JP2002046132A - モールドの加工方法及びマスターモデルの加工方法 - Google Patents

モールドの加工方法及びマスターモデルの加工方法

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JP2002046132A
JP2002046132A JP2000235851A JP2000235851A JP2002046132A JP 2002046132 A JP2002046132 A JP 2002046132A JP 2000235851 A JP2000235851 A JP 2000235851A JP 2000235851 A JP2000235851 A JP 2000235851A JP 2002046132 A JP2002046132 A JP 2002046132A
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Japan
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dimensional
tire
tread
machine tool
mold
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JP2000235851A
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Fumio Takahashi
文男 高橋
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Original Assignee
Bridgestone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性に優れた空気入りタイヤを短期間に
提供することを目的とする。 【解決手段】 先ず、コンピュータ30を用い、ブロッ
クが接地した際の踏面に作用する接地圧を均一化可能な
3次元の踏面形状を得て、踏面形状の3次元データを生
成する。次に、踏面形状の3次元数値データを3次元C
AD/CAM32に入力し、3次元NC工作機械の数値
データを生成する。次に、3次元NC工作機械の数値デ
ータを3次元NC工作機に入力し、3次元NC工作機に
よりモールドの3次元加工を行う。コンピュータを用い
て得られた3次元の踏面形状が数値データ化されて3次
元NC工作機に用いられるので、モールドの加工精度が
極めて高くなり、接地圧を均一可能な踏面形状を有する
タイヤを成型で可能なモールドが短期間で加工でき、耐
摩耗性に優れた空気入りタイヤが短期間に得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、耐摩耗性に優れた
空気入りタイヤを短期間で提供することのできるモール
ドの加工方法及び、モールドを製造する際に用いるマス
ターモデルの加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、FEMなどの数値解析技術と、数
理計画法などに代表される最適化手法を融合することに
よりタイヤ性能を大幅に向上させる形状や構造、材料配
置などの技術が確立されている。
【0003】また、FEMなどの数値解析を用いて試行
錯誤することにより試作回数を減らして適性な形状や構
造を求めることによる開発期間短縮、コスト削減が図ら
れている。
【0004】これらの技術は希求の性能を最大限に向上
させうるタイヤ形状を提示するが、数値モデルから実際
のタイヤ、タイヤ用加硫金型の2次元の設計図面(三角
法)に落とし込み、それを実現するには多大な労力を伴
うのが現状であった。
【0005】その理由は、タイヤ形状がタイヤ幅方向断
面のように2次元に容易に記述されうる形状ではなく、
トレッドパターン形状のように3次元的に数値データが
得られるにもかかわらず2次元図面に落とし込む必要が
あるような最適化技術が増加しているからである。
【0006】即ち、3次元の形状を2次元の設計図面で
表すためには、複数の2次元の断面図を用いるしか方法
がない。このため、図面で表した断面以外の部分は、近
傍の断面図から想像して加工するしかなく、微妙な変化
を正確に表現できなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特に、微妙な形状の実
現において、適性な寸法を製品に正確に与えることは重
要である。
【0008】複数の2次元の図面を元に、人が工作機械
を操作しながら加工することは多大な労力がかかり、高
い精度も得られない。
【0009】したがって、得られた適性な形状や構造を
表すデータを、人手を介することなく物に反映すること
によって加工精度を向上させ、希求の性能を満たす最適
な形状を製品化し、より短い期間で提供することが望ま
れている。
【0010】タイヤの耐摩耗性を向上する手法として、
ブロックの踏面形状を適正化することが考えられている
が、実際に設計通りの踏面形状を実現することは上記の
ような理由で困難を伴っていた。
【0011】そこで本発明の目的は、耐摩耗性に優れた
空気入りタイヤを短期間で提供することのできるモール
ドの加工方法及び、モールドを製造する際に用いるマス
ターモデルの加工方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載に記載の発明は、複数の交差する溝に
よって区画された多数のブロックをトレッドに備えた空
気入りタイヤを成型するモールドの加工方法であって、
ブロックが接地した際の踏面に作用する接地圧を均一化
可能な3次元の踏面形状を得て、前記踏面形状の3次元
数値データを生成する第1の工程と、前記踏面形状の3
次元数値データを3次元CAD/CAMに入力し、3次
元NC工作機械の数値データを生成する第2の工程と、
前記3次元NC工作機械の数値データを3次元NC工作
機に入力し、前記3次元NC工作機により前記モールド
の3次元加工を行う第3の工程と、を有することを特徴
としている。
【0013】次に、請求項1記載のモールドの加工方法
では、先ず、第1の工程において、コンピュータを用
い、ブロックが接地した際の踏面に作用する接地圧を均
一化可能な3次元の踏面形状を得て、踏面形状の3次元
データを生成する。
【0014】次に、第2の工程において、踏面形状の3
次元数値データを3次元CAD/CAMに入力し、3次
元NC工作機械の数値データを生成する。
【0015】次に、第3の工程において、3次元NC工
作機械の数値データを3次元NC工作機に入力し、3次
元NC工作機によりモールドの3次元加工を行う。
【0016】コンピュータを用いて得られた3次元の踏
面形状が数値データ化されて3次元NC工作機に用いら
れるので、モールドの加工精度が極めて高くなり、接地
圧を均一可能な踏面形状を有するタイヤを成型で可能な
モールドが短期間で加工でき、これにより、設計後に耐
摩耗性に優れたタイヤを短期で提供できる。
【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
モールドの加工方法において、踏面形状は、FEMを用
いて得ることを特徴としている。
【0018】次に、請求項2に記載のモールドの加工方
法では、ブロックの踏面形状をFEMを用いることによ
り得るので、接地圧を均一可能な理想の踏面形状を確実
に得ることができる。
【0019】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載のモールドの加工方法において、前記ブ
ロックの踏面は、タイヤ外輪郭と一致しない部分がある
ことを特徴としている。
【0020】例えば、踏面の位置をタイヤ外輪郭よりも
低くすると接地圧を低減できる。請求項3に記載のモー
ルドの加工方法では、第1の工程で得られるブロックの
踏面の形状が、タイヤ外輪郭と一致しない部分がある。
【0021】即ち、接地圧が均一化するように第1の工
程で得られるブロックの踏面の形状をタイヤ外輪郭と不
一致にすれば、接地圧が均一になるタイヤを成型可能な
モールドを得ることができる。
【0022】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請
求項3の何れか1項に記載のモールドの加工方法におい
て、前記ブロックの踏面のタイヤ外輪郭と一致しない部
分は、前記タイヤ外輪郭との距離が、少なくとも前記ブ
ロックの一方向の断面内で均一でないことを特徴として
いる。
【0023】高さ一定のブロックを接地させた場合、接
地圧はブロックの一方向の断面内で見たときに均一では
ない。
【0024】例えば、周方向断面において、接地圧が不
均一であると、タイヤの回転による摩耗が不均一にな
る。
【0025】したがって、この場合、第1の工程におい
て、接地圧が均一化するようにブロックの踏面とタイヤ
外輪郭との距離を少なくともブロックの周方向断面内で
不均一に設定すれば、周方向の接地圧を均一化できるタ
イヤを成型するモールドが得られる。
【0026】請求項5に記載の発明は、請求項3または
請求項4に記載のモールドの加工方法において、前記ブ
ロックの踏面のタイヤ外輪郭と一致しない部分は、滑ら
かな曲線で形成されていることを特徴としている。
【0027】高さ一定のブロックを接地させた場合の接
地圧分布は、ブロック内で比較的滑らかに変化してい
る。
【0028】したがって、第1の工程において、ブロッ
クの踏面を滑らかに変化する接地圧分布に対応させて滑
らかな曲線で形成すれば、接地圧を均一化できるタイヤ
を成型するモールドが得られる。
【0029】請求項6記載に記載の発明は、複数の交差
する溝によって区画された多数のブロックをトレッドに
備えた空気入りタイヤを成型するモールドを製造する際
に用いるマスターモデルの加工方法であって、ブロック
が接地した際の踏面に作用する接地圧を均一化可能な3
次元の踏面形状を得て、前記踏面形状の3次元数値デー
タを生成する第1の工程と、前記踏面形状の3次元数値
データを3次元CAD/CAMに入力し、3次元NC工
作機械の数値データを生成する第2の工程と、前記3次
元NC工作機械の数値データを3次元NC工作機に入力
し、前記3次元NC工作機により前記マスターモデルの
3次元加工を行う第3の工程と、を有することを特徴と
している。
【0030】次に、請求項6記載のマスターモデルの加
工方法では、先ず、第1の工程において、コンピュータ
を用い、ブロックが接地した際の踏面に作用する接地圧
を均一化可能な3次元の踏面形状を得て、踏面形状の3
次元データを生成する。
【0031】次に、第2の工程において、踏面形状の3
次元数値データを3次元CAD/CAMに入力し、3次
元NC工作機械の数値データを生成する。
【0032】次に、第3の工程において、3次元NC工
作機械の数値データを3次元NC工作機に入力し、3次
元NC工作機によりマスターモデルの3次元加工を行
う。
【0033】コンピュータを用いて得られた3次元の踏
面形状が数値データ化されて3次元NC工作機に用いら
れるので、マスターモデルの加工精度が極めて高くな
り、接地圧を均一化可能な踏面形状を有するタイヤを成
型可能なモールドが得られる。
【0034】ここでいうマスターモデルとは、モールド
を製造する際に用いられ、例えば、モールドを放電加工
するための放電加工機の電極や、モールドを鋳造する場
合に使用される石膏型や木型等を指す。
【0035】請求項7に記載の発明は、請求項6記載の
マスターモデルの加工方法において、踏面形状は、FE
Mを用いて得ることを特徴としている。
【0036】次に、請求項7に記載のマスターモデルの
加工方法では、ブロックの踏面形状をFEMを用いるこ
とにより得るので、接地圧を均一可能な理想の踏面形状
を確実に得ることができる。
【0037】請求項8に記載の発明は、請求項6または
請求項7に記載のマスターモデルの加工方法において、
前記ブロックの踏面は、タイヤ外輪郭と一致しない部分
があることを特徴としている。
【0038】例えば、踏面の位置をタイヤ外輪郭よりも
低くすると接地圧を低減できる。請求項8に記載のマス
ターモデルの加工方法では、第1の工程で得られるブロ
ックの踏面の形状が、タイヤ外輪郭と一致しない部分が
ある。
【0039】即ち、接地圧が均一化するように第1の工
程で得られるブロックの踏面の形状をタイヤ外輪郭と不
一致にすれば、接地圧が均一になるタイヤを成型可能な
モールドを得ることができる。
【0040】請求項9に記載の発明は、請求項6乃至請
求項8の何れか1項に記載のマスターモデルの加工方法
において、前記ブロックの踏面のタイヤ外輪郭と一致し
ない部分は、前記タイヤ外輪郭との距離が、少なくとも
前記ブロックの一方向の断面内で均一でないことを特徴
としている。
【0041】高さ一定のブロックを接地させた場合、接
地圧はブロックの一方向の断面内で見たときに均一では
ない。
【0042】例えば、周方向断面において、接地圧が不
均一であると、タイヤの回転による摩耗が不均一にな
る。
【0043】したがって、この場合、第1の工程におい
て、接地圧が均一化するようにブロックの踏面とタイヤ
外輪郭との距離を少なくともブロックの周方向断面内で
不均一に設定すれば、周方向の接地圧を均一化できるタ
イヤを成型するモールドが得られる。
【0044】請求項10に記載の発明は、請求項8また
は請求項9に記載のマスターモデルの加工方法におい
て、前記ブロックの踏面のタイヤ外輪郭と一致しない部
分は、滑らかな曲線で形成されていることを特徴として
いる。
【0045】高さ一定のブロックを接地させた場合の接
地圧分布は、ブロック内で比較的滑らかに変化してい
る。
【0046】したがって、第1の工程において、ブロッ
クの踏面を滑らかに変化する接地圧分布に対応させて滑
らかな曲線で形成すれば、接地圧を均一化できるタイヤ
を成型するモールドが得られる。
【0047】
【発明の実施の形態】本発明のモールドの加工方法の一
実施形態を以下に説明する。
【0048】図1に示すように、後述する空気入りタイ
ヤ10の成型を行うモールド(図示せず)を加工するた
めのシステムとして、FEMを行うコンピュータ30、
3次元CAD/CAM32及び3次元NC工作機械(ボ
ールエンドミル等)34がある。
【0049】コンピュータ30には、空気入りタイヤの
トレッドパターンが記憶されており、トレッドに設けら
れたブロックの3次元データが記憶されている。
【0050】先ず、このブロックが路面に接地した際
に、ブロックの踏面の各部に作用する接地圧がコンピュ
ータ内で演算される(所謂シュミレーション)。
【0051】次に、高い接地圧が低くなるように、接地
圧の高い部分の踏面を低くし、再度踏面の各部に作用す
る接地圧を求め、最終的に接地圧が均一化するように
(または予め定めた範囲内に収まるように)踏面各部の
高さを調整する。
【0052】そして、接地圧を均一化することのできる
踏面形状が得られたら、この踏面形状の3次元データを
記憶する。
【0053】次に、コンピュータ30で得られた3次元
データを3次元CAD/CAM32に入力し、3次元N
C工作機械の数値データを生成する。
【0054】生成された3次元NC工作機械の数値デー
タを3次元NC工作機34に入力し、この数値データに
基づいて3次元NC工作機34はモールドの3次元加工
を行う。
【0055】コンピュータ30で得られた3次元の踏面
形状が数値データ化されて3次元NC工作機34に用い
られるので、モールドの加工精度が極めて高くなり、接
地圧を均一化可能な踏面形状を有する空気入りタイヤ1
0を成型可能なモールドを容易に加工することができ
る。
【0056】つぎに、このようにして加工されたモール
ドを用いて成型された空気入りタイヤの一例を以下に説
明する。
【0057】図2に示すように、空気入りタイヤ10
は、左右一対のサイドウォール(図示せず)に跨がる円
筒状のトレッド12を備えている。
【0058】トレッド12には、タイヤ周方向(矢印P
方向)に沿って形成された複数の主溝14と、タイヤ幅
方向(矢印W方向)に沿って形成された複数のラグ溝1
6とが形成されている。
【0059】この主溝14とラグ溝16によって複数の
ブロック18が区画されている。
【0060】これらのブロック18は、踏面20のタイ
ヤ幅方向長さとタイヤ周方向長さが等しい正方形の直方
体形状に形成されている。
【0061】ブロック18の踏面20における端部に
は、接地圧を調整するため全て面取りが施されている
(以下、面取りが施されている部分を面取り部24とい
う)。
【0062】ブロック18の面取り部24に接する溝壁
面22から壁面に垂直に対向する他側面に向かう方向
(以下、断面方向という)の断面形状(端部近傍のみ)
を図3に示す。
【0063】本実施形態の面取り部24の断面形状(溝
壁面に垂直な断面)は、ブロック18の端部近傍におい
てブロック中央部21(本発明の平坦部。ブロック18
の踏面20において、中央の面取りされていない部分)
に滑らかに接続される曲率半径Rの円弧形状である。
【0064】なお、本実施形態において、ブロック18
のタイヤ幅方向寸法は30mm、タイヤ周方向寸法は30
mm、高さは10mmである。
【0065】ここで、FEMを用いて得られた面取り部
24の面取り深さH及び面取り長さL(図3参照)の適
性寸法は、ブロック18の踏面側の1辺において図4及
び図5の実線で示すように変化している。
【0066】ここで、3次元NC工作機械34で加工さ
れたモールドを用いて成型した空気入りタイヤ10の実
際の面取り深さH及び面取り長さLは、図4及び図5の
点線で示すように変化しており、FEMを用いて得られ
た適性寸法に対して極めて一致している。
【0067】この空気入りタイヤ10では、著しく接地
圧が上昇する踏面部20における端部の全てにFEMを
用いて得られた適性寸法とされた面取り部24が形成さ
れているため、ブロック18の踏面20における接地圧
を均一化することができ、耐摩耗性を向上することがで
きる。また、接地圧が均一化するので、接地面積を確保
し、高い操縦安定性も得られる。
【0068】一方、FEMを用いて得られたデータを元
に2次元の設計図面(三角法)を作成し、この図面を元
に人が工作機械を手操作してモールドを加工した場合で
は、成型されたタイヤの実際の面取り深さH及び面取り
長さLは、1辺内で図4及び図5の一点鎖線で示すよう
に変化しており、FEMを用いて得られた適性寸法に対
して誤差が大きく、接地圧を均一化することは困難であ
る。また、ブロック中央部分の断面では、図6に示すよ
うに、実線で示す適性輪郭に対し、点線で示すNC加工
のものは殆ど誤差が無く、一点鎖線で示す手操作による
加工のものは誤差が大きいことが分かる。 (試験例)ここで、本実施形態の効果を確かめるため
に、試験を行った。
【0069】供試タイヤは、サイズ205/55R16
の前述したしたトレッドパターンを備えたラジアルタイ
ヤである。
【0070】比較例のタイヤは、2次元図面を元に加工
されたモールドで成型されたタイヤである。
【0071】実施例のタイヤは、前述した3次元NC工
作機械により加工された実施形態のタイヤである。
【0072】従来例のタイヤは、面取り部の設けられて
いないタイヤである。
【0073】試験は、タイヤを実車に装着し、テストコ
ースにてテストドライバーが各種のモードで運転した。
【0074】評価は、テストドライバーによるフィーリ
ング評価であり、評点は従来例のタイヤを100とし
た。なお、数値が大きいほど性能に優れていることを表
している。
【0075】また、評点の差が10以上違いがある場合
には、市場において明確な違いであるといえるレベルで
ある。
【0076】
【表1】
【0077】試験の結果、本発明の加工方法の適用され
たモールドで成型することにより、操縦安定性能が大幅
に向上した空気入りタイヤを製造できることが分かる。
【0078】また、比較例のタイヤで性能向上が大きく
なかった理由として、タイヤが発生できる剪断力に直接
影響する接地面積の違いが考えられるので、測定したと
ころ、以下の表2に示すような結果になった。
【0079】接地面積は、従来例のタイヤのブロックの
接地面積を100とする指数表示としており、数値が小
さいほど接地面積が少ないことを表している。
【0080】
【表2】
【0081】測定の結果、比較例のタイヤの性能の向上
が大きくない理由として、面取り寸法(特に面取り深さ
H)が大き過ぎ、接地面積が減少したことが考えられ
る。
【0082】このように、タイヤ断面内だけでの形状で
はなく、本来2重曲率(タイヤ周方向の曲率+タイヤ幅
方向の曲率)であるタイヤ表面上に3次元的な周方向に
均一でない加工を施す場合に顕著である。
【0083】なぜなら、タイヤ断面内の形状だけであれ
ば2次元図面からその形状を実現することは難しいこと
ではないからである。そして、この違いは摩耗後の形状
にも影響を及ぼし、比較例では局所的偏摩耗が起こって
いる。
【0084】摩耗後のブロックの断面形状は図7(図2
の7−7線断面図)に示す通りである。図7において、
実線は実施例のタイヤの新品時の輪郭であり、点線は実
施例のタイヤの摩耗後の輪郭であり、一点鎖線は比較例
のタイヤの摩耗後の輪郭である。
【0085】なお、上記実施形態では、モールドのタイ
ヤ成型面(ブロックの踏面)をNC工作機械34にて加
工する方法を説明したが、モールドのタイヤ成型面は、
放電加工機によって加工することもできる。
【0086】この場合、放電加工機の電極の先端形状
が、空気入りタイヤのブロックの踏面の形状と一致する
ので、コンピュータ30で得られたブロックの3次元デ
ータを3次元CAD/CAM32に入力し、電極の加工
を行う3次元NC工作機械の数値データを生成する。生
成された3次元NC工作機械の数値データを3次元NC
工作機34に入力し、この数値データに基づいて3次元
NC工作機34は電極の3次元加工を行う。
【0087】また、モールドを鋳造する場合、鋳造用の
木型や石膏型(オス型)の加工を、コンピュータ30で
得られたブロックの3次元データに基づいて3次元NC
工作機34を用いて加工しても良い。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のモールド
の加工方法及びマスターモデルの加工方法によれば、3
次元的に適正化されたブロック踏面を有し、接地圧が均
一で耐摩耗性に優れたタイヤを短期間で提供することが
できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモールドの加工方法を実現するための
機器構成を示す機器構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのト
レッド平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る空気入りタイヤ
のブロックの端部近傍の断面図である。
【図4】面取り部の辺の位置と寸法Hの関係を示すグラ
フである。
【図5】面取り部の辺の位置と長さLの関係を示すグラ
フである。
【図6】適性な面取り部の断面と、NC工作機械で加工
された面取り部の断面と、2次元図面を元に人が工作機
械を操作して加工した面取り部の断面を比較した比較図
である。
【図7】NC工作機械で加工された面取り部の摩耗後の
断面と、2次元図面を元に人が工作機械を操作して加工
した面取り部の摩耗後の断面を比較した比較図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ 12 トレッド 14 主溝 16 ラグ溝 18 ブロック 24 面取り部 30 コンピュータ 32 3次元CAD/CAM 34 NC工作機械

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の交差する溝によって区画された多
    数のブロックをトレッドに備えた空気入りタイヤを成型
    するモールドの加工方法であって、 ブロックが接地した際の踏面に作用する接地圧を均一化
    可能な3次元の踏面形状を得て、前記踏面形状の3次元
    数値データを生成する第1の工程と、 前記踏面形状の3次元数値データを3次元CAD/CA
    Mに入力し、3次元NC工作機械の数値データを生成す
    る第2の工程と、 前記3次元NC工作機械の数値データを3次元NC工作
    機に入力し、前記3次元NC工作機により前記モールド
    の3次元加工を行う第3の工程と、 を有することを特徴とするモールドの加工方法。
  2. 【請求項2】 前記踏面形状は、FEMを用いて得るこ
    とを特徴とする請求項1に記載のモールドの加工方法。
  3. 【請求項3】 前記ブロックの踏面は、タイヤ外輪郭と
    一致しない部分があることを特徴とする請求項1または
    請求項2に記載のモールドの加工方法。
  4. 【請求項4】 前記ブロックの踏面のタイヤ外輪郭と一
    致しない部分は、前記タイヤ外輪郭との距離が、少なく
    とも前記ブロックの一方向の断面内で均一でないことを
    特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の
    モールドの加工方法。
  5. 【請求項5】 前記ブロックの踏面のタイヤ外輪郭と一
    致しない部分は、滑らかな曲線で形成されていることを
    特徴とする請求項3または請求項4に記載のモールドの
    加工方法。
  6. 【請求項6】 複数の交差する溝によって区画された多
    数のブロックをトレッドに備えた空気入りタイヤを成型
    するモールドを製造する際に用いるマスターモデルの加
    工方法であって、 ブロックが接地した際の踏面に作用する接地圧を均一化
    可能な3次元の踏面形状を得て、前記踏面形状の3次元
    数値データを生成する第1の工程と、 前記踏面形状の3次元数値データを3次元CAD/CA
    Mに入力し、3次元NC工作機械の数値データを生成す
    る第2の工程と、 前記3次元NC工作機械の数値データを3次元NC工作
    機に入力し、前記3次元NC工作機により前記マスター
    モデルの3次元加工を行う第3の工程と、 を有することを特徴とするマスターモデルの加工方法。
  7. 【請求項7】 前記踏面形状は、FEMを用いて得るこ
    とを特徴とする請求項6に記載のマスターモデルの加工
    方法。
  8. 【請求項8】 前記ブロックの踏面は、タイヤ外輪郭と
    一致しない部分があることを特徴とする請求項6または
    請求項7に記載のマスターモデルの加工方法。
  9. 【請求項9】 前記ブロックの踏面のタイヤ外輪郭と一
    致しない部分は、前記タイヤ外輪郭との距離が、少なく
    とも前記ブロックの一方向の断面内で均一でないことを
    特徴とする請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載の
    マスターモデルの加工方法。
  10. 【請求項10】 前記ブロックの踏面のタイヤ外輪郭と
    一致しない部分は、滑らかな曲線で形成されていること
    を特徴とする請求項8または請求項9に記載のマスター
    モデルの加工方法。
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JPS61144310A (ja) * 1984-12-18 1986-07-02 Sumitomo Rubber Ind Ltd 加硫用金型の形成方法
JP2000052716A (ja) * 1998-08-12 2000-02-22 Bridgestone Corp 空気入りタイヤの設計方法、空気入りタイヤの加硫金型設計方法、空気入りタイヤの製造方法、及び空気入りタイヤの設計プログラムを記録した記録媒体

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