JP2002004790A - トンネル覆工セグメント用ライニング材およびトンネル覆工セグメント - Google Patents

トンネル覆工セグメント用ライニング材およびトンネル覆工セグメント

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JP2002004790A
JP2002004790A JP2000183826A JP2000183826A JP2002004790A JP 2002004790 A JP2002004790 A JP 2002004790A JP 2000183826 A JP2000183826 A JP 2000183826A JP 2000183826 A JP2000183826 A JP 2000183826A JP 2002004790 A JP2002004790 A JP 2002004790A
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lining
tunnel
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JP2000183826A
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Kiyoshi Ishii
清 石井
Hideyo Shiokawa
英世 塩川
Junichi Iketani
純一 池谷
Akira Mihashi
章 三橋
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Shimizu Construction Co Ltd
Mitsubishi Materials Corp
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Mitsubishi Materials Corp
Shimizu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 火災が生じても延焼することがなく、しかも
長期に亙って安定した耐食性を奏することが可能なトン
ネル覆工セグメント用ライニング材およびトンネル覆工
セグメントを提供する。 【解決手段】 Feを主成分として少なくともNi、C
r、およびMoを含有する合金によってライニング材3
を形成し、このライニング材3によってセグメント1の
少なくともトンネル内周側を向く面1bをライニングす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネルの内周を
覆工するのに使用するトンネル覆工セグメント(以下、
単にセグメントと称する。)にライニングされるトンネ
ル覆工セグメント用ライニング材(以下、単にライニン
グ材と称する。)、および該ライニング材をライニング
したセグメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】上・下水道用や雨水用のトンネルを初
め、鉄道や自動車道路用のトンネル、あるいは電力、ガ
ス、通信、もしくはこれらの共同溝用のトンネル等にお
いては、シールド工法によって形成されたトンネルの内
周に、多数の円弧板状のセグメントを該円弧の円周方向
および該円周の中心軸線方向に連結して被覆施工するよ
うにしている。この種のセグメントとしては鋼板製の枠
体内にコンクリートやモルタルを充填してなるものが一
般的に知られており、例えばこのコンクリートやモルタ
ルを充填する際にボルトボックスを埋設しておいたり、
上記枠体にボルトボックスを設けたりしておいて、この
ボルトボックスを用いて隣接するセグメント同士をボル
トを介して締結することにより、多数のセグメントを上
述のように連結してトンネル内周に覆工するようにして
いる。
【0003】ところで、このようなセグメントには、強
度は勿論のこと、覆工されるトンネルの種別に応じて十
分な水密性や耐候性、あるいは酸やアルカリによる腐食
に対する耐食性などが要求され、例えば下水道用のトン
ネルにはこれらのすべてを満足することが求められた上
で、特に耐食性に関してはとりわけ高い要求を満たすこ
とが必要とされる。しかるに、従来そのような高い耐食
性を要するトンネルに対しては、セグメントによって覆
工後にその内周に樹脂を塗布したり、あるいは特に腐食
され易い鋼製の枠体部分に樹脂塗装を施したりしていた
が、前者の場合にはトンネル内での樹脂塗布作業となる
ために排気が不十分となり易くて作業環境が著しく損な
われるおそれがあり、また後者の場合には塗装が剥がれ
ると耐食性が全く失われることとなる。
【0004】そこで、このような問題を解決するため、
例えば特許第2657627号公報や特許第28790
44号公報には、セグメントのトンネル内周側を向く面
に予め繊維強化プラスチックシートや硬化型樹脂塗膜層
などの樹脂層をライニングしたものが提案されている。
また、その一方で特開平7−82992号公報には、枠
体のトンネル内周側に剥き出しとなる部分にチタン、ア
ルミニウム、ステンレス等の防食金属箔を接着剤で貼り
付けたものも提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このう
ちまずセグメントの内周面に樹脂層をライニングしたも
のにあっては、万一トンネル内で火災が発生した場合、
この樹脂層に延焼して被害が拡大するおそれがあるとと
もに、上記樹脂層が、セグメントのコンクリートやモル
タル部分にスプレー等によって直接塗布されてライニン
グされたものであったり、あるいは繊維強化プラスチッ
クシートより成るライニング材を接着剤によって貼り付
けてライニングしたりしたものであるため、該樹脂層を
長期に亙って安定的にセグメントの内周面に保持してお
くことが難しく、その剥離によって耐食性が損なわれて
しまうおそれがある。また、上記防食金属箔を接着剤に
よって貼り付けたものにあっても、同様に経年変化によ
る接着剤の劣化によって接着力が低下し、この金属箔が
剥離して耐食性が損なわれるおそれがある。
【0006】本発明は、このような背景の下になされた
もので、高い耐食性を有することは勿論、火災が生じて
も延焼することがなく、しかも剥離等を防いでセグメン
トを長期に亙って安定的にライニング可能なライニング
材を提供することを目的とし、またそのようなライニン
グ材によってライニングすることにより、上述のような
高い耐食性を長期に亙って維持することが可能なセグメ
ントを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、こ
のような目的を達成するために、本発明のライニング材
は、Feを主成分として少なくともNi、Cr、および
Moを含有した合金により形成されていることを特徴と
する。しかるに、このような合金は、金属であるため延
焼することがないのは勿論、酸やアルカリに対する高い
耐食性を備えており、しかもFeを主成分としている上
にNiが含有されているので、同じ組成の合金とは勿論
のことステンレス鋼材や一般鋼材などとも接合性がよ
く、このような材質より成るアンカーを溶接などによっ
て容易に取り付けることができる。従って、本発明のセ
グメントにおいては、このようにアンカーを取り付けた
ライニング材の面側にコンクリートやモルタルを充填す
るなどして、該セグメントの少なくともトンネル内周側
を向く面を上記ライニング材によってライニングするこ
とにより、上記アンカーを介してライニング材を強固に
セグメントに取り付けることができ、このライニング材
が有する上述の高い耐食性を長期に亙って維持すること
が可能となる。
【0008】ここで、上記合金中におけるFe以外の個
々の成分の作用については、NiはFe中のオーステナ
イト相を安定化させて特にアルカリ中での耐食性を向上
させるとともに鋼材などとの接合性を確保するものであ
り、またCrは酸に対する耐食性を付与し、さらにMo
はこのCrの保護被膜の形成を助けて耐食性を向上させ
るという作用を奏する。従って、これらの成分の含有量
が少なすぎると、これらの作用が十分に奏功されずに酸
やアルカリに対する所定の耐食性を得ることができなく
なったり接合性が損なわれたりするおそれがある。とこ
ろが、その一方で、逆にこれらの成分の含有量が多くな
りすぎても、総じてコスト高となるのは勿論、特にCr
やMoの含有量が多すぎると有害相が析出して却って耐
食性を低下させたり、脆化を生じて加工性の劣化を招く
ことにより当該合金をライニング材としての所定の形状
に成形し難くなったりするという問題が生じるおそれが
ある。従って、上記合金においては、Niの含有量を1
4〜46wt%、Crの含有量を16〜25wt%、Moの
含有量を1〜4wt%とするのが望ましく、さらにはNi
の含有量を37〜45wt%、Crの含有量を19〜24
wt%、Moの含有量を2.0〜3.5wt%とするのがよ
り望ましい。
【0009】また、これらの成分以外にも、上記合金に
おいては、Cuを含有することにより、Feのオーステ
ナイト相を一層安定化させて耐食性のさらなる向上を図
ることができるとともに、Nb、Ta、およびTiの少
なくとも1種を含有することにより、当該合金中に含有
される不可避不純物の炭化物を安定化させて強度の向上
を図ることができる。ただし、これらの成分について
も、その含有量が少なすぎると上述の作用が十分に奏功
されなくなるおそれがある一方、逆にその含有量が多す
ぎると、Cuの場合にはCrやMoと同様に有害相が析
出して却って耐食性が低下したり、脆化して加工性の劣
化を招いたりするおそれがあり、またNb、Ti、Ta
の場合には合金の伸びが小さくなってやはり加工性の劣
化を招くおそれがある。このため、Cuの含有量は1〜
4wt%とされるのが望ましく、より望ましくは1.5〜
3.5wt%であり、Nb、Ta、Tiはその総含有量が
0.1〜2.0wt%とされるのが望ましく、より望まし
くは0.5〜1.2wt%とされる。さらに、このような
ライニング材は、薄すぎると強度不足となってセグメン
ト覆工中に破損を生じたり、覆工後の寿命が短縮された
りするおそれがある一方、厚すぎても不経済であるのは
勿論、加工性が損なわれてしまうおそれがあるので、そ
の厚さは0.1〜2mmとされるのが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のライニング材お
よびセグメントのそれぞれ第1の実施形態を示す一部破
断斜視図である。本実施形態のセグメント1は、覆工す
べきトンネルの内径に応じた曲率半径で湾曲する断面円
弧形の厚肉の方形板状をなしており、トンネル内周への
覆工時にトンネル外周側に向けられるこのセグメント1
の外周面1a側の大部分は、強化用の鉄鋼製棒やコンク
リートやモルタルを充填、固化してなるセグメント本体
2とされている。そして、これとは反対のトンネル内周
側を向くセグメント1の内周面1b側は、Feを主成分
として少なくともNi、Cr、およびMoを含有した合
金よりなる本実施形態のライニング材3によってライニ
ングされ、全面的に被覆されている。
【0011】本実施形態では、このライニング材3を形
成する上記合金は、主成分とされるFeの他に、Niの
含有量が14〜46wt%、Crの含有量が16〜25wt
%、Moの含有量が1〜4wt%とされたものであり、よ
り望ましくは、Niの含有量が37〜45wt%、Crの
含有量が19〜24wt%、Moの含有量が2.0〜3.
5wt%とされる。また、さらに高い耐食性を必要とした
りする場合、当該合金は、これらの成分以外に、含有量
1〜4wt%、より望ましくは含有量1.5〜3.5wt%
のCuや、総含有量0.1〜2.0wt%、より望ましく
は総含有量0.5〜1.2wt%のNb、Ta、およびT
iの少なくともいずれか1種を適宜選択的に含有したも
のであってもよく、この場合にはCuとNb、Ta、お
よびTiの少なくともいずれか1種との双方を含有して
いてもよい。さらに、この合金には、不純物として、含
有量0.1wt%未満のC、含有量1.0wt%未満のS
i、含有量1.5wt%未満のMn、含有量0.5wt%の
Al、含有量0.8wt%未満のCaが含有されていても
よい。なお、このような合金よりなるライニング材3の
厚さは、上記セグメント本体2の厚さに対して十分に小
さく、本実施形態では0.1〜2mmの範囲に設定されて
いる。
【0012】このようなライニング材3は、上記合金よ
り成る方形の平板を、上述のように湾曲するセグメント
1の内周の曲率に合わせて湾曲させることにより、断面
円弧状に成形される。そして、本実施形態のセグメント
1は、このライニング材3の断面がなす上記円弧の外周
側の面、すなわちセグメント本体2側となる面に、図1
に示すようなY字状のアンカー4、螺旋状のアンカー
5、およびV字状のアンカー6のうち1種または複数種
を、MIG溶接やTIG溶接あるいは抵抗溶接等の溶接
によって適当間隔で接合して予め取り付けておいた上
で、この外周側の面側にコンクリートやモルタルを充填
して固化させることにより上記セグメント本体2を厚肉
の断面円弧状に形成して製造される。従って、このセグ
メント1においては、上記アンカー4〜6がセグメント
本体2に埋没させられることとなって、このアンカー4
〜6を介してセグメント本体2にライニング材3が係止
されて一体化されるとともに、このライニング材3によ
ってセグメント1の上記内周面1b側が全面的にライニ
ングされることとなる。
【0013】ここで、上記アンカー4〜6は、ライニン
グ材3と同じに上述のような組成の合金によって形成さ
れていてもよく、あるいはSUS304等のステンレス
鋼材や他の一般的な鋼材によって形成されていてもよ
い。また、コンクリートやモルタルの充填時には、セグ
メント本体2内に鉄筋等を埋設するようにしてもよい。
さらに、このセグメント本体2には、セグメント1の上
記内外周面1a,1bの周りに配される4つの側面1c
…にそれぞれ臨んで開口するように、図示されないボル
トボックスが適当な数ずつ埋設されている。
【0014】このように構成されたセグメント1は、そ
のライニング材3によってライニングされた上記内周面
1bをトンネルの内周側に向け、上記ボルトボックスに
取り付けられるボルトを介して上記側面1c同士を密着
させるように、当該セグメント1がなす上記円弧の円周
方向および該円周の中心軸線方向に多数連結されること
により、このトンネルの内周に被覆施工される。なお、
このとき隣接するセグメント1のライニング材3同士の
突き合わせ部分を抵抗溶接等によって接合するようにし
てもよい。また、隣接するセグメント1のライニング材
3同士の突き合わせ部分にシール剤を用いて気密性を高
めるようにしてもよい。
【0015】従って、上記構成のセグメント1によって
覆工されたトンネルにおいては、まずその内周が金属で
ある上記合金製のライニング材3によって覆われること
となるので、当該トンネルが鉄道や自動車道路用、ある
いは電力、ガス、通信、もしくはこれらの共同溝用のト
ンネルである場合には、施工後のトンネル使用時は勿論
のこと、その施工時においても、万一トンネル内で火災
が発生したとしても、従来の樹脂層を設けたもののよう
に延焼することはない。これは、当該トンネルが上・下
水道用や雨水用のトンネルである場合であっても、その
施工時に火災が延焼することがない点では同様である。
その一方で、このライニング材3を構成する合金は、そ
の組成によって優れた耐食性を発揮するものであるの
で、このトンネルが例えば下水道用のものであってその
内周が酸やアルカリに晒される場合であってもセグメン
ト1が腐食されるのを防止することができ、長期に亙っ
て安定したトンネルの使用を可能とすることができる。
【0016】そして、上記構成のライニング材3におい
ては、これを形成する上記合金が上述のようにFeを主
成分とするものであって、しかもNiを含有しており、
同じ組成の合金とは勿論、上記SUS304等のステン
レス鋼材や一般的な鋼材などとも溶接による接合性がよ
く、従って上述のようにライニング材3の外周側を向く
面に、このような鋼材や上記合金よりなるアンカー4〜
6を溶接により接合した上で、コンクリートやモルタル
を充填してセグメント本体2を形成することにより、こ
のアンカー4〜6を介してライニング材3をセグメント
本体2に係止してセグメント1の内周面1bに強固に保
持することができる。このため、このようなライニング
材3によってトンネル内周側を向く上記内周面1bがラ
イニングされた上記構成のセグメント1によれば、従来
の樹脂層や金属箔を塗布したり接着剤で貼り付けたりし
たもののようにこのライニング材3が容易に剥離するよ
うなことがなく、長期に亙って上述のような優れた耐食
性を維持してトンネル寿命の延長を図ることが可能とな
る。また、こうして接合性が向上することにより、例え
ばセグメント1のトンネル内周への覆工時にライニング
材3に万一破損が生じて補修が必要となった場合でも、
該ライニング材3と同じ組成を有する合金板材を破損個
所に溶接して接合することができ、耐食性等を損なうこ
となく比較的容易に破損の補修が可能であるという利点
を得ることもできる。
【0017】ここで、本実施形態では、このライニング
材3を形成する上記合金の組成を、主成分とされるFe
の他に、Niの含有量を14〜46wt%、Crの含有量
を16〜25wt%、Moの含有量を1〜4wt%としてい
るが、これは、これらNi、Cr、Moの含有量がそれ
ぞれ上記範囲を下回うほど少ないと、酸やアルカリに対
する所定の耐食性を得ることができなくなったり、アン
カー4〜6として鋼材製のものを用いる場合にその接合
性が損なわれたりするおそれが生じる一方、逆にこれら
の含有量が上記範囲を上回るほど多いと、コスト高とな
るとともに相対的にFeの含有量が少なくなって鋼材製
のアンカーとの接合性が却って損なわれるおそれがある
からである。また、特にCrやMo含有量が多すぎる
と、有害相が析出して却って耐食性が低下したり、脆化
が生じて例えば上述のように平板状の合金板を湾曲させ
て断面円弧状のライニング材3に成形する際の加工性が
損なわれたりするおそれもある。このため、上記合金に
おいてはこれらNi、Cr、Moの含有量は本実施形態
のようにされるのが望ましく、さらにはNiの含有量は
37〜45wt%、Crの含有量は19〜24wt%、Mo
の有量は2.0〜3.5wt%とされるのがより望まし
い。
【0018】さらに、本実施形態のライニング材3にお
いては、これらの成分に加えてその合金中にCuを含有
することにより、上述のようにさらに高い耐食性を得る
ことができる。すなわち、Cuは、Niと同様にライニ
ング材3を形成する上記合金の耐食性を一層向上させ、
またFeのオーステナイト相をさらに安定化させてライ
ニング材3の接合性をも向上させるという作用効果を奏
する。一方、このCuの他に、あるいはこれと合わせ
て、Nb、Ta、Tiの少なくとも1種を合金中に含有
するようにしてもよく、これらNb、Ta、Tiは、い
ずれも合金中の不純物の炭化物を安定化させるという作
用を奏するので、当該ライニング材3の強度を向上させ
ることができるという効果が得られ、例えばセグメント
1の覆工時におけるライニング材3の破損を防止したり
することが可能となる。
【0019】ただし、これらCuやNb、Ta、Tiに
ついても、その含有量が少なすぎると上述の作用効果が
十分に発揮されなくなるおそれがある一方、その含有量
が多すぎても、例えばCuの場合にはCrやMoの場合
と同様に有害相の析出を招いて耐食性を却って低下させ
たり、脆化を生じて加工性の劣化を招いたりするおそれ
があり、またNb、Ta、Tiの含有量が多すぎた場合
でも合金の伸びが小さくなってやはり加工性の劣化を招
くおそれがある。従って、これらCuやNb、Ta、T
iの含有量についても、本実施形態のように、Cuにつ
いては1〜4wt%、より望ましくは1.5〜3.5wt%
に、またNb、Ta、Tiについてはその総含有量が
0.1〜2.0wt%、より望ましくは0.5〜1.2wt
%とされるのが望ましい。
【0020】さらにまた、このようにセグメント1の内
周面1bをライニングするライニング材3においては、
その厚さが薄すぎると強度が不足してしまい、覆工時に
おいてセグメント1をトンネル内周に押し込む際などに
ライニング材3をぶつけたり捻ったりすると簡単に破損
してしまうおそれがあるとともに、如何にライニング材
3が耐食性の高い上記組成の合金によって形成されてい
たとしても腐食されないわけではなく、また特に上記ト
ンネルが下水道用のものである場合などには内部を流れ
る下水中の固形物等によって摩耗が生じることもあるの
で、トンネル寿命の短縮を招くおそれも生じる。しかし
ながら、その反面、このライニング材3が必要以上に厚
くても不経済であるとともに、上述のように平板状の合
金板を湾曲させて断面円弧状のライニング材3に成形す
る際に、その加工性が損なわれるおそれもあるので、こ
のライニング材3の厚さについても、やはり本実施形態
のように0.1〜2mmとされるのが望ましい。
【0021】次に、図2および図3は、本発明のライニ
ング材およびセグメントのそれぞれ第2、第3の実施形
態を示す一部破断斜視図であり、図1に示した第1の実
施形態と共通する要素については、同一の符号を配して
説明を省略する。すなわち、これら第2、第3の実施形
態においては、第1の実施形態と同様の組成の合金によ
り形成されてセグメント1の内周面1bをライニングす
るライニング材3が、この内周面1bから連続してセグ
メント1の上記側面1cに沿って上記外周面1a側に延
ばされることにより、この側面1cの少なくとも一部を
ライニングして被覆した後、その端部がセグメント1の
内側に折り曲げられて、コンクリートやモルタルより成
るセグメント本体2の内部に食い込まされて埋没させら
れていることを特徴とする。
【0022】ここで、これら第2、第3の実施形態で
は、セグメント1の内周面1b側から連続して上記側面
1cに沿って延びるようにライニング材3の縁部に耳部
3aが形成されており、図2に示す第2の実施形態で
は、この耳部3aが内周面1bからセグメント1の上記
外周面1a側に向けて側面1cの幅の一部を覆うように
延ばされた後、その端部3bがこの側面1cに対して略
垂直にセグメント1の内側に向けて断面L字状に折り曲
げられ、セグメント本体2内に食い込まされて埋没させ
られている。さらに、この第2の実施形態では、この折
り曲げられた耳部3aの端部3bの先端が、セグメント
1の上記内周面1b側に向けてもう1度L字状に折り返
されている。また、図3に示す第3の実施形態では、ラ
イニング材3の耳部3aが、側面1cの全面に亙って内
周面1b側から外周面1aに至るように延ばされた後、
やはりセグメント1の内側に略L字状に折り曲げられ
て、この外周面1aに沿ってその外側の縁部に延びるよ
うに成形され、さらにこの折り曲げられた耳部3aの先
端の端部3bが、セグメント1の内周面1b側にL字状
に折り返されることにより該外周面1aからセグメント
本体2内に食い込まされて埋没させられている。
【0023】なお、このようなセグメント1を製造する
場合でも、ライニング材3の縁部に予め上述のように折
り曲げられた形状の耳部3aや端部3bを一体に形成し
ておき、このライニング材3のセグメント1の外周面1
a側となる部分にコンクリートやモルタルを充填して固
化させ、端部3bが内部に食い込まされた埋没した状態
のセグメント本体2を形成すればよい。また、図2およ
び図3では、ライニング材3の耳部3aが円弧状に湾曲
したセグメント本体1の円周方向を向く一対の側面1
c,1cに沿って延びるようにしか形成されていない
が、これ以外の上記中心軸線方向を向くセグメント1の
一対の側面に沿って延びるように形成してもよく、さら
にセグメント1の4つの側面1c…全てに沿って耳部3
aが延びるように形成してもよい。
【0024】従って、このように構成された第2、第3
の実施形態のライニング材3およびセグメント1におい
ては、このセグメント1の内周面1bが上記組成の合金
より成るライニング材3でライニングされているので、
第1の実施形態と同様の効果を得ることができるのは勿
論、隣接するセグメント1,1同士で密着させられる互
いの側面1c,1cの少なくとも内周面1b側にもライ
ニング材3の耳部3aがライニングされるため、これら
隣接するセグメント1,1間に下水等が侵入して腐食が
生じるような事態も防止することができ、トンネル寿命
の一層の延長を図ることができる。そして、さらにこれ
ら第2、第3の実施形態では、このライニング材3の耳
部3aの端部3bが、セグメント1の内側に折り曲げら
れることによってセグメント本体2内に食い込まされて
埋没させられ、これによりライニング材3がセグメント
本体2に係合した状態とされているので、上記アンカー
4〜6による係止と合わせてこのライニング材3をより
強固にセグメント1に保持することができ、一層長期に
亙って安定かつ優れた耐食性を奏することが可能とな
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明のライニング材について、この
ライニング材を形成する合金の組成とその耐食性および
加工性との関係について試験を行った結果を、実施例と
して説明する。本実施例では、これら本発明に係わるラ
イニング材を形成する合金に含有される成分、すなわち
Ni、Cr、Mo、Cu、Nb、Ta、Tiについて、
その含有量が本発明の範囲内で異なるものとされた18
種の合金により板状の試験片を形成し、これらに対して
酸、アルカリそれぞれの耐食試験と曲げ試験とを行っ
た。また、これに対する比較例として、上記成分の含有
量が本発明の範囲外となる4種の合金により形成された
試験片にも同様の試験を行った。これらをそれぞれ実施
例1〜18および比較例1〜4として表1に示す。な
お、このうち実施例5〜18は、本発明の請求項2〜7
に係わるライニング材としての合金組成を満足するもの
である。
【0026】ここで、この試験においては、まず表1に
示す組成の合金インゴットを高周波溶解によって製作
し、これを熱間鍛造および圧延により板状に加工した
後、1070℃に10分間保持してから急冷して溶体化
熱処理を施し、さらに表面酸化層を除去して0.7mmの
厚さの板材とした。そして、耐食試験においては、この
板材を幅20mm、長さ30mmに切断して試験片とし、酸
に対する耐食試験ではこの試験片を50℃に保持した1
2wt%硫酸溶液中に48時間浸漬し、その重量変化から
腐食速度を算出した。また、アルカリに対する耐食試験
では、この試験片を室温で飽和水酸化カルシウム溶液中
に48時間浸漬し、やはりその重量変化から腐食速度を
算出した。さらに、曲げ試験においては、上記板材を幅
25mm、長さ150mmに切断して試験片とし、この試験
片の長手方向中央部を密着曲げして曲げ部外側を観察
し、割れの有無を調べて曲げ加工性を評価した。これら
の結果についても、表1に併せて示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1の結果より、まずNi、Cr、Moの
含有量が請求項2〜7に記載の範囲内にある実施例5〜
18の合金においては、酸、アルカリに対する腐食速度
が小さくて高い耐食性が得られているとともに、密着曲
げによる割れの発生もなく、すなわち加工性の高さも得
られている。とりわけ、これらNi、Cr、Moの含有
量が請求項3に記載の範囲も満たす実施例9にあって
は、特にNiの含有量がこの請求項3に記載の範囲を下
回る実施例1,2に比べ、より高い耐食性が得られてい
ることが分かる。しかるに、これに対してNi、Cr、
Moのいずれかの含有量が本発明の範囲外の比較例1〜
4の合金においては、曲げ試験では割れの発生は認めら
れなかったものの、耐食性については実施例1〜18の
結果を下回る結果となった。また、アルカリに対する耐
食試験では、Niの含有量が少ないほど耐食性も劣ると
いう結果が得られた。一方、CrおよびMoの含有量が
請求項2〜7に記載の範囲を上回る実施例3や、Cuお
よびTiの含有量が請求項4、6に記載の範囲を上回る
実施例4では、耐食性については実施例1,2と大差な
い結果であったものの、曲げ試験において割れが発生し
ていて、請求項2〜7に対応する実施例に比べて加工性
が低下していることが分かる。ただし、本実施例におけ
る曲げ試験法の密着曲げは、ライニング材に求められる
曲げ加工性よりも厳しい評価試験である。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のライニン
グ材およびセグメントによれば、火災による延焼が生じ
ないのは勿論、下水道用トンネル等に用いても腐食を確
実に防ぐことができ、しかもライニング材をセグメント
に強固に保持して、このような優れた耐食性を長期に亙
って安定して維持することができ、従ってトンネル寿命
の延長を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態を示す一部破断斜視
図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態を示す一部破断斜視
図である。
【図3】 本発明の第3の実施形態を示す一部破断斜視
図である。
【符号の説明】
1 セグメント 1a セグメント1の外周面(トンネル外周側を向く
面) 1b セグメント1の内周面(トンネル内周側を向く
面) 1c セグメント1の側面 2 セグメント本体 3 ライニング材 3a ライニング材3の耳部 3b 耳部3aの端部 4〜6 アンカー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩川 英世 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 池谷 純一 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 三橋 章 埼玉県桶川市上日出谷1230番地 三菱マテ リアル株式会社桶川製作所内 Fターム(参考) 2D055 AA01 AA04 AA05 AA06 BA01 EB01 KA00 KB04 KB07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを主成分として少なくともNi、C
    r、およびMoを含有した合金により形成されているこ
    とを特徴とするトンネル覆工セグメント用ライニング
    材。
  2. 【請求項2】 上記合金において、Niの含有量が14
    〜46wt%、Crの含有量が16〜25wt%、Moの含
    有量が1〜4wt%であることを特徴とする請求項1に記
    載のトンネル覆工セグメント用ライニング材。
  3. 【請求項3】 上記合金において、Niの含有量が37
    〜45wt%、Crの含有量が19〜24wt%、Moの含
    有量が2.0〜3.5wt%であることを特徴とする請求
    項1に記載のトンネル覆工セグメント用ライニング材。
  4. 【請求項4】 上記合金が、含有量1〜4wt%のCuを
    含有していることを特徴とする請求項1、請求項2、ま
    たは請求項3に記載のトンネル覆工セグメント用ライニ
    ング材。
  5. 【請求項5】 上記合金が、含有量1.5〜3.5wt%
    のCuを含有していることを特徴とする請求項1、請求
    項2、または請求項3に記載のトンネル覆工セグメント
    用ライニング材。
  6. 【請求項6】 上記合金が、総含有量0.1〜2.0wt
    %のNb、Ta、およびTiの少なくとも1種を含有し
    ていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項
    3、請求項4、または請求項5に記載のトンネル覆工セ
    グメント用ライニング材。
  7. 【請求項7】 上記合金が、総含有量0.5〜1.2wt
    %のNb、Ta、およびTiの少なくとも1種を含有し
    ていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項
    3、請求項4、または請求項5に記載のトンネル覆工セ
    グメント用ライニング材。
  8. 【請求項8】 厚さが0.1〜2mmであることを特徴と
    する請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項
    5、請求項6、または請求項7に記載のトンネル覆工セ
    グメント用ライニング材。
  9. 【請求項9】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5、請求項6、請求項7、または請求項8に
    記載のトンネル覆工セグメント用ライニング材により、
    少なくともトンネル内周側を向く面がライニングされて
    いることを特徴とするトンネル覆工セグメント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014020110A (ja) * 2012-07-18 2014-02-03 Shimizu Corp 合成セグメント

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