時間重合を行った。重合後、ポリ
マーをろ過し、塩酸性メタノール1リットルで触媒成分
を分解した。その後、ろ過、洗浄、乾燥を順に行いプロ
ピレン単独重合体19.5gを得た。重合活性は、46
kg−ポリマー/mmol(Zr)・hrであった。得
られたプロピレン単独重合体を分析した結果、MFRが
0.53g/10分、アイソタクチックトリアッド分率
(I3)が0.961で、プロピレン単独重合体を構成
しているプロピレン単位の総モル数に対し、プロピレン
モノマーの2,1−挿入反応に起因するプロピレン単位
のモル数の割合が0.29mol%、プロピレンモノマ
ーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル
数の占める割合が、検出限界値未満、即ち0.02mo
l%未満、Mwが3.48×10 5g/mol、Mw/
Mnが1.9、融点が153.1℃であった。
【0103】
【実施例2】[ジメチルシリレンビス(2−(2−チエ
ニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドの合
成] (1)2−(2−チエニル)−インデンの合成 500mlのガラス製反応容器に、チオフェン12.8
g(0.15mol)、THF200mlを加えドライ
アイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに
1.53mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶
液100ml(0.15mol)を滴下した。滴下後、
室温に戻し3時間攪拌した。再びドライアイス−メタノ
ール浴で−20℃まで冷却し、2−インダノン20.0
g(0.15mol)を含むTHF溶液200mlを滴
下した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌した。反応液
に蒸留水を加え、分液ロートに移し、食塩水で中性にな
るまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え一晩放置し乾
燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留
去して、そこにトルエン200ml、P−トルエンスル
ホン酸0.5gを加え、留出してくる水を除去しなが
ら、3時間加熱還流した。反応液を分液ロートに移し、
食塩水で中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムを
加え一晩放置し乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過
し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、
2−(2−チエニル)−インデンの淡黄緑色結晶3.2
g(収率25%)を得た。構造はNMRで確認した。
【0104】(2)ジメチルビス(2−(2−チエニ
ル)−インデニル)シランの合成 200mlのガラス製反応容器に、2−(2−チエニ
ル)−インデン10.0g(0.051mol)、シア
ン化銅0.87g(0.0072mol)、THF21
0mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃
まで冷却した。ここに1.57mol/Lのn−ブチル
リチウム−ヘキサン溶液36ml(0.057mol)
を滴下した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌した。再
びドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却し、
ジメチルジクロロシラン3.7g(0.028mol)
を含むTHF溶液140mlを滴下した。滴下後、室温
に戻し16時間攪拌した。反応液に蒸留水を加え、分液
ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに
無水硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させ
た。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去し
て、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−
(2−チエニル)−インデニル)シランの淡黄緑色結晶
7.3g(収率64%)を得た。
【0105】(3)ジメチルシリレンビス(2−(2−
チエニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドの
合成 100mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−
(2−チエニル)−インデニル)シラン12.4g
(0.027mol)、THF30mlを加え、ドライ
アイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに
1.57mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶
液35ml(0.055mol)を滴下した。滴下後、
室温に戻し16時間攪拌した。反応液の溶媒を減圧留去
し、トルエン400mlを加え、ドライアイス−メタノ
ール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコ
ニウム6.3g(0.027mol)を加えた。その
後、室温に戻し16時間攪拌した。反応液の一部を採取
1H−NMR測定を行った結果、ラセミ/メソ=75
/25であった。溶媒を減圧留去し、トルエンで抽出を
行い、その後、トルエンで再結晶を行い、ラセミ体(純
度99%以上)100mg(収率0.6%)を得た。該
メタロセン化合物について測定した1H−NMR値(C
DCl3)は以下の通りであった。1 H−NMR値(CDCl3) ラセミ体:δ1.03
(s,6H),δ7.04(s,2H),δ6.80〜
δ7.63(m,14H)。
【0106】[ジメチルシリレンビス(2−(2−チエ
ニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用い
たプロピレン単独重合体の製造]SUS製オートクレー
ブにトルエン1L,メチルアルミノキサン−トルエン溶
液(東ソーアクゾ社製MMAO3A)(Al/Zr=1
0,000),ジメチルシリレンビス(2−(2−チエ
ニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド−トル
エン溶液3ml(2.71x10-6mol)を順に加
え、30℃に加熱した。ここに0.3MPaGの圧力で
プロピレンを導入し、1時間重合を行った。重合後、塩
酸性メタノール1リットルで触媒成分を分解した。その
後、洗浄、乾燥を順に行いプロピレン単独重合体10.
7gを得た。重合活性は、4kg−ポリマー/mmol
(Zr)・hrであった。得られたプロピレン単独重合
体を分析した結果、MFRが、0.28g/10分、ア
イソタクチックトリアッド分率(I3)が、0.90
5、プロピレン単独重合体を構成しているプロピレン単
位の総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1−挿
入反応に起因するプロピレン単位のモル数およびプロピ
レンモノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン
単位のモル数の占める割合がいずれも、検出限界値未
満、即ち、0.02mol%未満、Mwが4.21×1
5g/mol、Mw/Mnが1.91であった。
【0107】
【実施例3】[ジメチルシリレンビス(2−(2−チエ
ニル)−4,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロライドの合成] (1)1−(2−チエニル)−3,4−ジメチルシクロ
ペンタジエンの合成 1Lのガラス製反応容器に、チオフェン25.3g
(0.30mol)、THF350mlを加えドライア
イス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに
1.52mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶
液200ml(0.30mol)を滴下した。滴下後、
室温に戻し16時間攪拌した。再びドライアイス−メタ
ノール浴で−30℃まで冷却し、3,4−ジメチル−シ
クロペンテン−1−オン33.0g(0.30mol)
を含むTHF溶液100mlを滴下した。滴下後、室温
に戻し16時間攪拌した。反応液に蒸留水を加え、分液
ロートに移し食塩水で3回洗浄した。その後、0.5N
−塩酸50mlで2回振とうし、食塩水で中性になるま
で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え一晩放置し乾燥さ
せた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去し
て、シリカゲルカラムで精製し、1−(2−チエニル)
−3,4−ジメチルシクロペンタジエンの黄色固体4
9.7g(収率94%)を得た。構造はNMRで確認し
た。
【0108】(2)ジメチルビス(2−(2−チエニ
ル)−4,5−ジメチルシクロペンタジエニル)シラン
の合成 1Lのガラス製反応容器に、1−(2−チエニル)−3,
4−ジメチルシクロペンタジエン49.0g(0.28
mol)、THF400mlを加え、ドライアイス−メ
タノール浴で−30℃まで冷却した。ここに1.52m
ol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液183m
l(0.28mol)を滴下した。滴下後、徐々に室温
に戻し2時間攪拌した。再びドライアイス−メタノール
浴で−30℃まで冷却し、ジメチルジクロロシラン1
7.9g(0.14mol)を含むTHF溶液100m
lを滴下した。滴下後、徐々に室温に戻し16時間攪拌
した。反応液に蒸留水を加え、浮遊物をろ過後、分液ロ
ートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに無
水硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させ
た。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去し
て、シリカゲルカラムで精製し、トルエン−ヘキサンで
再結晶を行いジメチルビス(2−(2−チエニル)−
4,5−ジメチルシクロペンタジエニル)シランの黄色
結晶35.1g(収率62%)を得た。
【0109】(3)ジメチルシリレンビス(2−(2−
チエニル)−4,5−ジメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロライドの合成 500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−
(2−チエニル)−4,5−ジメチルシクロペンタジエ
ニル)シラン13.5g(0.033mol)、ジエチ
ルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノー
ル浴で−70℃まで冷却した。ここに1.52mol/
Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液43ml(0.
065mol)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻し
16時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、トルエン400
mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃ま
で冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム7.7g
(0.033mol)を固体のまま加えた。その後、徐
々に室温に戻し16時間攪拌し、オイルバスを用い80
℃で6時間加熱した。トルエン-ヘキサンで再結晶を行
い、ジメチルシリレンビス(2−(2−チエニル)−
4,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジクロライドのラセミ体(純度99%以上)110mg
の赤色結晶を得た。得られたメタロセン化合物について
1H−NMR値(CDCl3)を測定した結果を以下に示
す。1 H−NMR値(CDCl3) ラセミ体:δ0.81
(s,6H),δ1.54(s,6H),δ2.22
(s,6H),δ6.69( s,2H),δ6.94
(dd,2H),δ7.11(dd,2H),δ7.2
7(dd,2H)。
【0110】[ジメチルシリレンビス(2−(2−チエ
ニル)−4,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロライドを用いたプロピレン単独重合体の
製造]SUS製オートクレーブにトルエン1L,メチル
アルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製MM
AO3A)(Al/Zr=10,000),ジメチルシ
リレンビス(2−(2−チエニル)−4,5−ジメチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド−ト
ルエン溶液3ml(1.05x10-6mol)を順に加
え、30℃に加熱した。ここに0.3MPaGの圧力で
プロピレンを導入し、1時間重合を行った。重合後、塩
酸性メタノール1リットルで触媒成分を分解した。その
後、洗浄、乾燥を順に行いプロピレン単独重合体1.8
8gを得た。重合活性は、1.8kg−ポリマー/mm
ol(Zr)・hrであった。得られたプロピレン単独
重合体を分析したところ、アイソタクチックトリアッド
分率(I3)が0.629、プロピレン単独重合体を構
成しているプロピレン単位の総モル数に対し、プロピレ
ンモノマーの2,1−挿入反応に起因するプロピレン単
位のモル数およびプロピレンモノマーの1,3−挿入反
応に起因するプロピレン単位のモル数の占める割合がい
ずれも、検出限界値未満、即ち、0.02mol%未
満、Mwが9.75×104g/mol、Mw/Mnが
1.83であった。
【0111】
【実施例4】[ジメチルシリレンビス[2−(2−フリ
ル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]ジルコ
ニウムジクロリドの合成] (1) 1−(2−フリル)−3,4−ジメチル−シクロペン
タジエンの合成 1Lのガラス製反応容器に、フラン21.0g(0.31
mol)、ジエチルエーテル400mlを加えドライア
イス/メタノール浴で−30℃まで冷却した。ここに
1.53mol/Lのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶
液200ml(0.31mmol)を滴下した。滴下
後、室温に戻し4時間攪拌した。再びドライアイス/メ
タノール浴で−30℃まで冷却し、3,4−ジメチル−
シクロペンテン−1−オン33.0g(0.30mol)
を含むジエチルエーテル溶液100mlを滴下した。滴
下後、室温に戻し16時間攪拌した。反応液に蒸留水を
加え、分液ロートに移し食塩水で3回洗浄した。その
後、0.5N−塩酸50mlで2回振とうし、食塩水で
中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え一晩
放置し乾燥させた。無水硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒
を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、1−(2−
フリル)−3,4−ジメチル−シクロペンタジエンの赤色
液体24.6g(収率51%)を得た。構造はNMRで
確認した。
【0112】(2) ジメチルシリレンビス[2−(2−
フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]の
合成 1Lのガラス製反応容器に、1−(2−フリル)−3,4−
ジメチルシクロペンタジエン24.3g(0.15mo
l)、THF300mlを加え、ドライアイス/メタノ
ール浴で−30℃まで冷却した。ここに1.52mol
/Lのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液100ml
(0.15mmol)を滴下した。滴下後、室温に戻し
3時間攪拌した。再びドライアイス/メタノール浴で−
30℃まで冷却し、ジメチルジクロロシラン9.8g
(0.076mol)を含むTHF溶液50mlを滴下
した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌した。反応液に
蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるま
で洗浄した。ここに無水硫酸ナトリウムを加え一晩放置
し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムを濾過し、
溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、トル
エン/ヘキサンで再結晶を行いジメチルシリレンビス
[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタ
ジエニル]の黄色結晶19.4g(収率68%)を得
た。
【0113】(3) ジメチルシリレンビス[2−(2−
フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]ジ
ルコニウムジクロリドの合成 500mlのガラス製反応容器に、ジメチルシリレンビ
ス[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペン
タジエニル]10.0g(0.027mol)、THF2
00mlを加え、ドライアイス/メタノール浴で−30
℃まで冷却した。ここに1.52mol/Lのn−ブチ
ルリチウム/ヘキサン溶液35ml(0.053mmo
l)を滴下した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌し
た。溶媒を減圧留去し、トルエン200mlを加え、ド
ライアイス/メタノール浴で−70℃まで冷却した。そ
こに、テトラクロルジルコニウム6.2g(0.027m
ol)を固体のまま加えた。その後、室温に戻し16時
間攪拌し、80℃で4時間加熱した。反応液の一部を採
取し1H−NMR測定を行った結果、ラセミ体/メソ体
(モル比)=61/39であった。溶媒を減圧留去し、
ヘキサンで抽出を行い黄色粉末のジメチルシリレンビス
[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタ
ジエニル]ジルコニウムジクロリド2.5g(ラセミ/
メソ=58/42、収率17.5%)を得た。さらに再
結晶を行い、ラセミ体(純度99%以上)120mg、
メソ体(純度99%以上)170mgを得た。得られた
メタロセン化合物について測定した1H−NMR値(C
DCl3)を以下に示す。1 H−NMR値(CDCl3):ラセミ体…δ:0.79
(s,6H)、δ:1.45(s,6H)、δ:2.19
(s,6H)、δ:6.41(dd,2H)、δ:6.5
5(dd,2H)、δ:6.72(s,2H)、δ7.3
9(dd,2H)、メソ体…δ:0.62(s,3
H)、δ:1.00(s,3H)、δ:2.02(s,6
H)、δ:2.29(s,6H)、δ:6.12(d,4
H)、δ:6.65(d,2H)、δ:7.13( t,
2H)。
【0114】[ジメチルシリレンビス[2−(2−フリ
ル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]ジルコ
ニウムジクロリドを用いたプロピレン単独重合体の製
造]SUS製オートクレーブにトルエン1L,メチルア
ルミノキサン−トルエン溶液(東ソーアクゾ社製「MM
AO3A」)(Al/Zr=10,000),ジメチル
シリレンビス[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−
シクロペンタジエニル]−トルエン溶液3ml(0.5
5×10-6mol)を順に加え、30℃に加熱した。こ
こに0.3MPaGの圧力でプロピレンを導入し、1時
間重合を行った。重合後、塩酸性メタノール1リットル
で触媒成分を分解した。その後、洗浄、乾燥を順に行い
プロピレン単独重合体20.9gを得た。重合活性は、
38kg−ポリマー/mmol(Zr)・hrであっ
た。得られたプロピレン単独重合体を分析したところ、
アイソタクチックトリアッド分率(I3)が0.96
0、プロピレン単独重合体を構成しているプロピレン単
位の総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1−挿
入反応に起因するプロピレン単位のモル数およびプロピ
レンモノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン
単位のモル数の占める割合がいずれも、検出限界値未
満、即ち、0.02mol%未満、Mwが4.78×1
5g/mol、Mw/Mnが2.01、MFRが0.
20g/10分、融点が154.0℃であった。
【0115】
【実施例5】〔rac−ジメチルシリレンビス(2−
(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジルコ
ニウムジクロライドを用いたプロピレン/エチレン共重
合体の製造〕十分に窒素置換された内容積1.5Lのオ
ートクレーブに、ヘキサンを900ml、トリイソブチ
ルアルミニウム1mmolを加え、攪拌しながら70℃
に昇温した後、エチレンをフィードして0.19MPa
に加圧し、プロピレンをフィードして全圧を0.58M
Paにした。その後、予め、メタロセン錯体として、実
施例1で合成した、rac−ジメチルシリレンビス(2
−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)ジル
コニウムジクロライドをZr原子当たり、0.001m
molと、メチルアルミノキサン(東ソーアクゾ(株)
製:p−MAO)をAl原子量換算で0.3mmolと
を10分間混合したメタロセン触媒系をプロピレンによ
り圧入し、プロピレンを連続的にフィードして全圧を
0.78MPaに保ちながら、10分間、70℃の一定
圧力下で重合を行った。10分後、脱気して大量のメタ
ノール中でポリマーを回収、一定重量となるまで減圧乾
燥器で乾燥して、3.4gのポリマーを得た。重合活性
は20.2kg−ポリマー/(mmol−Zr・h)
で、得られたプロピレン/エチレンランダム共重合体を
分析したところ、エチレン単位の含有量は28.4mo
l%(20.9重量%)、アイソタクチックトリアッド
分率(I 3)が0.899、2,1−挿入反応に起因す
るプロピレン単位のモル数の占める割合、および1,3
−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の占める
割合がいずれも、検出限界値未満、即ち、0.02mo
l%未満、極限粘度[η]は1.52dl/g、重量平
均分子量(Mw)は156000g/mol、重量平均
分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(M
w/Mn)は2.24であった。
【0116】
【発明の効果】本発明によれば、立体規則性が緻密に高
度に制御され、プロピレンモノマーの2,1−挿入反応
に起因するプロピレン単位のモル数およびプロピレンモ
ノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位の
モル数の占める割合がいずれも、0.05mol%未満
であるようなプロピレン重合体が提供される。本発明の
プロピレン重合体を用いると、剛性、耐熱性に優れた各
種成形品を得ることができる。また、溶剤への抽出率が
低いため、食品包装用フィルムや食品保存容器等の分野
に好適に使用することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J028 AA01A AB01A AC01A AC10A AC30A BA01A BA01B BB01A BB01B BC15B BC16B BC19B BC25B CB94C EB02 EB04 EB06 EC01 EC02 4J100 AA02Q AA03P AA04Q CA01 CA04 DA01 DA41 FA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタロセン触媒を用いて製造され、以下の
    特性(1)および(2)を充足しているプロピレン重合
    体。 (1)アイソタクチックトリアッド分率(I3)が、
    0.50〜0.99である。 (2)プロピレン重合体を構成しているプロピレン単位
    の総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1−挿入
    反応に起因するプロピレン単位のモル数およびプロピレ
    ンモノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単
    位のモル数の占める割合が、いずれも0.05モル%未
    満である。
  2. 【請求項2】プロピレン重合体が、プロピレン単独重合
    体、もしくは共重合体の重量基準でプロピレン単位を5
    0重量%以上含有するプロピレンとプロピレンを除く少
    なくとも1つのオレフィンとのプロピレン/オレフィン
    共重合体である、請求項1記載のプロピレン重合体。
  3. 【請求項3】プロピレン重合体が、共重合体の重量基準
    でプロピレン単位を50重量%以上含有するプロピレン
    とプロピレンを除く少なくとも1つのオレフィンとのプ
    ロピレン/オレフィン共重合体であり、該少なくとも1
    つのオレフィンが、エチレンもしくは1−ブテンであ
    る、請求項1記載のプロピレン重合体。
  4. 【請求項4】プロピレン/オレフィン共重合体が、共重
    合体の重量基準でプロピレン単位を70重量%以上含有
    する共重合体である、請求項3記載のプロピレン重合
    体。
  5. 【請求項5】プロピレン/オレフィン共重合体が、共重
    合体の重量基準でプロピレン単位を90重量%以上含有
    する共重合体である、請求項3記載のプロピレン重合
    体。
  6. 【請求項6】プロピレン重合体が、共重合体の重量基準
    で、プロピレン単位を50重量%以上含有する、プロピ
    レン/エチレン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重
    合体、もしくは、プロピレン/エチレン/1−ブテン共
    重合体である、請求項1記載のプロピレン重合体。
  7. 【請求項7】プロピレン/オレフィン共重合体が、ラン
    ダム共重合体、ブロック共重合体もしくはランダムブロ
    ック共重合体である、請求項3記載のプロピレン重合
    体。
  8. 【請求項8】請求項1の特性(2)において、プロピレ
    ン重合体を構成しているプロピレン単位の総モル数に対
    し、プロピレンモノマーの2,1−挿入反応に起因する
    プロピレン単位のモル数およびプロピレンモノマーの
    1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の
    占める割合が、いずれも0.02モル%未満であること
    を特徴とする、請求項1記載のプロピレン重合体。
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DE10125356A DE10125356A1 (de) 2000-05-23 2001-05-23 Metallocen-Verbindung, Olefin-Polymerisationskatalysator, der die Verbindung enthält und Verfahren zur Erzeugung eines Olefin-Polymers unter Verwendung des Katalysators

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JP2018193476A (ja) * 2017-05-17 2018-12-06 日本ポリプロ株式会社 末端ビニル基含有プロピレン系重合体の製造方法

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