JP2002031827A - 増大化された有効開口面積を持つ構造の周期分極反転非線形光学材料 - Google Patents
増大化された有効開口面積を持つ構造の周期分極反転非線形光学材料Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 有効開口面積の大きい分極反転構造を有する
非線形光学材料を提供する。 【解決手段】 周期的な分極反転構造を有する非線形光
学材料を単分極の非線形光学材料で上下から挟んで接合
されている構造を有する非線形光学材料により、結晶の
有効開口面積が増大化せしめられ、さらに通過せしめら
れる光波のビーム形状の歪みを減少化できる。かくし
て、高度な技術を要せず、容易に且つ高出力が可能な結
晶厚の大きい分極反転構造を有する非線形光学材料を得
ることができる。
非線形光学材料を提供する。 【解決手段】 周期的な分極反転構造を有する非線形光
学材料を単分極の非線形光学材料で上下から挟んで接合
されている構造を有する非線形光学材料により、結晶の
有効開口面積が増大化せしめられ、さらに通過せしめら
れる光波のビーム形状の歪みを減少化できる。かくし
て、高度な技術を要せず、容易に且つ高出力が可能な結
晶厚の大きい分極反転構造を有する非線形光学材料を得
ることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分極反転構造を有
する非線形光学材料及びその製造方法に関する。さらに
詳しくは、非線形光学結晶の有効開口面積の増大化され
た非線形光学材料そして通過せしめられる光波のビーム
形状の歪みを減少化できる非線形光学材料並びにその製
造方法に関する。
する非線形光学材料及びその製造方法に関する。さらに
詳しくは、非線形光学結晶の有効開口面積の増大化され
た非線形光学材料そして通過せしめられる光波のビーム
形状の歪みを減少化できる非線形光学材料並びにその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】非線形光学材料とは、電圧を印加すると
該材料の屈折率が変化したり、強い電界強度のレーザー
光入射により材料内部に非線形分極を生じさせ、入射レ
ーザー光を他の波長の光に変換したりするなどといった
光の波長を変換したりするなどの非線形光学現象を示す
材料である。非線形光学材料は、その機能を利用して波
長変換、光シャッター、光変調器、光路切換えスイッ
チ、光IC、光メモリーなどの非線形光エレクトロニク
ス素子としての応用が期待されている。特に、波長変換
分野においては従来の固体レーザーの波長域を拡大する
目的から盛んに研究されている。非線形光学材料として
は、無機非線形光学材料または有機非線形光学材料が挙
げられ、例えば強誘電体結晶などが好ましく使用されて
いる。強誘電体結晶とは、自然分極を生じる結晶、すな
わち、外から電場を加えなくとも結晶の表面に正または
負の分極電荷が現れる結晶で、外からの電場によって分
極が反転可能なものを指している。
該材料の屈折率が変化したり、強い電界強度のレーザー
光入射により材料内部に非線形分極を生じさせ、入射レ
ーザー光を他の波長の光に変換したりするなどといった
光の波長を変換したりするなどの非線形光学現象を示す
材料である。非線形光学材料は、その機能を利用して波
長変換、光シャッター、光変調器、光路切換えスイッ
チ、光IC、光メモリーなどの非線形光エレクトロニク
ス素子としての応用が期待されている。特に、波長変換
分野においては従来の固体レーザーの波長域を拡大する
目的から盛んに研究されている。非線形光学材料として
は、無機非線形光学材料または有機非線形光学材料が挙
げられ、例えば強誘電体結晶などが好ましく使用されて
いる。強誘電体結晶とは、自然分極を生じる結晶、すな
わち、外から電場を加えなくとも結晶の表面に正または
負の分極電荷が現れる結晶で、外からの電場によって分
極が反転可能なものを指している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】非線形光学材料の分極
を周期的に反転したものは、該材料に入射および出射す
る光の波長に適した周期を形成することで、効率良く入
射光の波長を変換することができるなどのことから、光
波長変換効率の向上や設計の自由度を高めるに有用と期
待されている。図1には周期的分極反転構造が模式的に
示されている。光波長変換の高出力化は、通過させるレ
ーザー光の強度を増加させることにより可能であり、よ
り高強度のレーザー光を通過させるためには、周期分極
反転した結晶が厚いもの(すなわち、分極方向〔普通
は、Z軸方位(結晶のC軸)〕に対する厚さ(以下、
「結晶厚」という)が大きいもの)を用いることが必要
である。また、分極反転構造を有する非線形光学材料を
波長変換結晶として用いる場合、結晶厚が大きい結晶で
あれば、入射するレーザービーム径を大きくでき、その
結果、レーザー光密度を下げることもでき、レーザーに
よる結晶破壊を回避し、大きな出力を得ることができ
る。
を周期的に反転したものは、該材料に入射および出射す
る光の波長に適した周期を形成することで、効率良く入
射光の波長を変換することができるなどのことから、光
波長変換効率の向上や設計の自由度を高めるに有用と期
待されている。図1には周期的分極反転構造が模式的に
示されている。光波長変換の高出力化は、通過させるレ
ーザー光の強度を増加させることにより可能であり、よ
り高強度のレーザー光を通過させるためには、周期分極
反転した結晶が厚いもの(すなわち、分極方向〔普通
は、Z軸方位(結晶のC軸)〕に対する厚さ(以下、
「結晶厚」という)が大きいもの)を用いることが必要
である。また、分極反転構造を有する非線形光学材料を
波長変換結晶として用いる場合、結晶厚が大きい結晶で
あれば、入射するレーザービーム径を大きくでき、その
結果、レーザー光密度を下げることもでき、レーザーに
よる結晶破壊を回避し、大きな出力を得ることができ
る。
【0004】しかしながら、分極軸を反転させるために
は、一般的には高電圧を分極軸に沿って印加する必要が
あり、その場合厚い結晶の分極を反転することは大変難
しく現在のところ不可能である。例えば、LiNbO3 (LN)
結晶の場合、普通反転に要する電界としては、21 kV/mm
とされているが、1 mm以上の結晶の反転は難しい。ま
た、例えば非線形光学材料としてLN等を用いて結晶厚の
大きい分極反転構造を作製しようとする場合、外部から
直流またはパルス状の高電圧を印加する方法を用いると
分極反転に要する印加電圧も高くなり、反転構造の形状
制御が困難になるばかりでなく、電子雪崩現象による結
晶破壊が発生する可能性が高くなる。
は、一般的には高電圧を分極軸に沿って印加する必要が
あり、その場合厚い結晶の分極を反転することは大変難
しく現在のところ不可能である。例えば、LiNbO3 (LN)
結晶の場合、普通反転に要する電界としては、21 kV/mm
とされているが、1 mm以上の結晶の反転は難しい。ま
た、例えば非線形光学材料としてLN等を用いて結晶厚の
大きい分極反転構造を作製しようとする場合、外部から
直流またはパルス状の高電圧を印加する方法を用いると
分極反転に要する印加電圧も高くなり、反転構造の形状
制御が困難になるばかりでなく、電子雪崩現象による結
晶破壊が発生する可能性が高くなる。
【0005】こうした問題の解決策の一つとして、結晶
厚の大きい分極反転構造を有する非線形光学材料を得る
ために、単一の分極方向を有する非線形光学材料を、そ
の分極方向が交互になるように貼り合わせ、高温熱処理
して拡散接合する方法(例えば、米国特許第5,355,247
号、同第5,475,526 号明細書)が提案されている。しか
しながら、任意波長の波長変換結晶を得るためには、予
め波長変換結晶の板の厚さ(分極反転周期は一般に数十
μm以下であるので、結晶の板の厚さもそれぞれ数十μ
m以下のものである)を決定してから作製しなければな
らないが、貼り合わせる結晶の板の厚さを精密に且つ均
一なものとし、そしてそれを大量に得ることは不可能に
近く、さらにコストも高くなる。従って、多種の分極反
転構造を有する非線形光学材料を作製することは実際上
大変困難であるし、また多くの時間と労力を必要とし、
高価なものになるという問題があった。
厚の大きい分極反転構造を有する非線形光学材料を得る
ために、単一の分極方向を有する非線形光学材料を、そ
の分極方向が交互になるように貼り合わせ、高温熱処理
して拡散接合する方法(例えば、米国特許第5,355,247
号、同第5,475,526 号明細書)が提案されている。しか
しながら、任意波長の波長変換結晶を得るためには、予
め波長変換結晶の板の厚さ(分極反転周期は一般に数十
μm以下であるので、結晶の板の厚さもそれぞれ数十μ
m以下のものである)を決定してから作製しなければな
らないが、貼り合わせる結晶の板の厚さを精密に且つ均
一なものとし、そしてそれを大量に得ることは不可能に
近く、さらにコストも高くなる。従って、多種の分極反
転構造を有する非線形光学材料を作製することは実際上
大変困難であるし、また多くの時間と労力を必要とし、
高価なものになるという問題があった。
【0006】また、分極反転構造を有する非線形光学材
料の複数を、両面露光器などを用いて光学顕微鏡で観察
しながら、同一の分極反転周期を有する他の非線形光学
材料と貼り合わせることも考えられる。しかしながら、
分極反転周期は一般に数十μm以下であり、光学顕微鏡
で観察しながら精度よく周期を合わせるには高度な技術
を必要とする。また、周期を合わせたとしても、その相
互位置を拘束する力がないため、貼り合わせるまでの工
程で位置ずれを起こしやすいという問題もある。さら
に、分極反転領域を有する面に凹凸を付与し、該凹凸を
嵌合する形態のものも提案されている(例えば、特開平
10-254000 号公報) が、嵌合部分の密着性や光に対する
特性に問題があり、必ずしも満足しうるものではない。
また、分極を反転するのに必要な電圧が低い結晶を用い
るという方法も提案されているが、こうした結晶ではそ
の結晶の成長が困難であるという問題がある。いずれに
しても、従来の手法では、光波長変換に利用した場合、
出力が十分に大きくできないという問題もあった。
料の複数を、両面露光器などを用いて光学顕微鏡で観察
しながら、同一の分極反転周期を有する他の非線形光学
材料と貼り合わせることも考えられる。しかしながら、
分極反転周期は一般に数十μm以下であり、光学顕微鏡
で観察しながら精度よく周期を合わせるには高度な技術
を必要とする。また、周期を合わせたとしても、その相
互位置を拘束する力がないため、貼り合わせるまでの工
程で位置ずれを起こしやすいという問題もある。さら
に、分極反転領域を有する面に凹凸を付与し、該凹凸を
嵌合する形態のものも提案されている(例えば、特開平
10-254000 号公報) が、嵌合部分の密着性や光に対する
特性に問題があり、必ずしも満足しうるものではない。
また、分極を反転するのに必要な電圧が低い結晶を用い
るという方法も提案されているが、こうした結晶ではそ
の結晶の成長が困難であるという問題がある。いずれに
しても、従来の手法では、光波長変換に利用した場合、
出力が十分に大きくできないという問題もあった。
【0007】本発明の目的は、有効開口面積が増大化さ
れており、高い変換効率を有すると共に高出力を達成で
きる分極反転構造を有する非線形光学材料およびそのよ
うな非線形光学材料を容易に製造する方法を提供するこ
とである。また、本発明の目的は、入射するレーザービ
ーム径を大きくでき、その結果、レーザー光密度を下げ
ることができ、レーザーによる結晶破壊を回避しつつ、
大きな出力を得ることができる分極反転構造を有する非
線形光学材料およびそのような非線形光学材料を容易に
製造する方法を提供することである。
れており、高い変換効率を有すると共に高出力を達成で
きる分極反転構造を有する非線形光学材料およびそのよ
うな非線形光学材料を容易に製造する方法を提供するこ
とである。また、本発明の目的は、入射するレーザービ
ーム径を大きくでき、その結果、レーザー光密度を下げ
ることができ、レーザーによる結晶破壊を回避しつつ、
大きな出力を得ることができる分極反転構造を有する非
線形光学材料およびそのような非線形光学材料を容易に
製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、周期的に分極
軸を反転した非線形光学材料(非線形光学結晶)にサン
ドイッチする形態で(通常はz板を上下から挟む形態
で)、単分極の非線形光学材料(非線形光学結晶)を接
合(通常は融着)すると、周期的に分極軸を反転した非
線形光学材料部分(非線形光学結晶部分)を通過するビ
ームのサイズを増大させることができ、その結果、周期
的に分極軸を反転した非線形光学材料部分(非線形光学
結晶部分)の有効な開口面積を増大させることができる
ことを見出してなされたものである。また、本発明で
は、周期的に分極軸を反転した非線形光学材料(非線形
光学結晶)に単分極の非線形光学材料(非線形光学結
晶)を接合(通常は融着)することによって、該接合さ
れた非線形光学材料(非線形光学結晶)に光波を通過さ
せると、その光波のビーム形状の歪みを減少せしめるこ
とができ、高出力を得ることができる。
軸を反転した非線形光学材料(非線形光学結晶)にサン
ドイッチする形態で(通常はz板を上下から挟む形態
で)、単分極の非線形光学材料(非線形光学結晶)を接
合(通常は融着)すると、周期的に分極軸を反転した非
線形光学材料部分(非線形光学結晶部分)を通過するビ
ームのサイズを増大させることができ、その結果、周期
的に分極軸を反転した非線形光学材料部分(非線形光学
結晶部分)の有効な開口面積を増大させることができる
ことを見出してなされたものである。また、本発明で
は、周期的に分極軸を反転した非線形光学材料(非線形
光学結晶)に単分極の非線形光学材料(非線形光学結
晶)を接合(通常は融着)することによって、該接合さ
れた非線形光学材料(非線形光学結晶)に光波を通過さ
せると、その光波のビーム形状の歪みを減少せしめるこ
とができ、高出力を得ることができる。
【0009】本発明は、 〔1〕 周期的な分極反転構造を有する非線形光学材料
を単分極の非線形光学材料で上下から挟んで接合されて
いる構造を有する非線形光学材料; 〔2〕 単分極の非線形光学材料の屈折率が周期的な分
極反転構造を有する非線形光学材料と同じであるかある
いはそれよりも小さいものであることを特徴とする上記
〔1〕記載の非線形光学材料; 〔3〕 周期的な分極反転構造を有する非線形光学材料
とそれを上下から挟んでいる単分極の非線形光学材料と
は互いに融着されているものであることを特徴とする上
記〔1〕又は〔2〕記載の非線形光学材料; 〔4〕 周期的に結晶の分極軸が反転されている非線形
光学結晶を単分極の光学結晶で上下から融着された構造
を有することを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれ
か一記載の非線形光学材料; 〔5〕 周期的に結晶の分極軸が反転されている非線形
光学結晶の有効開口面積が増大化せしめられているもの
である上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一記載の非線形光
学材料; 〔6〕 通過せしめられる光波のビーム形状の歪みを減
少化できるものである上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一
記載の非線形光学材料; 〔7〕 結晶が、LiNbO3、LiTaO3、M1TiOM2O4 〔ここ
で、M1=K, Rb, Tl, Csなどで、M2=P, As など〕及び
これらに種々の元素をドープしたものから成る群から選
ばれたものである上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一記載
の非線形光学材料; 〔8〕 結晶が、LiNbO3、LiTaO3、M1TiOM2O4 〔ここ
で、M1=K, Rb, Tl, Csなどで、M2=P, As など〕及び
これらに種々の元素をドープしたものから成る群から選
ばれたもののz板である上記〔1〕〜〔7〕のいずれか
一記載の非線形光学材料;
を単分極の非線形光学材料で上下から挟んで接合されて
いる構造を有する非線形光学材料; 〔2〕 単分極の非線形光学材料の屈折率が周期的な分
極反転構造を有する非線形光学材料と同じであるかある
いはそれよりも小さいものであることを特徴とする上記
〔1〕記載の非線形光学材料; 〔3〕 周期的な分極反転構造を有する非線形光学材料
とそれを上下から挟んでいる単分極の非線形光学材料と
は互いに融着されているものであることを特徴とする上
記〔1〕又は〔2〕記載の非線形光学材料; 〔4〕 周期的に結晶の分極軸が反転されている非線形
光学結晶を単分極の光学結晶で上下から融着された構造
を有することを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれ
か一記載の非線形光学材料; 〔5〕 周期的に結晶の分極軸が反転されている非線形
光学結晶の有効開口面積が増大化せしめられているもの
である上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一記載の非線形光
学材料; 〔6〕 通過せしめられる光波のビーム形状の歪みを減
少化できるものである上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一
記載の非線形光学材料; 〔7〕 結晶が、LiNbO3、LiTaO3、M1TiOM2O4 〔ここ
で、M1=K, Rb, Tl, Csなどで、M2=P, As など〕及び
これらに種々の元素をドープしたものから成る群から選
ばれたものである上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一記載
の非線形光学材料; 〔8〕 結晶が、LiNbO3、LiTaO3、M1TiOM2O4 〔ここ
で、M1=K, Rb, Tl, Csなどで、M2=P, As など〕及び
これらに種々の元素をドープしたものから成る群から選
ばれたもののz板である上記〔1〕〜〔7〕のいずれか
一記載の非線形光学材料;
【0010】
〔9〕 周期的な分極反転構造を有する非
線形光学材料をその上下から単分極の非線形光学材料を
融着せしめることを特徴とする周期的な分極反転構造を
有する非線形光学材料を単分極の非線形光学材料で上下
から挟んでいる構造を有する非線形光学材料の製造方
法; 〔10〕 周期的に結晶の分極軸が反転されている非線形
光学結晶にその上下から単分極の光学結晶を融着せしめ
ることを特徴とする上記
線形光学材料をその上下から単分極の非線形光学材料を
融着せしめることを特徴とする周期的な分極反転構造を
有する非線形光学材料を単分極の非線形光学材料で上下
から挟んでいる構造を有する非線形光学材料の製造方
法; 〔10〕 周期的に結晶の分極軸が反転されている非線形
光学結晶にその上下から単分極の光学結晶を融着せしめ
ることを特徴とする上記
〔9〕記載の製造方法; 〔11〕 上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一記載の非線形
光学材料を製造することを特徴とする上記
光学材料を製造することを特徴とする上記
〔9〕又は
〔10〕記載の製造方法;
〔10〕記載の製造方法;
【0011】〔12〕 上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一
記載の非線形光学材料を使用していることを特徴とする
波長変換装置; 〔13〕 波長変換装置が、レーザー光の波長を変換する
ことを特徴とする上記〔12〕記載の装置; 〔14〕 波長変換装置が、レーザー光源であることを特
徴とする上記〔12〕又は〔13〕記載の装置; 〔15〕 上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一記載の非線形
光学材料を使用していることを特徴とする光情報処理装
置; 〔16〕 半導体レーザーと、上記〔1〕〜〔8〕のいず
れか一記載の非線形光学材料を使用された光波長変換素
子とを備えたレーザー光源と、情報記録又は情報再生媒
体を有し、前記光波長変換素子に半導体レーザーからの
基本波が入射し、発生した高調波の高次モードを出射さ
せ、放射された高調波のビームを前記記録媒体又は再生
媒体に照射するものであることを特徴とする上記〔15〕
記載の光情報処理装置;
記載の非線形光学材料を使用していることを特徴とする
波長変換装置; 〔13〕 波長変換装置が、レーザー光の波長を変換する
ことを特徴とする上記〔12〕記載の装置; 〔14〕 波長変換装置が、レーザー光源であることを特
徴とする上記〔12〕又は〔13〕記載の装置; 〔15〕 上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一記載の非線形
光学材料を使用していることを特徴とする光情報処理装
置; 〔16〕 半導体レーザーと、上記〔1〕〜〔8〕のいず
れか一記載の非線形光学材料を使用された光波長変換素
子とを備えたレーザー光源と、情報記録又は情報再生媒
体を有し、前記光波長変換素子に半導体レーザーからの
基本波が入射し、発生した高調波の高次モードを出射さ
せ、放射された高調波のビームを前記記録媒体又は再生
媒体に照射するものであることを特徴とする上記〔15〕
記載の光情報処理装置;
【0012】〔17〕 周期的な分極反転構造を有する非
線形光学材料(非線形光学結晶)を単分極の非線形光学
材料(非線形光学結晶)で上下から挟んで接合すること
により、周期的に結晶の分極軸が反転されている非線形
光学材料(非線形光学結晶)の有効開口面積を増大化せ
しめることを特徴とする方法; 〔18〕 接合が、融着によりなされているものであるこ
とを特徴とする上記〔17〕記載の方法; 〔19〕 非線形光学材料(非線形光学結晶)が、LiNb
O3、LiTaO3、M1TiOM2O4〔ここで、M1=K, Rb, Tl, Cs
などで、M2=P, As など〕及びこれらに種々の元素をド
ープしたものから成る群から選ばれたもののz板である
上記〔17〕又は〔18〕記載の方法; 〔20〕 周期的な分極反転構造を有する非線形光学材料
(非線形光学結晶)を単分極の非線形光学材料(非線形
光学結晶)で上下から挟んで接合することにより、周期
的に結晶の分極軸が反転されている非線形光学材料(非
線形光学結晶)を通過せしめられる光波のビーム形状の
歪みを減少化することを特徴とする方法; 〔21〕 接合が、融着によりなされているものであるこ
とを特徴とする上記〔20〕記載の方法;及び 〔22〕 非線形光学材料(非線形光学結晶)が、LiNb
O3、LiTaO3、M1TiOM2O4〔ここで、M1=K, Rb, Tl, Cs
などで、M2=P, As など〕及びこれらに種々の元素をド
ープしたものから成る群から選ばれたもののz板である
上記〔20〕又は〔21〕記載の方法を提供する。
線形光学材料(非線形光学結晶)を単分極の非線形光学
材料(非線形光学結晶)で上下から挟んで接合すること
により、周期的に結晶の分極軸が反転されている非線形
光学材料(非線形光学結晶)の有効開口面積を増大化せ
しめることを特徴とする方法; 〔18〕 接合が、融着によりなされているものであるこ
とを特徴とする上記〔17〕記載の方法; 〔19〕 非線形光学材料(非線形光学結晶)が、LiNb
O3、LiTaO3、M1TiOM2O4〔ここで、M1=K, Rb, Tl, Cs
などで、M2=P, As など〕及びこれらに種々の元素をド
ープしたものから成る群から選ばれたもののz板である
上記〔17〕又は〔18〕記載の方法; 〔20〕 周期的な分極反転構造を有する非線形光学材料
(非線形光学結晶)を単分極の非線形光学材料(非線形
光学結晶)で上下から挟んで接合することにより、周期
的に結晶の分極軸が反転されている非線形光学材料(非
線形光学結晶)を通過せしめられる光波のビーム形状の
歪みを減少化することを特徴とする方法; 〔21〕 接合が、融着によりなされているものであるこ
とを特徴とする上記〔20〕記載の方法;及び 〔22〕 非線形光学材料(非線形光学結晶)が、LiNb
O3、LiTaO3、M1TiOM2O4〔ここで、M1=K, Rb, Tl, Cs
などで、M2=P, As など〕及びこれらに種々の元素をド
ープしたものから成る群から選ばれたもののz板である
上記〔20〕又は〔21〕記載の方法を提供する。
【0013】本発明において「接合」とは、接合前の各
結晶(非線形光学材料)の有している性状(例えば、光
学的性状、代表的には分極方向などの物性など)を光学
的に損なわないようなものであれば、特に制限はなく、
少なくとも二つの部材が結合して一緒になっている状態
を指す。該「接合」とは、接合している二つの結晶面な
どの面の間には、実質的に空気層などが存在していない
状態を指していてもよい。「周期」とは、一般的には時
間のディメンションであるが、本発明では、光学材料、
特には光学結晶体の内部を所定の光が通る経路における
長さのディメンションをも併せて意味する。「ドメイ
ン」とは、強誘電体の分極が同一方向に揃って存在する
領域を指している。本発明のその他の目的、特徴、優秀
性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっ
ては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体
的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明
の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示
されているものであることを理解されたい。本明細書に
開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/
又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及
び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者に
は容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全
ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されて
いるもので、それらは本明細書の一部としてその内容は
ここに含めて解釈されるべきものである。
結晶(非線形光学材料)の有している性状(例えば、光
学的性状、代表的には分極方向などの物性など)を光学
的に損なわないようなものであれば、特に制限はなく、
少なくとも二つの部材が結合して一緒になっている状態
を指す。該「接合」とは、接合している二つの結晶面な
どの面の間には、実質的に空気層などが存在していない
状態を指していてもよい。「周期」とは、一般的には時
間のディメンションであるが、本発明では、光学材料、
特には光学結晶体の内部を所定の光が通る経路における
長さのディメンションをも併せて意味する。「ドメイ
ン」とは、強誘電体の分極が同一方向に揃って存在する
領域を指している。本発明のその他の目的、特徴、優秀
性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっ
ては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体
的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明
の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示
されているものであることを理解されたい。本明細書に
開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/
又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及
び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者に
は容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全
ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されて
いるもので、それらは本明細書の一部としてその内容は
ここに含めて解釈されるべきものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の非線形光学材料の一実施
態様を図2に示す。本発明の特徴構造は、分極反転構造
を有する非線形光学材料1のZ軸方位(結晶のC軸)が
分極方向となっており、結晶のZ軸を法線とし、X−Y
軸を含むZカット面z(z面と平行な面で切り出された
平板をz板という)のそれぞれを上下からサンドイッチ
する形態で単分極の非線形光学材料3及び4でもって挟
持されたような形態である。図3には、図2に示される
ような態様の本発明の非線形光学材料が、分極反転構造
を有する非線形光学材料1に上下から単分極の非線形光
学材料3及び4を接合することにより構成される様子を
模式的に描いたものである。分極反転構造は、通常、分
極が導波方向に沿って周期的に反転するように構成され
る。
態様を図2に示す。本発明の特徴構造は、分極反転構造
を有する非線形光学材料1のZ軸方位(結晶のC軸)が
分極方向となっており、結晶のZ軸を法線とし、X−Y
軸を含むZカット面z(z面と平行な面で切り出された
平板をz板という)のそれぞれを上下からサンドイッチ
する形態で単分極の非線形光学材料3及び4でもって挟
持されたような形態である。図3には、図2に示される
ような態様の本発明の非線形光学材料が、分極反転構造
を有する非線形光学材料1に上下から単分極の非線形光
学材料3及び4を接合することにより構成される様子を
模式的に描いたものである。分極反転構造は、通常、分
極が導波方向に沿って周期的に反転するように構成され
る。
【0015】周期的な分極反転構造を有する非線形光学
材料と単分極の非線形光学材料とが接合された構造を持
つ非線形光学材料の製造方法としては、例えば、接合面
を接した後融着させる方法、接合面を接した後加圧圧着
する方法、加圧した後非線形光学材料のキューリー点以
下の温度で拡散接合などにより接合させる方法、非線形
光学材料と同程度の屈折率をもつ接着剤で該材料どうし
の界面を接着させる方法等が挙げられる。より具体的に
は、例えば特許第2902365 号公報に記載されたような結
晶結合体の製造方法などの方法を適用して、周期的な分
極反転構造を有する非線形光学材料と単分極の非線形光
学材料とが接合された構造を持つ非線形光学材料を製造
することができる。例えば、主成分が同じ非線形光学結
晶の特定結晶軸に特定角で交差する平行面の両面を光学
研磨し、この光学研磨面を各非線形光学結晶が同軸とな
るように重ね合わせて光学的に密着させ、全体を均一に
加熱して一体化する。
材料と単分極の非線形光学材料とが接合された構造を持
つ非線形光学材料の製造方法としては、例えば、接合面
を接した後融着させる方法、接合面を接した後加圧圧着
する方法、加圧した後非線形光学材料のキューリー点以
下の温度で拡散接合などにより接合させる方法、非線形
光学材料と同程度の屈折率をもつ接着剤で該材料どうし
の界面を接着させる方法等が挙げられる。より具体的に
は、例えば特許第2902365 号公報に記載されたような結
晶結合体の製造方法などの方法を適用して、周期的な分
極反転構造を有する非線形光学材料と単分極の非線形光
学材料とが接合された構造を持つ非線形光学材料を製造
することができる。例えば、主成分が同じ非線形光学結
晶の特定結晶軸に特定角で交差する平行面の両面を光学
研磨し、この光学研磨面を各非線形光学結晶が同軸とな
るように重ね合わせて光学的に密着させ、全体を均一に
加熱して一体化する。
【0016】接合されて用いられる非線形光学結晶は、
単分極の非線形光学結晶の屈折率が周期的な分極反転構
造を有するものの屈折率と同じであるか、あるいはそれ
よりも小さなものである。さらに、周期的な分極反転構
造を有する材料に接合される材料は、その屈折率が周期
反転のもののそれに近いものが好ましい。使用する主成
分が同じ非線形光学結晶は、同軸になるように成形切断
し、相互対面になる境界面の両面を高精度に光学研磨し
て相互対面が境界面となる光学研磨面同士を、例えば同
軸になるように重ね合わせて光学結合(光学研磨面同士
を光学的に密着)させ、一体同化する。接合にあたって
は、接合面の平滑性及び清浄性、そして接合時の採用温
度は重要なパラメーターであり、それらは各材料(結
晶)毎に適切な値を実験により選んで採用されるもので
ある。接合にあたり、必要に応じて圧力を加えることも
できる。また接合面を圧着せしめている時間も適宜適切
な時間を選択して適用できる。接合面が平滑であればあ
る程、接合に必要とされる圧着圧とか温度は低くするこ
とができるし、接合に要する時間も短くすることができ
る。必要に応じて接合面は、界面活性剤(デタージェン
ト)、純水、有機溶媒(トリクロロエタン、メタノー
ル、アセトンなど)などを使用して洗浄される。加熱
は、必要に応じ、水素あるいはアルゴン、窒素などの不
活性気体雰囲気下、あるいは真空又は減圧下に行うこと
もできる。
単分極の非線形光学結晶の屈折率が周期的な分極反転構
造を有するものの屈折率と同じであるか、あるいはそれ
よりも小さなものである。さらに、周期的な分極反転構
造を有する材料に接合される材料は、その屈折率が周期
反転のもののそれに近いものが好ましい。使用する主成
分が同じ非線形光学結晶は、同軸になるように成形切断
し、相互対面になる境界面の両面を高精度に光学研磨し
て相互対面が境界面となる光学研磨面同士を、例えば同
軸になるように重ね合わせて光学結合(光学研磨面同士
を光学的に密着)させ、一体同化する。接合にあたって
は、接合面の平滑性及び清浄性、そして接合時の採用温
度は重要なパラメーターであり、それらは各材料(結
晶)毎に適切な値を実験により選んで採用されるもので
ある。接合にあたり、必要に応じて圧力を加えることも
できる。また接合面を圧着せしめている時間も適宜適切
な時間を選択して適用できる。接合面が平滑であればあ
る程、接合に必要とされる圧着圧とか温度は低くするこ
とができるし、接合に要する時間も短くすることができ
る。必要に応じて接合面は、界面活性剤(デタージェン
ト)、純水、有機溶媒(トリクロロエタン、メタノー
ル、アセトンなど)などを使用して洗浄される。加熱
は、必要に応じ、水素あるいはアルゴン、窒素などの不
活性気体雰囲気下、あるいは真空又は減圧下に行うこと
もできる。
【0017】研磨などは、当業者に広く知られた方法で
行うことができ、例えば、手による加工、機械加工、化
学的加工、それらの組み合わせでおこなうことができ
る。手による加工においては、研磨剤などを使用するこ
ともできる。機械加工としては、例えば、ダイシング、
噴射加工および超音波加工等を包含していてよい。具体
的にダイシングとはダイシングブレード等を用いて、接
合する面を削り平滑面を形成するものである。噴射加工
とは試料に砥粒を噴きつけて任意の加工形状を得る方法
であり、超音波加工とは試料に切削工具を当てて、砥粒
を流しながら工具の形状に合わせて加工を行う方法であ
る。得られた周期的な分極反転構造を有する非線形光学
材料と単分極の非線形光学材料とが接合された構造を持
つ非線形光学材料の厚さは、1 mm以上、好ましくは1〜1
0 mm 程度であるが、厚いものが得られれば得られるほ
ど大きな出力のビームを扱えるなどの利点が得られるこ
とから好ましいことは理解されよう。
行うことができ、例えば、手による加工、機械加工、化
学的加工、それらの組み合わせでおこなうことができ
る。手による加工においては、研磨剤などを使用するこ
ともできる。機械加工としては、例えば、ダイシング、
噴射加工および超音波加工等を包含していてよい。具体
的にダイシングとはダイシングブレード等を用いて、接
合する面を削り平滑面を形成するものである。噴射加工
とは試料に砥粒を噴きつけて任意の加工形状を得る方法
であり、超音波加工とは試料に切削工具を当てて、砥粒
を流しながら工具の形状に合わせて加工を行う方法であ
る。得られた周期的な分極反転構造を有する非線形光学
材料と単分極の非線形光学材料とが接合された構造を持
つ非線形光学材料の厚さは、1 mm以上、好ましくは1〜1
0 mm 程度であるが、厚いものが得られれば得られるほ
ど大きな出力のビームを扱えるなどの利点が得られるこ
とから好ましいことは理解されよう。
【0018】周期的な分極反転構造を有する非線形光学
材料の製造方法としては、当該分野で広く知られた方法
を使用でき、例えば特開平9-127567号公報及びそこで引
用されている文献などを参照することができ、それらの
開示はそれを参照することにより本明細書の一部として
その内容はここに含めて解釈されるべきものである。該
製造方法としては、例えば電解液を用いて分極反転を起
こさせる方法、電解液を用いないで分極反転させる方法
などが挙げられる。電解液を用いない方法は、非線形光
学材料の非反転領域上に絶縁膜を設け、これに金属膜を
介して電圧を印加することによって、該材料を分極反転
させる方法、若しくは非線形光学材料の反転領域上にの
み金属膜を形成して、電圧を印加することによって、該
材料を分極反転させる方法などである。また、電解液を
用いる方法としては、非反転領域の非線形光学材料表面
に絶縁膜を設けた構造物に電解液を介して電圧を印加す
る方法、反転領域の材料表面に金属膜を設け、その面を
絶縁膜で覆った構造物に電圧を印加する方法、さらに非
反転領域の非線形光学材料表面に設けた絶縁膜並びに該
材料の表面及び該絶縁膜を覆う導電膜よりなる非線形光
学材料構造物に、電解液を介して電圧を印加する方法な
どがある。このようにして非線形光学材料の分極反転領
域と非分極反転領域がある間隔で配置されている非線形
光学材料が得られる。一つの分極反転領域と一つの非分
極反転領域とを併せたドメイン反転の周期Λは、製品の
特性によって任意に設計され、通常は3〜100 μm 程度
である。分極反転領域の幅と非分極反転領域の幅は、同
一または異なってもよいが、分極反転領域と非分極反転
領域との比率が1:1であるものが好ましい。
材料の製造方法としては、当該分野で広く知られた方法
を使用でき、例えば特開平9-127567号公報及びそこで引
用されている文献などを参照することができ、それらの
開示はそれを参照することにより本明細書の一部として
その内容はここに含めて解釈されるべきものである。該
製造方法としては、例えば電解液を用いて分極反転を起
こさせる方法、電解液を用いないで分極反転させる方法
などが挙げられる。電解液を用いない方法は、非線形光
学材料の非反転領域上に絶縁膜を設け、これに金属膜を
介して電圧を印加することによって、該材料を分極反転
させる方法、若しくは非線形光学材料の反転領域上にの
み金属膜を形成して、電圧を印加することによって、該
材料を分極反転させる方法などである。また、電解液を
用いる方法としては、非反転領域の非線形光学材料表面
に絶縁膜を設けた構造物に電解液を介して電圧を印加す
る方法、反転領域の材料表面に金属膜を設け、その面を
絶縁膜で覆った構造物に電圧を印加する方法、さらに非
反転領域の非線形光学材料表面に設けた絶縁膜並びに該
材料の表面及び該絶縁膜を覆う導電膜よりなる非線形光
学材料構造物に、電解液を介して電圧を印加する方法な
どがある。このようにして非線形光学材料の分極反転領
域と非分極反転領域がある間隔で配置されている非線形
光学材料が得られる。一つの分極反転領域と一つの非分
極反転領域とを併せたドメイン反転の周期Λは、製品の
特性によって任意に設計され、通常は3〜100 μm 程度
である。分極反転領域の幅と非分極反転領域の幅は、同
一または異なってもよいが、分極反転領域と非分極反転
領域との比率が1:1であるものが好ましい。
【0019】例えば、光第2高調波発生素子を構成する
場合、分極反転層の1周期Λは、入射する基本波の波長
をλ、基本波の伝搬定数をκ(λ)、第2高調波の伝搬
定数をκ(λ/2)とするとき、 κ(λ/2)−2κ(λ)=2(2m−1)π/Λ (m;自然数) の関係を満たすように設定されるのが良く、m=1とな
るように設定することにより第2高調波を最も効率良く
発生させることができる。
場合、分極反転層の1周期Λは、入射する基本波の波長
をλ、基本波の伝搬定数をκ(λ)、第2高調波の伝搬
定数をκ(λ/2)とするとき、 κ(λ/2)−2κ(λ)=2(2m−1)π/Λ (m;自然数) の関係を満たすように設定されるのが良く、m=1とな
るように設定することにより第2高調波を最も効率良く
発生させることができる。
【0020】通常、周期的な分極反転構造を有する非線
形光学材料の製造は、例えばフェノールノボラック樹脂
などの感光性有機高分子膜といったレジストを使用した
レジストパターニングによる電極形成法が、高い再現性
並びに設計の自由度が高いので採用される。そこでは、
一般的にはフォトリソグラフィによりパターン形成処理
され、その工程には、洗浄、エッチングなどの処理が含
まれていてよい。
形光学材料の製造は、例えばフェノールノボラック樹脂
などの感光性有機高分子膜といったレジストを使用した
レジストパターニングによる電極形成法が、高い再現性
並びに設計の自由度が高いので採用される。そこでは、
一般的にはフォトリソグラフィによりパターン形成処理
され、その工程には、洗浄、エッチングなどの処理が含
まれていてよい。
【0021】本発明で使用される非線形光学材料として
は、無機非線形光学材料及び有機非線形光学材料のいず
れでもよい。好ましい非線形光学材料としては、強誘電
体結晶が挙げられる。本発明で使用される強誘電体結晶
としては、分極反転構造を形成しうるものであればよ
く、特に限定されない。該強誘電体結晶は、特に、電気
光学効果など種々の非線形光学効果を示すものが好まし
いものとして挙げられる。例えば、LiNbO3 (LN) 、LiTa
O3 (LT) 、M1TiOM2O4 〔ここで、M1=K, Rb, Tl, Csな
どで、M2=P, As など〕などの代表的なものや、これら
に種々の元素をドープしたものが挙げられる。無機非線
形光学材料としては、例えばLN、LT、KTiOPO 4 (KTP) 、
LiNbP4O12(LNP)、KNbO3 (KN)、Ba2NaNb5O15(BNN)、KTiO
AsO4 (KTA)、β-BaB2O4 (BBO) 、LiB3O7 (LBO)及び KH2
PO4 (KDP) などが挙げられる。有機非線形光学材料とし
ては、例えばメタニトロアニリン(mNA) 、2-メチル-4-
ニトロアニリン(MNA) 、4-ブロモ-4'-メトキシカルコン
(カルコン)、4-シクロオクチルアミノニトロベンゼン
(COANB)、3-アセトアミド-4- ジメチルアミノニトロベ
ンゼン(DAN)、4-ジメチルアミノ-4'-ニトロスチルベン
(DANS)、ジメチルアミノスチルバゾリウムトシレート
(DAST) 、ジシアノビニルアニソール、3,5-ジメチル-1-
(4-ニトロフェニル)ピラゾール(DMNP)、N-メトキシメ
チル-4- ニトロアニリン(MMNA)、4'- ニトロベンジリデ
ン-3- アセタミノ-4- メトキシアニリン(MNBA)、L-アル
ギニンフォスフェート・1水和物(LAP) 、2-アダマンチ
ルアミノ-5-ニトロピリジン(AANP)およびポールドポリ
マーなどが挙げられる。
は、無機非線形光学材料及び有機非線形光学材料のいず
れでもよい。好ましい非線形光学材料としては、強誘電
体結晶が挙げられる。本発明で使用される強誘電体結晶
としては、分極反転構造を形成しうるものであればよ
く、特に限定されない。該強誘電体結晶は、特に、電気
光学効果など種々の非線形光学効果を示すものが好まし
いものとして挙げられる。例えば、LiNbO3 (LN) 、LiTa
O3 (LT) 、M1TiOM2O4 〔ここで、M1=K, Rb, Tl, Csな
どで、M2=P, As など〕などの代表的なものや、これら
に種々の元素をドープしたものが挙げられる。無機非線
形光学材料としては、例えばLN、LT、KTiOPO 4 (KTP) 、
LiNbP4O12(LNP)、KNbO3 (KN)、Ba2NaNb5O15(BNN)、KTiO
AsO4 (KTA)、β-BaB2O4 (BBO) 、LiB3O7 (LBO)及び KH2
PO4 (KDP) などが挙げられる。有機非線形光学材料とし
ては、例えばメタニトロアニリン(mNA) 、2-メチル-4-
ニトロアニリン(MNA) 、4-ブロモ-4'-メトキシカルコン
(カルコン)、4-シクロオクチルアミノニトロベンゼン
(COANB)、3-アセトアミド-4- ジメチルアミノニトロベ
ンゼン(DAN)、4-ジメチルアミノ-4'-ニトロスチルベン
(DANS)、ジメチルアミノスチルバゾリウムトシレート
(DAST) 、ジシアノビニルアニソール、3,5-ジメチル-1-
(4-ニトロフェニル)ピラゾール(DMNP)、N-メトキシメ
チル-4- ニトロアニリン(MMNA)、4'- ニトロベンジリデ
ン-3- アセタミノ-4- メトキシアニリン(MNBA)、L-アル
ギニンフォスフェート・1水和物(LAP) 、2-アダマンチ
ルアミノ-5-ニトロピリジン(AANP)およびポールドポリ
マーなどが挙げられる。
【0022】上記無機非線形光学材料、特に強誘電体結
晶としては、分極反転形状が分極反転領域全面で均一で
あり、結晶基板の裏面まで形状が維持される点および材
料特性が良く(非線形光学定数が大きい)、製品の波長
変換効率が高い点から、LT、LNおよびKTP を使用するこ
とが好ましい。特にLNは、良質かつ大型の光学結晶を成
長させることが可能であり、その非線形光学定数も大き
い (d33=27 pm/V)という利点を有することから好まし
い。LN、LT等では、結晶軸方向としてZ軸方向に自発分
極方向が一致する結晶構造を有する傾向にあり、自発分
極方向を反転させる(分極反転させる)ことにより、結
晶軸の+方向と−方向とが逆転する特徴をもっている。
そこで分極反転させると同一表面において、+Z面と−
Z面(一般に結晶軸に垂直な面)とが周期的に現れるこ
とになる。特にLNの場合、Z軸を反転することでこれと
直交するY軸、X軸も同様に反転することができる。
晶としては、分極反転形状が分極反転領域全面で均一で
あり、結晶基板の裏面まで形状が維持される点および材
料特性が良く(非線形光学定数が大きい)、製品の波長
変換効率が高い点から、LT、LNおよびKTP を使用するこ
とが好ましい。特にLNは、良質かつ大型の光学結晶を成
長させることが可能であり、その非線形光学定数も大き
い (d33=27 pm/V)という利点を有することから好まし
い。LN、LT等では、結晶軸方向としてZ軸方向に自発分
極方向が一致する結晶構造を有する傾向にあり、自発分
極方向を反転させる(分極反転させる)ことにより、結
晶軸の+方向と−方向とが逆転する特徴をもっている。
そこで分極反転させると同一表面において、+Z面と−
Z面(一般に結晶軸に垂直な面)とが周期的に現れるこ
とになる。特にLNの場合、Z軸を反転することでこれと
直交するY軸、X軸も同様に反転することができる。
【0023】非線形光学材料の製造方法は、特に制限は
なく、当該分野で当業者に知られた方法あるいはそれら
の方法を修飾した方法により行うことができる。非線形
光学材料の厚さは特に制限はないが、研磨などの加工の
しやすさ、プロセスにおける取り扱いやすさ、または分
極反転時における電子なだれ破壊をさせない点を考慮し
て選択される。好ましくは、波長変換で大出力光をとり
だすために、入射光パワーが多く入れられる(大きなビ
ーム径の入射光が入れられる)点から厚い方が良い。非
線形光学材料の形状は、特に制限はない。ただし、反転
前の非線形光学材料は自発分極の方向が単一であること
が望ましい。
なく、当該分野で当業者に知られた方法あるいはそれら
の方法を修飾した方法により行うことができる。非線形
光学材料の厚さは特に制限はないが、研磨などの加工の
しやすさ、プロセスにおける取り扱いやすさ、または分
極反転時における電子なだれ破壊をさせない点を考慮し
て選択される。好ましくは、波長変換で大出力光をとり
だすために、入射光パワーが多く入れられる(大きなビ
ーム径の入射光が入れられる)点から厚い方が良い。非
線形光学材料の形状は、特に制限はない。ただし、反転
前の非線形光学材料は自発分極の方向が単一であること
が望ましい。
【0024】本発明で使用される非線形光学材料には不
純物が含まれてもよい。無機非線形光学材料に含まれう
る不純物としては、希土類元素、金属元素、金属酸化物
などが挙げられる。有機非線形光学材料に含まれうる不
純物としては、有機色素などが挙げられる。また、製品
の要求される特性に応じて、不純物を非線形光学材料に
ドーピングしてもよい。希土類元素としては、スカンジ
ウム(Sc)、イットリウム(Y) 、ランタノイド、例えばラ
ンタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジ
ム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピ
ウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプ
ロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリ
ウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などが
挙げられる。金属元素としては、例えば鉄、ニッケル、
クロム、コバルト、アルミニウム、チタン、亜鉛などが
挙げられる。金属酸化物としては、例えば酸化マグネシ
ウムなどが挙げられる。非線形光学材料に不純物をドー
ピングする方法は、自体既知の方法で行われる。本発明
で使用される非線形光学材料としては、該非線形光学材
料による光学結晶体を、単に、その非線形光学性のみを
利用するもののみでなく、例えば特開平9-127567号公報
に開示されているような、電気光学効果をもつ性質
(「電気光学性」といわれる)と共に非線形光学性を有
する光学結晶体として利用しうるもの、さらにはそれら
の性質(電気光学性及び非線形光学性)に加えてレーザ
ー活性をもつ光学結晶体として利用しうるものなどが包
含されてよい。特開平9-127567号公報の開示は該文献を
参照することにより本明細書の一部としてその内容はこ
こに含めて解釈されるべきものである。
純物が含まれてもよい。無機非線形光学材料に含まれう
る不純物としては、希土類元素、金属元素、金属酸化物
などが挙げられる。有機非線形光学材料に含まれうる不
純物としては、有機色素などが挙げられる。また、製品
の要求される特性に応じて、不純物を非線形光学材料に
ドーピングしてもよい。希土類元素としては、スカンジ
ウム(Sc)、イットリウム(Y) 、ランタノイド、例えばラ
ンタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジ
ム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピ
ウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプ
ロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリ
ウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などが
挙げられる。金属元素としては、例えば鉄、ニッケル、
クロム、コバルト、アルミニウム、チタン、亜鉛などが
挙げられる。金属酸化物としては、例えば酸化マグネシ
ウムなどが挙げられる。非線形光学材料に不純物をドー
ピングする方法は、自体既知の方法で行われる。本発明
で使用される非線形光学材料としては、該非線形光学材
料による光学結晶体を、単に、その非線形光学性のみを
利用するもののみでなく、例えば特開平9-127567号公報
に開示されているような、電気光学効果をもつ性質
(「電気光学性」といわれる)と共に非線形光学性を有
する光学結晶体として利用しうるもの、さらにはそれら
の性質(電気光学性及び非線形光学性)に加えてレーザ
ー活性をもつ光学結晶体として利用しうるものなどが包
含されてよい。特開平9-127567号公報の開示は該文献を
参照することにより本明細書の一部としてその内容はこ
こに含めて解釈されるべきものである。
【0025】本発明の非線形光学材料により構成された
波長変換素子は、高効率の変換が可能な素子であって、
近年各方面から要望の多い光ディスク記録用、各種可視
光センサー用、理化学計測用などの光源として充分に利
用されうるものである。さらには、光ディスクドライブ
のピックアップ用光源,レーザープリンターの書き込み
用光源、遠隔通信、光計測、光化学、光表示素子の光源
などに利用される。本発明の非線形光学材料は、レーザ
ー光を用いた光記録及び/又は再生、光磁気記録及び/
又は再生等にも利用可能である。例えば、光第2高調波
発生素子(second-harmonic generation: SHG 素子) を
使用すれば、半導体レーザーで発振した近赤外〜赤色光
を導入すると青色〜近紫外光を得ることができ、緑〜青
色光を導入すると、深紫外光を得ることができるなど、
コヒーレント光の実現可能な波長範囲を拡大することが
でき、これに伴ってレーザーの利用範囲の拡大と各技術
分野でのレーザー利用の最適化を図ることができる。
波長変換素子は、高効率の変換が可能な素子であって、
近年各方面から要望の多い光ディスク記録用、各種可視
光センサー用、理化学計測用などの光源として充分に利
用されうるものである。さらには、光ディスクドライブ
のピックアップ用光源,レーザープリンターの書き込み
用光源、遠隔通信、光計測、光化学、光表示素子の光源
などに利用される。本発明の非線形光学材料は、レーザ
ー光を用いた光記録及び/又は再生、光磁気記録及び/
又は再生等にも利用可能である。例えば、光第2高調波
発生素子(second-harmonic generation: SHG 素子) を
使用すれば、半導体レーザーで発振した近赤外〜赤色光
を導入すると青色〜近紫外光を得ることができ、緑〜青
色光を導入すると、深紫外光を得ることができるなど、
コヒーレント光の実現可能な波長範囲を拡大することが
でき、これに伴ってレーザーの利用範囲の拡大と各技術
分野でのレーザー利用の最適化を図ることができる。
【0026】したがって、半導体素子の製造、物質加
工、表示装置、印刷装置、3次元ホログラム再生装置、
光化学、計測、反応モニター等への適用が可能である。
例えば近赤外〜赤色のレーザー光を導入して得られる青
色〜近紫外光出力は、高密度光記録などの用途に非常に
有用であるし、緑〜青色のレーザー光を導入して得られ
る深紫外光出力は、半導体素子の製造、物質加工などの
用途に非常に有用である。擬似位相整合方法とは、非線
形光学材料により構成された波長変換素子中を導波する
周波数ωの基本波及び周波数2ωの第2高調波はその位
相伝搬速度を等しくする必要があるが、このように位相
伝搬速度を等しくする方法の一つとして、素子中に周期
的に分極反転域を設け、疑似的に導波する光の位相伝搬
速度を等しくする技術である。本発明の非線形光学材料
は、擬似位相整合技術に利用されて有用である。本発明
の非線形光学材料は、例えば特開平9-127567号公報に開
示されているような、光デバイスに適用されても有用で
ある。
工、表示装置、印刷装置、3次元ホログラム再生装置、
光化学、計測、反応モニター等への適用が可能である。
例えば近赤外〜赤色のレーザー光を導入して得られる青
色〜近紫外光出力は、高密度光記録などの用途に非常に
有用であるし、緑〜青色のレーザー光を導入して得られ
る深紫外光出力は、半導体素子の製造、物質加工などの
用途に非常に有用である。擬似位相整合方法とは、非線
形光学材料により構成された波長変換素子中を導波する
周波数ωの基本波及び周波数2ωの第2高調波はその位
相伝搬速度を等しくする必要があるが、このように位相
伝搬速度を等しくする方法の一つとして、素子中に周期
的に分極反転域を設け、疑似的に導波する光の位相伝搬
速度を等しくする技術である。本発明の非線形光学材料
は、擬似位相整合技術に利用されて有用である。本発明
の非線形光学材料は、例えば特開平9-127567号公報に開
示されているような、光デバイスに適用されても有用で
ある。
【0027】
【実施例】以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明
するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具
体的な態様の参考のために提供されているものである。
これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明する
ためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定
したり、あるいは制限することを表すものではない。本
発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可
能であることは理解されるべきである。全ての実施例
は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用
いて実施したもの、又は実施することのできるものであ
り、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具
体的な態様の参考のために提供されているものである。
これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明する
ためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定
したり、あるいは制限することを表すものではない。本
発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可
能であることは理解されるべきである。全ての実施例
は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用
いて実施したもの、又は実施することのできるものであ
り、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
【0028】実施例1 (1) ウェハの周期ドメイン反転方法 LiNbO3 (LN) 基板を有機溶媒を用いて超音波洗浄を行
う。次にフォトレジストをスピンコートにより約1.9 ミ
クロンメートルの厚さでコートし、フォトリソグラフィ
ーにより、周期レジストパターンを作製する。図4に
は、直径3インチ、厚さ 500μm のLNウェハに、図の上
方から下方にかけ、周期Λがそれぞれ26μm 〜31.2μm
となるようにパターンが付されていることが示されてい
る。次に LiCl 液体電極を用いることにより電圧印加を
以下のように行う。図5には、周期分極反転を直接電界
印加で行う場合に使用する装置の模式図を示す。表面に
パターニングした結晶は、治具に固定し沿面放電を防ぐ
ために絶縁油を結晶の周りに注入し、LiCl液体電極を介
して高電圧印加系により電圧印加を行う。高電圧印加系
は、バイアス用高電圧電源、高電圧パルス発生用電源、
電流計、積分器、比較器から構成されている。電圧印加
後に電圧をすぐ遮断してしまうと分極反転の戻りがある
ため、高電圧電源は2つに分け、一方でサンプルをバイ
アスしている。電圧印加を行うには、バイアス電圧、パ
ルス電圧、電荷量の設定を行わなければならないが、適
正電荷量は次の式から求められる。
う。次にフォトレジストをスピンコートにより約1.9 ミ
クロンメートルの厚さでコートし、フォトリソグラフィ
ーにより、周期レジストパターンを作製する。図4に
は、直径3インチ、厚さ 500μm のLNウェハに、図の上
方から下方にかけ、周期Λがそれぞれ26μm 〜31.2μm
となるようにパターンが付されていることが示されてい
る。次に LiCl 液体電極を用いることにより電圧印加を
以下のように行う。図5には、周期分極反転を直接電界
印加で行う場合に使用する装置の模式図を示す。表面に
パターニングした結晶は、治具に固定し沿面放電を防ぐ
ために絶縁油を結晶の周りに注入し、LiCl液体電極を介
して高電圧印加系により電圧印加を行う。高電圧印加系
は、バイアス用高電圧電源、高電圧パルス発生用電源、
電流計、積分器、比較器から構成されている。電圧印加
後に電圧をすぐ遮断してしまうと分極反転の戻りがある
ため、高電圧電源は2つに分け、一方でサンプルをバイ
アスしている。電圧印加を行うには、バイアス電圧、パ
ルス電圧、電荷量の設定を行わなければならないが、適
正電荷量は次の式から求められる。
【0029】Q = 2 Ps・S Q は電荷量、Psは自発分極、S は分極反転面積である。
この式は、表面電荷を中和していたイオンと反転する自
発分極の電荷量の和を表している。なお、自発分極の値
は一般的な一致溶融組成(コングルエント: congruent)
のLN、LTでは、それぞれ0.71 C/m2 、0.5 C/m2とされて
いるが、本発明者等の研究による測定より、これらの値
を1.05〜1.25倍した値が適正値であると考えられる。ま
た、LN、LTの抗電界は 21 kV/mm であり、0.5 mm厚の結
晶の反転に必要な電圧値は10.5kV以上となる。こうして
作製された周期的な分極反転構造を有する非線形光学結
晶、すなわち周期ドメイン反転LiNbO3 (PPLN: periodic
ally poled LiNbO3)のウェハを以下の処理に使用した。
PPLNのドメイン反転周期は、26〜31μm (0.5μm 間隔)
のものを作製した。同様にして、LiTaO3 (LT) について
も、PPLTを得ることができる。
この式は、表面電荷を中和していたイオンと反転する自
発分極の電荷量の和を表している。なお、自発分極の値
は一般的な一致溶融組成(コングルエント: congruent)
のLN、LTでは、それぞれ0.71 C/m2 、0.5 C/m2とされて
いるが、本発明者等の研究による測定より、これらの値
を1.05〜1.25倍した値が適正値であると考えられる。ま
た、LN、LTの抗電界は 21 kV/mm であり、0.5 mm厚の結
晶の反転に必要な電圧値は10.5kV以上となる。こうして
作製された周期的な分極反転構造を有する非線形光学結
晶、すなわち周期ドメイン反転LiNbO3 (PPLN: periodic
ally poled LiNbO3)のウェハを以下の処理に使用した。
PPLNのドメイン反転周期は、26〜31μm (0.5μm 間隔)
のものを作製した。同様にして、LiTaO3 (LT) について
も、PPLTを得ることができる。
【0030】(2) PPLNウェハ及びLNウェハ表面処理方法
並びに加熱融着 厚さがそれぞれ 500μm 、直径 3インチの PPLN ウェハ
(z 板) と単分極の非線形光学結晶、すなわちシングル
ドメイン LiNbO3 (LN)の二枚のウェハを表面処理にかけ
た。ついでPPLNウェハを上下から二枚のLNウェハで挟ん
で接合面を重ね合わせ、加熱融着させた。ウェハの表面
処理は、接合面は充分に平滑となるように研磨し、研磨
後半導体用の洗浄剤及び純水を用いてその表面を洗うこ
とを含んだものである。
並びに加熱融着 厚さがそれぞれ 500μm 、直径 3インチの PPLN ウェハ
(z 板) と単分極の非線形光学結晶、すなわちシングル
ドメイン LiNbO3 (LN)の二枚のウェハを表面処理にかけ
た。ついでPPLNウェハを上下から二枚のLNウェハで挟ん
で接合面を重ね合わせ、加熱融着させた。ウェハの表面
処理は、接合面は充分に平滑となるように研磨し、研磨
後半導体用の洗浄剤及び純水を用いてその表面を洗うこ
とを含んだものである。
【0031】(3) 光パラメトリック発振 (optical para
metric oscillation: OPO)用結晶のカット 上記で融着されて得られたPPLNウェハを中間層とし二枚
のLNウェハで挟まれた融着ウェハは図6に示されるよう
に、おおよそ13.5 x 40 x 1.5 mm3 のサイズに切り出し
た。切り出しは、まずドメイン反転パターンにそって、
幅 10 mm、長さ 40 mm余にダイヤモンドソーにより切り
出し、ついで研磨する。研磨後のサイズ(長さ) は、
ほぼ 40 mmである。結晶端面の光学研磨は、やといで研
磨試料を包み込み、カーボランダムによる手磨きにより
行った。また結晶端面へのARコーティングは、電子ビー
ム蒸着により行った。コーティングでは、SiO2を使用信
号光波長の 1/4(本実施例では1.06μm x 1/4=0.265
μm)に相当する光学長だけ付けることにより、反射率
を軽減せしめた。少なくとも28.0μm 、28.5μm 、29.0
μm 及び29.5μm のΛの周期ドメインをもつ融着結晶を
それぞれ得て、実験に使用した。
metric oscillation: OPO)用結晶のカット 上記で融着されて得られたPPLNウェハを中間層とし二枚
のLNウェハで挟まれた融着ウェハは図6に示されるよう
に、おおよそ13.5 x 40 x 1.5 mm3 のサイズに切り出し
た。切り出しは、まずドメイン反転パターンにそって、
幅 10 mm、長さ 40 mm余にダイヤモンドソーにより切り
出し、ついで研磨する。研磨後のサイズ(長さ) は、
ほぼ 40 mmである。結晶端面の光学研磨は、やといで研
磨試料を包み込み、カーボランダムによる手磨きにより
行った。また結晶端面へのARコーティングは、電子ビー
ム蒸着により行った。コーティングでは、SiO2を使用信
号光波長の 1/4(本実施例では1.06μm x 1/4=0.265
μm)に相当する光学長だけ付けることにより、反射率
を軽減せしめた。少なくとも28.0μm 、28.5μm 、29.0
μm 及び29.5μm のΛの周期ドメインをもつ融着結晶を
それぞれ得て、実験に使用した。
【0032】実施例2 上記のようにして作成した融着LiNbO3結晶 (構造: LN-P
PLN-LN) を使用して、擬似位相整合光パラメトリック発
振 (quasi-phese-matched optical parametric oscilla
tion: QPM-OPO)を行い、その特性を調べた。QPM-OPO の
励起光源には、Qスイッチ Nd:YAG レーザー (パルス幅
=35 ns 又は 25 ns, 繰り返し=50 Hz)を用いた。集光
光学系としては、ガリレオ系+集光レンズを使用した。
励起光のビーム径は、結晶中で 230μm である。図7に
は、実験系の概要が模式的に描かれている。図7中、1
は外部ミラー無し、2は入力ミラーのみ、そして3は入
出力ミラー存在下での実験をそれぞれ示している。Λ(g
rating period): 29.5 μm の本発明の融着LiNbO3結晶
を使用して、結晶温度: 250 ℃、シグナル波長: 1.61μ
m での結果は次の表1のとおりであった。
PLN-LN) を使用して、擬似位相整合光パラメトリック発
振 (quasi-phese-matched optical parametric oscilla
tion: QPM-OPO)を行い、その特性を調べた。QPM-OPO の
励起光源には、Qスイッチ Nd:YAG レーザー (パルス幅
=35 ns 又は 25 ns, 繰り返し=50 Hz)を用いた。集光
光学系としては、ガリレオ系+集光レンズを使用した。
励起光のビーム径は、結晶中で 230μm である。図7に
は、実験系の概要が模式的に描かれている。図7中、1
は外部ミラー無し、2は入力ミラーのみ、そして3は入
出力ミラー存在下での実験をそれぞれ示している。Λ(g
rating period): 29.5 μm の本発明の融着LiNbO3結晶
を使用して、結晶温度: 250 ℃、シグナル波長: 1.61μ
m での結果は次の表1のとおりであった。
【0033】
【表1】
【0034】grating period=29.5 μm の本発明の融着
LiNbO3結晶を使用して、結晶温度=250℃、シグナル波長
=1.61 μm で、発振しきい値: 410 μJ 、スロープ効率
38%、最大シグナル波出力: 2.35 mJ @ 6.35 mJ pump
、そしてポンプビーム径 1/e 2 dia = 480 μm という
結果を得た。発振波長の温度同調特性は、PPLN単板の場
合と同様であった。また結晶端面の損傷しきい値は、約
270 MW/cm2 (1.064μm,35 ns) であった。これは、LN
単板の値とほぼ等しいものである。図8には、PPLN単板
の場合に比して、本発明の融着接合した結晶の場合その
開口面積が増加している様子が示されている。ガウシア
ンビームによる励起では、1/e2 半径内に全エネルギー
の86% が存在している。また発振に寄与する領域は、し
きい値を越える領域である。
LiNbO3結晶を使用して、結晶温度=250℃、シグナル波長
=1.61 μm で、発振しきい値: 410 μJ 、スロープ効率
38%、最大シグナル波出力: 2.35 mJ @ 6.35 mJ pump
、そしてポンプビーム径 1/e 2 dia = 480 μm という
結果を得た。発振波長の温度同調特性は、PPLN単板の場
合と同様であった。また結晶端面の損傷しきい値は、約
270 MW/cm2 (1.064μm,35 ns) であった。これは、LN
単板の値とほぼ等しいものである。図8には、PPLN単板
の場合に比して、本発明の融着接合した結晶の場合その
開口面積が増加している様子が示されている。ガウシア
ンビームによる励起では、1/e2 半径内に全エネルギー
の86% が存在している。また発振に寄与する領域は、し
きい値を越える領域である。
【0035】対照として、三枚のPPLNを融着したもので
は、先ずその製作については、融着の際に各基板のドメ
イン構造を精密にあわせなければならず、そのプロセス
を完全に行うことは不可能に近い。そして実際、透明サ
ンプルを使用しなければならず、顕微鏡下で三枚を一致
させることは至難であった。こうしたことから、その効
率は低いし、しきい値も高いものであった(最大出力@
ポンプエネルギー: 2.2 mJ@22.5 mJ 、しきい値: 4.4
mJ、結晶長: 12 mm)。
は、先ずその製作については、融着の際に各基板のドメ
イン構造を精密にあわせなければならず、そのプロセス
を完全に行うことは不可能に近い。そして実際、透明サ
ンプルを使用しなければならず、顕微鏡下で三枚を一致
させることは至難であった。こうしたことから、その効
率は低いし、しきい値も高いものであった(最大出力@
ポンプエネルギー: 2.2 mJ@22.5 mJ 、しきい値: 4.4
mJ、結晶長: 12 mm)。
【0036】本発明で使用している結晶は、大きなもの
を容易に得ることが可能という利点に加え、安価に得る
ことができ、また動作長の長いものを得ることができる
という利点もある。本発明に係る接合構造(典型的に
は、融着構造)によれば、単分極の非線形光学材料(典
型的には、非線形光学結晶)の部分にまでレーザー光を
分布させることにより、より大きいビーム径のレーザー
光を用いることができ、レーザー光のエネルギー密度を
低くすることができるので、非線形光学結晶の光損傷を
抑制することができ、より高強度のレーザー光を入射す
ることができ、その結果光波長変換された出力も高強度
となる。そして、周期的に分極軸を反転した非線形光学
結晶を中心に単分極の非線形光学結晶を接合(典型的に
は、融着)することにより、接合(融着)したときに生
じる結晶の歪みに伴う屈折率の変化を減少することがで
きるので、融着した結晶に光波を通過させるときの光波
のビーム形状の歪みを減少させることができる。
を容易に得ることが可能という利点に加え、安価に得る
ことができ、また動作長の長いものを得ることができる
という利点もある。本発明に係る接合構造(典型的に
は、融着構造)によれば、単分極の非線形光学材料(典
型的には、非線形光学結晶)の部分にまでレーザー光を
分布させることにより、より大きいビーム径のレーザー
光を用いることができ、レーザー光のエネルギー密度を
低くすることができるので、非線形光学結晶の光損傷を
抑制することができ、より高強度のレーザー光を入射す
ることができ、その結果光波長変換された出力も高強度
となる。そして、周期的に分極軸を反転した非線形光学
結晶を中心に単分極の非線形光学結晶を接合(典型的に
は、融着)することにより、接合(融着)したときに生
じる結晶の歪みに伴う屈折率の変化を減少することがで
きるので、融着した結晶に光波を通過させるときの光波
のビーム形状の歪みを減少させることができる。
【0037】
【発明の効果】レーザーの波長によって細胞組織に与え
る影響が異なるため、手術の効果と照射治療の種類に従
って各種波長のレーザー光およびそれらの波長変換光が
使い分けされている。固有波長10.6μm の CO2レーザー
光は皮膚表面でほとんどが吸収されるため外科手術(一
般外科、脳神経外科、耳鼻科、産婦人科、歯科等)用レ
ーザーメスとして古くから多用されている。しかし、CO
2 レーザー光は石英光ファイバーを透過しないため、多
関節形導光路や中空金属導波路、または KRS-5をコアと
したクラッド型光ファイバーによる伝送方式が採用され
ている。
る影響が異なるため、手術の効果と照射治療の種類に従
って各種波長のレーザー光およびそれらの波長変換光が
使い分けされている。固有波長10.6μm の CO2レーザー
光は皮膚表面でほとんどが吸収されるため外科手術(一
般外科、脳神経外科、耳鼻科、産婦人科、歯科等)用レ
ーザーメスとして古くから多用されている。しかし、CO
2 レーザー光は石英光ファイバーを透過しないため、多
関節形導光路や中空金属導波路、または KRS-5をコアと
したクラッド型光ファイバーによる伝送方式が採用され
ている。
【0038】一方、固有波長1.06μm のNd-YAGレーザー
の光は生体内部で広がる性質があるため切開には不向き
だが、消化器系・膀胱・気管支・肺等である体積をもっ
た腫瘍などを凝固させて除去する場合や出血を凝固して
治療する外科手術(肝臓外科、脳神経外科等)用レーザ
ーメスとして用いられ、光ファイバー技術の進歩と相ま
って非切開で消化器系の治療を行うレーザー内視鏡に適
用されている。近年、Erを添加イオンに用いた3μm 波
長のEr-YAGレーザーは、細胞との相互作用が強いためレ
ーザー手術への応用に大きな有意性を有しているが(応
用物理, 第63巻, 第5号, 480 頁、1994年)、励起には
多くの場合フラッシュランプが用いられ、半導体レーザ
ー励起による全固体化が難しい。Er-YAGの他に3μm 帯
の光を得る方法としては10.6μm 波長のCO2 レーザーの
3倍波(3.5 μm)を用いる場合もあるが、エネルギー変
換効率は低く、装置の大型化が避けられない現状であ
る。
の光は生体内部で広がる性質があるため切開には不向き
だが、消化器系・膀胱・気管支・肺等である体積をもっ
た腫瘍などを凝固させて除去する場合や出血を凝固して
治療する外科手術(肝臓外科、脳神経外科等)用レーザ
ーメスとして用いられ、光ファイバー技術の進歩と相ま
って非切開で消化器系の治療を行うレーザー内視鏡に適
用されている。近年、Erを添加イオンに用いた3μm 波
長のEr-YAGレーザーは、細胞との相互作用が強いためレ
ーザー手術への応用に大きな有意性を有しているが(応
用物理, 第63巻, 第5号, 480 頁、1994年)、励起には
多くの場合フラッシュランプが用いられ、半導体レーザ
ー励起による全固体化が難しい。Er-YAGの他に3μm 帯
の光を得る方法としては10.6μm 波長のCO2 レーザーの
3倍波(3.5 μm)を用いる場合もあるが、エネルギー変
換効率は低く、装置の大型化が避けられない現状であ
る。
【0039】本発明では、接合されてはいるが結晶厚の
大きい分極反転構造を有する非線形光学材料を、高度な
技術を要せず、容易に且つ高精度に得ることができる。
したがって、結晶厚の大きい分極反転構造を有する非線
形光学材料を波長変換結晶として用いれば高出力ビーム
を得ることができ、レーザーメス、物質加工用高出力レ
ーザーなどとすることができる。本発明では、有効開口
面積の大きい分極反転構造を有する非線形光学材料を使
用したシステムの構築が可能になる。本発明では、入射
レーザービーム径が大きくでき、その歪みも防ぐことが
可能であり、その結果、レーザー光密度を下げることが
でき、レーザーによる結晶破壊を防ぐことができるだけ
でなく、所定の出力に設計することも容易で、高出力化
することができる。また励起光として、Nd: YAG レーザ
ー等の全固体レーザーが利用可能であり、小型で高効率
なシステムの構築が容易である。
大きい分極反転構造を有する非線形光学材料を、高度な
技術を要せず、容易に且つ高精度に得ることができる。
したがって、結晶厚の大きい分極反転構造を有する非線
形光学材料を波長変換結晶として用いれば高出力ビーム
を得ることができ、レーザーメス、物質加工用高出力レ
ーザーなどとすることができる。本発明では、有効開口
面積の大きい分極反転構造を有する非線形光学材料を使
用したシステムの構築が可能になる。本発明では、入射
レーザービーム径が大きくでき、その歪みも防ぐことが
可能であり、その結果、レーザー光密度を下げることが
でき、レーザーによる結晶破壊を防ぐことができるだけ
でなく、所定の出力に設計することも容易で、高出力化
することができる。また励起光として、Nd: YAG レーザ
ー等の全固体レーザーが利用可能であり、小型で高効率
なシステムの構築が容易である。
【0040】本発明の非線形光学材料、つまり、周期的
に結晶の分極軸が反転されている非線形光学結晶(z
板)を単分極の光学結晶で上下から挟んでいる構造を持
つものを使用すれば、大口径ビームを得ることが可能で
あり、10μm 波長炭酸ガスレーザーなどを励起光源とし
て使用した高出力レーザーメスを簡単且つ安価に提供可
能となる。本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載
した以外も、実行できることは明らかである。上述の教
示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であ
り、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のも
のである。
に結晶の分極軸が反転されている非線形光学結晶(z
板)を単分極の光学結晶で上下から挟んでいる構造を持
つものを使用すれば、大口径ビームを得ることが可能で
あり、10μm 波長炭酸ガスレーザーなどを励起光源とし
て使用した高出力レーザーメスを簡単且つ安価に提供可
能となる。本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載
した以外も、実行できることは明らかである。上述の教
示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であ
り、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のも
のである。
【図1】周期的に分極反転している構造を有する非線形
光学材料(結晶)を模式的に示す図である。
光学材料(結晶)を模式的に示す図である。
【図2】本発明の接合(融着)非線形光学材料(結晶)
の一実施態様を示す。
の一実施態様を示す。
【図3】図2に示されるような態様の本発明の非線形光
学材料を構成するために、分極反転構造を有する非線形
光学材料1に上下から単分極の非線形光学材料3及び4
を接合する様子を模式的に描いたものである。
学材料を構成するために、分極反転構造を有する非線形
光学材料1に上下から単分極の非線形光学材料3及び4
を接合する様子を模式的に描いたものである。
【図4】直径3インチ、厚さ 500μm のLNウェハに、図
の上方から下方にかけ、周期Λがそれぞれ26μm 〜31.2
μm となるようにパターンが付されていることを示して
いる図である。
の上方から下方にかけ、周期Λがそれぞれ26μm 〜31.2
μm となるようにパターンが付されていることを示して
いる図である。
【図5】非線形光学材料の周期分極反転を直接電界印加
で行う場合に使用する装置の模式図を示す。
で行う場合に使用する装置の模式図を示す。
【図6】実施例1で作製された本発明の接合(融着)非
線形光学材料(結晶)の一実施態様を示す。
線形光学材料(結晶)の一実施態様を示す。
【図7】擬似位相整合光パラメトリック発振測定系(装
置)の概要を模式的に描いた図である。
置)の概要を模式的に描いた図である。
【図8】PPLN単板(左側)の場合に比して、本発明の融
着接合した結晶(右側)の場合その開口面積(ビームに
対する)が増加している様子を示す図である。
着接合した結晶(右側)の場合その開口面積(ビームに
対する)が増加している様子を示す図である。
1:分極反転構造を有する非線形光学材料(結晶) 3及び4:単分極の非線形光学材料(結晶)
Claims (12)
- 【請求項1】 周期的な分極反転構造を有する非線形光
学材料を単分極の非線形光学材料で上下から挟んで接合
されている構造を有する非線形光学材料。 - 【請求項2】 単分極の非線形光学材料の屈折率が周期
的な分極反転構造を有する非線形光学材料と同じである
かあるいはそれよりも小さいものであることを特徴とす
る請求項1記載の非線形光学材料。 - 【請求項3】 周期的に結晶の分極軸が反転されている
非線形光学結晶に単分極の光学結晶を上下から融着せし
めてある構造を有することを特徴とする請求項1又は2
記載の非線形光学材料。 - 【請求項4】 周期的に結晶の分極軸が反転されている
非線形光学結晶の有効開口面積が増大化せしめられてい
るものである請求項1〜3のいずれか一記載の非線形光
学材料。 - 【請求項5】 通過せしめられる光波のビーム形状の歪
みを減少化できるものである請求項1〜4のいずれか一
記載の非線形光学材料。 - 【請求項6】 結晶が、LiNbO3、LiTaO3、M1TiOM2O4
〔ここで、M1=K, Rb,Tl, Cs などで、M2=P, As な
ど〕及びこれらに種々の元素をドープしたものから成る
群から選ばれたもののz板である請求項1〜5のいずれ
か一記載の非線形光学材料。 - 【請求項7】 周期的な分極反転構造を有する非線形光
学材料をその上下から単分極の非線形光学材料を融着せ
しめることを特徴とする周期的な分極反転構造を有する
非線形光学材料を単分極の非線形光学材料で上下から挟
んでいる構造を有する非線形光学材料の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか一記載の非線形
光学材料を製造することを特徴とする請求項7記載の製
造方法。 - 【請求項9】 請求項1〜6のいずれか一記載の非線形
光学材料を使用していることを特徴とする波長変換装
置。 - 【請求項10】 請求項1〜6のいずれか一記載の非線
形光学材料を使用していることを特徴とする光情報処理
装置。 - 【請求項11】 周期的な分極反転構造を有する非線形
光学材料(非線形光学結晶)を単分極の非線形光学材料
(非線形光学結晶)で上下から挟んで接合することによ
り、周期的に結晶の分極軸が反転されている非線形光学
材料(非線形光学結晶)の有効開口面積を増大化せしめ
ることを特徴とする方法。 - 【請求項12】 周期的な分極反転構造を有する非線形
光学材料(非線形光学結晶)を単分極の非線形光学材料
(非線形光学結晶)で上下から挟んで接合することによ
り、周期的に結晶の分極軸が反転されている非線形光学
材料(非線形光学結晶)を通過せしめられる光波のビー
ム形状の歪みを減少化することを特徴とする方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000218886A JP2002031827A (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 増大化された有効開口面積を持つ構造の周期分極反転非線形光学材料 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2000218886A JP2002031827A (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 増大化された有効開口面積を持つ構造の周期分極反転非線形光学材料 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002031827A true JP2002031827A (ja) | 2002-01-31 |
Family
ID=18713764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2000218886A Pending JP2002031827A (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 増大化された有効開口面積を持つ構造の周期分極反転非線形光学材料 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002031827A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
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- 2000-07-19 JP JP2000218886A patent/JP2002031827A/ja active Pending
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