JP2001508804A - 代謝を増強し酸化ストレスを防止するための食物組成物 - Google Patents

代謝を増強し酸化ストレスを防止するための食物組成物

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Abstract

(57)【要約】 哺乳動物宿主の加齢細胞の代謝速度が、有効投与量のアセチル-Ｌ-カルニチンのようなカルニチンと、リポ酸のようなミトコンドリアに活性な抗酸化剤を宿主に経口投与することにより、反応性酸素種の代謝生成を付随的に増加させることなく、増大せしめられる。

Description

【発明の詳細な説明】 代謝を増強し酸化ストレスを防止するための食物組成物 発明者：ブルース エヌ．エイムズ 及び トーリー エム．ハーゲン 譲受人：ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフオルニア 弁護士：リチャード アロン オスマン（＃３６６２７） この発明は、ブルース・アイムズ教授に対してアメリカ国立衛生研究所により 授与された助成金(契約)番号：ＣＡ３９９１０及びＥＳ０１８９６の下に政府の 支援によりなされたものである。政府はこの発明に対するある権利を有するもの である。 緒言 発明の分野 本発明の分野は、反応性酸素種の代謝性生産と細胞代謝の双方を改変する食物 組成物及び方法である。発明の背景 多くの証拠が、細胞呼吸のオルガネラであるミトコンドリアが細胞加齢と共に 崩壊することを示唆している(Shigenagaら1994，PNAS 91,10771)。不幸にも、ミ トコンドリアの加齢の研究は、老いた細胞及び宿主動物から単離されたミトコン ドリアが脆弱で異種性であることにより妨げられてきた。従って、全ての結果の 解釈は、およそ半分のミトコンドリアが単離の間に溶解するために疑わしい。最 近になって我々の研究室はこの問題を回避する老いた動物の肝細胞中のミトコン ドリアを研究する新規な方法を開示した(Hagenら1997,PNAS 94，3064-3069)。我 々は、老 いた動物からのミトコンドリアがより脆弱であるばかりでなく、ミトコンドリア にとって重要な脂質であり、これがないと高い膜電位を維持できないカルジオリ ピンの量が約半分であることを見出した。更に、Hagenらは、老いた動物からの 肝細胞中では、ミトコンドリアは膜電位が低く、より多くの有毒なオキシダント を漏洩することを示している。 発明の概要 我々は、カルニチン(ミトコンドリア内へ燃料として脂肪酸を輸送するのに使 用される正常なミトコンドリアの代謝産物)とカルニチン誘導体が、老いた動物 の飲料水に入れたとき、そのミトコンドリアのカルジオリピンと膜電位を回復す ることを見出した。同時に、カルニチンはミトコンドリアからの反応性酸素種の 流動を増大させる。我々は、リポ酸のような、ミトコンドリアに活性な抗酸化剤 でこの増強された流動を特に緩和することができることを見出した。老いた動物 に与えられるその二つの試薬は、３つ全てのミトコンドリアの機能を回復させ、 活動性、筋緊張、外皮外観及び腎臓形態を含む幾つかの老化の全体的兆候を逆転 させた。 カルニチンとカルニチン誘導体は、動物の畜産及びヒトの食事及び療法の代謝 産物として使用されてきた。米国特許第５３６２７５３号(雌鳥にカルニチンを 与えることにより卵の孵化性を増大させる方法);同第４６８７７８２号(運動ト レーニングへの骨格筋適応の増強のための栄養組成物)；同第５０３０４５８号( 飼い馴らした犬猫において食餌誘発カルニチン欠乏を防止する方法);同第５０３ ０６５７号(Ｌ-カルニチン補填ナマズ食品)；同第４３４３８１６号(末梢血管性 疾患を治療するためのアシル-カルニチン含有医薬組成物)；同第５５６０９２８ 号(栄養性及び／又は食餌組成物及びこれを使用する方法)；同第５５０４０７２ 号(平衡アミノ酸プロフィールを持つ経腸栄養組成物)；同第５３９１５５０号( 物質の組成物及び細胞内ＡＴＰ量と物理的性能レベルを増大させ創傷治癒速度を 増大させる方法)；同第５２４０９６１号(インスリン様 成長因子の低下及び老化に伴う骨減少の治療方法)等々である。 同様に、ビタミン(特に、Ｃ、Ｅ、Ｂ及びＤ)、グルタチオン、Ｎ-アセチルシ ステイン、リポ酸等々を含むミトコンドリアに活性な抗酸化剤が、ヒトの栄養補 充品及び食事予防法及び治療法として様々に使用されている。例えば、リポ酸の 出願には、米国特許第５６０７９８０(改善された皮膚を得るための局所適用組 成物)；同第５４７２６９８号(皮膚における脂質生成を増強するための組成物) ；同第５２９２５３８号(改善された徐放エネルギー及びタンパク同化組成物と その調製方法);同第５５３６６４５号(微生物の培養のための栄養性培地)；同第 ５３２６６９９号(動物細胞の培養のための無血清培地)等々が含まれる。 しかし、これらの試薬は、代謝過程を増強し同時に得られた増加が酸化ストレ スを生じることを軽減するのに必要な組合わせ及び製剤では決して投与されては いなかった。一般に、開示された方法は、有効投与量の少なくとも約１０ｍｇ／ ｋｇ宿主／日のカルニチンと少なくとも約１０ｍｇ／ｋｇ宿主／日のミトコンド リアに活性な抗酸化剤を宿主に経口投与することにより、反応性酸素種の代謝生 産を付随的に増加させることなく、哺乳動物宿主の加齢細胞の代謝速度を増加さ せる方法を含む。好適な実施態様では、カルニチンがアセチル-Ｌ-カルニチンで あり、抗酸化剤が代謝活性なチオール基を含み、好ましくはリポ酸である。本発 明はまた少なくとも約２５０ｍｇ／ｋｇ宿主／日のカルニチンと少なくとも約２ ５０ｍｇ／ｋｇ宿主／日のミトコンドリアに活性な抗酸化剤を含有してなる経口 投与可能なユニット製剤をも提供する。 発明の特定の実施態様の詳細な説明 カルニチンと活性なカルニチン誘導体を製造及び調製する方法は従来から、例 えば、米国特許第４７６６２２２号(新規なクラスのカルニチンアシル誘導体、 その調製方法及びその治療用途)；米国特許第４６７３５３４号(経口用途に特に 適したカルニチン塩)；米国特許第４７４３６２１号(アセチルカルニチンのエス テル、その調製方法及びそれを含む医薬 組成物);米国特許第４５９３０４３号(メルカプトアシル-カルニチンとそれを含 む医薬組成物)；米国特許第４５９０２０９号(アルコキシ-アシルカルニチンと それを含む医薬組成物)；米国特許第４５６７２００号(メルカプトアシル-カル ニチンのエステルとそれを含む医薬組成物)；米国特許第４０３２６４１号(ニコ チノイルカルニチン誘導体)；米国特許第４５５１４７７号(カルニチンのアルコ キシ-アシル誘導体のエステルとそれを含む医薬組成物)；米国特許第４４０１８ ２７号(新規なカルニチンアシル誘導体とその調製方法)；米国特許第５２６０４ ６４号(カルニチン誘導体、その調製方法及びヒトの治療におけるその用途)；米 国特許第４８５９６９８号(新規なクラスのカルニチンアシル誘導体、それを調 製する方法及びその治療用途)；米国特許第４６９２５４３号(光学活性なジ-［ ３-クロロ-２-オキシ-プロピルトリメチルアンモニウム]-タータラート);米国特 許第５２５８５５２号(抗菌活性を有するｄ(＋)-カルニチンのＮ-アルキルアミ ド、その調製方法及びそれを含む医薬及び化粧品組成物)；等々において知られ ている。 同様に、広範なミトコンドリアに活性な抗酸化剤(すなわち、例えば以下に記 載のオキシダント生成により測定して、反応性酸素種の代謝生成を低減させる抗 酸化剤)とその製剤、合成及び生産方法は知られている。一般に、これらには、 生理的に反応性のチオール、好ましくは生理的に反応性のスルフィドリル基含有 化合物が含まれる。例として挙げられる抗酸化剤にはグルタチオン、ＮＡＣ、リ ポ酸、それらの誘導体等々が含まれる。例えば、リポ酸誘導体とその生産方法は 十分に開示されている。例えば、米国特許第５６２１１１７号(αリポ酸の鏡像 異性体のラセミ化方法)；同第５４８９６９４号(Ｒ／Ｓ-γ-リポ酸又はＲ／Ｓ- α-リポ酸の調製）；同第５４６３０９３号(パラジウム錯体と腫瘍又は乾癬の治 療におけるその使用方法)；同第５３３４６１２号(活性物質として硫黄含有カル ボン酸を含む医薬組成物とレトロウィルスに抗するためのその使用)；同第４３ ９０６２０号(細胞活性等の検出と研究のための方法と組成物及びそのような方 法を適用する手段)；同第５１１８５０５号(神経 細胞及び神経線維疾患と損傷の治療のための組合わせ調製物);同第４７６７７０ ４号(無タンパク質培地)等々である。また、我々は、優先的ミトコンドリアター ゲティングに特に好適なリポ酸のＲ-鏡像異性形態を見出した。 必要な生物活性のための簡便な検定法は上述され、あるいはここに引用する文 献に記載されている。例えば、カルジオリピン量は、Guan,Z.Z.，Soderberg,M. ，Sindelar,P.,及びEdlund,C．Content and Fatty Acid Composition of Cardio lipin in the Brain of Patient swith Alzheimer's Disease，Neurochem．Int ．25:295-300,1994に記載されているようにして容易に検定され、オキシダント 生成(ＤＣＦＨ)は、LeBel,C.P.，Ischiropoulos,H.,及びBondy,S.C．Evaluation of the Probe 2',7'-Dichlorofluorescin as an Indicator of Reactive Oxyge n Species Formation and Oxidative Stress．Chem.Res.Toxicol．5:227-231,19 92に記載されているようにして検定できる。グルーミング(grooming)、性的活動 性、優位等々のような行動及び宿主活動性、外皮状態、腎臓外観及び機能、筋肉 強さ及び緊張、分子破壊を含む創傷治癒等々のような老化のパラメータの検定法 も同様に当該分野でよく知られている。 本発明は、様々な容器に導入される投与単位を含む組成物の投与上簡便な製剤 を提供する。カルニチンと抗酸化剤の投与製剤は、一日当り約１ｍｇ／ｋｇ体重 ないし約１ｇ／ｋｇ体重の範囲、好ましくは約１０ｍｇ／ｋｇ体重ないし約５０ ０ｍｇ／ｋｇ体重の範囲、より好ましくは約２０ｍｇ／ｋｇ体重ないし約２００ ｍｇ／ｋｇ体重の範囲で経口投与されるが、製剤、宿主等々によって変動も必然 的に生じる。簡便な単位投与容器及び／又は製剤には、錠剤、カプセル、ロゼン ジ、トローチ、硬キャンディ、パウダー、定量スプレー、クリーム、座薬等々が 含まれる。組成物は、ゼラチン、油等々のような製薬的に許容可能な賦形剤及び ／又は製薬的に活性な薬剤と組合わせて使用しても良い。例えば、組成物は、好 適には、主題化合物とは異なる他の治療又は予防剤と組合わせてもよく、及び／ 又は組合わせて使用してもよい。多くの場合、主題組成 物と組合わせた投与はそのような薬剤の効能を増強する。例えば、化合物は、好 適には他の抗酸化剤、フリーラジカルスカベンジャー等々、及びその混合物と組 合わせて使用される。例えば、Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics,9版,1996，McGraw-Hillを参照されたい。他の実施態様におい て、本発明は、レシピエント宿主により主題化合物に代謝的に転換され得る一又 は複数のプロドラッグの形態の主題化合物を提供する。広範なプロドラッグ製剤 は当該分野において既知である。 次の実施例は、例証のために提供されるもので、発明を限定するものではない 。 実施例 製剤１ ２５０ｍｇの医薬等級の乾燥アセチル-Ｌ-カルニチン及び２５０ｍ ｇの医薬等級の乾燥リポ酸を、５００ｍｇのゼラチンカプセルで４ｘ毎日経口的 に投与する。 製剤２ ５００ｍｇの医薬等級の乾燥アセチル-Ｌ-カルニチン及び３００ｍ ｇの医薬等級の乾燥Ｎ-アセチルシステインを、８００ｍｇのゼラチンカプセル で４ｘ毎日経口的に投与する。 製剤３ １％ｗ／ｖの各医薬等級の乾燥アセチル-Ｌ-カルニチンと医薬等級 のグルタチオンを、２％グルコース溶液にて０．２及び０．１ｇ／ｋｇ／毎日の 用量で経口的に投与する。 宿主細胞のミトコンドリアを治療した動物試験データでは、カルジオリピンと 膜電位のレベルが高くなり、反応性酸素種の生成が減少しており、また活動性、 筋緊張、外皮外観及び腎臓形態を含む老化の兆候が減少したことが証明された。 本明細書において引用した刊行物と特許出願の全てを、あたかもそれぞれ個々 の刊行物又は特許出願が出典明示により特に個々に取り込まれることが示されて いるように、出典明示によりここに取り込む。前記の 発明の理解を容易にするために例証と実施例によりある詳細さをもって説明した が、この発明の教示に照らせば、添付の請求の範囲の精神又は範囲から逸脱しな いで、ある変更と修正を行ってもよいことは当業者であれば容易に分かるであろ う。
【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】平成１１年５月２１日（１９９９．５．２１） 【補正内容】 請求の範囲 １． 反応性酸素種の代謝生成を付随的に増加させることなく、加齢細胞の代謝 速度を増加させる方法において、有効投与量の少なくとも約１０ｍｇ／ｋｇ宿主 ／日のカルニチンと代謝反応性チオール基を生理的に含む少なくとも約１０ｍｇ ／ｋｇ宿主／日のミトコンドリアに活性な抗酸化剤を哺乳動物宿主に経口投与す ることを含んでなる方法。 ２． カルニチンがアセチル-Ｌ-カルニチンである請求項１に記載の方法。 ３． 抗酸化剤がグルタチオン、Ｎ-アセチルシステイン及びリポ酸の少なくと も一を含んでなる請求項１に記載の方法。 ４． 抗酸化剤がリポ酸である請求項１に記載の方法。 ５． カルニチンがアセチル-Ｌ-カルニチンであり、抗酸化剤がリポ酸であり、 投与量がそれぞれ少なくとも約１００ｍｇ／ｋｇ宿主／日である請求項１に記載 の方法。 ６． 少なくとも約２５０ｍｇ／ｋｇ宿主／日のカルニチンと代謝反応性チオー ル基を生理的に含む少なくとも約２５０ｍｇ／ｋｇ宿主／日のミトコンドリアに 活性な抗酸化剤を含有してなる経口投与可能な乾燥ユニット製剤。 ７． カルニチンがアセチル-Ｌ-カルニチンである請求項６に記載の製剤。 ８． 抗酸化剤が代謝反応性のチオール基を含んでなる請求項６に記載 の製剤。 ９． 抗酸化剤がリポ酸である請求項６に記載の製剤。 １０． カルニチンがアセチル-Ｌ-カルニチンであり、抗酸化剤がリポ酸である 請求項６に記載の製剤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ， ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，ＫＥ，Ｌ Ｓ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ， ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，Ｅ Ｅ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＧＷ，ＨＵ ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ， ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，Ｍ Ｇ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ， ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 ハーゲン，トーリー エム. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94720 ―3202，バークレー，ユニバーシティ オ ブ カリフォルニア，バーカー ホール 401

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 １． 反応性酸素種の代謝生成を付随的に増加させることなく、加齢細胞の代謝 速度を増加させる方法において、有効投与量の少なくとも約１０ｍｇ／ｋｇ宿主 ／日のカルニチンと少なくとも約１０ｍｇ／ｋｇ宿主／日のミトコンドリアに活 性な抗酸化剤を哺乳動物宿主に経口投与することを含んでなる方法。 ２． カルニチンがアセチル-Ｌ-カルニチンである請求項１に記載の方法。 ３． 抗酸化剤が代謝活性なチオール基を含んでなる請求項１に記載の方法。 ４． 抗酸化剤がリポ酸である請求項１に記載の方法。 ５． カルニチンがアセチル-Ｌ-カルニチンであり、抗酸化剤がリポ酸であり、 投与量がそれぞれ少なくとも約１００ｍｇ／ｋｇ宿主／日である請求項１に記載 の方法。 ６． 少なくとも約２５０ｍｇ／ｋｇ宿主／日のカルニチンと少なくとも約２５ ０ｍｇ／ｋｇ宿主／日のミトコンドリアに活性な抗酸化剤を含有してなる経口投 与可能な乾燥ユニット製剤。 ７． カルニチンがアセチル-Ｌ-カルニチンである請求項６に記載の製剤。 ８． 抗酸化剤が代謝反応性のチオール基を含んでなる請求項６に記載の製剤。 ９． 抗酸化剤がリポ酸である請求項６に記載の製剤。 １０． カルニチンがアセチル-Ｌ-カルニチンであり、抗酸化剤がリポ酸である 請求項６に記載の製剤。
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