JP2001509773A - ウイルス性および細菌性血液汚染物質の不活性化方法 - Google Patents

ウイルス性および細菌性血液汚染物質の不活性化方法

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Abstract

(57)【要約】 血液の細胞体たとえば赤血球および血小板,または蛋白質分画中のウイルスおよび/または細菌の汚染を不活性化する方法を提供する.細胞または蛋白質分国を化学的増感剤と混合し,たとえばγ-線またはX-線によって照射する.

Description

【発明の詳細な説明】 ウイルス性および細菌性血液汚染物質の不活性化方法 本出願は,1990年4月16日出願,一連番号07/510,234号の一部 継続出願である1990年12月20日出願,一連番号07/632,277号の 一部継続出願である1991年2月15日出願,一連番号07/656,254号 の一部継続出願である1991年4月16日出願,一連番号07/685,931 号の一部継続出願である. 発明の分野 本発明は,生化学および医科学の一般分野に関し,特定すれば,赤血球,血小 板等,または蛋白質分画からなる液体,凍結乾燥,再構築血液細胞組成物のウイ ルス性/細菌性汚染物の不活性化に関する. 発明の背景 ヒト血液に由来する保存もしくは献血された均一血液または血漿蛋白質プレパ レーションの使用に際しての最大の関心事は,ウイルス性および細菌性の汚染の 可能性である. 厳密な滅菌によるウイルスの不活性化は,これによって血液の機能的成分とく に赤血球(RBC)および不安定な血漿蛋白質をも分解するので許容されない. 生存RBCは,以下の1つまたは2つ以上の特性によって特徴づけられる.すな わち,ATPの合成能;細胞の形態;P50値;オキシヘモグロビン,メトヘモグ ロビンおよびヘミクローム値;MCV,MCH,およびMCHC値;細胞酵素活 性;ならびにインビボ生存能である.したがって,凍結乾燥され,ついで再構築 され,ウイルスが不活性化された細胞が,ATPの代謝もしくは合成が不能な程 度まで,または細胞循環が弱体化する程度まで傷害された場合には,それらの輸 血医学における有用性は失われる. 補給用ヒト赤血球に存在する可能性があるウイルスの不活性化に関しては,早 急にプロトコールを作成する必要がある.たとえば,つい最近になって,非A非 B肝炎についての試験が開発されたものの,このようなスクリーニング方法では ,ウイルスの伝播の発現率は低下しても,完全に安全で,ウイルスを含まない補 給用血液は得られない.現在の統計では,輸血血液の単位あたりの輸血の危険は , 非A非B肝炎でほぼ1:100,HIVでは地理的位置により1:40,000 〜1:1,000,000の範囲であることが示されている.血液からウイルスを 無差別に不活性化し,除去する方法の開発が望まれていることは明白である. 汚染問題は,免疫グロブリンおよび凝固因子を含有する血漿分画のような血漿 蛋白質分画にも存在する.たとえば,非A非B肝炎の新たな症例が,承認されて いるウイルスの不活性化方法で処置された第VIII因子含有蛋白質分画を投与され た血友病患者に発症している.したがって,血液蛋白質分画についての改良され たウイルス不活性化処置が必要である. 本発明は,したがって,血液および血液蛋白質分画中に存在するウイルス性お よび細菌性汚染の不活性化方法を提供する. 本発明はまた,凍結細胞,組換え蛋白質プレパレーション,赤血球,血小板お よび白血球を包含する血液成分,幹細胞,蛋白質溶液または以後のインビボ使用 が意図された他の凍結成分たとえば血漿由来因子のウイルス性または細菌性汚染 の除去方法を提供する.本発明は,ウイルスの核酸,コート蛋白または膜エンベ ロープに選択的に結合する増感剤の利用を包含する.増感剤はまた,放射線を照 射すると活性化することが可能な残基であり,放射線は紫外部放射線の形態でも よいが,電磁放射線,たとえば汚染を含むサンプルを透過できるX-線の形態で あることが好ましい.特定の理論による限定を意図するものではないが,凍結細 胞または蛋白質含有組成物中では,一部の水は氷の形で存在するが,高度に粘稠 なガラス様状態で捕捉された不凍水も存在する.これらのガラス様状態に存在す る分子での水は移動性が低く,無差別に細胞を傷害できるヒドロキシラジカルを 形成できる可能性がある.しかしながら,ガラス状態における低移動性により, これらのヒドロキシラジカルからの細胞への傷害は減少する.したがって,増感 剤を含有する細胞の凍結懸濁液を照射しても,ヒドロキシラジカルによる細胞の 無差別な傷害は,増感剤の凍結懸濁液内を移動する能力の欠如ならびにヒドロキ シラジカルの形成およびその凍結懸濁液内部を移動する能力の欠如により回避で きる.この様式で,傷害は標的のウイルスおよび細菌粒子に局限される. 本発明はまた,腫瘍および癌細胞療法に対する細胞毒性の適用のための,化学 増感剤の使用およびその放射線処置方法を提供する.これまでに,4種類の放射 線増感化合物が様々な組合わせで,腫瘍処置のための照射とともに使用されてき た.分子状酸素および過フッ素化化合物のような低酸素化合物はこのカテゴリー に属する.チオール枯渇剤たとえばジアミンおよびジエチルマレートは細胞グル タチオンのレベルに干渉することにより,化学ラジカルによって引き起こされる 傷害の正常な細胞性修復を阻害する.代謝性阻害剤たとえばアラビノフラノシル アデニンは,低栄養条件下に活性化される細胞修復機構を阻害する.分裂中の腫 瘍細胞のDNA中に取り込まれるピリミジン類縁体たとえばハロゲン化誘導体, デオキシウリジンが利用される.この置換DNAは放射線傷害に対してさらに感 受性になる.インビトロの実験では,30%〜40%のチミジンおよびDNAを ENdRまたはIUdRで置換すると,放射線傷害の効率を1ファクターまで増 大させることが明らかにされている.ブロモジオキシウリジン(BUdR)は, ハロゲン化化合物であるが,それを新たなDNA鎖中に取り込む分裂細胞に必要 な機構によって作用する.しかし,ハロゲン化ジオキシウリジンはこれまでウイ ルスの不活性化に使われたことはない.腫瘍の処置のための放射線増感化合物の 使用に関する最近の総説には"Cancer:Principles and Practices of Oncology", 第2版,J.B.Lippin-cott Company,V.T.DeVita,Jr.,S.Hellman & S.A.Rosenberg 編,1985,2256-2279頁がある. 発明の要約 本発明は,乾燥(凍結乾燥または蒸発乾燥),凍結,液体もしくは再構築細胞 (赤血球,血小板,ヘモゾームおよび他の細胞性または細胞様成分)または血液 蛋白分画のウイルス/細菌不活性化方法を提供するものであり,この方法によれ ば,細胞または蛋白質分画は,輸血可能な状態に有用であり,しかも,細胞成分 の場合は,なお比較的高い細胞生存能,ATP合成能および酸素輸送能が維持さ れ,蛋白質分画の場合は,治療効力が維持される. 本発明の凍結乾燥および再構築メジウムは,蛋白質,とくに血漿蛋白質分画の 凍結乾燥および再構築に使用できる.蛋白質分国は,化学増感剤と混合し,凍結 乾燥または凍結して,ついで放射線を照射することによって,ウイルス/細菌を 不活性化できる.本発明の凍結乾燥メジウムを使用すれば,メジウムの構成成分 が,放射線照射時の乾燥蛋白質のある程度の保護も提供するように働く. 好ましい実施態様は,乾燥または再構築細胞のウイルス性および細菌性汚染を ,分子量約1K〜360Kの範囲のポリマーまたはポリマー混合物を含有する洗 浄液ついでpH約7.0〜7.4の範囲のデキストロース-食塩溶液の洗浄液を用 いる1もしくは2以上の洗浄サイクルによって減少させることからなる.デキス トロース-食塩溶液はまた,分子量約1K〜40Kの範囲,好ましくは約2.5K のポリマーを含有させる.再構築細胞の組成物にはまた,単糖を含有させること が好ましい. 細胞は好ましくは,pH7.0〜7.4の範囲に,好ましくはリン酸緩衝溶液に よって緩衝された凍結乾燥溶液を用いて,前もって,凍結乾燥される.代表的な リン酸緩衝凍結乾燥溶液は,一および二塩基性リン酸カリウムおよびナトリウム (通常,各1〜10mMの範囲で)および5〜10mMアデニンからなる.この 溶液はpH約7.2に維持される. 凍結乾燥緩衝液として用いられる好ましいリン酸緩衝溶液には,ニコチン酸, 還元型グルタチオン,グルタミン,イノシン,アデニン,リン酸一カリウム,塩 化マグネシウム,リン酸二ナトリウムを含有させる.これらはすべて,約7.2 のpHにおける塩基性塩緩衝剤として作用する.さらに,この凍結乾燥緩衝液に は,最終濃度約26重量/容量%の単糖,好ましくは1.7Mのグルコース,およ び最終濃度約3.0重量/容量%のポリビニルピロリドン(平均分子量360K) ,ならびに最終濃度約15重量/容量%のヒドロキシエチルデンプン(平均分子 量500K)を含有させる. 凍結乾燥の語は,物質を凍結しついで溶媒すなわち水の濃度を,昇華および脱 着によって,生物学的または化学的反応をもはや支持しないレベルまで低下させ ることと広く定義される.通常,乾燥工程は高真空下に達成される.しかしなが ら,細胞とくに赤血球の保存に関しては,乾燥の程度(残留水分の量)は,細胞 が室温における長期保存に耐えるためにとくに重要である.本明細書に記載の操 作を用いれば,細胞は,残留水分含量10%未満,好ましくは3%未満に凍結乾 燥され,なお,輸血可能な,治療的に有用な細胞に再構築できる.この操作を用 いて水分含量約3重量%とした細胞は,室温で約2週間まで,4℃では8カ月以 上,分解することなく保存できる.これは,現在のA.A.B.B.基準,赤血球の 冷蔵庫保存において4℃で6週間,あるいは室温保存1日未満で分解しない,を はるかに越えるものである.これらの乾燥細胞は,本明細書に記載の化学増感剤 を用いて不活性化することができる. 本発明の好ましい実施態様においては,洗浄したパック赤血球を化学増感剤と 混合し,ついで洗浄してウイルスまたは細菌の核酸に結合しなかった過剰の増感 剤を除去し,ついでこの処置細胞を凍結乾燥する.乾燥細胞および増感剤の混合 物をついで,通常はγ線により,強度約3K〜50Kラドで,ウイルス(とくに ,一本鎖または二本鎖RNA/DNAウイルス)の分解に十分で,細胞の回収お よび有用性に何ら実質的な悪影響を与えない時間,放射線照射を行う.他の波長 の電磁波,たとえば可視光線またはX-線の照射も使用できる. 他の好ましい実施態様においては,化学増感剤は液体蛋白質プレパレーション に添加され,ついで凍結乾燥され,放射線照射される.とくに好ましい血液蛋白 質プレパレーションには,それらに限定されるものではないが,血漿蛋白質,血 液蛋白抽出物,凝固因子(たとえば第VIIIおよびIX因子),免疫グロブリンおよ び血清アルブミンが包含される. 乾燥(凍結乾燥)細胞または蛋白質分画は化学増感剤と直接混合し,ついで放 射線を照射することができる. 上述の説明から,本発明は,血液伝播ウイルス,細菌または寄生生物に,金属 原子または金属原子含有化学増感剤を選択的に結合させるために使用できること が明らかであろう.また,特定のウイルス抗原(コート蛋白質またはエンベロー プ蛋白質のいずれか)に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体も,金 属原子または金属原子含有増感化合物に共有結合によりカップリングさせること が可能で,それによって,透過または他の形態での照射エネルギーに対する汚染 物の有効断面積が増大される. 細胞組成物も様々な蛋白質からからなるので,本明細書に記載の細胞の脱汚染 方法は,蛋白質分画とくに,それらに限定されるものではないが,凝固因子(た とえば第VIIIおよびIX因子),血清アルブミンおよび/または免疫グロブリンを 含有する分画を含む血漿蛋白質分画にも適用可能である.ウイルスおよび細菌の 不活性化は,蛋白質分画を上述の増感剤で処置することによって達成できる.凍 結 乾燥され再構築された蛋白質分画は,可能性のある汚染物を不活性化するために ,増感し,放射線照射することができる.液体および凍結蛋白質分画が本発明に よって脱汚染できることも考慮すべきである. ウイルスと増感剤の反応の推定される放射分解機構の性質に応じて,他の種類 の放射線たとえばX-線も,用いられる強度および濃度が細胞に悪影響を与える ことなくウイルスの汚染を不活性化するのに十分であることを条件に使用するこ とができる.成熟ヒト赤血球および血小板は核酸を欠くので,核酸結合性増感剤 は汚染ウイルスおよび細菌を選択的に標的とする.以上ウイルスとの関連で説明 したが,本発明の方法は,保存血および血液製品中に見出される細菌および血液 伝播寄生生物を含めた任意の生物学的汚染の不活性化にも一般的に有用であるこ とを理解すべきである.さらに,本発明は,ワクチンの製造のためにウイルスま たはウイルス粒子を不活性化するためにも使用できる. 図面の簡単な説明 図1は,例3に記載した各種増感剤についてのX-線断面積を図示する. 図2は,MoおよびW標的をもつ増感剤の効率を図示する. 図3は,例5の操作による不活性化されたPhi6を図示する. 図4は,例6の操作による血漿中のウイルスの減少を図示する. 図5は,例7に記載のサンプル中のウイルスの減少を図示する. 図6は,例8に記載のサンプル中のウイルスの減少を図示する. 図7は,X-線照射した凍結乾燥血漿中の残留第VII因子を図示する. 図8は,例9に記載のサンプル中のウイルスの減少を図示する. 図9は,UV照射した血漿中の残留第VIII因子活性を図示する. 図10,11および12は,例10に記載のサンプル中のウイルスの減少を図 示する. 図13,14,15および16は,例11に記載のサンプル中のウイルスの減 少を図示する. 図17は,水和血漿中のソラレン増感剤(臭素ありおよび臭素なし)による, 濃度0.05,0.1および0.2mg/mlでのラムダウイルスの減少を図示する.増 感剤はソラレン(S#9)およびBr-ソラレン(S#8)で,UVで活性化される .発明の詳細な説明 細胞は好ましくは,多数の赤血球,血小板および/またはヘモゾーム等を,炭 水化物,および生物学的適合性を有する1種または2種以上の,好ましくは両親 媒性を有するポリマーを含有する生理的緩衝水溶液中に浸積することにより調製 される.両親媒性の語は,単一の分子内に疎水性および親水性の部分があること を意味する.この浸積に続いて,溶液を凍結し,凍結溶液を乾燥すると,水分含 量10重量%未満,好ましくは約3重量%未満の新規な凍結乾燥赤血球が得られ ,これは,再構築すると,有意な割合の,生存能ある輸血に有用な赤血球,血小 板およびヘモゾームが生成する.凍結乾燥組成物の再構築の好ましい方法は以下 に記述する.以上赤血球について述べたが,これらの方法は一般的に,血小板, ヘモゾーム,および血液蛋白質分画の凍結にも有用であることを理解すべきであ る.本発明による赤血球,血小板および/またはヘモゾーム組成物の調製に用い られる炭水化物は,赤血球,血小板およびヘモゾームと生物学的に適合性であり ,すなわち,細胞またはヘモゾーム膜に対して非破壊性で,赤血球,血小板また はヘモゾームの膜を透過するもしくは透過できるものである.本発明による凍結 乾燥および放射線照射時に,蛋白質とくに不安定な血液蛋白質が,その炭水化物 によって安定化することも有利である.炭水化物は単糖からなる群より選択でき る.二糖は,膜を有意な程度には,透過しないように思われるからである.単糖 のペントースおよびヘキソースが好ましく,リン酸緩衝食塩溶液(PBS)また はリン酸緩衝溶液中最終濃度約7.0〜37.5重量%,好ましくは約26%で使 用される.キシロース,グルコース,リボース,マンノースおよびフルクトース がとくに有利に使用される. 細胞は他のプロトコールを用いて凍結乾燥し,以下に述べるようにして放射線 照射できることも理解すべきである.しかしながら,ウイルスの不活性化は達成 されるとしても,記述した凍結乾燥操作に従わないと,有意な割合の生存能のあ る有用な赤血球が保持されるという利点は失われる. 以下,本発明を赤血球(RBC)との関連で説明するが,本発明は,血小板, ヘモゾームもしくは他の血球細胞種または生物学的細胞,ならびに蛋白質分画と くに血漿蛋白質分画にも適用可能であることを理解すべきである. 赤血球は,全血の遠心分離,血漿上清の除去および細胞のPBSもしくはリン 酸緩衝溶液または市販のデキストロース-食塩溶液中への再懸濁によって調製す るのが好ましい.この洗浄サイクルを好ましくは市販のデキストロース-食塩溶 液を用いて2〜3回反復し,ついでパックされた細胞を上述の凍結乾燥緩衝液で ,炭水化物およびポリマーの最終希釈濃度が必要な範囲に維持されるように希釈 する.別法として,市販品を入手できるパック血液細胞を使用することもできる .これは通常,CPDA(クエン酸塩,リン酸塩,デキストロースおよびアデニ ン含有市販溶液)中に調製されている. 水分含量10%未満,好ましくは3%未満に凍結乾燥すると,凍結乾燥細胞は ,緊密な真空容器中真空下または窒素もしくは他の不活性気体下室温で,輸血用 の細胞として再構築した場合のそれらの望ましい性質に有意な変性を生じること なく,長期間にわたって維持できる.本明細書に開示された好ましい凍結乾燥方 法の使用による本発明のとくに有利な点は,凍結乾燥細胞が室温で長期間保存で きることである.すなわち,従来技術の方法によって調製された液体CPDA保 存赤血球の貯蔵に要求される低温冷蔵庫が不要になる.本発明はまた,グリセロ ール中での赤血球の超低温(−80℃)凍結保存を不要にする. 本明細書に開示される好ましい再構築方法を用いれば,凍結乾燥した赤血球は 通常の温度,すなわち約4℃以上から通常のヒト体温に相当する約37℃まで, 好ましくは室温(約22℃)で再構築できるという利点がある.再構築メジウム は,約2.5K〜360K,好ましくは5K〜約360Kの分子量を有するポリ マーまたはポリマー混合物を約12〜30重量/容量%の範囲の濃度で含有する 溶液とすることが好ましい.このポリマーは上述の赤血球の凍結乾燥に使用した ものと同じポリマーとすることができる.すなわち,再構築溶液中にはポリマー として,とくに好ましくはポリビニルピロリドン,ヒドロキシエチルデンプンお よびデキストラン,最も好ましくはポリビニルピロリドン(好ましくは分子量約 10K)を,約19重量/容量%の濃度で含有させる.再構築溶液の場合もpH を約7.0〜7.4の範囲内に維持するために,上述のようなリン酸一カリウムお よびリン酸二ナトリウムからなるリン酸緩衝溶液によって通常,緩衝化される. とくに最も好ましいポリマーは,平均分子量約10Kのポリビニルピロリドンで ある.最も好ましい再構築緩衝液にはまた,アデノシン三リン酸(ATP)を, 最終濃度約5mMで含有させる. ポリマーは,各種溶液中に約3.6K重量%から飽和までの最終濃度で含有さ せ,分子量は約2.5Kから約360Kとすることができる.ポリマーは,好ま しくは約2.5K〜約500K,最も好ましくは2.5K〜50Kの範囲の分子量 を有し,約3.6重量%からそのポリマーの溶解度の限界までの濃度で溶液中に 存在させる.ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルピロリドン誘導 体,ならびにデキストランおよびデキストラン誘導体からなる群より選ばれるポ リマーがとくに有利である.平均分子量2.5〜360Kのポリビニルピロリド ン(両媒性ポリマー)の,凍結乾燥前の溶液の容量に対して3〜20重量%の範 囲の量での使用が最も好ましい.アミノ酸ベースのポリマー(すなわち蛋白質) ,デキストランまたはヒドロキシエチルデンプンもまた使用できる.凍結乾燥緩 衝液中には,平均分子量約500Kのヒドロキシエチルデンプン(M-HES) が,最終濃度15重量/容量%で使用される.他の両媒性ポリマーたとえばポロ キサマーがその様々の形態の任意の形で使用できる.赤血球の凍結乾燥における 炭水化物-ポリマー溶液の使用は,その有意な割合が生物学的に活性なヘモグロ ビンを含有する,無傷の細胞の回収を可能にする. 最も好ましい再構築緩衝液は,リン酸一カリウム,リン酸二ナトリウムおよび ATPからなる溶液で,これらのすべてがpH約7.2で塩基性塩緩衝液を形成 し,これにはまた,約19重量/容量%のポリビニルピロリドン(平均分子量約 10K)を含有させる. 再構築溶液にはまた,所望により,単糖を好ましくは約7.0〜37.5重量/ 容量%の濃度範囲で含有させてもよい.好ましい単糖は,キシロース,グルコー ス,リボース,マンノースおよびフルクトースである. 最も好ましい実施態様においては,凍結乾燥された赤血球は,約37℃の温度 で,等容量の再構築緩衝液と混合することによって再構築し,混合することがで きる.「等容量」の語は容量が凍結乾燥前の出発容量と同一であることを意味す る.初期の再構築後,溶液に再構築緩衝液の付加容量を1〜4回,約37℃の温 度で,完全に水和するまで混合しながら加え,1:1に希釈することが好ましい . ついで,水和した細胞は以下の操作に従って洗浄することが好ましい.細胞を 再構築緩衝液で再構築すれば,水和された有用な形態になるのではあるが,とく に臨床目的には以下に述べる洗浄液配合物が好ましいことに注目すべきである. 細胞を再構築緩衝液から遠心分離で分離して得られたパック細胞は,室温で, すべて約0.4〜10mMのニコチン酸,イノシン,アデニン,グルタミンおよ び塩化マグネシウム,さらにそれぞれ約30mMの塩化ナトリウムおよび塩化カ リウムを含有し,10mMのリン酸二ナトリウムでpH7.2に緩衝化された洗 浄緩衝液(初期の再構築に用いられた容量とほぼ同量)中に再懸濁するのが好ま しい.この洗浄緩衝液にはさらに,単糖,好ましくは約20mMの濃度のグルコ ース,およびポリマー,好ましくは分子量40K,濃度約16重量/容量%のポ リビニルピロリドンを含有させる.遠心分離による分離で,最初の水和後工程, 洗浄工程は完了する. 洗浄工程後,水和細胞はデキストラン-食塩輸血用緩衝液申に室温で再懸濁す ることができる.これには好ましくは,平均分子量2.5Kのポリビニルピロリ ドンを最終濃度10重量/容量%で含有させる.細胞はそのまま,または自己の 血漿に戻して使用できる.リン酸緩衝希釈緩衝液中での付加的な洗浄工程によれ ばさらにウイルスを除去できるが,この工程は水和された輸血用細胞の調製の場 合には任意工程である. 上述の再構築および洗浄によれば,大部分の場合,ウイルスおよび細菌の汚染 の約4対数の減少が達成される.この場合,1対数の減少は乾燥により,3対数 減少は洗浄によって達成される.もちろん,ウイルスが異なれば応答も異なり, 汚染の4対数以上の減少を生じる可能性もある. 再構築された細胞は,それらの性質が新鮮な(すなわち,以前に凍結乾燥され ていない)赤血球の場合と同様である点において,輸血可能であり,治療目的に 有用であるという特徴を有する.通常,本発明によって再構築された赤血球は, 正常赤血球中での約90%を越えるオキシヘモグロビン含量を有する.いずれの 洗浄工程の前でも,ヘモグロビンの回収率は通常,80〜85%の範囲である. 水和後洗浄工程を含めた総細胞性ヘモグロビンの回収率は約20〜30%である .本発明によって再構築された細胞の形態は(走査電子顕微鏡による)通常,ホ ー ルまたはギャップを示さず,主として円板細胞状で,一部口腔細胞状である.新 鮮な赤血球の酸素運搬能(50%の酸素分子が結合する酸素分圧,P50によって 評価)は約26〜28の範囲(平均26.7),平均ヒル係数(ネイティブなヘ モグロビンに対する酸素分子の協同結合性の表示)は1.95と測定された.本 発明によって凍結乾燥され,再構築された赤血球の通常のP50は約27.5(平 均),平均ヒル係数は2.08である.再構築細胞中のATPのアッセイでは正 常なATPのADPへの代謝を示唆するATPレベルを示している.本発明によ って調製された赤血球は,容易に入手できる血液型判別抗血清による,正常な血 球凝集も示す. この凍結乾燥および再構築操作は,細胞様物質(たとえばヘモゾーム)および 蛋白質分画中のウイルス/細菌汚染を有利にまた有意に減少させる.汚染はさら に,とくに細胞または蛋白質分画の乾燥状態にある時点での放射線増感および照 射処置によって減少させることができる. 出発のパック赤血球または蛋白質(最初は液体でも凍結乾燥状態でもよい)は ,化学増感剤の十分量(細胞の総湿潤重量に基づく)と混合させる.好ましくは ,パック赤血球組成物(約10%ヘマトクリット)中には,パック細胞1mlあた り約0.1〜1mgの化学増感剤が用いられる.好ましくは,混合物には,γ-線に より3K〜50Kラドの範囲,通常は約3Kラドの放射線照射を行う.γ-線を 用いる場合,好ましい照射時間は1〜10分である.また,とくに蛋白質分画に 対しては,UV光線(320nm)を使用できる.UV照射を用いる場合,好まし い照射時間は1〜10分,とくに好ましくは3分である.増感剤の存在下におけ るこの放射線照射により,洗浄および放射線照射前に存在した汚染に基づいて, ウイルスおよび細菌汚染には約6対数の減少が生じる. 本発明は,ウイルスRNAまたはDNAの近傍のみに,化学的増感剤に由来す る遊離ラジカルを発生させる選択的方法を提供する.水和状態のウイルス含有血 液の無差別な放射線分解ではヒドロキシルラジカルを生じる.しかしながら,ヒ ドロキシルラジカルは赤血球および付随する蛋白質,ならびにウイルス標的の両 者を傷害することになる.すなわち,ウイルスの不活性化は,赤血球の生存能の 犠牲において達成される.したがって,DNA,RNA,ウイルスコート蛋白質 , および/またはウイルス膜に結合し,放射線照射に際してラジカルを発生するよ うに選択できる増感剤が要求される.放射線分解は乾燥状態(好ましくは残留水 分10%未満)で実施できるので,水からのヒドロキシルラジカルの発生は著し く減少する.この方法により,無差別な照射による傷害はさらに防止される.化 合物の例には,が包含される. これらの化合物の製造方法は既知である.Martin,R.F.& Kelly,D.P.,Aust.J. Chem. ,32,2637-46(1979)ならびにFirth,W.& Yielding,L.W.,J.Org.Chem.,47,30 02(1982)参照.放射線照射に際してラジカルを発生する他のラジカル発生試薬は ,Platzら,Proc.SPIE-Int.Soc.Opt.Eng.847,57-60(1988)およびKanakarajanら,J ACS ,110,6536-41(1988)に開示されている. 放射線増感化合物(金属原子置換基をもつように修飾されていてもよい)はま た,DNA-結合薬剤,たとえば,それらに限定されるものではないが,ネトロ プシン,BDペプチド(HMG-1からのコンセンサスペプチド),S2ペプチ ド等からなる群より選択されてもよい.これらのおよび他のDNA-結合薬剤は ,Pjura,P.E.,Grzrskowiak,K.& Dickerson,R.E.(1987),J.Mol.Biol.,197,267-2 71およびTengi,M.,Usman,N.,Frederick,C.A.& Wang,A.H.J.(1988),NuclAcids Res .,16,2671-2690に開示されている. 放射線増感化合物(金属原子置換基をもつように修飾されていてもよい)はま た,DNA-結合蛋白質および/またはポリペプチドおよび/またはペプチドの群 から構成されてもよい.この群のDNA-結合蛋白質および/またはポリペプチド および/またはペプチドの例はChurchill,M.E.A.& Travers,A.A.(1991),Trends in Biochemical Sciences16,92-97に開示されている.DNA-結合蛋白質ペプチ ドの特定の例には,この文献に開示されているSEペプチドおよびBDペプチド が包含される. 他の群の増感剤には,DNAおよびRNAに結合する陽性に荷電したポルホリ ンおよびフタロシアニンがある.これらの増感剤は可視光線(500〜700nm )による照射で活性化が可能である. DNA-結合特異性は,放射線増感化合物および/または金属原子をDNA-結 合薬剤またはDNA-結合蛋白質もしくはポリペプチドもしくはペプチドのいず れかに共有結合でカップリングさせることによって達成できる. 他の増感剤には,三重鎖DNAを形成するように特異的に設計された分子,た とえばYoungquist & Dervan,PNAS,82,2565(1985);Van Dyke & Dervan,Science 225 ,1122(1984);Van Dyke & Dervan,Nucl.Acids Res.,11,5555(1983);Barton & Raphael,PANS,82,6460(1985);Bartonら,JACS,106,2172(1984);およびBarton ,PANS,81,1961(1984)に開示された分子が包含される.これらの分子はDNAお よびRNAに部位特異的に結合し,所望により,DNAおよびRNAの近位で遊 離ラジカルを発生できる反応性残基を有する. R-I+e-→R・I R-I+・+グアニン→R-I+グアニン+ 理論による束縛を意図するものではないが,放射された電子は,最も都合のよ い電子親和性をもつ部位,恐らくはサンプル中の他の場所の第二の増感剤分子に よって捕獲されるものと考えられる.R-I(またはR-Br)による電子の捕獲は ,RXの解離とラジカルの形成を生じる.このようにして発生したラジカルが近 くの核酸の糖残基からC-H水素原子を引き抜き,これによってDNAまたはR NAの切断,そしてウイルスの不活性化が導かれる. 増感剤のラジカル陽イオン(R-X+・)が最終的に,最も好都合な酸化電位を 有するサンプルの成分から電子を引き抜くことになる.これはグアニンである可 能性が大きい.この電子転移反応によって,グアニンラジカル陽イオンが形成す る.この物質は,通気されたH2Oとの再構築時に,O2と反応することになる. この過程も,DNAの切断とウイルスの不活性化を導くことになる.未反応物質 および副生成物は,凍結乾燥細胞の再構築に関連した洗浄工程時に除去されるこ とになる(表2).この過程によって,上述の処置によって不活性化されなかっ たウイルスがさらに除去される. 化合物(1)および(2)は,核酸標的の陽性に荷電したアンモニウムイオン 基および陰性に荷電したリン酸基の間の挿入および/または静電相互作用によっ て,DNAおよびRNAに強固に結合する.赤血球は核酸を含まないので,この ような化合物と挿入によって結合することはない. 本発明を使用するための最良の様式は,汚染の可能性のある血液溶液に増感剤 を添加し,γ-線またはX-線を照射するものである.血液の液体溶液は3000 ラドまで照射するのが好ましく,乾燥した凍結乾燥固体組成物は10,000ラ ドの放射線で照射するのが好ましい.赤血球は増感剤の不存在下に,これらの用 量の放射線照射で生存することが知られている.凍結乾燥血液は,水和された血 液よりも高い照射量レベルの放射線に耐えることができる. γ-線またはX-線は主として増感剤の重原子によって吸収され,これがウイル スのDNAまたはRNAに結合することになる.放射線は増感剤を次のようにイ オン化する. R-I+γ-線→R-I+・+e (X-線) 場合によっては,とくに増感剤と赤血球が数分以上一緒に放置された場合には ,凍結乾燥前に増感剤は赤血球内に拡散することがある.このプレパレーション には,遊離ラジカルによって誘起される傷害に対する赤血球の防御を増強するた めに,抗酸化剤たとえばグルタチオン(優れた水素原子ドナー)を加えてもよい .細胞への増化剤の取り込みはまた,細胞内ウイルスとくに白血球(大部分のパ ック赤血球単位は残留白血球を含有する)内に生息すると考えられる細胞内ウイ ルス,または血中細胞内寄生生物たとえば赤血球に感染するマラリア寄生虫の不 活性化を可能にする. 増感剤は,凍結乾燥細胞について上述した洗浄プロトコールによって,再構築 血清または蛋白質分画から除去される. γ-線またはX-線による放射線分解はいくつかの理由により,湿潤液体材料中 よりも,乾燥した凍結乾燥血液(または蛋白質),ウイルス,および増感剤の組 成物中で起こることが好ましい.第一に,乾燥材料の方が放射線に対する感受性 が低く,赤血球に傷害を与えることなく,より高用量のγ-線または他の透過性 放射線を照射することができる(表1).これにより,増感剤の放射線分解の程 度が増大する.第二に,DNAまたはRNAに結合した増感剤ラジカルは,乾燥 状態では,固体材料中では拡散が起こらないのでウイルスから解離できない.こ れは,増感剤の反応をウイルスのDNAまたはRNAに限定することになる.第 三に,固体状態における条件では,増感剤ラジカルのウイルス核酸との水素原子 転移反応が,恐らくは量子力学的トンネル効果により増大する.第四に,凍結乾 燥された血液または蛋白質について用いられる再構築および洗浄効果は,未反応 物質または反応副生成物の除去手段として働き,さらにこの処置によって影響さ れなかったウイルスがあればそれを除去する(表2). 一般的に,電離放射線たとえばX-線を含めて,他の種類の放射線を使用する ことができる.一実施態様においては,金属および/またはハロゲン原子を核酸 に結合する化学的放射線増感剤分子上の置換基することにより,細菌,寄生生物 およびウイルスのような実体への標的化が可能になる.この目的での化学的増感 剤の金属およびハロゲン原子置換基には,Pt,Br,I,Zn,Cl,CaおよびFが包含 される.X-線源は,放射線を所望により,狭い波長およびエネルギー帯に限定 できるように,波長可変源とすることが好ましい.波長が可変性であることは, 金属原子によるエネルギー吸収の至適化により,吸収された透過放射線エネルギ ーを,核酸に結合した化学的増感剤によるラジカルの産生に向けることが可能に なる. 放射線増感剤としての使用が好ましい金属は白金である.他の好ましい群には ハロゲン類,臭素,ヨウ素,塩素およびフッ素がある.衝突するX-線との相互 作用のそれらの増強能によれば,放射線感受性の増強の順序は,白金,これは臭 素よりはるかに大きい,臭素,これはヨウ素,塩素およびフッ素よりはるかに大 きい,ヨウ素,塩素およびフッ素,これらはすべて水素よりはるかに大きい,で ある. これらの原子を含有する化合物は,X-線または他の形態の電離放射線を照射 すると,ウイルスの核酸,コート蛋白質または脂質エンベロープと相互作用して ,それを破壊しそれを非感染性にすることが可能な反応性種を形成できる.この 過程は,水の存在による消光および副反応が回避される乾燥状態においてとくに 有効であるが,この操作はまた水和系にも適用できる. 本発明の他の実施態様においては,増感剤は,溶媒の界面活性系と組合わせて 使用される.このような界面活性剤は,血漿または分離血漿分画のウイルス力価 を,恐らくはウイルスの溶解により,低下させることが知られている.このよう な界面活性剤には,TweenR,コール酸ナトリウム,デオキシコール酸ナトリウム ,TritonRおよび一般的な溶媒たとえばエーテルが包含される.これらの溶媒界 面活性剤の使用によるウイルス力価の低下については,たとえば,Horowitzら,Transfusion ,25(6),516-522(1985)および25(6),523-527(1985);ならびに米国特 許第4,946,648号に記載されている.このような溶媒界面活性剤による低 下レベルは文献に報告されているように,ウイルス力価1対数の低下からVSV ,シンドビスおよびセンダイのようなウイルスでの5対数以上の低下まで変勤す る.本発明は,上述のような増感剤および放射線への暴露と組合わせて用いた場 合,これらの溶媒界面活性剤によって,ウイルス力価の低下を増強できる.理論 による束縛を意図するものではないが,溶媒界面活性剤は,ウイルス蛋白質また は脂質が界面活性剤によって誘発される変化を介して増感剤の作用をさらに受け やすくなるように変性または変化させる働きを有するものと考えられる. とくに好ましい増感剤の種類には,DNA挿入剤,たとえばヒドロキシル,ア ミノ,またはメチル置換ソラレンがあり,これらは血漿または血漿分画に添加し ,ついでUVを照射することによってその中のウイルス汚染を減少させることが できる.置換ソラレンは米国特許第4,727,027号に記載されていて,この 場合,紫外線を長時間照射すると,ウイルス汚染の約4〜7対数の減少が得られ ている.提案されている作用機構は増感剤とウイルス起源のDNAまたはRNA との間の光付加物の形成であり,これがウイルスの感染性を喪失させるとされて いる.本発明によれば,ブロム化ソラレンまたは他のハロゲン化ソラレンの使用 により,ウイルス汚染の予期し難い減少が可能となる.たとえば,ブロモソラレ ンは,それらの非ブロム化相当物質の使用に比較して,約200,000倍高い ウイルス活性低下作用を示す.理論による束縛を意図するものではないが,ブロ モ化ソラレンの作用機構は,ウイルス生存核酸の傷害を生じるDNAまたはRN A近位における遊離ラジカルの発生であると考えられる. ブロム化ソラレンは,増感剤として用いた場合,既知のソラレンおよび他の置 換ソラレンに比較して改良をもたらす.ブロム化ソラレンは,非ブロム化増感剤 を活性化するには2個の光量子を要求するのに対し,ブロム化増感剤の活性化に は1個の光量子しか必要としない点で改良されているからである.第二に,ブロ ム化ソラレンは実際にすべての挿入部位で有効であるのに対し,非ブロム化増感 剤はDNAまたはRNAの異なる鎖上にウラシルまたはチミンを含有する挿入部 位にのみ有効であることによる.第三に,ブロム化ソラレンは,X-線によって もUV光線によっても活性化できる. ブロム化またはハロゲン化ソラレンの使用はとくに,血漿,免疫血清,動物血 清もしくは血清成分(たとえば胎児ウシ血清)を含有する組織培養培地,または 組織培養培地から単離された組換え生成物のような水和系における活性化に有用 である. ソラレンおよび置換ソラレンのほかに,以下に掲げるような他の種類の挿入剤 も使用できる.これらの挿入剤は,ウイルスもしくは他の血液汚染物質,または 癌細胞の標的化に使用できる.すなわち,以下の化合物のハロゲン化または金属 原子置換誘導体が増感剤として使用できる. ジヘマトポルフィリンエステル ヘマトポルフィリン誘導体 ベンゾポルフィリン誘導体 ヒドロジベンゾポルフィリンジマレイミド ヒドロジベンゾポルフィリン ジシアノジスルホン テトラカルベトキシヒドロジベンゾポルフィリン テトラカルベトキシヒドロジベンゾポルフィリンジプロピオンアミド 非ハロゲン化または非金属原子置換型での上記化合物は,以下の米国特許,す なわち第4,649,151号,第4,866,168号,第4,883,790号, 第5,053,423号および第5,059,619号に記載されている.これらは 参考として本明細書に導入する.ハロゲン原子または金属原子で修飾されると, 上に掲げた種類の化合物は可視光線を含めた電磁放射線によって増感することが 可能である. 本発明は,たとえば米国特許第4,889,129号および4,878,891号 に記載の方法および装置により,腫瘍ならびに液体血液の生体外放射線処置に適 用できる. 上述の化合物は,メロシアニン540およびフタロシアニン誘導体のような染 料を包含する親油性染料と命名された種類に含まれる化合物である.メロシアニ ン540は,癌の処置ならびに血液細胞および血漿蛋白質のウイルスの不活性化 に有用であることが開示されている[Sieberら,Photo Chem.& Photo Biology,4 6 ,707-711(1987)].フタロシアニン誘導体および他の親油性染料は,癌細胞ま たはエンベロープを有するウイルスの膜に結合することが知られている.これら の化合物は適当な波長の電磁波で活性化されると,膜を傷害し,癌細胞の死滅ま たはウイルスの不活性化を生じる一重項分子状酸素を生成する[Kalyanaramanら ,PNAS,84,2999-3003(1987)].本発明による放射線増感原子(金属原子または ハロゲン)の添加とともに,これらの化合物を適当な放射線と組合わせて使用す ると,DNA/RNA/ウイルス膜の近位に遊離ラジカルが生成し,ついでウイル ス膜または核酸が破壊され,ウイルスが不活性化する. ハロゲン化または金属原子置換脂肪酸も,本発明において,放射線増感剤とし て使用できる.脂肪酸それ自体は,米国特許第4,841,023号に開示されて いるように,Horowitzらによってウイルスの不活性化に用いられている.本発明 によれば,これらの脂肪酸は,血漿蛋白質溶液中のウイルス膜を標的とする増感 性原子とともに使用し,たとえば,ついで適当な放射線での活性化により,遊離 ラジカルを産生させて,ウイルス膜を不活性化することができる. 生物学的組成物の界面活性剤による処置は米国特許第4,820,805号およ び第4,764,369号に開示されている.光力学的処置との組合わせでのソラ レンの臨床適用については,Adelson,Scientific American,50-57(1988年8月 )に論じられている. 以下の化合物は,本発明による金属置換基またはハロゲン置換基を含有するま たはそれらを含有するように修飾できる増感剤である. 1.DNAまたはRNA標的増感剤 ソラレン増感剤 2.膜標的増感剤 フタロシアニン増感剤 メロシアニン増感剤 脂肪酸増感剤 生物学的染料 他の増感剤には,本発明によりハロゲンまたは金属原子で修飾できて,化学療 法において分裂細胞を攻撃することが知られている抗腫瘍化合物,たとえばドキ ソルビシンおよびダウノマイシンが包含される. 増感剤はまた,インビボで使用し,リポソーム(人工細胞)または薬剤負荷天 然細胞中において送達させることができる.リポソームまたは薬剤負荷細胞の導 入後,患者を放射線で処置して増感剤を活性化することができる. 本明細書に開示された増感剤を,化学療法と紫外線または他の電離放射線と組 合わせて,細胞毒性薬剤として使用することは,本発明の範囲内に包含される. 本発明は,RNAおよびRNA,ならびにウイルス,細菌または他のRNAお よび/またはDNAからなる寄生生物を含む一本鎖または二本鎖核酸鎖からなる 汚染物に適用できる. 本発明を例示するため,赤血球を上述のように凍結乾燥し,放射線照射し,赤 血球の特性を測定して試験した.結果は表1に示す.ついで,バクテリオファー ジT4(デキストロース食塩溶液中)を細胞と混合し,順次異なる4種の洗浄緩 衝液で洗浄するほかは,同じ操作を反復した.結果を表2に示す. 表1:凍結乾燥し,再構築された赤血球に対する放射線照射の影響. 20,000〜50,000ラドまでの用量は乾燥状態の細胞には,再構築後に 測定した以下に掲げたパラメーターによれば,影響を与えなかった. 凍結乾燥細胞のγ線照射 *対照に対する百分率 照射線量 20,000ラド 50,000ラド Hb回収 100 99 oxyHb 初期値から変化なし 初期値から変化なし 細胞係数 MCV 99 98 MCH 100 100 MCHC 100 100 代謝 ATP(μmol/g Hb) 79 79 乳酸塩(μmol/g Hb/h) 86 79 *対照細胞は,非照射,凍結乾燥再構築細胞 表2:赤血球の洗浄の関数としてのウイルス力価の低下. 凍結乾燥細胞の再構築に用いられた操作は数工程の洗浄工程を包含し,これら もウイルス力価を減少させる.各洗浄での減少の程度は低下して,最終的に実際 的な限界に到達する.これはウイルス力価で約4対数の減少である. 血中ウイルス負荷の洗浄プロトコールによる低下 緩衝液洗浄工程 ウイルス総量 対数減少 実験1(非凍結乾燥細胞) 再構築 7.30×107 0 洗浄 4.80×104 3.2 希釈4.80×104 3.2 輸血4.80×104 3.2 実験2(凍結乾燥細胞) 凍結乾燥 3.68×108 0 再構築 2.11×107 1.2** 洗浄 2.38×104 4.2 希釈 2.00×104 4.3 輸血 4.06×104 4.0 実験1においては,ウイルスの減少に対する凍結乾燥の効果は包含されてない .実験2においては,これらの効果が包含されている.これらの場合に使用され たマーカーウイルスはバクテリオファージT4であった.減少の程度はプラーク アッセイを用いて測定した. **これは,乾燥工程による汚染のさらに約1対数の低下を示す. 例1 献血全血からの精製パックヒト赤血球を,抗凝固保存溶液(クエン酸塩/リン 酸塩/デキストロース/アデニン含有の市販CPDA)を含まなくなるまで洗浄し ,デキストロース-食塩溶液に10%ヘマトクリットで懸濁する.洗浄されたパ ック赤血球約10mlを石英チャンバー内に取り,UV光線,好ましくは320nm を,2分間隔で総照射時間が10分になるまで照射する.各2分間隔毎に,懸濁 液を混合し,赤血球の少量の(10μl)サンプルを採取し,2mlの水で希釈し て分光光度計でヘモグロビンを検定する.各工程で,放射線照射された赤血球懸 濁液の温度を測定して,懸濁液が過熱されなかったことを確認する.いずれの時 点でも懸濁液は26℃を越えなかった(正常体温は37℃である).非処置赤血 球は, 高率の機能性オキシヘモグロビン(oxyHb)を含有し,通常,96%またはそれ 以上の範囲である.酸化傷害は半安定性のメトヘモグロビン種(metHb)が形成 して,これは正常の場合,細胞の修復酵素によって還元されてオキシヘモグロビ ンに復することが可能である.ヘミクロームはさらに強い傷害形態を示し,不可 逆性と考えられる.正常な赤血球は中等度のレベルのメトヘモグロビンには耐容 できる.ヘミクロームの分解は遊離のヘム,ネイティブなヘモグロビンの鉄-ポ ルフィリン成分を生じ,これが細胞膜を傷害する.したがって,ヘミクロームの レベルを最小限にすることが望ましい.各ヘモグロビン種は,標準的な分光光度 計を用いて特定の波長で検出できる. 以下のデータは,UV照射の増大による傷害に対するヘモグロビンの感受性を 示す.3分の照射が,赤血球に対して過剰な傷害を与えることなく,放射線増感 剤を用いたウイルスの不活性化に有用であると判断された. 照射(分) OXYHB(%) METHB(%) HEMI(%) 0 96.6 3.4 0 2 90.2 7.5 2.3 4 84.5 23.4 2.1 6 76.7 22.5 0.9 8 72.6 27.4 0 10 66.4 33.6 0 例2 少なくとも10EV PFU/mlのバクテリオファージλもしくはバクテリオファー ジphi-X174の懸濁液(0.1ml)を,別個に,1mg/mlの化合物IもしくはIIもし くはIIIを含有する4mlのデキストロース-食塩溶液に加える.放射線増感性化合 物を含むバクテリオファージの各懸濁液をついで,石英チャンバー中,好ましい 波長(320nm)のUV光線で,好ましい時間(3分)照射する.増感剤を含む 各バクテリオファージ懸濁液の対照サンプルはUV光線で照射しない.感染力価 のレベルを定量化するために,希釈系列を作成し,各種バクテリオファージサン プルのアリコートを,ついで,宿主細菌と混合して栄養アガール上に塗布する. 正常の増殖期間後に,プレートをプラークについて検定する.他のバクテリオフ ァージ懸濁液は,増感剤を添加しないで,上述のように別個に照射して,この用 量のUV単独の作用を明らかにする. ウイルス力価のLog10低下 化合物 phi-X174 ラムダ I(X=N3) >6.0 >6.0 I(X=I) 4.0 >6.0 II 1.7 >6.0 化合物なし 2〜3 2〜3 これらのデータから,3種の試験化合物はすべて,好ましいUVの照射に対す る二重鎖DNAウイルス(ラムダ)の感受性を増大させることが明らかである. 化合物Iは一本鎖DNAウイルス,phi-X174に対しても有効で,化合物Iは一本 鎖および二重鎖DNAウイルスの両者に対する高い(少なくとも6対数減少)不 活性化効率を示し,最も好ましい. 例3 X-線対陰極物質の選択 図1を参考に,臭素対炭素,ヨウ素対炭素および白金対炭素のX-線断面積比 を,それらのCM2/Gでの断面積により,各種のX-線対陰極管について計算した. 参考文献:W.H.McMasterら,UCRL-50174 SectionII,SectionIII,SectionIV;お よびCRC Handbook of Chemistry and Physics,E417頁,1979.データは,Mo,Rh ,PdおよびAgのX-線対陰極管が,適当な波長の放射線,および炭素元素を凌駕 する増感原子に対するX-線断面積の選択性を生じることが示唆される. 例4 X-線断面積の計算比の比較 図2は,ヨウ素,臭素および白金増感化合物に対する断面積について,モリブ デンおよびタングステンX-線対陰極の質量減衰定数(X-線断面積)の計算値を 示す.グラフは,モリブデン対陰極を用いた場合,白金および臭素増感剤原子は 低原子番号元素の炭素よりも100〜175倍の放射線エネルギーを吸収するこ とを示している.しかしながら,タングステン対陰極では選択性の低下がみられ る.これは,白金および臭素増感剤原子とモリブデン対陰極管の組合わせによれ ば,大過剰の細胞および蛋白物質の存在下に,これらの増感剤の活性化が可能で あることを示唆している.モリブデンX-線照射と異なる重原子を有する増感剤 によって得られたウイルスの不活性化を図3に例示する. 例5 乾燥/湿潤血漿中におけるウイルスの不活性化 φ6ファージの保存溶液を血漿に加え,最終ウイルス濃度を1.2×107PFU/ mlとした.この混合物に化合物19および20(式は上掲)とフルオレセインを くわえ,増感剤の濃度を0.5mg/mlとした.増感剤の添加後,溶液を機械的振盪 器上,室温で1時間混合した.サンプルをプラスチックのペトリ皿(35×10 mm)に移し,Mo対陰極を装着したPantak HP 160X-線ユニットを28maおよび4 0kvのセッティングで操作して,放射線照射を行った.送達された放射線量は約 353krであった.放射線照射後に,残留するウイルス力価をプラーク法で測定 した.ファージ含有照射サンプルを適当なファージ宿主細菌および3mlの溶融軟 質寒天と混合した.混合物を硬質栄養寒天プレート上に注いだ.1日インキュベ ートしたのち,溶解した領域は濃密な背景に対してプラークとして明瞭に認めら れた.プラークをコロニーカウンターによって計数した.とくに記載しない限り ,サンプルはすべてX-線照射によって処置した.乾燥した凍結乾燥状態での放 射線照射には,サンプルは上述のようにして調製し,50mlの丸底フラスコに移 し,卓上型凍結乾燥器で16時間凍結乾燥した.乾燥粉末をペトリ皿に取り,X -線を353krまで照射した.残留ウイルス力価は再構築血漿について,上述の プラーク法で測定した.結果は,図2に示した仮説に基づく計算値に一致した. 例6 水和血漿中におけるウイルスの不活性化 水和血漿中,力価1.2×107PFU/mlのφ6ウイルスおよび化合物20(式は 上掲)0.5mg/mlを使用した.サンプルの調製および放射線照射条件は図3に記 載した通りとした.R-17ウイルスについては,0.5mg/mlの化合物20中, 初期ウイルス力価4.2×108PFU/mlを用いた.結果は,X-線照射処置と組合 わせての増感剤の使用によりウイルス減少の増強が得られることを示している. 例7 様々な残留水分含量を有する凍結乾燥血漿におけるモリブデンX-線照射による ウイルスの不活性化 図5には,凍結乾燥血漿プレパレーションにおいてモリブデンX-線照射によ って得られた,エンベロープのあるウイルスおよびエンベロープのないウイルス の不活性化を示す.残留水分はカール/フィシャー滴定装置で測定して,サンプ ル1については約7.7%,サンプル2について約2.4%であった.サンプル中 のウイルスの初期濃度は,φ6の場合,2.0×107PFU/ml,R-17の場合, 4.4×108PFU/mlとした.サンプル1およびサンプル2をそれぞれ,ペトリ皿 および丸底フラスコ中で凍結乾燥した.すべてのサンプルを放射線量353krで 処置し,最終ウイルス濃度をプラーク法で測定した.結果は,凍結サンプル中の 残留水分の量が,増感剤の存在下および不存在下におけるX-線照射処置で得ら れる不活性化の程度に有意に影響することを示している. 例8 増感剤の存在下および不存在下におけるモリブデンX-線照射による 凍結乾燥血漿中のウイルスの不活性化 凍結乾燥血漿中,初期φ6ウイルス力価8.1×108PFU/mlおよび化合物20 (構造は上掲)0.5mg/mlを含むサンプルを使用した.用いる放射線量は420 krとした.R-17ウイルスについての条件は,初期価3.7×108PFU/mlおよ び化合物7(構造は上掲)0.2mg/ml,放射線量は353krとした.X-線照射を 行わなかったサンプルでは,初期ウイルス力価はきわめて小さな変化を示すか, または全く変化を示さなかった.結果は図6に示す.この図から明らかなように ,増感剤を用いた場合,φ6のウイルス力価には7対数の減少が,R-17ウイ ルスの力価には4.6対数の減少が認められる.図7は,同一サンプルからのX- 線 照射凍結乾燥血漿における残留H因子活性(AHF濃度)を示している.ウィル ス不活性化処置時の凍結乾燥血漿中第VIII因子活性に対する傷害ファクターは無 視できる.増感剤を使用して,第VIII因子には95%以上の回収率が認められる . 例9 UV照射処置を用いた水和血漿中ウイルスの不活性化 細菌ファージλの保存溶液を血漿に加え,最終力価を1.2×102PFU/mlとし ,化合物3(構造は上掲)の濃度を0.1mg/mlとした.混合物をパイレックスガ ラス光分解セルに移し,UV(300〜360nmブルーランプ)で5分間照射し た.UV照射処置後に,最終ウイルス力価および第VIII因子活性を上述のように して測定した.図8は得られたウイルスの減少を示す.蛋白質コートウイルスに おいては,増感剤を使用した場合,ウイルスの不活性化は約3〜6対数上昇した .ウイルス不活性化後のこれらのサンプルにおける第・因子の回収率を図9に示 す.ウイルス非活性化処置後には,わずかに10%の第VIII因子活性が回収され たにすぎなかった.しかしながら,抗酸化剤たとえばビタミンEの添加により, UV照射下の第VIII因子の回収率は上昇する. 例10 有機溶媒の存在下および不存在下における水和および凍結乾燥血漿中の ウイルスの不活性化 これらのサンプル中のφ6ウイルスの初期力価は2.5×108PFU/mlであった .血漿混合物を,1%Tween 80界面活性剤,または1%トリ-(n-ブチル)ホス フェート(TNBP)と室温で2時間混合した.サンプルは,水和および凍結乾 燥状態において,上述のように放射線量353krで処置した.結果は図10およ び図11に示す.データは,水和および凍結乾燥状態におけるモリブデンX-線 照射によって得られるウイルスの不活性化は,有機溶媒(TNBP)および界面 活性剤(Tween 80)の単独または配合いずれの添加によっても,実質的に増強さ れることを示している.図12には,R-17ウイルスの保存溶液を,血漿に初 期力価6.2×108PFU/mlになるように添加して使用し,1%Tweenおよび1% TNBPと室温に2時間置いた場合の結果を示す.水和および凍結乾燥サンプル を,放射線量353krで処置し,最終ウイルス力価は上述のようにして測定した . 例11 血小板(凍結/液体)におけるウイルス不活性化 新鮮な血小板(24時間齢)を遠心分離して残留赤血球を除去した.血小板を 血漿で希釈して,約500×106細胞/mlとした.液体血小板プレパレーション 中のφ6ウイルスの初期力価は2.0×105PFU/mlとした.0.3mg/mlの化合物 20を添加後,サンプルをポリオリフィンの袋(大きさ2インチ×2インチ)に 移して,放射線照射を行い,放射線量約195.4krを送達させた.次にサンプ ルについて,顕微鏡下での形態学的評価のための解析,細胞回収率の計算,なら びにコラーゲン(200μg/ml)に対する凝集反応の凝集計による測定を行った .最終ウイルス力価はプラーク法で測定した.液体状態での結果は,図13およ び14に示した.凍結サンプルの場合には,新鮮な血小板500×106細胞/ml を,PBS緩衝液中10%DMSOで希釈した(1:1,v/v).φ6ウイルス の初期力価は2.0×106PFU/mlとした.0.3mg/mlの濃度に化合物20を添 加後,サンプル(2ml)をポリオリフィンの袋に移して,凍結した.凍結した袋 を放射線量約26.3krで処置した.サンプルのH黒の温度は,放射線処置の間 を通じて液体窒素で−80℃に保持した.放射線照射後,サンプルを37℃で解 凍し,PBSで徐々に10mlに希釈した.洗浄した血小板を血漿に再懸濁し,形 態学的評価,細胞回収率,およびコラーゲン(200mg/ml)に対する凝集反応 を解析した.放射線照射後の最終ウイルス力価は解凍サンプルにより,プラーク 法で測定した.結果は図15および16に示す.これらの結果は,増感剤の添加 はウイルスの不活性化を1〜2対数だけ増大させることを示唆している.血小板 の放射線傷害は,形態学的評点,細胞回収率およびコラーゲンアゴニストに対す る凝集反応から判定して有意ではない(生存能アッセイで対照の70%〜90% ).
【手続補正書】 【提出日】平成11年10月21日(1999.10.21) 【補正内容】 請求の範囲 1. 血液,血液成分,細胞培養液または細胞培養液の成分からなる組成物中の ウイルス,細菌および/または寄生生物汚染を減少させる方法において, 上記組成物を液体状態で,上記ウイルス,細菌および/または寄生生物汚染に 標的化可能な化学的放射線増感剤と混合し, 上記組成物を有機溶媒および/または界面活性剤で処理し, 上記組成物を,液体または凍結乾燥状態で,上記増感剤を活性化するのに十分 な波長および強度の電磁波で十分な時間照射して,増感剤の活性化により上記組 成物中の上記汚染を減少させることを特徴とする方法。 2. 組成物は,ウイルスによって汚染された血漿または血漿分画からなり,血 漿分画のウイルス力価を減少させるのに有効な有機溶媒または界面活性剤で処理 する請求項1の方法。 3. 血漿分画は血清アルブミン,免疫グロブリン,または凝固因子からなる請 求項2の方法。 4. 血漿分画は第VIII因子からなる請求項3の方法。 5. 細胞培養液は組換え血漿蛋白質からなる請求項1の方法。 6. 組換え血漿蛋白質は組換え血清アルブミンまたは組換え凝固因子からなる 請求項5の方法。 7. 組換え凝固因子は組換え第VIII因子からなる請求項6の方法。 8. 電磁波は透過性電離放射線からなる請求項1から7のいずれかの方法。 9. 透過性電離放射線はX−線またはγ−線からなる請求項8の方法。 10.X−線は、モリブデン,パラジウム,ロジウム,銀,タングステン,チタ ン,クロム,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,銅または亜鉛からなる金属標 的源によって産生される請求項9の方法。 11.化学的増感剤は,ハロゲン原子および/または金属原子含有分子からなる 請求項1から10のいずれかの方法。 12.化学的増感剤は,予め定められたX−線標的源からの放射線に対する増感 剤の総体的質量減衰定数を増大させるハロゲン原子および/または金属原子を含 む分子からなる請求項9または10の方法。 13.金属原子は白金からなる請求項11または12の方法。 14.化学的増感剤分子は膜結合分子から誘導される請求項11,12または1 3の方法。 15.膜結合分子は,脂肪酸をベースとした分子または有機染料である請求項1 4の方法。 16.膜結合分子はポルフィリンからなる請求項15の方法。 17.ポルフィリンはヘマトポルフィリンおよびヘマトポルフィリン誘導体から なる請求項15の方法。 18.有機溶媒はトリ−(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)からなる請求項 1から17のいずれかの方法。 19.界面活性剤は,非イオン界面活性剤からなる請求項1から18のいずれか の方法。 20.凍結乾燥は10%以下の残留水分含量まで実施する請求項1から19のい ずれかの方法。 【図10】【図11】 【図12】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヤーラム,ネゲンダー アメリカ合衆国 91030 カリフォルニア 州サウス パサデナ,ナンバー 106,ア ンバーウッド ドライブ 1699 (72)発明者 ハケット,ロジャー ダブリュ. アメリカ合衆国 91107 カリフォルニア 州パサデナ,モンテ ビスタ ストリート 2046 (72)発明者 ワールケス,マルジャン バン ボルサム オランダ国エヌエル―3906 ゼットケイ ベーネンダール,バックラーン 30

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.血液,血液成分,細胞培養液または細胞培養液の成分からなる組成物中の ウイルス,細菌および/または寄生生物汚染を減少させる方法において, 上記組成物を液体状態で,上記ウイルス,細菌および/または寄生生物汚染に 標的化可能な化学的放射線増感剤と混合し, 上記組成物と増感剤を,上記増感剤を活性化するのに十分な波長および強度の 電磁波で十分な時間照射して,上記組成物申の上記汚染を減少させることを特徴 とする方法 2.液体状態の組成物を電磁波で照射するのに先立って,上記組成物を固体状 態に変換する工程をさらに包含する「請求項1」の方法 3.固体状態は組成物の凍結によって形成させる「請求項2」の方法 4.固体状態は組成物の凍結乾燥によって形成させる「請求項2」の方法 5.さらに,固体状態で放射線照射組成物を昇華させる工程からなる「請求項 2」の方法 6.さらに,昇華させた組成物を再水和する工程からなる「請求項5」の方法 7.さらに,凍結し放射線照射を行った固体を凍結状態に維持するのに十分な 温度に維持し,ついでその凍結した固体を解凍する工程からなる「請求項3」の 方法 8.さらに,組成物を再水和する工程からなる「請求項4または5」の方法 9.組成物は全血または全血から調製された細胞分画からなる「請求項1また は2」の方法 10.血液細胞分画は赤血球,白血球,または幹細胞からなる「請求項9」の 方法 11.組成物は全血漿または血漿分画からなる「請求項1または2」の方法 12.血漿分画は血漿蛋白質分画からなる「請求項11」の方法 13.血漿蛋白質分画は血清アルブミン,免疫グロブリン,または凝固因子か らなる「請求項12」の方法 14.凝固因子は第VIII因子からなる「請求項13」の方法 15.細胞培養液は血清補助成分を含有する増殖培地からなる「請求項1また は2」の方法 16.増殖培地は,哺乳動物細胞系の増殖に用いられる血清補助成分からなる 「請求項15」の方法 17.培養液は組換え蛋白質の発現のための組換え遺伝子材料を含有する哺乳 動物細胞系からなる「請求項16」の方法 18.培養液は組換え血漿蛋白質からなる「請求項17」の方法 19.組換え血漿蛋白質は組換え血清アルブミンまたは組換え凝固因子からなる 「請求項18」の方法 20.組換え凝固因子は組換え第VIII因子からなる「請求項19」の方法 21.哺乳動物細胞系はハイブリドーマ細胞系からなる「請求項16」の方法 22.ハイブリドーマ細胞系はモノクローナル抗体を産生する「請求項21」 の方法 23.血清補助成分は全動物血清または全動物血清由来の分画からなる「請求 項15」の方法 24.動物血清はウシ血清からなる「請求項23」の方法 25.ウシ血清は胎児ウシ血清からなる「請求項24」の方法 26.組成物は医薬的に有用な蛋白質からなる「請求項1または2」の方法 27.蛋白質は成長因子およびホルモンからなる「請求項26」の方法 28.電磁波は紫外線からなる「請求項1」の方法 29.紫外線は波長400ナノメーター以下であることを特徴とする「請求項 28」の方法 30.電磁波は透過性電離放射線からなる「請求項1」の方法 31.電離放射線はX-線またはγ−線からなる「請求項30」の方法 32.電磁波は可視光線からなる「請求項1」の方法 33.X-線は金属対陰極物質によって発生させる「請求項31」の方法 34.対陰極物質はモリブデンからなる「請求項33」の方法 35.対陰極物質はパラジウムからなる「請求項33」の方法 36.対陰極物質はロジウムからなる「請求項33」の方法 37.対陰極物質は銀からなる「請求項33」の方法 38.対陰極物質はタングステンからなる「請求項33」の方法 39.対陰極物質は,チタン,クロム,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル, 銅,および亜鉛からなる群より選ばれる元素からなる「請求項33」の方法 40.化学的増感剤はハロゲン化分子からなる「請求項1」の方法 41.ハロゲン化分子はブロモ-,クロロ-,ヨード-,またはフルオロ-誘導体 からなる「請求項40」の方法 42.ハロゲン化分子は,1分子あたり多数のハロゲン原子を有する「請求項 40」の方法 43.化学的増感剤は金属原子からなる「請求項1」の方法 44.金属原子は,原子番号6より大きい原子番号を有する「請求項43」の 方法 45.金属原子は白金(原子番号=78)である「請求項44」の方法 46.化学的増感剤は,予め定められたX-線対陰極物質からの放射線に対す る増感剤の総体的質量減衰定数を増大させるハロゲン原子および/または金属原 子からなる「請求項40,42または43」の方法 47.化学的増感剤分子は膜結合分子から誘導される「請求項40,42また は43」の方法 48.膜結合分子は,主として脂肪酸をベースとした分子および有機染料から なる群より選択される「請求項47」の方法 49.膜結合分子はポルフィリンからなる「請求項47」の方法 50.ポルフィリンはヘマトポルフィリンおよびヘマトポルフィリン誘導体か らなる「請求項49」の方法 51.化学的増感剤分子は核酸結合分子から誘導される「請求項40,42ま たは43」の方法 52.核酸結合分子はソラレンおよびソラレン誘導体からなる「請求項51」 の方法 53.化学的増感剤は,受容体分子に選択的に結合するリガンドから誘導され る「請求項40,42または43」の方法 54.リガンドは抗体からなる「請求項52」の方法 55.さらに組成物を有機溶媒および/または界面活性剤で処理する工程から なる「請求項1または2」の方法 56.有機溶媒はトリ-(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)からなる「請 求項55」の方法 57.界面活性剤は,界面活性剤(Tween 80の化学成分)からなる「請求項5 5」の方法 58.界面活性剤は,非イオン界面活性剤からなる「請求項55」の方法 59.凍結乾燥固体は10%以下の水分含量によって特徴づけられる「請求項 4」の方法 60.「請求項1〜7」のいずれかにより調製され,ウイルス,細菌および/ または寄生生物汚染が減少した液体または固体組成物 61.ヒト血漿および/または血漿蛋白質分画からなる「請求項60」の組成 物 62.凍結血液細胞,または凍結血漿および血漿蛋白質分画からなる「請求項 60」の組成物 63.液体,凍結もしくは凍結乾燥細胞培養培地および血清補助成分からなる 「請求項60」の組成物 64.実質的にウイルスおよび/または細菌および/または寄生生物を含まない ,ヒト血液,血液分画または血液生成物の液体または固体組成物 65.血清補助成分を含有する組織培養培地からなる,実質的にウイルスおよ び/または細菌および/または寄生生物を含まない液体または固体組成物 66.化学的増感剤を含有する液体組成物に,血液照射装置中で放射線照射を 行う「請求項1」の方法 67.装置は紫外線を用いて血液または血液成分の生体外放射線照射を行うた めの石英チャンバーからなる「請求項66」の方法 68.インビトロにおける選択的細胞毒性処置方法において, 単離された細胞,組織,または生体サンプルを溶液中で,特異的なサブセット の細胞への標的化を可能にする1種または2種以上の化学的放射線増感剤と混合 し,その混合物を電磁波によって照射して,上記1種または2種以上の増感剤を 活性化することからなる方法 69.インビトロにおける選択的細胞毒性処置方法において, 単離された細胞,組織,または生体サンプルを溶液中で,特異的なサブセット の細胞への標的化を可能にする1種または2種以上の化学的放射線増感剤と混合 する工程からなり, さらにその混合物から固体の凍結または凍結乾燥物質を形成させ,ついでその 混合物を電磁波によって照射して,上記1種または2種以上の増感剤を活性化す ること工程からなる方法 70.化学的増感剤は,ハロゲン化または金属原子含有分子からなる「請求項 68または69」の方法 71.化学的増感剤は,膜結合または核酸結合分子からなる「請求項70」の 方法 72.化学的増感剤は化学療法剤から誘導される「請求項70」の方法 73.化学療法剤は,ダウキソルビシンまたはダウノマイシン誘導体からなる 「請求項72」の方法 74.化学療法剤は,増殖中の細胞の分裂阻害剤からなる「請求項72」の方 法 75.インビボにおける選択的細胞毒性処置は,生物学的サンプルにおける癌 細胞への標的化およびそれを減少させるために,使用される「請求項68または 69」の方法 76.インビボにおける選択的細胞毒性処置は, 標的化および結合または選択されたサブセットの細胞への取り込みが可能な化 学的放射線増感剤をインビボ投与し,その処置された組織または生体表面を電磁 波で照射して上記増感剤を活性化することからなる方法 77.化学的増感剤は,ハロゲン化または金属原子含有分子からなる「請求項 76」の方法 78.電磁波は,紫外線,可視光線または電離放射線からなる「請求項77」 の方法 79.化学的増感剤および/または紫外線もしくは可視光線は,カテーテルお よび光ファイバーガイドを介して局限された組織領域に送達する「請求項76ま たは78」の方法 80.送達される領域は,固形腫瘍塊または局限した癌組織からなる「請求項 79」の方法
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