JP2002047058A - 配線基板用セラミック組成物 - Google Patents

配線基板用セラミック組成物

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JP2002047058A JP2001185767A JP2001185767A JP2002047058A JP 2002047058 A JP2002047058 A JP 2002047058A JP 2001185767 A JP2001185767 A JP 2001185767A JP 2001185767 A JP2001185767 A JP 2001185767A JP 2002047058 A JP2002047058 A JP 2002047058A
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Heikichi Tanei
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Shoichi Iwanaga
昭一 岩永
Fusaji Shoji
房次 庄子
Nobuhito Katsumura
宣仁 勝村
Ryohei Sato
了平 佐藤
Fumiyuki Kobayashi
二三幸 小林
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文一 田上
Norio Sengoku
則夫 千石
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Abstract

(57)【要約】 【目的】900〜1050℃で燒結し、比誘電率が小さ
く、熱膨張係数がシリコンと整合し、曲げ強度の大きい
セラミック配線基板およびその製造方法。 【構成】軟化温度が850〜1100℃のガラス、すな
わち、図1(SiO2-B2O3−R2O系三角組成
図。小円の位置により各組成が示され、小円内の数字は
組成番号を示す)において、第1、第3、第10、第1
1、第4の組成を示す点をそれぞれ結ぶ線により囲まれ
る領域内(線上含む)の点の示す組成を有するガラスを
原料としている。バインダには、水系分散型粒子を用
い、焼成工程においてグリーンシートを厚さ方向に加圧
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバインダとして有機バイ
ンダを用い、導体として銅等の卑金属導体材料を用い、
高密度配線を行なう場合に好適な配線基板のセラミック
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミック配線基板は、小型化が可能
で、信頼性が高いという理由から、半導体チップや小型
電子部品を搭載するための基板として用いられ、電子計
算機、通信機器、家電品等に組み込まれている。
【0003】セラミック配線基板のなかでも、グリーン
シートを用いる湿式セラミック配線基板は、高密度配線
に有利であるため、よく用いられる。この湿式セラミッ
ク配線基板は、つぎのような製造方法により作製され
る。まず、セラミック原料粉末を有機樹脂で結合したセ
ラミック生シート(以下、グリーンシートと呼ぶ)を作
製し、続いてこのグリーンシートに貫通孔(スルーホー
ル)をあけた後、導体ペーストを用いて表面に配線パタ
−ンを形成するとともに、シートを複数枚積層したとき
に各シートの配線パタ−ンを接続するため、貫通孔にも
導体ペーストを充填する。次に、このように配線パタ−
ンを形成したグリーンシートを所定枚数積み重ね積層圧
着した後、焼成する。以上により、セラミック多層配線
基板が作製される。
【0004】なお、シリコンを用いた半導体集積回路素
子を搭載する多層配線基板には、従来より、絶縁材料と
して、アルミナ(Al2O3)が主に用いられ、導体材料
として、アルミナと同時焼結可能な高融点金属であるモ
リブデン(Mo)やタングステン(W)が用いられてい
る。しかし、アルミナの熱膨張係数は約7×10-6/℃
と大きいので、アルミナ基板にシリコン半導体素子を直
接搭載する場合には、それらの接続導体部に大きな応力
が作用し、信頼性が得られない。さらに、アルミナの比
誘電率は約10と比較的大きく、多層配線基板としての
信号伝搬がまだ十分速くない。その上、上記高融点金属
の抵抗は比較的大きい。
【0005】そこで、上記問題点を解決するために、特
公平2−49550号公報では、20重量%以上、50
重量%未満のアルミナと、10重量%以上、60重量%
未満の石英ガラスと、20重量%以上、40重量%未満
の非結晶化ガラスまたは結晶化ガラスとからなる混合物
を含むガラスセラミック層と銅導体層とを有すること、
および熱解重合型樹脂を含むバインダを使用することを
特徴とする多層セラミック配線基板およびその製造方法
が提案されている。また、例えば、特公平2−4955
0号公報や、特公平1−50120号公報には、電気抵
抗が低い銅を導体材料と誘電率の低いガラスセラミック
と組み合わせたガラス/銅配線基板を使用することによ
り、半導体素子を搭載するのに必要な高速の信号伝送を
実現する技術が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】グリーンシートは、セ
ラミック粉末と有機バインダと該バインダの溶剤とボー
ルミル混合して調製されるスラリを、シート状に成形す
ることにより作られる。
【0007】有機バインダとしては、ポリビニルブチラ
ール樹脂、熱解重合型アクリル樹脂等が一般に使用され
る。そこで、その溶剤として、従来より、アルコール
系、ケトン系、あるいは、トリクロロエチレン等の塩素
系の有機溶剤が用いられている。
【0008】しかしながら、アルコール系やケトン系の
溶剤は可燃性であり、さらに、人体に対する毒性がある
ものもあり、安全性に問題がある。また、塩素系の溶剤
は、これらの問題のほか、環境に対する悪影響が懸念さ
れる。従って、安全衛生上の観点では、これらの有機溶
剤ではなく、水または水を主成分とする溶剤を用いるこ
とが望ましい。
【0009】このため、水を溶剤とする有機バインダ材
料が開発されてきている。例えば、セラミック成形用の
バインダとして水溶性ポリアクリル酸エステルまたは水
溶性ポリメタクリル酸エステルを用いる技術(特公平1
−53233号公報、特公平1−44668号公報)
や、界面活性剤を用いてビニル単量体を乳化重合して得
られたエマルジョン系バインダにアクリル酸またはメタ
クリル酸を加え、アンモニアで中和したものを用いる技
術(特開昭60−180955号公報、特開昭60−1
80956号公報)等が提案されている。
【0010】しかし、水を溶剤とする有機バインダ材料
は、一般に親水性官能基が付加されているため、有機溶
剤を用いる有機バインダ材料よりも熱分解性が悪く、脱
バインダが困難であるという問題を有する。
【0011】有機バインダの焼尽(脱バインダ)は、有
機樹脂のカーボンへの分解過程とカーボンの酸化過程か
らなると言える。前者の過程は約200〜400℃の温
度で、後者の過程はおおよそ700℃以上の温度で起き
る。特に後者の過程は、C+2H2O→CO2+2H2と
表される反応であり、高温であるほど反応が進みやす
い。従って、有機バインダの焼尽をできるだけ高温で行
う方が、短時間で脱バインダでき、生産性がよい。特
に、導体材料に酸化されやすい銅を用いるためには、脱
バインダ工程(グリーンシート調製用有機バインダを焼
尽する工程)は、銅が酸化しない雰囲気(水蒸気、窒
素、水素ガスなどの雰囲気)で行なうことが好ましい
が、このような非酸化性雰囲気中で脱バインダを行なう
と、熱分解後のバインダ残渣物がカーボンとなるため、
このカーボンを、水蒸気中との熱力学的な反応によっ
て、COまたはCO2として除去するためには、非常に
長時間を要することから、脱バインダ工程は高温で行な
うことが望ましいと考えられる。
【0012】また、有機バインダの焼尽の後、ガラスセ
ラミックスは緻密化のための熱処理、すなわち、焼結が
行われる。多層セラミック配線基板の生産性向上のため
には、それらの熱処理が短時間に行われる必要がある。
【0013】しかし、脱バインダ工程の熱処理の間に基
板材料であるガラスセラミックスの焼結が過度に進行
し、有機樹脂の残渣やカーボンがシート内に閉じ込めら
れてしまうと、閉じ込められたカーボンが酸化して生じ
るガスによるボイドの発生や、誘電率の増大の原因とな
り、さらに、得られるガラスセラミックスの絶縁抵抗が
低下したり、ガラスセラミックスがその後の熱処理で十
分に緻密化しないため十分な強度が得られないなどの問
題があるため、好ましくない。一般に、基板中に残存す
るカーボン量としては、200ppm以下が好ましい。
【0014】そこで、脱バインダ工程の温度を高くする
ためには、軟化点の高いガラスを用いる必要がある。し
かしながら、融点が1083℃である銅と同時に焼結す
るものを用いなくてはならないことから、ガラス材料
は、1000℃付近で焼結可能なものに限られる。従っ
て、バインダ除去の温度を800℃以上にすることは困
難である。
【0015】また、有機樹脂の残渣やカーボンをシート
内に閉じ込めないようにするには、基板材料であるガラ
スセラミックスとして、有機バインダの焼尽のための熱
処理の間、過度に焼結が進行しないものを用いることが
好ましい。上述のように、水を溶剤とする有機バインダ
材料は、有機溶剤を用いる有機バインダ材料よりも熱分
解しにくく、脱バインダの速度が遅い。そのため、水を
溶剤とする有機バインダ材料を用いるためには、それに
適した基板材料のガラスセラミックスが必要である。
【0016】また、上記のシリコン半導体集積回路素子
搭載用多層セラミック配線基板の性能向上と信頼性向上
を図るために、基板材料のセラミックスには、導体とし
て低抵抗金属の銅を使用できるように銅が溶融する温度
の1083℃よりも低い1050℃以下(望ましくは1
000℃付近)で焼結すること、比誘電率が小さいこ
と、熱膨張係数がシリコンの熱膨張係数(3.0×10
-6/℃)と整合すること、および、大きな曲げ強度を有
することが要求される。これらの特性を満たすセラミッ
ク材料としては、硼珪酸ガラス・フィラー系が挙げられ
る。
【0017】しかし、硼珪酸ガラス・フィラー系では、
グリーンシートに調製した際の硼珪酸ガラスの耐水性が
問題となる。硼珪酸ガラスの耐水性が悪いと、含有され
る酸化硼素が水に溶出しやすく、高湿度雰囲気の下で、
ガラス表面に硼酸結晶が析出してしまう。また、硼珪酸
ガラスには、熱処理によりクリストバライト結晶の析出
しやすいものがある。クリストバライト結晶は約230
℃で異常に大きな体積変化を伴う結晶相の転移が生じる
ので、基板の割れの原因となり、その析出は好ましくな
い。
【0018】さらに、従来技術では、十分な高密度配線
を行なうことができないという問題があった。
【0019】配線密度の目安として、グリーンシートに
あける貫通孔の間隔(スルーホールピッチ)がある。こ
のピッチの限界、すなわち配線密度の限界は、明けた貫
通孔の位置精度で決まり、この位置精度は、引張り強度
や剪断強度等のグリーンシートの機械的特性で決まる。
従って、配線密度を高くするためには、従来技術より機
械的特性の優れたグリーンシートが必要となる。そのた
めには、機械的特性の優れたグリーンシートを得ること
のできる材料とグリーンシート成形プロセスとの開発が
必要である。
【0020】また、従来の焼結技術では、セラミック粉
末原料の粒径や組成ばらつき、グリーンシート密度ばら
つき、セラミック材料と銅導体との焼結収縮カーブのミ
スマッチ及び銅導体のパターン密度、積層圧着工程での
積層体密度ばらつき、焼成工程での雰囲気および温度ば
らつき等、原材料やプロセスに起因する焼結収縮率ばら
つきがあるため、焼結した基板の寸法精度も十分ではな
く、これもまた高密度配線を妨げていた。また、薄膜配
線基板を搭載するためにも、高い寸法精度が要求され
る。しかし、焼結体の寸法精度を大幅に改善するために
は、従来とは異なる新しい配線基板製造プロセスを開発
する必要がある。
【0021】そこで、本発明は、上述した諸問題を解決
し、溶剤として水系溶剤を用い、脱バインダが容易で、
高密度配線が可能であり、寸法精度の高い配線基板およ
びその製造方法と、該配線基板を製造するための材料と
を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記のような配線基板
は、高軟化点で耐水性が良好な硼珪酸ガラスとセラミッ
クフィラーとからなる基板用ガラス材料、および、熱分
解性が良好で孔あけおよび印刷工程での寸法変化が小さ
い水系分散型バインダ樹脂を用い、寸法収縮変化がほと
んど無い加圧焼結を行なうことによって得られる。
【0023】本発明では、上記目的を達成するために、
下記(1)〜(4)の工程をこの順で有する配線基板の
製造方法と、この方法に用いられる材料、この方法によ
り作製される配線基板と、該配線基板を備える電子回路
装置、電子計算機用モジュール、および電子計算機とが
提供される。
【0024】(1)非晶質ガラスと、フィラーと、有機
バインダと、溶剤とを混合してスラリーを調製するスラ
リー調製工程 (2)スラリーをシート状に加工して、グリーンシート
を調製するグリーンシート調製工程 (3)グリーンシートに、導体によりビアホールおよび
/または配線を形成する導体形成工程 (4)グリーンシートを、必要に応じて積層する工程 (5)積層体を700〜880℃に加熱して脱バインダ
する工程 (6)積層体を900〜1050℃に加熱して焼結する
加熱工程 ただし、上記の非晶質ガラスは、SiO2、B2O3、R2
O(Rはアルカリ金属を表す)と不可避的不純物とを含
み、図1に示すSiO2−B2O3−R2O系三角組成図に
おいて、第1の組成を示す点および第3の組成を示す
点、第3の組成を示す点および第10の組成を示す点、
第10の組成を示す点および第11の組成を示す点、第
11の組成を示す点および第4の組成を示す点、第4の
組成を示す点および上記第1の組成を示す点、をそれぞ
れ結ぶ線により囲まれる領域内(線上含む)の点の示す
組成を有する。ただし、図1において、各組成を示す点
は小円により表されており、小円内の数字は、該小円の
表す組成の番号を示している。
【0025】なお、三角組成図とは、三角座標により3
成分系の組成物を表現する図である。三角組成図におい
て、正三角形の頂点(A、B、Cとする)は、それぞれ
3成分のうちのいずれかの純物質を表し、正三角形内
(辺上を含む)の点は、3成分のうちの少なくとも1種
からなる組成物を表す。該組成物に含まれる各成分の比
率は、その組成物を示す点(Pとする)から、各頂点の
対辺へそれぞれ下した垂線の長さの比率により表され
る。すなわち、頂点Aの対辺をaとすると、頂点Aの示
す成分の比率は、点Pから辺aへ下された垂線(hとす
る)の長さにより表される。この線分hの長さ(すなわ
ち、頂点Aの示す成分の組成比)は、点Pから、線分h
に直行する線を引き、この線と頂点Aの示す成分の百分
率(または分率)目盛の付された辺との交点を求め、該
交点の目盛を読み取ることにより知ることができる。
【0026】また、非晶質ガラスの各成分は、それぞれ
酸化物として換算される。すなわち、SiO2成分の量
とは、非晶質ガラス中に含まれる珪素の量を、酸化珪素
(SiO2)に換算して求められる量であり、B2O3成
分の量とは、非晶質ガラス中に含まれる硼素の量を、酸
化硼素(B2O3)に換算して求められる量であり、R2
O成分の量とは、非晶質ガラス中に含まれるアルカリ金
属の量を、アルカリ金属酸化物(R2O)に換算して求
められる量であり、Al2O3成分の量とは、非晶質ガラ
ス中に含まれるアルミニウムの量を、酸化アルミニウム
(Al2O3)に換算して求められる量であり、ZnO成
分の量とは、非晶質ガラス中に含まれる亜鉛の量を、酸
化亜鉛(ZnO)に換算して求められる量である。
【0027】各組成の組成比は、SiO2成分、B2O3
成分、およびR2O成分の総重量を100%としたと
き、第1の組成は、SiO2成分が88重量%、B2O3
成分が12重量%であり、第3の組成は、SiO2成分
が82重量%、B2O3成分が18重量%であり、第10
の組成は、SiO2成分が84重量%、B2O3成分が1
0重量%、R2O成分が6重量%であり、第11の組成
は、SiO2成分が90重量%、B2O3成分が5重量
%、R2O成分が5重量%であり、第4の組成は、Si
O2成分が89重量%、B2O3成分が10重量%、R2O
成分が1重量%である。
【0028】なお、上記組成範囲のうち、上記第4の組
成を示す点および第5の組成を示す点、第5の組成を示
す点および第9の組成を示す点、第9の組成を示す点お
よび上記第10の組成を示す点、上記第10の組成を示
す点および上記第11の組成を示す点、上記第11の組
成を示す点および上記第4の組成を示す点、をそれぞれ
結ぶ線により囲まれる領域内(線上含む)の点の示す組
成が、さらに好ましい。
【0029】ここで、第5の組成は、SiO2成分が8
7重量%、B2O3成分が11.5重量%、R2O成分が
1.5重量%である組成を示し、第9の組成は、SiO
2成分が84.7重量%、B2O3成分が10.8重量
%、R2O成分が4.5重量%である組成を示す。
【0030】また、ガラスの耐水性の点から、Rはカリ
ウムであることが望ましい。また、上述の組成における
R2Oを、R2OとR2Oのモル量の90%以下のAl2O
3とに置き換えた組成のガラスが、より好ましく、さら
に、非晶質ガラス全体に対して1〜4重量%のZnO成
分を含んでいてもよい。
【0031】なお、非晶質ガラスとフィラーの量は、非
晶質ガラスおよびフィラーの前体積を100体積%とし
たとき、非晶質ガラスが60〜95%であり、フィラー
が40〜5体積%であることが好ましい。
【0032】また、本発明では、有機バインダとして、
水溶性高分子を重合用分散安定剤として用いた懸濁重合
によって得られるセラミック成形用有機バインダ、すな
わち、(A)少なくとも一種類以上のアクリル酸エステ
ルまたはメタクリル酸エステル(ただし、炭素数が1〜
18個のアルキル基、炭素数が1〜12個の環状アルキ
ル基またはアリール基のエステル)100重量部と、
(B)水溶性高分子(重合用分散安定剤)1〜9.5重
量部とを、水または水と水溶性有機溶剤との混合液に溶
解し、重合開始剤存在下で(A)のエステル化合物を懸
濁(共)重合させて得られる高分子化合物を用いる。
【0033】さらに、本発明では、(6)の工程におい
て、成形体(積層する場合は積層体、積層しない場合は
グリーンシート)を焼結する際に、厚さ方向に加圧する
ことが望ましい。このようにすれば、表面に発生する摩
擦力または拘束力により、成形体の厚さ方向に垂直な方
向の収縮を抑制、制御することができるからである。
【0034】
【作用】本発明の配線基板の製造方法の一例を図2に模
式的に示す。図2に示した方法は、(1)まず、図2
(a)に示すように、ボールミル装置1に非晶質ガラス
とフィラーとからなるガラスセラミック組成物、有機バ
インダ、および溶剤を入れ、混合してスラリーにするス
ラリー化工程と、(2)図2(b)に示すように、スラ
リー2をキャスティングマシーン3によりシート状に加
工して、グリーンシート4にするグリーンシート形成工
程と、(3)図2(c)に示すように、得られたグリー
ンシート4にポンチ5を用いて貫通孔51をあける孔あ
け工程と、(4)図2(d)に示すように、グリーンシ
ート4上に載せた導体ペースト7をスキージ6によりグ
リーンシート4の貫通孔51に充填してビアホール53
を形成し、さらにグリーンシート表層部に導体ペースト
を印刷して配線52を形成する印刷工程と、(5)図2
(e)に示すように、図2(d)で得られたビアホール
53および配線52を備えるグリーンシート4を複数枚
積層して接着し、グリーンシート積層体41を形成する
積層工程と、(6)図2(f)に示すように、得られた
グリーンシート積層体41を、加熱炉8により700〜
880℃に加熱して脱バインダする脱バインダ工程と、
さらに900〜1050℃で焼結する焼結工程とを、こ
の順で有する。以下に、その詳細について述べる。
【0035】<ガラスセラミック組成物> a.軟化温度 本発明のグリーンシートを構成する(すなわち、スラリ
ー化工程で用いられる)ガラスセラミック組成物はガラ
ス粒子とフィラー粒子とからなる複合体であり、このよ
うな複合体は、熱処理による加熱によってガラスが軟化
流動し、ガラス粒子接触部が増大してガラス粒子の表面
積の減少が生じる、すなわち、ガラス粒子どうしの焼結
が生じる。ガラスが軟化流動し、焼結が生じる温度は、
ガラスの軟化温度、ガラス粒子と混合されるフィラーの
量、ガラス粒子およびフィラー粒子の粒径等に依存す
る。一般に、フィラーはガラス粒子どうしの焼結を阻害
するので、フィラーの量が多いほどガラス粒子の焼結は
起こり難くなる。
【0036】上述したように、グリーンシートに含まれ
る有機バインダの焼尽のための熱処理の間、ガラス粒子
の焼結は起こり難い方が好ましい。そのために、フィラ
ーの量を多くすることが考えられる。しかし、フィラー
の量が多くなり過ぎると、ガラスの緻密化焼結が起き難
くなる。緻密化焼結するための熱処理温度は、銅の融点
1083℃よりも少し低い1050℃以下に制限される
ので、緻密化焼結し難い場合には長時間熱処理するこ
と、加圧をしながら熱処理することなどによって、でき
るだけ緻密化することを試みたが、そのような熱処理は
多層セラミック配線基板の生産性の点であまり好ましく
ない。
【0037】多層セラミック配線基板用ガラスセラミッ
クスのガラス組成物としては、基板特性として要求され
る熱膨張係数、比誘電率の点から、パイレックスガラス
(コーニング社商品名)を代表とする硼珪酸ガラスが用
いられる。パイレックスガラスの組成は、SiO2:8
1重量%、B2O3:12重量%、Na2O:4重量%、
Al2O3:3重量%であり、軟化温度は821℃で、市
販の硼珪酸ガラスの中では、最も軟化温度の高いものの
ひとつである。パイレックスガラス以上の軟化温度を有
する硼珪酸ガラスは、製造コストが高く、量産されてい
る市販ガラスとして入手することは困難である。
【0038】本発明者らはパイレックスガラスを用いて
多層セラミック基板の製造を検討したところ、軟化温度
が低すぎるため、フィラー量が少ないと、脱バインダ工
程(700〜880℃の非酸化性雰囲中の熱処理)にお
いてガラス粒子の焼結が進行してしまい、有機バインダ
残渣がガラス中に取り込まれ、完全な脱バインダが困難
であった。一方、フィラー量を50体積%以上と多くし
た場合、ガラス粒子の焼結が抑制され、脱バインダは容
易になった。しかし、このようにフィラー量を多くする
と、緻密化焼結し難く、1050℃の高温焼成でも、1
0時間以上の長時間を要した。
【0039】軟化点より低い温度で脱バインダを行なえ
ば、ガラス中へのカーボンの取り込みは起こらない。一
方、銅(融点1083℃)との同時焼結を行なう必要が
あるため、1000℃付近で焼結するガラスを用いる必
要がある。
【0040】そこで、本発明では、軟化点が850℃〜
1100℃のガラスを用いる。軟化温度が850℃以上
であれば、脱バインダ時の加熱による焼結の進行はほと
んど起こらず、軟化温度が1100℃よりも低ければ、
1050℃以下の焼成で緻密化焼結することができるか
らである。
【0041】なお、軟化点が800℃未満のガラスを用
いても、添加するフィラー量を増やせば焼結による収縮
カーブが緩やかとなり緻密化温度が高くなる。そこで、
フィラー量を増やせば、緻密化温度を800℃より高く
することができるので、緻密化前に、800℃で脱バイ
ンダを行なうことができるように見える。しかし、個々
のガラス粒子に着眼すると、脱バインダ温度がガラスの
軟化点以上であるため、脱バインダ工程においてすでに
ガラス粒子が軟化し、内部にカーボンを閉じ込めてしま
う。従って、ガラスの軟化点は、カーボン除去反応温度
以上であることが好ましい。
【0042】b.耐水性 水を主成分とする溶剤を用いて、グリーンシート作製用
スラリーを得るためには、ボールミル混合時にガラスの
成分が溶出しない、すなわち、耐水性の高いガラスを用
いる必要がある。
【0043】硼珪酸ガラス成分中の酸化ホウ素成分(B
2O3)は、水に溶出しやすい。ボールミル混合時にこの
成分が溶剤に溶出すると、ガラス成分中のB2O3成分が
減少するだけでなく、グリーンシート成形後に、数十μ
m位の大きさのホウ酸結晶として、溶出したB2O3成分
がグリーンシート表面に析出する。この析出したホウ酸
結晶は配線幅が100μm以下の微細配線を形成する際
に、断線や短絡の原因となる。同様に、グリーンシート
を保管する際にも耐水性の悪いガラス材料を用いると、
吸湿によってホウ酸結晶が析出する。また、硼珪酸ガラ
スの耐水性が悪いと、焼結体となってもB2O3が水に溶
出しやすく、高湿度雰囲気下において表面にホウ酸結晶
が析出し、基板の強度を劣化させる。以上の理由から、
本発明で用いられるガラスは、耐水性が良い必要があ
る。
【0044】耐水性の目安としては、ガラスを純水中に
90℃で8時間浸漬したときの、ガラスの表面積当たり
のB2O3の溶出量を用いることができる。この溶出量
は、1.9mg/m2(上記パイレックスガラスの溶出
量)以下が望ましく、1.5mg/m2以下がさらに望
ましい。本発明の非晶質ガラスは、この耐水性の基準
(1.9mg/m2以下)を満たしており、特にR2Oが
K2Oであるガラスは耐水性に優れている。
【0045】c.クリストバライト結晶析出性 市販されている硼珪酸ガラスである上述のパイレックス
ガラスを、1000℃付近まで加熱すると、クリストバ
ライト結晶が析出してくる。クリストバライト結晶は2
30℃付近での結晶相転移に伴う大きな体積変化を起こ
すため、クラックや基板強度低下原因となる。従って、
クリストバライト結晶の析出しにくいガラスを用いるこ
とが好ましい。
【0046】d.比誘電率および熱膨張係数 さらに、本発明の硼珪酸ガラスは、比誘電率が小さく、
多層配線基板としての信号伝搬を速くする作用がある。
また、本発明の硼珪酸ガラスは、熱膨張係数が小さく、
添加するフィラーと組み合わせて熱膨張係数をシリコン
と整合させることができる。、本発明のセラミック組成
物は、上記熱処理によっても硼珪酸ガラスからクリスト
バライト結晶が析出せず、好ましい。なお、シリコンの
熱膨張係数は3.0×10-6/℃であるから、セラミッ
ク焼結体の熱膨張係数は2.0〜4.0×10-6/℃で
あることが望ましい。
【0047】e.本発明の非晶質ガラス 本発明の非晶質ガラスの組成は、上述した軟化温度、耐
水性、熱膨張係数、クリストバライト結晶析出性、およ
び比誘電率等の特性に優れるガラス材料という観点か
ら、探索実験により求められたものである。
【0048】本発明の非晶質ガラスの第一組成域は、図
1に示すSiO2−B2O3−R2O系三角組成図におい
て、重量%でSiO2が88、B2O3が12である組成
を第1の組成、SiO2が82、B2O3が18である組
成を第3の組成、SiO2が84、B2O3が10、R2O
が6である組成を第10の組成、SiO2が90、B2O
3が5、R2Oが5である組成を第11の組成、SiO2
が89、B2O3が10、R2Oが1である組成を第4の
組成とした場合、第1の組成を示す点および第3の組成
を示す点を結ぶ直線と、第3の組成を示す点および第1
0の組成を示す点を結ぶ直線と、第10の組成を示す点
および第11の組成を示す点を結ぶ直線と、第11の組
成を示す点および第4の組成を示す点を結ぶ直線と、第
4の組成を示す点および第1の組成を示す点を結ぶ直線
とで囲まれた範囲(線上の組成も含む)の示す組成域で
ある。
【0049】この組成域に含まれる組成のガラスは軟化
温度が850〜1100℃であり、耐水性は実用レベル
であり、熱膨張係数もフィラーの添加によりシリコンに
整合させることができるものである。この範囲の非晶質
ガラスを用いて調製したグリーンシートにおいては、脱
バインダ工程(700〜880℃の非酸化性雰囲気中の
熱処理)ではガラス粒子の焼結が進行し難く、上述した
ように熱分解の起こりにくい水溶性有機バインダを用い
た場合でも、有機バインダ残渣がガラス中に取り込まれ
ることなく脱バインダを容易に行うことができた。しか
も、本発明のセラミック組成物により調製したグリーン
シートは、緻密化焼結の工程において、1050℃以下
の短時間(2時間)焼成でも、緻密化焼結することがで
きる。
【0050】ここで、SiO2およびB2O3はガラスの
網目構造を形成し、SiO2成分量の増大は軟化温度を
高め、耐水性を高める作用をもち、B2O3成分量の増大
は軟化温度を低下し、耐水性を低める作用をもつ。R2
Oは網目修飾成分として、軟化温度を低下し、一部の組
成領域でB2O3の耐水性を高める作用をもつ。本発明の
非晶質ガラスよりもSiO2が多い組成のものは、軟化
温度が高くなり過ぎて1000℃付近での焼結が困難と
なり、また、B2O3が多い組成のものは、B2O3の溶出
量が大きすぎるため耐水性の点で劣り、R2Oが多い組
成のものは、熱膨張係数が高すぎるためLSIチップと
の熱膨張係数差が大きくなるため、本発明の目的に適さ
ない。
【0051】第1の組成と第4の組成と第11の組成を
結ぶ線よりSiO2の多い側の組成を有するガラスは、
軟化温度が高すぎるため、本発明の目的を達成する上で
は好ましくない。また、第11の組成と第10の組成を
結ぶ線よりR2Oの多い側の組成を有するガラスは、熱
膨張係数が高すぎるため、本発明の目的を達成する上で
は好ましくない。第3の組成と第10の組成を結ぶ線よ
りSiO2の少ない組成はB2O3溶出量が大きすぎるた
め、本発明の目的を達成する上では好ましくない。
【0052】本発明の非晶質ガラスの第二の組成域は、
図1に示すSiO2−B2O3−R2O系三角組成図におい
て、重量%でSiO2が89、B2O3が10、R2Oが1
である組成を第4の組成、SiO2が87、B2O3が1
1.5、R2Oが1.5である組成を第5の組成、Si
O2が84.7、B2O3が10.8、R2Oが4.5であ
る組成を第9の組成、SiO2が84、B2O3が10、
R2Oが6である組成を第10の組成、SiO2が90、
B2O3が5、R2Oが5である組成を第11の組成とし
た場合、第4の組成を示す点および第5の組成を示す点
を結ぶ直線と、第5の組成を示す点および第9の組成を
示す点を結ぶ直線と、第9の組成を示す点および第10
の組成を示す点を結ぶ直線と、第10の組成を示す点お
よび第11の組成を示す点を結ぶ直線と、第11の組成
を示す点および第4の組成を示す点を結ぶ直線とで囲ま
れた範囲(線上の組成も含む)の示す組成域である。
【0053】この組成域に含まれる組成のガラスは、上
述した第一の組成域に含まれるガラスの中で、特に耐水
性が高い(すなわちB2O3溶出量が少ない)。この第2
の組成域に含まれる組成のガラスや、そのガラスを用い
て製作されたグリーンシートは保管や取扱い雰囲気の制
限がほとんどなくなり、より好ましい。
【0054】上述の組成範囲のなかでも、SiO28
7.0重量%−B2O39.0重量%−K2O4.0重量
%(第8の組成)またはその近傍の組成のガラスは、軟
化温度、耐熱性、耐水性に優れ、最も好ましい。
【0055】本発明の非晶質ガラスの第三の組成域は、
上記第二組成域に含まれる組成のガラスのR2O成分
を、R2Oと、該R2Oのモル量の90%以下のモル量の
Al2O3とに置き換えて得られる組成の範囲である。こ
の組成のガラスは、Al2O3の存在により、熱処理によ
るガラスからのクリストバライト結晶の析出も抑制され
るため、極めて好ましい。さらに、Al2O3の添加に
は、B2O3の溶出量を少なくするという効果もある。た
だし、Al2O3の添加がガラスに含まれるR2Oのモル
量の90%を超えると、ガラスの軟化温度が1100℃
を超えてしまうため、好ましくない。ここでRは、N
a、K等のアルカリ金属を示し、耐水性の点から、Kが
最も好ましい。
【0056】Al2O3を添加することにより、クリスト
バライト結晶の析出が抑制されるメカニズムは、つぎの
ようなものであると考えられる。
【0057】SiO2−B2O3−R2O系ガラスの構造
は、図7(a)に示すようにSi原子の酸素4配位体と
B原子の酸素3配位体およびB原子の酸素4配位体の無
秩序網目構造である。ここで、B原子の酸素4配位体は
電荷補償のため、Rイオンを引き付けている。この3成
分系にAl2O3が添加された場合、図7(b)に示すよ
うにB原子の酸素4配位体はB原子の酸素3配位体にな
り、Rイオンを引き付けたAl原子の酸素4配位体が形
成される。B2O3溶出はB原子の酸素3配位体の方が、
B原子の酸素4配位体よりも起きやすい。Al2O3添加
を添加すると、B2O3溶出量のわずかな増加が見られる
が、これは、B原子の酸素4配位体がB原子の酸素3配
位体に変わるためと考えられる。
【0058】つぎに、Al2O3を添加しないガラスと、
Al2O3を添加したガラスとを、それぞれ熱処理した場
合について考える。上述のように、Al2O3を添加しな
いガラスでは、B原子は酸素4配位体となっている。図
8(a)に示すように、B原子の酸素4配位体は、B−
O結合力およびRイオンを引き付ける力が比較的小さい
ため、高温でそれらの結合が切断され、Siの非架橋酸
素が形成されやすいと考えられる。このため、高温にお
ける粘度が低下し、クリストバライト結晶が析出しやす
い。一方、Al2O3を添加したガラスでは、Al原子が
酸素4配位体となっている。図8(b)に示すように、
Al原子の酸素4配位体はAl−O結合力およびRイオ
ンを引き付ける力が比較的大きいため、高温でもそれら
の結合が切断されにくく、クリストバライト結晶が析出
しにくいと考えられる。しかし、Al2O3の添加量が多
過ぎると、ガラスの軟化温度が高くなり過ぎるという副
作用を生じるため好ましくない。
【0059】なお、第8の組成ではそのK2Oのモル量
の80%以上のモル量のAl2O3を添加すれば、クリス
トバライト結晶の析出をほぼ完全に抑制できるが、Al
2O3添加量をK2Oのモル量の50%以上とすれば、ク
リストバライト結晶析出量を1/5以下とすることがで
きる。Al2O3の添加量をK2Oのモル量の80%とし
たとき、軟化温度は1020℃となり、Al2O3添加量
をこれより多くすれば、軟化温度も1020℃より高く
なある。軟化温度は、1000℃付近が最も好ましいた
め、Al2O3添加量は、K2Oのモル量の80%以下が
特によいと考えられる。そこで、第8の組成に対するA
l2O3の添加量は、K2Oのモル量の50%以上80%
以下とすることが特に望ましく、70%モル量またはそ
の付近とすることが最も好ましい。
【0060】本発明の非晶質ガラスの第四の組成域は、
上記第一〜第三の組成域のガラスに、ZnOを1〜4重
量%添加して得られるガラスの組成の範囲である。この
組成のガラスはB2O3溶出量が少なく、比誘電率が低い
という特徴があり、好ましい。ZnOの添加量が1重量
%より少ない場合には、添加の効果が得られず、ZnO
の添加量が4重量%より多い場合には、熱処理によるガ
ラスからの結晶析出が起こり易く好ましくない。
【0061】以上に述べた組成のガラスは、例えば、無
水ケイ酸(SiO2)、ホウ酸(H3BO3)、およびア
ルカリ金属の炭酸塩(R2CO3)と、必要に応じて、ア
ルミナ(Al2O3)および/または酸化亜鉛(ZnO)
を所定の組成比になるように秤量、続いてボールミル混
合後この混合粉末をルツボに入れ、加熱炉にて混合粉末
が十分溶融する温度で加熱した後急冷して非晶質ガラス
塊を作製し、所定の粒径となるように粉砕することによ
って得られる。
【0062】f.フィラー ところで、セラミック配線基板としてのセラミック材料
としては、硼珪酸ガラスを単独で使用せずに、機械的強
度の向上、クリストバライト結晶析出を抑える、熱膨張
係数のLSIチップとの整合、及び銅との同時焼結のた
めの収縮整合を目的としてフィラーを添加した、ガラス
/フィラー複合体とした材料が用いられる。
【0063】このようなフィラーとしては、ムライト、
アルミナ、コージェライト、石英を単独またはこれらを
組み合わせた混合物が用いられ、フィラーを添加する量
としては上記目的、比誘電率、及び焼結でのセラミック
材料の緻密化・変形・寸法精度等を材料構成及びプロセ
スを考慮して調整される。
【0064】本発明のガラスに添加するフィラーは、焼
結後、ガラスマトリックス相中に分散する粒子として構
成され、(a)ガラスセラミック複合体の機械的強度を
向上させる作用、(b)ガラスセラミック複合体の熱膨
張係数をシリコンと整合させる作用、(c)硼珪酸ガラ
スからの熱処理によるクリストバライト結晶析出を抑え
る作用、等の作用をもつ。上記したように、ガラスセラ
ミック複合体としては、高強度、低比誘電率が好まし
い。フィラーとしてのアルミナは、特に上記(a)、
(c)の作用、ムライトおよびコージェライトは上記
(a)、(b)、および(c)の作用、石英ガラスは特
に低比誘電率化の作用を有する。本発明では、これらそ
れぞれの単独体、あるいは、これらから選ばれる複数種
を組合せた混合物が、ガラスにフィラーとして添加され
る。
【0065】つぎに、セラミック組成物に含まれるフィ
ラーの量と、加圧焼成との関係について説明する。な
お、フィラー量と、焼成時に印加した圧力と、焼結温度
および相対密度(ボイド0%の時相対密度は100%)
との関係を、図21に模式的に示す。
【0066】本発明では、焼成時に加圧することが望ま
しい。フィラー添加量は、加圧焼成時の最高温度保持時
に、ガラス材料が緻密化可能な範囲とする。焼成時に印
加する圧力を大きく設定すれば、添加できるフィラー量
は増える。しかし、フィラー量が増えると、緻密化した
時のガラスとフィラーからなるセラミック中のボイドが
多くなってしまう。セラミック体のボイドは5%以下で
あることが望ましく、このようにするためには、ガラス
およびフィラーの粒径にも依存するが、ガラス50〜1
00体積%に対してフィラーを50〜0体積%とするこ
とが好ましい。フィラー添加量が50体積%を超える
と、ガラス/銅配線基板を作製できる範囲内で(すなわ
ち、基板を破壊しない範囲内で)圧力および温度を最高
にしても、フィラーの周りを取り囲むためのガラスの量
が不十分なため、ガラスセラミック中のボイドを5%以
下とすることができない。なお、焼結を1050℃以下
の温度で行なうためには、フィラーを、セラミック全体
の40体積%以下にすることが望ましい。
【0067】<バインダ材料>グリーンシート用のバイ
ンダとしては、バインダ除去時間が短くてすむよう、熱
分解後のバインダ残渣物である残留カーボン量が少な
い、水系材料を用いることが望ましい。また、バインダ
材料は、グリーンシートの機械的性質、すなわち、該グ
リーンシートに微小な貫通孔を多数明ける際の歪量を支
配することから、高位置精度な孔あけを実現するために
は、この歪量が小さくなるようなバインダ材料が良い。
このような観点から、バインダには、熱分解が解重合型
で、熱分解時のカーボン残渣量が少なく、貫通孔を明け
る際の歪が小さい材料を用いることが望ましい。
【0068】このようなバインダ材料として、水溶性高
分子を重合用分散安定剤として用いた懸濁重合によって
得られる重合体を用いることが好ましい。。
【0069】詳しくは、(A)下記一般式(化1)で表
されるアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル
のうちの少なくとも一種:100重量部と、
【0070】
【化1】
【0071】(ただし、R1は、炭素数が1〜18個の
アルキル基、炭素数が1〜18個の環状アルキル基また
は炭素数が5〜18個のアリール基):100重量部
と、(B)分散安定剤:1〜9.5重量部とを、水また
は水と水溶性有機溶剤との混合液に溶解し、重合開始剤
存在下で(A)成分を懸濁(共)重合させて得られるセ
ラミック成形用有機バインダが好ましい。本発明で用い
る有機バインダは、水溶性ではなく、水系分散型粒子で
あることから吸湿性が低いため、これを用いて得られる
グリーンシートの機械的特性および寸法安定性が良い。
【0072】なお、有機バインダはバインダ調製用溶剤
に分散した状態で用いられるが、その状態の固形分濃度
は、濃度が高いと粒径が大きくなり、濃度が低いとグリ
ーンシート作製時の添加量の調節や乾燥等の作業性が低
下することから、20〜50重量%が好ましく、30重
量%程度がさらに好ましい。
【0073】a.モノマ (A)成分は、セラミック成形用有機バインダの主成分
であり、メタクリル酸エステルは、熱分解性が良好なた
め特に好ましい。メタクリル酸エステルの中でも、特
に、メタクリル酸n−ブチル(以下、n−BMAと略
す)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−オク
チル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル(以
下、n−BAAと略す)等が良い。さらに、これらの中
でも、熱分解性およびグリーンシート孔明け時の孔位置
精度の点から、特にメタクリル酸n−ブチルが良好であ
る。
【0074】b.分散安定剤 また(B)成分は、(A)成分を重合開始剤の存在下で
重合する際の、重合用分散安定剤として用いられる水溶
性高分子であり、具体的には、ポリエチレンオキシド
(以下、PEOと略す)、ポリビニル−2−ピロリド
ン、ポリビニル−2−ピロリドン共重合体、ポリ(2−
オキサゾリン)等が使用される。これらのなかで、熱分
解性の点からポリエチレンオキシドが特に好ましい。
【0075】本発明では、水系分散型粒子のバインダを
用いる。すなわち、セラミック粉末とのボールミル混合
時には、バインダは粒子状であり、乾燥工程でこの粒子
状のバインダを溶融させる。溶融したバインダは、個々
のセラミック粒子を接着し、粒子状のバインダが占めて
いた部分が空間となる。したがって、セラミック成形用
バインダとしてのバインダポリマの平均粒径としては、
用いられるセラミック粒子の大きさと同等もしくはそれ
以下の、5μm以下、好ましくは3μm以下が良い。
【0076】このような粒子径を得るためには、粘度平
均分子量が10〜100万の水溶性高分子(特にポリエ
チレンオキシド)を重合用分散安定剤として使用するこ
とが好ましく、粘度平均分子量が10〜50万であれば
さらに好ましい。また、この水溶性高分子(特にポリエ
チレンオキシド)の量は、(A)成分のモノマ100重
量部に対して、1〜9.5重量部が良く、6〜8重量部
がさらに好ましい。(A)成分のモノマ100重量部に
対して水溶性高分子である(B)成分の量を1重量部未
満とすると、(A)成分が分散せず、また、9.5重量
部を超える場合には、熱分解性の点から好ましくない。
【0077】c.重合開始剤 また、重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム(以
下、APSと略す)等の過硫酸塩、過酸化物、アゾ化合
物等を用いることができ、特に制限されないが、モノマ
100重量部に対して0.5重量部以下とするこが望ま
しい。
【0078】d.溶剤 バインダ調製用溶剤としては、水、または、水と一種以
上の水溶性有機溶剤との混合液が用いられる。水溶性溶
剤としては、例えば、下記一般式(化2)で表されるア
ルコール、および、下記一般式(化3)で表されるエチ
レングリコール誘導体のうちのいずれかを用いることが
でき、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソプロパノール(以下、IPAと略す)等のア
ルコールや、エチレングリコールメチルエーテル等のエ
チレングリコール誘導体等を用いることができる。これ
らの有機溶剤のうち、特にIPAが好ましい。
【0079】
【化2】
【0080】(ただし、R2は炭素数1〜18のアルキ
ル基または炭素数1〜18の環状アルキル基)
【0081】
【化3】
【0082】(ただし、R3は、水素、炭素数1〜18
のアルキル基、炭素数1〜18の環状アルキル基、また
は、炭素数5〜18のアリール基であり、R4は、水
素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6の環状ア
ルキル基、または、炭素数5〜6のアリール基であり、
nは1〜20である) また、これらの有機溶剤と水との混合比は、水を100
〜50重量%、水溶性溶剤を0〜50重量%とすること
が望ましく、水を95〜50重量%、水溶性溶剤を5〜
50重量%とすることがさらに望ましい。なお、バイン
ダ調製用溶剤量は、モノマ100重量部に対して100
〜400重量部が好ましく、250重量部付近がさらに
好ましい。
【0083】e.可塑剤 グリーンシート成形用のバインダは、可塑剤を含むこと
が望ましい。可塑剤としては、バインダ用溶剤と相溶性
が良く、水または水溶性有機溶剤と共沸せず、グリーン
シート成形時の乾燥工程で揮発しにくいものが良い。そ
こで、可塑剤として、下記一般式(化4)により表され
る芳香族ジカルボン酸エステルのうちの少なくともいず
れかを用いることが望ましい。
【0084】
【化4】
【0085】(ただし、R5は、炭素数1〜18のアル
キル基、炭素数1〜18の環状アルキル基、または、炭
素数5〜18のアリール基であり、R6は、炭素数1〜
18のアルキル基、炭素数1〜18の環状アルキル基、
または、炭素数5〜18のアリール基である。また、R
7は炭素数5〜18の2価の芳香族基であり、特にフェ
ニレン基が好ましい。) この可塑剤の具体例としては、ジイソデシルフタレート
(以下、DIDPと略す)、ジブチルフタレート(以
下、DBPと略す)、ジ−2−エチルヘキシルフタレー
ト、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エステルが挙
げられ、これらのなかでもDIDPが好ましい。可塑剤
の添加量は、モノマ100重量部に対して5〜15重量
部とすることが好ましく、10重量部程度がさらに好ま
しい。
【0086】f.バインダ調製方法 バインダは、例えば、以下の手順で調製することができ
る。まず、バインダ用溶剤に(B)成分1〜9.5重量
部を溶解し、得られた溶液中に、0.15重量部程度の
重合触媒を添加し、重合触媒の種類によるが、通常、4
0〜90℃に加熱しながら激しく撹拌しつつ、(A)成
分100重量部および可塑剤を添加して、重合(または
共重合)反応を行うことによって、バインダが得られ
る。
【0087】なお、添加する(A)成分量は、重合反応
を円滑にするため、溶液濃度が60重量%以下となる量
とすることが望ましい。また、バインダがグリーンシー
トの機械的性質、すなわち、グリーンシートに微小な貫
通孔を多数明ける際の歪量を決めることから、バインダ
材料と同様に、可塑剤の量も、この歪量が小さくなるよ
うに定めることが、高位置精度な孔あけのために望まし
い。
【0088】<グリーンシート>本発明の非晶質ガラス
とフィラーとからなるセラミック粉末と、上述したバイ
ンダと、分散剤と、スラリー用溶剤とを、ボールミル混
合することにより、スラリーが得られる。このスラリー
をシート状に成形し、乾燥することにより、グリーンシ
ートが得られる。
【0089】a.スラリー用溶剤 なお、スラリー用溶剤としては、バインダ粒子の分散性
の点からバインダ作製時と同様の溶剤、すなわち、水、
または、水と水溶性有機溶剤との混合溶剤を用いること
が望ましく、水とイソプロパノールとの混合溶剤を用い
ることが特に望ましい。ここで、水とイソプロパノール
との混合溶剤を用いた場合でも、グリーンシート成形時
の乾燥工程において十分な空気を流すことで、容易に、
空中の溶剤濃度を爆発限界以下とすることができる。
【0090】b.バインダ量 バインダの量としては、脱バインダ性、グリーンシート
の成形性、積層圧着性の点から、セラミック粉末100
重量部に対して5〜25重量部が適当である。
【0091】c.分散剤 また、分散剤は、セラミック粉末の分散のため、添加す
ることが望ましく、例えば、ポリアクリル酸アンモニウ
ム塩等を用いることができ、その添加量は、セラミック
粉末100重量部に対して0.5重量部以下とすること
が望ましく、0.1〜0.2重量部が特に好ましい。
【0092】d.熱処理 先に述べたように、本発明のバインダは、粒子状態で混
合されてセラミック粒子間を接着する。このとき、キャ
スト温度が低いと、十分な接着強度が得られない。そこ
で、グリーンシートの引張り強度、ヤング率等の機械的
特性を向上させるために、乾燥時に、適宜熱処理を行っ
ても良い。
【0093】この熱処理の温度および時間は、バインダ
粒子が溶融する条件とすることが望ましく、具体的に
は、80〜120℃、30〜90分程度とすることが望
ましい。この加熱条件であれば、バインダ粒子は、溶融
して、十分にセラミック粒子を相互に接着することがで
きる。
【0094】<配線形成>本発明では、グリーンシート
に高位置精度で孔あけできるため、グリーンシートを積
み重ねる際のセラミック基板Z方向(厚さ方向)の接続
が、高位置精度で行えることから、微小径孔での配線の
接続が可能となる。さらに、本発明では、グリーンシー
トに高位置精度で孔あけできるため、多数のビア配線に
よる、短いピッチでの接続が可能となるので、従来と比
べ配線の高密度化ができる。また、同様に、本発明で
は、グリーンシートに高位置精度で従来よりも多数の孔
をあけることができるため、これにあわせて配線幅を小
さくすることで、XY方向(表面の縦横方向)の配線に
ついても高密度化できる。
【0095】ところで、配線の形成は一般的な配線形成
方法を適用することができる。例えば、スクリーン印刷
法により銅配線を形成する場合には、Cu、Cu合金、
または、ガラスを添加したCu等の導体を含むCuペー
ストを、所望の配線パターンを形成したスクリーン版お
よびスクリーン印刷機で、グリーンシート表面に印刷し
て、配線パターンを形成する。この場合、配線形成の精
度はスクリーンのパターン精度およびスクリーン印刷時
のパターン精度で決まるが、この精度は上述のグリーン
シートへの孔加工時の位置精度より高精度である。すな
わち、配線の高密度化の限界はグリーンシートへの孔加
工時の位置精度で概略決まり、基板サイズにもよるが、
焼結前で0.15mmピッチ程度である。
【0096】<焼成>セラミック配線基板を焼成する際
の高寸法精度化は、焼成時にセラミック配線基板の厚さ
方向に圧力を加えることによって達成できる。すなわ
ち、セラミック成形の焼成時に、厚さ方向に圧力を加え
ることによって、表面に摩擦力または拘束力を発生させ
る。この摩擦力または拘束力を最適に制御するることに
より、平均焼成収縮率をほぼ0とし、同時に収縮率ばら
つきもほぼ0に低減することができる。
【0097】なお、この時、収縮抑制力は、加圧される
基板と加圧する側との間に働く摩擦力によって生じてい
るので、拘束されている表面から厚さ方向から離れるほ
ど収縮抑制力は小さくなり、反対に収縮量は大きくな
る。すなわち、加圧力を焼成時に基板がつぶれない程度
の範囲内で、基板表面の焼成による収縮を抑えるために
必要な拘束力となるように最適化することによって、側
面形状は凹型となる。
【0098】また、同様に、基板表面の焼成による収縮
を抑えることができる範囲内の拘束力を加えるととも
に、セラミック基板材料に発生する塑性変形量を適正範
囲内に制御することによって、焼成後のセラミック配線
基板の側面形状は凸型となる。
【0099】なお、加圧力を適正範囲以上に大きくする
と塑性変形によって基板が大きくつぶれて基板厚さが所
定の寸法以下となると同時に、内部配線の変形とともに
基板表面パターンにも伸びの寸法変化が起きる。
【0100】本発明のガラス材料およびバインダを用い
てグリーンシートを作製し、その表面に銅配線を形成し
て、加圧焼結した時の、平面方向(表面の縦横方向)お
よび厚さ方向の寸法変化率を、図20に示す。加圧力の
調整によって摩擦力を最適化すれば、基板表面パターン
寸法変化率を、ある加圧力範囲でほぼ0とすることがで
きる。この時の凹または凸型の側面変化量は、内部配線
の変形を考慮すれば、焼成後の基板厚さの1/2以下で
あることが好ましい。
【0101】ここで、加圧力および摩擦係数としては、
材料構成および焼成条件によってそれぞれの適正範囲が
あるために特に限定されるものではないが、概ね加圧力
としては100g/cm2以上、摩擦係数としては特に
数値が限定されることはなく基板表面パターンの収縮を
抑えるのに必要な拘束力が得られれば良い。
【0102】成形体に圧力を印加するには、例えば、接
触面に大きな摩擦力が得られ、かつ、セラミック成形体
の焼成温度範囲で寸法安定性が高い板状の加圧部材2枚
の間に、セラミック成形体を挾んで加圧する。なお、成
形体を加圧部材に挾持しながら積層すれば、同時に2個
以上の基板の焼結ができる。
【0103】加圧部材の熱膨張係数がセラミック配線基
板と同一であれば、表面パターンの収縮を完全に拘束す
る圧力を印加すると、収縮率は0となる。また、加圧部
材の熱膨張係数がセラミック配線基板の熱膨張係数と異
なっている場合には、焼成プロセスの冷却過程におい
て、セラミック配線基板が塑性変形を起こさない温度と
室温との間の温度範囲内における、両者の熱膨張率差に
基づく寸法変化が起こる。すなわち、加圧部材の熱膨張
係数がセラミック配線基板よりも大きい場合には、表面
パターンが小さくなるような寸法変化が起こり、加圧部
材の熱膨張係数がセラミック配線基板よりも小さい場合
には、表面パターンが大きくなるような寸法変化が起こ
る。見方を変えれば、加圧部材に種々の熱膨張係数の材
料を使用することで、セラミック配線基板の寸法の調整
が可能であり、概ね−0.2%〜+0.8%の範囲での
制御ができる。
【0104】なお、印加する圧力は、焼成過程全体で一
定にするよりも、温度に応じて最適な圧力に適正化する
ことがより好ましい。セラミック配線基板の寸法変化を
引き起こす主要因は、焼成の初期段階では、グリーンシ
ートおよびCuペースト中のバインダ成分の溶融や熱分
解除去によるものであり、中期段階では、セラミック粉
末粒子の焼結収縮によるものであり、後期段階では、セ
ラミック材料のガラス成分の軟化溶融にともなう液相成
分による焼結収縮によるものである。これらの原因によ
る焼結の収縮力は、互いに異なる場合が多いため、各段
階において最適な加圧力に制御することが好ましい。
【0105】つぎに、加圧焼成と脱バインダとの関係に
ついて述べる。グリーンシートに配線パターンを形成
し、これらを積層し圧着し、得られた積層体を焼成して
セラミック配線基板とする際には、グリーンシートおよ
び配線用導体ペーストに含まれるバインダを除去する必
要がある。セラミック配線基板として、ここでは、ガラ
ス/銅配線基板を例にとって詳しく説明する。
【0106】銅は酸化されやすいが、窒素中では還元さ
れるため、脱バインダは、窒素と水蒸気の混合ガス、ま
たは、窒素、水蒸気、水素の混合ガス等の非酸化性雰囲
気または還元性雰囲気において行なわれる。バインダ残
渣物のカーボンは、水蒸気中での熱力学的な反応によっ
て除去される。その後の焼結工程は、例えば、窒素雰囲
気でおこなう。
【0107】バインダ除去時間を短縮するためには、上
記のカーボンの除去反応速度が大きくなるように、雰囲
気ガスが焼成する基板内に常に行き渡るようにすること
が望ましい。したがって、圧力を加えるために基板に加
圧部材の材料としては、通気性が高いものが好ましい。
【0108】このような通気性が高く、かつ前述したよ
うに寸法が安定で加圧力以上の強度を持つもつ材料とし
ては、例えば、多孔質セラミック板や耐熱セラミック繊
維材を成形して得られる多孔質板などがあり、その気孔
率が50%以上、より好ましくは70%以上のものを用
いることが望ましい。気孔率が60%以上の通気性の十
分な厚さの材料で加圧し、雰囲気ガスを十分に供給した
場合には、基板側面と同様に上下面からも通気ができる
ので、無加圧すなわち通常の台板上に置いて焼成する場
合とほとんど同様の時間での脱バインダできる。
【0109】さらに、先に述べたように、カーボンの除
去反応を短時間化するためには、できる限り高温度、好
ましくは800℃以上の温度で、かつ、基板材料として
用いるガラス内部にカーボンが閉じ込められてカーボン
の除去が妨げられることがないように、ガラスの軟化点
付近以下の温度で行うほうが良い。本発明では、軟化点
が850〜1100℃の高軟化点ガラス材料を用いるこ
とから、カーボン除去反応を800℃以上、組成によっ
ては850℃以上とすることができる。850℃とした
場合には、800℃でのカーボン除去時間の約1/3の
時間とすることができ、脱バインダ時間をさらに短時間
化できる。
【0110】また、この加圧焼成は、高寸法精度のセラ
ミック配線基板を得ることができるだけでなく、セラミ
ック材料と導体材料の焼成収縮率差を吸収できることか
ら、一般的な無加圧焼成を行なう場合に必要な、セラミ
ック材料と導体材料との焼成収縮率の厳密な整合を必要
としない。また、加圧焼成によって焼成されたセラミッ
ク配線基板の表面は、基板を加圧部材表面に倣うため、
加圧部材表面と同様の平坦さになる。これにより、基板
表面の平坦性は、通常の無加圧焼成時と比較して大幅に
改善される。例えば、加圧部材表面の平坦性を20μm
とすると、この面に接して加圧された基板表面もほぼ2
0μmとなる。このことは、基板表面を研削することな
く、基板表面に厳密な平坦性が要求される薄膜工程(基
板表面に薄膜配線層を形成する工程)を行なうことがで
きる。
【0111】また、加圧焼成では、焼成時に寸法変化が
起こらないため、各基板毎の収縮率を決める必要がない
ので、原寸でのスクリーン設計ができるとともに、基板
表面に薄膜配線層を形成する場合にも、通常の無加圧焼
成の場合と比較して寸法変化がほとんど無く、かつ、収
縮のバラツキも大幅に小さく、寸法精度が良いため、整
合が容易になり、さらに、より配線密度の高い微細なパ
ターンとも整合が可能となる。また、一般的な無加圧焼
結では平面方向で約20%の収縮があるが、加圧焼成で
はほとんど収縮が無い。そこで、一般的な無加圧焼結の
場合と比較して、より小さなワークサイズで、大きな基
板を製造することができる。
【0112】<薄膜形成>つぎに、セラミック多層配線
基板の表裏の少なくとも一方の面(以下、単に「基板表
面」という)に、薄膜配線層を形成する方法について説
明する。
【0113】始めに、焼結後の基板表面の付着物を取り
除いた後、表面を洗浄したのち、薄膜プロセスを実行す
る。なお、基板表面の厚膜配線パターンが必要無い、あ
るいは、厳密な平坦性が必要である、などの場合には、
付着物を取り除いた後、洗浄する前に、必要に応じて、
基板平坦化のためのラッピングを行い、表面をポリッシ
ュする。
【0114】薄膜プロセスによる薄膜配線層の形成は、
例えば、つぎのようにして行なうことができる。
【0115】まず、ポリイミド前駆体ワニスのスピン塗
布により形成した塗膜を乾燥ベークした後、350〜4
00℃の温度で硬化させてポリイミド膜を形成する。続
いて、この層間絶縁膜に所望のレジストパターンを形成
した後、ヒドラジン−エチレンジアミン系の混合液やそ
の他のアルカリ性混合液でエッチングすることによって
所定のパターンの層間絶縁膜を形成する。この層間絶縁
膜の形成は、感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて、
フォトリソグラフィ法により形成することもできる。
【0116】得られた層間絶縁膜表面に、薄膜配線を形
成する。まず、層間絶縁膜表面の全面にスパッタリング
により、クロム/銅/クロム積層膜、または、チタン/
銅/チタン積層膜を成膜をする。なお、各層間のコンタ
クトを確保する必要がある場合には、スパッタ成膜直前
に、アルゴンガスによるスパッタエッチを行う。この積
層膜の所望の配線パターンへの加工は、クロムの加工に
はアルカリ性過マンガン酸カリウム水溶液またはアルカ
リ性フェリシアン化カリウム水溶液を主成分とするエッ
チャント、銅の加工にはリン酸/硝酸系の混合液エッチ
ャント、チタンの加工にははアンモニア/過酸化水素系
エッチャントを用いて行う。これにより、所望のパター
ンの薄膜配線が得られる。
【0117】以上の層間絶縁膜形成工程および薄膜配線
形成工程を、所望の回数繰り返すことにより、所定の層
数の薄膜配線層が形成される。
【0118】<電子回路装置の組立ておよび電子計算機
の作製>電子回路装置の組立ての一例として、電子計算
機用のモジュールの組み立てについて用いて説明する。
本発明における電子計算機用のモジュールの製造プロセ
スを、図22に示す。図22において、(a)〜(f)
は、図2と同様に、セラミック多層配線基板の焼結体4
1の製造工程を示しており、(a)は、ボールミル工程
を、(b)はグリーンシート形成工程を、(c)は孔あ
け工程を、(d)は導体印刷工程を、(e)は積層圧着
工程を、(f)は焼結工程を、それぞれ示している。ま
た、図22の(g)は焼結体41の表面研磨工程を、
(h)は表面に薄膜配線層71を形成した焼結体41で
ある薄膜・厚膜複合多層配線基板71を、(i)は薄膜
・厚膜複合多層配線基板17を備えるモジュール61
を、(j)はモジュール61を備える命令プロセッサ1
85を、それぞれ示している。
【0119】まず、片面または表裏両面に薄膜配線層7
1を形成したセラミック多層配線基板(ガラス/銅多層
配線基板が望ましい)17に(図22(h))、入出力
ピン12、半導体素子または半導体素子を封止したチッ
プキャリア11、さらには冷却用フィン15、水冷ジャ
ケット16を順次取付けて、モジュール61を作製す
る。作製されるモジュール61を図23に示す。
【0120】なお、セラミック多層配線基板17表面の
配線パターンに直接入出力ピン12等を接続せず、必要
な組成の金属膜層をスッパタ成膜し、必要に応じてめっ
きをして、接続層を形成し、この接続層を介して入出力
ピン59等を取り付けてもよい。
【0121】例えば、これらの部品のうち、入出力ピン
12は、基板表面に接続用パッドにニッケル/タングス
テン合金膜をスパッタで形成した後、所定量のろう材を
ヘッド部に固着させてある入出力ピンをカーボン製の位
置決め治具を用い、金属層が酸化しない雰囲気でリフロ
ーすることによって、基板裏面にろう付けする。同様に
して、融点の異なるはんだ材のハンダバンプを介して、
チップキャリア11を、続いて、さらに融点の異なるは
んだで水冷ジャケット16を、それぞれはんだ付けする
ようにする。
【0122】このようにして作製したモジュール61
を、ケーブルコネクタ18を介して、複数個多層プリン
ト基板63に搭載し、水パイプ62を接続することで、
命令プロセッサ185を作製する。作製される命令プロ
セッサ185を、図24に示す。また、この命令プロセ
ッサ185を複数個使用すれば、大型電子計算機を作製
することができる。
【0123】
【実施例】〈実施例1〉 (1)ガラスの調製 SiO2−B2O3−R2O系ガラスが所望の組成となるよ
うに、原料である無水珪酸(SiO2)、硼酸(H3BO
3)、および炭酸カリウム(K2CO3)を種々の組成比
になるように秤量し、それらをボールミル混合し、混合
粉末を得た。次に、混合粉末を白金坩堝、あるいは白金
−ロジウム坩堝に入れ、その坩堝を電気炉中に入れ、坩
堝内の混合粉末が溶融する温度(溶融温度)で1時間加
熱し、その後坩堝を電気炉から取り出し、坩堝を水に浸
漬してガラス化して硼珪酸ガラスのガラス塊を得た。坩
堝から取り出したガラス塊は、その一部を熱膨張係数測
定用試料とし、他の一部は粉砕してガラス粉末試料とし
た。調製した試料のうちの一部(第1〜11の組成の試
料)について、それぞれの組成比と、その組成比で調製
したガラスの溶融温度、B2O3溶出量、軟化温度、熱膨
張係数、比誘電率、およびクリストバライト結晶析出性
とを表1に示す。また、これら第1〜11の各組成は、
図1において、これらの各組成を示す点を中心とする小
円により図示されている。なお、図示された小円内の数
字は、それぞれ組成の番号を示している。
【0124】
【表1】
【0125】(2)ガラス粉末の耐水性の評価 得られた硼珪酸ガラスの耐水性はつぎのようにして評価
した。まず、ガラス粉末試料1gを150gの純水を入
れた容積300mlのテフロン(デュポン社商品名)の
ビーカーに入れた後、ポリエチレンフィルムでふたを
し、そのテフロンビーカーを90℃に保った恒温槽に8
時間入れた。つぎに、テフロンビーカー内の試料水を取
り出し、遠心分離して、その上澄み液を濾過し、得られ
た瀘液を分析液とした。この分析液中に溶出したB原子
を、ICP(高周波誘導結合プラズマ:Inductively Co
upled Plasma)発光分光分析により検出し、その量を求
めた。さらに、BET(ブルナウアー−エメット−テラ
ー:Brunauer-Emmett-Teller)法によりガラスの比表面
積を求め、B原子の検出値とガラスの比表面積とから、
ガラス粉末の単位表面積当りのB2O3溶出量を算出し
た。結果を図3に示す。また、第1〜11の組成のガラ
スについては、求めたB2O3溶出量を表1にも示した。
なお、図3には表1に示したもの以外の組成のガラスに
ついての実験結果も含まれている。
【0126】図3において、線aはB2O3溶出量が20
mg/m2の等溶出量曲線、線bはB2O3溶出量が10
mg/m2の等溶出量曲線、線cはB2O3溶出量が6m
g/m2の等溶出量曲線、線dはB2O3溶出量が4mg
/m2の等溶出量曲線、線eはB2O3溶出量が2mg/
m2の等溶出量曲線、線fはB2O3溶出量が0.7mg
/m2の等溶出量曲線、線gはB2O3溶出量が0.5m
g/m2の等溶出量曲線を示す。図3に示すように、ガ
ラス成分としてのK2Oが約3wt%以下のガラス組成
物では、K2O成分量が増大するに従いB2O3溶出量が
減少し、K2Oが約3wt%を超えるガラス組成物で
は、B2O3成分量が増大するに従いB2O3溶出量が減少
する。
【0127】(3)グリーンシートの耐水性の評価 種々の組成のSiO2−B2O3−K2O系ガラスの粉末試
料を用いて、それぞれグリーンシートを作製し、室温の
55〜92%相対湿度雰囲気中に放置し、硼酸結晶の析
出状況を調べた。
【0128】B2O3溶出量が20mg/m2のガラス組
成物(表1の第3の組成、図3ではa1として図示)を
用いた場合、55%相対湿度下における1か月の放置で
は、問題となる硼酸結晶の析出は見られないが、75%
相対湿度以上における1週間の放置で問題となる硼酸結
晶の析出が見られた。
【0129】一方、B2O3溶出量が2mg/m2のガラ
ス組成物(表1の第4の組成(図3ではe1として図
示)、第5の組成(図3ではe2として図示)、第9の
組成(図3ではe3として図示)、第10の組成(図3
ではe4として図示)、および、図3でe5として図示
される組成の5種類の組成のガラス)を用いた場合、7
5%〜92%相対湿度の雰囲気下における2か月の放置
でも、問題となる硼酸結晶の析出は見られなかった。
【0130】したがって、B2O3溶出量が20mg/m
2以下のガラス組成物を用いた場合には、保管や取扱い
の際の雰囲気の制限が緩くなり、特にB2O3溶出量が2
mg/m2以下のガラス組成物を用いた場合には、保管
や取扱いの際の雰囲気に制限がほとんどなくなり、好ま
しい。しかし、B2O3溶出量が20mg/m2のガラス
組成物であっても、グリーンシートの保管や取扱いの際
の雰囲気に制限があるが、実用に供することはでき、本
発明に用いることはでき、他の特性が好ましいものであ
れば、本発明に用いることはできる。
【0131】(4)熱膨張係数の評価 作製した硼珪酸ガラス試料について、ガラス塊を直径約
4mm、長さ約15mmに加工し、レーザー干渉式熱膨
張計で0℃から200℃の温度範囲における熱膨張係数
を求めた。求められた第1〜11の組成の熱膨張係数を
表1に示す。第1〜11の組成のガラスの熱膨張係数
は、いずれも4.0×10-6/℃以下と低く、フィラー
を添加することにより、容易に熱膨張係数をシリコンの
それに整合させることができる。
【0132】(5)軟化温度の評価 ガラス粉末試料について、通常の示差熱分析により軟化
温度を測定した。第1〜11の組成の測定結果を、表1
に示す。軟化温度は850〜1100℃であることが好
ましい。第1〜11の組成のガラスの軟化温度は、いず
れもこの範囲に含まれており、表1に示した結果から、
これらの組成は本発明に適していることがわかる。
【0133】(6)クリストバライト結晶の析出の評価 まず、ガラス粉末試料1gを通常のプレス法で直径15
mmの円板状に成形し、それを電気炉で800℃に50
時間保持する熱処理を行なって焼結体を得た。熱処理条
件は多層基板製造条件を想定し、ガラスからの結晶析出
として厳しくなる条件とした。得られた焼結体につい
て、X線回折強度によりクリストバライト結晶量を測定
した。第1〜11の組成のガラスについての測定結果を
表1に示す。いずれの組成についても、析出したクリス
トバライト結晶の量は、実用に供することのできる範囲
内であったが、K2Oの量が多い第6〜11の組成で
は、クリストバライト結晶の析出がかなり認められた。
【0134】(7)比誘電率の評価 ガラス粉末試料約10gを、通常のプレス法で直径47
mmの円板状に成形し、それを電気炉で約800℃に2
時間保持する熱処理を行なって、焼結体を得た。得られ
た焼結体を厚さ約0.5mmに加工し、さらにその両面
に電極としてCr/Cuの膜をスパッタ成膜し、LCR
(inductance capacitance resistance)メーター(測
定周波数:1MHz、入力信号レベル:1Vrms)に
より電気容量を測定して、比誘電率を求めた。第1〜1
1の組成のガラスについての測定結果を表1に示す。第
1〜11の組成のガラスの比誘電率は、いずれも5.0
以下と低く、好ましい。
【0135】(8)評価のまとめ 以上の結果をまとめると、SiO2−B2O3−R2O系三
角組成図において、第1の組成を示す点と第3の組成を
示す点と第10の組成を示す点と第11の組成を示す点
と第4の組成を示す点と第1の組成を示す点とをこの順
で結ぶ線により囲まれる範囲(線上の組成も含む)に含
まれる組成のガラスは、軟化温度が850〜1100℃
であり、耐水性は実用レベルであり、熱膨張係数も4.
0×10-6/℃以下であってフィラーの添加によりシリ
コンに整合させることができるものであった。また、ク
リストバライト結晶析出性および比誘電率も実用に耐え
るものである。
【0136】一方、第4の組成を示す点と第5の組成を
示す点と第9の組成を示す点と第10の組成を示す点と
第11の組成を示す点と第4の組成を示す点とをこの順
で結ぶ線により囲まれる範囲(線上の組成も含む)に含
まれる組成のガラスは、B2O3溶出量が2mg/m2以
下と特に少ないため、保管や取扱い雰囲気の制限がほと
んどなく、特に好ましい。
【0137】<実施例2>つぎに、炭酸カリウム(K2
CO3)の代わりに炭酸ナトリウム(Na2CO3)を用
い、実施例1と同様にして、各種の組成比を有するSi
O2−B2O3−Na2O系ガラスを調製した。得られたガ
ラス試料について、実施例1と同様にして各種特性を評
価したところ、実施例1のK2O系ガラスと同様に、本
発明の目的に適した溶融温度、軟化温度、熱膨張係数、
比誘電率を備えていた。ただし、耐水性およびクリスト
バライト結晶析出性についての測定結果から、Na2O
系ガラスにはつぎのような特徴があることがわかった。
【0138】図19にSiO2−B2O3−Na2O系ガラ
スのB2O3溶出特性を示す。図19において、線aはB
2O3溶出量が20mg/m2の等溶出量曲線、線bはB2
O3溶出量が10mg/m2の等溶出量曲線、線cはB2
O3溶出量が6mg/m2の等溶出量曲線、線dはB2O3
溶出量が4mg/m2の等溶出量曲線、線eはB2O3溶
出量が2mg/m2の等溶出量曲線を示す。
【0139】SiO2−B2O3−K2O系ガラスのB2O3
等溶出曲線(図3)では、各等溶出曲線がほぼ平行に並
んでいるのに対して、SiO2−B2O3−Na2O系ガラ
スのB2O3等溶出曲線(図19)は乱れている。これ
は、Na2O系ガラスでは、組成の異なる2種のガラス
相に別れる傾向、すなわち、分相する傾向が大きいため
と考えられる。また、Na2O系ガラスは、実用性が損
なわれるほどではないが、熱処理によるクリストバライ
ト結晶の析出量が多く、K2O系ガラスの約2倍であっ
た。従って、Na2O系およびK2O系は、いずれも本発
明に用いることができるが、分相する傾向およびクリス
トバライト結晶の析出の少ないK2O系ガラスの方が、
より好ましいと考えられる。
【0140】<実施例3>次に、SiO2、B2O3、R2
Oに加えて、さらにAl2O3を含む場合のガラスについ
て検討した。本実施例では、SiO2−B2O3−R2O系
三角組成図において、第1の組成を示す点と第3の組成
を示す点と第10の組成を示す点と第11の組成を示す
点と第4の組成を示す点と第1の組成を示す点とをこの
順で結ぶ線により囲まれる範囲(線上の組成も含む)に
含まれる組成の例として、SiO286.6wt%、B2
O39.3wt%、K2O4.1wt%の組成(ほぼ第8
の組成)になるように調製された、無水珪酸、硼酸、炭
酸カリウムの混合粉末を用いた。この混合粉末に、さら
にアルミナ(Al2O3)粉末を表2に示す組成になるよ
うに添加して、ボールミル混合し、表2に示す第12〜
16の組成の混合粉末を得た。この混合粉末を用いて、
実施例1と同様にしてガラスを作成し、その特性を評価
した。それぞれの組成におけるAl2O3およびR2O
(本実施例ではK2O)の比率(モル比)と、溶融温
度、熱膨張係数、および比誘電率についての測定結果と
を表2に示す。表2に示した測定結果からわかるよう
に、Al2O3の添加量を増やしても、熱膨張係数および
比誘電率はほとんど変化せず、好ましい値の範囲に含ま
れている。
【0141】
【表2】
【0142】つぎに、B2O3溶出量に対するAl2O3の
添加の影響について検討する。Al2O3を添加していな
い第8の組成のガラスと、上記第12〜16の組成のガ
ラスとのB2O3溶出量を図4に示す。図4では、Al2
O3の添加量はガラス成分中のK2O量とのモル比で規格
化してある。また、小円内の数字は、その小円の示すガ
ラスの組成の番号を示している。図4より、Al2O3の
添加量を増加させるとB2O3溶出量も増加することがわ
かる。しかし、K2Oモル量の90%のAl2O3を添加
しても、B2O3溶出量は1.6mg/m2と少なく、A
l2O3の添加によるB2O3溶出量の増加は問題とならな
いと考えられる。
【0143】さらに、軟化温度に対するAl2O3の添加
の影響について検討する。第8、12〜16の組成のガ
ラスの軟化温度を図5に示す。図5においても、図4と
同様、Al2O3の添加量はガラス成分中のK2O量との
モル比で規格化してある。また、小円内の数字は、その
小円の示すガラスの組成の番号を示している。図5か
ら、Al2O3の添加量がK2Oモル量の90%を超え
と、該組成のガラスの軟化温度は1100℃を超えてし
まうことがわかる。従って、このような多量のAl2O3
は好ましくない。
【0144】最後に、クリストバライト結晶の析出性に
及ぼすAl2O3の添加の影響について検討する。第8、
12〜16の組成のガラスにおけるクリストバライト析
出量(クリストバライト結晶の回折強度により示され
る)を図6に示す。図6においても、図4と同様、Al
2O3の添加量はガラス成分中のK2O量とのモル比で規
格化してある。また、小円内の数字は、その小円の示す
ガラスの組成の番号を示している。図6より、Al2O3
の添加量が増加すると、クリストバライト結晶X線回折
強度(すなわち、析出したクリストバライト結晶の量)
は減少することがわかる。Al2O3の添加量がK2Oモ
ル量の80%以上の場合、熱処理によってもクリストバ
ライト結晶が析出しない。
【0145】クリストバライト結晶は前述のように約2
30℃で非常に大きな体積変化を伴う結晶相の転移を生
じるので、基板の割れの原因となり、その析出は好まし
くない。しかし、焼成時に予想されるガラスとフィラー
との反応において、フィラー材料に硼珪酸ガラスのクリ
ストバライト結晶を抑止する効果があれば、ガラス単体
ではクリストバライト結晶が析出する条件であっても、
析出しないことになる。従って、ガラスとフィラーとの
複合体を用いて基板を作製する場合には、ガラス単体で
はクリストバライト結晶が析出する組成のガラスであっ
ても、フィラーとの複合体組成でクリストバライト結晶
が析出しなければ、本発明に適用する上では問題無いと
言える。従って、第8の組成や第12の組成のガラスで
あっても、本発明に用いることができる。ただし、ガラ
ス単独でも熱処理によるクリストバライト結晶の析出が
抑制されていれば、フィラー材料の選択の幅が広がると
ともに、製造プロセスの安定化を図ることができるとい
う長所がある。
【0146】以上の実験結果から、R2Oに対してモル
比で90%以下のAl2O3を添加してガラスを調製する
ことが望ましいことがわかる。また、R2Oに対してモ
ル比で50%以上のAl2O3を添加すれば、クリストバ
ライト結晶の析出をかなり抑制することができ、80%
以上では、析出を完全に抑制することができるため非常
に好ましいことがわかる。
【0147】<実施例4>次に、SiO2、B2O3、R2
O、Al2O3に加えて、さらにZnOを添加した場合
(SiO2−B2O3−R2O−Al2O3−ZnO系ガラ
ス)について検討した。まず、表3に示す組成になるよ
うに秤量した無水珪酸、硼酸、炭酸カリウム、炭酸ナト
リウム、アルミナ、および酸化亜鉛(ZnO)の粉末
を、ボールミル混合し、表3に示す第17〜23の組成
の混合粉末を得た。この混合粉末を用いて、実施例1と
同様にしてガラスを作成し、その特性を評価した。それ
ぞれの組成における溶融温度、B2O3溶出量、軟化温
度、熱膨張係数、比誘電率、およびクリストバライト結
晶析出性についての測定結果を表3に示す。
【0148】
【表3】
【0149】表3に示したように、第17〜23の組成
のガラスは、いずれも、B2O3溶出量、熱膨張係数およ
び比誘電率は低い値であり、好ましい。また、軟化温度
も900〜1060℃であり、好ましい。さらに、クリ
ストバライト結晶の析出も認められないか、認められて
も少量であり、好ましい。
【0150】つぎに、第2の組成(組成比は表1に示し
た)の原料混合粉末に、種々の量のZnO粉末を添加し
てガラスを調製し、このガラスから溶出するB2O3量を
実施例1と同様にして測定した。ZnOの添加量とB2
O3溶出量との関係を図9に示す。図9より、ZnOを
添加することにより、B2O3溶出量を劇的に減少させる
ことができることがわかる。従って、本実施例から、ガ
ラスを調製する際には、ZnOを添加することが好まし
いことがわかる。また、表3に示すように、SiO2−
B2O3−Na2O−K2O−Al2O3−ZnO系ガラスは
B2O3溶出量が少なく、比誘電率も低いという特徴があ
る。なお、ZnOの添加量が1重量%より少ない場合に
は、添加の効果が得られず、ZnOの添加量が4重量%
より多い場合には、熱処理によるガラスからの結晶析出
が起こり易いという問題がある。従って、本実施例か
ら、ZnOの添加量は1重量%以上4重量%以下である
ことが望ましいことがわかる。
【0151】〈実施例5〜21、比較例1〉 (1)焼結体の調製 つぎに、ガラス組成物にフィラーを混合した場合の効果
について検討した。まず、実施例5〜12および比較例
1では第14の組成(表2に示した)のガラスの粉末
を、実施例13〜15では第9の組成(表1に示した)
のガラスの粉末を、実施例16では第19の組成(表3
に示した)のガラスの粉末を、実施例17〜20では第
23の組成(表3に示した)のガラスの粉末を、実施例
21では第1の組成(表1に示した)のガラスの粉末
を、それぞれ用意した。このガラス粉末に、フィラー粉
末を種々の割合で混合し、表4に示す18種類のセラミ
ック複合物を得た。ガラス粉末の平均粒径(直径)は約
4μm、フィラーの平均粒径(直径)は約3μmとし
た。なお、フィラーとして、実施例1〜11、13〜1
5、17〜18および比較例1ではムライト(3Al2
O3・2SiO2)を用い、実施例12ではムライトおよ
びアルミナ(Al2O3)を用い、実施例16ではアルミ
ナおよびコージェライト(2MgO・2Al2O3・5Si
O2)を用い、実施例19および21ではアルミナを用
い、実施例20ではアルミナおよび石英ガラス(SiO
2ガラス)を用いた。
【0152】得られたセラミック複合物100重量部
と、変性アクリル樹脂を主成分とする水溶性の有機バイ
ンダ約14重量部と、溶剤としての水約75重量部と、
アクリル酸アンモニウム塩系分散剤0.3重量部とをボ
ールミルで混合し、スラリーを作製した。ここで、バイ
ンダ材料には、孔あけ位置精度が良く、環境の安全衛生
上好ましい水溶性有機バインダとして、ヒタロイド27
13(商品名:日立化成工業(株)製)を用いた。
【0153】
【表4】
【0154】次に、得られたスラリーを用い、ドクタブ
レード法により厚さ0.2mm、幅450mmのグリー
ンシートを作製した。グリーンシートは150mm角あ
るいは50mm角の正方形に切断した。150mm角の
グリーンシートにはポンチで直径0.1mmの孔(スル
ーホール)を0.4mmピッチであけた。その孔に、銅
ペーストを印刷法で埋め込みビアホールとし、さらには
グリーンシート表面にも銅ペーストを印刷して0.08
mm幅の配線パターンを通常の方法で形成したものを、
4〜50層積層し、130℃、20MPaの圧力で10
分間プレスして、グリーンシート積層体を得た。また、
50mm角のグリーンシートは、強度や比誘電率、残留
カーボン量を測定するための試料として、孔あけや導体
印刷をせずに、4〜50層積層し、130℃、20MP
aの圧力で10分間プレスして、グリーンシート積層体
を得た。
【0155】得られたグリーンシート積層体を雰囲気制
御可能な電気炉に入れ、水蒸気−窒素−水素ガス雰囲気
のもとで、炉内の温度を室温から700〜880℃に1
00℃/時間の昇温速度で上げ、その温度で10〜50
時間保持して、残留カーボンが200ppm以下になるま
で脱バインダ焼成を行った。その後、炉内の温度を、再
び100℃/時間の昇温速度で表4に示す焼結温度に上
げ、その温度で2時間保持して緻密化焼結を行って、セ
ラミック焼結体を得た。
【0156】得られたセラミック焼結体(50mm角グ
リーンシート積層体の焼結体)の熱膨張係数と比誘電率
とを、実施例1と同様の方法により測定した。さらに、
この焼結体の曲げ強度を、JIS規格(R1601)に
従い、長さが38mm、幅が4mm、厚さが3mmにな
るように加工し、スパン30mmの3点曲げ試験により
測定した。以上の測定結果を表4に示す。
【0157】実施例5〜21および比較例1のセラミッ
ク焼結体の熱膨張係数は、いずれも2.0〜3.6×1
0-6/℃以下と、シリコンの熱膨張係数(3.0×10
-6/℃)に近い値であった。また、実施例5〜21およ
び比較例1のセラミック焼結体の曲げ強度は、いずれも
150MPa以上であり、実用に供するのに十分な強度
が得られた。さらに、焼結強度は、実施例5〜21で
は、いずれも1050℃以下であった。しかし、比較例
1では、焼結温度が1100℃に達してしまい、望まし
くない結果となった。これは、フィラー量が多すぎるた
め焼結しにくくなってしまったものと考えられる。従っ
て、フィラーの量は、40%より多くないことが望まし
い。
【0158】また、焼結体の中央部を削り出し、この焼
結体中央部に含まれるカーボン量を定量することによ
り、残留カーボン量を測定したところ、残留カーボン量
は、実施例5〜21および比較例1のいずれの場合も2
00ppm以下であり、好ましい結果が得られた。さら
に、150mm角グリーンシート積層体の焼結体の銅導
体の抵抗を、四端子法により測定したところ、実施例5
〜21および比較例1のいずれの場合も、銅導体の比抵
抗は3μΩ・cmと十分小さく、好ましい値であった。
【0159】(2)脱バインダ温度の検討 つぎに、脱バインダのための熱処理温度について検討す
る。実施例9のグリーンシートを用い、種々の温度に保
持して脱バインダを行って、セラミック焼結体中の残留
カーボン量が200ppm以下となるまでに要した時間
(脱バインダ時間)を測定した。結果を図10に示す。
図10からわかるように、熱処理温度が高い程、その温
度における保持時間が短くなり、好ましいことがわか
る。
【0160】(3)フィラー量の検討 まず、脱バインダに必要なフィラー量について検討す
る。種々の組成のガラスと種々の量のフィラー(ムライ
ト(3Al2O3・2SiO2))とを用いて調製されたグ
リーンシートについて、800℃または850℃で脱バ
インダを行い、セラミック焼結体中の残留カーボン量を
200ppm以下にすることのできたグリーンシートの、
ガラスの軟化温度と、フィラー量とを求めた。その結果
を図11に示す。
【0161】図11からわかるように、ガラスの軟化温
度が低くなるに従い、脱バインダに必要なフィラー量が
多くなる。また、脱バインダのための熱処理温度が高い
程、必要なフィラー量が多くなる。これは、脱バインダ
が完了するためには、脱バインダのための熱処理の間、
ガラス粒子の焼結が進まない必要があるからである。従
って、ガラスの軟化温度が低くなる程、あるいは、脱バ
インダの温度が高い程、焼結を阻害するフィラーが必要
となる。
【0162】つぎに、緻密化焼結に必要なフィラー量と
焼結温度とについて検討する。第1の組成(軟化温度1
100℃)、第2の組成(軟化温度1000℃)、第5
の組成(軟化温度950℃)、第10の組成(軟化温度
850℃)の4種類のガラスの粉末に、それぞれ種々の
量のフィラー(ムライト)を添加してグリーンシートを
調製し、これを脱バインダ処理し、さらに焼結を行い、
焼結体相対密度を98%以上にすることのできた焼結温
度を求めた。求められた焼結温度とフィラー量との関係
を、用いたガラスの軟化温度ごとに図12に示す。図1
2から、フィラー量が多くなる程、または、ガラス軟化
温度が高くなる程、緻密化焼結に要する熱処理温度(焼
結温度)が高くなることがわかる。
【0163】なお、このようなフィラー量と焼結温度と
の関係は、図13に示す焼結収縮カーブから考察するこ
とができる。ここで焼結収縮カーブは、熱処理中の形
状、寸法を観察できるように石英ガラス反応管にグリー
ンシート積層体をいれて、100℃/分で昇温しなが
ら、各温度における形状を写真撮影し、寸法を計測して
相対密度を計算することにより求めた。図13におい
て、曲線131は第14の組成のガラス(フィラーな
し)を用いて調製したグリーンシートの焼結曲線、曲線
132〜138は、それぞれ、実施例5〜11のグリー
ンシートの焼結曲線を示している。
【0164】曲線131から、フィラーを添加していな
いグリーンシートは、800℃付近で急激に焼結が進み
緻密化することがわかる。一方、曲線132〜138か
ら、第14の組成のガラスにフィラーが10〜40体積
%添加された実施例5〜11のグリーンシートでは、フ
ィラー量が増大するに従い、相対密度の変化がなだらか
になっており、焼結が起こりにくくなっていることがわ
かる。なお、図13に示す焼結収縮カーブは、各温度に
おける保持時間を0時間として求めたものであり、保持
時間を長くすることにより、さらに緻密化が進行するも
のと考えられる。
【0165】1050℃以下の焼結温度で短時間に焼結
するためには、フィラー量を少なくし、ガラス軟化温度
の低いガラスを用いる必要がある。一方、上述のよう
に、フィラー量が少なすぎると、あるいは、ガラス軟化
温度が低すぎると、脱バインダが完了しない可能性があ
る。また、脱バインダを行うことのできるフィラーおよ
び軟化温度であっても、焼結温度が高くなり過ぎてしま
い、好ましくない場合もある。例えば、図11からわか
るように、ガラス軟化温度が820℃のガラスを用い、
フィラー量を50体積%とした場合は、800℃で脱バ
インダを行うことができるが、この場合は、図12から
推測されるように、焼結温度は1050℃以上となって
しまい、好ましくない。従って、第14の組成のガラス
を用いる場合、1050℃以下で緻密化焼結するフィラ
ー量の上限は40体積%と考えることができる。なお、
その他の組成のガラスの焼結収縮カーブは、そのガラス
の軟化温度に応じて、図13において、第14の組成の
ガラスの焼結収縮カーブ(曲線131)を横軸方向に、
ほぼ平行移動すれば得られる。
【0166】つぎに、焼結体の曲げ強度とフィラー量と
の関係について検討する。実施例5〜11により得られ
た焼結体に加え、フィラーを添加せずに第14の組成の
ガラスから調製したグリーンシートを脱バインダしたの
ち焼結して得られた焼結体と、第14の組成のガラスに
フィラーとして5vol%のムライトを添加して調製し
たグリーンシートを脱バインダしたのち焼結して得られ
た焼結体とを用意し、これらの焼結体の曲げ強度を、J
IS規格(R1601)に従って、長さが38mm、幅
が4mm、厚さが3mmになるように加工し、スパン3
0mmの3点曲げ試験により測定した。得られた焼結体
の曲げ強度とフィラー量との関係を図14に示す。
【0167】図14から、フィラー量が5体積%から4
0体積%の範囲で、実用レベルの強度(この場合150
MPa以上の曲げ強度)が得られ、好ましいことがわか
る。なお、曲げ強度は、200MPa以上であること
が、さらに好ましい。
【0168】〈実施例22〉実施例5と同様の方法によ
り図15に示すような多層配線基板(層数:40)を作
製した。本実施例により作製した多層配線基板17は、
銅を導体とするビアホール53および配線52とガラス
セラミック焼結体158とからなる。
【0169】つぎに、図16に示すようにLSI(大規
模集積回路)11およびI/O(入出力)ピン12を接
続ろう材13、14により取り付けた後、図17に示す
ように、マイクロフィン15、冷却ジャケット16、お
よびコネクタ18を取付け、電子計算機用モジュールで
ある命令プロセッサ185を作製した。
【0170】さらに、この命令プロセッサ185を用い
て、図18に示すように、主記憶装置181、拡張記憶
装置182、システム制御装置183、入出力プロセッ
サ184、および命令プロセッサ185を備える電子計
算機を製作したところ、従来の、ムライトを基板材料と
しタングステンを導体材料とする多層配線基板を用いて
作製された命令プロセッサを備える電子計算機に比べ
て、約2倍の高速演算ができた。
【0171】本実施例で作成した配線基板は、特に高
速、高密度が要求される電子計算機など、広く電子回路
装置に適用できる。
【0172】<実施例23>本実施例23では、有機バ
インダとして、水系分散型粒子を用い、ガラス/銅多層
配線基板を作製した。その製造プロセスを、図22を用
いて説明する。
【0173】(1)有機バインダの合成 精製水とイソプロパノールとを混合して、バインダ調製
用溶剤(精製水:70重量%、IPA:30重量%)を
調製した。分散剤であるポリエチレンオキシド7重量部
を、このバインダ調製用溶剤250重量部に溶解し、得
られた溶液に、重合開始剤として、0.15重量部の過
硫酸アンモニウムを添加し、40〜90℃に加熱しなが
ら激しく撹拌しつつ、メタクリル酸n−ブチル100重
量部および可塑剤としてフタル酸ジイソデシル10.5
重量部を添加して、さらに6〜8時間撹拌し、平均粒
径:0.8〜2.5μm、平均重量分子量:50〜65
万の重合体である有機バインダを得た。
【0174】(2)スラリーの調製 つぎに、第14の組成(表2に示した)のガラスの粉末
(平均粒径が約4μm)を用意し、このガラス粉末70
体積%と、フィラーとして平均粒径が約3μmのムライ
ト粉末30体積%とをあらかじめ混合し、セラミック複
合物を得た。
【0175】このセラミック複合物100重量部と、分
散剤(ポリアクリル酸アンモニウム塩)0.13重量部
と、スラリー調製用溶剤(精製水80重量%とイソプロ
パノール20重量%との混合溶液)45重量部とを、ア
ルミナボールおよびアルミナ内張りボールミル1(図2
2(a))で予備混合した後、(1)で合成した有機バ
インダ(バインダ調製用溶剤に分散したままのもの)
を、バインダ固形分換算で17重量部加え、さらにボー
ルミル混合を続け、ガラス粉末と、フィラー粉末と、バ
インダ粒子とが均一に混合したスラリーを作製した。
【0176】(3)グリーンシートの作製 続いて、このスラリーを撹拌しながら減圧し、スラリー
中の気泡を取り除くとともに、溶媒を蒸発させ、粘度を
2000〜3000cpsに調節して、ドクターブレイ
ド型キャスティング装置2(図22(b))を用い、キ
ャリアフィルム上に塗布して、厚さ0.2mmのグリー
ンシート4を成形した後、120℃で約1時間乾燥させ
た。
【0177】(4)セラミック多層配線基板の作製 このようにして作製したグリーンシート4の外形を切断
して所定寸法とした後、金属製の支持枠に固定した。続
いて、複数の超硬製パンチピン5が独立駆動可能なNC
(numerically control)制御された孔明け装置を用い
て、支持枠に固定したグリーンシートに直径50〜70
μmの貫通孔51を0.3mmピッチであけた(図22
(c))。続いて、平均粒径4μmのCu粉末とビヒク
ルを50重量部づつ混合したCuペーストを用い、スク
リーン印刷法にて、グリーンシートの貫通孔にペースト
を充填してビアホール53を形成するとともに、グリー
ンシート表面に所定の配線パターン52を形成した(図
22(d))。
【0178】次に、この配線パターン52を形成したグ
リーンシート4を、接続する貫通孔部分の位置ずれが小
さくなるように位置合わせして50枚積み重ね(図22
(e)))、温度:130℃、圧力:150kg/cm
2で圧着し一体化した後、外形を所定寸法に切断した。
得られた積層体41の寸法は約180mm角、厚さは約
10mmであった。
【0179】続いて、焼成プロセスについて述べる。上
記積層体41の表裏に、アルミナファイバを主成分とす
る多孔質板64(気孔率約70%、平坦度30μm)を
それぞれ配置し、加圧機構を備える雰囲気制御可能な電
気炉8(図22(f)))内に置いて積層体41を加圧
した。続いて、窒素雰囲気にてあらかじめ設定した脱バ
インダに最適な速度で昇温を開始するとともに、炉8内
が結露しなくなる温度に達した時点で、炉8内雰囲気を
窒素と水蒸気との混合雰囲気(水蒸気分圧0.3〜0.
5atm)とし、850℃で10〜20時間保持しなが
ら脱バインダを行った。
【0180】この時の積層体41へ印加する圧力は、約
1〜3kg/cm2とした。この圧力は、脱バインダプ
ロセスにて平面方向の収縮をほぼ0にできる範囲内の圧
力のうち、積層体41の開気孔率を確保して脱バインダ
を阻害しないよう、比較的低い圧力を選択したものであ
る。
【0181】続いて、水蒸気を切り、炉内を窒素雰囲気
とした後、積層体41を加圧しながら再び昇温を開始
し、980〜1040℃の最高温度で1〜3時間保持
し、ガラスセラミック材料の気孔率が5%以下となり緻
密化するようした。
【0182】この時印加した圧力は、約1〜4kg/c
m2とし、緻密化するとともに平面方向の収縮がほぼ0
となり、かつ側面の凹量が小さくなるように制御した。
【0183】最後に、窒素雰囲気にて焼結体を冷却し
た。冷却過程では、残留応力が小さくなるような温度お
よび加圧プロファイルとなるようにそれぞれを制御し
た。以上により、ガラス/銅多層配線基板が得られた。
本実施例における焼成工程での寸法変化は、XY平面方
向(基板表面の縦横方向)で0.15±0.02%であ
り、厚さ方向の収縮率は約45%であった。
【0184】<比較例2>本比較例2では、非晶質ガラ
スとして市販品のパイレックスガラスを用い、有機バイ
ンダとしてポリビニルブチラールを用いて、セラミック
多層配線基板を作製した。
【0185】(1)スラリーの調製 平均粒径4μmのパイレックスガラス粉末60体積%
と、フィラーとして平均粒径が約3μmのムライト粉末
40体積%とを、あらかじめ混合し、セラミック複合物
を調製した。
【0186】このセラミック複合物100重量部と、有
機バインダとしてポリビニルブチラール6重量部と、可
塑剤としてブチルフタリル・ブチルグリコレート2重量
部と、トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン、お
よびブチルアルコールからなるアゼオトロープ組成の溶
剤とを加えあわせ、アルミナボールおよびアルミナ内張
りボールミル1にて十分混合し、非晶質ガラス粉末およ
びフィラー粉末が均一に分散したスラリーを調製した。
【0187】(2)グリーンシートの作製 続いて、スラリーを撹拌しながら減圧し、気泡を脱気し
ながら粘度を8000〜13000cpsに調整後、ド
クターブレイド型キャスティング装置2を用いて、無加
圧焼成で実施例23の基板と同じ厚さとなるように、厚
さが0.14mmのグリーンシート4を作製した。
【0188】(3)セラミック多層配線基板の作製 得られたグリーンシート4の外形を切断し、所定寸法と
した後、実施例23と同様の方法にて、焼成後にピッチ
が0.3mmとなるように貫通孔51をあけ、スクリー
ン印刷法にて貫通孔51にCuペーストを充填するとと
もに、グリーンシート4表面に配線パターン52を形成
した。
【0189】つぎに、配線パターン52を形成したグリ
ーンシート4を、実施例23と同様に50枚積み重ね、
温度:130℃、圧力:150kg/cm2で圧着し一
体化して、積層体41を作製した。得られた積層体41
の寸法は約220mm角であり、厚さは約7mmであっ
た。
【0190】続いて、実施例23と同様の電気炉8を用
いて、加圧をせず焼成を行った。すなわち、窒素雰囲気
にて、あらかじめ設定した脱バインダに最適な速度で昇
温を開始するとともに、炉内が結露しなくなる温度に達
した時点で窒素と水蒸気の混合雰囲気とし、800℃で
20〜30時間保持しながら脱バインダを行った。続い
て、水蒸気を切り、窒素雰囲気とした後、再び昇温を開
始し、970〜1020℃の最高温度で1〜3時間保持
して、ガラスセラミック材料の気孔率が5%以下になり
緻密化するようした。焼成工程での寸法変化は、XY平
面方向で18±0.29%であり、厚さ方向の収縮率は
20%であった。
【0191】(4)基板の評価 ここで、実施例23と本比較例2とのプロセス特性およ
び基板品質を比較すると、表5に示す通りであった。
【0192】
【表5】
【0193】表5に示した評価結果から、実施例23で
は、グリーンシート表面へのホウ酸析出が起こらず、孔
明け時の位置精度が良く、かつ、グリーンシートの経時
寸法変化が小さいため、配線の高密度化が容易で、短時
間に容易に脱バインダでき、高密度配線を行なっても配
線不良の無い、高寸法精度なガラス/銅多層配線基板が
得られたことがわかる。
【0194】なお、実施例23では、高密度配線の一例
として、0.3mmピッチでのグリーンシートへの孔明
けについて述べたが、より細いパンチピンの使用で配線
基板として0.15mmピッチ程度の孔明けが可能であ
る。さらに、実施例23および本比較例2で述べた具体
的数値は、材料組成、材料構成、基板寸法およびパター
ン構造、プロセス条件で変化するもので、特に限定され
るものではない。また、ガラス材料およびバインダ材料
についても、前述した好ましい材料組成範囲のガラス材
料およびバインダ材料であれば、ほぼ実施例23と同様
のプロセス特性および基板品質を得ることができる。
【0195】<実施例24〜37>本実施例24〜37
では、有機バインダが異なる以外は実施例23と同様に
して、セラミック多層配線基板を作製した。各実施例に
おいて合成した有機バインダのモノマ、分散安定剤(重
合用分散剤)、可塑剤、バインダ調製用溶剤、および重
合開始剤を、表6に示す。なお、表6において「番号」
は実施例番号を示し、「開始剤」は重合開始剤を示す。
【0196】
【表6】
【0197】各実施例24〜37において得られた配線
基板は、実施例23と同様の良好な基板であった。
【0198】<実施例38>本実施例38では、実施例
23で得たガラス/銅多層配線基板を用い、電子計算機
用モジュールを作製した。その作製手順を、図22を用
いて説明する。
【0199】始めに、ガラス/銅多層配線基板の焼結体
158の表裏面に付着した異物を除去した後、表裏面
を、グリーンシート焼成後の1枚相当分以下の厚さだけ
ラッピングして除去し(図22(g))、さらに、表裏
面を、必要な表面粗さとなるようポリッシュをしてから
洗浄した。
【0200】続いて、基板158表面に、ポリイミド前
駆体ワニスのスピン塗布により形成した塗膜を乾燥ベー
クした後、350〜400℃の温度で硬化させて、保護
皮膜のためのポリイミド絶縁膜を形成した。次に、基板
158裏面に、入出力ピン12接続用薄膜電極パッドを
形成するため、基板158裏面全面にアルゴンガスによ
るスパッタエッチをした後、裏面全面にクロム、銅、ク
ロムの順に連続スパッタ成膜し、フォトレジストをマス
クとした連続ウェットエッチングを行った。このエッチ
ングは、クロムにはアルカリ性過マンガン酸カリウム水
溶液を、銅にはリン酸/硝酸系の混合液を、それぞれエ
ッチャントとして用いた。その後、基板裏面に、表面と
同様にして保護皮膜のための層間絶縁膜71を形成し
た。
【0201】続いて、基板158表面側に薄膜配線71
を以下の手順で形成した(図22(h))。最初に、基
板158表面の保護皮膜を、酸素プラズマアッシャで除
去してから、整合パッド、配線パターンおよび封止用パ
ターンを形成するため、基板表面全面にアルゴンガスに
よるスパッタエッチをした後、基板表面全面にクロム、
銅、クロムの順に連続スパッタ成膜し、フォトレジスト
をマスクとした連続ウェットエッチングを行った。つぎ
に、層間絶縁膜の形成および加工を行った。すなわち、
ポリイミド前駆体ワニスのスピン塗布により形成した塗
膜を乾燥ベークした後350〜400℃の温度で硬化さ
せ、この表面にレジストパターンを形成した後エッチン
グして所定のパターンに加工した。加工は、ヒドラジン
−エチレンジアミン系の混合液を用いた。以上の配線パ
ターン形成および層間絶縁膜形成を繰り返して、必要な
薄膜配線層71を形成した。これにより、薄膜・厚膜複
合多層配線基板17が得られた。
【0202】つぎに、はんだ接続用薄膜電極パッドを形
成した。まず、基板17表面に、クロムまたはチタン、
続いて銅またはニッケルまたは銅/ニッケル合金または
ニッケル/タングステン合金を連続スパッタ成膜し、こ
の上にレジストパターンを形成し、上層から順にエッチ
ングしてはんだ接続用薄膜電極パッドを形成した。ここ
で、銅、ニッケル、銅/ニッケル合金はリン酸/硝酸系
の混合液エッチャントで、ニッケル/タングステン合金
はフッ酸/硝酸系の混合液エッチャントで、チタンはア
ンモニア/過酸化水素系エッチャントで加工した。次
に、この電極パッド表面に金をめっきした。同様に封止
用パターン表面にも金をめっきした。
【0203】続いて、基板17裏面の保護膜を酸素プラ
ズマアッシャで除去し、Au−Sn20wt%共晶合金
(融点280℃)のろう材がヘッド部に固着させてある
入出力ピン12を、カーボン製の位置決め治具を用い、
金属層が酸化しない雰囲気でろう材の融点以上の温度で
リフローすることによって、基板17裏面にろう付けし
た。同様にして、融点の異なるはんだ材のハンダバンプ
を介してチップキャリア11をはんだ付けし、続いて冷
却フィン15を組み合わせた後さらに融点の異なるはん
だを用いて水冷ジャケット16をはんだ付けをした。こ
れにより、図22(i)に示す電子計算機用モジュール
61が得られた。
【0204】以上により得られたモジュール61を複数
個用意し、それぞれコネクタ18を介して多層プリント
基板63に搭載することで、命令プロセッサ185を作
製し、この命令プロセッサ185を複数個使用して大型
電子計算機を作製した。
【0205】その結果、従来の方法、例えばムライトセ
ラミックスとタングステン導体からなるムライト多層配
線基板(配線ピッチ0.45mm)を用いて製作された
大型電子計算機と比べ、約3倍の演算速度が達成でき
た。
【0206】なお、実施例23で得られたガラス/銅多
層配線基板は本実施例38で作製したような電子計算機
だけでなく、高密度配線および高速演算が要求される電
子回路装置に適用できる。
【0207】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、脱
バインダが容易で、緻密化焼結し易く、基板特性とし
て、熱膨張係数はシリコンの熱膨張係数と整合し、曲げ
強度は十分大きく、比誘電率は十分小さい配線基板が得
られる。特に、本発明の組成物はガラスの軟化温度が8
50〜1100℃と高いため、脱バインダ熱処理による
焼結収縮が起こり難く、少ないフィラー添加で脱バイン
ダ可能となり、短時間の焼成で緻密化焼結できる。ま
た、本発明のセラミック組成物および該組成物に含まれ
るガラスは、耐水性が高く、グリーンシート上に硼酸結
晶が析出し難く、しかも、本発明のセラミック組成物は
熱処理によっても硼珪酸ガラスからクリストバライト結
晶が析出せず、好ましい。従って、本発明によれば、配
線基板の生産性を格段に向上させることができる。
【0208】また、本発明によれば、(a)耐水性良好
な高軟化点ガラス、(b)熱分解性良好で、グリーンシ
ートへ高位置精度の孔加工ができる水系分散型バイン
ダ、(c)高寸法精度で基板を焼結できる加圧焼結、の
3要素の組み合せにより、高配線密度かつ高寸法精度
で、基板表面に薄膜を形成するのに適したガラス/銅多
層配線基板と、該基板を備える電子回路装置、電子計算
機用モジュール、および電子計算機とを製造することが
できる。
【0209】例えば、(a)の耐水性良好な高軟化点ガ
ラスを用いることにより、グリーンシート表面へのホウ
酸析出が回避され、また、高温での脱バインダが可能に
なる。(b)のバインダを用いることにより、安全な水
系溶剤を用いることができる。また、(c)の加圧焼結
を行なうことにより、グリーンシートへの高位置精度で
の孔加工が可能になるとともに、グリーンシートの寸法
変化が抑制されるため、高寸法精度なガラス/銅多層配
線基板を作製することができ、高密度配線が実現され
る。さらに、この加圧焼結により、脱バインダ時間が短
縮される。これにより、(a)の高軟化点ガラスを用い
ても、脱バインダに過度の時間がかかることを回避でき
る。
【0210】さらに、本発明では、水系分散型バインダ
を用いることで環境対策もでき、高軟化点ガラスを用い
ることで脱バインダ時間が短縮できるので低コストで基
板が製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非晶質ガラスの組成域を表すSiO
2−B2O3−R2O3成分系三角組成図である。
【図2】 多層配線基板の製造工程を示す説明図であ
る。
【図3】 B2O3等溶出曲線を示したSiO2−B2O3
−K2O3成分系三角組成図である。
【図4】 SiO2−B2O3−K2O−Al2O3系ガラス
のB2O3溶出量とAl2O3/K2Oのモル比との関係を
示すグラフである。
【図5】 SiO2−B2O3−K2O−Al2O3系ガラス
の軟化温度とAl2O3/K2Oのモル比との関係を示す
グラフである。
【図6】 SiO2−B2O3−K2O−Al2O3系ガラス
のクリストバライト析出性とAl2O3/K2Oのモル比
との関係を示すグラフである。
【図7】 図7(a)はSiO2−B2O3−R2O系ガラ
スの構造モデルを示す説明図である。図7(b)はSi
O2−B2O3−R2O系ガラスにAl2O3成分を追加した
場合の構造変化を示す説明図である。
【図8】 図8(a)はSiO2−B2O3−R2O系ガラ
スを高温に加熱した場合の構造変化を示す説明図であ
る。図8(b)はSiO2−B2O3−R2O−Al2O3系
ガラスを高温に加熱した場合の構造変化を示す説明図で
ある。
【図9】 SiO2−B2O3−ZnO系ガラスのB2O3
溶出量とZnO添加量との関係を示すグラフである。
【図10】 脱バインダ温度と脱バインダ時間との関係
を示すグラフである。
【図11】 ガラスの軟化温度と脱バインダに必要なフ
ィラー量との関係を示すグラフである。
【図12】 ガラス−フィラー系組成物の緻密化焼結温
度と、フィラー量およびガラス軟化温度との関係を示す
グラフである。
【図13】 ガラス−フィラー系組成物の焼結収縮カー
ブを示すグラフである。
【図14】 ガラス−フィラー系焼結体の曲げ強度とフ
ィラー量との関係を示すグラフである。
【図15】 実施例22の多層配線基板の断面図であ
る。
【図16】 実施例22のLSIとI/Oピンを搭載し
た多層配線基板の断面図である。
【図17】 実施例22の命令プロセッサ・モジュール
の部分断面図である。
【図18】 実施例22の電子計算機のシステム構成図
である。
【図19】 B2O3等溶出曲線を示したSiO2−B2O
3−Na2O3成分系三角組成図である。
【図20】 加圧焼結における、印加された圧力と、基
板の平面方向および厚さ方向の寸法変化との関係を示す
グラフである。
【図21】 加圧焼結における、フィラー量と、印加さ
れた圧力と、焼結温度と、相対密度との関係を示すグラ
フである。
【図22】 電子計算機用モジュールの製造工程を示す
説明図である。
【図23】 電子計算機用モジュールの構造を示す部分
断面斜視図である。
【図24】 命令プロセッサの構造を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1…ボールミル装置、2…スラリー、3…キャスティン
グマシン、4…グリーンシート、5…ポンチ、6…スキ
ージ、7…ペースト、8…加熱炉、9…ビアホール、1
0…配線、11…LSI、12…I/O(入出力)ピ
ン、13および14…接続ろう材、15…マイクロフィ
ン、16…水冷ジャケット、17…多層配線基板、18
…コネクタ、41…積層体、51…貫通孔、52…配
線、53…ビアホール、61…モジュール、62…水パ
イプ、63…多層プリント基板、71…薄膜配線層、1
58…ガラスセラミック焼結体、181…主記憶装置、
182…拡張記憶装置、183…システム制御装置、1
84…入出力プロセッサ、185…命令プロセッサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 正英 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 種井 平吉 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 岩永 昭一 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 庄子 房次 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 勝村 宣仁 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 佐藤 了平 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 小林 二三幸 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所汎用コンピュータ事業部内 (72)発明者 田上 文一 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所汎用コンピュータ事業部内 (72)発明者 千石 則夫 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所汎用コンピュータ事業部内 (72)発明者 矢木 邦博 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所汎用コンピュータ事業部内 (72)発明者 中村 真人 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 森田 耕策 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 藤田 毅 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所汎用コンピュータ事業部内 Fターム(参考) 4G030 AA01 AA04 AA07 AA32 AA35 AA36 AA37 BA09 BA12 BA21 CA08 GA27 HA01 HA04 HA18 4G062 AA15 BB01 DA07 DB01 DB02 DB03 DC03 DC04 DD01 DE03 DF01 EA01 EA10 EB01 EB02 EB03 EC01 EC02 EC03 ED01 EE01 EF01 EG01 FA01 FA10 FB01 FC01 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM28 NN29 NN34 NN40 PP02 PP03 PP06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非晶質ガラスとフィラーとからなる配線基
    板用セラミック組成物において、上記セラミック組成物
    の総体積を100%とすると、60〜95体積%の非晶
    質ガラスと、40〜5体積%のフィラーとからなり、S
    iO2成分、B2O3成分、R2O成分(ただし、Rはアル
    カリ金属を示す)を含み、SiO2成分、B2O3成分、
    およびR2O成分の総重量を100%とし、SiO2成分
    が88重量%、B2O3成分が12重量%である組成を第
    1の組成、SiO2成分が82重量%、B2O3成分が1
    8重量%である組成を第3の組成、SiO2成分が84
    重量%、B2O3成分が10重量%、R2O成分が6重量
    %である組成を第10の組成、SiO2成分が90重量
    %、B2O3成分が5重量%、R2O成分が5重量%であ
    る組成を第11の組成、SiO2成分が89重量%、B2
    O3成分が10重量%、R2O成分が1重量%である組成
    を第4の組成とした場合、SiO2−B2O3−R2O系三
    角組成図において、第1の組成を示す点および第3の組
    成を示す点、第3の組成を示す点および第10の組成を
    示す点、第10の組成を示す点および第11の組成を示
    す点、第11の組成を示す点および第4の組成を示す
    点、第4の組成を示す点および第1の組成を示す点、を
    それぞれ結ぶ線により囲まれる領域内(線上含む)の点
    の示す組成を有することを特徴とする配線基板用セラミ
    ック組成物。
  2. 【請求項2】請求項1において、上記非晶質ガラスは、
    SiO2成分、B2O3成分、およびR2O成分の総重量を
    100%とし、 SiO2成分が87重量%、B2O3成
    分が11.5重量%、R2O成分が1.5重量%である
    組成を第5の組成、SiO2成分が84.7重量%、B2
    O3成分が10.8重量%、R2O成分が4.5重量%で
    ある組成を第9の組成とした場合、SiO2−B2O3−
    R2O系三角組成図において、上記第4の組成を示す点
    および第5の組成を示す点、第5の組成を示す点および
    第9の組成を示す点、第9の組成を示す点および上記第
    10の組成を示す点、上記第10の組成を示す点および
    上記第11の組成を示す点、上記第11の組成を示す点
    および上記第4の組成を示す点、をそれぞれ結ぶ線によ
    り囲まれる領域内(線上含む)の点の示す組成を有する
    ことを特徴とする配線基板用セラミック組成物。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、上記Rは、カ
    リウムであることを特徴とする配線基板用セラミック組
    成物。
  4. 【請求項4】請求項1において、上記非晶質ガラスは、
    上記R2O成分の代わりに、R2O成分と、R2O成分の
    モル量の90モル%以下のAl2O3成分とを含むことを
    特徴とする配線基板用セラミック組成物。
  5. 【請求項5】請求項1または2において、上記非晶質ガ
    ラスは、非晶質ガラス全体に対して1〜4重量%のZn
    O成分をさらに含むことを特徴とする配線基板用セラミ
    ック組成物。
  6. 【請求項6】非晶質ガラスと、フィラーとからなる配線
    基板用セラミック組成物において、上記セラミック組成
    物の総体積を100%とすると、上記非晶質ガラスの体
    積は60〜95%であり、上記フィラーの体積は40〜
    5%であり、上記非晶質ガラスは、軟化温度が850〜
    1100℃であることを特徴とする配線基板用セラミッ
    ク組成物。
  7. 【請求項7】請求項1または6において、上記フィラー
    は、アルミナ、ムライト、コージェライト、および石英
    ガラスから選ばれた少なくとも一種であることを特徴と
    する配線基板用セラミック組成物。
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