JP2002012860A - 光電変換素子用化合物及びこれを用いた光電変換素子 - Google Patents

光電変換素子用化合物及びこれを用いた光電変換素子

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JP2002012860A
JP2002012860A JP2001167458A JP2001167458A JP2002012860A JP 2002012860 A JP2002012860 A JP 2002012860A JP 2001167458 A JP2001167458 A JP 2001167458A JP 2001167458 A JP2001167458 A JP 2001167458A JP 2002012860 A JP2002012860 A JP 2002012860A
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organic
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hydrophilic
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JP2001167458A
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Kazuo Okamoto
一男 岡本
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Sanyo Chemical Industries Ltd
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Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来間題となっていた作業の繁雑さと製造効
率を飛躍的に改善することができ、さらに輝度及び寿命
等に極めて優れたの光電変換素子を作成することができ
る化合物を提供することを目的とする。 【解決手段】少なくとも1個の光電変換基(a)と、少
なくとも1個の親水性基(b)と、少なくとも1個の疎
水性基(c)とをそれぞれ独立に有する化合物であり、
疎水性基(c)全体の溶解度パラメーター値(A)と親
水性基(b)全体の溶解度パラメーター値(B)との比
(A)/(B)が、1.00〜1.40の範囲であるこ
とを特徴とする光電変換素子用化合物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電変換素子用化
合物及びこれを用いた光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】ラングミュア・ブロジェット法(以下、
LB法と略記する。)を用いて電極基板上に単分子層を
繰り返し形成させることにより、有機エレクトロルミネ
ッセンス素子(以下、有機EL素子と略記する。)を製
造することのできるアントラセン誘導体やピレン誘導体
が知られている(特開昭52−35587号公報及び特
開平7−263145号公報等)。
【0003】
【発明が解決使用とする課題】従来のアントラセン誘導
体やピレン誘導体を用いる場合、有機EL素子としての
膜厚0.01〜1.00μmを得るため、単分子膜の形
成を4〜200回繰り返すLB法を採用せざるを得なか
ったため、作業が繁雑で製造効率が極めて低いという問
題があった。また、工程数が多くなることにより、欠陥
が生じやすく大面積化が難しいという問題もあった。す
なわち、本発明の目的は、従来問題となっていた作業の
繁雑さと製造効率を飛躍的に改善することができる光電
変換素子用化合物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意検討した結果、高性能の有機EL素子を
極めて容易に製造できる化合物を見いだし本発明に到達
した。すなわち、本発明の光電変換素子用化合物の特徴
は、少なくとも1個の光電変換基(a)と、少なくとも
1個の親水性基(b)と、少なくとも1個の疎水性基
(c)とをそれぞれ独立に有する化合物であり、疎水性
基(c)全体の溶解度パラメーター値(A)と親水性基
(b)全体の溶解度パラメーター値(B)との比(A)
/(B)が、1.00〜1.40の範囲である点にあ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の光電変換基(a)とは、
光を電位に又は電位を光に変換する機能を有する置換
基、すなわち、受光により電位を発生、又は、電位の印
加により光を発生する機能を有する置換基を意味する。
【0006】光電変換基(a)中のパイ電子の数は、光
電変換効率の観点から、少なくとも7個であることが好
ましく、さらに好ましくは7〜10,000個、特に好
ましくは9〜9,000個、さらに特に好ましくは10
〜8,500個、最も好ましくは12〜8,000個で
ある。さらに、光電変換基(a)の分子量が100以上
1,000未満のとき、光電変換基(a)中のパイ電子
の数は、光電変換効率の観点から、少なくとも7個であ
ることが好ましく、さらに好ましくは7〜80個、特に
好ましくは9〜60個、さらに特に好ましくは10〜5
0個、最も好ましくは12〜40個である。
【0007】また、光電変換基(a)の分子量が1,0
00以上1,000,000未満のとき、光電変換基
(a)中のパイ電子の数は、光電変換効率の観点から、
少なくとも50個が好ましく、さらに好ましくは50〜
10,000個、特に好ましくは60〜9,000個、
さらに特に好ましくは70〜8,500個、最も好まし
くは80〜8,000個である。ただし、分子量が1,
000未満のときは、化学構造式から算出される分子量
を意味し、分子量が1,000以上1,000,000
未満のときは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)による重量平均分子量(以下、Mwと略す
る。)を意味する。なお、光電変換基が後述の重合体か
らなるときはGPCによるMwである。
【0008】また、光電変換基(a)は、電位を印加す
ることにより発する光の領域(発光スペクトル)が可視
光領域(波長400〜800nm)である有機基が望ま
しい。また、受光により電位を発生させる場合の光の領
域(吸光スペクトル)は発光スペクトルと重ならない範
囲が好ましいが一部重なっていてもよい。なお、発光ス
ペクトルは、本発明の光電変換素子用化合物に電位を印
加して、分光器(赤外分光器及び可視光・紫外光分光器
等)等によって測定される。また、吸光スペクトルは、
吸光分光器(赤外吸光分光器及び可視光・紫外光吸光分
光器等)等によって測定さる。
【0009】本発明において、少なくとも一個の光電変
換基(a)を独立に有するとは、(a)が親水性基
(b)又は疎水性基(c)を兼ねるようなものは含まな
いことを意味する。また、(a)が(b)及び(c)と
は独立に少なくとも一個存在していればよく、二種以上
の光電変換基(a)がそれぞれ一個以上存在していても
よく、同種の光電変換基(a)が二個以上存在していて
もよいことを意味するものである。なお、本発明の化合
物中、光電変換基(a)とは、パイ電子が共役し得る原
子及び該原子に結合する水素原子をすべて含む範囲を意
味する(例えば、後述のW1〜W9において、実線で囲
んだ範囲である。)。
【0010】光電変換基(a)を構成できる化合物とし
ては、例えば、多環縮合芳香族化合物、ベンゾチアゾー
ル骨格含有化合物、スチルベン骨格含有化合物、チオフ
ェン環含有化合物、ベンゾオキサゾール骨格含有化合
物、ベンゾイミダゾール骨格含有化合物、金属キレート
化オキシノイド化合物、スチリルピラジン骨格含有化合
物及びポリフェニル骨格含有化合物等が使用できる。多
環縮合芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、
アントラキノン、ナフタレン、ピレン、タリセン、フル
オレン及びペリレン等が挙げられる。ベンゾチアゾール
骨格含有化合物としては、例えば、2,2’−(p−フ
ェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等が挙げ
られる。
【0011】スチルベン骨格含有化合物としては、例え
ば、4,4’−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−
ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4’−ビス
(5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベン
ゾオキサゾリル)スチルベン、1,4−ビス(2−メチ
ルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチ
リル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)
ベンゼン及びジスチリルベンゼン、並びにこれらの他に
欧州特許第0319881号公報、欧州特許第0373
582号公報及び特開平07−147189号公報に記
載のもの等が挙げられる。
【0012】チオフェン環含有化合物としては、例え
ば、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベ
ンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス(5,7
−ジ(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾ
リル)−3,4−ジフェニルチオフェン及びポリチオフ
ェン(GPCによるMwが23,000〜450,00
0)等が挙げられる。ベンゾオキサゾール骨格含有化合
物としては、例えば、5−メチル−2−(2−(4−
(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル)ビ
ニル)ベンゾオキサゾール及び2−(2−(4−クロロ
フェニル)ビニル)ナフト(1,2−d)オキサゾール
等が挙げられる。
【0013】ベンゾイミダゾール骨格含有化合物として
は、例えば、2−(2−(4−(2−ベンゾイミダゾリ
ル)フェニル)ビニル)ベンゾイミダゾール及び2−
(2−(4−カルボキシフェニル)ビニル)ベンゾイミ
ダゾール等が挙げられる。金属キレート化オキシノイド
化合物としては、例えば、トリス(8−キノリノール)
アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウ
ム、ビス(ベンゾ〔f〕−8−キノリノール)亜鉛、ビ
ス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウムオ
キシド及びこれらの他に特開昭63−295695号公
報に記載のもの等が挙げられる。
【0014】スチリルピラジン骨格含有化合物として
は、例えば、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラ
ジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、
2,5−ビス〔2−(1−ナフチル)ビニル〕ピラジ
ン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、
2,5−ビス〔2−(4−ビフェニル)ビニル〕ピラジ
ン及びこれらの他に特開平2−252793号公報に記
載のもの等が挙げられる。ポリフェニル骨格含有化合物
としては、例えば、欧州特許0387715号明細書に
記載のもの等が挙げられる。
【0015】本発明において、少なくとも一個の親水性
基(b)を独立に有するとは、(b)が光電変換基
(a)又は疎水性基(c)を兼ねるようなものは含まな
いことを意味し、(b)が(a)及び(c)とは独立に
少なくとも一個存在していればよく、二種以上の親水性
基(b)がそれぞれ一個以上存在していてもよく、同種
の親水性基(b)が二個以上存在していてもよいことを
意味するものである。親水性基(b)として、アニオン
性親水基、カチオン性親水基、ノニオン性親水基及びこ
れらの2種以上からなる基が使用できる。
【0016】アニオン性親水基としては、カルボン酸基
(カルボキシル基、−COH)、スルフォン酸基(ス
ルホ基、−SOH)、硫酸エステル基(スルホオキシ
基、−OSOH)、リン酸エステル基(ホスホノオキ
シ基、−OPO(OH))、リン酸基(ホスホノ基、
−PO(OH))、ケイ酸基(シラノール基、−Si
(ROH)、及びこれらの塩からなる群から選ば
れる少なくとも1種のアニオン性基(X)及び/又は
これらの塩を有する有機基等が使用できる。Rは、水
酸基又は1価の炭化水素基を表し、2つのRは同じで
も異なっていてもよい。
【0017】1価の炭化水素基としては、アルキル基、
フルオロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルケニ
ル基、アリール基及びフルオロアリール基等が使用でき
る。アルキル基としては、炭素数1〜15(好ましくは
2〜13、さらに好ましくは3〜10)のアルキル基等
が使用でき、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、
デシル基及びペンタデシル基等が挙げられる。フルオロ
アルキル基としては、炭素数1〜15(好ましくは2〜
13、さらに好ましくは3〜10)のフルオロアルキル
基等が使用でき、例えば、トリフルオロメチル基、ヘプ
タフルオロプロピル基、トリフルオロブチル基、パーフ
ルオロデシル基及びパーフルオロペンタデシル基等が挙
げられる。
【0018】アルケニル基としては、炭素数2〜15
(好ましくは3〜13、さらに好ましくは4〜10)の
アルケニル基等が使用でき、例えば、ビニル基、イソプ
ロペニル基、アリル基、ブテニル基、デセニル基及びペ
ンタデセニル基等が挙げられる。フルオロアルケニル基
としては、炭素数2〜15(好ましくは3〜13、さら
に好ましくは4〜10)のフルオロアルケニル基等が使
用でき、例えば、トリフルオロビニル基、トリフルオロ
プロペニル基、ジフルオロブテニル基、パーフルオロデ
セニル基及びパーフルオロペンタデセニル基等が挙げら
れる。
【0019】アリール基としては、炭素数6〜15(好
ましくは7〜13、さらに好ましくは8〜10)のアリ
ール基等が使用でき、例えば、フェニル基、トリル
基、、エチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、オク
チルフェニル基、ナフチル基及びノニルフェニル基等が
挙げられる。フルオロアリール基としては、炭素数6〜
15(好ましくは7〜13、さらに好ましくは8〜1
0)及びフッ素数1〜23(好ましくは2〜19、さら
に好ましくは3〜13)のフルオロアリール基等が使用
でき、例えば、ペンタフルオロフェニル基、モノフルオ
ロフェニル基、トリフルオロトリル基、テトラフルオロ
エチルフェニル基、パーフルオロt−ブチルフェニル
基、パーフルオロオクチルフェニル基、パーフルオロナ
フチル基及びパーフルオロノニルフェニル基等が挙げら
れる。
【0020】これらの塩としては、アルカリ金属塩(例
えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム等の塩)及び
アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム及びカルシ
ウム等の塩)等が用いられ、例えば、カルボン酸ナトリ
ウム塩(−CONa)、カルボン酸カリウム塩(−C
K)、スルホン酸リチウム塩(−SOLi)、ス
ルホン酸カリウム塩(−SOK)、硫酸エステルナト
リウム塩(−OSONa)、硫酸エステルカリウム塩
(−OSOK)、リン酸エステルナトリウム塩(−O
PONa)、リン酸エステルカリウム塩(−OPO
)、リン酸ナトリウム塩(−PONa)、リ
ン酸カルシウム塩(−POCa)、ケイ酸ナトリウム
塩(−SiONa)及びケイ酸カリウム塩(−SiO
K)等が挙げられる。
【0021】有機基としては、一般式(1)又は(2)
で表される基等が使用できる。
【化1】
【0022】式中、Rは2価の炭化水素基を表し、R
は3価の炭化水素基を表す。Qは光電変換基(a)又
は疎水性基(c)を表す。m、m’及びm’’は0又は
1を表し、Qが光電変換基(a)の場合、m’’は0で
あり、mとm’は同時に1になることはない。sは0又
は1〜14(好ましくは0又は2〜12、さらに好まし
くは0又は3〜9)の整数、tは1〜14(好ましくは
2〜12、さらに好ましくは3〜9)の整数を表す。s
+tは1〜15(好ましくは2〜12、さらに好ましく
は3〜9)の整数を表す。sが2以上のときRはそれ
ぞれ同じでも異なっていてもよく、また、tが2以上の
ときRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R
とRとの結合様式は、ランダム、ブロック又はその組
合せのいずれでもよい。Xはアニオン性基を表す。
【0023】
【化2】
【0024】式中、R、m、m’及びm’’、Q、X
については一般式(1)と同じである。s’は1〜1
5(好ましくは2〜13、さらに好ましくは3〜10)
の整数を表す。2価の炭化水素基としては、アルキレン
基、フルオロアルキレン基、アルケニレン基、フルオロ
アルケニレン基、アリーレン基及びフルオロアリーレン
基等が使用できる。
【0025】アルキレン基としては、炭素数1〜15
(好ましくは2〜13、さらに好ましくは3〜10)の
アルキレン基等が使用でき、例えば、メチレン基、メチ
ルメチレン基、エチルメチレン基、プロピルメチレン
基、ノニルメチレン基、ドデシルメチレン基、テトラデ
シルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルエチルメ
チレン基、メチルプロピルメチレン基、メチルデシルメ
チレン基、メチルウンデシルメチレン基、ジエチルメチ
レン基、エチルブチルメチレン基、エチルドデシルメチ
レン基、ジプロピルメチレン基、プロピルウンデシルメ
チレン基、ジブチルメチレン基、ジペンチルメチレン
基、ジヘキシルメチレン基及びジヘプチルメチレン基等
が挙げられる。
【0026】フルオロアルキレン基としては、炭素数1
〜15(好ましくは2〜13、さらに好ましくは3〜1
0)のフルオロアルキレン基等が使用でき、例えば、ジ
フルオロメチレン基、トリフルオロメチルメチレン基、
テトラフルオロエチルメチレン基、パーフルオロプロピ
ルメチレン基、パーフルオロノニルメチレン基、パーフ
ルオロドデシルメチレン基、パーフルオロテトラデシル
メチレン基、パーフルオロジメチルメチレン基、パーフ
ルオロメチルエチルメチレン基、ジフルオロメチルプロ
ピルメチレン基、パーフルオロメチルデシルメチレン
基、トリフルオロメチルウンデシルメチレン基、パーフ
ルオロジエチルメチレン基、パーフルオロエチルブチル
メチレン基、パーフルオロエチルドデシルメチレン基、
パーフルオロジプロピルメチレン基、パーフルオロプロ
ピルウンデシルメチレン基、パーフルオロジブチルメチ
レン基、パーフルオロジペンチルメチレン基、パーフル
オロジヘキシルメチレン基及びパーフルオロジヘプチル
メチレン基等が挙げられる。
【0027】アルケニレン基としては、炭素数2〜15
(好ましくは3〜13、さらに好ましくは4〜10)の
アルケニレン基等が使用でき、例えば、エチレニル基、
メチルエチレニル基、エチルエチレニル基、オクチルエ
チレニル基、ウンデシルエチレニル基、トリデシルエチ
レニル基、ジメチルエチレニル基、ジエチルエチレニル
基、ジプロピルエチレニル基、ジブチルエチレニル基、
ジペンチルエチレニル基、ジヘキシルエチレニル基、メ
チルエチルエチレニル基、メチルプロピルエチレニル
基、メチルヘプチルエチレニル基、メチルデシルエチレ
ニル基、メチルドデシルエチレニル基、エチルオクチル
エチレニル基、プロピルヘキシルエチレニル基及びブチ
ルノニルエチレニル基等が挙げられる。
【0028】フルオロアルケニレン基としては、炭素数
2〜15(好ましくは3〜13、さらに好ましくは4〜
10)のフルオロアルケニレン基等が使用でき、例え
ば、テトラフルオロエチレニル基、トリフルオロメチル
エチレニル基、パーフルオロエチルエチレニル基、パー
フルオロオクチルエチレニル基、パーフルオロウンデシ
ルエチレニル基、パーフルオロトリデシルエチレニル
基、パーフルオロジメチルエチレニル基、パーフルオロ
ジエチルエチレニル基、パーフルオロジプロピルエチレ
ニル基、パーフルオロジブチルエチレニル基、パーフル
オロジペンチルエチレニル基、パーフルオロジヘキシル
エチレニル基、パーフルオロメチルエチルエチレニル
基、パーフルオロメチルプロピルエチレニル基、パーフ
ルオロメチルヘプチルエチレニル基、パーフルオロメチ
ルデシルエチレニル基、パーフルオロメチルドデシルエ
チレニル基、パーフルオロエチルオクチルエチレニル
基、パーフルオロプロピルヘキシルエチレニル基及びパ
ーフルオロブチルノニルエチレニル基等が挙げられる。
【0029】アリーレン基としては、炭素数6〜15
(好ましくは7〜13、さらに好ましくは8〜10)の
アリーレン基等が使用でき、例えば、フェニレン基、メ
チルフェニレン基、エチルフェニレン基、プロピルフェ
ニレン基、ブチルフェニレン基、ペンチルフェニレン
基、ノニルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ジエ
チルフェニレン基、ジプロピルフェニレン基、ジブチル
フェニレン基、メチルエチルフェニレン基、メチルプロ
ピルフェニレン基、メチルブチルフェニレン基、メチル
ペンチルフェニレン基、メチルオクチルフェニレン基及
びプロピルヘキシルフェニレン基等が挙げられる。
【0030】フルオロアリーレン基としては、炭素数6
〜15(好ましくは7〜13、さらに好ましくは8〜1
0)のフルオロアリーレン基等が使用でき、例えば、テ
トラフルオロフェニレン基、トリフルオロメチルフェニ
レン基、ペンタフルオロエチルフェニレン基、パーフル
オロプロピルフェニレン基、パーフルオロブチルフェニ
レン基、パーフルオロペンチルフェニレン基、パーフル
オロノニルフェニレン基、パーフルオロジメチルフェニ
レン基、パーフルオロジエチルフェニレン基、パーフル
オロジプロピルフェニレン基、パーフルオロジブチルフ
ェニレン基、パーフルオロメチルエチルフェニレン基、
パーフルオロメチルプロピルフェニレン基、パーフルオ
ロメチルブチルフェニレン基、パーフルオロメチルペン
チルフェニレン基、パーフルオロメチルオクチルフェニ
レン基及びパーフルオロプロピルヘキシルフェニレン基
等が挙げられる。
【0031】3価の炭化水素基としては、一般式(3)
又は(4)で表される基等が使用できる。
【化3】
【0032】R及びsは、一般式(1)と同じであ
る。Rは水素原子又は1価の炭化水素基を表し、1価
の炭化水素基としては上記のRと同じものが使用でき
る。
【0033】
【化4】
【0034】R、s及びRは、一般式(3)と同じ
である。一般式(3)又は(4)で表される3価の炭化
水素基としては、例えば、以下のような基等が挙げられ
る。
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】
【化7】
【0038】アニオン性親水基としては、例えば、以下
のような基等が挙げられる。
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】カチオン性親水基としては、第1〜3級ア
ミン塩、第4級アンモニウム塩及び第4級ホスホニウム
塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオン性
基(X)を有する有機基等が使用できる。
【0041】有機基としては、一般式(5)又は(6)
で表される基等が使用できる。
【化10】
【0042】式中、R、R、m、m’、m’’、
Q、s、tについては、一般式(1)と同じである。X
はカチオン性基を表す。
【0043】
【化11】
【0044】式中、R、m、m’及びm’’、Qにつ
いては一般式(1)と同じである。Xはカチオン性基
を表す。第1級アミン塩としては、一般式(7)で表さ
れるカチオン性基等が用いられる。
【0045】
【化12】
【0046】式中、Aは対アニオンを表す。対アニオ
ンとしては、ハロゲンイオン(例えば、F、Cl
Br等)、水酸イオン(OH)、硫酸イオン(SO
2−)、硫酸水素イオン(HSO )、亜硫酸イオ
ン(SO 2−)、亜硫酸水素イオン(HSO )、
リン酸イオン(PO 3−)、リン酸水素イオン(HP
2−)、リン酸二水素イオン(HPO )、硝
酸イオン(NO )、亜硝酸イオン(NO )、次
亜ハロゲン酸イオン(例えば、ClO、BrO
等)、亜ハロゲン酸イオン(例えば、ClO 、B
rO 等)、ハロゲン酸イオン(例えば、Cl
、BrO 等)、過ハロゲン酸イオン(例え
ば、ClO 、BrO 等)、炭素数1〜4のカル
ボン酸アニオン(例えば、ギ酸アニオン、酢酸アニオ
ン、シュウ酸アニオン、リンゴ酸アニオン、クエン酸ア
ニオン、マレイン酸アニオン及びブタン酸アニオン
等)、炭素数1〜4のスルホン酸(例えば、メタンスル
ホン酸、エタンスルホン酸及びブタンスルホン酸等)、
並びに炭素数1〜4のスルホン酸エステル(例えば、メ
タンスルホン酸エステル、エタンスルホン酸エステル及
びブタンスルホン酸エステル等)等が用いられる。
【0047】これらの対アニオンのうち、ハロゲンイオ
ン、水酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、硝酸イ
オン、過ハロゲン酸イオンが好ましく、さらに好ましく
はハロゲンイオン、硫酸水素イオン、過ハロゲン酸イオ
ン、特に好ましくはハロゲンイオン、最も好ましくは塩
素イオン及び臭素イオンである。
【0048】第1級アミン塩としては、例えば、以下の
ものが挙げられる。
【化13】
【0049】第2級アミン塩としては、一般式(8)で
表されるカチオン性基等が用いられる。
【化14】
【0050】式中、Rは1価の炭化水素基を表す。A
は対アニオンを表す。対アニオンとしては、一般式
(7)と同じである。
【0051】第2級アミン塩としては、例えば、以下の
ものが挙げられる。
【化15】
【0052】第3級アミン塩としては、一般式(9)で
表されるカチオン性基等が用いられる。
【化16】
【0053】式中、R及びAは一般式(7)と同じ
である。なお、2つのRは同じでも異なっていてもよ
い。
【0054】第3級アミン塩としては、例えば、以下の
ものが挙げられる。
【化17】
【0055】第4級アミン塩としては、一般式(10)
で表されるカチオン性基等が用いられる。
【化18】
【0056】式中、R及びAは一般式(7)と同じ
である。なお、3つのRは同じでも異なっていてもよ
い。
【0057】第4級アミン塩としては、例えば、以下の
ものが挙げられる。
【化19】
【0058】第4級ホスホニウム塩としては、一般式
(11)で表されるカチオン性基等が用いられる。
【化20】
【0059】式中、R及びAは一般式(7)と同じ
である。なお、3つのRは同じでも異なっていてもよ
い。
【0060】第4級ホスホニウム塩としては、例えば、
以下のものが挙げられる。
【化21】
【0061】カチオン性親水基としては、例えば、以下
のような基等が挙げられる。
【化22】
【0062】
【化23】
【0063】ノニオン性親水基としては、ヒドロキシル
基(−OH)、イミノ基(=NH)、アミノ基(−NR
)、スルホンアミド基(−SONR )及びポ
リオキシエチレン基(−(OCHCH)u−OH)
からなる群から選ばれる少なくとも1種のノニオン性基
(X)を有する有機基等が使用できる。Rは、水素
原子又は1価の炭化水素基を表し、1価の炭化水素基と
してはRと同じである。uは1〜200(好ましくは
2〜100、さらに好ましくは3〜50、特に好ましく
は4〜25、最も好ましくは5〜15)の整数を表す。
【0064】有機基としては、一般式(12)又は(1
3)で表される基等が使用できる。
【化24】
【0065】式中、R、R、m、m’、m’’、
Q、s、tについては、一般式(1)と同じである。X
はノニオン性基を表す。
【0066】
【化25】
【0067】式中、R、m、m’及びm’’、Qにつ
いては一般式(1)と同じである。Xはノニオン性基
を表す。ポリオキシエチレン基のGPCによるMwは、
44〜4,400が好ましく、光電変換基の濃度の観点
から、さらに好ましくは44〜2,200、特に好まし
くは44〜1,100、最も好ましくは44〜660で
ある。
【0068】ノニオン性親水基としては、例えば、以下
のような基等が挙げられる。
【化26】
【0069】
【化27】
【0070】本発明の親水基(b)の親水疎水バランス
(以下、HLBと略記する。)値は、分子の配向性の観
点から、18.0以上が好ましく、さらに好ましくは1
8.0以上100.0未満、特に好ましくは18.0以
上70.0未満、最も好ましくは18.0以上50.0
未満である。ここで、本発明においてHLB値とは、無
機性の値と有機性の値との比から算出したものを使用す
る(小田、寺村共著「界面活性剤の合成と其応用」50
1頁、槙書店)。なお、本発明の化合物中、親水性基と
は、HLB値を以下のようにして計算し、この値が1
8.0以上(さらに好ましい範囲は上述の通り)の値と
なり、かつ最大の原子数からなる有機基の範囲を意味す
る(例えば、後述のW1〜W9において、点線で囲んだ
範囲である。)。
【0071】すなわち、まず、本発明の化合物中、上
記で述べたように、パイ電子が共役し得る原子をすべて
含む範囲(光電変換基(a))を特定し、次いで、カル
ボン酸基(カルボキシル基、−COH)、スルフォン
酸基(スルホ基、−SOH)、硫酸エステル基(スル
ホオキシ基、−OSOH)、リン酸エステル基(ホス
ホノオキシ基、−OPO(OH))、リン酸基(ホス
ホノ基、−PO(OH))及びこれらの塩、ヒドロキ
シル基、イミノ基、並びにポリオキシエチレン基等につ
いて、無機性の合計値と有機性の合計値とを計算する。
【0072】ケイ酸基(シラノール基、−Si
(ROH)、第1〜3級アミン塩、第4級アンモ
ニウム塩、第4級ホスホニウム塩、アミノ基及びスルホ
アミド基について、無機性の値と有機性の値とを計算す
る。なお、アルキル基、アルケニル基及びアリール基等
の炭化水素基を有するとき、これらの基について、RS
命名法による優先順位と反対の順番に従い、中心原子に
結合する基(同じ基のときは何れか一方の基)の無機性
の値と有機性の値とを中心原子に近い方から中心原子の
有機性の合計値及び無機性の合計値にそれぞれ足してい
く。
【0073】親水性基中にさらにアルキル基、アルケ
ニル基及びアリール基等の炭化水素基を有するとき、こ
れらの基について、RS命名法による優先順位と反対の
順番に従い、中心原子に結合する基(同じ基のときは何
れか一方の基)の無機性の値と有機性の値とをを中心原
子に近い方から及びで得た合計値に足していく。た
だし、光電変換基のRS命名法による優先順位を最小と
して計算する。 及びの途中その都度、(無機性の合計値)/(有
機性の合計値)からHLB値を計算し、この値が18.
0未満になる直前の範囲、すなわち、この値が18.0
以上の値となり、かつ最大の原子数からなる有機基を親
水性基(b)とする。
【0074】ここで、中心原子とは、カルボン酸基(カ
ルボキシル基)のときはカルボニル基の炭素原子を意味
し、スルホン酸基(スルホ基)及び硫酸エステル基(ス
ルホオキシ基)のときは硫黄原子を意味する。リン酸基
(ホスホノ基)、リン酸エステル基(ホスホノオキシ
基)及び第4級ホスホニウム塩のときはリン原子を意味
し、ケイ酸基(シラノール基)のときはケイ素原子を意
味する。第1〜3級アミン塩、第4級アンモニウム塩、
イミノ基、アミノ基及びスルホアミド基のときは窒素原
子を意味し、ヒドロキシル基及びポリオキシエチレン基
のときは酸素原子を意味する。
【0075】なお、中心原子が2以上あるときは、それ
ぞれ有機基についてHLB値を計算して、親水性基とな
る範囲を決定する。なお、異なる中心原子に係る有機基
同士が重なる場合は、親水性基はそれらをあわせて一つ
の有機基とみなし、この有機基のHLB値が18.0以
上の値となり、かつ最大の原子数からなる有機基を親水
性基(b)とする。一方、これらの有機基が重ならない
ときはそれぞれ別の有機基として、複数個の親水性基と
みなす。
【0076】また、親水性基(b)には、光電変換基
(a)中のパイ電子が共役し得る原子は、含まれない。
例えば、光電変換基(a)に、カルボン酸基(カルボキ
シル基)、スルフォン酸基(スルホ基)、硫酸エステル
基(スルホオキシ基)、リン酸エステル基(ホスホノオ
キシ基)、リン酸基(ホスホノ基)及びこれらの塩、ヒ
ドロキシル基、イミノ基、アミノ基、スルホアミド基等
が直接結合している場合、本発明の親水性基(b)では
なく、光電変換基(a)でもない。すなわち、このよう
な化合物は本発明の光電変換素子用化合物とはなり得な
い。
【0077】また、例えば、トリアルキル第4級アンモ
ニウムクロライドアルキル基においては、HLBが1
8.0となる炭素数は25個である。すなわち、炭素数
25個以内が親水性基(b)であり、炭素数25個を越
える第四級アンモニウムの場合、窒素原子に結合する4
つのアルキル基のうち、アルキル基の炭素数が小さい程
親水性基(b)に含まれやすく、アルキル基の炭素数が
大きい程、親水性基に含まれにくい。なお、基全体が親
水性基(b)となるときと基の一部(窒素原子に近い部
分)が親水性基(b)となるときがある。
【0078】また、具体例を示せば、トリオクチルアン
モニウムクロライドプロピレン基では、プロピレン基の
窒素原子から遠い炭素原子(エチレン基)を除いた部分
が親水性基(b)である。ジオクタデシルメチルアンモ
ニウムクロライドプロピル基では、プロピレン基とオク
タデシル基中の窒素原子から遠い炭素原子12個(ドデ
シル基)とを除いた部分が親水性基(b)である。その
他の有機基の場合も同様にして、親水性基(b)の範囲
を定めるものである。また、化合物(W1〜W9)につ
いて、親水性基のHLBを後述の表1に示した。
【0079】本発明において、少なくとも一個の疎水性
基(c)を独立に有するとは、(c)が親水性基(b)
又は光電変換基(a)を兼ねるようなものは含まないこ
とを意味し、(c)が(b)及び(a)とは独立に少な
くとも一個存在していればよく、二種以上の疎水性基
(c)がそれぞれ一個以上存在していてもよく、同種の
疎水性基(c)が二個以上存在していてもよいことを意
味するものである。疎水性基(c)の炭素原子数は、1
〜100個が好ましく、化合物中における光電変換基の
相対濃度の低下を防ぎ、かつ分子を並びやすくする観点
から、さらに好ましくは2〜70個、特に好ましくは3
〜40個、最も好ましくは4〜20個である。
【0080】また、疎水性基(c)は、飽和又は不飽和
の有機基のいずれも使用でき、これらは直鎖状又は分岐
状のいずれであってもよい。化合物分子の配向性の観点
から、直鎖の有機基が好ましく、さらに飽和の直鎖有機
基が好ましい。これらの有機基として、例えば、アルキ
ル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アシル基、ト
リアリールメチルオキシ基、アリール基、アルキルエー
テルアルキル基、アルキルシロキシ基、アルコキシシロ
キシ基、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン
基、少なくとも炭素数3のアルキレンオキシドを必須単
量体として重合して得られるポリオキシアルキレン基及
びこれらの化合物中の水素原子の一部若しくは全てがフ
ッ素原子に置き換わったもの等が使用できる。また、有
機基は、これらの基がエーテル結合、エステル結合、ア
ミド結合及び/又はウレタン結合等で結合してなる基で
あってもよい。
【0081】アルキル基、アリール基、アルキレン基、
アルケニレン基及びアリーレン基としては、上記と同じ
ものが使用できる。アルコキシル基としては、炭素数1
〜100(好ましくは2〜70、さらに好ましくは3〜
40)のアルコキシル基等が用いられ、例えば、メトキ
シ基、エトキシ基、ブトキシ基、デシルオキシ基、オク
タデシルオキシ基、エイコシルオキシ基、トリアコンチ
ルオキシ基、テトラコンチルオキシ基及びヘクチルオキ
シ基等が挙げられる。アルキルチオ基としては、炭素数
1〜100(好ましくは2〜70、さらに好ましくは3
〜40)のアルキルチオ基等が用いられ、例えば、メチ
ルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、デシルチオ
基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基、エイコシル
チオ基、トリアコンチルチオ基、テトラコンチルチオ基
及びヘクチルチオ基等が挙げられる。
【0082】アシル基としては、炭素数1〜100(好
ましくは2〜70、さらに好ましくは3〜40)のアシ
ル基等が用いられ、例えば、ホルミル基、アセチル基、
プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリ
ル基、ピバロイル基、ラウロイル基、パルミトイル基、
ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニ
ル基、グルタリル基、アジポイル基、セバコイル基、ア
クリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、
オレオイル基、マレオイル基、メサコノイル基、ベンゾ
イル基、フタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル
基、トルオイル基、シンナモイル基及びニコチノイル基
等が挙げられる。
【0083】トリアリールメチルオキシ基としては、炭
素数19〜100(好ましくは20〜70、さらに好ま
しくは22〜40)のトリアリールメチルオキシ基等が
用いられ、例えば、トリチルオキシ基(トリフェニルメ
チルオキシ基)、トリス(p−メトキシフェニル)メチ
ルオキシ基、トリス(p−クロロフェニル)メチルオキ
シ基、トリス(p−ノニルフェニル)メチルオキシ基及
びトリス(p−オクタデシルフェニル)メチルオキシ基
等が挙げられる。
【0084】アルキルエーテルアルキル基としては、炭
素数2〜100(好ましくは3〜70)さらに好ましく
は4〜40)のアルキルエーテルアルキル基等が用いら
れ、例えば、2−オキサプロピル基、3−オキサペンチ
ル基、4−オキサヘキシル基、4−オキサオクチル基、
4−オキサデシル基、8−オキサオクタデシル基、5−
オキサエイコシル基、5−オキサトリアコンチル基、1
0−オキサテトラコンチル基、5−オキサデシル基、9
−オキサオクタデシル基、10−オキサエイコシル基、
15−オキサトリアコンチル基、20−オキサテトラコ
ンチル基及び50−オキサヘクチル基等が挙げられる。
【0085】アルキルシロキシ基としては、炭素数3〜
100(好ましくは4〜70、さらに好ましくは5〜4
0)のアルキルシロキシ基等が用いられ、例えば、一般
式(14)で表される基等が挙げられる。なお、R
びtは上記と同じである。
【0086】
【化28】
【0087】アルコキシシロキシ基としては、炭素数3
〜100(好ましくは4〜70、さらに好ましくは5〜
40)のアルコキシシロキシ基等が用いられ、例えば、
一般式(15)で表される基等が挙げられる。なお、R
及びtは上記と同じである。
【0088】
【化29】
【0089】少なくとも炭素数3(好ましくは3〜1
0)のアルキレンオキシドを重合して得られる構造を有
するポリオキシアルキレン基としては、プロピレンオキ
シド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド及びデシレ
ンオキシド等を重合して得られる構造を有するGPCに
よるMw58〜5,000(好ましくは116〜2,0
00、さらに好ましくは174〜500)のポリオキシ
アルキレン基等が使用でき、例えば、ポリオキシプロピ
レン、ポリオキシブチレン、ポリオキシデシレン、プロ
ピレンオキシド/ブチレンオキシド(モル比7/3)ラ
ンダム共重合体及びプロピレンオキシド/デシレンオキ
シド(モル比4/6)ランダム共重合体等が挙げられ
る。
【0090】これらの化合物中の水素原子の一部若しく
は全てがフッ素原子に置き換わったものうち、フルオロ
アルキル基、フルオロアリール基、フルオロアルキレン
基、フルオロアルケニレン基及びフルオロアリーレン基
としては、上記と同じもが使用できる。
【0091】また、本発明の疎水性基(c)のHLB値
は、分子の配向性の観点から、18.0未満が好まし
く、さらに好ましくは0.0以上18.0未満、特に好
ましくは0.0以上15.0未満、さらに特に好ましく
は0.0以上10.0未満、最も好ましくは0.0以上
5.0未満である。なお、疎水性基(c)は、本発明の
化合物中から、光電変換基(a)と親水性基(b)とを
除いた範囲である。
【0092】疎水性基(c)及び親水性基(b)の溶解
度パラメーター(SP)値の算出は、前述のように、光
電変換基(a)、親水性基(b)、疎水性基(c)の範
囲を決定した後に、疎水性基(c)全体のSP値(A)
と親水性基(b)全体のSP値(B)とを「POLYM
ER ENGINEERING,FEBRUARY,1
974,Vol.14,No.12,ROBERT
F.FEDORS.(151〜153項)」に記載の原
子団のモル蒸発熱(Δe)の合計(ΔH)と、同モル
体積(Δvi)の合計(V)とから算出する。 δ=(ΔH/V)1/2 (1) ただし、(1)式中、δはSP値、ΔHはモル蒸発熱
(cal)、Vはモル体積(cm)である。
【0093】本発明の化合物は、分子の配向のし易さの
観点から、親水性基(b)のSP値(A)と疎水性基
(c)のSP値(B)との比(A)/(B)が、通常
1.00〜1.40の範囲であり、好ましくは1.05
〜1.39,さらに好ましくは1.10〜1.38,特
に好ましくは1.15〜1.37、最も好ましくは1.
16〜1.35である。また、本発明の化合物全体のH
LB値は、2以上80未満が好ましく、分子の配向のし
易さの観点から、さらに好ましくは3以上60未満、特
に好ましくは5以上40未満である。
【0094】次に、光電変換基(a)、親水性基(b)
及び疎水性基(c)の分子内における結合関係について
説明する。光電変換基(a)、親水性基(b)及び疎水
性基(c)は、分子内に少なくとも一個それぞれ独立に
存在する。光電変換基(a)は、親水性基(b)又は疎
水性基(c)の何れか一方に結合していてもよく、これ
らの両方に結合していてもよい。親水性基(b)は、光
電変換基(a)又は疎水性基(c)の何れか一方に結合
していてもよく、これらの両方に結合していてもよい。
疎水性基(c)は、光電変換基(a)又は親水性基
(b)の何れか一方に結合していてもよく、これらの両
方に結合していてもよい。
【0095】すなわち、本発明の化合物は、例えば、
(a)−(b)−(c)、(b)−(a)−(c)、
(a)−(c)−(b)、(a)−(c)−(b)−
(c)−(a)、(b)−(c)−(a)−(c)−
(a)−(c)−(a)−(c)−(b)、(b)−
(c)−(a)−(c)−(a)−(c)−(a)−
(b)、(b)−(c)−(a)−(c)−(b)、
(b)−(c)−(a)−(b)、(a)−(c)−
(a)−(b)、(a)−(c)−(a)−(c)−
(b)、(a)−(c)−(a)−(c)−(a)−
(b)、(a)−(c)−(a)−(c)−(a)−
(c)−(b)、(a)=(b)−(c)、(b)
=(a)−(c)、(a)−(c)=(b)、(b)
=(c)−(a)−(c)=(b)、(c)
(a)−(b)及び{(b)−(c)}=(a)−
(c)等の結合関係を有することができる。
【0096】また、本発明の化合物は、上記の結合関係
を繰り返し単位とするn量体も含まれ、例えば、
{(a)−(b)−(c)}n、{(b)−(a)−
(c)}n、{(a)−(c)−(b)}n、{(a)
−(c)−(b)−(c)−(a)}n、{(b)−
(c)−(a)−(c)−(a)−(c)−(a)−
(c)−(b)}n、{(b)−(c)−(a)−
(c)−(a)−(c)−(a)−(b)}n、
{(b)−(c)−(a)−(c)−(b)}n、
{(b)−(c)−(a)−(b)}n、{(a)−
(c)−(a)−(b)}n、{(a)−(c)−
(a)−(c)−(b)}n、{(a)−(c)−
(a)−(c)−(a)−(b)}n、{(a)−
(c)−(a)−(c)−(a)−(c)−(b)}
n、{(a)=(b)−(c)}n、{(b)
(a)−(c)、(a)−(c)=(b)}n、
{(b)=(c)−(a)−(c)=(b)}n、
{(c)=(a)−(b)}n、[{(b)−
(c)}=(a)−(c)]n等で表すことができ
る。
【0097】nは2〜5,000(好ましくは3〜3,
000、さらに好ましくは4〜1,000、特に好まし
くは5〜100)の整数であり、nの異なるものが複数
混合していてもよい。(a)、(b)及び(c)の結合
には、例えば、エステル化、エーテル化、アシル化、ア
ミド化及びウレタン化反応等が利用できる。また、n量
体は、(a)、(b)又は(c)のいずれか1つの部分
で繰り返し結合してもよく、また、(a)、(b)及び
(c)のうち異なる部分同士が繰り返し結合していても
よい(例えば、重合部分が{(a)−(b)}n及び
{(a)−(c)}n等)。
【0098】本発明の化合物は、公知の合成方法により
得ることができ、例えば、反応性基を有する光電変換
基含有化合物(a1)に、反応性基を有する親水性基含
有化合物(b1)と反応性基を有する疎水性基含有化合
物(c1)とを反応させる方法、光電変換基前駆体含
有化合物(a2)に反応性基を有する疎水性基含有化合
物(c1)を反応させた後、これを疎水性基を有する光
電変換基含有化合物にする。次いで、これに反応性基を
有する親水性基含有化合物(b1)を反応させる方法、
光電変換基前駆体含有化合物(a2)に、反応性基を
有する疎水性基含有化合物(c1)を反応させた後、こ
れに反応性基を有する親水性基含有化合物(b1)を反
応させ、最後に光電変換基前駆体部分を光電変換基とす
る方法、これらを適宜組み合わせて製造する方法等が
挙げられる。
【0099】また、n量体の化合物の場合、例えば、
重合性基を有する疎水性基(c2)と、親水性基(b)
と、光電変換基(a)とを有する化合物(abc2)を
重合する方法、疎水性基(c)と、重合性基を有する
親水性基(b2)と、光電変換基(a)とを有する化合
物(ab2c)を重合する方法、疎水性基(c)と、
親水性基(b)と、重合性基を有する光電変換基(a
3)とを有する化合物(a3bc)を重合する方法、
疎水性基からなる重合体(c3)に、反応性基を有する
光電変換基含有化合物(a1)を反応させ、最後に、反
応性基を有する親水性基含有化合物(b1)を反応させ
る方法、重合性基を有する疎水性基含有化合物(c
4)と、重合性基を有する光電変換基(a3)及び親水
性基(b)を有する化合物(a3b)とを重合させる方
法、(10)重合性基を有する親水性基含有化合物(b
3)と、光電変換基(a)及び重合性基を有する疎水性
基(c2)を有する化合物(ac2)とを重合させる方
法等が挙げられる。
【0100】反応性基としては、反応性を有する通常の
有機基であれば使用でき、例えば、ヒドロキシル基(−
OH)、ヒドロペルオキシ基(−OOH)、ハロゲン原
子(例えば、塩素原子、臭素原子及び沃素原子等)、カ
ルボキシル基(−COOH)、ホルミル基(−CH
O)、ビニル基(−CH=CH)、アリル基(−CH
CH=CH)、プロペニル基(−CH=CHC
)、イソプロペニル基(−C(CH)=C
)、ブテニル基(−CH=CHCHCH)、エ
チニル基(−C≡CH)、アミノ基(−NH)、メチ
ルアミノ基(−NHCH)、イミノ基(=NH)、ヒ
ドロキシアミノ基(−NHOH)、ヒドロキシイミノ基
(=NOH)、アセトアミド基(−NHCOCH)、
カルバモイル基(−CONH)、イソシアナート基
(−NCO)、ジアゾ基(−N)及びアミジノ基(−
C(=NH)NH)等が挙げられる。
【0101】重合性基としては、重合性を有する通常の
有機基であれば使用でき、例えば、ビニル基、プロペニ
ル基、アリル基、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロ
キシル基、アミノ基、イソシアネート基及びハロゲン原
子等が挙げられる。反応性基を有する光電変換基含有化
合物(a1)としては、多環縮合化合物及びスチルベン
化合物等が使用できる。多環縮合化合物としては、例え
ば、2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジブロモ−
9−フルオレノン、9,10−ジブロモアントラセン及
び1,3−ジヒドロキシ−9−アクリジンカルボン酸等
が挙げられる。
【0102】スチルベン化合物としては、例えば、4,
4’−ジアミノスチルベンジヒドロクロライド及び4,
4’−ジニトロスチルベン等が挙げられる。光電変換基
前駆体含有化合物(a2)としては、オキサジアゾール
前駆体等が使用でき、例えば、1−(4−(4−デシル
オキシフェニル)ベンゾイル)−2−(4’−ヒドロキ
シベンゾイル)ヒドラジド等が挙げられる。重合性基を
有する光電変換基(a3)としては、例えば、2,7−
ジブロモ−9−フルオレニル、フェニルアセチレニル及
びN−ビニルカルバゾリル等が挙げられる。反応性基を
有する親水性基含有化合物(b1)としては、アニオン
性親水基含有化合物、カチオン性親水基含有化合物及び
ノニオン性親水基含有化合物等が使用できる。
【0103】アニオン性親水基含有化合物としては、炭
素数2〜15(好ましくは3〜13、さらに好ましくは
4〜10)のヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸
及びポリカルボン酸等が用いられ、例えば、ヒドロキシ
酢酸、ヒドロキシプロパン酸、ヒドロキシデカン酸、リ
ンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グリシン、バリン、リジ
ン、トリプロファン、ロイシン、イソロイシン、チロシ
ン、アミノデカン酸、5−アミノドデカン酸、マロン
酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、エライジン
酸、フマール酸、メサコン酸、アジピン酸及びドデカン
二酸等が挙げられる。アジピン酸、リンゴ酸、
【0104】カチオン性親水基含有化合物としては、一
般式(7)〜(11)で示されるカチオン性基を有する
不飽和炭化水素化合物(炭素数2〜15、好ましくは3
〜13、さらに好ましくは4〜10)等が用いられる。
ノニオン性親水基含有化合物としては、ポリエチレング
リコール、ポリメチレンジアミン等が用いられ、例え
ば、1,3−プロパンジオール、エチレンオキサイド、
ジエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、メ
トキシエチルアルコール、ブトキシエチルオキシエチル
アルコール、アセチルオキシエチルアルコール、GPC
によるMw88〜4,400のポリエチレングリコー
ル、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン及びGPCによるMw186〜1,8
60のポリエチレンポリアミン等が挙げられる。
【0105】重合性基を有する親水性基(b2)として
は、不飽和二重結合及び水酸基を有する炭化水素基、不
飽和二重結合及びアミノ基を有する炭化水素基、並びに
不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する炭化水素基
等が使用でき、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−ブ
テニル基、3,4−ジヒドロキシ−1−ヘキセニル基、
1,4−ジアミノ−2−ペンテニル基、3,4−ジアミ
ノ−1−ブテニル基、1,4−ジカルボキシ−2−デセ
ニル基及び3,4−ジカルボキシ−1−ブテニル基等が
挙げられる。
【0106】重合性基を有する親水性基含有化合物(b
3)としては、不飽和二重結合を有するアルコール、不
飽和二重結合を有するアミン、及び不飽和二重結合を有
するカルボン酸等が使用でき、例えば、1,4−ジヒド
ロキシ−2−ブテン、3,4−ジヒドロキシ−1−オク
テン、1,4−ジアミノ−2−ブテン、3,4−ジアミ
ノ−1−ヘキセン、1,4−ジカルボキシ−2−ブテン
基及び3,4−ジカルボキシ−1−ペンテン基等が挙げ
られる。
【0107】反応性基を有する疎水性基含有化合物(c
1)としては、アルコール、ハロゲン化アルキル、カル
ボン酸クロライド、カルボン酸及びフルオロアルキルア
ルコール等が使用できる。アルコールとしては、例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、オクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、デ
カノール及びエイコサノール等が挙げられる。ハロゲン
化アルキルとしては、例えば、臭化メチル、塩化メチ
ル、臭化エチル、臭化ブチル、塩化ブチル、臭化オクチ
ル及び臭化オクタデセニル等が挙げられる。
【0108】カルボン酸クロライドとしては、例えば、
プロピオン酸ブロミド、オクチル酸クロライド及びオレ
イン酸クロライド等が挙げられる。カルボン酸として
は、例えば、オクチル酸、ドデカン酸、オクタデカン酸
及びリノール酸等が挙げられる。フルオロアルキルアル
コールとしては、例えば、トリフルオロメタノール、ヘ
プタフルオロプロパノール、トリフルオロブタノール、
パーフルオロデカノール及びパーフルオロオクタデシル
アルコール等が挙げられる。
【0109】重合性基を有する疎水性基(c2)として
は、炭素数2〜100(好ましくは3〜70、さらに好
ましくは4〜40)の不飽和炭化水素基等が使用でき、
例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル
基、ブタジエニル基、ヘキセニル基、デセニル基、ウン
デセニル基、オクタデセニル基及びエイコセニル基等が
挙げられる。疎水性基からなる重合体(c3)として
は、GPCによるMw100〜100,000(好まし
くは500〜50,000、さらに好ましくは1,00
0〜10,000)の反応性基を有する重合体(好まし
くは反応性基を有する単量体を重合してなる構造を有す
る重合体)等が使用でき、例えば、ポリブタジエン、ポ
リ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アミ
ノエチルアクリレート)、ポリ(p−クロロスチレ
ン)、ポリ(p−アミノスチレン)及びポリ(ビニルア
ルコール)等が挙げられる。
【0110】本発明の化合物として、例えば、以下のよ
うな化合物(W1〜W9)が例示できる。
【化30】
【0111】
【化31】
【0112】
【化32】
【0113】上記化学構造式において、実線で囲んだ部
分は光電変換基(a)を、点線で囲んだ部分は親水性基
(b)を、破線で囲んだ部分は疎水性基(c)を示す。
また、これらの化合物(W1〜W9)のSP値、SP値
の比(A/B)、HLB値を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】本発明の化合物は、有機EL素子及び太陽
電池等の光電変換素子に適用できる。本発明の化合物を
光電変換素子に適用する場合、通常、発光層又は受光層
として使用できる。例えば、有機EL素子に適用する場
合、発光層、発光層兼正孔注入輸送層又は発光層兼電子
注入輸送層等として、本発明の化合物の少なくとも一種
が使用できる。
【0116】また、発光層は、電極の間に本発明の化合
物の一種を一層存在させてもよく、又は本発明以外の別
の材料の発光層を組み合わせて積層させてもよい。さら
に、本発明の化合物を使用した発光層と電極との間に正
孔注入層や電子注入層等の層を介在させることで性能を
さらに上げることができる。これら、正孔注入層や電子
注入層は一層からなるものでも、また複数の層からなる
ものでもよい。
【0117】本発明の有機EL素子は、本発明の化合物
を公知の方法にて製膜し、電極間に形成することによっ
て得ることができる。本発明の化合物を用いて、層を形
成する方法として、通常、湿式製膜法であるが、乾式製
膜法を用いてもよい。湿式法としては、キャスティング
法、スピンコーティング法、バーコーティング法、ディ
ッピング法及びロールコート法等が挙げられる。乾式製
膜法としては、真空蒸着法等が挙げられる。これらのう
ち、作業性の観点からキャスティング法及びスピンコー
ティング法が好ましい。
【0118】湿式製膜法を用いる場合、通常用いられる
溶媒として、水、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン及びこれらの混合溶
媒、並びにヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシ
レン、クロロホルム、ジクロロメタン及びこれらの混合
溶媒等が使用できる。また、湿式製膜法では、界面活性
剤等の添加剤を添加してもよい。なお、光電変換素子を
作製するにあたり、一方の電極層は、接着力を強化する
目的で、基板表面をあらかじめ処理しておいたり、基板
と発光層との間に適当な接着剤層を設けてもよい。
【0119】以上のようにして形成されたEL素子は、
このままでは空気中の湿気や酸素の影響でその性能が著
しく劣化することがあるので、公知の手段で耐湿、耐酸
素性の密封構造になるよう封止するのが好ましい。本発
明の有機EL素子は、その発光層の構造が超薄膜であ
り、かつ有機EL素子の動作上必要な分子の秩序性と機
能を有しており、優れた発光性能を有するものである。
また、製造面では発光層の厚みが均一で、欠陥のないE
L素子とすることができる。
【0120】本発明の化合物を太陽電池の受光層として
使用する場合、高度に組織化された受光層ができるた
め、特定波長の吸収エネルギーが大きくなる。従って、
エネルギー変換効率の極めて高い太陽電池の作成が可能
になる。受光層は、有機EL素子と同様にして層を形成
することができる。有機EL素子は、例えば、テレビ、
パソコン、携帯電話、時計、自動車及び電卓等の電気機
器等の表示素子の他、照明として適応できる。太陽電池
は、例えば、時計、街灯、自動車、電卓及び携帯電話等
の電気機器等の電源として適応できる。
【0121】
【実施例】次に実施例を示すことで、さらに詳細に説明
するが、この発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 [4−(3−(4−(4−デシルオキシフェニル)フェ
ニル)2,4,5−オキサジアゾリル)フェニルオキシ
ヘキシル]−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチル
アンモニウムブロマイドの合成 a) エタノール20mlにヒドラジン一水和物10m
molを加え、4−(4−デシルオキシフェニル)安息
香酸10mmolをエタノール15mlに溶解させた溶
液を滴下した。窒素雰囲気下80℃で24時間還流し
た。反応終了後、エタノールを留去し、4−(4−デシ
ルオキシフェニル)ベンゾヒドラジン(イ)6mmol
を得た。
【0122】b) ピリジン30mlに4−(4−デシ
ルオキシフェニル)ベンゾヒドラジン(イ)10mmo
lと4−ヒドロキシ安息香酸20mmolとを加え、窒
素雰囲気下、20時間加熱還流撹拌し、放冷後、水12
0mlを加え沈殿物を濾集し、120mlの水で洗浄し
た。この沈殿物をジメチルホルムアミド(DMF)50
mlで再結晶することで、1−(4−(4−デシルオキ
シフェニル)ベンゾイル)−2−(4’−ヒドロキシベ
ンゾイル)ヒドラジド(ロ)2mmolを得た。
【0123】c) b)で得た1−(4−(4−デシル
オキシフェニル)ベンゾイル)−2−(4’−ヒドロキ
シベンゾイル)ヒドラジド(ロ)10mmolをオキシ
塩化リン50mlに加え、105℃で8時間撹拌した
後、オキシ塩化リンを留去した。これに水10mlとク
ロロホルム10mlを加えクロロホルム層を濃縮するこ
とで、2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−
(4’−デシルオキシフェニル)フェニル)−1,3,
4−オキサジアゾール(ハ)6mmolを得た。
【0124】d) c)で得た2−(4−ヒドロキシフ
ェニル)−5−(4−(4’−デシルオキシフェニル)
フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(ハ)10
mmolと1,6−ジブロモヘキサン100mmolと
水酸化カリウム40mmolとをエタノール50mlに
加え24時間、80℃で撹拌を行い、その後溶媒を留去
した。生じた固体にエーテルを加え、不溶部を濾過して
取り除きアセトン70mlで再結晶することにより、2
−(4−ブロモヘキシルオキシフェニル)−5−(4−
(4’−デシルオキシフェニル)フェニル)−1,3,
4−オキサジアゾール(ニ)3mmolを得た。
【0125】e) d)で得た2−(4−ブロモヘキシ
ルオキシフェニル)−5−(4−(4’−デシルオキシ
フェニル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール
(ニ)10mmolとN,N−ジメチルエタノールアミ
ンとをテトラヒドロフラン40mlに溶解させ、20時
間、120℃で加熱撹拌を行いベンゼン/エタノール
(1/1)溶液を用いて再結晶することで、[4−(3
−(4−(4−デシルオキシフェニル)フェニル)2,
4,5−オキサジアゾリル)フェニルオキシヘキシル」
−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウ
ムブロマイド(W1)を得た。以上の合成ルートをまと
めた化学反応式を以下に示す。
【0126】
【化33】
【0127】実施例2 実施例1で得た本発明の化合物(W1)1mmolをイ
オン交換水100mlに分散させた分散水溶液を、15
Ω/□(膜厚1500オングストローム)の酸化錫イン
ジウム(ITO)が被覆されたガラス基板上にキャスト
法で製膜し、1日間常温常圧下において水分を蒸発除去
することで、W1の薄膜(膜厚45nm)を得た。上記
のように形成された薄膜を真空蒸着装置内(ULVAC
社製、VPC−410)に入れ、一度10−6Torr
の真空度まで減圧した後、真空度を10−5Torrに
調整して蒸着速度20オングストローム/Secで15
00オングストロームの膜厚でMg:Ag(10:1)
をこの薄膜上に蒸着した後、ガラス板を光硬化性樹脂で
密着し密封することで有機EL素子を製造した。
【0128】この有機EL素子に6.5Vの直流電圧を
印加したところ、輝度12cd/mの青色EL発光が
確認された。また、上記有機EL素子を40℃で1mA
/cmで連続発光させたところ、この有機EL素子の
半減期寿命は1000時間以上であった。ここで、半減
期寿命とは、有機EL素子を連続発光させたとき、初期
輝度に対して半減量になるまでの時間を意味する。
【0129】実施例3 実施例1で得た本発明の化合物(W1)を上記で例示し
た化合物(W2)に変えた以外は、実施例2と同様にし
て有機EL素子を作製した。この有機EL素子に6.5
Vの直流電圧を印加したところ、輝度15cd/m
青色発光が確認された。なお、化合物(W2)は、通常
の有機化学合成手法によって得たものであり、その合成
ルートを以下に記載する。
【0130】
【化34】
【0131】実施例4 実施例1で得た本発明の化合物(W1)を上記で例示し
た化合物(W3)に変えた以外は、実施例2と同様にし
て有機EL素子を作製した。この有機EL素子に6.5
Vの直流電圧を印加したところ、輝度11cd/m
青色発光が確認された。なお、化合物(W3)は、通常
の有機化学合成手法によって得たものであり、その合成
ルートを以下に記載する。
【0132】
【化35】
【0133】実施例5 実施例1で得た本発明の化合物(W1)を上記で例示し
た化合物(W4)に変えた以外は、実施例2と同様にし
て有機EL素子を作製した。この有機EL素子に6.5
Vの直流電圧を印加したところ、輝度9cd/mの赤
色発光が確認された。なお、化合物(W4)は、通常の
有機化学合成手法によって得たものであり、その合成ル
ートを以下に記載する。
【0134】
【化36】
【0135】実施例6 実施例1で得た本発明の化合物(W1)を上記で例示し
た化合物(W5)に変えた以外は、実施例2と同様にし
て有機EL素子を作製した。この有機EL素子に6.5
Vの直流電圧を印加したところ、輝度14cd/m
赤色発光が確認された。なお、化合物(W5)は、通常
の有機化学合成手法によって得たものであり、その合成
ルートを以下に記載する。
【0136】
【化37】
【0137】実施例7 実施例1で得た本発明の化合物(W1)を上記で例示し
た化合物(W6)に変えた以外は、実施例2と同様にし
て有機EL素子を作製した。この有機EL素子に6.5
Vの直流電圧を印加したところ、輝度13cd/m
黄緑色発光が確認された。なお、化合物(W6)は、通
常の有機化学合成手法によって得たものであり、その合
成ルートを以下に記載する。
【0138】
【化38】
【0139】実施例8 実施例1で得た本発明の化合物(W1)を上記で例示し
た化合物(W7)に変えた以外は、実施例2と同様にし
て有機EL素子を作製した。この有機EL素子に6.5
Vの直流電圧を印加したところ、輝度14cd/m
青色発光が確認された。なお、化合物(W7)は、通常
の有機化学合成手法によって得たものであり、その合成
ルートを以下に記載する。
【0140】
【化39】
【0141】実施例9 実施例1で得た本発明の化合物(W1)を上記で例示し
た化合物(W8)に変えた以外は、実施例2と同様にし
て有機EL素子を作製した。この有機EL素子に6.5
Vの直流電圧を印加したところ、輝度13cd/m
青緑色発光が確認された。なお、化合物(W8)は、通
常の有機化学合成手法によって得たものであり、その合
成ルートを以下に記載する。
【0142】
【化40】
【0143】実施例10 実施例1で得た本発明の化合物(W1)を上記で例示し
た化合物(W9)に変えた以外は、実施例2と同様にし
て有機EL素子を作製した。この有機EL素子に6.5
Vの直流電圧を印加したところ、輝度11cd/m
青色発光が確認された。なお、化合物(W9)は、通常
の有機化学合成手法によって得たものであり、その合成
ルートを以下に記載する。
【0144】
【化41】
【0145】比較例1 実施例1で得た本発明の化合物(W1)を下記に示した
公知化合物(V1)に変えた以外は、実施例2と同様に
して有機EL素子を作製しようと試みたが、公知化合物
(V1)では製膜出来なかったため、下記に記すような
LB製膜法によって製膜した。ITOガラス基板をJo
yce−Loebel社製のLangmuir−Tro
ugh4の水相(pH=6.5)に浸漬した。公知化合
物(V1)を1mmolクロロホルム1リットルに溶解
させた後、水相上に展開させた。溶媒のクロロホルムを
蒸発除去後、表面圧を30dyne/cmに高めて、公
知化合物(V1)を膜状に析出させた。その後表面圧を
一定に保ちながら、該製膜基板を水面を横切る方向に2
cm/minで上下させて単分子膜を基板に移し取り、
単分子累積膜を作成した。この累積工程において、基板
を水相から引き上げる都度、常温常圧下に40分間放置
することで基板上の水分を蒸発除去した。上記操作を1
0回繰り返すことにより全部で10層の発光層を作成し
た。
【0146】これを、真空蒸着装置内(ULVAC社
製、VPC−410)に入れ、一度10−6Torrの
真空度まで減圧した後、真空度を10−5Torrに調
整して蒸着速度20オングストローム/Secで150
0オングストロームの膜厚でMg:Ag(10:1)を
この薄膜上に蒸着して背面電極とした後、ガラス板を光
硬化性樹脂で封止することで比較有機EL素子を製造し
た。この比較有機EL素子に6.5V直流電圧を印加し
たところ、輝度9cd/mの青色発光が確認された。
上記有機EL素子を40℃で1mA/cmで連続発光
させたところ、この有機EL素子の半減期寿命は約85
0時間であった。
【0147】
【化42】
【0148】以上から、本発明の化合物を用いた有機E
L素子は、比較有機EL素子と比較して、発光輝度が極
めて高く長寿命であることが明らかになった。
【0149】
【発明の効果】本発明の化合物は、高い秩序性の積層単
分子膜を極めて容易に調整することができ、従来問題と
なっていた作業の繁雑さと製造効率を飛躍的に改善する
ことができる。さらに、秩序性の極めて高い薄膜を作る
ことができるので、輝度及び寿命等に極めて優れたの光
電変換素子を作成することができる。さらに、本発明の
光電変換素子用化合物は、有機EL素子に適用する場
合、配向性を親水性基と疎水性基によって、発光色を光
電変換基の組み合わせによりそれぞれ独立に選択できる
ため、種々の発光色を容易に得ることができる。したが
って、フルカラー表示の有機EL素子が極めて容易に製
造することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1個の光電変換基(a)と、
    少なくとも1個の親水性基(b)と、少なくとも1個の
    疎水性基(c)とをそれぞれ独立に有する化合物であ
    り、疎水性基(c)全体の溶解度パラメーター値(A)
    と親水性基(b)全体の溶解度パラメーター値(B)と
    の比(A)/(B)が、1.00〜1.40の範囲であ
    ることを特徴とする光電変換素子用化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の化合物を用いてなる光電
    変換素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の化合物を用いてなるエレ
    クトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の光電変換素子を用いてな
    る電気機器。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のエレクトロルミネッセン
    ス素子を用いてなる電気機器。
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