JP2002025545A - アルカリ乾電池用ゲル状負極の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲル状負極の物性的安定と製造時間の短縮を
図る。 【解決手段】 亜鉛合金粉末とゲル化剤が混合された負
極亜鉛粉にアルカリ電解液を撹拌混合して得られるアル
カリ乾電池用ゲル状負極の製造方法である。ここで、前
記負極亜鉛粉とアルカリ電解液の混合を超音波の振動を
利用して行うようにした。上記方法によれば、超音波の
細かな振動でアルカリ電解液がゲル化剤へ吸収し易くな
り、短時間で飽和状態に達するようになる。これによ
り、ゲル状負極の物性（粘度）が安定し、電池性能のバ
ラツキを抑えることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ乾電池用
ゲル状負極の製造方法に関し、特に、ゲル状負極の物性
的安定と製造時間の短縮に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、アルカリ乾電池の負極は、亜
鉛合金粉末、ゲル化剤およびアルカリ電解液等を混合し
たゲル状負極が使用されている。通常、このゲル状負極
は、亜鉛合金粉末とゲル化剤を乾式で混合した後、更に
アルカリ電解液を加えて湿式で撹拌混合するという方法
で製造されている。この撹拌混合を好適に行うことによ
り、ゲル化した電解液に亜鉛粉が良好に分散してその表
面積が大きくなり、負極の性能を向上できる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、ゲル化剤は
吸収性が悪く、一般的に行われている混合翼や混合軸等
の回転動作を利用した混合機による撹拌混合では、アル
カリ電解液がゲル化剤に飽和状態に吸収される迄に多く
の時間を要し、ゲル状負極の物性（粘度）もなかなか安
定しなかった。このため、負極において亜鉛粉が良好に
分散されず、電池の電気的特性にバラツキが生じ易かっ
た。

【０００４】本発明は、上記従来のゲル状負極の製造方
法の問題点に鑑みて成されたもので、湿式での撹拌混合
を超音波振動で行うことで撹拌混合性を改善し、ゲル状
負極の物性的安定と製造時間の短縮を図ったアルカリ乾
電池用ゲル状負極の製造方法を提供することを目的とし
ている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、亜
鉛合金粉末とゲル化剤が混合された負極亜鉛粉にアルカ
リ電解液を撹拌混合して得られるゲル状負極の製造方法
において、前記負極亜鉛粉とアルカリ電解液の混合時に
超音波振動を加えて行うことを特徴とするものである。

【０００６】上記方法によれば、超音波の細かな振動で
アルカリ電解液がゲル化剤へ吸収し易くなり、短時間で
飽和状態に達するようになる。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明は、アルカリ乾電池に用い
るゲル状負極の製造方法に係わるものである。通常、ア
ルカリ乾電池の負極は、亜鉛合金粉末、ゲル化剤および
アルカリ電解液等を混合したゲル状の負極材が使用され
ている。ここで、電池性能を向上するには、アルカリ電
解液のゲル化剤への吸収性を良くしてアルカリ電解液を
短時間で十分に飽和させることが重要であって、それに
は湿式の撹拌混合をきめ細かく行うことが効果的であ
る。これにより、亜鉛粉の分散が良好となり内部抵抗が
安定するので、乾電池の電気的特性（主に短絡電流値の
バラツキ）が改善される。

【０００８】そこで、本発明では、亜鉛合金粉末とゲル
化剤を乾式で混合した後の負極亜鉛粉末とアルカリ電解
液の撹拌混合を超音波槽で行うようにした。超音波によ
る細かな振動がアルカリ電解液の吸収性を良くし、アル
カリ電解液は短時間でゲル化剤に吸収されるようにな
る。そこで、本発明の効果を確認するため、以下の実施
例で比較試験を行った。

【０００９】〔実施例１〕先ず、従来の方法と本発明の
方法でゲル化剤とアルカリ電解液を撹拌混合し、その際
のゲル化剤のアルカリ電解液吸収時間を測定した。その
結果を図１に示す。尚、アルカリ電解液としてＺｎＯを
含有する４０％のＫＯＨ水溶液を用いた。

【００１０】図１中、特性は本発明の方法、特性は
従来方法によるものである。図１によれば、アルカリ電
解液の吸水量が飽和状態に達する迄の時間は、従来の２
ｈに対して本発明では約０．５ｈであり、従来の１／４
に短縮されていることが分かる。

【００１１】〔実施例２〕次に、従来方法と本発明によ
りゲル状負極を製造し、湿式による撹拌混合後の各々ゲ
ル状負極粘度の経時変化を測定した。その結果を図２に
示す。尚、この時のゲル状負極の組成は以下の通りであ
る。 ４０％のＫＯＨ水溶液（含むＺｎ０）：３０重量％ ゲル化剤 ： ５重量％ Ｚｎ ：６５重量％

【００１２】図２中、特性は本発明の方法、特性は
従来方法によるものである。図２によれば、粘度が安定
する迄に従来方法では１０ｈを要したが、本発明では、
５ｈと従来の１／２に短縮されていることが分かる。ま
た、従来方法の場合では、粘度安定後、時間をおくに従
って徐々に粘度が低下するといった現象が見られる。

【００１３】〔実施例３〕また、上記組成のゲル状負極
を用いたＬＲ６型（単３型）アルカリ乾電池を各々３０
個組立し、組立直後における従来品と本発明品の短絡電
流値のバラツキを調査した。

【００１４】その結果、従来品におけるバラツキの標準
偏差は２．０、本発明品のバラツキの標準偏差は０．６
であった。これより、本発明品は電気特性において優れ
た安定性を有することが明らかになった。これはアルカ
リ電解液の吸収が良くなり、ゲル状負極の物性（粘度）
が安定したためである。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、亜鉛
合金粉末とゲル化剤が混合された負極亜鉛粉にアルカリ
電解液を撹拌混合して得られるゲル状負極の製造方法に
おいて、前記負極亜鉛粉とアルカリ電解液の混合時に超
音波振動を加えて行うようにしたので、超音波の細かな
振動によってアルカリ電解液がゲル化剤に短時間で吸収
されるようになり、物性的（粘度等）に安定したゲル状
負荷の製造が可能となる。これにより、電池性能が向上
すると共に、生産時間の短縮化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ゲル化剤のアルカリ電解液吸収時間を示す図で
ある。

【図２】ゲル状負極粘度の経時変化を示す図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 亜鉛合金粉末とゲル化剤が混合された負
   極亜鉛粉にアルカリ電解液等を撹拌混合して得られるア
   ルカリ乾電池用ゲル状負極の製造方法において、 前記負極亜鉛粉とアルカリ電解液の混合時に超音波振動
   を加えて行うことを特徴とするアルカリ乾電池用ゲル状
   負極の製造方法。