JP2001506979A - 可溶性蛋白質 - Google Patents

可溶性蛋白質

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スタンレイ ビー. プルシナー
フレッド イー. コーヘン
タマキ ムラモト
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ザ レジェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ カリフォルニア
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、不溶性の天然型蛋白質と類似した特徴を持つ、より短い可溶性蛋白質を得るために、天然型蛋白質を発現するDNAからコドンセグメントを削除する方法を含む。本発明の可溶性蛋白質は:(1)天然の全長の蛋白質よりも少ないアミノ酸を持ち;(2)天然型蛋白質よりも可溶性が高く、(3)(a)酵素による消化を受けず、かつ(b)疾病を誘発する等の、天然型蛋白質の基本的な生物学的特性を保持している、という特徴を有する。本発明の可溶性蛋白質は、天然型蛋白質をコードするDNAを提供し、体系的にコドンを削除して、短縮DNAのコピーを作製し、これを発現させて短縮蛋白質を提供することによって得られる。その後、短縮蛋白質の溶解性を試験する。続いて、可溶性蛋白質を試験して、天然型蛋白質の生物学的特性が保持されていることを確認する。

Description

【発明の詳細な説明】 可溶性蛋白質 発明の分野 本発明は、一般に分子遺伝学の分野に関し、特に、不溶性蛋白質を可溶性にす る方法、ならびにその可溶性蛋白質および誘導体に関する。 発明の背景 いくつかの天然に存在する蛋白質は不溶性で、特定の疾病状態と関連している ことが知られている。これには、アルツハイマー病と関連するβアミロイド蛋白 質斑、パーキンソン病およびピック病と関連するリューイ小体またはピック小体 、ならびにクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)およびその他の神経疾患と関連する プリオン蛋白質(PrPSc)などの例がある。哺乳類のPrP遺伝子は、可溶性の非疾 病型PrPCであるか、または不溶性で疾病型のPrPScに変換され得る蛋白質を発現 する。さらに、多発性骨髄腫、甲状腺の癌、およびコンゴレッド色素染色性脈管 障害を含め、蛋白質の凝集を伴う全身性疾患も多数存在する。 PrPCからPrPScへの転換を理解することは、ウシのプリオンがヒトに伝染し、 それによって変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)を発症したという可能性 によって、ますます重要になった(G.Chazotら、Lancet 347,1181(1996);R.G .Willら、Lancet 347,921-925(1996))。PrPScのN末端を切断してもスクレイ ピーの感染性が失われないことが以前に示されており(S.B.Prusinerら、Bioch emistry 21,6942-6950(1982);S.B.Prusinerら、Cell 38,127-134(1984))、 これに相応して、PrPScのN末端を切断しても、やはりPrPScへの転換が起こった (M.Rogersら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,3182-3186(1993))。しかし 、いかなる型のPrPSc(すなわち疾病誘導型の蛋白質)も、不溶性でもある。こ の蛋白質が不溶性であるため、分析が困難になっており、この蛋白質に結合する 抗体を作製しようとする努力が非常に妨げられている。さらに、この蛋白質の可 溶性型(PrPC)は、(1)PrPScを消化しない酵素によって消化され、(2)疾病 を誘発しないことが知られている。 発明の概要 疾病に伴う一部の蛋白質は不溶性であるため、そのような蛋白質の構造分析を 行なったり、これらの蛋白質に特異的な抗体を作製することが困難になっている 。本発明は、そのような蛋白質の可溶性型を提供する。これは、(1)天然型蛋 白質をコードするDNAのセグメントを体系的に除去する、または(2)DNAを付加 して修飾された蛋白質を発現する、または(3)親水性の側鎖もしくはその他の 親水性基を持つアミノ酸の付加などによって不溶性蛋白質を化学的に修飾する、 などの異なる方法で実現できる。その結果得られる蛋白質は(1)可溶性で、(2 )天然の可溶性型を消化する酵素によって消化されず、かつ(3)その生物学的 機能を保持している(例、疾病に関連する異常な性質を保持している)。これら の蛋白質の合成の可溶性型は、改変された可溶性蛋白質および不溶性の天然型蛋 白質に選択的に結合する抗体の作製に有用である。この可溶性蛋白質は、その蛋 白質に対する効果、すなわち薬物が疾病に伴う蛋白質の異常な性質を排除する能 力があるかどうかについて、薬物をスクリーニングするのにも使用できる。 天然のPrPScの可溶性型のような、天然に存在する不溶性蛋白質の可溶性型は 、本明細書に記載される方法によって製造される。天然型では不溶性の蛋白質の 可溶性型を得るために他の方法も使用できるが、本発明は、他の方法で生産され た、本明細書に記載されている種類の可溶性蛋白質を含む。一般的な方法は、最 初に、不溶性型として発現される蛋白質または神経系の疾病に関連する不溶性蛋 白質へと後に転換される蛋白質のいずれかをコードするDNA配列を決定すること を含む。その後、このDNA配列のコピーを作製する。個々のコピーまたはコピー グループを用いて、DNAの一部分または複数の部分を除去する。もちろん、この 除去はコドンセグメントで行ない、異なるコドン配列が除去されたために相互に 異なるDNA配列が複数提供される。その後、これらの種々の短縮配列を発現させ て、複数の異なる蛋白質を得る。得られた種々の蛋白質の溶解性を試験する。そ の後、可溶性の蛋白質について、通常は不溶性蛋白質を消化しない酵素によって 消化できるかどうかなどの他の活性を試験する。この蛋白質が可溶性で、かつ消 化に耐性ならば、さらに生物活性を試験することができる。例えば、この蛋白質 を、不溶性の天然型蛋白質を接種すると通常は疾病を発症するような動物に接種 するのに用いることができる。接種された動物が発症する場合は、この蛋白質は 本発明の一部であり、(1)可溶性で;(2)酵素消化を受けず;(3)例えば、疾病 を誘発する能力 および/または不溶性の天然型蛋白質に結合する抗体を製造する能力などに関し て、生物活性を持つと特徴付けることができる。 本発明の目的は、天然型では不溶性の蛋白質であり、不溶性の天然型の生物学 的特徴を保持している可溶性型蛋白質を提供することである。 より具体的な目的は、疾病を誘発するという不溶性の天然型PrPScの生物学的 特性を保持し、PrPScに結合する抗体を産生させる可溶性型PrPSc(可溶性プリオ ン)を提供することである。 本発明のもう1つの目的は、DNAセグメントを体系的に除去または付加して、天 然型では不溶性である疾病誘発蛋白質の可溶性型を発現する、短縮型配列または 伸長型配列を得るための方法を提供することである。 本発明のもう1つの目的は、不溶性の天然型蛋白質を、後に分解される可溶性 型に転換する蛋白質を提供し、それによって不溶性蛋白質に関連する疾病の治療 に有用な蛋白質を提供することである。 本発明のもう1つの目的は、本発明の可溶性蛋白質を用いて、蛋白質の天然の 不溶性型に結合する抗体およびそのような抗体を製造する方法を提供することで ある。 本発明のもう1つの目的は、蛋白質の凝集しやすい型にインビボで結合する能 力があり、その結果、疾病に関連する蛋白質の凝集を遅延、逆行、または完全に 停止させる複合体を形成する、可溶性型蛋白質を製造する方法を提供することで ある。 もう1つの目的は、本発明の可溶性蛋白質を用いて作製した抗体が表面に結合 された支持体を含む解析装置を提供することである。 本発明の利点は、不溶性蛋白質と比較して、可溶性蛋白質は構造分析が簡単に 行なえ、抗体の作製が容易であるということである。 本発明の特徴は、本発明の可溶性蛋白質が不溶性の天然型蛋白質の重要な生物 学的機能を保持しているということである。 もう1つの特徴は、疾病に関連した異常な性質を持つ可溶性蛋白質を用いて、 その蛋白質を非疾病型構造に転換する薬物をスクリーニングすることができると いうことである。 本発明のこれらの目的およびその他の目的、利点、ならびに特徴は、本明細書 を読めば当業者には明らかであると思われる。 図面の簡単な説明 図1は、PrPScの形成を支持するための各領域の蛋白質の必要性を示す、PrP遺 伝子が発現する蛋白質の2次構造の領域の地図である。 好ましい態様の詳細な説明 本可溶性蛋白質および該蛋白質の製造方法を説明する前に、本発明は記述され た特定の蛋白質、方法、抗体、または過程に限定されるものではなく、当然のこ とながら改変の可能性があることを理解する必要がある。また、本発明の範囲は 、添付の請求の範囲によってのみ限定されるもので、本明細書で使用される用語 は、特定の態様を説明するためにのみ使用されるもので、限定するためのもので はないことも理解する必要がある。 本明細書および添付の請求の範囲で使用される単数形「1つの(a,an)」およ び「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示す場合以外は、指示 対象の複数形も含む。したがって、例えば、「蛋白質(a protein)」は蛋白質 の混合物および多数のタンパク質を含み、「抗体(an antibody)」は多数の抗 体およびその混合物を含み、「その方法(the method)」は本明細書に説明され る種類の1つもしくは複数の方法または段階を含む。 本明細書記載の刊行物は、本出願の出願日以前にそれらが開示されていたこと を示すためにのみ提供される。本明細書のいかなる開示も、先行発明に基づいて 、本開示が成された日付を早める権利が本発明者らにはないと自認したと解釈さ れるべきではない。 他に記載がないかぎり、本明細書中のすべての技術的および科学的用語は、本 発明が属する技術分野の当業者によって共通に理解されているものと同じ意味を 持つ。本発明の実施または試験には、本明細書に記載したものと類似または同等 の任意の方法および材料が使用できるが、好ましい方法と材料は本明細書中に記 載されている。本明細書に引用するすべての論文は、その論文が関連して引用さ れている本発明の特定の局面を開示および説明する目的のために、参照として本 明細書に組み入れられる。 定義 「可溶性」という用語は、液体内に混合する能力に関する化合物の性質を意味 し、特に水、水性塩、混合溶媒または界面活性剤溶液のような液体に溶解して均 一な混合液、すなわち単なる懸濁液ではない溶液を形成する能力を意味する。本 発明による蛋白質の溶解性は、種々のパラメータを用いて定義することが可能で 、それらのパラメータは溶解性を測定する特定の蛋白質によって変わり得る。一 般に、疾病状態と関連する不溶性の天然型蛋白質は、水、塩溶液、および穏やか な界面活性剤(すなわち、蛋白質を変性させない界面活性剤)に不溶性であるが 、本発明の可溶性蛋白質は、これらの1つまたはすべてに可溶性である。さらに 、本発明の可溶性蛋白質は、溶液に入れて100,000gを1時間与えても、上清に残 る。本発明の蛋白質PrPSc106は、この蛋白質または天然型のPrPScを変性させな い穏やかな界面活性剤の水溶液に可溶性である。PrPSc106を穏やかな界面活性剤 の水溶液中に入れ、100,000gで1時間遠心しても、PrPSc106は上清に残る。修飾 蛋白質の溶解性を確認する際には、種々の異なる界面活性剤が使用できる。界面 活性剤組成物の1つの適当な例として、0.5%デオキシコール酸ナトリウム;0.5% トリトンX-100および、必要に応じて0.5%、1.0%、または2.0%のサルコシルとい う組み合わせが含まれる。蛋白質PrPSc106は、これらの3つのいずれの濃度のサ ルコシルにも可溶性である。溶媒中に界面活性剤を含めることに加え、塩を含み 、pHを5から9の範囲に維持することが好ましいが、より好ましくは6から8、さら に好ましくは約7.5に維持する。使用できる塩の例には、pH7.5の10mMトリス塩酸 ;100mM NaCl(塩化ナトリウム);または1mM EDTAが含まれる。濃度が1mMから1 00mMの範囲の他の塩も使用できる。 本明細書で使用される「不溶性」という用語は、化合物の特性を説明するため のものであり、特に液体と混合せず、液体に溶解して均一な混合液を形成せず、 特に水または水性塩もしくは界面活性剤の溶液に溶解できないという、蛋白質の 特性を説明するものである。本明細書に説明する種類の不溶性の天然型蛋白質は 、その蛋白質が水、水および塩、水およびその蛋白質を変性しない界面活性剤、 または水、塩およびその蛋白質を変性しない界面活性剤中にある際に100,000gを 1時間与えると、その蛋白質が上清に存在しない場合に、不溶性と呼ぶ。 「消化可能」および「酵素消化される」などの用語は、本明細書では互換可能 に使用され、蛋白質が、酵素が通常蛋白質を切断すると期待される条件下で酵素 に接触したときに、その酵素によって2つ以上の断片、好ましくは複数(すなわ ち3つ以上)の断片に切断されることを意味する。 使用される一つもしくは複数の特定の酵素、酵素が蛋白質と接触する時間、お よび温度や圧力などのその他の条件は、試験する特定の修飾蛋白質によって異な る。PrP遺伝子を修飾して発現される蛋白質の消化試験を実施する際には、プロ テアーゼKを使用し、大気圧で、0℃より高く100℃未満の範囲の温度、より好ま しくは15℃から45℃、およびさらに好ましくは約37℃で、約10分から2時間の範 囲、より好ましくは20分から1時間、およびさらに好ましくは約30分間、プロテ アーゼKを蛋白質と接触させることが好ましい。蛋白質が約37℃で約30分間プロ テアーゼKに接触すると変性する場合は、その蛋白質は疾病を誘発する天然のPr PSc蛋白質の生物学的特性を保有していない。蛋白質が消化されない場合は、さ らにその蛋白質の疾病を誘発する能力を試験すれば、本発明の蛋白質に分類でき る可能性がある。 「消化可能でない」および「酵素消化されない」という用語は、本明細書では 互換可能に使用され、蛋白質を酵素と接触させた場合にその蛋白質が切断されな いことを意味する。特に、この用語は、酵素が通常、蛋白質の切断を行なうよう な条件下でその蛋白質と接触しても、その蛋白質が1つのままで分割されないこ とを意味する。 「PrP蛋白質」、「PrP」などの用語は、本明細書では互換可能に使用され、ヒ トおよび動物において疾病(海綿状脳症)を誘発することが知られている感染性 粒子型PrPSc、および適当な条件で感染性のPrPSc型に転換される非感染性型PrPC の両方を意味する。 本明細書では互換可能に使用されている、「プリオン」、「プリオン蛋白質」 および「PrPSc蛋白質」などの用語は、PrP蛋白質の感染性のPrPSc型を意味し、 「protein(蛋白質)」と「infection(感染)」という単語を短縮したものであ り、粒子はPrP遺伝子によってコードされるPrPSc分子を、100%ではないとしても 、主に含む。プリオンは細菌、ウイルス、およびウイロイドとは異なる。既知の プリオ ンには、動物に感染し、ヒツジとヤギの神経系の伝染性変性疾患であるスクレイ ピー、さらにウシ海綿状脳症(BSE)すなわち狂牛病、およびネコのネコ海綿状脳 症を誘発するものが含まれる。ヒトを冒すことが知られている4つのプリオン病 は(1)クールー、(2)クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、(3)ゲルストマン・ス トロイスラー・シャインカー病(GSS)、および(4)致死性家族性不眠症(FFI)である 。本明細書では、プリオンは、使用する任意の動物、特にヒトおよび家畜におい て、これらの疾病のすべてあるいはいずれかまたは他の疾病を誘発するすべての 形態のプリオンを含む。 本明細書で用いられる「PrP遺伝子」という用語は、1996年10月15日発行の米 国特許第5,565,186号の図2〜4に示されている蛋白質を発現する遺伝物質、なら びに第5,565,186号の「病原性変異および多型性(Pathogenic Mutations and Po lymorphisms)」という副題で本明細書に列挙されているような多型性および変 異を示す。「PrP遺伝子」という用語は、一般に、プリオン蛋白質の任意の形状 をコードする任意の種の任意の遺伝子を意味する。広く知られているPrP配列の 一部は、該配列を開示し説明するために参照として本明細書に組み入れられるGa brielら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:9097-9101(1992)に記載されている。 PrP遺伝子は本明細書に記述されている「宿主」および「試験」動物を含む、任 意の動物に由来するものでよく、また、そのいくつかもしくは全ての多型性およ び変異でもよく、この用語はまだ未発見の他のPrP遺伝子を含むと認識される。 そのような遺伝子から発現される蛋白質は、PrPC(非疾病)またはPrPSc(疾病 )型のいずれかでありえる。 「標準化したプリオン調製品」、「プリオンの調製品」、「調製品」などの用 語は、本明細書では互換可能に使用され、プリオンに関して実質的に同一の遺伝 物質を含む哺乳類の脳組織、例えば、プリオン病の症状を示し、(1)本明細書 で説明されているトランスジーンを含む;(2)削られた内因性プリオン蛋白質遺 伝子を持つ;(3)遺伝的に別種の由来のプリオン蛋白質遺伝子を高コピー数で持 つ;または(4)削られた内因性プリオン蛋白質遺伝子と遺伝的に別種由来のプリ オン蛋白質遺伝子とを持つハイブリッドである、1組の哺乳類の脳組織から得ら れる、プリオン(PrPSc)を含む組成物をあらわす。標準化したプリオン調製品 が得られ る哺乳類は、プリオン接種の結果として、および/または、例えば、プリオン蛋 白質遺伝子が高コピー数で存在するという、遺伝的に改変された性質によって疾 病を発症するため、中枢神経系の機能異常という臨床症状を示す。 本明細書で使用される「人工PrP遺伝子」という用語は、「キメラPrP遺伝子」 を含み、また、宿主動物(例、マウス)のゲノムに含まれると、天然では遺伝的 に別種の試験動物、例えば、ヒト、ウシ、またはヒツジにのみ感染するプリオン による感染に対して、その動物を感受性にするという、その他の組換え遺伝子を 含む。一般に、人工遺伝子は、天然の配列の1つ以上(しかしすべてではなく、 一般に40未満)のコドンが、異なるコドン、好ましくは遺伝的に別種の哺乳類( ヒトなど)の対応するコドンによって置換されることによって、遺伝的に変更さ れた哺乳類のPrP遺伝子のコドン配列を含む。遺伝的に変更された哺乳類は、遺 伝的に別種の哺乳類にのみ感染するプリオンの試料を解析するために使用される 。人工遺伝子の例は、第5,565,186号の図2、3および4に示される配列をコードす るマウスPrP遺伝子で、すべてのマウスコドンが、ヒト、ウシ、またはヒツジの 異なるコドンで置き換えられるわけではないという条件付きで、同じ相対位置に あるマウスコドンを置換する、これらの図に示されたヒト、ウシ、およびヒツジ のコドンから選択された1つ以上の異なった置換コドンをもつ遺伝子である。人 工PrP遺伝子は、遺伝的に別種の動物のコドンを含むのみならず、いかなる天然 型PrP遺伝子にも関連しないが、動物に挿入されると、通常は遺伝的に別種の動 物にのみ感染するようなプリオンの感染にその動物を感受性にするようなコドン およびコドン配列も含む可能性がある。 「キメラ遺伝子」、「キメラPrP遺伝子」、「キメラプリオン蛋白質遺伝子」 などの用語は、本明細書では互換可能に使用され、1つまたは複数のコドンがヒ ト、ウシ、またはヒツジのような遺伝的に別種の試験動物由来の対応するコドン によって置換された、マウスのような宿主動物のコドンを含む人工的に作製され た遺伝子を意味する。1つの特定の例では、キメラ遺伝子は宿主哺乳類(例、マ ウス)のPrP遺伝子の開始および終止配列(N末端およびC末端コドン)を含み、 また第2の種(例、ヒト)の試験哺乳類のPrP遺伝子の対応する部分のヌクレオチ ド配列も含む。宿主哺乳類のゲノムに挿入されると、キメラ遺伝子は、その哺乳 類を、通 常は第2の種の哺乳類にのみ感染するようなプリオンの感染に感受性にする。キ メラ遺伝子MHu2Mは、マウスPrP遺伝子の開始および終止配列、ならびに、発現さ れる蛋白質が9残基異なるという点でマウスPrP遺伝子とは異なる、対応するヒト 配列によって置換された非末端配列領域を含む。 「プリオンに関連する遺伝物質」という用語は、プリオンに感染する能力を動 物に付与するあらゆる遺伝物質を含むことを意図している。したがって、この用 語は、それらの用語が本明細書で定義されている「PrP遺伝子」、「人工PrP遺伝 子」、「キメラPrP遺伝子」または「削られたPrP遺伝子」を含み、また、動物を プリオンに感染できるようにする、それらの修飾を含む。標準化プリオン調製品 は、すべての動物が同じ種類のプリオンに感染するようになり、ほぼ同時期に感 染の症状を示すように、そのすべてがプリオンに関して実質的に同じ遺伝物質を 持つ動物を使って生産される。 「宿主動物」および「宿主哺乳類」という用語は、その動物内に天然には存在 しない遺伝物質を含むように、そのゲノムが遺伝的および人工的に操作される動 物を示すために使用される。例えば、宿主動物には、PrP遺伝子が削られ、非機 能的にされたマウス、ハムスター、ラットが含まれる。宿主にはプリオン蛋白質 を感染させ、抗体を作製する。抗体を産生する細胞は、ファージライブラリーを 作製するための遺伝物質源である。他の宿主動物は、天然型(PrP)遺伝子、ま たは人工遺伝子の挿入、もしくは遺伝的に別種の試験動物の天然型PrP遺伝子の 挿入によって変更された遺伝子を持つ可能性がある。 「試験動物」および「試験哺乳類」という用語は、宿主動物のPrP遺伝子と試 験動物のPrP遺伝子との間に差異があるという点で宿主動物とは遺伝的に異なる 動物を示すために使用される。試験動物は、一般に試験動物が感染に感受性のプ リオンが所定の試料に含まれるかどうかを決定するための解析試験を行うことを 望む任意の動物でよい。例えば、試験動物は、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ 、ネコ、イヌ、またはニワトリであってもく、通常は試験動物のみに感染するプ リオンが特定の試料に含まれているかどうかを決定しようとするものである可能 性がある。 「遺伝的に別種の動物」および「遺伝的に別種の哺乳類」という用語は、遺伝 的に別種の試験動物とは、17以上のコドン、好ましくは20以上のコドン、そして 最も好ましくは28〜40コドン異なる、宿主動物の天然型PrPコドン配列を含む動 物を示すために使用される。したがって、マウスのPrP遺伝子は、ヒト、ウシ、 またはヒツジのPrP遺伝子に関して、遺伝的に別種であるが、ハムスターのPrP遺 伝子に関しては遺伝的に別種ではない。 「削られたPrP蛋白質遺伝子」、「破壊されたPrP遺伝子」などの用語は、本明 細書では互換可能に使用され、その遺伝子が非機能的になるように変更(例、ヌ クレオチドの付加および/または除去)された内因性PrP遺伝子を意味する。非機 能的PrP遺伝子の例およびそれを作製する方法は、Bueler,H.ら、「ニューロン 細胞表面PrP蛋白質を欠失したマウスの正常な発達(Normal development of mic elacking the neuronal cell-surface PrP protein)」Nature 356,577-582(19 92)およびWeisman(国際公聞公報第93/10227号)に開示されている。遺伝子を削 除する方法は、そのすべてが参照として本明細書に組み入れられるCapecchi,Ce ll 51:503-512(1987)に教示される。好ましくは、遺伝子の両方の対立遺伝子が 破壊される。 「ハイブリッド動物」、「トランスジェニックハイブリッド動物」などの用語 は、本明細書では互換可能に使用され、削られた内因性プリオン蛋白質遺伝子を 持つ第1の動物を、(1)キメラ遺伝子または人工PrP遺伝子、または(2)遺伝的に 別種の動物由来のPrP遺伝子のいずれかを含む第2の動物と交雑させることにより 得られた動物を意味する。例えば、ハイブリッドマウスは、削られたマウス遺伝 子を持つマウスと、(1)ヒトPrP遺伝子(高コピー数で存在する可能性がある) 、または(2)キメラ遺伝子を含むマウスとを交雑させることによって得られる。 ハイブリッドという用語は、その子孫が、通常は遺伝的に別種にのみ感染するプ リオンの感染に感受性であるかぎり、2つのハイブリッドの近交系子孫を含めて 、ハイブリッドの任意の子孫を含む。ハイブリッド動物にプリオンを接種し、本 発明のモノクローナル抗体を作製するためのハイブリドーマの作製のための細胞 源として使用することができる。 「感染に感受性」および「プリオンの感染に感受性」などの用語は本明細書で は互換可能に使用され、通常は遺伝的に別種の試験動物のみに感染するようなプ リオンを接種されると疾病を発症するトランスジェニックまたはハイブリッドの 試験動物をあらわす。この用語は、キメラPrP遺伝子がなければヒトのプリオン の感染を受けないが、キメラ遺伝子があるとヒトのプリオンの感染に感受性にな るトランスジェニックマウスTg(MHu2M)のようなトランスジェニックまたはハイ ブリッド動物を表すために使用される。 「抗体」は抗原に結合する能力のある免疫グロブリン蛋白質を意味する。本明 細書で使用される抗体は、抗体全体、および関心の対象であるエピトープ、抗原 、または抗原断片に結合する能力のある任意の抗体断片(例、F(ab')2、Fab'、F ab、Fv)を意味する。 本発明の抗体は、PrPSc蛋白質または本発明の可溶性蛋白質と免疫反応性また は免疫特異的であって、したがって、これらに特異的かつ選択的に結合する。天 然型PrPScおよび本発明の蛋白質と免疫反応的および免疫特異的な抗体が好まし い。PrPScおよび本発明の可溶性蛋白質に対する抗体は、好ましくは免疫特異的 で、すなわち、関連する物質に実質的に交差反応しない。「抗体」という用語は すべての種類の抗体(例、モノクローナル)を含むが、抗体は好ましくは本明細 書に説明されるファージディスプレイ法を用いて生産される。 「精製抗体」は天然では混在している他の蛋白質、炭水化物、および脂質が十 分に除かれている抗体を意味する。そのような抗体は天然型PrPSc蛋白質および 本発明の可溶性蛋白質(またはその抗原性断片)に「選択的に結合する」、すな わち抗原性の関連していない他の分子を実質的に認識せず、結合しない。本発明 の精製抗体は、好ましくは本発明の蛋白質および特定の種のPrPSc蛋白質の両方 に免疫反応性および免疫特異的で、さらに好ましくは天然型ヒトPrPScおよび関 連する本発明の可溶性蛋白質に免疫特異的である。 PrP蛋白質の「抗原性断片」は、そのような蛋白質の一部で、本発明の抗体に 結合する能力のある部分を意味する。 「特異的に結合する」というのは、特異的ポリペプチド、すなわちPrPSc蛋白 質のエピトープに対する抗体の結合の結合力および/または親和性が高いことを 意味する。この特異的ポリペプチド上のエピトープに対する抗体の結合は、好ま しくは、すべての他のエピトープ、特に、関心のある特異的ポリペプチドと会合 してい る分子内または同一の試料中に存在する可能性のあるエピトープに対する同一の 抗体の結合よりも強く、例えば、PrPCの変性した断片よりも強くPrPScに結合す るため、結合条件を調整することにより、抗体はほぼ全面的にPrPCの変性断片で はなくPrPScと結合する。関心のあるポリペプチドに特異的に結合する抗体は、 他のポリペプチドに弱いながらも検出可能なレベルで結合する能力がある可能性 がある(例、関心のあるポリペプチドに対する結合の10%またはそれ以下)。そ のような弱い結合、またはバックグラウンドの結合は、例えば、適当な対照を使 用することなどによって、関心のある化合物またはポリペプチドに対する特異的 な抗体の結合とは容易に区別することができる。一般に、インサイチューで天然 型PrPScに対して107モル/L以上、好ましくは108モル/L以上の結合親和性で結合 する本発明の抗体は、PrPScに特異的に結合すると言われる。一般に、親和性が1 06モル/Lまたはそれ以下の結合親和性を持つ抗体は、現在使用されている通常の 方法を用いると検出可能なレベルで抗原と結合しないという点で有用ではない。 「検出可能に標識した抗体」「検出可能に標識した抗PrP」または「検出可能 に標識した抗PrP断片」は、検出可能な標識を結合した抗体(または結合特異性 を保持した抗体断片)を意味する。検出可能な標識は、通常は化学的な結合によ り結合するが、標識がポリペプチドの場合は、遺伝子工学のテクニックによって 結合してもよい。検出可能に標識した蛋白質を生産する方法は、当技術分野で周 知である。検出可能な標識は、当技術分野で周知の様々な標識から選択できるが 、通常は、放射性同位体、蛍光体、常磁性標識、酵素(例、西洋ワサビペルオキ シダーゼ)、または検出可能なシグナル(例、放射性、蛍光、色)を発するか、 またはその標識を基質に曝すと検出可能なシグナルを発する、その他の成分また は化合物である。種々の検出可能な標識/基質の組(例、西洋ワサビペルオキシ ダーゼ/ジアミノベンジジン、アビジン/ストレプトアビジン、ルシフェラーゼ/ ルシフェリン)、抗体の標識方法、および標識抗体の使用方法は当技術分野で周 知である(例えば、HarlowおよびLane編(Antibodies:A Laboratory Manual(抗 体:実験室マニュアル)(1988)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Sp ring Harbor,NY)参照)。 本明細書では「治療」「治療する」および類似の用語は、一般に、望ましい薬 理的および/または生理的効果を得ることを意味する。この効果は、疾病または その症状を完全または部分的に予防するという意味で予防的であり得、および/ または疾病および/または疾病に起因する有害効果を部分的または完全に治癒す るという意味で治療的であり得る。本明細書で使用される「治療」は、哺乳類、 特にヒトの疾病の任意の治療を含み、および、 (a)疾病素質を持つが、まだその疾病とは診断されていない患者におけるその 疾病の発病の予防; (b)疾病の阻害、すなわちその進行の停止;または (c)疾病の緩和、すなわち、その疾病の退行の誘発、を含む。 本発明は、感染性プリオンを持つ患者の治療を目指すもので、特に、ウシ海綿状 脳症;クロイツフェルト・ヤコブ病;致死性家族性不眠症またはゲルストマン・ス トロイスラー・シャインカー病などの中枢神経系の疾病に至るPrPScに感染したヒ トの治療を目指すものである。 本明細書で使用される略語には以下が含まれる: CNSは中枢神経系; BSEはウシ海綿状脳症; CJDはクロイツフェルト・ヤコブ病; FFIは致死性家族性不眠症; GSSはゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病; Huはヒト; HuPrPはヒトプリオン蛋白質; Moはマウス; MoPrPはマウスプリオン蛋白質; SHaはシリアンハムスター; SHaPrPはシリアンハムスタープリオン蛋白質; Tgはトランスジェニック; Tg(SHaPrP)はシリアンハムスターのPrP遺伝子を含むトランスジェニックマウス ; Tg(HuPrP)は完全なヒトPrP遺伝子を含むトランスジェニックマウス; Tg(ShePrP)は完全なヒツジPrP遺伝子を含むトランスジェニックマウス; Tg(BovPrP)は完全なウシPrP遺伝子を含むトランスジェニックマウス; PrPScはプリオン蛋白質のスクレイピーアイソフォーム; PrPSc106は穏やかな界面活性剤に可溶性で残基89〜140および177〜230からなる プリオン蛋白質のスクレイピーアイソフォーム; PrPCは細胞に含まれる一般的で正常なプリオン蛋白質アイソフォーム; MoPrPScはマウスプリオン蛋白質のスクレイピーアイソフォーム; MHu2MはマウスPrPとは9つのコドンが異なる対応するヒトの配列によってマウス のPrP遺伝子の1つの領域が置換されているマウス/ヒトのキメラPrP遺伝子; Tg(MHu2M)マウスはキメラ遺伝子MHu2Mを含む本発明のトランスジェニックマウス 。 MHu2MPrPScはヒト/マウスのキメラPrP遺伝子のスクレイピーアイソフォーム; PrPCJDはPrP遺伝子のCJDアイソフォーム; Prnp0/0は内因性プリオン蛋白質遺伝子、例えばMoPrP遺伝子、の両方の対立遺伝 子を削除すること; Tg(SHaPrP+/0)81/Prnp0/0はSHaPrPを発現する特定のトランスジェニックマウス の系統(81)、+/0はヘテロ接合を表す; Tg(HuPrP)/Prnp0/0はヒトプリオン蛋白質遺伝子(HuPrP)を持つマウスと、内因性 プリオン蛋白質遺伝子の両方の対立遺伝子が破壊されたマウスとの交雑により得 られたハイブリッドマウス; Tg(MHu2M)/Prnp0/0はキメラプリオン蛋白質遺伝子(MHu2M)を持つマウスと、内因 性プリオン蛋白質遺伝子の両方の対立遺伝子が破壊されたマウスとの交雑により 得られたハイブリッドマウス。 FVBはトランスジェニックマウスの生産にしばしば使用される標準的近交系マウ スである。これはFVBマウスの卵は比較的大きく、外因性DNAのマイクロインジェ クションに比較的許容性があるためである。 概説 天然型蛋白質の疾病に関連する異常な性質は保持しているが、修飾により可溶 化された修飾蛋白質が提供される。修飾には、アミノ酸の付加もしくは置換、ア ミノ酸の欠失、または天然型蛋白質に対する別の分子の結合の、全てまたはいず れかが含まれ得る。本発明の好ましい1つの態様は、不溶性の天然型蛋白質と類 似した特徴を持つ、すなわち疾病と関連する異常な性質を保持する、より短い可 溶性蛋白質を得るために、天然型蛋白質を発現するDNAからコドンセグメントを 欠失させることにより得られる、天然型配列よりも短いアミノ酸配列である。本 発明の可溶性蛋白質の特徴は:(1)全長の天然型蛋白質の構造的修飾を含む;(2) 天然型蛋白質よりも溶解性が高い;(3)(a)酵素消化を受けない、および(b)疾病 を誘発するといった、天然型蛋白質の基本的な異常な生物学的特徴を保持してい るということである。 本発明の可溶性蛋白質は、天然型蛋白質をコードするDNA配列を提供し、体系 的にコドンを除去することによって得られる。短縮DNAのコピーを作製し、これ を発現させて短縮蛋白質を提供する。その後、短縮蛋白質の溶解性を試験する。 その後、可溶性蛋白質を試験して、天然型蛋白質の生物学的特性を保持している ことを確認する。 同様にして、本発明の他の修飾可溶性蛋白質も調製し、試験することができる 。例えば、特定のコドンを、親水性の性質を持った極性アミノ酸(例、グルタミ ン酸、アスパラギン、グルタミン、およびアスパラギン酸)のような異なるアミ ノ酸を発現する新しいコドンで置き換えるように天然型配列を修飾することがで きる。アスパラギン酸のような極性アミノ酸を発現するコドンのような新しいコ ドンによって異なるコドンが置き換えられた多数の配列が作製できる。その後、 得られた修飾DNA配列を発現させて、修飾蛋白質を得る。修飾蛋白質の溶解性を 試験する。可溶性であることが分かった蛋白質を試験して、疾病に関連する異常 な性質を保持していることを確認する。 天然型蛋白質よりも大きい可溶性蛋白質も、同様にして作製できる。配列のい ずれかの末端に配列内のコドンを付加することにより体系的に修飾できる。修飾 DNA配列を発現させ、天然型蛋白質よりも長い蛋白質を提供する。長い蛋白質の 溶解性を試験する。可溶性であることが分かった蛋白質を試験して、疾病に関連 する異常な性質を保持していることを確認する。 1つのアミノ酸を別のアミノ酸に置換することによるアミノ酸の修飾、短縮、 または伸長に加えて、新しい分子成分を結合することによって天然型蛋白質を修 飾 することも可能である。付加される分子成分は、天然型蛋白質のいずれかの末端 に接続するか、または鎖の任意の部位に接続できる。接続する一般的な部位には 、天然に存在するいずれのアミノ酸「R」基とも全く異なる「R」基を持ち、蛋 白質の溶解性を改善するような代替アミノ酸によって、アミノ酸を置換すること が含まれる。例えば、付加される「R」基は、高度に親水性の基でありえる。最 後に、上述の修飾の全てまたはいずれかの組み合わせを用いて天然型蛋白質を修 飾することも可能である。 配列の決定 天然型不溶性蛋白質をコードするヌクレオチド配列を決定することは、本発明 の一部ではない。そのような配列は既知であり、例えば、幾種類かの哺乳類のPr P遺伝子の配列は、1996年10月15日発行の米国特許第5,565,186号に開示されてお り、アルツハイマー病に関連するいくつかのβアミロイド蛋白質の配列は、1995 年2月7日発行の米国特許第5,387,746号に開示されている。ヌクレオチド配列情 報に加えて、この文献には、その配列によって発現される蛋白質の構造的局面に 関するかなりの量の情報が含まれている。 関心のある配列の入手後、通常の方法によってコピーを作製し、コピーの作製 後、コピーをグループまたはプールに分離する。例えば、コピーが5個以上、10 個以上、100個以上等の配列グループまたはプールに分けることができる。各グ ループまたはプールが別々に操作できるように、この分類を行う。好ましくは、 各プールには10以上の同一の配列が含まれる。 同一の配列のプールが得られたら、個々のプール内の配列を体系的に変化させ る。例えば、各プール内の配列を、(1)1つ以上のコドンの除去(コドンは蛋白 質のいずれの末端または中間位置からも除去できる);(2)コドンの付加(コド ンは天然型配列のいずれの末端または内部に付加できる);(3)コドンの付加と 欠失、によって変化させることができる。その遺伝物質によって発現される蛋白 質に関して知られている情報に応じて、発現された蛋白質の特定の構造的特徴を 除去もしくは付加するDNA部分を、体系的に除去するか、または付加することが 可能である。このようにして、短縮または伸長したDNAセグメントを提供するた めに、セグメントを欠失させる、または付加することが可能であり、これを発現 させる と、異なるプールの蛋白質は異なる重要な構造的特徴を持つまたはこれを欠くと いう点で相互に異なるような、蛋白質プールが作製される。 異なる蛋白質プールを得るために異なるヌクレオチドプールを発現させた後、 まず可溶性、その後で生物活性について、異なる蛋白質プールを個々に試験する 。天然型蛋白質と比較して有意に高い溶解性を示す蛋白質は、さらに試験をする 候補となる。修飾された蛋白質が可溶性かどうかを決定する方法は、試験する蛋 白質によって異なる可能性がある。例えば、純水、ヒトの体液と類似した通常の 溶液、または穏やかな界面活性剤を含む水溶液中で、蛋白質を試験する可能性が ある。溶媒は水性溶媒である必要があり、選択した溶媒で天然型蛋白質が実質的 に不溶性であるため、その溶媒中での溶解性によって、修飾された蛋白質を特徴 付けることが可能になるようなものを選択する必要がある。場合によっては、そ の溶液を100,000gで約1時間遠心することによって、蛋白質が可溶性であること を確認するのが望ましいことがある。蛋白質が沈殿せずに上清に留まれば、その 蛋白質は可溶性であると判断できる。当業者は、特定の蛋白質に使用するために 適当な他の溶解性試験を容易に認識できるであると思われる。 次に、同定された可溶性蛋白質について、不溶性の天然型蛋白質を消化しない 特定の酵素によって消化される能力などの、別の試験を行う。その蛋白質が消化 されなければ、さらに、調剤して動物に接種するような生物学的試験を行う。接 種された動物を観察して、その接種の結果として発症するかどうか決定する。感 染性プリオンの接種後に疾病を発症するトランスジェニック動物は、そのような トランスジェニック動物およびそのようなトランスジェニック動物を用いた化合 物の試験方法を開示および説明するために、本明細書に参照として組み入れられ る1996年10月15日発行の米国特許第5,565,186号に開示されている。 不溶性蛋白質 本発明の可溶性蛋白質は、特定の疾病と関連する不溶性の天然型蛋白質の修飾 物である。本発明は、今後見出される蛋白質の修飾にも当てはまる。しかし、本 発明は、特定の疾病と関連する既知の不溶性の天然型蛋白質に、現在直接に当て はめることができる。以下は疾病と関連する不溶性蛋白質の非制限的な表である 。疾病 不溶性蛋白質 アルツハイマー病 APP、Aβペプチド、 α1アンチキモトリプシン、 tan、非Aβ成分 プリオン病、 クロイツフェルト・ヤコブ病、 スクレイピーおよびウシ海綿状脳症 PrPSc ALS SODおよびニューロフィラメント ピック病 ピック小体 パーキンソン病 リューイ小体 II型糖尿病 アミリン 多発性骨髄腫-- プラズマ細胞疾患 IgL鎖 家族性アミロイド多発神経障害 トランスチレチン 甲状腺の髄様癌 プロカルシトニン 慢性腎不全 β2ミクログロブリン うっ血性心不全 心房性ナトリウム利尿因子 老人性心臓および全身アミロイド症 トランスチレチン 慢性炎症 血清アミロイドA アテローム性動脈硬化 ApoA1 家族性アミロイド症 ゲルゾリン 上記の不溶性蛋白質は、各々、本発明の範囲内に含まれるいくつかの異型体ま たは変異体を含んでいることに注意する必要がある。プリオン病に関連するPrP 造伝子における既知の病原性変異および多型性を以下に記載するが、ヒト、ヒツ ジ、およびウシの配列は、1996年10月15日発行の米国特許第5,565,1865号に記載 されている。 変異の表 また、該蛋白質は、しばしば同一のアミノ酸配列で2つの異なる3次元構造を持 つことがあることにも注意する必要がある。1つの立体構造は疾病の特徴と関連 し、一般に不溶性であるが、別の構造は疾病の特性と関連しておらず可溶性であ る。本発明は、不溶性の蛋白質を可溶性にするが、疾病に関連した実質的に全て の特徴を保持するように修飾することを目指している。したがって、本発明の可 溶性蛋白質を動物に接種した場合、その動物は疾病を発病する。 可溶性蛋白質の合成 本発明の可溶性蛋白質は、少なくとも2つの特徴を共通に持つ。第1に、これら の可溶性蛋白質が由来するまたは基づく不溶性の天然型蛋白質よりも、かなり溶 解性が高い。第2に、疾病に関連する天然型蛋白質の異常な性質を持ち続けてい る。本発明の可溶性蛋白質は、いくつかの異なるカテゴリーに分類できる。第1 に、可溶性蛋白質は、天然型の不溶性蛋白質よりもアミノ酸の数が少ないものが ある。本発明の他の可溶性蛋白質は、不溶性の天然型蛋白質よりもアミノ酸の数 が多い。さらに別の可溶性蛋白質は、天然の不溶型蛋白質と比較して同数のアミ ノ酸を持つが、いくつかの欠失または付加があるために異なるアミノ酸を持つ。 別の態様において、天然型蛋白質を、この分子の溶解性を改善するような別のア ミノ酸を含めたり、側鎖を結合させることによって、化学的に修飾する。最後に 、本発明の可溶性蛋白質は、上記の全ての改変を含むことができる。不溶性の天 然型と比較して、アミノ酸が少ない、多い、または異なる、本発明の可溶性蛋白 質は、化学的に、または分子遺伝学を使用して作製することができる。試験のた めには最初に多数の異なる蛋白質を生産することが望ましい場合が多いので、分 子遺伝学を使ってそのような蛋白質を生産することが一般に好ましい。天然型蛋 白質と比較して少ないもしくは多い数のアミノ酸、または単に異なるアミノ酸を 含む蛋白質は、以下に説明する方法によって分子遺伝学を用いて生産することが できる。 配列を知る必要はないが、発現されると不溶性の天然型蛋白質を生産する配列 を単離しておく必要がある。一旦この遺伝物質が単離されれば、体系的に修飾す ることができる。例えば、100コドンを含むDNA配列をコピーし、100の異なるプ ールに分けることができる。各プールごとに、異なる1つのコドンを除去する。 当業者には、様々な別の体系的欠失方法が明らかであると思われる。例えば、コ ドン5つごとに欠失させるか、特定の末端または配列の内部でコドングループを 欠失させることができる。 同様にして、任意の所望の部位でDNA配列に連結を行い、1つまたは複数のコド ンを付加することができる。コドンを付加するときには、極性のアミノ酸をコー ドするコドンを付加することが好ましく、さらに酸性のアミノ酸は得られる蛋白 質の溶解性を上昇させる傾向があるために、酸性の極性アミノ酸をコードするコ ドンを付加することが特に好ましい。当業者は、いくつかのコドンの欠失と別の コドンの付加を同時に行い、不溶性の天然型蛋白質をコードする元のコドンと同 数のコドンを得たり、または天然型蛋白質をコードする配列と比較して数の少な いまたは多いコドンを含む修飾配列を得たりすることができることを認識してい るであると思われる。 ヘブナー(Huebner)らに付与された米国特許第5,182,366号に開示されるよう な方法を用いると、比較的短期間の間に、望ましい配列の何千、何万、および何 百万もの変異型を作製することができる。 所望の配列が作製されたら、当業者に周知の技術を用いて、この配列を適当な 発現ベクターに入れる。その後、発現ベクターを適当な宿主に入れ、発現させて 多数の異なるアミノ酸配列を得る。その後、本発明の概念を用いてアミノ酸配列 を解析し、どの配列が可溶性であるかを決定する。その後、可溶性配列をさらに 試験して、不溶性の天然型蛋白質の持つ、疾病に関連した異常な性質を保持し続 けているかを決定する。可溶性であり、かつ、疾病に関連する異常な性質を持つ 蛋白質が、本発明の蛋白質である。 化学合成法を使って別の変異型を作製し、溶解性、および不溶性の天然型蛋白 質が持つ疾病に関連した異常な性質を保持するという生物活性について試験する こともできる。化学合成法を用いて、コードされないアミノ酸を含む蛋白質を作 製することができる。さらに、天然に存在するアミノ酸の光学異性体のD型を含 むようにアミノ酸配列を化学的に合成することができる。コードされないアミノ 酸およびその何百万もの変異を作製する方法は、1995年5月30日にラッター(Rut ter)らに付与された米国特許第5,420,246号に開示されている。化学的方法を用 いると、多数のアミノ酸の異型を産生させることができる。その例の一つが、19 94年3月31日公開のズッカーマン(Zuckerman)ら、国際公開公報第94/06451号に 開示されている。本発明の目的のために、かかる方法を実行するときには、アミ ノ酸または代替アミノ酸の「R」基は一般に、全体として分子に親水性の性質を 提供し、それにより分子の溶解特性を改善するような極性の基である。 化学合成法を使って可溶性分子を生産することはできるが、そのような可溶性 分子は、抗体の作製のためには有用性が劣る可能性がある。該分子を用いて作製 した抗体は、不溶性の天然型蛋白質には存在しない部位に対する親和性を持つ可 能性がある。したがって、本発明の目的には、可溶性の短縮型配列のみならず全 長の不溶性の天然型配列にも結合する抗体を作製するために、可溶性の「短縮型 」アミノ酸配列を用いる方が好ましい。 抗体の生産 本発明の可溶性蛋白質が作製され、生物活性が試験された際には、これらの蛋 白質は可溶性蛋白質と共に天然型蛋白質にも結合する抗体の作製に非常に有用と なる。このような抗体は、まず、宿主動物に不溶性の天然型蛋白質(または、本 発明の可溶性蛋白質)を接種して作製できる。宿主動物は、任意の動物であり得 るが、好ましくはマウス、ラット、モルモット、またはハムスターのような、本 明細書で定義されている種類の宿主動物であり、最も好ましくはマウスである。 この宿主動物に、好ましくは本明細書に定義されているように遺伝的に別種であ る、異なる種に内在する蛋白質を接種する。例えば、トランスジェニックマウス にヒトPrPScを接種する。その後、接種された宿主動物は抗体を産生する。削ら れた蛋白質を発現する内因性遺伝子を持つ動物に接種することが好ましい。例え ば、内因性PrP遺伝子を削られたマウスが、米国特許第5,565,186号で説明されて いる。内因性遺伝子を削る一般的な方法は、カペチ(Capecchi)らに1995年11月 7日に付与された米国特許第5,464,764号に記載されている。 マウスに抗体の産生を行わせた後、マウスを屠殺し、骨髄および脾臓細胞を取 り出す。細胞を溶解させ、RNAを抽出し、cDNAを逆転写する。その後、抗体のH鎖 およびL鎖(またはその一部)をPCRによって増幅する。増幅されたcDNAライブラ リーをそのまま使用するか、または一定の範囲の変異型を作出し、それによって ライブラリーのサイズを増大させるように操作してから使用することができる。 その後、IgGのH鎖をコードする増幅されたcDNAおよびL鎖をコードする増幅さ れたcDNAを、1つのベクターが、そのベクターの最初の発現カセット中にH鎖断片 をコードするcDNAインサートが含まれ、そのベクターの第2の発現カセット中にL 鎖断片をコードするcDNAインサートが含まれるように、ファージディスプレイベ クター(例えばpComb3ベクター)に挿入することによって、IgGファージディス プレイライブラリーを作製する。 その後、連結されたベクターを、当技術分野で周知の方法を用いて線状ファー ジM13にパッケージングする。パッケージングされたライブラリーを大腸菌の培 養液に感染させ、ファージ粒子の数を増幅する。細菌細胞を溶解した後、ファー ジ粒子を単離し、パニング(選別処理)に使用する。 本発明の可溶性蛋白質は、パニングに非常に貴重である。蛋白質が可溶性であ るため、ファージ粒子に接触させることが容易で、どのファージが本発明の蛋白 質に結合する抗体を発現しているかを決定できる。本発明の蛋白質は、結合が起 きたときに検出をさらに容易にするために、標識することができる。その後、本 発明の蛋白質に結合するファージを単離し、クローニングする。その遺伝物質を 細胞に入れ、抗体を作製する。細胞を適当なメラノーマ細胞と融合させて、モノ クローナル抗体を作製するためのハイブリドーマを作製することができる。 実施例 以下の実施例は、可溶性蛋白質を作製し、そのような蛋白質を見出す方法を実 施するための方法を当業者に完全に開示し説明するためのものであり、本発明と 見なされる範囲を限定するためのものではない。使用する数字(例えば、量、温 度等)に関して正確性を保証する努力を払ったが、実験誤差および偏差を考慮す る必要がある。特に記載されないかぎり、割合は重量割合、分子量は重量平均分 子量;温度は摂氏;および気圧は大気圧またはその近傍圧である。 実施例1 PrPセグメントの除去 特定の態様において、PrP分子のセグメントが体系的に除去された。具体的に は、PrPC中の2次構造と推定される領域(Z.Huangら、Proc.Natl.Acad.Sci .USA 91,7139-7143(1994))を、体系的に除去した。4つの推定されるヘリック スの各々を削除すると、PrPScの形成が阻止された。しかし、ヘリックス2と3の 間の36残基のループを除去しても、効果はなかった。結果として得られたPrPSc 分子は、N末端のシグナルペプチドおよびC末端の糖脂質アンカーの付加配列を 切断した後に106アミノ酸を含んでいるので、PrPSc106と命名した。PrPSc106は プロテイナーゼKによる消化に耐性を示したが、0.5%サルコシルに可溶性だっ た。PrPSc106の発見により、PrPScの構造研究ならびにPrPSc形成メカニズムの研 究およびPrPSc特異的抗 体の生産が、非常に容易になる。 PrPCからPrPScへ転換する過程で、PrPは大きな構造変化を受ける(K.M.Panら 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,10962-10966(1993))。この構造変化には、 非変性界面活性剤中における不溶性とプロテイナーゼK消化に対する耐性の獲得 が伴う(S.B.Prusinerら、Biochemistry 21,6942-6950(1982);R.K.Meyerら、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83,2310-2314(1986))。PrPScの構造の研究は、 この分子が不溶性であるために制限されてきた(S.B.Prusinerら、Cell 35,3 49-358(1983);B.W.Caugheyら、Biochemistry 30,7672-7680(1991);M.Gasset ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,1-5(1993);J.Safarら、J.Biol.Chem. 268,20276-20284(1993))。しかし、PrPCに類似するPrPアナログの合成および 組換え断片の方は、構造研究が容易だった(H.Zhangら、J.Mol.Biol.250,5 14-526(1995);I.Mehlhornら、Biochemistry 35,5528-5537(1996);R.Riekら、 Nature 382,180-182(1996))。研究は、不溶性であることのみならず、分解し ていない組換えPrPを高いレベルで発現させることが困難なために、制限されて きた(I.Mehlhornら、Biochemistry 35,5528-5537(1996);M.Scottら、Protei n Engineering 2,69-76(1988))。 実施例2 PrPのクローニング 分子モデリングによって哺乳類PrPの構造的特徴を研究するために、ニワトリP rPをコードするcDNAの分子クローニングを行った。数種類の構造予測アルゴリズ ムを用いて、2次構造と推定される4つの領域が同定された(Z.Huangら、Proc. Natl.Acad.Sci.USA 91,7139-7143(1994);M.Gassetら、Proc.Natl.Acad. Sci.USA 89,10940-10944(1992))。特定の領域がαヘリックスまたはβシート 構造を取るかどうかに関して不一致はあったものの、全ての分析から、これらの 領域が2次構造を取ることが予測された。したがって、H1、H2、H3およびH4と命 名したこの4つの領域の各々に対応する合成ペプチドを作製した。水性緩衝液中 では、H1、H3およびH4は予想外にβシート構造を取った(M.Gassetら、Proc.N atl.Acad.Sci.USA 89,10940-10944(1992))。 実施例3 構造分析 βシート構造のH1とコイルのH2とを混合すると、H2がβシートに転換した(J .Nguyenら、Biochemistry 34,4186-4192(1995))。H1とH2を含む56残基のより 長いペプチドは、水性緩衝液中でαヘリックス構造を取り、H1領域中のαヘリッ クス構造を示す化学シフトを示した(H.Zhangら、J.Mol.Biol.250,514-526 (1995))。NMRで決定されたH2領域中の2次構造は、明確ではなくなっていた。11 1残基のC末端断片のNMR試験において、H3およびH4領域が同定された(R.Riek ら、Nature 382,180-182(1996))。また、これらの研究では、H2およびH3の間 のループ中の短いαヘリックス、ならびに128〜131および161〜164の残基からな る短い逆平行βシートが同定された。 PrPCの分子モデルならびにCDおよびFTIR試験に基づいて、変異を導入したPrPC 分子がPrPScに転換する能力について、モデルの体系的試験を行った。試験は、 培養神経芽腫(N2a)細胞およびトランスジェニック(Tg)マウスの両方で行った。 その結果、PrPScの形成を支持するための各領域の必要性に関する推定2次構造の 領域マップが得られた(図1)。 実施例4 エピトープタグ−抗体 以前にScN2細胞でMHM2 PrPScに転換することが示されている、エピトープタグ を付したMHM2 PrPC分子を用いて、スクレイピー感染N2a細胞(ScN2a)において実 験を行った(A.Taraboulosら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,8262-8266(19 90);M.Rogersら、Immunol.147,3568-3574(1991);M.R.Scottら、Protein Sci .1,986-997(1992))。ScN2a細胞中で発現される全てのPrP構築物を、pSPOX.ll neoベクターにクローニングし、細胞を一過性的にトランスフェクトさせた(M.R .Scottら、Protein Sci.1,986-997(1992))。 エピトープタグを付けたMHM2 PrPは、SHaおよびHu PrPに見られる108番と111 番の位置に2つのMet残基を持つ。このエピトープはα-PrP 3F4 mAbによって認識 される(M.Rogersら、Immunol.147,3568-3574(1991);R.J.Kascsakら、J.V irol.61,3688-3693(1987))。MHM2によってコードされるPrPCは、ScN2a細胞中 で容易にPrPScに転換するので、PrP分子中の特定の領域の選択的削除の効果を評 価 するために使用できる(図1)。 実施例5 ScN2a細胞における発現 23〜88番目の残基からなるN末端領域が削除されたMHM2を開始材料として用い た。この構築物は、プロテイナーゼ消化に耐性のα-PrP 3F4 mAb反応性蛋白質が 生産されることで示されるように、ScN2a細胞におけるPrPSc形成を支持していた (M.Rogersら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,3182-3186(1993))。MoPrPの 33〜80番目の残基を削除すると、得られる構築物はPrnP0/0マウスをMoスクレイ ピープリオンに感受性にすることが示された(M.Fischerら、EMBO J.15)。 H2、H3またはH4と命名された推定2次構造中の3つの領域が削除された。別の構 築物において、23〜88番目の残基が削除されているN末端切断型MHM2 PrP構築物 から、H2、H3およびH4領域が削除された。削除されたPrPの各々を、ScN2a細胞で 発現させた。H2(残基122〜140)、H3(残基177〜200)およびH4(残基201〜217 )領域を削除し、ScN2a細胞中で発現させた各構築物をα-PrP 3F4 mAb免疫染色 によって検出した。Asn結合グリコシル化の両方のコンセンサス部位を含まなく なったH3欠失体(C.Lochtら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83,6372-6276(198 6))は、Mr〜19kDaの1本のバンドとして分離された。その他の2つの構築物も発 現させた:1つはH2とH3との間の36残基(141〜176)を含むループを欠失させた 構築物であり、もう1つは、178番目の残基とCys213との間のジスルフィド結合の 形成を阻止するために178番目の残基がCysからAlaに置換されている点変異を有 する構築物である。 実施例6 プロテイナーゼK耐性 プロテイナーゼK(20μg/ml、30分、37℃)による消化に対する耐性から判断 したところ、H2、H3およびH4領域の欠失ならびにCyc178の変異により、PrPScの 形成が妨げられた。この結果から、MHM2は、残基23〜88を欠失したN末端欠失分 子と同様、プロテアーゼ耐性のアイソフォームに転換されたことが示された。 36残基(141〜176)を含むH2とH3の間のループの欠失は、この分子のプロテア ーゼ耐性アイソフォームへの転換を妨げなかった。PrPSc形成時のプロテアーゼ 耐性 の獲得は、カベオラ様領域(CLD)内で起こると見られ、PrPCはそのGPIアンカーに よりCLDへ向けられる(A.Taraboulosら、J.Cell Biol.129,121-132(1995)) 。ループを欠失している構築物を発現する細胞をPIPLCに接触させた。その結果 、PrP106と命名された、プロテアーゼで消化可能なMHM2(23〜88位、141〜176位 を欠失)のほぼ全てが、この酵素により放出されることが示された(N.Stahlら 、Cell 51,229-240(1987))。これは、PrP106がERから細胞表面に移動し、全長 PrPC同様にそこでGPIアンカーにより結合されることを示す。 実施例7 (STE)領域の除去 108〜121番目の残基を含むH1の欠失の分析は、α-PrP 13A5 mAbによって検出 可能なSHaPrPエピトープを作製するために、1138M変異を作出して行った(M.Ro gersら、J.Immunol.147,3568-3574(1991);R.A.Barryら、J.Infect.Dis.1 54,518-521(1986))。H2〜H4の欠失と同様に、H1の除去によってPrPSc形成が阻 止された。その後、α-PrP 13A5 mAbを用いて、イヌ膵臓ミクロソーム膜を用い た無細胞系において合成されたPrPの輸送の制御への関与が示された、H1に隣接 する残基95〜107からなる転写停止エフェクター(STE)領域の欠失を試験した(C. S.Yostら、Nature 343,669-672(1990))。H1-H4の欠失と同様に、STE領域の除 去もPrPScの形成を阻止した。 以上の結果に基づいて、PrPSc106をプロテイナーゼKで限定的消化(limited digestion)した後の、Mr値の変化を調べた。プロテイナーゼKが存在しないと 、トランスフェクトされた構築物によってコードされているMHM2 PrPCおよびPrPSc アイソフォームの両方が、αPrP 3F4 mAbによって免疫染色された。Mr値が広 範囲に渡るのは、おそらく異常なAsn結合のグリコシル化のためだと考えられる 。限定的蛋白質分解後は、Mr値は低下し、分子のMr値の範囲は縮小した。Mr値の 変化からすると、限定的蛋白質分解の際にPrPSc106のN末端からいくつかのアミ ノ酸残基が除去された可能性が高い。ミクロシーケンシングによってこの問題を 解決することができる。 実施例8 溶解性 非変性界面活性剤における不溶性は、プロテアーゼ耐性PrPScの不変の特徴で ある(R.K.Meyerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83,2310-2314(1986);S.B. Prusinerら、Cell 35,349-358(1983))。これが既知であるため、PrP106を発現 するScN2a細胞を、N-ラウロイルサルコシン(サルコシル)の濃度を徐々に増加 させたもので溶解した。懸濁液を、20℃において100,000xgで1時間遠心した。0. 5%サルコシル以上の濃度では、すべてのPrPSc106が上清に見られた。α-PrPウ サギポリクローナルRO73抗血清によってMoPrPSc検出するためにブロットを再度 プローブで検索したところ、すべての免疫染色は沈殿画分に見られ、上清には見 られなかった。 実施例9 構造解析 得られた結果は、分子モデリングにより同定された4つの推定ヘリックス領域 の全てと、無細胞翻訳実験によって見出されたSTE領域とが、PrPSc形成に必要で あることを示している。また、この結果から、PrPCおよびPrPScの両方に見られ る、178番目と213番目のCys残基の間のジスルフィド結合(E.Turkら、J.Bioch em.176,21-30(1988))が、PrPScの形成に必須であることが示される。このジ スルフィド結合をC178A変異によって破壊すると、この変異型PrPCのPrPScへの転 換は低下したが、スクレイピー感染性を高度に濃縮した画分を2%βメルカプト エタノールまたは100mMジチオスレイトールで処理しても、シリアンハムスター におけるバイオアッセイで測定したプリオンの力価は低下しなかった(S.B.Pru sinerら、Biochemistry 19,4883-4891(1980))。 Prp27〜30(PrPCのプロテアーゼ耐性コア)に見られる残基に対応する組換えP rP(90〜231)を変性条件で精製した後に再生させたところ、ジスルフィド結合の 形成後、哺乳類PrPCと類似した高度にαヘリックスを含む構造を取った(I.Meh lhornら、Biochemistry 35,5528-5537(1996))。このジスルフィド結合は、C 末端のαヘリックス、すなわちH3およびH4を安定化すると考えられる(Z.Huang ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91,7139-7143(1994);Z.Huangら、Folding & Design 1,13-19(1996))。これは、大腸菌で発現された組換えPrP(121〜231) のC末端断片のNMR構造解析によって、裏付けられている(R.Riekら、Natur e 382,180-182(1996))。N末端の99アミノ酸ならびにAsn結合CHOおよびGPIア ンカーを持たないrPrP(121〜231)がPrPCのC末端領域の構造を正確に反映してい るかどうかは不明である。しかし、rPrP(121〜231)の分析データから、H3および H4領域に、αヘリックスが予測されることが示された。 実施例10 PrP106の特徴 23〜88残基および141〜176残基を持たないPrP106を、PrPSc様分子に転換させ る。これは、128〜131残基および161〜164残基からなる2つの逆平行β鎖によっ て形成されるβシートの短い領域が、PrPScの開始点である可能性は低いという 見解を支持する(R.Riekら、Nature 382,180-182(1996))。さらに、PrPCのrP rP(121〜231)の推定ループ中に見られる第3のαヘリックス(144〜154)は、不 安定な構造を持つと予測されていたが、これも限定蛋白質分解への耐性の獲得に は必要ではない。 ここに示された結果は、PrPScのプロテアーゼ耐性と不溶性を初めて分離した ものである。そのような結果から、精製PrPScの不溶性に寄与するはずの凝集が 、プロテアーゼ耐性には不要であるという見解が支持される。 部分的に変性したPrPCをPrPScに結合させる最近の無細胞混合実験から、放射 性標識されたPrPCが示すプロテアーゼ耐性は、PrPSc凝集への結合とは不可分で あることが示された(D.A.Kociskoら、Nature 370,471-474(1994);B.Caughey ら、Jr.Chem.Biol.2,807-817(1995))。しかし、本明細書の結果は、不溶性 とプロテアーゼ耐性とは分離可能であることを示している。これらの結果は、桿 状凝集物中のPrP27〜30がリポソーム中に分散され、蛋白質分解消化に耐性だっ たという、以前の研究と一致する(R.Gabizonら、J.Biol.Chem.263,4950-4 955(1988))。 示されているPrPSc106は、全長のPrPCよりも溶解性が低いが、全長のPrPScよ りもはるかに溶解性が高いことが示された。これは、PrPSc106分子(またはPrPS c 106分子で構成されるプロテアーゼ耐性ユニット)間の相互作用が、全長PrPSc 分子間の相互作用よりも、界面活性剤によって容易に破壊されることを示唆して いる。 PrPを削除されたバックグラウンドを持つTgマウスを用いて、PrPSc106の形成 を 調べることにより、PrPSc106がプリオンの感染性を支持することが確認できると 思われる。さらに、PrPSc106がインビボおよびインビトロにおけるアミロイド原 性を支持するかどうかを決定する実験を行うと、感染性とアミロイド原性との分 離が、この分子の可溶性と結びついていることが示される可能性がある。 PrPSc106の中間体は、独特の溶解性をもつため、その精製は簡単である。まず 、弱い界面活性剤を用いてPrPSc106をPrP106から分離し、その後、強い界面活性 剤を用いて、他のPrPSc分子から分離する。精製プロトコールからプロテアーゼ 消化を省略することは、プロテアーゼの存在によって破壊される可能性のある構 造解析に有利である。 実施例11 抗体の形成 ScN2aが、プロテアーゼ耐性だが可溶性のPrPSc分子を形成できるため、ファー ジディスプレイによる、PrPSc特異的抗体の単離は簡単である。具体的には、PrPSc 抗体の発見は、可溶性PrPSc106分子のような可溶性化合物に対してパニングと スクリーニングをすることにより、非常に容易である(R.A.Williamsonら、Pro c.Natl.Acad.Sci.USA 93,7279-7282(1996))。PrPSc106が利用できるため に、PrPScの3次構造の決定が実質的に進展するはずで、それとともに、PrPCがPr PScに転換するメカニズムの解明が、大きく進展するはずである。ScN2a細胞にお けるPrPScの可溶性型の形成によっても、プリオン病のための有効な薬物治療の 開発が容易となる(F.E.Cohenら、Science 264,530-531(1994))。さらに、Pr P106およびその変異型などの本発明の可溶性蛋白質は、PrPScに関連する疾病の 進行を遅延させるそれ自身の効果を試験することができる。プリオン病は生物学 と医学に前例のないものであるので、これらの疾病を治療する薬物のデザインに は、PrPScが形成されるとともにPrPが受ける構造的変化を詳細に理解する必要が ある可能性が高い。ウシのプリオンが英国とフランスでヒトに伝染してvCJDを誘 発した可能性があるため(G.Chazotら、Lancet 347,1181(1996);R.G.Willら 、Lancet 347,921-925(1996))、プリオン病の有効な治療法の開発は非常に重 要になった。 本発明の可溶性蛋白質を用いて抗体を作製する場合には、不溶性の天然型蛋白 質よりもアミノ酸数の少ない可溶性蛋白質を用いることが一般的に好ましい。小 さな蛋白質を用いることで、不溶性の天然型蛋白質に対する結合親和性を持つと いう意味では、不適切な抗体である、付加されたアミノ酸に結合する抗体の産生 を回避することができる。 本明細書に示し説明する本発明は、最も実際的で好ましい態様であると考えら れるものである。しかし、その態様からの逸脱も可能であること、および本開示 を読むことにより当業者には明らかな改変が想起されるであろうことは認識され ると思われる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/28 C07K 16/18 C07K 16/18 G01N 33/15 Z C12N 15/09 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 C12N 15/00 A 33/53 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP ,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU, LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,N Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI ,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ, VN,YU (72)発明者 コーヘン フレッド イー. アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サン フランシスコ ロード アイランド ス トリート 767 (72)発明者 ムラモト タマキ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サン フランシスコ バッキンガム ウェイ #902 265

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a)天然型アミノ酸配列からのアミノ酸の削除; (b)天然型アミノ酸配列へのアミノ酸の付加; (c)天然型アミノ酸配列への親水性分子成分の結合;および (d)(a)〜(c)の任意の組み合わせ からなる群より選択される方法によって製造される、天然型では不溶性である蛋 白質の可溶性型であって、製造される可溶性蛋白質が、疾病に関連する不溶性の 天然型蛋白質の性質を保持している、蛋白質の可溶性型。 2.下記の段階を含む方法によって製造される、請求項1記載の可溶性蛋白質: 不溶性の構造を持つ天然型蛋白質をコードするDNA配列を得る段階; 該DNA配列のコピーを作製する段階; 該天然型不溶性蛋白質をコードする複数のDNA配列から複数の異なるコドンを 除去して、除去されたコドンが相互に異なる複数の異なるDNA配列を提供する段 階; 該異なるDNA配列を発現させ複数の異なる蛋白質を得る段階; 該蛋白質の溶解性および生物活性を試験する段階;および 該天然型蛋白質よりも高い溶解性、および疾病に関連する性質に関して該天然 型蛋白質と実質的に同じ生物活性を持つ蛋白質を単離する段階であって、不溶性 の構造を持つ天然型蛋白質が、PrPSc蛋白質;βアミロイド蛋白質およびリュー イ小体からなる群より選択される段階。 3.蛋白質の天然型の不溶性型が、哺乳類において、アルツハイマー病、プリオ ン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、スクレイピーおよびウシ海綿状脳症、ALS、 ピック病、パーキンソン病、II型糖尿病、多発性骨髄腫--プラズマ細胞疾患、家 族性アミロイド多発神経障害、甲状腺の髄様癌、慢性腎不全、うっ血性心不全、 老人性心臓および全身アミロイド症、慢性炎症、アテローム性動脈硬化、家族性 アミロイド症からなる群より選択される疾病である中枢神経系の疾病を誘発する 、請求項1記載の蛋白質。 4.不溶性の構造を持つ天然型蛋白質をコードするDNA配列を決定する段階; 該DNA配列のコピーを作製する段階; 該天然型不溶性蛋白質をコードする複数のDNA配列に複数の異なるコドンを付 加 し、付加されたコドンが相互に異なる複数の異なるDNA配列を提供する段階; 該異なるDNA配列を発現させ複数の異なる蛋白質を得る段階; 該異なる蛋白質の溶解性および生物活性を試験する段階;および 天然型蛋白質よりも高い溶解性および疾病に関する性質に関して該天然型蛋白 質と実質的に同じ生物活性を持つ蛋白質を単離する段階を含む方法によって製造 される、請求項1記載の可溶性蛋白質であって、不溶性の構造を持つ天然型蛋白 質が、APP、Aβペプチド、α1アンチキモトリプシン、tan、非Aβ成分、PrPSc、 SODおよびニューロフィラメント、ピック小体、リューイ小体、アミリン、IgL鎖 、トランスチレチン、プロカルシトニン、β2ミクログロブリン、心房性ナトリ ウム利尿因子、血清アミロイドA、ApoA1、ゲルゾリンからなる群より選択される 可溶性蛋白質。 5.プロテアーゼによって消化され、かつ天然型PrPScの2倍以上の溶解性を持つ ことを特徴とする修飾PrPSc蛋白質。 6.天然型PrPScの5倍の溶解性を持ち、哺乳類において疾病を誘発することをさ らに特徴とし、さらに、天然型PrPScに存在し一般に約36アミノ酸残基を含むル ープ構造を持たないことを特徴とする、請求項5記載の修飾PrPSc蛋白質。 7.蛋白質がPrPSc106である、請求項5記載の修飾PrPSc蛋白質。 8.請求項1記載の可溶性蛋白質に選択的に結合する抗体。 9.試料を請求項8記載の抗体に接触させる段階;および 該抗体と該試料との間の結合量を測定し、疾病に関連する不溶性の天然型蛋白質 が該試料中に存在するかどうかを決定する段階を含む、疾病に関連する不溶性の 天然型蛋白質の存在について試料を試験する方法。 10.請求項1記載の可溶性蛋白質を溶解して溶液を作製する段階; 該溶液に薬物を接触させる段階;および 疾病に関連する該可溶性蛋白質の性質に対する該薬物の効果を決定する段階を含 む、薬物のスクリーニング方法。
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