JP2002028708A - 鋼板、厚板の製造法および厚板の製造装置 - Google Patents

鋼板、厚板の製造法および厚板の製造装置

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JP2002028708A
JP2002028708A JP2000214834A JP2000214834A JP2002028708A JP 2002028708 A JP2002028708 A JP 2002028708A JP 2000214834 A JP2000214834 A JP 2000214834A JP 2000214834 A JP2000214834 A JP 2000214834A JP 2002028708 A JP2002028708 A JP 2002028708A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な板クラウンおよび板平坦度を有する厚
板を製造することが難しい。 【解決手段】 圧延の全パスそれぞれ毎に求めた第1の
ロールクラウン推定値を用いて予めパススケジュールを
設定し、このパススケジュールにしたがって1パスまた
は2パス以上の圧延を行った後、これ以降の圧延の少な
くとも1パスについて、第1のロールクラウン推定値と
は異なる第2のロールクラウン推定値を求め、第2のロ
ールクラウン推定値を用いてパススケジュールを設定変
更し、設定変更されたパススケジュールにしたがって圧
延を行うことによって、目標の板クラウンを有する厚板
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の製造法、厚
板の製造法および厚板の製造装置に関し、例えば、良好
な板形状を有する鋼板を製造するための鋼板の製造法、
厚板の製造法および厚板の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】厚板圧延機を用いた複数パスのリバース
圧延によって行われる厚板圧延に際して、製造される厚
板の板クラウンや板平坦度等といった板形状を高精度で
制御するために、周知のように、圧延ロールの母線形状
(ロールプロフィール)および板クラウン比率一定則等
に基づき、パススケジュール(各パス毎の設定板厚すな
わち圧下量や設定圧延荷重等)を推定演算により圧延前
に予め設定する。そして、設定されたこのパススケジュ
ールにしたがって圧延が行われる。
【0003】しかし、現実には、パススケジュールの設
定に用いたロールプロフィールや被圧延材の硬度の予測
値が実際の値(真の値)からずれてしまい、圧延荷重設
定値と実際の圧延荷重との誤差やロールプロフィールの
計算誤差等を生じる。このため、設定値通りの圧延荷重
で圧延を行うことは難しく、設定したパススケジュール
にしたがって圧延を行おうとしても、所望の板クラウン
および板平坦度を有する厚板を製造できないことがあ
る。
【0004】例えば、厚板圧延機を用いて1パスの圧延
を行った後における板クラウンCR OUT は、一般的に
(1)式により求められる。
【0005】
【数1】 ここで、(1)式におけるαP 、αCW、αCB、αF 、α
CRI は、いずれも、圧延サイズ等の圧延条件によって決
定される定数であり、Pは圧延荷重であり、R CWはワー
クロールクラウンであり、RCBはバックアップロールク
ラウンであり、Fはロールベンディング力であり、さら
に、CRINは入側(圧延前)板クラウンである。
【0006】また、板平坦度yは、(2)式により求め
られる圧延前後の板クラウン比率変化によって決定され
る。このため、厚板の板形状の制御精度を向上するに
は、パススケジュールの設定の際にできるだけ正確に板
クラウンを予測する必要がある。
【0007】
【数2】 ここで、(2)式におけるHは入側板厚であり、hは出
側板厚であり、さらに、αCRy は板クラウン比率変化を
板平坦度に変換する係数であって圧延サイズ等の条件に
より決定される定数である。
【0008】このため、(1)式および(2)式より、
圧延後の板クラウンCROUT および板平坦度yを正確に
予測するには、上記αP などの各定数および圧延荷重
P、ワークロールクラウンRCW、バックアップロールク
ラウンRCB、ロールベンディング力F、入側板クラウン
CRIN、さらには入出側板厚H、hの演算要素の値を正
確に求める必要がある。
【0009】これらの演算要素のうちで、ロールベンデ
ィング力Fについては、一般に所望の板形状を得る目的
で圧延前に初期設定し、ロールベンディング装置を操作
するものであり、板厚H、hについては、板厚制御によ
り所望の設定板厚を得るべく制御されるものである。し
たがって、上記(1)式において、圧延状況によって変
動し得るのは、αP などの各定数、圧延荷重P、ワーク
ロールクラウンRCW、バックアップロールクラウンRCB
さらには入側板クラウンCRINである。
【0010】ここで、αP などの各定数値については、
実験やFEM解析等により、圧延条件毎に適宜求めるこ
とができる。また、圧延荷重Pについては、一般的に
(3)式により算出される。
【0011】
【数3】 ここで、K0 は変形抵抗であり、ld は接触弧長であ
り、QP は圧下力関数であり、Wは板幅であり、さら
に、K0 、ld 、QP は、一般的に(4)式〜(6)式
として表現される。
【0012】
【数4】
【0013】
【数5】
【0014】
【数6】 ここで、(4)〜(6)式におけるTは圧延材温度であ
り、εは圧延材歪みであり、ε’は圧延材歪み速度であ
り、Ceqは圧延材の成分で決まる値であり、さらに、
R’は扁平ロール径である。
【0015】このように、(3)〜(6)式を用いて圧
延前に圧延荷重Pを予測演算することは可能であるもの
の、実際には、(4)式により演算される変形抵抗K0
の推定値が実際の値と一致しないことから、圧延荷重P
の予測演算値と実際の値とを完全に一致させることは困
難である。このため、(7)式に示すように、(3)式
の右辺に荷重補正係数Zを乗じることによって、圧延荷
重Pの実測荷重と計算荷重とを一致させる補正が行われ
る。この荷重補正係数Zは、例えば予測演算の前までに
行われた圧延での圧延荷重予測値と実測値との比から決
定されるものである。
【0016】
【数7】 例えば特開昭60−184412号公報には、(1)〜
(7)式を用いて、圧延ロールの摩耗や熱膨張等の計算
値に基づいて算出された圧延ロールのロールプロフィー
ルと、設定されたパススケジュール初期値とに基づいて
圧延終了時の板クラウンCROUT を予測演算することに
よりパススケジュール初期値を修正し、修正されたパス
スケジュール初期値に基づき圧延を開始し、圧延途中パ
スにおける板クラウンの実測値とパススケジュール初期
値とに基づいて圧延終了時の板クラウンCROUT を再度
予測演算し、最終的に所望の板クラウンCROUT および
板平坦度yが得られるように、パススケジュール初期値
を修正して設定することによって、板形状の制御精度を
向上して所望の板クラウンCROUT および板平坦度yを
有する厚板を製造する発明が、開示されている。すなわ
ち、この発明は、圧延途中パスにおいて被圧延材の板ク
ラウンを測定し、この板クラウンの測定値に基づいて圧
延終了時の板クラウンCROUT および板平坦度yを予測
演算し、板クラウンCROUT および板平坦度yそれぞれ
の予測値がいずれも実測値に一致するようにパススケジ
ュール初期値を修正するものである。
【0017】一方、特開平5−269516号公報に
は、厚板圧延の途中パスにて圧延荷重Pの予測値の誤差
を求めて次パスの圧延荷重Pの設定値を補正するととも
に、補正前後の圧延荷重Pの変化量から発生し得る板ク
ラウンCROUT の変化量を算出し、この板クラウンCR
OUT の変化量を予め設定された設定板クラウン変化量に
一致させるロールベンディング力Fを決定し、このロー
ルベンディング力Fに基づきロールベンディング装置を
制御する発明が、開示されている。すなわち、この発明
は、圧延途中パスにて、予め設定されたパススケジュー
ル計算時の予測圧延荷重Pを算出するとともに、前パス
までの圧延実績に基づいて決定される次パス適応制御予
測荷重を算出し、これら両者の関係から板クラウン変化
量を算出し、この板クラウン変化量を予め設定された板
クラウン変化量と比較することにより、荷重予測誤差に
より生じる板クラウン変化を補償すべく、ロールベンデ
ィング力Fを修正して決定するものである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】特開昭60−1844
12号公報に示された方法は、圧延途中パスでの板クラ
ウン実測値に基づいて設定したパススケジュールを修正
するものである。しかし、圧延途中パスにおいて板クラ
ウン実測値が板クラウン予測値に一致しない原因とし
て、(i)圧延ロールの摩耗や熱膨張等の計算誤差によ
ってロールプロフィールの予測値が実測値に一致しない
こと、および(ii)被圧延材の硬度予測誤差などによ
りパススケジュールの設定時の圧延荷重Pの予測値と実
測値とが異なることの2つに原因がある。このため、圧
延前に予測演算したロールプロフィールに基づいてそれ
以降のパスでの板クラウンを予測演算しても、実際のワ
ークロールクラウンRCWやバックアップロールクラウン
CBが予測値と異なり、ロールクラウンRCW、RCBに誤
差がある場合には、板クラウン予測誤差が生じるために
制御精度の低下は否めない。すなわち、この発明では、
前述したように、圧延状況によって変化する入側クラウ
ンCRINは実測値を用いているが、ロールクラウン
CW、RCBの計算誤差分を考慮していないため、所望の
板クラウンCROUT および板平坦度yを得ることができ
ない。
【0019】また、圧延途中パスまでの圧延荷重Pの予
測誤差が生じる原因は、圧延前に予測した被圧延材の硬
度が実際とは異なるためであり、それ以降のパスにおい
ても同様に圧延荷重Pの予測誤差が生じてしまう。した
がって、圧延途中パスで測定された板クラウン値を入側
板クラウンCRINとして用いてそれ以降の各パスでの板
クラウンを予測演算しても、各パスにおける圧延荷重P
の予測誤差がロール撓み量等に関する計算誤差を引き起
こすため、正確な板クラウン予測を行うことができず、
制御精度が低下する。
【0020】一方、特開平5−269516号公報によ
り開示された発明によれば、圧延途中パス以降の圧延荷
重Pの予測値の誤差分を補正するため、各パスにおける
ロール撓み量等に関する計算誤差を解消できる。しか
し、圧延途中パスまでの圧延荷重Pの予測誤差が大き
く、補正前後の圧延荷重Pの変化量が大きい場合には、
板クラウン変化量を補償するためのロールベンディング
力も大きく設定せざるを得なくなる。このため、設備
上、動作範囲に限界があるロールベンディング装置では
制御量が不足しがちであり、所望の板クラウンCROUT
および板平坦度yが得られず、制御精度が低い。
【0021】本発明は、従来の技術が有するこのような
課題に鑑みてなされたものであり、例えば、良好な板ク
ラウンおよび板平坦度を有する厚板を製造することがで
きる、鋼板の製造法、厚板の製造法および厚板の製造装
置を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下に列記する
新規かつ重要な知見を得た。
【0023】圧延途中パスにおける板クラウンの実測
値と、上記(1)式に基づいてロールクラウン推定値を
用いてこのパスまでの板クラウンの予測値とを比較し、
実測値と予測値とが等しくなるように、予測値の演算に
用いるロールクラウン推定値を変更して設定して決定す
ることにより、極めて意外にも、圧延終了時における板
クラウン予測誤差が飛躍的に低減され、さらに、圧延途
中パス以降のパススケジュールやロールベンディング力
の設定値を微調整することにより、板形状の制御精度を
飛躍的に向上できること。
【0024】例えば、板クラウン検出器の設置場所等
が設備上の都合で確保できないために圧延途中パスでの
板クラウンの実測値が得られない場合には、実測した板
平坦度を上記(2)式に代入することにより得られる板
クラウンの演算値を、実測値の代わりに用いることによ
っても、項と同様の効果が得られること。
【0025】圧延途中パスにて圧延材の温度を測定
し、この温度測定値を用いて、このパス以降の圧延材温
度を予測演算し、(4)〜(7)式を用いて圧延荷重を
予測演算することにより、圧延荷重の予測誤差をさらに
抑制することができるため、板形状制御精度をさらに向
上できること。
【0026】そこで、本発明者はさらに検討を重ねた結
果、厚板圧延での板形状制御において、圧延途中パスに
おいて板クラウンを実測することによりロールクラウン
推定値を修正し、修正したロールクラウン推定値に基づ
いてこのパス以降のパススケジュールを、修正設定する
ことにより、所望の板クラウンおよび板平坦度を有する
厚板を得ることができ、上記課題を解決できることを知
見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0027】本発明は、圧延の全パスそれぞれ毎に求め
た第1のロールクラウン推定値を用いて予めパススケジ
ュールを設定し、このパススケジュールにしたがって1
パスまたは2パス以上の圧延を行った後、この圧延を行
われた被圧延材の状況に基づいて、この圧延以降の圧延
の少なくとも1パスについて、第1のロールクラウン推
定値とは異なる第2のロールクラウン推定値を求め、第
2のロールクラウン推定値を用いてパススケジュールを
設定変更し、設定変更されたパススケジュールにしたが
って圧延以降の圧延を行うことによって、目標の板クラ
ウンおよび板平坦度のうちの少なくとも一方を有する鋼
板を製造することを特徴とする鋼板の製造法である。
【0028】また、本発明は、複数パスの圧延の各パス
毎に求めた第1のロールクラウン推定値を用いて予め設
定されたパススケジュールにしたがって、被圧延材に複
数パスの圧延を行うことにより鋼板を製造するに際し、
複数パスの圧延のうちの2パス目以降の全部または一部
の圧延に際して、この圧延を行われる前の被圧延材の状
況に基づいて、この圧延以降の圧延の少なくとも1パス
について、第1のロールクラウン推定値とは異なる第2
のロールクラウン推定値を求め、第2のロールクラウン
推定値を用いてパススケジュールを設定変更し、設定変
更されたパススケジュールにしたがってこの圧延以降の
圧延を行うことによって、目標の板クラウンおよび板平
坦度のうちの少なくとも一方を有する鋼板を製造するこ
とを特徴とする鋼板の製造法である。
【0029】これらの本発明にかかる鋼板の製造法で
は、被圧延材の状況が、被圧延材の板クラウンまたは板
平坦度の測定値であることが例示される。また、これら
の本発明にかかる鋼板の製造法では、第1のロールクラ
ウン推定値とともに第1の圧延荷重推定値を用いてパス
スケジュールを設定するとともに、第2のロールクラウ
ン推定値とともに第2の圧延荷重推定値を用いて、パス
スケジュールを設定変更することが、望ましい。
【0030】また、これらの本発明にかかる鋼板の製造
法では、鋼板が厚板であることが、例示される。本発明
において、「厚板」とは、厚さが3mm以上、幅が90
0mm以上、長さが1800mm以上であって、JIS
に規定される一般構造用、溶接用、ボイラ用等に供され
る鋼板を意味しており、厚板圧延機により複数パスのリ
バース圧延を行われて製造される鋼板である。
【0031】別の面からは、本発明は、予め設定された
パススケジュールに基づいて複数パスのリバース圧延を
行うことにより厚板を製造する方法であって、複数パス
の圧延のうちの途中パスの圧延に際して、この圧延以前
のパスにおける圧延荷重を測定するとともに、この圧延
を行われる被圧延材の板クラウンおよび板平坦度のうち
の少なくも一方を測定し、測定した圧延荷重と板クラウ
ンおよび板平坦度のうちの少なくとも一方とに基づい
て、得られる厚板の板クラウンおよび板平坦度のうちの
少なくとも一方が目標値に近づくように制御することを
特徴とする厚板の製造法である。
【0032】また、本発明は、予め設定されたパススケ
ジュールに基づいて複数パスのリバース圧延を行うこと
により厚板を製造する方法であって、複数パスの圧延の
うちの途中パスの圧延に際して、この圧延以前のパスに
おける圧延荷重を測定するとともに、この圧延を行われ
る被圧延材の板クラウンおよび板平坦度のうちの少なく
とも一方を測定し、この測定値と、パススケジュールの
設定計算に用いるモデル式により算出される圧延荷重演
算値と、厚板の板クラウン演算値および板平坦度演算値
のうちの少なくとも一方に基づき、途中パス以降の圧延
のパススケジュールを修正することにより、得られる厚
板の板クラウンおよび板平坦度のうちの少なくとも一方
が目標値に近づくように制御することを特徴とする厚板
の製造法である。
【0033】これらの本発明にかかる厚板の製造法で
は、さらに、圧延のパススケジュールとともに、この圧
延を行う圧延機に付設された、例えば板形状制御アクチ
ュエータ等の板形状制御手段の操作量を修正することが
望ましい。
【0034】また、これらの本発明にかかる厚板の製造
法は、パススケジュールの修正演算に、被圧延材の温度
の実測値を用いることが望ましい。さらに別の面から
は、本発明は、リバース圧延を行うとともに、その入側
および出側のうちの少なくとも一方に、板クラウン検出
器および板平坦度検出器のうちの少なくとも一方を備え
ることを特徴とする厚板圧延機である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、
以降の説明では、本発明を厚板の圧延に適用した場合を
例にとる。
【0036】図1は、本実施形態において用いる厚板圧
延機2の構成例を示す説明図である。この厚板圧延機2
は、可逆式の圧延機であり、圧延材1は同図左方(前面
側)からテーブルローラ15により圧延機2に送り込ま
れて、圧延が開始される。そして、圧延を行われた圧延
材1は、圧延機2の右方(後面側)へ抜けていく。さら
に、次の圧延パスでは、圧延材1は圧延機2の後面側か
らテーブルローラ15により圧延機2に送り込まれて圧
延が開始され、圧延を行われた後に圧延機2の前面側に
抜けていく。以下、この圧延パスを複数回繰り返して行
うことにより、圧延材1は所定の仕上板厚になるまで圧
下される。
【0037】圧延機2は、本実施形態では、一対の上ワ
ークロール3および下ワークロール4の上下に、それぞ
れ上バックアップロール5、下バックアップロール6を
備える4重式圧延機である。なお、圧延機2は4重式に
は限定されず、4重式以外の多重式圧延機であってもよ
い。
【0038】また、圧延機2には、上ワークロール3の
ロールベンディング力の設定制御および修正制御をいず
れも行うことができる上ワークロールベンディング制御
装置17と、下ワークロール5のロールベンディング力
の設定制御および修正制御をいずれも行うことができる
下ワークロールベンディング制御装置18とが設けれら
ている。なお、本実施形態では、板形状制御アクチュエ
ータ(板形状制御手段)として、上ワークロールベンデ
ィング制御装置17と、下ワークロールベンディング制
御装置18とからなるベンダーを用いた場合を例にとっ
たが、例えば、いわゆるワークロールシフトミルやワー
クロールクロスミル等を用いることも可能である。
【0039】上ワークロールベンディング制御装置17
は、上ワークロール3を支持する上ワークロールチョッ
ク7と、上バックアップロール5を支持する上バックア
ップロールチョック9との間に取り付けれらた上ワーク
ロールベンディング用油圧シリンダ11の油圧を設定あ
るいは変更することにより、上ワークロール3のベンデ
ィング力を設定あるいは変更する装置である。
【0040】また、下ワークロールベンディング制御装
置18は、下ワークロール4を支持する下ワークロール
チョック8と、下バックアップロール6を支持する下バ
ックアップロールチョック10との間に取り付けれらた
下ワークロールベンディング用油圧シリンダ12の油圧
を設定あるいは変更することにより、下ワークロール4
のベンディング力を設定あるいは変更する装置である。
【0041】圧延材1の圧延中に上下のワークロール
3、4にかかる圧延荷重は、下バックアップロールチョ
ック10に設けられたロードセル14によって検出され
る。上下のワークロール3、4のロール間隙を調整する
圧下装置13は、上バックアップロールチョック9に取
り付けられ、圧下位置制御装置19からの設定あるいは
変更の指示により、圧下位置を調整する。
【0042】圧延機2の右方(後面側)には、圧延材1
の板クラウンを検出する板クラウン計20と、圧延材1
の温度を検出する温度計21と、圧延材1の板平坦度を
検出する板平坦度計22とが設置されている。ロードセ
ル14により検出される圧延荷重P、板クラウン計20
から検出される板クラウンCR、温度計21から検出さ
れる圧延材温度Tおよび板平坦度計22から検出される
板平坦度yの検出データは、いずれも、例えば計算機室
等に設置されたプロセスコンピュータ16に向けて伝送
され、入力される。
【0043】なお、本実施形態では、圧延荷重Pを下バ
ックアップロールチョック10に設けられたロードセル
14によって検出する場合を示したが、この形態に限定
されるものではない。例えば、ロードセル14は、上バ
ックアップロールチョック9に設けられていてもよく、
あるいは上下バックアップロールチョック9、10の両
方に設けられていてもよい。
【0044】また、本実施形態では、圧下装置13を上
バックアップロールチョック9に設けた場合を示した
が、この形態に限定されるものではない。例えば、圧下
装置13を、下バックアップロールチョック10あるい
は上下のバックアップロールチョック9、10に設けて
もよい。
【0045】また、本実施形態では、圧延機2の右側
(後面側)に板クラウン検出器20、圧延材温度検出器
21および板平坦度検出器22を設置した場合を示した
が、これらの検出器が圧延機2の左側(前面側)に設置
されていてもよく、あるいは両側に設置されていてもよ
い。
【0046】また、圧延材温度検出器21は、後述する
ように、圧延荷重予測精度をさらに向上させるために圧
延材温度実測値を収集するものであり、必ずしも設けな
くともよい。
【0047】さらに、本実施形態では、板クラウン検出
器20および板平坦度検出器22が両方ともに設置され
た場合を示したが、どちらか一方が設置されていれば本
発明の効果が得られるため、どちらか一方を設置しても
よい。
【0048】プロセスコンピュータ16では、圧延材1
の圧延開始前に、圧延サイズや材質などの圧延条件に基
づき、所定のパススケジュール計算を行い、圧延パス数
を決めるとともに、各パスの圧延荷重予測計算等を行
い、パススケジュールを初期設定し、各パス圧延前に圧
下位置制御装置19、上下ワークロールベンディング制
御装置17、18に、それぞれの設定値を伝送し、これ
らの動作を制御する。
【0049】さらに、プロセスコンピュータ16は、圧
延材1の圧延が開始されると、圧延条件に基づいて予め
設定された圧延途中パスまでの圧延荷重Pおよび板クラ
ウンCR、圧延材温度Tおよび/または板平坦度yの検
出値をそれぞれ収集し、各圧延パスでの圧延荷重Pの実
測値より算出されるゲージメータ板厚、あるいは図示し
ない板厚計により検出された板厚実測値hや、ロール周
速度実測値、圧延材1が圧延機2に噛み込んでいる時間
(圧延時間)T、前パスから次パスまでの間に圧延材1
が圧延機2に噛み込まれていない時間(圧延アイドル時
間)等を用いて、圧延途中パスまでの各パス圧延中の圧
延荷重Pおよび各パス圧延後の板クラウンCR、板平坦
度yの予測計算を行う。また、プロセスコンピュータ1
6は、検出された圧延荷重P、板クラウンCR、板平坦
度yとその予測値との誤差を算出し、この誤差に基づ
き、残りパスでのパススケジュールおよびロールベンデ
ィング力Fの修正量を演算し、圧下位置制御装置19お
よび上下ワークロールベンディング装置17、18に、
残りの各パス圧延前に圧下位置の設定値あるいは変更量
を伝送する。
【0050】本実施形態で用いる厚板の圧延機2は、以
上のように構成される。次に、この圧延機2を用いて、
本実施形態の製造法を実施する状況を説明する。図2
は、本実施形態の製造法を示すフローチャートである。
【0051】ステップ(以下、「S」と略記する)1に
おいて、プロセスコンピュータ16は、周知慣用の方法
(例えば特開昭60―184412号公報により開示さ
れた方法等)によって、圧延材1の圧延開始前に、圧延
サイズや材質、目標形状yAI M 、目標板クラウンCR
AIM 等の条件情報を入力される。入力された後に、S2
に移行する。
【0052】S2において、プロセスコンピュータ16
は、S1において求めた圧延に関する条件情報に基づい
て、所定のパススケジュール計算を行い、圧延全パス数
(=n)を決めるとともに、各パスの圧延荷重予測計算
等を行ってパススケジュールを初期設定する。
【0053】このパススケジュールの初期設定では、各
圧延パスそれぞれ毎に求めたロールクラウン推定値、す
なわち本発明における第1のロールクラウン推定値と、
圧延荷重推定値、すなわち本発明における第1の圧延荷
重推定値とが、ともに用いられている。
【0054】このとき、板クラウン等を実測するパス回
数を第m(<n)パス目と予め設定する。パス回数mの
決定では、第mパス圧延後の板厚がhmin 以下となる
パスと設定するか、あるいは、第mパス圧延時の板ク
ラウン遺伝係数αCRI が初めてαCRI ≧αCRI,min とな
るパスと設定するか、あるいは圧延サイズ毎に細分化
されたテーブル参照方式によって設定してもよい。ま
た、板クラウン等の実測は、全nパス中に1回のみでは
なく、圧延途中の数パスにおいて数回実測し、実測する
毎に、後述するパススケジュールの修正、あるいはパス
スケジュールおよびロールベンディング力の修正を行っ
てもよい。
【0055】S3において、圧延材1の圧延開始パスを
i=1パスとする。そして、S4に移行する。S4にお
いて、プロセスコンピュータ16によって初期設定され
たパススケジュールに基づいて、各パス圧延前にプロセ
スコンピュータ16から、圧下位置制御装置19および
上下ワークロールベンディング制御装置17、18に、
それぞれの設定値が出力され、圧下装置13および上下
ワークロールベンディング用油圧シリンダ11、12が
操作されて、各パスの圧延が開始され、プロセスコンピ
ュータ16の指令により、各パスにおける圧延荷重を測
定する。そして、S5に移行する。
【0056】S5において、プロセスコンピュータ16
により、現在の圧延パスが第mパス目であるか否かが判
定される。第mパス目でない場合にはS6に移行し、第
mパス目である場合にはS7に移行する。
【0057】S6において、プロセスコンピュータ16
により、パス数を1増やし、次のパスの圧延を開始す
る、すなわちS4に移行する。S7において、板クラウ
ン計20、板平坦度計22または温度計21による第m
パス目の圧延を終了した圧延材1の板クラウンまたは板
平坦度、さらには圧延材温度の測定値が、プロセスコン
ピュータ16に入力される。そして、S8に移行する。
【0058】S8において、プロセスコンピュータ16
は、設定された第mパス圧延後に、第1〜第mパスまで
の圧延荷重実測値PACT,i (i=1〜m)および、第mパ
ス圧延後の板クラウン実測値CRACT,m (i=1〜m)に
基づいて、後述する(8)式〜(18)式の演算を行う
ことにより、S2において初期設定されたパススケジュ
ールを修正して設定する。
【0059】すなわち、第1パスの圧延荷重実測値P
ACT,1 およびロールベンディング力実測値FACT,1 、さ
らにロールの摩耗量と熱膨張量とから算出されるロール
クラウン推定値RCW,1、RCB,1を用いて、(1) 式に基づ
く(8)式により第1パス圧延後の板クラウンCR
out,1 を演算する。すなわち、
【0060】
【数8】 である。このとき、入側板クラウンCRIN,1としては、
圧延素材の実測値を用いるのが適切であるが、実測不可
能な場合は入側板クラウンCRIN,1=0として演算す
る。
【0061】次に、プロセスコンピュータ16は、第2
パスの入側板クラウンCRIN,2=CRout,1 として、同
様に、第2パス圧延後の板クラウンCRout,2 を演算
し、以降、第mパスまでの演算を繰り返すことにより、
第mパスの出側板クラウンCR OUT,m を,(9)式によ
り算出する。
【0062】
【数9】 ここで、第mパスの出側板クラウンCROUT,m と、第m
パス圧延後の板クラウン実測値CRACT,m とに誤差が生
じるのは、(9)式中のロールクラウンRCW,iとRCB,i
i =1〜m)の推定誤差が原因である。このため、プ
ロセスコンピュータ16は、圧延時間などの圧延条件に
基づき予め設定された重み係数βCW,i、βCB,iを用い
て、CROUT,m =CRACT,m となるように、下式(10)の
Δを算出する。
【0063】
【数10】 なお、板クラウン検出器20が設置されておらず、板平
坦度検出器22のみが設置されている場合には、プロセ
スコンピュータ16は、(10)式と同様に、ロールク
ラウン推定誤差Δを用いた(11)式と、(2)式に基
づき第mパス圧延後板平坦度実測値yACT,m を用いた
(12)式とから、Δを算出する。
【0064】
【数11】
【0065】
【数12】 次に、プロセスコンピュータ16は、第1から第mパス
の圧延荷重実測値PAC T,i (i=1〜m)と(3)〜
(6)式に基づく圧延荷重予測値PCAL,i (i=1〜
m)とから、荷重補正係数Zを、例えば下式(13)に
より算出する。
【0066】
【数13】 ただし、wi は、各パス毎の圧延後板厚等を考慮して予
め決められた重み係数を示す。
【0067】なお、(13)式において、圧延荷重予測
値PCAL,i の算出に当たり、圧延材温度としては圧延時
間、圧延アイドル時間等に基づく温度計算結果を用い
る。また、圧延材温度検出器21が設置されている場合
には、圧延材温度実測値を用いて、上記の圧延材温度計
算結果を補正することによって、荷重予測値PCAL,i
予測精度を向上させることができる。
【0068】最後に、プロセスコンピュータ16は、ロ
ールクラウン推定誤差Δおよび荷重補正係数Zを用い
て、第(m+1)パス以降第nパスまでのパススケジュ
ール初期設定値を修正する。
【0069】すなわち、最終パス(第nパス)圧延後の
目標板厚hAIM 、目標形状yAIM 、目標板クラウンCR
AIM を用いて、(2)式に基づく(14)式により、第
(n−1)パス圧延後目標板クラウン比率を演算する。
【0070】
【数14】 ただし、hi-1 は第(i−1)パス圧延後板厚を示す。
【0071】また、プロセスコンピュータ16は、ロー
ルクラウン推定誤差Δ、荷重補正係数Zおよび第nパス
圧延前板厚hn-1 の関数として表される荷重予測値Pn
を用いて、(1) 式に基づき(15)式を求められること
から、(14)式および(15)式を用いてhn-1 およ
びCROUT,n-1 を算出する。
【0072】
【数15】 ここで、ロールベンディング力設定値Fn については、
設備能力の中立位置等の、予め与えられた初期値を与え
ておく。
【0073】換言すれば、後述するように、ロールクラ
ウン推定誤差Δを求めることにより、S2において求め
た第1のロールクラウン推定値とロールクラウン推定誤
差Δとを加算することにより、第2のロールクラウン推
定値を求め、求めた第2のロールクラウン推定値を用い
て、以降の圧延のパススケジュールを設定し直すのであ
る。
【0074】次に、プロセスコンピュータ16は、第
(m+1)パスから第(n−1)パスまでのパススケジ
ュールおよびロールベンディング力を算出する。算出方
法の一例としては、プロセスコンピュータ16は、初期
設定されたパススケジュールでの第(n−1)パス圧延
後板厚hn-1 0 と(14)式および(15)式より得ら
れるhn-1 との差を用いて、各パス圧延後板厚を(1
6)式により修正する。
【0075】
【数16】 ただし、i=(m+1)〜(n−2)である。また、h
i 0 は初期設定されたパススケジュールでの第iパス圧
延後板厚であり、wh,i は圧延条件等に応じて予め決め
られた重み係数を示す。
【0076】さらに、プロセスコンピュータ16は、
(16)式により得られたhi (i=m+1〜n−2)
および(10)式あるいは(11)式、(12)式より
得られるロールクラウン推定誤差Δ、(13)式より得
られる荷重補正係数Z、圧延材温度推定値等に基づき、
(4)式〜(7)式を用いて、圧延荷重PCAL,i を予測
する。この荷重予測値を用いて、(17)式により、各
パス圧延後の板クラウンを予測し、(2)式により板平
坦度を予測し、予め与えられた途中パスでの許容板平坦
度を越える場合には、(16)式における重み係数w
h,i を修正して、同じ計算を繰り返す。
【0077】
【数17】 また,プロセスコンピュータ16は、(16)式におけ
る重み係数wh,i を修正する板厚スケジュール修正のみ
では、所望の途中パス板平坦度が得られない場合、各パ
ス圧延時のロールベンディング力Fi を(18)式によ
り設定する。
【0078】
【数18】 (18)式中のCROUT,n-1 については、(14)式お
よび(15)式により算出された値であり、CROUT,i
(i=m+1〜n−2)は、予め与えられた途中パスで
の許容板平坦度および(16)式により得られたhi
(2) 式に基づき決定した値である。
【0079】ここで、各パス圧延時のロールベンディン
グ力Fi が設備能力等の上下限リミット値を越える場合
には、(16)式における重み係数wh,i を修正して、
同じ計算を繰り返す。
【0080】また、(17)式および(18)式におけ
る圧延荷重PCAL,i を算出するときに用いる圧延材温度
推定値としては、第mパスまでの圧延時間、圧延アイド
ル時間等に基づく温度計算結果より、第(m+1)パス
以降の温度推定計算を行った結果を用いる。なお、圧延
材温度検出器が設置されている場合には、圧延材温度実
測値を用いて、第(m+1)パス以降の温度推定計算を
行うことによって、圧延材温度をより正確に予測できる
ため、より正確に第(m+1)パス以降の圧延荷重を予
測できる。この結果、(1)式および(2)式により予
測演算される板クラウンおよび板平坦度をより正確に予
測することができ、確実に所望の板クラウンおよび板平
坦度を有する厚板を得ることができる。
【0081】さらに、板厚スケジュールが修正されたと
きの板クラウンおよび板平坦度の予測をより正確に行う
ためには、圧延サイズなどの各パス圧延条件に応じて決
まる定数αP 、αCW、αCB、αF 、αCRI 、αCRy を適
切な値に変更して再度計算した方がより効果的である。
【0082】次に、S9およびS10により、S8にお
いて修正されたパススケジュールに基づいて圧延が行わ
れる。そして、S11において、最新の圧延パスが第n
番目のパスであるか否かが判定される。第n番目である
場合にはS12に移行し、第n番目でない場合にはS9
に移行する。
【0083】そして、S12において圧延が終了され
る。このように、本実施形態によれば、圧延開始前に第
1のロールクラウン推定値を用いて求めたパススケジュ
ールを、圧延途中の特定パスで求めた第2のロールクラ
ウン推定値を用いて求めたパススケジュールに設定変更
して、特定パス以降の圧延を行うため、特定パス以前に
おける圧延ロールの摩耗や熱膨張等の誤差を吸収、解消
してロールプロフィールの予測値を実際の値に正確に一
致させることができる。
【0084】このため、良好な板クラウンおよび板平坦
度を有する厚板を製造することができる。
【0085】
【実施例】さらに、本発明を実施例を参照しながらより
詳細に説明する。図1に示す厚板圧延機を用いて、前述
した実施の形態に示す方法を用いて、圧延仕上板厚6m
m、板幅2500mmの圧延材を、仕上目標板クラウン
0.1mm、仕上目標板平坦度0%として圧延した。な
お、圧延機2の主要な仕様を表1にまとめて示す。
【0086】
【表1】 結果を図3にグラフにまとめて示す。図3(a)は、各
パス圧延後板厚(mm)と圧延荷重(kN)との関係を
示すグラフであり、各パス圧延後板厚が6〜14mmの
範囲の拡大図とともにあわせて示す。また、図3(b)
は、各パス圧延後板厚(mm)とロールベンディング力
(kN/chock)との関係を示すグラフであり、各
パス圧延後板厚が6〜14mmの範囲の拡大図とともに
あわせて示す。また、図3(c)は、各パス圧延後板厚
(mm)と板クラウン(mm)との関係を示すグラフで
あり、各パス圧延後板厚が6〜14mmの範囲の拡大図
とともにあわせて示す。さらに、図3(d)は、各パス
圧延後板厚(mm)と板平坦度(%)との関係を示すグ
ラフであり、各パス圧延後板厚が6〜14mmの範囲の
拡大図とともにあわせて示す。
【0087】この圧延では、全11パス中、7パス完了
後に板クラウンおよび圧延材温度を実測することにより
ロールクラウン推定値および荷重補正係数を修正し、修
正したロールクラウン推定値と荷重補正係数とを用い
て、第8パスから第11パスのパススケジュールおよび
ロールベンディング力を全て修正した。このため、図3
(a)〜図3(d)に示すように、圧延終了後の目標板
クラウンおよび目標板平坦度を達成できたことがわか
る。
【0088】これに対して、途中パスまでの圧延荷重実
績値と圧延荷重予測値とから、その誤差を学習し、初期
設定された圧延荷重を修正し、圧延荷重修正量に伴う板
クラウン変化量を補償すべくロールベンディング力設定
値を変更する従来法により、同一サイズの圧延材を圧延
した。
【0089】結果を図4にグラフにまとめて示す。図4
(a)は、各パス圧延後板厚(mm)と圧延荷重(k
N)との関係を示すグラフであり、各パス圧延後板厚が
6〜14mmの範囲の拡大図とともにあわせて示す。ま
た、図4(b)は、各パス圧延後板厚(mm)とロール
ベンディング力(kN/chock)との関係を示すグ
ラフであり、各パス圧延後板厚が6〜14mmの範囲の
拡大図とともにあわせて示す。また、図4(c)は、各
パス圧延後板厚(mm)と板クラウン(mm)との関係
を示すグラフであり、各パス圧延後板厚が6〜14mm
の範囲の拡大図とともにあわせて示す。さらに、図4
(d)は、各パス圧延後板厚(mm)と板平坦度(%)
との関係を示すグラフであり、各パス圧延後板厚が6〜
14mmの範囲の拡大図とともにあわせて示す。
【0090】この従来例では、本発明例のようにロール
クラウン推定値の誤差を考慮していないため、目標板ク
ラウンおよび目標板形状を達成することができなかっ
た。さらに、本発明例により厚板の圧延を行い、圧延終
了後に板クラウンおよび板平坦度を検査した結果を、図
5にグラフで示す。また、従来例の形状制御方法による
結果を図6にグラフで示す。いずれもサンプル数は20
0であり、圧延仕上板厚は5〜20mm、板幅は200
0〜4500mmと多種の圧延サイズの圧延材を圧延し
た結果である。
【0091】図5および図6を対比することから明らか
なように、本発明の厚板圧延によれば、確実に目標板ク
ラウンおよび目標板平坦度を達成することができ、製品
の寸法精度が顕著に向上したことがわかる。
【0092】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、圧延開始前に第1のロールクラウン推定値を用いて
求めたパススケジュユールを、圧延途中の特定パスで求
めた第2のロールクラウン推定値を用いて求めたパスス
ケジュールに設定変更して、特定パス以降の圧延を行う
ため、特定パス以前における圧延ロールの摩耗や熱膨張
等の誤差を吸収、解消してロールプロフィールの予測値
を実際の値に正確に一致させることができる。
【0093】さらには、本発明により、特定パスまでの
圧延荷重実測値および温度実測値に基づいて求めた第2
の圧延荷重推定値を用いてパススケジュールを修正する
ため、特定パス以降の圧延における圧延荷重を、より正
確に予測することができる。
【0094】このため、良好な板クラウンおよび板平坦
度を有する厚板を製造することができる。かかる効果を
有する本発明の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態において用いる厚板圧延機の構成例を
示す説明図である。
【図2】実施形態の製造法を示すフローチャートであ
る。
【図3】実施例の結果を示すグラフである。
【図4】実施例の結果を示すグラフである。
【図5】実施例の結果を示すグラフである。
【図6】実施例の結果を示すグラフである。
【符号の簡単な説明】
1 圧延材 2 圧延機 3 上ワークロール 4 下ワークロール 5 上バックアップロール 6 下バックアップロール 7 上ワークロールチョック 8 下ワークロールチョック 9 上バックアップロールチョック 10 下バックアップロールチョック 11 上ワークロールベンディング用油圧シリンダ 12 下ワークロールベンディング用油圧シリンダ 13 圧下装置 14 ロードセル 15 テーブルローラ 16 プロセスコンピュータ 17 上ワークロールベンディング制御装置 18 下ワークロールベンディング制御装置 19 圧下位置制御装置 20 板クラウン検出器 21 圧延材温度検出器 22 板平坦度検出器

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延の全パスそれぞれ毎に求めた第1の
    ロールクラウン推定値を用いて予めパススケジュールを
    設定し、該パススケジュールにしたがって1パスまたは
    2パス以上の圧延を行った後、 該圧延を行われた被圧延材の状況に基づいて、該圧延以
    降の圧延の少なくとも1パスについて、前記第1のロー
    ルクラウン推定値とは異なる第2のロールクラウン推定
    値を求め、該第2のロールクラウン推定値を用いて前記
    パススケジュールを設定変更し、 設定変更された該パススケジュールにしたがって前記圧
    延以降の圧延を行うことによって、目標の板クラウンお
    よび/または板平坦度を有する鋼板を製造することを特
    徴とする鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】 複数パスの圧延の各パス毎に求めた第1
    のロールクラウン推定値を用いて予め設定されたパスス
    ケジュールにしたがって、被圧延材に前記複数パスの圧
    延を行うことにより鋼板を製造するに際し、 前記複数パスの圧延のうちの2パス目以降の全部または
    一部の圧延に際して、該圧延を行われる前の被圧延材の
    状況に基づいて、当該圧延以降の圧延の少なくとも1パ
    スについて、前記第1のロールクラウン推定値とは異な
    る第2のロールクラウン推定値を求め、該第2のロール
    クラウン推定値を用いて前記パススケジュールを設定変
    更し、 設定変更された該パススケジュールにしたがって前記圧
    延以降の圧延を行うことによって、目標の板クラウンお
    よび/または板平坦度を有する鋼板を製造することを特
    徴とする鋼板の製造法。
  3. 【請求項3】 前記被圧延材の状況は、前記被圧延材の
    板クラウンまたは板板平坦度の測定値である請求項1ま
    たは請求項2に記載された鋼板の製造法。
  4. 【請求項4】 前記第1のロールクラウン推定値ととも
    に第1の圧延荷重推定値を用いて前記パススケジュール
    を設定するとともに、前記第2のロールクラウン推定値
    とともに第2の圧延荷重推定値を用いて、前記パススケ
    ジュールを設定変更することを特徴とする請求項1から
    請求項3までのいずれか1項に記載された鋼板の製造
    法。
  5. 【請求項5】 前記鋼板は厚板である請求項1から請求
    項4までのいずれか1項に記載された鋼板の製造法。
  6. 【請求項6】 予め設定されたパススケジュールに基づ
    いて複数パスのリバース圧延を行うことにより厚板を製
    造する方法であって、 複数パスの圧延のうちの途中パスの圧延に際して、該圧
    延以前のパスにおける圧延荷重を測定するとともに、該
    圧延を行われる被圧延材の板クラウンおよび/または板
    平坦度を測定し、測定した前記圧延荷重と前記板クラウ
    ンおよび/または板平坦度とに基づいて、得られる前記
    厚板の板クラウンおよび/または板平坦度が目標値に近
    づくように制御することを特徴とする厚板の製造法。
  7. 【請求項7】 予め設定されたパススケジュールに基づ
    いて複数パスのリバース圧延を行うことにより厚板を製
    造する方法であって、 複数パスの圧延のうちの途中パスの圧延に際して、該圧
    延以前のパスにおける圧延荷重を測定するとともに、該
    圧延を行われる被圧延材の板クラウンおよび/または板
    平坦度を測定し、該測定値と、前記パススケジュールの
    設定計算に用いるモデル式により算出される圧延荷重演
    算値と、前記厚板の板クラウン演算値および/または板
    平坦度演算値とに基づき、前記途中パス以降の圧延のパ
    ススケジュールを修正することにより、得られる前記厚
    板の板クラウンおよび/または板平坦度が目標値に近づ
    くように制御することを特徴とする厚板の製造法。
  8. 【請求項8】 さらに、前記圧延のパススケジュールと
    ともに、前記圧延を行う圧延機に付設された板形状制御
    手段の操作量を修正する請求項6または請求項7に記載
    された厚板の製造法。
  9. 【請求項9】 前記パススケジュールの修正演算に、被
    圧延材の温度の実測値を用いる請求項6から請求項8ま
    でのいずれか1項に記載された厚板の製造法。
  10. 【請求項10】 リバース圧延を行うとともに、その入
    側および/または出側に、板クラウン検出器および/ま
    たは板平坦度検出器を備えることを特徴とする厚板圧延
    機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009274109A (ja) * 2008-05-15 2009-11-26 Mitsubishi Alum Co Ltd 圧延材の製造方法
JP2010120046A (ja) * 2008-11-19 2010-06-03 Nippon Steel Corp 板圧延方法
JP2012223811A (ja) * 2011-04-22 2012-11-15 Nippon Steel Corp 金属板の圧延方法、圧延機及びこれによって製造された金属板
JP2014042928A (ja) * 2012-08-27 2014-03-13 Kobe Steel Ltd 圧延パススケジュールの決定方法
JP2017209724A (ja) * 2016-05-18 2017-11-30 新日鐵住金株式会社 圧延制御方法、圧延制御装置及びプログラム

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