JP2002017766A - 排泄物収容装具用面板 - Google Patents

排泄物収容装具用面板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水洗便所に投棄し水と接触したとき崩壊し得
る排泄物収容装具用面板を提供する。 【解決手段】 粘着層2と粘着層2を支持するバッキン
グ材3とからなる排泄物収容装具用面板1において、粘
着層2を親水性成分と疎水性成分とを含む皮膚保護剤で
構成し、バッキング材3を水と接触して崩壊し得る成分
で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人体に造設した排
泄孔より排泄される排泄物を一時的に収容するための排
泄物収容装具に使用される面板に関する。
【0002】
【従来の技術】便、尿の失禁者、消化器系、泌尿器系器
官の疾患のため外科的手術を行い腸管や尿管を体表まで
導き体表面にストーマを造設した人、或いはその他の疾
患で体表面にストーマやフィステルを造設した人は、そ
れらの造設された排泄孔から排泄される便、尿、体液等
の排泄物を処理するため、排泄物を一時的に貯留できる
排泄物収容装具を排泄孔に装着する。この排泄物収容装
具は一般的に面板と収容器部即ち袋部とから構成され、
面板に設けられた粘着層で人体の造設された排泄孔に固
定される。面板と収容器部との組合せ構造には、両者を
一体化したワンピース型と、両者を粘着や嵌合により着
脱可能にしたツーピース型とがあり、それぞれに特徴を
持っている。これらの排泄物収容装具は、ある程度排泄
物が収容器部内に溜まったら排泄物を捨て、洗浄した後
再度使用するか、又はワンピース型のものは装具全体
を、ツーピース型のものは全体もしくは収容器部のみを
廃棄し、全体もしくは収容器部を新しいものと付け替え
ることが行われる。この廃棄処理に当たっては、排泄物
収容装具全体又は収容器部のみを新聞紙やプラスチック
フィルム等で厳重に密封包装し、一般廃棄物と同様に廃
棄するが、その処理は極めて煩雑であり、時に包装が破
れてゴミ収集時に作業者に思わぬ迷惑をかけることがあ
る。この点を解決するため、水洗便所にそのまま廃棄す
ることができる排泄物収容装具の開発が進められている
が、この種の排泄物収容装具は、多くは水に接触したと
き膨潤又は崩壊することを原理としている。しかしなが
ら、特に面板は一般に収容器部を連結保持するための強
度を有しなければならないから、ある程度厚みを持ち、
そのため水と接触しても分解に時間がかかり、水洗便所
に投棄した場合面板の形が残り、排水管に詰まるという
事故を発生しやすいという問題点がある。面板は通常、
人体の表面に粘着させるための粘着性皮膚保護剤と、皮
膚保護剤を支持すると共に袋部又はツーピース型の嵌合
装置を固定するためのバッキング材とを備え、この従来
のバッキング材は水に対して膨潤、崩壊の影響を受けな
い材質のため、排泄物収容装具全体としては水洗便所に
投棄し得るものであっても、バッキング材は浄化槽等に
残ってしまうことになり、汚水排出の妨げになる。即
ち、公共下水道に連結された水洗便所の場合は、水洗便
所を通過し得た汚物、装具はそのまま下水道に排出され
るが、公共下水道を持たない地域においては、水洗便所
は浄化槽に接続し、投棄された汚物、装具等は一旦浄化
槽に入ってそこにある時間停留してばっ気されることに
なるから、もし装具が崩壊しないままに浄化槽に入ると
浄化槽は閉塞状態となる危険性がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、水洗
便所に投棄し水と接触したとき崩壊し得る排泄物収容装
具用面板を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、本発明によれば、粘着層と粘着層を支持するバッキ
ング材とからなる排泄物収容装具用面板において、粘着
層を親水性成分と疎水性成分とを含む皮膚保護剤で構成
し、バッキング材を水と接触して崩壊し得る成分で構成
する。
【0005】面板を構成する材料の内、皮膚保護剤は水
と接触したとき崩壊するために必要な親水性成分と、形
状保持等の面板物性を持つための疎水性成分とを含み、
親水性成分としては、カラヤガム、ペクチン、ゼラチ
ン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン
酸塩、疎水性成分としては、スチレン・イソプレン・ス
チレン共重合体(SIS)、ポリイソブチレン(PI
B)、液状ゴム等を使用することができる。皮膚保護剤
は、水中に投棄したときの崩壊性を高めるために、水溶
性高分子を含有させることができる。水溶性高分子とし
ては、例えばポリエステルポリオール、ポリビニルアル
コール(PVAL)、ポリビニルピロリドン(PVP)
等を使用することができる。
【0006】バッキング材は、収容器部を粘着、接着、
溶着、圧着等により固定できると共に装具使用中は崩壊
せず、水と接触すると容易に崩壊する材料、例えば水溶
性高分子、生分解性樹脂等を成分として含む材料が好ま
しい。水溶性高分子としては、天然高分子(ゼラチン、
キトサン等)、半合成高分子(カルボキシメチルセルロ
ース(CMC)、アルギン酸塩等)、合成高分子(ポリ
ビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルピロリドン
(PVP)、ポリエステルポリオール等)を使用するこ
とができる。生分解性樹脂としては、微生物産生系(3
‐ヒドロキシ酪酸と3‐ヒドロキシ吉草酸の共重合体
等)、化学合成系(ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル
等)、天然物利用系(酢酸セルロース、変性ポリビニル
アルコール・デンプン系、デンプン系等)を使用するこ
とができる。なお、水溶性高分子はフィルム形状、合成
高分子はフィルム形状、不織布、発泡体形状のものを使
用することができる。生分解性樹脂はいずれもフィル
ム、不織布、発泡体形状のものを使用することができ
る。水溶性高分子を使用する場合、使用中水分と接触す
る惧れのある部分は最小限の不溶化処理を行うことによ
り、水中に投棄されて水と接触したときの崩壊時間を延
ばすことなく使用中の崩壊を防止することができる。不
溶化処理は例えばヒートシール、高周波ウエルディング
等の方法がある。
【0007】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
示す実施例について説明する。
【0008】図1は本発明の対象とする排泄物収容装具
の一例の、aは正面図、bは縦断側面図、cは本発明の
面板の実施例の拡大断面図である。1は面板で、粘着機
能で人体上に固定するための粘着層2と粘着層2を支持
するバッキング材3とからなり、両者は開口4を有し、
粘着層2は保管時はセパレーター5により覆われ粘着面
を保護されている。面板1のバッキング材3側には開口
4の周りに収容器部としての袋部6が固定されている。
この排泄物収容装具は面板1の粘着層2でもって人体に
造設された排泄孔の周りに固定され、排泄孔から排泄さ
れる便、尿、体液等の排泄物を袋部6内に収容する。面
板1の粘着層2は親水性成分、疎水性成分及び水溶性高
分子を含む皮膚保護剤で構成され、バッキング材3は水
と接触して崩壊する成分からなる。
【0009】次に本発明の面板の粘着層、バッキング材
の配合を変更した7つの実施例及び1つの比較例を作っ
た。次の表1、表2、表3、表4はその各実施例、比較
例の組成を示す。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】
【表4】
【0014】表1、表2、表3及び表4に示す各実施例
の面板の製造方法は次のとおりである。ポリイソブチレ
ン、カラヤガム#150、柑橘ペクチン、各指定の水溶性
高分子を表に示す分量だけ加圧ニーダーで混合し、圧延
して厚さ0.45mmのシートを形成して粘着層とし、片面に
各指定の水溶性高分子の厚さ25μmのフィルム、生分解
性樹脂の厚さ30μmのフィルムをそれぞれ貼り合わせて
バッキング材とし、粘着層のもう一方の面に剥離紙を貼
り合わせて面板を作製した。不溶化処理はヒートシール
により図1dに示すようにバッキング材3の開口4に面
する領域7の部分に施した。また表4に示す比較例の製
造方法は次のとおりである。ポリイソブチレン、カラヤ
ガム#150、柑橘ペクチンを表に示す分量だけ加圧ニー
ダーで混合し、圧延して厚さ0.45mmのシートを形成して
粘着層とし、片面にメタクリル酸エチルフィルムの厚さ
100μmのフィルムを貼り合わせてバッキング材とし、粘
着層のもう一方の面に剥離紙を貼り合わせて面板を作製
した。
【0015】上述の表1〜4に示す実施例及び比較例に
ついて、それぞれ直径30mmに抜いた円板状のサンプルを
作り、剥離紙を剥がして150ml入りの容器に入れ、その
中に水道水100mlを投入し、20℃下に24時間静置下で放
置した。24時間後攪拌機を容器内に挿入して攪拌機を30
0rpmの回転速度で回転させ、水を攪拌し、3分以内に崩
壊するか否かを調べた。その結果を次の表5に示す。
【0016】
【表5】 24時間放置後の状態 崩壊性 実施例1 白く膨潤し、形状は保持。柔らかい。 〇 実施例2 白く膨潤し、形状は保持。柔らかい。 〇 実施例3 白く膨潤し、形状は保持。柔らかい。 〇 実施例4 白く膨潤し、形状は保持。柔らかい。 〇 実施例5 白く膨潤し、形状は保持。柔らかい。 〇 実施例6 白く膨潤し、形状は保持。柔らかい。 〇 実施例7 白く膨潤し、形状は保持。やや柔らかい。 △ 比較例1 白く膨潤し、形状は保持。 硬い。 ×
【0017】表5において、○は3分以内に崩壊したも
の、△は3分以上経過してから崩壊したもの、×は3分
以上経過しても崩壊しないものをいう。この表から明ら
かなように、実施例1〜6はすべて形状はかろうじて保
持するものの柔らかく、僅かな外力で崩壊し、実施例7
はバッキング材に生分解性樹脂を使用している関係で水
溶性高分子を使用したバッキング材に比較して若干崩壊
に時間を要した。これに対し、比較例は形状を保持し、
しかも硬いために、外力がかかっても崩壊しなかった。
なお、ここで24時間静置下で放置するという条件は、浄
化槽におけるばっ気時間を考慮して定めた時間であり、
攪拌は、静止水中では崩壊が生じていても確認し難いた
め擬似的な流水状態を起こさせて崩壊を確認し易くする
ため、また浄化槽では必然的に伴う攪拌作用を模擬化す
るためである。
【0018】次に上述の各実施例の面板を、34℃、9
0%RHの条件(人の腹部上の擬似的な環境)下で2日間
放置し、粘着層の皮膚保護剤及びバッキング材が湿分を
吸収して崩壊するか否かを目視で確認する検査を実施し
たが、崩壊はなんら認められなかった。また不溶化処理
した面板を直径30mmの大きさに抜き、水の入った容
器に水没させ、34℃の雰囲気中に静置し、8時間経過
後に不溶化処理部分の変化を目視で確認する検査を実施
したが、なんら変化は認められなかった。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、面板の構成要素の特に
従来水洗便所での水洗処理が困難であったバッキング材
を他の構成要素と同様に容易に水洗処理することが可能
となり、排泄物収容装具全体の水洗処理化に道を開くも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】a、bは本発明の対象とする排泄物収容装具の
一例のそれぞれ正面図、縦断側面図、cは本発明の面板
の実施例の拡大断面図、dは本発明の面板の実施例の不
溶化処理の領域の説明図である。
【符号の説明】
1 面板 2 粘着層 3 バッキング材 4 開口 5 セパレータ 6 袋部 7 不溶化処理部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘着層と粘着層を支持するバッキング材
    とからなる排泄物収容装具用面板において、粘着層を親
    水性成分と疎水性成分とを含む皮膚保護剤で構成し、バ
    ッキング材を水と接触して崩壊し得る成分で構成したこ
    とを特徴とする排泄物収容装具用面板。
  2. 【請求項2】 バッキング材が水溶性高分子より構成さ
    れたことを特徴とする請求項2記載の排泄物収容装具用
    面板。
  3. 【請求項3】 バッキング材が生分解性樹脂より構成さ
    れたことを特徴とする請求項2記載の排泄物収容装具用
    面板。
  4. 【請求項4】 水溶性高分子で構成したバッキング材の
    使用時水分と接触する領域を不溶化処理したことを特徴
    とする請求項2記載の排泄物収容装具用面板。
  5. 【請求項5】 粘着層を親水性成分、疎水性成分及び水
    溶性高分子を含む皮膚保護剤で構成したことを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排泄物収容
    装具用面板。
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