JP2002023555A - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents

印刷装置および印刷方法

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JP2002023555A
JP2002023555A JP2000210377A JP2000210377A JP2002023555A JP 2002023555 A JP2002023555 A JP 2002023555A JP 2000210377 A JP2000210377 A JP 2000210377A JP 2000210377 A JP2000210377 A JP 2000210377A JP 2002023555 A JP2002023555 A JP 2002023555A
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JP
Japan
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sheet
temperature
fixing
printing
image
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Application number
JP2000210377A
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English (en)
Inventor
Shoji Tomita
章嗣 冨田
Toshiaki Kagawa
敏章 香川
Yutaka Onda
裕 恩田
Hiroyuki Yamaji
博之 山地
Takashi Mukai
崇 向井
Hiroshi Ishii
洋 石井
Minoru Tomii
稔 冨依
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 定着後における画像の乱れや搬送ジャムを回
避し、画像定着を良好に行うことの可能な、両面印刷用
の印刷装置を提供する。 【解決手段】 本印刷装置は、シートを熱圧着してトナ
ー像を定着させる定着ローラ23と、表面印刷の際、シ
ートの画像形成面の温度(第1シート温度)を、水の沸
点以下であって、かつ、仮定着下限温度より高くするよ
うに、定着ローラ23における定着温度を制御する定着
制御部55とを有している。第1シート温度を上記のよ
うに設定しているので、十分な仮定着を実現できるとと
もに、シートにおける水分の上昇を抑えられる。これに
より、定着後における画像の乱れや搬送ジャムを回避
し、画像定着を良好に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トナー像をシート
に印刷する印刷装置と、この印刷装置において用いられ
ている印刷方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シート(記録用紙)の両面に画像
を印刷できる複写機が開発されている。この複写機で
は、まず、感光体ローラ,転写チャージャー,定着ロー
ラ等からなる画像形成部によって、シートの表面(おも
てめん)に対する印刷が行われる。その後、シートを裏
返し、再び画像形成部に搬送することによって、シート
の裏面にも印刷を行えるように設定されている。
【0003】ところで、多くの複写機では、感光体ロー
ラに形成したトナー像を、転写チャージャーによるコロ
ナ放電によってシートに転写するようになっている。ま
た、転写されたトナー像は、定着ローラによって熱圧着
されることで、シートに定着される。
【0004】ここで、通常の片面印刷では、トナー像の
転写を受けるシートの温度は常温(室温)である。この
ため、複写機の転写条件(コロナ放電における電圧値・
電流値等)は、常温でのシート特性(保湿性,電気抵抗
値等)や環境(温度,湿度等)を考慮して決定されてい
る。
【0005】しかしながら、両面印刷時における裏面印
刷のときには、トナー像の転写を受けるシートの温度
は、常温より高くなっている。これは、表面に対する印
刷の際、定着ローラによってシートが熱圧着されている
ことに起因する。すなわち、裏面への印刷時には、シー
トが高温になっているため、常温時に比してシートの水
分が減少しており、シートの電気抵抗値が上昇してい
る。従って、常温のシート特性を基に設定された転写条
件(転写電圧値等)では、特に高解像のトナー像を転写
する場合、良好な転写を行えないという問題が発生す
る。また、高温のシートは、感光体ローラの劣化を招来
する要因となる。
【0006】そこで、特開平5−107945号公報に
は、裏面印刷における良好な転写を実現するために、裏
面印刷時の転写電圧を、表面印刷時より高くする転写方
法が開示されている。これにより、裏面印刷時におい
て、抵抗値の高いシートに対して良好に転写処理を行え
るようになっている。
【0007】一方、表面印刷における熱圧着は、シート
に皺(しわ)を発生させるとともに、印刷面を外側にし
てシートをカールさせてしまう。このため、裏面印刷時
には、シートの搬送ジャムや、感光体ローラへのシート
の巻きつきが発生することがある(以下では、これら搬
送ジャムおよび感光体ローラへの巻きつきを、単に搬送
ジャムと称する)。
【0008】さらに、上記公報の方法のように、裏面印
刷時の転写電圧を高くすると、シートに供給される電荷
量が増加するため、静電気力によって搬送ジャムが促進
されてしまう。従って、特開昭60−17777号公報
に記載のように、搬送ジャムを抑制するためには、裏面
印刷時の転写電圧を、表面印刷時よりも低く設定するこ
とが好ましい。すなわち、転写電圧を制御するだけで
は、シートにおける抵抗値の上昇と搬送ジャムとの双方
を同時に解決することは不可能であるといえる。
【0009】一方、特開昭61−262776号公報に
は、定着温度を制御することで搬送ジャムを抑制する複
写機が開示されている。この複写機では、両面印刷時、
表面印刷における定着温度を、裏面印刷時よりも低くす
るように設定されている。さらに、両面・片面印刷にお
ける双方の定着温度を、片面印刷時よりも低くするよう
になっている。また、特開平5−173384号公報に
は、表面印刷時における定着ローラの温度(定着温度)
を90〜100℃程度まで低くする定着方法を採用して
いるプリンターが開示されている。
【0010】すなわち、これらの構成では、表面印刷に
おける定着を仮定着として、裏面印刷時に、表裏両面の
トナー像を本定着(完全定着)させるように設定されて
いる。これにより、表面印刷後におけるシートの皺の発
生を防止し、搬送ジャムを抑制するようになっている。
【0011】また、特開平11−338287号公報に
は、転写・定着のユニットを、シート搬送路の両側に備
え、シートの表裏両面に対して同時に画像形成を行うプ
リンターが開示されている。このプリンターでは、両面
に対して同時に転写・定着処理を行うため、裏面印刷時
における転写条件の変化や搬送ジャムといった問題を回
避できるようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
61−262776号公報では、表面印刷における定着
温度を明確に開示していない。従って、この公報の複写
機においても、表面印刷後におけるシートの水分減少・
搬送ジャムを確実には防止できない。
【0013】さらに、特開平5−173384号公報に
記載のプリンターでは、定着後におけるシートの温度に
着目していない。すなわち、トナー像における定着の適
否は、主に、定着温度ではなく、定着後のシートの温度
に依存する。従って、定着温度を90〜100℃に設定
するだけでは、トナー像を適切に仮定着できない可能性
がある。このため、この構成には、表面印刷後における
シート上のトナー像が不安定となり、裏面印刷における
搬送によって乱れてしまい、良好な画像形成を行えない
という問題がある。
【0014】また、特開平11−338287号公報に
記載の複写機では、転写・定着のユニットを2セット必
要とするため、製造コストを格段に増加させてしまうと
いう問題がある。
【0015】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決するために成されたものである。そして、その目的
は、両面印刷の可能な印刷装置であって、定着後におけ
るシートの温度を適切に制御することによって、画像の
定着後における画像の乱れや搬送ジャムを回避し、画像
定着を良好に行うことの可能な低コストの印刷装置と、
この印刷装置において用いられている印刷方法とを提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の印刷装置(本印刷装置)は、トナー像を
転写および定着させることでシートに画像を印刷する印
刷装置であって、シートの表面に対する画像の印刷を行
った後、シートの裏面に対しても画像を印刷するように
設定されている印刷装置において、シートの画像転写面
を押圧する第1加熱圧着部と、この第1加熱圧着部に対
向して設けられた第2加熱圧着部とを備え、これら第1
および第2加熱圧着部の間に挿入されたシートを加熱圧
着することで、シートに転写されたトナー像を定着させ
る定着部と、表面印刷の際、定着後におけるシートの画
像転写面の温度を、水の沸点以下であって、かつ、仮定
着下限温度より高くするように、また、裏面印刷の際、
定着後におけるシートの両面の温度を完全定着温度とす
るように、第1および第2加熱圧着部の定着温度を制御
する定着制御部とを有していることを特徴としている。
【0017】この本印刷装置は、複写機やプリンター,
ファクシミリ装置等、トナー像をシートに転写・定着す
るためのものである。そして、本印刷装置は、シートの
表面を印刷した後、シートの裏面に対しても画像を印刷
できる、両面印刷の可能な構成である。
【0018】また、本印刷装置では、シートに転写され
たトナー像を、定着部の第1・第2加熱圧着部による熱
圧着によって定着させるように設定されている。すなわ
ち、本印刷装置では、シートの画像転写面を押圧する第
1加熱圧着部と、画像転写面の裏側の面を押圧する第2
加熱圧着部とによってシートを加熱圧着することで、シ
ートに転写されたトナー像を定着させるようになってい
る。ここで、画像転写面とは、画像(トナー像)の転写
を受けた後、定着処理を全く受けていない(仮定着もさ
れていない)面のことである。
【0019】また、本印刷装置では、これら第1・第2
加熱圧着部による定着の温度(定着温度)を、定着制御
部によって制御するようになっている。そして、特に、
本印刷装置では、表面印刷の際、定着制御部が、定着後
におけるシートの画像転写面の温度(第1シート温度)
を水の沸点以下とするように、第1・第2加熱圧着部に
おける定着温度を制御するように設定されている。
【0020】通常、シートは、水の沸点より高い温度と
なると、内部の水分が激減する。このため、その体積抵
抗率が非常に上昇してしまう。従って、表面印刷後の第
1シート温度を沸点より高く設定すると、通常の転写条
件では、裏面印刷時におけるトナー像の転写を良好に行
えなくなる。また、転写条件を変更するためには、転写
電流の制御回路等を設ける必要があり、コストがかか
る。さらに、このような温度設定では、水分量の減少に
よってシートに皺(しわ)が発生し、裏面印刷時におけ
る搬送ジャムを生じやすくさせてしまう。
【0021】このため、本印刷装置では、表面印刷時に
おける第1シート温度を水の沸点以下とするように、第
1・第2加熱圧着部の定着温度を設定している。これに
より、裏面印刷時における画像の転写およびシートの搬
送を、容易に、かつ、良好に行えるようになっている。
【0022】さらに、本印刷装置では、水の沸点を基準
として第1シート温度を定めている。これにより、本印
刷装置では、定着温度や第1シート温度を単に100℃
以下とする構成と異なり、気圧の低い場所(あるいは高
い場所)で使用しても、表面印刷後におけるシートの水
分減少・抵抗変化を招来することがない。
【0023】すなわち、気圧の低い場所(標高の高い地
域等)で使用した場合には、水の沸点は低下する。従っ
て、この場合には、第1シート温度を100℃以下に設
定しても、表面印刷においてシートの水分が激減して体
積抵抗率が変化し、良好な画像形成を行えない。これに
対し、本印刷装置では、表面印刷時における第1シート
温度を、水の沸点以下とするように設定されている。こ
れにより、表面印刷時におけるシートの水分減少を確実
に回避できるようになっている。
【0024】さらに、本印刷装置では、定着制御部が、
表面印刷の際、第1シート温度を仮定着下限温度より高
くするように、第1・第2加熱圧着部における定着温度
を制御するように設定されている。仮定着下限温度と
は、トナー像を仮定着できる最低限の温度のことであ
り、例えば、トナーのガラス融点に依存する温度(ある
いは、トナーのガラス融点と同一の温度)である。
【0025】これにより、本印刷装置では、表面印刷後
におけるトナー像を、シートに対して確実に仮定着する
ことが可能となる。従って、裏面印刷時における搬送に
よって、表面の画像が乱れることを防止できる。
【0026】また、本印刷装置では、定着制御部が、裏
面印刷の際、シートの両面を完全定着温度とするよう
に、第1・第2加熱圧着部における定着温度を制御する
ように設定されている。ここで、完全定着温度とは、シ
ート上のトナー像を完全に定着させるために適したシー
ト温度である。これにより、本印刷装置では、裏面印刷
において、シートにおける表裏両面の画像を良好に定着
できるようになっている。
【0027】さらに、本印刷装置では、シートの画像転
写面とその裏側とを加熱圧着するための2つの加熱圧着
部(第1・第2加熱圧着部)を備えている。これによ
り、シートの両面をそれぞれ加熱できるので、一方の面
だけからシートを加熱する構成と異なり、シートの表裏
を一様な温度とできる。これにより、高温オフセットや
低温オフセットを防止することが可能となる。
【0028】また、本印刷装置では、定着制御部が、表
面印刷の際にはシートの画像転写面だけを加熱する一
方、裏面印刷の際にはシートの両面を加熱するように、
第1および第2加熱圧着部の定着温度を制御するように
設定されていることが好ましい。すなわち、表面印刷の
際には第1加熱圧着部だけを、また、裏面印刷の際には
第1・第2加熱圧着部の双方を用いて、シートを加熱す
るようになっていることが好ましい。これにより、シー
ト温度を容易に制御できる。また、表面印刷時における
加熱のためのエネルギー(電力)を節約できる。
【0029】また、定着制御部は、裏面印刷の際、シー
トの両面の温度をほぼ等しくするように、第1および第
2加熱圧着部の定着温度を制御するように設定されてい
ることが好ましい。すなわち、本印刷装置では、裏面印
刷時におけるシートの両面の温度差をなるべく小さく
(40℃〜50℃以下)することが好ましい。一般に、
トナーの非オフセット範囲は、50℃〜60℃程度であ
る。このため、表裏両面の温度差が50℃以上となる
と、一方の面の画像を良好に定着できても、他方の面の
画像を良好に定着できなくなる可能性がある。そこで、
本印刷装置では、この温度差を50℃以下とすることが
好ましい。これにより、シートにおける両面の画像を良
好に定着できる。
【0030】また、上記の定着制御部は、外気圧を測定
するための気圧測定部を備え、外気圧に応じて、第1・
第2加熱圧着部の定着温度を制御するように設定されて
いることが好ましい。このように構成すれば、表面印刷
の際、水の沸点を正確に求めることが可能となる。な
お、外気圧とは、本印刷装置の設置環境における気圧の
ことである。
【0031】さらに、定着制御部は、周囲温度を測定す
るための外気温度計を備え、周囲温度に応じて、第1・
第2加熱圧着部の定着温度を制御するように設定されて
いることが好ましい。また、上記定着制御部は、シート
の種類を判別できるように設定されていることが好まし
い。そして、裏面印刷の際、シートの種類に応じて、第
1・第2加熱圧着部の定着温度を制御するようになって
いることがさらに好ましい。
【0032】定着後におけるシートの温度は、定着温度
だけでなく、周囲温度(気温)や、シートの種類にも依
存する。従って、上記のように構成すれば、シートの温
度をより正確に制御できる。
【0033】また、特に、シートの種類は、裏面印刷時
においてシート温度を完全定着温度に設定するために重
要な要因となる。このため、裏面印刷の際、シートの種
類に応じて定着温度を制御することで、シート温度を完
全定着温度に正確に設定できる。
【0034】また、第1加熱圧着部は、加熱源を備え、
シートの画像転写面を押圧するための第1回転体からな
るとともに、第2加熱圧着部は、加熱源を備え、第1回
転体に対向して設けられた第2回転体からなり、第1・
第2回転体がシートを挟んで回転することにより、シー
トを熱圧着するように設定されていてもよい。これら第
1・第2回転体としては、例えば、ローラ対、ベルト
対、あるいは、ローラとベルトとの組み合わせから構成
できる。
【0035】また、この構成では、定着制御部は、表面
印刷の際、第1回転体における加熱源(加熱源の出力)
を制御することで、第1回転体の表面温度を第1加熱圧
着部の定着温度として制御するようになっていることが
好ましい。
【0036】さらに、この構成では、定着制御部が、表
面印刷後における第2回転体の表面温度、あるいは、シ
ートの裏面(第2回転体に接する面)に基づいて、シー
トの種類を判別するように設定されていることが好まし
い。表面印刷後における第2回転体の表面温度や、シー
トの裏面温度は、シートの種類(厚さ)に応じた値とな
る。従って、上記のように構成すれば、シートの種類を
容易に求めることが可能となる。
【0037】また、上記の構成では、定着制御部は、表
面印刷後におけるシートの裏面の温度Tu(℃)に応じ
て、裏面印刷の際、第1・第2回転体の表面温度Tr
(℃)を、 Tr=−1.6・Tu+230(℃) を満たすように制御することが好ましい。このように設
定すれば、シートの裏面の温度Tuを測定するだけで、
第1・第2回転体の表面温度Trの適切な値を容易に取
得できる。
【0038】また、本印刷装置には、トナー像をシート
に転写するスコロトロン方式の転写部を備えることが好
ましい。本印刷装置では、裏面印刷時に転写電流値を変
える必要がないため、ケース電流や放電電流を制御する
一方、転写電流を直接制御していない(シートの抵抗変
化に弱い)スコロトロン方式の転写部を用いる場合に、
特に有効となる。
【0039】また、本発明の印刷方法(本印刷方法)
は、トナー像を転写および定着させることでシートに画
像を印刷する印刷方法であって、シートの表面に対する
画像の印刷を行った後、シートの裏面に対しても画像を
印刷する印刷方法において、表面印刷の際、定着後にお
けるシートの画像転写面の温度を、水の沸点以下であっ
て、かつ、仮定着下限温度より高くするような定着温度
で、シートの画像転写面を加熱圧着する工程と、裏面印
刷の際、定着後におけるシートの両面の温度を完全定着
温度とするような定着温度で、シートの両面を加熱圧着
する工程とを含むことを特徴としている。
【0040】本印刷方法は、上記した本印刷装置におい
て使用されている印刷方法である。すなわち、本印刷方
法では、表面印刷時におけるシートの画像転写面の温度
を、水の沸点以下であって、かつ、仮定着下限温度より
高くするように、定着温度を設定している。これによ
り、裏面印刷時における画像の転写およびシートの搬送
を、容易に、かつ、良好に行うことが可能となってい
る。また、裏面印刷時、シートの両面を加熱圧着するよ
うになっているので、一方の面だけからシートを加熱す
る構成と異なり、シートの表裏両面を一様な温度とでき
る。これにより、高温オフセットや低温オフセットを防
止することが可能となる。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態について説明
する。図2は、本実施の形態にかかる印刷装置である小
型複写機(以下、本複写機とする)の構成を示す説明図
である。この図に示すように、本複写機は、略コの字型
の形状を有しており、スキャナー部A,印刷部B,用紙
搬送部Cと、シート排出機構Dとから構成されている。
【0042】まず、スキャナー部Aについて説明する。
図2に示すように、スキャナー部Aは、原稿台9および
スキャナー光学系10を有している。原稿台9は、透明
なガラスからなる原稿載置用の台である。また、原稿台
9の下方に配されたスキャナー光学系10は、原稿台9
に載置された原稿を光走査することにより、原稿画像の
データを取得するものである。
【0043】図2に示すように、このスキャナー光学系
10は、露光ランプ11,反射鏡12−1・12−2・
12−3,結像レンズ13および光電変換素子(CC
D)14を備えている。露光ランプ11は、原稿台9上
の原稿に対して光を照射するための光源である。反射鏡
12−1・12−2・12−3は、原稿からの反射光
を、例えば図中に一点鎖線で示すように、結像レンズ1
3およびCCD14まで導くものである。CCD14
は、結像レンズ13によって結像された反射光を受光
し、この反射光に応じた電気信号の画像データを生成す
るものである。CCD14の生成した画像データは、所
定の画像処理が施された後、後述するレーザースキャニ
ングユニットに伝達される。
【0044】次に、印刷部Bについて説明する。印刷部
Bは、CCD14によって生成された画像データに基づ
いてトナー像を生成し、これをシート(記録用紙)に転
写するためのものである。図2に示すように、印刷部B
は、感光体ローラ28,帯電部29,現像部30,転写
部31,クリーニング装置32およびレーザースキャニ
ングユニット(LSU)33を備えている。
【0045】感光体ローラ28は、円筒状のアルミニウ
ム素管に感光層(例えばOPC(Organic Photoconduct
ive Conductor )層)を塗布してなるドラム形状の感光
体であり、矢印W方向に回転駆動されるようになってい
る。帯電部29は、感光体ローラ28の表面を所定の電
位に均一に帯電させる、チャージャー型の帯電器であ
る。
【0046】LSU33は、帯電された感光体ローラ2
8の表面をレーザー光によって露光することにより、こ
の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能
を有するものである。現像部30は、黒トナーを収納し
ており、LSU33によって形成された静電潜像を現像
ローラ30aで現像することによって、感光体ローラ2
8の表面にトナー像を形成するものである。
【0047】転写部31は、感光体ローラ28上のトナ
ー像をシートに転写するための、スコロトロン方式のチ
ャージャー型のコロナ放電器である。すなわち、転写部
31は、高圧の転写電源を用いて転写電流をワイヤーに
通電させ、コロナ放電を起こすように設定されている。
そして、この放電によって、所定の転写領域(転写部3
1と感光体ローラ28との間の領域)に位置するシート
に対し、トナー像と逆極性の正電荷を与える(帯電させ
る)ものである。
【0048】これにより、転写部31は、感光体ローラ
28にシートを吸着させるとともに、感光体ローラ28
上のトナー像をシートに移動させるようになっている。
なお、転写部31では、シートの抵抗値が一定の場合、
シートの帯電量は、ワイヤーに流れる転写電流値(ある
いは転写電圧値(ワイヤーに印加する電圧値))に応じ
た量となる。また、クリーニング装置32は、トナー像
の転写後、感光体ローラ28の表面に残留したトナーを
掻き取って除去するものである。
【0049】次に、用紙搬送部Cについて説明する。用
紙搬送部Cは、印刷部Bにシートを供給するとともに、
シートに転写されたトナー像を定着させるためのもので
ある。また、用紙搬送部Cは、シートを本複写機の外部
に排出する機能も有している。
【0050】図2に示すように、用紙搬送部Cには、固
定給紙トレイ15および手差し給紙トレイ16なる2つ
の給紙トレイと、固定給紙搬送路N,手差し給紙搬送路
M,主搬送路L,サブ排出路Rおよび副搬送路Sの5種
類のシート搬送路とが設けられている。
【0051】また、これらシート搬送路および給紙トレ
イの近傍には、シートを給紙・搬送するための部材とし
て、ピックアップローラ18,給紙ローラ19,レジス
トローラ22,定着ローラ23,ガイド部材41・4
2,サブ排出ローラ25および副搬送ローラ27−1・
27−2・27−3が配されている。
【0052】さらに、用紙搬送部Cは、シート搬送路に
おける所定の位置をシートが通過したことを検知するた
めに、レジスト前検知スイッチ,定着紙検知スイッチお
よび排紙検知スイッチを(全て図示せず)備えている。
また、サブ排出路Rの端部および下方には、シートを排
出するためのサブ排出口40およびサブ排出トレイ39
が設けられている。
【0053】固定給紙トレイ15は、印刷にかかるシー
トPを収納するための給紙カセットである。手差し給紙
トレイ16は、固定給紙トレイ15に収納できない、あ
るいは収納したくない種類のシートを給紙するためのも
のである。
【0054】ピックアップローラ18は、固定給紙トレ
イ15および手差し給紙トレイ16の先端に備えられ、
これら給紙トレイ15・16からシートを1枚毎に出紙
する半月状の呼び込みローラである。また、給紙トレイ
15・16には、ピックアップローラ18による出紙を
適切に補助するための、用紙さばき部(図示せず)が設
けられている。この用紙さばき部は、ローラと摩擦シー
ト部材あるいは摩擦ローラとから構成することが可能で
ある。
【0055】給紙ローラ19は、固定給紙搬送路Nおよ
び手差し給紙搬送路Mにおける給紙トレイ15・16側
の先端に備えられている。そして、ピックアップローラ
18によってトレイ15・16から出紙されたシート
を、給紙搬送路N・Mを介して主搬送路Lに送り込む機
能を有している。
【0056】また、これら給紙搬送路N・Mおよび副搬
送路Sは、レジストローラ22の上流側(給紙トレイ側
を上流とし、シートの排出方向側を下流とする)で合流
している。そして、合流箇所の近傍には、レジスト前検
知スイッチが設けられている。このレジスト前検知スイ
ッチは、主搬送路Lに向けて搬送されているシートが所
定の位置(例えば上記の合流箇所)を通過したことを検
知し、所定の検知信号を出力するためのものである。
【0057】レジストローラ22は、主搬送路Lを搬送
されているシートをいったん保持するものである。そし
て、感光体ローラ28上のトナー像をシートに良好に転
写できるように、感光体ローラ28の回転にあわせて、
シートを転写部31にタイミングよく搬送する機能を有
している。
【0058】すなわち、レジストローラ22は、レジス
ト前検知スイッチの出力した検知信号に基づいて、感光
体ローラ28上のトナー画像の先端をシートにおける印
刷範囲の先端に押し付けるように、シートを搬送するよ
うに設定されている。
【0059】定着ローラ23は、所定の定着温度でシー
トを圧着することで、シートに転写されたトナー像を、
シートに対して熱定着させるものである。なお、定着ロ
ーラ23の詳細な構成については後述する。また、定着
ローラ23の近傍には、定着紙検知スイッチが設けられ
ている。そして、本複写機では、この定着紙検知スイッ
チによって、シートが定着ローラ23を通過したことを
検知するようになっている。
【0060】定着ローラ23の下流側では、主搬送路L
と副搬送路Sとの分岐点、および、メイン排出路Kとサ
ブ排出路Rとの分岐点(合流点)が設けられている。ま
た、各分岐点には、シートの搬送路を設定するためのガ
イド部材(切換ゲート)41・42が備えられている。
さらに、サブ排出路Rの終端に位置するサブ排出口40
の近傍には、シートをサブ排出トレイ39に排出するた
めのサブ排出ローラ25が設けられている。
【0061】また、ガイド部材41の近傍には、シート
がガイド部材41を通過したことを検知するための排紙
検知スイッチが設けられている。そして、この排紙検知
スイッチ,サブ排出ローラ25およびガイド部材41・
42は、副搬送路Sとともに両面印刷機構として機能す
るように設定されている。
【0062】すなわち、通常の片面印刷では、ガイド部
材41・42をa側に回動しておくことによって、主搬
送路Lとサブ排出ローラ25との間が開放されるように
なっている。これにより、定着ローラ23を抜けたシー
トが、サブ排出路Rに搬送され、順回転しているサブ排
出ローラ25によってサブ排出トレイ39に載置される
ように設定されている。
【0063】一方、両面に印刷を行う場合も、一方の面
に対する印刷が終了した後、シートは、主搬送路Lから
サブ排出路Rに搬送され、順回転しているサブ排出ロー
ラ25によってサブ排出口40の方向に送られる。
【0064】その後、排紙検知スイッチによりシートの
後端部がガイド部材41を通過したことが検知される
と、ガイド部材41がb側に回動されて副搬送路Sとサ
ブ排出ローラ25との間が開放されるとともに、サブ排
出ローラ25が、シートを保持したまま逆方向に回転す
るように設定されている。
【0065】これにより、シートは、後端部から副搬送
路Sに運ばれる。そして、副搬送ローラ27−1〜27
−3によって再びレジストローラ22まで搬送され、印
刷部Bによって裏面に印刷されるようになっている。
【0066】また、ガイド部材41をa側に、ガイド部
材42をb側にそれぞれ回動することで、主搬送路Lと
メイン排出路Kとの間が開放され、印刷後のシートをシ
ート排出機構Dに送れるようになっている。
【0067】このように、本複写機では、シートを、主
搬送路Lに沿って上方向に搬送し、さらに、主搬送路L
上に設けられた印刷部Bによって印刷処理を行うように
設定されている。これにより、装置全体のコンパクト化
を図ることが可能となっている。
【0068】次に、シート排出機構Dについて説明す
る。シート排出機構Dは、スキャナー部Aの下面に取り
付けられており、印刷部Bから印刷済のシートを受け取
って、ステープル処理等の後処理を施した後に出力する
機能を有している。
【0069】図2に示すように、シート排出機構Dは、
メイン排出路K,第1パス3および第2パス4のシート
搬送路と、トレイラック7に設置されたスライドトレイ
1およびエスケープトレイ2の排出トレイとを有してい
る。また、これらシート搬送路および排出トレイの近傍
には、シートに対する搬送および後処理を行うための、
ガイド部材43・44,第1排出ローラ群5,第2排出
ローラ群6およびステープラー8が備えられている。
【0070】メイン排出路Kは、シート排出機構Dにシ
ートを導入するための搬送路である。ガイド部材43
は、メイン排出路Kを搬送されてきたシートを、第1パ
ス3あるいは第2パス4のいずれかに導くための切換ゲ
ートである。
【0071】第1パス3および第2パス4は、メイン排
出路Kを通過してきたシートを外部に排出するための搬
送路である。第1パス3は、ステープラー8を備えてお
り、シートに対してステープル処理を施す場合に使用さ
れるルートである。また、第2パス4は、ステープル処
理を行わずにシートを排出するためのルートである。
【0072】また、本複写機では、ステープル処理を禁
止されているシート(特殊シートや小サイズのシート
等)をシート排出機構Dに搬送した場合には、自動的に
第2パス4が用いられるように設定されている。また、
第2パス4の終端部には、第2パス4を搬送されてきた
シートを第1排出ローラ群5に導くためのガイド部材4
4が設けられている。
【0073】第1排出ローラ群5は、第1パス3あるい
は第2パス4を搬送されてきたシートを、上下方向にス
ライド可能なスライドトレイ1に排出するためのローラ
である。また、第2排出ローラ群6は、第2パス4を搬
送されてきたシートを、スライドトレイ1の上方に設け
られたエスケープトレイ2に排出するためのローラであ
る。
【0074】トレイラック7は、スライドトレイ1およ
びエスケープトレイ2を設置し、さらに、これらトレイ
1・2上でのシートの散逸を防止するためのラックであ
り、本複写機において、手差し給紙トレイ16と反対側
の側面(図2における左側の側面)に設置されている。
【0075】スライドトレイ1は、積載されるシートの
量(重量)に応じて下方にスライドする排出トレイであ
る。従って、スライドトレイ1では、積載済みのシート
によって第1排出ローラ群5の前面を塞いでしまうこと
を防止できるので、シートを多量に保持できる。また、
積載済みのシートの位置が、排出にかかるシートによっ
てずれてしまうことを防止できるようになっている。
【0076】一方、エスケープトレイ2は、ステープル
処理を禁止されているシートを積載するための排出トレ
イである。また、エスケープトレイ2は、スライドトレ
イ1やサブ排出トレイ39を用いた連続複写を一時的に
中断して他の複写処理を行う場合(割り込み複写を行う
場合)にも使用される。
【0077】次に、本複写機の特徴的な構成である、定
着ローラ23の定着温度を制御するための定着制御部に
ついて説明する。図1は、本複写機における定着ローラ
23および定着制御部55を示すブロック図である。
【0078】定着ローラ(定着部)23は、接触型のロ
ーラ定着装置であり、図1に示すように、ハードローラ
101と、このハードローラ101を圧接するソフトロ
ーラ102とを有している。
【0079】図3は、定着ローラ23の構成を詳細に示
す説明図である。この図に示すように、ハードローラ
(第1加熱圧着部,第1回転体)101は、アルミ製の
芯金101a(厚さ1.5mm)の表面に、テフロン
(登録商標)の被覆層101b(厚さ20μm)を設け
た構成を有しており、その内部に、第1ヒーターランプ
(加熱源)101cを配設している。この第1ヒーター
ランプ101cは、ハードローラ101の加熱源であ
り、ハロゲンランプから構成されている。
【0080】また、ソフトローラ(第2加熱圧着部,第
2回転体)102は、図3に示すように、アルミ製の芯
金102a(厚さ2.0mm)の表面に、シリコンゴム
の被覆層102b(厚さ5mm)を設けた構成を有して
いる。また、その内部に、ハードローラ101の第1ヒ
ーターランプ101cと同様の、ハロゲンランプからな
る第2ヒーターランプ(加熱源)102cを配設してい
る。
【0081】このような構成を有する定着ローラ23で
は、図1に示すように、トナー像Tの転写されたシート
Pを、所定の定着速度(約125mm毎秒程度)で駆動
されているローラ101・102間に誘導するように設
定されている。
【0082】そして、これらローラ101・102にお
ける定着ニップ部Wn(圧接部;約3mm程度)によっ
て加熱圧着することにより、トナー像TをシートPに定
着させるようになっている。また、ローラ101・10
2の表面温度は、定着制御部55により調整される。な
お、以下では、シートPを熱圧着する直前(シートPに
触れる直前)におけるハードローラ101の表面温度を
第1定着温度、同じくソフトローラ102の表面温度を
第2定着温度と称する。
【0083】また、図1に示すように、ハードローラ1
01における被覆層101bの表面には、ハードローラ
101の表面温度を計測するためのローラ温度計104
・105が取り付けられている。これらのうち、ローラ
温度計104は、シートPを熱圧着する直前における表
面温度(第1定着温度;ニップ上流温度)を計測するも
のであり、ローラ温度計105は、熱圧着後の表面温度
(ニップ下流温度)を計測するものである。
【0084】また、同様に、ソフトローラ102におけ
る被覆層102bの表面には、ソフトローラ102の表
面温度を計測するためのローラ温度計106・107が
取り付けられている。これらのうち、ローラ温度計10
6は、シートPを熱圧着する直前における表面温度(第
2定着温度;ニップ上流温度)を計測するものであり、
ローラ温度計107は、熱圧着後の表面温度(ニップ下
流温度)を計測するものである。
【0085】さらに、定着ローラ23における搬送方向
下流側には、定着直後におけるシートの温度を測定する
ためのシート温度計108・109が設けられている。
これらのうち、シート温度計108は、シートにおける
ハードローラ101側の面の温度(第1シート温度)を
計測するものであり、シート温度計109は、同じくソ
フトローラ102側の面の温度(第2シート温度)を計
測するものである。
【0086】定着制御部55は、図1に示すように、上
記した温度計104〜109に接続されているととも
に、周囲温度(気温)を測定するための外気温度計11
0を備えている。さらに、定着制御部55は、記憶部5
4と、気圧センサー53とを有している。記憶部54
は、後述する温度設定テーブルを記憶するためのもので
ある。また、気圧センサー53は、図2に示すように、
副搬送路S側の外壁に取り付けられている水銀気圧計で
あり、本複写機の設置されている環境における気圧(外
気圧)を計測するものである。
【0087】そして、定着制御部55は、温度計104
〜110の測定結果に基づいて、シートの種類を判別す
る機能を有している。また、定着制御部55は、気圧セ
ンサー53および温度計104〜110の測定結果と、
シートの種類と、温度設定テーブルとに応じて、ヒータ
ーランプ101c・102cの出力を制御するように設
定されている。これにより、定着制御部55は、定着後
のシート温度(第1・第2シート温度)を所望の値とす
るように、ローラ101・102における第1・第2定
着温度を制御するようになっている。
【0088】ここで、温度設定テーブルとは、シートの
種類や気温,外気圧と、トナー像の転写されたシートを
熱圧着するために最適な定着温度との対応表である。ま
た、記憶部54は、定着の種類に応じた3種類の温度設
定テーブル(片面テーブル,表面テーブル,裏面テーブ
ル)を有している。
【0089】片面テーブルは、片面印刷(シートの表面
だけに画像を転写・定着させる印刷処理)の際に使用さ
れるテーブルであり、外気圧・気温と、シート上のトナ
ー像を完全に定着させるために適した第1定着温度(片
面定着温度)とが対応づけて記載されている表である。
なお、この片面定着温度は、トナー像を完全に定着させ
るために、第1シート温度を110℃(100℃〜13
5℃の範囲内の温度)とするような、第1定着温度であ
る。
【0090】また、表面テーブル・裏面テーブルは、両
面印刷(シートの表裏両面に画像を転写・定着させる印
刷処理)の際に使用されるテーブルである。
【0091】そして、表面テーブルには、外気圧・気温
と、シート上のトナー像を仮定着させるために適した第
1定着温度(仮定着温度)が記載されている。この仮定
着温度は、トナー像を一時的に定着させるために、第1
シート温度を、水の沸点以下であって、仮定着下限温度
より高い温度(外気圧が1気圧の場合、70℃〜100
℃程度)とするような第1定着温度である。なお、仮定
着温度は、上記した片面定着温度と、後述する最終定着
温度よりも低く設定されている。
【0092】ここで、仮定着下限温度とは、トナー像を
仮定着できる最低限の温度のことであり、例えば、トナ
ーのガラス融点に依存する温度(あるいは、トナーのガ
ラス融点と同一の温度)である。
【0093】また、裏面テーブルは、シートの種類,気
温,外気圧に応じた、シート上のトナー像を完全に定着
させるために適した第1・第2定着温度(最終定着温
度)とが対応づけて記載されている表である。この最終
定着温度は、上記した片面定着温度と同様の温度であ
り、トナー像を完全に定着させるために、第1・第2シ
ート温度を、110℃(完全定着温度;100℃〜13
5℃の範囲内の温度)とするような温度である。
【0094】このように、本複写機では、定着制御部5
5が、印刷処理が片面印刷である場合と両面印刷である
場合とで、異なる内容の温度設定テーブルを用い、定着
温度を適宜変更するように設定されている。さらに、定
着制御部55は、両面印刷時、表面印刷と裏面印刷とに
おいても、使用する温度設定テーブルを使い分け、定着
温度を適切に設定するようになっている。
【0095】なお、上記した片面定着後の第1シート温
度(T1)、仮定着後の第1シート温度(T2)、およ
び、完全定着後の第1・第2シート温度(T3)の関係
は、以下の(1)〜(3)式として表現できる。 T1>T2>T4 … (1) T3>T2>T4 … (2) Taq>T2 … (3) ここで、Taqは水の沸点、T4は仮定着下限温度を示
す符号である。
【0096】次に、定着制御部55による定着温度制御
における動作の流れについて説明する。図4は、定着制
御部55における動作の流れを示すフローチャートであ
る。この図に示すように、本複写機における印刷処理が
開始されると、定着制御部55は、印刷処理が、両面印
刷であるか片面印刷であるかを判断する(S1)。そし
て、判断結果に応じて、後述する片面印刷処理あるいは
両面印刷処理を実行し(S2・S3)、処理を終了す
る。
【0097】次に、片面印刷処理について説明する。図
5は、片面印刷処理の流れを示すフローチャートであ
る。この図に示すように、片面印刷処理では、定着制御
部55は、まず、外気温度計110を制御して気温を測
定させた後、気圧センサー53を制御して外気圧を計測
させる(S11)。その後、定着制御部55は、記憶部
54を制御して、片面テーブルを参照する(S12)。
【0098】そして、定着制御部55は、シートの表面
に転写された画像を完全に定着させるために、第1ヒー
ターランプ101cをONとし(S13)、片面テーブ
ルに基づいて、第1定着温度(ハードローラ101の表
面温度)を、気温および外気圧に応じた片面定着温度に
設定する(S14)。
【0099】なお、定着制御部55は、シートに対する
定着処理の間、ローラ温度計104を制御して、ハード
ローラ101における熱圧着にかかる直前部分の表面温
度(ニップ上流温度)を測定させ、測定結果に基づいて
第1定着温度をフィードバック制御するように設定され
ている(S15〜S17)。その後、定着制御部55
は、定着処理の終了を確認した後、第1ヒーターランプ
101cをOFFとして(S17・S18)、処理を終
了する。
【0100】次に、両面印刷処理について説明する。図
6は、両面印刷処理の流れを示すフローチャートであ
る。この図に示すように、両面印刷処理では、定着制御
部55は、まず、外気温度計110・気圧センサー53
を制御して、気温・外気圧を計測させた後(S21)、
記憶部54を制御して、表面テーブルを参照する(S2
2)。
【0101】そして、定着制御部55は、シートの表面
に転写された画像を仮定着させるために、第1ヒーター
ランプ101cをONとし(S23)、表面テーブルに
基づいて、第1定着温度を、気温および外気圧に応じた
仮定着温度に設定する(S24)。
【0102】また、シートの表面に対する定着処理の
間、定着制御部55は、ローラ温度計104を制御し
て、ハードローラ101のニップ上流温度を測定させ、
測定結果に基づいて第1定着温度をフィードバック制御
する(S25〜S28)。さらに、定着制御部55は、
定着処理の間に、ローラ温度計105を制御して、ソフ
トローラ102における熱圧着後の表面温度(ニップ下
流温度)を測定させ、測定結果に基づいて、シートの種
類(厚さ)を判別する(S27)。
【0103】また、表面に対する定着処理が終了した
後、定着制御部55は、外気温度計110・気圧センサ
ー53を制御して、気温・外気圧を再度計測させた後
(S29)、記憶部54を制御して、裏面テーブルを参
照する(S30)。
【0104】そして、定着制御部55は、シートの裏面
に転写された画像と、表面に仮定着されている画像とを
完全に定着させるために、第2ヒーターランプ102c
をONとする(S31)。そして、裏面テーブルに基づ
いて、第1定着温度および第2定着温度(ソフトローラ
102の表面温度)を、気温および外気圧に応じた最終
定着温度に設定する(S32)。
【0105】そして、シートの表裏両面に対する定着処
理の間、定着制御部55は、ローラ温度計104・10
6を制御して、ローラ101・102のニップ上流温度
を測定させ、測定結果に基づいて第1・第2定着温度を
フィードバック制御する(S33〜S35)。その後、
定着制御部55は、定着処理の終了を確認した後、ヒー
ターランプ101c・102cをOFFとして(S35
・S36)、処理を終了する。
【0106】以上のように、本複写機では、定着制御部
55が、両面印刷を行う際、表面印刷時の第1シート温
度を、水の沸点以下で、かつ、仮定着下限温度より高い
温度とするように、ハードローラ101の第1定着温度
を制御するように設定されている。このような制御によ
り、本複写機では、簡単な構成で画像転写を行えるとと
もに、搬送ジャムを防止することが可能となっている。
【0107】以下に、定着後のシート温度を上記のよう
に設定することで、簡単な構成での画像転写および搬送
ジャムの防止を実現できる理由について説明する。
【0108】図7は、本複写機においてシートを定着処
理した場合における、シートの温度と体積抵抗率との関
係を示すグラフである。なお、このグラフにかかる定着
処理は、常温・1気圧下における片面定着処理である。
また、使用したシートは、紙坪量75g/m2 のコピー
用紙であり、定着速度は毎秒61mm(61mm/se
c)である。なお、紙坪量とは、シートの厚さに依存す
る量(単位面積あたりの重量)である。
【0109】一般に、シートの温度が上昇すると、シー
ト内の水分が減少するため、その体積抵抗率(電気抵
抗)も上昇する。しかしながら、図7に示すように、シ
ートの温度が水の沸点(常温・1気圧下では約100
℃)以下であれば、シートの水分量は、室温(約20
℃)のときの値からほとんど変化しない。このため、そ
の体積抵抗率は、2×108 〜5×108 (Ω・cm)
の範囲でほとんど変わらない。
【0110】一方、シートの温度が水の沸点(100
℃)以上になると、シートにおける水分の蒸発量が激増
するため、水分量の減少が顕著となる。従って、図7に
示すように、シートの体積抵抗率は急激に上昇してゆ
く。
【0111】上記のことから、表面印刷後の第1シート
温度を沸点以上とする構成では、裏面印刷を行う際、シ
ートの体積抵抗率が大きく上昇してしまうことがわか
る。このため、シートの裏面に対してトナー像を転写す
るために、裏面印刷時の転写電流値を、表面印刷時より
高く設定しなければならなかった。また、このような転
写電流値の再設定は、高解像度(1200dpi以上)
のトナー像を扱う場合には、特に慎重に行う必要があっ
た。
【0112】従って、表面印刷後の第1シート温度を沸
点以上とする構成では、転写部31(図2参照)に、電
流制御回路を設ける必要が生じる。さらに、転写電流値
を高めることで、搬送ジャムの発生する可能性も高くな
る。
【0113】そこで、本複写機では、定着制御部55
が、表面印刷における第1シート温度を沸点以下とする
ように、ハードローラ101の第1定着温度を制御して
いる。これにより、表面印刷後におけるシートの体積抵
抗率の変化を抑制できる。このため、裏面印刷時に、表
面と同様の転写電流値によってトナー像の転写を行って
も、良好に画像を形成できる。
【0114】すなわち、本複写機では、裏面印刷の際に
転写電流値を上げる必要がないため、高解像のトナー像
を扱う場合でも、転写部31の転写電流を変更する必要
がない。これにより、電流制御回路等が不要となり、転
写部31の構成を簡略化することが可能となっている。
さらに、本複写機では、転写電流値を高めることによる
搬送ジャムも、良好に回避できるようになっている。
【0115】また、シートにおける水分量の減少は、シ
ートにおける皺(しわ)の発生の原因となる。上記した
ように、本複写機では、表面印刷後における第1シート
温度を沸点以下として、シートの水分減少を抑えてい
る。このため、裏面印刷時におけるシートの皺の発生を
防止でき、搬送ジャムの発生をより効果的に抑制するこ
とが可能となっている。
【0116】また、本複写機では、表面印刷時における
第1シート温度を低く設定しているので、裏面印刷時に
おけるシートの温度が低くなっている。従って、高温の
シートを感光体ローラ28に接触させることがないの
で、感光体ローラ28の劣化を防止できる。
【0117】また、上記したように、本複写機では、両
面印刷を行う際、定着制御部55によって、表面印刷時
の第1シート温度を、水の沸点以下で、かつ、仮定着下
限温度より高い温度とするように、ハードローラ101
の第1定着温度を制御するように設定されている。すな
わち、本複写機では、表面印刷時の第1シート温度を、
シート上のトナー像を確実に仮定着できる程度の十分に
高い温度に設定するようになっている。これにより、表
面印刷後におけるシート上のトナー像を十分に安定させ
られるので、このトナー像が、裏面印刷における搬送に
よって乱れてしまうことを回避することが可能となる。
【0118】このように、本複写機では、表面印刷時に
おける第1シート温度を、水の沸点以下で、かつ、仮定
着下限温度より高い温度とするようになっている。これ
により、表面印字後におけるトナー像を確実に仮定着で
きるとともに、シートの水分消失を回避できるようにな
っている。
【0119】さらに、上記したように、本複写機では、
定着制御部55によって、表面印刷時における第1シー
ト温度を、水の沸点を基準に設定している。すなわち、
第1シート温度を単に100℃以下とする構成と異な
り、気圧の低い場所(あるいは高い場所)で使用して
も、表面印刷後におけるシートの水分減少・抵抗変化を
招来することがないように設定されている。
【0120】すなわち、気圧の低い場所(標高の高い地
域等)で使用した場合には、水の沸点は低下する。従っ
て、この場合には、第1シート温度を100℃以下に設
定しても、表面印刷においてシートの水分が激減して体
積抵抗率が変化し、良好な画像形成を行えない。これに
対し、本複写機では、気圧センサー53によって気圧を
測定し、表面印刷時における第1シート温度を、水の沸
点以下とするように設定されている。これにより、表面
印刷時におけるシートの水分減少を確実に回避できるよ
うになっている。
【0121】ここで、表面印刷時の第1シート温度を、
水の沸点以下で、かつ、仮定着下限温度より高い温度と
するような、ハードローラ101の第1定着温度につい
て説明する。
【0122】図8および図9は、表面印刷(あるいは片
面印刷)の際、第1定着温度をそれぞれ160℃,90
℃に設定した場合における、アルミ製の芯金101aの
内表面(アルミ内面)の温度と、定着ニップ部Wn(図
1参照)内でのシートの温度(表面(加熱面)および裏
面の温度)とをシミュレーションした結果を示すグラフ
である。このシミュレーションは、常温・1気圧下で、
紙坪量75g/m2 のコピー用紙を、毎秒125mm
(125mm/sec)の速度で定着する処理について
行ったものである。
【0123】また、表1は、表面印刷において、周囲温
度,シートの厚さ,第1定着温度を様々に変更した場合
における、各部位の温度をシミュレーションした結果を
示す表である。この表1、および、後述する表2・3に
おいて、R.Tは気温(℃)、tは紙坪量(g/
2 ),Tr1・Tr2は第1・第2定着温度(℃)、
Ta1・Ta2はローラ101・102のニップ下流温
度(℃)、Tp1・Tp2は第1・第2シート温度
(℃)、Tpはシートの平均温度((Tp1+Tp2)
/2;℃)である。
【0124】
【表1】
【0125】図8および表1に示すように、第1定着温
度Tr1を160℃に設定した場合、第1シート温度T
p1(図8では、ニップ位置が3mmのときのシート温
度)は100℃を超えてしまう。従って、第1定着温度
Tr1を160℃に設定すると、表面印刷後におけるシ
ートの水分を減少させてしまうことがわかる。また、図
9および表1に示すように、第1定着温度Tr1を90
℃に設定する場合、第1シート温度Tp1を、紙坪量お
よび気温によらず、65℃〜80℃程度とできる。従っ
て、第1定着温度Tr1を90℃に設定すると、画像を
良好に仮定着できることがわかる。
【0126】図8,図9および表1に示したシミュレー
ション結果、および、他の測定結果より、表面印刷時に
おいてトナー像を良好に仮定着させるための好ましい第
1定着温度は、1気圧下において、周囲温度に応じて9
0℃〜125℃であることが確認されている。
【0127】また、第1シート温度を沸点以下とする定
着では、トナー像を完全には定着できず、仮定着状態と
なる。そこで、本複写機では、裏面印刷時における第1
・第2シート温度が110℃(100℃〜135℃の範
囲内の温度)となるように、ローラ101・102の第
1・第2定着温度を制御している。これにより、裏面印
刷時に、表面・裏面の両方を一度に完全定着できるよう
になっている。
【0128】ここで、裏面印刷時の第1・第2シート温
度を100℃〜135℃とするような、ローラ101・
102の第1・第2定着温度について説明する。図10
は、表面印刷(第1定着温度;90℃)の後に行った裏
面印刷の際、第1・第2定着温度をともに145℃に設
定した場合における、アルミ製の芯金101aの内表面
(アルミ内面)の温度と、定着ニップ部Wn内でのシー
トの温度(表面・裏面の温度)とをシミュレーションし
た結果を示すグラフである。このシミュレーションは、
常温・1気圧下で、紙坪量75g/m2 のコピー用紙
を、毎秒125mm(125mm/sec)の速度で定
着する処理について行ったものである。
【0129】また、表2は、表面印刷(第1定着温度;
90℃)の後に行った裏面印刷の際、周囲温度,シート
の厚さ,第1・第2定着温度を様々に変更した場合にお
ける、各部位の温度をシミュレーションした結果を示す
表である。
【0130】
【表2】
【0131】図10および表2に示すように、裏面印刷
時の第1・第2シート温度Tp1・Tp2を100℃〜
135℃に設定するための第1・第2定着温度Tr1・
Tr2は、シートの種類(厚さ)に応じて変化すること
がわかる。これは、裏面印刷直前のシートの温度が、シ
ートの厚さに依存するためである。
【0132】そこで、本複写機では、定着制御部55
が、第1定着温度Tr1と、ソフトローラ102におけ
るニップ下流温度Ta2とに基づいて、シートの種類を
判別している。そして、シートの種類に応じて、裏面印
刷時における第1・第2定着温度Tr1・Tr2を制御
するように設定されている。
【0133】これにより、シートの熱容量や、裏面印刷
直前のシート温度を推測できるので、裏面印刷時におけ
る第1・第2シート温度を非常に正確に制御することが
可能となっている。なお、より具体的には、定着制御部
55は、シートの厚さの増加に応じて、裏面印刷時にお
ける第1・第2定着温度を高めるように設定されてい
る。これは、厚いシートを用いる場合には、裏面印刷直
前のシート温度が低くなるため、裏面印刷において第1
・第2シート温度を適切な値にするために高い定着温度
が必要となるからである。
【0134】なお、第1・第2定着温度は、互いに同一
の値に設定されてもよいし、表2の最下段に示すよう
に、互いに独立した値に設定されてもよい。互いに同一
の値に設定するようにすれば、定着制御部55の処理を
簡略化できる。また、互いに独立した値に設定できるよ
うにすれば、裏面印刷時における完全定着を、より精度
よく実現できる。
【0135】また、定着制御部55は、裏面印刷におい
て第1・第2定着温度を設定する際、ヒーターランプ1
01c・102cの双方を、同様に制御する(同様の出
力とする)ようにしてもよい。このようにすれば、定着
制御部55の処理を簡略化できる。また、各ヒーターラ
ンプ101c・102cをそれぞれ独立して制御するよ
うにしてもよい。このようにすれば、裏面印刷時におけ
る完全定着を、より精度よく実現できる。
【0136】また、図11は、シートの紙坪量と、表面
印刷(第1定着温度;90℃)後における第2シート温
度、および、その後に行われる裏面印刷における好まし
い第1・第2定着温度との関係をシミュレーションした
結果を示すグラフである。
【0137】また、図12は、図11に示した表面印刷
後における第2シート温度と好ましい第1・第2定着温
度とを横軸・縦軸に採用して、これらの温度の関係を示
したグラフである。このグラフより、第1・第2定着温
度(Tr)は、表面印刷後における第2シート温度(T
p2)に応じて、以下の(4)式を満たすように設定さ
れることが好ましいといえる。 Tr=−1.6・Tp2+230 … (4) なお、(4)式におけるTr,Tp2,230の単位は
全て(℃)である。
【0138】また、表3は、裏面印刷の際、周囲温度,
シートの厚さおよび第1・第2定着温度を様々に変更し
た場合における、各部位の温度をシミュレーションした
結果を示す表である。この表において、Tは、表面印刷
時における第1定着温度である。
【0139】
【表3】
【0140】この表のに示すように、表面印刷時にお
ける第1定着温度を90℃とした場合、ハードローラ1
01(Tr1)だけを160℃に加熱する設定では、裏
面印刷後における第2シート温度を十分に高くできず、
低温オフセットを招いてしまう。
【0141】また、に示すように、同じくハードロー
ラ101(Tr1)だけを170℃に設定すると、裏面
印刷後における第1シート温度を高めすぎてしまい、高
温オフセットを招来する。
【0142】さらに、に示すように、表面印刷時にお
ける第1定着温度Tを160℃とする場合には、上記し
たように、表面印刷後におけるシートの水分減少によ
り、適切な裏面印刷を行えない。
【0143】一方、に示すように、ローラ101・1
02の双方(Tr1・Tr2)を加熱するように設定す
れば、裏面印刷後における第1・第2シート温度Tp1
・Tp2を適切な値に設定できることがわかる。
【0144】従って、本複写機では、裏面印刷時、ハー
ドローラ101とソフトローラ102との2つのローラ
によって、シートを両面から加熱するように設定されて
いる。これにより、本複写機では、シートの表裏両面の
画像を完全に定着できるようになっている。
【0145】また、本複写機では、定着制御部55が、
気温,外気圧に応じた、片面定着温度・仮定着温度の記
載されている片面テーブルおよび表面テーブルを用い
て、第1定着温度を制御するように設定されている。さ
らに、定着制御部55は、シートの種類,気温,外気圧
に応じた最終定着温度の記載されている裏面テーブルを
用いて、第1・第2定着温度を制御するようになってい
る。これにより、定着温度を求めるための演算を行う必
要がないため、定着温度の設定処理における効率を高め
ることが可能となる。
【0146】また、本実施の形態では、仮定着後の第1
シート温度を、水の沸点以下であって、仮定着下限温度
より高い温度とするように、仮定着温度を設定するとし
ている。しかしながら、この第1シート温度を、水の沸
点以下30℃以内の温度とするように、仮定着温度を設
定するようにしてもよい。
【0147】また、本実施の形態では、気圧センサー5
3が水銀気圧計であるとしている。しかしながら、気圧
センサー53としては、アネロイド気圧計等、どのよう
な原理の気圧計を使用してもよい。
【0148】また、定着ローラ23におけるローラ10
1・102の近傍に、安全装置を設けるようにしてもよ
い。この安全装置は、サーモスタットや温度ヒューズ等
からなるものである。さらに、この安全装置は、ローラ
温度計104・106や定着制御部55の故障等によ
り、ローラ101・102の表面温度を制御できなくな
った場合に、ヒーターランプ101c・102cへの通
電を遮断する機能を有していることが好ましい。
【0149】また、本実施の形態では、本複写機が、定
着装置として、2つのローラ101・102からなる、
定着ローラタイプの定着ローラ23を備えているとして
いる。しかしながら、本複写機の定着装置としては、ど
のよう方式のものを用いてもよい。
【0150】例えば、本複写機の定着装置として、ベル
ト定着装置を用いてもよい。すなわち、第1・第2ロー
ラに代えて、加熱源を備えたベルト対を用いてもよい。
また、本複写機の定着装置を、シートの一方の面をロー
ラで、他方の面をベルトで、それぞれ加熱圧着できるよ
うに構成してもよい。また、本複写機の定着装置とし
て、非接触定着装置(赤外線ランプ方式、キセノンフラ
ッシュ方式、面状ヒーター方式等)を用いてもよい。
【0151】また、本複写機における各テーブルの値
(定着温度)は、本複写機における定着方式や、定着ニ
ップ部Wnの幅、定着速度に応じて変化させることが好
ましい。また、定着制御部55は、記憶部54を備え
ず、最適な定着温度を、シートの種類,気温および外気
圧に応じて、所定のプログラムを用いた計算によって求
めるようにしてもよい。また、定着制御部55は、シー
トの種類,気温および外気圧の全てではなく、シートの
種類のみ、気温のみ、あるいは、外気圧のみに基づい
て、第1・第2定着温度を設定するようにしてもよい。
このようにすれば、定着制御部55の構成を簡略化でき
るので、本複写機の製造コストを削減できる。また、各
テーブルを簡略化できるので、記憶部54の容量を節約
できる。
【0152】また、本実施の形態では、図6のS27に
示したように、ソフトローラ102における熱圧着後の
表面温度(ニップ下流温度)を測定させ、測定結果に基
づいて、シートの種類(厚さ)を判別するとしている。
しかしながら、これに限らず、S27において、シート
温度計109を制御して第2シート温度を測定させ、こ
の温度に基づいてシートの厚さを判別するようにしても
よい。また、シート温度計108・109によって第1
・第2シート温度を測定させ、これらの温度差からシー
トの厚さを判別するようにしてもよい。
【0153】また、本実施の形態では、図6のS27に
示したように、両面印刷時における裏面印刷の際にシー
トの種類を判別し、シートの種類,気温,気圧に応じ
て、第1・第2定着温度を設定するとしている。しかし
ながら、これに限らず、片面印刷時、あるいは、表面印
刷時においてもシートの種類を判別し、シートの種類を
考慮した上で第1定着温度を設定するようにしてもよ
い。
【0154】また、本実施の形態では、表面印刷後にお
けるシートの体積抵抗率にほとんど変化がないため、裏
面印刷の際に、転写部31の転写電流を変更する必要が
ないとしている。しかしながら、これに限らず、転写部
31に電流制御回路を設け、表面印刷時と裏面印刷時と
で、転写電流を変更するようにしてもよい。
【0155】すなわち、上記したように、表面印刷時の
第1シート温度を沸点程度とした場合でも、表面印刷後
におけるシートの体積抵抗率は、僅かに上昇する。そこ
で、この僅かの差を埋めるために、裏面印刷時の転写電
流値を、表面印刷時(および片面印刷時)より高くし
て、シートの帯電量を適切に制御するように設定されて
いることが好ましい。
【0156】また、本実施の形態では、本複写機におけ
る転写部31を、スコロトロン方式のチャージャー型の
コロナ放電器としている。本複写機では、裏面印刷時に
転写電流を変える必要がないため、ケース電流や放電電
流を制御する一方、転写電流値を直接制御していない
(シートの抵抗変化に弱い)スコロトロン方式の転写部
31を用いる場合に、特に有効となる。しかしながら、
これに限らず、転写部31として、接触ローラ型(バイ
アスローラ型)の放電器を使用することもできる。
【0157】また、本実施の形態では、本発明の印刷装
置を、小型複写機として示している。しかしながら、こ
れに限らず、本発明の印刷装置は、トナー像を転写する
ための転写装置と、転写されたトナー像を定着するため
の定着装置とを備えた装置であれば、複写機に限らず、
ファクシミリ装置やプリンターにも容易に応用すること
が可能である。
【0158】また、本実施の形態では、仮定着温度(仮
定着時における第1定着温度)を、周囲温度に応じて9
0℃〜125℃に設定している。このため、本複写機に
用いるトナーとしては、内部成分である結着樹脂やワッ
クス等の融点が低く設定されている低融点のものを用い
ることが好ましい。これにより、上記の仮定着温度によ
って、良好な仮定着を行うことが可能となる。
【0159】また、本実施の形態では、片面定着時、あ
るいは、両面印刷時における裏面印刷の際、シート温度
を110℃(100℃〜135℃の範囲内の温度)とす
るとしている。これは、上記のシート温度における好ま
しい値の範囲が100℃〜135℃であり、さらに好ま
しい温度値が約110℃であるということを意味してい
る。
【0160】また、本発明の印刷装置は、トナー像を転
写および定着させることでシートに画像を印刷する印刷
装置であって、シートの表面に対する画像の印刷を行っ
た後、シートの裏面に対しても画像を印刷するように設
定されている印刷装置において、シートを熱圧着するこ
とで、シートに転写されたトナー像を定着させる定着部
と、表面印刷の際、定着後におけるシートの画像形成面
の温度を、水の沸点以下であって、かつ、仮定着下限温
度より高くとするように、また、裏面印刷の際、定着後
におけるシートの両面の温度を完全定着温度とするよう
に、定着部における定着温度を制御する定着制御部とを
有しており、さらに、上記定着部は、シートの画像転写
面を押圧する加熱源を備えた第1ローラ(第1加熱圧着
部)と、この第1ローラに対向して設けられ、加熱源を
備えた第2ローラ(第2加熱圧着部)とを備えており、
上記定着制御部は、裏面印刷の際、第1・第2ローラと
の双方における加熱源の出力を制御することで、これら
第1・第2ローラの表面温度を定着温度として制御する
ように設定されていてもよい。さらに、この定着制御部
は、第1および第2ローラの表面温度を互いに同一とす
るように、各ローラの加熱源を制御するようになってい
る構成であってもよい。また、この定着制御部は、各ロ
ーラの加熱源をそれぞれ独立して制御するようにしても
よい。
【0161】また、本発明の印刷装置を、トナー像を転
写および定着させることでシートに画像を印刷する印刷
装置であって、シートの表面に対する画像の印刷を行っ
た後、シートの裏面に対しても画像を印刷するように設
定されている印刷装置において、シートを熱圧着するこ
とで、シートに転写されたトナー像を定着させる定着部
と、表面印刷の際、定着後におけるシートの画像形成面
の温度を、水の沸点以下であって、かつ、仮定着下限温
度より高くするように、また、裏面印刷の際、定着後に
おけるシートの両面の温度を完全定着温度とするよう
に、さらに、ニップ離脱時(定着部を抜けたとき;定着
後)におけるシートの表面と裏面との温度をほぼ等しく
するように(40℃〜50℃以下の温度差とするよう
に)、定着部における定着温度を制御する定着制御部と
を有している構成である、と表現することもできる。
【0162】この構成では、裏面印刷時に、シートにお
ける表裏両面を完全定着(本定着)するように設定され
ている。一般的なトナーの非オフセット範囲は、50℃
〜60℃程度である。このため、表裏両面の温度差が大
きいと、一面を良好な離脱後シート温度となるように設
定したとき、他の一面は適正温度範囲から逸脱してしま
い、定着不良を引き起こす。もしくは、逸脱しないにせ
よ、設計温度マージン(許容範囲)が極めて小さくな
り、信頼性が低くなる。そこで、上記の構成では、ニッ
プ離脱時のシートにおける表裏両面の温度差を、40℃
〜50℃以下としている。これにより、信頼性が高く、
かつ良好な両面印刷を実現できる。
【0163】また、本発明の課題は、高解像度化時(1
200dpi以上)における両面画質の向上であるとい
える。また、本発明の解決方法は、表面の定着温度を沸
点以下にし、裏面転写性を確保し、裏面定着時には用紙
重量を判別し、用紙に適合した定着温度にヒートローラ
・プレッシャーローラ(ソフトローラ)を温度制御し良
好な定着性を得ることであるといえる。
【0164】また、本複写機では、含水率5%のシート
を使用できる。さらに、本複写機では、ドットピッチが
1200dpi(21.2μm)の画像を形成できる。
また、本複写機のレンズ径は20μmであり、レンズ焦
点距離は309μm(n=1.5)である。
【0165】また、本発明では、仮定着の際、シートの
抵抗における過激な変動を抑えるために、シートの温度
(第1シート温度)を沸点以下としている。すなわち、
仮定着では、沸点は気圧に影響される。一方、完全定着
(本定着)では、トナーを適正な溶融状態にし、シート
に密着させるだけであるため、定着温度に対する気圧の
影響は少ないといえる。
【0166】また、本発明を、以下の第1〜第12の定
着装置として表現することもできる。すなわち、第1の
定着装置は、片面印刷定着温度T1,両面印刷表面印刷
定着温度T3,両面印刷裏面定着温度T2および定着下
限温度T4が、T1>T3>T4,T2>T3>T4で
あって、T3<水の沸点Taqとなっていることを特徴
とする構成である。これにより、表面印刷工程の定着温
度を沸点以下として画質劣化を防止した裏面転写を行う
両面印刷において、良好な両面定着を実現できる。
【0167】また、第2の定着装置は、第1の定着装置
において、特に用紙種類に応じて定着温度を制御するこ
とを特徴としている。また、第3の定着装置は、第2の
定着装置において、用紙種類判別手段を有していること
を特徴としている。これらにより、用紙の影響を受けや
すい裏面行程の定着における紙面温度を精度良く制御で
きる。
【0168】また、第4の定着装置は、第3の定着装置
において、表面定着後の用紙表面温度もしくはローラ表
面温度により、用紙の種類を判断することを特徴として
いる。これにより、簡単な構成で用紙判別が可能とな
る。また、第5の定着装置は、第4の定着装置におい
て、周囲温度をあわせて検出することを特徴としてい
る。これにより、用紙判別精度を向上できる。
【0169】また、第6の定着装置は、第1の定着装置
において、裏面行程で両面加熱を行うことを特徴として
いる。これにより、幅広い用紙種類に対応して良好な定
着が可能となる。また、第7の定着装置は、第6の定着
装置において、片面、もしくは表面印刷時には、ヒート
ローラのみ加熱することを特徴としている。これによ
り、電力消費を抑制できる。
【0170】また、第8の定着装置は、第6の定着装置
において、裏面行程で両面加熱する際にヒートローラ、
プレッシャーローラが同一の温度に設定に制御されてい
ることを特徴としている。これにより、両面加熱の温度
制御が容易になる。また、第9の定着装置は、第6の定
着装置において、裏面行程で両面加熱する際にヒートロ
ーラ、プレッシャーローラが個々に設定された温度に制
御されていることを特徴としている。これにより、裏
面、表面の最適制御ができる。
【0171】また、第10の定着装置は、第3の定着装
置において、表面定着後の用紙表面温度もしくはヒート
ローラ表面温度をTp(℃)、定着器の設定温度をTf
(℃)としたとき、 Tf≒−1.4×Tp+230 とすることを特徴としている。これにより、用紙に対応
する温度条件を限定することが可能となる。また、第1
1の定着装置は、第1〜第10のいずれかの定着装置に
おいて、特にスコロトロン転写を用いた装置であること
を特徴としている。本発明は、ケース電流、もしくは放
電電流を制御し、転写電流を直接制御してないスコロト
ロンに有効である。
【0172】また、第12の定着装置は、片面印刷定着
温度T1,両面印刷表面印刷定着温度T3,両面印刷裏
面定着温度T2および定着下限温度T4が、T1>T3
>T4,T2>T3>T4であって、T3<沸点Taq
であり、定着部材の比熱C(J/(kg・k)) ,密度ρ(kg/m
3 ),厚みL(m) ,定着部材の単位面積あたりの定格加
熱電力P(W/m2),表面定着終了から裏面定着開始
までの時間△t1が、 P>(ρ・C・L)・(T2−Taq)/△t1 であることを特徴としている。これにより、表面印刷工
程の定着温度を沸点以下として画質劣化を防止した裏面
転写を行う両面印刷において、良好な両面定着を実現で
きる。
【0173】
【発明の効果】以上のように、本発明の印刷装置(本印
刷装置)は、トナー像を転写および定着させることでシ
ートに画像を印刷する印刷装置であって、シートの表面
に対する画像の印刷を行った後、シートの裏面に対して
も画像を印刷するように設定されている印刷装置におい
て、シートの画像転写面を押圧する第1加熱圧着部と、
この第1加熱圧着部に対向して設けられた第2加熱圧着
部とを備え、これら第1および第2加熱圧着部の間に挿
入されたシートを加熱圧着することで、シートに転写さ
れたトナー像を定着させる定着部と、表面印刷の際、定
着後におけるシートの画像転写面の温度を、水の沸点以
下であって、かつ、仮定着下限温度より高くするよう
に、また、裏面印刷の際、定着後におけるシートの両面
の温度を完全定着温度とするように、第1および第2加
熱圧着部の定着温度を制御する定着制御部とを有してい
る構成である。
【0174】本印刷装置では、表面印刷の際、定着制御
部が、定着後におけるシートの画像転写面の温度(第1
シート温度)を水の沸点以下とするように、第1・第2
加熱圧着部における定着温度を制御するように設定され
ている。これにより、裏面印刷時における画像の転写お
よびシートの搬送を、容易に、かつ、良好に行えるよう
になっている。
【0175】さらに、本印刷装置では、水の沸点を基準
として第1シート温度を定めている。これにより、本印
刷装置では、定着温度や第1シート温度を単に100℃
以下とする構成と異なり、気圧の低い場所(あるいは高
い場所)で使用しても、表面印刷後におけるシートの水
分減少・抵抗変化を招来することがない。
【0176】さらに、本印刷装置では、定着制御部が、
表面印刷の際、第1シート温度を仮定着下限温度より高
くするように、第1・第2加熱圧着部における定着温度
を制御するように設定されている。これにより、本印刷
装置では、表面印刷後におけるトナー像を、シートに対
して確実に仮定着することが可能となる。従って、裏面
印刷時における搬送によって、表面の画像が乱れること
を防止できる。
【0177】また、本印刷装置では、定着制御部が、裏
面印刷の際、シートの両面を完全定着温度とするよう
に、第1・第2加熱圧着部における定着温度を制御する
ように設定されている。これにより、本印刷装置では、
裏面印刷において、シートにおける表裏両面の画像を良
好に定着できるようになっている。
【0178】さらに、本印刷装置では、シートの画像転
写面とその裏側とを加熱圧着するための2つの加熱圧着
部(第1・第2加熱圧着部)を備えている。これによ
り、シートの両面をそれぞれ加熱できるので、一方の面
だけからシートを加熱する構成と異なり、シートの表裏
を一様な温度とできる。これにより、高温オフセットや
低温オフセットを防止することが可能となる。
【0179】また、本印刷装置では、定着制御部が、表
面印刷の際にはシートの画像転写面だけを加熱する一
方、裏面印刷の際にはシートの両面を加熱するように、
第1および第2加熱圧着部の定着温度を制御するように
設定されていることが好ましい。すなわち、表面印刷の
際には第1加熱圧着部だけを、また、裏面印刷の際には
第1・第2加熱圧着部の双方を用いて、シートを加熱す
るようになっていることが好ましい。これにより、シー
ト温度を容易に制御できる。また、表面印刷時における
加熱のためのエネルギー(電力)を節約できる。
【0180】また、定着制御部は、裏面印刷の際、シー
トの両面の温度をほぼ等しくするように、第1および第
2加熱圧着部の定着温度を制御するように設定されてい
ることが好ましい。すなわち、本印刷装置では、裏面印
刷時におけるシートの両面の温度差をなるべく小さく
(40℃〜50℃以下)することが好ましい。一般に、
トナーの非オフセット範囲は、50℃〜60℃程度であ
る。このため、表裏両面の温度差が50℃以上となる
と、一方の面の画像を良好に定着できても、他方の面の
画像を良好に定着できなくなる可能性がある。そこで、
本印刷装置では、この温度差を50℃以下とすることが
好ましい。これにより、シートにおける両面の画像を良
好に定着できる。
【0181】また、上記の定着制御部は、外気圧を測定
するための気圧測定部を備え、外気圧に応じて、第1・
第2加熱圧着部の定着温度を制御するように設定されて
いることが好ましい。このように構成すれば、表面印刷
の際、水の沸点を正確に求めることが可能となる。
【0182】さらに、定着制御部は、周囲温度を測定す
るための外気温度計を備え、周囲温度に応じて、第1・
第2加熱圧着部の定着温度を制御するように設定されて
いることが好ましい。また、上記定着制御部は、シート
の種類を判別できるように設定されていることが好まし
い。そして、裏面印刷の際、シートの種類に応じて、第
1・第2加熱圧着部の定着温度を制御するようになって
いることがさらに好ましい。定着後におけるシートの温
度は、定着温度だけでなく、周囲温度(気温)や、シー
トの種類にも依存する。従って、上記のように構成すれ
ば、シートの温度をより正確に制御できる。
【0183】また、特に、シートの種類は、裏面印刷時
においてシート温度を完全定着温度に設定するために重
要な要因となる。このため、裏面印刷の際、シートの種
類に応じて定着温度を制御することで、シート温度を完
全定着温度に正確に設定できる。
【0184】また、第1加熱圧着部は、加熱源を備え、
シートの画像転写面を押圧するための第1回転体からな
るとともに、第2加熱圧着部は、加熱源を備え、第1回
転体に対向して設けられた第2回転体からなり、第1・
第2回転体がシートを挟んで回転することにより、シー
トを熱圧着するように設定されていてもよい。
【0185】また、この構成では、定着制御部は、表面
印刷の際、第1回転体における加熱源(加熱源の出力)
を制御することで、第1回転体の表面温度を第1加熱圧
着部の定着温度として制御するようになっていることが
好ましい。
【0186】さらに、この構成では、定着制御部が、表
面印刷後における第2回転体の表面温度、あるいは、シ
ートの裏面(第2回転体に接する面)に基づいて、シー
トの種類を判別するように設定されていることが好まし
い。表面印刷後における第2回転体の表面温度や、シー
トの裏面温度は、シートの種類(厚さ)に応じた値とな
る。従って、上記のように構成すれば、シートの種類を
容易に求めることが可能となる。
【0187】また、上記の構成では、定着制御部は、表
面印刷後におけるシートの裏面の温度Tu(℃)に応じ
て、裏面印刷の際、第1・第2回転体の表面温度Tr
(℃)を、 Tr=−1.6・Tu+230(℃) を満たすように制御することが好ましい。このように設
定すれば、シートの裏面の温度Tuを測定するだけで、
第1・第2回転体の表面温度Trにおける適切な値を容
易に取得できる。
【0188】また、本印刷装置には、トナー像をシート
に転写するスコロトロン方式の転写部を備えることが好
ましい。本印刷装置では、裏面印刷時に転写電流値を変
える必要がないため、ケース電流や放電電流を制御する
一方、転写電流を直接制御していない(シートの抵抗変
化に弱い)スコロトロン方式の転写部を用いる場合に、
特に有効となる。
【0189】また、本発明の印刷方法(本印刷方法)
は、トナー像を転写および定着させることでシートに画
像を印刷する印刷方法であって、シートの表面に対する
画像の印刷を行った後、シートの裏面に対しても画像を
印刷する印刷方法において、表面印刷の際、定着後にお
けるシートの画像転写面の温度を、水の沸点以下であっ
て、かつ、仮定着下限温度より高くするような定着温度
で、シートの画像転写面を加熱圧着する工程と、裏面印
刷の際、定着後におけるシートの両面の温度を完全定着
温度とするような定着温度で、シートの両面を加熱圧着
する工程とを含む方法である。
【0190】本印刷方法は、上記した本印刷装置におい
て使用されている印刷方法である。すなわち、本印刷方
法では、表面印刷時におけるシートの画像転写面の温度
を、水の沸点以下であって、かつ、仮定着下限温度より
高くするように、定着温度を設定している。これによ
り、裏面印刷時における画像の転写およびシートの搬送
を、容易に、かつ、良好に行うことが可能となってい
る。また、裏面印刷時、シートの両面を加熱圧着するよ
うになっているので、一方の面だけからシートを加熱す
る構成と異なり、シートの表裏両面を一様な温度とでき
る。これにより、高温オフセットや低温オフセットを防
止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる印刷装置である小
型複写機における、定着ローラおよび定着制御部の構成
を示す説明図である。
【図2】上記した小型複写機の構成を示す説明図であ
る。
【図3】図1に示した定着ローラの構成を詳細に示す説
明図である。
【図4】図1に示した定着制御部の動作を示すフローチ
ャートである。
【図5】図4に示したフローチャートにおける、片面印
刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図4に示したフローチャートにおける、両面印
刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】常温・1気圧下における、シートの温度と体積
抵抗率との関係を示すグラフである。
【図8】表面印刷の際、第1定着温度を160℃に設定
した場合における、アルミ製の芯金の内表面(アルミ内
面)の温度と、定着ニップ部内でのシートの温度(表面
(加熱面)および裏面の温度)とをシミュレーションし
た結果を示すグラフである。
【図9】表面印刷の際、第1定着温度を90℃に設定し
た場合における、アルミ製の芯金の内表面の温度と、定
着ニップ部内でのシートの温度とをシミュレーションし
た結果を示すグラフである。
【図10】表面印刷(第1定着温度;90℃)の後に行
った裏面印刷の際、第1・第2定着温度をともに145
℃に設定した場合における、アルミ製の芯金の内表面の
温度と、定着ニップ部内でのシートの温度とをシミュレ
ーションした結果を示すグラフである。
【図11】シートの紙坪量と、表面印刷(第1定着温
度;90℃)後における第2シート温度、および、その
後に行われる裏面印刷における好ましい第1・第2定着
温度との関係をシミュレーションした結果を示すグラフ
である。
【図12】図11に示した表面印刷後における第2シー
ト温度と好ましい第1・第2定着温度とを横軸・縦軸に
採用して、これらの温度の関係を示したグラフである。
【符号の説明】
23 定着ローラ(定着部) 31 転写部 53 気圧センサー(気圧測定部) 54 記憶部 55 定着制御部 101 ハードローラ(第1加熱圧着部,第1
回転体) 101c 第1ヒーターランプ(加熱源) 102 ソフトローラ(第2加熱圧着部,第2
回転体) 102c 第2ヒーターランプ(加熱源) 104〜110 温度計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 恩田 裕 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 山地 博之 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 向井 崇 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 石井 洋 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 冨依 稔 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H028 BA06 BB04 2H033 AA10 AA14 AA46 BB12 BB17 BB21 BB30 BB34 CA01 CA04 CA08 CA16 CA30

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トナー像を転写および定着させることでシ
    ートに画像を印刷する印刷装置であって、シートの表面
    に対する画像の印刷を行った後、シートの裏面に対して
    も画像を印刷するように設定されている印刷装置におい
    て、 シートの画像転写面を押圧する第1加熱圧着部と、この
    第1加熱圧着部に対向して設けられた第2加熱圧着部と
    を備え、これら第1および第2加熱圧着部の間に挿入さ
    れたシートを加熱圧着することで、シートに転写された
    トナー像を定着させる定着部と、 表面印刷の際、定着後におけるシートの画像転写面の温
    度を、水の沸点以下であって、かつ、仮定着下限温度よ
    り高くするように、 また、裏面印刷の際、定着後におけるシートの両面の温
    度を完全定着温度とするように、第1および第2加熱圧
    着部の定着温度を制御する定着制御部とを有しているこ
    とを特徴とする印刷装置。
  2. 【請求項2】上記定着制御部は、 表面印刷の際にはシートの画像転写面だけを加熱する一
    方、裏面印刷の際にはシートの両面を加熱するように、
    第1および第2加熱圧着部の定着温度を制御するように
    設定されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷
    装置。
  3. 【請求項3】上記定着制御部は、裏面印刷の際、シート
    の両面の温度をほぼ等しくするように、第1および第2
    加熱圧着部の定着温度を制御するように設定されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
  4. 【請求項4】上記定着制御部は、 外気圧を測定するための気圧測定部を有しており、 外気圧に応じて、第1および第2加熱圧着部の定着温度
    を制御するように設定されていることを特徴とする請求
    項2に記載の印刷装置。
  5. 【請求項5】上記定着制御部は、 周囲温度を測定するための外気温度計を有しており、 周囲温度に応じて、第1および第2加熱圧着部の定着温
    度を制御するように設定されていることを特徴とする請
    求項2に記載の印刷装置。
  6. 【請求項6】上記定着制御部は、 シートの種類を判別するように設定されており、 裏面印刷の際、シートの種類に応じて、第1および第2
    加熱圧着部の定着温度を制御するようになっていること
    を特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
  7. 【請求項7】上記第1加熱圧着部は、加熱源を備え、シ
    ートの画像転写面を押圧するための第1回転体からなる
    とともに、上記第2加熱圧着部は、加熱源を備え、第1
    回転体に対向して設けられた第2回転体からなり、 上記定着制御部は、表面印刷後における第2回転体の表
    面温度に基づいて、シートの種類を判別するように設定
    されていることを特徴とする請求項6に記載の印刷装
    置。
  8. 【請求項8】上記第1加熱圧着部は、加熱源を備え、シ
    ートの画像転写面を押圧するための第1回転体からなる
    とともに、上記第2加熱圧着部は、加熱源を備え、第1
    回転体に対向して設けられた第2回転体からなり、 上記定着制御部は、表面印刷後におけるシートの裏面の
    温度に基づいて、シートの種類を判別するように設定さ
    れていることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
  9. 【請求項9】上記定着制御部は、表面印刷後におけるシ
    ートの裏面の温度Tu(℃)に応じて、裏面印刷の際、
    第1および第2回転体の表面温度Tr(℃)を、 Tr=−1.6・Tu+230(℃) を満たすように制御することを特徴とする請求項8に記
    載の印刷装置。
  10. 【請求項10】トナー像をシートに転写するスコロトロ
    ン方式の転写部を備えていることを特徴とする請求項1
    に記載の印刷装置。
  11. 【請求項11】トナー像を転写および定着させることで
    シートに画像を印刷する印刷方法であって、シートの表
    面に対する画像の印刷を行った後、シートの裏面に対し
    ても画像を印刷する印刷方法において、 表面印刷の際、定着後におけるシートの画像転写面の温
    度を、水の沸点以下であって、かつ、仮定着下限温度よ
    り高くするような定着温度で、シートの画像転写面を加
    熱圧着する工程と、 裏面印刷の際、定着後におけるシートの両面の温度を完
    全定着温度とするような定着温度で、シートの両面を加
    熱圧着する工程とを含むことを特徴とする印刷方法。
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