JP2001515542A - 光学的に使用可能なフッ化物薄膜の製造方法およびそのようにして製造された薄膜 - Google Patents

光学的に使用可能なフッ化物薄膜の製造方法およびそのようにして製造された薄膜

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、真空成膜法によって少なくとも1つのフッ化物からなる膜を作製するための方法に関するものであって、真空成膜と同時的に、ガス相内に、少なくとも1つの還元性化学種と、フッ素原子またはフッ素分子またはフッ化物とを、生成させおよび/または導入し、これにより、成膜時に、フッ化物からなる膜のフッ素化を行う。本発明は、また、得られた薄膜、および、薄膜層に関するものである。基板上に成膜された薄膜または薄膜層は、紫外から赤外までにわたるスペクトル範囲において、ミラー、スペクトルフィルタ、または、無反射コーティングといったような光学機能を果たすことができ、また、例えば強力なレーザー束や腐食性環境に対しての保護をもたらすための、光学部材上の保護コーティングとして機能することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 光学的に使用可能なフッ化物薄膜の製造方法 およびそのようにして製造された薄膜 発明の属する技術分野 本発明は、光学的に利用可能なフッ化物からなる膜の、特に薄膜の、製造方法 に関するものである。 本発明は、また、そのようにして製造された薄膜および薄膜スタックに関する ものである。 基板上に成膜された膜またはスタックは、紫外から赤外にかけてのスペクトル 領域においては、ミラー、スペクトルフィルタ、あるいは、無反射性コーティン グといったタイプの光学的機能をもたらすことができる。または、例えば強カレ ーザー束や腐食性環境から光学部材を保護するために、光学部材のための保護コ ーティングとして機能することができる。 従来の技術 薄膜による光学部材の処理の分野においては、例えばミラー、スペクトルフィ ルタ、あるいは、無反射性コーティングといったタイプの所定光学的機能の実現 ば、異なる屈折率を有した材料からなる膜または膜スタックによって、行うこと ができる。 そのようなスタックの総厚さは、一般に、0.2マイクロメートル程度から数 マイクロメートルである。 通常的に使用される多くの材料の中から、以下のものを例示することができる 。すなわち、 −酸素化合物。特に、シリカ(低屈折率)。また、チタン、タンタル、ジルコニ ウム、ハフニウム、アルミニウム、等の酸化物(高屈折率)。これら材料は、可 視スペクトルにおける応用に際して、および、紫外スペクトルにおける応用のい くつかに際して、広く使用されている。 −カルコゲニド(ZnS、ZnSe)あるいはゲルマニウムといったような、赤 外における応用を特に意図した材料。 −Mをアルカリ金属またばアルカリ土類金属またはランタノイドとしたときに例 えばMFxまたはM1…Mnxという一般式で表されるような、広範囲の化合物を 含んだフッ化物。 これら化合物は、紫外スペクトル、可視スペクトル、および、赤外スペクトル のすべてを含む非常に広範なスベクトル領域における応用に際して特に有効な材 料からなるクラスを構成する。というのは、これら化合物の大部分は、典型的に は0.15〜10μmといった非常に広範なスペクトル透明領域を有していると いう特性を備えているからである。 周知のものの中から、例えば、YF3およびThF4といったような通常は赤外 において応用されるような化合物、MgF2およびCaF2といったような可視ス ペクトルにおける無反射材料として使用されるような化合物、または、LaF3 およびNa3AlF6という化合物、を例示することができる。 フッ素含有薄膜は、一般には、真空成膜技術によって、特に、真空蒸着技術に よって、得られる。このような技術の中で最も単純なものは、成膜すべき材料の 抵抗加熱および蒸発によって、動作する。 そのようにして成膜された材料は、化学的純度のためにまた化学量論的構成の ために、光学的に高度に透明である。しかしながら、そのような材料は、しばし ば、大きな空隙率を有しており、不均一な特性をさえ有しており、機械的強度が 小さく、大きな水分吸着率に関連して環境に対して大いに敏感である。 これら問題点を克服するための、また、膜の密度を上げるための、第1の解決 手段としては、例えば成膜のための基板を加熱することによって、高温で成膜を 行うことである。 しかしながら、この密度向上技術では、膜にクラックが入ってしまう可能性が ある。というのは、フッ化物が、平均で酸化物の熱膨張率よりも10倍くらい大 きいような、比較的大きな熱膨張率および有しているからである。そのため、成 膜後に、膜内に、数百MPaという引張り応力が残ってしまうからである。 加熱による稠密化によってもたらされる欠点を回避するために、励起型成膜法 (エネルギー成膜法)と称される、通常は低温で動作しイオンビームを使用する 他の成膜方法においては、イオンビームが、イオンアシスト成膜(IAD)の場 合には、成長中の膜に対して直接的に適用され、イオンビームスパツタリングの 場合には、成膜されるべき材料からなすソースすなわちターゲットのスパッタリ ングのために使用される。 このような稠密成膜方法は、膜の空隙率を制限するための有効な手段をなす。 しかしながら、他方においては、これら稠密成膜方法は、膜内に明確なフッ素欠 損を生成する。このことは、光学的見地からは、紫外スペクトルの大きな吸収増 加をもたらし、可視スペクトル領域においてさえも吸収増加をもたらす。 より詳細には、フッ素材料のフッ素欠損は、主に、2つの現象によるものであ る。これら現象の1つは、既述のように、真空成膜方法の物理的なものに関連し ている。他の現象は、材料の化学的振舞いに関連している。 というのは、フッ化物が粒子衝撃を受けたときには、フッ化物はフッ素を放出 する傾向が強いことが知られているからである。 この現象は、N.N.Skvortsov,Yu.K.Ustinov and S.V.Yalyshko,Sov.J.Op t.Technol.,54(9)(1987)541という文献に開示されているように、フッ素含 有膜のスパッタリングの際に、フッ素含有膜のイオンアシスト成膜の際に、また 、電子ビーム蒸着の際にさえも、しばしば観測される。 フッ素のこの欠乏は、フッ素の優先イオンスパッタリングに、または、例えば 電子ビームの効果のもとにフッ素の脱離に、その原因を求めることができる。 フッ化物薄膜の励起型成膜方法が、光学分野において有効的にかつ実行可能に 使用できるためには、これら方法が、成膜時および成膜後における膜の再フッ素 化方法と関連していることが必須である。 方法の単純化の目的のためには、成膜と膜の(再)フッ素化とを同時に行うこ とが好ましい。 よって、薄膜成膜方法においては、一般に、成膜時に、欠損元素を含有した反 応性ガスをできる限り注入することによって、膜の化学量論比の比較が行われる 。この場合には、成膜方法は、反応性方法と称される。 フッ化物という特別の場合には、反応性ガスとしては、一般に、CF4、C26 、SF6、あるいは、フッ素F2が使用される。しかしながら、フッ素F2の使用 は、装置に対するリスクがある。 ここで、H.Schink,J.Kolbe,F.Zimmermann,D.Ristau and H.Welling, SPIE vol.1441(1990)327という文献、および、J.Kolbe,H.Schink and D. Ristau,SVC(Society of Vacuum Coaters)36thAnnual Technical Conference Proceedings(1993)44-50という文献には、特にミラーのための深紫外(deepul traviolet)において応用するために、反応性イオンアシスト成膜(IAD)法 またはイオンビームスパッタリング(IBS)法によって、LaF3、AlF3、 および、MgF2といったフッ化物薄膜の成膜が開示されている。 例えばF2、CF4といったフッ素含有ガスは、短波長における大きな光学吸収 に関してのフッ素欠損を補償するための反応性ガスとして使用される。このよう なガスは、反応性ガスとして酸素を使用する同じ方法と比較して改良された結果 をもたらすものではあるけれども、吸収をわずかしか減少させるものでしかない 。 同様の観測は、J.G.Cook,G.H.Yousefi,S.R.DasandD.F.Nitchell,Thin Solid Films,217(1992)87-90という文献においてなされている。この文献に おいては、CaF2陰極スパッタリング方法において、プラズマ内にCF4が導入 される。このCF4の導入は、明らかに、膜のフッ素補償をもたらすものではあ るけれども、他方においては、カーボンに対しての膜のコンタミネーションに関 連した強力な吸収を生成する。 また、イオンアシスト成膜(IAD)法において、補助ガン内においてC26 を使用したにしても、わずかのフッ素補償しか行えない。 最後に、特開平7−166344号には、不活性ガスとフッ素とを含有したプ ラズマ内において金属ターゲットスパッタリングを行うことによって、フッ化物 の成膜を行うことが開示されている。 しかしながら、成膜された膜の、紫外スペクトルまたは可視スペクトル内にお ける光学品質については言及されていない。というのは、この文献における目的 が、透明性の追求というよりも、高速成膜の追及であるからである。 上記により、フッ素化反応性ガスを使用した、励起型成膜法によって成膜され るフッ化物膜の再フッ素化は、極端に困難であること、および、うまく実施でき ないこと、がわかった。 この理由のために、フッ化物を使用する代わりに、酸化を使用して、MFx-t tタイプの酸化フッ化化合物を生成することが好まれる。MFx-ttタイプの 酸化フッ化化合物は、紫外領域において良好な透明度を有している。しかしなが ら、純粋なフッ化物の光学「ギャップ」よりも大きな光学「ギャップ」を有して おり、深紫外領域における応用に関しては問題をもたらす。 よって、J.D.Targove,N.J.Messerly,J.P.Lehan,R.H.Potoff,H.A.Mac leod,L.C.Mclntyre Jr and J.A.Leavitt,SPIE vol.678,(1986)115という 文献には、酸素によるMgF2の成膜の補助が開示されている。一方、特開平8 −134637号には、膜の光学吸収を小さくすることを保証するために、酸化 フッ化マグネシウムの使用が開示されている。 同様に、特開平8−171002においては、CaF2、Na3AlF6、Na5 Al314、あるいは、SrF2タイプの混合物からなるターゲットのスパッタリ ングを、酸素を含有した反応性雰囲気内で動作させることが開示されている。こ の文献は、本質的に可視スペクトルにおいて透明な膜を得ることである。 上記において参照した技術の列挙によって、明瞭に、フッ化物のようなフッ素 化された化合物からなる薄膜の作製および(再)フッ素化が極度に困難であって これまで実施されなかったことがわかる。 よって、現在のところ、フッ素含有ガスの分解および成膜されるべき材料の化 学量諭的欠損を伴ってそのようにして製造されたフッ素の反応を原理とした、フ ッ素化技術は、可視スペクトルにおいては、k=10-3以下には、フッ化物単一 膜の消光係数をぼとんど減少させることができない。 フッ素脱離現象のために、薄膜の凝縮のための蒸気源として使用されるフッ化 物材料は、一般には、特にこれら材料が粉末の形態である場合には、加水分解お よび酸化を非常に受けやすい。 したがって、スパッタリング源が一般的には焼結粉末の形態であることにより 、スパッタリング源は、フッ化物(MFx)だけでなく、加水分解された派生物 (MFx-y(OH)y)や酸化された派生物(MFx-zz/2)も含有している。こ れら副成物の比率は、数パーセントに達することもあり、膜のフッ素欠乏の大部 分の起源となっている。 蒸発に関しては、フッ化物が湿気に対して非常に敏感であることにより、また 、酸化に対してさえ非常に敏感であることにより、膜は、あるいは、フッ素が欠 乏した蒸発量は、成膜チャンバの残留真空内におけるこれらの濃度の限界内にお いて、酸素または水酸基−OHによってフッ素欠乏が補償される傾向のあること を意味している。 発明の概要 本発明の目的は、従来の欠点や制限を有していないような、かつ、上記従来の 問題点を解決し得るような、フッ素化材料からなる薄膜の作製方法を提供するこ とである。 この目的および他の目的は、真空成膜によって少なくとも1つのフッ化物から なる膜を作製するための方法であって、真空成膜操作の際に同時的に、ガス相内 に、少なくとも1つの還元性化学種と、フッ素原子またはフッ素分子またはフッ 化物とを、生成させおよび/または導入し、これにより、成膜時に、前記フッ化 物からなる膜のフッ素化を行う本発明によって、得られる。 したがって、本発明による方法は、上記従来の技術とは、一方においては、酸 素によるコンタミネーションのために部分酸化されたフッ化物のようなフッ素含 有化合物の還元と、他方においては、フッ素化との、二重の化学反応を原理とし ている点において、基本的に相違している。 これら2つの反応は、フッ素だけでなく活性水素のような還元性化学種までも 、生成させることにより、または、真空チャンバ内へ導入することにより、可能 である。 このステップは、フッ素化だけを行っていた従来技術から見れば、驚くべきも のであって、ほど遠いものである。 有利には、この還元性化学種およびこのフッ素は、インサイチュで生成される および/または導入される。すなわち、真空成膜が行われるチャンバまたは反応 炉内で直接的に生成されるおよび/または導入される。 この還元性化学種およびこのフッ素が、また、例えば個別の反応炉およびチャ ンバ内でといったように、「外部で」生成されおよび/または外部から導入でき ることは明らかである。 例えば、原子状の、分子状の、またば、結合状態の、フッ素は、F、F2、C F、CF2、CF3、CHF、CF4、等のような種とすることができる。 フッ素化を活性化するために、本発明の有利な実施形態においては、ガス相内 において、原子状または単原子フッ素を生成する。原子状または単原子フッ素の この生成は、好ましくはインサイチュで行われる。 本発明者らは、従来技術においては、(再)フッ素化反応が、主に、フッ化物 のようなフッ素化化合物の加水分解された形態または酸化された形態に対して行 われること、フッ化物MFx-tといったような化学量論的に欠乏したような形態 に対しては、あまり行われないこと、を見出した。 フッ素化ガスだけを導入し、これを分解して(再)フッ素化をするというだけ の方法においては、単純にフッ素を生成することだけが目的である。 このフッ素は、例えば以下の反応によって、化学量論的に欠乏したようなフッ 化物に対して、化学的に相互作用しなければならない。 MFx-t + tF ←→ MFx (1) この反応を行うためには、化合物MFx-tがフッ素と反応できるよう、フッ化 物のようなフッ素化された化合物の酸化形態または加水分解形態を還元する必要 がある。この反応は、従来技術では絶対に行われなかったものでありかつ本発明 にとっては基本的なものであって、還元性の好ましくは大いに還元性の化学種の 存在によって、可能とされる。 本発明においては、活性水素のような還元性化学種と、好ましくは単原子フッ 素のようなフッ素と、の生成のために、従来技術とは違って、MFx-tタイプの 化学量論的欠乏タイプの種の生成が促進され、上記(再)フッ素化反応(1)の 平衡が、還元反応(2)(3)を行うことによって、右辺へと移行する。還元反 応(2)(3)は、フッ素化反応(1)とは別に、プロセスにおいて役割を果た す。 MFx-t(OH)t + tH ←→ MFx-t + t(H2O) (2) MFx-tt/2 + tH ←→ MFx-t + t/2(H2O) (3) MFx-t + tF ←→ MFx (1) 本発明の方法においては、フッ化物のようなフッ化物の特に水酸化物および酸 化物の還元と、有効なフッ素化と、の双方が、もたらされる。 本発明による方法によると、膜のフッ素補償がもたらされることに付随して、 成膜されたフッ化物の酸素コンタミネーションの減少がもたらされるだけでなく 、特に可視スペクトルおよび紫外における光学吸収の急激な減少までもがもたら される。 したがって、本発明による方法によって作製された膜は、従来技術による膜で は得られなかった性質を組み合わせて有している。 本発明による方法によって作製される膜からなるフッ化物、特に薄膜からなる フッ化物は、制限がなく、有機化合物とも無機化合物ともすることができる。 無機化合物としては、上記フッ化物とすることができ、特に、例えば、アルカ リ金属およびアルカリ土類金属のフッ化物、ランタノイドのフッ化物、YF3お よびAlF3等といった他の金属のフッ化物、および、これらフッ化物の混合物 といったような金属フッ化物を例示することができる。 例えば、無機化合物としては、MgF2、ThF4、YF3、LaF3、NdF3 、CeF3、CaF2、LiF、ErF3、BaF2、KF、あるいは、YLiF4 、Y3KF10、LiErF4、KCeF4、K3CeF6、Ba3AlF9、Ba3Al212、Ba2Al313、Ba228、および、YBaF5、等を例示すること ができる。 有機化合物としては、例えば、フッ素化ポリマー、好ましくは、ポリテトラフ ルオロエチレンを例示することができる。 還元性の好ましくは大いに還元性の化学種とは、本発明においては一般的に、 例えば単原子タイプのものやイオンタイプのもののように、反応性であり好まし くは大いに反応性であり、上記反応に参加できるよう十分な寿命を有した、励起 種を意味している。 還元性の好ましくは大いに還元性の化学種は、任意の適切な還元性化学種とす ることができる。 このような還元性化学種は、好ましくは、例えば、水素ガスに由来するもの、 あるいは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、等といった水素含有ガス状アル カンまたはアルケンに由来するものとすることができる。しかしながら、還元性 化学種は、好ましくは、水素に由来するものである。すなわち、いわゆる、活性 水素である。 還元性化学種および単原子フッ素のようなフッ素は、一般には、単一ガスまた は混合ガスの分解によって生成される。 混合ガスが使用される場合には、フッ素化および/または成膜が行われるチャ ンバ内に、同時的に、一方においては、可能であればAr、Ne、Kr、または 、Xeのような中性ガスまたは希ガスによって希釈されたフッ素リッチなガスま たはフッ素と、他方においては、分解時に還元性の好ましくは大いに還元性の化 学種を生成し得るガスと、が導人される。後者のガスは、好ましくは水素であり 、化学種は、活性水素である。 好ましくは、フッ素リッチなガスは、カーボン数が1〜4であるガス状過フッ 化アルカンまたはアルケン、SF6、NF3、および、NH4Fの中から選択され る。 単一ガスが使用される場合には、単一ガスは、好ましくはCHF3、CH22 、CHF3といったようなカーボン数が1〜4である部分フッ化アルカンまたは アルケン、および、フッ化水素HFの中から選択される。好ましくは、このガス は、Ar、Ne、Kr、または、Xeのような中性ガスまたは希ガスによって希 釈される。 大いに反応性の単原子種の作製を行うために、例えば、導入された1種または 複数種のガスの分解は、好ましくは、プラズマによって、完全にまたは部分的に 行われる。 このプラズマは、例えば、イオンスパッタリングまたばイオンアシスト衝撃( IAD)ソースによって生成することができ、また、成膜に独立なイオンソース によって生成することができる。 有利には、大いに還元性の化学種、および/または、単原子フッ素のようなフ ッ素は、フッ素化されるべき表面、および/または、ターゲットすなわちソース の表面の近傍において生成される。 言い換えれば、還元性種およびフッ素の生成場所は、選択的なものとすること ができて、スパッタリング法および蒸着法の場合には、フッ化物材料ターゲット の表面近傍あるいはその表面のレベルとすることができ、また、特にイオンアシ スト成膜(IAD)の場合には、膜近傍とすることができる。 これは、本発明が関連する真空成膜方法が、一般的には、イオンビームスパッ タリング(IBS)、デュアルイオンビームスパッタリング(DIBS)(いわ ば、第2イオンビームによって補助されたIBS法)、および、イオンアシスト 成膜(IAD)の中から選択された励起型成膜法であることによる。 最後の技術の選択は、従来の蒸着法よりも10〜100倍の材料流れを生成で きること、および、フッ化物膜内に圧縮応力を誘起でき、薄膜の成膜は別として 、1μmよりも厚いような、2μmさえよりも厚いような、最大20μmにまで 到達するような、成膜が可能であること、において有利である。 そのような成膜は、内部張力応力が膜にクラックを発生させることのために、 従来技術では不可能である。 これら成膜方法が、中程度の温度、一般的には、100℃以下の温度で動作す ることに注意されたい。好ましくは、この温度は、周囲温度または通常温度であ る。すなわち、20〜25℃近辺の温度である。本発明においては、ターゲット すなわちソースは、従来技術とは異なり、加熱源を有していない。その理由は、 ターゲットすなわちソースは、好ましくば、周囲温度または通常温度に維持され るからである。 この場合、高温には耐えられないような例えばプラスチック(有機ガラス)製 の基板といったような、任意のタイプの基板上に、無反射性の厚い光学処理を、 「低温で」行うことができる。 本発明は、また、本発明の方法によって成膜された、1つまたは複数の膜、特 に1つまたは複数の薄膜、に関するものである。 このような膜、特に薄膜は、以下のような特性を有している。すなわち、幅広 いスペクトル領域にわたって極度に光学的に透明な性質と、優秀なコンパクトさ と、特定の化学組成と、を有している。言い換えれば、本発明による方法である と、特にフッ化物薄膜において、とりわけ可視領域においてだけではなく紫外ス ペクトル領域においてまでも光学吸収が小さいことを維持しつつ、物理的性質お よび機械的性質(密度、硬度、内部圧縮応力、等)を向上させることができる。 より詳細には、本発明による膜は、特にフッ化物膜は、351nmにおいて測 定された消光係数kが5×10-4以下であるような光学的透明性を有しているこ とを特徴としている。 この透明度は、一般に、可視領域においても当てはまる。すなわち、514n mにおいて測定された消光係数kが、10-4以下である。 本発明によるフッ化物薄膜の化学組成は、さらに、概して10%以内というよ うに、ほぼ化学量論的であることを特徴としている。すなわち、組成比x=[F ]/[M]が、バルク材料MFxの組成比に対して、10%以内という程度で近 いという特徴を有している。 組成比に伴って、酸素コンタミネーション(汚染)が、概して3%よりも小さ いといったように好ましくは1%よりも小さいといったように、非常に制限され る。 さらに、これら膜がイオンビームを使用した励起型方法によるものである限り においては、膜は、また、希ガスコンタミネーションを含有していることを特徴 としている。つまり、膜は、不純な状態において、Ne、Ar、Kr、Xeとい った希ガス原子を、0.1〜0.2%の程度から、1〜数%の程度までにわたっ て、例えば0.1〜10%といった程度で、含有している。 最後に、本発明によるフッ化物膜は、優秀なコンパクトさを備えており、バル ク材料の密度の概して85%以上の好ましくは90%以上の密度を有しているこ とを特徴としている。 したがって、そのため、例えばYF3、MgF2、CaF2といったような非吸 湿性材料に対しては、膜内の水分が非常に少ない。言い換えれば、2.9μmの 波長λにおいて測定された赤外光学損失は、500nmの厚さの膜においては、 1%よりも小さいままである。 本発明による膜は、概して、厚さが0.01〜5μmである。しかしながら、 いわゆる薄膜を、好ましくは、対象としている。 本発明においては、「薄膜」という用語は、厚さが好ましくは0.01〜1μ mである膜を指していることに注意されたい。 上述したように、本発明の方法において使用した成膜技術がIBS技術である 場合には、比較的厚い膜を形成することが可能である。つまり、1〜2μmより も厚い膜、好ましくは、0.01〜5μmの膜を形成することができる。したが って、構造すなわちスタックは、厚いものであって(後述)、0.1〜20μm の厚さを有している。 厚いフッ化物膜のそのような成膜は、膜にクラックを引き起こすような内部張 力応力をフッ化物膜が有しているような従来方法では不可能である。 本発明による膜は、例えばいわゆる高屈折率膜または低屈折率膜のものとする ことができる。 高屈折率膜の製造に適したフッ化物材料を例示するならば、ErF3、YF3、 CeF3、LaF3、NdF3、および、SrF2を挙げることができる。 低屈折率膜の製造に適したフッ化物材料を例示するならば、LiF、NaF、 KF、BaF2、MgF2、Na3AlF6、CaF2、AlF3、を挙げることがで きる。 本発明は、また、上記のような膜を複数備えてなる、とりわけ、上記のような 薄膜を複数備えてなる、マルチ膜スタック(あるいは、複数膜スタック、複数膜 積層)に関するものである。スタック内の膜の、数、性質、厚さ、特性、および 、膜構成は、任意のものとすることができる。 一般に、マルチ膜スタックは、2〜100個の膜を備えてなり、総厚さが例え ば0.1〜20μmである。 このようなスタックは、仏国特許出願明細書第96 07759号に詳細に開 示されている。この文献は、参考のためここに組み込まれる。 最後に、本発明は、可能であれば基板上に、上記の膜またはマルチ膜スタック を備えてなる光学部材に関するものである。 本発明によるマルチ膜スタックは、特に、例えば193、248、または35 0nmに典型的な中心波長を有した紫外領域用のミラーを作製するために使用す ることができる。 このようなミラーは、レーザー共鳴器において使用することができ、また、例 えばエキシマレーザーまたは自由電子レーザーの場合にはビームを輸送するため に使用することができる。本発明によれば、特に、厚さの厚い(1〜6μmの厚 さ)「すべてフッ化物からなる」ミラー(あるいは、「全フッ化物」ミラー)を 作製することができる。このミラーは、吸収が非常に少なく、紫外領域において 使用することができる。 スタックは、また、三色性ミラーといった複雑な機能や、強カレーザー束に耐 え得るようなスペクトルフィルタを作製するために使用することができる。これ は、特に、強力レーザー束に対する抵抗性が要求されるような非常に高エネルギ ーのレーザーにおける応用のために、351nmを中心とした調和分離ミラー( harmonic separating mirror)の場合である。 スタックは、また、透明であって吸収が少なくかつ無反射コーティングが適用 される応用分野に対して適切な光学的安定性および機械的安定性を有しているこ とにより、赤外、可視スペクトル、あるいは、紫外における無反射コーティング の作製に適している。 本発明は、また、「低温」で成膜されることのために、上述のように、プラス チックのような高温に耐性がなくかつ熱に敏感な基板上に、本発明による膜また はスタックが成膜されることによって構成された、無反射性の厚いコーティング に関するものである。このようなコーティングは、いわゆる「有機」ガラスを使 用した眼鏡産業の分野に、特に応用することができる。 スタックは、また、例えば酸化物ミラーといったような実在の光学部材のため の保護として使用することができる。その場合、腐食性環境下での、レーザー束 に対しての、また、エキシマレーザー共鳴器ポートに対しての、耐性を向上させ ることができる。 本発明の他の特徴点および利点は、添付図面を参照しつつ非制限的な例示によ って与えられる以下の説明を読むことにより、明瞭となるである。 図面の簡単な説明 図1は、YF3膜の透明度に対してのフッ素化方法の影響を示すグラフである 。 消光係数kは、従来方法によって作製された膜(試料A、B)と本発明によっ て作製された膜(試料C)とからなる試料A、B、Cに対して、それそれ、51 4nm(斜線領域)および351nm(網掛け領域)においてプロットされた。 図2は、本発明の方法によって作製された30対のYF3/LiF膜からなる スタックを備えてなる全フッ化物ミラーにおいて、波長λ(単位:nm)に対し ての反射Rを示す図である。 以下、本発明を、非制限的な例示によって与えられる以下の実験例を参照して 説明する。実験例1:フッ化イットリウム単一膜の成膜 この実験例においては、YF3ターゲットを使用したイオンビームスパッタリ ングによって、フッ化イットリウム(YF3)膜が、成膜される。実験例1A この実験例においては、フッ化イットリウム膜の成膜は、反応性ガスを使用せ ず非反応性条件下で、従来技術に基づく方法によって実施される。この方法の詳 細な条件は、以下のようなものである。 −焼結YF3ターゲット −スパッタリングガス:Xe −スパッタリングエネルギー:1keV このようにして得られた膜は、試料Aと称される。実験例1B この実験例においては、フッ化イットリウム膜の成膜は、ただ1つのフッ化ガ ス(CF4)を使用して反応性条件下で、従来技術に基づく方法によって実施さ れる。 この方法の詳細な条件は、付加的な反応性ガスCF4が使用されている点は別 として、上記(実験例1A)と同一である。 このようにして得られた膜は、試料Bと称される。実験例1C この実験例においては、フッ化イットリウム膜の成膜が、水素とCF4とを含 有した混合ガスを使用して水素による還元とフッ素化との双方を可能とした、本 発明に基づく方法によって実施される。 この方法の詳細な条件は、H2とCF4とを有した反応性混合ガスが付加的に使 用されている点は別として、上記(実験例1A)と同一である。 このようにして得られた膜は、試料Cと称される。 実験例1A、1B、1Cにおいて成膜された膜(試料A、B、C)の特性は、 表Iに示されている。 *比較のためのバルクYF3の計算に関し、バルクYF3の密度は、5.07で ある。 この表Iから、本発明による方法を使用して成膜された膜(試料C)が、従来 技術による方法を使用して成膜された膜(試料A、B)と比較して、ほぼ化学量 論的な組成であること(10%以内)、酸素によるコンタミネーションレベルが 3%以下といったようにさらには1%以下とさえいったように小さいこと、35 1nmにおける消光係数かずっと小さいこと、すなわち、試料Aの場合には3× 10-2であり試料Bの場合には1.5×10-2であるのに対し、試料Cにおいて は5×10-4よりもずっと小さいこと、において相違している。 本発明による膜(試料C)は、従来のスパッタ膜(試料B)と同様に、すべて の場合において、バルク状のフッ化イットリウムの密度の85%以上という高密 度を有しており、また、使用されているスパッタリング法の特徴のために、希ガ スによるコンタミネーション(表においては、Xeによるコンタミネーション) が小さい。 また、図1は、実験例1A、1B、1Cの条件下で成膜された様々な膜の消光 係数を示している。 このグラフにより、再度、本発明による方法の有効性を示すことができる。 様々な膜(試料A、B、C)の消光係数は、分光計によりあるいは光熱偏差方 法(photothermic deviation method)により、351nmと514nmとの波 長において測定された。 従来方法でありかつ1つのフッ素化ガスだけを使用した方法(実験例1B、試 料B)であると、フッ化物の吸収がわずかに減少するだけでしかないことに注意 されたい。すなわち、351nmの波長においては、kは、3×10-2から1. 5×10-2へと変化する。しかしながら、可視スペクトル領域においては、51 4nmにおいて、kは、1.2×10-2から10-4へと変化する。 他方、本発明による方法(実験例1C、試料C)であると、フッ化イツトリウ ムの消光係数が急激に減少する。すなわち、351nmの波長においては、1. 5×10-5へと、3桁も減少する。同じ傾向は、図1に示すように、514nm の波長においても、観測される。実験例2:フッ化リチウム単一膜の成膜 この実験例においては、LiFターゲットを使用したイオンビームスパッタリ ングによって、フッ化リチウム(LiF)膜が、成膜される。実験例2A この実験例においては、フッ化リチウム(LiF)膜の成膜は、反応性ガスを 使用せす特にフッ素化ガスを使用せず非反応性条件下で、従来技術に基づく方法 によって実施される。 この方法の詳細な条件は、実験例1Aの条件と同じである。 従来技術に基づいてこのようにして得られた膜ば、351nmの波長において は、1×10-2という光熱偏差方法によって測定された消光係数kを有している 。これは、フッ素欠乏の程度が大きいことの結果である。実験例2B この実験例においては、フッ化リチウム(LiF)膜の成膜は、H2とCF4と を含有した混合ガスを使用して水素による還元とフッ素化との双方を可能とした 、本発明に基づく方法によって実施される。 この方法の詳絹な条件は、実験例1Cの場合の条件と同一である。 消光係数kが、実験例2Aと同様にして、351nmという同じ波長において 測定された。本発明の方法によれば、消光係数kが、4.5×10-5であって、 ぼぼ3桁の大きさだけ減少させ得ることに注意されたい。 YF3膜に関連した実験例1と同様に、実験例2は、本発明による方法がLi Fの透明度の向上に非常に有効であることが示している。 これら実験例により、本発明による方法が、一般的に応用可能なものであり、 そのため、すべてのタイプのフッ化物材料に対して応用できることがわかる。実験例3:30対の膜からなるスタックから形成された全フッ化物ミラーの成膜 この実験例においては、YF3/LiFマルチフィルムスタックが成膜された 。このようなスタックは、仏国特許出願明細書第96 07759号の対象をな すものである。この文献は、参考のためここに組み込まれる。 従来のスタックは、高屈折率(H:YF3)の4分の1波長膜と低屈折率(B :LiF)の4分の1波長膜とが交互に積層されている。本発明による方法によ って成膜されたこれら2つの材料の屈折率は、355nmの波長において、それ それ、1.53および1.40に等しい。 これらの条件の下に計算を行うことで、30(HB)H2Bという組成のスタ ックは、355nmにおいて、97.5%という最大反射率が示される。実用的 には、このような反射は、入射光がミラーの背面へと貫通できそのため界面での 反射という利益が得られるよう、スタック内の膜の吸収があるレベルを超えない ような場合にのみ、得ることができる。計算によると、各膜の吸収係数がk=1 0-4を超えないという前提条件が示された。 30対の膜からなるそのようなミラーは、本発明の方法を使用して成膜された 。すなわち、成膜条件は、先の実験例1C、2Bと同じである。 このようなミラーの反射に関しての光学特性が、図2に示されている。 理論値に非常に近い97.44%という最大反射を、観測することができた。 このような結果は、使用された本発明による反応性方法によってのみスタック 内において十分に透明な単一膜の成膜を保証できることに由来して、得ることが できる。分光測定が6°の入射角度でなされたときに30°の入射角に対してミ ラーの計算がなされたことにより、ミラーのセンタリングが、355nmに対し てシフトしていることに注意されたい。 最後に、4μm厚さは別として、この実験例で示された処理が、完全な機械的 安定性を示すことを付け加えておく。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.真空成膜によって少なくとも1つのフッ化物からなる膜を作製するための方 法であって、 真空成膜操作の際に同時的に、ガス相内に、少なくとも1つの還元性化学種と 、フッ素原子またはフッ素分子またはフッ化物とを、生成させおよび/または導 入し、 これにより、成膜時に、前記フッ化物からなる膜のフッ素化を行うことを特徴 とする方法。 2.請求項1記載の方法において、 前記フッ化物が、フッ化金属およびフッ素化ポリマーの中から選択されている ことを特徴とする方法。 3.請求項1または2記載の方法において、 前記還元性化学種および/または前記フッ素が、インサイチュで生成されるお よび/または導入されることを特徴とする方法。 4.請求項1〜3のいずれかに記載の方法において、 前記フッ素が、原子状または単原子であることを特徴とする方法。 5.請求項1記載の方法において、 前記還元性化学種が、単原子タイプのものであるまたはイオンタイプのもので あることを特徴とする方法。 6.請求項1〜5のいずれかに記載の方法において、 前記還元性化学種が、水素ガスまたは水素含有ガスに由来するものであること を特徴とする方法。 7.請求項1〜6のいずれかに記載の方法において、 前記還元性化学種および前記フッ素が、単一ガスまたは混合ガスの分解によっ て生成されることを特徴とする方法。 8.請求項7記載の方法において、 前記混合ガスが、可能であれば中性ガスまたは希ガスによって希釈されたフッ 素リッチなガスまたはフッ素と、分解時に前記還元性化学種を生成し得るガスと 、を備えていることを特徴とする方法。 9.請求項8記載の方法において、 前記フッ素リッチなガスが、カーボン数が1〜4であるガス状過フッ化アルカ ン、SF6、NF3、および、NH4Fの中から選択されていることを特徴とする 方法。 10.請求項7記載の方法において、 前記単一ガスが、可能であれば中性ガスまたは希ガスによって希釈された、カ ーボン数が1〜4である部分フッ化アルカン、フッ化水素HFの中から選択され ていることを特徴とする方法。 11.請求項8記載の方法において、 分解時に前記還元性化学種を生成し得る前記ガスが、水素であり、前記化学種 が、活性水素であることを特徴とする方法。 12.請求項7記載の方法において、 前記分解が、プラズマの影響下で完全にまたは部分的に行われることを特徴と する方法。 13.請求項1〜12のいずれかに記載の方法において、 前記還元性化学種および/または前記フッ素が、フッ素化されるべき表面およ び/またはターゲットすなわちソースの表面の近傍において生成されることを特 徴とする方法。 14.請求項1〜13のいずれかに記載の方法において、 前記真空成膜操作が、イオンビームスパッタリング、デュアルイオンビームス パッタリング、および、イオンアシスト成膜の中から選択された励起型成膜技術 によって行われることを特徴とする方法。 15.請求項1〜14のいずれかに記載の方法において、 前記ターゲットすなわちソースが、周囲温度または通常温度に維持されること を特徴とする方法。 16.請求項2記載の方法において、 前記フッ化物が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のフッ化物、ランタノ イドのフッ化物、YF3およびAlF3といった他の金属のフッ化物、および、こ れらフッ化物の混合物の中から選択されていることを特徴とする方法。 17.請求項2記載の方法において、 前記フッ素化ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とす る方法。 18.請求項1〜17のいずれかに記載の方法によって成膜されたことを特徴と する膜。 19.金属フッ化物MFxからなる透明膜であって、 ほぼ化学量論的な組成を有し、 酸素コンタミネーションレベルが重量で3%よりも小さく、 351nmにおいて測定された消光係数kが5×10-4以下であることを特徴 とする膜。 20.請求項19記載の膜において、 バルク材料の密度の85%以上の密度を有していることを特徴とする膜。 21.請求項19または20記載の膜において、 514nmにおいて測定された消光係数が、10-4以下であることを特徴とす る膜。 22.請求項19〜21のいずれかに記載の膜において、 希ガスコンタミネーションを含有していることを特徴とする膜。 23.請求項18〜22のいずれかに記載の膜において、 厚さが0.01〜5μmであることを特徴とする膜。 24.請求項21記載の膜において、 厚さが0.01〜1μmであることを特徴とする膜。 25.請求項18〜24のいずれかに記載の膜を複数備えてなることを特徴とす るマルチ膜。 26.可能であれば基板上に、請求項18〜24のいずれかに記載の膜、および /または、請求項25記載のマルチ膜を備えてなることを特徴とする光学部材。 27.請求項26記載の光学部材において、 ミラー、三色性ミラー、スペクトルフィルタ、無反射コーテイング、または、 保護コーティングとして機能することを特徴とする光学部材。
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