JP2002017534A - 装飾額 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パネルを支持するスタンドが機能性と装飾性
を備え、美術性のある紙状体を展示するのにふさわしい
装飾性の高い額を提供すること。 【解決手段】 スタンドとパネルと留め具とから成り、
美術性のある紙状体を展示するための額であって、スタ
ンドが、略細長の平板を、その長手方向と垂直に、少な
くとも３ヶ所でお互い平行に谷折りされて、下方の端部
から上方の端部に向かって順に、少なくとも、下部前
面、底面、立面、上部前面を備えて、底面で立脚すると
共に、下部前面と上部前面とを平行に設け、パネルが、
磁着性金属から成る平板を、スタンドの下部前面の裏面
と上部前面の表て面との間に挟まれて支持され、パネル
の表て面に、展示対象の紙状体の背面を当接させ、その
紙状体の表て面に、磁石を備えた留め具を当てて、パネ
ルと留め具との間の磁着作用によって紙状体を保持す
る。スタンドの上部前面の表て面に磁石を設けてもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、写真や絵画など美
術性のある紙状体を展示するための額に関する。額は、
スタンドとパネルと留め具とから成り、紙状体は、磁着
関係にあるパネルと留め具との間に保持される。

【０００２】

【従来の技術】絵画など美術性のある紙状体を展示する
ために用いられる従来の額には、紙状体を収納してその
全面を被覆するものの他に、紙状体の表て面を露出させ
る構成のものがある。表て面を露出して展示すると、ガ
ラス等の介在物を通すことなく、直接目視されるので、
展示効果が好適である。表て面を露出させて紙状体を保
持する手段としては、紙状体の背面を額に固設したり、
紙状体の側部など一部分を支持したり、紙状体の表て面
を鋲留めしたりする方法が挙げられる。紙状体の表て面
を鋲留めする例としては、コルクの層を表て面に張設し
た板状体と、色付きの鋲とから構成される額がある。紙
状体の表て面を鋲などの留め具で、紙状体背面の板状体
に固定する手段によると、板状体の表て面側からのみの
操作で容易に紙状体を展示できる利点がある。

【０００３】しかし、従来の額は、紙状体を確実に保持
して保管するための機能性と、生産の経済性とを重視し
て作られたものであった。そのため、額には、装飾性が
軽視され、固有の意匠性もなく、積極的に何らかの付加
機能が付帯されてもいなかった。

【０００４】他方、メモなどの紙片の表て面を留め具
で、紙片背面の板状体に固定する手段には、板状体と留
め具との間の磁着作用を利用する方法がある。その例と
しては、マグネット式掲示板が挙げられる。平らな磁着
性金属板を表て面に備えた板状体に、紙片の背面を密着
させ、この紙片の表て面に磁石を備えた留め具を当て
て、紙片を掲示する。このように、板状体と留め具との
間の磁着作用を利用すると、紙片を傷つけることなく簡
便に着脱できる利点がある。

【０００５】しかし、この種の従来の掲示板は、写真や
絵画など美術性のある紙状体を展示するのではなく、文
字や図表などの実用的な情報が記載された紙片を掲示す
る機能重視のものである。そのため、掲示板には、装飾
性が軽視され、固有の意匠性もなく、積極的に何らかの
付加機能が付帯されてもいなかった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おける上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目
的は、パネルと留め具との間の磁着作用を利用して、紙
状体を傷つけることなく簡便に着脱できる額において、
文字や図表などの実用的な情報を記載した紙片を掲示す
るのではなく、写真や絵画などの美術性のある紙状体を
展示するのにふさわしい装飾性の高い額を提供すること
である。特に、パネルを支持するスタンドの機能性と装
飾性を重視し、固有の意匠性の他に、積極的に付加機能
も付帯させる。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の装飾額は、スタンドとパネルと留め具とか
ら成り、美術性のある紙状体を展示するための額であっ
て、スタンドが、略細長の平板を、その長手方向と垂直
に、少なくとも３ヶ所でお互い平行に谷折りされて、下
方の端部から上方の端部に向かって順に、少なくとも、
下部前面、底面、立面、上部前面を備えて、底面で立脚
すると共に、下部前面と上部前面とを平行に設け、パネ
ルが、磁着性金属から成る平板を、スタンドの下部前面
の裏面と上部前面の表て面との間に挟まれて支持され、
パネルの表て面に、展示対象の紙状体の背面を当接さ
せ、その紙状体の表て面に、磁石を備えた留め具を当て
て、パネルと留め具との間の磁着作用によって紙状体を
保持することを特徴とする。

【０００８】ここで、スタンドの上部前面の表て面に磁
石を設けて、パネルの転倒防止に寄与させてもよい。

【０００９】スタンドの少なくとも下部前面、底面、立
面、上部前面で囲まれた空間に、多数枚の紙状体を収納
するスペースを設けて、展示しない紙状体の保管に寄与
させてもよい。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面の例に基
づいて説明する。本発明は、大小様々な大きさの写真や
絵画などの美術性のある紙状体を展示するための額を対
象とすることができるが、以下では、好適実施例とし
て、縦１０ｃｍ横１５ｃｍ程度の風景写真を展示するた
めの搬送便利な大きさの額を１例挙げて説述する。な
お、本発明の構成は、その主旨から逸脱しない限り適宜
設計変更可能なものである。

【００１１】本発明の装飾額は、スタンド（１０）とパ
ネル（２０）と留め具（３０）とから成る。図１は、ス
タンド（１０）とパネル（２０）と留め具（３０）（３
０）とから成る額に、紙状体（Ｓ）を展示させた状態を
示す斜視図であり、図２ないし４は、それぞれ、スタン
ド（１０）の正面図、平面図、側面図である。スタンド
（１０）は、略細長の平板を、その長手方向と垂直に、
少なくとも３ヶ所でお互い平行に谷折りされて組み立て
られる。図示の例では、４ヶ所で谷折りされて、下方の
端部から上方の端部に向かって順に、下部前面（１
１）、底面（１２）、立面（１３）、上面（１４）、上
部前面（１５）が連設されている。

【００１２】スタンド（１０）は、底面（１２）を下に
接地させて立脚する。立面（１３）は、底面（１２）に
対して略垂直に谷折りされて、略鉛直に起立する。下部
前面（１１）（１１）と上部前面（１５）は、いずれ
も、底面（１２）に対して約７０度に折られて、平行に
設けられる。ただし、図４に示すように、下部前面（１
１）の方が、上部前面（１５）より若干前方にずれてい
る。

【００１３】この平行な下部前面（１１）と上部前面
（１５）との間にあるずれの空間に、パネル（２０）が
設置される。すなわち、鉄板等の磁着性金属から成る平
板であるパネル（２０）は、スタンド（１０）の下部前
面（１１）（１１）の裏面（１１ａ）（１１ａ）と、上
部前面（１５）の表て面（１５ａ）との間に、挟まれて
支持される。平行な下部前面（１１）と上部前面（１
５）との間にあるずれの空間の幅は、パネル（２０）の
厚さと等しいことが望まれる。すると、パネル（２０）
は、スタンド（１０）と接触する面積が少なくて、摩耗
が低減されながら、安定した状態で設置される。

【００１４】風景写真やポストカードなど展示対象の紙
状体（Ｓ）は、その背面を、パネル（２０）の表て面に
当接され、表て面に、磁石を備えた留め具（３０）を当
てて、パネル（２０）と留め具（３０）（３０）との間
の磁着作用によって保持される。パネル（２０）と留め
具（３０）との間の磁着作用を利用しているので、紙状
体（Ｓ）は傷つけられることなく展示され、額の前面の
みからの操作で簡便に着脱される。

【００１５】ここで、スタンド（１０）の上部前面（１
５）の表て面（１５ａ）に、平板状の磁石を付設しても
よい。すると、パネル（２０）の裏面がスタンド（１
０）に磁着されるので、その転倒が防止される。

【００１６】スタンド（１０）の各面の大きさを後記の
寸法にして、下部前面（１１）、底面（１２）、立面
（１３）、上面（１４）、上部前面（１５）で囲まれた
空間に、収納スペースを設けてもよい。すると、美術館
等で広く販売されている紙状体（Ｓ）の束や箱など、展
示しない紙状体（Ｓ）を一時的に保管すると共に、塵芥
の付着防止に役立てることができる。

【００１７】スタンド（１０）は、厚さ０．８ｍｍほど
のステンレス板等で構成され、その大きさは、正面の横
幅を６０ｍｍにした場合、各面の長さをそれぞれ、下部
前面（１１）を７．５ｍｍ、底面（１２）を６０．９ｍ
ｍ、立面（１３）を１０７．４ｍｍ、上面（１４）を２
０ｍｍ、上部前面（１５）を２０ｍｍにすると、安定し
た構成が得られる。このほか、正面の横幅を９０，１５
０，１７０，２００ｍｍ等にして、上記のスタンド（１
０）と相似形になるように、各面の長さを設定しても、
安定したスタンド（１０）が得られる。

【００１８】パネル（２０）は、厚さ１ｍｍほどで黒色
に塗装された鉄板等で構成され、その大きさは、縦１５
０ｍｍ、横２００ｍｍか、その相似形のものが好適に利
用できる。

【００１９】留め具（３０）は、黒色塗装された磁石の
他に、次のようなものも利用できる。すなわち、板状の
素焼きの焼物の背面に磁石を貼着する。焼物の表て面
に、その成形時に予め所定の文様を刻しておくと、固有
の意匠性を付帯することができる。焼物は、形状や色彩
や模様などの性状によって、見る人に寒暖硬軟など多様
な印象を与える。これは、平坦で黒一色の磁石そのもの
や、平坦で単色のプラスティックには備わっていない特
性である。単に、文字や図表などの実用的な情報を記載
した紙片を掲示するための掲示板であれば、そのように
無機質的なプラスティックでも留め具（３０）としての
機能に支障ない。しかし、写真や絵画などの美術性のあ
る紙状体（Ｓ）を展示する額としては、紙状体（Ｓ）と
不釣り合いで、留め具（Ｈ）が目立ってしまう。紙状体
（Ｓ）に対する留め具（３０）の影響を低減するには、
パネル（２０）の表て面と留め具（３０）の表て面とを
同色系にするのが好ましい。留め具（３０）の表て面に
施された文様と類似の模様を、パネル（２０）の表て面
にも塗装すると一層効果ある。パネル（２０）の表て面
と留め具（３０）の表て面とが同色系であると、外観上
両者が一体化するので、留め具（３０）の存在が目立ち
美術性が劣化するのが抑止される。これによって、紙状
体（Ｓ）に対する額の好ましくない影響が低減されて、
紙状体（Ｓ）の展示内容が引き立ち、自然な装飾性が得
られる。

【００２０】留め具（３０）の焼物に付装される文字記
号や模様などの文様は、成形時に所定の型を用いて打刻
すれば、所望の数だけ略同一のものが得られ、一つ一つ
手作業で彫刻すれば、全て異なるものが得られる。いず
れにせよ、文様は留め具（３０）に、固有の意匠性とし
て、個別性と類属性を付帯させることになる。文様が異
なれば留め具（３０）も異なるので、留め具（３０）に
は個別性が付随し、額が非画一化される。共通の型で打
刻された文様は略同一であるので、留め具（３０）は、
その型に依存して類別される。略同一な文様の施された
留め具（３０）を備える額には、類属性が付随するの
で、額が類別化される。この類別化は、額の生産主体や
販売主体の識別、少数価値などに寄与する。文様に依拠
する固有の意匠性を利用すると、例えば、観光地や美術
館毎に異なる文様の留め具（３０）を使い、それぞれに
対応する絵葉書などの紙状体（Ｓ）を添付してお土産品
として販売することに適用できる。

【００２１】更に、この留め具（３０）の焼物に、吸湿
性の高い素焼きの焼物を用いると、香水などの流体を染
み込ませたり、お香などの固形物を擦り込ませたりし
て、芳香成分を容易かつ有効に坦持させることができ
る。すると、紙状体（Ｓ）の展示内容と関連する芳香を
添加して、見る人の嗅覚に訴えることが可能になる。例
えば、紙状体（Ｓ）が富良野のラベンダー畑の風景写真
であれば、ラベンダーの香水を留め具（３０）に坦持さ
せれば、視覚と嗅覚との相乗効果によって、展示が一層
有効になる。なお、素焼きの焼物は、任意に凹凸を形成
できるので、触覚に訴えることも可能である。

【００２２】また、紙状体（Ｓ）に予め薄板状の磁石を
添設しておいて、紙状体（Ｓ）に留め具（３０）の機能
を付設してもよい。それには、例えば、陶磁器などの美
術品を撮影して、風景画像等の背景として画像処理した
カード類を、樹脂等でドーム加工し、背面にシート状の
磁石を貼設したプリントマグネットなどが好適に利用で
きる。

【００２３】図５及び６は、スタンドの別実施例を示す
ものであり、図５は、折ってスタンド（１０’）を組み
立てる前の平板の正面図であり、図６は、組み立てられ
たスタンド（１０’）の斜視図である。この実施例で
は、平板が、３ヶ所で谷折りされて、下方の端部から上
方の端部に向かって順に、下部前面（１１’）、底面
（１２’）、立面（１３’）、上部前面（１５’）を備
える点と平板の形状が、前記実施例と異なる。前記実施
例と同様に、パネル（２０）は、スタンド（１０’）の
下部前面（１１’）（１１’）の裏面（１１ａ’）（１
１ａ’）と、上部前面（１５’）の表て面（１５ａ’）
との間に挟まれて支持される。このスタンド（１０’）
の形状は、人体を模したものである。このように、スタ
ンド（１０’）を成す平板の形状を変えるのみで、簡易
に意匠性の高い額が得られる。

【００２４】なお、スタンド（１０）の平板は、少なく
とも３ヶ所で谷折りされて、下部前面（１１）、底面
（１２）、立面（１３）、上部前面（１５）を備えるこ
とは必要であるが、上面（１４）は必須の構成要件では
ない。５ヶ所以上で谷折りされて、下方の端部から上方
の端部に向かって順に、下部前面（１１）、底面（１
２）、立面（１３）、上部前面（１５）の他に、上面
（１４）に類する面を多数備えてもよい。

【００２５】図７は、保護パネル（４０）の側面図であ
る。保護パネル（４０）は、透明なアクリル板（４１）
から成り、その概形は、パネル（２０）と略同一であ
る。アクリル板（４１）の四隅には、磁石（４３）が埋
設された係止部（４２）があり、それをパネル（２０）
に磁着させることで、紙状体（Ｓ）を覆うことができ
る。必要に応じてこの保護パネル（４０）を用いると、
紙状体（Ｓ）を損傷や塵芥付着から保護することができ
る。

【００２６】

【発明の効果】本発明の装飾額は、以上の構成を備える
ことによって下記の効果を奏する。すなわち、請求項１
に記載の装飾額によると、略細長の平板を折るだけでス
タンドが形成され、そのスタンドの平行な下部前面の裏
面と上部前面の表て面との間に、パネルが挟まれて支持
されるので、簡易な構成で安定した額が得られる。更
に、平板の形状を変えるのみで、美術性の高い紙状体を
展示するのにふさわしい意匠性の高い額を得ることもで
きる。

【００２７】請求項２に記載の装飾額によると、スタン
ドの上部前面の表て面に磁石が設けられるので、パネル
がスタンドに磁着されて、転倒防止が図られる。

【００２８】請求項３に記載の装飾額によると、スタン
ドの各面で囲まれた空間に、多数枚の紙状体を収納する
スペースが設けられるので、展示しない紙状体の保管に
寄与する。

【図面の簡単な説明】

【図１】紙状体を展示させた額を示す斜視図

【図２】同、正面図

【図３】同、平面図

【図４】同、側面図

【図５】スタンドの別実施例を成す組み立て前の平板の
正面図

【図６】同、組み立て後のスタンドの斜視図

【図７】保護パネルの側面図

【符号の説明】

Ｓ 紙状体 １０，１０’ スタンド １１，１１’ 下部前面 １１ａ，１１ａ’ 下部前面の裏面 １２，１２’ 底面 １３，１３’ 立面 １４ 上面 １５，１５ａ’ 上部前面 １５ａ１５ａ’ 上部前面の表て面 ２０ パネル ３０ 留め具 ４０ 保護パネル ４１ アクリル板 ４２ 係止部 ４３ 磁石

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3B111 BA03 BB04 BC02 BD04 BE02 CA01 CC03 CE04 CE05

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スタンドとパネルと留め具とから成り、美
   術性のある紙状体を展示するための額であって、 スタンドが、 略細長の平板を、その長手方向と垂直に、少なくとも３
   ヶ所でお互い平行に谷折りされて、下方の端部から上方
   の端部に向かって順に、少なくとも、下部前面、底面、
   立面、上部前面を備えて、底面で立脚すると共に、下部
   前面と上部前面とを平行に設け、 パネルが、 磁着性金属から成る平板を、スタンドの下部前面の裏面
   と上部前面の表て面との間に挟まれて支持され、 パネルの表て面に、展示対象の紙状体の背面を当接さ
   せ、その紙状体の表て面に、磁石を備えた留め具を当て
   て、パネルと留め具との間の磁着作用によって紙状体を
   保持することを特徴とする装飾額。
2. 【請求項２】スタンドが、 その上部前面の表て面に、パネルの転倒防止用の磁石を
   備える請求項１に記載の装飾額。
3. 【請求項３】スタンドが、 少なくとも下部前面、底面、立面、上部前面で囲まれた
   空間に、多数枚の紙状体を収納するスペースを備える請
   求項１または２に記載の装飾額。