JP2002009516A - 共振器、フィルタ、デュプレクサおよび通信装置 - Google Patents
共振器、フィルタ、デュプレクサおよび通信装置Info
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Abstract
え、しかも全体に、より小型化できるようにした共振
器、フィルタ、デュプレクサ、およびそれらを備えた通
信装置を得る。 【解決手段】 誘電体基板1の下面にグランド電極3を
形成し、上面に多重スパイラル状の線路パターン21を
形成し、さらに絶縁層5を介してその表面に放射状の線
路パターン22を形成する。この多重スパイラル状線路
による多重スパイラル共振器に対する放射状線路パター
ン22の近接によって、多重スパイラル共振器に静電容
量が付加されたように作用し、基板上の共振器の占有面
積の縮小化および損失低減効果の向上が図れる。
Description
波の送受信に利用される、たとえばマイクロ波帯やミリ
波帯における共振器、フィルタ、デュプレクサおよび通
信装置に関するものである。
小型化可能な共振器として、特開平2−96402号公
報にスパイラル共振器が示されている。このスパイラル
共振器は、共振器線路をスパイラル形状とすることによ
って、同一占有面積内に長い共振線路を構成して、全体
に小型化を図ったものである。
共振器は、1つの半波長線路にて1つの共振器を構成し
たものであった。したがって、従来の共振器は電気エネ
ルギーが集中して蓄積される領域と磁気エネルギーが集
中して蓄積される領域とがそれぞれ誘電体基板の特定の
領域に分離されて偏在する。具体的には、半波長線路の
開放端部近傍に電気エネルギーが蓄積され、半波長線路
の中央部近傍に磁気エネルギーが蓄積される。
路により構成される共振器では、マイクロストリップ線
路が本質的に持つ縁端効果による特性劣化を免れないと
いう難点があった。すなわち線路の断面を見た場合に、
線路の縁端部(幅方向の両端、および厚み方向の上端・
下端)に電流が集中する。仮に、線路の膜厚を厚くして
も、電流集中の生じる縁端部が広がる訳ではないため、
縁端効果による電力損失の問題は必ず生じる。
失を極めて効果的に抑え、しかも全体に、より小型化で
きるようにした共振器、フィルタ、デュプレクサ、およ
びそれらを備えた通信装置を提供することにある。
に、この発明に係る共振器は、それぞれが複数の線路の
集合体であって、該複数の線路の両端を、前記基板上の
所定点の周囲で前記集合体の実質的な内周上と外周上と
にそれぞれ分布させて、前記複数の線路を互いに交差し
ないように配置した複数の線路パターンを備え、それら
の線路パターンを互いに絶縁状態に配置するとともに、
少なくとも1つの線路パターンのそれぞれの線路をスパ
イラル状とし、他の線路パターンのそれぞれの線路を前
記線路パターンのそれぞれの線路とは異なった形状とす
る。
の線路の集合体であって、該複数の線路の両端が、基板
上の所定点の周囲で前記集合体の実質的な内周上と外周
上とにそれぞれ分布し、前記複数の線路が互いに交差し
ないように配置した線路パターンを備え、該線路パター
ンの実質的内周部と外周部とがそれぞれ電圧開放端とし
て作用する半波長の整数倍の共振モードで共振する共振
器であって、前記共振モードの電圧の節と電圧の腹との
電位差またはその一部を利用して静電容量を付加させる
他の線路パターンを、前記線路パターンに対して絶縁状
態に配置する。
よって、ある1つのスパイラル状の線路に隣接して略同
形状のスパイラル状の線路が存在することになる。した
がって、ミクロでみた物理的な端部は実際に存在し、そ
れぞれの線路の端部に弱い縁端効果が生じるが、これら
の複数の線路の集合体を1つの線路としてマクロでみた
時、いわば或る線路の例えば右隣りに自分と合同の線路
の左側の縁端部が隣接することになり、線路の幅方向の
端部というものがなくなる。すなわち端部の存在が希薄
となる。この作用を利用して、線路の縁端部における電
流集中を極めて効率的に緩和し、全体の電力損失を抑制
する。
成す線路パターンに対して他の線路パターンを近接させ
ることにより、上記スパイラル状の線路による線路パタ
ーンに静電容量を等価的に付加して、共振周波数の低減
効果を生じさせ、予めスパイラル状の線路長を短く設定
して全体の小型化を図る。また同一直径で線路パターン
を形成する際の線数を多くして、このことにより損失低
減効果をさらに高める。
1つの線路パターンは、例えば放射状のパターンとす
る。
くとも2つは、それぞれがスパイラル状をなす複数の線
路の集合体とし、且つスパイラルの旋回方向を互いに逆
の関係とする。これにより、共振による磁界エネルギを
効率的に保持させて共振器のQを高める。
くとも1つの線路パターンは、共振状態で略等電位とな
る部分同士を互いに導通させる。これにより、スプリア
ス共振モードを効果的に抑圧する。
で構成する。これにより、共振器のQを高めるととも
に、超伝導体の低損失特性を十分に発揮させ、臨界電流
密度以下のレベルで高いQで動作させる。
を、使用周波数における線路導体の表皮深さ程度または
表皮深さより細くする。これにより線路の左右の間隙を
通り抜ける磁束を保持するために流れる電流が左右で干
渉する距離となるようにして、共振位相からずれた位相
を持つ無効電流を抑える。これにより電力損失を飛躍的
に低減させる。
かの構成を備えた共振器に結合する信号入出力部を設け
て構成する。また、この発明に係るデュプレクサは、上
記フィルタを送信フィルタもしくは受信フィルタとし
て、またはその両方のフィルタとして設けて構成する。
これにより、挿入損失を低減するとともに全体の小型化
を図る。
はデュプレクサを用いて構成する。これにより高周波送
受信部の挿入損失を低減して、雑音特性、伝送速度など
の通信品質を向上させるとともに、全体の小型化を図
る。
ついて図1〜図4を参照して説明する。図1の(B)は
共振器の構成を示す上面図、(C)は断面図、(D)は
部分拡大断面図である。誘電体基板1の下面には全面の
グランド電極3を形成していて、上面にはそれぞれ合同
である、両端開放のスパイラル状の8本の線路2を、互
いに交差しないように、それぞれの線路の一端と他端を
基板上の所定点(中心点)の周囲に配置している。
(A)はそれらの8本の線路のうち1つの線路を代表的
に示している。これらの線路の幅は表皮深さに略等しい
幅としている。以下、このようなスパイラル状線路の集
合体を「多重スパイラル線路」と言う。
座標のパラメータを用いて示したものである。この例で
は8本の線路のそれぞれの内周端の動径r1および外周
端の動径r2は一定であり、それぞれの端部の角度方向
の位置を等間隔に配置している。任意の動径における線
路の左端の角がθ1、右端の角がθ2であるとき、1つ
の線路の角幅をΔθ=θ2−θ1で表す。ここで線数n
=8であるので、1つの線路の角幅ΔθをΔθ≦2π/
8(=π/4)ラジアンの関係とする。また、任意の動
径rkにおける線路集合体全体の角幅θwを2πラジア
ン以内とする。
より結合する。これらの多重スパイラル線路と誘電体基
板1を挟んで対向するグランド電極3とによって1つの
共振器として作用する。(以下、この共振器を「多重ス
パイラル共振器」という。)尚、上記r1,r2は必ず
しも一定である必要はなく、また等角度に配置しなくて
もよく、さらには各線路が合同である必要もない。但
し、特性面および製造の容易性の面で、r1,r2を一
定とし、合同の線路を等角度に配置する方が望ましい。
電磁界および電流の分布の例を示している。図3におけ
る上段は多重スパイラル線路の平面図であるが、個々の
線路を分離せずに塗り潰して表している。同図の中段は
線路の内周端と外周端におけるチャージが最大の瞬間に
おける多重スパイラル線路のA−A部分の断面での電界
および磁界の分布を示している。また、下段はその瞬間
における同断面での各線路の電流密度および線路の間隙
を通る磁界のz成分(紙面に垂直な方向)の平均値をそ
れぞれ示している。
すようにそれぞれの縁端部において電流密度が大きくな
るが、動径方向の横断面で見た時に、1つのスパイラル
状線路の左右両側に一定の間隙をおいて同程度の振幅と
位相を持った電流の流れる導体線路が配置されるため、
縁端効果が緩和される。すなわち多重スパイラル線路を
1つの線路と見た場合に、内周端と外周端が電流分布の
節、中央が腹となるほぼ正弦波状に分布し、マクロ的に
は縁端効果が生じない。
の線路幅を表皮深さの数倍の幅にまで広げた場合につい
て示している。このように線路幅を広げると、図に示す
ように各導体の縁端効果による電流集中が顕在化し、損
失低減効果は小さくなる。
振器の構成を図5および図6を参照して説明する。図5
の(A)は共振器の上面図、(B)は中央縦断面図、
(C),(D)は2つの線路パターンの平面図である。
誘電体基板1の下面には全面のグランド電極3を形成し
ていて、上面には複数のスパイラル状の線路パターン2
1を形成している。(C)はその例であり、それぞれ合
同である両端開放のスパイラル状の複数本の線路を互い
に交差しないように、それぞれの線路の一端と他端を基
板上の所定点(中心点)の周囲に回転対称状に配置して
いる。
面に上記線路パターン21とは異なった線路パターン2
2を形成している。(D)はその例であり、それぞれ合
同である両端開放の放射状の複数本の線路を、互いに交
差しないように、それぞれの線路の一端と他端を上記所
定点の周囲に配置している。上記線路パターン21,2
2のそれぞれの線路の幅は、使用する周波数帯で線路導
体の表皮深さに略等しい幅としている。
グランド電極3には、Al,Cu,Ni,Ag,Auな
どの金属材料を用いる。また絶縁層5には、SiO2 ,
Al 2 O3 ,BCB(Benzo Cyclo Butene)などの絶縁
材料を用いる。
膜としてAl2 O3 を形成し、密着層としてTiの薄膜
を形成し、その表面にメッキ膜を成長させるための種と
してのCuを蒸着またはスパッタリングし、その表面に
Cuをメッキ成長させる。さらにその表面に拡散防止層
としてNi膜をメッキ形成し、最表面に信号入出力用の
ワイヤーをボンディングするためにAuのメッキ膜を形
成する。このようにAl2 O3 膜の表面に金属薄膜を形
成した状態でフォトリソグラフィにより、図5の(C)
に示したような線路パターン21を形成する。すなわち
フォトレジスト膜塗布→乾燥・硬化→マスク露光→現像
→ベーク→エッチングといった工程でパターニングす
る。
パッリングにより成膜し、その表面に上記線路パターン
21の場合と同様にして、線路パターン22をパターニ
ングする。
グランド電極3には、高温超伝導体材料を用いてもよ
い。これにより、共振器のQがさらに高まる。また、電
流集中が少ない分、単位面積または単位体積当たりの電
力密度を高めても、臨界電流密度以下のレベルで超伝導
体の低損失特性が十分に活かせ、高いQで動作させるこ
とができる。
路21と誘電体基板1を挟んだグランド電極3との組み
合わせにより、図1〜図4に示したように、多重スパイ
ラル共振器として作用する。
の分布の例を示している。分布図の下段は、共振器のA
−A′部分の断面での電界および磁界の分布を示してい
る。またその上段は、同断面での瞬間における各線路の
電流密度を示している。
位最大となる時、外周部は電位最小となる。また共振周
期の半周期だけ経過した時刻でみると、この逆の電位関
係となる。したがって、多重スパイラル線路の内周部と
外周部を始点および終点とする放射状の線路パターン2
2を近接配置すると、多重スパイラル共振器の内周部と
外周部の電位差によって静電容量が付加されたように作
用する。すなわち、多重スパイラル線路の内周部から外
周部にかけて絶縁層5を介して放射状の線路パターン2
2との間に静電容量が分布するため、多重スパイラル線
路と放射状パターンの、内周部同士と、外周部同士の間
に生じる電位差は、図6に示すように逆となる。
縁状態に配置した線路パターン22は、線路パターン2
1による共振モードの電圧の節と電圧の腹との電位差ま
たはその一部を利用して静電容量を付加させたように作
用する。
ン21の内周部と外周部の中央より外周部寄りにあるの
は、線路長でみたときの中点(50%の位置)が半径で
みたときの70%の位置となるためである。
るので、その分、予め多重スパイラル線路の各線路長を
短く設定しておけば、所定の共振周波数を得るための多
重スパイラル共振器の直径が小さくできる。また、同じ
外周部の直径とする場合には、多重スパイラル線路の線
数を多くすることができ、それだけ損失低減効果が高ま
る。
を図7を参照して説明する。図7の(A)は共振器の上
面図、(B)は中央縦断面図、(C),(D)は2つの
線路パターンの平面図である。誘電体基板1の下面には
全面のグランド電極3を形成していて、上面には(C)
に示すような複数のスパイラル状線路パターン21によ
り多重スパイラル線路を形成している。この線路パター
ン21は図5に示したものと同様である。(B)におい
て5は絶縁層であり、この上面に線路パターン23を形
成している。(D)はその例であり、複数の線路の両端
を、線路パターン21による多重スパイラル線路の中心
点の周囲で実質的な内周上と外周上とにそれぞれ分布さ
せて、前記複数の線路が互いに交差しないように、それ
ぞれスパイラル状の線路を配置している。但し、それら
の線路の旋回方向は線路パターン21の各線路の旋回方
向とは逆である。すなわち、スパイラル状線路パターン
21を裏返したようなパターンとしている。なお、これ
らの線路パターン21,23のそれぞれの線路の幅は、
使用する周波数帯で線路導体の表皮深さに略等しい幅と
している。
における共振モードにおいて、線路パターン21の内周
部が電位最大となる時、外周部は電位最小となる。さら
に、この時、もう一方の線路パターン23の内周部は電
位最小で、外周部は電位最大となる。すなわち、誘電体
基板1を挟む線路パターン21とグランド電極3とによ
る第1の多重スパイラル共振器と、同じく誘電体基板1
を挟む線路パターン23とグランド電極3とによる第2
の多重スパイラル共振器との位相関係は逆相となる。な
ぜなら、線路パターン21の内周部から外周部にかけ
て、絶縁層5を介して線路パターン23との間に静電容
量が分布するため、線路パターン21と線路パターン2
3の、内周部同士と、外周部同士の間に生じる電位差が
逆になるからである。このことが多重スパイラル共振器
に静電容量が付加されたことと等価となる。そのため第
1の実施形態の場合と同様に、多重スパイラル共振器の
直径を小さくでき、また同じ直径とする場合には線数を
多くすることによって損失低減効果を高めることができ
る。
1の各線路に流れる電流は、内周部が電位最大、外周部
が電位最小であるとき、内周部から外周部に向かって左
向きに流れ、もう1つの多重スパイラル状の線路パター
ン23の各線路に流れる電流は、このとき外周部が電位
最大、内周部が電位最小であるので、外周部から内周部
に向かって、同じく左向きに流れる。したがって、電流
は同じ旋回方向を向いて流れることになり、磁界エネル
ギーが効率的に保持される。この結果、共振器のQが高
まる。
を図8および図9を参照して説明する。図8の(A)は
キャビティを除いた状態での共振器の上面図、(B)は
共振器の中央縦断面図、(C),(D)は2つの線路パ
ターンの平面図である。この例では、誘電体基板1の図
における上面に多重スパイラル状の線路パターン21を
形成していて、同様に誘電体基板1の下面にもう1つの
多重スパイラル状の線路パターン23を形成している。
線路パターン21は(C)に示すように左旋の多重スパ
イラル状の線路パターンであり、第1の実施形態で示し
たものと同様である。(D)は誘電体基板1の上面から
みた図であり、線路パターン23は上面からみて右旋の
多重スパイラル状の線路パターンとしている。したがっ
て、誘電体基板1の下面側からみれば、この線路パター
ン23は左旋の多重スパイラル線路とみえる。
それぞれの線路の幅は、使用する周波数帯で線路導体の
表皮深さに略等しい幅としている。
電流密度の分布の例を示している。分布図の下段は、共
振器のA−A′部分の断面での電界および磁界の分布を
示している。また、その上段は、同断面での瞬間におけ
る各線路の電流密度を示している。
パターン21は1つの多重スパイラル共振器を構成す
る。同様に、キャビティ4による空間において、線路パ
ターン23はもう一つの多重スパイラル共振器を構成す
る。線路パターン21による共振器の共振モードにおい
て、内周部が電位最大となる時、外周部は電位最小とな
る。また共振周期の半周期だけ経過した時刻では、この
逆の電位関係となる。したがって、この線路21に、も
う一つの多重スパイラル状の線路パターン23を近接配
置すると、多重スパイラル共振器の内周部と外周部の電
位差によって静電容量が付加されたように作用する。す
なわち、一方の線路パターン21の内周部から外周部に
かけて、誘電体基板1を介して他方の線路パターン23
との間に静電容量が分布するため、2つの線路パターン
の間に生じる電位差は、図9に示すように内周部と外周
部とで逆となる。このことが多重スパイラル共振器に静
電容量が付加されたことと等価となる。
るので、その分、予め多重スパイラル線路の各線路長を
短く設定しておけば、所定の共振周波数を得るための多
重スパイラル共振器の直径が小さくできる。また、同じ
直径とする場合には、多重スパイラル線路の線数を多く
することができ、それだけ損失低減効果が高まる。
成を示す図である。(A)は上面図、(B)は中央縦断
面図である。この例では、誘電体基板1の上面にそれぞ
れ多重スパイラル状の線路パターン21a,23a,2
1b,23bを絶縁層5を介して順次積層形成してい
る。この4つの線路パターンのうち、21a,21bは
同図の(C)に示すように左旋の多重スパイラル線路と
している。また23a,23bは同図の(D)に示すよ
うに右旋の多重スパイラル線路としている。この構造
は、図7に示した2層の多重スパイラル線路を1組とし
たとき、これを2組設けたものに等しい。このような多
層化により電界エネルギーの蓄積量がさらに増大し、磁
界エネルギーを低損失に保持することができる。その結
果、共振器のQをさらに高めることができる。
成を示す図である。(A)はキャビティを除いた状態で
の上面図、(B)は共振器の中央縦断面図である。この
例では、誘電体基板1aの上面に、(C)に示すような
多重スパイラル状の線路パターン21aを形成し、その
下面にグランド電極3aを略全面に形成している。ま
た、もう1つの誘電体基板1bの図における下面に、
(D)に示すような多重スパイラル状の線路パターン2
1bを形成し、その上面にグランド電極3bを略全面に
形成している。
多重スパイラル線路を構成し、線路パターン21bは右
旋の多重スパイラル線路を構成する。但し、図11の
(D)は誘電体基板1bの上面からみた図であり、誘電
体基板1bの下面側から見れば(C)に示したものと同
様に左旋の多重スパイラル線路とみえる。したがって、
誘電体基板1aによる共振器と誘電体基板1bによる共
振器は全く同じものである。この2つの共振器を、多重
スパイラル線路同士が空気層を介して近接するように配
置しているため、図9に示したものと同様にその間隙部
分に、主に間隙の幅方向(誘電体基板に垂直な方向)を
向いた電界ベクトルが分布し、単一の誘電体基板を用い
た場合に比べて静電容量が等価的に付加されたこととな
る。これにより、多重スパイラル共振器の直径を小さく
でき、同じ直径とする場合に、線数を多くすることによ
って損失低減効果を高めることができる。
成を示す図である。(A)はその上面図、(B)のその
中央縦断面図である。この例では、誘電体基板1の内部
に同図の(D)に示すような放射状の線路パターン22
を埋設していて、誘電体基板1の上面に同図の(C)に
示すような多重スパイラル状の線路パターン21を形成
している。また下面には略全面のグランド電極3を形成
している。線路パターン22はセラミック多層基板の製
造方法によって、基板内に埋設する。
2を設け、上層に多重スパイラル状の線路パターン21
を配置しても、図5に示した共振器の場合と同様に、多
重スパイラル共振器に静電容量が付加された構造とな
り、同様にして小型低損失な共振器が構成できる。
器における線路パターンの他のいくつかの例を示す図で
ある。(A)〜(D)はそれぞれ多重スパイラル状の線
路パターンについての例であり、(A)の例では、線路
パターンの内周部を接続する円形の接続用電極8を形成
している。また(B)に示す例では、その内周端にリン
グ状の接続用電極8を形成している。(C)に示す例で
は、多重スパイラル状の線路パターンの内周端と外周端
の間の等電位部分を互いに接続するリング状の接続用電
極8を形成している。さらに(D)に示す例では、その
外周端にリング状の接続用電極8を形成している。
ル状線路の等電位部分を接続用電極8で接続することに
よって、用いるべき基本共振モード以外のスプリアスモ
ードに対して、上記接続用電極8が非等電位部分同士を
接続する電極として作用するので、そのスプリアスモー
ドが効果的に抑圧される。
ターンについての例であり、(E)では、放射状の線路
パターンの内周端同士を接続する円形の接続用電極8を
形成している。(F)に示す例では、その内周端にリン
グ状の接続用電極8を形成している。(G)に示す例で
は、放射状線路パターンの内周端と外周端の間の等電位
部分を互いに接続するリング状の接続用電極8を形成し
ている。さらに(H)に示す例では、その外周端にリン
グ状の接続用電極8を形成している。
用いていないが、多重スパイラル共振器の電磁界の中で
動作しているので、このように、多重スパイラル共振器
に対して静電容量を付加させるように作用する放射状の
線路パターンについても、その等電位部分同士を接続用
電極8で接続することによって、放射状線路パターンの
内周端と外周端の両端が開放された半波長共振モードを
基本として、その他のスプリアスモードが抑制される。
そのため、多重スパイラル線路に接続用電極を設けた場
合と同様にスプリアス抑圧効果が得られる。
て説明する。図14はフィルタ全体の斜視図である。図
14において1はアルミナセラミック基板やガラスエポ
キシ基板などからなる誘電体基板であり、その上面に3
つの多重スパイラル線路と放射状線路の組を配列形成す
ることにより、3つの共振器を構成している。その3つ
の共振器のうち両側の多重スパイラル線路の配置領域の
中央部に、各スパイラル状線路および放射状線路の内周
端との間に静電容量を生じさせる結合パッド9a,9b
をそれぞれ形成している。さらに誘電体基板1の上面に
はボンディングパッド10a,10bを形成している。
この誘電体基板1の下面には略全面のグランド電極3を
形成している。また6は絶縁体または誘電体の基板であ
り、その上面から端面を経て下面に延びる入出力端子1
2a,12bを形成している。この基板6の下面には、
入出力電極12a,12bの形成領域を避けて略全面に
グランド電極3を形成している。
定している。結合パッド9a,9bとボンディングパッ
ド10a,10bとの間は、それぞれボンディングワイ
ヤー11によりワイヤーボンディングしている。また基
板6の入出力端子12a,12bの上面と誘電体基板1
のボンディングパッド10a,10bとの間もボンディ
ングワイヤー11によりワイヤーボンディングしてい
る。基板6の上面には、誘電体基板1およびボンディン
グワイヤー部分を覆うように、金属製キャップ13を絶
縁性の接合材により接合している。これにより全体を電
磁界シールドしている。 なお、図においてはキャップ
13を透視して描いている。
はその周囲の多重スパイラル線路と容量結合し、その多
重スパイラル線路は隣接する多重スパイラル線路と誘導
的に結合し、さらにこれに隣接するもうひとつの多重ス
パイラル線路との間も誘導的に結合する。この3段目の
多重スパイラル線路は、その中央部の結合パッド9bと
容量結合する。入出力端子12a,12bは結合パッド
9a,9bと導通しているため、結局、入出力端子12
a−12b間が3段の共振器による帯域通過特性を示す
フィルタとして作用する。
ド10a,10bを中継せずに結合パッド9a,9bと
入出力端子12a,12bとの間を直接ワイヤーボンデ
ィングしてもよい。
のいずれの共振器についても結合パッド9a,9bを用
いて入出力と共振器との結合をとるようにしたが、いず
れか一方の共振器を構成する多重スパイラル線路の外周
部に容量結合用の電極を形成するようにしてもよい。
り、上部のシールドカバーを取り除いた状態での上面図
である。図において100,101は図14に示した誘
電体基板部分の構成を備えるフィルタであり、この例で
は100を送信フィルタ、101を受信フィルタとして
用いる。この2つのフィルタを基板6の上面にマウント
している。基板6には分岐用の線路7、ANT端子、T
X端子およびRX端子をそれぞれ形成していて、フィル
タ100,101の外部結合電極と基板6上の電極部分
とをワイヤーボンディングしている。基板6の下面に
は、各端子部分を除いてほぼ全面のグランド電極を形成
している。基板6の上部には図に示す破線部分にシール
ドカバーを取りつける。
ある。この構造により送信信号の受信回路への回り込み
および受信信号の送信回路への回り込みを防止するとと
もに、送信回路からの送信信号を送信周波数帯域のみ通
過させてアンテナへ導き、アンテナからの受信信号を受
信周波数帯域のみ通過させて受信機へ与える。
である。ここでデュプレクサとしては図15および図1
6に示した構成のものを用いる。回路基板上には送信回
路と受信回路を構成し、TX端子に送信回路が接続さ
れ、RX端子に受信回路が接続され、且つANT端子に
アンテナが接続されるように、上記回路基板上にデュプ
レクサを実装する。
スパイラル線路の線数と、それに近接させる他の多重ス
パイラル線路の線数または放射状線路パターンの線数と
を等しくしたが、両者の線数は異なっていてもよい。ま
た、右旋と左旋の多重スパイラル線路を近接させる際
に、ここで各スパイラル状線路を(r,θ)を座標とす
る極座標方程式で、簡単にr=aθ(アルキメデスの渦
線)で表せば、aを一定とし、その極性を反転させただ
けであったが、aの絶対値を異ならせた多重スパイラル
線路を組み合わせてもよい。すなわち一方の多重スパイ
ラル線路のスパイラルの旋回は急で、他方の多重スパイ
ラル線路のスパイラルの旋回は緩いものであってもよ
い。
態に配置する他の多重スパイラル線路または放射状の線
路パターンは、それらの内周または外周を必ずしも一致
させて配置する必要はない。例えば、上記他の多重スパ
イラル線路または放射状の線路パターンの内周と外周の
半径は、上記多重スパイラル線路の内周と外周の半径と
異なっていてもよい。
る電流集中が極めて効率的に緩和されて、全体の電力損
失が抑制される。しかも各線路の線路長を短縮化できる
ので、共振器全体の小型化が図れる。また同じ占有面積
に対して線数を多く設けることができ、その分大きな挿
入損失低減効果が得られる。
とも2組は、それぞれがスパイラル状をなす複数の線路
の集合体とし、且つスパイラルの旋回方向を互いに逆の
関係とすることにより、共振による磁界エネルギが効率
的に保持されて共振器のQが高まる。
とも1組の線路パターンの略等電位部分同士を互いに導
通させることにより、スプリアス共振モードが効果的に
抑圧される。
成することにより、共振器のQが高まるとともに、電流
集中が少ない分、単位面積または単位体積当たりの電力
密度を高めても、臨界電流密度以下のレベルで超伝導体
の低損失特性が十分に活かせ、高いQで動作させること
ができる。
を、使用周波数における線路導体の表皮深さ程度または
表皮深さより細くすることにより、電力損失が飛躍的に
低減される。
共振器を用いることにより、低挿入損失で且つ小型のフ
ィルタまたはデュプレクサが得られる。
部の挿入損失が低く、雑音特性、伝送速度などの通信品
質に優れ、且つ全体の小型の通信装置が得られる。
図
して表した図
例を示す図
例を示す図
かの線路パターンの例を示す図
斜視図
示す図
す図
Claims (10)
- 【請求項1】 それぞれが複数の線路の集合体であっ
て、該複数の線路のうち少なくとも一部の線路の両端
を、基板上の所定点の周囲で前記集合体の実質的な内周
上と外周上とにそれぞれ分布させて、前記複数の線路を
互いに交差しないように配置した複数の線路パターンを
備え、それらの線路パターンを互いに絶縁状態に配置す
るとともに、前記複数の線路パターンのうち少なくとも
1つの線路パターンのそれぞれの線路をスパイラル状と
し、他の線路パターンのうち少なくとも1つの線路パタ
ーンのそれぞれの線路を前記スパイラル状の線路とは異
なった形状とした共振器。 - 【請求項2】 それぞれがスパイラル状を成す複数の線
路の集合体であって、該複数の線路のうち少なくとも一
部の線路の両端を、基板上の所定点の周囲で前記集合体
の実質的な内周上と外周上とにそれぞれ分布させて、前
記複数の線路を互いに交差しないように配置した線路パ
ターンを備え、該線路パターンの実質的な内周部と外周
部とがそれぞれ電圧開放端として作用する、半波長の整
数倍の共振モードで共振する共振器であって、 前記共振モードの電圧の節と電圧の腹との電位差または
その一部を利用して静電容量を付加させる他の線路パタ
ーンを、前記線路パターンに対して絶縁状態に配置して
成る共振器。 - 【請求項3】 前記複数の線路パターンのうち少なくと
も1つの線路パターンが放射状のパターンである請求項
1または2に記載の共振器。 - 【請求項4】 前記複数の線路パターンのうち少なくと
も2つは、それぞれがスパイラル状を成す複数の線路の
集合体であり、且つスパイラルの旋回方向が互いに逆の
関係にある請求項1、2または3に記載の共振器。 - 【請求項5】 前記複数の線路パターンのうち少なくと
も1つの線路パターンは、共振状態で略等電位となる部
分同士を互いに導通させた請求項1〜4のうちいずれか
に記載の共振器。 - 【請求項6】 前記複数の線路パターンのうち少なくと
も1つの線路パターンの線路を超伝線路で構成した請求
項1〜5のうちいずれかに記載の共振器。 - 【請求項7】 前記複数の線路パターンのそれぞれの線
路幅を、使用周波数における当該線路導体の表皮深さ程
度または該表皮深さより細くした請求項1〜6のうちい
ずれかに記載の共振器。 - 【請求項8】 請求項1〜7のうちいずれかに記載の共
振器に信号入出力部を設けて成るフィルタ。 - 【請求項9】 請求項8に記載のフィルタを送信フィル
タもしくは受信フィルタとして、またはその両方のフィ
ルタとして設けて成るデュプレクサ。 - 【請求項10】 請求項8に記載のフィルタまたは請求
項9に記載のデュプレクサを備えて成る通信装置。
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