JP2002017875A - 癌温熱治療方法 - Google Patents

癌温熱治療方法

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JP2002017875A JP2000201856A JP2000201856A JP2002017875A JP 2002017875 A JP2002017875 A JP 2002017875A JP 2000201856 A JP2000201856 A JP 2000201856A JP 2000201856 A JP2000201856 A JP 2000201856A JP 2002017875 A JP2002017875 A JP 2002017875A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体の深部まで有効に加熱することができ、
これによって人体における癌の温熱治療を有効に行うこ
とのできる癌温熱治療方法を提供する。 【解決手段】 空洞共振器１に所定の高周波電力を導入
するとともに、空洞共振器１の長手方向において、強度
一定の励振モードで共振させる。次いで、空洞共振器１
内のテーブル２上に、人体３の体軸方向４が空洞共振器
１の長手方向と一致するようにして人体３を配置する。
次いで、人体３に上記共振状態にある前記高周波電力を
印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は癌温熱治療方法に関
し、詳しくは、空洞共振器内に人体を配置し、人体の特
定部位を加熱して癌を治療する方法に関するものであ
る。
【０００２】
【従来技術】従来においても、立体の空洞共振器により
癌を加熱して治療する方法に関する提案はあったが、身
体の深部まで有効に加熱することはできなかった。その
原因は、従来の方法においては、人の頭と足を結ぶ線を
体軸と称することにすると、人体を挿入する前の電界分
布では体軸の中央が電界最大になる励振モードが用いら
れていたことに起因する。すなわち、このような励振モ
ードの空洞共振器内に人体を挿入すると、予め好ましい
電界分布に設定しておいた励振モードが変化してしま
い、希望する人体深部の電界強度が弱くなり有効な加熱
が不可能となってしまうためである。
【０００３】もう一つの原因は、上記方法においては、
空洞共振器の共振周波数に一致した高周波電力を印加す
る必要があるが、人体を挿入した場合においては、空洞
共振器の損失が大きくなるため共振周波数が不明確にな
ってしまうことに起因する。すなわち、この場合におい
ては、共振周波数の測定が事実上不可能になるため、空
洞共振器の共振周波数に一致した高周波電力を印加する
ことができず、その結果、希望する人体深部の電界強度
が弱くなって有効な加熱が不可能となってしまうためで
ある。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、人体の深部
まで有効に加熱することができ、これによって人体にお
ける癌の温熱治療を有効に行うことのできる癌温熱治療
方法を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明の癌温熱治療方法は、空洞共振器に所定の高周波
電力を導入するとともに、前記空洞共振器内の長手方向
において電界強度一定の励振モードで前記高周波電力を
共振させる工程と、前記空洞共振器内に、人体の体軸方
向が前記空洞共振器の長手方法と一致するようにして人
体を配置する工程と、前記人体に前記励振モードの共振
状態にある前記高周波電力を印加する工程と、を含み、
これによって前記人体の所定部位を加熱して癌治療を行
うことを特徴とする。
【０００６】本発明の癌温熱治療方法によれば、従来の
癌温熱治療方法と異なり、空洞共振器内において、その
長手方向に一定の電界強度を有する励振モードで前記空
洞共振器に導入された高周波電力を共振させる。そし
て、このような状態の空洞共振器内に、人体の体軸が前
記空洞共振器の長手方向と一致するようにして人体を挿
入する。
【０００７】すると、人体には、共振状態で一定の電界
強度を有する上記高周波電力が印加されることになる
が、人体の電気定数と空洞共振器の内部空間における電
気定数とが異なることに起因して、前記人体に入射した
前記高周波電力は前記人体の先端で反射される。この反
射された高周波電力は前記人体の他方の先端で再度反射
され、前記人体の所定部位に集中する。時間の経過とと
もに、前記人体の所定部位において反射された高周波電
力が重畳されるため、この部分における電界強度が増加
する。その結果、前記人体の所定部位を深部に至るまで
有効に加熱することができ、かかる部分に生じている癌
を有効に治療することができる。
【０００８】本発明の癌温熱治療方法によれば、従来の
治療方法における１０％程度の完治率を、５０％程度ま
で飛躍的に向上させることができる。
【０００９】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面と関連させな
がら、発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。図
１は、本発明の癌温熱治療方法に用いる装置の一例を示
す図である。図１に示す装置は、円柱状の空洞共振器１
と、その内部において人体３を配置するためのテーブル
２とを具えている。なお、人体３は、簡略化して円柱状
として示している。空洞共振器１の上壁には、ループ面
５Ａが空洞共振器１の長手方向と平行となるようにして
ループアンテナ５がコネクタ６を介して設けられてい
る。
【００１０】コネクタ６は、図示しないインピーダンス
整合器を介して同じく図示しない外部高周波電源に接続
され、空洞共振器１に前記外部高周波電源から高周波電
力を導入できるようになっている。ループアンテナ５の
先端５Ｂは開放され、導入された前記高周波電力を励起
して、空洞共振器１内で共振できるように構成されてい
る。また、空洞共振器１の左端面には、人体３を共振器
内に挿出入するための開口部７が形成されている。人体
３を温熱治療する際においては、所定の蓋によって閉じ
る。
【００１１】本発明の癌温熱治療方法においては、人体
３を空洞共振器１内に配置する以前に、コネクタ６を通
じて前記外部高周波電源から所定の高周波電力を空洞共
振器１内に導入する。そして、ループアンテナ５によっ
て導入された前記高周波電力を励起し、空洞共振器１内
で共振させる。この際において、ループアンテナ５のル
ープ面５Ａは、空洞共振器１の長手方向と平行であるの
で、前記高周波電力は、空洞共振器１の長手方向におい
て、一定の電界強度を有する励振モード、すなわち、電
界強度の変化のない励振モードで共振される。
【００１２】次いで、このような共振状態にある空洞共
振器１内に、人体３を開口部７より挿入し、体軸４が空
洞共振器１の長手方向と一致するようにしてテーブル２
上に載置する。すると、人体３には、一定の電界強度を
有する励振モードの前記高周波電力が印加されることに
なる。人体３の電気定数と空洞共振器１内部の電気定数
との相違から、人体３内に入射した上記励振モードにあ
る高周波電力は人体３の先端で反射される。反射された
高周波電力は、人体３の反対側の先端で再度反射され、
例えば、人体３の所定部位３Ａに集中する。時間の経過
ともに、この所定部位３Ａに集中してくる高周波電界の
割合が増大し、これらが重畳されて所定部位３Ａにおけ
る電界強度が増大する。その結果、所定部位３Ａを深部
に至るまで有効に加熱することができ、かかる部分に生
じている癌を効果的に治療することができる。
【００１３】しかしながら、図１に示す装置を用いた本
発明の癌温熱治療方法においては、ループアンテナ５か
ら遠ざかるにしたがって加熱効率が低下するため、人体
３のループアンテナ５に近い部分が最も加熱され、そこ
から遠ざかるにしたがって加熱度合いが低下し、ループ
アンテナ５から離れた部分については所定の温度にまで
加熱できない場合がある。
【００１４】この場合においては、空洞共振器１の下壁
において、人体３を挟むようにして追加のループアンテ
ナを設けることが好ましい。そして、ループアンテナ５
と追加のループアンテナとに、それぞれ逆位相の高周波
電力を印加する。これによって、これら２つのループア
ンテナによる加熱効果が加算され、人体３を断面方向に
おいて効率良く加熱することができる。この際、特に人
体３の断面方向における中央部の温度が最も高くなる傾
向がある。したがって、人体３の最も深部に相当する断
面方向における中央部をも効率的に加熱することがで
き、この部分に存在する癌を効率よく治療することがで
きる。
【００１５】追加のループアンテナを設ける際、このル
ープアンテナのループ方向をループアンテナ５のループ
方向と逆向きとすれば、これらアンテナに同位相の高周
波電力を印加することにより、上記同様の効果を得るこ
とができる。
【００１６】また、上記のように２つに限らず、３以上
の複数のループアンテナを空洞共振器内に設置し、これ
らアンテナに印加する高周波電力の電力強度及び位相を
適宜に制御することにより、人体の所定の部位を任意に
加熱することができる。
【００１７】ループアンテナの長さは特に限定されない
が、空洞共振器内に導入する高周波電力の波長の１／４
であることが好ましい。これによって、前記高周波電力
を効率良く励起し、共振させることができる。また、図
１に示すループアンテナ５のループ面５Ａは略円形状を
呈しているが、人体における比較的広範囲な部位を加熱
するにあたっては、横長の惰円形状又は長方形状を呈す
ることが好ましい。
【００１８】図２は、本発明の癌温熱治療方法における
好ましい態様を説明するための図である。上述したよう
な本発明の癌温熱治療方法においては、例えば、頭や足
先など、人体の加熱すべき部位以外の部位が加熱されて
しまう場合が生じる。この際においては、図２に示すよ
うに、人体３の加熱すべき部位以外の部位を筒状の金属
部材１２で覆うようにすることが好ましい。これによっ
て、前記共振状態にある高周波電力は前記金属部材内に
侵入しなくなるため、かかる部位が加熱するのを防止す
ることができる。
【００１９】また、この場合においては、図２に示すよ
うに金属部材１２の一方の底面を金属平板１３で覆うこ
とが好ましい。これによって、上記高周波電力の侵入を
より効果的に防止することができる。なお、図２に示す
ように、金属部材は必ずしも円筒状である必要はなく、
人体の形状に合わせて所定の形状のものを使用すること
ができる。
【００２０】図３は、本発明の癌温熱治療方法における
他の好ましい態様を説明するための図である。図３にお
いて、図１と同一の部分については、同一の符号を用い
て表している。人体の大きさや形が変われば空洞共振器
１の共振周波数が変わる。しかしながら、外部高周波電
源やケーブルの長さ或いはインピーダンス整合器の周波
数依存性を考えると、空洞共振器１の共振周波数は一定
である方が望ましい。したがって、図３に示すような共
振周波数調整部材１４を空洞共振器１内の所定の位置に
設置し、空洞共振器１の共振周波数を一定にすることが
好ましい。
【００２１】具体的には、共振周波数調整部材１４の大
きさや長さ、材質、並びに設置位置を適宜に調節するこ
とによって実施する。共振周波数調整部材は、図３に示
すような人体３を載置するテーブル２上のみならず、所
定の台座を用いて空洞共振器１内の適当な位置に配置す
ることができる。
【００２２】共振周波数調整部材１４は、Ｃｕ、Ａｌ及
びＦｅなどの金属、セラミックス、Ｔｉ及び油などの誘
電体、ＴＸ１５１、界面剤液及び水などの人体等価ファ
ントムから構成することができる。そして、これら材質
を適宜に選択することにより、空洞共振器の共振周波数
を調整する。
【００２３】なお、図２に示すように、筒状の金属部材
を用いる場合においては、この金属部材の直径、長さ、
及び空洞共振器内での位置を適宜に調節することによっ
ても、空洞共振器における共振周波数を一定に保持する
ことができる。
【００２４】次に、本発明の癌温熱治療方法における共
振周波数の測定方法について説明する。図４は、上記共
振周波数の測定方法を説明するための図である。本発明
の方法にしたがって人体の所定部位が効率よく加熱され
るようになると、共振状態の高周波電力の人体に吸収さ
れる割合が増大し、空洞共振器のＱは大幅に低下してし
まう。この結果、空洞共振器の周波数共振特性からは共
振周波数が測定できなくなってしまう。
【００２５】この場合において、図４に示すように、ル
ープアンテナ５とは別個に空洞共振器１の右端面にルー
プアンテナ５と直交するようにして励振アンテナ１５を
設けるとともに、空洞共振器１の下壁上に受信アンテナ
１６を設ける。そして、励振アンテナ１５に対して可変
周波数高周波電力発生器の出力を印加する。このとき、
励振アンテナ１５から供給された前記高周波電力は、人
体３においてほとんど吸収されることなく、空洞共振器
１内で共振する。したがって、励振アンテナ１５に入力
され、この励振アンテナ１５から空洞共振器１内に出力
された前記可変周波数高周波電力発生器の周波数を受信
アンテナ１６で受信し、最大受信信号の周波数から空洞
共振器１の共振周波数を測定することができる。
【００２６】なお、図４では、励振アンテナをループア
ンテナと直交するように配置しているが、励振アンテナ
から出力された前記高周波電力が空洞共振器１内におけ
る共振条件を満足して共振する限りにおいて、受信アン
テナを右端面に設け、励振アンテナをループアンテナと
直交するように下壁上に配置してもよいし、両者をルー
プアンテナと直交するように、例えば、空洞共振器の左
端面及び右端面にそれぞれ設けることもできる。
【００２７】以上、具体例を挙げながら発明の実施の形
態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は
上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸
脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能であ
る。例えば、上記の具体例においては円柱状の空洞共振
器を用いているが、惰円形状並びに四角柱や多角形状の
空洞共振器を用いることもできる。
【００２８】
【発明の効果】本発明の癌温熱治療方法によれば、人体
の所定の部位において深部まで有効に加熱することがで
き、温熱による癌治療を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の癌温熱治療方法に用いる装置の一例
を示す図である。
【図２】 本発明の癌温熱治療方法における好ましい態
様を説明するための図である。
【図３】 本発明の癌温熱治療方法における他の好まし
い態様を説明するための図である。
【図４】 本発明の癌温熱治療方法における共振周波数
の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
１ 空洞共振器 ２ テーブル ３ 人体 ４ 人体の体軸方向 ５ ループリング ６ コネクタ ７ 開口部 １２ 金属部材 １３ 金属平板 １４ 共振周波数調整部材 １５ 励振アンテナ １６ 受信アンテナ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 空洞共振器に所定の高周波電力を導入す
    るとともに、前記空洞共振器内の長手方向において電界
    強度一定の励振モードで前記高周波電力を共振させる工
    程と、 前記空洞共振器内に、人体の体軸方向が前記空洞共振器
    の長手方法と一致するようにして人体を配置する工程
    と、 前記人体に前記励振モードの共振状態にある前記高周波
    電力を印加する工程と、を含み、これによって前記人体
    の所定部位を加熱して癌治療を行うことを特徴とする、
    癌温熱治療方法。
  2. 【請求項２】 前記高周波電力の前記空洞共振器内の長
    手方向における共振は、前記空洞共振器内において、ル
    ープ面が前記空洞共振器の長手方向と平行となるように
    設置されたループアンテナを用いて行うことを特徴とす
    る、請求項１に記載の癌温熱治療方法。
  3. 【請求項３】 ２つのループアンテナを、それらのルー
    プ面が前記空洞共振器の長手方向と平行になるようにし
    て前記人体を挟んで配置し、それぞれのループアンテナ
    に逆位相の高周波電力を印加することにより、前記人体
    の断面方向における中央部の温度が最も高くなるように
    前記人体を加熱することを特徴とする、請求項２に記載
    の癌温熱治療方法。
  4. 【請求項４】 ２つのループアンテナを、それらのルー
    プ面が前記空洞共振器の長手方向と平行となるととも
    に、互いのループ方向が逆向きとなるようにして前記人
    体を挟んで配置し、それぞれのループアンテナに同位相
    の高周波電力を印加することにより、前記人体の断面方
    向における中央部の温度が最も高くなるように前記人体
    を加熱することを特徴とする、請求項２に記載の癌温熱
    治療方法。
  5. 【請求項５】 複数のループアンテナを、それらのルー
    プ面が前記空洞共振器の長手方向と平行になるようにし
    て前記人体を取り囲むように配置し、前記複数のループ
    アンテナに供給する高周波電力の電力強度及び位相を制
    御することにより、前記人体の加熱部位を任意に調節で
    きるようにしたことを特徴とする、請求項２に記載の癌
    温熱治療方法。
  6. 【請求項６】 前記ループアンテナの長さが、前記高周
    波電力の波長の１／４であることを特徴とする、請求項
    ２〜５のいずれか一に記載の癌温熱治療方法。
  7. 【請求項７】 前記ループアンテナのループ面は、横長
    の惰円形状又は長方形状であることを特徴とする、請求
    項２〜６のいずれか一に記載の癌温熱治療方法。
  8. 【請求項８】 前記人体の所定部位を筒状の金属部材で
    覆い、前記人体の、前記金属部材で覆われた前記所定の
    部位を除いた部位を加熱するようにしたことを特徴とす
    る、請求項１〜７の癌温熱治療方法。
  9. 【請求項９】 前記筒状の金属部材の一方の底面を、金
    属平板で覆うことを特徴とする、請求項８に記載の癌温
    熱治療方法。
  10. 【請求項１０】 前記筒状の金属部材の直径、長さ、及
    び前記空洞共振器内における位置を制御することによ
    り、前記空洞共振器における共振周波数を調節するよう
    にしたことを特徴とする、請求項８又は９に記載の癌温
    熱治療方法。
  11. 【請求項１１】 前記空洞共振器内の所定の位置に共振
    周波数調整部材を設置し、前記空洞共振器における共振
    周波数を調節するようにしたことを特徴とする、請求項
    １〜１０のいずれか一に記載の癌温熱治療方法。
  12. 【請求項１２】 前記共振周波数調整部材は、金属、誘
    電体及び人体等価ファントムの少なくとも一つからなる
    ことを特徴とする、請求項１１に記載の癌温熱治療方
    法。
  13. 【請求項１３】 前記空洞共振器内における共振周波数
    は、１対の励振アンテナ及び受信アンテナによって測定
    することを特徴とする、請求項１〜１２のいずれか一に
    記載の癌温熱治療方法。
  14. 【請求項１４】 前記励振アンテナ及び前記受信アンテ
    ナの少なくとも一方は、前記ループアンテナのループ面
    と直交する位置に設置することを特徴とする、請求項１
    ３に記載の癌温熱治療方法。
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