JP2001511018A - 多型核酸フラグメントを分析または型分類するためのポリメラーゼおよびその使用 - Google Patents

多型核酸フラグメントを分析または型分類するためのポリメラーゼおよびその使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、多型DNAフラグメント、特に、ミニサテライト、マイクロサテライト、またはSTR DNAフラグメントを同定、分析、および型分類することにおける使用のための方法を提供する。特に、本発明は、DNAポリメラーゼ、より特定には熱安定性DNAポリメラーゼ、および最も特定にはThermotogaポリメラーゼまたはその変異体もしくは誘導体を使用して、それによって、ミニサテライト、マイクロサテライト、またはSTR DNA分子が、増幅され得そして多型について分析され得る方法を提供する。本発明はまた、合成された核酸分子に非テンプレート化3'ヌクレオチドを付加する減少した、実質的に減少した、または排除された能力を有するポリメラーゼに関する。本発明によれば、このような減少または排除は、所望のポリメラーゼを改変または変異させることによって達成され得る。

Description

【発明の詳細な説明】 多型核酸フラグメントを分析または型分類するためのポリメラーゼ およびその使用 発明の分野 本発明は、分子生物学および細胞生物学の分野内である。本発明は、DNAの多 型領域を分析および型分類する際に使用するための組成物および方法に関する。 より詳細には、本発明は、ポリメラーゼ(好ましくはDNAポリメラーゼおよび最 も好ましくは熱安定性DNAポリメラーゼ)の組成物、およびこれらの組成物を使 用して、多型、ミニサテライト、マイクロサテライト、またはSTR DNAフラグメ ントが増幅および分析され得る方法に関する。本発明の組成物および方法は、医 学遺伝学への適用、法廷での適用、および植物育種適用を含む、DNA増幅および 多型分析を用いる種々の技術に有用である。 本発明はまた、合成された核酸分子の3'末端に1つ以上の非テンプレート化ヌ クレオチドを付加する能力が減少した、実質的に減少した、または排除されたポ リメラーゼに関する。好ましくは、本発明のポリメラーゼは、熱安定性または中 温性ポリメラーゼである。詳細には、本発明のポリメラーゼ(例えば、DNAまた はRNAポリメラーゼ)は、このような活性を(非改変、非変異、または野生型ポ リメラーゼと比較して)減少、実質的に減少、または排除させるために変異また は改変されており、それによって、非テンプレート化3'末端ヌクレオチドをほと んどか、または全く有さない核酸分子を合成するポリメラーゼを提供する。した がって、このようなポリメラーゼは、このような分子のクローニングを容易にし 得る平滑端末端を有する二本鎖核酸分子を産生する増強されたまたはより大きい 能力を有する。本発明はまた、本発明のポリメラーゼのクローニングおよび発現 、クローン化された遺伝子を含む核酸分子、およびこの遺伝子を発現する宿主細 胞に関する。本発明のポリメラーゼは、DNA配列決定、増幅、核酸合成、および 多型分析に使用され得る。 本発明はまた、1つ以上のさらなる変異または改変を有する本発明のポリメラ ーゼに関する。このような変異または改変は、(1)3'→5'エキソヌクレアーゼ活 性を実質的に減少させる、および/または(2)5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を 実質的に減少させる変異または改変を含む。本発明のポリメラーゼは、1つ以上 のこれらの特性を有し得る。これらのポリメラーゼはまた、DNA配列決定、増幅 、核酸合成、および多型分析を含む(しかしこれらに限定されない)核酸分析に 使用され得る。 発明の背景 DNA構造 生物の遺伝子フレームワーク(すなわち、ゲノム)は、生物の体細胞および生 殖細胞に含まれるデオキシリボ核酸(DNA)におけるヌクレオチド塩基の二本鎖 配列中にコードされる。DNAまたは遺伝子の、特定のセグメントの遺伝的内容は 、遺伝子が最終的にコードするタンパク質の産生の際にのみ明らかになる。ゲノ ム中には構造的機能、調節機能、または未知の機能を供し得るタンパク質をコー ドしないさらなる配列(すなわち、「非コード」領域)がある。したがって、生 物または細胞のゲノムは、介在非コードDNA配列とともにタンパク質をコードす る遺伝子の完全なコレクションである。重要なことには、多細胞生物の各体細胞 は、病巣感染またはガンの場合を除いて、生物のゲノムDNAの完全相補物を含み 、ここで、1つ以上の異種DNA配列は、特定の細胞のゲノムDNAに挿入され得るが 、生物の他の非感染細胞には挿入され得ない。 ミニサテライトDNAおよびマイクロサテライトDNA 「ミニサテライトDNA」配列またはフラグメントとして公知の多型反復ヌクレ オチド配列の短いストレッチは、ほとんどの真核生物のゲノムDNA全体にわたっ て散在する(Jeffreys,A.J.ら,Nature 314:67-73(1985))。しばしば、これら の反復配列は、ゲノム内で、タンデムに、および変動可能な数で出現し、したが って、「短いタンデム反復」(「STR」)または「変動可能な数のタンデム反復 」(「VNTR」)と呼ばれることがある(米国特許第5,075,217号;Nakamuraら,S cience 235:1616-1622(1987)を参照のこと)。しかし、代表的には、ミニサ テライト反復ユニットは、約9〜60塩基長であり(Nakamuraら,Scicnce 235:16 16-1622(1987);WeberおよびMay,Am.J.Hum.Genet.44:388-396(1989))、こ の反復はタンデムで約20〜50回反復される(Watson,J.D.ら編,RecombinantDNA ,第2版,New York:Scientific American Books,146頁(1992))。「マイクロサ テライトDNA」と称されるミニサテライトDNAに類似である他の短い単純な配列( Litt,M.およびLuty,J.A.,Am.J.Hum.Genet 44:397-401(1989);Weberおよ びMay,Am.J.Hum.Genet.44:388-396(1989))は、通常、約1〜6塩基の反復 ユニット長であり、従って、モノマー(Economou,E.T.ら,Proc.Natl.Acad. Sci.USA 87:2951-2954(1990))、ダイマー、トリマー、クアトラマー、ペンタ マー、またはヘミサマー反復ユニット(Litt,M.およびLuty,J.A.,Am.J.Hum .Genet 44:397-401(1989);WeberおよびMay,Am.J.Hum.Genet.44:388-396( 1989))を生じる。ヒトゲノムにおける最も一般的なこれらの高度に多型のマイ クロサテライト配列は、ジヌクレオチド反復(dC-dA)n・(dG-dT)n(ここで、nは 所定のストレッチのヌクレオチドの反復の数である)であり、これは、約50,000 〜100,000のコピー数で存在するが(Tautz,D.およびRenz,M.,Nucl.Acids Re s.12:4127-4138(1984);Dib,C.ら,Nature 360:152-154(1996))、進化論的に 多様な真核生物のゲノムにおける種々の類似の反復配列の存在が報告されている (Hamada,H.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6465-6469(1982))。 ミニサテライト配列およびマイクロサテライト配列の実際のインビボ機能は未 知である。しかし、これらのタンデムに反復した配列は、ほとんどの真核生物の ゲノム全体にわたって分散され、サイズ多型を示し、そしてしばしばヘテロ接合 性(Weber,J.L.,Genomics 7:524-530(1990))であるので、これらは密接に関 連した個体を区別するために試みるアッセイにおいて、ならびに法的試験および 父性試験において、潜在的遺伝子マーカーとして調査されている(例えば、米国 特許第5,075,217号;Jeffreys,A.J.ら,Nature 332:278-281(1988)を参照のこ と)。変異がガン細胞においてマイクロサテライトDNA領域で頻繁に観察される という所見(Loeb,L.A.,Cancer Res.54:5059-5063(1994))、発ガン性プロセ スへのゲノム不安定性の潜在的な連結、およびガンの有用な遺伝子マーカーの 提供は、これらのゲノムDNA領域における多型の、迅速な分析および遺伝子型分 類を容易にする方法にさらなる重要性を与える。 ミニサテライトDNA配列またはSTR DNA配列を遺伝子型分類する方法 ミニサテライト、マイクロサテライト、またはSTR DNA配列多型を分析するた めに、種々の分子生物学的技術が用いられている。これらの技術には、制限断片 長多型(RFLP)または「DNAフィンガープリント法」分析が挙げられる(Wong,Z .ら,Nucl.Acids Res.14:4605-4616(1986);Wong,Z.ら,Ann.Hum.Genet 51 :269-288(1987);Jeffreys,A.J.ら,Nature 332:278-281(1988);米国特許同第 5,175,082号;同第5,413,908号;同第5,459,039号;および同第5,556,955号)。 しかし、Mullisおよび同僚らによって発明されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR) 方法に依存するような増幅に基づく方法は、RFLPおよびハイブリダイゼーション よりもSTR遺伝子型分類に対してはるかにより一般的に用いられる(米国特許第4 ,683,195号;同第4,683,202号;および同第4,800,159号を参照のこと)。これら の方法は、分析されるべきゲノムDNAの試料から増幅されるべき多型DNA配列に隣 接する、反対の領域に相補的である「プライマー」配列を使用する。これらのプ ライマーは、過剰のデオキシヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼ(例えば、Taq ポリメラーゼ;以下を参照のこと)とともにDNA標的試料に添加され、そしてプ ライマーは、塩基特異的結合相互作用(すなわち、アデニンはチミジンに、シト シンはグアニンに結合する)を介してそれらの標的に結合する。温度を上昇させ る工程、および温度を低下させる工程のサイクルに、反応混合物を反復して通過 させることによって(標的配列上の2つのDNA鎖の解離、ポリメラーゼによる各 鎖の相補的コピーの合成、および新しい相補鎖の再アニーリングを可能にして) 、DNAのミニサテライト配列またはSTR配列のコピー数は迅速に増加し、そしてゲ ル電気泳動のようなサイズ分離方法によって検出され得る。 PCRおよび関連の増幅アプローチは、STR領域またはミニサテライト領域を型分 類および分析するための方法を開発するための試みにおいて使用されている。例 えば、PCRは、(dC-dA)n・(dG-dT)n(Weber,J.L.およびMay,P.E.Am.J.Hum.Gen et.44:388-396(1989);Weber,J.L.,Genomics 7:524-530(1990);米国特許 第5,075,217号;同第5,369,004号;および同第5,468,613号)を含む、異なる個 体からのマイクロサテライト配列における多型を分析するために用いられている 。類似の方法は、DNA型分類を行い、そして個々の試料間の多型を検出するため に、種々の医学試料および法廷試料に適用されている(米国特許第5,306,616号 ;同第5,364,759号;同第5,378,602号;および同第5,468,610号)。 DNAポリメラーゼのインビトロでの使用 上記の増幅に基づく技術は、新しく形成するDNA鎖へのデオキシヌクレオシド 三リン酸(dNTP)塩基の付加を触媒する、DNAポリメラーゼの使用を必要とする 。他の酵素(例えば、ヘリカーゼ、リガーゼ、およびATPase)とともに、DNAポ リメラーゼは、原核生物、真核生物、およびウイルスにおいてインビボでの増殖 のための調製において、迅速および比較的正確なDNAの複製を確実にする。 DNAポリメラーゼは、DNAテンプレートに相補的であるDNA分子の形成を合成す る。一本鎖DNAテンプレートへのプライマーのハイブリダイゼーションの際、ポ リメラーゼは5'→3'方向でDNAを合成し、伸長する鎖の3'-ヒドロキシル基ヘヌク レオチドをうまく付加する。従って、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP )およびプライマーの存在下で、一本鎖DNAテンプレートに相補的な、新しいDNA 分子が、合成され得る。 5'→3'方向でdNTPをDNAに付加する活性(すなわち、「ポリメラーゼ」活性) に加えて、多くのDNAポリメラーゼは、5'→3'および/または3'→5'方向でdNTP を除去する活性(すなわち、「エキソヌクレアーゼ」活性)もまた有する。しか し、特定のDNAポリメラーゼのこの二重の活性は、インビトロでのいくつかの適 用に対する欠点である。例えば、ポリメラーゼ活性によるDNAフラグメントのイ ンタクトなコピーのインビトロ合成は、テンプレートDNA鎖に沿って5'→3'方向 で進行する伸長プロセスであり、これは、新しく形成されたDNAを同時にまたは 続いて分解し得るエキソヌクレアーゼ活性によって危険に陥れられる。 ミニサテライト、マイクロサテライト、およびSTR DNA配列のPCRに基づく遺伝子 型分類の制限 ミニサテライトまたはSTR DNA配列の分析へのPCRに基づく方法の適用は、多く の重要な制限を有する。例えば、PCRおよび関連の自動化増幅方法で一般的に用 いられるTaqおよび他の熱安定性DNAポリメラーゼの使用が、非テンプレート化3' 末端ヌクレオチドを含む増幅産物の蓄積を生じることが示されている(Clark,J .M.ら,J.Molec.Biol.198:123-127(1987);Clark,J.M.,Nucl.Acids Res. 16:9677-9686(1988);Hu,G.,DNA Cell Biol.12:763-770(1993))。すなわち 、増幅の各ラウンドで産生された新しく合成されたDNA鎖のいくつかは、新しく 合成された鎖が1塩基によってより長くなり得るように、3'末端に付加された余 分のヌクレオチドを有していた。 非テンプレート化ヌクレオチド付加は、テンプレート指向型合成(Clark,J.M .,Nucl.Acids Res.16:9677-9686(1988))と比較して遅いプロセスであり、そ してその程度は、配列依存的である(Hu,G.,DNA Cell Biol.12:763-770(1993 );Brownstein,M.J.ら,BioTechniques 20:1004-1010(1996))。結果として、P CR産物は、研究者によって使用されるプライマーおよび反応条件に依存して、余 分なヌクレオチド付加に関して、しばしば不均質である(Magnuson,V.L.ら,Bi oTechniques 21:700-709(1996))。余分なヌクレオチド付加は、PCR増幅中のス リップ(slippage)による「スタッター(stutter)」と組み合わせて(Levinson,G .およびGutman,G.A.,Molec.Biol.Evol.4:203-221(1987);Schlotterer,C. およびTautz,D.,Nucl.Acids Res.20:211-215(1992))、特に自動化方法によ る中断が困難な複雑なDNAフラグメントパターンを頻繁に生じる。これによって 、特に、非テンプレート化ヌクレオチド付加の割合が、PCR産物の30〜70%の間 であるならば、不適当な遺伝子型分類の分析が生じ得る(Smith,J.R.ら,Genom e Res.5:312-317(1995))。 したがって、上記の不確定な結果を生じない、多型DNAフラグメント、特にミ ニサテライト、マイクロサテライト、またはSTR DNAフラグメントを同定、分析 、および型分類するための迅速な自動化方法についての必要性が、現在存在する 。本発明は、このような方法を提供する。 本発明の簡単な要旨 本発明は、細胞、特に真核生物細胞からのDNAの試料において、多型DNAフラグ メント、特にミニサテライト、マイクロサテライト、またはSTR DNAフラグメン トの同定、分析、および型分類に有用な方法を提供することによって、当該技術 分野でのこれらの必要性を満たす。詳細には、本発明は、細胞、好ましくは真核 生物細胞から単離されたDNA試料においてDNA分子を分析または型分類する場合で の使用のために、増幅したDNA分子の集団を産生する方法を提供する。本発明の 方法は、DNA分子の3'末端に1つ以上の非テンプレート化ヌクレオチドを付加す る能力が減少した、実質的に減少した、または排除されたDNAポリメラーゼ(好 ましくは熱安定性DNAポリメラーゼ)とDNA試料とを接触させる工程、DNA試料内 で多型DNAフラグメント、好ましくはミニサテライト、マイクロサテライト、ま たはSTR DNAフラグメントを増幅する工程、および増幅した多型DNAフラグメント を分析する工程を包含する。本発明の方法では、分析工程は、例えば、増幅され たDNA分子をサイズ分類または配列決定する工程、ならびに必要に応じて、増幅 されたDNA分子のサイズおよび/もしくは配列を本発明に従って増幅された異な るDNA試料と比較する工程を包含し得る。本発明の好ましい実施態様では、熱安 定性DNAポリメラーゼは、Thermotoga DNAポリメラーゼ、好ましくは、3'-5'エキ ソヌクレアーゼ活性が実質的に減少したThermotoga DNAポリメラーゼ、より好ま しくはTneポリメラーゼ、Tmaポリメラーゼ、またはそれらの変異体もしくは誘導 体、および最も好ましくは、以下からなる群より選択されるTneポリメラーゼの 変異体である:Tne N'Δ219,D323A;Tne N'Δ283,D323A;Tne N'Δ284,D323A ;Tne N'Δ193,D323A;Tne D137A,D323A;Tne D8A,D323A;Tne G195D,D323A ;Tne G37D,D323A;Tne N'Δ283;Tne D137A,D323A,R722K;Tne D137A,D323 A,R722Y;Tne D137A,D323A,R722L;Tne D137A,D323A,R722H;Tne D137A,D 323A,R722Q;Tne D137A,D323A,F730Y;Tne D137A,D323A,K726R;Tne D137A ,D323A,K726H;Tne D137A,D323A,R722K,F730Y;Tne D137A,D323A,R722K ,K726R;Tne D137A,D323A,R722K,K726H;Tne D137A,D323A,R722H,F730Y ;Tne D137A,D323A,R722H,K726R;Tne D137A,D323A,R722H,K726H;Tne D1 37A,D323A,R722Q,F730Y;Tne D137A,D323A,R722Q,K726R;Tne D137A,D32 3A,R722Q,K726H;Tne D137A,D323A,R722N,F730Y;Tne D137A,D323A,R722 N, K726R;Tne D137A,D323A,R722N,K726H;Tne D137A,D323A,F730S;Tne N'Δ 283,D323A,R722K/H/Q/N/Y/L;Tne N'Δ219,D323A,R722K;Tne N'Δ219,D32 3A,F730Y;Tne N'Δ219,D323A,K726R;Tne N'Δ219,D323A,K726H;Tne D13 7A,D323A,F730S,R722K/Y/Q/N/H/L,K726R/H;Tne D137A,D323A,F730T,R72 2K/Y/Q/N/H/L,K726R/H;Tne D137A,D323A,F730T;Tne F730S;Tne F730A;Tn e K726R;Tne K726H;およびTne D137A,D323A,R722N。本発明は、特に上記の 方法に関し、ここで、真核生物細胞は、植物細胞または動物細胞、好ましくは哺 乳動物細胞、より好ましくは正常、病的、ガン性、胎児、または胚性哺乳動物細 胞、および最も好ましくはヒト細胞である。本発明はまた、多型、ミニサテライ ト、マイクロサテライト、またはSTR DNAフラグメントを単離する工程、および ベクター、好ましくは発現ベクターにそのフラグメントを挿入する工程をさらに 包含する、上記の方法に関する。本発明の方法によって、多型またはマイクロサ テライトDNAフラグメントは、ベクターに挿入される前に増幅され得る。 本発明はまた、第1の個体と第2の個体との間の関係を決定する方法を提供し 、DNA分子の3'末端に1つ以上の非テンプレート化ヌクレオチドを付加する能力 が減少した、実質的に減少した、または排除されたDNAポリメラーゼ(例えば、 熱安定性DNAポリメラーゼ)と第1および第2の個体からのDNA試料とを接触させ る工程、増幅された多型DNAフラグメントのコレクションを生成するためにDNA試 料中で1つ以上のDNA分子を増幅する工程、長さによって増幅したDNAフラグメン トを分離する工程、および第1の個体からの増幅されたDNAフラグメントのパタ ーンを第2の個体のパターンと比較する工程を包含する。この方法はまた、2つ の個体のうち1個体のみに特異的に存在する、1つ以上の独特の多型DNAフラグ メント、特にミニサテライト、マイクロサテライト、またはSTR DNAフラグメン トの同定を可能にする。この方法は、独特の多型、ミニサテライト、マイクロサ テライト、またはSTR DNAフラグメントの配列を決定する工程をさらに包含し得 る。本発明のこの実施態様では、熱安定性DNAポリメラーゼは、Thermotoga DNA ポリメラーゼ、好ましくは、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性が実質的に減少したT hermotoga DNAポリメラーゼ、より好ましくはTneポリメラーゼ、Tmaポリメラー ゼ、またはそれらの変異体もしくは誘導体、および最も好ましくは、以下からな る群 より選択されるTneポリメラーゼの変異体である:Tne N'Δ219,D323A;Tne N' Δ283,D323A;Tne N'Δ284,D323A;Tne N'Δ193,D323A;Tne D137A,D323A; Tne D8A,D323A;Tne G195D,D323A;Tne G37D,D323A;Tne N'Δ283;Tne D137 A,D323A,R722K;Tne D137A,D323A,R722Y;Tne D137A,D323A,R722L;Tne D 137A,D323A,R722H;Tne D137A,D323A,R722Q;Tne D137A,D323A,F730Y;Tn e D137A,D323A,K726R;Tne D137A,D323A,K726H;Tne D137A,D323A,R722K ,F730Y;Tne D137A,D323A,R722K,K726R;Tne D137A,D323A,R722K,K726H ;Tne D137A,D323A,R722H,F730Y;Tne D137A,D323A,R722H,K726R;Tne D1 37A,D323A,R722H,K726H;Tne D137A,D323A,R722Q,F730Y;Tne D137A,D32 3A,R722Q,K726R;Tne D137A,D323A,R722Q,K726H;Tne D137A,D323A,R722 N,F730Y;Tne D137A,D323A,R722N,F726R;Tne D137A,D323A,R722N,K726H ;Tne D137A,D323A,F730S;Tne N'Δ283,D323A,R722K/H/Q/N/Y/L;Tne N'Δ 219,D323A,R722K;Tne N'Δ219,D323A,F730Y;Tne N'Δ219,D323A,K726R ;Tne N'Δ219,D323A,K726H;Tne D137A,D323A,F730S,R722K/Y/Q/N/H/L,K 726R/H;Tne D137A,D323A,F730T,R722K/Y/Q/N/H/L,K726R/H;Tne D137A,D3 23A,F730T;Tne F730S;Tne F730A;Tne K726R;Tne K726H;およびTne D137A ,D323A,R722N。本発明は、特に、第1または第2の個体が動物または植物であ り、そして最も好ましくは第1または第2の個体がヒトである、上記の方法に関 する。 本発明はまた、変異体Tne DNAポリメラーゼタンパク質をコードする単離され た核酸分子を提供し、ここで変異体Tne DNAポリメラーゼタンパク質は、配列番 号4〜10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を有する。本発明はまた、配 列番号4〜10のいずれか1つに記載されるようなアミノ酸配列を有する変異体Tn e DNAポリメラーゼタンパク質、最も好ましくは、Tne N'Δ283,D323A(配列番 号4);Tne N'Δ193,D323A(配列番号5);Tne D137A,D323A(配列番号6) ;Tne D8A,D323A(配列番号7);Tne G195D,D323A(配列番号8);Tne G37D ,D323A(配列番号9);およびTne N'Δ283(配列番号10)からなる群から選択 される変異体Tneポリメラーゼタンパク質を提供する。本発明はまた、以下から なる群より選択される変異体Tneポリメラーゼについての核酸分子およびこのよ うな核酸分子によってコードされるタンパク質に関する:Tne N'Δ283;T ne D137A,D323A,R722K;Tne D137A,D323A,R722Y;Tne D137A,D323A,R722L ;Tne D137A,D323A,R722H;Tne D137A,D323A,R722Q;Tne D137A,D323A,F7 30Y;Tne D137A,D323A,K726R;Tne D137A,D323A,R726H;Tne D137A,D323A ,R722K,F730Y;Tne D137A,D323A,R722K,K726R;Tne D137A,D323A,R722K ,K726H;Tne D137A,D323A,R722H,F730Y;Tne D137A,D323A,R722H,F726R ;Tne D137A,D323A,R722H,K726H;Tne D137A,D323A,R722Q,F730Y;Tne D1 37A,D323A,R722Q,K726R;Tne D137A,D323A,R722Q,K726H;Tne D137A,D32 3A,R722N,F730Y;Tne D137A,D323A,R722N,K726R;Tne D137A,D323A,R722 N,K726H;Tne D137A,D323A,F730S;Tne N'Δ283,D323A,R722K/H/Q/N/Y/L; Tne N'Δ219,D323A,R722K;Tne N'Δ219,D323A,F730Y;Tne N'Δ219,D323A ,K726R;Tne N'Δ219,D323A,K726H;Tne D137A,D323A,F730S,R722K/Y/Q/N /H/L,K726R/H;Tne D137A,D323A,F730T,R722K/Y/Q/N/H/L,K726R/H;Tne D1 37A,D323A,F730T;Tne F730S;Tne F730A;Tne K726R;Tne K726HおよびTne D 137A,D323A,R722N。これらの変異は、示されたアミノ酸変異を有する変異体ポ リメラーゼを産生するために配列番号2に対して作製され得る(ここで、例えば 、「D137A」は配列番号2の137位でのAsp(D)残基がAla(A)残基に変異されている ことを示し、そして例えば、「R722K/Y/Q/N/H/L」は、配列番号2の722位でのAr g(R)残基が、Lys(K)、Tyr(Y)、Gln(Q)、Asn(N)、His(H)、またはLeu(L)残基に変 異されていることを示す)。 本発明はまた、多型DNAフラグメント、特にミニサテライトフラグメント、マ イクロサテライトフラグメント、またはSTR DNAフラグメントの同定、分析、ま たは型分類するためのキットを提供し、非テンプレート化3'末端ヌクレオチドを 付加する能力が減少した1つ以上のDNAポリメラーゼを含む、実質的に減少した 1つ以上のDNAポリメラーゼを含む、または排除された1つ以上のDNAポリメラー ゼを含む第1の容器を含む。本発明によるキットは、1つ以上のDNAプライマー 分子を含む容器、DNAテンプレートに相補的なDNA分子を合成するために必要とさ れる、1つ以上のデオキシヌクレオシド三リン酸を含む容器、および本発明の方 法によって多型DNAフラグメントを同定、分析、または型分類するための適切な 緩衝液を含む容器からなる群より選択される追加の容器を含み得る。任意の数の キットのこれらの成分は、本発明のキットを提供するために単一または複数の容 器と組み合わされ得る。本発明によれば、キットのDNAポリメラーゼは、好まし くはThermotoga DNAポリメラーゼ、より好ましくは、3'-5'エキソヌクレアーゼ 活性が実質的に減少したThermotoga DNAポリメラーゼ、さらにより好ましくはTn eポリメラーゼ、Tmaポリメラーゼ、またはそれらの変異体もしくは誘導体、およ び最も好ましくは、以下からなる群より選択されるTneポリメラーゼの変異体で ある:Tne N'Δ283;Tne D137A,D323A,R722K;Tne D137A,D323A,R722Y;Tne D137A,D323A,R722L;Tne D137A,D323A,R722H;Tne D137A,D323A,R722Q; Tne D137A,D323A,F730Y;Tne D137A,D323A,K726R;Tne D137A,D323A,K726 H;Tne D137A,D323A,R722K,F730Y;Tne D137A,D323A,R722K,F726R;Tne D 137A,D323A,R722K,F726H;Tne D137A,D323A,R722H,F730Y;Tne D137A,D3 23A,R722H,F726R;Tne D137A,D323A,R722H,F726H;Tne D137A,D323A,R72 2Q,F730Y;Tne D137A,D323A,R722Q,F726R;Tne D137A,D323A,R722Q,F726 H;Tne D137A,D323A,R722N,F730Y;Tne D137A,D323A,R722N,F726R;Tne D 137A,D323A,R722N,F726H;Tne D137A,D323A,F730S;Tne N'Δ283,D323A, R722K/H/Q/N/Y/L;Tne N'Δ219,D323A,R722K;Tne N'Δ219,D323A,F730Y;T ne N'Δ219,D323A,K726R;Tne N'Δ219,D323A,K726H;Tne D137A,D323A,F 730S,R722K/Y/Q/N/H/L,K726R/H;Tne D137A,D323A,F730T,R722K/Y/Q/N/H/L ,K726R/H;Tne D137A,D323A,F730T;Tne F730S;Tne F730A;Tne K726R;Tne K726H;およびTne D137A,D323A,R722N。 本発明はまた、合成された核酸分子の3'末端に1つ以上の非テンプレート化ヌ クレオチドを付加するために減少した(対応する野生型、非変異、または非改変 ポリメラーゼと比較して)、実質的に減少した、または排除された能力を有する 変異したポリメラーゼまたは改変したポリメラーゼ(DNAまたはRNAポリメラーゼ )に一般的に関する。好ましくは、このような変異体または改変されたポリメラ ーゼは、合成された核酸分子の3'末端に1つ以上の非テンプレート化ヌクレオチ ドを付加する実質的に減少した能力を有する。本発明のこのようなポリメラーゼ は、熱安定性または中等温度好性ポリメラーゼであり得る。したがって、本発明 は、このような変異または改変されたポリメラーゼおよびこのようなポリメラ ーゼを含むキットに関する。本発明はまた、DNA配列決定、増幅反応、核酸合成 、および多型分析を含む多くの手順において、このような変異体または改変され たポリメラーゼの使用に関する。 本発明において、特に目的の変異体または改変されたポリメラーゼには、Taq DNAポリメラーゼ、Tne DNAポリメラーゼ、Tma DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメ ラーゼ、Tfl DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Tbr DNAポリメラーゼ、P wo DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ、Bca DNAポリメラーゼ、VENTTMDNA ポリメラーゼ、DEEP VENTTMDNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、T5 DNAポリ メラーゼ、DNAポリメラーゼIII、クレノウフラグメントDNAポリメラーゼ、Stoff elフラグメントDNAポリメラーゼ、およびそれらの変異体、フラグメント、また はそれらの誘導体が挙げられる。目的のRNAポリメラーゼには、T7、SP6、および T3 RNAポリメラーゼ、ならびにその変異体、改変体、および誘導体が挙げられる 。 本発明は、特に、変異体PolI型DNAポリメラーゼ(好ましくは、熱安定性DNAポ リメラーゼ)に関し、ここで、1つ以上の変異は、酵素が、合成された核酸分子 の3'末端に1つ以上の非テンプレート化ヌクレオチドを付加する能力を減少、実 質的に減少、または排除するO-ヘリックスでなされている。O-ヘリックスは、RX XXKXXXFXXXYX(配列番号11)として定義され、ここでXは任意のアミノ酸であり 得る。本発明のポリメラーゼを産生するための変異または改変について好ましい 部位は、O-ヘリックス中のRおよび/またはFおよび/またはKおよび/またはY位 置であるが、O-ヘリックス内の他の変化(またはその組み合わせ)が、所望のポ リメラーゼを作成するためになされ得る。本発明のこの好ましい局面では、Rお よび/またはFおよび/またはKおよび/またはYは、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、 Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、お よびValを含む任意の他のアミノ酸で置換され得る。 本発明によると、他の機能的変化(またはその組み合わせ)は、合成された核 酸分子の3'末端に非テンプレート化ヌクレオチドを付加する減少した能力を有す るポリメラーゼに対して作成され得る。例えば、ポリメラーゼはまた、5'エキソ ヌクレアーゼ活性、および/または3'エキソヌクレアーゼ活性を減少、実質的に 減少、または排除するように改変され得る。したがって、本発明は、以下からな る群より選択される少なくとも1つの方法で改変される非テンプレート化ヌクレ オチドを付加する減少した能力を有する変異体または改変されたDNAポリメラー ゼに関する: (a)ポリメラーゼの3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を減少または排除させること ; (b)ポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を減少または排除させること 。 任意の1つまたは多くのこれらの変異または改変(またはその組み合わせ)は 、本発明のポリメラーゼを提供するために行われ得る。本発明の好ましいポリメ ラーゼはまた、非テンプレート化3'ヌクレオチドを付加する減少した能力を有す るほかに、減少した、実質的に減少した、または排除された3'エキソヌクレアー ゼ活性を有する。 本発明はまた、本発明の変異体または改変されたポリメラーゼをコードする遺 伝子を含む核酸分子(好ましくは、ベクター)およびこのような分子を含む宿主 細胞に関する。任意の数の宿主が、目的の遺伝子を発現するために使用され得、 原核生物および真核生物細胞を含む。好ましくは、原核生物細胞が、本発明のポ リメラーゼを発現するために使用され得る。本発明に関して好ましい原核生物宿 主はE.coliである。 本発明はまた、本発明のポリメラーゼを産生する方法に関し、この方法は、 (a)本発明のポリメラーゼをコードする遺伝子を含む宿主細胞を培養する工程 ; (b)上記遺伝子を発現させる工程;および (c)上記宿主細胞から上記ポリメラーゼを単離する工程、 を包含する。 本発明はまた、核酸分子を合成する方法に関し、この方法は、 (a)1つ以上の核酸テンプレート(例えば、RNAまたはDNA)を本発明の1つ以 上のポリメラーゼと混合する工程;および (b)上記テンプレートのすべてまたは一部に相補的な核酸分子を合成するため に十分な条件下で上記混合物をインキュベートする工程、 を包含する。このような条件は、1つ以上のデオキシリボヌクレオシド三リン酸 および/またはジデオキシリボヌクレオシド三リン酸とのインキュベーションを 含み得る。このようなデオキシリボヌクレオシド三リン酸およびジデオキシリボ ヌクレオシド三リン酸には、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、dITP、7-デアザ-dGTP、7 -デアザ-dATP、dUTP、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP、ddTTP、[α-S]dATP、[α-S ]dTTP、[α-S]dGTP、および[α-S]dCTPが挙げられる。合成された核酸分子は、 本発明に従って、1つ以上のベクターにクローニングされ得る。 本発明はまた、DNA分子を配列決定する方法に関し、この方法は、 (a)プライマーを第1のDNA分子にハイブリダイズする工程; (b)工程(a)の上記分子を、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、本発明の1つ 以上のDNAポリメラーゼ、および1つ以上のターミネーターヌクレオチドと接触 させる工程; (c)上記第1のDNA分子に相補的なDNA分子のランダム集団を合成するために十 分な条件下で、工程(b)の混合物をインキュベートする工程であって、ここで、 上記合成されたDNA分子が、上記第1のDNA分子よりも長さが短く、そして上記合 成されたDNA分子がその3'末端にターミネーターヌクレオチドを含む、工程;お よび (d)上記第1のDNA分子のヌクレオチド配列の少なくとも一部が決定され得るよ うに、上記合成されたDNA分子をサイズによって分離する工程、 を包含する。このようなターミネーターヌクレオチドには、ddTTP、ddATP、ddGT P、ddITP、またはddCTPのようなジデオキシリボヌクレオシド三リン酸が挙げら れるが、これらに限定されない。 本発明はまた、二本鎖DNA分子を増幅するための方法に関し、この方法は、 (a)第1および第2のプライマーを提供する工程であって、ここで、上記第1 のプライマーが、上記DNA分子の第1の鎖の3'末端のまたは近くの配列に相補的 であり、そして第2のプライマーが、上記DNA分子の第2の鎖の3'末端のまたは 近くの配列に相補的である、工程; (b)上記第1の鎖に相補的な第3のDNA分子および上記第2の鎖に相補的な第4 のDNA分子が合成されるような条件下で、本発明の1つ以上のポリメラーゼの存 在下で、上記第1のプライマーを上記第1の鎖に、および上記第2のプライマー を上記第2の鎖にハイブリダイズする工程; (c)上記第1および第3の鎖、ならびに上記第2および第4の鎖を変性する工 程;および (d)工程(a)〜(c)を1回以上反復する工程、 を包含する。本発明の方法によって産生される増幅した二本鎖核酸分子は、1つ 以上のベクターにクローニングされ得る。したがって、本発明はまた、増幅され たDNA分子をクローニングする方法に関し、この方法は、 (a)本発明の1つ以上のポリメラーゼを用いて1つ以上のDNA分子を増幅する工 程;および (b)上記増幅されたDNA分子を1つ以上のベクターに連結する工程、 を包含する。 本発明は、さらに、核酸分子をクローニングする方法に関し、この方法は、 (a)核酸テンプレート(または1つ以上のテンプレート)を本発明の1つ以上 のポリメラーゼと混合する工程; (b)上記テンプレートのすべてまたは一部に相補的な核酸分子を合成するため に十分な条件下で上記混合物をインキュベートし、それによって二本鎖核酸分子 (好ましくは、二本鎖DNA分子)を産生する工程;および (c)上記二本鎖核酸分子を1つ以上のベクターに連結する工程、 を包含する。 好ましくは、増幅されたまたは合成された二本鎖核酸分子を連結するために使 用されるベクターは、平滑末端を有し、そして平滑末端切断を提供する当該技術 分野で公知の任意の1つまたは多くの制限酵素でベクターを切断することによっ て調製され得る。このような制限酵素には、ScaI、SmaI、HpaI、HincII、HaeIII 、AluIなどが挙げられる。 本発明はまた、核酸分子の配列決定、増幅、合成、またはクローニングのため のキットに関し、このキットは、本発明の1つ以上のポリメラーゼおよび以下か らなる群より選択される1つ以上の他の成分(またはその組み合わせ)を含む: (a)1つ以上のジデオキシリボヌクレオシド三リン酸; (b)1つ以上のデオキシリボヌクレオシド三リン酸; (c)1つ以上のプライマー; (d)1つ以上の適切な緩衝液;および (e)1つ以上のリガーゼ。 本発明の他の好ましい実施態様は、以下の本発明の図面および説明、ならびに 請求の範囲を考慮して当業者に明らかである。 図面の簡単な説明 図1は、pSport1およびpUC19においてTne DNAポリメラーゼ遺伝子を含む適切 なDNAフラグメントの制限マップを示す。この図はまた、O-ヘリックス相同配列 を含む領域を示す。 図2Aは、プラスミドpUC-Tne(3'→5')およびpUC-Tne FYの構築を図示する。 図2Bは、プラスミドpTrcTne35およびpTrcTne FYの構築を図示する。 図3は、プラスミドpTrcTne35 FYの構築を図示する。 図4は、プラスミドpTTQTne5FYおよびpTTQTne535FYの構築を図示する。 図5は、Taq DNAポリメラーゼ遺伝子を含むプラスミドを示す。 図6は、ポリメラーゼ変異体が非テンプレート化3'ヌクレオチドを付加する能 力を示すオートラジオグラムを示す。 図7は、これらの対立遺伝子に対応するプライマーを使用する、CD4遺伝子座 の上流および下流対立遺伝子のPCR増幅の産物のオートラジオグラムであり、Taq DNAポリメラーゼによるがTne DNAポリメラーゼによらない非テンプレート化ヌ クレオチド付加(n+1)を証明する。 図8は、これらの対立遺伝子に対応するプライマーを使用する、D20S27遺伝子 座の上流および下流対立遺伝子のPCR増幅の産物のオートラジオグラムであり、T aq DNAポリメラーゼによるがTne DNAポリメラーゼによらない非テンプレート化 ヌクレオチド付加(n+1)を証明する。 図9は、D15S153(図9Aおよび9B)およびD15A127遺伝子座(図9Cおよび9D)で のPCR増幅のエレクトロフェログラム(electropherogram)ゲルスキャンの混成図 であり、Taq DNAポリメラーゼによる(図9Aおよび9C)がTne DNAポリメラーゼに よらない(図9Bおよび9D)非テンプレート化ヌクレオチド付加(n+1)を証明す る。 図10AおよびBは、D16S405およびD16S401遺伝子座でのPCR増幅のエレクトロフ ェログラムゲルスキャンの混成図である。 図11は、D16S401遺伝子座でのPCR増幅のエレクトロフェログラムゲルスキャン の混成図である。 図12AおよびBは、D15S127およびD15S153遺伝子座でのPCR増幅のエレクトロフ ェログラムゲルスキャンの混成図である。 図13は、D16S401遺伝子座でのPCR増幅のエレクトロフェログラムゲルスキャン の混成図である。 発明の詳細な説明 定義 以下に続く説明では、組換えDNA技術で使用される多くの用語が、広く利用さ れる。このような用語で与えられるべき範囲を含む、明細書および請求の範囲の より明確かつ一貫した理解を提供するために、以下の定義が提供される。 多型性。当業者によって理解される場合、核酸分子は、1つより多くの形態で 存在し得るならば、「多型性」であるという。例えば、核酸分子は、1つより多 くの特定のヌクレオチド配列(例えば、同じタンパタ質をそれぞれコードし得る 縮重核酸分子または遺伝子)を有し得るならば、多型であるという。より普通に は、核酸分子は、サイズ差(すなわち、長さの差)を示すならば、特に、異なる 個体からの核酸分子の比較が行われる場合、多型性であるという。もちろん、用 語「多型性」の他の定義は、当業者に明らかであり、そしてまたこの定義内に含 まれる。 クローニングベクター。プラスミド、コスミド、もしくはファージDNA、また は宿主細胞で自律的に複製し得、そしてこのようなDNA配列が、ベクターの必須 の生物学的機能の喪失なしに決定可能な様式で切断され得、そしてDNAが複製お よびクローニングを行うためにスプライスされ得る、1つまたは少数の制限エン ドヌクレアーゼ認識部位によって特徴づけられる他のDNA分子。クローニングベ クターは、クローニングベクターで形質転換された細胞の同定における使用に適 切なマーカーをさらに含み得る。例えば、マーカーは、テトラサイクリン耐性ま たはアンピシリン耐性である。 組換え宿主。発現ベクター、クローニングベクター、または任意のDNA分子中 に所望のクローニングされた遺伝子を含む、任意の原核生物または真核生物微生 物。用語「組換え宿主」はまた、宿主染色体またはゲノム上に所望の遺伝子を含 むように遺伝子操作されている宿主細胞を含むことを意味する。 宿主。複製可能な発現ベクター、クローニングベクター、または任意のDNA分 子のレシピエントである任意の原核生物または真核生物微生物。DNA分子は、構 造遺伝子、プロモーター、および/または複製起点を含み得るが、これらに限定 されない。 プロモーター。開始コドンの近位に位置した、遺伝子の5'領域として一般的に 記載されるDNA配列。プロモーター領域で、隣接遺伝子の転写が開始される。 遺伝子。ポリペプチドまたはタンパク質の発現に必要な情報を含むDNA配列。 プロモーターおよび構造遺伝子ならびにタンパク質の発現に関連する他の配列を 含む。 構造遺伝子。メッセンジャーRNAに転写され、次いで特定のポリペプチドに特 徴的なアミノ酸の配列に翻訳される、DNA配列。 作動可能に連結される。本明細書で使用される場合、「作動可能に連結される 」とは、プロモーターが、構造遺伝子によってコードされるポリペプチドの発現 の開始を制御するように配置されることを意味する。 発現。発現は、遺伝子がポリペプチドを産生するプロセスである。遺伝子のメ ッセンジャーRNA(mRNA)への転写およびこのようなmRNAのポリペプチドへの翻 訳を含む。 実質的に純粋。本明細書で使用される場合、「実質的に純粋」とは、所望の精 製されたタンパク質が、天然で所望のタンパク質と会合する夾雑している細胞夾 雑物を本質的に含まないことを意味する。夾雑している細胞成分には、ホスファ ターゼ、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、または望ましくないDNAポ リメラーゼ酵素が挙げられるが、これらに限定されない。 プライマー。本明細書で使用される場合、「プライマー」とは、核酸分子の増 幅または重合化中にヌクレオチドモノマーの共有結合によって伸長される一本鎖 オリゴヌクレオチドをいう。ミニサテライトダイマー、トリマー、テトラマーな どの配列の増幅に使用されるミニサテライトプライマーは、当該技術分野で周知 である。 テンプレート。本明細書で使用される場合、用語「テンプレート」とは、増幅 、合成、または配列決定されるべき二本鎖または一本鎖核酸分子をいう。二本鎖 DNA分子の場合には、第1および第2の鎖を形成するためのその鎖の変性は、こ れらの分子が増幅、合成、または配列決定され得る前に行われる。テンプレート の一部に相補的なプライマーは、適切な条件下でハイブリダイズし、次いで、本 発明のポリメラーゼは、このテンプレートに相補的な分子またはその一部を合成 し得る。本発明に従って、新しく合成した分子は、元のテンプレートと等しいま たはより短い長さであり得る。新しく合成した分子の合成または伸長中のミスマ ッチ組込みまたは鎖スリップ(slippage)は、1つまたは多くのミスマッチした塩 基対を生じ得る。したがって、合成した分子は、テンプレートに正確に相補的で ある必要はない。 組込むこと。本明細書で使用される場合、用語「組込むこと」は、核酸(例え ば、DNA)分子またはプライマーの一部になることを意味する。 増幅。本明細書で使用される場合、「増幅」とは、DNAポリメラーゼの使用と ともにヌクレオチド配列のコピーの数を増加させるための任意のインビトロ方法 をいう。核酸増幅は、DNA分子またはプライマーへのヌクレオチドの組込みを生 じ、それによってDNAテンプレートに相補的な新たなDNA分子を形成する。形成さ れたDNA分子およびそのテンプレートは、さらなるDNA分子を合成するためのテン プレートとして使用され得る。本明細書で使用される場合、1つの増幅反応は、 DNA複製の多くのラウンドからなり得る。DNA増幅反応には、例えば、ポリメラー ゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。1つのPCR反応は、DNA分子の変性および合成 の5〜100「サイクル」からなり得る。 オリゴヌクレオチド。「オリゴヌクレオチド」とは、1つのヌクレオチドのペ ントースの3'位と、隣接するヌクレオチドのペントースの5'位との間のホスホジ エステル結合によって連結されるヌクレオチドの共有結合した配列を含む合成ま たは天然分子をいう。 ヌクレオチド。本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」とは、塩基-糖- リン酸の組み合わせをいう。ヌクレオチドは、核酸配列(DNAおよびRNA)のモノ マーユニットである。用語ヌクレオチドは、dATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dT TPのようなデオキシリボヌクレオシド三リン酸、またはそれらの誘導体を含む。 このような誘導体には、例えば、[αS]dATP、7-デアザ-dGTPおよび7-デアザ-dAT Pが挙げられる。本明細書で使用される場合、用語ヌクレオチドはまた、ジデオ キシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTP)およびそれらの誘導体をいう。ジデオ キシリボヌクレオシド三リン酸の示された例には、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP 、およびddTTPが挙げられるが、これらに限定されない。本発明によれば、「ヌ クレオチド」は、標識され得ないかまたは周知の技術によって検出可能に標識さ れ得る。検出可能な標識には、例えば、放射性同位体、蛍光標識、化学発光標識 、生体発光標識、および酵素標識が挙げられる。 熱安定性。本明細書で使用される場合、「熱安定性」とは、熱による不活性化 に抵抗性であるポリメラーゼをいう。DNAポリメラーゼは、5'から3'方向でプラ イマーを伸長することによって一本鎖DNAテンプレートに相補的なDNA分子の形成 を合成する。中温性DNAポリメラーゼについてのこの活性は、熱処理によって不 活性化され得る。例えば、T5 DNAポリメラーゼ活性は、90℃の温度に30秒間、酵 素を曝露することによって全体的に不活性化される。本明細書で使用される場合 、熱安定性ポリメラーゼ活性は、中温性ポリメラーゼよりも熱不活性化に対して より抵抗性である。しかし、熱安定性ポリメラーゼは、熱不活性化に全体的に抵 抗性であり、したがって熱処理がポリメラーゼ活性をある程度まで減少させ得る 酵素をいうことを意味しない。熱安定性ポリメラーゼはまた、代表的には、中温 性ポリメラーゼよりも高い最適温度を有する。 ハイブリダイゼーション。用語「ハイブリダイゼーション」および「ハイブリ ダイズする」とは、二本鎖分子を与えるための2つの相補的な一本鎖核酸分子( RNAおよび/またはDNA)の対をいう。本明細書で使用される場合、2つの核酸分 子は、ハイブリダイズされ得るが、塩基対は、完全に相補的ではない。したが って、ミスマッチした塩基は、当該技術分野で周知の適切な条件が使用されるな らば、2つの核酸分子のハイブリダイゼーションを妨げない。本発明では、用語 「ハイブリダイゼーション」とは、特に、テンプレート分子に対するオリゴヌク レオチドのハイブリダイゼーションをいう。 3'-5'エキソヌクレアーゼ活性。「3'-5'エキソヌクレアーゼ活性」は、当該技 術分野で周知の酵素活性である。この活性は、しばしば、DNAポリメラーゼと関 連し、そしてDNA複製「エディティング」または修正メカニズムに関連すると考 えられる。 「3'-5'エキソヌクレアーゼ活性が実質的に減少したDNAポリメラーゼ」(「3' エキソ-」とも表され得る)は、本明細書では、(1)対応する未変異の野生型酵素 の3'-5'エキソヌクレアーゼ活性の約10%もしくはそれ以下、または好ましくは 約1%もしくはそれ以下を有する変異したDNAポリメラーゼ、または(2)約1ユニ ット/mgタンパク質未満、または好ましくは約0.1ユニット/mgタンパク質もしく はそれ以下である3'-5'エキソヌクレアーゼ比活性を有するDNAポリメラーゼ、の いずれかとして定義される。3'-5'エキソヌクレアーゼの活性のユニットは、10n molの基質を溶解する活性の量が、「BRL 1989 Catalogue & Reference Guide」5 頁に記載のようにアッセイされる、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラ ーゼ(TdT)によって[3H]dTTPで標識したλDNA 3'-末端のHhaIフラグメントで、 37℃にて60分で終わるとして定義される。タンパク質は、Bradford,Anal.Bioc hem.72:248(1976)の方法によって測定される。比較の手段として、天然の野生 型T5-DNAポリメラーゼ(DNAP)またはpTTQ19-T5-2によってコードされるT5-DNAP は、約10ユニット/mgタンパク質の比活性を有するが、pTTQ19-T5-2(エキソ-)( 米国特許第5,270,179号)によってコードされるDNAポリメラーゼは、約0.0001ユ ニット/mgタンパク質の比活性、または未改変の酵素の比活性の0.001%、105倍 減少を有する。 5'-3'エキソヌクレアーゼ活性。「5'-3'エキソヌクレアーゼ活性」はまた、当 該技術分野で周知の酵素活性である。この活性は、しばしば、E.coli PolIおよ びPolIIIのようなDNAポリメラーゼと関連する。 「5'-3'エキソヌクレアーゼ活性が実質的に減少したDNAポリメラーゼ」(「5' エキソ-」とも表され得る)は、本明細書では、(1)対応する未変異の野生型酵素 の5'-3'エキソヌクレアーゼ活性の約10%もしくはそれ以下、または好ましくは 約1%もしくはそれ以下を有する変異したDNAポリメラーゼ、または(2)約1ユニ ット/mgタンパク質未満、または好ましくは約0.1ユニット/mgタンパク質もしく はそれ以下である5'-3'エキソヌクレアーゼ比活性を有するDNAポリメラーゼ、の いずれかとして定義される。 3'-5'および5'-3'エキソヌクレアーゼ活性の両方とも、配列決定ゲル上で観察 され得る。活性な5'-3'エキソヌクレアーゼ活性は、伸長するプライマーの5'末 端からヌクレオチドを除去することによって、配列決定ゲルにおいて非特異的ラ ダーを生じる。3'-5'エキソヌクレアーゼ活性は、配列決定ゲルにおいて放射性 標識したプライマーの分解を続けることによって測定され得る。したがって、例 えば、野生型および変異体ポリメラーゼを比較することによって、これらの活性 の相対量は、ルーチンの実験のみで決定され得る。 ミニサテライトDNA。本明細書で使用される場合、用語「ミニサテライトDNA」 とは、タンデムに反復するヌクレオチド配列の短いストレッチを含むDNAフラグ メントをいう。インビボではミニサテライトDNAフラグメントは、ほとんどの真 核生物のゲノム全体にわたって散在し、したがって、大いに検査されることが見 いだされる。これらの反復配列は、タンデムでおよびしばしばゲノム内の種々の 数で出現し;したがって、用語「短いタンデム反復」(「STR」)または「タン デム反復の変動可能な数」(「VNTR」)は、これらの領域をいう場合に同義に使 用され得る。ミニサテライトDNAフラグメントは、代表的には、約9塩基〜約60 塩基長であり、そして真核生物ゲノムの代表的遺伝子座で約20〜50倍反復される 。 マイクロサテライトDNA。本明細書で使用される場合、用語「マイクロサテラ イトDNA」とは、代表的には約1〜6塩基長の反復ユニットサイズであるDNAフラ グメントをいう。ヒトゲノムにおける最も一般的なこれらのマイクロサテライト DNAフラグメントは、ジヌクレオチド反復(dC-dA)n・(dG-dT)n(ここで、nは所定 のストレッチのヌクレオチドの反復数である)である。用語「STR」および「VNT R」はまた、これらの構造を示すために同義に使用され得る。 非テンプレート化3'末端ヌクレオチド付加。本明細書で使用される場合、用語 「非テンプレート化3'末端ヌクレオチド付加」または「ヌクレオチド外付加」と は、DNAポリメラーゼのような酵素が1つ以上のさらなるヌクレオチドを組込む 傾向を意味し、これは、PCRのような合成または増幅反応において新たに合成さ れた核酸分子の3'末端でのテンプレート鎖で見られない。非テンプレート化3'末 端ヌクレオチド付加の結果として、合成されたまたは増幅産物(すなわち、新し く合成したDNA鎖)は、テンプレートであるよりも1つ以上のヌクレオチドが長 く、このような様式で、テンプレートが「n」ヌクレオチド長であるならば、合 成または増幅産物は、「n+1」、「n+2」、「n+3」などのヌクレオチド長である 。「核酸分子の3'末端に1つ以上の非テンプレート化ヌクレオチドを付加する能 力が実質的に減少したポリメラーゼ」は、DNAポリメラーゼとして本明細書で定 義され、3'エキソヌクレアーゼ活性がないかまたは実施的に減少した3'エキソヌ クレアーゼ活性を有する場合、約50%未満、好ましくは約30%未満、より好まし くは約20%未満、さらにより好ましくは約10%未満、さらにより好ましくは約5 %未満、そして最も好ましくは約1%未満の増幅産物が、同じ条件下でアッセイ されたTaq DNAポリメラーゼによって産生される増幅産物と比較して、その3'末 端で1つ以上の非テンプレート化ヌクレオチドを含む、増幅産物の収集物を生じ る。好ましくは、3'非テンプレート化ヌクレオチド付加をアッセイするために使 用される条件は、Taq DNAポリメラーゼの増幅産物の100%未満が、3'非テンプレ ート化ヌクレオチド付加を示すように行われる。この定義には、使用される任意 のプライマーセットについてこの定義を満たすポリメラーゼが含まれる。したが って、任意のプライマーセットの使用が、3'非テンプレート化ヌクレオチド付加 の示された減少を提供するならば、ポリメラーゼは、核酸分子の3'末端に1つ以 上の非テンプレート化ヌクレオチドを付加する能力が実質的に減少されるという 。 3'非テンプレート化ヌクレオチド付加を減少または排除するために変異または 改変されたポリメラーゼをいう場合、変異または改変されたポリメラーゼは、ポ リメラーゼが、対応する非変異、非改変、または野生型ポリメラーゼと比較して 非テンプレート化3'ヌクレオチドを付加するより低いまたは減少したまたは排除 された能力を有する場合、「核酸分子の3'末端に1つ以上の非テンプレート化ヌ クレオチドを付加する能力が減少する」という。例えば、非テンプレート化ヌク レオチド付加についてのポリメラーゼのO-ヘリックスにおける点変異の影響を試 験する場合、好ましくは、O-ヘリックスの同じ位置で改変されていないポリメラ ーゼが、比較目的で使用される。このような変異または改変されたポリメラーゼ は、変異または改変されたポリメラーゼが、対応する非変異、非改変、または野 生型ポリメラーゼと比較して非テンプレート化3'末端ヌクレオチドを付加するた めに、約50%未満、好ましくは約30%未満、より好ましくは約20%未満、さらに より好ましくは約10%未満、さらにより好ましくは約5%未満、そして最も好ま しくは約1%未満の活性を有するならば、「核酸分子の3'末端に1つ以上の非テ ンプレート化ヌクレオチドを付加する能力が実質的に減少する」という。好まし くは、3'非テンプレート化ヌクレオチド付加をアッセイするために使用される条 件は、非変異、非改変、または野生型ポリメラーゼ制御によって産生される増幅 産物の100%未満が、3'非テンプレート化ヌクレオチド付加を示すように行われ る。この定義には、試験される任意のプライマーセットについてのこの定義を満 たす変異または改変されたポリメラーゼが含まれる。 ポリメラーゼが伸長する鎖に非テンプレート化3'末端ヌクレオチドを付加する 能力は、種々の技術によって、最も好ましくは、直接サイズ比較のための合成ま たは増幅産物のゲル電気泳動によって、および公知のサイズのマーカーに対する 比較によって、評価され得る(図6〜13を参照のこと)。 組換えDNA技術ならびに分子および細胞生物学の分野で使用される他の用語は 、本明細書で使用される場合、一般的には、当業者に理解される。 ポリメラーゼの供給源 本発明の方法は、伸長する核酸鎖に1つ以上の非テンプレート化3'末端ヌクレ オチドを付加する能力が減少、実質的に減少、または排除されたポリメラーゼ( 熱安定性または中温性DNAまたはRNAポリメラーゼ)の使用に頼る。これらの熱安 定性DNAポリメラーゼは、任意の好熱性微生物の任意の株から得られ得、これに は、Thermus aquaticus(Taqポリメラーゼ;米国特許第4,889,818号および第4,9 65,188号を参照のこと)、Thermus thermophilus(Tthポリメラーゼ)、Thermoc occus litoralis(TliまたはVENTTMポリメラーゼ)、Pyrococcus furiosus(P fuまたはDEEPVENTTMポリメラーゼ)、Pyrococcus woosii(Pwoポリメラーゼ)、 および他のPyrococcus種の株、Bacillus sterothermophilus(Bstポリメラーゼ )、Sulfolobus acidocaldarius(Sacポリメラーゼ)、Thermoplasma acidophil um(Tacポリメラーゼ)、Bacillus caldophilus(Bcaポリメラーゼ)、Thermus flavus(Tfl/Tubポリメラーゼ)、Thermus ruber(Truポリメラーゼ)、Thermus brockianus(DYNAZYMETMポリメラーゼ)、Thermotoga neapolitana(Tneポリメ ラーゼ;WO 96/10640およびWO96/41014を参照のこと)、Thermotoga maritima( Tmaポリメラーゼ;米国特許第5,374,553号を参照のこと)、ならびにThermotoga 属(Tspポリメラーゼ)およびMethanobacterium thermoautotrophicum(Mthポリ メラーゼ)の他の種が挙げられるが、これらに限定されない。本発明における目 的の中温性DNAポリメラーゼには、T7 DNAポリメラーゼ、T5 DNAポリメラーゼ、D NAポリメラーゼIII、クレノウフラグメントDNAポリメラーゼ、およびその変異体 、フラグメント、または誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。T3、T5 、SP6のようなRNAポリメラーゼ、ならびにその変異体、改変体、および誘導体は また、本発明に従って使用され得る。伸長する核酸鎖に非テンプレート化3'ヌク レオチドを付加する能力が減少または実質的に減少したポリメラーゼは、野生型 ポリメラーゼであり得るか、または標準的技術によって(例えば、野生型遺伝子 またはタンパク質において点変異、挿入、欠失などを生じることによって)この ような野生型ポリメラーゼを変異することによって作製され得る。伸長する鎖に 非テンプレート化3'ヌクレオチドを付加する能力が減少または実質的に減少する ポリメラーゼは、当該技術分野で周知であり、そして一般的に実施例で以下に説 明するように、このような酵素によって形成される合成された産物(例えば、PC R産物)をアッセイすることによって同定され得る。 本発明で使用される核酸ポリメラーゼは、中温性または好熱性であり得、そし て好ましくは好熱性である。好ましい中温性DNAポリメラーゼには、T7 DNAポリ メラーゼ、T5 DNAポリメラーゼ、クレノウフラグメントDNAポリメラーゼ、DNAポ リメラーゼIIIなどが挙げられる。本発明の方法で使用され得る好ましい熱安定 性DNAポリメラーゼには、Taq、Tne、Tma、Pfu、Tfl、Tth、Stoffelフラグメント 、VENTTM、およびDEEPVENTTMDNAポリメラーゼ、ならびにその変異体、改変体、 および誘導体が挙げられる(米国特許第5,436,149号;米国特許第4,889,818号; 米国特許第4,965,188号;米国特許第5,079,352号;米国特許第5,614,365号;米 国特許第5,374,553号;米国特許第5,270,179号;米国特許第5,047,342号;米国 特許第5,512,462号;WO 92/06188;WO 92/06200;WO 96/10640;Barnes,W.M., Gene 112:29-35(1992);Lawyer,F.C.ら,PCR Meth.Appl.2:275-287(1993);F laman,J.-M.ら,Nucl.Acids Res.22(15):3259-3260(1994))。長い核酸分子 (例えば、約3〜5Kb長よりも長い核酸分子)の増幅について、少なくとも2つ のDNAポリメラーゼ(一方は3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠き、そして 他方は3'エキソヌクレアーゼ活性を有する)が、代表的に使用される。米国特許 第5,436,149号;米国特許第5,512,462号;Farnes,W.M.,Gene 112:29-35(1992) ;および1997年2月14日に出願された同時係属中の米国特許出願第08/689,814号 を参照のこと(その開示は全体が参考として本明細書に援用される)。3'エキソ ヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼの例には、Taq、Tne(エキソ-) 、Tma(エキソ-)、Pfu(エキソ-)、Pwo(エキソ-)、およびTth DNAポリメラーゼ、 ならびにその変異体、改変体、および誘導体が挙げられるが、これらに限定され ない。 核酸ポリメラーゼ活性を有するポリペプチドは、好ましくは、約0.1〜200ユニ ット/ミリリットル、約0.1〜50ユニット/ミリリットル、約0.1〜40ユニット/ミ リリットル、約0.1〜3.6ユニット/ミリリットル、約0.1〜34ユニット/ミリリッ トル、約0.1〜32ユニット/ミリリットル、約0.1〜30ユニット/ミリリットル、ま たは約0.1〜20ユニット/ミリリットルの溶液中の最終濃度で、そして最も好まし くは約20〜40ユニット/ミリリットルの濃度で、本発明の方法で使用される。当 然のことながら、本発明での使用に適切な核酸ポリメラーゼの他の適切な濃度は 、当業者に明らかである。 本発明の好ましい局面では、本発明のポリメラーゼおよび好ましくは本発明の 変異体または改変されたポリメラーゼは、組換え技術によって作製される。多く のクローニングされたポリメラーゼ遺伝子は利用可能であるか、または標準的組 換え技術を使用して得られ得る。 本発明に従って改変され得るポリメラーゼをコードする遺伝子をクローニング するために、ポリメラーゼ遺伝子を含む単離されたDNAは、ベクターに組換えラ イブラリーを構築するために使用される。当該技術分野で周知の任意のベクター が、目的のDNAポリメラーゼをクローニングするために使用され得る。しかし、 使用されるベクターは、組換えDNAライブラリーが形質転換される宿主と適合性 でなければならない。 プラスミドライブラリーを構築するための原核生物ベクターには、例えば、pB R322、ColE1、pSC101、pUCベクター(pUC18、pUC19など:Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Har bor,New York(1982);およびSambrookら,Molecular Cloning A Laboratory Ma nual(第2版)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,Ne w York(1989))のようなE.coliで複製し得るようなプラスミドが挙げられる。B acillusプラスミドには、pC194、pC221、pC217などが挙げられる。このようなプ ラスミドは、Glyczan,T.The Molecular Biology Bacilli,Academic Press,Y ork(1982),307-329に開示される。適切なStreptomycesプラスミドには、pIJ101 (Kendallら,J.Bacteriol 169:4177-4183(1987))が挙げられる。Pseudomonas プラスミドは、Johnら(Rad.Insec.Dis.8:693-704(1986))およびIgaki(Jpn .J.Bacteriol.33:729-742(1978))によって総説される。pCP13(Darzinおよ びChakrabarbary,J.Bacteriol.159:9-18,1984)のような、広い宿主範囲の プラスミドまたはコスミドもまた、本発明に使用され得る。本発明の遺伝子をク ローニングするために好ましいベクターは、原核生物ベクターである。好ましく は、pCP13およびpUCベクターが、本発明の遺伝子をクローニングするために使用 される。 目的のポリメラーゼ遺伝子をクローニングするために好ましい宿主は、原核生 物宿主である。最も好ましい原核生物宿主は、E.coliである。しかし、本発明 の所望のポリメラーゼ遺伝子は(Eschcrichia、Bacillus、Streptomyces、Pscud omonas、Salmonella、Serratia、およびProteusを含むがこれらに限定されない )、他の原核生物宿主でクローニングされ得る。特定の目的の細菌宿主には、E .coli DH10Bを含み、これはLife Technologies,Inc.(LTI)(Rockville,MD) から得られ得る。 目的のポリメラーゼのクローニングおよび発現のための真核生物宿主には、酵 母、真菌類、および哺乳動物細胞が挙げられる。このような真核生物細胞におけ る所望のポリメラーゼの発現は、真核生物プロモーターを含む真核生物調節領域 の使用を必要とし得る。真核生物細胞においてポリメラーゼ遺伝子をクローニン グおよび発現させることは、周知の真核生物ベクター系を使用する周知の技術に よって達成され得る。 一旦DNAライブラリーが特定のベクター中で構築されると、適切な宿主は、周 知の技術によって形質転換される。形質転換されたコロニーは、好ましくは、ペ トリ皿当たり約200〜300コロニーの密度でプレーティングされる。熱安定性ポリ メラーゼ選択について、次いで、コロニーは、形質転換されたE.coliコロニー をニトロセルロース膜に移すことによって熱に安定なDNAポリメラーゼの発現に ついてスクリーニングされる。移された細胞がニトロセルロース上で(約12時間 )増殖した後、細胞は、標準的技術によって溶解され、次いでメンブランは、内 因性E.coli酵素を不活性化するために95℃にて5分間処理される。他の温度は 、使用される宿主およびクローニングされるポリメラーゼの温度安定性に依存し て、宿主ポリメラーゼを不活性化するために使用され得る。次いで、安定なポリ メラーゼ活性は、周知の技術を使用してポリメラーゼ活性の存在についてアッセ イすることによって検出される(例えば、Sangerら,Gene 97:119-123(1991) を参照のこと、これはその全体が参考として本明細書に援用される)。本発明の ポリメラーゼをコードする遺伝子は、Sangerら,前出に記載される手順を使用し てクローニングされ得る。本発明に従ってクローニングしたポリメラーゼを選択 するための他の技術は、当業者に周知である。 ポリメラーゼの改変または変異 本発明によれば、目的のポリメラーゼのヌクレオチド結合ドメインは、非テン プレート化3'ヌクレオチドを付加することについて減少、実質的に減少、または 排除された活性を有する変異したまたは改変されたポリメラーゼを産生するよう な方法で改変または変異される。代表的には、O-ヘリックス領域は、DNAポリメ ラーゼのヌクレオチド結合ドメインを定義する。O-ヘリックスは、RXXXKXXXFXXX YX(配列番号11)として定義され得、ここでXは任意のアミノ酸であり得る。1 つ以上の変異または変異の組み合わせは、本発明に従って非テンプレート化3'ヌ クレオチド付加を減少または排除するために、任意のポリメラーゼのO-ヘリック スで作製され得る。このような変異には、点変異、フレームシフト変異、欠失、 および挿入が挙げられる。好ましくは、1つ以上のアミノ酸置換を生じる、1つ 以上の点変異は、このような活性を有するポリメラーゼを産生するために使用さ れる。このような変異は、部位特異的変異誘発を含むがこれに限定されない、当 業者が精通する多くの方法によって作製され得る。本発明の好ましい局面では、 ポリメラーゼO-ヘリックスにおける位置R、K、F、および/またはYでの1つ以上 の変異は、所望の活性を有するポリメラーゼを産生するために作製され得る。最 も好ましくは、O-ヘリックス内の位置Rおよび/またはFおよび/またはKおよび /またはYでの1つ以上の変異は、非テンプレート化3'ヌクレオチドを付加する ことについて減少、実質的に減少、または排除された活性を有するポリメラーゼ を生じる。好ましい局面では、アミノ酸置換は、位置Rおよび/またはFおよび/ またはKおよび/またはY(またはその組み合わせ)で作製される。したがって、 R(Arg)および/またはF(Phe)および/またはK(Lys)は、Ala、Arg、Asn、Asp、Cy s、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr 、およびValを含む任意の他のアミノ酸で置換され得る。好ましくは、R(Arg)は 、アミノ酸Lys、Tyr、Leu、His、Gln、Met、またはAsnと置換される。F(Phe)は 、好ましくは、アミノ酸Tyr、Ala、Leu、Thr、およびSerと置換される。K(Lys) は、好ましくは、アミノ酸Arg、Tyr、Leu、His、Gln、Met、またはAsn、そして より好ましくはArgまたはHisと置換される。Y(Tyr)は、好ましくは、アミノ酸Ly s、Arg、Ala、Thr、Phe、Leu、His、Gln、Met、またはAsnと置換される。RNAポ リメラーゼについてR、K、F、およびYに対応する位置はまた、ヌクレオチドおよ び/またはアミノ酸配列の間の相同性を決定するために、ヌクレオチドおよび/ またはアミノ酸配列をDNAポリメラーゼの配列と比較することによって決定され 得る。次いで、対応する変異または改変は、任意のRNAポリメラーゼにおいて所 望の結果を産生するために行われ得る。 O-ヘリックスは、多くのポリメラーゼについて同定および定義されており、そ して当業者によって他のポリメラーゼについて容易に同定され得る。したがって 、定義されたO-ヘリックス領域ならびに本明細書に記載の方法およびアッセイが あれば、当業者は、非テンプレート化3'ヌクレオチドを付加することについての 減少、実質的に減少、または排除された活性を有するポリメラーゼを生じる1つ または多くの改変を作製し得る。したがって、本発明は、非テンプレート化3'ヌ クレオチドを付加することについての活性の減少、実質的減少、または排除を生 じるO-ヘリックスドメインでの改変を有するこのようなポリメラーゼを産生する ための方法、このようなポリメラーゼをコードする核酸分子を産生するための方 法、ならびにこのような方法によって産生されるポリメラーゼおよび核酸分子に 関する。 以下の表は、公知のポリメラーゼについて同定されたO-ヘリックス領域を例示 する。 したがって、本発明の好ましい局面によれば、O-ヘリックスのRおよび/また はFおよび/またはK位置における対応する変異は、以下の表に基づいて以下の酵 素について作製し得る。 BcaについてのArg705の変異位置は、GenBank中の配列情報に基づく。しかし、 VemoriらJ.Biochem.(Japan)113:401-410(1993)に記載される配列に従って、Bc a中のArgの位置が703であることに留意すべきである。 ポリメラーゼのさらなる改変または変異 本発明によれば、上記の変異または改変の他に、1つ以上のさらなる変異また は改変(またはその組み合わせ)は、目的のポリメラーゼに対して作製され得る 。特定に有益な変異または改変には、(1)3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を減少 または排除する;および(2)5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を減少または排除す る、変異の改変が挙げられる。 DNAポリメラーゼが、3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を有するならば、この活 性は、ポリメラーゼ遺伝子を変異することによって減少、実質的に減少、または 排除され得る。このような変異には、点変異、フレームシフト変異、欠失、およ び挿入が挙げられる。好ましくは、3'→5'エキソヌクレアーゼ活性をコードする 遺伝子の領域は、当該技術分野で周知の技術(Sambrookら,(1989)Molecular C loning,A Laboratory Manual(第2版),Cold Spring harbor Laboratory Press ,Cold Spring Harbor,NY)を使用して変異または欠失される。 3'→5'エキソヌクレアーゼ活性は、3'→5'エキソヌクレアーゼドメイン内に部 位特異的変異体を生成することによって減少または減損され得る。以下を参照の こと。本発明の特定の実施態様では、Tne DNAポリメラーゼのAsp323は、3'→5' エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少させるために、任意のアミノ酸、好まし くはAla323に変化される。本発明の他の特定の実施態様では、TmaのAsp323は、3 '→5'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少させるために、任意の他のアミノ 酸、好ましくはAlaに変化され得る。以下は、3'→5'エキソヌクレアーゼ変異体 を調製するための多くのポリメラーゼについての目的のドメインを表す。 上記のドメイン内の挿入、欠失、および置換のような変異は、実質的に減少し た3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を生じ得る。例によって、Asp355(PolI)、Asp1 64 (T5)、およびAsp5(T7)は、3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少させ るために任意のアミノ酸と置換され得る。例えば、これらの位置でのAspは、Ala と置換され得る。 ポリメラーゼの5'→3'エキソヌクレアーゼ活性は、ポリメラーゼ遺伝子を変異 することによって、または5'→3'エキソヌクレアーゼドメインを欠失することに よって、減少、実質的に減少、または排除され得る。このような変異には、点変 異、フレームシフト変異、欠失、および挿入が挙げられる。好ましくは、5'→3' エキソヌクレアーゼ活性をコードする遺伝子の領域は、当該技術分野で周知の技 術を使用して欠失される。本発明の実施態様では、5'→3'エキソヌクレアーゼ活 性に関連する6つの保存されたアミノ酸のいずれか1つは、変異され得る。Tne DNAポリメラーゼに関してこれらの保存されたアミノ酸の例には、Asp6、Glu112 、Asp114、Asp115、Asp137、およびAsp139が挙げられる。変異について他の可能 な部位は、Gly102、Gly187、およびGly195である。 5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を減少または排除させるための他のポリメラー ゼについての標的に対応するアミノ酸は、以下の通りである: E.coli PolI:Asp13、Glu113、Asp115、Asp116、Asp138、およびAsp140。 Taq pol: Asp18、Glu117、Asp119、Asp120、Asp142、およびAsp144。 Tma poI: Asp8、Glu112、Asp114、Asp115、Asp137、およびAsp139。 Taq DNAポリメラーゼのアミノ酸残基は、米国特許第5,079,352号のように番号 付けされる。Thermotoga maritima(Tma)DNAポリメラーゼのアミノ酸残基は、 米国特許第5,374,553号におけるように番号付けされる。 5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を減少させるために他のポリメラーゼについて 標的化され得る他のアミノ酸の例には、以下が挙げられる。 S.pneumoniae、T.flavus、D.radiodurans、B.caldotenaxの配位(coordina te)を、GutmanおよびMintonから得た。T.thermophilusの配位を、国際特許出願 第WO 92/06200号から得た。 代表的には、本発明の変異体ポリメラーゼは、代表的には異なる特性を有する アミノ酸の置換によって影響を受け得る。例えば、Aspのような酸性アミノ酸は 、Lys、Arg、His(塩基性);Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trp(中性 );またはGly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、もしくはGln(極性であるが非荷電 )のような塩基性、中性、または極性であるが非荷電のアミノ酸に変化され得る 。Gluは、Asp、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trp、Gly、Ser、Thr、Cys 、Tyr、Asn、またはGlnに変化され得る。 好ましくは、オリゴヌクレオチドに関する変異誘発は、コードするDNA分子と ともに任意の決定された部位での塩基対変化のすべての可能なクラスを可能にす る変異体ポリメラーゼを生成するために使用される。一般的に、この技術には、 目的のDNAポリメラーゼをコードする一本鎖ヌクレオチド配列に(1つ以上のミ スマッチを除いて)相補的なオリゴヌクレオチドにアニーリングすることを包含 する。次いで、ミスマッチしたオリゴヌクレオチドは、DNAポリメラーゼによっ て伸長され、一本鎖上の配列に所望の変化を含む二本鎖DNA分子を生成する。配 列の変化は、もちろん、アミノ酸の欠失、置換、または挿入を生じ得る。次いで 、二本鎖ポリヌクレオチドは、適切な発現ベクターに挿入され得、したがって変 異体ポリペプチドが産生され得る。上記の所望のオリゴヌクレオチドに関する変 異誘発は、もちろん、PCRによって行われ得る。 ポリメラーゼ発現の増強 本発明のポリメラーゼの発現を最適にするために、誘導性または構成的プロモ ーターが周知であり、そして組換え宿主において高レベルのポリメラーゼ構造遺 伝子を発現するために使用され得る。同様に、当該技術分野で周知の、高コピー 数ベクターは、高レベルの発現を達成するために使用され得る。誘導性高コピー 数を有するベクターはまた、組換え宿主において本発明のポリメラーゼの発現を 増強するために有用であり得る。 原核生物細胞(例えば、E.coli、B.Subtilis、Pseudomonasなど)において 所望の構造遺伝子を発現させるために、機能的原核生物プロモーターに所望の構 造遺伝子を作動可能に連結させることが必要である。しかし、ポリメラーゼ遺伝 子の天然のプロモーターは、ポリメラーゼ遺伝子の発現を可能にする原核生物宿 主で機能し得る。したがって、天然のプロモーターまたは他のプロモーターは、 ポリメラーゼ遺伝子を発現するために使用され得る。このような他のプロモータ ーは、発現を増強するために使用され得、そして構成的または調節可能な(すな わち、誘導性または抑制解除)プロモーターのいずれかであり得る。構成的プロ モーターの例には、バクテリオファージλのintプロモーター、およびpBR322の β-ラクタマーゼ遺伝子のblaプロモーターが挙げられる。誘導性原核生物プロモ ーターの例には、バクテリオファージλの主要右および左プロモーター(PRおよ びPL)、E.coliのtrp、recA、lacz、lacI、tet、gal、trc、およびtacプロモー ターが挙げられる。B.subtilisプロモーターには、α-アミラーゼ(Ulmanenら ,J.Bacteriol 162:176-182(1985))およびBacillusバクテリオファージプロモ ーター(Gryczan,T.,The Molecular Biology Of Bacilli,Academic Press,N ew York(1982))が挙げられる。Streptomycesプロモーターは、Wardら,Mol.Ge n.Genet.203:468478(1986)に記載される。原核生物プロモーターはまた、Glic k,J.Ind.Microbiol.1:277-282(1987);Cenatiempto,Y.,Biochimie 68:505 -516(1986);およびGottesman,Ann.Rev.Genet.18:415-442(1984)に総説され る。原核生物細胞での発現はまた、遺伝子がコードする配列の上流のリボソーム 結合部位の存在を必要とする。このようなリボソーム結合部位は、例えば、Gold ら,Ann.Rev.Microbiol.35:365-404(1981)に開示される。 真核生物細胞における本発明のポリメラーゼの発現を増強するために、周知の 真核生物プロモーターおよび宿主が使用され得る。しかし、好ましくは、ポリメ ラーゼの増強された発現は、原核生物宿主で行われる。本発明のポリメラーゼを 過剰発現するために好ましい原核生物宿主は、E.coliである。 ポリメラーゼの単離および精製 本発明の酵素は、好ましくは、所望のポリメラーゼ遺伝子を含みそして発現す る組換え宿主の発酵によって産生される。しかし、本発明のポリメラーゼは、本 発明のポリメラーゼを産生する任意の株から単離され得る。ポリメラーゼのフラ グメントもまた、本発明に含まれる。このようなフラグメントは、タンパク質分 解フラグメントおよびポリメラーゼ活性を有するフラグメントを含む。 ポリメラーゼ遺伝子を含む宿主によって吸収され得る任意の栄養は、培養培地 に添加され得る。最適培養条件は、使用される株および培養培地の組成に従って 場合に応じて選択されるべきである。抗生物質はまた、発現されるべき所望の遺 伝子を含むベクターDNAの維持を保証するために増殖培地に添加され得る。培地 処方は、DSMまたはATCCカタログおよびSambrookら,Molecular Cloning,a Labo ratory Manual(第2版),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring H arbor,NY(1989)に記載されている。 本発明のポリメラーゼを産生する宿主細胞は、例えば、遠心分離によって、液 体培養物から分離され得る。一般的に、収集された微生物細胞は、適切な緩衝液 中に分散され、次いで緩衝溶液による酵素の抽出を可能にするために超音波処理 によってまたは他の周知の手順によって破壊される。超遠心分離または遠心分離 による細胞デブリの除去後、ポリメラーゼは、抽出、沈殿、クロマトグラフィー 、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動などのような標準的タンパク質 精製技術によって精製され得る。精製中にポリメラーゼの存在を検出するための アッセイは当該分野において周知であり、そしてこれらの酵素の存在を決定する ための従来の生化学的精製方法中に使用され得る。 Thermotogaポリメラーゼ 本発明での使用のためのThermotogaポリメラーゼは、Thermotoga種の任意の株 から、より好ましくはThermotoga neapolitana(WO 96/10640またはWO 96/41014 )またはThermotoga maritima(米国特許第5,374,553号)の株から得られる。こ れらのより好ましい供給源からの本発明での使用に適切な酵素は、野生型DNAポ リメラーゼ(T.neapolitanaからのTne;T.maritimaからのTma)またはその変 異体もしくは誘導体である。 本発明は、好ましい変異体Tne DNAポリメラーゼをコードする単離された核酸 分子、このような単離された核酸分子によってコードされる変異体Tne DNAポリ メラーゼ、および特異的変異体Tne DNAポリメラーゼタンパク質を提供する。最 も好ましくは、野生型Tne DNAポリメラーゼ(配列番号1、2)、野生型Tma DNA ポリメラーゼ(米国特許第5,374,553号)、およびTne DNAポリメラーゼの以下の 変異体である:THe N'Δ219,D323A(配列番号3);Tne N'Δ283,D323A(配列 番号4);Tne N'Δ192,D323A(配列番号5);Tne D137A,D323A(配列番号6 );Tne D8A,D323A(配列番号7);Tne G195D,D323A(配列番号8);Tne G3 7D,D323A(配列番号9);およびTne N'Δ283(配列番号10);Tne D137A,D32 3A,R722K;Tne D137A,D323A,R722Y;Tne D137A,D323A,R722L;Tne D137A, D323A,R722H;Tne D137A,D323A,R722Q;Tne D137A,D323A,F730Y;Tne D137 A,D323A,K726R;Tne D137A,D323A,K726H;Tne D137A,D323A,R722K,F730Y ;Tne D137A,D323A,R722K,K726R;Tne D137A,D323A,R722K,K726H;Tne D1 37A,D323A,R722H,F730Y;Tne D137A,D323A,R722H,K726R;Tne D137A,D32 3A,R722H,K726H;Tne D137A,D323A,R722Q,F730Y;Tne D137A,D323A,R722 Q,K726R;Tne D137A,D323A,R722Q,F726H;Tne D137A,D323A,R722N,F730Y ;Tne D137A,D323A,R722N,F726R;Tne D137A,D323A,R722N,K726H;Tne D1 37A,D323A,F730S;TneN'Δ283,D323A,R722K/H/Q/N/Y/L;Tne N'Δ219,D323 A,R722K;Tne N'Δ219,D323A,R730Y;Tne N'Δ219,D323A,R726R;Tne N'Δ 219,D323A,K726H;Tne D137A,D323A,F730S,R722K/Y/Q/N/H/L,K726R/H;Tn e D137A,D323A,F730T,R722K/Y/Q/N/H/L,K726R/H;Tne D137A,D323A,F730T ;Tne F730S;Tne F730A;Tne K726R;Tne K726H;およびTne D137A,D323A,R7 22N。もちろん、上記の変異体ポリメラーゼの名称が、変異されている野生 型アミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸残基の位置、ならびにどのアミノ酸が 変異されているかを示すことは、当業者に理解される。したがって、例えば、「 D137A」は、配列番号2の位置137のAsp(D)残基が、ALa(A)残基に変異されている ことを示し、そして例えば、「R722K/Y/Q/N/H/L」は、配列番号2の位置722のAr g(R)残基が、Lys(K)、Tyr(Y)、Gln(Q)、Asn(N)、His(H)、またはLeu(L)残基に変 異されていることを示す。本発明のTne変異体に対応する1つ以上の変異または 改変を有する変異体ポリメラーゼもmata、本発明に包含される。 以下の図は、それぞれ野生型Tne DNAポリメラーゼ(配列番号1)に対して、 上記の変異体Tne DNAポリメラーゼ(配列番号3〜10)をコードする核酸分子の 核酸配列を示す。 これらの同じアプローチ、本明細書で提供される配列ガイダンス、および配列 番号1に対して作製されるべき適切なヌクレオチド置換体の知見を使用して、当 業者は、上記に詳述されるような、所望の活性を有する変異体ポリメラーゼをコ ードする他の核酸分子を容易に産生し得る。さらに、上記の配列とは実質的に異 なる配列を含むが、遺伝コードの縮重のため、上記のアミノ酸配列を有する変異 体Tne DNAポリメラーゼをなおコードする他の核酸分子もまた、本発明に包含さ れる。遺伝コードは、当該技術分野で周知であるので、過度の実験をすることな くこのような変異体および縮重改変体を産生することは当業者には日常的である 。 これらの変異体Tne DNAポリメラーゼのそれぞれは、伸長する鎖に非テンプレ ート化3'末端ヌクレオチドを付加する能力が減少または実質的に減少する。これ らの変異体Tne DNAポリメラーゼタンパク質は、当業者に日常的な組換えDNA技術 によって調製され得る。好ましくは、このような変異体Tneポリメラーゼは、各 個体変異体について上記のようなヌクレオチド配列を有する単離されたDNA分子 を組換えベクターに挿入すること、宿主細胞、好ましくはEscherichia coli細胞 にこのベクターを挿入すること、および変異体Tne DNAポリメラーゼの産生を好 都合にする条件下で宿主細胞を培養することによって、調製される。次いで、変 異体Tneポリメラーゼは、標準的タンパク質精製技術に従って宿主細胞から単離 される。熱安定性微生物からの変異体DNAポリメラーゼの調製および単離につい てのさらなるガイダンスは、例えば、米国特許第5,374,553号に、1996年9月6日 に出願された「Cloned DNA Polymerases from Thermotoga and Mutants Therof 」という題のDeb K.ChatterjeeおよびA.John Hughesの同時係属中の米国特許 出願第08/689,818号に、および1996年9月6日に出願された「Cloned DNA Polymer ases from Thermotoga and Mutants Therof」という題のDeb K.Chatterjeeの同 時係属中の米国特許出願第08/689,807号に見られ得、そのすべての開示は、その 全体が参考として本明細書に援用される。 本発明の方法では、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性が実質的に減少したThermot oga DNAポリメラーゼ(例えば、配列番号3〜9のいずれか1つに記載のような アミノ酸配列を有するTne変異体)、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性が実質的に減 少していないThermotoga DNAポリメラーゼ(例えば、Tne DNAポリメラーゼ(配 列番号1,2))、Tma DNAポリメラーゼ(米国特許第5,374,553号)、またはTn e変異体TneN'Δ283(配列番号10)は、Thermotoga DNAポリメラーゼの両方のタ イプとも、DNAテンプレートに非テンプレート化3'末端ヌクレオチドを付加する 能力が実質的に減少するので、類似の結果で使用され得る。Taq、VENTTM(エキソ )、DEEPVENTTM(エキソ)、Dtok(エキソ)、およびTHERMOLASETMTbrのような3'-5' エキソヌクレアーゼ活性が実質的に減少した他の熱安定性DNAポリメラーゼは、 以下に記載のように増幅産物の3'末端に非テンプレート化ヌクレオチドを付加す るので、本発明の方法での使用に好ましくない。しかし、本発明に従ってポリメ ラーゼを変異または改変することによって、3'非テンプレートヌクレオチドを付 加する減少した、実質的に減少した、または排除された活性を有するこのような 熱安定性ポリメラーゼが、作製され得る。本発明の好ましいThermotogaポリメラ ーゼは、そのO-ヘリックスにこのような変異または改変を含む。 Tne DNAポリメラーゼをコードする遺伝子を含む組換え宿主E.coli DH10B(pUC -Tne)を、1994年9月30日にCollection,Agricultural Research Culture Collec tion(NRRL),1815 North University Street,Peoria,Illinois 61604 USAに、 受託番号NRRL B-21238として寄託した。Tma DNAポリメラーゼをコードする遺伝 子はまた、クローニングおよび配列決定された(米国特許第5,374,553号;これ はその全体が参考として本明細書に援用される)。これらのTneポリメラーゼお よびTmaポリメラーゼの変異体および誘導体を調製する方法は当該分野において 周知であり、そして1996年9月6日に出願された「Cloned DNA Polymerases from Thermotoga and Mutants Therof」という題のDeb K.ChatterjeeおよびA.John Hughesの同時係属中の米国特許出願第08/689,818号に、および1996年9月6日に出 願された「Cloned DNA Polymerases from Thermotoga and Mutants Therof」と いう題のDeb K.Chatterjeeの同時係属中の米国特許出願第08/689,807号に詳細 に記載され、その開示は、全体が、参考として本明細書に援用される。 熱安定性ポリメラーゼの利点 本発明の方法において、熱安定性ポリメラーゼ(例えば、Thermotogaポリメラ ーゼ)あるいはその変異体または誘導体を使用することは、いくつかの際立った 利点を提供する。これらの利点は、本発明の方法をミニサテライト、マイクロサ テライトおよびSTR DNA領域の分析および型の判別に応用した場合、特に顕著で ある。 DNA増幅、および配列決定に使用される従来の熱安定性DNAポリメラーゼ(例え ば、T4、T7またはE.coliクレノウフラグメントポリメラーゼ)に関し、Thermoto ga DNAポリメラーゼなどの熱安定性ポリメラーゼは、PCRおよび類似の自動増幅 方法論での複数回の高温サイクルにおいて、その酵素活性を維持する。したがっ て、熱安定性ポリメラーゼを使用する場合、熱不安定性酵素を使用する場合には 必ず行わなければならない増幅サイクル開始毎の新たな酵素の添加を必要としな い。 その他の熱安定性酵素に関し、本発明で、TneまたはTma DNAポリメラーゼ変異 体またはその誘導体を使用すると、非鋳型の3’ヌクレオチドが、DNA増幅反応 中に新たに合成したDNA鎖に取り込まないということを予想外に発見した(下記 の実施例において詳述する)。この非鋳型の取り込みは、ある種の他の汎用熱安 定性酵素、例えばTaq、VENTTM(exo-)、DEEPVENTTM(exo-)、Dtok(exo-)お よびTHERMOLASETMTbrなどを使用する場合での共通の問題である。また、これら のポリメラーゼの変異体が、非鋳型の3’ヌクレオチドの付加を低減または削減 するよう作製し得ることも予想外にわかった。特に、このような変異体は、この よう なポリメラーゼのOヘリックス内で好適に作製される。 従って、TneまたはTma DNAポリメラーゼあるいはその変異体または誘導体(ま たは、本発明に従って産生された、他の変異体ポリメラーゼ)を、DNA配列、特 にミニサテライト、マイクロサテライトまたはSTR領域のような超可変DNA配列の 増幅および型の判別に使用することにより、これらの領域において信頼性のある 増幅および多型の解析が可能になる。この信頼性のある解析は、他の熱安定性ポ リメラーゼを用いる場合では、これらが非鋳型を導入しやすいため不可能である 。従って、これらの酵素はPCRのような自動増幅システムでの使用に適する。 DNA供給源 適切なDNA供給源としては種々の細胞、組織、器官または生物があげられ、こ れらは、多くの商業供給源(American Type Culture Collection(ATCC),Rock ville,Maryland;Jackson Laboratories,Bar Harbor,Maine;Cell Systems, Inc.,Kirkland,Washington;Advanced Tissue Sciences,La Jolla,Californ iaなど)より入手し得る。ゲノムDNA調製のための出発物質として使用し得る細 胞は、真核生物細胞(真菌類または酵母、植物、原生動物および他の寄生動物な らびにヒトおよび他の哺乳動物などの動物を含む)が好ましい。哺乳動物細胞は 、いずれもDNA調製に使用し得るが、好ましくは、血液細胞(赤血球および白血 球)、内皮細胞、上皮細胞、神経細胞(中枢または末梢神経系由来)、筋肉細胞 (骨格筋、平滑筋または心筋由来の筋細胞および筋原細胞など)、結合組織細胞 (線維芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、軟骨芽細胞、骨細胞および骨芽細胞など) および他の間質細胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞、シュワン細胞)であ るが、他の細胞、例えば、上述の体細胞に分化する前駆体細胞、前駆細胞、幹細 胞なども同様に適切である。また、脳、腎臓、肝臓、膵臓、血液、骨、骨髄、筋 肉、神経、皮膚、尿生殖、循環、リンパ、消化管および結合組織供給源などに由 来するような哺乳動物組織または器官、ならびに哺乳動物(ヒトを含む)胚また は胎児由来の組織または器官もまた、DNA調製における使用に適切である。これ らの細胞、組織および器官は、正常であり得、感染性疾患(細菌、真菌または酵 母、ウィルス(AIDSを含む)または寄生動物により生じる)、遺伝的または生化 学的病理(例えば、嚢胞性線維症、血友病、アルツハイマー病、精神分裂病、筋 ジストロフィまたは多発性硬化症)、あるいは癌進行過程に関連する細胞、組織 または器官のように異常であり得る。 より具体的には、本発明の一局面において、第一個体と第二個体との間の関係 は、ミニサテライトまたはマイクロサテライトDNA配列などの特定の多型DNAフラ グメントの型の分析および判別により決定され得る。このような方法では、各個 体の増幅フラグメントの比較により、類似点または相違点を判定する。例えば、 このような分析は、各個体由来の増幅フラグメントの大きさの比較、または各個 体由来の増幅フラグメントの配列の比較により達成される。本発明の別の局面で は、遺伝的同一性を判定し得る。このような同一性確認試験は、例えば、実父確 定試験、法医学分析などにおいて重要である。本発明のこの局面では、DNA(例 えば、犯罪現場における試料または個体からの試料)を含む試料を分析し、そし て1人以上の個体からの試料と比較する。本発明のこのような一局面において、 あるDNA試料は第一個体由来であり得、別の試料は、第一個人との血縁関係が未 知の第二個体由来であり得る。次いで、本発明の方法による第一個体および第二 個体からのこれらの試料の比較は、第一個体と第二個体との間の遺伝的同一性ま たは関係の判定を容易にし得る。特に好ましいこのような局面では、第一DNA試 料は既知個体由来の既知試料であり得、そして第二DNA試料は、例えば、犯罪現 場で得た物質由来の未知試料であり得る。本発明のさらに他の局面では、DNAの 一試料が第一個体由来であり得、別の試料は第一個体と血縁関係の第二個体由来 であり得る。次いで、本発明の方法による第一個体とおよび第二個体からのこれ らの試料の比較は、例えば、多型、ミニサテライト、マイクロサテライトまたは STR DNAフラグメントのメンデル遺伝の検査が可能になることにより、第一個体 および第二個体間の遺伝的血縁関係の判定を容易にし得る。本発明の他の局面で は、目的の遺伝子をコードする遺伝的マーカーとして重要なDNAフラグメントを 同定、単離し得る。例えば、異なる供給源由来の試料を比較することにより、感 染性疾患(細菌、真菌、寄生動物またはウイルスが病因であるもの)、癌または 遺伝的疾患などの疾患の誘発において重要であり得るDNAフラグメントを同定、 および特徴付けし得る。本発明のこの局面では、正常な細胞または組織由来のDN A試料を、病変した細胞または組織由来のDNA試料と比較する。本発明による比較 を行うと、一方のDNA試料に存在し他方のDNA試料に存在しない一以上の特殊な多 型フラグメントを同定および単離し得る。このような特殊な多型フラグメントの 同定により、疾患状態の誘発に関連または関与する配列の同定が可能になる。 ひとたび材料の細胞、組織、器官または他の試料を入手すると、当該分野で周 知の方法により、これらからDNAを調製し得る(例えば、Maniatis,T.ら、Molec ular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York:Cold Spr ing Harbor Laboratory Press,第9.16〜9.23頁(1989);Kaufman,P.B.ら、Han dbook of Molecular and Cellular Methods in Biology and Medicine,Boca Ra ton,Florida:CRC Press,第1〜26頁(1995)参照)。次いで、このようにして 調製したDNA試料は、増幅、好ましくは本発明の方法により変形されたPCR増幅に より、ミニサテライト、マイクロサテライトおよびSTR DNAフラグメントを含む 多型のDNAフラグメントの同定、分析および型の判別に使用し得る。 DNAフラグメントの増幅および分析を行うための一般的な方法は、当該分野の 当業者にとって周知である(例えば、米国特許第4,683,195号;第4,683,202号; および第4,800,159号;Innis,M.A.ら編、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,San Diego,California:Academic Press,Inc.(1990);G riffin,H.G.およびGriffin A.M.編、PCR Tecnology:Current Innovations, Boca Raton,Florida:CRC Press(1994)参照)。代表的には、これらの方法は、 一以上のプライマー配列の存在下でDNA試料を熱安定性DNAポリメラーゼと接触さ せる工程、多型、ミニサテライト、マイクロサテライトまたはSTR DNAフラグメ ントの増幅群を得るために、好ましくはPCRまたは等価な自動増幅技術によりDNA 試料を増幅する工程、増幅DNAフラグメントを好ましくはゲル電気泳動により大 きさにより分別する工程、および多型、ミニサテライト、マイクロサテライトま たはSTR DNAフラグメントの存在について、DNAの第一試料から生成したフラグメ ントのパターンとDNAの第二試料からのものとの直接比較により、あるいは大き さ既知のマーカーを用いたより間接的な比較によりゲルを分析する工程を含む。 上述のように、多型DNAフラグメント、特にミニサテライト、マイクロサテラ イトまたはSTR DNA配列の分析、型の判別のために使用するこれまでの増幅プロ トコルでは、Taqのようなある種の熱安定性DNAポリメラーゼを使用する(米国 特許第4,683,195号;第4,683,202号;および第4,800,159号)。しかし、これら のアプローチは、先に詳述したように、ポリメラーゼにより一以上の非鋳型ヌク レオチドが産物の3'末端に付加し、従って増幅産物における不均質性および増幅 産物の正確な大きさに関する不明確さがもたらされる。 この問題は、本発明において、増幅反応混合物中のDNA試料を、本発明の一種 以上のDNAポリメラーゼと接触させることにより解決され、本発明のDNAポリメラ ーゼは、伸長鎖に非鋳型3'末端のヌクレオチドを付加する能力が低下、実質的に 低下または除去されている。好ましくは、このようなDNAポリメラーゼはThermot oga DNAポリメラーゼであり、より好ましくは3'−5'エキソヌクレアーゼ活性 が実質的に低下したThermotoga DNAポリメラーゼ、さらにより好ましくは、Tne ポリメラーゼ(配列番号1、2)、Tmaポリメラーゼ(米国特許第5,374,553号) またはその変異体か誘導体、最も好ましくはTneポリメラーゼの以下の変異体:T ne N'Δ219、D323A(配列番号:3);Tne N'Δ283、D323A(配列番号:4);T ne N'Δ192、D323A(配列番号:5);Tne D137A、D323A(配列番号:6);Tne D8A、D323A(配列番号:7);Tne G195D、D323A(配列番号:8);Tne G37D 、D323A(配列番号:9);Tne N'Δ283(配列番号:10);Tne D137A、D323A、 R722K;Tne D137A、D323A、R722Y;Tne D137A、D323A、R722L;Tne D137A、D323 A、R722H;Tne D137A、D323A、R722Q;Tne D137A、D323A、F730Y;Tne D137A、D 323A、K726R;Tne D137A、D323A、K726H;Tne D137A、D323A、R722K、F730Y;Tn e D137A、D323A、R722K、K726R;Tne D137A、D323A、R722K、K726H;Tne D137A 、D323A、R722H、F730Y;Tne D137A、D323A、R722H、K726R;Tne D137A D323A、 R722H、K726H;Tne D137A、D323A、R722Q、F730Y;Tne D137A、D323A、R722Q、K 726R;Tne D137A、D323A、R722Q、K726H;Tne D137A、D323A、R722N、F730Y;Tn e D137A、D323A、R722N、K726R;Tne D137A、D323A、R722N、K726H;Tne D137A 、D323A、F730S;Tne N'Δ283、D323A、R722K/H/Q/N/Y/L;Tne N'Δ219、D323A 、R722K;Tne N'Δ219、D323A、F730Y;The N'Δ219、D323A、K726R;Tne N'ΔA 219、D323A、K726H;Tne D137A、D323A、F730S、R722K/Y/Q/N/H/L、K726R/H;Tn e D137A、D323A、F730T、F722K/Y/Q/N/H/L、K726R/H;Tne D137A、D323A、F730T 、Tne F73 0S;Tne F730A;Tne K726R;Tne K726H;およびTne D137A、D323A、R722Nの1つ である。 しかし、伸長鎖へ非鋳型3'末端のヌクレオチドを付加する能力が低下、実質的 に低下または除去されている他の熱安定性DNAポリメラーゼまたはその変異体は いずれも、本発明の方法において、等価に使用し得ることが理解される。DNAポ リメラーゼは、本発明の方法において、約0.0001単位/mlから約10単位/mlの濃 度で、好ましくは0.001単位/mlから約5単位/mlの濃度で、より好ましくは約0 .004単位/mlから約1単位/mlの濃度で、最も好ましくは約0.04単位/mlの濃度 で使用される。従って、本発明の方法は、増幅DNAフラグメントの個体群、最も 好ましくは多型またはマイクロサテライトDNAフラグメントを生成し、これらは 、実質的に非鋳型3'末端のヌクレオチドを含まない。「実質的に非鋳型3'のヌ クレオチドを含まない」とは、増幅DNAフラグメントの個体群において、ポリメ ラーゼ制御により生成した増幅DNAフラグメントと比較すると、非鋳型3'末端の ヌクレオチド含有DNA分子が約0〜50%、約0〜30%、約0〜20%、好ましくは 約0〜10%、より好ましくは約0〜5%、さらにより好ましくは約0〜1%、最 も好ましくは約0%であることを意味する。DNAポリメラーゼの3'非鋳型ヌクレ オチドを付加する能力を試験した場合、ポリメラーゼは、実質的に3'エキソヌ クレアーゼ活性が低下または除去されている場合、Taq DNAポリメラーゼに匹敵 する(上記を参照のこと)。3'非鋳型ヌクレオチド付加を低減または除去する よう改変または変異したポリメラーゼを試験すると、変異または改変されたポリ メラーゼは、対応する野生型、未改変または未変異ポリメラーゼに匹敵する(上 記を参照のこと)。 本発明の方法による増幅後、増幅DNAフラグメントは、同定または多型、ミニ サテライト、マイクロサテライトまたはSTR DNAフラグメントの型の判別を行う ために分析され得る。通常、この工程は、増幅DNAフラグメントを、一種以上のD NA試料中の特殊な多型フラグメントの存在が確認可能な手法により大きさ毎に分 離することにより達成される。フラグメントは、ゲル電気泳動、キャピラリー電 気泳動、クロマトグラフィー(サイズ、アフィニティーおよびイムノクロマトグ ラフィーを含む)、密度勾配遠心分離および免疫吸着など、いずれの物理的また は生化学的手段でも分離され得る。本発明の実施には、多数のDNAフラグメント を高精度に分離する迅速および再現性の高い手段を提供し、数種のDNA試料また は第一個体および第二個体由来DNA試料中のフラグメントを直接、同時に比較可 能にするため、ゲル電気泳動によるDNAフラグメントの分離が特に好ましい。 ゲル電気泳動は、代表的に、アガロースまたはポリアクリルアミド配列決定ゲ ル上で、標準プロトコルに従い、好ましくは濃度3〜12%、最も好ましくは約8 %のポリアクリルアミドおよび濃度約4〜12M、最も好ましくは約8Mの尿素を含 むゲルを用いて行われる。試料は、通常、後に行う配列比較を容易にするため、 ゲルの隣接するレーンにのせられた異なるゲノムDNA供給源から調製した増幅DNA フラグメントを含む試料とともにゲルにのせる。大きさ既知の参照マーカーを、 試料の比較を容易にするために使用し得る。電気泳動による分離後、DNAフラグ メントを、オートラジオグラフィーなどの当該分野の当業者に常用される種々の 手法により可視化および同定し得る。次いで、オートラジオグラフィーのフィル ムを、多型フラグメントパターンの差異(「型の判別」)あるいはゲルの一レー ンにおける一以上の特殊なバンドの存在(「同定」)のいずれかについて調べ得 ;他方のレーンでは観察されない一方のレーンにおける一のバンド(単一の試料 、細胞または組織型に対応)の存在は、その特殊なバンドを含むDNAフラグメン トが供給源特異的で、従って、潜在的に多型なDNAフラグメントであることを示 す。 従って、多型、ミニサテライト、マイクロサテライトまたはSTR DNAフラグメ ントを含む種々のDNAフラグメントは、本発明の方法を用い、様々な試料が現れ たフィルム上のバンドのパターンを比較することにより同定し得る。重要なこと は、本発明の方法を用いて多型DNAフラグメントの増幅産物が、鋳型(対立遺伝 子)材料の信頼性のあるコピーである、すなわち、それらは、ポリメラーゼによ るヌクレオチドの非鋳型付加により自身の3'末端に不要なヌクレオチドが付加 していないということである。このアプローチは、これらのフラグメントまたは 3'末端ヌクレオチドの非鋳型の付加なく増幅した、いかなるDNAフラグメントを も単離および特徴付けするために、他の好ましい実施態様においてさらに拡張し 得る。この実施態様において、一以上の独特なDNAフラグメントは、電気溶出ま たは物理的な切り出しなどの標準手法に従い、同定に使用したゲルから取り出さ れる(上記参照)。 次いで、単離した独特なDNAフラグメントは、種々の原核生物(細菌)または 真核生物(酵母、植物あるいはヒトまたは他の哺乳動物を含む動物の)細胞のト ランスフェクションまたは形質転換に好適な発現ベクターを含む標準ヌクレオチ ドベクターに挿入し得る。特に、本発明は、このように単離した特殊DNAフラグ メントまたはPCR増幅DNAフラグメントの平滑末端クローニングによるクローニン グ法を提供する。上述のように、Taq DNAポリメラーゼは、非鋳型ヌクレオチド 、代表的にはデオキシアデノシン(「A」)を増幅DNAフラグメントの3'末端に 付加する。従って、Taq触媒PCRは、3'A突出を有するDNAフラグメント群を生成 する。このようなTaq増幅フラグメントをクローニングするために、2つのアプ ローチが一般的に使用される。それは、増幅フラグメントを、例えばT4 DNAポリ メラーゼで処理することによる3'A突出の除去(「3'ポリシング」と呼ばれる場 合もある手法)、あるいは3'T突出を有する特別なクローニングベクター(「T クローニングベタター」)の使用である。もちろん、このようなアプローチは、 増幅フラグメントの直接挿入を行った場合より多くの時間がかかり、より高価で ある。このような直接アプローチは本発明の方法の使用により可能であり、増幅 DNAフラグメント上に3'A突出をほとんどまたは全く生じない(従って、平滑末端 となる)。従って、本発明の方法により増幅されるDNAフラグメントは、標準手 法に従って(例えば、T4 DNAリガーゼを用いて)対応する平滑末端ベクターに直 接挿入し得る。したがって、本発明は、TAクローニングベクターまたは3'ポリ シングの使用が不要であるDNAフラグメントの平滑末端クローニング法を提供す る。 ミニサテライトDNAフラグメントの存在を確認するため、本発明の方法により 同定および単離される多型DNAフラグメントは、例えば、配列決定(すなわち、 多型フラグメントのヌクレオチド配列の決定)、上述の方法および当該分野にお いて標準の他の方法(例えば、DNA配列決定法を記載した米国特許第4,966,022号 および5,498,523号を参照のこと)により、さらに特徴付けられ得る。 キット 本発明は、また、多型DNAフラグメント、特にミニサテライトまたはSTR DNAフ ラグメントを、本発明の方法により同定、分析および型の判別に使用するための キットを提供する。本発明によるキットは、内部にガラスビン、試験管、ビンの ような容器を一以上、密封的に収納する区画化保持手段を含み得る。このような 容器の各々は、DNAの増幅または分析を行うために必要な成分または成分の混合 物を含み得る。 このようなキットは、伸長DNA鎖に非鋳型3'のヌクレオチドを付加する能力が 低下、実質的に低下または除去された一以上の熱安定性DNAポリメラーゼを含み 得る。好ましくは、容器はThermotoga DNAポリメラーゼあるいはその変異体また は誘導体、特に先に詳述したものを含む。キットはまた、一以上のDNAプライマ ー分子、DNA鋳型に相補的なDNA分子の合成に必要な一以上のデオキシリボヌクレ オシド三リン酸、および/または核酸分子の増幅に好適な緩衝液(またはこれら の組み合わせ)を含み得る。 DNA分析用のキットは、上述の成分の一以上を含み得、さらに、DNAフラグメン トの分離および分析に必要なポリアクリルアミド、アガロース、尿素、界面活性 剤などの試薬を含む容器を含み得る。 もちろん、単一の試験管内でこれらの試薬の一以上を混合することも可能であ る。このような処方物の実行濃度の詳細な内容は、Ayoub RashichianおよびJose ph Solusによる同時係属中の米国特許出願第08/689,815号、発明の名称「Stable Compositions for Nucleic Acid Amplification and Sequencing」、1996年8月 14日出願、に記載されており、その開示内容をすべて本明細書中で参考として援 用する。 本発明はまた、周知の手法による分子の検出可能な標識、配列決定、増幅およ び分子の合成のためのキットにも関する。米国特許第4,962,020号、第5,173,411 号、第4,795,699号、第5,498,523号、第5,405,776号および第5,244,797号を参照 のこと。このようなキットは、内部にガラスビン、試験管、ビンなどの一以上の 容器を密封的に収納する区画化保持手段を含み得る。このような容器の各々は、 核酸の合成、配列決定、標識または増幅を行うために必要な成分または成分の混 合物を含み得る。 DNAの配列決定用のキットは、多くの収納手段を含み得る。このようなキット は、一以上の本発明のポリメラーゼ、DNA鋳型に相補的なDNA分子の合成に必要な 一または多数の型のヌクレオチド、一または多数の異なる型のターミネーター( 例えば、ジデオキシヌクレオシド三リン酸)、ピロホスファターゼ、一または多 数のプライマーおよび/または好適な配列決定緩衝液(または、これら成分の組 み合わせ)を含み得る。 核酸の増幅または合成に使用するキットは、一以上の本発明のポリメラーゼお よび一または多数のヌクレオチドまたはヌクレオチド混合物を含む。好適な増幅 または合成用緩衝液と同様に、種々のプライマーをキットに含み得る。 所望により、本発明のキットは、核酸分子の合成または配列決定において使用 し得る検出可能に標識したヌクレオチドを含む収納手段も含み得る。多くの標識 の一つを、このようなヌクレオチドの検出に使用し得る。例示的な標識は、これ らに限定されないが、放射性同位元素、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識 および酵素標識があげられる。 方法およびキットの使用 本発明の実施態様としてのポリメラーゼ、方法およびキットは、核酸増幅方法 を用いる適用、特に多型またはミニサテライトDNAフラグメントの分析および型 分類に関する適用、および最も特定にはミニサテライトDNAフラグメント、マイ クロサテライトDNAフラグメントおよびSTR DNAフラグメントの分析および型分類 に関する適用のいずれにおいても一般的に使用される。本発明の方法を使用し得 る増幅技術には、PCR(米国特許第4,683,195号および第4,683,202号)、鎖置換 増幅(SDA;米国特許第5,455,166号;欧州特許第EP 0 684 315号)、および核酸 配列に基づく増幅(NASBA;米国特許第5,409,818;欧州特許第EP 0 329 822号) が挙げられる。本発明の組成物を使用し得る核酸分析および型分類技術には、米 国特許第号4,962,022号および第5,498,523号に開示されるもののような核酸配列 決定法、ならびにランダム増幅多型DNA(RAPD)分析(Williams、J.G.K.ら、 Nucl.Acids Res.18(22):6531〜6335、1990)、Arbitrarily Primed PCR(A P-PCR;Welsh,J.、およびMcClelland,M.、Nucl.Acids Res.18(24):7213 〜 7218、1990)、DNA増幅フィンガープリンティング(DAF;Caetano-Anollesら、B io/Technology 9:553〜557、1991)、およびマイクロサテライトPCRまたはミニ サテライト領域DNAの方向づけられた増幅(DAMD;Heath,D.D.ら、Nucl.Acid s Res.21(24):5782〜5785,1993)のような、より複雑なPCRに基づく核酸フ ィンガープリンティング技術があげられる。特に、本発明のポリメラーゼ、方法 およびキットは、医療遺伝学、治療法および診断法、法医学(特に、同一判定お よび実父確定試験)ならびに農業科学(例えば、植物栽培)および他の生物科学 の分野において、多型DNAフラグメント、ミニサテライトDNAフラグメント、マイ クロサテライトDNAフラグメントまたはSTR DNAフラグメントの分析および型分類 のためのDNAポリメラーゼを使用するいずれの手順において有用である。本発明 の方法による診断に特に適切であるのは、嚢胞性繊維症、血友病、アルツハイマ ー病、精神分裂症、筋ジストロフィーまたは多発性硬化症などの遺伝病である。 同時に、これらの能力は、診断および予後の判定において、ならびにこれらおよ び他の疾患に対する治療および予防法の開発において、医療専門家および患者を 補助する。 本発明の方法が、組織または臓器移植、輸血、接合子移植、および人工受精な どの医療手順に引き続き使用されるべき動物組織のスクリーニングに使用され得 ることもまた、当業者に明らかである。このような手順において、特定の多型DN Aフラグメントの存在について、対象の組織をプレスクリーニングすることが、 組織または臓器移植(ドナー−レシピエントの遺伝的不適合による拒絶反応の起 こりやすさの減少により)および接合子移植(遺伝的欠陥のある受精卵の使用の 排除により)の成功率を向上させ得る。同様に、これらの方法の使用により、輸 血および人工受精など、このような伝染を引き起こしやすい医療手順において、 伝染性疾患(例えば、肝炎およびAIDS)の感染する機会が低減される。最後に、 独特の多型、ミニサテライトDNAフラグメント、マイクロサテライトDNAフラグメ ントおよびSTR DNAフラグメントの同定のために本発明を使用することは、少量 のDNAを含む血液、組織および体分泌物の犯罪現場における分析などの適用のよ うな法医科学、ならびに実父確定試験において役立つ。 当該関連分野の当業者にとって、本明細書中において記載した方法および適用 に対する他の好適な改変および適合は自明であり、そして本発明またはそのいず れの実施態様の範囲を逸脱せずに行い得ることは容易に理解される。ここまでで 本発明を詳細に記載したが、本発明は、単に例示のために本明細書中に含まれて おり本発明を限定する意図はない以下の実施例を参照することにより、より明確 に理解される。 実施例1:バクテリア株および増殖条件 Thermotoga neapolitana DSM No.5068を、DSMカタログに記載の嫌気性条件下 (培地に窒素を分散しながら、レザズリン、Na2Sおよび硫黄粒を添加)、85℃で 、油浴中で12〜24時間増殖させた。Whatman #1濾紙を通してブロスを濾過するこ とにより細胞を回収した。上清を氷浴中で回収した後、保冷式遠心分離機で、8, 000rpmで20分遠心した。細胞ペーストを、全ゲノムDNAを単離する前に−70℃で 保存した。 E.coli株を、2×LBブロスベース(Lennox Lブロスベース:GIBCO/BRL)培地で 増殖させた。形質転換細胞を、プレーティングの前に、SOC(1リットル当たり、 2%トリプトン、0.5%酵母抽出物、酵母10mM NaCl、2.5mM KCl、20mMグルコース 、10mM MgCl2および10mM MgSO4)中でインキュベートした。適切な場合には、抗 生物質補充物は、20mg/lテトラサイクリンおよび100mg/lのアンピシリンであっ た。E.coli DH10B株(Lorowら、Focus 12:19〜20(1990))を宿主株として使 用した。コンピテントDH10Bを、Life Technologies,Inc.(LTI)(Rockville,M D)より入手し得る。 実施例2:DNA単離 Thermotoga neapolitana染色体DNAは、1.1gの細胞から、この細胞を2.5mlのTN E(50mM Tris-HCl、pH8.0、50mM NaCl、10mM EDTA)に懸濁し、そして1%SDSで 10分間、37℃で処理することにより単離した。溶解細胞を一晩4℃で静かに振と うすることによりフェノールでDNAを抽出した。翌日、溶解細胞を、クロロホル ム:イソアミルアルコールで抽出した。得られた染色体DNAを、さらにCsCl 密度勾配で遠心することにより精製した。密度勾配から単離した染色体DNAを、 イソプロパノールで3回抽出し、そして10mM Tris-HCl(pH8.0)および1mM EDTA (TE)を含む緩衝液で一晩透析した。 実施例3:ゲノムライブラリの構築 実施例2で単離した染色体DNAを、プラスミドpCP13のゲノムライブラリの構築 に使用した。簡単に記載すると、各々、10μgのThermotoga neapolitana染色体D NAを含む10本の試験管を、0.01〜10ユニットのSauIIIAlで、37℃で1時間消化さ せた。消化させたDNAの一部を、アガロース(1.2%)ゲルにて、消化の程度を測 定するために試験した。50%未満が分解された試料を集め、エタノール沈殿させ 、そしてTEに溶解させた。部分消化した染色体DNA6.5μgを、BamHI制限エンドヌ クレアーゼで消化し、そしてウシ腸アルカリホスファターゼで脱リン酸したpCP1 3コスミド1.5μgに連結した。部分消化されたThermotoga DNAとBamHI切断pCP13 との連結は、T4 DNAリガーゼにより、22℃で16時間で行った。連結後、約1μg の連結DNAを、λパッケージング抽出物(Life Technologies,Inc.,Rockville ,MDから入手)を用いてパッケージした。次いで、DH10B細胞(Life Tech.Inc. )を、パッケージした物質100μlで感染させた。感染細胞を、テトラサイクリン 含有プレートにプレーティングした。段階希釈を行い、1プレートあたり約200 〜300のテトラサイクリン耐性コロニーを得た。 実施例4:Thermotoga neapolitana DNAポリメラーゼ発現クローンのスクリーニ ング 本発明のThermotoga neapolitana DNAポリメラーゼ遺伝子の確認は、Sagnerら 、Gene 97:119〜123(1991)(その全内容を本明細書中で参考として援用する )の方法を用いたクローニングにより行った。簡単に記載すると、実施例3で得 たE.coliのテトラサイクリン耐性コロニーを、ニトロセルロース膜に移し、12時 間増殖させた。次に、細胞を、20分間クロロホルム:トルエン(1:1)の気相 で溶解し、そして10分間室温で乾燥させた。次いで、膜を95℃で5分間処理し、 内 在性E.coli酵素を不活性化させた。残存するDNAポリメラーゼ活性を、膜を15ml のポリメラーゼ反応混合液(50mM Tris-HCl(pH8.8)、1mM MgCl2、3mM β-メ ルカプトエタノール、10μM dCTP、dGTP、dTTP、および15μCiの3,000Ci/mmol[ α32P]dATP)中に30分間65℃で浸漬させることにより検出した。 オートラジオグラフイーを用い、Thermotoga neapolitana DNAポリメラーゼを 発現した3つのコロニーを確認した。細胞を液体培養で増殖させ、そしてタンパ ク質抽出は超音波処理により行った。熱安定性ポリメラーゼのクローンの存在は 、90℃で処理した後、放射性デオキシリボヌクレオシド三リン酸を酸不溶性DNA へ導入することにより72℃でDNAポリメラーゼ活性を測定して確認した。Tne DNA ポリメラーゼを発現したクローンの1つは、pCP13〜32と呼ばれるプラスミドを 含み、さらなる実験に使用した。 実施例5:Tne DNAポリメラーゼのサブクローニング Tne DNAポリメラーゼ遺伝子を発現するpCP13〜32クローンが約25kbのT.neapo litana DNAを含むため、Tneポリメラーゼ遺伝子の小フラグメントのサブクロー ニングを試みた。E.coli/pCP13〜32から精製したTne DNAポリメラーゼの分子量 は100kdであった。したがって、2.5〜3.0kbのDNAフラグメントが、全長ポリメラ ーゼをコードするには十分である。実施例3と同様の第2ラウンド目のSau3A部 分消化を、pCP13〜32DNAを用いて行った。この場合、3.5kb領域をアガロースゲ ルから切りだし、Gene Clean(BIO 101、La Jolla,CA)により精製し、そしてB amHIで線状化し、ウシ腸アルカリホスファターゼで脱リン酸したプラスミドpSpo rt 1(Life Technologies,Inc.)に連結した。連結後、DH10Bを形質転換し、 そしてコロニーを、実施例1で記載のようにDNAポリメラーゼ活性について試験 した。Tne DNAポリメラーゼを発現するクローンがいくつか確認された。約3kbイ ンサートを含有するこれらのクローン(pSport−Tne)の1つを、さらに特徴付け した。このDNAフラグメントの制限地図を図1に示す。さらに、2.7KBのHindIII −SstIフラグメントを、pUC19中にサブクローニングし、pUC19−Tneを作製した 。E.coli/pUC19-TneもまたTne DNAポリメラーゼを産生した。E.coli DH10B(pUC 19−Tne)は、1994年9月30日にCollection,Agricultural Research Culture Co l lection(NRRL),1815 Peoria,IL 61604に、受託番号NRRL B-21338で寄託され た。Tneポリメラーゼのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、1996年9月9日出 願の米国特許出願第08/706,702号および第08/706,706号に記載されており、これ らはともに本明細書中で参考として援用する。 実施例6:E.coliからのThermotoga neapolitana DNAポリメラーゼの精製 クローニングしたTne DNAポリメラーゼ(DH10B/pSport−Tne)を発現するE.co li細胞の12gを、超音波処理(Heat Systems Ultrasonics Inc.のモデル番号375 の超音波処理装置を9にセットし、培地チップを30秒、4回超音波処理)により 、20mlの氷冷抽出緩衝液(50mM Tris HCl(pH7.4)、8%グリセロール、5mMメ ルカプトエタノール、10mM NaCl、1mM EDTA、0.5mM PMSF)中で溶解した。超音 波処理した抽出物を、80℃で15分間加熱し、そして次いで氷中で5分間冷却した 。50mM KClおよびPEI(0.4%)を加え、核酸を取り出した。その抽出物を遠心分 離して明澄化した。硫酸アンモニウムを60%になるまで添加し、ペレットを遠心 により回収し、そしてカラム緩衝液(25ml Tris−HCl(pH7.4)、8%グリセロ ール、0.5% EDTA、5mM 2−メルカプトエタノール、10mM KCl)に再懸濁した。 Blue−Sepharose(Pharmacia)カラム、または好ましくはTosoヘパリン(Tosoha as)カラムを、カラムの7倍容量のカラム緩衝液で洗浄し、そしてカラムの15倍 容量の緩衝液で10mMから2M KCIの勾配で溶出した。ポリメラーゼ活性を有する画 分を収集した。画分を、20倍容量のカラム緩衝液で透析した。収集した画分を、 Toso650Qカラム(Tosohaas)にかけた。カラムをベースラインOD280まで洗浄し 、そして25ml Tris(pH7.4)、8%グリセロール、0.5mM EDTA、10mM KCl、5mM β−メルカプトエタノール、10mM KClから同緩衝液で650mM KClまでの10カラム 容量の緩衝液の直線勾配で溶出した。活性を示す画分を収集した。 実施例7:Thermotoga neapolitama 3'から5'エキソヌクレアーゼ変異体の構築 DNAポリメラーゼ内の3'から5'エキソヌクレアーゼ活性を有する領域およびd NTP結合ドメインの位置を特定するために、Tne DNAポリメラーゼの一部のアミノ 酸配列を、E.coli DNAポリメラーゼ1、Taq DNAポリメラーゼ、T5 DNAポリメラ ーゼおよびT7 DNAポリメラーゼなどの他の公知のDNAポリメラーゼと比較した。 3'から5'エキソヌクレアーゼドメインの1つを、種々のDNAポリメラーゼのア ミノ酸配列との比較に基づいて決定し(Blanco,Lら、Gene 112:139〜144(199 2);BraithwaiteおよびIto、Nucleic Acids Res.21:787〜802(1993))、こ れは以下の通りである。 3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を欠くTne DNAポリメラーゼを作製する第一 工程として、2kbのpSport−Tne由来Sphフラグメントを、M13mp19(LTI,Rockvil le,MD)中にクローニングした。組換えクローンを、E.coli DH5αF'IQ(LTI,R ockville,MD)で選別した。適切なインサートを含むクローンの1つを、E.coli CJ236(Biorad,California)をE.coli DH5αF'IQから得たファージの粒子で感 染させることにより、ウラシル化一本鎖DNAを単離するために使用した。オリゴ ヌクレオチドGA CGT TTC AAG CGC TAG GGC AAA AGA(配列番号:22)を、部位特 異的変異誘発を行うために使用した。この部位特異的変異誘発では、Asp323(上 記で*で示す)をAla323に変換した。Eco47III制限部位は、変異誘発後の変異体 のスクリーニングを容易にするために、この変異誘発の一部として作製した。変 異誘発は、T4 DNAポリメラーゼ(USB,Cleveland,OH)の代わりにT7 DNAポリメ ラーゼを使用した以外は、Bioradマニュアル(1987)に記載のプロトコルを用い て行った。変異体クローンは、突然変異性オリゴヌクレオチドに作製したEco47I II制限部位についてスクリーニングした。作製したEco47III制限部位を有する変 異体の1つを、次の実験に使用した。Asp323からAla323への変異は、DNA配列決定 により確認した。 3'→5'エキソヌクレアーゼ変異体を発現ベクターに導入するために、変異体 ファージをSphIおよびHindIIIで消化した。変異体を含む2kbのフラグメントを単 離した。野生型フラグメントと置換するために、このフラグメントをpUC−Tneで クローニングした。図2A参照。所望のクローン、pUC−Tne(3'→5')を単離し た。変異体配列の存在を、特殊なEco47III部位の存在により確認した。次に、プ ラスミドをSstIおよびHindIIIで消化した。全変異体ポリメラーゼ遺伝子(2.6kb )を精製し、そしてSstIおよびHindIIIで消化したpTrc99発現ベクター(Pharmac ia,Sweden)中にクローニングした。クローンを、DH10B(LTI,Rockville,MD )で選別した。得られたプラスミドをpTrcTne35と命名した。図2B参照。このク ローンは、活性熱安定性DNAポリメラーゼを産生した。 実施例8:フェニルアラニンからチロシンへの変異体 dNTP結合ドメインを含むポリメラーゼ活性部位は、通常、ポリメラーゼのカル ボキシ末端領域に存在する。Tneポリメラーゼ遺伝子の配列は、dNTPと接触し、 相互作用を行うと推定されるアミノ酸が、内部のBamHI部位から開始する694塩基 内に存在することを示す。図1参照。この結論は、原始型ポリメラーゼE.coli D NAポリメラーゼIとの相同性に基づく。Poliskyら、J.Biol.Chem.265:14579 〜14591(1990)参照。O-ヘリックスについて、様々のポリメラーゼとの比較を 行った。 TneポリメラーゼのPhe730をTyr730に変えるために、オリゴヌクレオチドGTA T AT TAT AGA GTA GTT AAC CAT CTT TCC A(配列番号:23)を用いて部位特異的変 異誘発を行った。このオリゴヌクレオチド指定変異誘発の一部として、変異体を 容易にスクリーニングするために、HpaI制限部位を作製した。実施例7で記載し たものと同じウラシル化一本鎖DNAおよび変異誘発手順を、この変異誘発に使用 し た。変異誘発後、変異体をHpaI部位によりスクリーニングした。所望のHpaI部位 を有する変異体を次の実験に使用した。変異はDNA配列決定により確認した。 野生型SphI−HindIIIフラグメントを変異体ファージDNAから得た変異体フラグ メントで置き換えることにより、Phe730からTyr730への変異体をpUC−Tneに導入 した。所望のクローン、pUC−TneFYの存在は、特殊なHpaI部位の存在により確認 した。図2A参照。全変異体ポリメラーゼ遺伝子を、DH10B中の上述したSstI−Hin dIIIフラグメントであるpTrc99中にサブクローニングした。得られたプラスミド を、pTrcTneFYと命名した(図2B)。クローンは活性熱安定性ポリメラーゼを産 生した。 実施例9:3'→5'エキソヌクレアーゼおよびPhe730→Tyr730への二重変異体 3'→5'エキソヌクレアーゼ変異およびPhe730→Tyr730変異を同一発現ベクタ ー、pTrc99で行うためには、まず、両変異体をpUC−Tneクローンで再構築するこ とが必要であった。図3参照。pUC−Tne(3'→5')およびpUC−TneFYの両方を 、BamHIで消化した。次の連結処理での再循環を避けるために、消化したpUC−Tn e(3'→5')を脱リン酸した。得られたフラグメントを1%アガロースゲル上 で精製した。最大BamHIフラグメント(4.4kb)をpUC−Tne(3'→5')消化DNA で精製し、そしてPhe730→Tyr730変異を含む最小BamHIフラグメント(0.8kb)を 、精製し、そして連結してpUC−Tne35FYを作製した。適切な配向および同一プラ スミド内での両変異の存在を、E.co47III、HpaIおよびSphI−HindIII制限消化に より確認した。図3参照。 両変異を含む全ポリメラーゼを、pTrc99のSstI−HindIIIフラグメントとして サブクローニングし、DH10B内でpTrcTne35FYを作製した。クローンは活性熱安定 性ポリメラーゼを産生した。 実施例10:3'→5'エキソヌクレアーゼ、5'→3'エキソヌクレアーゼおよびPh e730→Tyr730への三重変異体 公知のポリメラーゼのほんとんどにおいて、5'から3'エキソヌクレアーゼ活 性は、ポリメラーゼのアミノ末端領域に存在する(Ollis,D.L.ら、Nature 313 , 762〜766,1985;Freemont,P.S.ら、Proteins 1,66〜73,1986;Joyce,C.M .,Curr.Opin.Struct.Biol.1:123〜129(1991))。5'から3'エキソヌク レアーゼ活性を担うと考えられる保存アミノ酸はいくつか存在する(Gutmanおよ びMinton,Nucl.Acids Res.21,4406〜4407,1993)。上記参照。5'から3' エキソヌクレアーゼドメインは、必須でないことは公知である。最もよく知られ た例は、E.coli Pol Iのクレノウフラグメントである。クレノウフラグメントは 、5'から3'エキソヌクレアーゼ活性を欠く天然のタンパク質分解性フラグメン トである(Joyce、C.M.ら、J.Biol.Chem.257,1958〜1964,1990)。5'から 3'エキソヌクレアーゼ活性を欠くTne DNAポリメラーゼの等価物変異体を作製す るために、SstI部位から680塩基に存在する特殊なSphI部位の存在を利用した。p UC−Tne35FYをHindIIIで消化し、クレノウフラグメントを導入して平滑末端とし 、そしてSphIで消化した。1.9kbフラグメントを発現ベクターpTTQ19(Stark,M. J.R.,Gene 51,255〜267,1987)のSphI−SmaI部位でクローニングし、DH10Bに 導入した。このクローニング技術により、ベクターからのメチオニンの開始コド ンを有するインフレームポリメラーゼクローンを作製した。得られたクローンは 、Tne DNAポリメラーゼの219の末端アミノ酸を欠く。このクローンをpTTQTne535 FYと命名する(図4)。このクローンは、活性熱安定性ポリメラーゼを産生した 。この変異体ポリメラーゼでは、シーケンシング反応において異常な配列ラダー の存在の欠如により証明されるように、エキソヌクレアーゼ活性は検出されなか った。この特殊な変異体ポリメラーゼは、DNA配列決定に非常に好適である。 実施例11:5'→3'エキソヌクレアーゼ欠失およびPhe730→Tyr730置換変異体 Tne DNAポリメラーゼPhe730→Tyr730変異体の5'→3'エキソヌクレアーゼ欠失 変異体を生成するため、pTTQTne535FYの1.8kb SphI-SpeIフラグメントをpUC-Tne FYの同一フラグメントと置換した。図4を参照のこと。得られたクローンのpTTQ Tne5FYは、活性な熱安定性DNAポリメラーゼを生成した。標識プライマーの分解 速度により測定したとき、この変異体は、野生型Tne DNAポリメラーゼと比較し て、低いが検出可能な変調された5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を有する。LTI 、Roc kville、MDから入手可能なM13/pUC前向23-Base Sequencing PrimerTMを5'末端で 、これもLTI、Rockville、MDから入手可能な[P32]ATPおよびT4キナーゼで製造業 者による記載の通りに標識した。反応混合物は、野生型または変異体のいずれか のTne DNAポリメラーゼ20単位、標識プライマー0.25pmol、20mMトリシン(pH8.7) 、85mM酢酸カリウム、1.2mM酢酸マグネシウムおよび8%グリセロールを含有した 。70℃でインキュベーションを行った。種々の時点で、10μlアリコートをサイ クル配列決定停止溶液5μlに移し、そして6%ポリアクリルアミド配列決定ゲル 中で分離させ、次にオートラジオグラフィーを行った。野生型ポリメラーゼは、 プライマーを5〜15分で分解したが、変異ポリメラーゼは、同量のプライマーを 分解するのに60分以上要した。 実施例12:変異体ポリメラーゼの精製 変異体ポリメラーゼの精製を、軽微な変更はあるが、本質的には上の実施例6 に述べたように行った。具体的に言うと、クローン化された変異体Tne DNAポリ メラーゼを発現させる細胞5〜10gを、50mM Tris-HCl(pH7.4);8%グリセロール; 5mM 2-メルカプトエタノール、10mM NaCl、1mM EDTAおよび0.5mM PMSFを含む超 音波処理緩衝液中で、Heat Systems Ultrasonic、Inc.375型器具で超音波処理に より溶解した。超音波処理試料を75℃で15分間加熱した。熱処理後、200mM NaCl および0.4%PEIを添加して核酸を除去した。この抽出物を遠心分離し、透明化し た。硫酸アンモニウムを48%まで添加し、ペレットを25mM Tris-HCl(pH7.4);8% グリセロール;0.5%EDTA;5mM 2-メルカプトエタノール;10mM KClから成るカラム 緩衝液に再懸濁し、そしてヘパリンアガロース(LTI)カラムにロードした。カラ ムを10カラム容量のローディング緩衝液を使用して洗浄し、そして10mM〜1MにKC lを勾配させた10カラム容量の緩衝液で溶出した。ポリメラーゼ活性を含む画分 をプールし、そしてpHを7.8に調整した上記カラム緩衝液で透析した。透析した プール画分をMonoQ(Pharmacia)カラムにロードした。ヘパリンカラムについて上 述したように、カラムを洗浄し、そして溶出した。活性画分をプールし、そして 単位アッセイを行った。 この単位アッセイ反応混合物は、25mM TAPS(pH9.3)、2mM MgCl2、50mM KCl、1 mM DTT、0.2mM dNTPs、500μg/ml DNAse I処理サケ精子DNA、21mCi/ml[αP32]dC TPおよび種々の量のポリメラーゼを最終容量50μl中に含有した。70℃で10分間 インキュベーション後、0.5M EDTA10μlを管に添加した。反応混合物40μlを使 用して、TCA認識総数をGF/Cフィルター上で測定した。 実施例13:全長Tne DNAポリメラーゼの5'→3'エキソヌクレアーゼ変異体の生成 1.5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を担う2つのアミノ酸の同定 Tne DNAポリメラーゼは、E.coli DNAポリメラーゼIと類似した3つの酵素活性 を含む:5'→3'DNAポリメラーゼ活性、3'→5'エキソヌクレアーゼ活性および5' →3'エキソヌクレアーゼ活性。この実施例は、全長Tne DNAポリメラーゼの5'→3 'エキソヌクレアーゼ活性の除去に関する。GutmanおよびMinton(Nucleic Acids Res.1993,21,4406-4407)は、PolIファミリーの種々のDNAポリメラーゼにおいて 、総計10カルボン酸を含む6つの(A〜F)保存5'→3'エキソヌクレアーゼドメイン を同定した。Taq DNAポリメラーゼの結晶構造(Kimら、Nature,1995,376,612-616 )から判定したとき、10カルボン酸の内7カルボン酸(ドメインA、DおよびE内の )が、二価金属イオン結合に関与すると示唆されている。しかし、これらのカル ボン酸が実際に5'→3'エキソヌクレアーゼ活性に関与するという明確な証明はな かった。これらのカルボン酸のいくつかの生化学特性を見出すため、ドメインA およびEのアスパラギン酸のうち2つを変異誘発のために選択した。これらの2 つのドメイン中の以下のアスパラギン酸を同定した: 2.変異誘発のための一本鎖DNAの単離 一本鎖DNAをpSportTneから単離した(以下を参照)。pSportTneを形質転換に よりDH5αF'IQ(LTI,Rockville,MD)に導入した。単一コロニーをアンピシリン添 加Circle Grow(Bio101,CA)培地2ml中、37℃で16時間増殖させた。新鮮培地10ml に培養物0.1mlを接種し、A590が約0.5になるまで37℃で増殖させた。その時、M1 3K07ヘルパーファージ(1×1011pfu/ml,LTI)0.1mlを培養物に加えた。感染した培 養物を75分間増殖させた。次に、カナマイシンを50μg/mlにて添加し、培養物を 一晩増殖させた(16時間)。この培養物を遠心分離した。上清9mlを10mM MgCl2 存在下、RNaseAおよびDNaseI各50μgと室温で30分間処理した。この混合物に3M 酢酸アンモニウムおよび20%ポリエチレングリコールのカクテル0.25容量を添加 し、氷上で20分間インキュベートしてファージを沈殿させた。このファージを遠 心分離により回収した。ファージペレットをTE(10mM Tris-HCl(pH8)および1mM E DTA)200μlに溶かした。ファージ溶液を等容量のフェノール飽和緩衝液(LTI,Roc kville,MD)で2回抽出し、等容量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアル コール混合液(25:24:1,LTI,Rockville,MD)で2回抽出した後、最後にクロロホル ム:イソアミルアルコール(24:1)で2回抽出した。水層に0.1容量の7.5M酢酸ア ンモニウムおよび2.5容量のエタノールを加えた後、室温で15分間インキュベー トして一本鎖DNAを沈殿させた。このDNAを遠心分離により回収し、TE200μlに懸 濁した。 3.D8およびD137の変異誘発 2つのオリゴを設計し、D8およびD137をアラニンに変異させた。このオリゴ は、5'GTAGGCCAGGGCTGTGCCGGCAAAGAGAAATAGTC3'(D8A)(配列番号:28)および5'GAA GCATATCCTTGGCGCCGGTTATTATGAAAATC3'(D137A)(配列番号:29)である。D8Aオリゴ ではNgoAIV(太字下線)、オリゴD137AではKasI(太字下線)部位を作製して、変異 誘発後のクローン同定を容易にした。Muta-遺伝子プロトコール(Bio-Rad)に従い T4 Kinase(LTI,Rockville,MD)5単位を使用して各オリゴ200pmoIをキナーゼ処理 した。Muta-遺伝子プロトコールに従い、一本鎖DNA200ngをオリゴ2pmolとアニー ルさせた。反応物容量は、10μlであった。アニーリング工程後、野生型T7 DNA ポリメラーゼ(USB,Ohio)5単位およびT4リガーゼ(LTI)0.5単位を使用して、相補 DNA合成および連結を行った。反応物1μlを使用してMutS E.coli(Duke Universi ty,NCのDr.Paul Modrichから入手可能)を形質転換し、アンピシリン含有寒天プ レートで選択した。いかなるオリゴも添加せずにコントロールのアニーリングお よび合成反応を実施し、背景値を決定した。オリゴ含有形質転換プレートにおい て、オリゴ無添加の場合より50〜60倍多いコロニーが存在した。各変異原性オリ ゴ指向合成からの6コロニーを増殖させ、それぞれの制限部位(NgoAIVまたはKas I)について確認した。D8A(NgoAIV)については、6コロニー中4コロニーが、2 つのフラグメント(3kbおよび4.1kb)を生成した。pSportTneは、f1遣伝子間領域 付近にNgoAIV部位を有するため、Tne DNAポリメラーゼ内の新たなNgoAIV部位が 期待フラグメントを生成した。このプラスミドをpSportTneNgoAIVと称した。D13 7A(KasI)については、6クローン中5クローンが、1.1kbおよび6kbのサイズの2 つの期待フラグメントを生成した。pSportTneは、別のKasI部位を有するため、 新たに作製されたKasI部位は、これら2つの期待フラグメントを生成した。この プラスミドをpSportTneKasIと称した。DNA配列決定によりD8AおよびD137Aの両変 異を確認した。 4.発現ベクターへの変異体ポリメラーゼの再構築 Tne DNAポリメラーゼまたは変異体Tne DNAポリメラーゼの発現過程中に、様々 なクローンを構築した。このようなクローンの一つをpTTQ Tne SeqS1と称した。 このプラスミドを以下のように構築した。まず、上記の変異誘発技術と同様にし て、pSportTneのグリシン195をアスパラギン酸に変更した。E.coli DNAポリメラ ーゼI(polA214、ドメインF)における相当アミノ酸の変異は、5'→3'エキソ ヌクレアーゼ活性を失ったことが認められた(GutmanおよびMinton、上記参照)。 SspI部位を変異体ポリメラーゼにおいて作製した。次に、G195D変異を含む650bp SstI-SphIフラグメントをpUCTne35FY(以下参照)にサブクローン化して野生型フ ラグメントを置換した。このプラスミドをpUCTne3022と称した。最後に、全変異 体Tne DNAポリメラーゼをpUCTne3022からSstI-HindIIIフラグメントとしてpTTQ1 8にサブクローン化してpTTQTneSeqS1を生成した。この発現ベクターに変異D8Aま たはD137Aを導入するため、650bp SstI-SphIをpSportTneNgoAIVまたはpSportTne KasIからの同じSstI-SphIフラグメントと置換した。これらのプラスミドをそれ ぞれpTTQTneNgo(D8A)およびpTTQTneKas(D137A)と称した。 5.DNA配列決定による変異の確認 両変異体ポリメラーゼのDNA配列決定により、制限部位NgoAIVおよび変異D8A並 びにKasI部位および変異D137Aの存在を確認した。同様に、DNA配列決定により、 3'→5'エキソヌクレアーゼ領域における変異D323AおよびEco47III制限部位の存 在を確認した。さらに、DNA配列決定により、変異体Tne DNAポリメラーゼのO− らせん領域におけるF730Y変異およびHpaI制限部位を確認した。 6.変異体Tne DNAポリメラーゼの5'→3'エキソヌクレアーゼ活性 全長変異体DNAポリメラーゼを上記のように精製した。LTIカタログに記載され たように、5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を測定した。簡単に説明すると、標識 (32P)HaeIII消化λDNA(LTI)1pmolをアッセイのために使用した。緩衝液組成は、 25mM Tris-HCl(pH8.3)、5mM MgCl2、50mM NaCl、0.01%ゼラチンである。反応物 50μl中に野生型または変異体Tne DNAポリメラーゼのいずれか0、2、4、6お よび10単位を添加して反応を開始させた。反応混合物を72℃で1時間インキュベ ートした。その10μlアリコートをPEI-セルロース薄層クロマトグラフィーにか け、放出された標識を液体シンチレーションにより定量した。このアッセイでは 、D8AおよびD137Aの両変異体は、野生型Tne DNAポリメラーゼと比較して、0.01 %未満の標識放出を示した。この結果は、D8AおよびD137Aの両変異体では、5'→ 3'エキソヌクレアーゼ活性がかなり消失したことを示す。従って、これら2つの アスパラギン酸は、5'→3'エキソヌクレアーゼ活性と関連することが確認された 。 実施例14.Tne DNAポリメラーゼの二重変異体、R722K/F730Y、R722Q/F730Y、R722 H/F730YおよびR722N/F730Yの生成 すべての変異について、PCR法を使用した。共通5'-オリゴのCAC CAG ACG GGT ACC GCC ACT GGC AGG TTG(配列番号:30)を使用した。このオリゴは、KpnI部位( 上記に太字イタリック体で示した)を含む。PCRに使用した鋳型は、pTTQTneSe qS1(実施例13)であった。これは、Tneポリメラーゼ遺伝子においてF730Y変異を すでに含む。R722K/F730Y変異について、使用したオリゴは、TAT AGA GTA GTT A AC CAT CTT TCC AAC CCG TTT CAT TTC TTC GAA CAC(配列番号:31)であった。R72 2Q/F730Y変異について、使用したオリゴは、TAT AGA GTA GTT AAC CAT CTT TCC AAC CCG TTG CAT TTC TTC GAA CAC(配列番号:32)であった。R722N/F730Y変異に ついて、使用したオリゴは、TAT AGA GTA GTT AAC CAT CTT TCC AAC CCG GTT CA T TTC TTC GAA CAC(配列番号:33)であり、R722H/F730Yについて、使用したオリ ゴは、TAT AGA GTA GTT AAC CAT CTT TCC AAC CCG ATG CAT TTC TTC GAA CAC(配 列番号:34)であった。これらの各オリゴは、HpaI部位(太字イタリック体)を含 む。下線のコドンは、各アミノ酸について722位のアルギニンについての変異コ ドンであった。PCRにより、KpnIおよびHpaI部位を含む318bp生成物が生成された 。PCR生成物をKpnIおよびHpaIで消化し、KpnIおよびHpaIで消化したpUC-TneFYに タローン化して本来のフラグメントを置換し、pUC19TneFY-R722K、pUC19TneFY-R 722Q,pUC19TneFY-R722HおよびpUC19TneFY-R722Nを生成した。最後に、pTTQTneK asI(D137A)のKpnI-HindIIIフラグメント(約800bp)をこれらのプラスミドから の約800bpのKpnI-HindIIIフラグメントと置換してpTne11(R722K/F730Y)、pTne10 (R722Q/F730Y)、pTne13(R722H/F730Y)およびpTne9(R722N/R739Y)をそれぞれ生成 した。これらの変異をDNA配列決定により確認した。 実施例15:Tne DNAポリメラーゼ変異体F730AおよびF730Sの生成 PCR法を使用してF730Aを構築した。前向オリゴは、AAG ATG GTT AAC GCG TCT ATA ATA TAC GG(配列番号:35)であったが、これはHpaI部位およびMluI部位(太 字イタリック体)を含む。逆向オリゴは、CAA GAG GCA CAG AGA GTT TCA CC(配 列番号:36)であったが、これはTneポリメラーゼ遺伝子に存在するSpeIの下流に アニールする。PCRに使用した鋳型は、pTTQTneKasI(D137A)であった。482bp PCR 生成物をHpaIおよびSpeIで消化し、pUC-TneFYにクローン化し、それにより、730 位のアミノ酸チロシンをアラニンと置換した。この構築物をpUC-TneFAと称した 。 F730Sを部位特異的変異誘発により構築した。オリゴは、GTA TAT TAT AGA GGA GTT AAC CAT CTT TCC(配列番号:37)であったが、ここではHpaI部位(太字イタリ ック体)が作製されていた。使用した一本鎖DNAは、二重変異D137AおよびD323A を含むpSport-Tneから単離したものであった。この構築物をpTne47と称した。次 に、Tneポリメラーゼ遺伝子をSstIおよびHindIIIフラグメントとしてプラスミド pUC19にクローン化し、得られたクローンをpTne101と称した。 実施例16:730位のアミノ酸フェニルアラニンの前方にHpaI部位を有するTne DNA ポリメラーゼの生成 PCRを使用してTneポリメラーゼ構築物を作製した。このとき、730位のアミノ 酸フェニルアラニンの前方の遺伝子にHpaI制限酵素部位を導入した。前向オリゴ ヌクレオチドは、AAG ATG GTT AAC TTC TCT ATA ATA TAC GG(配列番号:38)で、H paI部位(上記に太字イタリック体で示す)を含み、逆向オリゴは、上記の実施 例15と同じであった。PCRに使用した鋳型は、pTne33であった。これは、pUC19に クローン化したD137AおよびD323A変異を有するTneポリメラーゼ遺伝子を含有す る。482bp PCR生成物をHpaIおよびSpeIで消化し、これを使用してpTne101におけ る相当フラグメントを置換した(実施例15を参照)。この構築物を配列決定し、 730位のアミノ酸が事実フェニルアラニンであることを確認し、このプラスミド をpTne106とした。 実施例17:Tne DNAポリメラーゼの二重変異体R722Y/F730AおよびR722L/F730Aの生 成 両変異について、PCR法を使用した。共通5'オリゴは、実施例14と同じであっ た。R722Y/F730A変異について、使用したオリゴは、TAT AGA GTA GTT AAC CAT C TT TCC AAC CCG GTA CAT GTT TTC GTT CAC(配列番号39)であった。R722L/F730A 変異について、使用したオリゴは、TAT AGA GTA GTT AAC CAT CTT TCC AAC CCG CAA CAT GTC TTC GTT CAC(配列番号:40)であった。これらの各オリゴは、HpaI部 位(上記に太字イタリック体で示す)を含む。下線のコドンは、各アミノ酸に ついて、722位のアルギニンについての変異コドンであった。AflIII部位もまた 、変異を確認するために作製した(上記に、下線コドンの次に太字イタリック体 で示した)。PCRにより、KpnIおよびHpaI部位を含む318bp生成物が生成された。 このPCR生成物をKpnIおよびHpaIで消化し、pUC-TneFAにクローン化した(実施例 15を参照)。これらの構築物をpUCTneYAおよびpUCTneLAと称した。 実施例18:Tne DNAポリメラーゼ変異体R722YおよびR722Lの生成 プラスミドpTne106(実施例16を参照)をHpaIおよびKpnIで消化し、318bpフラグ メントをpUCTneYAまたはpUCTneLA(実施例17を参照)の相当フラグメントと置換し て変異体R722YまたはR722Lを生成した。これらの構築物において、730位のアミ ノ酸は、野生型Tne(フェニルアラニン)と同じである。この構築物を配列決定し 、R722YおよびR722L変異を確認した。次に、Tne DNAポリメラーゼ遺伝子をSstI/ HindIIIフラグメントとしてプラスミドpSport1にクローン化した。 実施例19:Tne DNAポリメラーゼ変異体R722K、R722QおよびR722Hの生成 構築物pTne106(実施例16を参照)をHpaIおよびKpnIで消化し、そして318bpフラ グメントを構築物pUC19TneFY-R722K、pUC19TneFY-R722HまたはpTne10(実施例14 を参照)からの対応するフラグメントで置換して、変異体R722K、R722HおよびR7 22Qを生成した。これらの構築物を配列決定して変異を確認した。次に、Tne DNA ポリメラーゼ遺伝子を、SstI/HindIIIフラグメントとしてベクターpSportIにサ ブクローン化した。 実施例20:変異体Tne DNAポリメラーゼの精製 Tne DNAポリメラーゼの変異体の精製を、軽微な変更をした上記の方法に基づ いて行った。クローン化された変異体Tne DNAポリメラーゼを発現する細胞2〜 3gを、超音波処理緩衝液(50mM Tris-HCl、pH8.0、10%グリセロール、5mM 2- メルカプトエタノール、50mM NaCLl、1mM EDTAおよび0.5mM PMSF)15〜20mlに再 懸濁し、そして550 Sonic Dismembrator(Fisher Scientific)で超音波処理した 。 超音波処理した試料を82℃で20分間加熱した後、氷水中で5分間冷却した。試料 に20mM NaClおよび0.2%PEIを添加し、そして13,000rpmで10分間遠心分離した。 上清に硫酸アンモニウム(305g/L)を添加した。遠心分離によりペレットを集め、 そしてMonoQカラム緩衝液(50mM Tris-HCl、pH8.0、10%グリセロール、5mM 2-メ ルカプトエタノール、50mM NaClおよび1mM EDTA)4mlに再懸濁した。この試料を 、MonoQ緩衝液1リットルに対して一晩透析した。13,000rpmで遠心分離して全て の不溶性物質を除去した後、この試料を、MonoQカラム(HR5/5、Pharmacia)にロ ードした。カラムをMonoQカラム緩衝液でOD280がベースラインになるまで洗浄し た後、20mM MonoQカラム緩衝液中の50〜300mM NaClの線型勾配で溶出した。この 画分を8%SDS-PAGEにより分析し、そしてTne DNAポリメラーゼ活性を、先に述 べたように測定した。活性かつ純粋なTne DNAポリメラーゼを含む画分をプール した。 実施例21:Taq DNAポリメラーゼ変異体R659K、R659HおよびR659Yの生成 Taq DNAポリメラーゼをコードする遺伝子の2.5kb部分(図5)を、Hind III-X baIフラグメントとしてM13mp19にクローン化した。以下のオリゴヌクレオチドを 使用し、BioRad mutageneキット(BioRad California)を用いて、部位特異的変異 誘発を行った: NsiI部位を作製した(太字斜体を参照)R659H変異についてのCTTGGCCGCCCGATG CATCAGGGGGTC(配列番号:41); BspHI部位を作製した(太字斜体を参照)R659K変異についてのCTTGGCCGCCCGCT TCATGAGGGGGTCCAC(配列番号:42);および BsrGI部位を作製した(太字斜体を参照)R659Y変異についてのCTTGGCCGCCCTGT ACATCAGGGGGTC(配列番号:43)。 各変異に対して、期待される制限部位についてM13RF DNAを分析することによ り、6個のクローンをスクリーニングした。DNA配列決定により変異を確認した 。期待される制限部位の存在により変異を含むことが示されたDNAを、NgoAIVお よびXbaIで消化し、そして約1600塩基対のフラグメントを使用して、野生型Taq DNAポリメラーゼ遺伝子における対応するフラグメントを置換した。これらの構 築 物を、Tacプロモーター制御下でTaqポリメラーゼ遺伝子を含むプラスミド(pTTQ Taq)にて作製し、pTTQ Taq(R659K)、pTTQ Taq(R659H)およびpTTQ Taq(R659Y)を 生成した。これらのプラスミドを、E.coli DH10B(LTI)に形質転換した。 実施例22:F730SおよびF730Tを含むTneポリメラーゼ変異体の構築 実施例13の第2節で記載したように、D137A変異およびD323A変異を含むpSport Tne(Tne35)から一本鎖DNAを単離した。これらのD137変異およびD323A変異は、T ne DNAポリメラーゼを、それぞれ、5'-エキソヌクレアーゼ活性および3'→5'エ キソヌクレアーゼ活性を含まないものにした。従って、Tne35は、両方のエキソ ヌクレアーゼ活性をもたない。部位特異的変異誘発を、実施例13の第3節に記載 したプロトコールに従って行った。使用したオリゴは、F730Sでは5'GTA TAT TAT AGA GGA GTT AAC CAT CTT TCC3'(配列番号:37)であり、そしてF730Tでは5'GTA TAT TAT AGA GGT GTT AAC CAT CTT TCC3'(配列番号:44)であった。これら2つ のオリゴの各々は、MutS株における変異体のスクリーニングするための診断的( diagonistic)HPaI部位を含む。変異体プラスミドを、DH10B株に移入した。最後 に、この変異をDNAの配列決定により確認した。変異体ポリメラーゼを、実施例2 0に記載される通りの手順により精製した。 実施例23:プライマー伸長法によるTne DNAポリメラーゼおよびTaq DNAポリメラ ーゼの非鋳型一塩基付加活性の決定 以下の34マープライマーを、標準プロトコール(Molecular Cloning,A Labora tory Manual,Cold Spring Harbor,NY)により[γ-32P]ATPおよびT4ポリヌクレ オチドキナーゼを用いて5'末端で32P標識した: 5'-GGGAGACCGGAATTCTCCTTCATTAATTCCTATA-3'(配列番号:45)。 組み込まれなかったATPを、BioRad P6カラム(1.0ml)により除去した。標識プラ イマーは、以下の均質(精製)48マー鋳型にアニールした。 5'-TGGAGACCCTGGAACTATAGGAATTAATGAAGGAGAATTCCGGTCTCCC-3'(配列番号:46)。 野生型または変異体のDNAポリメラーゼ(0.125〜1.0単位)を、20mM Tris-HCl(p H8.3)、1.5mM MgCl2、50mM KCl、1.0mM DTT、200μM dCTP、200μM dGTP、200μ M TTP、200μM dATPおよびアニーリングしたプライマー鋳型0.02ピコモル中で、 72℃で2分間インキュベートした。配列決定停止緩衝液を添加し、そして90℃で 2分間加熱した後、混合物を10%ポリアクリルアミド-7M尿素にロードした。電 気泳動後、ゲルを乾燥し、そして反応産物をオートラジオグラフィーにより分析 した。図6に示した非鋳型一塩基付加産物を、PhosphorImager(Molecular Dynam ics)により定量した。実施例24:TaqおよびTneによるDNA合成の比較 PCR産物の3'末端に非鋳型ヌクレオチドを付加する傾向を試験するため、異な る23個のマーカー遺伝子座(表1を参照)の短い縦列反復配列の増幅において、 Tne DNAポリメラーゼ(5'エキソ-、3'エキソ-)をTaq DNAポリメラーゼと並べて比 較した。20mM TRIS-HCl、pH8.4、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200mMの各dNTP、200n M[32P]α-dATP、各200nMの上方プライマーおよび下方プライマー、25ngのヒトDN A、0.1%非イオン性界面活性剤および1単位のDNAポリメラーゼを(容量25ml中 に)含む反応物を氷上でアセンブリした。表1に示すように、各遺伝子座につい ての上方プライマーおよび下方プライマーの公開された配列を全増幅に使用した 。 94℃に予め加熱したPerkin Elmer9600型サーモサイクラーに反応物をロードし 、そして標準サイクリング条件(94℃で1分間予備変性;94℃で30秒間、55℃で 30秒間および72℃で1分間を30サイクル;72℃で1分間の事後伸長;4℃で一晩 浸漬)を使用してPCRを行った。各反応物の一部分を、電気泳動の進行を示すた めの染料を含有する等容量の95%ホルムアミドと混合した。試料を90℃まで2分 間加熱し、そして各々の5mlを6%変性ポリアクリルアミドゲルにロードした。 サイズマーカーを提供する配列決定ラダーをロードし、そして電気泳動を70ワッ トで実施した。電気泳動後、ゲルをろ紙に転写し、そして乾燥させた。オートラ ジオグラフィーおよびホスホイメージ(phosphoimage)分析を行い、PCR産物を 可視化し、そして各酵素により生成したバンドを直接比較することにより付加ヌ クレオチドを含有する産物の百分率を推定した。 Taq DNAポリメラーゼおよびTne DNAポリメラーゼにより生成された増幅産物の 並列比較例を、CD4遺伝子座については図7、そしてD20S27遺伝子座については 図8に示す。これらの遺伝子座の両方で、Taq PCR産物の顕著な部分は、余分な 非鋳型ヌクレオチド(n+1)を含んでいたが、Tneポリメラーゼは、CD4遺伝子座 (図7)またはD20S27遺伝子座(図8)のいずれについても、明らかな非鋳型ヌ クレオチドの取込みを示さなかった。試験した23個のマーカー遺伝子座について の全ての結果を、表2に要約した。Taq DNAポリメラーゼを使用するPCRにおいて 、増幅産物の一部は、試験した全ての遺伝子座で余分な非鋳型ヌクレオチド(n+1 ) を含んでいた。しかし、Tne DNAポリメラーゼを使用するPCRでは、試験したどの 遺伝子座でも、産物の検出可能な部分はいずれも、さらなる非鋳型ヌクレオチド を含まなかった。これらの結果は、Tne DNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラー ゼとは対照的に、非鋳型3'末端ヌクレオチドを伸長鎖に付加する能力が実質的に 減少していることを示す。これらの増幅で使用したTne DNAポリメラーゼは、3' エキソ-変異体であった(すなわち、これは、3'エキソヌクレアーゼ活性が実質 的に減少した)ため、これらの結果は、Tneポリメラーゼは、ヌクレオチドを添 加し、次いで3'エキソヌクレアーゼ活性によりこれを除去するのではなく、余分 なヌクレオチドを産物に付加し得なかったという意見と一致する。 実施例25:Tneおよび他の熱安定性酵素によるDNA合成の比較 さらに、Tneおよび他の熱安定性DNAポリメラーゼが、PCR産物に非鋳型3'末端 ヌクレオチドを付加する傾向の相違を評価するため、単一マーカー遺伝子座D1S1 03ならびに3'エキソヌクレアーゼ欠損(3'エキソ-)酵素および3'エクソヌクレア ーゼコンピテント(3'エキソ+)酵素を含む様々な熱安定性酵素を使用して並列増 幅を実施した。200nMのD1S103特異的上方プライマーおよび下方プライマーを使 用して、実施例24に述べたように、PCR増幅、電気泳動および分析を行った。 3'エキソ-DNAポリメラーゼを使用した増幅の結果を表3に示す。Tne(3'エキソ -)を除いで、試験した全ての3'エキソ-DNAポリメラーゼは、PCR産物に非鋳型3' 末端ヌクレオチド(n+1)を付加する傾向を示した。TaqおよびTbr DNAポリメラー ゼについて、100%までのPCR産物は、さらなる非鋳型3'末端ヌクレオチドを含有 したが、Vent、Deep VentおよびDtok 3'エキソ-変異体ポリメラーゼは、この非 鋳型ヌクレオチドをPCR産物の25〜100%に付加した。対照的に、Tne DNAポリメ ラーゼの3'エキソ-変異体は、DNA分子に非鋳型3'末端ヌクレオチドを付加する能 力が実質的に減少した。Tne(3'エキソ-)を使用する反応物からのPCR産物はいず れも、3'末端にさらなる非鋳型ヌクレオチドを含有しなかった。 3'エキソ+DNAポリメラーゼを使用した増幅の結果を表4に示す。5つのポリメ ラーゼならびに2つの市販の酵素混合物(一次3'エキソ-ポリメラーゼおよび二 次3'エキソ+ポリメラーゼの混合物)を試験した。この遺伝子座では、3'エキソ+ DNAポリメラーゼ(Tne、Tma、Pfu、Pwoおよび9°North)は、余分な非鋳型ヌクレ オチドを含まない産物を産生した。酵素混合物(ElongaseおよびExpand HiFi) は、さらなる非鋳型ヌクレオチドを有する産物および有さない産物の混合物を産 生した。共に、これらの結果は、Tneポリメラーゼは、3'エキソ-であるか3'エキ ソ+であるかにかかわらず、DNA分子に非鋳型3'末端ヌクレオチドを付加する能力 が実質的に減少することを示す。さらに、好ましい3'エキソ-ポリメラーゼの内 、Tne(3'エキソ-)だけでこの活性が実質的に減少したことより、増幅産物への非 鋳型ヌクレオチド付加が好ましくないPCR適用でそれが有利であることを示す。 実施例26:Tne変異体によるDNA合成の比較 マイクロサテライトDNA配列の増幅において、Tne DNAポリメラーゼおよびその 種々の変異体の有用性を試験するため、実施例25に記載の実験を、11の異なるTn e DNAポリメラーゼ変異体について繰り返した。これらの変異体の内、3つは5' エキソ+であったが、残りは、タンパク質のN末端欠失またはポリメラーゼの5' エキソヌクレアーゼドメインにおける点変異のため、5'エキソ-であった。 表5に示すように、5'エキソ-Tne変異体を使用することにより、生産的増幅が 生じ、非鋳型3'末端ヌクレオチド付加のないPCR産物を産生した。結果は、試験 を行った7つ全てのTne(3'エキソ-/5'エキソ-)ポリメラーゼ変異体、ならびに単 一のTne(3'エキソ+/5'エキソ-)変異体で等しかった。5'エキソ-Tne変異体を用い た結果は、試験した条件下では決定的でなかった。 これらの結果より、本実験において試験したTne DNAポリメラーゼの変異体は 、伸長鎖、特に、マイクロサテライトDNA配列またはSTRを含むDNA鋳型に非鋳型3 '末端ヌクレオチドを付加する能力が実質的に減少することが示される。 実施例27:Tne DNAポリメラーゼおよびTaq DNAポリメラーゼによるDNA合成の蛍光 分析 別の分析アプローチにおいて、Taq DNAポリメラーゼおよびTne DNAポリメラー ゼが、PCR産物に非鋳型ヌクレオチドを付加する傾向を、蛍光検出法を使用して 比較した。通常使用される市販のマーカーパネル(ABI Prism Linkage Mapping S et Panel 21)を利用し、異なる10個の遺伝子座を試験する、並列増幅でポリメラ ーゼを比較した。1.5mM MgCl2、各250mMのデオキシヌクレオシド三リン酸、各33 3nMのプライマー、50ngのヒトDNA、および0.6単位のTaq DNAポリメラーゼまたは Tne DNAポリメラーゼを含む反応混合物(15ml)を、氷上でアセンブリした。反 応物を、95℃に予め加熱したPerkin Elmer 9600型サーモサイクラーにロードし 、そして推奨されるサイクリング条件(95℃で5分間の予備変性;95℃で15秒間 、55℃で15秒間および72℃で60秒間を10サイクル;ならびに89℃で15秒間、55℃ で15秒間および72℃で60秒間を20サイクル)を使用してPCRを実施した。各遺伝 子座について2組の伸長反応を実施した。一方は、72℃で10分間の事後伸長イン キュベーションの後に一晩浸漬し、4℃で保存し(非鋳型3'ヌクレオチド付加に 有利な条件)、他方は、事後伸長インキュベーションを行わず、直ちに-20℃で 保存した(非鋳型3'ヌクレオチド付加を阻害する条件)。各反応物の一部を希釈 し、ローディングカクテルと混合し、熱変性させた後、8%ポリアクリルアミド 配列決定ゲルにロードした。単一塩基分離能を得るために、ABI 373 Stretch Au tomated Sequencerを15Wで5〜6時間運転し、そしてGeneScanソフトウエアを使 用してデータを分析した。ソフトウエアにより認識されたピーク面積を使用して 、2つの異なる伸長条件下での2つのポリメラーゼによる各遺伝子座について、 非鋳型3'ヌクレオチド付加(「n+1」)の百分率を推定した。対立遺伝子ピーク下 の総面積を使用して、Tne増幅およびTaq増幅で得られた特異的PCR産物の収量を 比較し、そしてTneポリメラーゼにより生成した収量を、各遺伝子座についてTaq ポリメラーゼにより生成した収量の百分率として表示した。表6に、得られた結 果を要約する。 表6に示される結果は、3’非テンプレート化ヌクレオチド付加を好む条件( 「10分間の最終伸長」)下または阻害する条件(「最終伸長なし」)下で、Tne DNAポリメラーゼは、試験された各々の遺伝子座についての非テンプレート化ヌ クレオチド付加が95〜100%ない(「n」)PCR産物を産生したことを確証する。 しかし、Taq DNAポリメラーゼは、許容条件下では、Taq DNAポリメラーゼにより 産生されたPCR産物の半分を優に超えるもの、そしてある場合には全てが、さら なる非テンプレート化3’ヌクレオチドを示す一方で、試験したほとんどの遺伝 子座において阻害条件下で非テンプレート化ヌクレオチドの有意な付加を示した 。さらに、ほとんどの条件下では、Tne DNAポリメラーゼにより産生されたPCR産 物の量は、Taq DNAポリメラーゼによるPCR産物の量と少なくとも同じ程度に高く 、そしていくつかの遺伝子座については3〜4倍高かった。 図9は、PCR産物のサイズにより整列させた、エレクトロフェログラムのゲル スキャンの2例を示し、10分間の最終伸長を伴うTaqおよびTneポリメラーゼを用 いて得られたPCR産物を比較している。D15S153遺伝子座については、Tneが、非 テンプレート化ヌクレオチドの付加を示さない(図9B)一方で、Taqは、40%のP CR産物に対して非テンプレート化ヌクレオチド付加を示した(図39)。同様な結 果はD15S127遺伝子座で得られ:Tne PCR産物が、いずれも、非テンプレート化ヌ クレオチド付加を示さない一方で(図9D)、53%のTaq PCR産物は非テンプレー ト化ヌクレオチド付加を示した(図9C)。これらの結果は、Tneを使用した増幅 により産生されたより同質で、単純なパターンと比較して、Taq増幅により産生 される異質なパターンにおける対立遺伝子の同定の困難さを示す。 実施例24〜26を合わせるとこれらの結果は、本研究で試験されたTne DNAポリ メラーゼおよびその変異体は、DNAテンプレート(特に、マイクロサテライトDNA 配列またはSTRを含むDNAテンプレート)へ非テンプレート化3’末端ヌクレオチ ドを付加する能力が実質的に減少していることを示す。逆に、Taq DNAポリメラ ーゼは、PCR産物への非テンプレート化3’ヌクレオチドの有意な付加を示す。 実施例28:TaqおよびTneの比較 癒合 短縮形態のTne DNAポリメラーゼ(N'Δ283,5'エキソ-,10%3’エキソ活性)の PCR産物が末端にヌクレオチドを付加する活性を試験するために、この酵素を、 5つの異なるマーカー遺伝子座での短い縦列リピートの増幅において野生型Taq DNAポリメラーゼと並行して比較した。ABI Prism Linkage Mapping Set Panel 2 1の一部を、これら遺伝子座についてのプライマーセットのために使用した。15 μlの反応物(20mM Tris-HCl、pH8.4、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200uMの各dNTP 、333nMの各プライマー、60ngのヒトDNA、0.1%非イオン性界面活性剤、0.6U DN Aポリメラーゼ)を氷上で組み合わせた。 反応物を、予め95℃まで加熱したPerkin Elmer model 9600 thermocyclerにロ ードし、そして推奨されるサイクル条件(5分間95℃で予め変性、95℃で15秒、5 5℃で15秒、および72℃で60秒、これを10サイクル;89℃で15秒、55℃で15秒、 そして72℃で60秒、これを20サイクル;72℃で10分間の最終伸長)を使用してPC Rを行なった。各反応物の一部を希釈し、ローディングカクテルと混合し、熱変 性し、そして8%の配列決定用ゲルにロードした。ABI 373 Stretch Automated Sequencerを1塩基の分解能を得るために15Wで5〜6時間で稼働させた。データを GeneScanソフトウェアを使用して分析した。ソフトウェアにより認識されたピー ク領域を、余分なヌクレオチド付加の割合を推定するために使用した。表7は、 得られた結果をまとめたものである。エレクトロフェログラムのデータの例を図 10に示す。 実施例29:Tne変異体の比較 余分なヌクレオチド付加に関してTne DNAポリメラーゼにおけるアミノ酸置換 の影響を評価するために、非短縮型ポリメラーゼの位置F730での異なる変異を、 Taq(野生型)および短縮型Tne(N'Δ219、D323A、F730Y)と並行増幅(side-by-si de amplification)において、ABI Prism Linkage Mapping Set Panel 21の一部 を利用して比較した。6個の遺伝子座を試験した。15μlの反応物(20mM Tris-H Cl、pH8.4、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200uMの各dNTP、333nMの各プライマー、50 〜60ngのヒトDNA、0.1%非イオン性界面活性剤、0.15〜0.6U DNAポリメラーゼ) を氷上で組み合わせた。 反応物を、95℃まで予め加熱したPerkin Elmer model 9600 thermocyclerにロ ードし、そして推奨されるサイクル条件(5分間95℃で予め変性、95℃で15秒、5 5℃で15秒、および72℃で60秒、これを10サイクル;89℃で15秒、55℃で15秒、 そして72℃で60秒、これを20サイクル;72℃で10分間の最終伸長)を使用してPC Rを行なった。各反応物の一部を希釈し、ローディングカクテルと混合し、熱変 性し、そして8%の配列決定用ゲルにロードした。ABI 373 Stretch Automated Sequencerを、1塩基の分解能を得るために15Wで5〜6時間稼働させた。データ をGeneScanソフトウェアを使用して分析した。ソフトウェアにより認識されたピ ーク領域を、余分のヌクレオチド付加割合を推定するために使用した。表8は、 得られた結果をまとめたものである。エレクトロフェログラムのデータの例を図 11に示す。実施例30:Tne変異体およびTaq変異体の比較 余分なヌクレオチド付加に関するTaq DNAポリメラーゼの位置F667(Tne DNAポ リメラーゼのF730と等価)におけるアミノ酸置換の影響を評価するために、Taq DNAポリメラーゼの市販されている変異体(Taq FS)(N'Δ3、G46D、F667Y)を、Taq DNAポリメラーゼ(野生型)およびTne-1 DNAポリメラーゼ(N'Δ219、D323A、F7 30Y)と並行増幅において比較した。3個の遺伝子座を試験した(ABI Prisme Lin kage Mapping Set Panel 21の一部)。15μlの反応物(20mM Tris-HCl、pH8.4、 50mM KCl、1.5mM MgCl2、200uMの各dNTP、333nMの各プライマー、60ngのヒトDNA 、0.1%非イオン性界面活性剤、0.6U DNAポリメラーゼ)を氷上で組み合わせた 。 反応物を、95℃まで予め加熱したPerkin Elmermodel 9600 thermocyclerにロ ードし、そして推奨されるサイクル条件(5分間95℃で予め変性、95℃で15秒、5 5℃で15秒、および72℃で60秒、これを10サイクル;89℃で15秒、55℃で15秒、 そして72℃で60秒、これを20サイクル;72℃で10分間の最終伸長)を使用してPC Rを行なった。各反応物の一部を希釈し、ローディングカクテルと混合し、熱変 性し、そして8%の配列決定用ゲルにロードした。ABI 373 Stretch Autonlated Sequencerを、1塩基の分解能を得るために15Wで5〜6時間稼働させた。データ をGeneScanソフトウェアを使用して分析した。ソフトウェアにより認識されたピ ーク領域を、余分なヌクレオチド付加の割合を推定するために使用した。表9は 、得られた結果をまとめたものである。エレクトロフェログラムのデータの例を 図12に示す。 実施例31:Tne変異体の比較 余分のヌクレオチド付加に関してTne DNAポリメラーゼの位置R722でのアミノ 酸置換の影響を評価するために、ポリメラーゼの異なる変異を、ABI Prism Link age Mapping Set Panel 21の一部を利用して、並行増幅で比較した。6個の遺伝 子座を試験した。15μlの反応物(20mM Tris-HCl、pH8.4、50mM KCl、1.5mM MgC l2、200uMの各dNTP、333nMの各プライマー、50〜60ngのヒトDNA、0.1%非イオン 性界面活性剤、0.2〜0.6U DNAポリメラーゼ)を氷上で組み合わせた。 反応物を、95℃まで最予め加熱したPerkin Elmer model 9600 thermocyclerに ロードし、そして推奨されるサイクル条件(5分間95℃で予め変性;95℃で15秒 、55℃で15秒、および72℃で60秒、これを10サイクル;89℃で15秒、55℃で15秒 、そして72℃で60秒、これを20サイクル;72℃で10分間の最終伸長)を使用して PCRを行なった。各反応物の一部を希釈し、ローディングカクテルと混合し、熱 変性し、そして8%の配列決定用ゲルにロードした。ABI 373 Stretch Automate d Sequencerを、1塩基の分解能を得るために15Wで5〜6時間稼働させた。デー タをGeneScanソフトウェアを使用して分析した。ソフトウェアにより認識された nピークおよびn+1ピークの高さを、余分なヌクレオチド付加の割合を推定するた めに使用した。表10は、得られた結果をまとめたものである。エレクトロフェロ グラムのデータの例を図13に示す。実施例32:Tne DNAポリメラーゼ変異体K726Rの産生 Tneポリメラーゼの変異を、上記の実施例13に記載される手順と実質的に同じ 手順によって行なった。一本鎖DNAを、D137AおよびD323A変異を含むpSport-Tne から単離した。この変異誘発に使用されたオリゴヌクレオチドは、5’-GAA GTT CAC CAT CCG GCC GAC CCG TCG CAT TTC 3’(配列番号93)であった。XmaIII 部位(上記の配列中の太字のイタリック体)を、変異体のスクリーニングを容易 にするためにオリゴヌクレオチド中に導入した。この変異をDNA配列決定により 確認した。このクローンをpTne129(D137A、D323A、K726R)と名付けた。 実施例33:プライマー伸長アッセイによるTne DNAポリメラーゼおよびその変異 体D137A、D323A、K726Rの非テンプレート化1塩基付加の活性の決定 実施例32で調製した変異体Tne DNAポリメラーゼ(Tne D137A、D323A、K726R )を、実施例20に記載のように精製した。非テンプレート化1塩基付加について のアッセイを、実施例23に記載のように行なった。結果は以下の通りであった。 これらの結果は、Tneの位置726のリジン残基の変異(特にアルギニンへの変異 )は、非テンプレート化塩基の付加におけるポリメラーゼの活性を実質的に減少 させることを示す。 明確に理解することを目的として、例示および実施例によっていくらか詳細に 本発明を十分に記載してきたので、本発明の範囲にも、いずれの特定の実施態様 にも影響を及ぼすことなく、条件、処方、および他のパラメーターの広範かつ等 価な範囲内で、本発明を改変または変更することにより本発明を実施し得ること 、ならびにそのような改変または変更が、添付された請求の範囲内に包含される と意図されることが当業者に明らかである。 本明細書中で言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、本発明に関係 する当業者の技術水準を表し、そしてそれぞれの刊行物、特許または特許出願が 、参考として援用されると具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度に、参 考として本明細書で援用される。
【手続補正書】 【提出日】平成11年8月26日(1999.8.26) 【補正内容】 6.1.明細書を次のように補正します。 (1)明細書第17頁3行の 「図10AおよびBは、」 とあるのを、 「図10A、図10B、図10C、および図10Dは、」 に補正します。 (2)明細書第17頁7行の 「図12AおよびBは、」 とあるのを、 「図12A、図12B、図12C、図12D、図12E、および図12Fは、」 に補正します。 【手続補正書】 【提出日】平成11年10月19日(1999.10.19) 【補正内容】 6.1 明細書を次のように補正する。 (1)明細書第40頁27行目の「受託番号NRRL B-21238」とあるのを「受託番 号NRRL B-21338」に補正する。 (2)明細書第144頁を別紙の通り補正する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/12 C12N 15/00 ZNAA 15/09 ZNA 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y U,ZW (72)発明者 ソルス,ジョセフ アメリカ合衆国 メリーランド 20879, ゲイザーズバーグ,アイビーベリー コー ト 4 (72)発明者 ヤン,シュウェイ アメリカ合衆国 メリーランド 20855, ロックビル,モラビア コート 15509

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.DNAの試料において多型DNAフラグメントを同定、分析、または型分類する 方法であって、該方法が、DNA分子の3'末端に1つ以上の非テンプレート化ヌク レオチドを付加する能力が実質的に減少した1つ以上のDNAポリメラーゼと該DNA の試料とを接触させる工程、該試料内の該多型DNAフラグメントを増幅する工程 、および該増幅した多型DNAフラグメントを分析する工程を包含する、方法。 2.非テンプレート化3'末端ヌクレオチドを実質的に含まない多型DNAフラグ メントの増幅されたコピーを産生する方法であって、該方法が、DNA分子の3'末 端に1つ以上の非テンプレート化ヌクレオチドを付加する能力が実質的に減少し た1つ以上のDNAポリメラーゼとDNA試料とを接触させる工程、および該DNA試料 内の該多型DNAフラグメントを増幅する工程を包含する、方法。 3.DNA分子をクローニングする方法であって、DNA分子の3'末端に1つ以上の 非テンプレート化ヌクレオチドを付加する能力が実質的に減少した1つ以上のDN Aポリメラーゼと該DNA分子とを接触させる工程、該DNA分子を増幅する工程、お よび該DNA分子をベクターに挿入する工程を包含する、方法。 4.前記ベクターが平滑末端化される、請求項3に記載の方法。 5.前記多型DNAフラグメントが、ミニサテライトDNAフラグメント、マイクロ サテライトDNAフラグメント、およびSTR DNAフラグメントを含む多型DNAフラグ メントの群から選択される、請求項1に記載の方法。 6.前記ポリメラーゼが、熱安定性DNAポリメラーゼである、請求項1に記載 の方法。 7.前記熱安定性DNAポリメラーゼが、Thermotoga DNAポリメラーゼおよびそ の変異体または誘導体である、請求項6に記載の方法。 8.前記DNAポリメラーゼが、TneまたはTma DNAポリメラーゼである、請求項 7に記載の方法。 9.前記DNAポリメラーゼが、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少す る、請求項1に記載の方法。 10.前記DNAポリメラーゼが、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少 する、請求項1に記載の方法。 11.前記DNAポリメラーゼが、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少 する、請求項9に記載の方法。 12.前記DNAポリメラーゼが、該ポリメラーゼが合成された核酸分子に1つ 以上の非テンプレート化3'ヌクレオチドを付加する能力を減少させる1つ以上の 改変または変異を含む、請求項1に記載の方法。 13.請求項12に記載の方法であって、前記DNAポリメラーゼが、以下: (a)3'-5'エキソヌクレアーゼ活性;および (b)5'-3'エキソヌクレアーゼ活性 からなる群より選択される少なくとも1つの活性を実質的に減少する、方法。 14.前記ポリメラーゼが、実質的に減少した3'-5'エキソヌクレアーゼおよ び5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有する、請求項13に記載の方法。 15.前記ポリメラーゼが、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少す る、請求項13に記載の方法。 16.前記ポリメラーゼが、該ポリメラーゼのO-ヘリックスに1つ以上の変異 または改変を含む、請求項12に記載の方法。 17.前記O-ヘリックスが、RXXXKXXXFXXXYX(配列番号11)として定義され、 ここでXが任意のアミノ酸である、請求項16に記載の方法。 18.前記変異または改変が、前記O-ヘリックスの位置R(Arg)および/または F(Phe)および/またはK(Lys)あるいはその組み合わせである、請求項17に記載 の方法。 19.前記変異または改変が、前記O-ヘリックスの位置Rおよび/またはFおよ び/またはKでのアミノ酸置換あるいはその組み合わせである、請求項16に記 載の方法。 20.前記ポリメラーゼが以下: からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。 21.第1の個体と第2の個体との間の関係を決定する方法であって、該方法 が、請求項1に記載の方法に従って調製された該第1の個体からのDNAの試料中 の増幅されたDNA分子の集団を、該第2の個体からのDNAの試料中の増幅されたDN A分子の集団と比較する工程を包含する、方法。 22.前記第1の個体からのDNAの前記試料が公知の試料であり、そして前記 第2の個体からのDNAの前記試料が未知試料である、請求項21に記載の方法。 23.多型DNAフラグメントの同定、分析、または型分類のためのキットであ って、該キットが、DNA分子の3'末端に1つ以上の非テンプレート化ヌクレオチ ドを付加する能力が実質的に減少した1つ以上のDNAポリメラーゼを含む、キッ ト。 24.前記キットが、1つ以上のDNAプライマー、1つ以上のデオキシヌクレ オシド三リン酸、および多型DNAフラグメントの同定、分析、または型分類にお ける使用に適切な緩衝液からなる群より選択される1つ以上の成分をさらに含む 、請求項23に記載のキット。 25.前記ポリメラーゼが、熱安定性DNAポリメラーゼである、請求項23に 記載のキット。 26.前記熱安定性DNAポリメラーゼが、Thermotoga DNAポリメラーゼである 、請求項25に記載のキット。 27.前記DNAポリメラーゼが、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少 する、請求項23に記載のキット。 28.前記DNAポリメラーゼが、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少 する、請求項23に記載のキット。 29.前記DNAポリメラーゼが、該ポリメラーゼが合成された核酸分子に1つ 以上の非テンプレート化3'ヌクレオチドを付加する能力を減少させる1つ以上の 改変または変異を含む、請求項23に記載のキット。 30.前記ポリメラーゼが、該ポリメラーゼのO-ヘリックスに1つ以上の変異 を含む、請求項29に記載のキット。 31.前記O-ヘリックスが、RXXXKXXXFXXXYX(配列番号11)として定義され、 ここでXが任意のアミノ酸である、請求項30に記載のキット。 32.前記変異または改変が、前記O-ヘリックスの位置R(Arg)および/または F(Phe)および/またはK(Lys)あるいはその組み合わせにある、請求項31に記載 のキット。 33.前記変異または改変が、前記O-ヘリックスの位置Rおよび/またはFおよ び/またはKでのアミノ酸置換あるいはその組み合わせである、請求項31に記 載の方法。 34.合成された核酸分子に非テンプレート化3'ヌクレオチドを付加するポリ メラーゼの能力を減少、実質的に減少、または排除するように改変または変異さ れている、ポリメラーゼ。 35.前記ポリメラーゼがDNAまたはRNAポリメラーゼである、請求項34に記 載のポリメラーゼ。 36.前記ポリメラーゼが実質的に純粋である、請求項34に記載のポリメラ ーゼ。 37.前記ポリメラーゼが、中温性または熱安定性である、請求項34に記載 のポリメラーゼ。 38.前記ポリメラーゼが、Tne DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Tm a DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Tfi DNAポリメラーゼ、VENTTMDNAポ リメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、DEEPVENTTMDNAポリメラーゼ、Pwo DNAポリ メラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ、Bca DNAポリメラーゼ、Tfl DNAポリメラーゼ 、ならびにそれらの変異体、改変体、および誘導体からなる群より選択される、 請求項34に記載のポリメラーゼ。 39.前記ポリメラーゼが、以下: (a)3'→5'エキソヌクレアーゼ活性;および (b)5'→3'エキソヌクレアーゼ活性 からなる群より選択される少なくとも1つの活性を実質的に減少する、請求項3 4に記載のポリメラーゼ。 40.前記ポリメラーゼが、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少す る、請求項39に記載のポリメラーゼ。 41.前記ポリメラーゼが、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に減少す る、請求項39に記載のポリメラーゼ。 42.3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を減少または排除するように改変または 変異される、請求項41に記載のポリメラーゼ。 43.前記ポリメラーゼのO-ヘリックスに1つ以上の改変または変異を含む、 請求項34に記載のポリメラーゼ。 44.前記O-ヘリックスが、RXXXKXXXFXXXYX(配列番号11)として定義され、 ここでXが任意のアミノ酸である、請求項43に記載のポリメラーゼ。 45.前記変異または改変が、前記O-ヘリックスの位置R(Arg)および/または F(Phe)および/またはK(Lys)あるいはその組み合わせにある、請求項44に記載 のポリメラーゼ。 46.前記変異または改変が、前記O-ヘリックスの位置Rおよび/またはFおよ び/またはKでのアミノ酸置換あるいはその組み合わせである、請求項44に記 載のポリメラーゼ。 47.R(Arg)が、Ala、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys 、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびValからなる群より選択されるア ミノ酸と置換される、請求項46に記載のポリメラーゼ。 48.R(Arg)が、LysまたはHisと置換される、請求項46に記載のポリメラー ゼ。 49.F(Phe)が、Ala、Asn、Arg、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu 、Lys、Met、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびValからなる群より選択されるア ミノ酸と置換される、請求項46に記載のポリメラーゼ。 50.K(Lys)が、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu 、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびValからなる群より選択されるア ミノ酸と置換される、請求項46に記載のポリメラーゼ。 51.K(Lys)が、ArgまたはHisと置換される、請求項46に記載のポリメラー ゼ。 52.以下からなる群より選択される、変異体Tne DNAポリメラーゼタンパク 質: 53.請求項34に記載のポリメラーゼをコードする遺伝子を含むベクター。 54.前記遺伝子がプロモーターに作動可能に連結される、請求項53に記載 のベクター。 55.前記プロモーターが、λ-PLプロモーター、tacプロモーター、trpプロ モーター、およびtrcプロモーターからなる群より選択される、請求項54に記 載のベクター。 56.請求項53に記載のベクターを含む宿主細胞。 57.ポリメラーゼを産生する方法であって、該方法が、 (a)請求項56に記載の宿主細胞を培養する工程; (b)前記遺伝子を発現させる工程;および (c)該宿主細胞から該ポリメラーゼを単離する工程、 を包含する、方法。 58.核酸分子を合成する方法であって、 (a)核酸テンプレートを請求項34に記載の1つ以上のポリメラーゼと混合す る工程;および (b)該テンプレートのすべてまたは一部に相補的な核酸分子を作成するために 十分な条件下で該混合物をインキュベートする工程、 を包含する、方法。 59.請求項58に記載の方法であって、前記混合物が、dATP、dCTP、dGTP、 dTTP、dITP、7-デアザ-dGTP、dUTP、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP、ddTTP、[α- S]dATP、[α-S]dTTP、[α-S]dGTP、および[α-S]dCTPからなる群より選択され る1つ以上のヌクレオチドをさらに含む、方法。 60.1つ以上の前記ヌクレオチドが検出可能に標識される、請求項59に記 載の方法。 61.DNA分子を配列決定する方法であって、 (a)プライマーを第1のDNA分子にハイブリダイズする工程; (b)工程(a)の該DNA分子を、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、請求項34 に記載の1つ以上のDNAポリメラーゼ、およびターミネーターヌクレオチドと接 触させる工程; (c)該第1のDNA分子に相補的なDNA分子のランダム集団を合成のに十分な条件 下で、工程(b)の混合物をインキュベートする工程であって、ここで、該合成さ れたDNA分子が、該第1のDNA分子よりも長さが短く、そしてここで、該合成され たDNA分子がその3'末端にターミネーターヌクレオチドを含む、工程;および (d)該第1のDNA分子のヌクレオチド配列の少なくとも一部が決定され得るよう なサイズによって、該合成されたDNA分子を分離する工程、 を包含する、方法。 62.前記デオキシリボヌクレオシド三リン酸が、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、 dITP、7-デアザ-dGTP、dUTP、[α-S]dATP、[α-S]dTTP、[α-S]dGTP、および[α -S]dCTPからなる群より選択される、請求項61に記載の方法。 63.前記ターミネーターヌクレオチドが、ddTTP、ddATP、ddGTP、ddITP、ま たはddCTPである、請求項61に記載の方法。 64.1つ以上の前記デオキシリボヌクレオシド三リン酸が、検出可能に標識 される、請求項61に記載の方法。 65.1つ以上の前記ターミネーターヌクレオチドが、検出可能に標識される 、請求項61に記載の方法。 66.二本鎖DNA分子を増幅する方法であって、 (a)第1および第2のプライマーを提供する工程であって、ここで、該第1の プライマーが、該DNA分子の第1の鎖の3'末端のまたは近くの配列に相補的であ り、そして該第2のプライマーが、該DNA分子の第2の鎖の3'末端のまたは近く の配列に相補的である、工程; (b)該第1の鎖に相補的な第3のDNA分子および該第2の鎖に相補的な第4のDN A分子が合成されるような条件下で、請求項34に記載の1つ以上のDNAポリメラ ーゼの存在下で、該第1のプライマーを該第1の鎖に、および該第2のプライマ ーを該第2の鎖にハイブリダイズする工程; (c)該第1および第3の鎖、ならびに該第2および第4の鎖を変性させる工程 ;および (d)工程(a)〜(c)を1回以上反復する工程、 を包含する、方法。 67.請求項34に記載の1つ以上のポリメラーゼを含むDNA分子を配列決定 、増幅または配列決定するためのキット。 68.1つ以上のジデオキシヌクレオシド三リン酸および/または1つ以上の デオキシヌクレオシド三リン酸をさらに含む、請求項67に記載のキット。
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