JP2001520318A - チタン及びチタン合金中の窒素富化介在物の溶解方法 - Google Patents

チタン及びチタン合金中の窒素富化介在物の溶解方法

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JP2001520318A
JP2001520318A JP2000517120A JP2000517120A JP2001520318A JP 2001520318 A JP2001520318 A JP 2001520318A JP 2000517120 A JP2000517120 A JP 2000517120A JP 2000517120 A JP2000517120 A JP 2000517120A JP 2001520318 A JP2001520318 A JP 2001520318A
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ベンズ,マーク・ギルバート
ギグリオッティ,マイケル・フランシス,ジュニア
カーター,ウィリアム・トーマス,ジュニア
クヌドゥセン,ブルース・アラン
メスチター,ピーター・ジョエル
ザバラ,ロバート・ジョン
ニック,ジョエル・パトリック
ペロッチ,リー・クランフォード
ベウレイ,バーナード・パトリック
ラドチェンコ,ブラディミアー・ニコライイビッチ
リアブトォセブ,アナトリー・ダニロビッチ
タルロブ,オレグ・ブラッディミロビッチ
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    • C22BPRODUCTION AND REFINING OF METALS; PRETREATMENT OF RAW MATERIALS
    • C22B9/00General processes of refining or remelting of metals; Apparatus for electroslag or arc remelting of metals
    • C22B9/16Remelting metals
    • C22B9/18Electroslag remelting

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Abstract

(57)【要約】 制御された窒素分圧及び若干の酸素分圧の下で金属チタン又はチタン合金をエレクトロスラグ再溶解によって窒素富化介在物を溶解させることができ、亀裂発生部位の除去もしくは低減に役立てることができることを発見した。このチタン及びチタン合金のエレクトロスラグ再溶解法は、溶解プロセス中に窒素富化介在物を確実に溶解もしくは少なくとも最小限にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、総括的には、チタン合金中の窒素富化介在物の溶解に関する。具体
的には、本発明は、エレクトロスラグ再溶解とハロゲン化物フラックスを用いた
窒素富化介在物の除去に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
約200〜500℃の温度域で作動する航空機ジェットエンジン部品はチタン
基合金から製造されることが多い。かかる航空機部品は高レベルの繰返し応力を
受け、機械的破損の主要モードは低サイクル疲労(LCF)であることが多い。
かかる破損は発生部位で始まり、亀裂成長によって成長する。
【0003】 亀裂の発生はチタン合金に特有の性質ではない。亀裂は発生部位で生じるが、
この領域は母材チタン合金とは化学的又は物理的に異なる可能性がある。発生部
位は硬質又は脆性の析出物及び介在物、ボイド、両者の組合せ、その他様々な領
域として特徴付けられる。発生部位が大きいほど最初の亀裂が長く、初期亀裂成
長速度は速まり、低サイクル疲労寿命は短くなる。したがって、発生部位の大き
さを最小限に抑制する必要がある。
【0004】 チタン基合金のジェットエンジン部品の低サイクル疲労破損の発生部位は窒素
富化介在物で起こることが多い。チタン基合金中の窒素富化介在物はよく「ハー
ドアルファ」介在物と呼ばれる。この介在物の芯部(コア)は窒化チタン(Ti
N)で、αチタン層で包囲されており、このαチタン層はさらにβチタン層で包
囲されている。場合によっては、TiNの芯部がなくてαチタン領域が拡大して
いることもある。
【0005】 「ハードアルファ」介在物(窒素富化)は周囲のチタン基合金と比べると非常
に脆い。その結果、窒素富化介在物を有する部分が強い繰返し応力下で最初に亀
裂を生じて発生部位となる。状況をさらに悪化させるのは、「ハードアルファ」
介在物の存在が鍛造又は高温成形時に往々にしてボイドを生じることであり、潜
在的発生部位の寸法がさらに一段と大きくなる。
【0006】 鉱石から始めて最終的に部品をエンジンに集成するまでのチタン基合金のプロ
セス全体は数多くの段階を要する。第一段階は鉱石からの二酸化チタンの濃縮で
あり、次いで四塩化チタンの製造、四塩化チタンのチタンスポンジへの還元、一
次チタン基合金電極の製造、次いで複数のアーク溶解又はアークプラスハース溶
解、最後にインゴットの加工熱処理がある。
【0007】 問題とするチタン基合金中の窒素富化介在物は上記プロセスの精錬段階におい
て欠陥として発生し、一次電極の製造、複数のアーク溶解又はアークプラスハー
ス溶解及びインゴットの加工熱処理のような溶解段階では充分に溶解しない。精
錬チタンを小片に切断したり、3度のアーク溶解とハース溶解のように溶解滞留
時間を長くした溶解法を用いると有用であるが、介在物がなくなるとは保証でき
ない。現在、窒素富化介在物を含む材料を見つけて廃棄するために、溶解後の加
工経路に沿った幾つかのステージで超音波検査を用いている。これには時間も経
費もかかる。
【0008】 以上の理由から、チタン及びチタン基合金中の窒素富化介在物をなくすかその
寸法を最小限にするニーズが増している。
【0009】
【発明の概要】
本発明は、チタン及びチタン合金のエレクトロスラグ再溶解法であって、溶解
プロセス中に窒素富化介在物を確実に溶解もしくは少なくとも最小限にする方法
に関する。この方法は、エレクトロスラグ再溶解(ESR)をチタン基合金に応
用した派生法である。
【0010】 簡潔に述べると、エレクトロスラグ再溶解は次のようなプロセスとして述べる
ことができる。すなわち、精錬すべき材料、つまり電極から電流を溶融フラック
スつまりスラグに流して溶融スラグを抵抗加熱し、その熱で電極を溶解させる。
電極の端部で溶融金属が生じて、液滴としてフラックス中を落下し、冷却るつぼ
内でインゴットを形成する。このプロセスは、電極が消耗して、精錬金属インゴ
ットが形成されるまで続けられる。
【0011】 本発明において、スラグとも呼ばれるハロゲン化物フラックスは、主にフッ化
カルシウム(CaF2)又は塩化カルシウムのようなハロゲン化カルシウムであ る。フッ化カルシウムが好ましい。フッ化カルシウム等のハロゲン化物フラック
スは、溶存金属又は溶存酸化物のような適当な添加物を有する。金属カルシウム
が好ましい添加物であり、フラックスの伝導性を増大させながらフラックス中の
窒素及び酸素の分圧を低下させるのに役立つ十分な量でスラグ中に存在する。
【0012】 「窒素富化介在物」という用語は、アルファ−チタン(α−Ti)の層とベー
タ−チタン(β−Ti)の層で順次包囲された窒化チタン(TiN)を意味し、
介在物の中心からその外表面に向かって窒素濃度が低下するとともに窒素の化学
活性が下がる。この窒素富化介在物はβ−Ti電極で包囲されており、その典型
的な窒素含有量は約50wppmである。
【0013】 窒素富化介在物の溶解は、フラックスが窒化チタン介在物の露出表面を越えて
流れるときにチタン及び窒素が電極からフラックス中に輸送されることによって
起こる。チタン介在物の露出面は、溶融フラックスと接する電極面上に位置する
。窒素は電極面上の液体金属膜に輸送され、そこで再吸収される。窒素は液体金
属膜によって連続的に再吸収されるので、フラックス中の窒素の化学活性(窒素
分圧で表される)は介在物中よりも低く維持されるが、液体金属膜/フラックス
界面よりは高く維持される。その結果、液体金属膜中及びフラックス中の熱力学
的駆動力が常に存在し続け、介在物から外へ窒素を輸送する。電極面上の液体金
属膜及び窒素富化介在物の様々な領域と平衡状態にある窒素分圧は算出すること
ができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
制御された窒素分圧及び若干の酸素分圧の下で金属チタン又はチタン合金をエ
レクトロスラグ再溶解によって窒素富化介在物を溶解させることができ、亀裂発
生部位の除去もしくは低減に役立てることができることを発見した。
【0015】 本発明の一つの態様は、チタン含有電極から窒素富化介在物を除去する方法で
あって、るつぼ内のフラックスにチタン含有電極の底面を接触させる段階、電極
の底部が溶解する温度にフラックスを抵抗加熱しながら電極の底面を溶解させる
のに充分な量の電流を電極及びフラックスに流す段階、及びフラックス中の窒素
分圧を介在物中の窒素分圧よりも低く維持することによってフラックスに暴露さ
れた窒素富化介在物を溶解する段階を含んでなる方法である。
【0016】 本発明のもう一つの態様は上記の方法で製造された物品である。
【0017】 本発明のさらに別の態様は、エレクトロスラグ精錬によってチタン又はチタン
合金を精錬する方法であって、約1〜4.5重量%の金属カルシウムを含むハロ
ゲン化カルシウムフラックスを非酸化性雰囲気中で約1600℃を超える温度に
加熱する段階、磁気又はアーク攪拌手段によってフラックスを攪拌する段階、窒
素富化介在物を含有するチタン又はチタン合金の電極にフラックスを接触させる
段階、フラックス中を流れてフラックスを抵抗加熱する交流電流をチタン又はチ
タン合金電極に印加する段階、及びフラックス中の窒素分圧を介在物中の窒素分
圧よりも低く維持する段階、を含んでなる方法である。
【0018】 フラックス中の金属カルシウムは、フラックスの伝導性を増すとともに窒素及
び酸素の分圧を下げるのに役立つ。フラックス中の窒素分圧の好ましい範囲は約
10-12〜10-15気圧であり、酸素分圧の好ましい範囲は約10-20〜10-25
圧である。フラックスの抵抗が下がるとフラックスの温度を上げるのに役立ち、
その結果、フラックスと消耗電極の端部の間の表面にミクロアークが発生し始め
る。非金属介在物はかかるミクロアークによって部分的又は完全に破砕される。
【0019】 低い窒素分圧は窒化チタンの化学量論を変化させる。例えば、窒化チタンTi
NがTiN0.98又はTiN0.95へと変化し得る。低い酸素分圧はフラックスへの
窒素の吸収特性を増大させる。
【0020】 図1に、窒素介在物を有するチタン又はチタン金属を描いたエレクトロスラグ
再溶解系の概略を示す。この系10はチタン又はチタン合金の電極12を含んで
おり、電極12とハロゲン化物フラックス18との界面16には窒素富化介在物
14がある。電極12は溶融金属の液滴を生じ、液滴はフラックス18を通して
落下し、液体金属20として集められる。この系は、るつぼ22とその中に懸架
された電極12、フラックス18及び液体金属20を含んでいる。るつぼ22内
に電極12が供されたときにその底端部24を溶解させるための慣用手段が設け
られる。かかる加熱手段には、電極と電気的に接続された適当な交流電源がある
。電流は電極12、液体状態のフラックス18を通ってるつぼ22に流れる。こ
うして、フラックス18が、電極の底端24を溶解させるのに充分な高温に抵抗
加熱される。
【0021】 電極12(つまり、精錬もしくは再溶解すべきインゴット)は、エレクトロス
ラグ再溶解の必要なチタン又は適当なチタン合金で作られる。チタン合金の例は
、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo、並びにTi−
17−(5Al−4Mo−4Cr−2Sn−2Zr)である。好適なフラックス
18はハロゲン化物フラックス、特にフッ化カルシウムである。フラックスは、
例えば金属カルシウム(その好ましい量は約1〜4.5重量%である)を始めと
する溶存金属及び溶存酸化物のような適当な添加物を含んでいてもよい。
【0022】 次いで図2を参照すると、窒素富化介在物14は、窒化チタン(TiN)の内
側芯部26、続いてα−チタン部分28及びβ−チタンと呼ばれる外側部30で
構成される。窒素富化介在物14は直径が約1200マイクロメートルに至るこ
ともあるが、大抵は直径約300〜1000マイクロメートルの範囲にある。電
極12の端部24は厚さ約30〜100マイクロメートルの液体チタン膜である
。チタン電極12は通常約50重量ppm(wppm)以下の窒素を含む。これ
は窒素富化介在物14ではない。
【0023】 窒素富化介在物14が電極12の液体膜24を通過する際、その前面のβ−チ
タン30は液体膜24と平衡になる。例えば、液体膜24中の過熱が10℃であ
れば、介在物/フラックス界面32のβ−チタン30は上記温度のβ−チタンと
平衡状態にある飽和液体に相当する有効窒素分圧を有する。液体膜24の残りは
50wppm窒素で飽和状態に達しておらず、低い窒素分圧に相当する。化学量
論的窒化チタン(TiN)の分解窒素分圧は約10-10気圧である。介在物から フラックス中への窒素移動の駆動力は、介在物/フラックス界面32における窒
素分圧と液体金属膜/フラックス界面16における窒素分圧とで大きさが2桁異
なることである。フラックス18中の窒素分圧はこの2つの値の間に収まるはず
である。この駆動力が不適当であれば、介在物が液体金属表面から突き出して、
その温度が上昇する。液体/β−チタン平衡に相当する窒素分圧は、介在物から
窒素を適当な速度で除去するのに十分な駆動力が得られるまでは、温度の上昇と
ともに増大する。介在物の低窒素外側領域が除去されると、露出介在物中の窒素
化学活性又は分圧が増すので、窒素除去速度は介在物が溶解し続ける間は増すは
ずである。
【0024】 さらに、窒素輸送プロセスを有効なものとするには幾つかのファクターが存在
しなければならないことも発見した。第一に、介在物の外側層と電極上の液体金
属膜との濃度差が小さいプロセスの初期には、適当な熱力学的駆動力が存在しな
ければならない。第二に、フラックス中の窒素の化学活性は介在物/フラックス
界面での化学活性と液体金属膜/フラックス界面での化学活性の間になければな
らない。第三に、フラックス中の窒素の溶解度及びフラックス速度は、フラック
スが介在物と局所的な熱力学的平衡状態に移行せず、窒素が適度な速さで介在物
から電極上の液体金属膜へと輸送されるように、適したものでなければならない
。第四に、界面間移動及び液体金属中での拡散によるフラックスから液体金属膜
への窒素除去速度は、プロセスが進行し続けるように十分高くなければならない
。第五に、液体金属層の窒素容量は、介在物から輸送される窒素がすべて吸収さ
れるように十分高くなければならない。
【0025】 窒素は、イオンとして、又は中性溶存種として、又は酸素もしくは他の化学種
との錯イオンとして溶解し得る。介在物から窒素を除去すべくフラックスを急速
に循環させることが考えられる。介在物を通過するフラックスの流量は重要であ
り、アーク及び磁気攪拌によって温度とは独立に増大させてもよい。
【0026】 窒素富化介在物が少なくとも電極面の再溶解(melting back)と同じ速さで溶解
するように上記の各種動力学的プロセスが充分に速いことが必須である。フラッ
クス中の窒素の化学活性は低いので、周囲雰囲気から余分な窒素がフラックス中
に導入されないことも必須である。露出フラックスの上方に不活性ガス(所要の
低窒素分圧を生じるためゲッターを用いなければならないこともある)を維持し
なければならない。一般に、電極溶解は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、水素又
はこれらの混合物のような非酸化性雰囲気中で行われる。
【0027】 窒素の溶解を促進する添加物をハロゲン化カルシウム主体のフラックスに添加
するのも有益であろう。介在物の中心を酸素化して、その融解温度を下げるとと
もに拡散及び溶解を促進すべく、酸化カルシウム(CaO)や酸化チタン(Ti
O)のような溶存酸化物の形態の酸素を用いてもよい。塩化カルシウム(CaC
2)のようなカルシウム富化ハロゲン化カルシウムフラックス中でのカルシウ ム及び酸素の溶解度は実証済みである。
【0028】 エレクトロスラグ精錬(ESR)法による窒素富化介在物の溶解が可能である
ことは熱力学的計算で示された。これらの計算結果の概略を図2に示す。介在物
の窒化チタン芯部はα−チタン層とβ−チタン層で順次包囲されているが、各層
は次第に窒素濃度が低下し、窒素の化学活性が下がる。介在物をβ−チタン電極
に埋め込まれた状態で示したが、電極の典型的な窒素含量は約50wppmであ
る。介在物の溶解は、フラックスが介在物の露出面を流れ過ぎるときに窒素がフ
ラックス中に輸送されることによって起こることが実証された。窒素は次いで電
極面上の液体金属膜へと輸送され、そこで広く分散した様式で再吸収される。こ
の層は溶解して、液滴がフラックスを通して凝固インゴットを生じる。この方法
では、エレクトロスラグ精錬系がフラックス中の窒素分圧及びフラックス上方の
雰囲気中の窒素分圧を10-15気圧未満に維持できなければならない。
【0029】
【実施例】
例1 窒化チタン(TiN)とフッ化カルシウム系フラックスとの相互作用を次の通
り実験室で観察した。ホットアイソスタチックプレス成形した窒化チタン(Ti
N)のサンプルを、フッ化カルシウム(CaF2)70%、酸化カルシウム(C aO)15%、酸化アルミニウム(Al23)15%のフラックスに浸漬した。
フラックスをグラファイトるつぼ中で誘導加熱により加熱した。窒化チタン(T
iN)の崩壊(break up)が認められた。
【0030】 例2:介在物の調製 GE−CRD(GE中央研究所Corporate Research & Development)で2種類
の介在物を調製した。番号30の介在物の製造は、窒化スポンジ(nitrided spon
ge)とチタン粉末をチタン合金管に詰めて行った。管を電子ビーム溶接により栓 で密封した。次に管を1200℃/1000気圧/4時間アイソスタチックプレ
ス成形した。直径12.5mmの管を長さ10mmにカットしてサンプルを得た
。各サンプルの窒素含有部分の直径は10mmであった。
【0031】 番号49の介在物の製造は、窒化チタン粉末をチタン合金管に詰めて行った。
管を電子ビーム溶接により栓で密封した。次に管を1200℃/1000気圧/
4時間アイソスタチックプレス成形した。直径12.5mmの管を長さ10mm
にカットしてサンプルを得た。各サンプルの窒素含有部分の直径は10mmであ
った。
【0032】 介在物についての情報を添付の表1のセクション1に示す。
【0033】 電極の製造は、チタンスポンジを直径60mm、長さ約250〜275mmの
円柱にプレス成形することで行った。かかる円柱2本(及び頂部取付スタブ)を
TIG溶接によって一つに溶接して電極とした。電極の側部にドリルで直径13
mm、深さ約13mmの穴を開けた。これらの穴に介在物を挿入してTIG溶接
で適所に埋め込んだ。介在物の種類及び(電極の底から測定した)位置を添付の
表1のセクション2に示す。
【0034】 これらの例で用いたエレクトロスラグ精錬系は、内径約95mm、長さ360
mmの水冷るつぼを有するタイプのもので、長さ200mmまでのインゴットを
製造できるものであった。水冷るつぼの上方に設置された水冷チャンバ内に電極
を入れた。るつぼ及びチャンバを排気した後、溶解に先だってアルゴンを満たし
た。溶解作業中、系はアルゴン正圧0.15気圧に維持した。系内の各種シール
からの漏れを補償するため少量のアルゴンを流した。これらの実験に用いたフラ
ックスはフッ化カルシウム1000グラムと金属カルシウム20グラムで作った
。るつぼ上方のチャンバ内にカルシウム蒸気が上昇して、アルゴン中の少量の窒
素(及び酸素)と反応し、フラックス上方の雰囲気中の窒素の分圧が所要の10 -15 気圧未満に下がった。
【0035】 典型的な溶解実験は、フラックスを溶解するための(低電流での)開始期と、
続いて電極を溶解するための(高電流での)溶解期とで構成されていた。溶解は
、添付の表1のセクション3に示した溶解電流で実施した。溶解を完了するまで
に約7〜10分の時間を要した。これらのインゴットの上面で観察された平均粒
度は約2〜4mmであった。精錬インゴットは、電極のエレクトロスラグ再溶解
後に回収した金属である。
【0036】 超音波検査のため、インゴットをその周囲、上面及び底面で機械加工して調製
した。モデル11YA超音波欠陥試験機(Ultrasonic Defect Tester)を使用した
。この装置は、1.25MHz、2.5MHz、5MHz及び10MHzの周波
数が可能であった。検査には2.5MHzの周波数を選んだ。検査はインゴット
の上面又は底面にトランスジューサを配置して実施した。接触をよくするためト
ランスジューサとインゴット表面の間にグリセリンを1滴たらした。装置の調整
のため、純チタンインゴットから校正ブロックを調製し、インゴットの長さに沿
った3カ所で側面に直径1.5mm及び2.5mmの穴を開けた。インゴットの
上から調べても底から調べても、3つの穴の各々について同じ示度が得られるよ
うに装置を校正した。その後、介在物を含んだ電極から調製した5つのインゴッ
トの測定の間、かかる調整を変えることなく維持した。
【0037】 すべてのインゴットで、長さ方向に上面から20mm、特に中心線で幾つかの
小さな表示を示した。これらの表示は、溶解電流を切ったときのインゴット上面
での急激な凝固でできた収縮孔によるものと考えられる。
【0038】 各インゴットで1以上の主要な超音波表示が観察された。表示の数と(インゴ
ットの底から測定した)位置を表1のセクション3に示す。1つを除き、すべて
の表示はインゴットの長さの下側15〜30%の位置で観られた。これらの位置
は電極の介在物の位置とは関連付けられない。これらの位置は、溶解電流が開始
期(フラックス溶解)の低電流から溶解期(電極溶解)の高電流に変わったとき
の乱れを表しているものと考えられる。インゴットD6では、溶解した電極での
下方の介在物の位置付近(底から58mm)で1つの大きな表示が観られた。こ
の介在物は、2箇所で電極に溶接されているだけであり、溶解時に液体金属プー
ルに落下してもおかしくない。
【0039】 この予備的な超音波検査の結果は、インゴットに大きな介在物がないことを示
している。
【0040】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はチタン合金電極のエレクトロスラグ精錬の概略図であり、
電極/フラックス界面での窒素富化介在物を示す。
【図2】 図2は、窒素分圧に基づく窒素富化介在物の溶解の概略図である
【符号の説明】
10 エレクトロスラグ再溶解系 12 チタン電極 14 窒素富化介在物 18 フラックス 20 液体金属 22 るつぼ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベウレイ,バーナード・パトリック アメリカ合衆国、12309、ニューヨーク州、 スケネクタデイ、ボールタウン・ロード、 2305番 (72)発明者 ギグリオッティ,マイケル・フランシス, ジュニア アメリカ合衆国、12302番、ニューヨーク 州、スコッティア、キール・ドライブ、41 番 (72)発明者 カーター,ウィリアム・トーマス,ジュニ ア アメリカ合衆国、12074、ニューヨーク州、 ギャルウェイ、ペース・ロード、1949番 (72)発明者 クヌドゥセン,ブルース・アラン アメリカ合衆国、12010、ニューヨーク州、 アムステルダム、ベルファンス・ロード、 238番 (72)発明者 メスチター,ピーター・ジョエル アメリカ合衆国、12309、ニューヨーク州、 スケネクタデイ、バークレー・アベニュ ー、2248番 (72)発明者 ザバラ,ロバート・ジョン アメリカ合衆国、12303、ニューヨーク州、 スケネクタデイ、テリー・アベニュー、39 番 (72)発明者 ニック,ジョエル・パトリック アメリカ合衆国、12065、ニューヨーク州、 クリフトン・パーク、ヒルトップ・マナ ー、91シー番 (72)発明者 ペロッチ,リー・クランフォード アメリカ合衆国、12309、ニューヨーク州、 スケネクタデイ、バン・アントワープ・ロ ード、1220番 (72)発明者 ベウレイ,バーナード・パトリック アメリカ合衆国、12309、ニューヨーク州、 スケネクタデイ、ボールタウン・ロード、 2305番 (72)発明者 ラドチェンコ,ブラディミアー・ニコライ イビッチ アメリカ合衆国、10033番、ニューヨーク 州、ニューヨーク、アパートメント・3エ ー、マガウ・プレイス、30番 (72)発明者 リアブトォセブ,アナトリー・ダニロビッ チ ウクライナ、339047、マキーブカ、ギレズ ンドロゴニー、フラット・82、ホーム・4 番 (72)発明者 タルロブ,オレグ・ブラッディミロビッチ ウクライナ、340074、ドネットスク、ビル ニスキー、フラット・2、ホーム・11番 Fターム(参考) 4K001 AA27 BA23 FA02 FA07 FA09 GB06 GB11 KA08 KA10

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン含有電極から窒素富化介在物を除去する方法であって
    、るつぼ内のフラックスにチタン含有電極の底面を接触させる段階、電極の底部
    が溶解する温度にフラックスを抵抗加熱しながら電極の底面を溶解させるのに充
    分な量の電流を電極及びフラックスに流す段階、及びフラックス中の窒素分圧を
    介在物中の窒素分圧よりも低く維持することによってフラックスに暴露された窒
    素富化介在物を溶解する段階 を含んでなる方法。
  2. 【請求項2】 フラックスがハロゲン化物フラックスである、請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 ハロゲン化物フラックスがハロゲン化カルシウムフラックス
    である、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 ハロゲン化カルシウムフラックスがフッ化カルシウムである
    、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 ハロゲン化物フラックスが溶存金属又は溶存酸化物又は溶存
    金属と溶存酸化物を含有する、請求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】 金属が金属カルシウムである、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 金属カルシウムがフラックス中に約1〜4.5重量%の量で
    存在する、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 窒素富化介在物が、αチタン層及びβチタン層で順次包囲さ
    れた窒化チタン芯部である、請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 フラックスを約1500℃を超える温度に抵抗加熱する、請
    求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 フラックスを約1650℃を超える温度に加熱する、請求
    項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 電極及びフラックスが非酸化性雰囲気中に収容される、請
    求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 非酸化性雰囲気がアルゴン、ネオン、ヘリウム、水素又は
    これらの混合物からなる群から選択される、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 フラックスを、アーク攪拌又は磁気攪拌又はその両者によ
    って介在物を通して循環させる、請求項1記載の方法。
  14. 【請求項14】 フラックス中の窒素分圧が約10-12〜10-15気圧である
    、請求項1記載の方法。
  15. 【請求項15】 フラックス中の酸素分圧が約10-20〜10-25である、請
    求項1記載の方法。
  16. 【請求項16】 請求項1記載の方法で製造された物品。
  17. 【請求項17】 エレクトロスラグ精錬によってチタン又はチタン合金を精
    錬する方法であって、約1〜4.5重量%の金属カルシウムを含むハロゲン化カ
    ルシウムフラックスを非酸化性雰囲気中で約1600℃を超える温度に加熱する
    段階、磁気又はアーク攪拌手段によってフラックスを攪拌する段階、窒素富化介
    在物を含有するチタン又はチタン合金の電極にフラックスを接触させる段階、フ
    ラックス中を流れてフラックスを抵抗加熱する交流電流をチタン又はチタン合金
    電極に印加する段階、及びフラックス中の窒素分圧を介在物中の窒素分圧よりも
    低く維持する段階、を含んでなる方法。
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