JP2001521391A - 植物を形質転換及び再生するための組成物及び方法 - Google Patents

植物を形質転換及び再生するための組成物及び方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明においては胚形成性カルスから植物を形質転換及び再生するための改良された組成物及び方法が開示されるが、本方法は、例えば、再生のために形質転換細胞の受容能を増加させるためにカルス誘導後における中間インキュベーション培地の使用、早期選択期間中の薄暗い照明条件、微粒子弾丸衝撃法のための標的としての緑色カルス組織の使用、及び最適濃度の植物ホルモン及び銅濃度を含有する培地を含む。

Description

【発明の詳細な説明】 植物を形質転換及び再生するための組成物及び方法発明の背景 本発明は、植物をインビトロ培養、形質転換及び再生するための組成物及び方 法に関する。 性能及び害虫耐性を向上させるため又は代替使用を強化する目的で植物種を遺 伝工学によって作出する能力は妨害されてきたが、これは扱いにくい市販の栽培 変種を用いた場合にはモデル栽培変種をインビトロ培養、形質転換及び再生する ための技術が余り有効ではないからであった。 例えば、高度に胚形成性のオオムギ(Hordeum vulgare L.)カルスを生成する ため及び緑色植物を再生するためにこれまでに公表されている方法は、形質転換 方法で市販の重要なオオムギ遺伝子型に対して使用した場合には利用性が限定さ れていた。これらの手順は、形質転換組織を選択するために必要とされる長期期 間において胚形成能力及びカルス組織の再生性が漸進的に消失すること及び白色 (クロロフィル欠失性)植物が増加することによって妨害されてきた。例えば、 オオムギの遺伝子型Golden Promiseについてある形質転換方法によって生成され た独立して形質転換されたカルス系中、緑色植物を発生させた形質転換系はたっ た51%であり、これらの系の一部は少数の緑色植物しか再生しなかった(Wan and Lemaux,1994;Lemaux et al.,1996)。市販のオオムギの遺伝子型Moravian III 及びGalenaに同一方法を適用した場合には、生じた形質転換系で緑色植物を発生 した系は全くなかった。 同様に、コムギの扱いにくい市販の重要な栽培変種(Triticum aestivum L.) を形質転換及び再生するための再現性かつ有効な手順はない。微粒子弾丸衝撃(m icroprojectile bombardment)法及びAgrobacterium tumefaciensを使用する 方法を含む一定のコムギ栽培変種の形質転換方法はこれまでに報告されている。 しかし、そうした方法を市販の重要な生殖細胞質へ適用することは限定されてい た。 このため、市販の重要な遺伝子型を含む広範囲のオオムギ遺伝子型と一緒に使 用することのできる植物を形質転換及び再生するための効果的方法に対する必要 がある。発明の概要 我々は植物を形質転換及び再生するための改良された方法及び組成物を開発し た。下記の実施例では、以前に利用可能な方法では形質転換及び再生することが 困難又は不可能であることが証明されていた市販の重要な遺伝子型を含む様々な オオムギ遺伝子型へのこれらの方法及び組成物の適用を詳述する。これらの改良 方法をオオムギに適用すると、統計的有意に高い再生頻度が発生し、ソマクロー ナル変異が減少し、さらに繁殖能のある緑色形質転換植物の発生率が向上する。 本発明の方法はオオムギには限定されておらず、他の植物種を形質転換及び再生 するために使用することができる。 本発明の1つの局面は、独立形質転換事象から形質転換植物が入手される頻度 を向上させる中間インキュベーションステップを含む形質転換植物を産生するた めの方法を含む。より詳細には、 (1)形質転換細胞を産生するために標的植物組織(例、未熟胚、カルス、小胞 子由来胚その他)の細胞を形質転換させるステップと、 (2)形質転換細胞の増殖及び形質転換したカルス、即ち最初の形質転換事象か ら発生するカルスの形成を促進するために、オーキシンを含むカルス誘導培地( CIM)上で形質転換細胞を培養するステップと、 (3)最初の形質転換事象から発生した細胞の持続的増殖及び再生構造体、つま り再生能力がある多細胞構造体の形成を促進するために、オーキシン及びサイト カイニンを含む中間インキュベーション培地(IIM)上で形質転換カルスを培養 するステップと、 (4)形質転換植物を産生するために再生培地(RM;つまり新芽発生(shooting )及び/又は根付け(rooting)培地)上で再生構造体を培養するステップとを 含む方法である。 形質転換細胞に対する選択は細胞内へのDNAの導入直後に開始することができ る。或いは又、選択は後になって、例えば選択剤の不在下で最初の細胞増殖のた めに十分な時間を与えるためのカルス誘導中に開始することもできる。選択は一 般的には中間インキュベーションステップ中は維持されるが、さらに選択剤に依 存して再生ステップ中に維持することもできる。 本発明の別の局面は、最適化植物用培地並びに植物細胞及び組織培養のための そうした培地の使用を含む。そうした最適化培地は、イニシエーション中のカル スの品質を向上させ、組織の再生性を促進し、さらにカルスの維持及び再生期間 中における白子症の発生率を低下させる植物ホルモン及び銅(例、硫化第二銅) を含む。培地はさらに、従来型植物栄養素を含み、その上にマルトース(麦芽糖 )(オオムギ、コムギ及びイネを含む一部の種のイニシエーションのためにはス クロース(蔗糖)より優れている)のような炭素源を含むこともできる。 好ましい実施態様では、CIMは例えば約0.1mg/L〜約5.0mg/L、好ましくは約1.0 mg/L〜約2.5mg/Lの濃度でオーキシン(例、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸又はジカ ンバ)を含む。CIMはさらに又最初のカルス誘導のためには約0.01mg/L〜約0.5mg/ Lの濃度及びカルス及び緑色組織の維持のためには約0.1mg/L〜約2.0mg/Lの濃度 でサイトカイニン(例、6-ベンジルアミノプリン、ゼアチン及びキネチン)を含 むこともできる。 好ましい実施態様では、IIMは例えば約0.1mg/L〜約5.0mg/L、好ましくは約0.5 mg/L〜約2.5mg/Lの濃度でオーキシン、及び約0.1mg/L〜約5.0mg/L、好ま しくは約0.1mg/L〜約2.0mg/Lの濃度でサイトカイニンを含む。 CIM及びIIMは又、好ましくは例えば約0.1μM〜約50μMの濃度で銅も含む。 本発明の別の局面は、早期選択中における薄暗い照明条件の使用を含む。薄暗 い照明条件はカルスが緑色になることを可能にし、繁殖能力のある緑色植物の再 生の発生率を低下させ、さらにカルス組織の再生性を向上させる可能性がある。 薄暗い照明条件はさらに又、より再生性であると思われるカルスの緑色部分(例 えばオオムギの場合。コムギの場合は黄緑色部分)のスクリーニングを可能にす る。緑色カルスは、例えば微粒子弾丸衝撃法又はAgrobacteriumによる感染法に よる形質転換のための標的植物組織として有用である。CIM上の薄暗い照明条件 下で成長したカルスは再生構造体を発達させる又は維持するが、オオムギ遺伝子 型Golden Promise、Galena及びHarringtonについては少なくとも10ヶ月間、及び 例えばMorexについては少なくとも4〜6ヶ月間に渡ってこの状態で維持すること ができる。 本発明のもう1つの局面は、植物形質転換のための微粒子弾丸衝撃法の使用で あるが、このとき衝撃は1,300psiより下方で、例えば450〜900psiで実施される 。破裂圧、従って微粒子弾丸の速度を低下させると、標的組織の損傷が減少し、 形質転換細胞に対する負荷がより小さくなる。 本発明の別の局面は、形質転換植物及びここに記載される植物用培地を含む。 本発明の上記及びその他の局面は、下記の詳細な説明からより明白になるであ ろう。図面の簡単な説明 図1Aは、14種の培地上で成長したオオムギ遺伝子型Golden Promiseのカルスの 相対成長速度(g/g新鮮重量/日)である(培地中のオーキシン及びサイトカイニ ン濃度は表1に示されている)。 図1Bは、14種の培地上で成長したオオムギ遺伝子型Galena(B)のカルスの相 対成長速度(g/g新鮮重量/日)である(培地中のオーキシン及びサイトカイニン 濃度は表1に示されている)。好ましい実施態様の詳細な説明 我々は、植物を形質転換及び再生するための改良方法及びそうした方法のため に有用な組成物を開発した。これらの方法は一般に、扱いにくい遺伝子型を含む オオムギ変種に適用できるが、さらに又他の植物種にも同様に適用できる。用語の定義及び方法 他に特別に言及されていなければ、用語は関連技術における当業者による従来 からの使用に従って理解されるべきである。下記に提供する用語の定義に加えて 、分子生物学における一般用語の定義はRiegerら、,1991及びLewin,1994におい ても見出すことができる。植物の形質転換及び再生形質転換(した)」、「トランスジェニック」。例えば組換えベクターのような異 種核酸がその中に導入された細胞、組織、器官若しくは有機物は、その子孫に異 種核酸が存在するので「形質転換(した)」又は「トランスジェニック」と見なさ れる。 「異種」核酸は、通常は宿主細胞中には存在しないであろう核酸、特に組換え DNA技術によって修飾されている核酸である。用語「異種」核酸はさらに、例え ば従来型方法によって新規プロモーター又はターミネーター配列の制御下に置か れている宿主遺伝子も含む。 粒子衝撃法(particle bombardment)による形質転換。粒子衝撃法はオオムギ( 例、Wan and Lemaux,1994,and BioRad Technical Bulletin 2007参照)及びト ウモロコシ(例、Gordon-Kammら、1990)を含む数多くの植物種を形質転換する ために使用されてきた。粒子衝撃法による形質転換に成功するためには、標的 細胞が活性に分割されること、(植物細胞のDNAで覆われた)微粒子弾丸(micro projectile)を入手できること、インビトロで培養できること、及び分化全能性 であること、つまり成熟した繁殖能のある植物を産生するための再生が可能であ ることを必要とする。 微粒子弾丸衝撃法のための標的組織には、未成熟胚、未成熟胚からの若齢胚形 成性カルス、小胞子、小胞子由来胚、及び成長点組織が含まれる。我々はさらに 、下記で説明するように緑色カルス組織が衝撃法のための有用な標的であること を発見した。 以前には、未熟接合体胚又は若齢カルス組織のようなオオムギ組織の衝撃法は 一般に1,100psiで実施されていた。我々は、1,100psi.より下方の、好ましくは1 ,000psiより下方の、より好ましくは約600〜900psiの破裂圧が、おそらく標的組 織の損傷が低下するために(Golden Promiseはその発生頻度への影響を受けなか ったが)、例えばGalenaにおいてはより高いカルスの誘導頻度及び再生構造体の より高い発生頻度を生じさせることを発見した。 粒子衝撃法の標的としての緑色組織。光線に暴露されていないオオムギカルス 組織が選択を通して可能な限り急速に移動させられるが、これは培養時間が長い ほど再生性が低下し、さらに白子症の発生率が高くなるためである(Lemauxら、1 996)。我々は、緑色カルス組織をIIM(下記で詳細に考察される)上では10ヶ月 間以上維持することができ(例、オオムギの遺伝子型Golden Promise、Galena、H arrington、及びSalome)、さらに引き続いて再生用培地へ継代すると高頻度で再 生できることを発見した。微粒子弾丸衝撃法による形質転換の標的としての緑色 組織の使用は長期の培養を可能にし、年間を通しての高品質ドナー植物を維持す る必要を減少させる。さらに又これは形質転換細胞を戻し交配させる必要も減少 させるが、それは緑色カルス組織が光線に暴露されていない組織からより高度に 区別され、より低い誘導変異発生頻度を有し、より少ないソマクロ ーナル変異を示すと思われるからである。さらにその上、白子症の発生率は暗成 長組織と比較して統計的有意に低い。 その他の植物の形質転換法。植物を形質転換するため、つまり植物細胞中に異 種DNAを導入するためにはあらゆる従来型方法が使用されてよい。安定形質転換 細胞及び繁殖能力のあるトランスジェニック植物の生成は、例えば広範囲の双子 葉植物及び例えばイネ、トウモロコシ、コムギ及びオートムギのような穀粒類に おいては様々な方法によって達成されてきた。 粒子衝撃法に加えて、植物細胞形質転換のための従来型方法には下記が含まれ るが、それらに限定されない。すなわち、(1)Agrobacterium媒介性形質転換 、(2)マイクロインジェクション(微量注射)法、(3)ポリエチレングリコ ール(PEG)法、(4)リポソーム媒介性DNA取り込み法、(5)エレクトロポレ ーション法、及び(6)シリカファイバーとのボルテックス法である。 形質転換植物細胞の再生。形質転換した植物組織は繁殖能力のあるトランスジ ェニック植物を産生する目的で組織の分化を誘発するために再生用培地上で培養 される。 カルス誘導及び植物再生は、各々が望ましい生物学的事象を支持する培地上で 形質転換細胞又は組織を含有するカルス誘導、中問インキュベーション及び再生 の3段階で遂行されることが好ましい。 「カルス誘導培地」(CIM)は、好ましくば組織化構造体内への植物細胞の実質 的分化を許容せずに迅速な成長速度を促進する。細胞内への異種DNAの導入から 発生した形質転換細胞は、再生したときに多数の形質転換植物を発生する多数の 体性胚を形成するために単一形質転換細胞から十分な数の子孫細胞が産生するこ とを保証するために、十分なカルス組織を形成するために細胞が増殖するのに十 分な時間に渡ってCIM上でインキュベートされる。その理由からCIMは、好ましく は迅速な細胞分割を促進するためにオーキシン(例、約0.5mg/L〜約 5.0mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸[2,4-D]若しくはジカンバ)を含有する 。サイトカイニン濃度は、好ましくは大多数の遺伝子型については最初のカルス 誘導のために、特に扱いにくい遺伝子型(例えばオオムギ遺伝子型のGalena、Mo rex、若しくはHarrington)に対しては低く維持されるが、これは高いサイトカ イニン濃度がカルスの初期成長速度を低下させるためである(高度のサイトカイ ニン濃度はさらに又ビアラフォスを用いた選択を妨害するが、ヒグロマイシン若 しくはG418を使用した場合には妨害しない)。しかし、サイトカイニンはカルス の品質及び再生性を向上させ、白子症の発生率を減少させる(即ち、より多くの 緑色再生組織の成長を誘発する)可能性がある。このため、低濃度のサイトカイ ニンがCIMに含まれるが、例えば6-ベンジルアミノプリン[BAP]、ゼアチン、キネ チン等、好ましくはBAP若しくはキネチンが最初のカルス誘導のためには約0.01m g/L〜約1.0mg/L、及びカルス維持のためには約0.1mg/L〜約2.0mg/Lの濃度で含ま れる。サイトカイニンの最適レベルは遺伝子型に依存する。CIMは、さらに好ま しくは銅を含む(約0.1μM〜約50μM)。 カルス組織は小片に分割され(例、オオムギについては約3〜5mmの小片が好ま しい)。さらに継代培養される、つまり最適成長速度を促進するために定期的間 隔で新鮮培地へ継代される。オオムギについては、組織は低濃度(約0.01mg/L) のBAPを使用した場合は約2〜3週間、高濃度(約0.1mg/L〜約0.5mg/L)のBAPを使 用した場合は約3〜4週間の間隔で継代培養される。 好ましくは、組織は最初は選択せずに培養される。例えば下記の実施例4では 、損傷又は選択の結果として生じる死んだ若しくは死につつある細胞の不在下で の形質転換細胞の増殖を可能にするために衝撃直後には選択が適用されなかった (標的源として未熟胚を使用した場合には1〜2週間後、緑色組織を使用した場合 には3〜4週間後)。この期間後、形質転換細胞について選択するために選択が適 用される。選択は、形質転換細胞中で異種DNAがそれに対して耐性を授 ける培地へ選択剤を添加することによって(選択可能なマーカーが異種DNA上に 含まれていることを仮定して)遂行できる。推定上の形質転換細胞は、非形質転 換組織に比較して選択培地上でより迅速に成長することによって識別される。形 質転換組織を識別するためには、スクリーニング可能なマーカー(例、緑色蛍光 タンパク質)も又使用することができる。 形質転換組織は、好ましくは最初は暗所においてCIM上で維持され(例、実施例 3に記載のようにCIM上で約3〜4週間に渡って)、その後薄暗い照明条件(オオム ギについては、およそ10〜30μE)下で培養される。薄暗い照明条件の使用は、 白色オオムギ植物の再生を低下させる若しくは排除することが発見されている(W an and Lemaux,1944において観察されている)。 オオムギについては、胚形成構造体は急速に成長する光沢のある、かすかな茶 色の結節性の緻密な構造体として出現する。薄暗い照明下では、これらの構造体 はしばしば小さな緑色新芽を伴う多数の分裂組織様構造体として出現する。これ とは対照的に、非形質転換組織は、一般的に結節性構造体が欠けており、水分を 多く含む、密でなくもろい、又は円形で緩徐に成長する構造体として出現する。 推定上の形質転換組織において胚形成性構造体が観察された後に、この組織は「 中間インキュベーション培地」(IIM)に継代される。IIM上での組織のインキュベ ーションはCIMに比較すると緩徐なペースではあるが、持続性の迅速な成長を許 容する。IIM上でのインキュベーションは、胚形成経路から器官発生系路への植 物組織の成長経路の移行を促進することにより再生構造体の形成及び再生能力の 可能性を向上させる。 IIMは新芽の伸長を抑制し、再生のために適切な大きさ及び数に到達するまで 長期間に渡って緑色区域又は緑色植物構造体を維持及び増殖させるために使用で きる(オオムギにの場合は、例えばGolden Promise、Galena及びHarringtonにつ いては少なくとも約8ヶ月間、及びMorexについては少なくとも約4〜6 ヶ月間に渡って、DBC2培地(その組成は下記に示されている)上で10ヶ月間以上 に渡り一定遺伝子型の緑色再生組織を維持することができる)。 IIMは、好ましくは持続性細胞増殖のためにオーキシン(約0.5mg/L〜約2.5mg/ Lの2,4-D又はジカンバ)を含む。IIMは、好ましくはさらに高濃度のサイトカイ ニン(例、約0.1mg/L〜約2.0mg/LのBAP)及び高濃度の銅(例、約0.1μM〜約50 μM、好ましくは約5〜約30μM)を含む。より高濃度のサイトカイニンは細胞分 割速度を減少させるが、再生能力の伸展を促進し、白子症の発生率を低下させる 可能性がある。 IIM中の銅濃度は、好ましくは少なくともMS培地中と同程度に高く(0.1μM、Mu rashige and Skoog,1962)、好ましくは少なくとも5倍の高さ、より好ましくは 少なくとも10倍の高さ、より好ましくは少なくとも20倍の高さ、最も好ましくは 少なくとも50倍の高さである。最適銅濃度は遺伝子型及び植物種に従って変動す る。銅濃度がより高ければ、カルスの誘導頻度又は最初のカルス成長速度を低下 させずにカルスの品質及び再生性の向上が促進される。銅の高濃度は、再生培地 に含まれている場合は効果が少ない又は全く効果がない可能性がある。 用語「銅」は、ここでは例えば硫化第二銅のような植物培地のためのあらゆる 周知の銅栄養源を含めるために使用されている。 銅及びBAPが形質転換したオオムギ組織の再生性に及ぼす作用は付加的以上の ものであると思われる、つまりIIMが高濃度の銅及び高濃度のBAPを含有する場合 は相乗効果が生じると思われる。 転写的及び転位的不活性化減少及びソマクローナル変異が発生するためには、 単一の個別に形質転換したカルス系から多数の植物を生成させることが望ましい 。例えば市販の穀粒類では、従来型形質転換プロトコルの結果として発生する形 質転換体の数は、収穫量の向上を達成するための遺伝子工学を使用する努力にお い て限定されることか証明されている。再生培地へ継代する前にIIM上で形質転換 カルスをインキュベーションすると、個別形質転換事象が形質転換植物系を発生 させる頻度が最大化される。中間インキュベーションステップの使用はGolden P romiseについては再生頻度を少なくとも65%まで上昇させ、カルス1片当たりに 産生する形質転換植物数を11.4倍まで増加させた。 形質転換組織は、胚形成構造体が観察されたときにはIIMから根付け若しくは 再生培地へ継代することができる(オオムギについては、約3〜4回の継代培養後 、又は遺伝子型及び成長速度に依存して衝撃後のおよそ9〜16週間後)。BAPをCIM 及びIIM中に使用した場合は、選択期間はもっと長くなければならない(Golden P romiseについては約3〜4ヶ月間、Galenaでは約4〜6ヶ月間)。 「再生培地」(RM)は全能植物組織の新芽、根、及びその他の組織化構造体への 、及び結局は土壌に継代できる苗木への分化を促進する。しばしば胚形成構造体 からの新芽再生を促進するためには、新芽発生培地及び根形成を促進するために 別個の根付け培地を使用するのが好ましい。遺伝子型に依存して、相違する濃度 のオーキシン(例、2,4-D)及びサイトカイニン(例、BAP)が最適成績を提供す る。多くのオオムギ遺伝子型については、RMはオーキシンを含まずにBAP(約0〜 8mg/L)を含有する。しかし、Morexの再生はRMへのオーキシン(例、2,4-D)の 添加によって改善される。従来型新芽発生及び根付け培地は再生培地と見なされ る。 本発明の方法を実践するためにはあらゆる周知の再生培地が使用されてよい。 オオムギについては、FHG培地(Hunter,1988,及びKashaら、1990に記載されて いる)が好ましい。 その他のCIM、IIM及びRMの例は下記の実施例で提供される。 ここで使用するような「植物培地」とは、植物細胞若しくは組織の生育性及び 成長を支持するため、又は全植物標本の成長のために技術において使用されるあ らゆる培地を意味している。そうした培地は、一般には下記を含むがそれらに限 定されない定義された成分を含む:窒素、リン、カリウム、硫黄、カルシウム、 マグネシウム及び鉄の栄養源を提供する多栄養素化合物;例えばホウ素、モリブ デン、マンガン、コバルト、亜鉛、銅、塩素及びヨウ素のような微量栄養素;炭 水化物(オオムギのためには好ましくはマルトースであるが、一部の種について はスクロースが好ましい場合がある);ビタミン類、植物ホルモン類;選択剤( 形質転換した細胞若しくは組織のためには、例えば抗生物質若しくは除草剤); 及びゲル化剤(例、寒天、バクトアーガー、アガロース、Phytagel(フィタゲル) 、ゲルライトその他);さらに下記を含むがそれらに限定されない定義されてい ない成分を含むことがある:ココナツミルク、カゼイン水解物、酵母エキス及び 活性炭。これらの培地は固形又は液体のどちらでもよいが、固形培地が好ましい 。 適切に補給した場合は、CIM、IIM及びRMを形成するための基礎としてあらゆる 従来型植物培地を使用できる。下記の実施例で考察する培地(例、MS培地及びFH G培地)に加えて、数多くのそうした基礎植物培地は例えば水を用いて復元する ための乾燥(粉末化)形でSigma社(セントルイス、ミズーリ州)及びその他の 供給業者から市販で入手可能である。 本発明の実践においてはあらゆる周知のオーキシン又はサイトカイニンが使用 されてよい。オーキシンには、2,4-D、ジカンバ、インドール酢酸及びナフタレ ン酢酸が含まれるが、それらに限定されない。サイトカイニンには、BAP、キネ チン、ゼアチン、ゼアチンリボシド、及びN6-(2-イソペンテニル)アデニン(2iP) が含まれるが、それらに限定されない。下記の実施例で述べられているように、 特定の遺伝子型又は種は特定植物ホルモンに最高に応答することがある。 白子症。白子症はオオムギ組織培養において一般的な問題である(Kott and (Foroughi-Wehrら、1982)、ドナー植物の生理学的状態(Goldenstein and Kronstadt,1986)、ビアラフォスへの暴露(Wan and Lemaux,1994)、培養期間の 長さ(Bregitzerら、1995)、及び培養条件(Kaoら、1991)を含む数多くの要素に よって影響を受ける。 Wan and Lemaux(1994)は、種々の標的組織の粒子衝撃法により生成した91の トランスジェニックカルス系中36の系が緑色植物を産生したが、41の系は白色植 物しか産生しなかったと報告した。Lemauxら、(1996)は、粒子衝撃法により生 成した73のトランスジェニックカルス系中37の系が緑色植物を産生したが、20の 系は白色植物しか産生しなかったと報告した。 ここで考察する改良方法は、白子症の発生率を以前に報告されたレベルより有 意に下方へ減少させる。好ましくは、緑色形質転換オオムギ植物を産生するよう に再生させる(及び白色植物を産生しない)推定上の形質転換事象のパーセンテ ージ、つまり緑色植物を産生する形質転換事象数を緑色及び白色植物を産生する 形質転換事象の総数で割った数に100を掛けたパーセントは、少なくとも約60% 、好ましくは少なくとも約75%、及び最も好ましくは少なくとも約90%である。 ここで記載する方法は、さらに培養において植物組織の長期間維持の結果とし て生じることのある誘発性遺伝性突然変異及びソマクローナル変異に関連する問 題を減少させる。 植物」。用語「植物」には、形質転換した植物、そうした形質転換植物の子孫 、及び植物、果実、花、種子、花粉その他の繁殖単位を含む植物の部分が含まれ る。本発明の形質転換法法及び組成物は、オオムギ(例、Morex、Harrington、Cr ystal、Stander、Moravian III、Galena、Salome、Steptoe、Klages、Baronesse その他)、コムギ(例、Bobwhite、Anza、及びYecora Rojo)、オートムギ(GAF-30/ Park)、及び芝/飼料草(例、creeping bentgrass[コヌカグサ]、Kentucky blue grass[ナガハグサ]、creeping red fescue[オオウシノケグサ]、tall fescue、 及びorchardgrass[カモガヤ]その他)並びにその他の単子葉植 物種(例、トウモロコシ、イネその他)又は双子葉植物種(例、トマト、ジャガ イモ、ダイズ、綿、タバコその他)のあらゆる遺伝子型に適用可能である。 植物の「繁殖単位」は、それから例えば種子、さし穂、塊茎、芽、鱗茎、体性 胚、小胞子、培養細胞(例、カルス又は懸濁液培養)その他を含むその植物の子 孫を入手することのできる植物のあらゆる全能性部分又は組織である。核酸 単離(された)」。「単離(された)」核酸は、その中で核酸が自然に発生する生 体の細胞中で他の核酸配列、つまり他の染色体及び染色体外DNA及びRNAから実質 的に分離又は精製された核酸である。この用語にはさらに、組換え核酸及び科学 的に合成された核酸も含まれる。 操作可能に結合された(operably linked)」。核酸は、特定植物の細胞中にお ける発現を駆動することのできる操作または作用可能に結合されたプロモーター の制御下において植物若しくは植物細胞中で発現できる。第1核酸配列は、第1 核酸配列か第2核酸配列と機能的関係に置かれているときに第2核酸配列と「操 作可能に」結合されている。例えば、プロモーターは、プロモーターがコーディ ング配列の転写若しくは発現に影響を及ぼす場合にコーディング配列に操作可能 に結合されている。一般に、操作可能に結合されたDNA配列は隣接しており、さ らに必要な場合はハイブリッドタンパク質を産生するために2つのタンパク質コ ード領域に結合している。 組換え」。「組換え」核酸は、2つの他の部分は分離している配列のセグメン トの人工的組み合わせによって、例えば化学合成又は従来型遺伝子工学技術によ る核酸の単離セグメントの操作によって作られる。 ベクター、形質転換、宿主細胞。核酸は宿主細胞内へ導入でき、宿主細胞内で 複製できる組換え核酸構造体、典型的にはDNA構造体に組み込むことができる。 そうした構造体は、好ましくは一定の宿主細胞においてポリペプチドコーディン グ配列の転写及び転位を行うことのできる(及びさらに複製系を含むことがある が、単子葉植物形質転換のために従来から使用されている直接DNA導入法はこれ を必要としない)配列を含むベクターである。 本発明の実践のためには、中でもSambrookら、1989又はAusubelら、1992で考 察されているように、ベクター及び宿主細胞を調製及び使用するための従来型組 成物及び方法が使用される。 植物細胞の安定した形質転換又はトランスジェニック植物の確率のために適し た数多くのベクターは、例えばPouwelsら、1987,Weissbach and Weissbach,19 89,and Gelvinら、1990に記載されている。典型的には、植物発現ベクターには 、例えば5'及び3'調節配列の転写制御下での1以上のクローン化植物遺伝子及び 優勢選択性マーカーが含まれる。そうした植物発現ベクターはさらに、プロモー ター調節領域(例、誘発性又は構成的、環境的若しくは成長的に調節された、又 は細胞若しくは組織特異的発現を制御する調節領域)、転写開始部位、リボソー ム結合部位、RNAプロセッシングシグナル、転写終了部位、及び/又はポリアデ ニル化シグナルを含むことができる。 植物細胞において遺伝子を発現させるために有用な構成的植物プロモーターの 例には、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、トウモロコ シユビキチン(Ubi-I)プロモーター、イネアクチン(Act)プロモーター、ノパ リンシンターゼプロモーター、及びオクトパインシンターゼプロモーターが含ま れるが、それらに限定されない。熱(例、熱ショックプロモーター)、光線(例、 マメrbcS-3A若しくはトウモロコシrbcSプロモーター又はクロロフィルa/b結合タ ンパク質プロモーター)によって調節されるプロモーター;アブシジン酸のよう な植物ホルモン;傷害(例、wunI);嫌気生活(例、Adh);及び例えばジャスミン 酸メチル、サリチル酸、若しくは毒性緩和剤のような化学薬品を含む環境的、ホ ルモン、化学的、及び/又は成長的シグナルに応答して調節される様々 な植物遺伝子プロモーターも又植物細胞における異種遺伝子を発現させるために 使用することができる。さらに又、例えば胚乳、胚、根、篩管若しくはトリコー ム特異的プロモーターのような周知の器官特異的プロモーターを使用することも 有益な可能性がある。 植物発現ベクターは、任意でRNAプロセッシングシグナル、例えばイントロン を含むが、これらはトランス遺伝子におけるポリペプチドコーディング配列の上 流又は下流に配置されてよい。さらに、発現ベクターは又植物遺伝子の3'-非翻 訳領域からの追加の調節配列、例えばジャガイモのPI-IIターミネーター領域又 はオクトパイン若しくはノパリンシンターゼ3'ターミネーター領域のような例え ばmRNAのmRNA安定性を増加させるための3'ターミネーター領域を含んでいてもよ い。 そうしたベクターはさらに一般的には、細菌系における操作を容易にするため 、及び形質転換植物細胞を選択するために抗生物質(例、ヒグロマイシン、カナ マイシン、ブレオマイシン、G418、ストレプトマイシン、パロモマイシン、又は スペクチノマイシン)耐性をコードする遺伝子及び除草剤(例、ホスフィノスリ シンアセチルトランスフェラーゼ又はグリフォセート)耐性遺伝子を含む1以上 の優勢選択性マーカー遺伝子を含む。 植物細胞形質転換のためには、例えばβ-グルクロニダーゼ(gus)又はアント シアニン産生をコードする遺伝子のようなカラーマーカー、又はルシフェラーゼ 若しくは緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子のような蛍光マーカー を含むスクリーンニング可能なマーカーも又使用される。本発明は下記の実施例 を参照することによってより明瞭に理解されるであろうが、下記の実施例は本発 明を実践するために現在分かっている最良の様式を単に説明することが意図され ている。発明の範囲が実施例に限定されると見なされてはならない。 実施例 実施例1:オオムギ遺伝子型Golden Promise及びGalenaにおけるカルスの品質及 び再生性の向上 材料及び方法 植物材料。未熟胚のためのドナー植物は、以前に記載されているようにグロー スチャンバーにおける制御条件下の土壌中で成長させた(Wan and Lemaux,1994; Lemauxら、1996)。 下記の他の実施例で言及されているように、植物は温室で成長させた(緑色組 織培養のためにはグロースチャンバーで成長した未熟胚が好ましい)。温室は、1 5〜18℃の温度で14時間照明を提供する補助照明装置を備えていた。温室内の光 線レベルか1,000μE/ms未満の場合は、1,000ワットの補助的ハロゲン化金属ラン プを使用した。外部光線レベルが7,000μE/ms以上に上昇した場合は、ルーフシ ェードによって屋根を被覆した。 ドナー植物としては、オオムギ(Hordeum vulgare L.)の春向き栽培変種Gold en Promise及びGalenaを使用した。Galenaの種子はB.Treat,Coors Brewing Co mpany(ゴールデン、コロラド州)から入手した。Golden Promiseの種子はP.Br egitzer,USDA-ARS Small Grains Germplasm Center(小穀粒生殖細胞質センタ ー)(アバディーン、アイダホ州)から入手した。 培地。カルス誘導培地(CIM)は、30g/Lのマルトース、1.0mg/Lの塩酸チアミ ン、0.25g/Lのミオイノシトール、1.0g/Lのカゼイン水解物、0.69g/Lのプロリン を補給し、3.5g/LのPhytagel(フィタゲル)(Sigma社、セントルイス、ミズーリ 州)を用いて固体化したMS培地(Murashige and Skoog,1962)である。CIMには 表1に示されているように14通りの組み合わせによる2種のオーキシン(ジカン バ及び2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D))と2種のサイトカイニン(6-ベン ジルアミノプリン[BAP]及びゼアチン)を補給し、さらに補給した培地をカル ス誘導、カルスの品質、成長速度及び再生性について試験し た。 再生培地(RM)は、1mg/LのBAPを補給して3.0g/LのPhytagelを用いて固体化し た低濃度のNH4NO3及び高濃度のグルタミンを含む修正MS培地であるFHG培地(Hun ter,1988;Kashaら、1990)である。FHG培地の組成は、165mg/LのNH4NO3、1.90g /LのKNO3、440mg/LのCaCl2・2H2O、370mg/LのMgSO4・7H2O、170mg/LのKH2PO4、16. 9mg/LのMnSO4・H2O、8.6mg/LのZnSO4・7H2O、6.2mg/LのH3BO3、0.83mg/LのKI、0. 25mg/LのNa2MoO4・2H2O、25μg/LのCuSO4・5H2O、25μg/LのCoCl2・6H2O、0.4mg/L の塩酸チアミン、100mg/Lのイノシトール、730mg/Lのグルタミン、62g/Lのマル トース、27.8mg/LのFeSO4・7H2O、33.5mg/LのNa2EDTA、1.0mg/LのBAP、3g/LのPhy tagel、pH5.6である。カルス誘導及びスコア付け 。未熟胚(サイズが約1.5〜2.5mm)はおよそ3月齢で 穂から採取し、7分間に渡り20%(v/v)漂白剤(5.25%次亜塩素酸ナトリウム )中で表面殺菌し、無菌水による5分間の洗浄を3回繰り返し、縦方向に二分し 、CIM上に置いた。14種の植物ホルモン組み合わせ各々を補給したCIM上で15個の 胚を試験した;各処置は3回ずつ実施した。(胚全部を使用することもできる。 )カルスの誘導頻度は、初回培養後2〜3週間に渡って光線顕微鏡下でカルス誘導 を経験した2分の1胚の数を計数することによって測定した。 2種の胚のサイズについて試験した。小(0.5〜1.5mm)及び大(1.5〜2.0mm)。 Golden Promiseにおけるカルス誘導は小及び大サイズの胚両方について良好であ るが、Galenaにおけるカルス誘導は小サイズの胚については極めて不良である。 カルス成長速度。カルス成長速度を測定するために、各培地を含有するペトリ 皿上に胚盤側を下に向けて15個の胚を置いた。各処置は3回ずつ実施した。2〜3 週間毎に、カルス片を計量し、全組織の継代前(W1)及び継代後(W2)の カルス片を含有するプレートを計量することによって成長速度を測定した。カル スの相対成長は、カルスの重量(W)における変化として計算し(W=W1−W2)、こ れを最初にプレーティングされた組織重量(W1)及び培養日数で割った(g/g新鮮 重量/日)。3回目の継代からは、各胚から全カルスではなく3片の最高品質のカ ルス片を新鮮培地へ継代した。継代されなかった全カルスはW2を入手するために プレートから取り除いた。 カルスの品質。カルスの品質(形態及び色)は最初のカルス誘導の2〜3週間後 に顕微鏡により評価した。形態については、光沢のある緻密な結節性カルスに+ +++(最高品質)が付けられた。柔らかくもろいカルスには+(最低品質)の スコアが付けられた。色はかすかな茶色(++++)から白色(+)と判定され た。 再生。再生を試験するために、各処置から10片の最高品質カルス(1片当たり 8〜11mg)を培養期間中の様々な時点に3回ずつRMへ継代した。培養皿は温度24 ±1℃の蛍光照明(45〜55mE、照明時間16時間)下に置いた。カルス1片当たり の新芽数を継代から約22〜25日後に計数した。(同一緑色組織のベースから1枚 以上の葉が出た時を新芽1本と見なした。)結果 カルスの誘導頻度、相対成長速度及び質的外観。カルスの誘導頻度、品質及び 相対成長速度に対して種々の濃度及びタイプのオーキシン及びサイトカイニンが 及ぼす作用を試験するために14種の培地を試験した(表1、左から2つの欄)。大 多数の培地では、Golden Promise及びGalenaにおけるカルスの誘導頻度は統計的 有意には相違しなかった;ジカンバ及び2,4-Dの単独及びジカンバとゼアチンの 組み合わせは全濃度で両方の遺伝子型について100%近い誘導頻度を生じさせた 。Golden Promiseは、試験した14種の培地中3種でGalenaより統計的有意に高い カルスの誘導頻度を生じた:ジカンバ+0.1mg/LのBAP、ジカン バ+0.5mg/LのBAP、及び2,4-D+0.5mg/LのBAP。Galenaは唯一2,4-D+0.01mg/Lの ゼアチン培地上でのみGolden Promiseより統計的有意に高いカルスの誘導頻度を 示した。Galenaの場合は、2,4-Dと高濃度のBAPの組み合わせ、又はより有意には ジカンバと組み合わせるとより低いカルスの誘導頻度が生じた。 Golden Promise胚からのカルス誘導は穂の大部分の表面積に渡って発生したが 、Galenaカルスは胚のはるかに小さな面積から産生した。 同一培地上での2種の遺伝子型についての色の評価は同一であった。しかし、 一般に、Golden Promiseのカルス形態は試験したほぼ全部の培地上でGalenaのカ ルス形態より良好であった(表1)。両方の遺伝子型について形態における一定の 傾向が所見された。第1に、2,4-D若しくはジカンバのどちらかと組み合わせてB APを含有する培地上での培養は、2,4-D若しくはジカンバのどちらかとゼアチン とを含む培地上での培養より良好なカルス形態を産生した(表1)。第2に、両方 の遺伝子型におけるカルスの色はサイトカイニンの型によって劇的な影響を受け た(表1)。BAP濃度の上昇(どちらかのオーキシンを含む)はかすかな茶色のカ ルスの形成を生じさせたが、他方全濃度のゼアチン(どちらかのオーキシンを含 む)は不良な品質の白色カルスの形成をもたらした(表1)。第3に、高濃度のBA P(0.1〜0.5mg/Lの2,4-Dを含む)を含有する培地は両方の遺伝子型について低濃 度のBAP(0.01mg/L)と比較してより高品質のカルス(形態及び色)の産生を支 持すると思われた(表1)。 最初の成長期間には、胚の膨潤のために開始剤量の新鮮重量の急速な増加によ って成長速度の測定が複雑になった。3回目の継代までに、相対成長速度は急速 に上昇し、最大値に到達した(図1)。成長速度は、第4成長期間後には有意に低 下した。両方の遺伝子型について、BAPを含有する培地上での成長速度は一般にB APの不在下又はゼアチンの存在下におけるより緩徐であった。Golden Promiseは 、ジカンバ+BAP及び2,4-D+/−BAPを含有する培地上ではGalena より急速に成長するように思われた。どちらの遺伝子型もジカンバ+BAPを含有 する培地上より2,4-D+BAPを含有する培地上ではより急速に成長した(0.5mg/Lの BAPでのGalenaを除く)。2.4-D又はジカンバとゼアチンと組み合わせた培地上で は両遺伝子型間における成長速度にはほとんど変動がないと思われた。ジカンバ 又は2,4-Dと組み合わせた低濃度(0.01又は0.1mg/L)のゼアチンの使用はジカン バ又は2,4-D単独上での成長と比較してGolden Promiseのカルス成長を阻害する とは思われず、さらに低濃度のゼアチンと2,4-Dとの組み合わせは2,4-D単独と比 較してGalenaのカルス成長速度を第4成長期まで上昇させると思われた(図1)。 植物の再生。14種の培地上で成長したGolden Promise及びGalenaのカルスを植 物を再生する能力について試験した。一般に、Golden PromiseはGalenaと比較し て大多数の培地上における大多数の時点で最初のカルス10片当たりより多数の緑 色カルス数(NC)及び緑色新芽数(NS)を産生した(表2及び3を比較され たい)。さらにGalenaカルスは、Galenaが全濃度のBAPにおいてGolden Promiseよ り好都合に応答した2,4-Dと組み合わせてBAPを含有するカルス誘導培地上を除い て、Golden Promiseより急速な速度で再生性を失うと思われた。 Golden Promise(表2)については、5回の継代を通して全処置が匹敵する数 の緑色カルスを産生したが、他方では2,4-D+0.01及び0.5mg/LのBAPが最高数の 新芽を産生させると思われた。大多数の例において、新芽数及び緑色カルス数は 第5又は7回の継代のどちらかの後に劇的に低下した。最も劇的な消失の例は、 ジカンバ単独を使用した場合の第7回の継代後で、この場合には緑色カルスは観 察されなかった。Golden Promiseにおける長期間の新芽再生性を支持したのはジ カンバ及び2,4-D+0.1mg/LのBAP及び2,4-D+0.5mg/Lのゼアチンだけであった。 Galena(表3)については、(1)ジカンバ又は2,4-Dとゼアチン、又は(2 )ジカンバとBAPの組み合わせのどちらかを含有する培地上で、緑色新芽を生成 する能力はGolden Promiseを用いた場合より急速に消失した。植物の緑化及び再 生の長期間維持(第7回継代以降まで)を支持した唯一の培地は2,4-D+全濃度 のBAPであった。0.1mg/LのBAPを含有する培地は最終時点まで最適であると思わ れ、ジカンバ+匹敵する濃度のBAPに比較してより急速なカルス成長速度を支持 した(図1)。 両方の遺伝子型について、2,4-D(及びより少ない程度のジカンバ)と組み合 わせてBAPを含有する培地は光沢のある緻密なカルス組織からの複数の新芽の成 長を支持したが(表1〜3)、他方2,4-D単独を含有する培地上では新芽がほとんど 又は全く成長しなかった。考察 これらの実験において、培地の組成及び植物ホルモンのタイプ及び濃度は組織 培養応答を決定する重要な要素であった。増殖したカルスの特性に種々のサイト カイニンが及ぼす作用に関しては一定の一般化を行うことができる。ゼアチンを 含有する培地はより急速な成長速度を支持すると思われたが、ゼアチン(+2,4- D又はジカンバ)を含有する培地はさらにBAP(+2,4-D又はジカンバ)を含有す る培地に比較して低い品質(柔らかく、明るい色)を生じさせた(表1)。 BAP又はゼアチンのどちらかを含有する培地上で成長した両方の遺伝子型から のカルスの再生効力を比較することによって、ゼアチンの不利益な作用も又見て 取ることができる。ゼアチン(0.01〜0.5mg/L)を含有する培地上で成長したカ ルスはBAPを含有する培地上で成長して同一RM上で再生させたカルスより再生性 が低かった(表2及び3)。この所見は、IAAと組み合わせるとゼアチン及びゼ アチンリボシド(0.05mg/L)はオオムギの遺伝子型Goleden Promisa及びDissaか らの体性胚の再生頻度を上昇させるが、より高濃度は再生を低下 の所見とは対照的である。例えばBAP、キネチン及び2iPのような他のサイトカイ ニンはカルスの褐色化及び体性胚の壊死を惹起することが証明されている。IA A及びゼアチンを含有する培地も又Hordeum spontaneum及びH.bulbosumの未熟 胚由来カルスの再生性を向上させることが証明されている(Breimann,Plant Cel l Rep.,4:161-163,1985)。ゼアチンがGolden Promise及びGalenaの組織培養応 答にプラスの作用をもたらすことを我々が観察しなかったという事実は、おそら くオオムギの特定遺伝子型、我々が使用した相違するオーキシン(ジカンバ及び2 ,4-D)、又は我々の培養方法における他の変更から発生したのであろう。 ゼアチンとは対照的に、2,4-Dを含有する培地へのBAPの添加は柔らかくもろい カルスの成長を減少させ、より高度に再生性である胚形成性の光沢のある緻密か つかすかな茶色のカルスの発生頻度を上昇させた(表1)。多くの場合に、2,4-D と組み合わせて低濃度(0.01又は0.1mg/L)のBAPを含有する培地上で成長したカ ルスは特定遺伝子型について最大数の再生新芽を生じさせた。Galenaについては 2,4-D+BAPは黄色植物の再生期間を延長させた。オーキシンの2,4-Dは穀粒作物 における胚形成性カルス形成のために一般的に使用されているが、2.4-Dへのサ イトカイニンの添加は植物種及び遺伝子型に依存して重要な可能性がある(Bhask aran and Smith,Crop Sci.,30:1328-1336,1990による精査)。近年、BAP及び2 ,4-D上で培養されたトウモロコシ(Zhongら、Planta,187:483-489,1992)及び オートムギ(Zhangら、J.Plant Physiol.,148:667-671,1996)において切開さ れた茎頂端分裂組織から多数の新芽が分化された。新芽再生にBAPが及ぼすこの 作用は、オーキシン(ジカンバ又は2,4-D)及びBAPをオーシキン単独と取り換え たときに種子由来カルスからより高頻度の新芽再生が達成されたKentucky blueg rass(ナガハグサ)(Griffein and dibble,Plant Cell Rep.,14:721-724,1995)及びcreeping bentgrass(コヌカグサ)(Zhongら 、Plant Cell Rep.,10:453-456,1991)についての以前の観察とも一致している 。 我々の試験では、2,4-Dと組み合わせたBAPのプラスの作用はさらにカルスの品 質にも反映された(表1)。光沢のある緻密でかすかな茶色のカルスは緑色植物を 産生した。緻密で明るい色のカルスは再生性ではあったが、一般に白色植物を産 生した。柔らかくもろいカルスは再生性ではなかった。Golden Promise及びGale naの両方について、BAPの添加(2,4-D又はジカンバとの組合せにおいて)はサイ トカイニン無含有又は匹敵する濃度のゼアチンと比較して柔らかくもろい白色カ ルスの成長を低下させ、他方では緻密でかすかな茶色の再生性カルスの比率を上 昇させた(表1)。 2,4-Dと組み合わせて0.01mg/LのBAPを含有する培地上で成長したGolden Promi seのカルスは他の培地と比較してほとんど最大(第4/7回の継代後)又は同等( 第5回の継代後)数の緑色新芽を再生させた(表2)。2,4-Dとともに0.1mg/LのBA Pを含有する培地上で成長したカルスは、第3及び9回の継代を除く全継代後に0 .01mg/Lを含有する培地より少数(及び短い)緑色新芽を産生した(表2)。Galen aについては、0.01mg/LのBAPとともに2,4-Dを含有する培地上での成長は第3回 の継代を除く全継代時点で最大数の緑色植物を産生したカルスを生じさせた(表 3)。小さな緑色の緻密な新芽を持つカルスを第2回の継代時に2,4-D及び0.1mg/ LのBAPを含有する培地から新鮮再生培地へ継代すると、0.1mg/LのBAPを使用した 場合より多数の新芽を含有するより多くの組織が所見された。BAP含有培地が再 生可能な状態で長期間に渡ってカルス組織の増殖を誘発したと考えられる。 培養における期間の長さが再生能力に及ぼすマイナスの作用も又本試験で証明 されている。全培地上で、Golden Promiseの未熟胚は最初のカルス誘導から2 ヶ月間(第5回継代)までの期間に渡って高頻度で緑色植物を発生させた急速性 長の肝形成性カルスを産生した(表1及び2;図1)。第5回の継代後、Golden Promiseのカルスは再生能力を消失し始めた(表2)。Galenaは、2,4-D+BAPを含 有する培地を除く試験した全培地上でGolden Promiseよりはるかに急速に再生性 を消失し(表3)、再生性は第4回継代後に大多数の培地上で低下した。このため 暗所での培養期間が長くなるとGolden Promise及びGalenaの両方からの再生緑色 植物の総数の低下が生じるが(表2及び3)、Galenaにおける消失の方がより顕著 である。 培養期間はさらに白子症にも影響を及ぼすと思われた。大多数の培地上でより 後期の時点(第7、9回)でGolden Promiseに比較してGalena培養では緑色カル ス数が少なかった(表2及び3)。より後期の継代時点ではGolden Promiseから一 部の白色植物が産生した。しかし、同一期間に渡り同一培地上で培養した場合は 、Galenaの方が多数の白色植物を産生した。白子症に向かうGalenaの性質はさら にBAP(0.1mg/L)と組み合わせた2,4-D(2.5mg/L)を含有する培地上で成長した 1月齢のGolden Promise及びGalenaカルスの再生試験中に収集されたデータによ っても支持されている。この材料から、GP細胞の70〜80%は薄暗い照明条件(10 〜20μE)下で緑色になったが、他方匹敵する月齢のGalena培養からの細胞の20% 未満しか緑化効力を有していなかった。 従って、培養期間の長さ及び遺伝子型の相違は白子症に劇的な影響を及ぼすの で、その結果として緑色植物を再生する能力にも大きな影響を与える。 胚のサイズは、カルスの誘導頻度に影響を及ぼすもう1つの重要な要素である 。最適胚サイズは遺伝子型によって変動する。両方の遺伝子型から2.5mmを越え る大きさの胚サイズを使用すると、低いカルスの誘導頻度が発生した。サイズが 0.5〜1.2mmのGalena胚はカルスの誘導頻度が極めて低かったが(<20%)、他方同 一サイズのGolden Promiseの胚は90%を超える誘導頻度を示した。 Golden Promiseを用いた場合の最高カルスの誘導頻度はサイズが0.5〜2.0mmのカ ルスと関連していたが、Galenaについての最適サイズは1.5〜2.0mmであった。カ ルスの誘導頻度に及ぼすサイズの影響は、おそらく特定サイズの未熟胚において 刺激される発育カスケード及び特定遺伝子型の発育柔軟性に外因性に適用される ホルモンの作用が原因であると思われる。 オオムギにおけるカルスの誘導頻度、品質及び再生性は、例えば培地の組成 ズ(Baillie et al.,1993;Ziauddin and Kasha,1990;Dale and Dambrogio, な様々な要素によって影響を受ける。我々はこれらの観察を確証し、さらに形質 転換可能なオオムギの栽培変種Golden Promise及び扱いにくい市販のオオムギ変 種であるGalenaへ拡大した。 以前に公表された2.5mg/Lのジカンバを含んでサイトカイニンを全く含まない 培地を使用する形質転換プロトコル(Wan and Lemaux,1994)を用いて、我々は Galenaについての多数の形質転換カルス系を入手したが、全ての系が白色植物し か産生しなかった。そこで我々は、長期組織培養期間中にGolden Promise及びGa lenaの最高品質の再生性カルスを産生させるためのオーキシン及びサイトカイニ ンの最適組み合わせ及び濃度を同定した。両方の遺伝子型について、再生性を延 長させ、最高数の緑色カルス及び新芽を産生させるためには、BAP(約0.01から0 .1mg/L)と組み合わせた2,4-Dが最適であることが発見された。これらの植物ホ ルモン条件は、他のオオムギ遺伝子型及びその他の植物種についても同様に最適 な結果を得るために調整することができる。 実施例2:オオムギのトランスジェニック及び非トランスジェニックカルス組織 からの高頻度の植物再生 材料及び方法 カルス誘導及び維持。カルス誘導は上記で記載した通りに2.5mg/Lの2,4-D又は ジカンバ(サイトカイニン無含有)を含有するCIMを用いて実施した。暗所にお ける24±1℃での3週間に渡るインキュベーション後、カルスを小片(約3〜4mm )に細片化し、その後3週間間隔で継代培養しながら同一培地上で維持した。プラスミド 。プラスミドppGlbGus-6(Liu,1994)は、トウモロコシ胚特異的グ ロブリン(Glb I)プロモーター(転写開始部位の上流で1.38kbを含有)の制御 下にあってAgrobacterium tumefaciensであるノパリンシンターゼ3'ポリアデニ ル化シグナル(nos)によって終了されるuidA(gus)レポーター遺伝子を含有す る。プラスミドpdGlbGUS-6は(1)0.37kbのグロブリンプロモーター、uidAレポ ーター遺伝子及びnosターミネーターを含有する2.54kbフラグメントを入手する ためにEcoRIを用いてppGIb1GUSを分解すること、及び(2)2.54kbフラグメントを ベクターpUC19内に連結させることによって構成した。プラスミドpAHC20はトウ モロコシユビキチンUbiIプロモーター及び第1イントロン(Christensen and Qu ail,1996)の制御下でStreptomyces hygroscopicusからのbar遺伝子を含有して おり、3'-非翻訳領域及びnosが続いた。 微粒子弾丸衝撃法及び形質転換。粒子衝撃法によるオオムギの形質転換はWan and Lemaux,1994により記載されている通りに実施した。 中間インキュベーションステップによる再生。暗所で2,4-D又はジカンバを補 給したCIM上で成長した2月齢の非トランスジェニックカルス10片を直接に又はI IM上でのインキュベーション後のどちらかにRMへ継代した。 2種のIIM、つまりDBC2及びDBC3を使用した。DBC2培地は2.5mg/L の2,4-D、0.1mg/LのBAP及び5.0μMの銅(硫酸銅)を含有するCIMである。薄暗い 照明条件(20〜30μE;照明時間16時間/非照射時間8時間)下で3〜4週間に渡 りこれらの培地上でカルスを成長させた後、緑色区域又は緑色再生構造体を産生 したカルス数を計数した。その後緑色区域及び小さな緑色再生構造体を新生RMへ 継代し、より高い光線強度(45〜55μE)下で成長させた。3〜4週間後、カルス 1片当たりの緑色新芽数を計数した。トランスジェニックカルス系の再生のため には、7〜10片のトランスジェニックカルスを各培地(4〜5mg/Lのビアラフォス を含有)へ直接に継代するか、又はIIM上でのインキュベーション後に継代し、 その後非トランスジェニックカルスについて記載された上記と同一条件下で成長 させた。各処置は非トランスジェニックカルスについては4回ずつの再生試験を 含んでいたが、トランスジェニックカルスについては1回繰り返しただけであっ た。結果 ビアラフォスを含む及び含まないCIM上で成長したトランスジェニックカルス 及び非トランスジェニックカルス各々を直接に又はIIMでのインキュベーション 後のどちらかにRM上に継代した。継代の3〜4週間後に緑色区域を産生したGolden Promiseの非トランスジェニック及びトランスジェニックカルスの数については 、処置間で統計的有意差は見られなかった(表4及び6)。IIMとしてDBC2又はDBC 3のどちらかを使用した場合に多数の緑色新芽がトランスジェニック及び非トラ ンスジェニックカルスの両方から誘導された。IIM上でのインキュベーションは 、2,4-D及びBAPからの多数の緑色構造体及び高濃度の銅を含む処置からさえも多 数の緑色構造体を生じさせた。DBC2又はDBC3のどちらかで成長したカルスは分裂 組織様構造体から多数の緑色新芽を形成した。白色植物は観察されなかった。中 間インキュベーションステップを用いずにRM上で直接に発生した緑色区域の大多 数は1緑色区域当たり2本未満の新芽を再 生したが、IIM上で成長した緑色区域は1緑色区域当たり2〜5本の新芽を産生し た(表4)。2,4-Dを含有するCIMはジカンバを含有する培地から成長したカルスよ り緑色新芽再生において良好であった(表4)。新芽再生頻度は、中間インキュベ ーションステップの使用を含めてBCI-DM(2.5mg/Lのジカンバを含有するオオム ギカルス誘導培地[Wan and Lemaux,1994])上で開始及び維持された非トランス ジェニックカルスについては5.6倍〜6.4倍へ増加した(表4)。BCI-2,4-D(2.5mg /Lの2,4-Dを含有するオオムギカルス誘導培地[Wan and Lemaux,1994])上で成 長したカルスは、中間インキュベーションステップに応答しておよそ2.3倍〜3.4 倍へ増加した新芽再生頻度を示した。しかし、RM上で直接に再生された苗木は中 間インキュベーションステップを用いて成長させた苗木より急速に成長した。 第4〜6回の選択での5つの独立トランスジェニック系について中間インキュベ ーションステップを用いて若しくは用いずに緑色新芽再生に関して試験した(表 6)。トランスジェニック系は選択培地(BCI-DM+5mg/Lのビアラフォス)上で入 手し、その後中間ステップを用いて若しくは用いずにFHG(+4mg/Lのビアラフォ ス)上へ継代した。3〜4週間後、緑色スポットの数を計数し、再生組織を新鮮FH G培地(+4mg/Lのビアラフォス)上へ継代した。さらに3週間後、緑色新芽の数 を計数した。緑色新芽の再生性はトランスジェニック系に依存して変動した。し かし、中間インキュベーションステップを用いて培養したトランスジェニックカ ルスからの緑色新芽再生頻度は2.8〜11.4倍へ増加した(表6)。GPGlbGUS-13系だ けは中間インキュベーションステップを用いた場合でさえ黄色植物を全く産生し なかった。考察 Golden Promiseのトランスジェニック及び非トランスジェニックカルス組織 の再生性を向上させるための中間インキュベーションステップのために2種の培 地DBC2及びDBC3が使用された。緑色区域を産生するトランスジェニック及び非ト ランスジェニックカルスの数に関して処置間では統計的有意差は検出されなかっ た(表4及び6)。しかし、DBC2又はDBC3上への組織の継代は多数の緑色構造体の 形成を誘発し、最終的には各カルス片からより多数の植物を生じさせた。 オーキシン(2,4-D又はジカンバのどちらか)単独を含有するカルス誘導培地 上で成長したカルスは各カルス培養の小さな領域だけから緑色区域又は緑色構造 体を産生する。多くの場合、これらの緑色区域はRM上で苗木を生成しないが、こ れはおそらくRM上で完全な苗木を発生させるには不十分な数の細胞しか生成され ないためである。中間インキュベーションステップを使用すると、苗木を生成す る緑色区域又は緑色構造体の数が増加する。中間ステップにおいてBAPと組み合 わせて2,4-Dを使用すると、植物を産生することのできる緑色の全能性細胞の増 殖を許容することによって再生を向上させる可能性がある。 2,4-D又はジカンバ単独を含有するカルス誘導培地上で成長した非トランスジ ェニックオオムギカルス及びジカンバとビアラフォスを含有するCIM上で選択さ れたトランスジェニックカルスは、薄暗い照明条件下でBAP、2,4-D及び銅(50倍 )を含有する中間インキュベーション培地へ引き続いて継代されると多数の新芽 分裂組織様構造体を産生する(表4及び6)。これらの分裂組織様構造体は引き続 いて多数の新芽を産生する。これとは対照的にBAP単独を含有する培地は1緑色 区域当たり1本又は数本の新芽しか産生しない。従って、カルスを処置するため に適切なオーキシンBAP及び銅を含有するIIMは多数の緑色分裂組織様構造体及び 結果としての苗木の産生を促進する。 DBC2及びDBC3間での再生性における統計的有意差は観察されない(表4及び6) 。むしろカルス構造自体が結果を決定した。一般に、DBC2培地はサイ ズの小さな緑色区域を有するカルスにはDBC3培地より適切である。DBC2培地は新 芽の成長を阻害するが、緑色区域又は緑色構造体はそれらが再生に適切なサイズ に達するまでの長期間に渡ってこの培地上で維持及び増殖させることができる。 例えばGolden Promise、Galena、Harrington及びSalomeの緑色組織は10ヶ月間以 上に渡って維持できる(Morexについては4〜6ヶ月間以上)。これらの組織はサイ ズが4〜6mmの緑色組織1片当たり9〜17本の新芽の範囲で多数の緑色新芽を産生 する。発芽中の組織をRM上で3〜4週間後に3〜4片に破砕して新鮮培地へ継代する と、まだ新芽が形成されていなかった小さな胚形成構造体からもっと多数の新芽 が産生した。 中間インキュベーションステップの使用は再生性を増加させたが、それでもま だ再生性ではない形質転換事象があった。例えばGPGlbGUS-13トランスジェニッ ク系は、おそらく最初の単一非再生性細胞の形質転換又はカルスの培養中におけ る再生性の早期消失のどちらかのために、緑色植物を全く産生しなかった。再生 方法中にできる限り早期に中間インキュベーションステップを使用することも又 白子症の発生率を低下させた。この中間インキュベーションステップをより早期 の選択段階で適用することによって、我々はGalenaと呼ばれる扱いにくい市販の 栽培変種から緑色のトランスジェニック植物を入手したが、これは公表されてい た方法を用いては達成不可能な結果であった。 以前の方法(Wan and Lemaux,1994)と比較して、中間インキュベーションス テップの使用はGolden Promiseの非トランスジェニック及びトランスジェニック カルスについて新芽再生頻度を約2.3倍〜約11.4倍上昇させ、例えば北米のモル ト製造用栽培変種であるHarrington及びMorexのような他の扱いにくい市販の重 要な遺伝子型の栽培性及び再生性を向上させた(表5参照)。 実施例3:遺伝子型の制限及び白子症の減少:オオムギ遺伝子型Golden Promise 及び扱いにくいオオムギ遺伝子型Galenaの形質転換 材料及び方法 植物材料 。未熟胚のためのドナー植物は、以前に記載されているように(Wan and Lemaux,1994;Lemaux et al.,1996)グロースチャンバー又は上記のように温室 における制御条件下の土壌中で成長させた(温室で成長した植物材料を使用する 必要はないが、緑色組織培養のためにはグロースチャンバーで成長した未熟胚が 好ましい)。 温室は、15〜18℃の温度で14時間照明を提供する補助照明装置を備えていた。 温室内の光線レベルが1,000μE/ms未満の場合は、1,000ワットの補助的ハロゲン 化金属ランプを使用した。外部光線レベルが7,000μE/ms以上に上昇した場合は 、ルーフシェードによって屋根を被覆した。カルス誘導及び緑色胚形成組織の産生 。20%(v/v)漂白剤(5.25%次亜塩素酸 ナトリウム)中で10分間かけて表面殺菌した後に無菌水を用いて3回洗浄した種 子から立体解剖顕微鏡下でサイズが約1.5〜2.0mmの未熟接合胚を切開して無傷で 単離した。これらの胚は胚盤側を下に向けてCIM上に置いた。 6種のCIMを使用してカルス誘導頻度及びカルスの品質を試験した。CIM は各々、表7に示されているように種々の濃度の2,4-D(1.0及び2.5mg/L)、BA P(0.01、0.1及び0.5mg/L)、及び硫化第二銅(CuSO4;0.1及び5.0μM)を含有し ていた。 Golden Promiseを用いた最初のカルス誘導期間には2.5mg/Lの2,4-D、0.01mg/L のBAP及び5.0μMのCuSO4が補給されたCIMであるDBC1培地を使用した 。Galena及びSalomeを用いた最初のカルス誘導期間にはDBC2培地を使用した 。 カルスのイニシエーション5〜7日後、手を使った切開によりカルスを形成し つつある胚盤から発芽し始めた新芽及び根を取り除いた。24±1℃の暗所におけ る最初のインキュベーションから3〜4週間後に、胚盤からの胚形成性カルスを 小片(約3〜4mm)に切片化し、新鮮DBC2培地(Golden Promise及びGalena)へ移 し、薄暗い照明条件(およそ10〜20μE、照明時間16時間)下で成長させた。さ らに3週問後(第2回継代時)、緑色カルス形成区域を選択し、2〜3片(各々が 約3〜4mmのサイズ)に分割し、新鮮DBC2培地へ継代した。 Golden Promise及びSalomeからの緑色再生組織はDBC2培地上で維持し、3 〜4週間間隔で継代培養した。 Galenaには第2回継代からはDBC3培地を使用し、継代培養は3〜4週間間 隔で実施した。植物の再生 。4月齢の緑色再生組織(約4〜6mm)7片を固形RM上でプレーティ ングし、およそ30〜50μEの光線強度に暴露させた。5日後、新芽を産生した緑 色組織の数及び緑色組織1片当たりの新芽数を計数した。2枚以上の葉を有する 緑色組織の単一ベースを新芽1本と見なした。イ州)に入れた根付け培地(ホルモンを含有しないCI培地)へ移した。新芽の 長さが箱の上部に到達したときに(約3〜4週間後)、Supersoil(R.McClellan, S.サンフランシスコ、カリフォルニア州)を含有する6インチのポットに苗木 を移し、徐々に馴化させ、温室で成熟するまで成長させた。プラスミド 。プラスミドpAHC25は、各々がトウモロコシユビキチンUbilプロモー ター及びイントロン1の制御下にあってnosにより終了されるuidA(gus)レポー ター遺伝子及び選択可能な遺伝子barを含有する(Christensen and Quail,1996) 。DNA微粒子衝撃法 。無傷のオオムギ胚を表面殺菌し、胚盤側を下に向けて置き 、2.5mg/Lの2,4-D及び5.0μMのCuSO4(DC培地)又は2.5mg/Lの2,4-D及 び0.1μMのCuSO4(D培地)のどちらかが補給されたCIMで成長させた。 24±1℃の暗所でのGalena胚の切開から1日後にマルトースは含有しないが0.2 Mのマンニトール及び0.2Mのソルビトールを含有するCIM上での浸透性前処理 のために胚盤側を上に向けて継代した。浸透剤を用いての処理から4時間後に、 以前に報告されている通りに胚に衝撃法を実施した(Lemaux et al.1996)。手短 には、これはプラスミドDNAによる1μmの金微粒子(Analytical Scientific Instruments、アラメダ、カリフォルニア州)の被覆を含み、その後にPDS-1000 Heバイオリスティック装置(Bio-Rad,Inc.、ヘラクレス、カリフォルニア州) を使用した衝撃法を900psiで実施した。衝撃法から16〜18時間後、胚盤側を下に 向けてDC培地上に胚を置き、10〜14日間に渡って24±1℃の暗所で成長させた 。形質転換組織の選択及び再生 。最初の10〜14日間の培養期間後、カルスを形成し ている各胚をカルスのサイズに依存して2〜3片(各片およそ4〜5mm)に分割し 、4mg/Lのビアラフォスが補給されたDBC2培地へ継代し、暗所でインキュベ ートした。第2回継代から2週間後(第1回選択)、4mg/Lのビアラフォスを含有 する新しいDBC培地へカルスを継代し、さらに7〜14日後にカルスを薄暗い照 明条件(約10μE、照明時間16時間)下へ移した。第4回の継代を通してカルス は同一培地上で維持した。第5回継代時に、4mg/Lのビアラフォスが補給された DBC3培地へカルスを移した。培養は、緑色構造体の形成が発生するまで2週 間問隔で4mg/Lのビアラフォスを含有するDBC3培地上で継代し、緑色構造体 の形成が発生した時点にそれらを再生用の3mg/Lのビアラフォスを含有する固形 RM上でプレーティングし、より高い光線強度(およそ30〜50μE)に暴露させ た。RM上での3〜4週間の培養後、2〜3mg/Lのビアラフォスが補給された根付 け培地(0.1μMの銅を含みホルモンを含まないCI培 の上部に到達したときに、苗木を上記に記載した通りに処置した。組織化学的GUSアッセイ 。GUS活性を以前に記載されている通りに組織化学 的にアッセイした(Jefferson et al.,1987)。PCRアッセイ 。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析は、カルス又は葉から抽 出したゲノムDNAを使用して実施した。bar遺伝子であるBar5F及びBar1R遺伝 子の存在を確証するために2セットのプライマーを使用した(Lemaux et al.,19 96)。gus遺伝子であるuidA1及びuidA2Rの存在を確証するためにもう1セットの プライマーを使用した(Cho et al.,1996)。増幅は、0.25μL Taq DNAポリメ ラーゼ(Promega)とともに10×PCR緩衝剤、25mM MgCl2、2.5mMdNTPs、20μM の各プライマーを含有する25μL反応量で実施した。サイクリングは、下記の条 件を用いてプログラムされたサーマルサイクラーによって制御した:94℃での1m inの減衰ステップ;94℃で45sec、60℃で0.1〜0.5min/サイクル、72℃で1minで の10サイクル;及び94℃で45sec、55℃で1min、72℃で1minでの26サイクル。最 終サイクルについては、延長ステップの時間は72℃で7minであった。負荷染料を 含む25μLのPCR産物を臭化エチジウムを含む0.8%アガロースゲル上で電気泳 動にかけ、UV光線を用いて検出した。DNAハイブリダイゼーション分析 。Xbal及びSacI若しくはPstIのどちらかを用 いて、非形質転換コントロール植物及びトランスジェニック系のT0及びT1植物の 葉組織から単離したゲノムDNAを分解させた。XbaI及びSacIによる分解は無傷 1.8kB uidA(gus)断片を遊離させる;XbaI及びPstIによる分解は無傷0.6kb bar 断片を遊離させる。ゲル電気泳動法を行うために、各レーンには各分解物10μg を負荷した。サザン継代後に、32P-標識uidA又はbar遺伝子を用いて結果として 生じたブロットをハイブリダイズした。結果 最初のカルスの誘導及び成長 。種々の組成のCIMを用いて最初のカルス誘導頻 度を測定した。オオムギ遺伝子型Golden Promise及びGalenaからの未熟胚10個を 各CIMへ継代した。各CIMは下記の濃度のホルモン及び銅を含有していた: D、2.5mg/Lの2,4-D及び0.1μMのCuSO4;DC、2.5mg/Lの2,4-D及び5.0μMのCUS O4;DB、2.5mg/Lの2,4-D、0.1mg/LのBAP及び0.1μMのCuSO4;DBC1、2.5m g/Lの2,4-D、0.01mg/LのBAP及び5.0μMのCuSO4;DBC2、2.5mg/Lの2,4-D 、0.1mg/LのBAP及び5.0μMのCuSO4;DBC3、1.0mg/Lの2,4-D、0.5mg/Lの BAP及び5.0μMのCuSO4。カルスの品質は顕微鏡により評価し、最高品質には +++++のスコアを付け、最低品質には+のスコアを付けた。数値は最初のカ ルス誘導から3週間後に測定され、各処置につき3回ずつの平均値を示している 。Golden PromiseはCIMの組成とは無関係に高いカルス誘導頻度を示した(>8 7%、表7)。GalenaはBAPを含有しないCIM上で高いカルス誘導頻度を示し た(>90%)。組織の品質は誘導から3週間後のBAPを含有するCIM上では不 良であったが、この培地上で2〜3回の継代後には向上した。Galenaでは未熟胚 上の胚盤組織の分画だけがカルスを形成したが、Golden Promiseでは未熟胚上の 胚盤表面のほとんどが高品質のカルスを形成した。 Galenaは、D培地(2.4-Dだけを含有するCIM)又はDC培地(2,4-D及び高 濃度の銅を含有するCIM)上で成長させたときにはGolden Promiseと比較して 類似又は僅かに高い初期カルス成長速度を示した(表7)。5.0μM(50倍)へ銅濃 度を上昇させてもどちらの遺伝子型においてもカルス誘導頻度又は初期カルス成 長速度は変化しなかったが、特にGolden Promiseにおいてはカルスの品質が向上 した。Galenaと比較すると、Golden Promise未熟胚は極めて多数の明確な胚形成 構造体を備えたカルスを産生した。 CIMへのBAPの添加は両方の遺伝子型についてカルス誘導頻度を低下させ 、 さらにカルス成長を阻害したが、光沢のある緻密な、そして多数の新芽分裂組織 を有する高度に再生性構造体を含有するより高い品質のカルスを産生した(表7 )。Galenaは高品質のカルスを入手するためにはGolden Promise(0.01mg/LのB AP)より高濃度のBAP(0.1mg/L)を必要とした(表7)。BAPと組み合わ せてより高濃度の銅(50倍)を使用すると、かすかに茶色がかった色を有するカ ルスからより再生性の構造体が生じた。より高濃度のBAP(0.5mg/L)及びよ り低濃度の2,4-D(1.0mg/L)を含有するDBC3培地を初期カルス誘導に使用す ると、高い割合の胚の発芽及び緩徐な成長速度を持つ不良な品質のカルスの産生 が発生した(表7)。緑色再生組織の産生及び維持 。緑色胚形成構造体は、薄暗い照明に3〜4週齢の カルスを暴露させてから5〜20日後に観察された。Galenaカルス組織よりGolden Promiseのカルス組織の方がより高いパーセンテージの緑色区域を産生した。薄 暗い照明条件下で適切な形態(緑色、光沢、結節性、緻密)を有するカルスを識 別すると、これらの区域は残りのカルスから容易に分離でき、さらにDBC2又 はDBC3培地上で維持することができた。DBC2培地上でのイニシエーショ ンのおよそ6〜8週間後、Golden Promise組織は複数の新芽分裂組織用構造体を 有する小数の緑色新芽しか含有していなかったが、ほとんどの組織は緑色で、光 沢があり、結節生活緻密であった。しかし、Galenaについては、DBC3培地が 緑色再生組織を維持するために最適であった。DBC3培地上では、Golden Pro mise組織はより柔らかく、多数の新芽分裂組織を産生した:一部の新芽の発芽は より高濃度のBAPに反応して誘発された。Galena組織は複数の新芽分裂組織を 産生し、DBC3培地上ではGolden Promise組織よりも緻密であった。 従って、Galenaはカルス誘導及び高品質緑色再生組織の維持のためにはGolden Promise(0.1mg/L)より高濃度のBAP(0.5mg/L)を必要とする。こ こでこれらの実験においては、使用したカルス誘導培地が高濃度の銅を含有して いないことを言及しておかなければならない。0.1mg/LのBAPを用いた場合に カルス形態は極めて良好であったが、成長速度は極めて緩徐であった。50倍の銅 を添加した場合は、成長速度か加速されると思われた。1倍の銅を含有するカル ス誘導培地と比較すると、最適の組織成長のためには50倍の銅を含有するカルス 誘導培地においてより高濃度のBAPが必要とされた。 各遺伝子型からサイズが4〜6mmの緑色再生組織から採取した7片をRM(FH G培地)へ継代し、再生した新芽数を25日後に計数した。各組織片は多数の緑色 新芽を産生した。RM上で2〜3週間培養した後、両方の遺伝子型からの緑色構 造体(サイズが4〜6mm)はRM培地(表8)又はホルモンを含有しない根付け培 地上のどちらかで1片当たりおよそ9〜17本の緑色新芽を産生した。RM上での 培養の3〜4週間後に発芽組織を小片に分割して新鮮培地に継代すると、小さな 緑色構造体からさらに多数の新芽が産生した。再生について試験した4月齢の緑 色構造体は全部が多数の緑色新芽を産生した;白色植物は観察されな 根付いた植物を土壌へ移して温室内で成熟するまで成長させた。Galena の形質転換 。上記のin vitro培養系は未熟胚由来カルスから多数の緑色新 芽を生じさせるので、従って扱いにくい市販の遺伝子型Galenaの良好な形質転換 の基礎を提供する。 形質転換のためには、Galenaの未熟胚の胚盤に衝撃を与え、引き続いて選択剤 を含まないDC培地上で胚を培養した。第2回継代からは、カルスを選択培地上 で維持した。第3回の継代の中間時点に、カルスを薄暗い照明条件下に移した。 高レベルのBAP、低レベルの2,4-D、及び50倍の銅を含有する培地(DBC3 培地)を第5回継代以降の選択及び維持のために使用した。一般に、緑色区域を 有するビアラフォス耐性カルスが第3〜5回継代で観察された。緑色区域を有 するカルスは、緑色区域が完全に発達した再生構造体を形成するまで維持及び増 殖させた。ほとんどの場合、迅速に成長するカルスにおいて緑色区域が発達した 場合は、十分に発達した緑色再生構造体を入手することができた。 Galenaについては、カルス誘導のためには胚のサイズが極めて重要であった。 約1.2mmより小さい胚は極めて不良なカルス誘導を生じさせた(20%未満)。サイ ズが約1.5mm〜2.0mmの未熟胚は最高カルス誘導頻度を示した(>90%)。 ジカンバ又は2,4-Dのどちらかを含有するCIM上で選択されたトランスジェ ニックカルスの再生性を向上させるために、多数の緑色新芽を産生する緑色構造 体を生成するこの方法を使用した。この形質転換プロトコルを用いて、我々はpA HC25により形質転換した6つの独立したGalena系を入手した。3つの系は緑色区 域を産生し、再生性であり、さらに多数の緑色新芽を産生した。T0及びT1植物は 、bar及びuidAへハイブリダイズし、uidA(GUS)レポーター遺伝子及びBastaTM に対する耐性によって判定されるような除草剤耐性遺伝子barを機能的に発現す るDNA配列を含有していた。考察 我々は、白子症の問題を排除しながら長期間に渡って多数の緑色新芽を発生さ せる(表8)、高度に再生性カルスを産生するために極めて効果的な再現性の系を 開発した。この系をこれまでは扱いにくかった遺伝子型を形質転換及び再生する ために使用すると良好な結果を得ることができる。 第1に、我々はカルスのイニシエーション及び増殖中の植物ホルモン処理を最 適化した。おそらくGolden PromiseとGalenaの2つの遺伝子型間には植物ホルモ ンの内因性濃度において相違があるために、Galenaからの未熟胚は高品質の緑色 再生組織を産生するためにGolden Promiseより高濃度のBAPを必要とした。2, 4-Dを含有するCIMへのBAPの添加は両方の遺伝子型からの未熟胚由来カル スの成長速度を低下させたが、カルスの品質及び再生性は向上させた(表 7)。本試験で白子症が発生しなかったのは、少なくとも一部にはBAPを使用 したことが原因であると思われる。 近年、トウモロコシ(Zhong et al.,1992)及びオートムギ(Zhang et al., 1996)から切開された新芽茎頂分裂組織から多数の新芽を分化させるために2,4- D及びBAPを利用したin vitro培養系が開発された。我々は、2,4-D又はジカン バを含有するCIM上で成長させたGolden Promise及びGalenaの再生性オオムギ カルスの区域が、引き続いて薄暗い照明条件下で2,4-D及びBAPを含有する中 間インキュベーション培地へ移されると多数の新芽分裂組織様構造体を産生する ことを発見した。BAPと組み合わせての2,4-Dの使用はより長期間の再生性を 生じさせ、他の遺伝子型にはBAPと組み合わせたジカンバよりもはるかに適切 であった。 培養条件におけるその他の変更はin vitro操作を大きく改善した。D培地と比 較して、高濃度の銅(5.0μM、MS培地の50倍)を含有するDC培地はカルス誘 導頻度又は初期カルス成長速度を変化させずにカルスの品質を向上させた(表7) 。これは初期選択ステップからより高品質の材料を生じさせ、形質転換組織中の 再生性上昇をもたらした。さらに、Galenaの第2回継代時におけるDBC2培地 の使用は、複数の新芽分裂組織様構造体を産生するより高品質の組織を生じさせ た。 これらの結果は、オオムギ変種Hectorの再生性にとっては50μMの銅(500倍) が最適であるが、オオムギ変種Excelの再生性にとっては5.0μMが最適であるこ と(Dahleen,1996)を示した試験と一致していた。同様の試験結果は、報告に よればMS(0.1μM Cu2+)上より10μM CuSO4(100倍)を含有する培地上の方 が多く再生するというコムギについても報告されている(Purnhauser,1991)。さ らに別の試験では、高い銅濃度が四倍体コムギのやく(葯)からより多くの体性 胚を生じさせた(Ghaemi et al.,1994)。 選択プロセスにおける早期の光線への組織の暴露も又、おそらくクロロフィル 生合成酵素を誘発することによって白子症の発生率を低下させたのであろう(Hol torf et al.,1994)。緑色の再生性区域の存在は緑色植物が生成されることを保 証するので、従ってWan and Lemaux(1994)において観察されたような白色植物の 再生を低下させる又は排除する。 暗所においてCIM上で胚を2〜3週間インキュベートした後に、高度に再生 性構造体を有する、光沢のある緻密な、かすかに茶色のカルスが入手された。両 方の遺伝子型について、BAP、2,4-D及び銅を含有する新鮮培地へカルスを継 代すると、薄暗い照明に暴露させてから5〜14日後に緑色胚形成性構造体が形成 された。Golden Promise及びGalena両方の全ての4月齢再生性構造体は多数の緑 色新芽(カルス1片当たりおよそ11〜17本の緑色新芽、表8)を再生したが、白 色植物は全く再生しなかった。これとは対照的に、2,4-D又はジカンバどちらか の単独を含有するCIM上で維持されたGolden Promise及びGalenaは緑色新芽を 産生しなかった(実施例1);2,4-D又はジカンバ単独を含有するCIM上で維持 されたGolden Promiseの2月齢カルスさえカルス1片当たり各々0.35及び1.15本 の緑色新芽しか産生しなかった(実施例2)。これらの再生性構造体はこの状態で 2,4-D、BAP及び銅を含む培地上で10ヶ月間以上維持することができ、両方の 遺伝子型について多数の生殖可能な緑色植物を生じさせるように再生することが できた。我々のプロトコルによって生成した緑色組織の形態は、2,4-D及びBA P上での培養後に新芽茎頂分裂組織から分化された多数の緑色分裂組織頭頂の形 態と類似であったが、おそらくは組織源における固有の相違又は高濃度の2,4-D を使用したためにより緻密であった。 カルスの品質及びカルス誘導頻度が適切なサイズの胚を選択すること及びドナ ー植物の生理学的状態の最適化に依存することは報告されている(Dale and and Lemaux,1994)。しかし、我々のプロトコルを使用して産生した緑色再生性 組織は広範囲のサイズの胚から及びグロースチャンバー又は温室のどちらかで成 長した植物から入手することができる;いったん何らかの起源から緑色組織か生 成すると、それらを上記のように増殖させることができる。Golden Promise、Mo rex及びSalomeについてはカルス誘導において小さな胚のサイズ(<1.0mm)が良 好であったが、Galenaはより高度のカルス誘導頻度を得るためにはもっと大きい サイズ(1.5〜2.0mm)の胚を必要とした。 Dahleen,1996)及び白色植物の出現を有しており、カルス誘導から2.5ヶ月間以 内に低い再生性が発生する(Bregltzer et al.,1995)。これらの特徴は多くの現 代的な市販の遺伝子型に対するオオムギ形質転換方法の適用性を制限する。 市販の変種Moravian III及びGalenaを形質転換させるために費やされた以前の 努力によって数多くの独立した形質転換系が作り出されたが、しかし再生後には 白色植物しか産生しなかった。選択剤の濃度を変更すること(1mg/Lのビアラフ ォスへ)又は選択時間を短縮すること(>5回から3回へ)は緑色植物の再生を もたらしたが、それらは形質転換していないことが発見された。 ここに開示した方法は、長期の培養期間で遭遇する白子症の問題を取り除く; 本試験では、Galena及びGolden Promiseは10ヶ月間以上に渡って生殖可能な緑色 植物を生じさせるように再生させることができた。さらに、再生における中間ス テップでのDBC2又はDBC3どちらかの使用は、2,4-D又はジカンバを含む 培地上で開始されたGolden Promiseからのトランスジェニック及び非トランスジ ェニックカルスの新芽再生頻度を向上させる(実施例2)。 特に微粒子衝撃法、選択及び培養条件における変更も又これまでは扱いにくか った遺伝子型であるGalenaを用いた形質転換における我々の成功に寄与した。衝 撃法は、以前は1,100psiで実施されており、Galenaにおけるカルス誘導頻度 の低下を生じさせたが、Golden Promiseは誘導頻度に関して影響を受けなかった 。破裂圧を低下させること、従って微粒子弾丸の速度の低下が標的組織への損傷 を少なくしたと考えられる。さらにより良好なカルス誘導を促進するため、及び 選択の結果としてごく近位で発生する死んだ若しくは死につつある細胞の有害作 用を生じることなく形質転換細胞の強力な細胞分割を許容するために、Galenaの 選択は衝撃法の1日後(Wan and Lemaux,1994)ではなく衝撃法から2週間後に 開始された。同様に、形質転換細胞への傷害を与える可能性のあるマイナス作用 を回避するためにカルスを形成しつつある胚はサイズの大きな小片4〜5mm)へ分 割された。 ここに詳述したアプローチは、例えば北米オオムギ栽培変種であるtwo-row変 種Harrington及びsix-row変種Morexのような他の扱いにくい市販の遺伝子型の形 質転換を成功させるために使用することができる。これらの方法を用いると、Ha rrington及びMorexは多数の新芽分裂組織を作り出す緑色再生性構造体を産生す る。 さらに、培地中で長期間に渡って緑色再生性構造体を維持する能力は、これら の構造体を白子症になる傾向のある栽培変種を形質転換させるための標的組織と して使用することを許容するので、従って植物を維持するための必要を排除し、 白子症及び不良な再生性に関する問題を減少させ、並びに誘発突然変異発生頻度 及びその結果としてのソマクローナル変異を減少させる。 実施例4:形質転換標識としての再生緑色大麦組織の利用 材料と方法 プラスミド:プラスミドpAHC20及びpAHC25は前述のとおりである。pAHC15は、 pAHC25のGUSレポーター遺伝子発現カセット(Christensen and Quali,1996)を含 有する。 p UbiINPTII-1は、pCaMVNEO(Frommら.,1986)のネオマイシンフォスフォトラン スフェラーゼ(NPTII)コード配列を、マイゼ・ユビキチンUbi1プロモータ、Ubi1 イントロン1、及びnos3'ターミネータ(Christensen and Quall,1996)を含有 するpAHC17のBamHI部位に挿入することにより構築した。DNA 粒子衝撃に対する緑色再生組織の調製 未熟な接合体性幼胚を表面的に滅菌し、胚盤側をDBC2培地面に接するように置 き、24±1℃で培養した。再生組織を3-4時間維持し、小片(約3-5mm)に切断し 、新鮮なDBC2培地に移して、薄暗い光条件下で生育させた。さらに3週間後、緑 色のカルス化セクタを(約3-5mmの)小片に切断し、新鮮なDBC2培地に移した。 緑色再生組織をDBC2培地上で維持し、3週間から4週間の間隔をおいて経代した 。2.5mg/Lの2,4-D、0.1mg/LのBAP及び5.0μMのCuSO4(すなわちDBC2培地)を含 有するCIMを、その他の遺伝子型を示す緑色再生組織からの誘導に使用した。 衝撃には、ゴールデン・プロミス及びガレナの緑色組織(約3-5mm、4月齢) を暗所に24±1℃で1日おき、0.2Mマンニトール及び0.2Mソルビトールを含有す るDBC2培地に移した。浸透圧下で4時間処理した後、前述のように(Lemauxら.19 96)緑色組織を、pAHC20とpAHC15の混合物であるpAHC25、又はp UbiINPTII-1とp AHC15との混合物のいずれかにより被覆した金粒子(Analytical Scientific In struments,Alabama,CA)で、900又は1100psiにて衝撃した。衝撃の16-18時間後、 緑色組織をDBC2培地に、浸透圧をかけずに 移し、薄暗い光条件下(約10μE、16時間光)で24±1℃で生育させた。形質転換組織の選抜及び再生: 非選抜培地上での最初の3週間から4週間の培養 期間後、緑色組織の各片を1-2片(約4mmから約5mm、もとの組織片の大きさによ る)に切断し、バー選抜用に4-6mg/Lのビアラフォス、又はnptII選抜用に40-50m g/Lのゲネチシン(G418)を添加したDBC2培地(ゴールデンプロミス系又はガレナ 系)又はDBC3(ガレナ系)培地へ移した。緑色組織をDBC2培地又はDBC3培地上で選 抜し、4mmから5mmの組織を3週間から4週間の間隔をおいて経代培養した。推定 上の緑色組織形質転換体を選抜培地上で急激に成長する特徴により同定し、バー 選抜用に4mg/Lビアラフォスを添加するか、又はnptII形質転換体の再生用選抜薬 を添加していない発根培地を含むマゼンソイル(R.McClellan,S.San Fransisco,CA)を含有する6インチのポットに移し 、徐々に風土順化させ、温室内で成熟させた。結果及び考察 大麦形質転換には多様な標的を使用し、これには未熟な接合性幼胚(Wan and L emaux,1994;Hagioら.,1995)、若年性カルス(Wan and Lemaux,1994)、ミ 及びプロトプラスト(Funatsukiら.,1995;Salmenkallio-Marttilaら.,1995)が含 まれた。未熟な接合性幼胚は最近もっともよく利用されており、大麦形質転換体 にとって信頼度の高い標的組織である。しかし、市販されている重要な大麦遺伝 子型に由来する未熟幼胚は、カルス誘導反応率が低い(Lurz and Lorz,1987;Da hleen,1996)。さらには、インビトロ組織培養材料は、さらに長期間にわたる緑 色植物収穫力の点で制約を受けていた(Bregitzeら.,1995)。形質転換期間には培 養期間の延長及び/又は選抜圧が必要となるため、結果としてアルビノ(クロロフ ィルが欠損する)植物の割合が大きくなった(Foroughi-Wehr ら.,1982;Wan and Lemaux,1994;Bregitzerら.,1995)。さらに、未熟な幼胚及 びミクロスポアを標的組織として利用するには、限定された生育条件下で育つド ナー植物を年単位で維持することが必要である。 著者らは、未熟な胚盤組織から派生したカルスより採取した多様な緑色苗条産 生物のインビトロ培養系に利用されている緑色組織のミクロプロジェクタイル・ 衝撃に基づく再生大麦形質転換系を確立した。衝撃後3-4週間に成立した選抜に よって、選抜又は損傷の結果生じた死細胞又は死にかけた細胞のない状態で、形 質転換細胞が増殖できるようにした。2回目の移植からは、バー選抜用にビアラ フォスを添加するか、又はnptII選抜用にG418(ジェニシチン)を添加したDMC2培 地又はDBC3培地を使って選抜を開始した。3回から4回の選抜後に同定した椎定 上の形質転換体を、ビアラフォスを添加した発根培地に移した。 この形質転換プロトコールを使用して、pAHC20及びpAHC15で形質転換させ、ビ アラフォスで選抜したゴールデン・プロミス系を1つと、G418で選抜後、pUbiIN PTII-1及びpAHC15で形質転換した推定上の形質転換ガレナ系を1つ得た。いずれ の系も再生可能であり、緑色苗条及び植物を産生できる。形質転換についてはPC R解析法により確認した。 このプロトコールは、過去に認められたように、白化現象及び再生率の低下と いう大きな問題を孕んでおり(Wan and Lemaux,1994;Foroughi-Wehrら.,1982:B regitzerら.,1995;Koprekら.,1996;等)、ハリントン及びモレックス等、その他 の抵抗性大麦品種に応用できる。実施例5:異なるカルス誘導培地上における小麦のカルス形態 大麦に使用する前述の組織培養プロトコールはまた、モノカット種を含むその 他の多様な植物種に応用可能である。 たとえば、小麦変種ボブホワイトにおいてもまた、高濃度の銅及びBAPを含有 するCIM上で試験した場合、初回カルス誘導及びカルス形態の改善が認めら れた。(注釈を除き)実施例1で上述した実験において、ボブホワイトの未熟な全 幼胚(1-2mm)を6つの異なるCIMs上で試験しており、各々のMS培地は30g/Lのマル トース、0.5mg/Lのチアミン-HCl、150mg/Lのアスパラギンを含み、2.5g/Lのフィ タゲル[pH5.85]でソリディファイし、銅及びフィトホルモンを含む。 (1)WD:2.0mg/Lの2,4-D及び0.1μMのCuSO4 (2)WDC:2.0mg/Lの2,4-D及び5.0μMのCuSO4 (3)WDB:2.0mg/Lの2,4-D、0.1mg/LのBAP及び0.1μMのCuSO4 (4)WDBC1:2.0mg/Lの2,4-D、0.01mg/LのBAP及び5.0μMのCuSO4 (5)WDBC2:2.0mg/Lの2,4-D、0.1mg/LのBAP及び5.0μMのCuSO4 (4)WDBC3:2.0mg/Lの2,4-D、0.5mg/LのBAP及び5.0μMのCuSO4 苗条アペックスをカルス誘導の7日後に除去した。培地上で誘導したカルスの形 態を表9に示す。 実施例6:小麦形質転換における遺伝子型の制約低下 筆者らは、効率の高い小麦の長期間インビトロ培養系を見出し、3種の小麦表 型由来の未熟胚盤組織の接合性幼胚(Ies)から誘導した再生力の高い組織に由来 した多様緑色苗条を発生させたが、この系には、市販上重要な品種であるイエコ ーラ・ロージョが含まれており、公開済みの培養法及び形質転換の企てに対して 、過去には抵抗性を示していた。材料と方法 植物材 :小麦(Triticum aestivum L.)、ボブホワイト、アンザ、及びイエコー ラ・ロージョなる3品種を前述のように温室内で生育させた(Weeksら.,1994;Lem auxら.,1996)。衝撃用エクスプラントの培養調製 :20%(v/v)漂白剤(5.25%の亜塩素酸ナトリウ ム)で10分間、表面を滅菌し、滅菌水で3回洗浄した種から、約1.0-2.5mmのIEs を立体解剖顕微鏡下で未処理のまま分離した。IEsの胚盤側を切断し、30g/Lのマ ルトース、1.0mg/Lのチアミン-HCl、0.25g/Lのミオ-イノシトール、1.0/Lのカゼ インハイドロライゼート、0.69g/Lのプロリンを添加して、3.5g/LのPhytagel(Si gma,St.Louis,MO)でソリデイファイしたMS(Murashige and Skoog,1962)を基とす る3つの異なるカルス誘導培地上で生育させた。この培地は、3つの異なる2,4- D、BAP及びCuSO4の組み合わせから成っていた。すなわち(1)2.0mg/Lの2,4-D及び 0.1μMのCuSO4(のちにD'と命名した);(2)2.0mg/Lの2,4-D、1.0mg/LのBAP及び5.0 μMのCuSO4(のちにD'BC2と命名した);(3)1.0mg/Lの2,4-D、0.5mg/LのBAP及び5.0 μMのCuSO4(のちにDBC3と命名した)であった。予備試験において、小麦細胞培養 用に改変したMS培地(Weeksら.,1993)を、2,4-D、BAP及びCuSO4からみた同一条件 で試験した。 誘導後5-7日に、発芽した苗条及び根を手技により除去した。24±1℃で薄暗い 光条件(約10-30μE、16時間光照射)にて3週間培養した後、胚盤から得た最高級 の組織を各培地から選抜し、小片に切断し(約3-4mm)、新鮮培地に移した。さら に3-4週間培養した後、組織片を再度選抜し、約3-5mmの大きさに2個から4個に 切断し、新鮮培地に移植した。組織を各培地上で維持し、3-4週間の間 隔で経代培養した。苗条再生試験 :大きさ4-6mmのアンザ及びイエコーラ・ロージョの4ヶ月齢の組織 を7片、各培地中で維持して生育させておき、固形再生培地(フィトホルモンを 含まず0.1μMの銅を含むカルス誘導培地)上におき、約45-55μEの光強度に曝露 した。各培地処理を別個に3回分実施した。再生培地上で4週間経過した後、高 再生能組織片1片あたりの、高再生能苗条の数を計数した。同一の組織基底部か ら1枚以上の葉が再生した場合、1苗条と計数した。高再生能を使用した安定化した形質転換 :高再生能を有する培養を、D'BC2培地 又はDBC3培地を、2-7ヶ月前述のように培養することによって得た。品質の良い 組織のみを衝撃用に選抜した。浸透圧性前処理用の再生組織(大きさ3-4mm)を、 最終濃度が0.4Mとなるよう、等モルのマンニトールとソルビトールを含むD'BC2 培地又はDBC3培地に移した。浸透圧下で4時間処理後、組織を前述のように衝撃 した(Wan and Lemaux,1994;Lemauxら.,1996)。金粒子(1.0μm)を、pActIHPT-4 及びpAHC15、又はpActpActIIHPT-4及びpdBhssWTRN3-8を1:1のモル比で25μg被覆 し、続いてPDS-1000Heビオリスティックデバイス(Bio-Rad,Inc.,Hercules,CA)で 600psi又は900psiで衝撃した。プラスミドpAct1HPT-4は、ライス・アクチン1プ ロモータ(Act1)、そのイントロン、及びnos3'ターミネータの制御下にヒグロマ イシンフォスフォトランスフェラーゼ(hpt)コード配列を含む。プラスミドpAHC1 5は、マイズ・ユビキチン(UbiI)プロモータ、その第1イントロン、及びnos3'タ ーミネータの制御下においてuidA(gus)遺伝子を含む(Christensen and Quali, 1996)。プラスミドpdBhssWTRN3-8は、大麦エンドスパーム特異性B1-ホルデイン プロモータと、そのシグナルペプチド配列、及びnos3'ターミネータの制御下に 、小麦チオレドキシンh遺伝子を含む。衝撃の16-18時間後に、衝撃した組織をD 'BC2培地又はDBC3培地上へ、浸透圧処理をせずに設置し、薄暗い光中で24±1℃ で生育させた。 初回の10日-14日間の培養後、各再生組織をその大きさによって1-3片に切断し 、D'BC2培地又はDBC3培地に25mg/LのヒグロマイシンB(Boehringermannheim,Mann heim,Germany)を添加して移した。最初の選抜ラウンド後3週間経過してから、 培養物を、30mg/LヒグロマイシンBを添加した新鮮なD'BC2又はDBC3培地に移し た。3回目の選抜ラウンドから、組織を経代培養して、30mg/Lのヒグロマイシン Bを含むDBC3培地上で3-4週間の間隔をおいて維持した。4回目の選抜ラウンド後 、生存している組織を、選抜せずにDBC3培地上へ移した。適度に大きな再生緑色 構造体をDBC3上で同定した後、選抜を行わずに組織を固形再生培地上へおき、高 密度の光(約45-55μE)に曝露した。再生培地(フィトホルモンを含まないカルス 誘導培地)上で4週間おいた後、再生した苗条を、選抜薬を添加しない同一の培 地を含むマゼンタボックスへ移した。苗条がボックスの頭部へ到達した時点で、 植物片を土壌へ移した。形質転換植物の解析 :pAct1IHPT-4HPT-4及びpAHC15の混合物で形質転換させた系 由来のT0植物及びT1種を、組織化学的染色法によってGUS活性測定を実施した。 組織化学的GUS染色法を、Jeffersonら.(1987)に記述したように、5-ブロモ-4-ク ロロ-3-インドイル-β-D-グルクロン酸(X-gluc)(Gold Biotechnology,Inc.,St.L ouis,MO)を使用して実施した。試料をGUSアッセイ緩衝液中で37℃にて一晩培養 した。 独立系由来の総ゲノムDNAを、前述のように(Dellaporta,1993)精製した。推定 上形質転換した系のゲノムDNAにおけるuidAの存在を試験するために、250ngのゲ ノムDNAを、PCR法を使用して、プライマーセットであるUIDAI(5'-agcggccgcaTTA CGTCCTGTAGAAACC-3')、及びUID2R(5'-agagctcTCATTGTTTGCCTCCCTG-3')を使用し て増幅した。hptの存在は、プライマーセットHPT6F(5'-AAGCCTGAACTCACCGCGACG- 3')プラスHPT5R(5'-AAGACCAATGCGGAGCATATAC-3')(Choら.,1997)を使用して試験 した。増幅は、前述のように、TaqDNAポリメラーゼ(Promega,Madison,WI)との25 μLにより反応させた。1.8kbの画分の存在は、未処理のuidA画分、及び内部の0. 81kb画分がhpt画分によってそれぞれ産生されたことを示していた。結果 効率のよいインビトロシステムの確立 :一般的に、ボブホワイトは、高いカルス 誘導頻度を有し、培地の組成に関わりなく、特に2,4-Dのみを含有するD'培地上 で、イエコーラ・ロージョ及びアンザよりも高品質のカルスを産生した。イエコ ーラ・ロージョ及びアンザは、D'培地上で、分泌物の多い非幼胚性のカルスを産 生した。しかし、イエコーラ・ロージョ及びアンザは、D'BC2培地、又は2,4-D、 BAP及び銅を含有するDBC3培地に反応して、高い幼胚度の組織を産生した。3タ イプの遺伝子型はすべて、D'BC2培地又はDBC3培地上で高品質の組織を産生した 。すなわち、光沢があってまとまりやすく、高再生能の組織であって、多様な分 裂状構造体が認められた。ボブホワイト由来のカルス組織からは、D'BC2培地上 又はDBC3培地上において、イエコーラ・ロージョ及びアンザに由来するカルス組 織よりも高い割合で高再生能構造体を得ることができた。薄暗い光のもとで、そ の組織が、適正な形態と、再生力の高い構造体を有することが一旦確認できれば 、再生組織は残りの組織から容易に分離でき、D'BC2培地又はDBC3培地上で別個 に維持可能となった。一般に、DBC3は3タイプの遺伝子型すべてにとって再生力 の高さを維持するには最適であった。再生力の高い組織に由来する受精植物の再生 :D'BC2培地及びDBC3培地上で4月齢 になったイエコーラ・ロージョ及びアンザの組織片7片を、再生培地に移した。 4週間後、D'BC2培地又はDBC3培地における再生力の高い組織は、再生培地上で 多様な緑色苗条を、緑色組織(4-6mm)1片あたり11-17苗条の範囲で産生した(表10 )。しかし、2,4-D-を含有するD'培地上で維持しているカルス組織は、ほとんど 緑色植物を再生しなかった。アンザはイエコーラ・ロージョよりわ ずかに再生力が高かった(表10)。 抵抗性遺伝子型の安定した形質転換:イエコーラ・ロージョとアンザの抵抗性 遺伝子型における首尾よい形質転換は、未熟な胚盤組織から派生し、再生力の高 い組織に由来した多様な緑色苗条を得た、効率の良いインビトロ培養系に基づい ていた。イエコーラ・ロージョ及びアンザにおける再生力の高さを衝撃し、D'BC 2培地又はDBC3培地上で、選抜を行わずに最初の10-14日間培養した。2回目の転 移には(第1ラウンドの選抜)、25mg/LのヒグロマイシンBをhpt選抜用に添加した D'BC2培地又はDBC3培地上で実施した。2回目の選抜ラウンドにおいて、30mg/L のヒグロマイシンBを添加したDBC3培地を使用した。4回目の転移からは(3回目 の選抜ラウンド)からは、選抜圧を同一水準で維持した。一般に、若干の緑色セ クタを含むヒグロマイシン耐性組織か、3回目の選抜ラウンドから観察された。 緑色セクタが完全な再生構造体を形成するまでは、4回目の選抜ラウンドから、 緑色セクタを含み、推定上の形質転換カルスを、同一の培地上で維持し、増殖さ せた。緑色の再生組織を再生培地上で再生させ、植物片を、同一の培地中で3-4 週間培養後、土壌へ移した。筆者らは、pAct1IHPT-4及びpAHC15で形質転換させ た6つの独立した再生可能なボブホワイト系と、5つの推定上形質転換アンザと 、pAct11HPT-4HPT-4およびpAHC15との混合物、又はpAct1IPT-4およびpdBhssWTRN 3-8との混合物とで形質転換した5つの推定上形質転換イエコーラ・ロージョ系 を得た(表11)。T0 及びT1植物の解析 :推定上形質転換系におけるGUS活性の組織化学的解析は、モ デル(ボブホワイト)の良好な形質転換における陽性の証拠、及び抵抗性の(Anza and Yecora Rojo)なる小麦の遺伝子型を提供した。強力なuidA発現が、形質転 換系BWHptGus-1、-2、-4、及び-6の葉組織に検出されたが、BWHptGus-3及び-5( 表11)には検出されなかった。予測されたとおり、GUS発現は、陰性対照には観察 されなかった。椎定上の形質転換T0植物の葉における誘導遺伝子 の存在を確認するために、PCRを実施した。ボブホワイト形質転換系において、 6系すべての0.81kbのバンドの存在(BWHptGus-1及び-6系)の存在は、hptの存在 を確固としたものにした。BWHptGus-1,-2、-4系及び-6系は、1.8kbのバンドを有 するuidAの存在を示したが、BWHptGus-3又は-5は、示さなかった。アンザの形質 転換系1系、すなわちAZHptWtrx-1と、イエコーラ・ロージョ形質転換系1系は 、0.81kbの内部hpt画分をも含んでいたが、wtrxは含まなかった(表11)。4つの 推定上のアンザ系、及び4つのイエコーラ・ロージョ形質転換系は、誘導遺伝子 の存在について試験していない。考察 我々の結果は、BAP及び高濃度の硫酸第2銅を、2,4-D単独を添加したカルス誘 導培地に添加することによって、IEsの胚盤組織から誘導したインビトロ培養組 織の品質と再生力が向上したことを示している。これとは対照的に、カルス誘導 培地において2,4-Dを単独で使用すると、抵抗性遺伝子型の、分泌物が多く、再 生力の低い組織を産生した。 光沢があってまとまりがよく、褐色を帯びたカルスを伴った緑色の再生構造体 を、小麦幼胚に薄暗い光を照射して、2,4-D、BAP及び銅を含有するカルス誘導培 地上で2-3週間培養後に得た。最高品質の組織をスクリーニングし、同一の培地 上で維持した。4ヶ月齢に達した,再生力の高いアンザ及びイエコーラ・ロージ ョはすべて、多様な緑色の苗条を産生した(組織1片につき11-16個の苗条)(表10 )。これとは対照的に、2,4-Dのみを含有するD'培地上で生育させたアンザに由来 する4ヶ月齢のカルスは、カルス1片につき0.1個の緑色苗条を産生したにすぎ ず、イエコーラ・ロージョに由来する4ヶ月齢のカルスからは緑色の苗条が産生 しなかった(表10)。両遺伝子型において、緑色の再生分裂状組織を、2,4-D、BAP 及び銅を含有する培地上で1年以上維持して、受精緑色植物を得た。これら組織 を長期間維持するには、D'BC2培地よりもDBC3培地のほうが良好であ った。 ボブホワイト、イエコーラ・ロージョ及びアンザに由来する再生力の高い組織 を、衝撃し、選抜を行わずに最初の10-14日間、D'BC2培地又はDBC3培地上で培養 した。2回目の移植時(第1ラウンドの選抜時)、25mg/Lのヒグロマイシンをhpt 選抜用に添加したD'BC2培地又はDBC3培地上で選抜を実施し、第2ラウンドの選 抜以降は30mg/Lのヒグロマイシンを添加した。第3-4ラウンドの選抜時以降は、 緑色のセクタを有する若干のヒグロマイシン耐性アウトグロースがデッドクラン プとは別に認識され、白色を帯びた褐色を示していたが、非形質転換性の一番高 い植物はヒグロマイシンBによって殺された。4回目の選抜後、緑色セクタが完 全に再生構造体を発達させるまでは、緑色のセクタを有する椎定上形質転換組織 を、選抜を実施せずに同一培地上で維持して増殖させた。 この形質転換プロトコールを使って、6個の独立した再生型ボブホワイト系と 、5個の推定上形質転換系を、入手したアンザ及びイエコーラ・ロージョ系から 得た(表11)。独立した8個の系はすべて、アンザ系1個とイエコーラ・ロージョ 系1個を含み、多様な緑色の苗条を産生し、4個のボブホワイト系がGUSを発現 した。現在まで、6個の形質転換ボブホワイト系のうち3個の系から発生した植 物が開花している。葉部組織から抽出したDNAをPCR増幅法にかけて、転換遺伝子 を分子レベルで解析すると、すべての被験植物系において、hpt及び/又はgus遺 伝子が存在することがわかった。 予備データからは、この系が、別の抵抗性小麦の遺伝子型にも応用可能である ことが明らかとなっている。形質転換用の標的源として再生力の高い組織を使う ことによって、ドナー植物を維持する必要がなくなり、再生能力が向上する。 実施例7:「娘組織」:新規な小麦形質転換標的 筆者らは、ボブホワイト、アンザ、イエコーラ・ロージョ及びカール等、あら ゆる小麦遺伝子型の未熟な幼胚によって産生される、小麦の「娘組織」とよばれる 新規の形質転換標識を開発した。娘組織は、多様な緑色苗条を産生し、長期間培 養に使用できるような高度な再生組織に生育した。材料と方法 植物材料: 3種の春播き小麦品種(Triticum aestivum L.)、ボブホワイト、アン ザ、及びイエコーラ・ロージョを、前述のように温室で育成した(Weeksら.,1994 ,or Lemauxら.,1996)。衝撃処理用エクスプラントの調製及び培養 :約1.0-2.5mmのIEsを実施例6に示す ように分離し、D'、D'BC又はDBC3において育成した。誘導後5-7日目において、 薄暗い光条件(約10-30μE、16時間露光)にて、高度に幼胚性の構造体を有する卵 様の形状をした、「娘組織」とよばれる組織(長さ約2-4mm)を発芽中のIEsから手摘 みにより分離し、各々を新鮮培地に移した。薄暗い光条件にて、24±1℃で3週 間培養した後、各培地から採取した組織を小片(約3-4mm)に切断し、新鮮培地に 移した。この組織を3-4週間の間隔をおいて経代培養し、各培地上で維持した。苗条再生試験 :大きさ約4-6mmのボブホワイト、アンザ及びイエコーラ・ロージ ョ由来の2ヶ月齢になる組織片7片を、各培地上で生育して維持し、固形再生培 地(フィトホルモンを含まない0.1μM銅を含むカルス誘導培地)上で育成し、約45 -55μEの光強度に露光した。各培地処理を3回ずつ実施した。再生培地上で4週 間経過後、高再生能苗条の数と、高再生能組織の組織片1片あたりの高再生能苗 条数とを計数した。同一組織の基底部から1枚以上の葉が発生した場合、それを 1苗条と数えた。結果 娘組織由来インビトロ系の確立 カルス誘導培地上で3-5日経過後、3つの小麦遺伝子型すべての未熟な胚芽に おいて、発芽中の苗条基底部、又は発芽中の苗条基底部近くの白色を帯びた軟組 織から、娘組織が発生した。一般に、2,4-D単独を含むD'培地よりも、2,4-D、BA P、及び銅を含有するD'BC2培地及びDBC3培地のほうが、遺伝子型に関わりなく娘 組織の誘導率は高くなり、高品質の娘組織が発生した。この娘組織は、時間が経 過するにつれて、急激に発育し、多様な分裂状構造体を有する、まとまりのよい 緑色再生組織を形成しD'BC2培地又はDBC3培地上で生育したが、D'培地上では、 生育の遅い淡褐色の非幼胚性組織となるか、又は生育しなかった。D'BC2培地又 はDBC3培地上で生育した娘組織由来の再生力の高い組織は、末熟な胚盤組織と形 態がよく似ていた。一般に、DBC3培地は、3種の遺伝子型すべてにおいて、再生 力の高い組織を維持する上で最適であった・受精植物の再生 :DBC3培地由来のイエコーラ・ロージョ及びアンザにおける2ヶ 月齢の組織7片を、再生培地に移した。4週間後、D'BC2培地又はDBC3培地由来 の再生力の高い組織は、緑色組織1片あたり(4-6mm)10-18苗条の範囲で、再生培 地上に多様な緑色苗条を産生した。しかし、D'培地上で維持したカルス組織は、 緑色組織をほとんど産生しなかった。ボブホワイトはアンザ及びイエコーラ・ロ ージョよりもわずかに再生力を有した。実施例8:オート麦における高頻度の形質転換 筆者らはここに、胚芽カルスから派生した再生力の高い培養物におけるマイク ロプロジェクタイル・衝撃処理を使用して、効率の高い形質転換系を記述する。 我々のプロトコールは、形質転換頻度(26%)及び形質転換系統の再成力(100%) を劇的に向上させた。材料と方法 植物材料 :GAF-30/Parkすなわち春オート麦(Avena sativa)品種の成熟種を 20%(v/v)漂白剤(5.25%亜塩素酸ナトリウム)中で20分間表面滅菌し、続いて滅 菌水で3回洗浄した。この種を2つの異なるカルス誘導培地すなわちD'BC2培地 又はDBC3培地上においた。誘導後5-7日目に、発芽した苗条及び根を手摘みで除 去した。薄暗い光条件下(約10-30μE、16時間露光)にて24±1℃で3週間培養後 、最高品質の組織を選抜し、3-4週間の間隔をおいて各培地上で経代培養して維 持し、再生力の高い組織を増殖させた。粒子衝撃処理及び安定した形質転換: 約4-5ヶ月齢に達した培養物を、マイクロ プロジェクタイルの衝撃処理に使用した。この組織(3-4mm)を、等モルのマンニ トール及びソルビトールを含有するD'BC2培地又はDBC3培地上へ移して浸透圧性 前処理し、最終濃度を0.4Mとした。浸透圧で処理した4時間後、組織を前述のよ うに衝撃処理した(Wan and Lemaux,1994;Lemauxら.,1996)。金粒子(10μm)を 、25μgの、1:1モル比としたpAct11HPT-4及びpAHC15とで被覆し、続いてPDS-100 0Heビオリスティックデバイス(Bio-Rad Inc.,Hercules,CA)を使って900psiで衝 撃処理した。衝撃処理後16-18時間に、衝撃処理した組織をD'BC2培地又はDBC3培 地上に浸透圧処理せずにおき、薄暗い光下で24±1℃で育成した。 最初の10-14日に及ぶ培養期間に続き、大きさによって各再生組織を1-3片に破 砕し、20mg/LのヒグロマイシンB(Boehringer Mannheim、Mannheim,Germany)を 添加したD'BC2培地又はDBC3培地に移した。2回目の選抜ラウンド以降、20mg/L のヒグロマイシンBを含有する同一の培地上で、3-4週間の間隔をおいて組織を経 代培養した。各培地上で適当な大きさの緑色再生組織を同定したあと、選抜を行 わずに組織をFHG再生培地上へおき、高密度の光に曝露した(約45-55μE)。FHG培 地上で4週間置いた後、再生してきた苗条を、選抜を行わずに発根培地(フィト ホルモンを含まないカルス誘導培地)を含むマゼンタボックスへ移した。苗条が ボックスの頭部に達した時点で、植物を土 壌へ移した。組織化学的GUSアッセイ :pAct11HPT-4及びpAHC15の混合物で形質転換させた各形 質転換系統由来のT0植物及びT1種を、前述のように組織化学的染色法によってGU S活性を試験した。ゲノムDNAの単離、PCR及びDNAブロットハイブリダイゼーション :互いに独立した 葉の組織から、総ゲノムDNAを前述のように精製した(Dellaporta,1993)。uidAが 推定上形質転換した系統のゲノムDNAに存在するかどうかを試験するため、250ng のゲノムDNAをプライマーセットUIDA1及びUID2Rを使ってPCR法により増幅した。 hptの存在については、プライマーセットHPT6F及びHPT5Rを使って試験した。増 幅は前述のように実施した。1.8kbの画分の存在は、未処理のuidA画分と内部の0 .81kb画分がそれぞれhpt画分によって産生されたことを示した。 DNAブロットハイブリダイゼーションには、製造業者の指示に従って、各系統 における葉部組織由来の10μgの総ゲノムDNAを、EcoRI及びBamHIで消去し、1.0 %アガロースゲルで分離して、Zeta-ProbeGT膜(Bio-Rad、Hercules,CA)へ移し、 放射性物質で標識したuidA特異的プローブでハイブリダイズした。uidA含有1.8k bのXbaI画分を、QIAEXゲル抽出キット(QIAGEN,Chatsworth,CA)を使用してpBI221 から精製し、ランダムプライマーを使ってα-32P-dCTPで標識した。結果 形質転換クローンにおける衝撃処理及び選抜 :苗条の分裂状組織をD'BC2培地又は DBC3培地上で薄暗い光条件下で4-5ヶ月間培養した。衝撃処理用には、30片ほど の組織(3-4mm)を、浸透圧前処理をした同一培地上においた。衝撃処理後16-18時 間において、等張処理せずに10-14日間D'BC2培地又はDBC3培地上へhpt選抜用に2 0mg/LのヒグロマイシンBを添加して、選抜せずに組織をお いた。3回目の移動以降(第2ラウンド)、選抜圧を同一水準に維持した。ヒグロ マイシン選抜に反応して、組織は次第に褐色を帯びていった。一般に、多様な再 生構造体を有し、苗条分裂組織と外観の類似した構造体を有するヒグロマイシン 耐性組織が、第3ラウンドの選抜において認められた。再生用に充分な組織が得 られるまでは、第4ラウンド選抜以降、推定上形質転換組織を同一培地上で維持 し増殖させた。形質転換した分裂状組織をFHG培地上で再生させ、植物を土壌へ 移して、発根培地(フィトホルモンを含まないカルス誘導培地)において育成後、 3-4週間にわたって成熟するまでマゼンタボックス内で育成した。現時点までは 、この形質転換プロトコールをしようして327片の組織片から別個に84個の形質 転換系統が得られ、形質転換頻度は26%となっている。形質転換系統すべては再 生可能であった。T0 及びT1植物の解析 :推定上形質転換系統におけるGUS活性の組織化学的解析によ り、継続的に形質転換が起きている明らかな証拠を得た。GUS発現は推定上形質 転換再生組織及び再生した葉部組織において検出された。試験対象となった84個 の独立したヒグロマイシン耐性系統のうち、56個はGUS活性が陽性を示し、共発 現効率は70%となった。 誘導遺伝子が推定上形質転換したT0植物の葉に存在することを確認するため、 PCRを実施した。ヒグロマイシンによる選抜後、GUS陽性の形質転換体である17個 すべての形質転換系統において、uidAの1.8kb画分及び0.81kbのhpt画分を、PCR 後に得た。しかし、いずれのプライマーセットを使用した陰性対照においては、 いずれの画分も増幅されなかった。 誘導されたuidA遺伝子の、形質転換したオート麦のゲノムDNAへの統合につい ては、DNAブロットハイブリダイゼーション解析により確認した。GUS活性及びPC Rアッセイが陽性を示した8個の形質転換系統におけるすべてのゲノムDNAの結果 は、ゲノムDNAをEcoRI及びBamHIで消去した後において、 uidAプローブと,予想された1.8kbの画分とがハイブリダイズしていることを示し た。このプローブは、各形質転換系統において消去されていないゲノムDNAの高 分子量画分のみとハイブリダイズしており、これによって、マーカー遺伝子がオ ート麦のゲノムと統合していることを示した。DNAをEcoRI及びBamHIで消去する ことによって決定したuidA遺伝子のコピー数は、ゲノム1個あたり1から10以上 の範囲にあった。考察 筆者らが(表12で)認めた26%という形質転換頻度(エクスプラント1個あたり の形質転換体の数)は、別の標的組織を使って過去に報告したオート麦の形質転 換頻度よりも高くなっていた。この成功に寄与する因子は、再生力の高い構造体 を形質転換標的として使用した点にある。高い割合で有能細胞を含む標的組織は 、再生力か高く、急激に増殖する。そのような増殖上の特徴は、選抜の第1段階 から形質転換における標的組織の品質を高め、選抜期間を短縮する。形質転換系 統すべては再生力が高く、多様な緑色苗条を産生した(表12)。形質転換系統の再 生力もまた、過去に報告した別の系よりも高くなった。 実施例9:Turf/Forage Grassesの形質転換 筆者らはここに、成熟した種から派生した再生能の高い組織から、多様な緑色 苗条を発生し、クリーピングベントグラス、トールフェスク、オーチャードグラ ス及びその他turf/forageグラスを高頻度で形質転換させることに成功した、効 率の良いインビトロ培養系を記述する。材料及び方法 植物材料 :5種のモノコットturf/forageグラス、クリーピングベントグラス(putt er)、ケンタッキー・ブルーグラス(kenblue)、ストロング・クリーピングレッド ・フェスキュー(43F-93)、トール・フェスキュー(Ky31),及びオーチャードグラ ス(Rapido)の成熟した種を、培養誘導に使用した。 衝撃処理用エクスプラントの調製及び培養:5種のグラス由来の成熟した種を、 20%(v/v)漂白剤(5.25%亜塩素酸ナトリウム)で30分間表面滅菌し、滅菌水で3 回洗った。種を3つの異なる誘導培地、すなわちD'培地、D'BC2培地、又はDBC3 培地上で育成した。誘導の5-7日後、発芽した苗条及び根を手で摘み取った。薄 暗い光条件下(約10-30μE、16時間露光)で24±1℃にて3週間培養後、胚盤由来 の再高品質の組織を、各培地から選抜して、小片(約3-4mm)に切断し、新鮮培地 に移した。さらに3-4週間培養後、組織を再度選抜して、大きさ約3-5mmの切片2- 4個に砕き、新鮮培地に移した。3-4週間の間隔をおいて組織を経代培養し、各培 地に移して維持した。苗条再生試験 :大きさ約4-6mmの4-6か月齢の組織片7片を、各培地上で育成して 維持し、1mg/LのBAを含有する固体FHG再生培地上におき、約45-55μEの光密度に 曝露した。各培地処理を3-4回別個に行った。再生培地上で3週間おいた後、苗 条を産生する再生能の高い組織の数と、高い再生能を有する組織あたりの組織片 1片あたりの苗条数を計数した。同一組織の基底部から発生した1枚以上の葉が 発生した場合、これを1苗条として計数した。高い再生能を有する組織を使用した安定した形質転換 :高い再生能の培養物を、 前述のように4-5ヶ月間培養することによって入手し、マイクロプロジェクタイ ル衝撃処理用にのみ良質の組織を使用した。再生組織(3-4mm)は、等モルのマン ニトールとソルビトールを最終濃度が0.4Mとなるよう添加したD'培地、D'BC2培 地、又はDBC3培地に入れて浸透圧前処理した。浸透圧処理後4時間経過してから 、組織を前述(Wan and Lemaux,1994;Lemauxら.,1996))のように衝撃処理した 。金粒子(1.0μm)を、25μgのモル比1:1:1のpAct1IHPT-4、pAHC15、及びpAHC20 とで被覆し、続いてPDS-1000Heビオリスティックデバイス(Bio-Rad,Inc.,Hercul es,CA)を900psiで処理して衝撃処理した。衝撃処理後16-18時間経過した時点で 、衝撃処理した組織を、30mg/LのヒグロマイシンBに添加したD'BC2培地又はDBC3 培地にまいた。第1ラウンドの選抜から3週間後、培養物を、オーチャードグラ スの場合には30mg/LのヒグロマイシンBを添加した新鮮なD'BC2培地又はDBC3培地 に入れ、クリーピングベントグラス及びトールフェスキュー用には50mg/Lのヒグ ロマイシンBを添加した同培地に入れた。第2ラウンドの選抜からは、組織を、 オーチャードグラスの場合には30mg/LのヒグロマイシンB添加DBC培地に入れて経 代培養し、3-4週間の間隔をおいて経代培養した。クリーピングベントグラス及 びトールフェスキュー用には、第2ラウンド及び第3ラウンドの選抜において、 50-100mg/LのヒグロマイシンBを添加して使用した。DBC3培地上で適当な大きさ の緑色の再生組織を同定したら、その組織を選抜のために固形培地上へ移し、高 密度の光に曝露した(約45-55μE)。再生培地上(フィトホルモンを含まないカル ス誘導培地)で4週間おいた後、再生苗条を選抜せずに、同一の培地を含むマゼ ンタボックスへ移した。苗条がボックスの頭部へ達した時点で、植物を土壌へ移 した。形質転換植物の解析 :組織化学的染色法により、前述のようにT0植物をGUS活性用 に試験した。 互いに独立した系統に由来する葉部組織から、総ゲノムDNAを前述のように(De llaporta,1993)精製した。推定上形質転換した系統のゲノムDNAにおいてuidAが 存在するかどうかを試験するため、250ngのゲノムDNAを、プライマーセットUIDA 1及びUID2Rを使ったPCRによって増幅した。hptの存在については、プライマーセ ットHPT6F及びHPT5Rを使って試験した。増幅については前述のように試験した。 1.8kb画分の存在は、未処理uidA画分と内部0.81kb画分が、それぞれhpt画分によ り産生されたことを示す。結果 効率良いインビトロシステムの確立 :すべての5種のturf/forageグラスは、D'BC 2培地又はDBC3培地上で、高品質で光沢があり、まとまりがよく、高い再生能を 有する組織を産生した。薄暗い光条件下において、高い再生能を有する上で適正 な形状を有すると一旦同定されると、その再生組織は残留組織から容易に分離で き、D'BC2培地又はDBC3培地上で別個に維持することが可能となった。高い再生力を有する組織からの、受精植物の再生 :組織を再生培地に移した3週 間後、レッドフェスキュー及びケンタッキーブルーグラスの場合、D'BC2培地及 びDBC3培地由来の高い再生力を有する組織が多様な緑色苗条を産生し、緑色片(4 -6mm)1片あたり、2.7片から7.4片の範囲で苗条が発生した(表14)。しかし、D'培 地上で維持されていたカルス組織は、レッドフェスキュー及びケンタッキーブル ーグラスの場合、再生緑色植物をまったく産生しなかった。抵抗性遺伝子型の安定した形質転換 :トールフェスキュー、クリーピングベント グラス、及びオーチャードグラスの高い再生能を有する組織を、D'培地、D'BC2 培地又はDBC3培地上で衝撃処理した。一般には、若干の緑色セクタを有するヒグ ロマイシン耐性組織は、緑色セクタが完全に発達した再生組織を形成するまでは 、選抜用と同一の培地において維持された。緑色再生組織を再生培地上で再生さ せ、その植物をマゼンタボックス内で同一の培地にて育成後、約3-4週間お いてから土壌へ移した。表13は、被験条件下において、クリーピングベントグラ ス、レッドフェスキュー、及びケンタッキーブルーグラスの組織から再生した苗 条の数を示している。今日まで、独立した11個の再生可能なオーチャードグラス 系、独立した7個のトールフェスキュー系、及び独立した8個のクリーピングベ ントグラス系を、pAct1IHPT-4、pAHC15、及びpAHC20(表14)の混合物で形質転換 することによって得ている。T0 植物の解析 :推定上の形質転換系を対象としたGUS活性を組織化学的に解析した ところ、turf/forageグラスが首尾よく形質転換している正の証拠を得た、uidA が強く発現していることが、若干の形質転換系において葉部組織に検出された( 表14)。 本発明の原理を図示し説明したので、本発明の技術分野に通じた者が、かかる 諸原理から逸脱せずに詳細な部分を改変できることは明らかである。我々は、付 属する請求の範囲の精神及び目的内において、すべての改変を請求する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 チョー,ミョン−ジ アメリカ合衆国、94502 カリフォルニア、 アラメダ、ガーデン・ロード 37

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.形質転換植物細胞を産生するために胚形成性カルスの細胞内に核酸を導入 するステップと 形質転換カルスを産生するために形質転換植物細胞の増殖を促進するよう、オ ーキシンを含有するカルス誘導培地上で形質転換植物を培養するステップと、 持続的増殖と再生能力のある形質転換構造体の形成とを促進するよう、オーキ シン及びサイトカイニンを含有する中間インキュベーション培地上で形質転換カ ルスを培養するステップと、 形質転換植物を産生するために再生培地上で形質転換構造体を培養するステッ プと を含んでなる形質転換植物を作出する方法。 2.オーキシンが2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、ジカンバ、ナフタレン酢酸、 インドール酢酸及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項1に記載の 方法。 3.サイトカイニンが6-ベンジルアミノプリン、ゼアチン、ゼアチンリボシド 、キネチン、2iP及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項1に記載 の方法。 4.カルス誘導培地が約0.1mg/L〜約5mg/Lの濃度でオーキシンを含有する請求 項1に記載の方法。 5.カルス誘導培地が約0.01mg/L〜約2.0mg/Lの濃度でサイトカイニンを含有 する請求項1に記載の方法。 6.中間インキュベーション培地が約0.1mg/L〜約5mg/Lの濃度でオーキシンを 含有する請求項1に記載の方法。 7.中間インキュベーション培地が約0.1mg/L〜約5mg/Lの濃度でサイトカイニ ンを含有する請求項1に記載の方法。 8.カルス誘導培地が約0.1mg/L〜約5mg/Lの濃度でオーキシン及び約0.01mg/L 〜約2.0mg/Lの濃度でサイトカイニンを含有しており、中間インキュベーション 培地が約0.1mg/L〜約5mg/Lの濃度でオーキシン及び約0.1mg/L〜約5mg/Lの濃度で サイトカイニンを含有している請求項1に記載の方法。 9.中間インキュベーション培地が約0.1μM〜約50μMの濃度で銅を含有する 請求項8に記載の方法。 10.中間インキュベーション培地が約0.1μM〜約50μMの濃度で銅を含有す る請求項1に記載の方法。 11.カルス誘導培地上で形質転換植物細胞を培養するステップがそれによっ て緑色形質転換カルスを産生するために、薄暗い照明条件下で形質転換植物細胞 を培養するステップを含む請求項1に記載の方法。 12.さらに選択剤を含有する培地上で植物細胞をインキュベートすることに より形質転換植物細胞を選択するステップを含み、このとき植物細胞内への異種 DNAの導入後に形質転換植物細胞が増殖するために十分な期間選択が遅延され る請求項1に記載の方法。 13.異種DNAを導入するステップが、植物細胞を含む標的植物組織に対す る異種DNAで被覆された微粒子弾丸を用いた衝撃法を含む請求項1に記載の方 法。 14.標的植物組織が緑色カルスである請求項13に記載の方法。 15.衝撃法が1,300psiで実施される請求項13に記載の方法。 16.衝撃法が約600psi〜約900psiで実施される請求項15に記載の方法。 17.植物が単子葉植物である請求項1に記載の方法。 18.植物がオオムギ遺伝子型である請求項17に記載の方法。 19.オオムギ遺伝子型がGolden Promise、Galena、Harrington、Morex、Mor avian III及びSalomeから成る群から選択される請求項18に記載の方法。 20.各形質転換事象が推定形質転換オオムギ細胞を含む複数の推定形質転換 事象を誘発するように、異種DNAで被覆された微粒子弾丸を緑色オオムギカル ス組織に当てるステップと、 生殖能力のある緑色形質転換オオムギ植物を産生するために推定形質転換オオ ムギ細胞の増殖及び再生を導く条件下で推定形質転換オオムギ細胞を培養するス テップと を含んでなる形質転換オオムギ植物を産生する方法。 21.オオムギ植物を産生する推定形質転換事象の少なくとも約60%が緑色形 質転換オオムギ植物を産生する請求項20に記載の方法。 22.オオムギ植物を産生する推定形質転換事象の少なくとも約75%が緑色形 質転換オオムギ植物を産生する請求項21に記載の方法。 23.オオムギ植物を産生する推定形質転換事象の少なくとも約90%が緑色形 質転換オオムギ植物を産生する請求項22に記載の方法。 24.推定形質転換オオムギ細胞を培養するステップが、 推定形質転換オオムギカルスを誘導するためにオーキシンを含有するカルス誘 導培地上で推定形質転換オオムギ細胞を培養するステップと、 再生能力のある推定形質転換構造体を産生するためにオーキシン及びサイトカ イニンを含有する中間インキュベーション培地上で推定形質転換オオムギ細胞を 培養するステップと、 緑色形質転換植物を産生するために再生培地上で推定形質転換構造体を培養す るステップと を含んでなる、請求項23に記載の方法。 25.約0.1mg/L〜約5mg/Lの濃度でオーキシン、約0.01mg/L〜約2.0mg/Lの濃 度でサイトカイニン及び約0.1μM〜約50μMの濃度で銅を含有している水性植物 培地。 26. マルトースを含有する請求項24の培地。
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