JP2002022782A - 高調波特性測定用計測装置 - Google Patents

高調波特性測定用計測装置

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JP2002022782A JP2000206514A JP2000206514A JP2002022782A JP 2002022782 A JP2002022782 A JP 2002022782A JP 2000206514 A JP2000206514 A JP 2000206514A JP 2000206514 A JP2000206514 A JP 2000206514A JP 2002022782 A JP2002022782 A JP 2002022782A
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政和 塚本
Yasukazu Natsuda
育千 夏田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路部を鉄板等の金属板で覆って接地シール
ドを施すことなく、計測データ収集用のA/D変換部に
電力系統の基本波に同期した同期制御信号を供給するP
LL回路部のノイズが、A/D変換部の入力に影響しな
いようにする。 【解決手段】 電力系統2の電圧,電流の検出信号をサ
ンプリングしてデジタルデータに変換する計測データ収
集用のA/D変換部17,34と、入力信号に含まれた
基本波の位相情報に基づき系統基本波に同期した同期制
御信号を形成して変換部17,34に供給し,サンプリ
ングを系統基本波に同期させるPLL回路部9,30
と、変換部17,34の検出信号の入力ラインと別個に
設けられ,入力信号として基本波の情報を含んだ単相の
電圧信号をPLL回路部9,30に供給する同期入力ラ
イン21b,21cとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統の高調波
(測定調波)についての特性を測定する高調波特性測定
用計測装置に関し、詳しくは、その計測データを収集す
るA/D変換のノイズ対策に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電力系統にあっては、家電機器,
OA機器,産業機器等から発生する高調波電流を抑制
し、系統の電圧歪みを低減することが重要な課題の1つ
であり、そのため、電力系統の時々刻々の高調波特性を
測定する必要がある。
【0003】そして、電力系統のn次高調波は、系統基
本波に同期したその周波数(系統基本周波数)fsの整
数倍の周波数n・fsであり、代表的な5次,7次の高
調波は周波数5・fs,7・fsである。
【0004】これらの高調波に対する電力系統の特性
(高調波特性)を測定するため、本出願人は、特願平8
−310192号,特願平9−180570号等によ
り、つぎに説明する高調波特性の測定方法を既に出願し
ている。
【0005】すなわち、既出願の高調波特性の測定は、
電力系統の測定対象のn次高調波の上下の系統基本波の
非整数倍の周波数の電流を次数間高調波の電流として電
力系統に注入し、この注入に基づく電力系統の計測電
流,計測電圧の周波数解析により、電力系統の注入周波
数の次数間高調波の電流,電圧を検出してその注入周波
数の次数間高調波についてのアドミタンス又はインピー
ダンスを求め、このアドミタンス又はインピーダンスか
ら測定対象の高調波についての電力系統のアドミタンス
又はインピーダンスを補間演算して決定し、電力系統の
高調波特性を測定するものである。
【0006】この場合、次数間高調波の電流が電力系統
に本来存在しない系統基本周波数fsの非整数倍周波数
の電流であるため、電力系統の次数間高調波に対するア
ドミタンス又はインピーダンスを、系統に存在する高調
波の影響を受けることなく、小量の電流注入で精度よく
求めることができ、この結果を用いて電力系統の例えば
5次,7次の高調波についての時々刻々の高調波特性を
精度よく測定して把握することができる利点がある。
【0007】そして、この高調波特性の測定に用いられ
る従来の高調波特性測定用計測装置は、注入機能及び測
定機能の両方を備える場合、例えば前記特願平9−18
0570号の明細書,図面等にも記載されているよう
に、ぼぼ図5に示すように形成される。
【0008】この図5の従来の高調波特性測定用計測装
置1aは、電力系統2の系統電源3と負荷4との間の適
当な位置,例えば高調波電流低減用のフィルタ装置が接
続される位置を高調波注入点5とし、この注入点5に後
述するように次数間高調波の電流を注入する。
【0009】ところで、電力系統2には周波数fsの基
本波のほかに、系統基本波の整数倍の周波数n・fsの
n次高調波が存在し、このn次高調波について、高調波
注入点5からみた系統2の下位(負荷側)はほぼ負荷4
が接続された状態にあり、上位(電源側)は例えば線路
インピーダンス6を介して系統電源3が接続された状態
にある。
【0010】そして、n次高調波に対する注入点5の上
位,下位のノートンの定理で表現した高調波等価回路
は、それぞれアドミタンスと電流源との並列回路とみな
せる。
【0011】なお、下位の電流源は実際に存在するので
はなく、負荷による電流歪み等で等価的に形成されるも
のである。
【0012】また、上位の線路インピーダンス6等は電
力系統2の線路特性から予め把握されており、既知であ
る。
【0013】そして、n次高調波を測定調波とし、この
測定調波についての高調波注入点5の上位,下位の時々
刻々変化するアドミタンス(回路定数)を求める場合、
高調波注入点5の電圧(3相系統電圧)を変圧器7によ
り降圧して計測し、高調波注入点5の上位,下位の少な
くとも一方、例えば上位の電流(3相系統電流)を変流
器8により計測する。
【0014】また、変圧器7の検出電圧の信号をPLL
回路部9に供給し、この回路部9により、制御部10の
制御に基づき、系統電源3の例えば60Hzの系統基本波
に同期した系統基本波の非整数倍周波数の同期制御信号
を形成する。なお、図中の11はキーボード等からなる
操作部である。
【0015】そして、動作基準の前記同期制御信号に基
づき、注入源信号作成部12により、n次高調波の上下
の系統基本波に同期した次数間高調波の注入信号を作成
し、この注入信号を増幅器13により増幅して次数間高
調波の電流を形成し、この電流を注入回路14,開閉器
15を介して高調波注入点5に注入する。
【0016】このとき、高調波注入点5に注入する次数
間高調波の各相の電流は、変流器16により検出する。
【0017】また、次数間高調波の電流の注入に基づく
高調波注入点5の電圧を変圧器7により検出するととも
に、高調波注入点5の上位を流れる電流を変流器8によ
り検出する。
【0018】そして、変圧器7の電圧の検出信号及び変
流器8の電流の検出信号を計測データ収集用のA/D変
換部17により、PLL回路部9の同期制御信号に基づ
くサンプリングタイミング作成部18のタイミング制御
に基づき、次数間高調波の電流の注入毎に、電力系統2
の各相の電圧,電流の検出信号を基本波に同期してサン
プリングし、計測結果のデジタルデータ(計測データ)
に変換する。
【0019】さらに、A/D変換部17の計測データを
信号処理部19に送り、この信号処理部19により、つ
ぎに説明する演算から、電力系統2の高調波注入点5よ
り上位,下位の少なくとも一方を注目側としてこの注目
側の測定調波についてのアドミタンス等を求める。
【0020】すなわち、高調波注入点5に注入される次
数間高調波の各相の電流をIxとし、この電流Ixの注
入に基づき、電力系統2の高調波注入点5より上位,下
位それぞれを流れる電流をIx1,Ix2とする。また、
電流Ixに基づく高調波注入点5の3相の電圧をVxと
する。
【0021】このとき、電流Ixが電力系統2に存在し
ない電流であるため、電流Ix1 ,Ix2 に基づく電力
系統の高調波注入点5より上位,下位のアドミタンスを
Yx 1 ,Yx2 とすると、アドミタンスYx1,Yx
2は、つぎの数1,数2の式それぞれから求まる。
【0022】
【数1】Yx1=Ix1/Vx
【0023】
【数2】Yx2=Ix2/Vx
【0024】なお、電流Ix1,Ix2のいずれか一方を
測定すれば、Ix1=Ix−Ix2,Ix2=Ix−Ix1
の演算により他方が求まることから、電力系統2の高調
波注入点5より下位を注目側とする場合、実際には、信
号処理部19は、A/D変換部17の計測データのFF
T解析,DFT解析等のデジタル周波数分析によって次
数間高調波の電圧Vx及び電流Ix,Ix1を求め、電
流Ix,Ix1に基づき、Ix2=Ix−Ix1の演算か
ら注目側の測定調波の上下両側の中間次数調波の電流I
2を求める。
【0025】そして、電流Ixが電力系統2に存在しな
い周波数の電流であることから、注入電力量が微小であ
っても、アドミタンスYx1,Yx2は電力系統2の高調
波の影響を受けることなく正確に求まる。
【0026】また、電力系統2の注目側の測定調波につ
いてのアドミタンスをYm,測定調波の上下両側の次数
間高調波についてのアドミタンスをYx(u),Yx
(d)とすると、測定調波についてのアドミタンスYm
が、アドミタンスYx(u),Yx(d)の中間値とし
て求まる。
【0027】そのため、信号処理部19はアドミタンス
Yx(u)(=Yx1(u)又はYx2(u))と,アド
ミタンスYx(d)(=Yx1(d)又はYx2(d))
とに基づき、単純平均或いは最小二乗法等の補間演算を
実行し、電力系統2の高調波注入点5の上位,下位の測
定調波についてのアドミタンスYmを求めて決定する。
【0028】そして、アドミタンスYx(u),Yx
(d)が電力系統2の高調波の影響を受けることなく正
確に算出されるため、測定調波についてのアドミタンス
Ymも正確に求まり、電力系統2の高調波特性が測定さ
れる。
【0029】また、電力系統2の高調波特性を一層正確
に測定するときは、高調波注入点5の上位,下位につ
き、測定調波のアドミタンスYmだけでなく、このアド
ミタンスYmに並列な測定調波の信号源Gmも求めて完
全な等価回路を得る。
【0030】なお、信号源Gmについては、次数間高調
波の電流注入の終了後、開閉器15が開放した状態での
変圧器7,変流器8の検出信号に基づくA/D変換部1
7の計測データの周波数分析により、電力系統2の測定
調波の電圧(高調波電圧),電流(高調波電流)を求め
て決定する。
【0031】ところで、アドミタンスの逆数がインピー
ダンスになることから、電力系統2の高調波注入点5の
上位,下位につき、測定調波の等価回路をインピーダン
スと電圧源との直列回路として高調波特性を測定するこ
とも可能である。
【0032】また、特願平9−197806号,特願平
9−197808号の明細書,図面等に記載されている
ように、次数間高調波の電流を下位系統から注入して上
位系統等で測定してもよく、このように注入点と測定点
とが異なる場合は、測定装置(計測装置)は測定機能の
みを備えていてもよい。
【0033】一方、計測装置の小型化,軽量化等を図る
場合は、特願平10−202424号の明細書,図面等
に記載されているように、インバータ等の単相電流の注
入装置を使用し、この注入装置から出力された次数間高
調波の単相電流を、3相注入用の変圧器の1次低圧側2
相の線間に注入し、その2次高圧側の各相から電力系統
の各相に次数間高調波の電流を注入し、いわゆる単相注
入方式で高調波特性を測定することが好ましい。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】前記図5の従来装置1
aの場合、その一部を示した図6のように、電力系統2
が6.6kV系統であれば、変圧器7は6.6kVの3
相系統電圧を200Vに降圧し、2次側のU,V,Wの
各相の200Vの検出電圧を3相の入力ライン20を介
してA/D変換部17に供給し、同時に、変圧器7の2
次側のいずれか1相,例えばU相の計測電圧を、単相の
同期入力ライン21aを介してPLL回路部9に供給し
ている。
【0035】この場合、同期入力ライン21aがノイズ
の受信アンテナとして作用し、受信ノイズがA/D変換
部17の入力ライン20のうちの同期入力ライン21a
が分岐したU相ライン(チャンネル)に混入し、A/D
変換部17のU相入力にのみ重畳されるため、計測精度
を著しく損ねる。
【0036】そこで、従来は大地に接地した金属板のケ
ース等からなる図5の実線のシールド体22により、ノ
イズを拾い易い微弱信号の回路部分全体を囲んで覆い、
A/D変換部17の各相の入力にノイズが重畳しないよ
うにしている。
【0037】この場合、鉄板等の金属板のシールド体2
2を設けるため、計測装置1aは大型,大重量になり、
しかも高価になる問題点がある。そして、前記の単相注
入方式の場合等にも同様の問題点がある。
【0038】ところで、PLL回路部9は同期入力ライ
ン21aの電圧位相の情報に基づいてサンプリングの同
期制御信号を形成するため、同期入力ライン21aの電
圧信号に大きな電圧歪みが生じていても、その波形の歪
みは問題にならない。
【0039】本発明は、前記の諸点に留意してなされた
ものであり、回路部を鉄板等の金属板で覆って接地シー
ルドすることなく、計測データ収集用のA/D変換部に
同期制御信号を供給するPLL回路部の入力回路のノイ
ズが、A/D変換部の入力に影響しないようにする。
【0040】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本発明の高調波特性測定用計測装置は、電力系統
の電圧,電流の検出信号をサンプリングしてデジタルデ
ータに変換する計測データ収集用のA/D変換部と、入
力信号に含まれた系統基本波の位相情報に基づき系統基
本波に同期した同期制御信号を形成してA/D変換部に
供給し,サンプリングを系統基本波に同期させるPLL
回路部と、A/D変換部の検出信号の入力ラインと別個
に設けられ,入力信号として系統基本波の情報を含んだ
単相の電圧信号を前記PLL回路部に供給する同期入力
ラインとを備える。
【0041】この場合、PLL回路部の同期入力ライン
が、計測データ収集用のA/D変換部の検出信号の入力
ラインと別個であるため、同期入力ラインがノイズの受
信アンテナとして作用しても、このアンテナのノイズが
A/D変換部の入力ラインのいずれの相にも影響せず、
従来のような接地シールドを施さなくても計測精度を損
ねることがない。
【0042】したがって、従来のシールド体を省き、小
型,軽量で安価に形成することができる。
【0043】そして、同期入力ラインが、電力系統に降
圧用の変圧器を介して接続された専用ラインからなる場
合は、回路構成によらず簡単に実現することができる。
【0044】また、次数間高調波を前記の単相注入方式
で電力系統に注入する場合は、次数間高調波の単相電流
が1次低圧側2相の線間に供給され,2次高圧側の各相
の次数間高調波の電流を電力系統の各相に注入する3相
注入用の変圧器を備え、この変圧器の1次低圧側から同
期入力ラインを引出すようにすることが好ましい。
【0045】この場合、3相注入用の変圧器の1次側及
び2次側はA/D変換部の入力ラインと別個であり、同
期入力ラインのノイズがA/D変換部の入力ラインに影
響することがない。
【0046】しかも、3相注入用の変圧器の1次側の電
圧レベルがノイズに比して十分に大きいため、この面か
らも計測精度を損ねることがない。
【0047】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図
1〜図4を参照して説明する。 (1形態)まず、本発明の実施の1形態について、全体
構成を示した図1及びその一部を示した図2を参照して
説明する。それらの図面において、図5,図6と同一符
号は同一もしくは相当するものを示し、この形態の高調
波特性測定用計測装置1bは、従来装置1aの同期入力
ライン21aを省き、電力系統2の例えばU相に降圧用
(6.6kV/200V)の単相変圧器23を介して同
期入力ライン21bとしての専用ライン24を接続し、
この専用ライン24の単相の電圧信号をPLL回路部9
に供給する。
【0048】この場合、同期入力ライン21bがA/D
変換部17の3相の入力ライン20と別個に設けられ、
同期入力ライン21bがノイズの受信アンテナとして作
用してもこのノイズはA/D変換部17のどの相の入力
にも重畳されない。
【0049】一方、同期入力ライン21bの電圧信号が
ノイズによって大きな電圧歪みを含んでいても、PLL
回路部9はその位相情報に基づいてサンプリングの同期
制御信号を精度よく形成する。
【0050】したがって、同期入力ライン21bのノイ
ズが問題にならず、従来装置1aのように金属板のシー
ルド体で回路部を覆って接地シールドを施す必要がな
く、計測装置1bを、金属板のシールド体を省いて従来
装置1aより著しく小型,軽量で安価に形成できる。
【0051】そして、この形態の場合は次数間高調波の
注入機能を備えていない場合にも適用することができ、
計測装置の回路構成によらず、簡単に実現することがで
きる。
【0052】(他の形態)つぎに、本発明の実施の他の
形態について、図3,図4を参照して説明する。図3は
単相注入方式の場合の構成を示し、上位系統25に変電
所の変圧器26を介して接続された6.6kVの電力系
統27の高調波特性を測定する場合、高調波特性測定用
計測装置1cは、マイクロコンピュータ構成の制御装置
28の注入制御に基づき、分周回路部29はPLL回路
部30の同期制御信号を適当に分周し、注入装置として
のインバータ31に電力系統27の系統基本波に同期し
た駆動制御信号を供給する。
【0053】そして、この駆動制御信号に基づき、イン
バータ31が5次,7次等の測定調波の上下の次数間高
調波の単相電流を形成し、この単相電流を200V/
6.6kVの3相注入用の変圧器32の1次低圧側(2
00V側)の2相線間に注入し、変圧器32の2次高圧
側の各相の次数間高調波の電流を電力系統27の各相に
注入する。
【0054】一方、電力系統27の各相の電圧を3相降
圧用の変圧器33により検出し、この変圧器33の2次
低圧側の3相の電圧検出信号を、図1,図2のA/D変
換部17と同様のA/D変換部34に供給する。
【0055】また、単相注入に基づく電力系統27の各
相への注入電流量を把握するため、変圧器32の1次低
圧側に単相降圧用の変圧器35の1次側を接続し、この
変圧器35の2次低圧側の電流検出信号をA/D変換部
34に供給する。
【0056】さらに、図示省略した変圧器により電力系
統27の各相の電流を検出し、この電流の検出信号もA
/D変換部34に供給する。
【0057】そして、A/D変換部34はPLL回路部
30の同期制御信号に基づき、電力系統27の系統基本
波に同期して入力の各信号をサンプリングし、それぞれ
デジタルデータに変換して制御装置28に送る。
【0058】この制御装置28は各デジタルデータに基
づくFFT解析等のデジタル周波数解析により電力系統
27の次数間高調波及び系統基本波の電圧,電流を検出
するとともに、変圧器32の1次低圧側の注入2相間の
基本波周波数fsの線間電圧を検出する。
【0059】そして、前記の特願平10−202424
号の出願の明細書,図面等にも記載されているように、
変圧器32の前記注入2相間の線間電圧と,電力系統2
7の所定相の系統基本波の電圧との位相差が、変圧器3
2の巻線方式及び注入2相の組合せによって定まること
から、この位相差に基づき、制御装置28が電力系統2
7の各相の次数間高調波の注入電流量を把握する。
【0060】さらに、制御装置28は電力系統27の各
相の次数間高調波についての電圧,電流から、その次数
間高調波のアドミタンス又はインピーダンスを求めて測
定調波についてのアドミタンス又はインピーダンスを補
間演算し、電力系統27の高調波特性を計測する。
【0061】ところで、この形態にあっては、変圧器3
2の1次低圧側の単相の電圧に電力系統27の系統基本
波の電圧信号が含まれることから、この1次低圧側の単
相の電圧信号をPLL回路部30の入力信号とする。
【0062】そして、変圧器32の1次低圧側の変圧器
35からA/D変換部34に変圧器32の1次側の線間
電圧情報を供給するラインを利用し、PLL回路部30
の同期入力ライン21cを変圧器35の2次低圧側に接
続し、変圧器32から引出す。
【0063】そして、同期入力ライン21cから供給さ
れた単相の電圧信号に基づき、PLL回路部30が電圧
信号に含まれた系統基本波の位相情報を検出し、この位
相情報に基づき、系統基本波に同期した同期制御信号を
形成する。
【0064】このとき、同期入力ライン21cは、変圧
器33の2次低圧側の電力系統27の各相の検出信号の
入力ラインと別個のラインであり、同期入力ライン21
cがノイズの受信アンテナとして作用しても、このノイ
ズは、A/D変換部34のいずれの相の検出信号にも影
響せず、測定精度を損ねることがない。
【0065】そして、変圧器32の1次低圧側にあって
は、同期入力ライン21cのノイズに比して注入信号の
レベルが十分に大きいため、同期入力ライン21cのノ
イズが次数間高調波の注入電流に混入しても実用上は何
ら問題がなく、この面からも計測精度を損ねることはな
い。
【0066】また、変圧器32の1次低圧側の電圧信号
は、次数間高調波の注入点の電圧信号であり、次数間高
調波による比較的大きな電圧歪みが生じるが、PLL回
路部30が電圧信号の位相情報のみを利用して制御発振
器の発振位相を系統基本波に同期させるため、通常はそ
の波形歪みがほとんど問題とならず、問題となるときに
も、PLL回路部30の制御応答を遅くすることで十分
に対処することができる。
【0067】そして、この形態の計測装置1cの場合
も、同期入力ライン21cのノイズがA/D変換部34
の各相の入力ラインに影響しないため、従来装置1aの
シールド体22のようなシールド体を用いて接地シール
ドを施す必要がない。
【0068】しかも、変圧器32の1次低圧側からA/
D変換部34に引出されたラインを利用して同期入力ラ
イン21cが形成されるため、変圧器等を追加すること
なく簡単に形成することができる。
【0069】したがって、計測装置1cを極めて小型,
軽量かつ安価に形成することができる。
【0070】そして、同期入力ライン21cの電圧信号
をPLL回路部30に供給する場合(実施例装置の場
合)と、図3の破線に示すように変圧器33の2次低圧
側のU相の電圧信号をPLL回路部30に供給する場合
(比較例装置の場合)とにつき、A/D変換部34のサ
ンプリングデータに基づくFFTの波形解析を行ったと
ころ、図4の(a),(b)の測定結果が得られた。
【0071】図4の(a)は実施例装置の測定結果であ
り、同図の(b)は比較例装置の測定結果であり、いず
れも電力系統27のU相を入力相とし、それぞれの横軸
は高調波の次数,縦軸はその電圧の絶対値である。
【0072】そして、図4の(a),(b)の比較から
も明らかなように、(b)の比較例装置の場合は全域に
わたって大きなレベルのノイズが発生し、ノイズによっ
て計測精度を著しく損ねるが、(a)の実施例装置の場
合は全域にわたってノイズがほとんどなく、ノイズによ
って計測精度を損ねることがなく、精度の高い計測が行
えることが確かめられた。
【0073】なお、単相注入方式でない場合にも、注入
用の変圧器の1次低圧側から同期入力ラインを引出して
前記と同様に適用できるのは勿論である。
【0074】
【発明の効果】本発明は、以下に記載する効果を奏す
る。まず、請求項1の場合は、PLL回路部9,30の
同期入力ライン21b,21cが、計測データ収集用の
A/D変換部17,34の検出信号の入力ライン20と
別個であるため、同期入力ライン21b,21cがノイ
ズの受信アンテナとして作用しても、このアンテナのノ
イズがA/D変換部17,34の入力ライン20のいず
れの相にも影響せず、従来のような接地シールドを施さ
なくても計測精度を損ねることがなく、従来のシールド
体を省き、小型,軽量で安価に形成することができる。
【0075】また、請求項2の場合は、同期入力ライン
21bが、電力系統2に降圧用の変圧器23を介して接
続された専用ライン24からなるため、注入機能がない
場合等にも簡単に実現することができる。
【0076】さらに、請求項3の場合は、3相注入用の
変圧器32の1次低圧側から同期入力ライン21cを引
出すようにしたため、次数間高調波の電流の注入機能を
備えた場合に、その注入回路部を利用して容易に形成す
ることができ、とくに、変圧器32の1次低圧側からA
/D変換部34に注入2相の線間電圧情報の入力ライン
が設けられる単相注入方式であれば、そのラインを利用
して極めて容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の1形態の結線図である。
【図2】図1の一部の詳細な結線図である。
【図3】本発明の実施の他の形態の結線図である。
【図4】(a),(b)はそれぞれ実測結果の波形図で
ある。
【図5】従来装置の結線図である。
【図6】図5の一部の詳細な結線図である。
【符号の説明】
2 電力系統 9,30 PLL回路部 17,34 A/D変換部 21a,21b,21c 同期入力ライン 24 専用ライン 32 3相注入用の変圧器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚本 政和 名古屋市東区東新町1番地 中部電力株式 会社内 (72)発明者 夏田 育千 京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電機 株式会社内 Fターム(参考) 2G028 AA05 BF03 CG08 DH01 DH04 GL07 MS01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統のn次高調波(nは整数)を測
    定調波とし、 前記測定調波の上下の系統基本波に同期した前記系統基
    本波の非整数倍の周波数の次数間高調波の電流の注入に
    基づく前記電力系統の前記次数間高調波の電圧,電流を
    検出し、 該検出の結果から、前記電力系統の前記測定調波の上下
    の前記次数間高調波についての特性を求めて前記電力系
    統の前記測定調波についての特性を補間演算して測定す
    る高調波特性測定用計測装置において、 前記電力系統の電圧,電流の検出信号をサンプリングし
    てデジタルデータに変換する計測データ収集用のA/D
    変換部と、 入力信号に含まれた前記系統基本波の位相情報に基づき
    前記系統基本波に同期した同期制御信号を形成して前記
    A/D変換部に供給し,前記サンプリングを前記系統基
    本波に同期させるPLL回路部と、 前記A/D変換部の前記検出信号の入力ラインと別個に
    設けられ,前記入力信号として前記系統基本波の情報を
    含んだ単相の電圧信号を前記PLL回路部に供給する同
    期入力ラインとを備えたことを特徴とする高調波特性測
    定用計測装置。
  2. 【請求項2】 同期入力ラインが、電力系統に降圧用の
    変圧器を介して接続された専用ラインからなることを特
    徴とする請求項1記載の高調波特性測定用計測装置。
  3. 【請求項3】 次数間高調波の単相電流が1次低圧側2
    相の線間に供給され,2次高圧側の各相の次数間高調波
    の電流を電力系統の各相に注入する3相注入用の変圧器
    を備え、 前記3相注入用の変圧器の1次低圧側から同期入力ライ
    ンを引出すようにしたことを特徴とする請求項1記載の
    高調波特性測定用計測装置。
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