JP2002001569A - レーザ加工装置 - Google Patents

レーザ加工装置

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JP2002001569A
JP2002001569A JP2000179436A JP2000179436A JP2002001569A JP 2002001569 A JP2002001569 A JP 2002001569A JP 2000179436 A JP2000179436 A JP 2000179436A JP 2000179436 A JP2000179436 A JP 2000179436A JP 2002001569 A JP2002001569 A JP 2002001569A
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laser
atmosphere
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processing apparatus
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JP2000179436A
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Akira Matsunawa
朗 松縄
Seiji Katayama
聖二 片山
Tomotaka Hayashi
智隆 林
Mikio Muro
幹雄 室
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
Advanced Materials Processing Institute Kinki Japan AMPI
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
Advanced Materials Processing Institute Kinki Japan AMPI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発振器側は連続発振レーザを用いながら、照
射点におけるレーザ出力を容易に周期的に変動させるレ
ーザ加工装置、さらには、最適なパルス周期、パルス
幅、雰囲気ガス組成及び雰囲気ガス圧力を選べるレーザ
加工装置を提供し、また、レーザの照射点における酸化
作用の調整能力を付与し、加工部の表面を平滑化するな
ど加工品質が向上するレーザ加工装置を提供する。 【解決手段】 レーザビーム2の照射点7の近傍に、ヘ
リウム、窒素等の雰囲気ガスそれぞれに独立したガス注
入口8,9を設け、その上流側にガス流調整機構10,
11を設け、さらに、パルス周期、パルス幅、雰囲気ガ
ス組成および雰囲気ガス圧力を最適化するするようにガ
ス流調整機構10,11を制御する制御機構12を設け
て、雰囲気ガスの組成を周期的に変えることにより照射
点におけるレーザ出力または酸化作用を周期的に変動さ
せるようにしたレーザ加工装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雰囲気ガス中で加
工するレーザ加工装置に関し、特に雰囲気ガスの成分を
周期的に変化させる機構を付与することによって、高度
なレーザ加工を行うようにした新しいレーザ加工装置に
関する。また、特に、高出力の連続レーザをパルス化し
て照射点におけるレーザ出力を周期的に変動させるよう
にしたレーザ光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザは、その照射点で得られる高いエ
ネルギー密度や大気中での使用可能性等の利点から、近
年、溶接や切断、さらには表面改質等の表面処理まで広
く材料加工に利用されるようになった。それに伴い、材
料加工に適したCO2レーザ、ヨウ素レーザ、YAGレ
ーザ等の高出力化や最適な加工結果を得るための各種関
連技術の開発が目覚しく推進されているが、その一方で
新たに発生する課題も多い。
【0003】例えば溶接の分野では、深溶込み溶接が高
速でできるためレーザ溶接が注目を集めているが、高出
力レーザ加工装置を用いて連続溶接を行うと溶接条件に
よっては、ビードに気泡が多く残存するいわゆるポロシ
ティが発生して品質が低下したり、強度が低下すること
が知られている。この対策としては、加工点におけるレ
ーザ出力を周期的に変動させる、すなわち、加工点にお
けるレーザ出力をパルス化することが、問題を解決する
のに有効であることが知られている。レーザを照射する
とそのエネルギーにより加工対象材料の加工点にはその
材料が溶けた溶融池ができ、溶融池の中心には深い窪
み、すなわち、キーホールが生じる。レーザ出力をパル
ス化することにより、このキーホールの中をかきまぜて
気泡数を減少させ、ポロシティの発生を押えうるからで
ある。
【0004】加工点におけるレーザ出力をパルス化する
方法としては、(1)レーザの発振器側で出力変動させ
る、(2)レーザビーム伝送光路にレーザ出力を周期的
に変動させるための光の遮断機構を設ける、等の方法が
考えられる。しかし、レーザの発振器側で出力変動させ
る機構は高価であり、また、材料加工に最も多く使われ
るCO2レーザ等の放電励起レーザの場合は20kW以
上の高出力では発振器側でパルス化することは困難であ
る。また、高出力のレーザビームに対する耐光性を考慮
した機械的遮断機構を製作すると、頑丈で大型の装置と
なり高速度で開閉させることが困難である。
【0005】また、レーザによる切断加工は、酸素雰囲
気中で燃焼作用を利用しながら行うが、高濃度酸素雰囲
気中で加工すると厚板も加工できるが切断幅が広がりド
ロスの発生も多くなる。一方、低濃度酸素雰囲気中でレ
ーザ加工しようとすると厚い板を切断することができな
い。なお、レーザ切断においても切断条件によってはレ
ーザ出力をパルス化することにより、切断面がきれいに
なる効果が認められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、雰囲気ガスの注入法を工夫するこ
とによって加工性能を改善したレーザ加工装置を提供す
ることである。特に、発振器側は連続発振レーザを用い
ながら、照射点におけるレーザ出力を容易に周期的に変
動させる新しいレーザ加工装置、さらには、最適なパル
ス周期、パルス幅、雰囲気ガス成分及び雰囲気ガス圧力
を選べる高出力レーザ加工装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のレーザ加工装置は、成分の異なる2種類以
上の雰囲気ガスの供給量を周期的に変えることを特徴と
する。本発明のレーザ加工装置によれば、加工点付近に
供給する雰囲気ガスとして組成の異なる2種類以上のガ
スを用い、ガス毎に加工条件に応じて量を調整し、周期
的に切り替えるようにすることにより、加工の品質をよ
り高めることができる。
【0008】従来、レーザ加工に使用する雰囲気ガスを
複合的に使用して加工性能を高めるという技術的思想は
なかった。しかし本発明のレーザ加工装置では、たとえ
ば、レーザで厚板を切断する場合にも、雰囲気を酸素ガ
スと不活性ガスで切り替えることにより、切断に必要な
酸素濃度を確保しながら過剰に燃焼しないようにするこ
とができるので、切断代が小さくドロスが少ない加工が
できる。また、不活性ガス雰囲気中でレーザ加工を行う
場合にも、シール効果が高いが高価なヘリウムとシール
効果に劣るが廉価な炭酸ガスを切り替えて利用すること
により、総合的なコストパフォーマンスを向上させるこ
とが可能となる。
【0009】さらに、本発明のレーザ加工装置は、雰囲
気ガスの成分を周期的に変えることにより照射点におけ
るレーザ出力を周期的に変動させることができる。本発
明は、雰囲気ガスの成分によっては加工点にプラズマが
誘起されて成長し、このプラズマがレーザ照射光を遮蔽
する働きがあることを利用したもので、レーザ光を遮蔽
しない雰囲気ガスと遮蔽する雰囲気ガスを周期的に切り
替えることにより、連続出力型レーザ加工装置のパルス
化を行う。本発明のレーザ加工装置によれば、レーザ発
振器側での出力変動やレーザビーム伝送光路に設ける遮
断機構のように、高価かつ技術的に問題の多い方法によ
らず、安価にかつ技術的に容易に照射点におけるレーザ
出力を周期的に変動させ、パルス化することができる。
このようにレーザ出力のパルス化をすることにより、例
えば溶接の質を向上させることができる。
【0010】レーザ誘起プラズマの発生および挙動、並
びに、そのレーザビーム吸収率が雰囲気ガスの種類によ
り大きく異なる現象は、本願発明の発明者等により解明
されたものである。発明者等は、キーホールの挙動と加
工点から発生するプラズマの挙動の関連性に注目し、加
工対象材料と雰囲気ガスを変えて試験溶接を行い、その
相関関係を確認した。この研究成果は、既に1998年
10月に開催された溶接学会全国大会において「レーザ
溶接におけるキーホール挙動とプラズマ挙動の相関」と
して発表した。その概要は「溶接学会全国大会講演概要
第63集(’98−10)」に掲載されている。
【0011】一般にレーザ加工においては、その加工条
件に応じてヘリウム、アルゴン、窒素のような不活性ガ
スや酸素のような反応性ガスを加工点付近に雰囲気ガス
として導入している。前記試験溶接では、所定の雰囲気
ガス中において高出力レーザ加工装置で溶接加工を行っ
た際に加工点に生ずるキーホールの挙動とレーザによっ
て誘起され加工点から発生するプラズマの挙動を観察し
た。試験結果によれば、雰囲気ガスがヘリウムの場合に
は、図5に示すように、加工対象材料がプラズマ化した
メタルプラズマが加工点から噴出した状態で維持され、
加工点には常に深く大きなキーホールが形成されてい
る。
【0012】一方、アルゴンや窒素を雰囲気ガスとして
使用した場合には、図6(a)に示すように、加工点にレ
ーザビームが照射されると深く大きなキーホールが形成
され、メタルプラズマが噴出する。このとき、メタルプ
ラズマに加えて雰囲気ガスであるアルゴンや窒素がプラ
ズマ化し、図6(b)に示すように成長しながら上方に移
動する。キーホールは、雰囲気ガスのプラズマの成長に
対応して次第に縮小し、ついには消滅する。雰囲気ガス
プラズマは、最終的には、レーザビーム伝送光路からは
ずれて消滅する。レーザビーム伝送光路からプラズマが
消滅すると、それに対応して再び図6(a)のように深く
大きなキーホールが形成される。
【0013】この現象は周期的に繰り返され、その周期
は、レーザ出力、加工対象材料、および雰囲気ガスの種
類により定まり、それら条件の組み合わせにより大きく
異なる。たとえば、レーザ出力15kWでヘリウム雰囲
気の場合は、材質により20msから約315msとな
った。また出力が5kWのときに30msのものが、1
0kWでは10msと短くなることが観測されている。
このレーザに誘起されたプラズマの形成は、逆制動輻射
のメカニズムによるものと考えられるが、使用する雰囲
気ガスによりその形成の状況が異なっている。
【0014】キーホールが上述のように縮小・消滅する
のは、形成されたレーザ誘起プラズマがレーザビームを
吸収することにより、加工点に到達するレーザ出力を低
下させるからである。レーザビームのプラズマによる吸
収率はレーザ波長の2乗に比例するので、CO2レーザ
のような長波長(波長10.6μm)の場合は特にプラ
ズマの影響を受けやすい。さらに、雰囲気ガスの種類に
よりレーザビームのプラズマによる吸収率は大きく異な
り、アルゴンや窒素では特に大きく、ヘリウムでは小さ
い。
【0015】この現象に着目すると、雰囲気ガスとして
アルゴンあるいは窒素のようにそのレーザ誘起プラズマ
がレーザビーム吸収率の高いガスを用いて、周期的に生
成・消滅するプラズマにより照射点におけるレーザ出力
をパルス的に変動させる方法が考えられる。しかし、周
期的に生成・消滅するプラズマの挙動は雰囲気ガスの種
類や加工対象材料により決まり、その結果得られる照射
点におけるレーザ出力のパルス周期やパルス幅はそのプ
ラズマの特性により一義的に決定されてしまい、レーザ
の使用条件、例えば、溶接条件や切断条件に最も適した
パルス周期やパルス幅を自由に選ぶことができない。
【0016】そこで、本発明は、レーザ照射光を遮蔽す
る働きが強い雰囲気ガスと、レーザ光を遮蔽しない雰囲
気ガスを周期的に切り替えて使用することにより、連続
出力型レーザ加工装置のレーザ出力が加工点に到達する
部分でパルス化するようにしたものである。このような
手段を使用することにより、高出力レーザ加工装置にも
適用することができ、特にレーザ溶接や切断において品
質の高い処理ができるようになった。
【0017】なお、雰囲気ガスとしては、ヘリウム、ア
ルゴン、窒素、二酸化炭素及び酸素の組み合わせ、ある
いは、それらの内のいくつかの組み合わせを使用しても
よい。これらガスのレーザ誘起プラズマによるレーザビ
ームの吸収の差を用いて照射点におけるレーザ出力をパ
ルス化するためである。また、レーザ照射点の近傍に、
それら雰囲気ガスそれぞれに独立したガス注入口が設け
られ、そのガス注入口の上流側にそれぞれ独立したガス
流調整機構が設けられてもよい。さらに、照射点におけ
るレーザ出力のパルス周期とパルス幅、および、雰囲気
ガス成分と雰囲気ガス圧力を最適化するように、各々の
雰囲気ガスのガス流調整機構を制御する制御機構を設け
てもよい。
【0018】加工点におけるレーザ出力を周期的に変動
させるために、上記現象を利用した機構を適用すること
により、高出力レーザ加工装置を構成することがことが
できる。この構成により、例えば雰囲気ガスとしてヘリ
ウムガスと窒素ガスを照射点に供給する場合で考えて見
ると、まず、ヘリウムガスのみ照射点に供給している状
態において、窒素ガスのガス流調整機構を操作して窒素
ガスを照射点に送り込み、その操作に連動させてヘリウ
ムガスのガス流調整機構を操作してヘリウムガスの供給
を止める。一定時間経過後に、窒素ガスのガス流調整機
構を操作して窒素ガスの照射点への供給を止め、その操
作に連動させてヘリウムガスのガス流調整機構を操作し
てヘリウムガスを照射点に供給する。このガス流調整機
構の操作を、そのときのレーザ出力の使用に最も適した
周期で繰り返す。
【0019】ヘリウムガスが照射点に供給されていると
きは、レーザ誘起プラズマによるレーザビームの吸収は
ほとんど起こらないが、窒素ガスが照射点に供給されて
いるときには照射点に発生するレーザ誘起プラズマによ
りレーザビームの吸収され、照射点のレーザ出力が大き
く減衰する。この状態を交互に繰り返すことにより、レ
ーザ発振器側が連続発振レーザであるにもかかわらず、
照射対象にとってはあたかもパルスレーザのごとく作用
する。そのパルス周期およびパルス幅は制御機構からの
信号により任意に選ぶことが出きる。このとき、制御機
構からガス流調整機構の、例えば開度を調整する信号を
同時に送ることにより、そのときのレーザ出力の使用に
最も適した雰囲気ガス成分と雰囲気ガス圧力を照射点に
もたらすこともできる。
【0020】なお、一方の雰囲気ガスを酸素とし、他方
の雰囲気ガスをヘリウム、アルゴン、窒素、炭酸ガスな
どの不活性ガスとして、レーザ切断加工装置に適用すれ
ば、照射点における酸化作用を調整しながら切断をする
ことができ、厚板でも切断代が小さくドロスの少ない加
工が可能となる。また、レーザ溶接加工に適用する場合
にも、雰囲気ガスを適当に選択し周期的に入れ替えるこ
とにより、溶接部表面が滑らかになり品質の向上が可能
である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明について実施例に基
づき図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
【実施例1】図1は本発明のレーザ加工装置の第1の実
施例の構成を示す説明図である。本実施例は、本発明の
レーザ加工装置を高出力レーザ加工装置に適用した場合
を示している。その基本構成は、図1に示すように高出
力のレーザ発振器1により発振されたレーザビーム2
は、レーザビーム伝送光路を構成するダクト3の中を進
み、反射鏡4により方向を転じて、集光レンズ5により
加工対象材料6の加工点7に集光され、溶接、切断、表
面改質等の表面処理を行う。本発明のレーザ加工装置
は、CO2レーザなど長波長のレーザに適用すると特に
有効であるが、必ずしもそれに限らず、ヨウ素レーザ、
YAGレーザ等各種レーザに適用することもできる。
【0023】ダクト3の加工点7の近傍には、雰囲気ガ
スのガス注入口8,9が設けられ、それぞれのガス注入
口の上流側には、それぞれ独立したガス流調整機構1
0,11が設けられている。本実施例では、ガス注入口
8からはヘリウムガスが、ガス注入口9からは窒素ガス
が注入される場合を示しているが、さらにアルゴンガス
や窒素ガスのガス注入口およびガス流調整機構を設けて
もよいし、あるいは、ガス注入口8,9へのガス供給源
(図示されていない)を切り替えてアルゴンガスや窒素
ガスを供給できるようにしてもよい。
【0024】ガス流調節機構10,11は、外部から信
号を受けて極めて高速に、例えば10ms以下の時間で
ガス流を切り替えることができることが好ましい。この
ため、高速応答型電動バルブやピエゾ素子などを利用し
てガス流を遮断してもよいし、流体論理素子を使用して
ガス流を偏向して加工点7近傍に到達しないようにして
もよい。
【0025】ガス流調整機構10,11は、制御機構1
2からの信号により操作される。例えば、ヘリウムガス
を雰囲気ガスとして加工点7に供給している状態では、
レーザ光が加工点に到達して加工点付近の溶融池にキー
ホールが形成されている。この状態で、制御機構12が
信号14を送って窒素ガスのガス流調整機構11を操作
し、窒素ガスをガス注入口9から加工点7に送り込み、
その操作に連動させて信号13を送ってヘリウムガスの
ガス流調整機構10を操作してヘリウムガスの加工点7
への供給を止める。すると、加工点位置に雰囲気ガスプ
ラズマが発生し、発達して上昇しやがて消滅するまでの
間、レーザ光を遮断して加工対象に形成されていたキー
ホールが消滅する。
【0026】一定時間経過後に、制御機構12は信号1
4を送って窒素ガスのガス流調整機構11を操作して窒
素ガスの照射点7への供給を止め、その操作に連動させ
て信号13を送ってヘリウムガスのガス流調整機構10
を操作しヘリウムガスをガス注入口8から照射点7に供
給する。すると、雰囲気ガスがヘリウムと入れ替わり、
レーザ光が透過して加工点に到達するようになって、再
びキーホールが形成される。
【0027】溶接、切断、あるいは表面処理等の加工内
容に最も適したレーザ出力のパルス周期およびパルス幅
に応じた周期の設定値を制御機構12に与えるようにす
れば、その設定に応じた周期で制御機構12から信号1
3,14を繰り返し出して、ガス流調整機構10,11
を周期的に操作することによって、レーザ発振器側が連
続発信レーザであっても照射対象である加工対象材料6
にとってはあたかもパルスレーザのごとく作用する。こ
うして、例えば、溶接時のポロシティの発生等の問題を
解決することができる。
【0028】また、ガス流調整機構10,11は例えば
開度を調整することができるような装置であってもよ
い。この場合は、制御機構12からガス流調整機構1
0,11の開度設定を変える信号を送って調整すること
により、そのときの加工に最も適した雰囲気ガス成分と
雰囲気ガス圧力をコントロールして加工点にもたらすこ
とができる。なお、上記説明では、第2の雰囲気ガスと
してヘリウムを使用したが、アルゴンや二酸化炭素など
プラズマ発生の少ない他の不活性ガスを使用しても良い
ことはいうまでもない。
【0029】図2は、本実施例に適用するガス注入口の
別の例を示す説明図である。加工点の近傍に雰囲気ガス
を供給するガス注入口は、図2(a)に示すように、レ
ーザ照射ノズルの根元に設けた供給ノズル15と外側か
ら照射ノズルの先端に向かってガスを吹き付けるように
セットされたサイドノズル16とを利用しても良い。通
常は、根元の供給ノズル15から本実施例における窒素
ガスなど雰囲気ガスとして主要な機能を担う方のガスを
供給し、サイドノズル16から本実施例におけるアルゴ
ンガスなど主要ガスの供給を断続させる機能を有するガ
スを供給する。
【0030】また、図2(b)に示すような同軸多重ノ
ズル17を利用することもできる。同軸多重ノズル1
7,18は、レーザ光の軸に対して同軸に設置され、レ
ーザノズルの先端部の外周に環状に開口を設けたもので
ある。ノズルの数は切り替えるべき雰囲気ガスの種類に
従って決めればよい。どのノズルからどの雰囲気ガスを
噴出させるかは、雰囲気ガスの役割に基づいて決めれば
よく、任意に選択することができる。なお、主要な雰囲
気ガスはレーザ照射ノズルの根元に設けられた供給ノズ
ル15を利用して供給することが、比較的閉鎖的な空間
に放出することになるので好ましい。
【0031】複数の種類のガスを組み合わせて使用する
場合、パルスの時間幅やガス流量の時間に伴う変化パタ
ーンはガスの種類や使用目的に応じて適当なものを選択
する必要がある。図3は、ノズルから雰囲気ガスを噴出
させるときのガス流のパターンを模式的に表したもので
ある。図中左に表したパターンAは供給中は同じ量を供
給するもので、雰囲気ガスの作用を急峻に切り替える場
合に効果がある。図中中央のパターンBは流量を徐々に
増加させまた徐々に減少させるもので、雰囲気ガスの作
用を徐々に変化させながら交代させる場合に効果があ
る。また、図中右に表したパターンCは、切り替え当初
は急峻に流量を増加させその後は徐々に減少させるもの
で、加工点付近の雰囲気を一挙に交換した後は放散され
る量を補充するようにしたものである。
【0032】
【実施例2】第2の実施例は、本発明のレーザ加工装置
を板材の切断加工に用いたものである。本実施例はレー
ザ加工装置の構成には第1の実施例のものと異なる点は
なく、供給する雰囲気ガスを切断の目的に適合するよう
に選択したものに過ぎないので、構成を表す図面は省略
する。本実施例では、主たる雰囲気ガスを酸素とし、こ
れを不活性ガスのパルス的供給により時間的に希釈する
ようにしている。レーザ切断では燃焼による切断促進剤
として酸素雰囲気を利用しており、レーザ照射を行って
いるときに雰囲気ガス中の酸素濃度が不足すると、板材
を効率的に切断することができない。一方、常時酸素が
供給されている状態では切断面の燃焼作用が過剰に進ん
で切断幅が大きくなり、ドロスの発生も多くなる。
【0033】本実施例のレーザ加工装置では、レーザ照
射により部材を切断するために十分な酸素濃度を確保し
た上で、雰囲気ガスを周期的に不活性ガスに入れ替えて
酸化作用を断続化することにより、部材が過剰に溶融さ
れることを防いでいる。このような作用により、比較的
厚い板材でも切断代が小さくなり、ドロスも少なくな
り、また切断面が比較的滑らかになるので、切断加工の
品位が向上する。このような効果は、酸素ガスを不活性
ガスで希釈して供給する方法などによっては得ることが
できず、周期的な入れ替えにより始めて可能になる。
【0034】図4は、2種類のガスを切り替えて切断加
工する場合の雰囲気ガス流量の変化の例を示した図面で
ある。2種類のガスは相互に交代して供給される。通常
は一方のガスが供給されているときは、他方のガスは完
全に遮断されている。しかし、酸素ガスAを完全に遮断
すると切断補助作用が弱くなり過ぎて加工能率が低下す
る場合がある。このような場合には図4に示すように、
酸素ガスA、またはさらに不活性ガスB共に、遮断時に
も幾分の流量が残るようにすると良い結果が得られる。
【0035】なお、本実施例のレーザ加工装置は、ある
目的に大きな効果を有する雰囲気ガスをそれより効果の
小さい雰囲気ガスと周期的に交代させて、一定の効果を
確保するために利用することもできる。たとえば、ヘリ
ウムガスとアルゴンガスあるいは窒素ガスを適当に切り
替えて雰囲気に供給するようにすることにより、高価な
ヘリウムガスの消費量を抑えながら、所定のシール効果
を確保することができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレーザ加
工装置により、レーザ加工位置に供給する雰囲気ガスを
2種類以上準備して、適当な周期で供給を切り替えるこ
とにより、より高度なレーザ加工ができるようになっ
た。また、レーザ誘起プラズマの発生および挙動、並び
に、そのレーザビーム吸収率が雰囲気ガスの種類により
大きく異なる現象を活用することにより、レーザ発振器
側での出力変動やレーザビーム伝送光路に設ける遮断機
構のように、高価かつ技術的に問題の多い方法によら
ず、安価にかつ技術的に容易に照射点におけるレーザ出
力をパルス化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ加工装置の1実施例の構成を示
す説明図である。
【図2】本実施例に適用するガス注入口の例を示す説明
図である。
【図3】本実施例において雰囲気ガス流のパターンを表
した模式図である。
【図4】本実施例において異なるガスの流量変化を表し
た模式図である。
【図5】ヘリウムを雰囲気ガスとした場合のレーザ誘起
プラズマの状態を示す説明図である。
【図6】アルゴンや窒素を雰囲気ガスとした場合のレー
ザ誘起プラズマの挙動を示す説明図である。
【符号の説明】
1 レーザ発振器 2 レーザビーム 3 ダクト 4 反射鏡 5 集光レンズ 6 加工対象材料 7 加工点 8,9 ガス注入口 10,11 ガス流調整機構 12 制御機構 13,14 信号 15,16 ガス注入口 17,18 同軸多重ノズル
フロントページの続き (72)発明者 片山 聖二 大阪府茨木市美穂ヶ丘11番1号 大阪大学 接合科学研究所内 (72)発明者 林 智隆 兵庫県尼崎市道意町7丁目1番8 財団法 人近畿高エネルギー加工技術研究所内 (72)発明者 室 幹雄 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 Fターム(参考) 4E068 AE00 CA02 CA03 CA04 CH03 CH05 CJ01 CJ04 CJ06 5F072 AA05 JJ08 KK05 MM08 MM09 SS06 YY06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分の異なる2種類以上の雰囲気ガスの
    供給量を周期的に変えることを特徴とするレーザ加工装
    置。
  2. 【請求項2】 前記照射点の近傍にそれぞれ独立したガ
    ス注入口が設けられ、該ガス注入口の上流側にそれぞれ
    独立したガス流調整機構が設けられて、それぞれ前記異
    なる成分の雰囲気ガスを供給することを特徴とする請求
    項1記載のレーザ加工装置。
  3. 【請求項3】 パルス周期、パルス幅、雰囲気ガス成分
    および雰囲気ガス圧力を調整するように前記ガス流調整
    機構を制御する制御機構が設けられたことを特徴とする
    請求項2記載のレーザ加工装置。
  4. 【請求項4】 前記雰囲気ガスを照射レーザ軸に対して
    同軸に多重に設けたノズルを通じて供給するようにした
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のレ
    ーザ加工装置。
  5. 【請求項5】 成分の異なる2種類以上の雰囲気ガスを
    周期的に変えることにより照射点におけるレーザ出力を
    周期的に変動させることを特徴とする請求項1から4の
    いずれかに記載のレーザ加工装置。
  6. 【請求項6】 一方の雰囲気ガスがヘリウムであって、
    他方の雰囲気ガスがアルゴン、窒素、二酸化炭素及び酸
    素のいずれかを含むことを特徴とする請求項5記載のレ
    ーザ加工装置。
  7. 【請求項7】 一方の雰囲気ガスが酸素であって、他方
    の雰囲気ガスがヘリウム、アルゴン、窒素、および炭酸
    ガスのいずれかを含み、照射点における酸化作用を調整
    しながら切断をすることを特徴とする請求項1から4の
    いずれかに記載のレーザ加工装置。
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