JP2002028474A - 無機化合物粉末の製造方法 - Google Patents

無機化合物粉末の製造方法

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JP2002028474A
JP2002028474A JP2000232724A JP2000232724A JP2002028474A JP 2002028474 A JP2002028474 A JP 2002028474A JP 2000232724 A JP2000232724 A JP 2000232724A JP 2000232724 A JP2000232724 A JP 2000232724A JP 2002028474 A JP2002028474 A JP 2002028474A
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furnace
carrier
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powder
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JP2000232724A
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English (en)
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Shozo Oshio
祥三 大塩
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造設備の敷設平面積を狭くできる縦軸又は
傾斜軸の管状炉心体で高温での連続処理ができるように
した無機化合物粉末の製造方法を提供する。 【解決手段】縦軸又は傾斜軸の炉心管に無機化合物粉末
の化合物原料とともに、該化合物原料に流動性を与える
キャリアを投入し、これら化合物原料及びキャリアを前
記炉心管内で下方に移動させながら、加熱合成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光体粉末などの
高温加熱合成により製造される無機化合物粉末の製造方
法に係り、特に製造設備の敷設平面積を狭くできる縦軸
又は傾斜軸の管状炉心体で高温での処理温度の連続処理
ができるようにした無機化合物粉末の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば蛍光体粉末は、出発原料を
混合する混合工程と、上記出発原料を化学反応させて蛍
光体粉末を合成する反応工程を含む製造方法が広く用い
られている。又、蛍光体粉末の量産には、電気炉やガス
炉、とりわけトレイプッシャ型連続炉、垂直引下げ炉、
シャフト型連続炉などの1kg/時間以上の製造能力を
有する量産炉を用いる方法により量産がなされている。
【0003】例えば、図3の平面図、及び図4に示すト
レイプッシャ型連続炉を用いる無機化合物粉末の製造方
法では、ストックヤード部8のコンベア(ストックヤー
ドコンベア)9上に原料粉末や反応促進剤を入れたアル
ミナからなるトレイ7を並べ、搬入中間扉15を閉じた
搬入ベスチブル10に上記トレイ7を一つずつ入れ、搬
入扉14を閉じる。この後、搬入ベスチブル10内の雰
囲気を炉本体11内の雰囲気と同じにしてから、上記搬
入中間扉15を開き、上記コンベア(搬入コンベア)9
でトレイ7を搬入ベスチブル10より炉本体11内に送
り込む。
【0004】上記炉本体11内に送り込まれた上記トレ
イ7は、スキッドレール28上をこのスキッドレール2
8に沿って炉本体内に送り込まれ、搬入プッシャ21で
上記炉本体11の反対側に押され、先に炉本体11内に
入れられたトレイ7を該炉本体11の反対側に押す。こ
れの前に、またはこれと同時に、もしくはこれの後に、
搬入中間扉15を閉じ、密閉された搬入ベスチブル10
内を浄化してから、搬入扉14を開いて以上の操作を繰
り返すと、スキッドレール28上に上記トレイ7が上記
炉本体11の搬入ベスチブル10の後ろ側から反対側ま
で数珠繋ぎに連なり、各トレイ7は順に炉本体11の徐
熱帯22、加熱帯23、徐冷帯24、冷却帯25を通過
することになる。
【0005】上記各トレイ7に仕込まれた化合物原料
は、徐熱帯22と加熱帯23を通過する間に加熱合成さ
れて、目的とする無機化合物粉末になり、徐冷帯24と
冷却帯25を通過する間に室温近くまで冷却される。加
熱処理を終えて上記炉本体11の反対側に到達したトレ
イ7は、搬出扉17を閉じた状態の搬出ベスチブル13
に搬出プッシャ12によって押し出される。
【0006】上記トレイ7が搬出ベスチブル13に押し
込められた後、搬出中間扉16を閉じてから、搬出ベス
チブル13内を浄化し、さらにこの後、排出扉17を開
いてコンベア(搬出コンベア)9によりトレイ7を搬出
ベスチブル13から搬出し、ストックヤード部8のとこ
ろで取り出す。
【0007】なお、前記コンベア(ストックヤード部コ
ンベア、搬入用コンベア、搬出用コンベア)9には、ロ
ーラーコンベアなどが用いられる。
【0008】なお、図4の縦断面図に示すように、上記
スキッドレール28は炉本体11内の全長にわたって設
けられ、又、炉本体11の加熱帯23には、炉本体11
内に並ぶトレイ7の上下に加熱手段(ヒーター)27が
設けられる。そして、熱効率を高めるとともに、コンベ
ア9と炉本体11の間に配置された制御パネル18や、
周囲の人をこの加熱手段27の発熱から保護するため
に、この加熱帯23とその前後の徐熱帯22及び徐冷帯
24にわたって炉本体11の内外は断熱材19と、ウオ
ータジャケット20とで区画している。
【0009】このトレイプッシャ型連続炉を用いる従来
の無機化合物製造方法においては、該トレイプッシャ型
連続炉の大きさが、加熱処理材の処理量によって異なる
ものの幅3m〜100m、奥行1m〜20m程度の炉が
一般的であり敷設平面積がかなり広いという問題があ
る。また、敷設平面積が広いが故に、放熱しやすく、さ
らに熱効率を悪いものであるため、1800℃以上の高
温での稼働が困難である。また、蛍光体原料(化合物原
料)を仕込んだトレイが、とりわけ1500℃以上の高
温での焼成や、徐熱あるいは徐冷の際の温度変化によっ
て破損するなどの課題もあった。このため、無機化合物
粉末の一種に含まれる蛍光体粉末の、従来の製造方法に
あっては、量産炉の最高加熱温度は、通常、先に説明し
た高融点無機化合物粉末(アルミネート蛍光体粉末)の
融点よりも低い、1800℃以下に抑えられ、融点が1
800℃を越える高融点無機化合物粉末(アルミネート
蛍光体粉末など)の量産にあたっては、量産炉の最高加
熱温度付近に温度設定し、加熱合成時間を長くするなど
の措置がなされている。
【0010】このため、アルミネート蛍光体粉末に代表
される1800℃を越える融点を有する高融点無機化合
物粉末の製造方法にあっては、量産炉の最高加熱温度が
高融点無機化合物粉末の融点よりも低いために、高品質
かつ高性能の無機化合物粉末を量産するためには、量産
炉の装置性能をフルに発揮させなければならない。そし
て、このように装置性能の限界近くで量産炉を操作しな
ければならないために、炉本体、炉心管、ヒーターなど
の量産炉を構成する部材が、消耗あるいは破損しやす
く、メンテナンス頻度が多くなり、労力がかかる上、蛍
光体粉末の製品歩留まりが悪くなる。
【0011】しかも、量産炉を構成する絶縁体の抵抗率
が高温の加熱温度によって低抵抗化し、ヒーターに通電
する電力が漏電して電力ロスが多くなり、消費電力が多
くなるために、結果として製品(蛍光体粉末)の製造コ
ストが高くなるという課題があった。
【0012】また、蛍光体粉末の量産では、上述した連
続炉のほかに、蛍光体粉末の原料を混合する混合装置、
焼成後の蛍光体粉末を解砕する解砕装置、解砕後の蛍光
体粉末を分級する、ふるい分け装置などの分級装置、分
級後の蛍光体粉末を洗浄する洗浄装置、洗浄後の蛍光体
粉末を乾燥する乾燥装置などが設けられる。
【0013】図5、図6、図7に示す垂直引下げ炉を用
いる従来の無機化合物粉末の製造方法では、搬入ベスチ
バルを経て、化合物原料を仕込んだトレイ7が炉心管1
に上から投入される。炉本体11の上半部が加熱帯23
とされ、下半部が冷却帯25とされ、例えばモリブデン
ヒーターからなる加熱装置27は加熱帯23の範囲内で
昇降しながら、前記混合物を加熱するようにしている。
この加熱が終わると、炉心管1の下端に設けた引下げ機
構40で冷却帯25内のトレイ7を次々に引き下げて取
り出す。冷却帯25のトレイ7を取り出す間に加熱帯2
3内のトレイ7は順に冷却帯25に下がり、加熱帯23
には次々と化合物原料を仕込んだ新しいトレイ7が仕込
まれる。
【0014】なお、前記引下げ機構40は図6の縦断面
図に示すように、炉心管1の下端とそこを通過するトレ
イ7との間を気密状に封止するゴムパッキン42の下方
に配置され、図6の縦断面図、及び図7の横断平面図に
示すように、傾斜軸心の周りに回転しながら、炉心管1
から引き下げるトレイ7の外面に転接する3本の鋼ロー
ラ41を備えている。
【0015】この垂直引下げ炉は、炉心管1が縦軸であ
るので、トレイプッシャ型連続炉に比べて、設置平面
積、及び熱効率の面でも有利である。しかし、トレイ7
を用いるが故に1800℃を上回る高温処理ができない
という問題があり。また、構造が複雑化すると共に焼成
以外の処理が多く、さらにバッチ処理であるため製造効
率の悪いものである。
【0016】更に、図8の縦断面図に示すシャフト型連
続炉は、設置平面積がトレイプッシャ型連続炉よりも狭
いので、トレイプッシャ型連続炉よりも設置平面積、及
び熱効率面で有利である。又、トレイを用いないので、
トレイプッシャ型連続炉や垂直引下げ炉よりも高温で処
理することができる。さらに、構造も上記垂直引下げ炉
より簡易であり、炉への原料の投入から目的とする物質
を得るまでの処理も容易であると共に連続処理であるた
めに製造効率が高い。
【0017】上記シャフト型連続炉では、受入ホッパー
29に化合物原料2を投入し、フィーダー30を経てフ
ィーダー室31に上記化合物原料2を一時貯蔵する。化
合物原料2はこのフィーダー室31から加熱炉本体11
の炉心管1内に自重落下し、この炉心管1内に充満す
る。この加熱炉本体11には上から順に連続する徐熱帯
22、加熱帯23、及び徐冷帯24が設けられ、この徐
冷帯24の下にさらに連続して冷却帯25が設けられ
る。上記炉心管1は、これら徐熱帯22、加熱帯23、
徐冷帯24及び冷却帯25を垂直に貫通するように設け
られ、上記フィーダー室31から炉心管1内に投下され
た化合物原料2は、徐熱帯22を通り、加熱帯23で加
熱合成されて無機化合物になる。
【0018】加熱合成された上記無機化合物は、徐冷帯
24及び冷却帯25を通る間に冷却され、炉心管1の下
端に気密状に接続された切り出し室32より取り出され
る。この切り出し室32内には、炉本体11の下端開口
を開閉するスライドシャッターからなる切出装置36が
設けられ、この切出装置36により切り出し室32内に
切出された無機化合物粉末3は、炉本体11の下端開口
を切出装置36で閉じてから粉体遮断弁38を開くこと
により粉体抽出口37から排出される。
【0019】なお、前記フィーダー室31の周壁には水
冷パイプ35を配置して、炉本体11の熱によりフィー
ダー室31内の化合物原料2が加熱されないようにして
いる。炉本体11の加熱帯23には炉心管1を取り巻く
ヒーター27が設けられ、このヒーター27の周囲に断
熱材19が設けられ、これらヒーター27、水冷ジャケ
ット,及び断熱材19を昇降させながらヒーター27を
作動させることにより、加熱帯23に滞留している化合
物原料2が均等に加熱合成されて無機化合物となる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記シャフト
型連続炉を用いる無機化合物粉末の製造方法では、粉径
が極めて小さい原料を用いるところから、原料の流動性
が悪くなり、処理理温度が高くなると被処理物が炉内で
塊となって焼結してしまい取り出せなくなることがあ
る。とりわけ1800℃を越える融点を有する高融点無
機化合物粉末(アルミネート蛍光体粉末など)の製造方
法や、特開平9−151372号公報に開示されるよう
なAlF3 などの反応促進剤を用いない1600℃以上
の高温で焼成する蛍光体粉末の製造方法や、反応促進剤
を用いる蛍光体粉末の製造方法や、例えば、特開平10
−53760号公報に開示されるような、粒子状の酸化
アルミニウムを蛍光体原料(化合物原料)の一部に用い
る蛍光体粉末(無機化合物粉末)の製造方法において顕
著に認められ、こうした課題への対策が求められてい
た。
【0021】さらには、近年の地球環境問題から、設備
の省エネ、省資源化が図られる中、いっそう環境に配慮
した量産炉や、化合物粉末量産設備が求められている。
すなわち、無機化合物粉末の合成に際して使用する使用
材料の少量化、排出材料のリサイクル、リユース化や、
コンパクトで排出物が少なく、エネルギー消費量がより
少ない量産炉や無機化合物粉末量産設備が求められてい
る。
【0022】なお、各種酸化物(MgAl2 4
ど)、窒化物(AlGaNやSiAlONなど)、ハロ
ゲン化物(BaFClなど)、炭化物((Ta、Nb)
Cなど)などの蛍光体粉末以外の無機化合物粉末も、上
述した蛍光体粉末と同様もしくは同一の製造方法が用い
られ、同様の課題を抱えている。
【0023】本発明は、これらの従来技術の課題を解決
し、製造設備の敷設平面積を狭くできる縦軸又は傾斜軸
の管状炉心体で高温での連続処理ができるようにした無
機化合物粉末の製造方法を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の無機化合物粉末の製造方法は、化合物原料
を加熱合成して得る、無機化合物粉末の製造方法であっ
て、縦軸又は傾斜軸の炉心管に化合物原料とともに該化
合物原料の流動性を与えるキャリアを投入し、これら化
合物原料及びキャリアを前記炉心管内で下方に移動させ
ながら、加熱合成することを特徴とする。
【0025】本発明によれば、化合物原料と該化合物原
料に流動性を与えるキャリアとを炉心管に投入するの
で、特にキャリアが化合物原料よりも大きい場合、キャ
リアの隙間よりも大きく燒結することはない。又、化合
物原料とキャリアとを取り出すときにキャリアの流動性
が良いので、当該キャリアと化合物原料との混合物が自
重で流動して落下し(流動落下し)、キャリアが燒結し
た無機化合物を破砕したり、さらに無機化合物が互いに
衝突するキャリアの間に挟まれて破砕されたりするの
で、縦軸または傾斜軸の炉心管でも無機化合物が炉心管
内で燒結して、詰まることはない。
【0026】また、加熱合成後には、キャリアの表面に
いくらかの無機化合物が付着するが、キャリアの表面に
付着した無機化合物は、振動や衝撃を与えることにより
簡単にキャリアから剥離し、キャリアと衝突したり、キ
ャリアの間に挟まれたりして解砕又は破砕される。この
ようにして無機化合物が細かく破砕される結果、分散性
が良好で、粒度分布がシャープな無機化合物粉末を得る
こともできるようになる。
【0027】本発明により得ることができる無機化合物
粉末としては、セラミックス材料や蛍光体粉末として用
いられる各種酸化物(MgAl2 4 など)、窒化物
(AlGaNやSiAlONなど)、ハロゲン化物(B
aFClなど)、炭化物((Ta、Nb)Cなど)な
ど、あらゆる無機化合物粉末がある。
【0028】これら無機化合物粉末の粒径は、特に限定
されないが、本発明によれば、0.01μm以上100
μm以下の中心粒径を有する、粒状もしくは粉末状の化
合物粒子の集合体である無機化合物粉末を好適に得るこ
とができる。
【0029】上記無機化合物の例として、擬球状の粒子
を集合してなるアルミネート蛍光体粉末の粒子サイズ分
布は、均一であればあるほど、取扱が容易で緻密な蛍光
膜が作製できるので好ましく、その粒子サイズは0.1
μm以上100μm以下とされる。好ましくは0.4μ
m以上20μm以下とされ、さらに好ましくは1μm以
上10μm以下とされる。最も好ましくは、量産した蛍
光体粉末が蛍光ランプやプラズマディスプレイなどの蛍
光体応用機器に適する粒子サイズである2μm以上8μ
m以下とされる。
【0030】本発明は、上述したように、化合物原料と
ともにキャリアを縦軸又は傾斜軸の炉心管内に投入する
ことに大きな特徴があり、投入の方法としては化合物原
料とキャリアとの混合物をそのまま投入する方法、互い
に分離された化合物原料とキャリアとをそのまま同時に
又は交互に投入する方法などの方法を採用することがで
きる。
【0031】炉心管に投入される化合物原料及びキャリ
アは、炉心管内の雰囲気を乱さないようにして、炉心管
に導入する必要があり、このためには、例えば従来のシ
ャフト型連続炉を用いて、受入ホッパーに前記混合物を
受け入れて必要に応じて脱気させ、次に、フィーダー室
に一時貯留し、フィーダー室内の雰囲気を炉心管内の雰
囲気と同じにしてから、前記混合物をフィーダー室から
炉心管に投下するという方法を採用すればよい。
【0032】ここで、前記受入ホッパーには、化合物原
料などの粉体を投入する粉体投入口と、化合物原料など
の粉体をフィーダー室に排出する粉体排出口とが設けら
れるとともに、外気を遮断するために前記粉体投入口を
開閉する弁と、フィーダー室と空間的に分離するために
前記粉体排出口を開閉する別の弁が設けられる。そし
て、前記粉体排出口の弁を閉じ、粉体投入口の弁を開い
て化合物原料などの粉体を受入ホッパーに投入した後、
粉体投入口の弁を閉じ、必要に応じて外周部やホッパー
内に設けたヒーターを作動させて脱気することができ
る。
【0033】フィーダー室にも、基本的には、外気を遮
断する構造を備えさせ、前記受入ホッパーの前記粉体排
出口の弁により受入ホッパーと空間的に分離するととも
に、別の弁を介してフィーダー室内を排気したり、各種
雰囲気ガスに置換したり、真空や減圧雰囲気にしたりす
ることができる構造が採用される。
【0034】なお、フィーダー室の周囲に水冷ジャケッ
トを設けて、化合物原料を加熱処理あるいは加熱合成す
る際に、フィーダー室の加熱を防止できるようにした
り、フィーダー室の周囲に粉体を加熱するためのヒータ
ー(図示せず)などを設けて、フィーダー室ないの粉体
を脱気できるようにしたりすることもできる。
【0035】なお、炉本体内の加熱雰囲気は、前記大
気、窒素、還元雰囲気、不活性ガス雰囲気、硫化ガス雰
囲気、真空雰囲気、減圧雰囲気等の中から選ばれる。
【0036】前記炉心管は、炉本体内で化合物原料ない
し加熱合成された無機化合物粉末とキャリアとの混合物
の移動を案内するものであり、耐熱性を有し、かつ、滑
り性の良好なセラミックスや金属板やグラファイトなど
で構成されている。
【0037】炉本体内で化合物原料とキャリアとの混合
物を加熱合成する方法としては、加熱炉本体に徐熱帯、
加熱帯、徐冷帯及び冷却帯を順に連続するように設け、
化合物原料とキャリアとの混合物を、徐熱帯を通る間に
加熱帯から伝達された熱により加熱し、加熱帯を通る間
にさらに加熱して化合物原料より無機化合物を合成し、
加熱合成された無機化合物とキャリアとの混合物を、徐
冷帯を通る間に徐々に冷却し、冷却帯を通過する間にさ
らに冷却し、室温近くまで冷却された混合物を炉本体か
ら取り出す方法がある。
【0038】炉本体内で化合物原料とキャリアとの混合
物を加熱合成する他の方法としては、加熱炉本体を加熱
帯と冷却帯とで構成し、ヒーターを加熱帯の範囲内で往
復移動しながら加熱帯内の化合物原料を加熱し、無機化
合物を合成した後、一旦ヒーターを停止し、ある程度加
熱帯内の無機化合物が冷却されてから、加熱帯内の混合
物を冷却帯に自重で流動落下させ、冷却帯で室温近くま
で冷却した後に加熱炉本体からその下方に流動落下させ
る方法を採用することも可能である。
【0039】また、常に炉心管内を上記キャリアが充満
する状態で、化合物原料とともに上記キャリアを炉心管
内で流動落下させ、この化合物原料を炉心管内で加熱合
成して無機化合物粉末を製造する無機化合物粉末の製造
方法にあっては、炉心管を二重構造や三重構造などの複
合構造にしたり、肉厚、内径、炉心管の長さなどを適宜
選択したりして必要な強度を確保し、徐熱・加熱・徐冷
中の炉心管の破損を防止することが好ましい。また、炉
心管の加熱領域部の体積を小さくして、省電力化や加熱
温度の均一化を図ることが好ましく、これらの観点か
ら、炉心管の肉厚は2mm以上20cm以下好ましくは
3mm以上10cm以下、最も好ましくは、5mm以上
5cm以下の厚みにとし、炉心管の内径は10mm以上
500mm以下、好ましくは20mm以上400mm以
下、最も好ましくは40mm以上300mm以下とし、
炉心管の長さは、30cm以上20m以下、好ましくは
50cm以上10m以下、最も好ましくは1m以上8m
以下とされる。
【0040】加熱帯に設けられる加熱手段は、化合物原
料などの加熱処理物を加熱するためのものであり、例え
ば金属ヒーター(カンタルヒーター、白金ヒーター、タ
ンタル系ヒーター、モリブデン系ヒーター、タングステ
ン系ヒーターなど)や非金属ヒーター(MoSi2 ヒー
ター、ジルコニアヒーター、カーボンヒーターなど)な
どの発熱体が用いられる。又、加熱手段としてはこれら
各種電気ヒーターの他にガス炎や熱線の発生装置、高周
波誘導加熱装置など、あらゆる加熱装置や熱線の発生装
置を加熱手段として採用することが可能である。
【0041】これら発熱体の最高使用温度は、タンタル
系ヒーターでは2000℃、モリブデン系ヒーターでは
2100℃、タングステン系ヒーターでは2500℃、
MoSi2 ヒーターでは1900℃、ジルコニアヒータ
ーでは2000℃、カーボンヒーターでは3000℃程
度である。
【0042】なお、上記カーボンヒーターは、抵抗が小
さいので、円管にらせん状の溝を刻むなどして電気的な
行路を長くして用いられ、また、高温では酸化し易いの
で、真空中や不活性ガス雰囲気中で発熱する構造にして
使用される。また、タンタル系ヒーター、モリブデン系
ヒーター、タングステン系ヒーターなどの高融点金属発
熱体も、高温では酸化されやすいので、真空中や不活性
ガス中、還元性気体中で発熱する構造にして使用され
る。
【0043】加熱装置として高周波誘導加熱装置を用い
ると、キャリアの表面に誘導電流を生ぜしめキャリアの
抵抗発熱により化合物原料を加熱することができるの
で、ランニングコストを削減する上で有利になる。ま
た、このキャリアの発熱によってキャリアの抵抗が低下
すると、キャリア表面を電流が流れ易くなりいっそう発
熱が促進される。この誘導電流によるキャリアの発熱は
比較的導電性の低いセラミックスからなるキャリアでも
認められるが、白金に代表される金属やカーボンなどの
高融点導電体からなるキャリアを用いると非常に顕著に
なる。
【0044】炉本体内の最高加熱温度(可動温度)は、
1900℃以上3500℃以下になるよう構成するのが
好ましい。1900℃よりも量産炉の最高加熱温度が低
いと、融点が1800℃を越える高融点の無機化合物製
造の際に、炉本体内の最高加熱温度に近い、或いは最高
加熱温度を超えた温度で量産炉を稼働させなければなら
ず、該量産炉を構成する部材が消耗や破損しやすくなる
上、量産炉の消費電力が多くなるので好ましくない。ま
た、炉本体内の最高加熱温度が3500℃よりも高い
と、量産炉のエネルギー効率(量産炉に投入する電力当
たりの生産量)が悪くなるので好ましくない。より好ま
しくは1900℃以上3000℃以下とされ、最も好ま
しくは1900℃以上2500℃以下の量産炉を用い、
高融点無機化合物粉末の融点よりも高い最高加熱温度を
有する量産炉を用いて量産し、ユーティリティー、炉部
材(ヒーターや絶縁体など)が、性能面でゆとりを持つ
ようにするのがよい。なお、最高加熱温度とは加熱手段
により炉心管を加熱し得る最高の温度とする。
【0045】炉本体は、加熱効率の向上及び制御パネル
などの周辺機器の保護を図るために前記加熱手段の発熱
を周囲に散逸させることを防止することが好ましく、例
えば徐熱帯、加熱帯、徐冷帯にわたって炉本体の内部と
外気の間を断熱する断熱材を備えることが好ましい。
【0046】この断熱材は、例えばアルミナ(Al2
3 )、ハフニア(HfO2 )、マグネシア(MgO)、
ジルコニア(ZrO2 )等の酸化物材料やこれらを複合
してなる耐熱材料、とりわけ、2000℃を超える高温
でも高い絶縁性を有する高絶縁性耐熱材料で構成した耐
熱レンガや耐熱セラミックスが用いられる。
【0047】上記以外の耐熱材としては、AlN、Ti
N、ZrN、HfN、TaNなどの窒化物、B4 C、M
2 C、SiC、WC、W2 C、HfC、NbC、Ta
C、TiC、ZrCなどの炭化物、TiB2 、WB、H
fB2 、ZrB2 などのホウ化物、炭素や炭素の同位
体、Hf、Ir、Mo、Nb、Ta、Re、Wなどの2
000℃〜4000℃の範囲内に融点を持つ金属性耐熱
材料や、上記耐熱材が組み合わせて用いられることもあ
る。
【0048】ところで、炉本体からの放熱は、やけど
や、炉周囲に配置した電子機器の熱による誤動作や、ビ
ニール被覆コードの融解による配線ショートなどの事故
やトラブルを招くおそれがある。
【0049】そこで、炉本体、特に冷却部を水冷ジャケ
ットで覆うことが推奨される。例えば金属パイプやジャ
ケットの中に水を循環させる構造にするなどして、炉本
体の外周部を冷却することが推奨されるのである。
【0050】なお、ヒーターと断熱材の間、あるいは、
断熱材と水冷ジャケットの間には、熱遮蔽を目的とした
複数の熱反射板が設けられる場合もある。
【0051】炉本体からの無機化合物粉末及びキャリア
を取り出す際に外気が炉心管に流入することを防止する
ために炉心管の下端に切り出し室が設けられる。
【0052】前記切り出し室は、例えば、その入口ない
し内部に炉心体の下端開口を開閉するスライドシャッタ
ーからなる切出装置を備え、また、その底部より下方に
連出され、粉体遮断弁で開閉される粉体抽出口を備え
る。粉体遮断弁を閉じて切出装置を開くことにより無機
化合物及びキャリアを切り出し室に落下させてから、切
出装置を閉じ、この後、粉体遮断弁を開くことにより、
切出装置により切り出し室内に切出された無機化合物粉
末が粉体抽出口から排出されるようにする。
【0053】なお、省電力化を図るために、粉体の受入
ホッパーへの投入、フィーダー室への粉体の移送、炉心
管の内部における化合物原料の加熱処理、炉本体からの
無機化合物粉末の切り出し作業などを全自動化すること
が好ましい。
【0054】上記キャリアは、最高炉室温度よりも融点
が高い素材で構成することが好ましく、好ましくは炉心
管と同等の素材で構成されるが、最低限、製造する無機
化合物粉末よりも融点が高い素材で構成すればよい。す
なわち、耐熱性が高く、流動性の良好なセラミックス、
白金などの金属、カーボンなどでキャリアを構成する。
【0055】また、キャリアは、加熱合成により得た無
機化合物の燒結体を炉心管内で破砕しながら自重落下す
るのに適した形状を備えていればよいのであるが、塊
状、球状等を採用すると、取扱や入手が容易になるので
有利である。例えばセラミックス塊やセラミックス球
は、取扱が簡便であり、市販もされているので入手が容
易である。
【0056】特に、セラミックス球体(酸化アルミニウ
ム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化イット
リウム、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、
目的とする蛍光体粉末、これらの混合体などを材質とし
た球体)ないし擬球体は流動性がより良好であるのでい
っそう好ましい。最も好ましくは99.8%以上の純度
を有する高純度のアルミナボール、アルミナビーズや、
さらには、目的とする無機化合物粉末(蛍光体粉末)で
少なくとも表面の一部分を構成した球体である。
【0057】また、上記アルミナボールやアルミナビー
ズなどの上記セラミックス球体の寸法は、中心粒径が1
0μm以上100mm以下、好ましくは30μm以上6
0mm以下、最も好ましくは1mm以上10mm以下の
範囲内になるようにするのがよい。上記条件に当てはま
る商品の具体的な例としては、φ1〜60mmのセラミ
ックス球体(例えば、(株)ニッカトー製)から選択す
ると入手が容易になるので好ましい。
【0058】さらに上記キャリアとして、例えば、アド
バンストアルミナ(住友化学工業(株)製)のような高
流動性粉末(例えば、中心粒径5、8、10、18μ
m)を用いるのも好ましい。該アドバンストアルミナ
は、実質的に破砕面を持たない単結晶の、しかも粒径が
揃った酸化アルミニウムであり、粒径を精密制御した、
高充填性、易分散性、高焼結性などの特徴を有してい
る。
【0059】また、前記セラミックス塊やセラミックス
球体などからなるキャリアは、炉心管いっぱいに充填す
るのが好ましく、常に炉心管内を上記キャリアで充填し
たままで、該キャリアが化合物原料とともに炉心管内を
流動落下するようにして、キャリアを化合物原料ととも
に炉心管内を流動落下させながら、蛍光体粉末などの無
機化合物粉末を加熱合成するのが好ましい。
【0060】さらに、白金などの金属やカーボンのよう
な高融点導電体からなるキャリアを用いると、高周波誘
導により発熱させて、ヒーターの機能を十分発揮させる
ことができるという利点が得られる。また、この高融点
導電体以外のセラミックスからなるキャリアでも、抵抗
体であることには変わりがないので、高周波誘導によっ
て発熱させ、ヒーターとしての機能を発揮させることが
可能である。この場合、上記高融点導電体は流動性の点
から球体であることが好ましい。
【0061】なお、前記キャリアは、加熱合成された無
機化合物を破砕して粉末にするのに適した形状をしてい
るので、焼成後の無機化合物を解砕する解砕装置のメデ
ィア、例えばボールミルのボールとして利用することが
できる。また、無機化合物粉末と分離した後、炉心管の
投入口に再投入して再利用することが好ましい。もちろ
ん、キャリアをメディアとして解砕装置に仕込んだり、
解砕装置から取り出したり、さらに、無機化合物粉末と
分離した後、炉心管の投入口に再投入したりする作業を
自動化することが好ましい。
【0062】なお、本発明の上記無機化合物粉末の製造
方法にあっては、実績があるシャフト型連続炉を用いる
のが好ましいが、この他に垂直引下げ炉を用いることも
可能である。
【0063】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる無機化合物
粉末の製造方法の一実施例を図面に基づいて説明する
が、これに先立って本発明の原理を説明することにす
る。
【0064】図1の原理図に示すように、本発明では、
縦軸(傾斜軸でもよい。)の炉心管1に微粉末状の化合
物原料2と、粉末状ないし粒状のキャリア4とを投入す
る。炉心管1の下端開口を開閉するスライドシャッター
5により、その下端開口を閉じて、前記化合物原料2と
キャリア4とを炉心管1からこぼれないように、炉心管
1内に充満させる。炉心管1の周囲に配置した加熱装置
6により、キャリア4とともに炉心管1内に投入した化
合物原料2を加熱することにより、化合物原料2が加熱
合成されて無機化合物3になる。
【0065】前記シャッター5を開くと炉心管1内の化
合物原料2、無機化合物3及びキャリア4は自重で下方
に移動し、上記炉心管1内の下部に位置するキャリア4
及び、既に加熱合成された目的とする無機化合物3が落
下する。もし、炉心管1内で無機化合物3が大きな塊と
して燒結していても、キャリア4が衝突したり、互いに
衝突するキャリア4に挟まれたりして、解砕あるいは破
砕され、無機化合物3の燒結によって炉心管1が詰まる
ことはない。また、無機化合物3は、キャリア4と衝突
したり、互いに衝突するキャリア4に挟まれて、解砕あ
るいは破砕されることにより微粉末になる。
【0066】本発明に係る好ましい形態では、適量のキ
ャリア4及び無機化合物3が炉心管1から排出される
と、該排出による減量に見合う化合物原料2とキャリア
4が炉心管1に追加的に投入され、炉心管1から排出さ
れた無機化合物3とキャリア4とは、例えばふるいにか
けて分離され、分離されたキャリア4は再利用される。
なお本発明は、上記排出による原料に見合う化合物原料
2とキャリア4を炉心管1に追加的に投入しないバッチ
処理の形態であっても構わない。
【0067】ここで、前記化合物原料2は、無機化合物
粉末3を製造するための原料であり、例えば、アルカリ
土類金属化合物、亜鉛化合物、硼化物、アルミニウム化
合物、希土類化合物、マンガン化合物、酸化物、窒化
物、硫化物、ハロゲン化合物、これらの複合化合物な
ど、あらゆる化合物、とりわけ化合物粉末の中から、目
的とする無機化合物粉末にあわせて、種類や量などが適
宜選ばれる。
【0068】キャリア4は、炉心管1の管内に投入した
化合物原料2をスムーズに流動落下させるための物質で
あり、塊状物質や球体や流動性の良好な粉体などから選
ぶが、好ましくは、セラミックス球体にする。尚、キャ
リア4は、図1に示すように、炉心管1の管内いっぱい
に充填するのが好ましい。また、重量比にして、化合物
原料2/キャリア4=0.001以上1未満、好ましく
は0.01以上0.5以下である。これよりも化合物原
料2の重量割合が多いと、炉心管内で加熱合成された無
機化合物粉末3が凝結体を形成しやすい。一方、これよ
りも化合物原料2の重量割合が少ないと、化合物原料2
の割合が少ないために、無機化合物粉末3の形成量が少
なくなり、製造効率が悪くなる。
【0069】加熱装置6は、無機化合物粉末3の合成を
目的として、炉心管1の管内の化合物原料2を加熱する
ためのものであり、各種電気ヒーター、ガス炎や熱線の
発生装置、高周波誘導加熱装置など、あらゆる加熱装置
や加熱手段を用いることができる。
【0070】なお、炉心管1内の雰囲気については特に
限定されるものではなく、酸素雰囲気(大気中)還元雰
囲気、不活性ガス雰囲気、窒素雰囲気、硫化水素などの
硫化ガス雰囲気、これらの減圧雰囲気、真空雰囲気な
ど、あらゆる雰囲気から選ばれる。
【0071】また、炉心管内の加熱温度などについても
特に限定されるものではなく、無機化合物粉末が合成さ
れ得る温度であればよく、例えばアルミネート蛍光体粉
末を合成する場合には、アルミネート蛍光体粉末の融点
が1800℃以上の高融点無機化合物粉末であるので、
該アルミネート蛍光体粉末を製造する際には、最高加熱
温度が1800℃よりも高い装置を用いると、ユーティ
リティー、炉部材が、性能面でゆとりを持つようになる
ので好ましい。加熱装置の電力効率や製造され得るアル
ミネート蛍光体粉末(高融点無機化合物粉末)の性能や
品質などを考慮すると、好ましい上記最高加熱温度は1
900℃以上3500℃以下である。
【0072】こうした最高加熱温度は、例えば、ケラマ
ックスヒータやジルコニウムヒータやカーボンヒーター
などの電気ヒーターを使用した装置、あるいは、高周波
誘導加熱法によって実現可能であるが、これ以外の電気
ヒーターを用いても、これら以外の方法を用いても構わ
ない。
【0073】製造できる無機化合物粉末3としては、先
に、説明したような、あらゆる無機化合物粉末(セラミ
ックス材料など)があり、蛍光体粉末、とりわけアルミ
ネート蛍光体粉末もこれに含まれる。
【0074】次に、シャフト型連続炉を用いる本発明の
一実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【0075】まず、図2の縦断面図に示すシャフト型連
続炉の受入ホッパー29の出口側(下側)の弁34を閉
じた状態で、この受入ホッパー29の投入口側(上側)
の弁34を開き、投入口33からこの受入ホッパー29
に蛍光体原料からなる化合物原料2とキャリア4との混
合物2+4を投入する。この後、投入口側の弁34を閉
鎖してから、受入ホッパー29内を減圧して、脱気をす
る。
【0076】脱気が済むと、出口側の弁34を開き、フ
ィーダー30、フィーダー室31を経て炉心管1に前記
混合物2+4を投下し、再び出口側の弁34を閉じてか
ら、フィーダー室31及び炉心管1内の雰囲気を調整す
る。
【0077】以上の操作を必要な回数にわたって繰り返
し、炉心管1内に前記混合物2+4を充満させ、予め始
動させていた加熱装置27により加熱帯23を中心にし
て前記混合物2+4を加熱する。加熱を続けながら、所
定の周期で、切出装置36で炉心管1の下端を開閉する
と、切出装置36を開くたびに炉心管1内の混合物2+
4が下方に自重落下する。なお、自重落下により炉心管
1から排出された量に見合う量の混合物2+4がフィー
ダー室31から炉心管1に補充され、炉心管1内は常に
混合物によって満たされているようにしている。
【0078】上記混合物2+4は、炉心管1内を上から
下に移動する間に徐熱帯22から加熱帯23で常用加熱
温度1600℃以上2500℃以下程度(最高加熱温度
は1900℃以上3500℃以下)で加熱され、化合物
原料2は加熱合成されて無機化合物3になる。この無機
化合物3は燒結して粒径が大きくなるが、キャリア4の
間の隙間より大きく成長することはない。そして、切出
装置36を開いた時に自重落下するキャリア4に押し流
され、キャリア4と衝突したり、キャリア4の間に挟ま
れたりして破砕されながら徐冷帯24、冷却帯25を下
りて行くので、無機化合物3は粒径の均一な微粉体にな
り、キャリア4との混合物3+4として炉心管1から切
り出し室32に排出される。
【0079】つまり、縦軸の炉心管1を用いると原料の
流動性が悪いため加熱合成された無機化合物3が燒結し
て炉心管1を詰まらせていたのに対し、キャリア4を用
いることにより燒結が抑制され、さらに燒結した無機化
合物3がキャリア4によって押し流されながら、解砕も
しくは破砕されるので、炉心管1が詰まることがなくな
り、縦軸の炉心管1で流動性の悪い蛍光体を、高温処理
して得られるようになったのである。
【0080】なお、炉心管1から切り出し室32に排出
された混合物3+4は、切出装置36で炉心管1の下端
を閉じている間に粉体遮断弁38を開くことにより、切
り出し室32から粉体抽出口37を経て排出される。
【0081】また、排出されたキャリア4は、例えばふ
るいにかけて無機化合物粉末3と分離され、この後、受
入ホッパー29、フィーダー30及びフィーダー室31
を経て、炉心管1に再投入し、繰り返して使用される。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の無機化合
物粉末の製造方法によれば、化合物原料に流動性のよい
キャリアを添加することにより、炉心管内で無機化合物
が大きく燒結することを防止し、炉心管内で自重落下、
転動等のキャリアの動きを利用して燒結した無機化合物
を解砕または破砕するので、燒結して縦軸または傾斜軸
の炉心管を詰まるらせるような流動性の悪い無機化合
物、とりわけ蛍光体(特にアルミネート蛍光体)の粉末
を炉心管で量産できる効果が得られる。
【0083】しかも、無機化合物がキャリアによって解
砕または破砕されるので、分散性が良好で、粒度分布が
シャープな無機化合物粉末を得ることができる。
【0084】また、高融点無機化合物粉末の融点よりも
高い最高加熱温度を有する量産炉を用いて量産すること
ができ、これにより、ユーティリティー、炉部材(ヒー
ターや絶縁体など)に性能面でゆとりをもたせて、炉本
体、炉心管、ヒーターなどの量産炉を構成する部材の消
耗や破損の頻度、ならびに、メンテナンスの頻度を大幅
に低減できる効果を得ることができる。
【0085】さらに、高融点無機化合物粉末の融点より
も高い最高加熱温度を有する量産炉を用いて量産するこ
とにより、電力効率を高めることができ、小型、コンパ
クトで、キャリアのリユースにより排出物を少なくし、
環境への負荷を小さくすることができる効果も得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】シャフト型連続炉を用いる本発明を説明する縦
断面図である。
【図3】トレイプッシャ型連続炉を用いる従来例を説明
する横断平面図である。
【図4】従来例に用いるトレイプッシャ型連続炉の縦断
面図である。
【図5】垂直引下げ炉を用いる従来例を説明する縦断面
図である。
【図6】従来例に用いる垂直引下げ炉の要部の縦断面図
である。
【図7】従来例に用いる垂直引下げ炉の要部の横断平面
図である。
【図8】シャフト型連続炉を用いる従来例を説明する縦
断面図である。
【符号の説明】
1…炉心管 2…化合物原料 3…無機化合物粉末 4…キャリア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA07 AA36 AA37 BA14 GA01 GA23 GA27 GA31 4G075 AA27 AA45 AA62 AA63 BA05 BB03 BD03 BD11 CA02 CA25 CA52 FB04 FC07 4G076 AA02 AA18 AB02 BA38 CA02 DA11 4H001 CA01 CF02 XA08 XA12 XA13

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化合物原料を加熱合成して得る、無機化
    合物粉末の製造方法であって、縦軸又は傾斜軸の炉心管
    に化合物原料とともに、該化合物原料に流動性を与える
    キャリアを投入し、これら化合物原料及びキャリアを前
    記炉心管内で下方に移動させながら、加熱合成すること
    を特徴とする無機化合物粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記無機化合物粉末の中心粒径が、0.
    01μm以上100μm以下である請求項1に記載の無
    機化合物粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記無機化合物粉末を加熱合成した後、
    キャリアを無機化合物粉末と分離し、炉心管に投入して
    再利用する請求項1又は2に記載の無機化合物粉末の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 上記キャリアは、10μm以上100m
    m以下の中心粒径を有するセラミックスである請求項3
    に記載の無機化合物粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記キャリアは、10μm以上100m
    m以下の中心粒径を有する高融点導電体である請求項3
    に記載の無機化合物粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 高周波誘導加熱により上記キャリアを発
    熱させ、該キャリアに化合物原料を加熱させる請求項5
    に記載の無機化合物粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記キャリアは、さらに球体である請求
    項4又は6に記載の無機化合物粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記化合物原料として蛍光体原料を用い
    て蛍光体粉末を製造する請求項7に記載の無機化合物粉
    末の製造方法。
  9. 【請求項9】 融点が1800℃を超える高融点無機化
    合物粉末を製造する請求項7に記載の無機化合物粉末の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 最高加熱温度が1900℃以上350
    0℃以下の炉を用いることを特徴とする請求項9に記載
    の無機化合物粉末の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004111154A1 (ja) * 2003-06-11 2004-12-23 Kabushiki Kaisha Toshiba 蛍光体と蛍光体の製造方法、および製造装置
WO2005121275A1 (ja) * 2004-06-09 2005-12-22 Kabushiki Kaisha Toshiba 表示装置用青色発光蛍光体とその製造方法および電界放出型表示装置
CN101831290A (zh) * 2009-03-10 2010-09-15 北京有色金属研究总院 荧光粉的连续动态还原设备及方法

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