JP2002030073A - 4−(3−(4−モルホリノブチリルアミノ)フェニル)−2h−フタラジン−1−オン・メタンスルホン酸塩・1水和物およびその製造方法。 - Google Patents

4−(3−(4−モルホリノブチリルアミノ)フェニル)−2h−フタラジン−1−オン・メタンスルホン酸塩・1水和物およびその製造方法。

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JP2002030073A
JP2002030073A JP2000218593A JP2000218593A JP2002030073A JP 2002030073 A JP2002030073 A JP 2002030073A JP 2000218593 A JP2000218593 A JP 2000218593A JP 2000218593 A JP2000218593 A JP 2000218593A JP 2002030073 A JP2002030073 A JP 2002030073A
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phenyl
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Shigehiro Okuyama
繁廣 奥山
Atsushi Takeuchi
淳 竹内
Hisashi Takiko
恒 瀧弘
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Ono Pharmaceutical Co Ltd
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Ono Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 式(I)で示される4−(3−(4−モルホ
リノブチリルアミノ)フェニル)−2H−フタラジン−
1−オン・メタンスルホン酸塩・1水和物。 【化1】 【効果】 式(I)の化合物は、ポリ(ADP−リボー
ス)ポリメラーゼを阻害し、種々の虚血性疾患(脳、心
臓、消化管、骨格筋、網膜等)、炎症性疾患(炎症性腸
疾患、多発性脳硬化症、関節炎等)、神経変性疾患(錐
体外路系障害、アルツハイマー病、筋ジストロフィー
等)、糖尿病、ショック、頭部外傷、腎不全、痛覚過敏
等の予防および/または治療剤として、また抗レトロウ
イルス剤(HIV等)や抗癌療法の増感剤として有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は式(I)
【化4】 で示される4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オン・メタン
スルホン酸塩・1水和物(以下、単に「本発明化合物」
と呼ぶ場合、この化合物を意味する。)、その製造方法
およびそれを有効成分として含有する医薬に関する。
【0002】
【発明の背景】ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ
(以下、PARPと略す。)はDNA損傷に依存して活
性化される特異的な核内酵素であり、ニコチンアミドア
デニンジヌクレオチド(以下、NAD+と略す。)のA
DP−リボースをヒストン、DNA−ポリメラーゼ、D
NA−トポイソメラーゼ等のタンパク質に転移する反応
を司っている。
【0003】ところで、DNAがペルオキシナイトライ
ト(ONOO-)や活性酸素等により損傷を受けると、
PARPの異常活性化(ニックの入ったDNAがPAR
PのZnフィンガードメインに結合すると100倍にも
活性化される。)が起こり、電子伝達系に必須のNAD
+の枯渇が生じ、ATPが減少してエネルギー産生系の
破綻が起こることにより、細胞死が起こると考えられて
いる(PARP自殺仮説:Free Radic. Biol. Med., 2
1, 855 (1996) ; TIPS., 19, 287 (1998)参照)。よっ
て、PARP阻害剤は細胞死抑制剤として有用であると
考えられる。
【0004】また、PARPがインターロイキン−1β
変換酵素様プロテアーゼファミリーの一つであるカスパ
ーゼ−3の基質となって限定分解される(Cell., 81, 8
01 (1995)参照)ことからアポトーシスに関連している
とも言われている。
【0005】さらにPARP阻害剤として一般的に知ら
れている3−アミノベンズアミドやニコチンアミド等
は、イン・ビトロ(in vitro)およびイン・ビボ(in v
ivo)での検討やPARPノックアウトマウスを用いた
実験より、脳、心臓、消化管、骨格筋および網膜等の虚
血性疾患、関節炎、炎症性腸疾患および多発性脳硬化症
等の炎症性疾患、糖尿病、ショック、錐体外路系障害
(TIPS., 19, 287 (1998); Eur. J. Pharmacol., 350,
1 (1998)参照)、痛覚過敏(Pain., 72, 355 (1997)参
照)といった種々の病態モデルにおいて、細胞死抑制作
用ならびに病態の改善作用を有することが報告されてい
る。また、PARP阻害剤はHIVを含む抗レトロウイ
ルス剤(Biochem. Biophys. Res. Commun., 180, 504
(1991)参照)や抗癌療法の増感剤(Radiat. Res., 126,
367 (1991) ; Br. J. Cancer., 72,849 (1995)参照)
としても有用であることが報告されている。
【0006】以上のことから、PARP阻害活性を有す
る化合物は、種々の虚血性疾患(脳、心臓、消化管、骨
格筋、網膜等)、炎症性疾患(炎症性腸疾患、多発性脳
硬化症、関節炎等)、神経変性疾患(錐体外路系障害、
アルツハイマー病、筋ジストロフィー等)、糖尿病、シ
ョック、頭部外傷、腎不全、痛覚過敏等の予防および/
または治療剤として有用であることが期待され、また、
抗レトロウイルス剤(HIV等)や抗癌療法の増感剤と
しても有用であることが期待される。
【0007】本出願人はすでにPARP阻害剤として、
一般式(A)
【化5】 (式中、すべての記号は国際出願番号PCT/JP00
/00319の記載と同じ意味を表わす。)で示される
2H−フタラジン−1−オン誘導体およびそれらの非毒
性塩およびそれらを有効成分として含有するポリ(AD
P−リボース)ポリメラーゼ阻害剤に関する特許出願
(国際出願番号PCT/JP00/00319)を行な
っている。特に、同国際出願の実施例21(15)で
は、式(B)
【化6】 で示される4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オン・メタン
スルホン酸塩(以下、単に「対照化合物」と呼ぶ場合、
この化合物を意味する。)が記載されている。
【0008】
【発明の目的】本発明者らは、ポリ(ADP−リボー
ス)ポリメラーゼ阻害作用を有する化合物を見出すべく
鋭意研究を行なった結果、式(I)で示される4−(3
−(4−モルホリノブチリルアミノ)フェニル)−2H
−フタラジン−1−オン・メタンスルホン酸塩・1水和
物が目的を達成することを見出した。式(I)で示され
る4−(3−(4−モルホリノブチリルアミノ)フェニ
ル)−2H−フタラジン−1−オン・メタンスルホン酸
塩・1水和物は、先述した国際出願には具体的には記載
されておらず、全く新規な化合物であり、また、製剤的
にすぐれた化合物である。
【0009】
【発明の開示】本発明は、(1)式(I)
【化7】 で示される4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オン・メタン
スルホン酸塩・1水和物、(2)その製造方法および
(3)それを有効成分として含有する医薬に関する。
【0010】
【本発明化合物の製造方法】本発明化合物は、以下の方
法または後述する実施例に記載した方法で製造できる。
【0011】式(I)
【化8】 で示される本発明化合物は、式(II)
【化9】 で示される4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オンと、等モ
ル〜1.20モル量のメタンスルホン酸とを含水水溶性有機
溶媒(例えば、含水メタノール、含水エタノール、含水
プロパノールのような含水アルコール、含水アセトン、
含水メチルエチルケトン、含水ジオキサン等およびそれ
らの混合溶液(例えば、メタノール+エタノール+水の
混合溶液))中で反応させ、さらに場合により、先述し
た含水水溶性有機溶媒で再結晶することで製造できる。
式(II)で示される化合物とメタンスルホン酸との反
応後、先述した含水水溶性有機溶媒で再結晶することが
好ましい。
【0012】式(II)
【化10】 で示される4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オンは、先述
した国際出願(願番PCT/JP00/00319)に
記載した方法または以下の反応工程式1に従って製造で
きる。
【0013】
【化11】
【0014】反応工程式1中の各記号の意味は以下の通
りである。 THF:テトラヒドロフラン、 N(Et):トリエチルアミン、 X:ハロゲン原子。
【0015】式(IV)で示される化合物は、公知の方法
により容易に合成できる化合物である。
【0016】本明細書中の各反応において、反応生成物
は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下におけ
る蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた
高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィ
ー、あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再
結晶等の方法により精製することができる。精製は各反
応ごとに行ってもよいし、いくつかの反応終了後に行っ
てもよい。
【0017】
【同定試験】本発明化合物である4−(3−(4−モル
ホリノブチリルアミノ)フェニル)−2H−フタラジン
−1−オン・メタンスルホン酸塩・1水和物(後述する
実施例1の方法で製造した。)と先の国際出願に記載さ
れている4−(3−(4−モルホリノブチリルアミノ)
フェニル)−2H−フタラジン−1−オン・メタンスル
ホン酸塩(対照化合物:国際出願番号PCT/JP00
/00319の実施例21(15)に記載の方法で製造
した。)とは互いに異なる化合物であることが、以下の
同定試験の結果(粉末X線回析データ、IRデータ、T
G−DSC(熱重量、示差走査熱量測定)データ、単結
晶X線構造解析データ)から確認できた。
【0018】1)粉末X線回析データ 本発明化合物と対照化合物のCu Kα特性X線を使用して
得られる粉末X線回析スペクトルを図1および図2に示
す。また、各化合物の粉末X線回析スペクトルにおい
て、格子間隔と相対強度(トップ12点)を表1に示
す。 [測定条件] 装置:理学電機製 RINT-1400型粉末X線回析装置 ターゲット:Cu フィルター:使用しない 電圧:40KV 電流:20mA スキャンスピード:2.0°/min
【0019】
【表1】
【0020】図1、図2(表1)から、両者は明らかに
異なる結晶構造を有する化合物であることがわかる。
【0021】2)IRデータ 本発明化合物(太い矢印)と対照化合物(細い矢印)の
IR測定データを同時に、一連の図3、図4、図5に示
す。特に、図4中の1000-1100cm-1付近の吸収ピーク
が異なっており、両者は明らかに異なる化合物であるこ
とがわかる。(リアクタIRを用いて測定した。両化合
物では、吸収強度はかなり異なるが、比較のため同一に
してある。) [測定条件] 装置:ASI APPLIED SYSTEMS製 REACT IR1000(商品
名) 分解能:2cm-1 スキャン回数:128回
【0022】3)TG−DSC測定データ 本発明化合物と対照化合物のTG−DSC測定の熱重量
分析チャートをそれぞれ、図6および図7に示す。 [測定条件] 装置:Seiko Instruments Inc.製 TG/DTA 6200型熱分
解装置 試料量:約4.2mg 試料セル:アルミニウムオープンセル 窒素ガス流量:100ml/min 昇温速度:10℃/min
【0023】DSC(示差走査熱量測定)データでは両
者は明らかに異なることがわかる。図6(本発明化合
物)では、98℃付近および157℃付近でシャープな
熱吸収あり、170℃付近で発熱、230℃付近で熱吸
収がある。一方、図7(対照化合物)では、230℃付
近にシャープな熱吸収があるのみである。本発明化合物
における98℃付近の熱吸収は、TG(熱重量測定)分
析から3.8%の重量減少があることから1水和物の脱水
に伴う熱吸収と考えられる。対照化合物ではそのような
重量変化が認められなかった。
【0024】4)単結晶X線構造解析データ 各化合物の単結晶X線構造解析データを、図8および図
9(本発明化合物)、図10および図11(対照化合
物)に示す。各々の結晶学的データは次の通りである。本発明化合物(図9) 格子乗数:a=31.92(1)Å,b=20.850(8)Å,c=7.186(2)
Å,V=4781(2)Å, Z=8 空間群: Aba2対照化合物(図11) 格子乗数:a=11.089(9)Å, b=34.718(7)Å, c=6.791(9)
Å, β=110.74(8)°V=2445(4)Å, Z=4 空間群: Cc
【0025】これらのデータから両者は明らかに異なる
結晶構造をもつことがわかる。また、本発明化合物(図
8)では、4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オンは、水を
介してメタンスルホン酸と塩形成をしているが、対照化
合物(図10)ではメタンスルホン酸と直接塩形成して
いる。
【0026】
【薬理活性】本発明化合物である4−(3−(4−モル
ホリノブチリルアミノ)フェニル)−2H−フタラジン
−1−オン・メタンスルホン酸塩・1水和物がPARP
阻害活性を有することは、以下の実験によって証明され
た。
【0027】1)イン・ビトロ(in vitro)酵素アッセ
[実験方法]96穴のプレート上(室温)で以下の操作
を行なった。すなわち50mMのトリス−塩酸緩衝液
(pH8.0、和光純薬社)、10mMの塩化マグネシウ
ム溶液、5mMのジチオスレイトール(シグマ社)、0.
5mg/mlの損傷DNA溶液各10μlを加えて80
μlとした。さらに既知濃度の本発明化合物を10μl
加え、その後0.01U/μlのPARP(トレビゲン社)
を10μl添加することで反応を開始した。10分後、
20%トリクロロ酢酸100μlを加えて反応を停止
し、反応生成物であるポリADP−リボースをガラスフ
ィルター(GF/C、パッカード社)に吸着させ、その
放射活性をトップカウント(パッカード社)で測定し
た。本発明化合物の阻害活性は対照(精製水)の値を1
00%として50%阻害濃度を算出した。本発明化合物
のPARPに対するIC50値は0.73μMであった。
【0028】2)虚血再灌流障害モデル(脳および心
臓) 既報の方法に準じて中大脳動脈(Jpn. J. Stroke., 8,
1 (1986)参照)および冠動脈(Eur. J. Pharmacol., 27
0, 45 (1994)参照)の虚血再灌流障害モデルを作成し
て、本発明化合物の薬効評価を行なうことができる。
【0029】
【毒性】本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、
医薬として使用するために十分安全であると考えられ
る。
【0030】
【医薬品への適用】本発明化合物は、PARP阻害活性
を有することで、種々の虚血性疾患(脳、心臓、消化
管、骨格筋、網膜等)、炎症性疾患(炎症性腸疾患、多
発性脳硬化症、関節炎等)、神経変性疾患(錐体外路系
障害、アルツハイマー病、筋ジストロフィー等)、糖尿
病、ショック、頭部外傷、腎不全、痛覚過敏等の予防お
よび/または治療剤として有用であり、また、抗レトロ
ウイルス剤(HIV等)や抗癌療法の増感剤としても有
用である。
【0031】本発明化合物を上記の目的で用いるには、
通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で
投与される。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、
投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人
あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1
日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あた
り、1回につき、0.1mgから100mgの範囲で、1
日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)
されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈
内に持続投与される。もちろん前記したように、投与量
は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より
少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要
な場合もある。
【0032】本発明化合物を投与する際には、経口投与
のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与
のための注射剤、外用剤、坐剤等として用いられる。経
口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセ
ル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハ
ードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。このよ
うな内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の
活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マ
ンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン
等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビ
ニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑
沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補
助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合さ
れ、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要に
よりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
フタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の
層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収
されうる物質のカプセルも包含される。
【0033】経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に
許容される水剤、懸濁剤・乳剤、シロップ剤、エリキシ
ル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまた
はそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤
(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、
懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸
濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩
衝剤等を含有していてもよい。
【0034】非経口投与のための注射剤としては、溶
液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁し
て用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつま
たはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化
させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、
生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、エタノールのようなアルコール類等お
よびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射
剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギ
ン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化
剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいて
もよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作
法によって製造、調製される。また無菌の固形剤、例え
ば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌
の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用すること
もできる。
【0035】非経口投与のためのその他の製剤として
は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法によ
り処方される外用液剤、軟膏剤、塗布剤、吸入剤、スプ
レー剤、坐剤および膣内投与のためのペッサリー等が含
まれる。スプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外
に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与え
るような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナト
リウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していて
もよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,
868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されてい
る。
【0036】
【実施例】以下、参考例および実施例によって本発明を
詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLC
に示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒ま
たは展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。NMRの
箇所に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した
溶媒を示している。
【0037】参考例1 4−(3−(4−クロロブチリルアミノ)フェニル)−
2H−フタラジン−1−オン
【化12】 炭酸ナトリウムカリウム(1328g)の水(9.1L)
溶液にTHF(18.2L)を加え、5分間攪拌した。混合
液に、4−(3−アミノフェニル)−2H−フタラジン
−1−オン(4300g)を加え、15分間攪拌し、0
〜5℃まで冷却した。混合懸濁液を攪拌しながら、4−
クロロブチリルクロライド(2556g)のTHF(4
L)溶液を5℃以下で滴下し、−3〜+5℃で30分間
攪拌した。反応終了後、反応液を攪拌しながら、0.1モ
ル塩酸(塩酸362mL、氷水43.1Lより調整)を5℃
以下で加え、15分間攪拌した。混合液を攪拌しなが
ら、5℃以下で、氷水(16.9L)を加え、15分間攪拌
し、結晶を析出させ、水(20L)で洗い込みながら遠
心分離した。得られた結晶を水(60L)で洗浄し、減
圧乾燥して以下の物性値を有する表題化合物(5912
g)を得た。 TLC:Rf 0.22(メタノール:クロロホルム=1:
20); NMR(DMSO-d6):δ 12.84 (s, 1H), 10.16 (s, 1
H), 8.35-8.32 (m, 1H),7.91-7.86 (m, 3H), 7.73-7.68
(m, 2H), 7.46 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.26 -7.23 (m,
1H), 3.69 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.52-2.48 (m, 2H),
2.05-2.00 (m, 2H)。
【0038】参考例2 4−(3−(4−モルホリノブチリルアミノ)フェニ
ル)−2H−フタラジン−1−オン
【化13】 アルゴン雰囲気下、モルホリン(12.86L)に参考例1
で合成した化合物(5600g)を加え、70℃で1時
間半攪拌した。反応終了後、反応液を30℃以下に冷却
し、トリエチルアミン(1740g)を加え、15分間
攪拌した。混合液に水(11.58L)を50℃以下で加
え、さらにアセトニトリル(7.71L)を加え、75〜8
5℃に昇温し、1時間還流させた。反応液を10〜15
℃まで冷却し、30分間攪拌し、結晶を析出させ、水
(1.6L)+アセトニトリル(1.6L)の混合溶液で洗い
込みながら遠心分離した。得られた結晶を水(8L)+
アセトニトリル(8L)の混合溶液、水(60L)で順
次、洗浄し、減圧乾燥して以下の物性値を有する表題化
合物(5826g)を得た。 TLC:Rf 0.15(メタノール:クロロホルム=1:
10); NMR(DMSO-d6):δ 12.84 (s, 1H), 10.04 (s, 1
H), 8.35-8.29 (m, 1H),7.93-7.86 (m, 3H), 7.75-7.69
(m, 2H), 7.45 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.24-7.21 (m,
1H), 3.53 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 2.37-2.26 (m, 8H),
1.76-1.71 (m, 2H)。
【0039】実施例1 4−(3−(4−モルホリノブチリルアミノ)フェニ
ル)−2H−フタラジン−1−オン・メタンスルホン酸
塩・1水和物
【化14】 溶解釜に仕込んだメタノール+エタノール+精製水の混
合溶液(メタノール(25.36L)、エタノール(76.09
L)および精製水(3.55L)より調整した混合溶液(以
下、「混合溶液−A」と呼ぶ。)のうち91.5Lを使用)
に参考例2で製造した化合物(5000g)を加えた。混
合液を撹拌しながら65℃まで昇温し、溶解確認後、4
0℃まで冷却した。メタンスルホン酸(1249g)を
混合溶液−A(7.5L)に溶解し、得られた溶液を先の
反応混合液に45℃以下で滴下した。滴下終了後、30
℃まで冷却し、結晶を析出させ、15分間攪拌した。反
応混合液を65℃まで昇温し、溶解したことを確認した
後、フィルターでろ過し、ろ液を晶析釜に入れた。混合
溶液−A(5L)で溶解釜およびフィルターを洗浄し、
洗浄液を晶析釜に入れた。晶析釜の混合液を30〜35
℃まで冷却し、結晶を析出させ、15分間攪拌し、さら
に45〜50℃で30分間攪拌した。混合液を0〜5℃
まで冷却し、結晶を析出させ、30分間攪拌した。晶析
液を遠心分離し、得られた結晶をメタノール(3.6L)
+エタノール(10.9L)+精製水(0.5L)の混合溶
液、エタノール(10Lおよび5L)で順次洗浄し、減
圧乾燥して以下の物性値を有する本発明化合物(539
2g)を得た。 TLC:Rf 0.52(酢酸エチル:エタノール:28%ア
ンモニア水=8:2:1); NMR(DMSO-d6):δ 12.86 (s, 1H), 10.24 (s, 1
H), 9.67 (br, 1H), 9.00-8.27 (m, 1H), 7.95-7.80
(m, 3H), 7.78-7.65 (m, 2H), 7.47 (t, J = 8.0 Hz, 1
H), 7.25 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.10-3.85 (m, 2H),
3.80-3.55 (m, 1H), 3.55-3.30 (m, 2H), 3.23-2.93
(m, 4H), 2.50-2.40 (m, 2H), 2.08-1.85 (m, 2H)。
【0040】
【製剤例】製剤例1 以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中
に50mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。 ・4−(3−(4−モルホリノブチリルアミノ)フェニル)−2H−フタラジン −1−オン・メタンスルホン酸塩・1水和物 …… 5.0g ・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) …… 0.2g ・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) …… 0.1g ・微結晶セルロース …… 4.7g
【0041】製剤例2 以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法によ
り滅菌し、5mlずつアンプルに充填し、常法により凍
結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有する
アンプル100本を得た。 ・4−(3−(4−モルホリノブチリルアミノ)フェニル)−2H−フタラジン −1−オン・メタンスルホン酸塩・1水和物 …… 2.0g ・マンニトール …… 20g ・蒸留水 …… 500ml
【図面の簡単な説明】
【図1】 4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オン・メタン
スルホン酸塩・1水和物(本発明化合物)の粉末X線回
析スペクトルを示す。
【図2】 4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オン・メタン
スルホン酸塩(対照化合物)の粉末X線回析スペクトル
を示す。
【図3】 本発明化合物(太い矢印)および対照化合物
(細い矢印)のIRデータを示す。
【図4】 本発明化合物(太い矢印)および対照化合物
(細い矢印)のIRデータを示す。
【図5】 本発明化合物(太い矢印)および対照化合物
(細い矢印)のIRデータを示す。
【図6】 本発明化合物のTG−DSC測定の熱重量分
析チャートを示す。
【図7】 対照化合物のTG−DSC測定の熱重量分析
チャートを示す。
【図8】 本発明化合物の単結晶X線構造解析データを
示す。
【図9】 本発明化合物の単結晶X線構造解析データを
示す。
【図10】 対照化合物の単結晶X線構造解析データを
示す。
【図11】 対照化合物の単結晶X線構造解析データを
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/00 A61P 25/00 29/00 29/00 31/18 31/18 35/00 35/00 43/00 111 43/00 111 // A61K 31/5377 A61K 31/5377 Fターム(参考) 4C086 AA02 AA04 BC73 GA07 GA14 GA15 NA02 NA03 ZA01 ZA36 ZA81 ZB11 ZB26 ZB33 ZC20 ZC35

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 で示される4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
    ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オン・メタン
    スルホン酸塩・1水和物。
  2. 【請求項2】 式(II) 【化2】 で示される4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
    ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オンをメタン
    スルホン酸とを含水水溶性有機溶媒中で反応させ、さら
    に場合により、先述した含水水溶性有機溶媒で再結晶す
    ることを特徴とする式(I) 【化3】 で示される4−(3−(4−モルホリノブチリルアミ
    ノ)フェニル)−2H−フタラジン−1−オン・メタン
    スルホン酸塩・1水和物の製造方法。
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