JP2002031487A - 冷鉄源の溶解方法 - Google Patents

冷鉄源の溶解方法

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JP2002031487A
JP2002031487A JP2000247294A JP2000247294A JP2002031487A JP 2002031487 A JP2002031487 A JP 2002031487A JP 2000247294 A JP2000247294 A JP 2000247294A JP 2000247294 A JP2000247294 A JP 2000247294A JP 2002031487 A JP2002031487 A JP 2002031487A
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exhaust gas
melting
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preheating chamber
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Hideaki Mizukami
秀昭 水上
Minoru Suzuki
実 鈴木
Ryuji Yamaguchi
隆二 山口
Toshimichi Maki
敏道 牧
Yasuhiro Sato
靖浩 佐藤
Takeshi Nakayama
剛 中山
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Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シャフト型の予熱室を有するアーク溶解設備
を用いた溶解の際に、ダイオキシン等の発生を防止する
と共に、可燃性成分を含有する排ガスの爆発等の異常燃
焼を防止する。 【解決手段】 溶解室2と、その上部に直結する予熱室
3とを具備し、溶解室で発生する排ガスを予熱室に導入
して冷鉄源16を予熱するアーク溶解設備1を用いた溶
解方法において、冷鉄源が予熱室と溶解室とに存在する
状態を保つように冷鉄源を予熱室へ供給しながら、アー
ク加熱並びに炭材と酸素とを溶解室に供給して冷鉄源を
溶解し、所定量の溶湯17が溜まった時点で溶解室及び
予熱室に冷鉄源が存在する状態で溶湯を出湯するにあた
り、溶解室内及び予熱室内の排ガスの酸化度を0.61
以上にすると共に、予熱室を通過した排ガスに酸素含有
ガスを供給して排ガスを燃焼させ、排ガス温度を所定温
度以上とし、その後、排ガスを急冷する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄スクラップや直
接還元鉄等の冷鉄源をアークにて溶解する冷鉄源の溶解
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、資源及び環境問題から、発生量の
多い鉄スクラップをアーク溶解設備を用いて溶解するプ
ロセスが増加している。このようなアーク溶解設備で
は、鉄スクラップの溶解に多くの電力を消費するため、
溶解中にアーク溶解設備の溶解室から発生する排ガスで
鉄スクラップを予熱しながら溶解し、必要とする電力を
削減する方法が多数提案されている。
【0003】一方、鉄スクラップをアーク溶解設備で溶
解する際には、原料の鉄スクラップに付着している油分
や鉄スクラップに混入しているプラスチック等に起因し
て、排ガス中にダイオキシンに代表される芳香族塩素化
合物等の有害物質が含まれることがあり、又、これと同
時に白煙や悪臭等が発生し、環境上の問題となってお
り、このような有害物質の発生を防止する技術も多数提
案されている。
【0004】このような状況のなかで、本発明者等は、
先に、特開平11−183045号公報において、必要
とする電力を大幅に削減することが可能で、且つ、白
煙、悪臭、ダイオキシン等の有害物質の発生を抑えた冷
鉄源溶解方法を提案した。この溶解方法は、溶解室の上
部に直結するシャフト型の予熱室を備えたアーク溶解設
備を用い、冷鉄源が溶解室と予熱室とに連続して存在す
る状態を保つように冷鉄源を連続的又は断続的に予熱室
へ供給しながら、アーク加熱並びにコークス等の補助熱
源と酸素とを溶解室内に供給することによって溶解室内
の冷鉄源を溶解し、溶解室に所定量の溶鋼が溜まった時
点で溶解室及び予熱室に冷鉄源が存在する状態で溶鋼を
出湯するにあたり、溶解室で発生した排ガスが予熱室を
通過した後に、排ガスに酸素含有ガスを供給して排ガス
中の可燃性成分を燃焼させ、排ガス温度を所定温度以上
にし、その後、排ガスを急冷する溶解方法である。
【0005】この溶解方法によれば、予熱室内及び溶解
室内には常に冷鉄源が充填されて存在し、次ヒート以降
では使用する全ての冷鉄源が予熱されて、電力使用量の
大幅な削減が達成されると共に、大がかりな設備がなく
ともダイオキシン等の有害物質の発生、及び白煙や悪臭
の発生を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平11−183045号公報による溶解方法において
も以下の問題点があることが分かった。即ち、同号公報
による溶解方法では、炭材及び酸素の溶解室内への吹き
込みにより発生するCOガスの一部を、侵入空気や溶解
室内への空気吹き込みにより溶解室内及び予熱室内で燃
焼させてCO2 ガスとし、未燃焼のCOガスを含む排ガ
スを予熱室を通過させ、その後、残留するCOガスを酸
素含有ガスで燃焼させて排ガス温度を所定温度、例えば
900℃以上にし、次いで、排ガスを急冷している。
【0007】従って、予熱室出口では排ガスの酸化度
(酸化度=CO2 /[CO2 +CO])を0.7〜0.
8程度とすること、即ち、予熱室出口では発生したCO
ガスの20〜30%を未燃焼のまま残留させることが必
要である。そのため、例えば、侵入空気の減少等により
排ガスの酸化度が0.5程度まで低下した場合には、排
ガス組成は、およそ、COガス:21%、CO2 ガス:
21%、酸素:3%、窒素:52%、水蒸気:3%とな
り、この状態で侵入空気が急激に増加して排ガスと混合
した場合には、酸素濃度が上がり、混合したガスは爆発
の可能性のある危険領域に入る。溶解室内には着火源と
して溶湯が存在するので、この場合には爆発等の異常燃
焼が発生する。
【0008】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、シャフト型の予熱室を有する
アーク溶解設備を用いて冷鉄源を溶解する際に、予熱室
から排出される排ガス中のダイオキシン等の有害成分の
発生及び白煙や悪臭の発生を防止すると共に、可燃性成
分を含有する排ガスの爆発等の異常燃焼を防止すること
ができる冷鉄源の溶解方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、本発明者
等が先に提案した上記特開平11−183045号公報
の溶解方法を前提として、操業中に爆発等の異常燃焼す
る危険性のない溶解方法を見出すため、溶解室内及び予
熱室内に急激に空気が侵入した時の排ガス組成の変化
と、爆発の可能性のある危険領域との関係を検討した。
【0010】その結果を図1に示す。尚、図1は、排ガ
スの酸化度を0.5、0.6、及び0.7の3水準とし
て、排ガス中のCOガス濃度と酸素濃度の変化に及ぼす
侵入空気量の影響を調査したもので、図中の●印は酸化
度が0.5の場合のCOガス濃度及び酸素濃度を示し、
◇印は酸化度が0.6の場合を、又、○印は酸化度が
0.7の場合を示している。そして、図中、侵入空気量
の増加と共に濃度が低下しているものがCOガス濃度
で、逆に増加しているものが酸素濃度である。COガス
の場合、COガス濃度がおよそ12.5%以上で且つ酸
素濃度がおよそ5%以上の領域が、爆発の可能性のある
危険領域と考えられる。
【0011】図1に示すように、排ガスの酸化度が0.
5の場合には、侵入空気量が約80Nm3 /minにな
ると爆発の可能性のある危険領域に入り、侵入空気量が
約240Nm3 /minを越えるまで、爆発の可能性の
ある危険領域に入ったままとなる。又、排ガスの酸化度
が0.6の場合には、侵入空気が約80Nm3 /min
になると一旦爆発の可能性のある危険領域に入るが、侵
入空気がそれ以上になると、排ガスが希釈されてCOガ
ス濃度が12.5%以下となるため、爆発の可能性のあ
る危険領域から外れることが分かる。一方、排ガスの酸
化度が0.7の場合には、どのような比率で空気と混合
しても爆発の可能性のある危険領域にはならないことが
分かる。
【0012】これらの結果から、溶解室内及び予熱室内
の排ガスの酸化度を0.61以上としておけば、どのよ
うな比率で空気と混合しても爆発の可能性のある危険領
域にはならないとの知見を得た。
【0013】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、第1の発明による冷鉄源の溶解方法は、溶解室と、
その上部に直結するシャフト型の予熱室とを具備し、溶
解室で発生する排ガスを予熱室に導入して予熱室内の冷
鉄源を予熱するアーク溶解設備を用いた冷鉄源の溶解方
法において、冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続して存在
する状態を保つように冷鉄源を予熱室へ供給しながら、
アーク加熱並びに炭材と酸素とを溶解室に供給すること
によって溶解室内の冷鉄源を溶解し、溶解室に所定量の
溶湯が溜まった時点で溶解室及び予熱室に冷鉄源が連続
して存在する状態で溶湯を出湯するにあたり、溶解室内
及び予熱室内の排ガスの酸化度を0.61以上にすると
共に、予熱室を通過した排ガスに酸素含有ガスを供給し
て排ガス中の可燃性成分を燃焼させ、排ガス温度を所定
温度以上とし、その後、排ガスを急冷することを特徴と
するものである。
【0014】第2の発明による冷鉄源の溶解方法は、第
1の発明において、排ガスを急冷した後に、排ガスに吸
着剤を供給することを特徴とするものである。
【0015】第3の発明による冷鉄源の溶解方法は、第
1の発明又は第2の発明において、前記酸素含有ガスに
よる燃焼後の排ガス温度を850℃以上とすることを特
徴とするものである。
【0016】第4の発明による冷鉄源の溶解方法は、第
1の発明乃至第3の発明の何れかにおいて、溶解室内及
び予熱室内の排ガスの酸化度を0.85以下とすること
を特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
を詳細に説明する。先ず、第1の実施の形態について図
2に基づき説明する。図2は、本発明の第1の実施の形
態を示す図であって、本発明を適用したアーク溶解設備
の縦断面概略図である。
【0018】図2において、内部を耐火物で構築され、
底部に炉底電極6を備えた溶解室2の上部には、シャフ
ト型の予熱室3と水冷構造の側壁部4とが配置され、こ
の予熱室3で覆われない側壁部4の上部開口部は開閉自
在な水冷構造の炉蓋5で覆われている。この炉蓋5を貫
通して、溶解室2内へ上下移動可能な黒鉛製の上部電極
7が設けられており、炉底電極6と上部電極7とは直流
電源(図示せず)に連結し、炉底電極6と上部電極7と
の間でアーク19を発生させる。
【0019】予熱室3の上方には、走行台車24に吊り
下げられた底開き型の供給用バケット15が設けられ、
この供給用バケット15から、予熱室3の上部に設けた
開閉自在な供給口20を介して、鉄スクラップや直接還
元鉄等の冷鉄源16が予熱室3内に装入される。
【0020】予熱室3の上端には、排ガス処理設備25
と連結するダクト21が設けられており、溶解室2で発
生する高温の排ガスは、予熱室3及びダクト21を経由
して排ガス処理設備25へ排出される。その際、予熱室
3を通過する排ガスにより、予熱室3内に装入された冷
鉄源16は予熱され、予熱された冷鉄源16は、溶解室
2内で溶解される冷鉄源16の量に見合って、溶解室2
内に自由落下し、溶解室2へ装入される。
【0021】予熱室3の側壁は下方に向かって広がるテ
ーパーを有している。テーパーを設けることにより、予
熱された冷鉄源16を溶解室2へ安定して供給すること
ができる。テーパーが形成されない場合には、冷鉄源1
6が落下し難くなり、予熱室3内で棚吊りを起こす原因
となる。
【0022】炉蓋5を貫通して、溶解室2内を上下移動
可能な酸素吹き込みランス8と炭材吹き込みランス9と
が設けられ、酸素吹き込みランス8からは酸素が溶解室
2内に吹き込まれ、炭材吹き込みランス9からは空気や
窒素等を搬送用ガスとしてコークス、チャー、石炭、木
炭、黒鉛等の等の炭材が溶解室2内に吹き込まれる。
又、炉蓋5を貫通して空気吹き込みランス12が設置さ
れており、空気吹き込みランス12からは二次燃焼用の
空気が溶解室2内に吹き込まれる。
【0023】溶解室2の予熱室3が直結されている側と
は異なる部分に設けられた突出部2aには、その底部
に、扉22で出口側を押さえ付けられて内部に詰め砂又
はマッド剤が充填された出湯口13と、その側壁に、扉
23で出口側を押さえ付けられて内部に詰め砂又はマッ
ド剤が充填された出滓口14とが設けられている。そし
て、出湯口13の鉛直上方に対応する部位の炉蓋5に
は、バーナー10が取り付けられている。バーナー10
は、重油、灯油、微粉炭、プロパンガス、天然ガス等の
化石燃料を、空気又は酸素若しくは酸素富化空気により
溶解室2内で燃焼させる。
【0024】ダクト21の下流側の排ガス処理設備25
として、先ず最初に燃焼室26がダクト21と連結して
設けられている。この燃焼室26には、ブロワー27と
ブロワー27に繋がる空気導入管28とが設置されてお
り、ブロワー27及び空気導入管28を介して、溶解室
2で発生する排ガス中の可燃性成分を燃焼させるための
空気が燃焼室26内に供給される。又、燃焼室26に
は、重油、灯油、LPG等の燃料を用いる補助バーナー
29が設置されており、補助バーナー29により排ガス
の燃焼を促進させることができる。
【0025】燃焼室26の下流側には冷却室30が設置
されている。この冷却室30には水噴霧ノズル31が設
置されており、冷却水を噴霧して排ガスを急冷すること
により、ダイオキシン等の有害物質の発生を防止するこ
とができる。冷却室30の下流側には、建家集塵等のた
めの空気等を吸引する空気供給管33が接続されてお
り、空気供給管33との合流点32では空気と排ガスと
が合流できるようになっている。
【0026】合流点32の下流側には、吸着剤供給部3
4が設けられており、ブロワー35を介して吸着剤供給
部34から排ガス中に吸着剤を供給することで、有害物
質を更に低レベルまで低減することができる。この場
合、吸着剤としては消石灰、活性炭、石炭灰等を用いる
ことができる。吸着剤供給部34の下流側にはバグフィ
ルター36が設置され、バグフィルター36を通過した
排ガスはブロワー37を介して煙突38から大気に放出
される。このようにして直流式アーク溶解設備1が構成
されている。
【0027】このように構成される直流式アーク溶解設
備1における冷鉄源16の溶解方法は次のようにして行
われる。先ず、供給用バケット15を用いて予熱室3内
に冷鉄源16を装入する。予熱室3内に装入された冷鉄
源16は、溶解室2内にも装入され、やがて予熱室3内
を充填する。尚、溶解室2内へ冷鉄源16を均一に装入
するために、炉蓋5を開けて予熱室3と反対側の部位の
溶解室2内に冷鉄源16を装入することもできる。
【0028】次いで、炉底電極6と上部電極7との間に
直流電流を給電しつつ上部電極7を昇降させ、炉底電極
6と上部電極7との間、又は、装入された冷鉄源16と
上部電極7との間でアーク19を発生させる。そして、
発生するアーク熱により冷鉄源16を溶解して溶湯17
を生成させる。溶湯17の生成と共に、生石灰、蛍石等
のフラックスを溶解室2内に装入して溶融スラグ18を
溶湯17上に形成させ、溶湯17の酸化を防止すると共
に溶湯17の保温を図る。溶融スラグ18の量が多すぎ
る場合には、操業中でも出滓口14から排滓することが
できる。
【0029】溶湯17の生成する頃から、酸素吹き込み
ランス8から酸素を、又、炭材吹き込みランス9から炭
材を、溶解室2内の溶湯17又は溶融スラグ18中に吹
き込む。吹き込まれて溶湯17中に溶解した炭材又は溶
融スラグ18中に懸濁した炭材は、吹き込まれる酸素と
反応して燃焼熱を発生し、補助熱源として作用し、電力
使用量を節約する。同時に、反応生成物のCOガス気泡
11が溶融スラグ18をフォーミングさせ、アーク19
が溶融スラグ18に包まれた、所謂スラグフォーミング
操業となるので、アーク19の着熱効率が上昇する。
【0030】又、大量に発生する高温のCOガスと、こ
のCOガスの一部が溶解室2内への侵入空気及び空気吹
き込みランス12からの空気により燃焼して生成するC
2ガスとが、予熱室3を通りダクト21を経由して排
出され、予熱室3内の冷鉄源16を効率良く予熱する。
【0031】酸素吹き込みランス8から吹き込まれる酸
素は溶湯17と反応してFeOとなるが、このFeOは
吹き込まれた炭材により還元される。この場合、酸素吹
き込みランス8から吹き込まれる酸素量は、溶解される
溶湯17の1トン当り25Nm3 以上、望ましくは40
Nm3 以上であることが好ましい。これにより一層効率
良く冷鉄源16を溶解することができる。又、炭材の吹
き込み量は、酸素吹き込み量に対応して決める。即ち、
吹き込まれる酸素の化学当量に等しい程度の炭材を吹き
込むこととする。吹き込まれる炭材が酸素吹き込み量に
比べて少ないと、溶湯17が過剰に酸化するので好まし
くない。
【0032】空気吹き込みランス12から吹き込む空気
は、溶解室2内及び予熱室3内の排ガスの酸化度(CO
2 /[CO2 +CO])が0.61以上となるように、
その吹き込み量を調整する。具体的には、溶解室2及び
予熱室3から排ガスを採取し、採取した排ガス組成の分
析値から、空気吹き込みランス12からの吹き込み空気
量を制御すればよい。但し、酸化度を高くし過ぎて、排
ガス中の可燃性成分であるCOガス濃度を低下し過ぎる
と、燃焼室26における排ガスの燃焼が困難となり、補
助バーナー29の燃焼熱で排ガス温度を所定値まで上昇
させなければならず、補助燃料費用が増大する。そのた
め、燃焼室26での排ガスの燃焼を円滑に行わせるため
に、排ガスの酸化度の上限を0.85程度とすることが
好ましい。
【0033】溶湯17の生成に伴い、予熱室3内の冷鉄
源16は溶解室2内で溶解された量に見合って溶解室2
内に自由落下して減少するので、この減少分を補うため
に供給用バケット15から予熱室3へ冷鉄源16を装入
する。この冷鉄源16の予熱室3内への装入は、冷鉄源
16が予熱室3と溶解室2とに連続して存在する状態を
保つように、連続的又は断続的に行う。この際の冷鉄源
16の装入は、操業実績に基づいて予め設定されたレシ
ピに基づいて行っても良いし、予熱室3内の冷鉄源16
の量を検出可能なセンサーを設け、このセンサーからの
信号に基づいて供給用バケット15による冷鉄源16の
投入を制御するようにしても良い。その際に、予熱室3
と溶解室2とに連続して存在する冷鉄源16の量を、1
ヒート分の冷鉄源16の50%以上とすることが好まし
い。
【0034】このようにして冷鉄源16を溶解して、所
定量の溶湯17、例えば1ヒート分の溶湯17が溶解室
2内に溜まったら、必要に応じて溶湯17の成分を調整
した後、溶解室2を出湯口13側に傾動させつつ、溶解
室2及び予熱室3に冷鉄源16が連続して存在する状態
を保ったまま、出湯口13を塞いでいた扉22を開き、
出湯口13から1ヒート分の溶湯17を溶湯保持容器
(図示せず)へ出湯する。出湯に際しては、溶湯17の
凝固による出湯口13の閉塞を防止するために、バーナ
ー10で溶湯17を加熱しても良い。尚、本発明におけ
る所定量の溶湯量とは、例えば1ヒート分の溶湯量や、
出湯後に溶解室2内に溶湯17を残留させる場合には、
1ヒート分の溶湯量と溶解室2内の残留溶湯量とを合わ
せた量であり、操業状況により適宜決定される溶湯量で
ある。
【0035】この場合、溶湯17中に冷鉄源16が埋没
して共存しているので、溶湯温度は凝固温度近傍にな
り、十分な過熱度を得ることが困難である。そのため、
出湯時の溶湯温度を上昇させる場合には、所定量、例え
ば1ヒート分の溶湯17が溶解室2内に溜まったら、溶
解室2を出湯口13側に傾動して溶湯17中に埋没する
冷鉄源16を減少させ、溶湯17と冷鉄源16との接触
面積を低減させ、溶湯17をアーク加熱又はアーク加熱
とバーナー10との併用により加熱し、昇温した後、上
記に従い溶湯17を出湯しても良い。この場合には、大
きな過熱度を有する溶湯17を得ることができる。
【0036】そして出湯後、必要に応じて溶湯17を取
鍋精錬炉等にて昇温して精錬した後、連続鋳造機等で鋳
造する。溶湯17を出湯し、更に必要に応じて溶融スラ
グ18を排滓した後、溶解室2を水平に戻し、出湯口1
3及び出滓口14内に詰め砂又はマッド材を充填した
後、次回ヒートの溶解を開始する。次回ヒートの溶解方
法も上記に準じて実施する。
【0037】一方、未燃焼のCOガスを含む排ガスは、
予熱室3を通過した後にダクト21を通って燃焼室26
に至る。燃焼室26においては、空気導入管28を介し
て供給される空気により、排ガス中の未燃焼COガスを
ほぼ完全に燃焼させて、排ガス温度を所定温度以上の高
温とする。ダイオキシンに代表される芳香族塩素化合物
等の有害物質の発生、及び白煙、悪臭の発生を有効に防
止する観点からは、燃焼室26での燃焼後の排ガス温度
を、これらの分解が促進される850℃以上、望ましく
は900℃以上にすることが好ましい。燃焼後の排ガス
温度を所定温度以上に確保するために補助バーナー29
を用いても良い。
【0038】燃焼室26で所定温度以上に加熱された排
ガスは冷却室30で200℃程度まで急冷され、ダイオ
キシン等の有害物質の再合成が防止される。更に、排ガ
スは、合流点32で空気と混合して100℃程度以下ま
で冷却される。更に、必要に応じて吸着剤供給部34か
ら吸着剤を供給して、排ガス中に残留するダイオキシン
等の有害物質を吸着・除去する。排ガスは、バグフィル
ター36で除塵された後、煙突38から大気に放散され
る。
【0039】このようにして溶解することで、次回ヒー
トは予熱された冷鉄源16で溶解を開始することがで
き、電力原単位を大幅に低減することが可能となる。
又、溶解室2内及び予熱室3内の排ガスの酸化度を0.
61以上に制御しているので、たとえ溶解室2内及び予
熱室3内に大量の空気が急激に侵入したとしても、溶解
室2内及び予熱室3内での排ガスの爆発等の異常燃焼を
未然に防止することができる。更に、燃焼室26におい
て未燃焼のまま残留するCOガスをほぼ完全に燃焼さ
せ、そこから排出する排ガス温度を所定温度以上の高温
にすると共に、その後、冷却室30で排ガスを急冷する
ので、大がかりな設備がなくともダイオキシンに代表さ
れる芳香族塩素化合物等の有害物質の発生、及び白煙、
悪臭の発生を防止することができる。
【0040】尚、出湯時に、溶湯17を溶解室2内に残
留させて、次回ヒートの溶解を再開しても良い。この場
合には、溶解室2内に溶湯17が存在するので、溶解の
初期から酸素及び炭材の吹き込みを実施することがで
き、初期の溶解が促進され、溶解効率が更に向上する。
この場合、次ヒートの再開後、直ちに酸素及び炭材吹き
込みを可能とするために、溶湯17の残留量は1ヒート
の30%以上とすることが好ましい。
【0041】次に、第2の実施の形態について、図3か
ら図7に基づき説明する。図3は、本発明の第2の実施
の形態を示す図であって、本発明を適用したアーク溶解
設備の他の例を示す斜視図、図4はその平面図、図5
は、図3のX−X’矢視による縦断面図、図6は、図3
のY−Y’矢視による断面図で溶解室が水平の状態を示
し、図7は、図3のY−Y’矢視による断面図で溶解室
を出湯部側に傾動させた状態を示す図である。
【0042】この直流式アーク溶解設備1Aは、冷鉄源
16をアーク溶解するための溶解室2と、その一方側2
bの上部に直結し、上方に向かって延在するシャフト型
の予熱室3と、溶解室2に設けられた出湯部39とを備
えている。
【0043】この直流式アーク溶解設備1Aでは、予熱
室3内の冷鉄源16は、溶解室2の予熱室側2bからそ
の反対側2cに向かう方向へ供給されるが、出湯部39
は、この冷鉄源16の供給方向に対して直交する方向に
向くように溶解室2に突設されている。そして、溶解室
2は、図7に示すように傾動装置(図示せず)により出
湯部39側が低くなるように傾動可能となっている。
【0044】溶解室2の予熱室3が設けられた部分と出
湯部39が設けられた部分とは距離aだけ離間してお
り、溶解室2が出湯部39側に傾動された際に、その部
分の壁部により冷鉄源16が出湯部39に流出すること
が阻止される。この場合に、図5に示すように、距離a
が予熱室3から溶解室2に亘って安息角で拡がる冷鉄源
16の距離よりも長いことが好ましい。このようにする
ことで、溶解室2を出湯部39側に傾動した際の冷鉄源
16の出湯部39への流出を完全に阻止することができ
る。
【0045】出湯部39の先端近傍の底部には出湯口1
3が形成されており(図6参照)、この出湯口13を開
閉するための扉22が設けられている。更に、出湯部3
9の先端部側面には、その出口側を扉23で塞がれた出
滓口14が設けられている。
【0046】又、炉蓋5に接続して、溶解室2内で発生
する排ガスを排出するためのダクト41が設置されてい
る。ダクト41はダクト40(説明は後述)と合流し、
合流後はダクト21と連結し、このダクト21は、第1
の実施の形態で説明した排ガス処理設備25(但し、図
3から図7では排ガス処理設備25は省略してある)に
連結されており、溶解室2で発生する排ガスの排出流路
の1つを構成している。ダクト41には、ダクト41を
経由して排出される排ガス流量を調整するためのダンパ
ー43が取り付けられている。
【0047】又、予熱室3の上端にはダクト40が設け
られ、ダクト40の他端はダクト41と合流しており、
予熱室3及びダクト40を経由する排ガスの排出流路を
構成している。ダクト40には、ダクト40を経由して
排出される排ガス流量を調整するためのダンパー42が
取り付けられている。
【0048】このように、溶解室2で発生する高温の排
ガスは、予熱室3及びダクト40を経由して排出される
排出流路と、予熱室3を通らずにダクト41を経由して
直接排出される排出流路の2つの排出流路により排出さ
れる。各排出流路の流量はダンパー42及びダンパー4
3の開度により調整される。そして、予熱室3を通過す
る排ガスにより、予熱室3内に装入された冷鉄源16は
予熱される。
【0049】この直流式アーク溶解設備1Aにはバーナ
ー10が設置されていないが、その他は図2に示す直流
式アーク溶解設備1と同一であり、直流式アーク溶解設
備1と同一の部分は同一符号により示し、その説明は省
略する。
【0050】このように構成される直流式アーク溶解設
備1Aにおいて冷鉄源16を溶解するに際しては、溶解
室2内に所定量の溶湯17が溜まるまでは前述した第1
の実施の形態と同一方法で実施する。
【0051】そして、溶解室2内に所定量の溶湯17が
溜まったなら、図7に示すように溶解室2を出湯部39
側に傾動させてアーク加熱を続ける。この場合、出湯部
39は溶解室2への冷鉄源16の供給方向に対して直交
する方向に向くように溶解室2に突設されており、しか
も溶解室2の予熱室3が設けられた部分と出湯部39が
設けられた部分とは距離aだけ離間しており、その部分
の壁部により冷鉄源16が出湯部39に流出することが
阻止されるため、出湯部39へ流れ込んだ溶湯17と冷
鉄源16との接触面積を小さくすることができる。従っ
て、溶湯17の過熱度を高くすることができ、出湯され
る溶湯17の温度が低いという問題を回避することがで
きる。又、溶解室2を出湯部39側に傾動させると上部
電極7が図7の破線の位置になり、アーク19が有効に
供給されなくなるが、電極傾動装置(図示せず)により
上部電極7を傾動させることにより、図7の実線位置と
なり、アーク19を溶湯17に対して有効に供給するこ
とができる。
【0052】溶解室2を出湯部39側に傾動させて溶湯
17を昇温した以降は、前述した第1の実施の形態と同
一方法で実施する。即ち、溶湯17を出湯し、その後、
次ヒートの溶解を再開する。
【0053】この直流式アーク溶解設備1Aの場合に
は、冷鉄源16と溶湯17との接触面積を、前述した第
1の実施の形態の場合よりも更に少なくすることができ
るので、出湯時の溶湯過熱度を適正値に且つ正確に制御
することができ、溶湯温度の低下に起因して起こる出湯
口13の閉塞等の操業トラブルを防止した安定操業が可
能となる。
【0054】又、2つの排ガス排出流路を具備している
ので、溶解室2から発生する排ガス量が低下した場合に
は、主としてダクト41から排ガスを排出させることに
より、排ガス処理設備25の燃焼室26に流入する際の
排ガス温度を高く維持することができ、補助バーナー2
9を使用しなくても十分に900℃以上の高温まで排ガ
スを昇温することができる。
【0055】尚、上記説明では直流式のアーク溶解設備
について説明したが、本発明は直流式のアーク溶解設備
に限るものではなく、交流式アーク溶解設備においても
上記に沿って本発明を適用することができる。
【0056】
【実施例】[実施例1]図2に示すアーク溶解設備にお
ける実施例を以下に説明する。アーク溶解設備は、溶解
室が炉径7.2m、高さ4m、予熱室が幅3m、長さ5
m、高さ7m、炉容量が180トンである。
【0057】先ず、予熱室及び溶解室に約130トンの
常温の鉄スクラップを装入し、直径30インチの黒鉛製
上部電極を用い、最大600V、100kAの電源容量
でアークを形成し、溶解を開始した。通電直後、生石灰
と蛍石とを添加すると共に、酸素吹き込みランスから約
6000Nm3 /hrで酸素を吹き込んだ。
【0058】溶解室内に溶鋼が溜まってきた時点で、炭
材吹き込みランスからコークスを約80kg/minと
してスラグ中に吹き込み、スラグフォーミング操業に移
行し、上部電極の先端をフォーミングしたスラグ中に埋
没させた。この時の電圧をおよそ500Vに設定した。
そして、予熱室内の鉄スクラップが溶解室内での溶解に
伴って下降したならば、供給用バケットにて鉄スクラッ
プを予熱室に装入し、予熱室内の鉄スクラップ高さを一
定の高さに保持しながら溶解を続けた。
【0059】このように、溶解室内及び予熱室内に連続
して鉄スクラップが存在する状態で溶解を進行させ、溶
解室内に約180トンの溶鋼が生成した時点で、溶解室
内及び予熱室内に連続して鉄スクラップが存在する状態
を保ったまま、約60トンの溶鋼を溶解室に残し、1ヒ
ート分の120トンの溶鋼を取鍋に出湯した。出湯時の
溶鋼の炭素濃度は0.1mass%で、溶鋼温度は1560
℃であった。
【0060】出湯後、再通電すると共に酸素及びコーク
スの吹き込みを再開した。この時の電圧は500Vで再
通電した。再開後、予熱室内の鉄スクラップ高さを一定
の高さに保持しながら溶解を続け、再度溶解室内の溶鋼
が180トンになったら約60トンの溶鋼を残して12
0トンの溶鋼を出湯することを繰り返し実施した。
【0061】この溶解中、溶解室及び予熱室から排ガス
を採取して組成分析し、排ガスの酸化度を0.61以上
に制御しながら、二次燃焼用の空気を空気吹き込みラン
スから溶解室内に吹き込んだ。具体的には、空気吹き込
みランスから約400Nm3/minの空気を吹き込む
ことで、およそ、COガス:10%、CO2 ガス:25
%、酸素:4%、窒素:55%、水蒸気:6%、酸化
度:0.71の排ガス組成に制御することができた。そ
の結果、爆発等の排ガスの異常燃焼はなく、操業を安定
して継続することができた。
【0062】又、予熱室から排出される時の排ガス流量
は約550Nm3 /minとなり、燃焼室内で空気によ
り未燃焼のCOガスを燃焼させた。燃焼後の排ガス温度
は950℃で、その流量は約900Nm3 /minであ
った。次いで、冷却室内で200℃まで冷却し、その
後、合流点で約1000Nm3 /minの空気と混合し
て110℃程度まで低下させた。更に、溶鋼トン当たり
1kg程度の活性炭を吸着剤として排ガス中に供給し、
バグフィルターで除塵した。このようにして処理するこ
とで、煙突から排出される時の排ガス中のダイオキシン
濃度は0.01ngTEQ/Nm3 以下の極めて低い値
にすることができた。
【0063】又、上記のようにして溶解することで、吹
き込み酸素の原単位が33Nm3 /t、吹き込みコーク
スの原単位が26kg/tの条件で、出湯から出湯まで
の平均時間を約40分、電力原単位を220kWh/t
で溶解することができた。又、本実施例では溶解室に十
分な量の溶鋼を残留させて次回ヒートを再開したので、
次回ヒートの最初から酸素及びコークス吹き込みによる
スラグフォーミング操業が可能となり、電圧変動が少な
く、フリッカー量も少なく、又、アーク着熱効率が高く
なり、電源設備が小さくても十分な溶解速度を確保する
ことができた。更に、溶解初期の騒音も少なくすること
ができた。
【0064】又、比較として、上記と同様のアーク溶解
設備を用い、1ヒート毎に溶解室と予熱室とに120ト
ンの鉄スクラップを装入し、装入した全ての鉄スクラッ
プを溶解して出湯する溶解方法(従来方法)による操業
も実施した。
【0065】表1に、電力原単位、電源設備、操業中の
アーク騒音等の調査結果を、本発明方法による実施例と
従来例とで対比して示す。表1に示すように、酸素原単
位及びコークス原単位が同じ条件において、本発明の実
施例では従来例に比較して電力原単位を約30%削減す
ることができた。又、電源容量及びアーク騒音も約30
%小さくすることができた。
【0066】
【表1】
【0067】[実施例2]図3から図7に示すアーク溶
解設備における実施例を以下に説明する。アーク溶解設
備は、溶解室が長さ8.5m、幅3m、高さ4m、予熱
室が幅3m、長さ3m、高さ7m、炉容量が180トン
である。
【0068】先ず、溶解室内に約76トンの常温の鉄ス
クラップを装入し、次いで、約76トンの常温の鉄スク
ラップを予熱室に装入し、直径28インチの黒鉛製上部
電極により、最大600V、100kAの電源容量でア
ークを形成し、鉄スクラップを溶解した。又、酸素吹き
込みランスから6000Nm3 /hrの吹き込み流量で
酸素を吹き込んだ。溶解室内に溶鋼が溜まってきた時点
で、炭材吹き込みランスから80kg/minの吹き込
み速度でコークスをスラグ中に吹き込み、スラグフォー
ミング操業に移行し、黒鉛製上部電極の先端をフォーミ
ングスラグ中に埋没させた。この時の電圧は400Vに
設定した。
【0069】予熱室内の鉄スクラップが溶解室内での鉄
スクラップの溶解に伴って下降したら、鉄スクラップを
供給用バケットを介して予熱室内に装入し、予熱室内に
おける鉄スクラップの高さを一定の高さに保持しながら
溶解を続けた。この間、ダンパー42を開き、ダンパー
43を閉じて、溶解室から発生する排ガスを予熱室を通
して排気し、予熱室内の鉄スクラップを予熱しながら溶
解を続けた。
【0070】鉄スクラップが溶解室内及び予熱室内に連
続して存在する状態で溶解を進行させ、十分に溶鋼が生
成した段階で溶解室を出湯部側に15度傾動させ、溶鋼
と溶解室内の鉄スクラップとの接触面積を低減させて溶
鋼をアークにより加熱した。その際、溶解室を出湯部側
に15度傾動させるとほぼ同時に、酸素吹き込み流量を
2000Nm3 /hr、コークス吹き込み速度を25k
g/minに下げると共に、ダンパー42を閉じてダン
パー43を開き、溶解室から発生する排ガスを予熱室を
通さずに排気した。
【0071】このようにして溶鋼に十分な過熱度を持た
せた後、溶解室内に180トンの溶鋼が生成した段階
で、更に溶解室を傾動させ、60トンを溶解室内に残
し、1ヒート分の120トンの溶鋼を出湯口から取鍋に
出湯した。出湯時の溶鋼の温度は1575℃、溶鋼中の
C濃度は0.1mass%であった。
【0072】120トン出湯後、溶解室を元に戻すと共
に、ダンパー42を開き、ダンパー43を閉じて、酸素
吹き込みランスから6000Nm3 /hrの吹き込み流
量で酸素を吹き込むと共に、炭材吹き込みランスから8
0kg/minの吹き込み速度でコークスをスラグ中に
吹き込んでスラグフォーミング操業を行い、溶解室で発
生する排ガスにより予熱室内の鉄スクラップを予熱しつ
つ溶解し、十分に溶鋼が生成したら溶解室を再び傾動さ
せて溶鋼を昇温した。この昇温中、酸素吹き込み流量を
2000Nm3 /hr、コークス吹き込み速度を25k
g/minに下げると共に、ダンパー42を閉じてダン
パー43を開き、溶解室から発生する排ガスを予熱室を
通さずに排気した。そして、溶鋼に十分な過熱度を持た
せた後、再度溶解室内の溶鋼量が180トンになったら
120トン出湯することを繰り返し実施した。
【0073】この溶解及び昇温中、溶解室及び予熱室か
ら排ガスを採取して組成分析し、排ガスの酸化度を0.
61以上に制御しながら、二次燃焼用の空気を空気吹き
込みランスから溶解室内に吹き込んだ。具体的には、空
気吹き込みランスから、溶解期には約400Nm3 /m
in、昇温期には100〜150Nm3 /minの空気
を吹き込むことで、およそ、COガス:9%、CO2
ス:26%、酸素:4%、窒素:55%、水蒸気:6
%、酸化度:0.74の排ガス組成に制御することがで
きた。その結果、爆発等の排ガスの異常燃焼はなく、操
業を安定して継続することができた。
【0074】又、予熱室から排出される時の排ガス流量
は、溶解期には約550Nm3 /min、昇温期には約
160Nm3 /minとなり、燃焼室内で空気により未
燃焼のCOガスを燃焼させた。燃焼後の排ガス温度は9
50℃で、その流量は溶解期では約900Nm3 /mi
n、昇温期では約260Nm3 /minであった。次い
で、冷却室内で200℃まで冷却し、その後、合流点で
約1000Nm3 /minの空気と混合して110℃以
下まで低下させた。更に、溶鋼トン当たり1kg程度の
活性炭を吸着剤として排ガス中に供給し、バグフィルタ
ーで除塵した。このようにして処理することで、煙突か
ら排出される時の排ガス中のダイオキシン濃度は0.0
1ngTEQ/Nm3 以下の極めて低い値にすることが
できた。
【0075】又、酸素原単位が40Nm3 /tの条件
で、出湯から出湯までの時間は平均して45分となり、
190kWh/tの電力原単位で溶解することができ
た。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、高効率の溶解が可能
で、電力原単位を大幅に低減することができ、しかも、
ダイオキシン等の有害物質や白煙、悪臭の発生を防止
し、更に、溶解室及び予熱室での排ガスの爆発等の異常
燃焼を未然に防止した操業を安定して継続することがで
き、工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】排ガス中のCOガス濃度と酸素濃度に及ぼす侵
入空気量の影響を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す図であって、本発明
を適用したアーク溶解設備の縦断面概略図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す図であって、本
発明を適用したアーク溶解設備の他の例を示す斜視図で
ある。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図3のX−X’矢視による縦断面図である。
【図6】図3のY−Y’矢視による断面図で溶解室が水
平の状態を示す図である。
【図7】図3のY−Y’矢視による断面図で溶解室を出
湯部側に傾動させた状態を示す図である。
【符号の説明】 1 直流式アーク溶解設備 1A 直流式アーク溶解設備 2 溶解室 3 予熱室 6 炉底電極 7 上部電極 8 酸素吹き込みランス 9 炭材吹き込みランス 11 COガス気泡 12 空気吹き込みランス 13 出湯口 15 供給用バケット 16 冷鉄源 17 溶湯 18 溶融スラグ 19 アーク 25 排ガス処理設備 26 燃焼室 30 冷却室 32 合流点 34 吸着剤供給部 36 バグフィルター 37 ブロワー 38 煙突 39 出湯部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F27D 17/00 104 F27D 17/00 104G (72)発明者 山口 隆二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 牧 敏道 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐藤 靖浩 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中山 剛 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K056 AA05 BA01 BB08 CA02 DA02 DA33 DB03 DB05 4K063 AA04 AA12 BA02 CA01 CA02 GA02 GA09 GA35 GA39

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解室と、その上部に直結するシャフト
    型の予熱室とを具備し、溶解室で発生する排ガスを予熱
    室に導入して予熱室内の冷鉄源を予熱するアーク溶解設
    備を用いた冷鉄源の溶解方法において、冷鉄源が予熱室
    と溶解室とに連続して存在する状態を保つように冷鉄源
    を予熱室へ供給しながら、アーク加熱並びに炭材と酸素
    とを溶解室に供給することによって溶解室内の冷鉄源を
    溶解し、溶解室に所定量の溶湯が溜まった時点で溶解室
    及び予熱室に冷鉄源が連続して存在する状態で溶湯を出
    湯するにあたり、溶解室内及び予熱室内の排ガスの酸化
    度を0.61以上にすると共に、予熱室を通過した排ガ
    スに酸素含有ガスを供給して排ガス中の可燃性成分を燃
    焼させ、排ガス温度を所定温度以上とし、その後、排ガ
    スを急冷することを特徴とする冷鉄源の溶解方法。
  2. 【請求項2】 排ガスを急冷した後に、排ガスに吸着剤
    を供給することを特徴とする請求項1に記載の冷鉄源の
    溶解方法。
  3. 【請求項3】 前記酸素含有ガスによる燃焼後の排ガス
    温度を850℃以上とすることを特徴とする請求項1又
    は請求項2に記載の冷鉄源の溶解方法。
  4. 【請求項4】 溶解室内及び予熱室内の排ガスの酸化度
    を0.85以下とすることを特徴とする請求項1乃至請
    求項3の何れか1つに記載の冷鉄源の溶解方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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ITUD20120039A1 (it) * 2012-03-09 2013-09-10 Danieli Off Mecc Apparato e metodo per l'alimentazione e il preriscaldo di una carica metallica ad un forno fusorio

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