JP2002039828A - 感温性抵抗素子及びこれを用いた熱式流量センサ - Google Patents

感温性抵抗素子及びこれを用いた熱式流量センサ

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JP2002039828A
JP2002039828A JP2000218376A JP2000218376A JP2002039828A JP 2002039828 A JP2002039828 A JP 2002039828A JP 2000218376 A JP2000218376 A JP 2000218376A JP 2000218376 A JP2000218376 A JP 2000218376A JP 2002039828 A JP2002039828 A JP 2002039828A
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Fujio Ishiguro
不二男 石黒
Zenji Ishikawa
善治 石川
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度補償抵抗素子にも使用し得る高抵抗値を
有し、その抵抗値が均一であって、静電気に対する耐久
性や抵抗温度係数に優れた感温性抵抗素子、及び測定精
度や耐久性に優れた熱式流量センサを提供する。 【解決手段】 絶縁体からなる円筒状の基体3と、基体
3の外周面に形成された、基体3の両端部を連絡する、
抵抗値が270Ω以上である白金よりなるスパイラル膜
状の感温性抵抗体2と、感温性抵抗体2と電気的に接続
された、基体3の両端部から突出する導通部材4とを備
えた感温性抵抗素子1である。感温性抵抗体2の断面形
状が、電流が流れる方向と直交する面において、厚さ
0.2〜0.6μm、幅30〜40μmの範囲内に構成
され、1500Vの静電気耐久性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、例えば自動車用
内燃機関の吸入空気の流量測定に用いられる熱式流量セ
ンサに関し、詳しくは熱式流量センサの構成部品として
好適に用いられる、高抵抗の感温性抵抗素子に関する。
【0002】
【従来の技術】 例えば自動車用内燃機関等において燃
料噴射バルブを調整する際に、吸入空気の流量を測定す
ることが必要となる場合がある。このような測定を行う
センサとしては、温度上昇に伴って抵抗値が増加する抵
抗体を利用した抵抗素子(以下、「感温性抵抗素子」と
いう。)により、吸入空気の流量を測定する熱式流量セ
ンサが知られている(センサ技術1989年9月号第2
9頁)。
【0003】 熱式流量センサは、例えば図2に示すよ
うに、発熱抵抗素子RH(抵抗値10〜30Ω程度)、
温度補償抵抗素子RC(抵抗値150〜750Ω程度)
という、抵抗値が異なる2種の感温性抵抗素子と、これ
らと共にブリッジ回路17を構成する通常の抵抗素子R
1及びR2、更にはトランジスタ13、比較器14、セン
サ駆動電圧が印加される端子15等を備えたセンサであ
り、抵抗素子R1及びR2を吸気管12の外部に、発熱抵
抗素子RH及び温度補償抵抗素子RCを吸入空気に接触す
る吸気管12内部に配置した状態で使用される。
【0004】 熱式流量センサ11は、温度補償抵抗素
子RCが吸気管12内の空気温度と同温度に、発熱抵抗
素子RHが前記空気温度に対して所定の温度(例えば2
00℃)だけ高温に、各々保持された状態でブリッジ回
路17がバランスするように構成されており、吸気管1
2内への吸入空気により発熱抵抗素子RHが冷却される
と、その温度を一定に保持するように温度低下に応じた
電流がブリッジ回路17に供給される。そして、ブリッ
ジ回路17への電流供給量に応じて変化する抵抗素子R
1の両端電圧を電気的出力16として取り出すことによ
り、吸入空気の流量を測定できる。
【0005】 上記熱式流量センサにおいては、高抵抗
の感温性抵抗素子を使用することにより、センサの測定
精度が向上することが知られている。例えば、温度補償
抵抗素子RCには発熱抵抗素子RHと同程度の電圧がかか
るため、そのような場合でも発熱せず、空気温度と同温
度を保持することができる高抵抗の素子を使用すること
により、センサの測定精度が向上する。従って、近年、
上記熱式流量センサには、より高抵抗の素子が使用され
る傾向にあり、1000Ω程度の抵抗値を有する素子の
開発も進められている。
【0006】 熱式流量センサ用の感温性抵抗素子とし
ては、例えば図1に示すような、絶縁体からなる円筒状
の基体3と、基体3の外周面に、基体3の両端部を連絡
するように形成された、膜状の感温性抵抗体2と、感温
性抵抗体2と電気的に接続された、基体3の両端部から
突出するリード線4とを備えた構造の抵抗素子1が用い
られるが(実開昭56−96326号公報等)、このよ
うな抵抗素子は熱的応答性を向上させるべく熱容量を小
さくする必要があり、基体3の大きさに厳しい制限が課
されている。具体的には、外径0.4〜1.0mmφ程
度、円筒軸方向の長さ1.5〜3mm程度という極めて
微細な部材として構成しなければならない。
【0007】 そこで、従来は、感温性抵抗体2を図示
の如く螺旋状として抵抗体を長尺とした上で、可能な限
り電流の流路の断面積を小さくすること、即ち、抵抗体
の膜厚を薄く、或いは抵抗体の幅を狭く構成することに
より高抵抗の素子を得ることが行われていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記
抵抗素子は、抵抗体の膜厚が薄く、或いはその幅が狭い
ことに起因して、以下に掲げるような問題を抱えてい
た。
【0009】 第1には、抵抗体の耐久性、特に静電気
に対する耐久性が低いという問題があった。例えば工程
内での手扱いによる検査等の際など、抵抗素子に静電気
がかかる状況下では抵抗体が頻繁に切断されるため、抵
抗素子、ひいてはセンサの耐久性が低い点において問題
であった。
【0010】 第2には、各抵抗素子の抵抗値のバラツ
キが大きいという問題があった。抵抗素子は、センサに
組み込んだ後の較正作業を容易にするべく、目標抵抗値
±12%程度の範囲内に抵抗値が均一化されていること
が要求される。従って、抵抗値のバラツキが大きい場合
には、目標抵抗値の抵抗素子が得られないことに加え、
前記較正作業が困難となり、酷い場合には前記較正を行
っても所定の範囲内にセンサの信号出力を調整すること
が不能となる点において問題であった。
【0011】 第3には、抵抗素子の基本特性である抵
抗温度係数が低下するという問題があった。抵抗温度係
数が低下した場合には、温度検知精度が悪くなり、セン
サの信号出力バラツキ(再現性が悪いこと)が大きくな
る等の不具合を生ずる点において好ましくない。
【0012】 本発明は、このような従来技術の問題点
に鑑みてなされたものであって、その目的とするところ
は、温度補償抵抗素子に使用し得る高抵抗値を有し、そ
の抵抗値が均一であって、静電気に対する耐久性や抵抗
温度係数に優れた感温性抵抗素子、及び測定精度や耐久
性に優れた熱式流量センサを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】 本発明者らが鋭意検討
した結果、感温性抵抗体の断面形状、即ち、電流が流れ
る方向と直交する面における抵抗体の幅及び厚さを所定
の範囲内とすることにより、上記従来技術の問題点を解
決できることを見出して本発明を完成した。
【0014】 即ち、本発明によれば、絶縁体からなる
円筒状の基体と、当該基体の外周面に形成された、当該
基体の両端部を連絡する、抵抗値が270Ω以上である
白金よりなるスパイラル膜状の感温性抵抗体と、当該感
温性抵抗体と電気的に接続された、当該基体の両端部か
ら突出する導通部材と、を備えた感温性抵抗素子であっ
て、前記感温性抵抗体の断面形状が、電流が流れる方向
と直交する面において、厚さ0.2〜0.6μm、幅3
0〜40μmの範囲内に構成され、1500Vの静電気
耐久性を有することを特徴とする感温性抵抗素子が提供
される。
【0015】 また、本発明によれば、上記の感温性抵
抗素子を、ブリッジ回路に組み込んだことを特徴とする
熱式流量センサが提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】 本発明の感温性抵抗素子は、感
温性抵抗体(以下、単に「抵抗体」と記す。)の断面形
状、即ち電流が流れる方向と直交する面における抵抗体
の幅及び厚さを所定の範囲内としたものである。本発明
によれば、温度補償抵抗素子に使用し得る高抵抗値を有
し、その抵抗値が均一であって、静電気に対する耐久性
や抵抗温度係数に優れた感温性抵抗素子(以下、単に
「抵抗素子」と記す。)、及び測定精度や耐久性に優れ
た熱式流量センサ(以下、単に「センサ」と記す。)が
提供される。以下、本発明の抵抗素子及びセンサについ
て詳細に説明する。
【0017】(1)本発明の抵抗素子の特徴本発明は、
温度補償抵抗素子にも使用し得る高抵抗値を有する抵抗
素子を提供することを目的としているため、電流の流路
の断面積を小さく構成することが必要となる。そこで、
本発明の抵抗素子においては、抵抗体の断面形状を厚さ
0.6μm以下、幅40μm以下としている。このよう
に抵抗体の幅及び厚さの上限を定めることにより、27
0〜1000Ω程度の高抵抗値を有する抵抗素子を得る
ことができる。
【0018】 その一方、上記のような、抵抗体の膜厚
が薄く、その幅が狭い抵抗素子は、高抵抗値を有するも
のの、静電気に対する耐久性が低い、各抵抗素子の
抵抗値のバラツキが大きい、抵抗温度係数が低い、と
いう問題を抱えている。従って、本発明の抵抗素子にお
いては、抵抗体の断面形状を厚さ0.2μm以上、幅3
0μm以上としている。
【0019】 上記のように抵抗体の厚さ及び幅の下限
を定めることにより、抵抗体の静電気に対する耐久性を
確保することができ、抵抗素子に静電気がかかる状況下
においても抵抗体が切断される事態を回避することが可
能となる。また、膜厚の下限の設定により、5〜20μ
mほどの大きな膜の欠陥ないし穴がなく、連続性が良い
膜となるので、各抵抗素子の抵抗値を均一化することが
可能であり、所定の膜厚を確保することにより抵抗温度
係数の低下をも防止することができる。
【0020】 抵抗体は、まず、真空蒸着、スパッタリ
ング、メッキ、ディッピング等の従来公知の膜形成法に
より、基体外周面全体に抵抗体構成導電性材料の膜を形
成した後、当該膜をレーザトリミングにより螺旋状に切
除する方法が一般的である。従って、抵抗体の厚さの制
御は膜形成時に、抵抗体の幅の制御はレーザトリミング
時に行うことができる。
【0021】 抵抗体の厚さの制御は膜形成法により異
なるが、本発明の抵抗素子は高抵抗値とするために膜厚
を0.6μm以下に制限しているので、いずれの場合に
も一時に付着する抵抗体構成導電性材料の量が極力少な
い方法を採用し、その膜形成回数を増加させることによ
り、或いは膜形成時間を長くすることにより膜厚を調整
することが好ましい。
【0022】 具体的には、真空蒸着であれば、蒸着物
の量を制御することにより、スパッタリングであればス
パッタリング電力を制御して300Å/h以下の膜形成
速度とし、膜形成時間を調節することにより、メッキで
あれば、低電流とし、メッキ時間を調節することによ
り、ディッピングであればディッピング用のペーストを
低濃度あるいは低粘度とし一回に付ける量を最小にし
て、浸漬回数を調節することにより制御することができ
る。
【0023】 抵抗体の幅の制御は、基体上の膜厚を基
体端面間の電気抵抗値から、あらかじめ求めておいた両
者の相関式を使い、膜厚を求め、その膜厚からレーザト
リミングのピッチを決めることで所定の抵抗値とする。
従って、適正な抵抗体の幅とするには所定抵抗値に合っ
た膜厚の制御が前提となる。
【0024】 なお、本発明の抵抗素子においては、抵
抗体の厚み及び幅を「電流が流れる方向と直交する面」
において規定している。「電流が流れる方向」とは、例
えば基体表面の抵抗体が基体円筒軸を中心とする螺旋状
に形成されている場合には、当該螺旋の進行方向を意味
する(基体の円筒軸方向ではない)。当該進行方向と直
交する面における抵抗体の断面積が電流の流路の大き
さ、即ち、抵抗値を決定するからである。
【0025】 また、本明細書における抵抗体の「厚
さ」は、以下のように定義されるものである。即ち、少
なくとも50個以上の基体を1ロットとし、当該1ロッ
トの基体の抵抗体形成前後における質量差から、あるい
は抵抗体形成後に化学的定量分析により、算出した抵抗
体構成導電性材料(例えばPt)の基体への付着量と、
抵抗体構成導電性材料の比重と、基体のミクロの凹凸を
滑らかな平面とみなした幾何学的な表面積とから求めら
れる抵抗体の厚さを本明細書にいう抵抗体の「厚さ」と
する。
【0026】 一方、本明細書における抵抗体の「幅」
は、以下のように定義されるものである。まず、少なく
とも50個以上の基体を1ロットとし、当該1ロットの
基体の表面に抵抗体を形成し、レーザトリミング等で螺
旋状とする。次いで、各基体の螺旋状の抵抗体から少な
くとも10箇所を任意に選択してその幅を測定し、当該
10箇所の幅のうち最も狭い幅を当該基体の抵抗体の幅
とする。更に、各基体の抵抗体の幅から求められる当該
ロットの抵抗体幅の平均値を本明細書にいう抵抗体の
「幅」とする。
【0027】 各基体の抵抗体幅を求める際に最も狭い
幅を基準としたのは、抵抗体の幅の最も狭い部分が静電
気に対する耐久性に影響を及ぼす可能性が高いからであ
る。幅の測定法は特に限定されないが、例えば、可動ス
テージが付き、そのステージの移動距離の表示装置を装
着した光学式顕微鏡により抵抗体幅を測定する方法、又
は、実体顕微鏡写真あるいは電子顕微鏡写真を使い計測
する方法などが挙げられる。
【0028】(2)製造方法本発明の抵抗素子は、抵抗
体の幅及び厚さを所定の範囲内とすることを除き、従来
公知の感温性抵抗素子の製造方法に準じて製造すること
が可能である。
【0029】基体 本発明の抵抗素子の基体は円筒状とする。板状の抵抗素
子も存在するが、これと比較してセンサに組み込む際に
方向性を問わないことに加え、抵抗素子の取付が容易で
あり、曲げ応力や熱衝撃に対する強度が高いからであ
る。
【0030】 基体は、円筒状である限りにおいて、中
実円筒であると、中空円筒であるとを問わない。但し、
熱的応答性を向上させるべく熱容量を小さくする必要が
あり、外径0.4〜1.0mmφ程度、軸方向長さ1.
5〜3mm程度とすることが好ましい。基体は、絶縁
体、一般にはアルミナ等の絶縁性セラミックで構成され
るため、当該絶縁性セラミックの粉末をプレス成形など
従来公知の成形法で成形し、焼成することにより製造す
ることができる。
【0031】抵抗体 抵抗体を構成する材質としては、温度上昇に伴って抵抗
値が増加する材質、例えばPt属金属(Pt,Ru,R
h,Pd,Os,Ir),Au,Ag,Cu,Ni、或
いはこれらを含む混合物が挙げられるが、本発明におい
ては、融点が高く、化学的安定性が高い点において、導
電性材料としてはPtに限定することが好ましい。
【0032】 本発明の抵抗体は、既述の如く従来公知
の膜形成法により形成するが、形成された膜は、構成す
る材質(例えばPt)を結晶化させ、或いは基体表面と
強固に付着せしめるべく、熱処理を行うことが好まし
い。熱処理温度は、その材質や膜形成法によっても異な
るが、Ptであれば600〜1200℃で熱処理するこ
とにより上記効果を得ることができる。なお、本発明の
ように膜を薄く形成する場合には、結晶粒成長により膜
切れを起こすおそれがあるため、熱処理温度及び熱処理
時間を、膜を厚く形成する場合の60〜80%程度に緩
和することが好ましい。
【0033】 抵抗体の抵抗値の調整は、螺旋状とした
抵抗体の幅、厚さの他、長さによって調整することがで
きるが、抵抗体にガラス、アルミナ、シリカ等の絶縁物
を混合せしめる方法を併用しても良い。抵抗値は、絶縁
物の混合比率により調整することが可能である。
【0034】導通部材 本発明の抵抗素子は、抵抗体と電気的に接続された、基
体の両端部から突出する導通部材を備える。導通部材は
抵抗素子(即ち、抵抗体)とセンサの電気回路とを接続
し、また、抵抗素子を保持するための部材であって、導
電性を有することが必要なため、例えば金属からなる直
径0.1〜0.2mm程度のリード線等を好適に用いる
ことができる。上記のように導通部材を細いリード線と
すると、基体からの伝熱による熱の逃げが少なく、セン
サの測定精度や応答性を確保できる点において好まし
い。
【0035】 導通部材の材質は、後述する保護被膜形
成の際の耐酸化性、センサ作動時の発熱に対する耐熱性
を備え、かつ、その熱を抵抗素子から逃がさないように
するべく熱伝導性が低い材質であることが好ましい。従
って、純金属に比して熱伝導性が低い、合金を用いるこ
とが一般的である。具体的には、貴金属、特にPtを主
体(例えばPtが質量比90%)とする合金であること
が好ましく、Pt−Ir,Pt−Rh,Pt−Au,P
t−Ni,Pt−Ag,Pt−Pd,Pd−Ir,Pd
−Ag等の組み合わせが挙げられる。
【0036】 なお、Fe−Ni合金、ステンレス等の
卑金属合金を使用する場合には、酸性ガス等に対する耐
食性を高めるべく、真空蒸着、化学メッキ、スパッタリ
ング、溶融メッキ、或いはクラッド等の方法により表面
をPt等の貴金属で被覆することが好ましい。
【0037】 導通部材の基体端部への固着は、例えば
金属とガラスとを混合してなる導体ペースト(以下、単
に「ペースト」という。)等を用いることができる。例
えば、Ptと軟化点600℃程度のガラスの各粉末を体
積比1:1で混合した原料粉末に、バインダとして原料
粉末の1質量%のエチルセルロース、有機ビヒクルとし
て少量のブチルカルビトールアセテートを添加し、充分
混合することにより保形性を有する程度の粘度に調節し
たもの等を使用することができる。
【0038】 中空円筒の基体の場合であれば、例えば
基体中空部にペーストを充填し、当該充填されたペース
ト中に導通部材(リード線等)を挿入し、ペーストを乾
燥した後、ペースト中のガラスが半溶融する程度の温度
より高い温度で焼成することにより、両者を接合するこ
とができる。
【0039】 導通部材を冠状体と当該冠状体から突出
するリード線とから構成し、当該冠状体を基体端部に対
して押し込んで冠着することにより基体と導通部材とを
接合してもよい。このような方法は、基体端部に不定
形なペーストが存在しないため、抵抗素子の表面積、リ
ード線の伝熱量を均一にでき、また、ペーストを使用
しておらず接合強度が高いため、ペースト内でリード線
が動き、リード線の接触抵抗が増大するという事態を回
避できる点において好ましい。
【0040】 冠状体は基体との強固な接合を得るた
め、基体外径と相補的な内径の凹部を有する形状である
ことが必要であり、例えば凹入口部は基体外径の105
%程度の内径で凹底部は基体外径の98%程度の内径を
有する有底円筒状等が挙げられる。材質は酸性ガス等に
対する耐食性から、オーステナイト系ステンレス鋼(S
US304L等)、インコネル、ハステロイ等の合金を
好適に用いることができる。
【0041】 上記リード線は、例えば銀ロウやハンダ
を用いたロウ付けにより冠状体と接合しても良いが、接
合強度が高く、接合部を小さく構成することができる
(即ち、リード線の伝熱量に影響を与えない)点におい
て溶接により行うことが好ましい。また、冠状体とリー
ド線との接合部にポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エ
ポキシ樹脂等の耐熱性樹脂からなる被膜を有するものが
好ましい。他の部分に比して脆弱で腐食され易いリード
線と冠状体の接合部を保護し、外気から遮断できるた
め、更に抵抗素子の耐久性を高めることができるからで
ある。
【0042】保護被膜本発明の抵抗素子は、少なくと
も抵抗体を保護するための保護被膜を備えることが好ま
しい。保護被膜の材質は抵抗素子の使用条件と適合する
ように適宜選択すれば良い。例えば200℃程度までの
温度条件であればポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等の
耐熱性樹脂を用いることも可能であるが、より高い温度
条件では、Pb系、或いはZn系の低融点ガラス(軟化
点400〜800℃程度のもの)等を用いる必要があ
る。
【0043】 保護被膜は、例えばペースト状にした軟
化点650℃のガラスを、基体の端面も含む抵抗体全体
を被覆するように塗布し、750℃で焼成する操作を複
数回繰り返すことにより形成することができる。このよ
うな方法によれば、膜厚約20μmの保護被膜が抵抗体
表面に形成される。
【0044】
【実施例】 以下、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、実施例、比較例の抵抗素子は少なくとも5
0個以上を1ロットとして、以下の方法により製造し
た。
【0045】 基体は、外径0.7mm、内径0.4m
m、長さ3.0mmの中空円筒体とした。当該基体の製
造は、アルミナ含有量99.6質量%のアルミナ粉末
に、バインダとしてアルミナ粉末の2質量%のポリビニ
ルアルコール、分散媒として適量の水を添加・混合し、
スプレードライヤで造粒してなる造粒物を、プレス成形
し、乾燥し、1650℃で焼成する方法により行った。
【0046】 抵抗体はPt板をターゲットとしたスパ
ッタリング法により基体の外周面全体に膜状に付着せし
める方法により形成した。この後、更に熱処理を行ない
白金を結晶化し熱的に安定な膜とした。具体的には、ス
パッタリング電力は50〜100W程度と小さくし、ス
パッタリング時間を調整することにより膜厚を0.15
〜0.60μmとした。その後、800℃で熱処理を行
い白金膜(抵抗体)を形成した。
【0047】 次いで、上記基体の端部に導通部材の一
部をなす冠状体を冠着し、接合した。冠状体としては、
SUS304からなる、外径0.9mm、内径0.7m
m、凹部深さ0.4mmの有底円筒体を用いた。
【0048】 冠状体接合後、抵抗値を調整することを
目的として、基体外周面全体に形成された白金膜のトリ
ミングを行った。基体外周面に形成された白金膜に、基
体の円筒軸を中心として、レーザトリミングにより一部
白金を除去して切り溝をいれ、白金膜を螺旋状とした。
全ての実施例、比較例において基体円筒軸中心に複数回
転の螺旋を形成する切り溝の幅は変更せず、白金膜の幅
のみを15〜40μmに調整した。
【0049】 更に、基体両端部に接合された冠状体の
底面中心にリード線を接合して導通部材を形成した。リ
ード線は長さ3mm、外径0.15mmφのワイヤと
し、Fe−Ni合金(質量比大凡50:50)からなる
芯材の表面にクラッドにより厚さ5μmのPt被膜を形
成したものを使用した。リード線と冠状体との接合は、
レーザビームを用いた溶接により行った。
【0050】 上記導通部材を固着した基体について
は、ポリイミド樹脂を白金膜全体(抵抗体)及び導通部
材におけるリード線と冠状体との接合部を被覆するよう
に塗布し、350℃でイミド化することにより、膜厚約
20μmの保護被膜を抵抗体面上に形成した。
【0051】(3)評価方法実施例、比較例の抵抗素子
の評価は、抵抗温度係数を測定することにより、また、
静電気耐久試験により行った。その結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】温度抵抗係数 表1に記載の抵抗温度係数は、1ロットを構成する各抵
抗素子について、以下の方法により測定したものであ
る。まず、−20、0、20、40、60、80、10
0、120℃の雰囲気温度で15分保持するようにプロ
グラム運転する恒温槽中に抵抗素子をセットし、当該8
点の雰囲気温度を白金線測温抵抗体により、各雰囲気温
度における抵抗素子の抵抗値を4端子型抵抗測定器によ
り精密に測定した。
【0054】 上記のデータを下記式(1)に代入し、
抵抗温度係数α、温度二乗項の係数βを算出した。ま
た、各抵抗素子について抵抗温度係数α、温度二乗項の
係数βを算出した後、上記式のTを25(℃)として、
25℃における抵抗値(R25)を計算により算出した。
表1に記載の抵抗値(R25)はトリミングの目標抵抗値
と実際の抵抗値の最大最小及びその目標抵抗値に対する
分布幅である。 R=R0(1+αT+βT2) …(1) (但し、R0:0℃における抵抗値(Ω)、T:温度
(℃)、R:温度T(℃)における抵抗値(Ω))
【0055】静電気耐久試験 まず、1ロットを構成する各抵抗素子のうち、抵抗値が
∞となったものを除去した上で、任意の50個の抵抗素
子を選択した。各抵抗素子に500V,1000V,1
500Vの電圧をかけた後、再度抵抗値を測定し、電圧
をかける前と後の抵抗値変化率が0.1%以内を合格、
抵抗値変化率が0.1%を超えるものを不合格としてそ
の比率を算出した。
【0056】(結果)表1に示すように、実施例1〜6
の抵抗素子について抵抗温度係数を測定した。平均値は
3780〜3810でバラツキは最大60ppm/℃以
内と安定していた。さらに、400℃の空気中で100
0時間暴露しても抵抗温度係数の変化は0.1%以内で
あり十分な耐久性を有していた。即ち、熱式流量センサ
用の抵抗素子として十分に実用性を有するものであっ
た。
【0057】 また、抵抗値は目標抵抗値±11%の範
囲内で均一に制御されていた。実施例2,3,5,6の
抵抗素子は抵抗値が目標抵抗値±10%の範囲内で制御
されており、特に良好な結果を示した。更に、静電気試
験においても全ての抵抗素子の抵抗値の変化率は小さ
く、静電気に対する耐久性が良好であることが認められ
た。
【0058】 一方、比較例の抵抗素子は膜厚が薄いこ
とあるいはトリミングの幅が狭いことに起因して抵抗温
度係数のバラツキが(100ppm/℃以上)と大きく
なった。また、抵抗値も目標抵抗値±30%の範囲を超
えてばらついており均一な抵抗値の素子を得ることがで
きなかった。更に、静電気試験においても抵抗素子の抵
抗値が0.1%を超えて変化しており静電気に対する耐
久性が劣るものと認められた。
【0059】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明の感温性
抵抗素子は、抵抗体の断面形状、即ち電流進行方向と直
交する面における抵抗体の幅及び厚さを所定の範囲内と
したので、温度補償抵抗素子に使用し得る高抵抗値を有
し、その抵抗値が均一であって、静電気に対する耐久性
や抵抗温度係数にも優れる。従って、本発明の感温性抵
抗素子をブリッジ回路に組み込んだ熱式流量センサは、
耐久性や測定精度に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 感温性抵抗素子の一般的態様を示す概略断面
図である。
【図2】 熱式流量センサの電気回路の構成を示す回路
図である。
【符号の説明】
1…感温性抵抗素子、2…感温性抵抗体、3…基体、4
…導通部材、5…導体ペースト、11…熱式流量セン
サ、12…吸気管、13…トランジスタ、14…比較
器、15…端子、16…電気的出力、17…ブリッジ回
路。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体からなる円筒状の基体と、 当該基体の外周面に形成された、当該基体の両端部を連
    絡する、抵抗値が270Ω以上である白金よりなるスパ
    イラル膜状の感温性抵抗体と、 当該感温性抵抗体と電気的に接続された、当該基体の両
    端部から突出する導通部材と、を備えた感温性抵抗素子
    であって、 前記感温性抵抗体の断面形状が、電流が流れる方向と直
    交する面において、厚さ0.2〜0.6μm、幅30〜
    40μmの範囲内に構成され、1500Vの静電気耐久
    性を有することを特徴とする感温性抵抗素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の感温性抵抗素子を、ブ
    リッジ回路に組み込んだことを特徴とする熱式流量セン
    サ。
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