JP2002013787A - プール施設及びその温度調節システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来、プールは夏季の間、水温が３０度℃以
上に達し利用者に不快感を与える。また石油燃焼式であ
り、燃料供給に５トン程度の大きなタンクや燃料供給用
ポンプ等の設置のために、特別広い機械室が必要であっ
た。またプール室内空気の塩素濃度が高く人体への悪影
響や設備機器の腐食等の悪影響が生じる。更に冬季には
プール室の窓ガラスへ結露が生じる等の状況である。 【解決手段】 本発明は、電気式ヒートポンプチラー装
置からの冷温水と熱交換してプール水を冷却・加温する
プール水用熱交換器と、前記温水又は冷水と熱交換して
プール室内を空気調和する空気調和機と、プール水温検
知センサの温度検知に基づいてヒートポンプチラー装置
の作動媒体圧縮機の運転を制御してプール水温を所定の
範囲に制御する制御部と、プール室内の空気温度を検知
して空気調和機の運転を制御して前記プール室の空間の
温度を制御する制御部を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、プールの水温及び
プール室内の温度調節が可能なプール施設の温度調節シ
ステムに関する。

【０００２】

【従来の技術】既存のプールの温度調節設備は、冬季の
水温維持とプールを覆う空間（プール室内）の空気調和
が主たる目的であった。しかし、設備に係わる現状はプ
ール施設という環境に対して様々な問題を引き起こしそ
の対策に苦慮している。

【０００３】即ち、（イ）、プールは夏季の間、水温が
３０℃以上に達することがあり、利用者から水が熱く気
持ちが悪いという苦情がよせられる。（ロ）、通常、重
油等の石油燃料方式のボイラが用いられており、このた
めにボイラとこれへの燃料を供給する５トン程度の大き
なタンクや燃料供給用ポンプ等の設置のために、特別な
広い機械室が必要であった。（ハ）、またプール室内空
気の塩素濃度が高く人体への悪影響や設備機器の腐食等
の悪影響が生じている。（ニ）、更に冬季にはプール室
の窓ガラスへ結露が生じる、等の状況である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来のもの
において、上記（イ）に関しては、上記のような苦情が
あったときや係りの人が水温を測定したときの判断によ
って、新しい水の補給や氷の投入によって対応してお
り、常時適温に維持されるシステムではない。また上記
（ロ）に関しては、広い機械室を特別に設ける必要性か
ら建設費が高くなる問題がある。更に上記（ハ）に関し
ては、プールの水温が高くなるにしたがって雑菌繁殖の
防止の点からも塩素濃度が高くなり、これによって人体
への悪影響が大きくなる。また、塩素が換気扇、空気調
和機、換気口、照明器具、スイッチ、プールサイドの窓
のサッシ等へ付着堆積してこれらに腐食が生じる問題が
ある。また上記（ニ）に関しては、２重サッシ、熱線ガ
ラス、乾燥空気の吹き付け等が考えられるが、高温多湿
のプール室内に対しては、３０度以上にものぼる温度差
がある屋外環境に対しては不完全な対策に終わってい
て、カビの繁殖につながっている。

【０００５】これに対し本発明は、プール水温の調節が
でき、夏季の水の冷却と補給水の削減及び塩素投入量の
削減が可能であり、またプール室の空気調和の達成と結
露によるカビの繁殖を抑制できる技術を提供するもので
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このため、本願の第１発
明は、電気式ヒートポンプチラー装置によってつくられ
る温水又は冷水と熱交換してプール水を加温又は冷却す
るプール水用熱交換器と、前記温水又は冷水と熱交換し
てプール室内の空間を空気調和する空気調和機と、プー
ル水温検知センサの温度検知に基づいて前記ヒートポン
プチラー装置の運転を制御して前記プール水温を所定の
範囲に制御する制御部と、前記プール室内の空気温度を
検知して前記空気調和機の運転を制御して前記プール室
の温度を制御する制御部を設けた技術構成である。

【０００７】また、本願の第２の発明は、プール及びプ
ールサイドを覆ってプール室が構成され、前記プールの
側壁と前記プールサイドとの間には空間が形成され、電
気式ヒートポンプチラー装置によってつくられる温水又
は冷水によってプール水を加温又は冷却し、前記温水又
は冷水と熱交換してプール室内を空気調和する空気調和
機を前記空間に設け、前記空気調和機で熱交換された温
風又は冷風が前記プール室へ放出され前記プール室の空
気が前記空気調和機へ帰還する循環路を形成した技術構
成である。

【０００８】また、本願の第３発明のプール装置は、前
記空気調和機を通過した温風又は冷風を前記プール室の
側壁の一部を形成するガラス壁へ向けて放出する技術構
成である。

【０００９】本願の第４発明は、プール及びプールサイ
ドを覆ってプール室が構成され、前記プールの側壁と前
記プールサイドとの間には空間が形成され、電気式ヒー
トポンプチラー装置と、前記ヒートポンプチラー装置に
よってつくられる温水又は冷水と熱交換してプール水を
加温又は冷却するプール水用熱交換器と、前記温水又は
冷水と熱交換してプール室内を空気調和する空気調和機
と、前記プール水の濾過装置と、前記ヒートポンプチラ
ー装置の作動に基づきつくられた湯を貯める貯湯槽を有
し、前記ヒートポンプチラー装置の熱交換器、前記空気
調和機及び前記プールの水濾過装置を前記空間に配置
し、前記ヒートポンプチラー装置のチリングユニットと
前記貯湯槽を前記プール室を包含する建物の屋上又は屋
外に配置し、前記空気調和機を通過した空気が前記プー
ル室へ放出され前記プール室の空気が前記空気調和機へ
帰還する循環路を形成する技術構成である。

【００１０】本願の第５発明は、冷媒を圧縮する電動機
式圧縮機、冷媒が凝縮又は蒸発によって温水又は冷水を
つくる水熱交換器、冷媒が蒸発又は凝縮する空気熱交換
器、及び前記圧縮機で圧縮された高温冷媒を前記水熱交
換器側へ流すか前記空気熱交換器側へ流すかの切換を行
う切換バルブを有する電気式ヒートポンプチラー装置
と、プール室内の空間の冷房又は暖房用空気調和機を設
け、暖房時には、前記水熱交換器の温水又はこの温水と
熱交換した温水を前記プール水用熱交換器、前記空気調
和機及びプールサイドの床暖房ラインへ供給可能とし、
冷房時には、前記水熱交換器の冷水又はこの冷水と熱交
換した冷水を前記プール水用熱交換器及び前記空気調和
機へ供給可能とした技術構成である。

【００１１】

【発明の実施の形態】次に、本願発明のプール施設の温
度調節システムの実施の形態について説明する。図１乃
至図６は本発明の一つの実施形態を示す。図１は種種の
付帯設備を含む本発明のプール施設の平面図、図２はプ
ール施設の冷温水供給システム図、図３はプール等への
温水又は冷水供給システム図、図４はプール施設とその
温度調節システム機器の配置図、図５は代表的な電気式
ヒートポンプチラー装置の配管構成図、図６は本発明に
係る空気調和機の構成図である。

【００１２】本発明に係るプール施設としては、固定式
建造物として建設される固定プール方式と、分解可能な
組み立てプール方式とがある。前者は強固にして恒久的
な施設としてのメリットがあるが、その立地条件など調
査や建設期間が長くなる等の問題がある。これに対して
後者のものは、建設費の削減や建設期間の短縮、更には
プール施設の移動と再利用が可能である等のメリットが
ある。本発明に係るプール施設はこの両方に適用できる
ものである。

【００１３】以下、図に基づいて本発明の実施形態を説
明する。本発明でいうプール施設は、プールと、その周
辺部を人が歩行できるように水平状態に設けられたプー
ルサイドと、更にこれらを取り囲むように設けられたカ
バー部分（壁、屋根等）を総称したものであるが、これ
に加えて図１に示すように、種種の付帯設備を含む施設
を総称したものであってもよい。図１に示すプール施設
１は、４つの２５ｍ競泳用コースを有するプール１０
と、その周辺部を人が歩行できるような水平状態の床面
を形成するように設けられたプールサイド１１と、更に
これらを覆ってプール室７を形成するように設けられた
カバー部分（壁、屋根等）１２を有する。プール施設１
は、付帯設備として、プール１０に連続してその横に水
中運動ゾーン１３と、プール１０から離れてのんびり水
に浸かるリラクゼーションプール１４、シャワーブース
１５、機械器具利用によるトレーニングジム１６、男子
更衣室１７、女子更衣室１８と、更にプール施設の管理
のために事務室１９、機械室２０、スタッフルーム２
１、監視室２２、放送用のスタジオ２３等が設けられて
いる。

【００１４】プール施設１とその温度調節システム機器
の配置は図４に示す。３はプール１の側壁２５とプール
サイド１１との間に相対的に形成される空間であり、こ
の空間３には、後述の電気式ヒートポンプチラー装置２
の熱交換器４と、プール１の水をポンプで循環して濾過
する濾過装置５と、プール室７の空間を空気調和するた
めの空気調和機６を設置している。

【００１５】図５には電気式ヒートポンプチラー装置２
の構成を示す。ヒートポンプチラー装置２は、圧縮機２
４、四方弁２７、第１の熱交換器である水熱交換器４、
第２熱交換器である空気熱交換器２６、制御部３０など
から構成されている。図５において、圧縮機２４は電動
機で圧縮部を駆動して冷媒を圧縮する。水熱交換器は、
例えば２重管構造の熱交換パイプとし、その内側パイプ
内を通る冷媒とその外側パイプ内を通る水とが熱交換す
る。空気熱交換器２６は、パイプ内を通る冷媒とパイプ
周囲の空気とが熱交換する空気熱交換器である。四方弁
２７は、圧縮機２４で圧縮した冷媒の流れを第１熱交換
器４側か第２熱交換器２６側かへ切り換える作用をす
る。

【００１６】図５の構成において、暖房運転は次の通り
である。即ち、圧縮機２４で圧縮、加熱された作動媒体
である冷媒の経路は実線で示すように、四方弁２７を通
って第１熱交換器４へ入り、ここで熱交換して凝縮し熱
媒体としての水を加温する。凝縮した冷媒は冷房時に逆
止弁として作用する弁２８を通って第２熱交換器２６へ
入り、ここで外気と熱交換して気化し、四方弁２７から
圧縮機２４へ帰還する循環（イロハニホヘトチの流れ）
を繰り返す。

【００１７】制御部３０は、第１熱交換器４の水出口の
温度を検出する温度検知器３１の検知によって、圧縮機
２４の回転数を制御し、第１熱交換器４から出る温水の
温度を一定範囲に保つように制御する。第１熱交換器４
から出た温水は、後述のようにプール水の温度維持のた
めの温水用として供給される。またこの温水は、プール
室の空気調和用として空気調和機６へ供給され、またプ
ールサイドの床暖房用として、更にシャワーや浴槽など
の温水用としても供給可能である。制御部３０は温水供
給路のバルブ制御も行うことができる。

【００１８】次に冷房運転について説明する。上記暖房
運転状態から四方弁２７は冷房運転状態に切り換えられ
る。そして、圧縮機２４で圧縮、加熱された作動媒体で
ある冷媒の経路は点線で示すように、四方弁２７を通っ
て第２熱交換器２６へ入り、ここで外気と熱交換して冷
却液化され、膨張弁２９を通って減圧されて第１熱交換
器４へ入り、気化しつつ第１熱交換器４を流れて水を冷
却した後、圧縮機２４へ帰還する循環（ＡＢＣＤＥＦＧ
ＨＩの流れ）をする。

【００１９】制御部３０は、第１熱交換器４の水出口の
温度を検出する温度検知器３１の検知によって、ヒート
ポンプチラー装置２の運転を制御し、第１熱交換器４か
ら出る温水の温度を一定範囲に保つように制御する。ヒ
ートポンプチラー装置２の運転制御方法の一つとして、
圧縮機２４の回転数を制御する方法を採用している。圧
縮機２４の運転・停止制御は、圧縮機２４の運転及び停
止だけの制御でもよいが、それに加えて圧縮機２４の回
転数を制御する、所謂インバータ制御方式とすることに
よって、より細かな制御が達成できる。第１熱交換器４
から出た冷水は、後述のようにプール水温の上昇抑制を
行うための冷却用として供給される。またこの冷水はプ
ール室７の空気調和用としても供給可能であり、その他
の冷水利用箇所へ供給することによって、利用効果が上
がる。制御部３０は冷水供給路のバルブ制御も行うこと
ができる。

【００２０】ヒートポンプチラー装置２は、そのいくつ
かを冷房・暖房用とし、他のいくつかをプール水温の加
温・冷却用とする方法と、この両方を兼用する方法とが
あり、そのいずれでもよい。図３には、図５に示す電気
式ヒートポンプチラー装置２を３台（２Ａ、２Ｂ、２
Ｃ）設置したときの構成を示す。これにおいて、プール
室７の冷房又は暖房用として設けた複数台の空気調和機
６への冷水又は温水の供給は、ヒートポンプチラー装置
２Ａ、２Ｂ、２Ｃの一つ又は複数から行われる。プール
１０の水温維持のための冷却又は加温は、主として電気
代の安い夜間に行う。昼間に利用される浴槽３３やシャ
ワー装置３４等への給湯も、夜間電力の利用によってヒ
ートポンプチラー装置２Ｃの給湯コイルからの湯を貯湯
槽３２に貯めておく。このため業務用蓄熱調整契約によ
って、電気代の安い夜間電力を利用してヒートポンプチ
ラー装置２Ａ、２Ｂ、２Ｃを運転して第１熱交換器４か
ら冷水又は温水をプール水用熱交換器３７へ供給する。
しかし、昼間のプール１０の水温変動に応じてヒートポ
ンプチラー装置２Ａ、２Ｂ、２Ｃを運転して冷水又は温
水を供給することによって、プール１０の水温変動に対
処する。また、夏季は冷房運転の廃熱で貯湯槽３２に湯
を貯める方式の採用によって、省エネルギー効果が得ら
れる。

【００２１】プール１０の水温制御は、プール水温検知
センサ３６によるプール１０の水温検知に基づき制御部
３５が、関連するヒートポンプチラー装置２Ａ、２Ｂ、
２Ｃの圧縮機２４のいくつかとポンプ３８の運転を制御
して行う。この場合、制御部３０による制御を省いても
よいが、制御部３０による制御を制御部３５に包含して
ヒートポンプチラー装置を制御してもよい。プール１０
の水はポンプ３８、集毛器３９、濾過装置５及び滅菌装
置４０を経て熱交換器３７へ供給され、ここで第１熱交
換器４から供給された冷水又は温水と熱交換して再びプ
ール１０へ戻る循環を行うことによって、プール１０の
水温は制御部３５による制御によって、所定の温度範囲
に制御される。また制御部３５によって、圧縮機２４の
ＯＮ／ＯＦＦ制御及び又は回転数制御による運転制御の
みならず、プール１０の水の上記循環路に設けた開閉バ
ルブ７０、７１の開閉制御、或いはヒートポンプチラー
装置２からの温水又は冷水供給路のバルブの開閉、及び
又はポンプ３８の運転等の制御も圧縮機２４の運転制御
と関連して行うことによって、より適切な制御が達成で
きる。ヒートポンプチラー装置２でつくられる温水又は
冷水を直接プール１０へ供給する場合には、温水又は冷
水の供給量不足などの問題が生じる虞があるが、熱交換
器３７を設けたことにより、熱交換器３７の１次側管路
にヒートポンプチラー装置２の温水又は冷水を流し、そ
の２次側管路にプール１０側の水を循環させることによ
って、ヒートポンプチラー装置２の温水又は冷水循環路
４２、４３と、プール１０側の水循環路５６とを分離で
きるので、その問題は解決できる。

【００２２】なお、温水又は冷水の供給量調整装置を設
けた場合には、ヒートポンプチラー装置２でつくられる
温水又は冷水を直接プール１０へ供給する方式を採用す
ることもできる。この場合、プール１０の水温制御は、
給水路４２からプール１０毎に設けた給水路のバルブ及
び又はポンプを設け、これを制御部３５の動作に基づき
制御して、給水路４２の温水又は冷水をプール１０へ供
給することによって、プール１０の水温を所定温度に制
御する方式を採用することもできる。更に、プール１０
の水温制御は、圧縮機２４の運転制御を行う方式ではな
く、制御部３５の動作に基づきポンプ３８の運転・停止
の制御によって熱交換器３７の温水又は冷水をプール１
０へ供給制御する方式でもよい。いずれにしても、電気
式ヒートポンプチラー装置によってつくられる温水又は
冷水によってプール水を加温又は冷却する方式である。

【００２３】図２にはプール施設の冷温水供給システム
を示している。複数のヒートポンプチラー装置２から供
給される温水は、供給路４２へ供給されて帰還路４３か
ら帰還する。供給路４２と帰還路４３には、空気調和機
６、プールサイドの床暖房用加温ライン４４、プール水
を加温又は冷却するプール水用熱交換器３７が並列に接
続されている。図２にはプール１０が３つ設けられた構
成が示されている。４１は帰還路４３に接続された膨張
タンクである。貯湯槽３２へ貯える湯を加温するための
ヒートポンプチラー装置２の一つに供給される供給水
は、給水路４５から予熱用熱交換器４６へ供給され、こ
こで供給路４２から帰還路４３へ循環する温水と熱交換
して加温された後に、ヒートポンプチラー装置２の一つ
に供給されて加温されて貯湯槽３２へ貯えられる。浴槽
３３の湯は、温水循環ポンプ４７によって、集毛器４
８、濾過装置４９及び滅菌装置５０を経て熱交換器５１
へ供給され、ここで貯湯槽３２から供給された温水と熱
交換して再び浴槽３３へ戻る循環を行う。５２はプール
１０のオーバーフロー水を受け入れ、プール１０の水の
不足分を補うために設けた補給水槽であり、プール１０
の水の不足時にはバルブ５３を開いて補給水槽５２から
ポンプ３８によって補給水を供給する。

【００２４】プール室７の空間の空気調和は、夏季にお
いては、空気調和機６によって冷却された冷気で冷房
し、冬季には空気調和機６によって加温された暖気によ
って暖房する。空気調和機６は、図６に示すように、供
給路４２から帰還路４３へ循環する温水又は冷水が流れ
る管路とこの管路から外方へ延びたフィンを有する熱交
換器６０と、この熱交換器６０と外気との熱交換を促進
する電動送風機（ファン）６１と、プール室７の空気温
度を検知センサで検知して管理者が設定した設定温度に
なるように空気調和機６の運転を制御する制御部６２と
を筐体６３内に有する。制御部６２によってファン６１
の運転及び又は冷温水管路バルブ５５の開閉を制御する
ことによって、プール室７の空気温度を所定温度範囲に
制御する。空気調和機６でつくられた冷気又は暖気は、
プールサイド１１の一方の端に形成した空気吹き出し口
６４からプール室７へ吹き出し、プール室７の空間の冷
房又は暖房を行ったのち、プールサイド１１の他方の端
に形成した空気吸い込み口６５から空気調和機６へ帰還
する循環路を通って循環することによって、プール室７
の空気調和による快適空間の形成、及びガラス壁の結露
防止やカビの繁殖抑制等が達成できる。この場合、暖気
はカバー部分（壁、屋根等）１２のガラス壁１２Ａ（開
閉できるガラス窓を含む）に沿って吹き出させることに
よって、ガラス壁１２Ａの露付き防止をより一層効果な
らしめることができる。空気吹き出し口６４からプール
室７へ吹き出す冷気によってガラス壁１２Ａが曇る場合
には、吹き出し空気の温度を若干上げるか、空気吹き出
し口６４の風向部を調整して空気の吹き出し方向を変更
する等の気流解析によってプール室７を適切な状態に維
持できる。

【００２５】本発明では、電気式ヒートポンプチラー装
置２の採用によって、ヒートポンプチラー装置２の第１
熱交換器４、空気調和機６及びプールの水濾過装置５を
空間３に配置し、ヒートポンプチラー装置２のチリング
ユニット（圧縮機２４、第２熱交換機、四方弁２７及び
冷媒配管を含む熱源機）２Ｔと貯湯槽３２をプール室７
を包含する建物１の屋上又は屋外に配置する構成にする
ことによって、設置性に優れたシステムとなっている。
また膨張タンク４１も建物１の屋上又は屋外に配置して
いる。

【００２６】本発明は、上記のように、電気式ヒートポ
ンプチラー装置によってつくられる温水又は冷水と熱交
換してプール水を加温又は冷却するプール水用熱交換器
と、前記温水又は冷水と熱交換してプール室内の空間を
空気調和する空気調和機と、プール水温検知センサの温
度検知に基づいて前記ヒートポンプチラー装置の運転を
制御して前記プール水温を所定の範囲に制御する制御部
と、前記プール室内の空気温度を検知して前記空気調和
機の運転を制御して前記プール室の温度を制御する制御
部を設けている。

【００２７】このため、電気式ヒートポンプチラー装置
によってつくられる温水又は冷水の利用によって、プー
ル水温とプール室内の空気調和とを行うことができ、プ
ール水温とプール室内の空気温度の制御も、ヒートポン
プチラー装置及び空気調和機の運転制御によって容易且
つ適正に行い得る。そして、従来のガスやオイルの燃焼
方式による温水供給システムに比して燃焼による炭酸ガ
スの排出がなく、安全性の高い電気式による空調・給湯
方式が達成でき、ヒートポンプシステムにより高い熱効
率によって約６０℃の高温出湯が可能となり、環境に優
しいシステムとして効果がある。そして夜間電力使用に
よってランニングコストの低減が図れる。また、耐用年
数の高い、合理的な全電気式システムにできるので、導
入時のコスト回収が短期間でできる。

【００２８】本発明は、また、プール及びプールサイド
を覆ってプール室が構成され、前記プールの側壁と前記
プールサイドとの間には空間が形成され、電気式ヒート
ポンプチラー装置によってつくられる温水又は冷水によ
ってプール水を加温又は冷却し、前記温水又は冷水と熱
交換してプール室内を空気調和する空気調和機を前記空
間に設け、前記空気調和機で熱交換された温風又は冷風
が前記プール室内へ放出され前記プール室の空気が前記
空気調和機へ帰還する循環路を形成している。このた
め、設置スペースの有効活用が可能であり、専用ボイラ
ー室が不要となり、設置性に優れたシステムとなる。ま
た、プール室の空気調和による快適空間の形成、及びガ
ラス壁の結露防止やカビの繁殖抑制等が達成できる。

【００２９】また、前記空気調和機を通過した温風又は
冷風を前記プール室の側壁の一部を形成するガラス壁へ
向けて放出することにより、ガラス壁１２Ａの露付き防
止をより一層効果ならしめることができる。

【００３０】本発明は、また、プール及びプールサイド
を覆ってプール室が構成され、前記プールの側壁と前記
プールサイドとの間には空間が形成され、電気式ヒート
ポンプチラー装置と、前記ヒートポンプチラー装置によ
ってつくられる温水又は冷水と熱交換してプール水を加
温又は冷却するプール水用熱交換器と、前記温水又は冷
水と熱交換してプール室内を空気調和する空気調和機
と、前記プール水の濾過装置と、前記ヒートポンプチラ
ー装置の作動に基づきつくられた湯を貯める貯湯槽を有
し、前記ヒートポンプチラー装置の熱交換器、前記空気
調和機及び前記プールの水濾過装置を前記空間に配置
し、前記ヒートポンプチラー装置のチリングユニットと
前記貯湯槽を前記プール室を包含する建物の屋上又は屋
外に配置し、前記空気調和機を通過した空気が前記プー
ル室へ放出され前記プール室の空気が前記空気調和機へ
帰還する循環路を形成している。

【００３１】このため、上記００２６項に記載した特徴
に加えて、ヒートポンプチラー装置の熱交換器、前記空
気調和機及び前記プールの水濾過装置を前記空間に配置
しており、設置スペースの有効活用が可能であり、専用
ボイラー室が不要となり、設置性に優れたシステムとな
る。

【００３２】更に、本発明は、冷媒を圧縮する電動機式
圧縮機、冷媒が凝縮又は蒸発によって温水又は冷水をつ
くる水熱交換器、冷媒が蒸発又は凝縮する空気熱交換
器、及び前記圧縮機で圧縮された高温冷媒を前記水熱交
換器側へ流すか前記空気熱交換器側へ流すかの切換を行
う切換バルブを有する電気式ヒートポンプチラー装置
と、プール室内の空間の冷房又は暖房用空気調和機を設
け、暖房時には、前記水熱交換器の温水又はこの温水と
熱交換した温水を前記プール水用熱交換器、前記空気調
和機及びプールサイドの床暖房ラインへ供給可能とし、
冷房時には、前記水熱交換器の冷水又はこの冷水と熱交
換した冷水を前記プール水用熱交換器及び前記空気調和
機へ供給可能としたプール装置の温度調節システムであ
る。このため、上記００２６項に記載したプール室の空
気調和による快適空間の形成、及びガラス壁の結露防止
やカビの繁殖抑制等の特徴に加えて、プールサイドの床
暖房によってプールサイドの温熱環境の形成が達成でき
る。

【００３３】本発明は、上記実施形態に限定されず、本
発明の技術的範囲を逸脱しないかぎり種種の変更が考え
られ、それに係る種種の実施形態を包含するものであ
る。

【００３４】

【発明の効果】上記のように、第１の発明では、プール
水温とプール室内の空気温度の制御も燃料式から電気式
とすることができる。そして、電気式ヒートポンプチラ
ー装置によってつくられる温水又は冷水の利用によって
プール水温調節とプール室内の空気調和とを行うことが
できると共に、これに係る制御も、ヒートポンプチラー
装置及び空気調和機の運転制御によって容易且つ適正に
行い得る。このため、環境に優しく、効率が高く、ラン
ニングコストが安いプール室内の快適空間の形成ができ
る。

【００３５】また、第２の発明では、このため、設置ス
ペースの有効活用が可能であり、専用ボイラー室が不要
となり、設置性に優れたシステムとなる。また、プール
室の空気調和による快適空間の形成、及びガラス壁の結
露防止やカビの繁殖抑制等が達成できる。

【００３６】また、第３の発明では、プール室のガラス
壁の露付き防止をより一層効果ならしめることができ
る。

【００３７】また、第４の発明では、第２の発明の特徴
に加えて、ヒートポンプチラー装置の熱交換器、前記空
気調和機及び前記プールの水濾過装置を前記空間に配置
しており、設置スペースの有効活用が可能であり、専用
ボイラー室が不要となり、設置性に優れたシステムとな
る。

【００３８】また、第５の発明では、電気式ヒートポン
プチラー装置によってつくられる温水又は冷水の利用に
よって、電気的システムによってプール水温調節とプー
ル室内の空気調和とを行うことができ、プール室の空気
調和による快適空間の形成、及びガラス壁の結露防止や
カビの繁殖抑制に加えて、プールサイドの床暖房によっ
てプールサイドの温熱環境の形成が達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】種種の付帯設備を含む本発明のプール施設の平
面図である。

【図２】本発明のプール装置の冷温水供給システム図で
ある。

【図３】本発明のプール装置におけるプール等への温水
又は冷水供給システム図である。

【図４】本発明におけるプール施設とその温度調節シス
テム機器の配置図である。

【図５】本発明に係る代表的な電気式ヒートポンプチラ
ー装置の配管構成図である。

【図６】本発明に係る空気調和機の構成図である。

【符号の説明】

１……プール施設 ２……電気式ヒートポンプチラー装置 ３……空間 ４……熱交換器 ５……濾過装置 ６……空気調和機 ７……プール室 １０…プール １１…プールサイド １２Ａ…ガラス壁 １３…薬剤タンク ２４…圧縮機 ２６…第２熱交換器 ２７…四方弁 ３０…制御部 ３２…貯湯槽 ３３…浴槽 ３４…シャワー装置 ３５…制御部 ３６…プール水温検知センサ ３７…プール水用熱交換器 ３８…ポンプ ４２…給水路 ４３…帰還路 ４４…プールサイド床暖房ライン ６４…空気吹き出し口 ６５…空気吸い込み口

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電気式ヒートポンプチラー装置によって
   つくられる温水又は冷水と熱交換してプール水を加温又
   は冷却するプール水用熱交換器と、前記温水又は冷水と
   熱交換してプール室内の空間を空気調和する空気調和機
   と、プール水温検知センサの温度検知に基づいて前記ヒ
   ートポンプチラー装置の運転を制御して前記プール水温
   を所定の範囲に制御する制御部と、前記プール室内の空
   気温度を検知して前記空気調和機の運転を制御して前記
   プール室の空間の温度を制御する制御部を設けたことを
   特徴とするプール施設の温度調節システム。
2. 【請求項２】 プール及びプールサイドを覆ってプール
   室が構成され、前記プールの側壁と前記プールサイドと
   の間には空間が形成され、電気式ヒートポンプチラー装
   置によってつくられる温水又は冷水によってプール水を
   加温又は冷却し、前記温水又は冷水と熱交換してプール
   室内を空気調和する空気調和機を前記空間に設け、前記
   空気調和機で熱交換された温風又は冷風が前記プール室
   へ放出され前記プール室の空気が前記空気調和機へ帰還
   する循環路を形成してなるプール施設。
3. 【請求項３】 前記空気調和機を通過した温風又は冷風
   を前記プール室の側壁の一部を形成するガラス壁へ向け
   て放出することを特徴とする請求項２に記載のプール施
   設。
4. 【請求項４】 プール及びプールサイドを覆ってプール
   室が構成され、前記プールの側壁と前記プールサイドと
   の間には空間が形成され、電気式ヒートポンプチラー装
   置と、前記ヒートポンプチラー装置によってつくられる
   温水又は冷水と熱交換してプール水を加温又は冷却する
   プール水用熱交換器と、前記温水又は冷水と熱交換して
   プール室内を空気調和する空気調和機と、前記プール水
   の濾過装置と、前記ヒートポンプチラー装置の作動に基
   づきつくられた湯を貯める貯湯槽を有し、前記ヒートポ
   ンプチラー装置の熱交換器、前記空気調和機及び前記プ
   ールの水濾過装置を前記空間に配置し、前記ヒートポン
   プチラー装置のチリングユニットと前記貯湯槽を前記プ
   ール室を包含する建物の屋上又は屋外に配置し、前記空
   気調和機を通過した空気が前記プール室へ放出され前記
   プール室の空気が前記空気調和機へ帰還する循環路を形
   成してなるプール施設。
5. 【請求項５】 冷媒を圧縮する電動機式圧縮機、冷媒が
   凝縮又は蒸発によって温水又は冷水をつくる水熱交換
   器、冷媒が蒸発又は凝縮する空気熱交換器、及び前記圧
   縮機で圧縮された高温冷媒を前記水熱交換器側へ流すか
   前記空気熱交換器側へ流すかの切換を行う切換バルブを
   有する電気式ヒートポンプチラー装置と、プール室内の
   空間の冷房又は暖房用空気調和機を設け、暖房時には、
   前記水熱交換器の温水又はこの温水と熱交換した温水を
   前記プール水用熱交換器、前記空気調和機及びプールサ
   イドの床暖房ラインへ供給可能とし、冷房時には、前記
   水熱交換器の冷水又はこの冷水と熱交換した冷水を前記
   プール水用熱交換器及び前記空気調和機へ供給可能とし
   たプール施設の温度調節システム。