JP2001519650A - 可溶性7回貫膜ドメインgタンパク質共役受容体、組成物及び方法 - Google Patents

可溶性7回貫膜ドメインgタンパク質共役受容体、組成物及び方法

Info

Publication number
JP2001519650A
JP2001519650A JP53726297A JP53726297A JP2001519650A JP 2001519650 A JP2001519650 A JP 2001519650A JP 53726297 A JP53726297 A JP 53726297A JP 53726297 A JP53726297 A JP 53726297A JP 2001519650 A JP2001519650 A JP 2001519650A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
receptor
terminal segment
polypeptide
nucleic acid
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP53726297A
Other languages
English (en)
Inventor
ジェイ.ダブリュー. シュエン,アロン
ケイ. コベルカ,ブライアン
クドウ,マサタカ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Leland Stanford Junior University
Original Assignee
Leland Stanford Junior University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Leland Stanford Junior University filed Critical Leland Stanford Junior University
Publication of JP2001519650A publication Critical patent/JP2001519650A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/72Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for hormones
    • C07K14/723G protein coupled receptor, e.g. TSHR-thyrotropin-receptor, LH/hCG receptor, FSH receptor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/70503Immunoglobulin superfamily
    • C07K14/70517CD8
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide

Abstract

(57)【要約】 糖タンパク質ホルモン受容体ポリペプチドを含むN−末端アミノ酸配列と膜アンカーポリペプチドとを含み、その二つの間にプロテアーゼ認識部位が位置しているキメラポリペプチドが開示されている。また、このようなポリペプチドをエンコードする核酸、このような核酸を含む発現ベクター、およびこのような組換えキメラポリペプチドを産生する方法、さらにそれらの使用方法についてももちろん開示されている。このキメラポリペプチドは、可溶性糖タンパク質ホルモン受容体ポリペプチドを製造するのに特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 可溶性7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体、組成物及び方法 この出願は、1996年4月15日に提出され、この明細書に参照として組み 入れられる米国特許仮出願第60/015,450号に対し、35USC120 に基づいた優先権を主張する。 発明の分野 本発明は一般に、膜アンカーと、7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体の 細胞外リガンド結合ドメインとを含む融合タンパク質に関する。更に詳しく述べ ると本発明は、糖タンパク質ホルモン受容体の細胞外リガンド結合ドメインを含 む融合タンパク質、そのような可溶性糖タンパク質ホルモン受容体を効率よく製 造する方法、及びそれらの使用方法に関する。 発明の背景 糖タンパク質ホルモン受容体(GhR)は、脳下垂体前葉によって分泌される 糖タンパク質ホルモンに対する受容体のファミリーである。これらのホルモンに は、甲状腺刺激ホルモン(TSH:チロトロピン)だけでなく、黄体形成ホルモ ン(LH:ルトロピン)および卵胞刺激ホルモン(FSH:フィリトロピン)の ような性腺刺激ホルモン、ならびに胎盤から産生する絨毛性腺刺激ホルモン(C G)が含まれる。それぞれのホルモンは選択的にGhRファミリーのうちのどれ かに結合する。即ちLH及びヒトCG(hCG)はLH受容体(LHR)に結合 し、FSHはFSH受容体(FSHR)に結合し、そしてTSHはTSH受容体 (TSHR)に結合する。リガンドがGhRに結合するという生物学的な過程は 通常、cAMPの細胞内濃度の増加によって仲介されるのであるが、それによっ て標的細胞の活性化及び分化が引き起こされるのはもちろんのこと、ステロイド の合成や分泌が起こる。 選択されたGhRのリガンド結合部位のみ効率よく発現することが望まれる場 合がある。しかしながらこのような発現を起こそうというこれまでの試みは再現 性のないものであるか、あるいは最良の場合であっても発現レベルの効率が良く なかったり予測できないものであったりといった結果であった(Xie他、1990;Ts ai-Mprris他、1990年参照)。例えば完全な長さのヒトFSH、LHおよびTS Hの受容体はバキュロウイルス発現系を用いてうまく発現させることができるが 、ブタLH受容体とヒトTSH受容体の両者の細胞外領域を発現させると、宿主 細胞の内側にこのドメインがトラップされてしまう(Pajot-Augy他、1995年;Se etharamaith他、1994年;Cha zenbalkおよびRapoport、1995年参照)。リガンド結合は観察することができた ものの、そのタンパク質の大部分は変性していたり、不活性であったり、また未 処理の形態であったりした。 ある最近の研究(Bozon他、1995年)では、低発現プロモーター/シグナルペ プチドの組合せを用いた場合に、適度な量(100,000部位/細胞)のブタ LH受容体細胞外領域が培地中に分泌された。しかしながら発現レベルが高いと 細胞内のタンパク質凝集が常に生じてしまうため、適度なレベルで発現する場合 のみ、受容体の生物活性なエクトドメインを産生することと両立するという結論 に達した。著者ら(Bozon他、1995年)は、その組換えタンパク質をイムノアフ ィニティー法で精製し、次にTSH受容体に対して行ったのと同様に、シスチン とシステインの存在下でグアニジンHClを用いて凝集受容体を再生することを 提案した(Bobovnikova他、1997年)。 イー・コリ(E.coli)においてラットLH受容体の細胞外領域を発現させても 、封入体中に自己関連タンパク質の凝集体が生成した(ChenおよびBahl、1993年 )。そのタンパク質を再生させることはできるが、その再生工程は非効率的で安 定して実施することは困難であった。それはおそらく、原核細胞から誘導された タンパク質が、適当なタンパク質を折り畳みやすくするのに必要な炭化水素側鎖 を持っていないためであろう。 本発明は、上記に記載した困難性によって妨害されることがなく、このような 「可溶性糖タンパク質ホルモン受容体(sGhR)」を効率的かつ高い信頼性で 発現させるための簡便な方法を提供する。この方法はまた、受容体の細胞外部分 にリガンド結合活性の実質的大部分を有する別の7回貫膜ドメインGタンパク質 共役受容体の細 胞外リガンド結合ドメインを発現させるのに利用できる。 発明の概要 一態様で、本発明は、7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体のポリペプチ ドの細胞外リガンド結合領域(ELBR)をエンコードする5’末端セグメント と、膜アンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメントと、その5’ 末端セグメントと3’末端セグメントとの間に挿入されたプロテアーゼ認識部位 とから構成されたキメラ核酸分子を含む。 一実施態様で、7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体ポリペプチドはカル シトニン受容体である。これと関連する実施態様で、7回貫膜ドメインGタンパ ク質共役受容体ポリペプチドはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受 容体である。別の実施態様では7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体ポリペ プチドはグルカゴン受容体である。これと関連する実施態様においては、7回貫 膜ドメインGタンパク質共役受容体ポリペプチドはグルカゴン様ペプチド1(G LP−1)受容体である。更に別の実施態様では7回貫膜ドメインGタンパク質 共役受容体ポリペプチドは代謝物産生グルタメート受容体である。別の実施態様 では7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体ポリペプチドは上皮小体ホルモン (PTH)受容体である。更に別の実施態様では7回貫膜ドメインGタンパク質 共役受容体ポリペプチドはバソアクティブ インテスティナル ペプチド(VI P)受容体である。更に別の実施態様では7回貫膜ドメインGタンパク質共役受 容体ポリペプチドはセクレチン受容体である。付加的な実施態様では、7回貫膜 ドメインGタンパク質共役 受容体ポリペプチドは成長ホルモン放出因子(GRF)受容体である。 一般的な実施態様において、前記プロテアーゼ認識部位はトロンビン認識部位 である。別の一般的な実施態様において、3’末端セグメントはCD8分子の貫 膜部分をエンコードする。 好ましい一般的な実施態様において、7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容 体ポリペプチドは糖タンパク質ホルモン受容体である。別の好ましい一般的な実 施態様においては、3’及び5’の末端セグメントが互いに異種である。 ある実施態様においては、5’末端セグメントはヒト黄体ホルモン受容体結合 タンパク質(LBP)をエンコードする。別の実施態様では5’末端セグメント は、ヒト卵胞刺激ホルモン受容体結合タンパク質(FBP)をエンコードする。 更に別の実施態様においては5’末端セグメントは、ヒト甲状腺刺激ホルモン受 容体結合タンパク質(TBP)をエンコードする。 また本発明には、(a)さきに記載したようなキメラ核酸分子と、(b)宿主 細胞内で上記キメラ核酸分子のオープンリーディングフレームを発現させるのに 有効な調節配列とを含む発現ベクターも含まれる。 別の態様で、本発明には、さきに記載したキメラ核酸分子がエンコードする融 合タンパク質を組換え法により製造する方法が含まれる。この方法は、(i)前 記発現ベクターを適切な宿主細胞内に導入する工程、及び(ii)融合ポリペプ チドの発現が起こる条件下でその宿主を培養する工程を含む。一般的な実施態様 で、この方法は、プロテアーゼ認識部位を認識するプロテアーゼの存在下でその 宿主細胞をインキュベートし、キメラポリペプチドの第1セグメン トを放出させる工程をさらに含む。 また本発明には、上記のような発現ベクターを用いてトランスフェクトした宿 主細胞も含まれる。 別の態様において本発明は、7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体ポリペ プチドの細胞外リガンド結合領域(ELBR)を含む第1セグメントと、膜アン カーポリペプチドを含む第2セグメントと、その第1セグメントと第2セグメン トとの間に挿入されたプロテアーゼ認識部位とから構成されたキメラポリペプチ ドを含む。特別な実施態様ではこれらのセグメントには、上述したキメラ核酸分 子によってエンコードされる対応するポリペプチドの実在物を含んでいてもよい 。好ましい態様では第1セグメントと第2セグメントとは互いに異種である。 7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体ポリペプチドは、例えばカルシトニ ン受容体、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体、グルカゴン受 容体、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)受容体、代謝物産生グルタメート 受容体、上皮小体ホルモン(PTH)受容体、バソアクティブ インテスティナ ル ペプチド(VIP)受容体、セクレチン受容体、または成長ホルモン放出因 子(GRF)受容体であってもよい。好ましい一般的な実施態様においては7回 貫膜ドメインGタンパク質共役受容体ポリペプチドは、糖タンパク質ホルモン受 容体である。 本発明のこれらの、および他の目的や特徴は、添付した図面と関連させて次の 詳細な説明を読めばより充分に明らかとなるであろう。 図面の簡単な説明 図1A、1Bおよび1Cは、野生型(図1A)の図、およびアンカーされた受 容体、即ちFtCD8(図1B)とLtCD8(図1C)の図である。図1B及 び図1Cの矢印は、プロテアーゼ認識部位の通常の位置を示している。図1B及 び図1Cで概略図示されたこれら受容体の細胞外部分は、四角枠で示されている 。 図2Aは、野生型のFSH受容体とFtCD8の結合動態をプロットした図で ある。 図2Bは、野生型のLH受容体とLtCD8の結合動態をプロットした図であ る。 図2Cは、アンカーされた受容体をトロンビンで開裂することによって可溶化 されたFSHR/CD8融合体(FtCD8)の細胞外ドメインに、標識化した リガンドが架橋したことを示すゲルのコンピュータにより作成した画像である。 図2Dは、アンカーされた受容体をトロンビンで開裂することによって可溶化 されたLHR/CD8融合体(LtCD8)の細胞外ドメインに、標識化したリ ガンドが架橋したことを示すゲルのコンピュータにより作成した画像である。 図3Aは、FSH受容体に結合する標識化したFSHと、(i)FSH結合タ ンパク質(FBP;FSH受容体の可溶性リガンド結合細胞外ドメイン)および (ii)LH/hCG結合タンパク質(LBP;LH受容体の可溶性リガンド結合 細胞外ドメイン)との競合を示すグラフである。 図3Bは、LH受容体に結合する標識化したhCGと、FBPおよびLBPと の競合を示すグラフである。 図3Cは、cAMPを産生するFSH刺激がFBPによって拮抗されるがLB Pによっては拮抗されないことを示すグラフである。 図3Dは、cAMPを産生するhCG刺激がLBPによって拮抗されるがFB Pによっては拮抗されないことを示すグラフである。 図3Eは、cAMPを産生するTSH刺激がTBPによって拮抗されるがLB Pによっては拮抗されないことを示すグラフである。 図3Fは、cAMPを産生するhCG刺激がLBPによって拮抗されるがTB Pによっては拮抗されないことを示すグラフである。 図4は、示した条件下におけるラットの精巣細胞のアポプトーシス(apoptosi s)アッセイでDNA断片化のパターンを示すゲルについてコンピュータにより 作成した画像である。 図5A、5B及び5Cは、対照のラットの精巣細胞(図5A)、FBPで処理 したラットの精巣細胞(図5B)、及びOrg30850で処理されたラットの精巣細胞 (図5C)の、DNA断片化のin situ分析の結果を示すコンピュータによる画 像である。バーの長さは25μmである。 発明の詳細な説明 I.定義 第1のポリヌクレオチドフラグメントまたはポリペプチドフラグメントがそれ ぞれ、第2のポリヌクレオチドフラグメントまたはポリペプチドフラグメントに 対応すると言われるのは、それらのフラグメントを表示する配列が、例えば「M ACVECTOR」(IBI,New Haven,CT)のようなシーケンス配列プログラム を用いて配列された場合、それらのフラグメントまたは領域が互いにほぼ同じ範 囲を占めるときである。「対応する」ポリヌクレオチドまたはポリペプチドフラ グメントは通常、同数ではないが類似の数の残基を含 んでいる。しかしながら対応するフラグメントには、それらの配列中にいくつか の差異が含まれるのはもちろんのこと、互いに残基の挿入や欠失が含まれていて もよいと解することができる。 ポリペプチド配列またはフラグメントは、別のポリペプチド配列またはフラグ メント「から誘導される」のであるが、その別のポリペプチド配列またはフラグ メントが、それが誘導される配列またはフラグメント中に存在しているアミノ酸 の配列と同じ配列または実質的に同じ配列を含んでいる場合に誘導されるのであ る。例えばSEDは特定の7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体(例えば、 TSH受容体)「から誘導される」のであるが、その特定の受容体が、その受容 体の細胞外ドメインから得られる対応する領域の配列と同じかもしくは実質的に 同じ配列を有している場合に誘導される。 「可溶性細胞外ドメイン」(SED)という用語は、7回貫膜ドメインGタン パク質共役受容体の細胞外部分の全部または一部を含むポリペプチドを意味し、 この場合の一部には、前記の細胞外部分から誘導される少なくとも約10個、好 ましくは少なくとも約15個、より好ましくは少なくとも約20個の連続したア ミノ酸からなる配列が含まれる。 「可溶性糖タンパク質ホルモン受容体」(sGhR)という用語は、例えばL H、FSHまたはTSHの受容体のような糖タンパク質ホルモン受容体から誘導 されるSEDを意味し、この場合のSEDは、そのままの受容体とだいたい同程 度の大きさのリガンド結合特性を備えている。 「可溶性結合タンパク質」(sBP)という用語は、7回貫膜ドメインGタン パク質共役受容体の細胞外部分を含むポリペプチドを意味し、この場合のポリペ プチドは、そのままの受容体とだいたい 同程度の大きさのリガンド結合特性を備えている。 「可溶性糖タンパク質ホルモン結合タンパク質」(sGhBP)という用語は 、例えばLH、FSHまたはTSHの受容体のような糖タンパク質ホルモン受容 体の細胞外部分を含むポリペプチドのことを言い、この場合のポリペプチドは、 そのままの受容体とだいたい同程度の大きさのリガンド結合特性を備えている。 sGhBPの例としては、LBP(LH受容体の細胞外部分を含む)、FBP( FSH受容体の細胞外部分を含む)、およびTBP(TSH受容体の細胞外部分 を含む)が挙げられる。 「細胞外リガンド結合領域」(ELBR)という用語と「可溶化リガンド結合 領域」(SLBR)という用語は、そのままの受容体とだいたい同程度の大きさ のリガンド結合特性を備えたSEDのことを言う。 sGhBP、ELBRまたはSLBRは、修飾されたsGhBP、ELBRま たはSLBRのリガンドに対する結合動態や親和性が未変性の受容体の結合動態 や親和性よりも実質的に大きくなるように、または小さくなるように、対応する 未変性のフラグメントと比べて修飾されていてもよいし、突然変異していてもよ いことが理解できるであろう。このような修飾されたsGhBP、ELBRまた はSLBRの応用については以下に説明する。 「可溶性抗原ドメイン」という用語は、(i)そのままの選択された受容体、 または(ii)その選択された受容体の完全な細胞外ドメインと特異的に免疫反応 するか、あるいはそれらに対抗して生じてくる抗体と、特異的に免疫反応を行う SEDのことを言う。 二つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドフラグメントは、各フラグメント の配列が異なる遺伝子から誘導される場合に「互いに 異種」であると言われる。例えばTSH受容体から誘導されたフラグメントはC D8分子から誘導されたフラグメントと異種である。 抗体または抗体組成物(例えば、ポリクローナル抗体)は、特定の抗原(例え ばTSH受容体の細胞外ドメイン)と「特異的免疫反応性」であるか、「選択的 免疫反応性」であるが、この場合の抗体または抗体組成物は、その抗原とは免疫 反応性であるが、他の7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体中に存在する抗 原とは免疫反応性でない。 「実質的に精製した」という用語及び「実質的に単離した」という用語は、ポ リヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体組成物を記述するために用いられる場 合には、これらの産物が、通常自然に一緒に見いだされる物質を実質的に含まな い組成物もしくは製剤物のことを言う。 「有意の」という用語は、「有意に異なる」、「有意に阻害する」または「有 意に刺激する」という意味で用いられる場合、比較されている二つのグループの 間の定量可能なパラメータの差が、標準の統計的検定法を用いて統計的に有意で あることを意味する。例えば、タンパク質結合性アッセイにおいて結合性の程度 は標準法を用いて定量することができ、また異なる条件の下での結合性の程度は 統計的に有意な差で比較することができる。 疾患または症状を「治療すること」とは、その疾患の兆候の重症度を減じさせ たり、その疾患の元となる病原体や病理学的プロセスを阻害したりする作用のこ とを言う。 II.7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体 本発明は、7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体(7−TD GR)スーパーファミリーに属する受容体のサブセットの可溶性細胞外ドメイン 、及びこのようなリガンド結合ドメインの効率的な製造法または発現法に関する 。 7−TDGRスーパーファミリーに属する受容体は原形質膜中に存在する貫膜 タンパク質であって、膜のスパニング領域を形成すると予測される7個の疎水性 ドメインを含むアミノ酸配列に特徴がある。それらはヘテロダイマーのGタンパ ク質と相互作用することにより、細胞外の刺激を細胞の内部に伝達する。スーパ ーファミリーに含まれる異なる受容体に対する刺激には、光、味、臭気、小さな ペプチド、アミノ酸誘導体、及び脂質の類似体などが含まれる(例えば、Watson およびArkinstall、1994年参照)。7−TDGRスーパーファミリーのメンバー の多くには、本発明が利用する受容体のサブセットが含まれていて、その受容体 が活性化されると細胞内cAMPの生成を引き起こすアデニリルサイクラーゼを 順次活性化するGs、即ちGタンパク質の刺激性サブユニットが刺激される。 当業技術分野で一般に考えられていたことは、短いN−末端細胞外領域を備え た7−TDGRのリガンド結合部位は、その受容体の貫膜領域に主に含まれてい るということであった。しかしながら特定のタイプの7−TDGR(本発明が利 用するサブセット)ではその細胞外部分は貫膜ドメインが存在しておらず、その ままの受容体のリガンド結合活性に匹敵するリガンド結合活性を備えていること が発見されたのである。即ち、細胞外部分に対するリガンドの親和性はそのまま の受容体に対するその親和性とだいたい同程度の大きさである。この現象は実験 によってこの明細書において例示されているが、その実験は、糖タンパク質ホル モンGタンパク質共役受容体の細胞外部分が、貫膜ドメインおよび細胞内ドメイ ンのないその 対応するシグナリング分子に、無傷で未変性の受容体に観察されたのと同じくら いの親和性で結合できることを示す実験である。 これらの受容体の7回貫膜ドメインが程度の高い相同性を示すため、このスー パーファミリーの新規な膜を確認することは、このような新規な膜の細胞外部分 の確認を行うのと同様、当業者であれば容易に成し得ることである。実施例によ り、この明細書に参照として組み入れられるWatsonおよびArkinstall(1994年) の著書には、7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体スーパーファミリーの5 0個以上のメンバーの配列が提供されている。この著書にはさらに、各配列につ いて、貫膜ドメインを構成する正確な残基が記載されている。これらの受容体( 他の7−TDGRを含む)の「細胞外部分」は、N−末端と第1貫膜ドメイン( 「TM1」として示される)の開始部との間の領域である。 III.発明の全体像 ここで詳述した実験は、トランスフェクトされた宿主細胞において7−TDG Rの細胞外部分を安定した高いレベルで発現させることは、その細胞外部分を膜 アンカータンパク質との融合体として産生させれば著しく容易になることを証明 している。この細胞外部分と膜アンカー部分とは、プロテアーゼ開裂部位を持っ ている領域内で結合させるか、あるいはその領域によって結合させるのが好まし く、そうすることで他の細胞成分から受容体の細胞外部分を簡単に放出させるこ とや精製することが可能になる。 本発明は糖タンパク質ホルモン受容体(MacFarland他、1989年;Nagayamaおよ びRapoport、1992年参照)に関して下記に詳細に説明する。しかしながら、本発 明が7回貫膜ドメインGタンパク質共役 受容体スーパーファミリーの他のサブクラスから誘導されたり、またはそのよう なサブクラスと関連する類似の組成物や方法を包含することは分かるであろう。 特に、この発見は、細胞内に病原体(例えばウイルス)が容易に入るように作用 する7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体(Feng他、1996年)に適用可能で あることはもちろんのこと、主要な特異的リガンドとしてのペプチド(Fong他、 1993年)および/または糖タンパク質ホルモン(Reichert他、1991年)に主とし て応答する少なくともすべての7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体に適用 可能であると考えられる。 IV.本発明で使用する典型的な7−TDGR A.糖タンパク質ホルモン受容体 GhR受容体は、7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体のスーパーファミ リーのうちの一つである(Reichert他、1991年)。それらは一次配列と、他の7 回貫膜Gタンパク質共役受容体との類似性に基づいて独特な「ドメイン」に分割 することができる。そのN−末端の、即ち細胞外のドメインには約330個から 420個の間のアミノ酸が含まれていて、リガンド結合に対して主として応答可 能である。本発明によると、この細胞外ドメインのみを含んでいる先端が切り取 られた「受容体」はリガンドを結合する能力を保持していて、これまで「可溶性 受容体」または「可溶性糖タンパク質ホルモン結合タンパク質」(sGhBP) と呼ばれている。 7回貫膜αヘリックスを有する貫膜ドメインは通常、約280−290個のア ミノ酸に亙っている。C−末端の細胞内ドメインは一般に約60個から80個の 範囲のアミノ酸からなる長さである。ヒトFSH受容体(GenBankの受託番号: M65085、M9548 9)は約695個のアミノ酸を含んでいて、そのうち366個が細胞外ドメイン を構成している(そのうち17個のアミノ酸はN−末端のシグナル配列を構成し ている)。ヒトLH/CG受容体(GenBankの受託番号:M63108)は約6 99個のアミノ酸を含んでいて、そのうち341個が細胞外ドメインを構成して いる。ヒトTSH受容体(GenBankの受託番号:M31774とM32215) は約764個のアミノ酸を含んでいて、そのうち約410個が細胞外ドメインを 構成している。 一態様で本発明はキメラGhRに関し、それらの受容体細胞外ドメインまたは そのタンパク質は、適切な貫膜アンカーに、受容体の細胞膜ドメインが貫膜アン カーから開裂されることを可能にする配列または部分を介して結合されている。 具体的に述べると、キメラ受容体は、糖タンパク質ホルモン受容体ポリペプチド のN−末端アミノ酸配列を含む第1セグメントと、膜アンカーポリペプチドを含 む第2セグメントと、その第1セグメントと第2セグメントとの間に挿入された プロテアーゼ認識部位のような開裂可能な部位とから構成されたキメラポリペプ チドである。第1セグメントはGhRの細胞外ドメインのすべてまたは一部分で あって、約280個から420個の範囲内のアミノ酸残基を含んでおり、その数 は受容体のタイプによって決まる。 第2セグメントは膜アンカーを含んでおり、宿主細胞内で発現した場合に貫膜 配向を決めることができる配列である。通常の実施例では、第2セグメントは、 単に第1セグメントが得られた受容体の残りの部分である。この実施態様での本 発明のキメラポリペプチドは、N−末端細胞外ドメインと貫膜ドメインとの間に 配置された開裂部位を有するGhR(例えばFSHR)である。 他の態様で、第2セグメントは、貫膜ドメインを有する他のタンパク質から誘 導される。例えば下記の実施例に詳細に記載した実施態様では、第2セグメント はCD8分子の貫膜部分である。他のタンパク質の貫膜部分も同様に用いること ができる。 第1セグメントと第2セグメントとの間に位置している開裂部位によって、「 可溶性受容体」の放出が可能になる。一般的な実施態様においてその開裂部位は 、選択されたプロテアーゼによって認識されるアミノ酸配列(即ちプロテアーゼ 認識部位)である。選択されたプロテアーゼは好ましくは、細胞外ドメイン内に 存在する他の配列とは対応しない外延(extended)基質認識配列を備えているこ とが好ましい。潜在的に有用なプロテアーゼの中には、因子Xa、トロンビン( SmithおよびJohnson、1998年;Gearing他、1989年)、エンテロキナーゼ、レニ ン、およびコラゲナーゼがある。下記の実施例で記載された本発明の一実施態様 では、キメラペプチドにトロンビン認識配列が組み入れられている。 本発明のプロテアーゼ開裂部位は通常、第1セグメントと第2セグメントを分 離配列を含んでいる。しかしながらこのような部位は、プロテアーゼ認識部位に 対応するようにその連結領域の配列を変化させることによって、例えばその連結 領域で第1セグメントおよび/または第2セグメントのアミノ酸配列に同類置換 を行うことによって作ることができると考えられる。このような実施態様におけ る開裂認識配列は別個のフラグメントではなくむしろ、第1セグメント及び第2 セグメントの部分で構成されている。当然のことであるが、上記の組合せを用い ることもできる。 さきに記載したようなキメラ受容体はキメラ核酸分子によってエンコードされ 、その核酸分子は、糖タンパク質ホルモン受容体ポリ ペプチドのN−末端アミノ酸配列をエンコードする5’末端セグメントと、膜ア ンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメントと、その5’末端セグ メントと3’末端セグメントとの間に挿入された(またはこれらセグメントの隣 接部分から形成された)プロテアーゼ認識部位のような開裂可能な部位をエンコ ードするセグメントとから構成されている。このキメラ核酸分子はヒト配列から 誘導することが好ましく、そうするとヒトに用いる場合、免疫原性の反応を最小 限にできる。また、そのキメラ核酸分子は、それがエンコードする核酸分子また は受容体の特徴を改良しおよび/または可溶性受容体の精製を容易にすることが できる既知の配列を任意で含んでいてもよい。例えば、タグ(例えばポリ−ヒス チジン(Hisタグ)、M1またはHA)をエンコードする配列が、例えばシグ ナルペプチドの下流側またはタンパク質分解開裂部位の上流側に含まれていても よく、その結果、アフィニティー法(Hisタグに対してはニッケルカラム、M 1及びHAに対してはモノクローナル抗体)を用いて可溶性結合タンパク質がよ り容易に精製できる。 また本発明は、さきに記載したような可溶性受容体、即ちキメラポリペプチド を組換え法によって製造する方法で用いるのに適切な発現ベクターも含んでいる 。このベクターは、前記キメラポリペプチドをエンコードするオープンリーディ ングフレームを含むポリヌクレオチドと、選択された宿主細胞中でそのオープン リーディングフレームを発現させるのに有効な調節配列とを含んでいる。この調 節配列は、キメラポリペプチドの標的指向または分泌の際に有用な配列を含んで いてもよい。このような配列は内因性(例えば通常存在しているGhRリーダー 配列など)であってもよいし、あるいは異種(例えば酵母、哺乳動物細胞、昆虫 細胞、組織培養物または細 菌発現系で認識された分泌シグナルなど)であってもよい。発現ベクター内には また、調節配列が、前記核酸配列の5’側に、プロモーター領域およびキメラポ リペプチドのコード配列とインフレーム(in frame)のATG開始コドンを含ん でいてもよいし、前記のコード配列の3’側に、翻訳終結シグナルとそれに続く 転写終結シグナルを含んでいてもよい。 二つの具体的な発現ベクターである、pcDNA3LCD8およびpcDNA 3FCD8の構築については実施例1に記載されている。pcDNA3LCD8 を作るために、LH受容体の細胞外領域をエンコードする第1セグメントと、C D8の細胞質のテイル部と3’非翻訳領域にわたっている貫膜領域をエンコード する第2セグメントとを、商業的に入手できる哺乳動物の発現ベクターpcDN A3(Invitrogen Corp.,米国カリフォルニア州サンディエゴ所在)にクローン 化した。プラスミドpcDNA3FCD8も同様に、ヒトFSH受容体から得ら れる細胞外ドメインとCD8 cDNAを用いて構築した。実施例5には、バキ ュロウイルス発現ベクターの構築について記載されている。 数多くのベクターおよびそれらの対応する宿主が、本発明のこの方法を実施す るにあたって有用である。それには酵母、哺乳動物の細胞、昆虫細胞、組織培養 物、植物細胞培養物、形質転換した微生物または細菌発現系が含まれる。真核細 胞発現系は、通常、発現したタンパク質をグリコシル化できるため好ましい。 さらに本発明は、上述したキメラポリペプチドを発現する細胞を生成させるそ のポリペプチドの組換え法による製造方法を含み、そしてキメラポリペプチドを 次に開裂部位でキメラポリペプチドを開裂できる因子とともにインキュベートし て、可溶性受容体を放出さ せる。この方法は次の工程を含む。第1工程では、キメラポリペプチドをエンコ ードするポリヌクレオチド配列を有するオープンリーディングフレーム(ORF )を含む発現ベクター(例えば上記ベクター)を適切な宿主細胞に導入する。こ のベクターは宿主細胞においてORFを発現するように設計されている。このベ クターは何らかの適切な形質転換法を用いて、例えばエレクトロポレーション法 (Ausubel他、1988年)を用いて細胞に導入すればよい。 本発明にはまた、ここに記載された構築物を用いて形質転換した宿主細胞が含 まれる。この宿主細胞は通常、用いた発現ベクター(上記参照)のタイプに基づ いて選択する。形質転換された宿主細胞は、ORF配列の発現を引き起こす条件 下で培養する。その細胞の表面にキメラポリペプチドを発現させてから(例えば 実施例1に記載されたように)、その細胞を、前記構築物に導入されたプロテア ーゼ認識部位を認識するプロテアーゼが存在するところでインキュベートするこ とによって、可溶性受容体を含有する細胞外ドメインをうまく開裂させることが できる。 それらの膜アンカーから開裂させた後、本発明の可溶性受容体分子またはそれ らの抱合体は、一般に、例えば実施例5に記載されたように精製するかまたは他 の細胞不純物から分離する。その可溶性受容体ポリペプチドは、標準的な既知の タンパク質精製法、即ち分別沈降法、モレキュラーシーブクロマトグラフィー法 、イオン交換クロマトグラフィー法、等電点電気泳動法、ゲル電気泳動法及び親 和性クロマトグラフィー法などの精製法によってさらに精製できる。タンパク質 の製剤は、例えば濾過(Amicon,米国マサチューセッツ州ダンバーズ所在)によ って濃縮することもできる。 実施例3は、本発明のこのような応用法について記載している。 ここではプラスミド、pcDNA3LCD8及びpcDNA3FCD8を、発現 したキメラポリペプチドの先端を切ったGhR部分と貫膜アンカー部分との間に トロンビン開列部位を持つように修飾した。その修飾ベクターを用いて上記のよ うに細胞をトランスフェクトし、タンパク質を発現させた。続いてこの細胞をト ロンビンを用いて処理することによって、先端の切れたLHとFSHの可溶性受 容体を放出させた。その可溶性受容体を、架橋分析やSDS PAGEで分析す るのはもちろん、実施例2に記載された結合アッセイを用いても分析した。これ らの実験結果は、可溶性受容体がリガンド結合能力を保持していて、予想された 大きさであることを示している。 あるいは、発現した融合タンパク質は、それらを発現した宿主細胞に残したま まで、その細胞を例えば結合アッセイに用いることができる。例えば実施例2は 、標識を施したLHおよびFSHがそれぞれの受容体を用いてトランスフェクト した細胞に結合することについて記載している。これらのアッセイの結果は、ト ランスフェクトを行ってから約8時間後に、高レベルの結合部位が原形質膜に現 れることを示唆している。 糖タンパク質ホルモン受容体に加えて、本発明の好ましい実施態様には、実質 的な細胞外ドメインを持つ他の受容体から誘導されるものが含まれる。特に、密 接に関連したリガンド分子、例えば受容体のバソアクティブ インテスティナル ポリペプチド(VIP)ファミリーを識別するものが含まれる。本発明の特定 の実施態様で用いやすい数種の代表的な受容体及びリガンドを以下に説明する。 そこでこれらの他の受容体の細胞外部分は、例えば特異的リガンド、抗体または ウイルスタンパク質に対する可溶性結合タンパク質の誘 導を行わせるために、ここに記載したとおり(例えばGhRに関して)に使用し 利用することができる。 B.カルシトニン受容体ファミリー カルシトニンは骨吸収を阻害して、血しょう[Ca++]を低下させるペプチド である。またカルシトニンは腎臓でのイオンの排泄を高め、腸管でのイオンの吸 収を抑制するとともに、例えば膵臓や下垂体内にあるような内分泌細胞での分泌 を阻害する。中枢神経系(CNS)では、カルシトニンは鎮痛作用を持ち、また 摂食や胃酸の分泌を抑制すると報告されている。脳では、カルシトニン遺伝子転 写物は、あるいはスプライスされて、カルシトニン遺伝子が関連するペプチド( CGRP)(EpandおよびCaulfield、1990年)をエンコードするmRNAを生成 する。CGRPは強い血管作用性と強心性を持つペプチドであり、胃酸分泌の刺 激剤である(Brain & Cambridge、1998年)。 カルシトニン受容体(Lin他、1991年)は破骨細胞で、またこの細胞由来の不 死細胞系で目立って見られる。脳内、例えば視床下部や下垂体および末梢組織、 例えば精巣、腎臓、肝臓及びリンパ球の中には少量存在している。またこの受容 体は、肺癌や乳癌の細胞系にも存在しているとの記載がある。ブタのカルシトニ ン受容体の配列は、GenBankの受託番号M74420で入手できる。第1貫膜ド メインはアミノ酸番号148でだいたい始まり、そのため細胞外ドメインはアミ ノ酸1−147を含んでいる。 二つのサブタイプのCGRP受容体が、類似体とCGRPフラグメントの強度 の違いに基づいて提案されている(Dennis他、1989年a、1989年b)。CGRPは 、大脳、冠動脈及び末梢の脈管構造にお ける効力が強く、作用時間の長い血管拡張薬である(BrainおよびCambridge、19 96年;Feuerstein他、1995年)。本発明によって、CGRP受容体の可溶性リガ ンド結合ドメインを用いて、例えば内因性CGRPを中和し、片頭痛及び血管れ ん縮などの血管疾患を治療することができる。CGRP拮抗薬もまた、インシュ リン非依存性糖尿病のインシュリン感受性を改善することがわかっている(Feue rstein他、1995年)が、それはCGRPがインシュリンに対する組織グルコース の応答を減少させるためである。本発明によって、CGRPの可溶性リガンド結 合ドメインを用いて、インシュリン非依存性糖尿病のインシュリン感受性を改善 することができる。 C.グルカゴン受容体 グルカゴンは、グルコースの血中濃度を制御するために必要である。このペプ チドは肝臓での糖原分解と糖新生を刺激してグルコースを産生し、血流中に放出 する。それはまた、肝臓と脂肪細胞で脂肪分解を引き起こす。したがってその主 要な作用はインシュリンの作用に対抗するものであり、また糖尿病の病原機序で 主要な役割を果たす。グルカゴンはまた、急性の心不全の際に心収縮力と心拍数 を増加させるために時折用いられてきた。 グルカゴンの配列は全ての哺乳動物種にわたって保存されており、VIPファ ミリーのメンバーと限定された配列類似性を共有している(例えば、グルカゴン 中のアミノ酸の15個はセクレチンにも存在している)。 グルカゴン受容体(Jelinek他、1993年)は肝臓で目立って発現する。それは 脂肪組織や心臓にも見られる。ラットのグルカゴン受容体の配列は、GenBankの 受託番号L04796およびM96674に より入手できる。第1貫膜ドメインはアミノ酸番号144でだいたい始まり、そ のため細胞外ドメインはアミノ酸1−143を含んでいる。 グルカゴン受容体に対抗する臨床上有用な拮抗薬は現時点ではない。本発明に よれば、例えばここに記載されたように製造された受容体の可溶性リガンド結合 ドメインは、遊離のグルカゴンと結合してその濃度を減少させることによって、 グルカゴン受容体に対抗する機能的な拮抗薬として投与することができる。 このようなグルカゴン拮抗薬は、例えばII型糖尿病のグルコース血中濃度を低 下させるために利用することができる(Vantine他、1996年)。 D.グルカゴン様ペプチド(GLP−1)受容体 GLP−1はグルコース誘導性インシュリンの分泌を高めるように調節すると ともに、胃酸の分泌を抑制する(Goke他、1991年)。GLP−1はグルカゴンと 同じ前駆体から誘導されるがそれは異なる構造をしており、グルカゴン受容体で は作用しない。インシュリン非依存性糖尿病は、グルコース−誘導性のインシュ リン分泌に対するGLP−1の刺激作用の減少に関連がある。 ラットのGLP−1受容体の配列(Thorens、1992年)は、GenBankの受託番号 M97797により入手できる。第1貫膜ドメインはアミノ酸番号146でだい たい始まり、そのため細胞外ドメインはアミノ酸1−145を含んでいる。GL P−1受容体の細胞外領域はGLP−1と結合することが示された(Wilmen他、 1996年)。また、GLP−1が食物消費の調節に関与していること(Thiele他、 1997年)、およびGLP−1のラットへの中枢投与により食物と水 の摂取が阻害されること(Tanchristensen他、1996年)が認められている。本発 明によると、GLP−1受容体の可溶性リガンド結合ドメインを、例えば神経性 食欲不振症のような摂食疾患にかかっている患者を治療するために用いることが できる。 E.代謝物産生グルタメート受容体ファミリー グルタメートはCNSでの主要興奮性神経伝達物質であり、認識、記憶、ニュ ーロンの柔軟性、学習、ならびにてんかん発作および神経変性などの神経学上の いくつかの疾患で重要な役割を持っていると考えられる(SchoeppおよびConn.、 1993年)。その作用は、親イオン性(ionotropic)受容体や代謝物産生(metabo tyopic)受容体と言われる二つの異なるクラスの受容体により仲介される。親イ オン性受容体は、グルタメートの「迅速な」興奮性作用を仲介するグルタメート −活性化イオンチャンネルである。 代謝物産生グルタメート受容体は7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体の ファミリーに属し、Gタンパク質との相互作用でその機能を発揮する。少なくと も5個のこのような代謝物産生グルタメート受容体が確認されており(Masu他、 1991年;Tanabe他、1992年;Abe他、1992年;Takahashi他、1993年)、それらは Ca2+依存性K+コンダクタンスを阻害することによってニューロンの膜興奮性 を大きくしたり、イオン親和性のグルタメート受容体によって支持されている興 奮性伝達の阻害および増強を行ったり、および海馬内の歯状回およびCA1ニュ ーロンの作用ポテンシャルの激発に続く後過分極を阻害したりといった、ある範 囲の生理作用を有している。それらはまた、長期間の相乗作用に関与している。 しかしながらそれらの生理的役割を充分に理解することは、選択的な作用薬及び 拮 抗薬が欠如しているために妨げられている。 異なるグルタメート受容体の配列は、例えばGenBankから受託番号M6109 9(ラットのmGluR1)、M92075(ラットのmGluR2)、M92 076(ラットのmGluR3)、M92077(ラットのmGluR4)、お よびD10891(ラットのmGluR5)として入手可能である。mGluR 1の第1貫膜ドメインはだいたいアミノ酸番号593で始まり、そのため細胞外 ドメインはアミノ酸1−592(初めから20番目までのアミノ酸はシグナル配 列であると考えられているが)を含んでいる。mGluR2の第1貫膜ドメイン はだいたいアミノ酸番号568で始まり、そのため細胞外ドメインはアミノ酸1 −567(初めから18番目までのアミノ酸はシグナル配列であると考えられて いるが)を含んでいる。mGluR3の第1貫膜ドメインはだいたいアミノ酸番 号577で始まり、そのため細胞外ドメインはアミノ酸1−576(初めから2 2番目までのアミノ酸はシグナル配列であると考えられているが)を含んでいる 。mGluR4の第1貫膜ドメインはだいたいアミノ酸番号588で始まり、そ のため細胞外ドメインはアミノ酸1−587(初めから32番目までのアミノ酸 はシグナル配列であると考えられているが)を含んでいる。mGluR5の第1 貫膜ドメインはだいたいアミノ酸番号579で始まり、そのため細胞外ドメイン はアミノ酸1−578(初めから20番目までのアミノ酸はシグナル配列である と考えられているが)を含んでいる。 本発明によると種々のグルタメート受容体の可溶性リガンド結合ドメインは、 例えば異なる受容体の選択的な作用薬および/または拮抗薬についてスクリーニ ングを行うための結合アッセイなどに用いることができる。 F.上皮小体ホルモン受容体ファミリー 上皮小体ホルモン(PTH)は生体内におけるカルシウムのホメオスタシスに 関与している。それはカルシウムとビタミンDとの組み合わせで作用する(Epan dおよびCaulfield、1990年;Muff他、1992年)。PTHは低カルシウム血症に直 接応答して放出され、血液カルシウム上昇を刺激する。このような場合その作用 はカルシトニンの作用に対抗する。PTHはおもに骨(骨芽細胞)や腎臓で作用 する。骨芽細胞ではPTHは、マトリックスの生成を減少させるとともに、破骨 細胞の補充と活性化に関与するサイトカインを放出させると考えられている。腎 臓ではPTHはリン酸塩の再吸収を減少させるとともに、腎臓細管でのカルシウ ムの再吸収を増加させる。それはまた、1,25ジヒドロキシビタミンD3の産 生増加を促進し、それによって腸管でのカルシウムの吸収を増加させることにな る。 PTH受容体(Juppner他、1991年;Abou-Samra他、1992年)は骨と腎臓に見 られ、血管では小量見られるが、そこではPTH受容体は血管拡張を仲介してい る。この受容体はまた、PTH活性化に必要とされる濃度(サブナノモルの範囲 )と同じくらいの濃度のPTH関連ペプチドによっても活性化される。PTH受 容体の配列は、例えばGenBankから受託番号M77184として入手可能である 。第1貫膜ドメインはだいたいアミノ酸番号182で始まり、そのため細胞外ド メインはアミノ酸1−181(初めから22番目までのアミノ酸はシグナル配列 であると考えられているが)を含んでいる。 本発明によるとPTH受容体の可溶性リガンド結合ドメインは、PTH受容体 の機能的拮抗薬として用いることができる。このような拮抗薬は例えば、上皮小 体機能こう進症や短期間の高カルシウム 血状態を治療するために用いることができる。具体的に述べると、上皮小体の拡 大とPTHの過剰分泌(Indridason他、1996年)が関連して起こる尿毒症性の上 皮小体機能こう進症が見られる患者の場合、内因性PTHの作用を中和する目的 で可溶性PTH受容体細胞外領域を用いることができる。同じ結合タンパク質を 用いて、例えば扁平上皮癌や腎臓癌のような充実性腫瘍を患っている患者で高カ ルシウム血症の共通の原因となっている、正規の場所以外でのPTH関連タンパ ク質の産生を中和することができる(Nelsen他、1996年)。 G.VIP受容体ファミリー バソアクティブ インテスティナル ペプチド(VIP)は、生物活性の部分 的に一致するプロフィールを共有する構造的に関連するペプチドのファミリー( SaidおよびMutt.1988年)、即ちVIP、セクレチン、成長ホルモン放出因子( GRF)、下垂体のアデニルサイクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、 およびペプチド ヒスチジン メチオナミド(PHM)などを含むファミリーの うちの一つである。これらのペプチドは一般に、他の関連するペプチドに対する 受容体を活性化することができるが、その関連する受容体に対するそのペプチド の親和性は通常、そのペプチドの対応する受容体に対する親和性に比べて同等の 大きさであるかもっと小さい親和性である。 VIPは多くの生理的活性を有している。例えば末梢においてそれは、(i) 平滑筋(例えば、血管、腸管、および気管)の弛緩をもたらし、(ii)特定組織 (例えば、胃)での分泌を阻害し、そして他の組織(例えば、膵臓、腸管の上皮 、及び胆嚢)での分泌を刺 激し、さらに(iii)免疫系の細胞の活性を調節する。CNSで、VIPは同様 に、広い範囲の興奮活性と阻害活性とを有している。 セクレチンは腸管や膵臓でイオン及び酵素の分泌を刺激するが、視床下部、脳 幹、及び大脳皮質などを含む脳の特定領域には比較的少量存在している。GRF は、下垂体前葉から出る成長ホルモンの合成と放出を調節する重要な神経内分泌 因子である。それは主として視床下部に見られる。 このファミリーの代表的な受容体はVIPとセクレチンの受容体である。VI P受容体は、末梢、胃腸管、尿生殖系、および他の平滑筋(例えば、気管、血管 )全体にわたって、ならびに分泌腺(例えば、膵臓、胆嚢)内に分布している。 CNSにおいてVIP受容体は、海馬組織、大脳皮質、視床、および線条体に高 いレベルで存在している。 VIP受容体の配列(Ishihara他、1992年)は、例えばGenBankから受託番号 M86835として入手可能である。その第1貫膜ドメインはだいたいアミノ酸 番号146で始まり、そのためその細胞外ドメインはアミノ酸1−145(初め から30番目までのアミノ酸はシグナル配列であると考えられているが)を含ん でいる。 セクレチン受容体の配列(Ishihara他、1991年)は、GenBankから受託番号X 59132として入手可能である。その第1貫膜ドメインはだいたいアミノ酸番 号144で始まり、そのためその細胞外ドメインはアミノ酸1−143(初めか ら22番目までのアミノ酸はシグナル配列であると考えられているが)を含んで いる。 VIPのペプチド拮抗薬は、実験動物に迷走神経で誘導された頻脈を減弱する こと(HillおよびWallick、1995年)がわかっているため、VIP受容体から誘 導され、内因性のVIPを効率的に中和す ることのできる可溶性リガンド結合領域は迷走神経誘導性の頻脈に対する拮抗薬 として用いることができると考えられる。 ヒトGRF受容体はクローン化されている(Mayo、1992年)。その配列は、Ge nBankの受託番号L01406で見つけることができる。その初めの133個の アミノ酸は細胞外領域(シグナルペプチドを含んでいる)をエンコードしている 。本発明により製造されたアンカーされているGRFの代表的用途は、選択的な GRF受容体作用薬と拮抗薬を単離するためのスクリーンである(下記のスクリ ーニングの項を参照のこと)。GHの下垂体からの放出を効率的に刺激するGR F作用薬は、高齢者の筋緊張や一般的な福祉を高めるための薬剤として特に有用 であろう。 V.本発明により製造した可溶性糖タンパク質ホルモン受容体の用途 A.可溶性受容体の有効な発現 さきに詳細に記載したように本発明は、組換え糖タンパク質ホルモン受容体細 胞外ドメインを有効に製造することができる。このような可溶性受容体を製造し ようとする以前の試みでは、細胞内に受容体が封鎖されてしまって受容体の精製 を行う前に細胞抽出を行う必要が生じたり、または受容体が自己凝集してしまう ので過酷な部分的変性を行って再生する必要が生じる。 対照的に本発明の方法は、大量の組換え可溶性受容体タンパク質を産生しかつ 単離することが可能であり、この受容体タンパク質は、宿主細胞を可溶化するこ となく、または正確な折り畳みを誘発させるため予測できない処理に頼ることな く収穫して精製できる。 それらの膜アンカーから開裂を行った後で、本発明の可溶性受容 体分子またはそれらの抱合体を通常は精製し、即ち例えば実施例5に記載したよ うに他の細胞不純物から分離を行う。この可溶性受容体ポリペプチドは、標準的 な既知のタンパク質精製法、即ち分別沈降法、モレキュラーシーブクロマトグラ フィー法、イオン交換クロマトグラフィー法、等電点電気泳動法、ゲル電気泳動 法及びアフィニティークロマトグラフィー法などの精製法によってさらに精製を 行ってもよい。またタンパク質の製剤は、例えば濾過(Amicon,米国マサチュー セッツ州ダンバーズ所在)によって濃縮することもできる。 B.抗−GhR抗体の生成 この明細書に記載された方法により産生したGhRの可溶性リガンド結合領域 は、特定の選択された受容体リガンド結合領域に対する抗体を生じさせるために 用いることができる。通常抗体を得るためには、ウサギのような宿主の動物を精 製抗原か融合タンパク質抗原で、既知の方法を用いて免疫感作させる(例えば、 Harlow他、1988年)。宿主の血清、または血漿を適当な時間間隔で収集し、その 血清を抗原に対して特異的な抗体についてテストする。免疫感作した動物のガン マグロブリンフラクション、即ちIgG抗体を、例えば飽和硫酸アンモニウムま たはDEAEセファデックスを用いることによって、あるいはポリクローナル抗 体を産生するための当業者に既知の他の方法によって得ることができる。 あるいは精製したsGhBP、特にGhRの可溶性抗原性ドメインを、モノク ローナル抗体を産生するために用いてもよい。ここでは免疫感作した動物から脾 臓またはリンパ球を取り出し、当業者に既知の方法(例えば、Halow他)によっ てハイブリドーマを調製する ために不滅化して用いる。不滅化した細胞によって分泌される抗体は、例えば既 知の方法であるウエスターンブロット分析法(例えば、Ausubel他、1988年)を 用いてスクリーニングして、望ましい特異性を持つ抗体を分泌するクローンを確 認する。 C.避妊用への応用 精製した可溶性LH及びFSH結合タンパク質(即ち、リガンド−結合活性を 保持している可溶性受容体)は、数多くの用途で、特に受精および避妊の用途に 利用することができる。本発明の方法により産生させた可溶性LH、FSおよび CGのリガンド結合ドメインはそれぞれの作用性ホルモンに結合できるため、そ れらを個体に治療用として投与して標的細胞の表面に存在する受容体に結合する 選択された性腺刺激ホルモンの利用度を減少させることにより、個体の性腺刺激 ホルモンの作用を優先的に中和することができる。 FSHは、性腺刺激ホルモン放出ホルモンおよびCGに応答して下垂体から放 出されるとともに、妊娠中に胎盤から放出される。男性ではFSHは精子形成の ために重要である。女性ではFSHは卵胞の成長を促進するとともに、エストロ ゲン類の分泌を調節する。男性と女性にFSH受容体の細胞外リガンド結合領域 を投与すると不妊となり、可逆的な避妊方法として利用することができると考え られる。 また避妊効果は、LH受容体のリガンド結合領域を投与してLHまたはCGの 作用を遮断することによっても達成できる。 したがって上記のことに関連して、本発明は避妊方法も含んでいる。一実施態 様において本発明の方法は、ヒトFSH受容体の細胞外リガンド結合領域(EL BR)を薬学的に有効量で投与する方法 を含む。別の実施態様では本発明の方法は、ヒトLH受容体のELBRを薬学的 有効量で投与する方法を含む。 D.多嚢胞性卵巣疾患 多嚢胞性卵巣(PCO)疾患(Petersdorf他、1983年)は高いLHレベルと低 いFSHレベルに特徴がある。PCO患者は通常、LHとFSHの両方を抑制す るGnRH類似体を用いて治療し、続いてFSHの投与が行われる。本発明によ るとPCO疾患は、卵巣の包膜細胞にあるLH/CG受容体に結合させるために 利用できるLHの量を減少させる目的で、LH/CG受容体作用のリガンド結合 ドメインを投与して、合成されるアンドロゲンの量を減少させるとともに内因性 のFSHに卵胞の成長を促進させることによって治療することができる。 同様の治療は、例えば早発思春期および/または卵巣過刺激症候群(Fauser、 1996年)の患者に適用できる。卵巣過剰刺激症候群は、下垂体によって過剰なL H/FSH分泌が起こるために、性腺刺激ホルモン治療を行っている患者に有害 である。性腺刺激ホルモンの投与を中止するのに加えて、LHとFSH結合タン パク質を投与することによって、循環している性腺刺激ホルモンを中和できるで あろう。 E.乳ガン、前立腺ガン及び甲状腺ガンなどのステロイド依存性腫瘍の治療 FSH及びLHの受容体のリガンド結合ドメイン(例えば、FBPおよびLB P)は、乳ガン、前立腺ガン、及び甲状腺ガンのような性腺刺激ホルモン依存性 、ステロイド依存性またはTSH依存性 の腫瘍を治療するためにもちいることができる。このような腫瘍は通常、成長し たり生き残ったりするために性腺刺激ホルモンやTSHの存在が必要である。本 発明のsGhRによって循環している性腺刺激ホルモンまたはTSHを涸渇させ ることは、類似の処理を行わなかった腫瘍の成長に比較してこのような腫瘍の成 長を阻害するために利用できる。またGhRは、性腺刺激ホルモンおよび/また はTSHを産生する腫瘍を患っている患者の循環している性腺刺激ホルモンおよ び/またはTSHのレベルを測定するために利用できる。 乳ガンは35才〜45才の間の年齢の女性に死を引き起こす主原因である。特 定の女性が乳ガンになる可能性に、多くの因子が影響を与えるが、エストロゲン 受容体(ER)タンパク質が存在するか存在しないかがその疾患の予後を決定す るのに特に重要であると一般には考えられている。具体的に言うと、ERレベル の高い女性は、ERレベルが正常に比べて中間か低い女性よりも予後がより順調 である。この知見を観察して乳ガン患者には、エストロゲンまたはエストロゲン 前駆体の作用を完全になくすために、ときおりエストロゲン類似体が与えられる 。より極端な場合には、副腎摘出および/または下垂体切除(hyphosectomy)を 行ってもよい。 本発明によると、乳ガン患者にFSH受容体の細胞外リガンド結合ドメインを 投与することによって、その患者のFSH分子に結合させて、FSH分子の卵巣 細胞にエストロゲンを産生させる性能を抑制または減弱させることができる。 また、FSH及びLHの受容体のリガンド結合ドメイン(例えば、FBPおよ びLBP)は、ステロイド依存性前立腺ガンを治療するために用いることもでき る。女性の乳ガンと同様に、前立腺ガンは 男性にガンによる死を引き起こす主原因である。この疾患は通常、前立腺の外科 的除去法、化学療法、及び放射線療法によって治療する。前立腺の成長は精巣の アンドロゲン(主に、テストステロン)に依存している。したがって上記に列挙 した治療は、去勢または抗−アンドロゲン治療法のような、テストステロンのレ ベルを減少させるように計画された治療法が通常は付随して行われる。 本発明によればテストステロンレベルを下げることは、LH受容体の細胞外リ ガンド結合ドメインを投与することによっても達成できる。男性のLHの主たる 作用は、ライジッヒ細胞にテストステロンを産生させる作用である。したがって このLH/CG受容体の可溶性リガンド結合ドメインを個体に投与することによ って、テストステロンの生合成を誘導するのに利用可能な血清中のLHの量を減 少させることができる。可溶性受容体を投与するとこのようにテストステロンの 合成が減少し、結果的に前立腺の成長速度が小さくなる。 このような治療法は、骨の痛み(疾患の進行段階を示す、ほとんどの患者で通 常起こる症状である)を緩和するために用いられるのはもちろんのこと、腫瘍の 成長を抑制したり腫瘍の緩解を起こさせたりするために用いることができる。 F.リガンド結合親和性を変化させたsGhBPの用途 それぞれの糖タンパク質ホルモンに対する結合親和性を変化させた本発明の可 溶性糖タンパク質ホルモン結合タンパク質(sGhBP)は多くの用途に用いる ことができ、そのうちのいくつかを以下に詳細に述べる。 例えばそれぞれの糖タンパク質ホルモンに対する結合親和性を低 下させたsGhBPは、内因性の糖タンパク質ホルモンの循環半減期を延長させ るように「補−ホルモン(co-hormone)」として用いることができる。この方法 の具体的応用例は、性腺刺激ホルモン低下による性機能不全の治療法である。こ こでは、それぞれのリガンドへの親和性が低くなるように、sGhBPのリガン ド結合領域を変化させることができる。その変化させたsGhBPを特定の糖タ ンパク質ホルモンとともに投与することによって、ホルモンの代謝を減少させて 生体内での半減期と効力を延長できる。 関連した用途では、その態様が上記に記載した治療法(例えば、抗癌治療)の うちのいくつかで具体化されているが、sGhBPは内因性のGhRに対する「 おとり」として用いることができる。このような「おとり」としてのGhBPは 、遊離のGhを束ねている内因性のGhRと同じくらいかそのGhRよりもずっ と良好にそれぞれのGhに結合するように設計することができる。 「非結合」可溶性GhR、例えばTSHに対してほどんど親和性がないか全く 親和性のない可溶性TSH受容体などは、例えば、自己免疫疾患の治療に用いる ことができる。例を挙げるとTSH受容体に対する刺激性抗体と阻害性抗体は、 甲状腺の機能不全を引き起こす(NagayamaおよびRapoport、1992年;Tomerおよ びDavies、1993年)。グレーブス病はTSH受容体の細胞外領域に対する刺激性 の自己免疫抗体によって引き起こされる形式甲状腺機能こう進症であり、これに 対してハシモト病は阻害性の自己免疫抗体によって引き起こされる(Magner他、 1990年)。同様に早発性卵巣機能不全には、FSH受容体に対する循環抗体が関 連している(Chiauzzi他、1982年;Dias他、1982年)。 本発明によると、7−TDGRの内因性細胞外リガンド結合ドメ インが患者自身の抗体の標的となってしまう自己免疫疾患、例えばグレーブス病 や早発性卵巣機能不全は、抗体に結合する可溶性リガンド結合領域の能力に実質 的に影響を与えることなく、糖タンパク質ホルモンの結合を遮断するように変性 させた可溶性リガンド結合領域、例えばTSH受容体またはFSH受容体から誘 導される領域を投与することによって治療できる。そこでこれらの変性したsG hRは、GhRのシグナリング(signalling)を実質的に妨害することなく自己 免疫抗体に結合する。 G.Ghペプチド擬態物のためのスクリーン 本発明の方法および組成物は、7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体に結 合する化合物またはペプチドを確認するスクリーンに用いることができる。この ような化合物またはペプチドは、内因性リガンドの擬態物、作用薬または拮抗薬 であるとよい。例えばこのようなスクリーンは、FSH、LH、またはTSHの それぞれの受容体に対する作用を擬態する化合物またはペプチドを確認するため に用いることができる。 一実施態様においてこのスクリーンは、対応する7回貫膜ドメインGタンパク 質共役受容体へのリガンド(例えば、ペプチドリガンド)の結合に影響を与える 能力のある化合物を確認する方法である。このスクリーニング法に利用し易い代 表的受容体はさきに定義した。この方法は、対応する受容体から誘導したアンカ ーされている受容体構築物を、テスト化合物の存在および非存在下でリガンドと 接触させる工程、そのリガンドとアンカーされている受容体との間の結合の程度 でテスト化合物の効果を測定する工程、および結合の程度に基づき測定した化合 物の効果がしきい値レベルを越えたとき、対 応する7回貫膜ドメインGタンパク質共役受容体へのそのリガンドの結合性を効 果的に変えることのできる化合物を確認する工程を含んでいる。 上記の方法を、それぞれのウェルごとに異なるテスト化合物を入れた多ウェル プレート(例えば、96ウェルプレート)で、化合物のライブラリーをスクリー ニングするために用いることができる。特に、この方法は、コンビナトリアルラ イブラリーに使用することができる。ランダム配列のオリゴヌクレオチド、ポリ ペプチド、または合成オリゴマーの種々のコンビナトリアルライブラリーが提供 されている(例えば、Houghten、1985年、1994年;Houghten他、1986年、1991年 、1992年)。たくさんの小分子のライブラリーも開発されている(例えば、Buni n他、1994年;VirgilioおよびEllman、1994年)。 オリゴマーのコンビナトリアルライブラリーは、異なるサブユニットの混合物 を成長しつつあるオリゴマーまたは親化合物に、望ましいオリゴマーの大きさに なるまで(通常はヘキサペプチドまたはヘプタペプチドである)順次添加する種 々の液相または固相の方法で形成することができる。複雑さを増大したライブラ リーはこの方法で、例えば追加して行うそれぞれのサブユニット工程で多数の選 択した試薬をプールすることによって形成することが可能である(Houghten他、 1991年)。 あるいはこのライブラリーは固相合成法で製造することができる。この合成法 では、そのライブラリーを形成する異なる配列のオリゴマーを含有するビーズが 交互に混合され分離され、選択された数のサブユニットの1種が各ステップで分 離されたビーズの各群に添加される。アンカーされている受容体へのリガンドの 結合に望ましい 影響を与えるライブラリーの化合物の確認は、例えば一つのサブユニットの位置 にのみ既知の残基を含んでいるサブライブラリーを活性化合物を含んでいると確 認できる反復合成法のような従来の方法によって実施することができる。 別の実施態様ではこのスクリーンは、アンカーされている受容体に対して高い 親和性を有する化合物を直接単離するのに用いられる。例えばある特定の実施態 様では、スクリーンはコンビナトリアルペプチドのファージ表示ライブラリーを 用いて行われ(Cwirla他、1990年;Devlin他、1990年;ScottおよびSmith、1990 年)、そこで発現されるペプチドはファージコートタンパク質への融合物として 表示される。標的タンパク質上のファージ粒子の集団の親和性精製法を利用する ことによって、結合親和性を備えたペプチドを回収することができる。 この場合に適用されると、選択された可溶性糖タンパク質ホルモン受容体は例 えば上記に記載したように選択された宿主細胞において融合物として発現する。 そこで可溶性受容体は膜アンカーから開裂され、例えば作用薬結合性を妨害しな い抗体を通じてアッセイプレートのウェルの内側に付着する。またその細胞をア ッセイ用ウェル中に平板培養を行い、抗体(例えば「パニング精製法(panning purifications)」または他の方法によってウェルに固定化し、そしてアンカー された受容体をそれらを発現した細胞表面に残す。 それから上記固定化した受容体または細胞を、記載されたようにファージ表示 ライブラリーをスクリーニングするために使用し(Wrighton他、1996年)、続い て受容体に結合しているファージを受容体のアフィニティー精製法を行って単離 する(Wrighton他、1996年)。そのスクリーンに細胞を用いた場合、選択された 受容体は通 常、アフィニティー精製法を行う前に適当なプロテアーゼで開裂することによっ てその細胞から分離する。 プロテアーゼによる開裂部位が含まれていると、トロンビン処理を行った後に 、特異的に結合している化合物のみが開裂(細胞外ドメインに沿って)するため 、候補となる分子の特異的相互作用と非特異的相互作用との間の識別が可能とな ることに注目すべきである。このアプローチによれば、スクリーニング法の選択 性を実質的に高めることができる。上述したアンカーされているグルタメート受 容体とともに使用しやすくなる。 種々の異なる化合物が本発明の方法を用いてスクリーニングできる。これらの 化合物としては、ペプチド、巨大分子、小分子、化学上および/または生物学上 の混合物、及び真菌、細菌、または藻類の抽出物が含まれる。このような化合物 、または分子は、生物学上化合物、合成の有機化合物、または無機化合物でもよ いし、また、製薬会社や化合物のライブラリー(例えばコンビナトリアルライブ ラリー)の専門の提供者などの数多くの供給者から得ることができる。 確認した活性化合物がペプチドである場合には、そのペプチドは、ペプチド様 の擬態物を設計し、そして経口で活性の小分子擬態物の発見を手助けするために 用いることができる。またそのペプチド自体を治療薬として用いることもできる 。さらに生物活性のポリペプチドの構造は、例えばNMRを用いて決定すること ができ、また、スクリーニングした小分子のタイプを選択するために用いること ができる。 受容体の作用薬または拮抗薬となる可能性のある薬物として、ある種のテスト 化合物を確認したあとで、スクリーニングアッセイの 実施者は通常、引続いて、その選択された化合物の効力と特異性を生体外と生体 内の両方でテストすると解される。続いて、生体内テストを行う場合であろうと 、承認済みの薬物として動物に投与する場合であろうと、そのスクリーニングア ッセイで確認された薬物は、動物に、好ましくはヒトに生体内投与するための医 薬製剤中に配合することができる。 この状況でのスクリーニング法の一実施態様には、アンカーされている受容体 に対するリガンドの結合性を変える効果のある薬物であると確認された化合物の 医薬製剤を調製する工程がさらに含まれる。スクリーニングアッセイで選択され た化合物、または薬学上許容できるそれらの塩を、例えば水、緩衝食塩水、ポリ オール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコ ールなど)またはそれらの適当な混合物のような生物に許容される媒体とともに 、投与用に配合することができる。選択した媒体中での活性成分の最適濃度は、 医療化学者に充分に知られている方法により経験的に決定することができる。こ こで用いたように「生物学上許容できる媒体」には、医薬製剤を投与する望まし い経路に適切なあるゆる溶媒、分散媒体などが含まれる。薬学上活性な物質のた めにこのような媒体を使用することは当業者には公知である。従来の媒体または 試薬は、化合物の活性と両立しない場合を除いて、本発明の医薬製剤に使用でき ると考えられる。 適切なビヒクルと他のタンパク質を含んだその配合剤が、例えばGennaro、199 0年に記載されている。これらのビヒクルには、注射用の「デポジット配合剤」 が含まれる。上記に基づくとこれらの薬学上配合剤としては、限定的ではないが 、一種以上の薬学的に許容されるビヒクルまたは希釈剤と組み合わせて適切なp Hを有し生理液 と等張の緩衝媒体中に含有されている化合物の溶液または凍結乾燥粉末がある。 好ましい実施態様では、その化合物は局所投与や全身投与が行えるように、滅菌 製剤として配合できる。凍結乾燥した製剤の場合には、限定するわけではないが 、マンニトールやグリシンのような支持用の賦形剤を用いて、ちょうど良い容量 の適当な緩衝溶液が得られ、望ましいpHであって適当な等張性の緩衝溶液を得 ることができる。また同様の溶液を用いて所望の容量の等張溶液の医薬組成物を 得ることができ、限定するわけではないが、適当な濃度の燐酸塩やクエン酸塩を 入れた緩衝食塩溶液を用いて、望ましいpH(例えば、pHが中性である)にな っている等張性の医薬製剤を常に得ることができる。 H.利点 糖タンパク質ホルモン受容体から誘導された可溶性リガンド結合領域は、他の タイプの受容体拮抗薬よりもたくさんの利点を備えている。例えばこのようなS LBRは特定のホルモンと結合するように設計されているが、作用薬のような活 性を示すわけではなく、それは標的器官の受容体と相互作用し、高濃度で通常は 作用薬の活性を示すホルモン拮抗薬とはまさに対照的である。したがってそれら は、密接に関連する分子(例えば、LHおよびFSH)によって仲介されるシグ ナリング経路(signalling pathways)に選択的で特異的に影響を与えるべく使 用することができる。さらに受容体拮抗薬は標的組織に送達する必要がなく、ま たそれらが野生型受容体に類似しているために抗原性は小さい。 VI.本発明の可溶性受容体の投与 本発明は、少なくとも一つの可溶性受容体またはその活性なフラグメントの有 効量を、通常は適当なビヒクルまたは担体に懸濁するかまたは抱合させて含有さ せた治療用または予防用の組成物を投与する方法を含む。予防的に用いられる場 合、本発明の化合物は疾患の何らかの兆候、即ち症状のサインが現れる前に提供 される(例えば、避妊用)。対照的に治療用では、現在の疾患の兆候が現れた後 にその疾患を治療するために与えられる。この化合物の治療薬としての投与によ り、症状やこのような疾患または病状が緩和される。 A.治療用/予防用組成物の調製 可溶性受容体、その治療上活性のあるフラグメントまたは抱合体は、治療用と して利用するために生理学的に許容されるキャリアに配合して滅菌濾過するとよ い。組成物の投与を受ける患者にとってその投与が耐えられるものであるならば 、組成物は「薬学的に許容」されると言われる。投与量が生理学的に意味のある 量であるとき、このような薬剤は「治療上有効な量」で投与されたと言われる。 薬剤が存在することによって、その薬剤を受け入れる患者の生理に検出できるほ どの変化が生じる場合、薬剤は生理学的に有意である。 これらの分子は、タンパク質の医薬組成物を調製しかつ投与するための既知の 方法にしたがって配合しかつ投与することができる(例えば、Banga、1995年参 照)。例えば、分子またはそれらの機能的誘導体を、薬学的に許容されるキャリ アや賦形剤や他のビヒクルと組み合わせてもよい。適当なビヒクルおよびそれら の配合剤としては、例えばGennaro(1990年)やBanga(1995年)に記載されており、 それらは例えばトウィーン20または80といった界面活性剤、塩、緩衝剤、お よび他の賦形剤がある。治療用組成物は水溶液として保 存するかまたは凍結乾燥される。 放出制御製剤は、本発明の分子を複合化するか吸収するポリマーを用いて製造 できる。このようなポリマーは、例えば本発明の治療用化合物の放出速度または 作用持続期間をコントロールするために用いられる。適当なポリマーの例として は、ポリエステル類、ポリアミノ酸類、ハイドロゲル類、ポリ乳酸及びエチレン −酢酸ビニル共重合体が挙げられる。あるいはまたさらに、本発明の治療用化合 物は、例えばコアセルベーション法や界面重合反応によって調製されるマイクロ カプセル、例えばヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンのマイクロカプ セルおよびポリ(メチルメタクリレート)のマイクロカプセルに包括させること もできるし、あるいはアルブミンミクロスフェア、ナノ粒子、ナノカプセルとと もに、例えば脂質またはリン脂質の懸濁液のコロイド医薬送達系リポソームの懸 濁液水性エマルジョン(ミクロエマルジョンまたはマクロエマルジョン)中に包 括することもできる。これらのアプローチや他のアプローチについては、例えば Gennaro、1990年に開示されている。 本発明の治療用組成物や予防用組成物は、皮下、筋肉内、静脈内、または脳脊 髄内への注射、肺内か鼻腔内へのエアロゾル、皮膚への貼着、小胞内への注入な どによって投与することができる。注射によって投与する場合、その投与を連続 的に注入することで行ってもよいし、または一回または多数回注入することで行 ってもよい。 B.投与量 投与される治療用化合物の投与量は臨床経験により決定され、患者の年齢、身 長、体重、性別、いままでの医療履歴、及び全身の医学的症状のようなファクタ ーに応じて変わる。通常は、毎日か1週 間に数回(例えば3回)、当初の用量は約300μg/kg〜約10mg/kg (患者の体重)で、患者に投与することが望ましいが、もっと低用量かもっと高 用量で投与することもできる。 この用量は、投与した受容体のクリアランスの薬物動態か、あるいは当業技術 界では既知の薬物動態原理を利用するSBPに部分的に基づいて決定する。この ような用量を調製する方法は既知であるか、当業者には明白となるであろう。例 えば、Gennaro(1990)参照。 治療用配合剤に含まれる本発明の分子の濃度は決定的ではないが、通常は約1 μg/ml〜約20mg/mlの範囲である。例えば実施例5では、投与濃度は 約30μg/mlである。 次の実施例は例示であり、本発明を決して限定するものではない。 材料及び方法 他に指示されていない限り、制限酵素およびDNA修飾酵素はNew England Bi olabs(米国マサチューセッツ州ビバリー所在)またはBoehringer Mannheim(米国 インディアナ州インディアナポリス所在)より入手し、また他の化学物質はSigma (米国ミズーリ州セントルイス)またはUnited States Biochemical(米国オハイオ 州クリーブランド)から購入した。 A.緩衝剤 燐酸緩衝食塩水(PBS) 10%の貯蔵溶液、1リットル: 80gのNaCl 2gのKCl 11.5gのNa2HPO4・7H2O 2gのKH2PO4 使用溶液、pH7.3: 137mMのNaCl 2.7mMのKCl 4.3mMのNa2HPO4・7H2O 1.4mMのKH2PO4 B.放射線標識化結合アッセイ ヒトの絨毛性性腺刺激ホルモン(CR129)とヒトのFSH(NIDDK− I−1)は、National Hormon and Pituitary Agency(米国メリーランド州バル チモア)より入手し、ラクトペルオキシダーゼ法(Thorell及びJohansson、1971 年)を用いてヨウ素化した。このトレーサーの特異的活性は、I125−FSHの 場合約100,000cpm/ng、そしてI125−hCGの場合約50,00 0cpm/ngであった。一時的にトランスフェクトされた細胞を、0.1%の ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBS、300μlに入れた放射性リガン ドとともに、23℃で18時間インキュベートした。非特異的結合は、過剰の標 識を施していないホルモン(100IUのhCG/チューブまたは4IUのFS H/チューブ)を添加することによって測定した。 最適の結合条件を判断してから、FTCD8とLtCD8を用いてトランスフ ェクトした細胞に対する放射線リガンド受容体アッセイを、22℃でそれぞれ5 時間と、2時間とで行った。インキュベートの後、細胞を二度洗浄し、続いて遠 心分離を行ってからガンマ−カウンターを用いて放射能を測定した。実施例1 プラスミド構築物の構築と発現 プラスミドpcDNA3LCD8は、ヒトLH受容体(Jia他、1991年)の細 胞外ドメインとCD8の一つの貫膜ドメインとの融合体をエンコードしており、 それは以下のようにポリメラーゼ連鎖反応(PCR;Mullis、1987年;Mullis他 、1987年)を用いることで構築した。CD8貫膜領域(アミノ酸162からC末 端まで(Littman他、1985年))をエンコードするEcoRV−XbaIフラグメ ントをプラスミドpSK−ATE−CD8(Chen他、1994年;Dr.Shaun Coughl in,UCSF,米国カリフォルニア州サンフランシスコ所在より提供された)から単 離した。そのEcoRV−XbaIフラグメントを、LH受容体の細胞外領域( LH受容体のアミノ酸1−355(Jie他、1991年))をエンコードする別のポリ ヌクレオチドフラグメントにトロンビン開裂部位(トロンビン受容体のアミノ酸 36〜66(Vu他、1991年;Chen他、1994年))を介して連結し、発現ベクターp cDNA3(Invitrogen Corp.,米国カリフォルニア州サンディエゴ所在)にサ ブクローニングした。LH受容体とトロンビン受容体の間の得られた連結部は、 ....NPCED/ATLDP....(配列番号1)をエンコードしており、これに 対してトロンビン受容体とCD8との間の連結部は、配列....NESGL/IY IWA....(配列番号2)をエンコードしていた。この構築物によってエンコー ドされた融合ペプチドをLtCD8と名付けた。 プラスミドpcDNA3FCD8は、ヒトFSH受容体から得られる細胞外ド メインとCD8の貫膜ドメインとの融合体をエンコー ドしており、それはヒトFSH受容体の細胞外ドメイン(アミノ酸1−358(T illy他、1992年))をCD8の貫膜領域と細胞質領域に、先に述べたトロンビン 受容体配列を介して融合させることによって構築した。FSH受容体とトロンビ ン受容体配列との間の得られた連結部は、配列....NPCED/ATLDP.... (配列番号3)を含んでいて、これに対してトロンビン受容体とCD8との間の 連結部は、LtCD8で得られたのと同じ配列であった。 プラスミドpcDNA3TCD8は、ヒトTSH受容体から得られる細胞外ド メイン(アミノ酸1〜410;NagayamaおよびRapoport、1992年)をCD8の貫 膜ドメインと、前記トロンビン受容体配列を介して融合させた融合体をエンコー ドしており、それは上記に記載したようにして構築した。TSH受容体とトロン ビン受容体配列との間の連結部は、配列....NPCED/ATLDP....(配列 番号4)を含んでいた。得られた構築物はTtCD8と名付けた。 ヒト胎児の腎293細胞において野生型とキメラの受容体を発現させるために 、受容体のcDNAをpcDNA3(Invitrogen,米国カリフォルニア州サンデ ィエゴ)にサブクローニングした。細胞培養と一時的発現は、以前に記載されて いるように(Kudo他、1996年)行った。簡単に述べると、293細胞を、10% の血清と抗体を補充したDMEM/F12媒体中で培養した。10%の血清と抗 体を補充したDMEMでその媒体を置き換えた後で293細胞を、野生型及びキ メラの受容体のcDNAを含む10μgの発現ベクターを用い、燐酸カルシウム 沈降法(Tilly他、1992年)によってトランスフェクトした。 実施例2 トランスフェクトした細胞へのリガンドの結合 上記野生型またはキメラの受容体を用いてトランスフェクトしたヒト胎児の腎 293細胞を、それらをトランスフェクトさせた受容体のリガンドに結合する能 力について検定した。その細胞を、標識化したリガンド(FSHまたはhCG) とともにインキュベートし、平衡結合定数をスキャッチャードプロット分析(Sc atchard、1949年)を用いて測定した。放射能標識と結合は、上記に記載したよ うに行った。 その結果は、野生型FSH受容体とFtCD8の結合動態(図2A)、および 野生型LH受容体とLtCD8の結合動態(図2B)として、図2Aおよび図2 Bに示されている。Kd値は次の通りである。即ち、FtCD8は0.31nM 、野生型FSH受容体は1.03nM、LtCD8は0.61nM、野生型LH 受容体は0.28nMである。アンカーされているFtCD8では、放射能標識 を施したFSHに対する結合親和性は野生型の受容体の結合親和性よりも3倍も 高く、細胞一個あたりの受容体の数はFtCD8では約17,000、またFS HRでは約30,000と推定された。アンカーされたLtCD8は野生型受容 体の結合親和性に匹敵するほどの結合親和性を示した。 これらの結果は、性腺刺激ホルモン受容体の細胞外領域をトランスフェクトし た細胞の細胞表面に、7つの貫膜領域とは関係なく野生型受容体のレベルに匹敵 するほどのレベルで発現させることができ、またその細胞外領域が特異的リガン ドに対して高い親和性を保持している点を証明している。 またこの細胞を、標識を施した適当なリガンドとともに4℃、2 2℃そして37℃にて、0.5時間〜48時間の範囲内の時間でインキュベート することにより、それぞれの受容体に対する最適なリガンド結合条件を評価した 。これらの実験の結果は、トランスフェクトを行ってから8時間後に原形質膜上 に結合部位が高いレベルで現れることを示唆した。 実施例3 可溶化したリガンド結合領域の開裂及び分析 上記に記載したアンカーされた受容体のリガンド結合領域を、野生型またはア ンカーされた(FtCD8またはLtCD8)受容体を発現するトランスフェク クされた293細胞を、10IU/mlのα−トロンビンで処理することによっ て可溶化して、受容体細胞外領域を放出させた。それからならし培地(Centrico n 30,Amicon,Bedford,米国マサチューセッツ州ベッドフォード所在を用いて 10倍濃縮した)を、標識をつけたリガンドとともに、23℃で5時間(FtC D8でトランスフェクトした細胞から得た培地)、または4℃で16−18時間 (LtCD8でトランスフェクトした細胞から得た培地)インキュベートし、続 いてジスクシンイミジルスベレート(2mM)を用いて1時間、架橋処理した。 この架橋反応は3.6mMのトリス−HCl、pH7.4を添加することによっ て終結させた。 トロンビン処理は対照グループに対しては省略したが、これに対していくつか のグループは結合親和性を証明するために過剰量の非標識化リガンドとともにイ ンキュベートした。還元剤なしでLaemmeli緩衝液を添加した後、標識化したホル モンと可溶化した受容体フ ラグメントとの間で形成された架橋複合体を、ポリアクリルアミド(10%)ゲ ル電気泳動(PAGE)を用いて分画して、特性解析を行った。 その結果は図2Cおよび図2Dに示されている。略号はwtFSHRが野生型 FSH受容体、wtLHRが野生型LH受容体である。分子量マーカーと標識化 したリガンドの泳動パターンが示されている。ゲル電気泳動を行った後、標識化 したFSHは45Kdのバンドとして泳動し、一方、トロンビンで前処理をした FtCD8発現細胞から得られたならし培地は、もっと高い分子量のバンド(9 0Kd)を示したが、このことは標識化したFSHとFSH受容体の細胞外領域 との間に複合体が形成されたことを示している(図2C)。複合体の形成は過剰 の非標識化FSHを含有させることで阻害され、野生型の受容体を発現する細胞 においてまたはトロンビンによる前処理を行わなかった場合には見られなかった 。同様に、トロンビンで前処理を行うと、標識化したhCGとLH受容体の細胞 外領域との間に105Kdの複合体が形成された(図2D)。 これらの結果は、性腺刺激ホルモン受容体の機能的リガンド結合ドメインをア ンカーされた受容体アプローチを用いることで生じさせることができること、お よび可溶性受容体がそれらのリガンド結合能力を保持していて、予測された大き さであることを証明している。可溶性の受容体フラグメントは、それぞれFBP (FSH結合タンパク質)及びLBP(LH/hCG−結合タンパク質)と命名 した。 実施例4 生体内での性腺刺激ホルモンの作用の阻害 A.競合結合アッセイ 結合アッセイを行って、FSHおよびLHの受容体の可溶化されたリガンド結 合領域が生体外で性腺刺激ホルモンの作用をブロックするかどうかを調べた。放 射性リガンド結合アッセイでは、野生型のヒトFSHまたはLH受容体を発現す る293細胞を、それぞれ標識化したFSHまたはhCGとともに、濃度を増加 させたFSH受容体およびLH受容体それぞれの可溶化細胞外領域FBPとLB Pの存在下または非存在下でインキュベートした。続いてその細胞に結合して残 った標識化したFSHの量を測定した。 その結果が図3Aと図3Bに示されている。図3Aから分かるように、FBP を添加すると、用量依存性の様式で、標識化したFSHの野生型受容体との結合 が抑制され、非特異的結合に匹敵するほどのレベルに到達した。対照的にLBP を含有させても効果はなかった。この結果は、FSH受容体の可溶化細胞外領域 (FBP)が、野生型FSH受容体に対して標識化したFSHと競合することを 示している。同様に、野生型のヒトLH受容体を発現する293細胞への標識化 したhCGの結合は、用量依存性の様式でLBPとは競合するが、FBPとは競 合しなかった(図3B)。 この結果は、FBPおよびLBPがそれぞれ、それぞれの野生型受容体にFS HおよびLHが結合するのを特異的に妨害することを示している。 B.cAMPの産生 更なる実験で、性腺刺激ホルモンによって誘導されたシグナルトランスダクシ ョクを妨害する可溶化リガンド結合領域の能力を評価 した。ヒトFSH受容体またはLH受容体を発現する293細胞をDMEM/F 12、0.1%BSA中、濃度を増加させたFSHまたはhCGとともに、FB PまたはLBP(107細胞等量/ウェル)の存在下または非存在下37℃にて 3時間、インキュベートしてcAMPの産生を刺激した。それからcAMPのレ ベルをラジオイムノアッセイによって検出した(DavorenおよびHsueh、1985年) 。結合タンパク質の濃度を、それぞれの標識化したリガンドが野生型受容体に結 合するのを阻害するそれらの能力に基づいて測定した。 図3Cに示されているように、FBPを添加すると、FSH受容体発現細胞に おいてFSHによって誘導されるcAMPの産生は完全にブロックされたが、こ れに対してLBPでは効果がなかった。ヒトLH受容体を発現する細胞を、hC Gとともに、LBPまたはFBPありでインキュベートするか、またはLBPま たはFBPなしでインキュベートした実験から得られた結果が図3Dに示されて いる。LBPを添加すると、LH受容体発現細胞でのhCGによるcAMPの刺 激は阻害されたが、これに対してFBPを添加しても効果はなかった。 同様のアプローチを用いることによって、可溶化TSH受容体フラグメントの 能力、即ちヒトTSH受容体を一時的に発現する293細胞においてヒトの組換 えTSH(Genzyme,Cambridge,米国マサチューセッツ州ケンブリッジ所在)に よって誘導されるcAMPの産生を妨害する能力を評価した。ヒトTSH受容体 の細胞外領域はTSH結合タンパク質(TBP)と名付けられており、それは同 じアンカーされた受容体の方法を用い、続いてトロンビン処理を行って製造した 。 図3Eは、TBPを添加すると、TSH受容体発現細胞において TSHによって濃度依存性の様式で誘導されるcAMPの産生がブロックされた が、これに対してLBPを添加しても効果がなかったことを示している。図3F は、ヒトLH受容体を発現する細胞を、hCGとともに、LBPまたはTBPあ りでインキュベートするか、あるいはLBPまたはFBPなしでインキュベート した実験の結果を示している。LBPを添加すると、LH受容体発現細胞におけ るhCGによるcAMPの刺激は阻害されたが、これに対してTBPを添加して も効果はなかった。 上記にまとめた結果は、ここに記載された性腺刺激ホルモン結合タンパク質( FBP、LBPおよびTBP)が、性腺刺激ホルモン及びTSH−誘導性のシグ ナルトランスダクションを生体外で選択的に阻害するかまたはブロックする能力 があることを示している。 実施例5 生体内での性腺刺激ホルモンの作用の阻害 A.バキュロウイルスにおけるFBPの発現 FBPを生体内で機能的拮抗薬として用いることができるかどうかをテストす るために、FtCD8 cDNAを「pFAST BAC」ベクターにサブクロー ニングし、また組換えバキュロウイルスを「BAC−TO−BAC」バキュロウ イルス発現系(GIBCO-BRL,Gaithersburg,米国メリーランド州ガイサーズブル グ所在)を用い製造者によって提供されたプロトコールに従って調製した。Ft CD8をエンコードする組換えバキュロウイルスを製造者の指示書を利用して調 製し、そして5%の血清を含むSF900II培地に入れたSF9細胞(3×1 06/ml)を、前記組換えウイルスを用い て感染させた。5%の血清とトロンビン(10IU/ml)を含む培地中で27 ℃で72時間培養した後、その細胞を遠心分離して細胞の破片を取り除いた。そ のならし培地を、DIAFLO限外濾過膜XM50(Amicon)を用いて30倍に 濃縮し、0.2μmフィルター(UNIFLO,Schieicher and Schuell,米国ニュー ハンプシャー州キーン所在)を用いて濾過した。 FtCD8−発現昆虫細胞によって産生したFBPを、上述したように生体外 における標識化したFSHの野生型FSH受容体への結合を阻害する能力につい てアッセイした。その結果は、トランスフェクトした293細胞を用いて得られ た結果とほぼ同一であった。 B.FBP投与に続いて起こる生体内での精巣細胞アポトーシスの誘発 未成熟の雄ラット(21日齢、体重約45g〜50g)に、上述したように調 製した可溶化FSH受容体フラグメントを含むSF9細胞のならし培地1mlを 用いて2日間、6時間ごと(108細胞当量/注射)に皮下注射(s.c.)し た。その注射容量に含まれる可溶性受容体タンパク質の濃度は、約30μg/m lと100μg/mlの間であった。したがって6時間毎に投与される有効投与 量は、約6mg/kgと20mg/kgとの間であった。 最初の注射から2日後、精巣の重さを量り、精巣細胞のアポトーシスを3’末 端−標識化法(Tapanainen他、1993年)により定量した。また、FBPの効果を 、以前に記載された(Billig他、1995年)ように「APOTAG」キット(Onco r,米国メリーランド州ガイサーズブルク所在)を用いてアポトーシスとなって いる特定の細胞型をin situで分析する方法によっても検定した。 何頭の動物は、下垂体がLH及びFSHを放出するのを抑制するために、強力 なゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)拮抗薬[Org30850:アセチ ル−D−パラクロロ−Phe(AcDpCl−Phe)、D−パラクロロ−Ph e(DpCl−Phe)、D−Bal、DLys、DAla−アミド;(AcD pCl)Phe1−(DpCl)Phe2−DBal3−DLys6−DAla 10(アミド)(配列番号5:DはD型(L型でない)アミノ酸を意味する); 50μg/ラット、図5C(ANT);Decker他、1992年]を用いて処理し(De cker他、1992年)、これに対して残りの動物には、野生型バキュロウイルスを用 いて感染させたSF9細胞のならし培地を用いて処理した。アポトーシスに陥っ ている特定の細胞型についてのin situでの分析は、以前に記載された(Billig 他、1995年)ようにAPOTAGキット(Oncor,米国メリーゴランド州ガイザ ースブルグ所在)を用いて行った。動物のケアは医療機関のガイドラインに従っ た。 後でゲル電気泳動が行われる3’末端−標識化法を用いて精巣DNAの断片化 を分析すると、ヌクレオソーム間のDNA断片化の出現によって明かであるよう に、FBP−処理を行ったグループでは精巣細胞のアポトーシスが大きく増加し ていることが示された(図4)。 in situでの分析結果は図5A−Cに図示されており、それは精巣細胞に対す る処理の効果を示している。この図から分かるように、FBSを用いて2日間処 理を行ったところ(図5B)DNA断片化が大きく増加した。またFBP処理に よって精巣の成長が33%抑えられた(未処理:192±28mg、FBP−処 理:128±30mg、n=14)。比較できるほどの精巣重量(140±18 m g)の減少とアポトーシスDNA断片化反応の増加は、LHとFSHの両方の分 泌を抑制するためにGnRH拮抗薬(ANT:図5C)を用いて処理したラット で見られた。対照的に、精巣成長(201±26mg)遅延または精巣細胞アポ トーシスの変化は、野生型のバキュロウイルスを用いてトランスフェクトした昆 虫細胞のならし培地で処理を行ったラットには全く見られなかった(対照:図5 A)。 これらの上記の結果は、FBPが、精巣の生殖細胞の生存に必須の内因性FS Hの作用を中和する能力があることを証明している(Tapanainen他、1993年)。 本発明は特定の方法及び実施態様を参照して説明したが、種々の修飾及び変更 を本発明から逸脱することなくなし得ることは分かるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クドウ,マサタカ アメリカ合衆国 94025 カリフォルニア 州 メンローパーク ロブレイアベニュー 850 ナンバー シー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.糖タンパク質ホルモン受容体ポリペプチドの細胞外リガンド結合領域(EL BR)をエンコードする5’末端セグメント、 膜アンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメント、および 前記5’末端セグメントと3’末端セグメントとの間に挿入されたプロテアー ゼ認識部位 とから構成されたキメラ核酸分子。 2.前記プロテアーゼ認識部位が、トロンビン認識部位である請求項1に記載の 分子。 3.前記5’末端セグメントが、ヒト黄体ホルモン結合タンパク質(LBP)を エンコードする請求項1に記載の分子。 4.前記5’末端セグメントが、ヒト卵胞刺激ホルモン結合タンパク質(FBP )をエンコードする請求項1に記載の分子。 5.前記5’末端セグメントが、ヒト甲状腺刺激ホルモン結合タンパク質(TB P)をエンコードする請求項1に記載の分子。 6.前記3’末端セグメントが、CD8分子の貫膜部分をエンコードする請求項 1に記載の分子。 7.前記3’および5’末端セグメントが、互いに異種である請求 項1に記載の分子。 8.(a)請求項1に記載のキメラ核酸分子、および (b)宿主細胞内に前記キメラ核酸分子を発現させるのに有効な調節配列 を含む発現ベクター。 9.前記キメラ核酸分子のプロテアーゼ認識部位が、トロンビン認識部位である 請求項8に記載のベクター。 10.前記キメラ核酸分子の3’末端セグメントが、CD8分子の貫膜部分をエ ンコードする請求項8に記載のベクター。 11.前記キメラ核酸分子の5’末端セグメントが、ヒト黄体ホルモン結合タン パク質(LBP)、ヒト卵胞刺激ホルモン結合タンパク質(FBP)、およびヒ ト甲状腺刺激ホルモン結合タンパク質(TBP)からなるグループより選択され る可溶性糖タンパク質ホルモン結合タンパク質をエンコードする請求項8に記載 のベクター。 12.糖タンパク質ホルモン受容体ポリペプチドの細胞外リガンド結合領域(E LBR)を含む融合タンパク質を組換え法により製造する方法であって、 選択した宿主細胞中に請求項8に記載の発現ベクターを導入し、そしてそのベ クターの調節配列が、前記キメラ核酸分子を前記宿主細胞内で発現させるのに有 効であり、次いで そのキメラ核酸分子の発現が起こる条件下で前記宿主を培養する ことからなる方法。 13.前記宿主細胞を、前記プロテアーゼ認識部位を認識するプロテアーゼの存 在下でインキュベートして、前記ELBRを、前記融合タンパク質の残りの部分 から開裂させる工程をさらに含む請求項12に記載の方法。 14.請求項8に記載のベクターでトランスフェクトした宿主細胞。 15.糖タンパク質ホルモン受容体ポリペプチドの細胞外リガンド結合領域(E LBR)を含む第1セグメント、 膜アンカーポリペプチドを含む第2セグメント、および 前記第1セグメントと第2セグメントとの間に挿入されたプロテアーゼ認識部 位 とから構成されたキメラポリペプチド。 16.前記プロテアーゼ認識部位が、トロンビン認識部位である請求項15に記 載のポリペプチド。 17.前記第1セグメントが、ヒト黄体ホルモン結合タンパク質(LBP)であ る請求項15に記載のポリペプチド。 18.前記第1セグメントが、ヒト卵胞刺激ホルモン結合タンパク質(FBP) である請求項15に記載のポリペプチド。 19.前記第1セグメントが、ヒト甲状腺刺激ホルモン結合タンパ ク質(TBP)である請求項15に記載のポリペプチド。 20.前記第2セグメントが、CD8分子の貫膜部分である請求項15に記載の ポリペプチド。 21.前記第1及び第2セグメントが、互いに異種である請求項15に記載のポ リペプチド。 22.カルシトニン受容体ポリペプチドの細胞外リガンド結合領域(ELBR) をエンコードする5’末端セグメント、 膜アンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメント、および 前記5’末端セグメントと3’末端セグメントとの間に挿入されたプロテアー ゼ認識部位 とから構成されたキメラ核酸分子。 23.請求項22に記載のキメラ核酸分子によってエンコードされるポリペプチ ド。 24.グルカゴン受容体ポリペプチドの細胞外リガンド結合領域(ELBR)を エンコードする5’末端セグメント、 膜アンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメント、および 前記5’末端セグメントと3’末端セグメントとの間に挿入されたプロテアー ゼ認識部位 とから構成されたキメラ核酸分子。 25.請求項24に記載のキメラ核酸分子によってエンコードされるポリペプチ ド。 26.グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)受容体ポリペプチドの細胞外リガ ンド結合領域(ELBR)をエンコードする5’末端セグメント、 膜アンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメント、および 前記5’末端セグメントと3’末端セグメントとの間に挿入されたプロテアー ゼ認識部位 とから構成されたキメラ核酸分子。 27.請求項26に記載のキメラ核酸分子によってエンコードされるポリペプチ ド。 28.代謝物産生グルタメート受容体ポリペプチドの細胞外リガンド結合領域( ELBR)をエンコードする5’末端セグメント、 膜アンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメント、および 前記5’末端セグメントと3’末端セグメントとの間に挿入されたプロテアー ゼ認識部位 とから構成されたキメラ核酸分子。 29.請求項28に記載のキメラ核酸分子によってエンコードされるポリペプチ ド。 30.上皮小体ホルモン(PTH)受容体ポリペプチドの細胞外リガンド結合領 域(ELBR)をエンコードする5’末端セグメント、 膜アンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメント、および 前記5’末端セグメントと3’末端セグメントとの間に挿入されたプロテアー ゼ認識部位 とから構成されたキメラ核酸分子。 31.請求項30に記載のキメラ核酸分子によってエンコードされるポリペプチ ド。 32.バソアクティブ インテスティナル ペプチド(VIP)受容体ポリペプ チドの細胞外リガンド結合領域(ELBR)をエンコードする5’末端セグメン ト、 膜アンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメント、および 前記5’末端セグメントと3’末端セグメントとの間に挿入されたプロテアー ゼ認識部位 とから構成されたキメラ核酸分子。 33.請求項32に記載のキメラ核酸分子によってエンコードされるポリペプチ ド。 34.セクレチン受容体ポリペプチドの細胞外リガンド結合領域(ELBR)を エンコードする5’末端セグメント、 膜アンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメント、および 前記5’末端セグメントと3’末端セグメントとの間に挿入されたプロテアー ゼ認識部位 とから構成されたキメラ核酸分子。 35.請求項34に記載のキメラ核酸分子によってエンコードされるポリペプチ ド。 36.成長ホルモン放出因子(GRF)受容体ポリペプチドの細胞外リガンド結 合領域(ELBR)をエンコードする5’末端セグメント、 膜アンカーポリペプチドをエンコードする3’末端セグメント、および 前記5’末端セグメントと3’末端セグメントとの間に挿入されたプロテアー ゼ認識部位 とから構成されたキメラ核酸分子。 37.請求項36に記載のキメラ核酸分子によってエンコードされるポリペプチ ド。
JP53726297A 1996-04-15 1997-04-14 可溶性7回貫膜ドメインgタンパク質共役受容体、組成物及び方法 Pending JP2001519650A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US1545096P 1996-04-15 1996-04-15
US60/015,450 1996-04-15
PCT/US1997/006117 WO1997039131A1 (en) 1996-04-15 1997-04-14 Soluble 7-transmembrane domain g-protein-coupled receptor compositions and methods

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001519650A true JP2001519650A (ja) 2001-10-23

Family

ID=21771472

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP53726297A Pending JP2001519650A (ja) 1996-04-15 1997-04-14 可溶性7回貫膜ドメインgタンパク質共役受容体、組成物及び方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US5925549A (ja)
EP (1) EP0910648A1 (ja)
JP (1) JP2001519650A (ja)
AU (1) AU2728297A (ja)
CA (1) CA2250975A1 (ja)
WO (1) WO1997039131A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020512009A (ja) * 2017-03-28 2020-04-23 セル デザイン ラボ インコーポレイテッド キメラポリペプチド及びそれらの細胞膜における局在を変更する方法

Families Citing this family (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8592553B2 (en) * 1996-12-13 2013-11-26 Nps Pharmaceuticals, Inc. Cloned glucagon-like peptide-2 receptors
DE19801154A1 (de) * 1998-01-14 1999-07-15 Brahms Diagnostica Gmbh Verfahren zur Herstellung von gereinigten und gegebenenfalls markierten TSH-Rezeptor-Präparaten, neue radioiodierte TSH-Rezeptor-Präparate, und die Verwendung derartiger Präparate in Diagnostik und Therapie
DE60033603T2 (de) * 1999-08-24 2007-11-22 Tosoh Corp., Shinnanyo Secretorischer Rezeptor für das thyroid-stimulierenden Hormon (TSHR), und Verfahren zum Nachweis des anti-TSHR Antikörpers
JP5356636B2 (ja) * 2000-04-21 2013-12-04 タフツ メディカル センター インコーポレイテッド Gタンパク質共役型受容体(gpcr)のアゴニストおよびアンタゴニスト、および、それらを用いてgpcrを活性化および阻害する方法
US7696168B2 (en) * 2000-04-21 2010-04-13 Tufts Medical Center, Inc. G protein coupled receptor agonists and antagonists and methods of activating and inhibiting G protein coupled receptors using the same
US20020128190A1 (en) * 2001-03-09 2002-09-12 Leslie Lobel Expression of properly folded and soluble extracellular domain of a gonadotropin receptor
US7081446B2 (en) * 2002-01-31 2006-07-25 The Trustees Of Columbia University In The City Of New York Long-acting follicle stimulating hormone analogues and uses thereof
US20030151980A1 (en) * 2002-02-13 2003-08-14 Isador Farash Color referenced multi-time watch
US20050142135A1 (en) * 2003-04-11 2005-06-30 University Of Kentucky Research Foundation Agents and methods for modulating interactions between gonadotropin hormones and receptors
GB0408449D0 (en) 2004-04-15 2004-05-19 Banerjee Subhasis Diagnostic and therapeutic applications of soluble lhcge protein
BRPI0517058A (pt) * 2004-11-04 2008-09-30 New England Medical Center Inc agonistas e antagonistas do receptor acoplado à proteìna g e métodos de uso
CA2662026A1 (en) * 2006-08-31 2008-03-06 Centre For Addiction And Mental Health Compositions and methods for modulating ampa receptor-mediated excitotoxicity
US8536115B2 (en) 2006-08-31 2013-09-17 Centre For Addiction And Mental Health Compositions and methods for modulating AMPA receptor-mediated excitotoxicity
WO2008114020A2 (en) * 2007-03-22 2008-09-25 Heptares Therapeutics Limited Mutant g-protein coupled receptors and methods for selecting them
GB0724051D0 (en) * 2007-12-08 2008-01-16 Medical Res Council Mutant proteins and methods for producing them
GB0724860D0 (en) 2007-12-20 2008-01-30 Heptares Therapeutics Ltd Screening
GB0802474D0 (en) * 2008-02-11 2008-03-19 Heptares Therapeutics Ltd Mutant proteins and methods for selecting them
DE08718604T1 (de) * 2008-03-05 2009-12-24 Medical Research Council Kristallstruktur
GB0910725D0 (en) 2009-06-22 2009-08-05 Heptares Therapeutics Ltd Mutant proteins and methods for producing them

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE69033990T2 (de) * 1989-05-05 2003-02-13 Genentech Inc Glykoprotein-Hormonrezeptor-Moleküle
EP0732402A3 (en) * 1990-12-14 1997-05-21 Cell Genesys Inc Chimeric chains for transduction of receptor-linked signaling pathways
RU2193599C2 (ru) * 1991-03-15 2002-11-27 Апплайд Резеч Системз АРС Холдинг Н.В. (NL) (Антильские острова) Рецептор фолликулостимулирующего гормона (fsh) человека, днк, вектор, способ получения, фармацевтическая композиция
EP1586641A3 (en) * 1991-04-05 2008-04-09 The General Hospital Corporation Compounds for the treatment of hypercalcemia and hypocalcemia
WO1992022667A1 (en) * 1991-06-14 1992-12-23 University Of Medicine And Dentistry Of New Jersey Analogs of glycoprotein hormone receptors which bind choriogonadotrophins, leutrophins, and follitrophins and methods for preparing and using same
US5447851B1 (en) * 1992-04-02 1999-07-06 Univ Texas System Board Of Dna encoding a chimeric polypeptide comprising the extracellular domain of tnf receptor fused to igg vectors and host cells
EP0751782B1 (en) * 1994-02-18 2006-10-11 Applied Research Systems ARS Holding N.V. Use of a non-neutralizing antibody specific for the beta-subunit of luteinizing hormone for enhancing fertility
US6033903A (en) * 1995-06-02 2000-03-07 Applied Research Systems, ARS Holding N.V. Method of expressing and secreting soluble extracellular domains of human gonadotropin hormone receptors

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020512009A (ja) * 2017-03-28 2020-04-23 セル デザイン ラボ インコーポレイテッド キメラポリペプチド及びそれらの細胞膜における局在を変更する方法
JP2022058725A (ja) * 2017-03-28 2022-04-12 セル デザイン ラボ インコーポレイテッド キメラポリペプチド及びそれらの細胞膜における局在を変更する方法
JP7433348B2 (ja) 2017-03-28 2024-02-19 セル デザイン ラボ インコーポレイテッド キメラポリペプチド及びそれらの細胞膜における局在を変更する方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP0910648A1 (en) 1999-04-28
CA2250975A1 (en) 1997-10-23
AU2728297A (en) 1997-11-07
WO1997039131A1 (en) 1997-10-23
US5925549A (en) 1999-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001519650A (ja) 可溶性7回貫膜ドメインgタンパク質共役受容体、組成物及び方法
CA2406839C (en) G-protein coupled receptor (gpcr) agonists and antagonists and methods of activating and inhibiting gpcr using the same
US6750026B2 (en) Screening methods using ligands of the neutropeptide receptor HFGAN72
JP4486187B2 (ja) 新規g蛋白質共役型レセプター蛋白質、そのdnaおよびそのリガンド
US20050170461A1 (en) Polypeptides, their production and use
AU2001257169A1 (en) G-protein coupled receptor (GPCR) agonists and antagonists and methods of activating and inhibiting GPCR using the same
JP2001526064A (ja) 新規なg蛋白質カップリング受容体
USRE40988E1 (en) Ligands of the neuropeptide receptor HFGAN72
Gaudin et al. Stable expression of the recombinant human VIP1 receptor in clonal Chinese hamster ovary cells: pharmacological, functional and molecular properties
JPH11502104A (ja) ゴナドトロピン放出ホルモン受容体活性の抑制および調節
Babu et al. Structural features and expression of an alternatively spliced growth factor type I receptor for follitropin signaling in the developing ovary
EP1262190A1 (en) Rfrp-containing prolactin secretion regulatory agent
US20040053244A1 (en) Regulation of human galanin receptor-like g protein coupled receptor
AU2007201010B2 (en) G-protein coupled receptor (GPCR) agonists and antagonists and methods of activating and inhibiting GPCR using the same
JP2003527302A (ja) 新規な神経ペプチドレセプターhfgan72のリガンドおよびそのアゴニストまたはアンタゴニストを用いる治療方法
US6441133B1 (en) Thyrotropin-releasing hormone receptor 2(TRHR-2)
EP1287135A2 (en) Regulation of human follicle stimulating hormone-like g protein-coupled receptor
JP4780365B2 (ja) Mch受容体アンタゴニスト・アゴニストのスクリーニング方法