JP2002039176A - 静圧磁気複合軸受スピンドル装置 - Google Patents

静圧磁気複合軸受スピンドル装置

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JP2002039176A
JP2002039176A JP2000221199A JP2000221199A JP2002039176A JP 2002039176 A JP2002039176 A JP 2002039176A JP 2000221199 A JP2000221199 A JP 2000221199A JP 2000221199 A JP2000221199 A JP 2000221199A JP 2002039176 A JP2002039176 A JP 2002039176A
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zero
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Nobuyuki Suzuki
伸幸 鈴木
Hiroyuki Yamada
裕之 山田
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 運転中に常に静圧気体軸受と磁気軸受の中心
を一致させることができて、両軸受の相互干渉が無く
せ、両軸受の優れた機能を効果的に発揮できるものとす
る。 【解決手段】 主軸4の変位を測定する変位測定手段2
7の測定値に従って、磁気軸受8をフィードバック制御
する磁気軸受制御手段28を設けた静圧磁気複合軸受ス
ピンドル装置1に適用される。加工工程中の工具がワー
クに接していない空転状態時に変位測定手段27のゼロ
点調整を行うゼロ点調整手段61を設ける。このゼロ点
調整手段61は、空転状態時に、磁気軸受8を動作させ
ずに静圧気体軸受9のみで支持した状態で、変位測定手
段27の出力の直流分をゼロに調整する。このゼロ点調
整は、例えば主軸4の回転数変更後に一定時間おきに行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高速切削加工装
置や研削加工装置に装備される静圧磁気複合軸受を備え
たスピンドル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】静圧磁気複合軸受は、静圧気体軸受と磁
気軸受とを複合化させた軸受であり、静圧気体軸受の優
れた動剛性および回転精度と、磁気軸受の優れた静剛性
とを合わせ持つ。そのため、静圧磁気複合軸受スピンド
ル装置は、工作機械のスピンドル装置として優れた性能
を持つ。静圧磁気複合軸受スピンドル装置は、運転中に
は静圧気体軸受と磁気軸受の中心を一致させる必要があ
る。磁気軸受は、主軸の変位を測定してフィードバック
制御されるため、両軸受の中心のずれは、これら軸受の
相互干渉を招き、静圧気体軸受、磁気軸受の特長を生か
しつつ、欠点を補い合うという目的は達成できない。磁
気軸受を制御するための変位測定手段としては、例え
ば、静圧気体軸受の軸受隙間の圧力を測定する圧力セン
サが用いられる。このように圧力センサを用いること
で、高精度の変位検出が可能になり、また静圧気体軸受
の中心を磁気軸受中心に設定して両軸受の相互干渉を防
ぐことが比較的容易になる。
【0003】しかし、主軸を高速回転させた場合、静圧
気体軸受の軸受隙間内における圧力および圧力分布は変
動するため、圧力センサのゼロ点、すなわち磁気軸受中
心は回転数によっても僅かに移動する可能性がある。ま
た、ステータの熱歪みによる軸受面の変形によっても同
様のことが起こる。この量は一般に1μm以下である
が、この誤差は両軸受の相互干渉を招く。このような課
題を解消するものとして、本出願人は、不感帯を設け
る、軸受起動時に設定回転数になった状態でゼロ点を
調整し直すことを提案した(特願平10−121967
号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、温度変
化に伴う熱歪みは安定するまでに数分間かかり、設定回
転数になってからの暖気時間が必要であった。また、主
軸の回転数を変更した場合など、加工条件が変わった場
合にも圧力ないし圧力分布が変わるが、このような場合
の対処はなされていない。
【0005】この発明の目的は、運転中に常に静圧気体
軸受と磁気軸受の中心を一致させることができて、両軸
受の相互干渉が無くせ、両軸受の優れた機能を効果的に
発揮できる静圧磁気複合軸受スピンドル装置を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の静圧磁気複合
軸受スピンドル装置を、実施形態に対応する図1を参照
して説明する。この静圧磁気複合軸受スピンドル装置
(1)は、主軸(4)を、磁気軸受(8)と静圧気体軸
受(9)とが並設された静圧磁気複合軸受(3)で回転
自在に支持し、上記主軸(4)の変位を測定する変位測
定手段(27)を設け、この変位測定手段(27)の測
定値に従って、前記磁気軸受(8)をフィードバック制
御する磁気軸受制御手段(28)を設けた静圧磁気複合
軸受スピンドル装置(1)において、主軸(4)に負荷
が生じていない空転状態時に前記変位測定手段(27)
のゼロ点調整を行うゼロ点調整手段(61)を設けたも
のである。このゼロ点調整手段(61)は、上記空転状
態時に、上記磁気軸受(8)を動作させずに静圧気体軸
受(9)のみで支持し、前記ゼロ点調整として前記変位
測定手段(27)の出力の直流分をゼロに調整するもの
である。この構成によると、常時は、静圧磁気複合軸受
(3)における静圧気体軸受(9)と磁気軸受(8)の
両方が機能して主軸(4)が支持される。このとき、磁
気軸受(8)は磁気軸受制御手段(28)でフィードバ
ック制御される。加工工程は、一般に、工具がワークに
接して加工を行う実加工状態と、工具がワークに接して
いない空転状態とが生じる。ゼロ点調整手段(61)
は、上記空転状態時を利用してゼロ点調整を行う。ゼロ
点調整は、磁気軸受(8)を動作させずに静圧気体軸受
(9)のみで支持し、このときの変位測定手段(27)
の出力の直流分をゼロに調整する処理である。静圧磁気
複合軸受(3)における静圧気体軸受(9)と磁気軸受
(8)の両方が動作している実加工状態等から空転状態
になったときは、磁気軸受(8)の動作を停止させ、静
圧気体軸受(9)のみによる支持に切り換えてからゼロ
点調整を行う。このように、加工工程中の空転状態時を
適宜利用し、ゼロ点調整を行うことにより、軸受運転中
に生じる温度変化等の変位測定手段(27)の精度劣化
要因に対して、変位測定手段(27)の測定値を常に高
精度に保ち、静圧気体軸受(9)と磁気軸受(8)との
併用による支持を安定して行うことができる。すなわち
運転中に常に静圧気体軸受(9)と磁気軸受(8)の中
心を一致させることができて、両軸受(8),(9)の
相互干渉が無くせ、両軸受(8),(9)の優れた機能
を効果的に発揮できる。したがって、スピンドル装置
(1)の高速化も図れる。また、加工工程中の空転状態
時を利用するため、ゼロ点調整に余分な時間が不要で、
あるいは僅かで済み、加工のサイクルタイムが長くなる
ことが避けられる。
【0007】この発明において、前記ゼロ点調整手段
(61)は、上記静圧気体軸受(9)のみで支持してゼ
ロ点調整する動作を、主軸(4)の回転数変更がなされ
た後、間隔をあけて複数回行うものとしても良い。例え
ば、回転数変更の後、一定時間置きにゼロ点調整を行う
ようにする。主軸(4)の回転数を変更した場合、スピ
ンドル装置(1)の熱的条件が変化して変位測定手段
(27)の測定値の誤差が生じることがある。そのた
め、このように回転数変更がなされた後、間隔をあけて
複数回のゼロ点調整を行うことにより、主軸回転速度に
応じた精度の良いゼロ点調整が行える。
【0008】この発明において、前記ゼロ点調整手段
(61)は、静圧磁気複合軸受(3)の起動時にゼロ点
調整を行った後、前記空転状態時のゼロ点調整を行うも
のとしても良い。このように、起動時のゼロ点調整の
後、前記空転状態時にもゼロ点調整を行うようにするこ
とにより、常に精度良く静圧気体軸受(9)と磁気軸受
(8)の中心を一致させることができて、両軸受
(8),(9)の相互干渉が無くせる。
【0009】この発明において、前記変位測定手段(2
7)は、静圧気体軸受(9)の軸受隙間の圧力を検出す
る圧力センサであっても良い。磁気軸受(8)のフィー
ドバック制御を行うための変位測定手段(27)が、静
圧気体軸受(9)の軸受隙間の圧力を検出する圧力セン
サである場合、高精度の変位検出が可能になり、また静
圧気体軸受(9)の中心を磁気軸受(8)の中心に設定
して両軸受(8),(9)の相互干渉を防ぐことが比較
的容易になる。その反面、主軸(4)を高速回転させた
場合、静圧気体軸受(9)の軸受隙間内における圧力お
よび圧力分布が変動するため、圧力センサのゼロ点、す
なわち磁気軸受(8)の中心は回転数によっても僅かに
移動する可能性がある。また、ステータの熱歪みによる
軸受面の変形によっても同様のことが起こる。そのた
め、この発明の加工工程中の空転状態時を利用してゼロ
点調整を行うことによる高精度化等の効果が大きい。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図1〜図
5と共に説明する。図1はこの実施形態にかかる静圧磁
気複合軸受スピンドル装置の縦断面図と制御系のブロッ
ク図とを組み合わせた説明図である。この静圧磁気複合
軸受スピンドル装置1は、工作機械のビルトインモータ
形式のスピンドル装置であって、スピンドル台となる円
筒状のハウジング2内に、複数の静圧磁気複合軸受3,
3と、アキシャル軸受10とを介して主軸4を回転自在
に支持し、主軸4を駆動するモータ5を設置したもので
ある。主軸4は、静圧磁気複合軸受3のロータとなる。
モータ5は、主軸4に一体に設けられたモータ部ロータ
6と、ハウジング2に直接設置されたステータ7とで構
成される。
【0011】前後の静圧磁気複合軸受3,3は、ラジア
ル形式の磁気軸受8とラジアル形式の静圧気体軸受9と
を複合化させたものである。この明細書で言う軸受の
「複合化」とは、静圧および磁気の両形式の軸受を共通
部分が生じるように組み合わせることを意味し、例えば
静圧気体軸受面と磁気軸受面とに共通部分(ラジアル軸
受では軸方向の重なり部分)を生じさせるか、あるいは
両形式の軸受の構成部分に兼用部分が生じるものであれ
ば良い。静圧気体軸受9には静圧空気軸受が用いられて
いる。この実施形態では、磁気軸受8の電磁石のコア1
3に、静圧気体軸受9の絞り15を設けることで、コア
13で静圧気体軸受面の一部を構成している。
【0012】磁気軸受8は、図2に示すように、主軸4
の周囲の複数箇所(図示の例では4か所)に、磁気ギャ
ップを介してコア13を設け、コア13にコイル14を
巻装したものである。コア13は、軸方向に離れた一対
の主コア部13a,13a(図1)と、これら主コア部
間を連結した連結コア部13bとを有し、縦断面が、主
軸4が側に開口するC字状に形成されている。コイル1
4は、連結コア部13bに巻装されている。隣り合うコ
ア13間は、樹脂等の非磁性体からなるコア覆い材18
で埋められている。静圧気体軸受9は、主軸4の周囲に
軸受隙間dを形成する静圧軸受面9aと、この静圧軸受
面9aに開口する絞り15とで構成される。静圧軸受面
9aは、コア13およびコア覆い材18の内径側面で形
成されている。絞り15は、コア13の各主コア部13
aに形成されている。これら絞り15は、ハウジング2
に設けられた給気通路16に給気孔16aで連通する。
給気通路16は給気口17(図1)でハウジング2の外
に開口し、圧縮気体の供給源(図示せず)に配管等で接
続される。図1のアキシャル軸受10は、アキシャル型
の静圧気体軸受と磁気軸受とを複合化させた静圧磁気複
合軸受で構成されている。アキシャル軸受10は、静圧
磁気複合軸受とする場合、軸受ロータ41aの両側に対
面する一対の軸受部を有するものとされ、具体的には、
例えば後に図6と共に説明するものが使用される。アキ
シャル軸受10は、静圧磁気複合軸受に代えて磁気軸受
としても良く、また転がり軸受を用いても良い。
【0013】この静圧磁気複合軸受スピンドル装置の制
御系を説明する。図1において、複合軸受制御装置60
は、静圧磁気複合軸受3を制御する装置であり、マイク
ロコンピュータと、集積回路等の電子部品等で構成され
る。複合軸受制御装置60は、磁気軸受制御手段28
と、ゼロ点調整手段61とを備える。磁気軸受制御手段
28は、主軸4の変位を測定する変位測定手段27の測
定値に従って、磁気軸受8をフィードバック制御する手
段である。なお、図1では、磁気軸受制御手段28およ
びゼロ点調整手段61は一部の静圧磁気複合軸受3につ
いてのみ示したが、これら磁気軸受制御手段28および
ゼロ点調整手段61は、複数配置される各静圧磁気複合
軸受3について設けられ、同時にゼロ点調整が行われ
る。
【0014】ゼロ点調整手段61は、変位測定手段27
のゼロ点を調整するゼロ点調整部62と、ゼロ点調整の
ために磁気軸受8のオンオフ制御を行う磁気軸受オンオ
フ制御部63とで構成される。磁気軸受オンオフ制御部
63は、起動時制御部64と空転時制御部65とを有す
る。
【0015】ゼロ点調整手段61は、静圧磁気複合軸受
3の起動時に、静圧気体軸受9を作動させ主軸4を非接
触浮上させた後、そのときの変位検出手段27の出力の
直流成分をゼロ点調整部62でゼロに調整し、その後、
磁気軸受8の機能を作動させる。具体的には、静圧磁気
複合軸受3の起動時に、静圧気体軸受9を作動させ主軸
4を非接触浮上させた後、主軸4をモータ5で回転さ
せ、所定の回転数またはそれ以上になった状態で変位検
出手段27の出力の直流成分をゼロ点調整部62でゼロ
に調整し、その後、磁気軸受8の機能を作動させる。こ
のように、静圧磁気複合軸受3の起動時に、静圧気体軸
受9の作動状態でゼロ点調整を終えた後に磁気軸受8を
作動させる手段が起動時制御部64である。
【0016】ゼロ点調整手段61は、加工工程中は、工
具がワークに接していない空転状態時に、磁気軸受8を
動作させずに静圧気体軸受9のみで支持し、ゼロ点調整
部62により、変位測定手段27の出力の直流分をゼロ
に調整するというゼロ点調整を行う。ゼロ点調整手段6
1は、この静圧気体軸受9のみで支持してゼロ点調整す
る動作を、加工条件の変更がなされたときに行う。例え
ば、主軸4の回転数変更がなされた後、空転状態の間
に、間隔をあけて複数回行う。この場合、主軸4の回転
数変更の後、一定時間おき(例えば1〜2分おき)にゼ
ロ点調整を行うようにしても良い。また、静圧磁気複合
軸受3を動作させた状態で、主軸4を停止させ、主軸4
の工具を自動工具交換機構(ATC)等で交換した後、
実加工に入るまでの空転状態時に、磁気軸受8を動作停
止させ、静圧気体軸受9のみの支持状態でゼロ点調整を
行うようにしても良い。このように、空転状態時に静圧
気体軸受9の作動状態で磁気軸受8を停止状態とし、ゼ
ロ点調整を終えた後に磁気軸受8を作動させる手段が空
転時制御部65である。
【0017】変位測定手段27の具体例を説明する。図
2に示すように、軸受ステータ12には、コア覆い材1
8を半径方向に貫通して軸受隙間dに開口する圧力検出
用通気孔26が、絞り15の近くの周方向4か所に等間
隔に設けられ、これに連通するセンサ装着孔に圧力セン
サ27A〜27Dが設けられている。これら圧力センサ
27A〜27Dは、互いに直径方向に対向する2つのセ
ンサが1組となって、主軸4のラジアル変位を検出する
差圧式のエアマイクロセンサとされている。すなわち、
互いに直径方向に対向する圧力センサ27A,27Bが
1つの組を、圧力センサ27C,27Dが他の1つの組
をなし、一方の圧力センサ27A,27Bの組の間で
は、対応する通気孔26が開口する静圧気体軸受面での
圧力差を測定し、これを主軸4のY軸方向の変位に換算
する。また、他方の圧力センサ27C,27Dの組の間
でも、対応する通気孔26が開口する静圧気体軸受面で
の圧力差を測定し、これを主軸4のX軸方向の変位に換
算する。上記の差圧式のエアマイクロセンサが、変位測
定手段27となる。なお、図2では、図示の都合上、圧
力検出用通気孔26を絞り15に対して周方向にずらし
て示してあるが、圧力検出用通気孔26は絞り15と同
じ周方向位置に設けることが好ましい。
【0018】磁気軸受制御手段28は、この実施形態で
は、コントローラ28aおよびアンプ29などで構成さ
れる。磁気軸受制御手段28は、Y軸方向およびX軸方
向のフィードバック制御系を有しており、Y軸方向のフ
ィードバック制御系では、上記圧力センサ27A,27
Bにより検出される主軸4のY軸方向への変位に基づ
き、磁気軸受8のY軸方向のフィードバック制御が行わ
れる。すなわち、主軸4の変位に応じて、アンプ29を
経て圧力センサ27A,27Bに対応する位置のコイル
14またはその近隣の幾つかのコイル14に供給する電
流を加減し、主軸4がY軸方向に偏らないように制御す
る。すなわち、主軸4が目標位置に一致するように制御
する。これと同様に、磁気軸受制御手段28のX軸方向
のフィードバック制御系は、他の圧力センサ27C,2
7Dの測定値により、所定のコイル14の電流制御を行
う。このように、磁気軸受8の変位センサとして、軸受
隙間dの静圧を検出する圧力センサ27A〜27Dを用
いたエアマイクロセンサ方式を採用するため、磁気軸受
8の制御系のゼロ点(目標値)と静圧気体軸受9の支持
中心点(圧力平衡点)を容易に一致させることができ
る。また、他の方式のセンサで問題となるロータセンサ
ターゲット面の磁気特性むらや真円度誤差は無関係とな
る。
【0019】磁気軸受制御手段28によるフィードバッ
ク制御は、積分動作または比例積分動作のみとされ、高
周波における補償は行われない。また、圧力センサ27
A,27Bのドリフト等により磁気軸受制御系のゼロ点
と静圧気体軸受9の支持中心点がずれる場合は、積分制
御において僅かな不感帯w(図4)を設けてもよい。不
感帯wは、圧力センサ27A,27Bと磁気軸受制御手
段28との間に図5のように不感帯回路31を設けるこ
とで設定しても、また磁気軸受制御手段28を構成する
制御回路内に不感帯回路を設けることで設定しても良
い。このように不感帯wを設けることにより、温度ドリ
フト等による磁気軸受8の誤動作を抑制することができ
る。すなわち、動剛性(高周波領域)を静圧気体軸受9
で、静剛性(低周波領域)を磁気軸受8でそれぞれ分担
して受け持つ役割分担が確実に行えて、両軸受8,9の
特長が共に生かされ、互いに干渉することを回避でき
る。また、このように、磁気軸受8は積分動作または比
例積分動作という低周波制御系となるため、比較的応答
性の遅い圧力センサ27A〜27Dを変位センサとして
用いることができる。磁気軸受8の性能は、磁気軸受制
御手段28の設定によって設定することができるが、一
般に磁気軸受の場合、高周波域に有効に減衰力を発生さ
せ、主軸を安定して浮上させることが難しいといった問
題がある。そこで、この実施形態では、磁気軸受8は、
その特長である低周波域での軸受剛性を高める役目だけ
に利用するようにしている。
【0020】磁気軸受8のコイル14に電流を供給する
アンプ29には、電流−電磁力を線型化させるための線
型化回路、例えば電流2乗フィードバック回路を有する
ものが用いられる。これにより、バイアス電流を流すこ
となく線形化でき、磁気軸受特有の負の剛性も発生しな
い。すなわち、磁気軸受8で負の剛性が発生するのを回
避でき、その負の剛性により静圧気体軸受9の安定性が
損なわれるのを防止できる。また、主軸4が回転したと
きにそのバイアス電流によって発生する主軸4内の鉄損
を無くすことができ、高速回転が可能となる。なお、磁
気軸受制御手段28には、主軸4の回転数に同期したバ
ンドエリミネートフィルタ(図示せず)を挿入しても良
い。これにより、主軸4の回転時のロータアンバランス
による振れに対して、磁気軸受8の電磁石からの電磁力
は作用しなくなる。
【0021】なお、この実施形態では、圧力センサ27
A〜27Dで直接に主軸4の変位を検出するようにした
が、圧力センサによる測定値から換算して、主軸4と静
圧気体軸受面との間の隙間の大きさを求め、この隙間の
変化に応じて磁気軸受制御手段28による制御を行うよ
うにしても良い。また、変位検出手段27は、圧力セン
サ27A〜27Dによらず、磁気等で主軸4の変位を検
出するものであっても良い。
【0022】上記構成によるゼロ点調整を説明する。起
動時は、各静圧磁気複合軸受3の絞り15に圧力流体を
供給し、静圧気体軸受9のみで主軸4を浮上させる。そ
の浮上状態で、所定の回転数に回転させ、変位測定手段
27の直流成分のみをゼロにシフトさせ、その後、磁気
軸受8の制御を作動させる。このような起動を行うこと
により、静圧気体軸受9と主軸4との釣り合いだけでな
く、主軸4の回転に伴い、主軸4の周りの流体からの作
用力の微妙なアンバランスから生じる静的力をも考慮
し、その状態をロータ中心として、磁気軸受8を作動す
ることができる。また、主軸4の回転上昇時に磁気軸受
9の磁束によって主軸4内に発生する鉄損の影響を回避
でき、高速回転が可能になる。
【0023】加工工程中は、次のようにゼロ点調整を行
う。加工工程は、一般に、工具がワークに接して加工を
行う実加工状態と、工具がワークに接していない空転状
態とが生じる。また、このような実加工状態と空転状態
とが交互に繰り返される。ゼロ点調整手段61は、これ
らの空転状態時を利用してゼロ点調整を行う。例えば主
軸4の回転数変更がなされた後、空転状態時の間に、こ
のゼロ点調整を一定時間置きに行う。ゼロ点調整は、磁
気軸受8を動作させずに静圧気体軸受9のみで支持し、
このときの変位測定手段27の出力の直流分をゼロに調
整する処理である。このように、加工工程中の空転状態
時を適宜利用し、ゼロ点調整を行うことにより、軸受運
転中に生じる温度変化等の変位測定手段2の精度劣化要
因に対して、変位測定手段27の測定値を常に高精度に
保ち、静圧気体軸受9と磁気軸受8との並設による支持
を安定して行うことができる。すなわち、実加工中に常
に静圧気体軸受9と磁気軸受8の中心を一致させること
ができて、両軸受8,9の相互干渉が無くせ、両軸受
8,9の優れた機能を効果的に発揮できる。したがって
スピンドル装置1の高速化も図れる。また、加工工程中
の空転状態時を利用するため、ゼロ点調整に余分な時間
が不要で、あるいは僅かで済み、加工のサイクルタイム
が長くなることが避けられる。主軸4の回転数を変更し
た場合、スピンドル装置1の熱的条件が変化して変位測
定手段27の測定値の誤差が生じることがあるが、この
ように回転数変更がなされた後、間隔をあけて複数回の
ゼロ点調整を行うことにより、主軸回転速度に応じた精
度の良いゼロ点調整が行える。ゼロ点調整は、マイクロ
コンピュータで処理するため、ごく短時間(1秒以下)
で済む。
【0024】磁気軸受8のフィードバック制御を行うた
めの変位測定手段27が、上記のように静圧気体軸受9
の軸受隙間の圧力を検出する圧力センサである場合、高
精度の変位検出が可能になり、また静圧気体軸受9の中
心を磁気軸受8の中心に設定して両軸受8,9の相互干
渉を防ぐことが比較的容易になる。その反面、主軸4を
高速回転させた場合、静圧気体軸受9の軸受隙間内にお
ける圧力および圧力分布が変動するため、圧力センサの
ゼロ点、すなわち磁気軸受8の中心は回転数によっても
僅かに移動する可能性がある。また、ステータの熱歪み
による軸受面の変形によっても同様のことが起こる。そ
のため、上記のように加工工程中の空転状態時を利用し
てゼロ点調整を行うことによる高精度化等の効果が大き
い。
【0025】図6は、この静圧磁気複合軸受スピンドル
装置における静圧磁気複合軸受として、アキシャル軸受
に適用した例を示す。このアキシャル型の静圧磁気複合
軸受装置は、磁性体からなる主軸41の鍔状のスラスト
支持部である軸受ロータ41aを軸方向両側から2つの
静圧磁気複合アキシャル軸受部42,43で挟んで構成
される。各静圧磁気複合アキシャル軸受42,43は、
電磁石のコア44,45内にコイル46,47を収納
し、このコア44,45内に絞り48を設けたものであ
って、主軸41の外周にリング状に設けられる。絞り4
8は自成絞りであり、コア44,45の軸受面に開口す
る先端が微細孔となった給気孔48aと、軸受隙間d
1,d2とで構成される。前記のコア44,45とコイ
ル46,47とで、アキシャル磁気軸受49の軸受ステ
ータ52が構成され、コア44,45と絞り48とでア
キシャル静圧気体軸受50が構成される。
【0026】コア44,45とロータ41a間にこの圧
力流体を噴出させることにより、コア44,45とロー
タ41a間に圧力が発生する。また、自成絞り48を設
けたことによって、コア44,45とロータ41a間の
隙間d1,d2の変動によって、圧力および隙間の間隔
が自動的に変化し、自動調芯機能を有する静圧気体軸受
を形成できる。これにより、ロータ41aを安定浮上さ
せることができる。
【0027】このアキシャル型の静圧磁気複合軸受に
は、外部にコア44,45とロータ41a間の距離を測
定する変位検出手段51を設け、その変位検出手段51
の測定値に応じてコイル46,47に流す電流をフィー
ドバック制御する磁気軸受制御手段53を設ける。磁気
軸受制御手段53は、例えばアンプ54を介して電流制
御する。これにより、静圧気体軸受と磁気軸受とを兼用
した軸受構成が可能となる。この磁気軸受制御手段53
は、第1の実施形態等で説明した磁気軸受制御手段28
と同様な機能のものを用いることができる。変位検出手
段51は、変位センサであっても良く、また静圧気体軸
受の軸受隙間d(d1,d2)の圧力を測定する手段で
あっも良い。
【0028】このようなアキシャル型の静圧磁気複合軸
受においても、図1の例におけるラジアル型の静圧磁気
複合軸受3に対するゼロ点調整手段61が採用できる。
【0029】なお前記実施形態では、主軸4は工具を保
持するものとしたが、この発明は、主軸でワークを保持
するスピンドル装置や、主軸をさらに他の目的に用いる
スピンドル装置にも適用することができる。
【0030】
【発明の効果】この発明の静圧磁気複合軸受スピンドル
装置は、主軸を、磁気軸受と静圧気体軸受とが並設され
た静圧磁気複合軸受で回転自在に支持し、上記主軸の変
位を測定する変位測定手段を設け、この変位測定手段の
測定値に従って、前記磁気軸受をフィードバック制御す
る磁気軸受制御手段を設けた静圧磁気複合軸受スピンド
ル装置において、主軸に負荷が接していないワークに接
していない空転状態時に前記変位測定手段のゼロ点調整
を行うゼロ点調整手段を設け、このゼロ点調整手段は、
上記空転状態時に、上記磁気軸受を動作させずに静圧気
体軸受のみで支持し、前記ゼロ点調整として前記変位測
定手段の出力の直流分をゼロに調整するものとしたた
め、運転中に常に静圧気体軸受と磁気軸受の中心を一致
させることができて、両軸受の相互干渉が無くせ、両軸
受の優れた機能を効果的に発揮できる。前記ゼロ点調整
手段が、上記静圧気体軸受のみで支持してゼロ点調整す
る動作を、主軸の回転数変更がなされた後、間隔をあけ
て複数回行うものとした場合は、運転中に常に静圧気体
軸受と磁気軸受の中心を一致させる効果が、より一層高
められる。また、前記ゼロ点調整手段が、静圧磁気複合
軸受の起動時にゼロ点調整を行った後、前記空転状態時
のゼロ点調整も行うものとした場合は、起動時から、通
常運転時にわたって、常に静圧気体軸受と磁気軸受の中
心を一致させることができる。前記変位測定手段が、静
圧気体軸受の軸受隙間の圧力を検出する圧力センサであ
る場合は、両軸受の中心の一致化が容易である反面、主
軸回転数等の加工条件の影響を受け易いが、そのため、
加工工程中の空転状態時を利用してゼロ点調整を行うこ
とによる高精度化の効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る静圧磁気複合軸受
スピンドル装置の縦断面図と制御系のブロック図とを組
み合わせた説明図である。
【図2】その静圧磁気複合軸受の横断面図と軸受制御系
のブロック図とを組み合わせて示す説明図である。
【図3】同静圧磁気複合軸受の部分拡大図である。
【図4】同静圧磁気複合ラジアル軸受の電流制御例を示
す説明図である。
【図5】同静圧磁気複合ラジアル軸受の制御系の変形例
を示すブロック図である。
【図6】この発明のさらに他の実施形態におけるアキシ
ャル型の静圧磁気複合軸受の部分断面図と軸受制御系の
ブロック図とを組み合わせて示す説明図である。
【符号の説明】
1…静圧磁気複合軸受スピンドル装置 2…ハウジング 3…静圧磁気複合軸受 4…主軸 8…磁気軸受 9…静圧気体軸受 10…アキシャル磁気軸受 12…軸受ステータ 13…ステータコア 14…コイル 15…絞り 27…変位検出手段 27A〜27D…圧力センサ 28…磁気軸受制御手段 61…ゼロ点調整手段 62…ゼロ点調整部 63…磁気軸受オンオフ制御部 d…軸受隙間
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B23Q 1/26 Z Fターム(参考) 3C034 BB03 BB07 CB18 3C045 FD14 FD16 3C048 BC03 CC00 CC07 3J102 AA01 AA02 BA03 BA19 CA03 CA10 CA20 CA32 CA33 DA02 DA03 DA09 DB05 DB06 DB10 DB11 DB37 EA02 EB02 GA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主軸を、磁気軸受と静圧気体軸受とが並
    設された静圧磁気複合軸受で回転自在に支持し、上記主
    軸の変位を測定する変位測定手段を設け、この変位測定
    手段の測定値に従って、前記磁気軸受をフィードバック
    制御する磁気軸受制御手段を設けた静圧磁気複合軸受ス
    ピンドル装置において、主軸に負荷が生じていない空転
    状態時に前記変位測定手段のゼロ点調整を行うゼロ点調
    整手段を設け、このゼロ点調整手段は、上記空転状態時
    に、上記磁気軸受を動作させずに静圧気体軸受のみで支
    持し、前記ゼロ点調整として前記変位測定手段の出力の
    直流分をゼロに調整するものとしたことを特徴とする静
    圧磁気複合軸受スピンドル装置。
  2. 【請求項2】 前記ゼロ点調整手段は、上記静圧気体軸
    受のみで支持してゼロ点調整する動作を、主軸の回転数
    変更がなされた後、間隔をあけて複数回行うものとした
    請求項1記載の静圧磁気複合軸受スピンドル装置。
  3. 【請求項3】 前記ゼロ点調整手段は、静圧磁気複合軸
    受の起動時にゼロ点調整を行った後、前記空転状態時の
    ゼロ点調整を行うものとした請求項1または請求項2記
    載の静圧磁気複合軸受スピンドル装置。
  4. 【請求項4】 前記変位測定手段は、静圧気体軸受の軸
    受隙間の圧力を検出する圧力センサである請求項1ない
    し請求項3のいずれかに記載の静圧磁気複合軸受スピン
    ドル装置。
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