JP2001520884A - ウイルスがコードするセマフォリンタンパク質受容体dnaおよびポリペプチド - Google Patents

ウイルスがコードするセマフォリンタンパク質受容体dnaおよびポリペプチド

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、精製されそして単離されているタンパク質としてのVESPRポリペプチド、VESPRポリペプチドをコードするDNA、VESPRをコードするcDNAでトランスフェクションされている宿主細胞、およびVESPRポリペプチドを調製するための方法に向けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、セマフォリン(semaphorin)受容体ポリペプチド、こう
したセマフォリン受容体ポリペプチドをコードする核酸、組換えセマフォリン受
容体ポリペプチドを産生するための方法、およびこうしたポリペプチドを含む薬
剤組成物に関する。
【0002】 発明の背景 セマフォリン遺伝子ファミリーは、神経学的制御因子であることが知られる、
関連する膜貫通および分泌糖タンパク質をコードする、多数の分子を含む。セマ
フォリンは、一般的に、典型的には長さ約500アミノ酸であるその細胞外ドメ
インにおいて、よく保存されている。セマフォリンファミリータンパク質は、ニ
ューロン性および非ニューロン性組織で観察されてきており、そしてその神経成
長円錐ガイダンスにおける役割に関し広く研究されてきている。例えば、コラプ
シン−1およびショウジョウバエ(Drosohila)セマフォリンIIとし
て知られる分泌セマフォリンは、発生中の反発性成長円錐ガイダンスに選択的に
関与している。機能が減少するように突然変異しているセマフォリンIIを有す
るハエは、異常な行動特性を示す。
【0003】 別のセマフォリン遺伝子が、ポックスウイルス(poxvirus)のいくつ
かの株で同定されてきている。このセマフォリンは、ワクシニア(vaccin
ia)ウイルス(コペンハーゲン株)に見られ、そしてA39Rとして知られる
読み枠(ORF)にコードされている。A39Rコードタンパク質は、膜貫通ド
メインおよび潜在的な膜結合を持たず、そして分泌タンパク質として知られてい
る。痘瘡(variola)ウイルスORFもまた、ヌクレオチドレベルおよび
アミノ酸レベルで、ワクシニアウイルスORF A39Rと相同性を共有する配
列を含む。別のウイルスセマフォリン、AHV−セマが、アルセラフィン・ヘル
ペスウイルス(Alcelaphine Herpesvirus)(AHV)
で見られてきている。
【0004】 昆虫セマフォリンに対する類似性に基づき、哺乳動物(ヒト、ラット、および
マウス)セマフォリンをコードする遺伝子が同定されてきている。これらのセマ
フォリンの機能研究により、胚および成体ニューロンは、作動可能な連結を確立
するため、セマフォリンを必要とすることが示唆される。重要なことに、適切な
セマフォリンに対する成長円錐培養の、速い反応時間により、セマフォリン情報
伝達は、受容体仲介情報伝達機構を含むことが示唆される。今日まで、ラット脊
髄由来のmRNAを用い、ニューロピリン(neuropilin)と称される
、1つのセマフォリン受容体が単離されてきている。ニューロピリン−2と称さ
れる、別の受容体が示唆されてきている(Kolodkinら, Cell 9
0:753−762, 1997)。
【0005】 細胞外環境に分泌されるセマフォリンリガンドは、局所および全身性方式で、
受容体産生細胞を通じ情報を伝達する。こうした局所および全身性情報伝達によ
り制御される細胞過程の性質をさらに研究するため、さらなるセマフォリン受容
体およびリガンドを同定することが有益であろう。さらに、ウイルスがコードす
るセマフォリンは、感染細胞により産生され、そして溶解性であるウイルス(ポ
ックスウイルス類)および向神経性であることが知られていないウイルス(AH
V)に存在するため、その主要な機能が神経学的反応を修飾することであるとは
考えにくい。ウイルスがコードするセマフォリン類は、感染宿主の免疫学的反応
を修飾するよう機能する可能性がより高く、そしてウイルスがコードするセマフ
ォリンに対する哺乳動物相同体(homologue)は、免疫学的反応を修飾
するよう機能する可能性が高い。ウイルスセマフォリンが天然免疫制御因子とし
て免疫系において機能する可能性があるという示唆を考慮し、セマフォリン受容
体を、免疫反応を亢進するまたは下方制御するための治療剤として同定すること
は有益であろう。
【0006】 発明の概要 本発明は、単離されているまたは均質なタンパク質としてのセマフォリン受容
体に関する。特に、本発明は、限定されるわけではないが、A39Rワクシニア
セマフォリンおよびAHVセマフォリンを含むセマフォリンに結合する、VES
PR(ウイルスがコードするセマフォリンタンパク質受容体)と称されるセマフ
ォリン受容体ポリペプチドを提供する。また、本発明の範囲内には、VESPR
ポリペプチドをコードするDNAおよびVESPRポリペプチドをコードするD
NAを含む発現ベクターがある。本発明はまた、VESPRポリペプチドをコー
ドするDNAを含む発現ベクターでトランスフェクションまたは形質転換されて
いる宿主細胞、およびこうした宿主細胞を、発現を導く条件下で培養することに
より、VESPRポリペプチドを産生するための方法も含む。本発明はさらに、
VESPRポリペプチドに対して向けられる抗体を含む。
【0007】 さらに本発明の範囲内には、本発明のVESPRポリペプチドが結合する、セ
マフォリンまたはセマフォリンを発現する細胞を精製するまたは分離するための
方法がある。こうした方法には、少なくとも1つのVESPRポリペプチドを固
相マトリックスに結合させ、そしてVESPRポリペプチドが結合するセマフォ
リンポリペプチドを含む混合物、またはセマフォリン発現細胞の混合物を、結合
しているVEPSRポリペプチドと接触させ、そしてその後、接触表面および溶
液を分離することが含まれる。
【0008】 さらに、本発明は、炎症および炎症性疾患を治療するための方法を提供する。
こうした方法には、可溶性VESPRポリペプチドの治療的に有効な量を、セマ
フォリンリガンドの炎症誘発性(proinflammatory)活性に関連
する疾患を患うヒトまたは他の哺乳動物に投与することが含まれる。
【0009】 発明の詳細な説明 本発明は、ウイルスがコードするセマフォリンタンパク質受容体(VESPR
)と称される新規セマフォリン受容体ポリペプチド、VESPRポリペプチドを
コードするDNAおよびVESPRポリペプチドをコードするDNAを含む組換
え発現ベクターを提供する。本発明はさらに、VESPRポリペプチドを単離す
るための方法、並びに組換え発現ベクターでトランスフェクションされている宿
主細胞を、セマフォリン受容体を発現するのに適した条件下で培養し、そして発
現された受容体ポリペプチドを回収することによる、組換えVESPRポリペプ
チドを産生するための方法を提供する。
【0010】 特に、本発明は、限定されるわけではないが、ワクシニアウイルスA39Rセ
マフォリンおよびAHVセマフォリンを含むセマフォリンに結合するVESPR
ポリペプチドを提供する。本明細書に記載される天然VESPRポリペプチドは
、該受容体を発現するヒト細胞の膜からVESPRを回収するため、エクトロメ
リア(Ectromelia)ウイルスA39Rセマフォリン/Fc融合タンパ
ク質(A39R/Fc)を用い、単離した。以下の実施例に記載されるように、
フローサイトメトリー実験により、本発明のVESPRポリペプチドはB細胞株
、単球型細胞株、T細胞株、樹状細胞、NK細胞、肺上皮細胞、ストローマ、腸
上皮細胞およびリンパ腫細胞に発現されることが証明される。
【0011】 さらに、以下の実施例に立証されるように、本発明のVESPRポリペプチド
は、そのリガンドと結合し、樹状細胞上のCD69活性化抗原の上方制御に関与
する。やはり本明細書に記載されるセマフォリン受容体の特性は、そのリガンド
と相互作用し、インターフェロンおよびSACと相乗作用し、マウス樹状細胞に
対し、IL−12産生を上方制御し、そしてMHCクラスIIおよびCD86発
現を下方制御する能力である。本発明のVESPRポリペプチドはまた、単球上
のCD54の発現増加にも関与し、これはセマフォリンおよびその受容体の間の
相互作用の結果としての細胞活性化を示唆する。受容体−リガンド相互作用の前
述の生物学的特性から生じるVESPRポリペプチドの使用の中に、IL−12
産生および続いて起こるナチュラルキラー細胞活性化を誘導することがある。V
ESPRポリペプチドは、炎症に関連する疾患および不利な状態を治療するのに
、さらなる使用を見出す。特に、可溶性VESPRポリペプチドを用い、セマフ
ォリンリガンドおよびその受容体の相互作用に関連する炎症誘発性(proin
flammatory)活性に拮抗(antagonize)させてもよい。滑
膜組織の慢性炎症に関連する疾患である慢性関節リウマチは、ヒトセマフォリン
E遺伝子の上方制御と結び付けられてきている(Mangasser−Step
hanら, Biochem and Biophys Res Com, 2
34:153−156, 1997)。したがって、本発明の可溶性型VESP
Rポリペプチドは、本炎症性疾患を仲介するセマフォリン活性を下方制御するの
に有用である可能性がある。
【0012】 本発明の天然セマフォリン受容体である、VESPRは、エクトロメリアA3
9Rとして知られるウイルスセマフォリンリガンドを用い、単離した。以下の実
施例1は、A39Rセマフォリンリガンドを単離すること、並びにリガンドに結
合する細胞株を同定するため、およびA39Rおよびその細胞結合受容体の間の
相互作用の影響を決定するため用いたA39R/Fc融合タンパク質を調製する
ことを記載する。
【0013】 実施例4および5は、本発明の天然VESPRポリペプチドを同定すること、
およびヒトVESPRポリペプチドを単離しそして精製することを記載する。実
施例5に記載されるように単離されたヒトVESPRポリペプチドのアミノ酸配
列は、配列番号2に開示されている。配列番号2のアミノ酸配列は、トリプシン
消化で産生されたペプチドの直列(tandem)質量分析を、隣接しているE
ST配列および同定されているcDNAと組み合わせて用い、単離されそして精
製されている受容体を配列決定することにより得た。配列番号2に示されるアミ
ノ酸配列は、アミノ酸34に予測される切断部位を持つシグナルペプチドを含む
、アミノ酸1−944の予測される細胞外ドメインを有する。配列番号2の予測
される膜貫通ドメインは、アミノ酸945−965を含み、そして配列番号2の
細胞質ドメインは、アミノ酸966−1568に渡る。
【0014】 大腸菌(E. coli)DH10B中のヒトVESPRのアミノ酸19−1
100をコードするDNAを、___にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレ
クション(American Type Culture Collectio
n)、米国メリーランド州ロックビルに寄託し、そして寄託番号___を得た。
該寄託は、ブダペスト条約の条件下で行われた。寄託物のDNA構築物は、ヌク
レオチド172がCである点で、配列番号1のものと異なる。生じるコードされ
るアミノ酸58はleuである。
【0015】 利用可能なデータベースで、全長VESPRまたはそのドメインと相同性を共
有するタンパク質およびポリペプチドに関し、アミノ酸配列検索を行った。VE
SPRと相同性を共有するポリペプチドに関する検索は、Altschulら,
J Mol Bio 215:403−410(1990)に記載されるBL
ASTアルゴリズムを用い、行った。本プログラムを用い、VESPRアミノ酸
配列を、米国バイオテクノロジー情報センター(National Cente
r for Biotechnology Information)から得ら
れるデータベースに見られるタンパク質およびDNA配列と比較した。これらの
検索の結果として得た類似性スコアにより、VESPRと多様な度合いの相同性
を有するポリペプチド群が同定された。最も高い度合いの類似性は、VESPR
および「プレクシン(plexin)遺伝子ファミリー」として知られるタンパ
ク質群の間に見られた(Maestriniら, 1996およびKameya
maら, 1996)。遺伝学コンピューターグループ(GCG)プログラム「
BESTFIT」および「PILEUP」(ウィスコンシン・パッケージ、9.
0)で実行されるような、Smith−Watermanアルゴリズムを用い、
VESPR並びにヒトおよびネズミのプレクシンファミリーのメンバーの間の対
および多数配列整列を行った。GCGプログラム「DISTANCES」を用い
、整列タンパク質配列の平均対同一性パーセントを計算した。
【0016】 VESPRポリペプチドおよびプレクシン遺伝子ファミリーのいくつかのメン
バーの各々の間の対配列整列により、その細胞質ドメイン(アミノ酸966−1
568)の39%から40%の平均同一性および全タンパク質の各々に関する2
4%−25%の平均同一性が明らかになった。細胞質ドメインの相同性がより高
い程度であることにより、細胞質ドメインに同様のシグナル伝達機構があること
が示唆される。
【0017】 ある程度の全体的な相同性を有することが見出されたタンパク質配列間の類似
性領域を同定するため、BLIXEMおよびMSPCRUNCHプログラム(S
onnhammerおよびDurbin(1944a,b))を用い、タンパク
質データベース検索の結果の相同性解析を行った。相同性解析により、Kolo
dkinら(1993)に記載されるセマフォリン遺伝子ファミリーのいくつか
のメンバーのセマフォリンドメインの領域に対し、類似性を持つ新規のサブドメ
インが明らかになった。新規サブドメインは本発明のVESPR配列のアミノ酸
380−482を含む。本サブドメインは2つの別個の、より小さい領域にさら
に分割することが可能であり、それぞれ残基388−402および454−48
2を含む。C近位半サブドメインは、いくつかの非常に保存されているシステイ
ンおよびトリプトファン残基を含み、コンセンサス配列C−x(5)−C−x(
2)−C−x(7)−C−x−W−C−x(5)−C、ここでxはいかなるアミ
ノ酸でもよい、を形成する。この全サブドメインは、セマフォリン遺伝子ファミ
リーに関し記載されている標準的セマフォリンドメインとは、(a)該サブドメ
インがより小さく(該サブドメインが100アミノ酸残基に対し全セマフォリン
ドメインは500残基)、(b)該サブドメインが、どちらも標準的セマフォリ
ン遺伝子ファミリーメンバーではない、プレクシン遺伝子ファミリーおよびME
T−肝細胞増殖因子受容体ファミリーにも存在し、そして(c)該サブドメイン
が、それ自体セマフォリン遺伝子ファミリーのメンバーではないが、セマフォリ
ンファミリーのメンバー(A39R)と相互作用する遺伝子に存在する点で、異
なる。これらのサブドメイン配列は、したがって、セマフォリンと相互作用する
他の受容体をさらに同定することが潜在的に可能であるペプチドを代表する。
【0018】 配列番号2のVESPRポリペプチドをコードするcDNA配列は、隣接する
ESTおよびクローンされたcDNAヌクレオチド配列の複合物として組み立て
られ、そして配列番号1に開示されている。実施例5に記載されるように、配列
番号2のアミノ酸配列をコードするcDNAを同定することにより、コードする
cDNAを含む発現ベクターを構築することが可能になる。その後VESPRポ
リペプチドをコードするcDNAを含む組換え発現ベクターでトランスフェクシ
ョンされている宿主細胞を、VESPRポリペプチドを発現するのに適した条件
下で培養し、そして発現されたVESPRポリペプチドを回収することが、本発
明のVESPRポリペプチドを産生するための方法を提供する。
【0019】 VESPRポリペプチドはB細胞株、T細胞株および樹状細胞で見られるため
、過敏性または低作用性免疫制御に関連する多様な状態を治療することが可能で
ある。さらに、リガンドおよび受容体複合体は、神経成長、発生、および/また
は維持に関与している可能性がある。こうしたものに限定されないが、VESP
Rの特定の使用が以下に記載される。
【0020】 本発明の「VESPR」および「VESPRポリペプチド」という用語は、配
列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および配列番号1の核酸配列を
含む核酸がコードするタンパク質を含む。さらに、該用語は、配列番号2のアミ
ノ酸配列と高い度合いの類似性または高い度合いの同一性を有するポリペプチド
であって、生物学的に活性があり、そしてセマフォリンファミリーのメンバーで
ある分子または分子の断片の少なくとも1つに結合する、前記ポリペプチドを含
む。さらにVESPRという用語は、配列番号1のDNAの生物学的に活性があ
る遺伝子産物を指す。さらにVESPRという用語に含まれるのは、主にタンパ
ク質の結合部分を含み、生物学的活性を保持し、そして分泌されることが可能で
ある、可溶性または一部切除(truncated)タンパク質である。こうし
た可溶性タンパク質の特定の例は、配列番号2のアミノ酸1−944の配列を含
むものである。
【0021】 VESPRまたはセマフォリン受容体ポリペプチドを指す場合、「生物学的に
活性がある」という用語は、VESPRまたはセマフォリン受容体ポリペプチド
が少なくとも1つのセマフォリンに結合することが可能であることを意味する。
VESPR結合を測定するのに適したアッセイが本明細書に記載され、そして該
アッセイは標準的フローサイトメトリー試験およびスライド結合試験を含んでも
よい。
【0022】 「単離されている」は、VESPRが、例えば、組換え宿主細胞培養の精製産
物として、または精製抽出物として、実質的に発現過程の残渣である他のタンパ
ク質またはポリペプチドを含まないことを意味する。
【0023】 本明細書で論及されるVESPR変異体(variant)は、天然VESP
Rに実質的に相同であるが、1つまたはそれ以上の欠失、挿入または置換のため 、天然VESPRのものと異なるアミノ酸配列を有する、ポリペプチドを意味す
る。変異体アミノ酸配列は、好ましくは、天然VESPRアミノ酸配列に少なく
とも80%同一であり、最も好ましくは少なくとも90%同一である。パーセン
ト同一性は、例えば、Devereuxら(Nucl. Acids Res.
12:387, 1984)に記載され、そしてウィスコンシン大学遺伝学コ
ンピューターグループ(UWGCG)より入手可能なGAPコンピュータープロ
グラム、バージョン8.1を用い配列情報を比較することにより、決定してもよ
い。GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメーターには:(1)ヌクレオ
チドに関する単一(unary)比較マトリックス(同一に対し1および非同一
に対し0の値を含む)、およびSchwartzおよびDayhoff監修,A
tlas of Protein Sequence and Structu
re, National Biomedical Research Fou
ndation,pp.353−358, 1979に記載されるような、Gr
ibskovおよびBurgess, Nucl. Acids Res. 1
4:6745, 1986の加重比較マトリックス;(2)各ギャップに対する
3.0のペナルティおよび各ギャップ中の各記号に対しさらに0.10のペナル
ティ;および(3)末端ギャップに対するペナルティなし、が含まれる。変異体
は保存的置換配列を含んでもよく、これは既定のアミノ酸残基が同様の物理化学
的特性を有する残基により置換されていることを意味する。保存的置換の例には
、1つの脂肪族残基を互いに、例えばIle、Val、Leu、またはAlaを
互いに置換するもの、またはLysおよびArg;GluおよびAsp;または
GlnおよびAsn間といった、1つの極性残基から別のものへの置換が含まれ
る。他のこうした保存的置換、例えば、同様の疎水性特性を有する領域全体の置
換が、周知である。天然発生VESPR変異体または対立遺伝子もまた、本発明
に含まれる。こうした変異体の例は、選択的mRNA事象から、またはVESP
Rタンパク質のタンパク質分解的切断から生じる、結合特性が保持されているタ
ンパク質である。mRNAの選択的スプライシングは、一部切除されているが生
物学的に活性があるVESPRポリペプチドを生じる可能性があり、例えば該タ
ンパク質の天然発生可溶性型などがある。タンパク質分解に起因すると考えられ
る変異体には、例えば、異なる種類の宿主細胞における発現に際しての、VES
PRポリペプチドからの1つまたはそれ以上の末端アミノ酸(一般的に1−5末
端アミノ酸)のタンパク質分解的除去によるN末端の相違が含まれる。
【0024】 上述のように実施例1は、VESPR結合を研究するのに有用な、新規ウイル
スA39R/Fc融合タンパク質の構築を記載する。本実施例に記載されるヒト
IgG1 Fc領域に対し、他の抗体Fc領域を置換してもよい。適切なFc領
域は、プロテインAまたはプロテインGに高い親和性で結合することが可能なも
のであり、そしてヒトIgG1のFc領域あるいはヒトまたはネズミIgG1
Fc領域の断片、例えば鎖間ジスルフィド結合が形成されるであろうように、少
なくともヒンジ領域を含む断片を含む。ウイルスA39R:Fc融合タンパク質
は、容易に精製されるという利点を提供する。さらに、ジスルフィド結合は2つ
の別個の融合タンパク質鎖のFc領域の間に形成され、二量体を生成する。
【0025】 上述のように、1つの側面において、本発明は、可溶性VESPRポリペプチ
ドを含む。可溶性VESPRポリペプチドは、天然VESPRの細胞外ドメイン
のすべてまたは一部を含むが、細胞膜上へのポリペプチドの保持を生じるであろ
う膜貫通領域を欠く。可溶性VESPRポリペプチドは、都合のよいことに、最
初に合成される際、分泌を促進するように天然(または異種性)シグナルペプチ
ドを含むが、VESPRポリペプチドが細胞から分泌される際、該シグナルペプ
チドは切断される。本発明に含まれる可溶性VESPRポリペプチドは、セマフ
ォリンリガンドに結合する能力を保持する。実際、可溶性VESPRポリペプチ
ドは、該可溶性VESPRタンパク質が分泌されることが可能であるならば、シ
グナルの一部または細胞質ドメインの一部あるいは他の配列もまた含んでもよい
【0026】 可溶性VESPRは、望ましいタンパク質を発現する損なわれていない(in
tact)細胞を、培地から、例えば遠心分離により分離し、そして望ましいタ
ンパク質の存在に関し培地(上清)をアッセイすることにより、同定し(そして
その非可溶性膜結合対応物と区別し)てもよい。培地中のVESPRの存在は、
該タンパク質が細胞から分泌され、そしてしたがって望ましいタンパク質の可溶
性型であることを示す。
【0027】 VESPRポリペプチドの可溶性型は、天然膜結合VESPRタンパク質に比
べ多くの利点を有する。可溶性タンパク質は細胞から分泌されるため、組換え宿
主細胞からのタンパク質の精製に適している。さらに、可溶性タンパク質は、一
般的に、静脈内投与に、より適している。
【0028】 可溶性VESPRポリペプチドの例には、天然VESPRポリペプチドの細胞
外ドメインのかなりの部分を含むものが含まれる。可溶性VESPRポリペプチ
ドの例は、配列番号2のアミノ酸1−944である。さらに、全細胞外ドメイン
より少ない部分を含む一部切除可溶性VESPRが、本発明に含まれ、例えばア
ミノ酸35−944である。最初に宿主細胞内で発現されるとき、可溶性VES
PRポリペプチドはさらに、使用される宿主細胞内で機能する、以下に記載され
る異種性シグナルペプチドの1つを含んでもよい。あるいは、該タンパク質は天
然シグナルペプチドを含んでもよい。本発明の1つの態様において、可溶性VE
SPRは、(N末端からC末端に)酵母α−因子シグナルペプチド、以下にそし
て米国特許第5,011,912号に記載されるFLAG(登録商標)ペプチド
、および配列番号2のアミノ酸1−944または35−944からなる可溶性V
ESPRポリペプチドを含む融合タンパク質として発現されてもよい。本組換え
融合タンパク質は、酵母細胞において発現され、そして該細胞から分泌される。
FLAG(登録商標)ペプチドはタンパク質の精製を容易にし、そして続いてウ
シ粘膜エンテロキナーゼを用い、可溶性VESPRから切断することが可能であ
る。可溶性VESPRタンパク質をコードする単離DNA配列が、本発明に含ま
れる。
【0029】 可溶性ポリペプチドを含む、一部切除(truncated)VESPRポリ
ペプチドは、いくつかの慣用的技術のいずれにより調製してもよい。望ましいD
NA配列を、それ自体知られる技術を用い、化学的に合成してもよい。DNA断
片はまた、全長クローンDNA配列の制限エンドヌクレアーゼ消化により産生し
、そしてアガロースゲル上の電気泳動により単離してもよい。制限エンドヌクレ
アーゼ切断部位を含むリンカーを使用し、望ましいDNA断片を発現ベクターに
挿入してもよく、または該断片を、その中に天然に存在する切断部位で消化して
もよい。周知のポリメラーゼ連鎖反応法もまた、望ましいタンパク質断片をコー
ドするDNA配列を増幅するのに使用してもよい。さらなる代替物として、既知
の突然変異誘発技術を使用し、望ましい点、例えば結合ドメインの最後のアミノ
酸に対するコドンのすぐ下流に、終止コドンを挿入してもよい。
【0030】 上述のように、本発明は、組換えおよび非組換え体両方の、単離されているま
たは均質なVESPRポリペプチドを提供する。望ましい生物学的活性(例えば
セマフォリンに結合する能力)を保持する天然VESPRタンパク質の変異体お
よび誘導体は、天然VESPRポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の突
然変異により、得てもよい。天然アミノ酸配列の改変は、いくつかの慣用法のい
ずれにより達成してもよい。突然変異は、天然配列の断片への連結を可能にする
制限部位が隣接している、突然変異配列を含むオリゴヌクレオチドを合成するこ
とにより、特定の遺伝子座に導入してもよい。連結後、生じた再構築配列は、望
ましいアミノ酸挿入、置換、または欠失を有する類似体(analog)をコー
ドする。
【0031】 あるいは、オリゴヌクレオチド指定部位特異的突然変異誘発法を使用し、あら
かじめ決定されたコドンが置換、欠失または挿入により改変されている可能性が
ある、改変遺伝子を提供してもよい。上述の改変を作成する典型的な例は、すべ
て本明細書に援用される、Walderら(Gene 42:133, 198
6);Bauerら(Gene 37:73, 1985);Craik(Bi
oTechniques, January 1985, 12−19);Sm ithら(Genetic Engineering:Principles
and Methods, Plenum Press, 1981);Kun kel(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:48
8, 1985);Kunkelら(Methods in Enzymol.
154:367, 1987);並びに米国特許第4,518,584号およ
び第4,737,462号に開示されている。
【0032】 他の化学部分、例えばグリコシル基、脂質、リン酸、アセチル基およびそれら
に匹敵するものと共有または凝集結合体を形成することにより、天然VESPR
ポリペプチドを修飾し、VESPR誘導体を生成してもよい。VESPRポリペ
プチドの共有誘導体は、VESPRアミノ酸側鎖上の、あるいはVESPRポリ
ペプチドのN末端またはC末端、またはその細胞外ドメインの、官能基上に、化
学部分を連結することにより、調製してもよい。本発明の範囲内の他のVESP
R誘導体には、N末端またはC末端融合体としての組換え培養中の合成によるな
ど、VESPRポリペプチドまたはその断片と他のタンパク質またはポリペプチ
ドとの共有または凝集結合体が含まれる。例えば、結合体は、VESPRポリペ
プチドのN末端にシグナルまたはリーダーポリペプチド配列(例えばサッカロミ
セス属(Saccharomyces)のα−因子リーダー)を含んでもよい。
シグナルまたはリーダーペプチドは、翻訳と同時にまたは翻訳後に、合成部位か
ら細胞膜または細胞壁の内部または外部の部位への、結合体の運搬を指示する。
【0033】 VESPRポリペプチド融合体は、VESPRの精製および同定を容易にする
ため添加されるペプチドを含んでもよい。こうしたペプチドには、例えば、ポリ
Hisまたは米国特許第5,011,912号およびHoppら, Bio/T
echnology 6:1204, 1988に記載される抗原性同定ペプチ
ドが含まれる。
【0034】 本発明はさらに、結合する天然パターン糖鎖付加を含むまたは含まないVES
PRを含む。酵母または哺乳動物発現系(例えばCOS−7細胞)で発現された
VESPRポリペプチドは、発現系の選択に基づき、分子量および糖鎖付加パタ
ーンにおいて、天然VESPRポリペプチドと同様である可能性も、または有意
に異なる可能性もある。細菌発現系、例えば大腸菌(E. coli)でのVE
SPRポリペプチドの発現は、非糖鎖付加分子を提供する。
【0035】 アミノ酸残基または配列の多様な付加または置換、あるいは生物学的活性また
は結合に必要とされない末端または内部残基または配列の欠失をコードする同等
(equivalent)DNA構築物が、本発明に含まれる。例えば、VES
PR細胞外ドメインのN糖鎖付加部位を修飾し、糖鎖付加を妨げてもよく、これ
により哺乳動物および酵母発現系における炭水化物減少類似体の発現が可能にな
る。真核ポリペプチドのN糖鎖付加部位はアミノ酸トリプレットAsn−X−Y
により特徴付けられ、ここでXはPro以外のいかなるアミノ酸でもよく、そし
てYはSerまたはThrである。天然ヒトVESPRタンパク質は、配列番号
2のアミノ酸86−88、141−143、149−151、241−243、
252−254、386−388、407−409、548−550、553−
555、582−584、588−590、591−593、653−655、
686−688、692−694、715−717、741−743、771−
773、796−798、821−823、871−873、890−892、
895−897および920−922にこうしたトリプレットを24含む。これ
らのトリプレットをコードするヌクレオチド配列に対する適切な置換、付加また
は欠失は、Asn側鎖での炭水化物残基の結合の防止を生じるであろう。例えば
、Asnが異なるアミノ酸により置換されるように選択される、単一のヌクレオ
チドの改変は、N糖鎖付加部位を不活性化するのに十分である。タンパク質のN
糖鎖付加部位を不活性化するための既知の方法には、本明細書に援用される、米
国特許第5,071,972号およびEP 276,846に記載されるものが
含まれる。
【0036】 別の例において、生物学的活性に必須でないCys残基をコードする配列を改
変し、Cys残基が欠失され、または他のアミノ酸で置換されるようにし、再生
の際、誤った分子内ジスルフィド架橋が形成されるのを妨げてもよい。他の同等
物は、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母系における発現を亢進させるた
め、隣接する二塩基性アミノ酸残基を修飾することにより調製される。EP 2
12,914は、タンパク質のKEX2プロテアーゼプロセシング部位を不活性
化するための部位特異的突然変異誘発の使用を開示する。KEX2プロテアーゼ
プロセシング部位は、Arg−Arg、Arg−Lys、およびLys−Arg
対を改変し、これらの隣接する塩基性残基の発生を除去するため、残基を欠失、
付加、または置換することにより、不活性化される。Lys−Lys対はKEX
2切断にかなり感受性が低く、そしてArg−LysまたはLys−ArgのL
ys−Lysへの変換は、KEX2部位を不活性化する保存的なそして好ましい
アプローチを代表する。ヒトVESPRは、11のKEX2プロテアーゼプロセ
シング部位を含む。
【0037】 本発明の範囲内にある核酸配列には、中程度のまたは非常にストリンジェント
(stringency)な条件下で、本明細書に開示されるVESPRヌクレ
オチド配列にハイブリダイズし、そして生物学的に活性があるVESPRをコー
ドする、単離DNAおよびRNA配列が含まれる。中程度にストリンジェントな
条件には、Sambrookら, Molecular Cloning:A
Laboratory Manual,第二版, Vol. 1, pp 10
1−104, Cold Spring Harbor Laboratory
Press,(1989)に定義されるように、5 X SSC、0.5% SDS、1.0 mM EDTA(pH 8.0)の前洗浄溶液の使用および約
55℃、5 X SSC、一晩のハイブリダイゼーション条件が含まれる。非常
にストリンジェントな条件には、より高温度のハイブリダイゼーションおよび洗
浄が含まれる。当業者は温度および洗浄溶液塩濃度は、核酸分子の長さおよびA
、T/U、CおよびGヌクレオチドの相対量などの要因にしたがい、必要に応じ
調整してもよいことを認識するであろう。
【0038】 1つ以上のコドンが同一のアミノ酸をコードする可能性がある、遺伝暗号の既
知の縮重のため、DNA配列は配列番号1に示されるものと異なり、そしてなお
配列番号2のアミノ酸配列を有するVESPRポリペプチドをコードする可能性
がある。こうした変異体DNA配列は、沈黙(silent)突然変異(例えば
、PCR増幅中に発生する)から生じてもよいし、または天然配列の意図的な突
然変異誘発の産物であってもよい。
【0039】 本発明は、生物学的に活性があるVESPRをコードする同等の単離DNA配
列であって:(a)配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含むcDNA;(
b)中程度にストリンジェントな条件下で(a)のDNAとハイブリダイズする
ことが可能であり、そして生物学的に活性があるVESPRポリペプチドをコー
ドするDNA;(c)遺伝暗号の結果として(a)または(b)に定義されるD
NAに対し縮重しており、そして生物学的に活性があるVESPRポリペプチド
をコードするDNA;および(d)(a)、(b)または(c)のDNAに相補
的なDNA、より選択される、前記DNA配列を提供する。こうしたDNA同等
配列がコードするVESPRポリペプチドが、本発明に含まれる。
【0040】 配列番号1のDNA配列に同等であるDNAは、配列番号2の配列を含むポリ
ペプチドをコードするDNA配列に,中程度および非常にストリンジェントな条
件下でハイブリダイズするであろう。こうしたDNAがコードするVESPRタ
ンパク質の例には、限定されるわけではないが、VESPR断片および上述のよ
うな、不活性化N糖鎖付加部位、不活性化KEX2プロテアーゼプロセシング部
位、または保存的アミノ酸置換を含むVESPRタンパク質が含まれる。他の種
由来のDNAにコードされるVESPRポリペプチドであって、そして該DNA
が配列番号1のcDNAにハイブリダイズするであろう前記タンパク質もまた、
含まれる。
【0041】 セマフォリン類に結合する、必須の能力を有する変異体は、いかなる適切なア
ッセイにより同定してもよい。VESPRポリペプチドの生物学的活性は、例え
ば、セマフォリン類の受容体結合ドメインへの結合に関する競合(すなわち競合
的結合アッセイ)により、測定してもよい。
【0042】 VESPRポリペプチドに関する競合的結合アッセイの1つの種類は、放射標 識可溶性VESPRおよび損なわれていない(intact)セマフォリン発現
細胞を用いる。損なわれていない細胞の代わりに、可溶性セマフォリン:Fc融
合タンパク質であって、プロテインA、プロテインGあるいは該分子のセマフォ
リンまたはFc部分に対する抗体と、該融合タンパク質のFc部分との相互作用
を通して、固相に結合している該融合タンパク質を代用してもよい。競合的結合
アッセイの別の種類は、融合タンパク質などの放射標識可溶性セマフォリン、お
よびVESPRを発現している損なわれていない細胞を利用する。
【0043】 競合的結合アッセイは、慣用的方法論にしたがい、行うこともできる。1つの
態様において可溶性VESPRポリペプチドを作成し、固定受容体と競合させて
もよい。例えば、表面結合セマフォリン受容体に対する結合活性に関するアッセ
イにおいて、放射標識可溶性セマフォリンリガンドを、可溶性VESPRにより
拮抗させてもよい。定性的結果は、競合的オートラジオグラフィープレート結合
アッセイにより得てもよく、またはスキャッチャードプロットを利用して定量的
結果を生成してもよい。
【0044】 あるいは、VESPRまたは抗セマフォリン抗体などのセマフォリン結合タン
パク質を、表面上にセマフォリンを発現する細胞を同定し、分離し、または精製
するのに適した、カラムクロマトグラフィーマトリックスまたは同様の支持体な
どの固相に結合させてもよい。セマフォリン結合タンパク質の、固相接触表面へ
の結合は、いかなる手段により達成してもよく、例えば、VESPR:Fc融合
タンパク質を構築し、そしてこうしたものをプロテインAまたはプロテインGの
相互作用を通じ固相に結合させることによってもよい。タンパク質を固相に固定
するための多様な他の手段が当業に周知であり、そして本発明での使用に適して
いる。例えば、磁気微小球体をVESPRで被覆し、そして磁気場を通じインキ
ュベーション容器に保持してもよい。セマフォリン発現細胞を含む細胞混合物の
懸濁物を、その上にVESPRポリペプチドを有する固相と接触させる。その表
面上にセマフォリンを有する細胞は、固定されたVESPRに結合し、そして非
結合細胞をその後洗い流す。このアフィニティー結合法は、こうしたセマフォリ
ン発現細胞を溶液から精製し、スクリーニングし、または分離するのに有用であ
る。陽性に選択された細胞を固相から遊離させる方法は当該分野に知られ、そし
て例えば、酵素の使用を含む。こうした酵素は、好ましくは、細胞に対し非毒性
および非傷害性であり、そして好ましくは、細胞表面結合パートナーを切断する
ことに向けられる。セマフォリン−VESPR相互作用の場合、酵素は、好まし
くは、セマフォリンを切断し、それにより生じた細胞懸濁物を「異質な(for
eign)」セマフォリン受容体成分から遊離させる。精製細胞集団は、その後
、成熟(成体)組織に再定着させる(repopulate)のに用いてもよい
【0045】 あるいは、セマフォリン陽性細胞を含むと疑われる細胞混合物をまず、ビオチ
ン化VESPRとインキュベーションしてもよい。インキュベーション期間は、
典型的には、セマフォリンへの結合を確実にするため、少なくとも連続1時間で
ある。生じた混合物をその後、アビジン被覆ビーズを充填したカラムに通過させ
、それによりアビジンに対するビオチンの高親和性が、ビーズへの細胞の結合を
提供する。アビジン被覆ビーズの使用は当業に知られる。Berensonら,
J. Cell. Biochem., 10D:239(1986)を参照
されたい。非結合成分の洗浄および結合細胞の遊離は、慣用的方法を用いて行う
【0046】 上述のように、VESPRはセマフォリンを発現する細胞を分離するのに用い
てもよい。代替法において、VESPRあるいはその細胞外ドメインまたは断片
を、セマフォリン発現細胞を検出するため、125Iなどの検出可能部分と結合さ せてもよい。125Iでの放射標識は、高比放射能に標識されている機能する125
−VESPR分子を生じるいくつかの標準的方法論のいずれにより行ってもよい
。あるいはセマフォリン受容体に対するヨウ素化またはビオチン化抗体を用いて
もよい。比色または蛍光分光反応を触媒することが可能な酵素、ビオチン、ある
いはアビジンなどの別の検出可能部分を用いてもよい。セマフォリン発現に関し
試験すべき細胞を標識VESPRポリペプチドと接触させてもよい。インキュベ
ーション後、非結合標識VESPRを除去し、そして検出可能部分を用い、結合
を測定する。
【0047】 VESPR(変異体を含む)の結合特性はまた、上述のものと類似の競合アッ
セイにおいて、結合体化セマフォリン(例えば、125I−セマフォリン:Fc) を用い、決定してもよい。しかしこの場合、固体支持体に結合している、セマフ
ォリンを発現している損なわれていない細胞を用い、推定上のVESPR変異体
を含む試料が、結合体化セマフォリンとの結合に関し競合する度合いを測定する
【0048】 VESPRに関しアッセイする他の手段には、抗VESPR抗体、VESPR
に反応し増殖する細胞株、またはセマフォリンを発現し、そしてVESPRの存
在下に増殖する組換え細胞株の使用が含まれる。
【0049】 本明細書に開示されるVESPRタンパク質はまた、VESPRに対する結合
親和性という点で、セマフォリンタンパク質の生物学的活性を測定するのに、使
用してもよい。1つの例として、セマフォリンタンパク質の修飾(例えば化学的
修飾、一部切除、突然変異など)後、生物学的活性が保持されているかを測定す
るのに本発明のVESPRポリペプチドを用いてもよい。このように、セマフォ
リンタンパク質の生物学的活性を、例えば、調査研究、または臨床に用いる前に
、確定することが可能である。
【0050】 本発明のVESPRポリペプチドは、例えば異なる条件下でのセマフォリンタ
ンパク質の貯蔵寿命および安定性をモニターするための、「品質保証」研究を行
うものにより、使用されてもよい試薬としての使用を見出す。例えば、VESP
Rポリペプチドを結合親和性研究に使用し、異なる温度で保存されている、また
は異なる細胞種で産生されたセマフォリンタンパク質の生物学的活性を測定して
もよい。修飾セマフォリンタンパク質のVESPRに対する結合親和性を、非修
飾セマフォリンタンパク質のものと比較し、セマフォリンの生物学的活性に対す
る該修飾のいかなる不利な影響も検出する。
【0051】 VESPRポリペプチドはまた、結合する剤を、セマフォリンを発現している
細胞に搬送するためのキャリアーとしての使用も見出す。以下の実施例7に記載
されるように、推定上のヒトセマフォリンは、胎盤、精巣、卵巣および脾臓に見
られる細胞に発現される。したがって、VESPRポリペプチドを用い、in
vitroまたはin vivo法において、診断または治療剤をこれらの細胞
に(または細胞表面上にセマフォリンを発現することが見出されている他の細胞
種に)搬送してもよい。
【0052】 VESPRポリペプチドに結合させてもよい診断および治療剤には、限定され
るわけではないが、薬剤(drugs)、毒素、放射性核種、発色団、比色もし
くは蛍光分光反応を触媒する酵素、およびそれらに匹敵するものが、意図される
適用にしたがって選択される特定の剤と共に含まれる。薬剤の例には、多様な型
の癌を治療するのに用いられるもの、例えばL−フェニルアラニンナイトロジェ ンマスタードなどのナイトロジェンマスタードまたはシクロホスファミド、シス
−ジアミノジクロロ白金などの挿入剤(intercalating agen
ts)、5−フルオロウラシルなどの代謝拮抗物質、ビンクリスチンなどのビン
カアルカロイド、およびブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシンなど
の抗生物質、並びにそれらの誘導体が含まれる。毒素の中には、リシン、アブリ
ン、ジフテリア毒素、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa
)外毒素A、リボソーム不活性化タンパク質、トリコセセンなどのマイコトキシ ン、並びにそれらの誘導体および断片(例えば一本鎖)がある。診断使用に適し
た放射性核種には、限定されるわけではないが、123I、131I、99mTc、111
n、および76Brがある。治療使用に適した放射性核種には、限定されるわけで
はないが、131I、211At、77Br、186Re、188Re、212Pb、212Bi、10 9 Pd、64Cu、および67Cuがある。
【0053】 こうした剤は、いかなる適切な慣用法により、セマフォリン受容体に結合させ
てもよい。VESPRはタンパク質であり、例えば、望ましい剤の官能基と反応
し、共有結合を形成することが可能である、アミノ酸側鎖上の官能基を含む。あ
るいは、タンパク質または剤を誘導体化し、望ましい反応性官能基を生成し、ま
たは結合してもよい。誘導体化には、多様な分子をタンパク質に結合させるのに
入手可能である、二官能性カップリング試薬(Pierce Chemical
Company、イリノイ州ロックフォード)の1つの結合を伴ってもよい。
タンパク質を放射標識するためのいくつかの技術が知られる。放射性核種金属を
、例えば適切な二官能性キレート剤を用いることにより、受容体に結合させても
よい。
【0054】 VESPRおよび適切な診断または治療剤を含む(好ましくは共有結合してい
る)結合体をこのように調製する。該結合体を投与し、またはそうでなければ特
定の適用に適した量で使用してもよい。
【0055】 本発明のVESPRの別の使用は、受容体が、セマフォリンと共同で、免疫制
御およびウイルス感染に果たす可能性がある役割を研究するための研究手段とし
てのものである。本発明のVESPRポリペプチドはまた、該ポリペプチドが結
合するセマフォリンまたはVESPR、あるいはそれらの相互作用の検出のため
のin vitroアッセイにも使用してもよい。
【0056】 実施例16に記載されるように、セマフォリンは本発明の膜結合受容体と相互
作用し、樹状細胞からのIL−12産生においてインターフェロンおよび黄色ブ
ドウ球菌(Staphylococcus aureus)(C型)(SAC)
と相乗作用する。IL−12産生を誘導するためのVESPRおよびそのセマフ
ォリンリガンドの使用は、ナチュラルキラー細胞およびT細胞産生を促進し、そ
してサイトカイン産生(主にγ−インターフェロン)を誘導する。IL−12お
よびIL−12誘導γインターフェロン産生は、Th1細胞分化を支持し、そし
てTh2細胞分化に関連するサイトカインの産生を下方制御する。IL−12は
、炎症誘発性サイトカインおよび免疫調節因子の両方として作用することが知ら
れる。したがって、可溶性VEPSRを用い、IL−12産生を拮抗し、そして
生物のTh1細胞分化を下方制御してもよい。同様に、可溶性VESPRを用い
、Th2細胞分化に関連するサイトカインの産生を促進し、こうして炎症誘発性
活性を阻害してもよい。また、VESPRをそのセマフォリンリガンドと組み合
わせて用い、細胞免疫が有効である病原体に対するワクチン投与と組み合わせ,
IL−12産生を高めてもよい。この方式で亢進された量のIL−12は、ワク
チン投与におけるアジュバントとして作用し、より持続するTh1型免疫学的記
憶を誘導する。
【0057】 さらに、腫瘍を持つ動物に対するIL−12の投与は、腫瘍退化および腫瘍特
異的免疫反応の確立を生じることが知られる。したがって、IL−12を亢進す
るまたは促進するために、VESPRに結合するセマフォリンリガンドを使用す
ることは、侵略性微小転移巣腫瘍に対する治療的免疫反応を誘導することが可能
である。
【0058】 さらに、実施例18に記載されるように、本発明の受容体は、そのセマフォリ
ンリガンドに結合し、単球上のCD54発現を増加させる。この観察は、セマフ
ォリン/セマフォリン受容体相互作用は、典型的には単球活性化に関与する炎症
誘発性活性に寄与する細胞活性化を仲介することを示唆する。こうした活性には
、食作用、飲作用、一酸化窒素産生およびサイトカイン産生の増加が含まれる。
セマフォリンリガンドおよびその膜結合受容体の間の相互作用から生じる炎症誘
発性活性に拮抗するまたは該活性を逆転させるため、治療的に有効な量の本発明
の可溶性VESPRを含む薬剤組成物を、生物に非経口的に(parenter
ally)投与してもよい。可溶性VESPRはセマフォリンリガンドに結合し
、したがってリガンドが膜結合受容体に結合し、そして炎症誘発性活性に寄与す
るのを妨げる。VESPRの治療的に有効な量は、炎症誘発性活性に拮抗するの
に十分な量である。
【0059】 単球上のCD54の増加した発現にもかかわらず、微小生理機能測定装置(m
icrophysiometer)データにより、VESPRを通じた細胞情報
伝達は、古典的な免疫学的な意味で、細胞を活性化しないことが示される。より
詳細には、微小生理機能測定装置データにより、VESPRがそのリガンドに結
合する際、培地のpH変化の速度の減少が生じることが示唆される。これは細胞
活性化中に起こることと反対である。こうした減少は、細胞内でプロテインキナ
ーゼを阻害する薬剤、または細胞を代謝的に麻痺させることが可能なウイルス感
染で経験される。VESPRを通じて搬送される抑制性シグナルは、VESPR
の可溶性型の投与により、拮抗させることが可能である。こうした可溶性型は、
VESPR結合パートナーに効果的に結合し、そして抑制性情報伝達に拮抗し、
したがって細胞の不活性化状態を妨げる。あるいは、そして本発明にしたがい、
情報伝達する抗VESPR抗体を治療剤として用い、炎症がT細胞に対する自己
抗原の提示の結果である自己免疫疾患を治療してもよい。より詳細には、こうし
た抗VESPR抗体は、抗原提示細胞により取り込まれるように標的化し、そし
てプロテインキナーゼ阻害剤と同様、抗原提示細胞を不活性化してもよい。炎症
に責任を負う抗原提示細胞の抗原提示が劣ってくるため、自己免疫が治る。
【0060】 セマフォリンリガンドがVESPRに結合し、GM−CSFおよびIL−4と
培養している樹状細胞上の、MHCクラスII分子および共刺激性分子であるC
D86の発現を下方制御すること(実施例17)により、セマフォリンリガンド
および本発明の受容体の間の相互作用は、成熟樹状細胞の免疫抑制に関与するこ
とが示唆される。セマフォリンリガンドおよびその膜結合受容体の間の相互作用
から生じる免疫抑制活性に拮抗するまたは該活性を逆転させるため、本発明の可
溶性VESPRの治療的に有効な量を含む薬剤組成物を、生物に非経口的に投与
してもよい。可溶性VESPRは、セマフォリンリガンドに結合し、したがって
リガンドが膜結合受容体と結合し、そして免疫抑制活性に寄与するのを妨げる。
あるいは、慢性炎症の影響で損傷を受ける患者または生物に、適切なセマフォリ
ンリガンドを投与することは、分化マクロファージの炎症誘発性活性を抑制する
のに寄与するであろう。
【0061】 データにより、VESPRリガンドがT細胞上に見られ,そしてVESPRが
リンパ節のT細胞地帯からの樹状細胞の移動に関与することが示される。さらに
、データにより、VESPRは、病原体が除去されると直ちにT細胞免疫反応を
遮断するのに関与することが示唆される。
【0062】 本発明のVESPRポリペプチドを、薬学的に有用な組成物を調製するのに用
いられる既知の方法にしたがい処方してもよい。VESPRは、単一の活性成分
として、または他の既知の活性成分と共に、薬学的に適切な希釈剤(例えば、T
ris−HCl、酢酸、リン酸)、保存剤(例えば、チメロサル、ベンジルアル
コール、パラベン類)、乳化剤、可溶化剤、アジュバントおよび/またはキャリ
アーと混合して組み合わせてもよい。適切なキャリアーおよびそれらの処方は、
Remington's Pharmaceutical Sciences, 第16版, 1980, Mack Publishing Co.に記載さ
れている。さらに、こうした組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、金
属イオンと複合体化している、またはポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル
などのポリマー化合物に取り込まれている、またはリポソーム、微小乳剤、ミセ
ル、単層もしくは多層小胞、赤血球ゴーストもしくはスフェロブラストに取り込
まれているVESPRポリペプチドを含んでもよい。こうした組成物は、VES
PRの物理的状態、可溶性、安定性、in vivo放出速度、およびin v
ivoクリアランス速度に影響するであろう。VESPRポリペプチドはまた、
組織特異的受容体、リガンドまたは抗原に対する抗体に結合していてもよいし、
または組織特異的受容体のリガンドにカップリングしていてもよい。
【0063】 VESPRポリペプチドは、局所、非経口、または吸入によるなどで、投与し
てもよい。「非経口」という用語には、皮下注射、静脈内、筋内、槽内注射、ま
たは注入技術が含まれる。これらの組成物は、典型的には、VESPRの有効量
を、単独でまたは他のいかなる活性成分であってもよいものの有効量と組み合わ
せ、含むであろう。組成物に含まれるこうした投薬量および望ましい薬剤濃度は
、意図される使用、患者の体重および年齢、並びに投与経路を含む、多くの要因
に依存し変化する可能性がある。予備的用量は動物試験にしたがい決定してもよ
く、そしてヒト投与のための投薬量の見積もりを、当業に認められる実施にした
がい、行ってもよい。
【0064】 VESPRポリペプチドは、共有結合もしくは非共有結合している二量体また
は三量体などの、オリゴマーとして存在してもよい。オリゴマーは、異なるVE
SPR分子上のシステイン残基間に形成されるジスルフィド結合により連結され
ていてもよい。本発明の1つの態様において、VESPR二量体は、VESPR
を抗体(例えばIgG1)のFc領域に、VESPRのセマフォリンリガンド結
合ドメインへの結合に干渉しない方式で、融合させることにより、生成される。
Fcポリペプチドは、好ましくは、可溶性VESPR(リガンド結合部分のみを
含む)のC末端に融合される。抗体由来ポリペプチドの多様な部分(Fcドメイ
ンを含む)に融合している異種性ポリペプチドを含む融合タンパク質の一般的な
調製は、例えば、本明細書に援用される、Ashkenaziら(PNAS U
SA 88:10535, 1991)およびByrnら(Nature 34
4:677, 1990)に記載されている。VESPR:Fc融合タンパク質
をコードする遺伝子融合体を適切な発現ベクターに挿入する。VESPR:Fc
融合タンパク質を、抗体分子によく似た形で集合するのを可能にし、その結果、
鎖間ジスルフィド結合がFcポリペプチド間に形成され、二価物を生じる。融合
タンパク質が抗体の重鎖および軽鎖両方で作成されている場合、4つものVES
PR細胞外領域を含むVESPRオリゴマーを形成することが可能である。ある
いは、2つの可溶性VESPRドメインをペプチドリンカーで連結してもよい。
【0065】 VESPRポリペプチドの発現に適した宿主細胞には、原核、酵母またはより
高次の真核細胞が含まれる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主での使
用に適したクローニング用および発現用ベクターは、例えば、Pouwelsら
, Cloning Vectors: A Laboratory Manu
al, ニューヨーク州エルセビア(1985)に記載されている。細胞不含翻
訳系もまた、本明細書に開示されるDNA構築物由来のRNAを用い、VESP
Rポリペプチドを産生するのに使用してもよい。
【0066】 原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌またはバチ
ルス属(Bacillus)が含まれる。形質転換に適した原核宿主細胞には、
例えば、大腸菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフ
ス菌(Salmonella typhimurium)、並びにシュードモナ
ス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyc
es)、およびブドウ球菌属(Staphylococcus)内の多様な他の
種が含まれる。大腸菌などの原核宿主細胞において、組換えポリペプチドの該原
核宿主細胞における発現を容易にするため、VESPRポリペプチドがN末端メ
チオニン残基を含んでもよい。N末端メチオニンは、発現された組換えVESP
Rポリペプチドから切断されてもよい。
【0067】 VESPRポリペプチドは、好ましくはサッカロミセス属(例えば、S.セレ
ビシエ(S. cerevisiae))由来の、酵母宿主細胞において発現さ
れてもよい。酵母の他の属、例えばピキア属(Pichia)、K.ラクティス
(K. lactis)またはクロイベロミセス属(Kluyveromyce
s)もまた使用してもよい。酵母ベクターは、しばしば、2μ酵母プラスミド由
来の複製起点配列、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル
化のための配列、転写終結のための配列、および選択可能マーカー遺伝子を含む
であろう。酵母ベクターに適したプロモーター配列には、とりわけ、メタロチオ
ネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzemanら, J. Bi
ol. Chem. 255:2073, 1980)あるいは、エノラーゼ、
グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン
酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソ
メラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオース
リン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼな
どの他の解糖酵素(Hessら, J. Adv. Enzyme Reg.
7:149, 1968;およびHollandら, Biochem. 17
:4900, 1978)のプロモーターが含まれる。酵母発現に用いるのに適
した他のベクターおよびプロモーターはHitzeman, EPA−73,6
57またはFleerら, Gene, 107:285−195(1991)
;およびvan den Bergら, Bio/Technology, 8
:135−139(1990)にさらに記載されている。他の代替物は、Rus
sellら(J. Biol. Chem. 258:2674, 1982)
およびBeierら(Nature 300:724, 1982)に記載され
るグルコース抑制可能ADH2プロモーターである。酵母および大腸菌両方にお
いて複製可能なシャトルベクターは、大腸菌での選択および複製のため、pBR
322由来のDNA配列(Ampr遺伝子および複製起点)を上述の酵母ベクタ ーに挿入することにより、構築してもよい。
【0068】 酵母α−因子リーダー配列を使用し、VESPRポリペプチドを直接分泌させ
てもよい。α−因子リーダー配列は、しばしば、プロモーター配列および構造遺
伝子配列の間に挿入される。例えば、Kurjanら, Cell 30:93
3, 1982;Bitterら, Proc. Natl. Acad. S
ci. USA 81:5330, 1984;米国特許第4,546,082
号;およびEP 324,274を参照されたい。酵母宿主からの組換えポリペ
プチドの分泌を容易にするのに適した他のリーダー配列が当業者に知られる。リ
ーダー配列を、その3'端近傍に、1つまたはそれ以上の制限部位を含むよう修 飾してもよい。これは、リーダー配列の構造遺伝子への融合を容易にするであろ
う。
【0069】 酵母形質転換プロトコルが当業者に知られる。こうしたプロトコルの1つがH
innenら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 7
5:1929, 1978に記載されている。Hinnenらのプロトコルは、
Trp+形質転換体を選択培地中で選択し、ここで該選択培地は0.67%酵母 窒素基剤、0.5%カザミノ酸,2%グルコース,10μg/mlアデニンおよ
び20μg/mlウラシルからなる。
【0070】 ADH2プロモーター配列を含むベクターにより形質転換されている酵母宿主
細胞は、発現を誘導するため「リッチ」培地中で増殖させてもよい。リッチ培地
の例は、80μg/mlアデニンおよび80μg/mlウラシルを補った、1%
酵母エキス、2%ペプトン、および1%グルコースからなるものである。ADH
2プロモーターの抑制解除は、培地からグルコースが枯渇したとき起こる。
【0071】 哺乳動物または昆虫宿主細胞培養系もまた、組換えVESPRポリペプチドを
発現するのに使用してもよい。昆虫細胞において異種性タンパク質を産生するた
めのバキュロウイルス系がLuckowおよびSummers, Bio/Te
chnology 6:47 (1988)に概説されている。哺乳動物起源の
樹立細胞株もまた、使用してもよい。適切な哺乳動物宿主細胞株の例には、サル
腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzmanら,
Cell 23:175, 1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞
(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、
HeLa細胞、およびBHK(ATCC CRL 10)細胞株、およびMcM
ahanら(EMBO J. 10:2821, 1991)に記載されるよう
なアフリカミドリザル(African green monkey)腎臓細胞
株CVI(ATCC CCL 70)由来のCV−1/EBNA−1細胞株が含
まれる。
【0072】 哺乳動物宿主細胞発現ベクターのための転写および翻訳調節配列を、ウイルス
ゲノムより切り出してもよい。通常用いられるプロモーター配列およびエンハン
サー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(
SV40)、およびヒト・サイトメガロウイルス由来である。SV40ウイルス
ゲノム由来のDNA配列、例えばSV40起点、初期および後期プロモーター、
エンハンサー、スプライシング、およびポリアデニル化部位を用い、哺乳動物宿
主細胞における構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝要素を提供してもよい。
ウイルス初期および後期プロモーターは、どちらもウイルス複製起点をも含む可
能性がある断片として容易にウイルスゲノムから得られるため、特に有用である
(Fiersら, Nature 273:113, 1978)。SV40ウ
イルス複製起点部位に位置するHind III部位からBgl I部位に渡る
およそ250bpの配列が含まれていれば、より小さいまたはより大きいSV4
0断片もまた用いてもよい。
【0073】 哺乳動物宿主細胞において用いるのに典型的な発現ベクターを、Okayam
aおよびBerg(Mol. Cell. Biol. 3:280, 198
3)に開示されるように構築してもよい。C127ネズミ乳腺上皮細胞における
哺乳動物cDNAの安定した高レベル発現に有用な系を、実質的にCosman
ら(Mol. Immunol. 23:935, 1986)に記載されるよ
うに構築してもよい。Cosmanら, Nature 312:768, 1
984に記載される有用な高発現ベクター、PMLSV N1/N4はATCC
39890として寄託されている。さらなる有用な哺乳動物発現ベクターは、
本明細書に援用される、EP−A−0367566、および1991年5月16
日に提出された米国特許出願第07/701,415号に記載されている。ベク
ターはレトロウイルス由来であってもよい。天然シグナル配列の代わりに、そし
てイニシエーターメチオニンに加え、異種性シグナル配列、例えば、米国特許第
4,965,195号に記載されるIL−7のシグナル配列;Cosmanら,
Nature 312:768(1984)に記載されるIL−2受容体のシ
グナル配列;EP 367,566に記載されるIL−4シグナルペプチド;米
国特許第4,968,607号に記載されるI型IL−1受容体シグナルペプチ
ド;およびEP 460,846に記載されるII型IL−1受容体シグナルペ
プチドを添加してもよい。
【0074】 本発明にしたがった、単離され、精製されているまたは均質なタンパク質とし
てのVESPRポリペプチドは、上述のように組換え発現系により産生してもよ
いし、または天然発生細胞から精製してもよい。VESPRは、SDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)による解析に際し、単一のタン
パク質バンドにより示されるように、実質的に均質に精製することが可能である
【0075】 VESPRを産生するための1つの方法は、VESPRポリペプチドをコード するDNA配列を含む発現ベクターで形質転換されている宿主細胞を、VESP
Rポリペプチドの発現を促進するのに十分な条件下で培養することを含む。該受
容体をその後、使用される発現系に応じ、培地または細胞抽出物から回収する。
当業者に知られるように、組換えタンパク質を精製するための方法は、使用され
る宿主細胞および組換えタンパク質が培地に分泌されるかどうかなどの要因にし
たがい、変化するであろう。
【0076】 例えば、組換えタンパク質を分泌する発現系を使用する場合、培地をまず、商
業的に入手可能なタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMi
llipore Pellicon限外濾過装置を用い、濃縮してもよい。濃縮
段階に続き、濃縮物をゲル濾過媒体などの精製マトリックスに適用してもよい。
あるいは、陰イオン交換樹脂、例えばジエチルアミノエチル(DEAE)側鎖を
有するマトリックスまたは支持体を使用してもよい。マトリックスは、アクリル
アミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたはタンパク質精製に通常使
用される他の種類であってもよい。あるいは、陽イオン交換段階を使用してもよ
い。適切な陽イオン交換体には、スルホプロピルまたはカルボキシメチル基を含
む多様な不溶性マトリックスが含まれる。スルホプロピル基が好ましい。最後に
、疎水性逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)媒体(例えば、
側鎖メチルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲル)を使用する1つまたはそれ
以上の逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)段階を使用し、V
ESPRポリペプチドをさらに精製してもよい。前記の精製段階のいくつかまた
はすべてを多様な組み合わせで用いる方法が周知であり、そして実質的に均質な
組換えタンパク質を提供するのに使用されうる。
【0077】 発現されたVESPRポリペプチドをアフィニティー精製するのに、VESP
Rに結合するセマフォリンの受容体結合ドメインを含むアフィニティーカラムを
利用することが可能である。VESPRポリペプチドは、慣用的技術を用いて、
例えば、高塩溶出緩衝液中、そしてその後、使用のためより低塩緩衝液中に透析
することによって、あるいは利用されたアフィニティーマトリックスに応じて、
pHまたは他の構成要素を変化させることによって、アフィニティーカラムから
除去してもよい。あるいは、アフィニティーカラムはVESPRに結合する抗体
を含んでもよい。実施例20は、本発明のVESPRを、VESPRに対して向
けられるモノクローナル抗体を生成するのに使用するための方法を記載する。
【0078】 細菌培養において産生される組換えタンパク質を、最初に宿主細胞を破壊し、
遠心分離し、不溶性ポリペプチドであれば細胞沈澱から、または可溶性ポリペプ
チドであれば上清流体から抽出し、その後1つまたはそれ以上の濃縮、塩析、イ
オン交換、アフィニティー精製またはサイズ排除クロマトグラフィー段階を行う
ことにより単離してもよい。最後に、最終精製段階に、RP−HPLCを使用し
てもよい。微生物細胞を、凍結融解サイクル、超音波、機械的破壊、または細胞
溶解剤の使用を含む、いかなる簡便な方法により破壊してもよい。
【0079】 形質転換酵母宿主細胞は、好ましくは、精製を単純にするため、分泌ポリペプ
チドとしてVESPRを発現するよう使用される。酵母宿主細胞発酵から分泌さ
れる組換えポリペプチドは、Urdalら(J. Chromatog. 29
6:171, 1984)に開示されるものと類似の方法により精製してもよい
。Urdalらは、分離用HPLCカラム上での組換えヒトIL−2精製のため
の、2つの連続する逆相HPLC段階を記載する。
【0080】 VESPR核酸の有用な断片には、標的VESPR mRNA(センス)また
はVESPR DNA(アンチセンス)配列に結合することが可能な一本鎖核酸
配列(RNAまたはDNA)を含む、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオ
チドが含まれる。アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、本発明にし
たがい、VESPR cDNAのコード領域の断片を含む。こうした断片は一般
的に、少なくとも約14ヌクレオチド、好ましくは約14ないし約30ヌクレオ
チドを含む。既定のタンパク質をコードするcDNA配列に基づき、アンチセン
スまたはセンスオリゴヌクレオチドを得る能力は、例えば、SteinおよびC
ohen(Cancer Res. 48:2659, 1988)およびva
n der Krolら(BioTechniques 6:958, 198
8)に記載されている。
【0081】 アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドの標的核酸配列への結合は、二
重鎖の亢進した分解、転写または翻訳の未成熟な終結、または他の手段によるも
のを含む、いくつかの手段の1つにより、標的配列の転写または翻訳を遮断する
二重鎖の形成を生じる。このように、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用い、
VESPRタンパク質の発現を遮断してもよい。アンチセンスまたはセンスオリ
ゴヌクレオチドはさらに、修飾糖−ホスホジエステル骨格(または、WO 91
/06629に記載されるものなど、他の糖結合)を有するオリゴヌクレオチド
を含み、そしてこのような糖結合は内因性ヌクレアーゼに耐性である。こうした
耐性糖結合を持つオリゴヌクレオチドは、in vivoで安定である(すなわ
ち酵素分解に抵抗することが可能である)が、標的ヌクレオチド配列に結合する
ことが可能な配列特異性を保持する。センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオ
チドの他の例には、WO 90/10448に記載されるものなどの有機部分、
およびポリ(L−リジン)などの標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドの親
和性を増加させる他の部分に共有結合するオリゴヌクレオチドが含まれる。さら
に、エリプチシンなどの挿入剤、およびアルキル化剤または金属錯体がセンスま
たはアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合し、標的ヌクレオチド配列へのアン
チセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドの結合特異性を修飾してもよい。
【0082】 アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、CaPO4仲介D NAトランスフェクション、エレクトロポレーションを含む、いかなる遺伝子ト
ランスファー法により、またはエプスタイン・バーウイルスなどの遺伝子トラン
スファーベクターを用いることにより、標的核酸配列を含む細胞に導入されても
よい。好ましくは、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、適切なレ
トロウイルスベクターに該アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを挿入
し、その後、細胞をin vivoまたはex vivoで該挿入配列を含む該
レトロウイルスベクターと接触させることにより、標的核酸配列を含む細胞に導
入される。適切なレトロウイルスベクターには、限定されるわけではないが、ネ
ズミレトロウイルスM−MuLV、N2(M−MuLV由来のレトロウイルス)
由来のもの、またはDCT5A、DCT5BおよびDCT5Cと称される二重コ
ピーベクター(PCT出願US 90/02656を参照されたい)が含まれる
【0083】 センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、WO 91/0475
3に記載されるように、リガンド結合分子との結合体の形成により、標的ヌクレ
オチド配列を含む細胞に導入されてもよい。適切なリガンド結合分子には、限定
されるわけではないが、細胞表面受容体、増殖因子、他のサイトカイン、または
細胞表面受容体に結合する他のリガンドが含まれる。好ましくは、リガンド結合
分子の結合体化は、実質的にリガンド結合分子がその対応する分子または受容体
に結合する能力に干渉せず、あるいはセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオ
チドまたはその結合体型が細胞内に入るのを遮断しない。
【0084】 あるいは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、WO 90/1
0448に記載されるように、オリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成により、
標的核酸配列を含む細胞に導入されてもよい。センスまたはアンチセンスオリゴ
ヌクレオチド−脂質複合体は、好ましくは、内因性リパーゼにより、細胞内で分
離される。
【0085】 上記に加え、以下の例は、特定の態様を例示するため提供され、そして本発明
の範囲を限定するためではない。
【0086】
【実施例】
実施例1 エクトロメリアセマフォリン/Fc融合タンパク質の調製 以下は、エクトロメリアセマフォリンA39R/免疫グロブリン融合タンパク
質(A39R/Fc)の調製を記載する。該方法は、融合タンパク質をコードす
るDNA構築物を調製し、該DNA構築物で細胞株をトランスフェクションし、
そしてトランスフェクションされた細胞から上清を採取することを含んだ。A3
9R/Fc融合タンパク質は、VESPR結合特性を研究し、そしてVESPR
を単離するため、実施例3、4、5および6に記載されるように用いた。
【0087】 A39RセマフォリンをコードするDNAを、PCR技術、および配列がワク
シニアウイルスのコペンハーゲン株中の公表されているA39R配列に基づく合
成オリゴヌクレオチドプライマーを用い、エクトロメリアウイルスゲノムDNA
から単離し、そして増幅した。コペンハーゲン株A39R DNA配列は、Go
ebel, S.J.ら, Virology 179:247, 1990に
記載されている。単離エクトロメリアA39R DNAは配列番号7に提示され
、そして該DNAがコードするタンパク質は、配列番号8に提示される。上流オ
リゴヌクレオチドプライマーにより、A39Rポリペプチドのアミノ酸15の上
流にSpe1部位を導入した。下流オリゴヌクレオチドプライマーにより、エク
トロメリアA39Rの終止コドンの下流、アミノ酸399の後にNot1部位を
導入した。プライマー配列は以下の通りであった: 上流Spe1プライマー:
【0088】
【化1】 TGTCACTAGT ATCGAATGGCATAAGTTTGAA Spe1 A39R DNA (配列番号3) 下流Not1プライマー:
【0089】
【化2】 GACAGCGGCCGC CTATTACATTTTAAGTATTTT Not1 A39R DNA (配列番号4) Baumら, Cir. Sh. 44:30(1994)に記載されるよう
な、免疫グロブリンの突然変異タンパク質(mutein)ヒトFc領域を含む
Bgl IIからNsl Iの制限断片を、ネズミIL−7シグナルペプチドお
よび米国特許第5,011,912号に記載されるようなFLAGTMオクタペプ
チドを含む発現ベクター(pDC304)内に連結した。その後、エクトロメリ
アA39Rのアミノ酸15−399をコードするPCR増幅DNAを、突然変異
タンパク質ヒトFc領域、ネズミIL−7シグナルペプチドおよびFLAGTM
プチドを含む発現ベクター内に二方向連結で連結した。生じたDNA構築物をサ
ル腎臓細胞株CV−1/EBNAに(psv3neoの共トランスフェクション
と共に)トランスフェクションした。0.5%低免疫グロブリンウシ血清を含む
培地で7日間培養した後、0.2%アジ化物溶液を上清に添加し、そして0.2
2μmフィルターを通し上清を濾過した。その後、およそ1lの培養上清を、1
0 ml/分で、4.6 x 100 mmプロテインAカラム(PerSep
tive BiosystemsのPOROS 20A)を用い、BioCad
プロテインA HPLCタンパク質精製系を通過させた。プロテインAカラム
は、上清中の融合タンパク質のFc部分に結合し、融合タンパク質を固定し、そ
して上清中の他の構成要素がカラムを通過するのを可能にする。カラムを30
mlのPBS溶液で洗浄し、そして結合している融合タンパク質をpH 3.0
に調整したクエン酸でHPLCカラムから溶出させた。溶出した精製融合タンパ
ク質は、溶出の際、pH 7.4の1M HEPES溶液を用い、中和した。 実施例2 エクトロメリアセマフォリン/ポリHis融合タンパク質の調製 以下は、エクトロメリアA39R/ポリHis融合タンパク質(A39R/ポ
リHis)の調製を記載する。該方法は、融合タンパク質をコードするDNA構
築物を調製し、該DNA構築物で細胞株をトランスフェクションし、そしてトラ
ンスフェクションされた細胞から上清を採取することを含んだ。
【0090】 エクトロメリアA39R(A39R ORF、配列番号8のアミノ酸1−39
9)をコードするDNAを、PCR技術および合成オリゴヌクレオチドプライマ
ーを用い、エクトロメリアウイルスゲノムDNAから単離し、そして増幅した。
該プライマーは、5’端にNot 1部位および3’端に精製過程に用いるモチ
ーフGly−Ser−6xHisを添加した。該プライマーは、Gly−Ser
−6xHisモチーフの後に、インフレーム終止コドンおよびBgl 2部位を
添加した。PCR産物を切断し、pDC409発現ベクター(McMahonら
, EMBO J. 10:2821, 1991)にクローンした。
【0091】 生じたDNA構築物を、サル細胞株COS−1(ATCC CRL−1650
)に一過性にトランスフェクションした。0.5%低免疫グロブリンウシ血清を
含む培地で7日間培養した後、細胞上清を採取し、そして0.2%アジ化ナトリ
ウム溶液を上清に添加した。0.22μmフィルターを通し上清を濾過し、調製
スケール濃縮装置(Millipore;マサチューセッツ州ベッドフォード)
で10倍に濃縮し、そして、ニッケルNTAスーパーフローセルフパック樹脂カ
ラム(Qiagen、カリフォルニア州サンタクラリタ)を備えたBioCad
HPLCタンパク質精製上で精製した。上清がカラムを通過した後、カラムを
緩衝液A(20 mM NaPO4、pH 7.4;300 mM NaCl; 50 mM イミダゾール)で洗浄した。その後、勾配溶出技術を用い、結合し
ているタンパク質をカラムから溶出させた。タンパク質を含む分画を集め、4−
20% SDS−PAGE還元ゲル上で解析した。A39R/ポリHis融合タ
ンパク質を含むピークをプールし、2倍に濃縮し、そしてその後PBS中で透析
した。生じたA39R/ポリHis融合タンパク質をその後、0.22μm無菌
フィルターを通し濾過した。 実施例3 A39Rに対する結合に関する細胞株のスクリーニング 実施例1に記載されるように調製されたA39R/Fc融合タンパク質を用い
、標準的フローサイトメトリー方法論にしたがい、定量的結合研究を用い、結合
に関し細胞株をスクリーニングした。スクリーニングされる各細胞株に関し、該
方法は、およそ100,000の細胞をインキュベーションし、PBS中の2%
FCS(ウシ胎児血清)、5%正常ヤギ血清および5%ウサギ血清で1時間ブ
ロッキングすることを含んだ。その後、ブロッキングされた細胞をA39R/F
c融合タンパク質5μg/mlと、PBS中の2% FCS、5%ヤギ血清およ
び5%ウサギ血清中でインキュベーションした。インキュベーション後、試料を
FACS緩衝液(PBS中の2% FCS)で2回洗浄し、そしてその後、マウ
ス抗ヒトFc/ビオチン(Jackson Researchより購入)および
SAPE(Molecular Probesから購入したストレプトアビジン
−フィコエリトリン)で処理した。この処理は、抗ヒトFc/ビオチンをすべて
の結合しているA39R/Fcに結合させ、そしてSAPEを抗ヒトFc/ビオ
チンに結合させ、細胞に結合しているA39R/Fc上に蛍光同定標識を生じさ
せる。蛍光検出フローサイトメトリーを用い、すべての結合しているタンパク質
に関し細胞を解析した。結果により、A39Rセマフォリンは、ヒトNK細胞、
ネズミ脾臓B細胞、ヒトPB T細胞、ヒトT、B、赤芽球、リンパ芽球および
骨髄前駆細胞、繊維芽細胞および上皮細胞系譜によく結合することが示された。
表1は、フローサイトメトリー研究の結果を列挙する。「+」は細胞表面および
A39Rの間に結合が検出されたことを示す。「−」は細胞表面およびA39R
の間に結合が検出されなかったことを示す。
【0092】
【表1】
【0093】 実施例4 推定上のセマフォリン受容体の同定 A39Rに対する結合に関し陽性に試験されたCB23細胞(ヒト臍帯血B細
胞株)およびヒトPB T細胞を、推定上の受容体の発現に関し、そしていくら
かの受容体が膜結合分子、可溶性分子または両方として発現しているか決定する
ため、試験した。概して、該解析は、CB23およびヒトPB T細胞表面を放
射標識し、採取し、そして細胞上清および溶解物をA39R/Fc融合タンパク
質で処理し、すべての推定上の受容体を沈澱させ、そしてその後、電気泳動ゲル
上で免疫沈降物を視覚化することを含んだ。
【0094】 特に、該方法は、Benjaminら, Blood 75:2017−20
23(1990)に記載されるように、まず、[125I]で、およそ1 x 107 のCB23またはPB T細胞を放射標識することを含んだ。培養細胞上清を採
取し、そして14,000 rpm、30分間の遠心分離により、清澄にした。
細胞溶解物は、プロテアーゼ阻害剤、フェニルメチルスルホニルフロリド、ペプ
スタチン−A、およびロイペプチンを含む1% Triton−X 100を含
む1 mlのリン酸緩衝生理食塩水中で、細胞を氷上で30分間インキュベーシ
ョンすることにより生成した。溶解物を14,000 rpm、30分間の遠心
分離により清澄にした。溶解物および/または上清に存在するすべての受容体を
沈澱させるため,細胞上清または溶解物200μlを実施例1に記載されるよう
に調製したA39R/Fc融合タンパク質2μgとインキュベーションした。イ
ンキュベーションは4℃で穏やかに揺らしながら1時間行った。同様にFcタン
パク質コントロール試料を調製し、そしてインキュベーションした。インキュベ
ーション後、プロテインAセファロースビーズ(#17−0780−01、Ph
armacia Biotech Inc.、ニュージャージー州ピスカタウェ
イ)を溶解物および上清に添加し、そして混合物を4℃で穏やかに揺らしながら
1時間インキュベーションした。PBS 1% Triton−X 100溶液
で、ビーズをよく洗浄した。結合しているタンパク質を溶出させ、そしてSDS
PAGEにより解析した。タンパク質バンドをオートラジオグラフィーで視覚
化し、そして単一のおよそ200 kDaのバンドが、A39R/Fcに結合す
るが、コントロールFcタンパク質には結合しないことを見出した。セマフォリ
ン受容体は細胞溶解物および細胞上清に存在し、膜結合タンパク質としての、そ
して分泌される可溶性タンパク質としてのその発現が確認された。 実施例5 セマフォリン受容体の単離および配列決定 実施例1に記載されるように調製されたA39R/Fc融合タンパク質を用い
、ヒトセマフォリン受容体ポリペプチドを単離し、そして単離ポリペプチド精製
のための方法を確認した。CB23細胞ペレットを、ホモジェナイズ緩衝液(1
0 mMリン酸、30 mM NaCl、pH 7.4)中にPMSF、ロイペ
プチン、アプロチニン、ペプスタチンAを各々1 mM、10μg/ml AP
MSF、および1 mM EDTAを含むプロテアーゼ阻害剤溶液に懸濁するこ
とにより、セマフォリン受容体を単離した。細胞をダウンス(dounce)ホ
モジェナイズし、そしてホモジェナイズ緩衝液中の41%ショ糖溶液に上層し、
そして25,000 rpm、4℃で45分間、Beckman SW−28ロ
ーターで回転させ落とした。中間相を集め、そして冷たいホモジェナイズ緩衝液
で希釈し、ダウンスし、そして回転させた。生じた透明な膜ペレットを−80℃
で貯蔵した。
【0095】 充填細胞240 mlから調製した膜ペレットを、20 mM Tris、1
50 mM NaCl、上記に同定されるプロテアーゼ阻害剤、1% Trit
on X−100およびCaCl2、MgCl2、およびMcCl2塩0.1 m Mの水性溶液(緩衝液A)100 mlと合わせた。懸濁ペレットをダウンスし
、そしてSW−28ローターで、25,000 rpm、4℃で30分間回転さ
せた。上清を100 mlコムギ胚(wheat germ)凝集素カラムに入
れ、そして10カラム体積の緩衝液Aを用い1 ml/分の速度で溶出させた。
カラムに特異的に結合しているタンパク質をその後、0.2M N−アセチルグ
ルコサミンを含む緩衝液Aで溶出させた。
【0096】 タンパク質に関し陽性に試験された分画をプールし、そしてA39R/Fc融
合タンパク質100μgと4℃で1時間インキュベーションした。インキュベー
ションした混合物をセファロースカラムに通し、特異的に結合しない成分を除去
し、そしてその後、プロテインA/セファロース固体支持体の0.5 mlカラ
ムに通過させた。プロテインA/セファロース固体支持体を、1% Trito
n X−100を含むPBS 20カラム体積で洗浄し、その後、PBSで洗浄
し、いかなる非結合成分も洗い落とした。その後、pH 3.0の50 mMク
エン酸の0.35 ml分画で、段階的方式で、プロテインA/セファロースカ
ラム上に保持されているタンパク質を溶出した。タンパク質に関し陽性に試験さ
れた分画を合わせ、そして10 kD MWCO Centricon濃縮装置
を用い、50μlに濃縮した。生じた濃縮試料中のタンパク質を還元し、そして
その後、標準的DTTおよびヨード酢酸法を用い、アルキル化した。アルキル化
タンパク質をその後、8%ゲル上で電気泳動した。ゲル上のタンパク質を、5%
酢酸を含む50% MeOH中のクーマシーGで視覚化し、そしてその後、50
% MeOH中で脱染した。
【0097】 タンパク質標準に比較することにより位置決定された、およそ200 kDバ
ンドを、かみそりで切り出し、そして100 mM炭酸アンモニウム中で一晩洗
浄した。ゲル切片を乾燥するまで高速蒸発させ、そして100 mM炭酸アンモ
ニウム中のトリプシンの1:10溶液を乾燥スライドに添加した。スライドを3
7℃で16時間インキュベーションし、そしてその後切片中のタンパク質を、各
抽出と共に30分間インキュベーションしながら、5%ギ酸を含む50%アセト
ニトリルで3回抽出した。
【0098】 トリプシン消化ペプチド断片を凍結乾燥し、0.1%トリフルオロ酢酸50μ
lに溶き、そしてC−18逆相パッキングを充填した500μ id(内径)
x 25 cmキャピラリーカラム上でRP−HPLCにより分離した。HPL
C液相は、5分後10%、105分後85%のアセトニトリル/水勾配であった
。溶出タンパク質は215 nmで検出した。各タンパク質が溶出すると、別個
の分画に集め、そして分画中のペプチドのN末端配列解析を、製造者の指示にし
たがい、494 Procise配列決定装置上で行った。
【0099】 上述のように得られたRP−HPLC分画を、真空遠心機で乾燥し、0.5%
酢酸を含む50%メタノール6μlに分画中のペプチドを溶解した。各ペプチド
溶液2μlをナノスプレーチップ(Protein Analysis Com
pany、デンマーク、オーゼンセ)に装填した。データは、ナノスプレー供給
源を備えたFinnigan TSQ700 三重四重極質量分析計(カリフォ
ルニア州サンホセ)で得た。質量スペクトルは、単位分解能で得た。直列質量分
析には、第一の四重極を3−4Daの幅を通過するのに十分な分解能で作動させ
、そして第三の四重極を単位分解能(unit resolution)で作動
させた。衝突ガスは、4 mトールの圧で供給した。標準的エステル化法を用い
、メチルエステル化を行った。
【0100】 トリプシン生成ペプチドの直列質量分析解析により、精製タンパク質の単離部
分に関するアミノ酸配列情報が提供された。直列質量スペクトルデータを、部分
的SEQUESTアルゴリズム検索ツール(Eng, J.K.ら, J Am
Soc. Mass 1994)を用い、コンピューターが補助する非重複性
タンパク質データベースおよびESTデータベースのスクリーニングで用いた。
配列番号2のアミノ酸421−428に対応するペプチド照会(query)配
列GluGluThrProValPheTyrLys、およびアミノ酸436
−445に対応するAsnIleTyrIleTyrLeuThrAlaGly
Lysは、EST第248534号(寄託番号N78220号)が、照会ペプチ
ド配列に対し100%同一性を有する含有ペプチド配列を含むと同定した。アミ
ノ酸388−401に対応するThrValLeuPheLeuGlyThrG
lyAspGlyGlnLeuLeuLysは、EST第R08946号が、照
会に対し100%同一性を含むと同定した。
【0101】 EST 248534の部分および精製タンパク質の3つのペプチド断片の間
の100%同一性は、EST 248534内に含まれるcDNAは、精製タン
パク質のコード領域に対するヌクレオチド配列の部分を代表することを、強く示
唆した。セマフォリン受容体cDNAの供給源は、ファージライブラリースクリ
ーニング法およびEST 248534に基づくPCRプライマーを用い、同定
した。
【0102】 オリゴヌクレオチドプライマーは、以下のヌクレオチド配列を有した: ATCGCATCAT CTACCTTCAT CCATTCCGAC CTG
(配列番号9) TAAACACTCC GAACAGGATT TATGTTTATT GCA
(配列番号10) ヒト組織cDNAファージライブラリーの一団をPCR反応のテンプレートと
して用い、PCR単離および増幅方法論を実行した。PCR反応混合物は、最終
反応体積30μl中に、ファージライブラリーストック1μl、0.3μMの最
終濃度のPCRオリゴヌクレオチドプライマー、1 x PC2緩衝液(Ab
Peptides, Inc.、ミズーリ州セントルイス)、dATP、dCT
P、dGTP、dTTP(Pharmacia Biotech)各0.2 m
M、16:1混合Klen−Taq/Ventポリメラーゼ(Klen−Taq
ポリメラーゼ、Ab Peptides, Inc.およびVentポリメラー
ゼ、New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)
0.2μlを含んだ。PCR反応サイクルは、Stratagene、カリフォ
ルニア州ラホヤのRobocycler 96を用い、98℃5分間での1サイ
クル;98℃45秒間での30サイクル;68℃45秒間での30サイクル;7
2℃45秒間での30サイクル;および72℃5分間での1サイクルを含んだ。
いくつかのライブラリー中のcDNAが、電気泳動PCR産物中の適切なサイズ
のDNAバンドの出現に基づき、精製VESPRタンパク質をコードするDNA
を含むとして、陽性に同定された。
【0103】 ファージライブラリーの2つ、ヒト包皮繊維芽細胞およびヒト真皮繊維芽細胞
を、さらなる解析のため選択した。ライブラリーを確立された方法にしたがって
蒔き、そしてEST 248534をテンプレートとして用いたPCR増幅産物
由来の放射標識ランダムプライマープローブで探査した(probed)。増幅
産物を得るために用いたPCR条件は、上述の通りであり、そしてプローブはS
tratagene、カリフォルニア州ラホヤのPrime−IT IIランダ
ムプライマー標識キットを用い、生成した。およそ1 x 106 cpm/m lの精製プローブを用い、ナイロン膜フィルター上のヒト包皮ファージライブラ
リーを、10 x デンハルト(Denhardts)溶液、pH 7.5の5
0 mM Tris、0.9M NaCl、0.01%ピロリン酸ナトリウム、
1%ドデシル硫酸ナトリウム、および200μg/mlの変性断片化サケ精子D
NAのハイブリダイゼーション緩衝液中で、63℃で一晩探査した。探査後、探
査した膜を、63℃で、一度、6 x SSC、0.1% SDSで20分間、
一度、2 x SSC、0.1% SDSで20分間、一度、1 x SSC、
0.1% SDSで20分間、そして一度、0.1 x SSC、0.1% S
DSで20分間、洗浄した。探査しそして洗浄したフィルターをX−omat
AR X線フィルム(Eastman−Kodak Corp.)に一晩曝露し
た。4つのオーバーラップしているcDNAを同定した。オーバーラップしてい
るDNAを、配列決定されたトリプシン消化生成タンパク質断片と共に用い、配
列番号1に示されるようなVESPRのコード配列および配列番号2に提示され
るアミノ酸配列を完了し、そして確認した。 実施例6 A39Rセマフォリンに対するモノクローナル抗体 本実施例は、A39Rセマフォリンに対する抗体を調製するための方法を例示
する。精製A39R/Fcを上の実施例1に記載されるように調製した。精製タ
ンパク質を用い、米国特許第4,411,993号に記載されるようにA39R
セマフォリンに対する抗体を生成した。簡潔には、マウスをA39R/Fcで1
0μgで、0、2および6週に免疫した。初回免疫は、Vaxcell, In
c.のTITERMAXアジュバントと共に調製し、そして続く免疫は、不完全
フロイントアジュバント(IFA)と共に調製した。11週目に、PBS中のA
39R/Fc 3−4μgでマウスをIV追加免疫した。IV追加免疫の3日後
、脾臓細胞を採取し、そして50%水性PEG 1500溶液を用い、Ag8.
653骨髄腫融合パートナーと融合させた。ハイブリドーマ上清を、A39R/
Fcおよび不適切なFcタンパク質に対するドットブロットアッセイにより、A
39R抗体に関しスクリーニングした。 実施例7 セマフォリン受容体を発現している組織に関するノーザンブロット解析 以下は、本発明のVESPRポリペプチドを発現する組織および細胞種を同定
するため行われたノーザンブロット実験を記載する。該結果は、フローサイトメ
トリー解析およびA39R/Fc融合タンパク質を用いて得られた細胞結合結果
を確認する。
【0104】 実施例5に記載されるように、ESTデータベース検索の結果、配列番号2の
VESPRの部分的クローンと考えられるEST(EST 248534)が発
見された。PCR技術およびEST 248534のヌクレオチド1−372に
基づくオリゴヌクレオチドプライマーを用い、リボプローブテンプレートを生成
した。EST 248534のヌクレオチド1−372を含む上流および下流プ
ライマーは以下の配列を有した: GCGGGACTCA GAGTCACC(配列番号5)GGATCCTAAT ACGACTCACT ATAGGGAGGA AAC
CACTCCG AAC(配列番号6) 下線部分は、T7部位である。
【0105】 2つのプライマーを用い、リボプローブの生成に用いるため、EST2485
34からPCR産物を単離し、そして増幅した。AmbionのMAXIscr
ipt SP6/T7キットを用い、3μlのRNAse不含水、2μlの10
x転写緩衝液、10 mM dATP/dCTP/dGTP各1μl、5μl
の5'/3' EST 248534 PCR産物、5μlのAmersham[ α32P]UTP 10 mCi/ml、2μlのT7 RNAポリメラーゼを室 温で合わせることにより、リボプローブを生成した。組み合わせたものを微量遠
心分離し簡潔に回転させ、そして37℃で30分間インキュベーションした。そ
の後、1μlのDNAseを混合物に添加し、そして37℃で15分間反応させ
た。反応産物をG−25パッキング(Boehringer)の2カラム体積に
通過させた。リボプローブ1μlをシンチレーションカウンターで1分間カウン
トし、cpm/mlを測定した。
【0106】 多様な細胞株由来のポリアデニル化RNAを、1.2%アガロースホルムアル
デヒドゲル上に分画し、そして該RNAをHybondナイロン膜(Amers
ham、イリノイ州アーリントンハイツ)上にブロットすることにより、ノーザ
ンブロットを生成した。Maniatis(Molecular Clonin
g: a Laboratory Manual, Cold Spring
Harbor Lab. Press, 1989)に記載されるような標準的
ノーザンブロット生成法を用いた。総RNA多数組織ノーザンブロットは、商業
的に購入した(BioChain Institute, Inc.、カリフォ
ルニア州サンレアンドロ、カタログ番号021001、021002、0210
03)。
【0107】 ノーザンブロットを、50%ホルムアミドハイブリダイゼーション溶液(30
mlの20 x SSC、2 mlの100 x デンハルト試薬、1 ml
の10 mg/ml変性断片化サケ精子DNA、50 mlの100%ホルムア
ミドおよび20 mlの10% SDS)中でプレハイブリダイゼーションした
。総RNAブロットは42℃で4時間プレハイブリダイゼーションし、そしてポ
リA+ RNAブロットは63℃で4時間プレハイブリダイゼーションした。リ
ボプローブを、106 cpm/mlのカウントで、清浄なハイブリダイゼーシ ョン溶液(プレハイブリダイゼーション溶液と同じ)に添加した。プレハイブリ
ダイゼーション溶液をブロットから除去し、そしてハイブリダイゼーション溶液
およびリボプローブをブロットに添加した。ハイブリダイゼーションを一晩、穏
やかに震蕩しながら進めた。総RNAブロットは63℃でハイブリダイズさせ、
そしてポリA+ RNAブロットは63℃でハイブリダイズさせた。
【0108】 探査した総RNAブロットを、42℃で、一度、0.05% SDSを含む2
x SSCで30分間、そして55℃で、一度、0.05% SDSを含む2
x SSCで30分間;63℃で、二度、0.1% SDSを含む0.1 x
SSCで30分間;三度、0.1% SDSを含む0.1 x SSCで30
分間、洗浄し、そしてその後X線フィルムに曝露した。ポリA+ブロットを、6
3℃で、一度、0.05% SDSを含む2 x SSC溶液で30分間、そし
て一度、0.1% SDSを含む1 x SSCで30分間、洗浄し、そしてそ
の後X線フィルムに曝露した。
【0109】 ノーザンブロットを探査した結果および陽性結合プローブに関する生じたX線
フィルムの視覚化により、VESPRがフローサイトメトリー実験において陽性
結合が示されたものと同一の細胞に発現されていることが確認される。ハイブリ
ダイズしているRNAはMP−1、HFFおよびCB23細胞で検出された。陽
性RNAを示した初代組織には、心臓、脳、肺、脾臓および胎盤が含まれた。R
AJI細胞にはRNAは検出されなかった。 実施例8 AHVセマフォリンFc融合タンパク質の生成 以下は、AHVセマフォリン/免疫グロブリン融合タンパク質(AHVセマ/
Fc)を調製することを記載する。該方法は、融合タンパク質をコードするDN
A構築物を調製し、該DNA構築物で細胞株をトランスフェクションし、そして
トランスフェクションされた細胞から上清を採取することを含んだ。
【0110】 AHV−セマをコードするDNAは、Ensserら, J. Gen. V
ir. 76:1063−1067, 1995に記載される。アルセラフィン
・ヘルペスウイルスDNA株WC11(Plowright, W.ら, Na
ture 188:1167−1169, 1960)から、PCR技術、およ
び配列が公表されているAHV−セマ配列に基づく合成オリゴヌクレオチドプラ
イマーを用い、AHV−セマアミノ酸70−653をコードするDNAを単離し
、そして増幅した。上流オリゴヌクレオチドプライマーにより、Spe 1部位
を導入した。下流オリゴヌクレオチドプライマーにより、終止コドンの下流にN
ot 1部位を導入した。可溶性AHVセマを単離するのに用いた一般的な方法
は、Spriggsら, J. Virology, 70:5557(199
6)に記載されている。
【0111】 Goodwinら, Cell 73:447−456, 1993に記載さ
れるような免疫グロブリンの突然変異タンパク質Fc領域を含む制限断片を、ネ
ズミIL−7シグナルペプチドおよび米国特許第5,011,912号に記載さ
れるようなFLAGTMオクタペプチドを含む発現ベクター(pDC409)内に
連結した。その後、コードする、PCR増幅AHVセマDNAを、突然変異タン
パク質ヒトFc領域、ネズミIL−7シグナルペプチドおよびFLAGTMペプチ
ドを含む発現ベクター内に二方向連結で連結した。生じたDNA構築物をサル腎
臓細胞株CV−1/EBNAに(pSV3neoの共トランスフェクションと共
に)トランスフェクションした。0.5%低免疫グロブリンウシ血清を含む培地
で7日間培養した後、0.2%アジ化物溶液を上清に添加し、そして0.22μ
mフィルターを通し上清を濾過した。その後、およそ1lの培養上清を、10
ml/分で、4.6 x 100 mmプロテインAカラム(PerSepti
ve BiosystemsのPOROS 20A)を用い、BioCad プ
ロテインA HPLCタンパク質精製系を通過させた。プロテインAカラムは、
上清中の融合タンパク質のFc部分に結合し、融合タンパク質を固定し、そして
上清中の他の構成要素がカラムを通過するのを可能にする。カラムを30 ml
のPBS溶液で洗浄し、そして結合している融合タンパク質をpH 3.0に調
整したクエン酸でHPLCカラムから溶出させた。溶出した精製融合タンパク質
は、溶出の際、pH 7.4の1M HEPES溶液を用い、中和した。 実施例9 組換えセマフォリン受容体の発現 実施例5に記載されるように精製されたタンパク質のセマフォリン受容体(V
ESPR)アミノ酸配列、並びに、やはり実施例5に記載されるような、EST
データベース検索から得られた情報および放射標識プローブでのハイブリダイゼ
ーション方法論を用いて得られたcDNAを用い、cDNAを生成し、そして該
cDNAで細胞をトランスフェクションし、組換えVESPRポリペプチドの発
現を可能にする。
【0112】 pDC406由来のDC409発現ベクター中のcDNAを、標準的技術(M
cMahonら, EMBO J. 10:2821, 1991)を用いCV 1/EBNA細胞にトランスフェクションする。より詳細には、CV1 EBN
A細胞を、10%ウシ胎児血清を補ったダルベッコの最小必須培地(培地)10
ml中に、10 cmプレート当たり2 x 106細胞の密度で蒔く。細胞 を37℃で一晩付着させる。66.7μMクロロキンおよびVESPRをコード
するcDNA 5μgを含むDNA混合物を含む培地1.5 mlで、培地を置
換する。175μlおよび25μlのDEAEデキストランを含む培地を細胞に
添加する。細胞およびcDNAを37℃で5時間インキュベーションする。cD
NA混合物を除去し、そして10% DMSOを含む新鮮な培地1 mlで、細
胞に2.5分間ショックを与える。新鮮な培地で培地を置換し、そして細胞を少
なくとも3日間増殖させる。
【0113】 VESPRの可溶性型を回収するため、可溶性型を含む上清を集め、そしてH
PLC技術またはアフィニティークロマトグラフィー技術を用い、VESPRタ
ンパク質を回収する。VESPRの膜結合している型を回収するため、トランス
フェクション細胞を採取し、1% パラホルムアルデヒドで固定し、洗浄し、そ
してその損なわれていない型で用いる。 実施例10 VESPR結合研究 本発明の受容体ポリペプチドの結合特性を調べるため、膜結合VESPR細胞
外ドメインを発現している細胞を、Goodwinら, Cell 73:44
7−456(1993)およびSpriggsら, J Virol 70:5
557(1996)に記載されるスライド結合アッセイに供することにより、結
合研究を行った。
【0114】 pDC406(McMahonら, EMBO J. 10:2821, 1
991)由来であるが、単一のBgl 2を有するpDC409発現ベクターを
、クローニング法のため、選択した。アミノ酸19−1100をコードするVE
SPR cDNAを、Sal 1(5')およびNot 1(3')部位を通じ、
pDC409発現ベクターにサブクローンし、DNA構築物を形成した。
【0115】 pDC409中の2μgのVESPR cDNA(アミノ酸19−1100を
コードする)と共にDEAE/デキストランを介し、CV−1/EBNA細胞を
トランスフェクションした(Giriら, EMBO J. 13:2822,
1994)。トランスフェクション細胞を3日間培養し、そしてCV−1/E
BNA細胞単層を、A39R/Fc、AHVセマ/Fc、またはコントロールF
cタンパク質1μg/mlとインキュベーションした。その後、インキュベーシ
ョン細胞を洗浄し、そして125I標識マウス抗ヒトIgG(Jackson I mmunoresearch、ペンシルバニア州ウェストグローブ)とインキュ
ベーションした。よく洗浄した後、細胞を固定し、Gearingら, EMB
O J 8:3667−3676(1989)に記載されるように写真感光乳剤
に浸し、そして現像した。陽性結合は、Fcタンパク質に結合しているVESP
Rを発現している細胞を覆う、露出されたまたは黒ずんだ銀粒の存在により、決
定した。 実施例11 フローサイトメトリーおよび阻害結合研究 以下は、A39R/Fc融合タンパク質(実施例1)およびAHVセマ/Fc
融合タンパク質(実施例9)に対する結合に関するCB23細胞のフローサイト
メトリー解析を記載する。やはり以下に記載されるのは、実施例2に記載される
ように調製されたA39R/ポリHis融合タンパク質の過剰量でのAHVセマ
およびA39R結合の阻害を測定することに向けられた研究である。
【0116】 フローサイトメトリー解析は、まず約1 x 106のCB23細胞を、3% 正常ヤギ血清および3%正常ウサギ血清を含むFACS緩衝液中で、氷上で30
分間インキュベーションし、非特異的結合をブロッキングすることにより、行っ
た。A39R/Fc、AHVセマ/FcおよびコントロールFcタンパク質の一
部を多様な濃度で添加し、そしてインキュベーションを30分間続けた。細胞を
洗浄し、そしてその後、FACS緩衝液中のフィコエリトリン結合Fc特異的抗
ヒトIgGとインキュベーションした。細胞を洗浄し、そしてBecton D
ickinson、マサチューセッツ州ベッドフォードのFACScan上で解
析した。結果は、AHVセマフォリンおよびA39Rセマフォリンの陽性結合を
示した。
【0117】 結合阻害研究は、約1 x 106のCB23細胞を、FACS緩衝液中で、 氷上で30分間インキュベーションすることにより、行った。A39R/ポリH
isおよびコントロールHisタンパク質を多様な濃度で異なる試料に添加し、
そしてインキュベーションをもう30分間続けた。その後、A39R/Fcまた
はAHVセマ/Fcを多様な濃度でインキュベーション細胞に添加し、そしてイ
ンキュベーションをもう30分間続けた。細胞を洗浄し、そしてその後、FAC
S緩衝液中のフィコエリトリン結合Fc特異的抗ヒトIgGとインキュベーショ
ンした。細胞を再び洗浄し、そしてFACScan上で解析した。結果は、A3
9R/ポリHisを用い、A39RおよびAHVセマが完全に阻害されるが、異
種性His含有タンパク質では阻害されないことを立証した。 実施例12 A39RセマフォリンでのヒトB細胞凝集 A39Rセマフォリンに対するヒトB細胞反応を調べるため、Spriggs
ら, J Exp Med 176:1543(1992)に記載されるように
、ヒト扁桃腺B細胞を精製した。A39R/ポリHis融合タンパク質を実施例
2に記載されるように調製した。A39R/ポリHis融合タンパク質の溶液は
、最終A39R濃度が1μg/mlになるよう調製し、そしてA39R/ポリH
is融合タンパク質溶液を、約105の精製B細胞のin vitro培養中で インキュベーションした。インキュベーションを約24時間続けると、細胞凝集
が生じた。融合タンパク質を培養に添加する前に、実施例6に記載されるように
調製された、A39Rに対するモノクローナル抗体の10倍モル過剰量を融合タ
ンパク質調製に添加すると、細胞凝集は遮断された。さらに、A39Rセマフォ
リンを、培養に添加する前に、熱不活化すると、凝集は遮断された。
【0118】 本研究は、VESPRがB細胞上に発現され、そしてA39RおよびVESP
Rの間の相互作用がB細胞凝集を生じることを確認する。B細胞凝集は、B細胞
の活性化を示す。活性化B細胞は、サイトカインを分泌し、抗体を産生し、また
は抗原提示細胞になることが知られる。 実施例13 A39Rセマフォリンでのマウス樹状細胞およびマクロファージ凝集 A39Rに対する樹状細胞およびマクロファージ反応を調べるため、マウス細
胞培養をA39Rセマフォリンと接触させ、そして該組み合わせの影響を観察し
た。マクロファージを含むマウス樹状細胞培養は、Maraskovskyら,
J Exp Med 184:1953(1996)に記載されるように、マ
ウスをFlt−3で免疫し、そして細胞を単離しそして精製することにより、得
た。
【0119】 簡潔には、メスC57Bl/6マウスに、連続9−10日間、PBS 100
μl中のFlt3L 10μgおよびマウス血清アルブミン1μgの溶液を、毎
日一度注射した。免疫後、NH2Clの存在下で、すりガラスのスライドの間で 脾臓組織を破壊し、赤血球を枯渇させることにより、脾臓の単一細胞懸濁物を調
製した。残存細胞を、Thy−1、B220、NK1.1、およびTER119
に対するmAbとインキュベーションし、そしてその後、10%ウサギ補体とイ
ンキュベーションした。その後、インキュベーション細胞を洗浄し、そして抗免
疫グロブリン(Ig)被覆磁気ビーズを用い、残ったmAb被覆細胞を除去した
。残存濃縮(enriched)細胞を培養し、または多様な細胞集団に関し分
類した。
【0120】 分類のため選択した細胞を、Maraskovskyら, J Exp Me
d 184:1953−1962, 1996に記載されるように、抗CD11
cおよび抗CD11bで染色し、そしてCおよびD/E集団に関し分類した。
【0121】 A39R/ポリHis融合タンパク質を実施例2に記載されるように調製した
。A39R/ポリHis融合タンパク質溶液は、最終A39R濃度1μg/ml
で、約105の分類または枯渇マウス細胞と、in vitro培養中でインキ ュベーションした。4−6時間以内に、細胞は凝集し始めた。融合タンパク質を
マウス細胞培養に添加する前に、実施例6に記載されるように調製された、A3
9Rに対するモノクローナル抗体の10倍モル過剰量をA39R/ポリHis融
合タンパク質調製に添加すると、凝集は遮断された。
【0122】 本研究は、VESPRが樹状細胞およびマクロファージ上に発現され、そして
A39RおよびVESPRの間の相互作用が樹状細胞およびマクロファージ凝集
を生じることを確認する。 実施例14 A39RセマフォリンはCD69活性化抗原を上方制御する 培養樹状細胞に対するA39Rセマフォリンの影響を調べるため、マウスに9
日間、毎日Flt3−L調製を注射した。マウス樹状細胞を採取し、そしてその
後、10% FBSおよび20 ng/mlのGM−CSFを含む培地中で5日
間培養した。
【0123】 5日目、A39R/ポリHis融合タンパク質1μg/mlを培養に添加した
。6日目、細胞を診断抗体で染色した。診断抗体染色実験の結果により、CD1
1c+、CD11b+細胞(樹状細胞)が発現するCD69活性化抗原量が増加し
ていることが示され、したがって、A39Rセマフォリンおよびその受容体の相
互作用がCD69発現を上方制御することが立証された。
【0124】 融合タンパク質が熱で不活性化されると、融合タンパク質はCD69抗原に対
し、影響を持たなかった。非染色および染色細胞の間の平均蛍光強度の典型的な
変化は、およそ500チャンネルないし2500チャンネルの間だった。再び、
これらの結果は、細胞活性化の一過性でそして初期の発現マーカーである、CD
69活性化抗原の制御に対する、A39Rセマフォリンおよびその膜結合受容体
の間の相互作用の有意な影響を立証する。 実施例15 IL−12産生におけるA39Rの影響の評価 マウス脾臓細胞からのIL−12の産生におけるA39Rの役割を研究するた
め、実施例13に記載されるように、マウスをflt3−Lで免疫し、そして樹
状細胞を生成し、採取しそして精製した。
【0125】 およそ5 x 105細胞/0.5 mlの精製された未分類樹状細胞を、以 下のもう1つの存在下で修飾DMEM培地中でインキュベーションした(1 x
106/mlで500μl):20 ng/ml muGM−CSF(Imm unex、ワシントン州シアトル)、20 ng/ml γ−IFN(Genz
yme、マサチューセッツ州ボストン)、10μg/ml SAC(CalBi
ochem、カリフォルニア州ラホヤ)。各細胞調製をさらに、1μg/mlの
A39R/ポリHis融合タンパク質単独で、あるいは1μg/mlまたは0.
1μg/mlのmuCD40L三量体(Immunex、ワシントン州シアトル
)と組み合わせて処理した。培養は、加湿37℃、空気中の10% CO2中で 、16−18時間インキュベーションした。インキュベーション後、培養細胞の
各群の生存率を測定し、そして上清を集め、そしてELISAアッセイキット(
Genzyme、マサチューセッツ州ボストン)を用い、muIL12(P70
)に関しアッセイした。組換えサイトカインで構築した標準曲線を参考にし、m
uIL12レベルを計算した。
【0126】 ELISA試験により、特に、A39Rはその受容体と相互作用し、未分類マ
ウス樹状細胞からのIL−12の産生においてインターフェロンおよびSACと
相乗作用することが立証された。このin vivo IL−12誘導はナチュ
ラルキラー細胞活性化およびガンマインターフェロン産生を促進し、そしてガン
マインターフェロン感受性サイトカインを上方制御するのに寄与する。 実施例16 単球上のMHCクラスIIおよびCD86の制御に対するA39Rの影響の試 以下の実験は、A39Rとその膜結合受容体との相互作用による、MHCクラ
スIIおよびCD86の上方制御を記載する。健常ドナーからの末梢血を、低内
毒素PBSで、pH 7.4および室温で1:1に希釈した。その後、希釈血3
5 mlをIsolymph(Gallard and Schlesinge
r Industries, Inc.、ニューヨーク州カールプレース)15
mlに上層し、そして室温で、2200 rpmで25分間遠心分離した。血
漿層を保存した。PBMC層を採取し、そして3回洗浄し、Isolymphを
除去した。洗浄したPBMCをX−Vivo 15血清不含培地(BioWhi
ttaker、メリーランド州ウォーカーズビル)に再懸濁し、そしてT175
フラスコに加えた。フラスコは、先に2%ゼラチン(Sigma、ミズーリ州セ
ントルイス)で被覆し、そして保存した血漿層で30分間前処理してあった。P
BMCを37℃、5% CO2で90分間付着させ、そしてその後、低内毒素P BSの10 ml洗浄で、穏やかに3回リンスした。酵素不含解離緩衝液(Gi
bco, BRL)中で細胞をインキュベーションし、そして細胞を何度もPB
S中で洗浄することにより、付着単球細胞を採取した。単球を2500 rpm
で5分間遠心分離し、計数し、そして1 ml中に5 x 105細胞/ウェル で24ウェルプレートに並べた。培養は95%純粋だった。
【0127】 細胞をより樹状細胞様表現型に分化させるため,精製単球細胞を、20 ng
/ml GM−CSFおよび100 ng/ml IL−4の存在下で、7−9
日間培養した。7−9日目に、1μg/mlのA39R/ポリHisまたはコン
トロールポリHis含有タンパク質で培養を処理し、そして翌日、解析のため、
細胞および上清を採取した。
【0128】 単球由来樹状細胞表面マーカーを調べるためのフローサイトメトリー実験にお
いて、特定のタンパク質に対して向けられる結合体化mAbで細胞を染色した。
染色により、試験した末梢血ドナーのほとんどで、A39R処理はこれらの細胞
上のCD86およびMHCクラスII発現を下方制御することが示された。CD
86およびMHCクラスII分子は、樹状細胞による亢進した抗原提示のマーカ
ーであるため、これらの下方制御により、A39Rとこの細胞集団上のその受容
体との相互作用の免疫抑制性の影響が示唆される。 実施例17 CD54の上方制御 以下は、A39Rセマフォリンおよび精製単球上のその受容体の間の相互作用
の影響、およびより詳細には、セマフォリンとのインキュベーション後の単球上
のCD54発現の影響を記載する。A39R/ポリHisまたはコントロールタ
ンパク質の存在下で、一晩培養に置いた以外は、実施例16に記載されるように
、末梢血ドナーから新たに単離された単球を精製した。
【0129】 一晩培養の後、培養細胞および単球特異的細胞表面マーカーに対して向けられ
るmAbを用い、フローサイトメトリーを行った。試験されたドナーすべてで、
CD54表面発現のレベルは、A39Rの存在下で亢進されたが、熱不活化A3
9Rの存在化では亢進されなかった。同様に、コントロールタンパク質を含む培
養では、CD54表面発現は亢進されなかった。
【0130】 CD54はICAM−1としても知られるが,付着分子であり、その増加した
発現は、細胞活性化を示すとみなされている。これらのデータにより、A39R
のその受容体との相互作用を促進することにより、新たに単離されたヒト単球を
活性化することが可能であることが示される。 実施例18 新たに単離されたヒト単球からのサイトカイン誘導 実施例16に記載されるように、新たに単離されたヒト単球を精製し、そして
実施例17に記載されるように培養した。一晩A39R/ポリHisとインキュ
ベーションした後、炎症誘発性サイトカインの存在に関し、単球上清を調べた。
試験したドナーすべてで、IL−6およびIL−8がA39Rタンパク質により
誘導された。熱不活化A39Rおよびコントロールタンパク質は、IL−6また
はIL−8を誘導しなかった。さらに、サイトカイン産生は、A39Rに対して
向けられるmAbを含むことにより遮断された。
【0131】 本実験の結果は、A39R、または本タンパク質の相同体がその受容体との相
互作用により、新たに単離された単球によるサイトカイン産生を誘導する可能性
があることを立証する。都合のよいことに、VESPRの可溶性型は、A39R
またはその相同体に反応し、単球の炎症誘発性活性を阻害するのに用いることが
可能である。 実施例19 単球凝集研究 セマフォリンのその単球上の受容体に対する相互作用に対する、ヒト単球の反
応を調べるため、実施例17に記載されるように単球を精製し、そして実施例2
に記載されるようにA39R/ポリHis融合タンパク質を調製した。該融合タ
ンパク質および精製された培養単球をインキュベーションした。インキュベーシ
ョンを20時間続けると、単球凝集を生じた。実施例17に立証される結果によ
り、観察された単球凝集はCD54上方制御の結果として起こると示唆された。
しかし、他の要因もまた、凝集に寄与している可能性がある。
【0132】 本研究は、本発明のセマフォリン受容体が単球上に発現し、そしてA39Rお
よびVESPRの間の相互作用は単球凝集を生じることを確認する。B細胞同様
、単球凝集は、単球の活性化を示す。 実施例20 VESPRに対するモノクローナル抗体 本実施例は、VESPRポリペプチドに対する抗体を調製するための方法を例
示する。精製VESPRポリペプチドを実施例10に記載されるように調製する
。精製タンパク質を用い、米国特許第4,411,993号に記載されるように
、VESPRに対する抗体を生成する。簡潔には、マウスを0、2および6週間
目にVESPRで10μgで免疫する。初回免疫は、Vaxcell, Inc
.のTITERMAXアジュバントと共に調製し、そして続く免疫は、不完全フ
ロイントアジュバント(IFA)と共に調製する。11週目に、PBS中のVE
SPR 3−4μgでマウスをIV追加免疫する。IV追加免疫の3日後、脾臓
細胞を採取し、そして50%水性PEG 1500溶液を用い、Ag8.653
骨髄腫融合パートナーと融合させる。ハイブリドーマ上清を、VESPRおよび
不適切なFcタンパク質に対するドットブロットアッセイにより、VESPR抗
体に関しスクリーニングする。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】平成12年6月8日(2000.6.8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/02 C12P 21/08 C12Q 1/02 (C12P 21/08 // C12P 21/08 C12R 1:91) (C12P 21/08 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:91) A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AU,BA,BB,BG,BR,CA,CN, CU,CZ,EE,GE,HR,HU,ID,IL,I S,JP,KP,KR,LC,LK,LR,LT,LV ,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO, SG,SI,SK,SL,TR,TT,UA,US,U Z,VN,YU (72)発明者 デュボース,ロバート・フィンリー アメリカ合衆国ワシントン州98007,ベル ヴー,ワンハンドレッド・アンド・フォー ティセカンド・プレイス・ノース・イース ト 2981 (72)発明者 ジョンソン,リチャート・エス アメリカ合衆国ワシントン州98040,マー サー・アイランド,フォレスト・アベニュ ー・サウス・イースト 4650 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA26 BA63 CA04 CA07 HA03 4B063 QA01 QA20 QQ08 QQ79 QQ91 QR48 QS12 QS15 QS17 QS33 QS36 QX07 4B064 AG20 AG26 CA10 CA12 CA19 CC15 CC24 DA01 4C084 AA02 AA06 AA07 BA01 BA22 BA44 CA01 CA53 CA56 DC50 ZB112 ZB152 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA01 DA50 EA21 FA74

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セマフォリン類に結合する、単離VESPRポリペプチド
  2. 【請求項2】 配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも90%同一である
    アミノ酸配列を含むVESPRポリペプチドであり、セマフォリン類に結合する
    ことが可能な前記VESPRポリペプチド。
  3. 【請求項3】 VESPRポリペプチドが結合することが可能なセマフォ
    リンが、A39RセマフォリンおよびAHVセマフォリンからなる群より選択さ
    れる、請求項2の単離VESPRポリペプチド。
  4. 【請求項4】 単離VESPRポリペプチドであって: (a)配列番号1のcDNA;および (b)中程度に厳密な(stringent)条件下で、(a)のcDNAにハ
    イブリダイズし;そしてセマフォリン類に結合するポリペプチドをコードするD
    NA配列 (c)(a)および(b)のDNAに相補的なDNA からなる群より選択されるDNAによってコードされる、前記単離VESPRポ
    リペプチド。
  5. 【請求項5】 可溶性VESPRポリペプチドであって: (a)配列番号2のアミノ酸x1ないし945、ここでx1はアミノ酸1または3
    5である (b)(a)の配列の断片、ここで該断片はセマフォリンに結合することが可能
    である からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、前記可溶性VESPRポリペプ
    チド。
  6. 【請求項6】 アミノ酸配列が(a)の配列に少なくとも90%同一であ
    り、そして該可溶性VESPRポリペプチドがセマフォリンに結合する、請求項
    5の可溶性VESPRポリペプチド。
  7. 【請求項7】 VESPRポリペプチドをコードする単離DNAであって
    、該DNAが: (a)本質的に配列番号1からなるヌクレオチド配列に、非常に厳密な条件下で
    ハイブリダイズすることが可能なDNA (b)(a)の配列に相補的なDNAに、非常に厳密な条件下でハイブリダイズ
    することが可能なDNA (c)遺伝暗号の縮重のため、(a)および(b)のDNAに対し縮重している
    DNA配列;および (d)(a)、(b)、または(c)のDNAに相補的なDNA からなる群より選択される、前記単離DNA。
  8. 【請求項8】 VESPRポリペプチドをコードする単離DNAであって
    、該DNAが: (a)配列番号1のDNA; (b)(a)のcDNAに、中程度に厳密な条件下でハイブリダイズし;そして
    セマフォリンに結合するポリペプチドをコードするDNA配列; (c)遺伝暗号の縮重のため、(a)または(b)のDNA配列がコードするポ
    リペプチドのアミノ酸配列を有するVESPRポリペプチドをコードする、DN
    A配列;および (d)(a)、(b)、または(c)のDNAに相補的なDNA からなる群より選択される、前記単離DNA。
  9. 【請求項9】 VESPRポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列に
    少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、VESPRポリペプチドをコ
    ードする単離DNA。
  10. 【請求項10】 VESPRポリペプチドが配列番号2のアミノ酸配列を
    含む、請求項9の単離DNA。
  11. 【請求項11】 可溶性VESPRポリペプチドをコードする単離DNA
    であって、該可溶性VESPRポリペプチドが: (a)配列番号2のアミノ酸x1ないし945、ここでx1はアミノ酸1または3
    5である;および (b)(a)の配列の断片、ここで可溶性VESPRポリペプチドはセマフォリ
    ンに結合する からなる群より選択される配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含
    む、前記単離DNA。
  12. 【請求項12】 請求項11のDNAであって、可溶性VESPRポリペ
    プチドが: (a)配列番号2のアミノ酸x1ないし945、ここでx1はアミノ酸1または3
    5である;および (b)(a)の配列の断片 からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、前記単離DNA。
  13. 【請求項13】 x1が配列番号2のアミノ酸1または35であるアミノ 酸x1ないし945を含む、融合タンパク質。
  14. 【請求項14】 請求項7のDNAを含む、組換え発現ベクター。
  15. 【請求項15】 VESPRポリペプチドを調製するための方法であって
    、該ポリペプチドの発現を促進する条件下で、請求項14の発現ベクターで形質
    転換されている宿主細胞を培養し、そして該ポリペプチドを回収することを含む
    、前記方法。
  16. 【請求項16】 適切な希釈キャリアーおよび請求項2のポリペプチドを
    含む、組成物。
  17. 【請求項17】 請求項2のポリペプチドに免疫反応性である抗体。
  18. 【請求項18】 炎症性疾患を、該疾患を患う哺乳動物において治療する
    ための方法であって、VESPRポリペプチドの相当量を投与することを含む、
    前記方法。
  19. 【請求項19】 表面上にVESPRポリペプチドを有する細胞を、懸濁
    物中の細胞の混合物から分離する方法であって、混合物中の細胞を、セマフォリ
    ンを有する接触表面と接触させ、そして該接触表面および該懸濁物を分離するこ
    とを含む、前記方法。
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