JP2001517935A - 勃起障害軽減のための遺伝子治療 - Google Patents

勃起障害軽減のための遺伝子治療

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列を含むリコンビナントベクターを平滑筋細胞に供給し、発現させることによる勃起障害の遺伝子治療を目的とする。さらにまた、本発明は、平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列を対象者の十分な数の細胞に導入し発現させ、対象者の陰茎勃起を誘発することを含む陰茎勃起誘発方法を提供する。本発明はまた、ウイルスゲノムDNA、または当該ゲノムDNAの少なくとも一部分に一致し、DNA配列の発現を指令することができる当該ウイルスケノムDNAの一部分、および当該ウイルスDNAに機能的に連結され標的細胞内で機能的な遺伝子産物として発現できる平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNAを含むリコンビナントベクターを提供する。さらにまた、本発明は、平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードする遺伝子を発現する平滑筋細胞を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 勃起障害軽減のための遺伝子治療 発明の背景 勃起障害は、米国では概算で1千万から3千万の男性が罹患している一般的な 疾患である(Feldmanら、J.Clin.Epidemiol.,47.5:457-467(1994);著者不詳、 Internatl.J.Impotence Res.,5.4:181-284(1993))。勃起障害の主要な疾患関 連原因には粥状硬化症、糖尿病、加齢、高血圧および降圧治療、慢性腎疾患、骨 盤手術および放射線治療、並びに心理性不安がある(Feldmanら、J.Clin.Epidem iol.,47.5:457-467(1994))。これらの多様で多面性を有する病的状態の血管破 壊に対する直接的な治療方法は近い将来にはまだ存在しないであろう。したがっ て最近の10年間には低下した勃起能力を直接回復させる幾つかの治療方式が開 発されてきた。しかしながら、現在利用可能な治療法はいずれも、非特効性であ るか(ホルモン療法)、全体的に成功に限界があるか(例えば真空勃起装置)、侵襲 性であるか(例えば体内注入療法)、または不可逆性で高価である(例えば人工陰 茎移植手術)。これらの治療的限界にもかかわらず、勃起障害の海綿体内治療用 カバジェクト(Caverject)の最近のFDAの承認は重要な前進を示している。本 質的には、この連邦政府の処置は、当該疾患の医学的特性を公式に認知すること となり、さらにその治療法を正式に認めることになった。 米国における現代の文化的パターンの変化は、性および性的障害についての自 由でより開放的な公の議論を可能にした。この文化的傾向によって、この疾患の 重要性に光が当てられるとともに、同時に勃起障害の治療法の改善の必要性が強 調された。この疾患についての議論および治療に関連する最近の広告およびメデ ィア活動が盛んになったことによって、男性およびその性的パートナーは、勃起 障害は正規の(連邦政府によって承認された)治療方法が利用可能な一般的な疾 患であることをさらに認識するようになった。これらの出来事が組合わさって、 今後10年間により多くの男性がかかりつけの医師からインポテンツの治療を受 けようと努めるであろう。したがって、完全な組織レベル、細胞レベルおよびつ い最近では細胞下レベルにおける海綿体平滑筋および動脈平滑筋機能の研究を通 して、ヒトの勃起に対する年令と疾患の影響をより一層理解することが要求され る。さらに、器官性勃起障害の新規な治療がより経済性を有し、より有効で副作 用が少ないことを担保する実験室の研究結果を臨床に直接移入することを可能に する研究手法が要求されている。 研究によれば、海綿体(corporal)の平滑筋緊張力の変化(これは収縮亢進ま たは緊張低下障害のいずれかをもたらす)が、大部分の不能男性の勃起障害の基 本的な原因である。これらの研究はさらに、重篤な動脈性疾患または先天的な構 造異常(これらは少数の患者で認められる)が存在しないかぎり、海綿体平滑筋 の完璧な緊張低下が勃起能力を回復させるために必要かつ十分であることを示し た。FDAによる平滑筋弛緩剤PGEの海綿体内注射の承認はこの仮説の信憑性 を立証した。 上記で述べたような勃起機能における海綿体平滑筋細胞が果たすこの重要な役 割は、これら平滑筋細胞を勃起障害の治療における分子治療のための優れた標的 にした。これまでの努力は、いくつかの心脈管系疾患の潜能治療の基礎として血 管の平滑筋細胞に遺伝子を移入する技術に向けられていた。このような心脈管疾 患には、とりわけ粥状硬化症、血管炎およびバルーン血管形成術後の再狭窄があ る。これら初期の研究によって、平滑筋細胞における遺伝子移入の方法の効率お よび持続性に関する重要な情報が提供された(Finkelら、FASEB J.,9:843-851(1 995))。 したがって(勃起障害は主として平滑筋の緊張力の変化によって惹起されるの で)、平滑筋の緊張力の変化に関与する遺伝子を標的とする遺伝子治療の方法が 強く所望されるところである。さらに、in vivoでの遺伝子治療のアプローチの 全てについて極めて重要なことは、作用を受けねばならない標的細胞の割合およ び、生理学的に相関性を有する治療効果を得るために所望の細胞型のみに作用を 与える比較効率である。したがって、組織機能の全面的変化に影響を与えるため に少数の細胞のみの遺伝的改変が必要な遺伝子治療の方法が要求されている。最 後に、勃起障害を軽減する効果的な遺伝子治療の方法は、現行の方法よりも好ま しい選択肢であると思われるので要請は極めて高い。発明の要旨 本発明は、平滑筋緊張力の制御に必要な蛋白質をコードするDNA配列を含む 組換え体(リコンビナント)ベクターを平滑筋細胞に供給し発現させることによ る勃起障害の遺伝子治療を目的とする。 本発明は特に遺伝子治療方法を提供するが、当該方法では、平滑筋細胞の調節 に必要な蛋白質をコードするDNA配列は、血管の緊張低下を調整することによ って海面体平滑筋細胞内の海綿体平滑筋緊張力を調節する蛋白質をコードする。 これらの蛋白質は海綿体平滑筋の緊張低下を高め、その結果より容易な勃起の達 成をもたらすであろう。さらにまた、本発明は、当該DNA配列が平滑筋の血管 収縮を抑制する蛋白質をコードする遺伝子治療の方法を目的とする。 さらに本発明は、海綿体平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDN A配列を対象者の十分な数の細胞に導入し発現させて対象者の陰茎勃起を誘発す ることを含む、陰茎勃起を当該対象者で誘発させる方法を提供する。好ましい実 施態様では、本発明の遺伝子治療の方法は勃起障害を軽減するために用いられる 。 本発明はまた、ウイルスゲノムの少なくとも一部分のDNAまたはそれに対応 するDNA(当該部分はDNA配列の発現を指令することができる)、および当該 ウイルスDNAに機能できるように連結され、さらに標的細胞内で機能的な遺伝 子産物として発現させることができる海綿体平滑筋の緊張力の調節に必要な蛋白 質をコードするDNAを含むリコンビナントベクターを提供する。 本発明はさらに、平滑筋の緊張力の調節に必要な蛋白質をコードする平滑筋細 胞(例えば海綿体平滑筋細胞または動脈平滑筋細胞)を提供する。 本発明のさらに別の目的は以下の記載から明らかになろう。 図面の簡単な説明 図1:図1は、maxi−Kチャンネルの選択的封鎖が単離したヒトの海綿体組 織片でどのようにしでNTGで誘発される緊張低下反応を変化させるかを示す。 先に発表された動的変化プロトコルを修正して用い(Christら、Am.J.Physiol., 263:H15-H19(1992))、2つの指標、τ1/2(NTGの添加から50%の定常状 態の緊張低下反応に達するまでの経過時間)およびRSS(NTG誘発緊張低下 反応の定常状態での強さ)を誘導した。単離海綿体組織片の予備保温はNTG誘 発緊張低下反応の強さの顕著な低下(100nM)をもたらすことに留意された い。 PE=フェニルエフリン、NTG=ニトログリセリン。 図2:図2は、Kチャンネルの機能および海綿体平滑筋緊張力の制御を示す。 K+イオンの流量は3つの主要なエフェクター経路によって制御される。初めの 2つの経路は、cAMP/PKA(PKA:蛋白キナーゼA)およびcGMP/ PKG(蛋白キナーゼG)経路で、これらはそれそれPGE1およびNOによっ て活性化され、さらにこれらの経路はmaxi−Kチャンネルの活性を明瞭に調整す る(これらのKATPチャンネルに対する影響は未だ証拠付けされていない)。第 三の経路はカリウムチャンネル調整物質で、これはKATPチャンネルの活性を 調整する。これらイオンの細胞内および細胞外空間における配置のために、Ca2+ チャンネルの開放はその電気化学勾配に沿ってCa2+の流入をもたらし、続い て細胞内脱分極を生じ、一方、Kチャンネルの開放はその電気化学勾配に沿って K+の細胞からの流出をもたらし、続いて細胞内過分極を生じる。膜電位および 海綿体平滑筋緊張力レベルに対するこれらの相互経路の影響が、少なくとも部分 的に細胞内カルシウム濃度の調整を介して、収縮に付随する細胞内カルシウムの 増加および緊張低下に付随する細胞内カルシウムの減少を示しながら強力に発揮 されている。(+)は陽性または興奮性作用を表し、(−)は陰性または抑制性 作用を表し、?は不明作用を表す。PIP2:ホスファチジルイノシトールビス ホスフェート、DAG:ジアシルグリセロール、IP3:イノシトールトリスホ スフェート、NO:酸化窒素、NTG:硝酸塩供与体ニトログリセリン、ET− 1:エンドセリン−1、PE:フェニルエフリン、L型Ca2+:L型、電圧依存 性カルシウムチャンネル。 図3:図3は、圧モニター用カニューレの外科的準備および設置を示す。図示 したように、ラットを麻酔して仰臥させる。左頚動脈内の動脈ラインは、連続し て血圧をモニターするために変換器および変換器増幅装置を経由してマックラブ (MacLab)データ捕捉盤に連結されている。右の側方頸静脈ラインは静脈内輸液ま たは血液のサンプリングのために用いられる。図示したように、前立腺は下方正 中線切開によっで露出させた。海綿体の神経は、骨盤神経節(これは下腹部神経 と骨盤神経の結合によって形成される)から始まり前立腺の後外側表面上に認め られる。両側で鼠径陰嚢切開を実施し、併せて陰茎の外皮をはぎ取ることによっ て2つの海綿体を露出させた。海綿体内薬剤注入のためにさらに別のラインを左 の海綿体に挿入する。最後に、神経刺激プローブを電流刺激のために海綿体周辺 に設置する。 図4:図4は、神経刺激に反応する海綿体内圧(ICP)の機能的変化を測定 した実験結果を示す。 図5:図5は、海面体平滑筋緊張力を調節する主要なメカニズムを示す模式図 である。側面境界の間隙接合斑(gap junction plaque)によって相互に連結され た2つの海面体平滑筋細胞が示されている。さらに電圧依存Caチャンネルおよ びKチャンネルもまた図示されている。左の細胞は海面体平滑筋の収縮と連動し ている一連の細胞内事象(細胞内カルシウムレベルの上昇)を示し、一方、右の 細胞は海面体平滑筋の緊張低下と連動している一連の細胞内事象(細胞内Ca2+ レベルの減少)を示す。+は興奮性、陽性または増加性作用を示し、−は抑制性 または陰性作用を示す。 発明の詳細な説明 本発明は、平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列を含む リコンビナントベクターを平滑筋細胞に供給し当該平滑筋細胞内でこれを発現さ せることによる勃起障害の遺伝子治療を提供する。このDNA配列はゲノムDN AでもcDNAでもよい。 本発明はさらに、平滑筋の緊張力の調節に必要な蛋白質が血管の緊張低下を調 整するものである遺伝子治療方法を提供する。血管の素張低下を調整する蛋白質 の例には、例えば酸化窒素シンターゼ、グアニレートシクラーゼ、アデニレート シクラーゼ、蛋白キナーゼG、蛋白キナーゼA、カリウムチャンネル、カルシウ ムチャンネルおよびそのいずれかの組み合わせが含まれる。これらの蛋白質は、 平滑筋の緊張低下を高め、その結果勃起をより容易に達成させるであろう。 さらにまた、平滑筋の血管収縮を調整する蛋白質を抑制する作用をもつ蛋白質 をコードするDNA配列を本発明で使用することが意図される。海面体平滑筋の 血管収縮を調整する蛋白質の例は蛋白キナーゼCである。平滑筋細胞の血管収縮 に必要な蛋白質を抑制する蛋白質は、少なくとも部分的には細胞内Ca2+rレベ ルの減少および筋フィラメントの感受性の変化を介してそれらの作用を発揮して 最終的には海綿体平滑筋の緊張低下の強化とより容易な勃起の達成をもたらすで あろう。 本遺伝子治療の方法を用いることができる平滑筋細胞の例には海面体平滑筋細 胞および動脈平滑筋細胞が含まれるが、しかしこれらに限定されない。海面体平 滑筋と他の血管組織間で多くの組織学的および生理学的類似性が与えられる場合 には、同様な原理が陰茎の動脈の平滑筋細胞にも当然適用されるであろう。 DNA配列は、当業者に既知の多くの方法によって平滑筋細胞に導入すること ができる。当該方法は、例えば電気穿孔、DEAEデキストラン、一価陽イオン 性リポソーム融合、多価陽イオン性リポソーム融合、プロトプラスト融合、DN A被覆微少発射体ボンバードメント、in vivoでの電場の生成、複製欠損リコン ビナントウイルスの注入、同種組換え、および裸出DNAの移入である。上記の DNA移入方法のいずれも組み合わせ可能であることは当業者には理解されると ころである。 本発明はまた、平滑筋の緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列 を対象者の十分な数の平滑筋細胞に導入し発現させて陰茎の勃起を誘発すること を含む、対象者で陰茎を勃起させる方法を提供する。好ましい実施態様では、本 発明の方法は勃起障害を軽減させるために用いられる。勃起障害は、神経原性機 能不全、動脈原性機能不全および静脈閉鎖性機能不全を含む多様な疾患の他に、 平滑筋の不完全な緊張低下を引き起こす他の病的状態から生じるであろう。患者 は動物でもヒトでもよいか、好ましくはヒトである。 患者細胞へのDNA配列の導入は当業者に既知の方法によって実施できる。当 該方法は、例えば電気穿孔、DEAEデキストラン、陽イオン性リポソーム融合 、プロトプラスト融合、インビボ電場の生成、DNA被覆微少発射体ボンバード メント、複製欠損リコンビナントウイルスの注入、同種組換え、および裸出DN Aの移入である。上記のDNA移入方法のいずれも組み合わせ可能であることは 当業者には理解されよう。本発明の好ましい実施態様では、DNA移入が好まし い方法である。裸出DNAを平滑筋細胞に移入するために、本発明のリコンビナ ントベクター(発現のための遺伝子を含む)を滅菌水溶液(好ましくは受容者( レシピエント)の血液と等張)と混合することができる。そのような製剤は、生 理学的に合致する物質(例えば塩化ナトリウム、グリシンなど)を含み、生理学 的な条件に合致するように緩衝させたpHをもつ水に当該リコンビナントベクタ ーを懸濁させて水溶液を生成し、さらに当該溶液を滅菌することによって調製で きる。本発明の好ましい実施態様では、リコンビナントベクターは、平滑筋細胞 への導入用調製物として20−25%蔗糖の食塩水溶液と混合される。 発現のためのDNA配列を含む本発明のリコンビナントベクターはまた、陽イ オン性リポソームに取り込ませ直接患者の平滑筋細胞中に注入してもよい。本発 明の好ましい実施態様では、平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするD NA配列の移入は裸出DNA移入によって実施される。 本発明はまた、(1)ウイルスの核酸またはウイルスゲノムの少なくとも一部 分に対応する核酸(当該部分はDNA配列の発現を指令することができる)、およ び(2)当該ウイルス核酸に機能的に連結され、さらに標的細胞内で機能的な遺 伝子産物として発現できる、平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするD NA配列を含むリコンビナントベクターを提供する。本発明の組換えウイルスベ クターは、当業者に既知の多様なウイルス核酸から得ることができる。これらの ウイルス核酸は、例えばHSV、アデノウイルス、アデノ付随ウイルス、セムリ キフォレストウイルス、ワクシニアウイルス、および他のウイルス(RNAお よびDNAウイルスを含む)のゲノムである。 本発明のリコンビナントベクターはまた、適切なホスト細胞内で当該ベクター 構築物の発現を達成するための適切な調節成分をコードするヌクレオチド配列を 含む。本明細書で用いられるように、”発現”とは、当該挿入されたDNA配列 をmRNAに転写し、それによって当該挿入核酸によってコードされた蛋白質の 合成をもたらすことができるベクターの能力を指す。多様なエンハンサーおよび プロモーターが本発明の構築物で使用するために適していることは当業者の理解 するところであろう。さらに、当該リコンビナントベクター構築物がホスト細胞 に導入されたとき、平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列 の適切な転写およびプロセッシングに要求される開始配列、終止配列および制御 配列が当該構築物に含まれることは当業者には理解されよう。 平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列の平滑筋細胞での 発現に適したベクターは当業者には周知で、以下のものが含まれる:pET−3 d(Novagen);pProEx−1(Life Technologies);pFastBacl(Lif e Technologies);pSFV(Life Technologies);pcDNAII(Invitrogen) ;pSL301(Invitrogen);pSE280(Invitrogen);pSE380(Invit rogen);pSE420(Invitrogen);pTrcHisA、B、C(Invitrogen); pRSETA、B、C(Invitrogen);pYES2(Invitrogen);pAC360(I nvitrogen)、pVL1392およびpV11392(Invitrogen);pCDM8(I nvitrogen);pcDNAI(Invitrogen);pcDNAI(amp)(Invitrogen) ;pZeoSV(Invitrogen);pcDNA3(Invitrogen);pRc/CMV(Inv itrogen);pRc/RSV(Invitrogen);pREP4(Invitrogen);pREP7 (Invitrogen);pREP8(Invitrogen);pREP9(Invitrogen);pREP1 0(Invitrogen);pCEP4(Invitrogen);pEBVHis(Invitogen)およ びλPop6。他のベクターも当業者の知るところであろう。 適切なプロモーターには構造性プロモーター、組織特異的プロモーターおよび 誘発性プロモーターが含まれるが、しかしこれらに限定されない。本発明の実施 態様の1つでは、平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列の 発現は、当該DNA配列が導入された個々のベクターによって制御され作用を受 ける。いくつかの真核細胞性ベクターは、ホスト細胞内で高レベルで挿入核酸を 発現できるように改造されている。そのようなベクターは多数の強力なベクター の1つを利用して高レベルの発現を誘導する。真核細胞性ベクターは、ウイルス 遺伝子のプロモーター・エンハンサー配列(特に腫瘍ウイルスのそれ)を利用す る。本発明のこの特定の実施態様は、誘発性プロモーターを利用した当該蛋白質 をコードするDNAの発現調節を提供する。誘発性プロモーターの非限定的な例 としてメタロチオニンプロモーターおよびマウス乳癌ウイルスプロモーターが含 まれるが、しかしこれらに限定されない。平滑筋細胞でのDNA配列の発現は、 ベクターに応じて細胞の増殖サイクルのある時点で特定の化合物の添加によって 誘発されるであろう。本発明のリコンビナントベクターで効果的に使用できる他 のプロモーターおよびエンハンサーの例には以下が含まれるが、ただしこれらに 限定されない:CMV(サイトメガロウイルス)、SV40(サルウイルス40)、 HSV(単純庖疹ウイルス)、EBV(エプスタイン=バーウイルス)、レトロウイ ルス、アデノウイルスのプロモーターおよびエンハンサー、並びに平滑筋特異的 プロモーターおよびエンハンサー。 本発明はさらに、平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列 を発現する平滑筋細胞を提供する。本明細書で用いられるように、”外因性”と は、当該DNA配列が器官の外部から導入されることを意味する。当該DNA配 列を含むリコンビナントベクターの平滑筋細胞への導入は、当業者に既知の方法 、例えば電気穿孔、DEAEデキストラン、陽イオン性リポソーム融合、プロト プラスト融合、DNA被覆微少発射体ボンバードメント、複製欠損リコンビナン トウイルスの注入、同種組換え、および裸出DNAの移入によって達成できる。 上記のDNA移入方法のいずれも組み合わせ可能であることは当業者には理解さ れよう。 in vivoでの遺伝子治療方法について極めて重要なことは、作用を受けなけれ ばならない標的細胞の割合および、生理学的に対応する治療効果を得るために所 望の細胞型のみに作用を与える比較効率である。これに関して、他のより全身的 な心脈管系疾患(例えば上記に概略したようなもの)での遺伝子治療の提唱使用 に較べて勃起障害の遺伝子治療の成功度が本質的に高いことを疑わせる2つの主 要な理由が存在する。 海面体平滑筋細胞および動脈平滑筋細胞は、普遍的に分布している間隙接合蛋 白質として知らる細胞間チャンネル集団によってin vivoおよびin vitroで相互 に連結されているということは多くの記載によって証明されている事実で、その メカニズムは図5に図示されている(G.J.Christら、Life Science,49.24:PL19 5-200(1991);G.J.Christら、Internatl.J.Impotence Res.,5.2:77-96(1993) ;G.J.Christら、J.Pharmacol.& Exptl.Therapeutics,266.2:1054-65(1993 ):G.J.Christら、Biophysical J.,67.3:1335-44(1994);G.J.Christら、Urolo gical Clinic of North America,22.4:727-745(1995);G.J.Christら、WorldJ. Urol.,印刷中(1997);Christら、Circulation Res.,79:631-646(1996);Christ & Melman,Mol.Urol.,印刷中(1997))。 海綿体では、平滑筋の収縮(すなわち細胞内カルシウムレベルの上昇)は、ノ ルエピネフリンによるか、またはETAレセプターのエンドセリン−1活性化に よるα1−アドレナリン作動性レセプターの活性化に続いて達成されるかもしれ ない。両方の事例でレセプターの活性化はCa2+の動員をもたらす。特に、ノル エピネフリンまたはET−1によるこれらのレセプターの活性化はホスホリパー ゼC(これは膜結合ホスファチジルイノシトール(PIP2)をIP3とジアシ ルグリセロール(DAG)とに切断する)の活性化をもたらす。図2に示したよ うに、DAGおよびIP3の増加は、少なくとも細胞内Ca2+レベルの増加を介 して最終的にその作用を発揮する。反対に、膜間Ca2+流量の減少または細胞内 Ca2+の除去をもたらすいずれの生理学的事象(例えば膜の過分極)も平滑筋の 緊張低下を生じるであろう。そのようにして、PGE1はPGE1レセプターを 活性化しアデニレートシクラーゼ酵素を刺激し、当該酵素は続いてATPをcA MPに変換する。cAMPの増加は続いて蛋白質キナーゼA(PKA)を刺激す る。また別には、平滑筋の緊張低下は、内皮または ニューロン性供給源から遊離される酸化窒素によって達成される。酸化窒素は平 滑筋細胞内に拡散し、可溶性グアニレートシクラーゼ(GTPからcGMPへの 変換を触媒する)を活性化する。cGMPレベルの上昇は蛋白キナーゼG(PK G)を活性化する。間隙接合、KチャンネルおよびCa2+チャンネルに対するP KA、PKGおよびPKCの作用は、標的蛋白質(間隙接合、Kチャンネルおよ びCa2+チャンネル)上の固有のアミノ酸残基の燐酸化を介して仲介されると考 えられる。図5は、それらの推定的作用を以下のように示している:+は興奮性 、陽性または増加性作用を、−は抑制性または陰性作用を示している。この単純 化モデルは、これらの重要な第二のメッセンジャー系がどのように間隙接合、K およびCa2+チャンネルに影響を与え、したがってin vitroおよびin vivoで海 綿体平滑筋の緊張力を調整するかを示している。 コネキシン43はヒトの陰茎で発現されている主要なアイソフォームである。 これらの細胞間チャンネルは、隣接する平滑筋細胞間の部分的な細胞質の連続性 を提供し、生理学的対応イオン(K+およびCa2+)および第二のメッセンジャ ー分子(IP3、cAMP、cGMP)の細胞間交換を可能にする。このことは 、海面体実質の比較的まばらな自律神経支配を考えるならば健康な男性の場合で すら極めて重要な点である。したがって、間隙接合が存在することによって、正 常な陰茎勃起とともに腫脹減少のために海面体平滑筋細胞に必要な迅速で合胞体 性の収縮および緊張低下反応に要求される構造的基礎が提供される。この態様で は、健康な男性の場合でさえ、間隙接合の存在は、この主要な細胞間経路によっ て対応するニューロンシグナルで直接活性化されない平滑筋細胞を迅速に(間接 的であろうとも)収縮反応または緊張低下反応に動員させることを可能にする。 この仮説を立証する実験的および臨床的証拠が最近の刊行物に概略され(G.J.Ch ristら、Circulation Res.,79:631-646(1996):G.J.Christ,World J.Urology ,印刷中(1997))、さらにこの反応を説明する数学的モデルが構築された(G.J.Ch ristら、J.Urology,155:620A(要約)(1996);G.J.Christら、FASEBJ.,9:A914(1995 ))。このことが意味する主なことは、これら間隙接合チャンネルの存在によって 、海面体平滑筋の緊張力において全体的な変化を与えるためには海 面体平滑筋細胞のわずかの部分のみが遺伝的に改変されればよいということがよ り確実になるということである。 遺伝子治療を極めて有望なものにするヒト陰茎の第二の主要な特徴は、多くの 不能患者で薬理学的に誘発される勃起が認められることによって、多くのこれら 患者で静脈閉鎖メカニズムは適切に機能していることが示唆されるということで ある。そのような患者では、勃起は、通常の海綿体内薬剤によって薬理学的に誘 発され、一方問題の遺伝子を同時に注入することができるであろう。そのような 場合、静脈の流出量は正常な勃起時には極めて少ないので、注入遺伝子は海綿体 実質にもっぱら限定されると予想できるであろう(Carrierら、J.Urol.,42.4:4 68-81(1993);Anderssonら、Physiological Reviews,75.1:191-236(1995);Lerne rら、J.Urol.,149.5 Pt2:1246-55(1993);Lueら、J.Urol.,137:829(1987))。 このシナリオでは、全身的な脈管系の副作用の危険性は殆どないであろう。 本発明の遺伝子治療方法は、収縮刺激と緊張低下刺激間のバランスにおける比 較的わずかな変化が勃起の生理学と機能における深遠な変化をもたらすことがで きるという事実を利用できるようにデザインされた(Lernerら、J.Urol.,149.5P t2:1246-55(1993);jvadzoiら、J.Urol.,148.5:1587-91(1992):Christら、Brit ish J.Pharmacology,101.2:375-81(1990);G.J.Christ,Urological Chnics of North America,22.4:727-745(1995);Taubら、J.Urol.,42:698(1993))。遺伝子 治療のゴールは、海面体平滑筋の対応する生理学的蛋白質をコードする外因性遺 伝子の発現に続く収縮刺激と緊張低下刺激間のより正常なバランスを回復させる ことである。これら外因性遺伝子の発現が1週間から数カ月の間維持できる場合 (本明細書ではラットモデルで示されるように)、この期間中他の一切の外因性操 作の非存在下で患者が”正常な”勃起を達成することを可能にさせるであろう。 これは、明らかに現在利用可能な全ての治療方法を越える主要な利点であろう。 以下の考察では、勃起障害の遺伝子治療についての2つの具体的な手法が概略 される。第一の事例では、ヒトのmaxi−KcDNAを細胞に核酸感染(トランス フェクト)することによって、平滑筋細胞の内因性ニューロン刺激に対する” 感受性”が特に高められるであろう。第二の事例では、海綿体平滑筋細胞に構造 的に発現される酸化窒素シンターゼcDNA、bNOSをトランスフェクトする ことによって、勃起のためのニューロン性”駆動力”が高められる。遺伝子治療 のためのこの手法は、明らかに本トランスフェクションの効率と安定性の両方に 左右される。これら効率と安定性の両方についての証明は下記に提示する。 本発明は、以下の実験の詳細な説明のセクションで詳述するが、これは本発明 の理解を補助するためのものであって、以下に続く請求の範囲に規定される本発 明を制限するものと解してはならない。実験の詳細な説明 A.材料と方法 1.プラスミドと遺伝子 pCMVβおよびpcDNA3プラスミドはインビトロゲン(Invitrogen,サ ンディエゴ、カリフォルニア)から購入した。ヒトmaxi−KcDNA(hslo )はサルコフ博士(Dr.Salkoff,Washington University School of Medicine, セントルイス、ミズーリ)(D.P.McCobbら、Am.J.Physiol.,269:H767-H777(1 995))から入手した。ニューロンNOScDNAはスナイダー博士(Dr.S.Snyder ,Johns Hoplins University)およびブレット博士(Dr.D.Bredt,Univ Cahf. San Francisco)(Bredtら、Nature,351:714-8(1991))から入手した。ヒトMaxi −KチャンネルcDNA(約3.9kb)(Am.J.Physiol.,269:H767-H777(19 95))およびニューロンNOScDNA(Bredt/Snyder91287795)(Bredtら、Nature ,351:7r1-8(1991))は両方ともpcDNA3ベクターのXhoI−XbaIクロ ーニング部位に挿入した。このベクターでは発現はCMVプロモーター(Invitr ogen)から外されている。100μgのプラスミドDNAを20%蔗糖含有滅菌 PBSの200μlに懸濁し、麻酔ラットの海綿体中に注射した。 2.種々の技術を用いたLacZの海綿体内への遺伝子移入 裸出DNA:200μlの燐酸緩衝食塩水(20%蔗糖含有)中の100μ gのpCMVβプラスミド(Clonetech,カリフォルニア)(CMVプロモーター の制御下にLacZ遺伝子を含む)を3カ月齢のフィッシャーラットの海綿体中 に(麻酔下で)注射した。10日後海綿体組織を切除し、β−ガラクトシダーゼ 活性について染色した。 リポソーム:100μlのPBS中のpCMVβプラスミド5μgを100 μlのリポフェクチン試薬(Gibco)と混合し、得られたリポソーム複合体(20 0μl)を3ヵ月齢のフィッシャーラットの海綿体中に(麻酔下で)注射した。 10日後海綿体組織を切除し、β−ガラクトシダーゼ活性について染色した。 アデノウイルスベクター:lacZcDNAを含むアデノウイルスベクター 200μl(>1010pfu/ml)をショーデュリー博士(Dr.Roy Chowdhur y,AECOM gene therapy core)から入手し、3ヵ月齢のフィッシャーラットの海 綿体中に(麻酔下で)注射した。10日後海綿体組織を切除し、β−ガラクトシ ダーゼ活性について染色した。 3.β−ガラクトシダーゼ活性の染色 海綿体組織を注射後いろいろの時期にラットから切り出し、4%パラホルムア ルデヒド/0.1%グルタルアルデヒドで3時間固定し、X−Galで15時間 37℃で染色した(M.Vitadelloら、Human Gene Therapy,5:11-8(1994))。 動物:62匹の雄のスプラーグ・ドーリーラット(Taconic Farms,Germant own,ニューヨーク)(10−20週齢、体重200−250g)をこれらの実験 で用いた。全てのラットにプリナ・ラブ(Purina lab)のゲッ歯類用飼料を随意 に与え、7:00から19:00の点灯サイクルで1匹ずつ別々の飼育箱に入れ た。表1に示すようにラットを分けた。 表1:遺伝子移入とタイムコース実験 4.in vivo勃起実験用動物の調製 麻酔の誘発:ラットは、ペントバルビタールナトリウム(Anpro Pharmaceuti cals)の腹腔内注射(35mg/kg)によって麻酔した。麻酔の維持が必要と される場合、引続きペントバルビタール(5−10mg/kg)を45−60分 毎に注射することによって実験プロトコルの間(2−3時間)麻酔を維持した。 圧モニター用カニューレの外科的準備と設置:図3は完全な実験工程を示し ている。動物を仰臥させ、膀胱および前立腺を正中線腹腔切開によって露出させ た。下下腹神経叢(すなわち骨盤神経叢または大骨盤神経節)、両側の骨盤神経 および海綿体神経を前立腺の後外側で特定し、ステンレス鋼の二極性ワイヤー電 極を電気刺激のためにこれら構造物の周辺に設置した。陰茎の皮膚を剥ぎ、上に 重なっている座骨海綿体筋の一部を除去することによって両陰茎脚を露出させた 。海綿体内圧(ICP)をモニターするために、23ゲージのカニューレを25 0単位/mlのヘパリン溶液で満たし、PE−50チューブ(Intramedic,Bect on Dickinson)に連結し、右海綿体に挿入した。続いてこのチューブを7−0ダ ーマロン(Dermalon)縫合糸を用いて膜に固定し、ICP測定時の安定性を確保 した。別の23ゲージのカニューレを1mlの注射筒に連結し、海綿体内薬剤注 入のために左海綿体に挿入した。全身動脈血圧(BP)を頸動脈に設置した25 ゲージカニューレを介してモニターした。 (BP)および(ICP)のための両方のラインを圧変換器に連結した。これ を順次、変換器増幅装置(ETH400CB,Sciences,Inc)を経由してデータ捕捉盤(M acLabl 8e7,ADI Instruments,メリーランド)に連結した。圧測定値のリアル タイム表示および記録はマッキントッシュコンピュータ(Mac-LabソフトV3.4)で 実施した。圧変換器およびAID盤の目盛りはH2Oのcmであった。 海綿体神経の神経刺激と海綿体内圧の記録:海綿体神経の直接電気刺激は、 多連結型クランプに連結した極細のステンレス鋼二極性フック電極を用いて実施 した。各プローブは直径が0.2mmで、2つの電極は1mm離れていた。単相 矩形パルスをシグナル発生装置(注文誂えで組み込み式定常電圧増幅装置を有す る)によって送りこんだ。刺激パラメーターは以下の通りであった:周波数は2 0Hz、パルス幅は0.22msec、持続時間は1分。電流プロトコルは以下 の間隔での増加電流を用いた:0.5、1、2、4、6、8および10mA。海 綿体内圧および全身血圧の変化は各神経刺激レベルで記録した。 5.組織の調達、固定および免疫組織化学的分析 組織の回収:神経刺激実験が終了した後、遺伝子治療動物と週齢合致コント ロール動物の両者の陰茎を集め、当該陰茎の遠位端にメチレンブルーで印を付け て後で遠位端と基部端を正しく認定できるようにした。全陰茎組織を直ちにリン 酸緩衝液(pH7.4)中の4%パラホルムアルデヒドに移して4時間20℃で 固定し、後に免疫染色のためにpH7.4の30%蔗糖を含む冷0.1Mリン酸 緩衝液(PBS;4℃で一晩またはそれ以上)中で寒冷保護を施した。当該動物 の陰茎の一部分を液体窒素中で凍結し、分子生物学的実験のために−80℃で保 存した。簡単に記せば、クリオスタットで14μmの組織切片を作製し、この切 片をスライド上で乾燥させパラフィン包埋した。このスライドを−20℃で染色 まで保存した(通常2−4週以内)。 組織学:切片の組織学的検査を実施して神経と平滑筋の特定を確認した。ス ライドに載せた連続切片を10%のホルマリンで固定し、ヘマトキシリンとエオ シンで染色した。全でのスライド調製物をツァイス(Zeiss)の顕微鏡で観察した 。 酸化窒素シンターザの免疫組織化学:スライド上の組織切片をキシレンで脱 パラフィン処理し、分別アルコールで再水和させ、さらに3%の過酸化水素で内 因性ペルオキシダーゼ活性を封鎖した。当該標本に対する抗体の非特異的反応は 、燐酸緩衝食塩水(PBS)中の1.5%の正常ヤギ血清とともに室温で30分 保温して封鎖した。続いてスライドの水分を除き、一次抗体とともに室温で1時 間保温した。用いた抗体は、脳NOSに対して作製したウサギの多クローン性( ポリクローナル)抗体(Transduction Laboratories,レキシントン、ケンタッキ ー)であった。1.0μg/mlの抗体濃度が免疫染色には最適であることが判 明した。抗原の結合は、ベクタステイン・エリート(VectaStain Elite)ABC キットを用いアビジン−ビオチン免疫ペルオキシダーゼ法によって検出した。着 色反応は、過酸化水素で活性化したジアミノベンチジン(ジアミノベンチジンは 色素原)を用いて進行させた。一次抗体の代わりにPBSを用いた陰性コントロ ールでは染色は明瞭ではなく、本実験に用いた一次抗体が特異的であることを示 した。 統計分析:全ての統計分析はスタット・ビュー(Stat-View)4.5ソフト(A bacus Concepts,パークレー、カリフォルニア)を用いて実施した。無関係のサ ンプルのためのtwo-tailedスチューデントt検定を用いて、遺伝子治療ラットと 週齢合致コントロール動物間の問題のパラメーター(NOSまたはMaxi−M)に ついての群平均を比較した。全ての相違はp<0.05で有意であると考えられ た。別に記載がなければ、全てのデータは平均値S.E.M.として表されてい る。 神経刺激データの分析:刺激反応曲線は、コントロールと遺伝子治療ラット の両者について段階的電流増加(1、2、4、6、8、10mA)(Sigma Plot Ma c V5.0,Jandel Scientific,サンラファエル、カリフォルニア)に対する平均全 身血圧の関数(ICP/BPとして表現)として海綿体圧における段階変化を作 表することによって神経刺激について作製した。 6.ラット海綿体の平滑筋細胞へのLacZの遺伝子移入 血管平滑筋細胞への遺伝子移入は、種々の技術(例えばレトロウイルス、アデ ノウイルス、陽イオン性リポソームまたは裸出DNA移入)を用いて達成された 。 in vivoでの海綿体内遺伝子移入についてこれらの技術の効率を決定するために 、LacZcDNA(β−ガラクトシダーゼをコードする)を含む裸出DNA、 または陽イオン性リポソームに取り込ませたDNANまたはリコンビナントアデ ノウイルスとしてプラスミドpCMβを各々3匹のラットの海綿体組織中に注射 した。3つの遺伝子移入技術の全てで陽性結果が得られたが、アデノウイルス仲 介遺伝子移入が最も効果的であった。これは、色素原性基質X−Gal(5−ブ ロモ−4−クロロ−3−インドリル−b−D−ガラクトシド)がSβ−ガラクト シダーゼの活性によってその青色の分解生成物に変換されることによって全組織 レベルで立証された。 β−ガラクトシダーゼを発現している細胞の相対的な数および組織学的タイプ を決定するために、200μlの燐酸緩衝食塩水(20%蔗糖含有)中のpCM Vβプラスミド100μgを3ヵ月齢のフィッシャーラットの海綿体内に(麻酔 下で)注射した。30日後に、注射ラットおよびコントロールラットの海綿体を 切り出し、4%パラホルムアルデヒド/0.1%グルタルアルデヒドで3時間固 定し、X−Galとともに15分37℃で反応させ、パラフィン包埋して切片を 作製した(M.Vitadelloら、Human Gene Therapy,5:11-8(1994))。図2に示した ように、β−ガラクトシダーゼ活性はDNA注射後に極めて多数の平滑筋細胞で 明瞭である。 7.ニューロンNOSまたはカリウムチャンネルMaxi−KのcDNAの注射 後の海綿体内圧の増加 ヒトMaxi−KチャンネルcDNA(hSlo)(約3900ヌクレオチド)(Mc Cobb)およびニューロンNOScDNA(約5000ヌクレオチド)(Bredt/Sn yder91287795)が、pcDNA3ベクター(このベクターでは発現はサイトメガ ロウイルスのプロモーターから外されている)のXhoI−Xba1クローニン グ部位に挿入された。200μlの燐酸緩衝食塩水(20%蔗糖含有)中の各プ ラスミド100μgを4ケ月齢のフィッシャーラットの海綿体内に(麻酔下で) 注射した。コントロールラットには擬似手術を施すか、20%蔗糖含有PBS2 00μlの海綿体内注射による擬似手術を施すか、または20%蔗 糖および100μgのpCDNAベクターDNAを含むPBS200μlの海綿 体内注射による擬似手術を施した。基準海綿体内圧および神経刺激海綿体内圧( ICP)を注射後2週間から4ヵ月の間測定した。検査した期間枠内では海綿体 内圧において顕著な相違は認められず、各群内の全動物の結果を一緒にした。同 様に種々のコントロール間で顕著な相違は認められず、全てのコントロールデー タを一緒にした。 図4並びに下記の表2および3のデータは、NOSまたはMaxi−KcDNAの いずれかの注射は基準ICPおよび神経刺激ICPの両方を顕著に増加させた。 ICPにおける基準値の段階変化の平均は、NOS注射ラットでは約8(HO2 のcm)のコントロールレベルから約14に増加し、Maxi−K注射ラットでは1 3まで増加した。同様に、ICPにおける神経刺激を与えた場合の段階変化は、 2−10mAの刺激範囲ではNOSおよびmaxi−K注射ラットの両方で約30% 高かった。 表2.NOSおよびコントロール群の神経刺激後の海綿体内圧(ICP)反応 *海綿体神経刺激は両側について実施した(観察はラットの数×2) ICP:HO2のcmで表される海綿体内圧 BCP:神経刺激前のHO2のcmで表した基準海綿体内圧 mA:神経刺激のミリアンペア M±SEM:平均値および平均値の標準誤差 表3.maxi−Kおよびコントロール群の神経刺激後の海綿体内圧(ICP)反応 *海綿体神経刺激は両側について実施した(観察はラットの数×2) ICP:HO2のcmで表される海綿体内圧 BCP:神経刺激前のHO2のcmで表した基準海綿体内圧 mA:神経刺激のミリアンペア M±SEM:平均値および平均値の標準誤差B.結果 カリウムチャンネルと海綿体平滑筋の機能:Kチャンネル機能の変化は緊張低下 に対する”感受性”を高めることができるという証拠 本発明者らによる最近の実験は、カリウムチャンネルの活性化による海綿体平 滑筋細胞の過分極が、海綿体平滑筋の緊張力制御のための重要なメカニズムであ ることを示した(F.Holmquistら、J.Urol.,144:146(1990);G.J.Chnstら、J. Alldrology,14.5:319.28(1993);S.F.Fan、J.Urol.,153:818(1995);G.J.Chri st,Urological Chnics of North America,22.4:727-745(1995))。この観察は 、ヒトの海綿体の平滑筋の持続的収縮(これは弛緩性状態(ほぼいつもの状態) の特徴である)は、電圧作動性(voltage-gated)Ca2+チャンネルからの持続的 な膜通過Ca2+流に主として依存するという事実を反映している。海綿体平滑筋 細胞のこれら電圧依存性カルシウムチャンネルの活性は、順次過分極電流によっ て緊密に調整され、主としてKチャンネルによって開始され維持される。K+チ ャンネルのサブタイプ間では、約180psのCa2+感受性maxi−Kチャンネル は海綿体平滑筋細胞で最も重要なものの1つである(S.F.Fanら、J.Urol.,153 :818(1995))。Kチャンネルの活性化に続く海綿体平滑筋細胞の膜過分極は、レ セプター(例えばPGEまたはNO)仲介刺激および非レセプター仲介(例えば NOまたはcGMP)刺激(ニューロンの他に内皮供給源に由来する)によって 達成される。これらのデータは図2および表5に要約されている。 仮説的作用メカニズムは以下のようなものと考える:内因性の海綿体血管緊張 低下物質(例えば酸化窒素)の遊離は、Kチャンネルを直接活性化させるか、ま たは、可溶性グアニレートシクラーゼの活性化、細胞内cGMPレベルの増加、 Gキナーゼの活性化および細胞性蛋白質(例えばKおよびCa2+チャンネルのよ うな非接合性イオンチャンネルを含む)の燐酸化にとって二次的なKチャンネル 活性を調節すると考えられる。キナーゼ活性(AまたはGのいずれか)の増加は Ca2+およびKチャンネルに対して反対作用を有し、前者の活性減少および後者 の活性増加をもたらす。したがって、細胞内NOおよび/またはcGNPレベル の上昇は、Kチャンネルの活性化およびCa2+チャンネルの抑制の両方をもたら すことができる。これら2つの反対の作用の代数的総和は、膜通過カルシウム流 を顕著に減少させ、その結果海綿体平滑筋の緊張力の低下、したがって海綿体平 滑筋の緊張低下をもたらすことができる。 maxi−Kチャンネルの活性は、生理学的に対応する海綿体平滑筋の緊張力の内 因性調節物質の全て(PGE(Zhangら、J.Urol.,155:678A(1996);Zhaoら、J.Ur ol.,154:1571-1579(1995):Zhaoら、J.Urol.,155:678A(1996))とともにNO( Christら、未発表データ)を含む)によって調整されるように見えるので(図2) 、それは明らかに海綿体平滑筋の緊張度の最後の重要な共通仲介物質である。こ の仮説と一致して、本発明者らは、このチャンネルの調節/機能の変化は、それ 自体、ヒトの海綿体平滑筋において器官性勃起障害が存在する場合の重要な特徴 となりうるという予備的証拠を有する(S.F.Fanら、J.Urol.,153:818(1995);G .J.Christ,Urologic Chnics of North America,22.4:727-745(1995);G.J.Ch ristら、J.Urol.,155:620A(1996))。これらの理由のいずれについても、本発 明者らは、ヒトの平滑筋のmaxi−KチャンネルのcDNAを海綿体平滑筋細胞に 比較的安定的にトランスフェクトすることが、勃起能の調節のための重要で有望 な方法の代表的なものと考える。 酸化窒素および海綿体平滑筋の機能:海綿体組織で発現されるNO量を 増加させることによって緊張低下のための”駆動力”を高めることができる 実験によって得られた最近の豊富な実験的証拠は、動脈および海綿体平滑筋の 緊張低下(したがっで陰茎勃起)において酸化窒素(NO)が演じる重要な役割 についての証拠を提供する(Argiolasら、Neuropharmacology,33.11:1339-44(19 94);Burnettら、Science,257.5068:401-3(1992);Trigo-Rochaら、J.Physiol., 264.2Pt2:H419-22(1993);Burnettら、Biology of Reproduction,52.3:485-9(19 95))。例えば、ヒト(Saenz de Tejadaら、New England J.Medicine,320.16:10 25-30(1989))およびウサギ(Ignarroら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,170:8 43-850(1990))の海綿体筋肉片の電気刺激によって平滑筋の緊張低下が生じる。 これらの反応は、酸化窒素の遊離によって仲介されると考えられ る。この仮説と一致して、これらの緊張低下反応は、L−アルギニンのニトログ リセリン置換類似体(これはNOの生成を遮断する)によって抑制することがで きる(Ignarroら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,170:843-850(1990);Holmqu istら、Acta Physio.Scand.,141:441-442(1991)iKimら、J.Clin.Invest.,8 8:112-118(1991))。さらに、ウサギおよびヒトの海綿体平滑筋の緊張低下は、N Oを遊離させる化合物によって誘発することができる(Ignarroら、Biochem.Bio phys.Res.Commun.,170:843-850(1990);Rajferら、New England J.Med.,326 :90-94(1992):G.J.Christら、Urological Chnics of North America,22.4:727 -745(1995))。さらにまた、ヒト海綿体の平滑筋の緊張低下のためのNO依存経 路の重要性もまた文献に多く示されている(Bushら、J.Urol.,147:1650-1655(1 992);Trigo-Rochaら、Neurology & Urodynamics,13.1:71-80(1994):Christら 、Canadian J.Phys.& Pharmacol.,73:714-726(1995))。 酸化窒素は、L−アルギニンのL−シトルリンへの酵素変換の産物として酸化 窒素シンターゼ(NOS)酵素によって生成される。NOは、コリン作動性刺激 またはニューロン供給源(NANC神経末端から遊離)によって内皮細胞内で生 成される。後者については、NOは、神経末端のシナプス小胞に蓄積されないが 、要求に応じて合成される新規な神経伝達物質である。ウサギおよびラットの陰 茎での生化学的および組織化学的証拠によれば、陰茎の勃起において機能するN OS酵素はcNOS型に属することが示唆される(Burnettら、Science,257.506 8:401-3(1992:))。ラットの陰茎におけるNOSの神経供給源はキーストによっ て明らかにされ、NOSは、ラットのcNOS抗体により免疫組織化学的に、さ らにNADPHジアホラーゼにより組織化学的にラットおよびヒトの陰茎の自律 神経に分布することが示された(J.R.Keast,Neurosciences Letter,143:69-73 (1992);Burnettら、J.Urol.,150.1:73-6(1993);Burnettら、Science,257.506 8:401-3(1992))。NOの作用メカニズムは、以下のようであると考えられる:産 生後、NO(親油性物質)は海綿体の平滑筋細胞中に(三次元的に)迅速に拡散 し(Christら、Biophysical J.,67:1335-1344(1944))、ここでNOは可溶性グア ニレートシクラーゼの活性化をもたらし、当該酵素はGTPからcGM Pへの変換を触媒する。このcGMPの増加は蛋白キナーゼGを活性化し、これ は、図2に示したように細胞内Ca2+の減少をもたらして海綿体平滑筋の緊張低 下を生じる(S.Moncada,Acta Physiol.Scand.,145:201-227(1992))。上記で述べ たように、NOは直接Kチャンネルと相互に作用して過分極および平滑筋の緊張 低下を誘発する。 弛緩状態では、NOS活性は最小であると考えられる(Ignarroら、Biochem.B iophys.Res.Comlnun.,170:843-850(1990);Rajferら、New Eng.J.Med.,326 :90-94(1992);Azadoziら、J.Urol.,147.1:220-225(1992);Brockら、Urol.,42 .3:412-417(1993);Hellstomら、J.Urol.,151.6:1723-7(1994);Pickardら、Bri tish J.Urol.,75.4:516-22(1995);Carrierら、J.Urol.,153.5:1722-7(1995) ;Garbanら、Am.J.Physiology,H467-H475(1995);Bumettら、Biology of Repro duction,52.3:1185-9(1995))。海綿体組織のNADPHジアホラーゼの組織化 学的検出の強さは、海綿体神経損傷をもつ患者で減少することが示されたが、こ のことはNOS活性の低下を暗示する(Brockら、Urol.,42.3:412-417(1993))。 さらに、糖尿病男性の海綿体神経の緊張低下反応の障害(勃起野刺激に対して) もまたNOS生成の低下のためであることが提唱された(I.Saenz de Tejada,N ew Eng.J.Med.,:320.16:1025-30(1989);Taubら、Urol.,42:698(1993);G.J.C hrist,Urologics of North America,4 22.4:727-745(1995);Vernetら、Endocr inology,136:5709-5717(1995))。したがって、構造的に発現される酸化窒素シ ンターゼcDNAの導入によって、平滑筋の緊張低下並びにより強い休止圧反応 および神経刺激圧反応がもたらされることが期待される。下記で述べるように、 ニューロンNOSのcDNAをラットの海綿体に挿入し、統計的に有意で生理学 的に相関する変化が、海綿体神経の電気刺激に対する海綿体内圧反応で認められ た(表2)。 ラットモデルの選択:ラットの陰茎はヒトの陰茎と組織学的および薬理学的 に類似していることが示されたので(Lessonら、Investigative Urlogy,3.2:144 -145(1965))、ラットを遺伝子治療実験のために選んだ。多くの既知のモデルの 中で、ラットは、陰茎勃起のための研究(Lessonら、Investigative Urlogy, 3.2:144-145(1965):Quinlanら、J.Urol.,141.3:656-61(1989);Chenら、J.Uro l.,147:1124-1128(1992);Martinez-Pineiroら、European Urology,25:62-70(1 994))並びに神経原性および糖尿病性インポテンツのための研究(Rehmanら、Am.J .Physiol.,(印刷中)(1997))において優れている。maxi −Kチャンネルの結果 Kチャンネルが海綿体平滑筋の緊張低下を調整するという証拠:ヒト海綿体での NTG誘発およびPGE1誘発緊張低下反応を仲介する場合のmaxi−Kチャンネ ルの仮説的役割 :細胞実験および単離組織実験の両方から得られた証拠によって 、海綿体組織の緊張低下反応を調整するmaxi−Kチャンネルの重要な役割が示さ れた。 NTGおよびmaxi−K:図1に代表的な例を示したように、PE誘発収縮反 応に対する前述の作用の他に、1mMのTEAによるmaxi−Kチャンネルの選択 的遮断もまたNTG誘発緊張低下反応の顕著な減弱(100nM)をもたらす。 5つの他の海綿体組織片を用いた実験は、100nMのNTGによって誘発した 緊張低下反応の平均値±SEM%は20.3±3.2%であることを示し、この 値は最近の別の刊行物で決定されたように予想値50.1%に比肩しえる。この 発見は、おそらくmaxi−Kチャンネルの活性化もまたNTG誘発緊張低下反応の 重要な成分であろうということの証拠を提供する。この仮説と一致して、培養海 綿体平滑筋細胞でのパッチクランプ細胞予備実験(すなわち貼付パッチ記録モー ド)では、はるかに高いNTG濃度ではあるが(100μM)、培養海綿体平滑筋 に対してmaxi−Kチャンネル活性のNTG誘発増加が示された。 PGE1およびmaxi−K:4つの記録モード全てを用いた最近の電気生理学 的実験では、PGE1は、我々が培養細胞でcAMP生成を観察した濃度と同じ 濃度範囲にわたっでmaxi−Kチャンネルの活性の濃度依存的な増加を引き起こし 、さらに予め収縮させた単離ヒト海綿体平滑筋片の緊張低下を引き起こすという 証拠を提供した(Zhangら、J.Urol.,155:678A(1996))。さらに、maxi−Kチャ ンネル活性の増加は、fura−2付加培養海綿体平滑筋細胞で見られるET−1誘 発細胞内カルシウムの過渡値における顕著な変化と相関する。特に、500 nMのPGE1とヒト海綿体の培養平滑筋細胞を予備保温することによって、基 準値(すなわち約70nM)を越えるET−1誘発カルシウム過渡値のピーク振 幅(コントロール値161.5±19.5nMから102.6±9.5nM)が 顕著に減少(約40%、50nM)する(Zhaoら、J.Urol.,155:678A(1996))。 この減少は、細胞外Ca2+の非存在下(2mMのEGTA)で、または細胞をニ フェジピン(Zhao & Christ,J.Urol.,154:1571-1579(1995))またはベラパミ ル(Christら、未発表データ)と予備保温した場合に認められる減少と区別がつ かないことに留意されたい(ニフェジピンおよびベラパミルは両方ともL型電圧 依存カルシウムチャンネルの遮断剤である)。 表4.立証された海綿体平滑筋の生理に対する maxi−Kチャンネルのin vitro作用の要約 最後に、ヒト海綿体平滑筋培養細胞にヒト平滑筋のmaxi−KcDNA(hSl o)をトランスフェクトすることによって、平均休止細胞内カルシウムレベルの 顕著な減少(約25%)が、ET−1誘発細胞内カルシウム過渡値のピーク振幅 の減少(約45%)と同様に生じることを示す(表6)。前者の観察の生理学的意 義は不明であるが、一方、ET−1誘発細胞内カルシウム過渡値に対するトラン スフェクションの影響は、PGE1、ニフェジピンおよびベラパミルの存在下、 または細胞外カルシウムの非存在下で認められるものと極めて類似していること に留意されたい。総合すれば、これらデータは全て、大量のmaxi−Kチャンネル の存在に続くか(おそらくトランスフェクションの影響、ただしこれは明瞭に確 立されたわけではない)、または(例えばPGE1による)細胞の活性化に続くma xi−Kチャンネル活性の増加は、細胞の過分極、L型電圧依存カルシウムチャン ネルを通る膜通過カルシウム流の減少、およびET−1誘発カルシウム過渡値の ピーク振幅における対応する減少に付随するという仮説と全体的に一致する。さ らにまた、海綿体平滑筋培養細胞で測定された細胞内カルシウム過渡値のピーク 振幅は、単離海綿体組織片で測定された定常状態の収縮反応の強さを正確にたど るので(Christら、J.Urol.,153:1998-2003(1995))、これらのデータは、maxi −Kチャンネル活性の増加は、膜通過カルシウム流を変えることによって海綿体 平滑筋の収縮反応を少なくとも部分的に調整するということの強力な証拠を提供 する。収縮および緊張低下の両方の強さを調整することに関するmaxi−Kチャン ネルの二重の役割は、maxi−Kによって誘発される膜通過カルシウム流抑制は、 細胞内カルシウムの作動薬(PEまたはET−1)誘発増加の後か、またはPGE1 (おそらくPKA)またはNTG(おそらくPKG)によって誘発されるmaxi −Kチャンネル燐酸化の増加の後で生じるという事実を利用するということを指 摘するのは重要なことである。(このような考えは、他の血管平滑筋細胞型に関 する文献と一致する(下記表5および図2を参照されたい)。 表5.イオンチャンネル、膜電位および海綿体平滑筋緊張低下に対する 血管活性化合物の影響 表6.Caiにおける休止およびET−1誘発変化に対する hSlocDNAトランスフェクションの影響*はコントロール値との相違が統計的に有意であることを示す;p<0.001 、非対合サンプルのためのスチューデントのt検定。Caiは、細胞内カルシウ ム濃度を指す。ET−1誘発増加について示した値は、文献(Zhao & Christ, J.Urol.,154:1571-1579(1995))に記載されたように、細胞内カルシウム過渡 値のピーク振幅を示す。 Kチャンネル活性の調整が勃起障害の治療に利用できる可能性についての最初 のテストとして、予備実験をラットin vivoモデルで実施した。簡単に記せば、 ヒト平滑筋maxi−Kチャンネルをコードする裸出cDNA(すなわちhSlo; サルコフ博士(Dr.Salkoff,Washington University)から入手)のラット海綿 体への注射は顕著な取り込みと遺伝子発現をもたらすことが判明した。このこと は、maxi−KcDNAを注射した8カ月齢のスプラーグ・ドーリラットで観察さ れる神経刺激海綿体内圧増加は、月齢合致コントロール、擬似手術動物で認めら れる海綿体内圧反応よりも顕著に高いという事実によって明らかであった(図3 および表5)。さらにまた、この遺伝子の編入は3ヵ月以上安定を維持した(同様 にコントロール動物と比較して顕著な海綿体内圧上昇によって判定)。これらin vivo実験は、本発明者らのin vitroでの観察の全てと完全に一致し、したがって 海綿体平滑筋の調整にとってのKチャンネルの重要性を証拠付ける。最後に、ヒ ト平滑筋maxi−Kチャンネルの他のサブユニットがヒト海綿体組織で存在する可 能性が認識されでいるが(L.Salkoff,私信)、これらの実験は、勃起の生理 学におけるmaxi−Kチャンネルの役割を評価するための合理的な出発点となるで あろう。要約すれば、Kチャンネルが平滑筋緊張力を多様な患者集団において調 整する態様を一層詳細に理解した後、収縮と緊張低下との間のバランスをより正 確に変化させるために分子遺伝学の強力なツールを用いることができる可能性を これらの実験は提供するように思える。そのような分子遺伝学のツールによって 、現在の治療方法に付随する一切の制約を受けることなく、患者は彼ら自身で堅 固な勃起を常に達成することができるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 15/10 A61K 37/02 C12N 5/10 37/48 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y U,ZW (72)発明者 クリスト、ジョージ・ジェイ アメリカ合衆国、ニューヨーク州 11787、 スミスタウン、マラード・レーン 9 (72)発明者 リーマン、ジェイミル アメリカ合衆国、ニューヨーク州 10467、 ブロンクス、ウェイン・アベニュー・22エ イチ 3450

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.平滑筋の緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列を平滑筋 細胞内に導入する工程を含む、平滑筋細胞に遺伝子を移入する方法。 2.前記細胞が海綿体または動脈の細胞である請求の範囲第1項に記載の方 法。 3.前記蛋白質が血管緊張低下を調整する請求の範囲第1項に記載の方法。 4.前記蛋白質が、酸化窒素シンターゼ、グアニレートシクラーゼ、アデニ レートシクラーゼ、蛋白キナーゼG、蛋白キナーゼA、カリウムチャンネル、カ ルシウムチャンネルおよびそれらのいずれかの組み合わせから成る群から選ばれ る請求の範囲第3項に記載の方法。 5.前記DNAによってコードされる蛋白質が、平滑筋の血管収縮を調整す る蛋白質を抑制する請求の範囲第1項に記載の方法。 6.平滑筋の血管収縮を調整する蛋白質か蛋白キナーゼCである請求の範囲 第5項に記載の方法。 7.前記DNA配列が、電気穿孔、DEAEデキストラン、陽イオン性リポ ソーム融合、プロトプラスト融合、DNA被覆微少発射体ボンバードメント、複 製欠損組換えウイルスの注射、同種組換え、および裸出DNA移入から成る群か ら選ばれる方法によって導入される請求の範囲第1項に記載の方法。 8.前記DNA配列がゲノムDNAまたはcDNAである請求の範囲第1項 に記載の方法。 9.平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列を対象者の 十分な数の細胞に導入し発現させ、前記患者に陰茎勃起を誘発させることを含む 患者の陰茎勃起を誘発する方法。 10.前記細胞が海綿体または動脈の細胞である請求の範囲第9項に記載の 方法。 11.前記蛋白質が血管緊張低下を調整する請求の範囲第9項に記載の方法 。 12.前記蛋白質が、酸化窒素シンターゼ、グアニレートシクラーゼ、アデ ニレートシクラーゼ、蛋白キナーゼG、蛋白キナーゼA、カリウムチャンネル、 カルシウムチャンネルおよびそのいずれかの組み合わせから成る群から選ばれる 請求の範囲第11項に記載の方法。 13.前記DNAによってコードされる蛋白質が平滑筋の血管収縮を調整す る蛋白質を抑制する請求の範囲第9項に記載の方法。 14.平滑筋の血管収縮を調整する蛋白質が蛋白キナーゼCである請求の範 囲第13項に記載の方法。 15.前記対象者が勃起障害を有する請求の範囲第9項に記載の方法。 16.前記勃起障害が平滑筋の不完全な緊張低下から生じる請求の範囲第1 5項に記載の方法。 17.前記勃起障害が神経原性機能不全から生じる請求の範囲第15項に記 載の方法。 18.前記勃起障害が動脈原性機能不全から生じる請求の範囲第15項に記 載の方法。 19.前記勃起障害が静脈閉鎖不全から生じる請求の範囲15の方法。 20.前記DNA配列が、電気穿孔、DEAEデキストラン、陽イオン性リ ポソーム融合、プロトプラスト融合、in vivo電場の生成、DNA被覆微少発射 体ボンバードメント、複製欠損組換えウイルスの注射、同種組換えおよび裸出D NA移入から成る群から選ばれる方法によって導入される請求の範囲第9項に記 載の方法。 21.前記DNA配列がゲノムDNAまたはcDNAである請求の範囲第9 項に記載の方法。 22.以下を含むリコンビナントベクター: (a)ウイルスゲノムDNAまたは、少なくともその一部分に一致するDNA であって、DNA配列の発現を指令することができる前記ウイルスゲノムDNA の一部分;および、 (b)前記ウイルスDNAに機能的に連結され、標的細胞内で発現することが できる平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードするDNA配列。 23.前記蛋白質が血管緊張低下を調整する請求の範囲第22項に記載のリ コンビナントベクター。 24.前記蛋白質が、酸化窒素シンターゼ、グアニレートシクラーゼ、アデ ニレートシクラーゼ、蛋白キナーゼG、蛋白キナーゼA、カリウムチャンネル、 カルシウムチャンネルおよびそのいずれかの組み合わせから成る群から選ばれる 請求の範囲第23項に記載のリコンビナントベクター。 25.前記DNAによってコードされる蛋白質が平滑筋の血管収縮を調整す る蛋白質を抑制する請求の範囲第22項に記載のリコンビナントベクター。 26.平滑筋の血管収縮を調整する蛋白質が蛋白キナーゼCである請求の範 囲第25項に記載のリコンビナントベクター。 27.前記ウイルスが、レトロウイルス、アデノウイルス、RNAウイルス またはDNAウイルスから成る群から選ばれる請求の範囲第22項に記載のリコ ンビナントベクター。 28.平滑筋緊張力の調節に必要な蛋白質をコードする1つまたは2つ以上 の外因性DNA配列を発現する平滑筋細胞。 29.前記細胞が動脈の平滑筋細胞または海綿体の平滑筋細胞である請求の 範囲第1項に記載の細胞。 30.前記平滑筋細胞によって発現される蛋白質が血管緊張低下を調整する 請求の範囲第29項に記載の細胞。 31.前記蛋白質が、酸化窒素シンターゼ、グアニレートシクラーゼ、アデ ニレートシクラーゼ、蛋白キナーゼG、蛋白キナーゼA、カリウムチャンネル、 カルシウムチャンネルおよびそのいずれかの組み合わせから成る群から選ばれる 請求の範囲第30項に記載の細胞。 32.前記DNAによってコードされる蛋白質が平滑筋の血管収縮を調整す る蛋白を抑制する請求の範囲第29項に記載の細胞。 33.海綿体の平滑筋の血管収縮を調整する蛋白質が蛋白キナーゼCである 請求の範囲第32項に記載の細胞。 34.前記DNA配列が、電気穿孔、DEAEデキストラン、陽イオン性リ ポソーム融合、プロトプラスト融合、in vivo電場の生成、DNA被覆微少発射 体ボンバードメント、複製欠損組換えウイルスの注射、同種組換え、および裸出 DNA移入から成る群から選ばれる方法によって細胞に導入される請求の範囲第 29項に記載の細胞。 35.前記発現されるDNAがゲノムDNAまたはcDNAである請求の範 囲第29項に記載の細胞。
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