JP2002034568A - 組換え豚丹毒菌防御抗原の回収精製法 - Google Patents
組換え豚丹毒菌防御抗原の回収精製法Info
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Abstract
iae)抗原活性を有する46.5KPAのタンパク質
(豚丹毒菌防御抗原46.5KPA:46.5kDa p
rotective antigen)をコードする遺伝子で形質転換し
たBrevibacillus choshinensisを培養し、その培養物を
精密濾過膜で濾過して抗原タンパク質と菌体を濃縮し、
これをアルカリ緩衝液で洗浄して抗原タンパク質のみを
可溶化、濾過し、得られた濾過画分を更に陰イオン交換
クロマト処理して精製する。 【効果】 本発明によって効率的且つ工業的に回収、精
製された豚丹毒菌防御抗原は、純度が非常に高く、豚丹
毒菌ワクチンの製造に利用することができる。
Description
チョウシネンシス(Brevibacillus choshinensis)を宿
主菌とする遺伝子組換え体を培養することによって生産
された豚丹毒菌防御抗原蛋白質46.5KPA(46.5kD
A protective antigen;以下46.5KPAということ
もある)の回収精製法に関するものである。更に、詳細
には、本発明は豚丹毒菌抗原活性を有する46.5KP
Aをコードする遺伝子で形質転換したプレビバチルス・
チョウシネンシスを培養し、その培養物から46.5K
PAを回収精製する方法に関するものであって、特に工
業的大量精製法に適した簡便且つ効率的な蛋白質の回収
精製方法に関するものである。
iae)は豚、イノシシ、鯨類、鶏、七面鳥などの食用動
物に病原性を持ち、畜産の生産性に大きな被害を与えて
きた。家畜伝染病予防法において豚丹毒は監視伝染病の
一つに指定され豚において年間3,000頭前後の発生
報告がある。また本菌は人にも病原性をもつこと、食肉
処理場での多数の豚丹毒症例が摘発されることから、豚
肉やその内臓を含む食品の安全性にも脅威となってい
る。
培地で長期継代培養して作製された豚丹毒菌弱毒株Ko
ganei株から製造された凍結乾燥生ワクチンがひろ
く豚丹毒菌感染の防御のために使用されてきたが、問題
点として、マウスに関節炎発症の病原性をもつこと、抗
体の低い豚やSPF豚において重篤な副作用を示すこ
と、また慢性豚丹毒症例豚の病変からワクチン株が分離
されることが指摘されている。
強毒株の培養菌液をホルマリンで殺菌処理し、その全菌
体及び菌体外生産物を水酸化アルミニウムゲルに吸着さ
せて製造したバクテリアワクチン及び全菌体からアルカ
リ水溶液で抽出した菌体表層非精製蛋白質画分から成る
成分ワクチンが豚丹毒の予防用ワクチンとして用いられ
ている。アルカリ抽出蛋白質画分中の有効成分として
は、64〜66kDaの蛋白質抗原がマウスで感染防御
活性を示すとされる(Groschup,M.H.et al.(199
1) Epidemio. Infect., 107,637-649)
しては、Ga1anとTimonyが豚丹毒菌の5.4
kbの遺伝子断片で組換えたファージを感染させた宿主
大腸菌の溶解物上清で免疫したマウス群では14〜17
%が感染死に対する防御活性を示すこと、また、同溶解
物上清に対する免疫血清は66、54、43kDaの蛋
白質と反応することを示した(Garan,J.E.et al.
(1990)Infect. Immun., 58,3116-3121)。
するモノクローナル抗体が、血清型2型豚丹毒菌Tam
a96株の64kDaの表面蛋白質を認識すること、ま
たその表面蛋白質の遺伝子がクローニングされ、塩基配
列と606アミノ酸の配列が決定され、C末に8個の相
似な繰り返し配列(19個のアミノ酸からなる8番目の
配列以外は20個のアミノ酸からなる。)をもつことが
報告された(Makino,S.et al.(1998)Microb. Path
og. 25,101-109)。
ている。
菌の生菌を接種したマウスは、豚丹毒菌の攻撃に対し防
御が成立する。またSPAのうち、菌細胞膜に固着する
側のC末繰り返し配列部分が防御活性に必須であること
が報告された(Makino, S. et al. (1998) Microb. Pat
hog. 25, 101-109)。
感染防御抗原の遺伝子も同様の配列をとるが、C末の操
り返し配列が1個多く、626個のアミノ酸からなり、
C未には9個の相似な繰り返し配列(19個のアミノ酸
からなる9番目の配列以外は20個のアミノ酸からな
る。)をもつこと、その遺伝子がコードする蛋白質は6
9kDaの蛋白質であることが示された(Imada,Y.
(1999)Proc. Jpn. Pig.Vet. Soc. 34, 12-15)。ここ
で得られた遺伝子全長または遺伝子全長からC未の繰り
返し塩基配列を除いた遺伝子または全長のN末側の一部
とC末の繰り返し塩基配列を除いた1029bpの塩基
配列で組換えた大腸菌からヒスチジンヘキサマー融合蛋
白質として得られた組換え蛋白質は、フロイントコンプ
リートアジュバント(実用ワクチン用には使用不可)の
存在下で感染防御効果を示したと報告されている(今
田、上記)。
防御抗原の組換え体は、ヒスチジンヘキサマーなどとの
融合ポリペプチドとして、しかも大腸菌体内に生産させ
たものであり、宿主菌菌体外の外分泌系として生産する
方法はこれまで知られていない。また組換え体で生産さ
れた豚丹毒菌の感染防御抗原を、防御免疫誘導のための
実用ワクチンとして利用する免疫方法も知られていな
い。更に、粘膜経路(経鼻、経口、経直腸)でのワクチ
ン投与の開発が、動物へのストレス軽減、省力化、粘膜
局所での免疫誘導を目的として要望されているが、豚用
の組換え抗原に対する経粘膜免疫方法による防御免疫付
与方法は知られていない。さらにまた、マウスでは大腸
菌変異易熱性腸管毒素(mLT)が粘膜アジュバントと
して、粘膜投与蛋白質抗原の免疫原性を増強するが(Ts
uji,T.et al.(1997)Immunology, 90,176-182)、
豚などの家畜ではmLTの粘膜アジュバント活性は知ら
れていない。
々の研究が進められているなかで、渡辺らは、豚丹毒菌
の感染防御抗原遺伝子のうち、従来必要とされていたC
末の繰り返し配列からなる断片をコードするDNA配列
とN末の分泌シグナルをコードするDNA配列を削除し
たポリヌクレオチドで組換えたブレビバチルス・チョウ
シネンシスの大量培養液の除菌液から夾雑物を除去し、
防御免疫誘導活性をもつ高純度の46.5kDa防御抗
原(46.5kDa protective antigen;46.5KPA)を
製造できる方法を見出した(特願平11−9400
4)。渡辺らの発明によりブレビバチルス・チョウシネ
ンシスで発現して得られた46.5KPAは、豚丹毒菌
の副作用に関係する菌体成分を全く含まないため、ワク
チンの安全性の改善に貢献すると考えられた。
ジュバントの併用をもって注射することにより、あるい
はマウスで粘膜アジュバント活性が知られる大腸菌の変
異無毒組換え易熱性腸管毒素(mLT)とともに経鼻免
疫することにより、豚丹毒菌に対する感染・発病防御免
疫能を誘導する技術を確立した。以上の知見から、4
6.5KPAは動物の豚丹毒菌感染予防用のサブユニッ
トワクチンとしての利用価値を有することが判明した。
生産された46.5KPAをサブユニットワクチンなど
に開発するには、培養物中に混在している菌体、培地由
来の成分や同時に分泌生産される夾雑蛋白質やその他の
代謝産物などの夾雑物を除去し、目的とする46.5K
PAのみを効率的に回収精製する必要がある。この精製
工程は簡便でかつ工程数も少ない方がよく、特に精製を
工業規模で行う場合には精製工程が複雑であると多大な
設備投資が必要であり、そのため、生産コストも高くな
ってしまうという問題が生じる。
いう卓越した特徴を有する微生物として、本発明者らに
よってブレビバチルス・チョウシネンシスが発見されて
いる。しかしながら、このすぐれた特徴を利用して、ブ
レビバチルス・チョウシネンシスを宿主菌とし組換え蛋
白質として46.5KPAを菌体外に分泌生産させた場
合、この46.5KPAは、培養物中で50%以上が凝
集して不溶性の沈殿を形成してしまい、菌体との分離回
収が困難であった。そのため、46.5KPAの回収率
は低く、精製に要する労力も大きく、精製効率の高い製
造方法の開発が必要となっていた。
技術上ないし工業上の必要性に鑑みてなされたものであ
って、ブレビバチルス・チョウシネンシスを宿主菌とす
る異種遺伝子産物の生産において、菌体を含む培養物中
からの効率的な回収精製技術を提供することにある。即
ち、本発明は、ブレビバチルス・チョウシネンシスを宿
主菌とする形質転換体を培養しその培養物中に分泌生産
された46.5KPAを共存する菌体及び夾雑物から分
離し、簡便かつ高収率に回収精製する方法を提供するも
のであって、特に工業的な見地から、本発明は、46.
5KPAの回収精製に特に適した簡便且つ効率的な大量
精製法を新たに開発し、これを提供する目的でなされた
ものである。
KPAをプレビバチルス・チョウシネンシスの培養物中
から効率よく回収精製する方法について鋭意研究を重ね
た結果、培養物中の菌体及び46.5KPAを濾過膜で
回収した後、回収画分のpHをアルカリ域に調整し、ア
ルカリ緩衝液で回収画分を洗浄することにより、46.
5KPAが可溶化され、濾過液画分に高回収率で溶出し
てくることを見いだした。これによりプレビバチルス・
チョウシネンシスの培養物中に含まれる不溶性の46.
5KPAの殆どが可溶化され、菌体、夾雑蛋白質及びそ
の他の夾雑物を効率よく除くことが可能であることによ
り非常に簡便かつ効率よく46.5KPAを回収精製す
ることが可能になった。本発明は、この有用新知見に基
づきなされたものである。
質を含有するブレビバチルス・チョウシネンシスの培養
物をpH調整及び濾過膜処理によって該培養物中に共存
する菌体及び他の夾雑物から分離回収することを特徴と
する46.5KPA(そのアミノ酸配列を配列表の配列
番号1に示す)の回収精製法に関するものである。
御抗原(46.5kDa防御抗原)のポリペプチドは、
分泌形態または非分泌形態のいずれで生産されてもよい
が、分離精製の容易さから分泌形態が好ましい。分泌形
態の場合、該ポリペプチドをコードするDNAの上流に
任意のシグナルペプチドをコードするDNA配列を連結
させる。
おいて自律複製可能であって、目的DNAの転写が可能
な位置にプロモーターを含有している物を選択できる。
または、染色体中へ直接組込み、発現させることでもよ
い。
ビバチルス属細菌、特にブレビバチルス・チョウシネン
シス(Brevibacillus choshinensis)が良好に使用でき
る。
ョン法、プロトプラスト法、PEG法などを用いること
ができる。
発現べクターに組込まれた目的DNAや染色体に組込ま
れた目的DNAを発現させ、組換え豚丹毒菌防御抗原
(46.5kDa防御抗原)を分離精製することができ
る。本発明は、その効率的な分離精製法に関するもので
ある。
を有する蛋白質(46.5KPA)がアルカリ処理によ
って選択特異的に可溶化するという新知見に基づき、こ
の新知見を利用して、pH調整、濾過膜処理、イオン交
換樹脂処理をそれぞれ選択しただけでよく、その処理順
序の決定、処理回数の決定等各種の検討を行って、これ
らの処理を有機的に結合することにより、46.5KP
Aの回収精製について、工業化、効率化が図られ、画期
的な回収精製法の創製にはじめて成功したものである。
法の骨子は、46.5KPA分泌生産性微生物の培養物
(菌体、培養液ないし培地成分、46.5KPAその他
微生物の分泌ないし代謝物などの混合物)について、
(1)精密濾過膜で濾過処理し、中性〜弱アルカリ性緩
衝液で洗浄し、46.5KPAと菌体とを濃縮する工程
(濃縮工程)、(2)アルカリ液を用いて濃縮画分のp
Hを10〜12に調整し、46.5KPAのみを可溶化
するとともに、必要あれば、精密濾過膜上に残留してい
る濃縮画分をアルカリ緩衝液で洗浄することにより、残
留している少量の46.5KPAを可溶化し、46.5
KPAを濾過画分に集める工程(濾過可溶化工程)、
(3)所望するのであれば、濾過画分(46.5KPA
含有液)をイオン交換樹脂処理することにより、夾雑蛋
白質を除去して目的蛋白質(46.5KPA)を精製分
離回収する工程(分離回収工程)、よりなるものであ
る。
Aを含有する微生物の培養物に対して広く適用すること
ができる。微生物としては、ブレビバチルス・チョウシ
ネンシスが挙げられ、例えば、ブレビバチルス・チョウ
シネンシスHPD31は46.5KPAを菌体外に分泌
生産するので、本発明の回収精製法が特に有効に適用で
きる。
ンシスHPD31−S5(FERMBP−6623)を
例示することができる。本菌は、従来はバチルス・ブレ
ビス(Bacillus brevis)に分類されていたのである
が、現在はブレビバチルス・チョウシネンシス(Brevib
acillus choshinensis)に分類されている(工業技術院
生命工学工業技術研究所証明に係る「科学的性質及び分
類学上の位置の表示等の証明書」)。
レビバチルス・チョウシネンシスに組み込めばよく、例
えばモレキュラー・クローニング・ア・ラボラトリー
マニュアル第2版、コールド・スプリング・ハーバー・
ラボラトリー(Molecular Cloning 2nd ed. A Laborato
ry Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1989)に
記載の方法で行えばよい。このように46.5KPAを
コードする遺伝子で形質転換したブレビバチルス・チョ
ウシネンシスを通気撹拌培養することによって、46.
5KPAを含有するブレビバチルス・チョウシネンシス
の培養物を得ることが出来る。
タンパク質の回収精製法であるが、更に詳しくは、豚丹
毒菌抗原活性を有するタンパク質を含有するブレビバチ
ルス・チョウシネンシスの培養物を、下記工程(1)〜
(3)の工程を経ることにより共存する菌体、夾雑蛋白
質及びその他の夾雑物を除去し、豚丹毒菌抗原タンパク
質を回収精製する方法に関するものである。
る。先ず、46.5KPAを含有するブレビバチルス・
チョウシネンシスの培養物を以下の工程にしたがって精
製する。 (1)46.5KPA及び菌体と培地由来の成分などの
夾雑物を含む培養物を、先ず、必要ある場合には、pH
を46.5KPAが濾過膜を通過しない中性域〜弱アル
カリ域の範囲に調整する。次に、pH調整した培養物を
精密濾過膜を用いて濾過し、46.5KPA及び菌体を
膜上に濃縮する。46.5KPA及び菌体を膜上に残
し、培地成分などの夾雑物質及び濾過画分として除去
し、緩衝液、例えば中性域〜弱アルカリ域(10〜10
0mM)のトリス緩衝液(pH7〜9.5)で良く洗浄
し、残った夾雑物を洗い流す。濾過に用いる膜は、培地
成分などの夾雑物が濾液画分に移行し、46.5KPA
及び菌体が濃縮されるポアサイズを有する濾過膜であれ
ばすべての濾過膜を使用することができ、例えば、ポア
サイズ0.8μm以下、好ましくは0.5μm以下の精
密濾過膜を使用することができる。
PA及び菌体のpHを水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等アルカリによって、pH10.0〜12.0(好適
には11.0)に調整し、(1)工程で使用した精密濾
過膜の膜上に残っている該蛋白質を濾過画分として回収
するためにpH10.0〜12.0(好適には11.
0)のアルカリ緩衝液を徐々に加えて濃縮液を濾過させ
ることにより、46.5KPAを濾過画分として回収す
る。このとき用いるアルカリ緩衝液としては(10〜1
00mM)グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH1
0〜12)等を用いると良い。
可溶化し、濾過されてきた濾過画分を陰イオン交換クロ
マトグラフィーにより分離回収することが出来る。陰イ
オン交換樹脂としては、DEAE、DEAA、TEA
E、ECTEOLAその他、精製のために常用される陰
イオン交換樹脂が適宜使用される。
施すればよいが、更に具体的には、例えば、本発明を実
施するには、該培養物について、下記工程(1)〜
(3)にしたがって処理すれば良く、非限定的に例示し
たこれらの処理により豚丹毒菌抗原タンパク質を効率的
に回収精製することができる。
をコードする遺伝子で形質転換したブレビバチルス・チ
ョウシネンシスを培養し、その培養物を、(1)精密濾
過膜で濾過処理し、更に50mMトリス緩衝液(pH
8.5)で洗浄することによって培養物中に含まれる培
地由来の成分などの夾雑物を濾過画分に除き、豚丹毒菌
防御抗原タンパク質と菌体を濃縮する工程、(2)豚丹
毒菌防御抗原タンパク質と菌体の濃縮画分を精密濾過膜
を用いて50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液
(pH10〜11)で洗浄することにより豚丹毒菌防御
抗原タンパク質を濾過画分に集める工程、(3)濾過画
分を陰イオン交換クロマトグラフィーにより分離回収す
る工程、よりなる豚丹毒菌防御抗原の回収精製法であ
る。
に、ブレビバチルス・チョウシネンシスの培養物から4
6.5KPAを90%以上の回収率で菌体や夾雑物から
分離できる。
明するが、これは例示的なものであり、本発明はこれに
限定されるものではない。
化 (1)大腸菌へのクローニング 感染防御抗原遺伝子のクローニングには、豚に敗血症を
起こし最も強毒である血清型laのFujisawa株の染色体
DNAを使用した。染色体DNAはリゾチームとアセチ
ルムラミダーゼ(ムタノリシン、シグマ社製)で前処理
した菌体を、プロテイナーゼK(フナコシ社製)とSD
S処理により溶菌し、フェノール・クロロホルム・イソ
アミルアルコールで除蛋白質後、エタノール沈殿して精
製した。
平11−94004)をもとに合成した2種類のプライ
マーERM1(図2上段、配列番号2)ERRV1(図
2下段、配列番号3)を用いて豚丹毒菌の感染防御抗原
蛋白質遺伝子(図1)の一部(en2)遺伝子(en
2:図1の88〜1,293番目までのポリヌクレオチ
ド:1,206bp)をPCR法で増幅した(図3、図
4)。
M1とプライマーERRV1を各々100pmol、T
aqポリメラーゼ(宝酒造製)2.5単位、dNTP
(宝酒造製)200μM、pSKW2鋳型DNA 1n
g、100μl Taq緩衝液(10mMトリス−塩酸
(pH8.5)、2.5mM MgCl2、50mM塩
化カリウム、100μg/mlウシ血清アルブミン)を
混合し、96℃で30秒保持した後、DNAの熱変性
(94℃、60秒)、プライマーのアニーリング(54
℃、60秒)、プライマーの伸長(70℃、60秒)を
25サイクルさせることによって増幅させた。
%アガロースゲル電気泳動に供し、断片を回収した。プ
ラスミドpT Blue(Novagen社製)と先に得たe
n2遺伝子断片をT4DNAリガーゼ(宝酒造製)を用
いて連結した。連結DNAを大腸菌JM109に形質転
換し、アンピシリン50mg/ml含有LB寒天培地
(1.0%Tryptone、0.5%Yeast E
xtract、1.0%NaCl、1.5%寒天、pH
7.0)に塗布して、アンピシリン耐性を持つ株を選択
した。選択株よりプラスミドを抽出してen2遺伝子を
保持するプラスミドpT Blue enを得た。ま
た、ここで得た株をE.coli JM109/pT7
Blue en2とした。
へのクローニング Bacillus brevis HPD31-S5/pNH300TP17(FERM BP-5641)
をNco I(宝酒造製)とBam HI(宝酒造製)
で処理した後、0.8%アガロースゲル電気泳動に供し
て4.0kbの断片を回収した。さらに、pT7 Bl
ue enをNco IとBam HIで処理した後、
0.8%アガロースゲル電気泳動に供して1206bp
のen2遺伝子断片を回収し、先に得た4.0kbの遺
伝子断片とT4DNAリガーゼを用いて連結した。
PD31−S5(FERM BP−6623)(現在
は、ブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31−S
5(FERM BP−6623))をエレクトロポレー
ション法(Agric. Biol. Chem., 53, 3099-3100 (198
9))で形質転換し、ネオマイシン50mg/ml含有T
M寒天培地(1%ペプトン、0.2%酵母エキス、0.
5%肉エキス、1%グルコース、0.001%FeSO
4・7H2O、0.001%MnSO4・4H2O、0.0
001%ZnSO4・7H2O、1.5%寒天、pH7.
0)に塗布して、ネオマイシン耐性を持つ株を選択し
た。選択株よりプラスミドを抽出してen2遺伝子を保
持するプラスミドpNH300 en2を得た(図
5)。また、ここで得た株をバチルス・ブレビス(ブレ
ビバチルス・チョウシネンシス)HPD31−S5/p
NH300 en2とした。
pNH300 en2(FERM P−17698)を中試験
管を用いてネオマイシン50μg/ml含有TM液体培
地3mlで30℃で2日間振とう培養を行い、その培養
上清をSDS−PAGEにより解析を行った。ブレビバ
チルス・チョウシネンシスHPD31−S5/pNH3
00 en2培養から得られた感染防御抗原の推定分子
量は465564Daであり、相当の分子量の位置に染
色バンドを示した。以後、46.5KPAと呼ぶ。
(ブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31−S5
/pNH300 en2)をペプトン1%、酵母エキス
1%、MgSO45mM、MnSO41mM、FeSO4
36μM、グルコース2%、寒天1.5%、pH7.2
の寒天培地にて30℃で一昼夜培養した。これを前記と
同じ組成の液体培地100mLを500ml三角フラス
コに分注し、120℃、15分間滅菌し、冷却後に接種
して30℃で一晩振とう培養を行ったものを前培養液と
した。
組成の生産培地1Lを分注した後、120℃で15分間
滅菌し、冷却後、前培養液10mlを接種し、撹拌数4
50rpm、通気量1vvm、30℃で3日間培養を行
った。
AGE及びデンシトメトリー装置で分析し、精製46.
5KPAを標準品として同条件で比較して生産量を求め
た結果、培養物中に1.0g/Lの46.5KPAが生
産されていた(図6)。
(ペリコンカセットシステム(ミリポア社製)を用いて
菌体と46.5KPAを500ml程度まで濃縮後、5
0mMトリス緩衝液(pH8.5)5Lを徐々に加えな
がら濾過し、培地由来の成分などの夾雑物を含む液を濾
過画分として除去した。
ウム水溶液を用いてpH11.0に調整し、前記と同じ
濾過膜を用いて濾過を行って菌体を濾過膜上にトラップ
し、46.5KPAを濾過画分に回収した。また、濃縮
液に50mMグリシン−水酸化ナトリウム液(pH1
1.0)10Lを徐々に加えながら再度洗浄、濾過し、
濃縮液中に残っていた少量の46.5KPAを濾過画分
に回収した。
ラフィー装置(P&Pクロマトグラフィーシステム、東
ソー製)、DEAEトヨパール650M(東ソー製)を
用い、陰イオン交換クロマトグラフィーに供し、夾雑蛋
白質を除去し目的蛋白質を分離精製を行った。最終的に
回収した46.5KPAの回収率及び純度を求めた結
果、培養物からの46.5KPAの回収率は60%でそ
の純度は80%であった(表1)。
非常に簡便且つ効率的に回収精製する方法を提供するも
のであって、特に工業的規模で該タンパク質を回収精製
するのに有効である。46.5KPA(そのアミノ酸配
列は、配列表の配列番号1に示される)は、豚丹毒菌抗
原活性を有するタンパク質であって、豚丹毒成分ワクチ
ン等豚丹毒菌の感染防御に使用できる抗原(豚丹毒菌防
御抗原)として移用できるものであり、特に本発明によ
って高純度の精製46.5KPAを効率的に生産するこ
とがはじめて可能となったので、安全性が高くすぐれた
豚丹毒に対するワクチンを製造することが可能となっ
た。
染防御抗原遺伝子のヌクレオチド配列を示す。
bpのポリヌクレオチドのPCRクローニング用プライ
マー(配列番号2及び3)を示す。
つ46.5KPAをコードする1206bpのポリヌク
レオチドのヌクレオチド配列とアミノ酸配列を示す。
つ46.5KPAをコードする1206bpのポリヌク
レオチドのヌクレオチド配列とアミノ酸配列のつづきを
示す。
構造を示す。
ルス・チョウシネンシスにより生産された精製工程と電
気泳動像及びウエスタンブロッティング像を示す図面代
用写真である。
Claims (4)
- 【請求項1】 豚丹毒菌防御抗原活性を有する蛋白質
(46.5KPA)をコードする遺伝子で形質転換した
ブレビバチルス・チョウシネンシスを培養し、その培養
物を、 (1)精密濾過膜で濾過処理し、更に中性域〜弱アルカ
リ域の緩衝液で洗浄して、豚丹毒菌防御抗原蛋白質と菌
体とを濃縮する工程、 (2)豚丹毒菌防御抗原蛋白質と菌体の濃縮画分を精密
濾過膜を用いてアルカリ緩衝液で洗浄することにより、
豚丹毒菌防御抗原蛋白質を濾過画分に集める工程、 (3)濾過画分を陰イオン交換クロマトグラフィーによ
り分離回収する工程、からなることを特徴とする豚丹毒
菌防御抗原の回収精製法。 - 【請求項2】 精密濾過膜としてポアサイズ0.8μm
以下、好ましくは0.5μm以下の精製濾過膜を使用
し、中性域〜弱アルカリ域の緩衝液として10〜100
mMトリス緩衝液(pH7〜9.5)を使用し、アルカ
リ緩衝液として10〜100mMグリシン−水酸化ナト
リウム緩衝液(9〜12)を使用し、イオン交換体とし
て、DEAE、DEAA、TEAE、ECTEOLAか
ら選ばれる少なくともひとつを用いて陰イオン交換クロ
マトグラフィーを行うこと、を特徴とする、請求項1に
記載の回収精製法。 - 【請求項3】 豚丹毒菌防御抗原活性を有する蛋白質
(46.5KPA)をコードする遺伝子で形質転換した
ブレビバチルス・チョウシネンシスを培養し、その培養
物を、 (1)0.22μmの精密濾過膜で濾過処理し、更に5
0mMトリス緩衝液(pH8.5)で洗浄することによ
って培養物中に含まれる培地由来の成分などの夾雑物を
濾過画分に除き、豚丹毒菌防御抗原蛋白質と菌体を濃縮
する工程、 (2)豚丹毒菌防御抗原蛋白質と菌体の濃縮画分を0.
22μmの精密濾過膜及を用いて50mMグリシン−水
酸化ナトリウム緩衝液(pH10〜11)で洗浄するこ
とにより豚丹毒菌防御抗原蛋白質を可溶化せしめて、こ
れを濾過画分に集める工程、 (3)濾過画分をDEAEによる陰イオン交換クロマト
グラフィーにより分離回収する工程、 からなることを特徴とする豚丹毒菌防御抗原の回収精製
法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の回
収精製法によって得られた高純度に精製された豚丹毒菌
防御抗原を利用すること、を特徴とする豚丹毒予防用ワ
クチンの製造方法。
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