JP2001506617A - ペアードヘリカルフィラメントの阻害剤を試験するための新規な方法およびアルツハイマー病治療のための使用 - Google Patents

ペアードヘリカルフィラメントの阻害剤を試験するための新規な方法およびアルツハイマー病治療のための使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、たとえばRNAもしくはポリアニオン性ポリペプチド、またはその誘導体のような、細胞内ポリアニオンの阻害剤の、アルツハイマー病の予防または治療のための使用に関する。さらに、本発明は、PHF形成を阻害する能力について阻害剤を試験する方法、およびこのような方法を実施するのに有用なキットに関する。

Description

【発明の詳細な説明】 ペアードヘリカルフィラメントの阻害剤を試験するための新規な方法およびアル ツハイマー病治療のための使用 本発明は、たとえばRNAもしくはポリアニオン性ポリペプチド、またはそ の誘導体のような、細胞内ポリアニオンの阻害剤の、アルツハイマー病予防また は治療のための使用に関する。さらに本発明は、PHF形成を阻害する能力につい て阻害剤を試験するための方法、およびこうした方法を実施するのに有用なキッ トに関する。 アルツハイマー病に冒された脳に特有な特徴は、2種類のタンパク質、アミ ロイドペプチドAβおよび微小管関連タンパク質タウ、の異常な沈着である。後 者は本来の結合相手である微小管に対する親和性を失い、その代わりに、自己集 合してペアードヘリカルフィラメント(PHF)を形成し、さらにはこれが凝集し て神経原繊維変化となる。上記フィラメントは、およそ75-80nmのリピート間隔 で、直径10-20nmの、2本の絡み合った繊維の外観を呈する(Wischnik,C.M. ら、(1985)J.Cell Biol.100,1905-1912)。PHFタウはいくつかの方法で修飾 されるが、もっとも顕著なのはリン酸化であり、こうした修飾が異常な凝集に関 係していると推測するのは興昧深いことである。他方、組換えタウは、イオン強 度が高い場合には、非修飾型であっても凝集可能である(Wille,H.ら、(1992)J .Cell Biol.118,573-584;Crowther,R.A.ら、(1994),FEBS Letters 337, 135-138)。こうした傾向は、3つの内部リピートを含んでなるタウ構築物に特 に顕著である(表1参照)。これは、リピートドメインがアルツハイマーPHFの プロテアーゼ抵抗性コアを構成するという観察結果とよく一致する(Wischik,C .M.ら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85,4506-4510)。一つの説明は 、リピートドメインが二量体を形成する能力を有し、その二量体が次にはPHFの 集合を促進するというものである。この過程は、第3のリピートに存在するCys 322の関与する分子間ジスルフィド結合によって、さらに増強されると考えられ る(Schweers,O.ら、(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,8463-8467;Wille ,H.(1992)J.Struct. Biol.108,49-61)。 他方、リピートに隣接するドメインである、追加のリピート(no.2)を有 するタウ構築物も、また完全なタウのアイソフォームのいずれもが、集合してPH Fとなることはほとんどなく、あたかもその追加のドメインが凝集の阻害剤とし て機能するかのようである(Schweers,O.(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,8463-846722)。このことは、アルツハイマーPHFがヒトCNSの6種のタウア イソフォーム全てを含有する(Jakcs,R.(1991)EMBO J.10,2725-2729)とい う事実とは対照的であり、ニューロンは完全な長さのタウに関する集合障壁を克 服する因子を含有することが示唆される。 タウの本来の結合相手であるチューブリンは、タウと結合し、重合して微小 管となるので、タウ同士の相互作用を妨げる。タウの結合するチューブリンのC 末端領域は(Littauer,U.Zら、(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83,7162- 7166)、著しく酸性であり、このことからタウは他のポリアニオン分子と反応し うることが示唆される。細胞質における他の主要なポリアニオンは、さまざまな RNA分子である。しかしながら、このようなRNA分子は、PHFを含有しない 正常細胞にも存在する。 タウタンパク質にPHFへの集合を引き起こす決定的な機構または分子が何で あるかについての、よりよい十分な説明を考えると、本発明の根底にある技術的 な課題は、アルツハイマー病の発生の根底にある細胞の機構を洞察することであ った。このような洞察は、たとえばアルツハイマー病の予防または治療のための 医薬組成物の開発に役立つことが立証されるであろう。 上記の技術的課題の解決は、請求の範囲において特徴を記述した実施形態を 提供することによって達成される。 したがって、本発明は、アルツハイマー病の予防または治療のための医薬組 成物を調製するための、細胞内ポリアニオンまたはその誘導体に対する阻害剤の 使用に関する。 本発明に関して使用される「誘導体」という用語は、細胞内ポリアニオンか ら誘導可能であるが、ポリカチオン性タウタンパク質またはその誘導体とともに 複合体を形成する能力を保持するあらゆる分子を意昧する。上記誘導体は、天然 において起こる分解の産物であってもよい。したがって、上記の細胞内ポリアニ オン(またはタウタンパク質)の断片は、誘導体という用語に特に包含される。 また、誘導体は、組換え核酸技術または化学修飾法の産物であってもよい。上記 ポリアニオンまたはその断片を含んでなる、組換え技術または化学的手段によっ て得られる融合産物も、やはり「誘導体」という用語の範囲に入る。 細胞内ポリアニオンが本来正常細胞に存在するという事実にも関わらず、お どろくべきことに、ここで、上記ポリアニオンまたはその誘導体が細胞内タウタ ンパク質と相互作用する能力を有すること、そしてそれによってPHF形成を引き 起こすことが明らかになった。 この点において、これらは、PHF集合への効果が最近報告された、ヘパリン 、またはへパラン硫酸のような細胞外マトリクスのポリアニオンに類似している (Goedert,M.ら、(1996)Nature 383,550-553;Perez,M.ら、(1996)J.Neuroche m.67,1183-1190)。細胞外マトリクスの成分がどのようにして細胞質ゾルタン パク質と相互作用するのかを推察することは、概念的には困難であるが、本発明 が成立したのであるから、細胞質アニオンの潜在的な役割は紛れもないと思われ 、ポリアニオン−タウ結合はアルツハイマー病をさらに研究するための魅力的な モデルとなる。 出願人はこの発明を説明するいかなる科学的理論にも拘束されないが、以下 のモデルは、得られたデータを説明するのに適していると考えられる:正式に言 うと、タウおよびチューブリンの集合は、相補的な表現で説明することができる :チューブリン(ポリアニオン)は、ポリカチオン(タウ)の助けによって自己 集合し、タウ(ポリカチオン)は、ポリアニオン(チューブリン)の助けによっ て自己集合する。完全な微小管はヘテロポリマーであるということができる:コ アフィラメント(ポリチューブリン)およびアウターコート(ポリタウ)。この ようなシステムにおいて、チューブリン分子間の相互作用がその構造の外観を決 定するのに対して、タウはヘルパー機能に限定されると思われる。しかしながら 、原理的には、逆の状況−ポリマー構造はタウによって決まり、チューブリン様 分子がヘルパー機能を有する−を想像することも可能である。こうした機能は、 RNAもしくは他の細胞内ポリアニオン、またはそれらの誘導体により補充する ことができる。実際、たとえば、細胞内でチューブリンとRNAの両者はタウの プールに対して競合し(Bryan,J.B.ら、(1975)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 7 2,3570-35743)、in vitroでも拮抗する(図5)。チューブリン−タウ相互作用 の構造上の要件についてはほとんど知られていないが、微小管の表面上の、タウ −タウ相互作用、またはタウのコンホメーションは、タウポリマーにおける、す なわちPHFにおけるそれに類似している。このことは、(アルツハイマー病にお いてみられるように)下にあるチューブリンコアがひとたび失われると、なぜタ ウが自己集合するのかを説明するのを助けると考えられる。こうした類似をもう 一段階拡大することができる:DEAEデキストランのような、他のポリカチオンに よつて、チューブリンの自己集合を引き起こすことが可能であり(Erickson,H .P.およびVoter,W.A.(1976)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 73,2813-2817) 、RNAまたはヘパリンのような他のポリアニオンによってタウの自己集合を引 き起こすことが可能である。DEAEデキストランによるチューブリンの集合は高分 子電解質の複合コアセルベーションにたとえることができ、その結果、アニオン 性タンパク質(チューブリン)の有効濃度がポリカチオンの表面上で増加し、そ れによって、核形成の障壁が克服されることがEricksonおよびVoter(Erickson ,H.P.およびVoter,W.A.(1976)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 73,2813-281 7)によって示されたので、チューブリンの場合は有益である。同じ様な状況が タウの集合にも当てはまる;このことはポリアニオンがPHFを誘導する有効性が さまざまに異なることと矛盾しない(実施例において、たとえば、tRNA,全 RNA、ヘパリンなどについて得られた結果を比較する)。 上記ポリアニオンまたはその誘導体を含んでなる医薬組成物の製剤化は当業 界の技術で十分可能である。上記組成物の投与の詳細についても、同じことが当 てはまる。患者の治療にあたる医師は、数あるパラメータのうちで、特に、年齢 、全身状態、および病態を考慮に入れるべきであろう。 本発明の使用に関する望ましい実施形態において、上記ポリアニオンはRN Aであり、またはRNAから誘導される。 本発明にしたがって、また「誘導体」という用語が上記の「ポリアニオン」 という用語と関連して定義されたように、「RNAから誘導された」という用語 は、天然に存在する細胞内RNAから得られ、または誘導することができる、あ らゆる分子、たとえぼ自然に生じる分解産物または非自然的に生じる分解産物、 を表す。本発明にしたがって、アルツハイマー病を予防または治療する阻害剤の 能力を調べるために、組換えによって得られたRNA、化学的に改変されたRN A、または異なる分子とのRNAの融合産物を利用することができるので、「R NAから誘導された」という用語は、このような形のRNAも含む。 本発明によれば、驚くべきことに、RNAは正常細胞に大量に存在するにも 拘わらず、タウタンパク質によるPHFまたはPHF様フィラメントの形成を促進する 能力を有することが明らかになった。上記においてポリアニオンについて一般的 に述べられているモデルは、特にRNAに当てはまるが、タウが特定のRNA構 造と特異的に相互作用する可能性もある。たとえば、タウmRNAは、リボソー ム、アダプタータンパク質およびモータータンパク質との複合体の状態で、軸索 の突出部分に輸送されて、タウタンパク質の非常に局所的な合成が生じ、このタ ウタンパク質は軸索を下ってゆっくりと輸送されることになっている(Sadot,E. ら、(1995)J.Cell Sci.108,2857-2864)。基部に近い軸索においてRNAと タウタンパク質の局所濃度が上昇することによって、局所的なPHFの集合が起こ ると考えられ、このようなPHFの集合は軸索輸送を妨げる。このことは、アルツ ハイマー病でみられる軸索の「逆行性死滅」と一致する(Braak,E.ら、(1994) Acta Neuropathol.87,554-567)。 本発明の使用における特に望ましい実施形態において、上記RNAは、核R NAまたは細胞質RNAである。 添付の実施例は、細胞質RNAが細胞質タウによるPHF生成を引き起こすの に適しており、このRNAに対する阻害剤を与えることが特に望ましいことを示 しているが、タウは細胞質ゾルにのみ存在するのではないことに留意すべきであ る:mRNA転写物およびタウアイソフォームは、核に、とりわけ核小体に存在 することが知られている(Thurston,V.C.ら、(1996)Chromosoma 105,20-30;W ang,Y.ら、(1993)J.Cell Biol.121,257-267)。核のタウの役割は明確でな いが、核に微小管は存在しないのでMAPとしては機能しない。核のタウはRN A(ほとんどrRNAおよびtRNA)の豊富な領域に局在している。本発明に し たがって得られた結果を前提とすれば、核のタウおよびRNAがアルツハイマー ニューロンにおいてPHFの異常な集合に寄与し、またはそれを引き起こしさえす るかもしれないと推測することができる。このモデルは、特定のタウ構築物が、 細胞のマイクロインジエクションまたはトランスフェクション後に核小体に移動 することができることを示す我々の結果とも合致する。このことは、より多くの 酸性のN-およびC-末端部を欠いた塩基性の強いタウ構築物で特に明白である。タ ウの蛋白質分解がPHF集合の最初の段階において役割を担うと考えられる(Novak ,M.ら、(1993)EMBO J.12,365-370)ので、末端切断型タウ分子が、細胞質ゾ ルから核小体に移動し、そこでRNAの影響下で凝集するというシナリオも考え られる。 本発明の使用における別の特に望ましい実施形態において、上記RNAは、 リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、またはメ ッセンジャーRNA(mRNA)である。 本発明を利用する別の望ましい態様において、上記ポリアニオンは、細胞内 に存在するポリアニオン性タンパク質、その誘導体、または細胞内に存在するポ リアニオン性ペプチドもしくはその誘導体である。ここで用いられる「誘導体」 という用語は、タンパク質との関連において、ポリアニオンとの関連において上 記で定義したのと同じ意味を有する。したがって、上記用語はより詳細には、自 然に存在する、もしくは非自然的に生じる上記タンパク質またはペプチドの断片 、化学的もしくは酵素的に修飾された(たとえばリン酸化)、または組換えによ つて作製されたタンパク質またはペプチド、ならびに上記タンパク質もしくはペ プチド、またはそれらの誘導体を含んでなる融合タンパク質、を指す。また、上 記誘導体は、タウタンパク質またはその誘導体と複合体を形成する能力を保持し なければならない。ポリアニオン性ペプチドは、自然に存在するペプチドであっ てもよい。またはそれは、誘導体、より詳細にはポリアニオン性、ボリカチオン 性、または中性のタンパク質断片であるペプチドであってもよい。 望ましい実施形態において、上記のポリアニオン性ポリヌクレオチド、ペプ チドまたはそれらの誘導体はポリグルタミン酸である。別の望ましい実施形態に おいて、上記のポリアニオン性ポリペプチド、ペプチドまたはそれらの誘導体は チューブリンから誘導される。それはたとえばα−またはβ−チューブリンの部 分配列、そのアイソフォーム、または翻訳後修飾を含んでなる。このような修飾 の一例は、たとえば、ポリグルタミル化である。 特に望ましい実施形態において、上記のポリアニオン性ペプチドはチューブ リンのC-末端領域を含んでなる。チューブリンのC-末端領域はさまざまなグルタ ミン酸残基を含有することが知られており、強いポリアニオン性を示す。上記で 概説したように、このC-末端領域は、正常な生理的条件下において細胞内でタウ と結合するチューブリンの一部分でもある。したがって、このC-末端領域からな る、またはこれを含んでなる、チューブリンの分解産物が、アルツハイマー病の 誘発において役割を担うことが、本発明によって予想される。当然、チューブリ ンのC-末端領域を含んでなるペプチドは、上記で定義された誘導体の特徴を有す る、チューブリンの誘導体である。 上記ペプチドを、アルツハイマーPHFを生成させるための、潜在的な核形成 の起源として使用することができる。上記のPHF形成は、細胞内で、またはin vi troアッセイで、アッセイすることができる。上記のβ−チューブリン誘導ペプ チドは、たとえば、下記のアミノ酸配列を有していてもよい: (a) EEEEGEDEA, (b)GEFEEEEGEDEA,または ここで、ペプチド(c)は、1つのグルタミン酸残基がn=0,1,2,3,4,5,6,7 または8以上のグルタミン酸残基でポリグルタミル化されている。 ポリアニオン性タンパク質、ペプチド、またはその誘導体は細胞質ゾルまた は核小体に見出すことができる。 本発明のさらなる望ましい実施形態は、上記で述べたような使用に関するも ので、ここにおいて、上記の阻害剤は、ポリカチオンまたはリボザイムである。 また、本発明は (a)組換えによって作製されたタウタンパク質またはその誘導体;および (b)ポリアニオン を含んでなるキットに関する。 タウタンパク質の「誘導体」という用語は、この明細書を通じて、タウタン パク質とは別個であるがその構造的および/または生物学的特徴の全部または一 部を有する、組換えによって作製されるあらゆるタンパク質を意味することが意 図されている。このような誘導体の例は、タウタンパク質のN-またはC-末端部を 欠いたタンパク質である(たとえば、表1参照)。「誘導体」は、また、化学的 または酵素的に修飾された(たとえばリン酸化された)タウタンパク質、または タウの全部または一部を含んでなる融合タンパク質を意味するものである。明細 書を通じて使用される「タウタンパク質」は、タウタンパク質の、好ましくはヒ トのタウタンパク質の、あらゆるアイソフォームをも意味することが意図される 。 本発明のキットは、PHF形成に対する阻害剤を試験するために有用である。 後に、本発明の方法に関連してより詳細に諭ずるが、本発明のキットの化合物は 、適当な条件下で、阻害剤と予想されるものと混合することができる。その阻害 剤と予想されるものは、PHF形成の阻害によって、医薬組成物をさらに開発する ための候補として同定される。 本発明のキットに含まれるポリアニオンは、RNAであるか、またはポリア ニオン性タンパク質、ペプチド、もしくはその誘導体であることが望ましい。上 記のポリアニオンがRNAである場合、tRNAまたはrRNAがもっとも望ま しい。 さらに、本発明は (a)テストバイアル内でタウタンパク質またはその誘導体をポリアニオンおよび 阻害剤と予想されるものと混合する工程;および (b)阻害剤と予想されるものの存在によって、PHF形成が減少するか、または阻害 されるかどうかを試験する工程、 を含んでなる、ペアードヘリカルフィラメント(PHF)形成、またはPHF様形成の 阻害剤をin vitroで試験するための方法に関する。 本発明の方法を用いて、ヒトに投与したときに、PHF形成またはPHF様形成 に直接または間接に影響を与えることが予想される、ポリアニオンに対する阻害 剤を同定することが可能になった。当業者は、本発明の方法を実施するために適 当なテストバイアルを選択することができる。試験のためにバイアルに含まれる 化合物は、すべて、一度に添加してもよいし、順次添加してもよい。したがって 、タウタンパク質またはその誘導体をまず細胞内に存在するポリアニオンととも にインキュベートし、一定のプレインキュベーション時間の後、阻害剤と予想さ れるものを添加することが考えられる。このようにして、PHF形成またはPHF様形 成の防止を検出することができるばかりでなく、PHF形成またはPHF様形成の完全 な、または部分的な逆反応を調べることができる。また、本発明の方法を用いて 、上記のようなポリアニオンによるPHFまたはPHF様フィラメント形成を誘発、ま たは開始した後、上記形成を防止する、または逆行させるあらゆる阻害剤を決定 することができる。 より望ましい実施形態において、上記方法における上記のポリアニオンは、 RNAもしくはポリグルタミン酸、またはチューブリンから誘導されたペプチド である。上記ポリアニオンがRNAである場合には、tRNAまたはrRNAが もっとも望ましい。上記ポリアニオンがチューブリンから誘導されたペプチドで ある場合には、チューブリンまたはその誘導体のC-末端領域を含んでなることが もっとも望ましい。 本発明によって示されたように、ポリグルタミン酸を用いてin vitroでPHF 形成を引き起こすことが可能である。本発明において使用されるポリグルタミン 酸は、明細書および製造者に応じて、長さの異なるポリグルタミン酸分子の混合 物であってよい。 ポリグルタミンは、さまざまな長さのポリグルタミンの混合物であってよい 。特に望ましい実施形態において、上記のポリグルタミン酸は8から12のグルタ ミン酸残基を含んでなる。このようなポリグルタミン酸の例は、Sigmaから発売 されているポリグルタミン酸1000であるが、これは長さの平均が8アミノ酸であ る。ボリグルタミン酸残基の市販の混合物は安価で、PHF形成の日常的な分析に 有用であり、したがって、PHF形成の阻害剤の同定に特に適している。 また、当業者は、阻害剤の有効性を評価するための適当な読み出しシステム を選択し、または考案することができる。たとえば、分光光度計で検出および評 価される光散乱を用いて、PHFまたはPHF様形成を視覚化することができる。こう した評価の例は、添付の実施例において提示される。 本発明はさらに、 (a)細胞内でタウタンパク質またはその誘導体を過剰に発現させるか、またはタ ウタンパク質またはその誘導体を細胞内に導入する工程;および (b)PHFまたはPHF様フィラメント形成の阻害または低下について、阻害剤と予想 されるものを試験する工程 を含んでなる、アルツハイマー病の始まりを試験するための方法に関する。 本発明の方法に使用される細胞は、たとえば、ニューロン細胞、神経芽腫細 胞、または海馬から得られた細胞であってもよい。細胞内にタンパク質を過剰発 現する方法および細胞内にタンパク質を導入する方法は当技術分野で公知である 。さらに、阻害を調べるために適当な読み出しシステムを考案することも、当業 者の技術の範囲内である。また、本発明の方法は、明細書に記載したそのすべて の実施形態において、阻害剤が上記細胞において発現もしくは過剰発現すること 、または上記細胞内に導入されることを想定する。 本発明の方法は、さらに (a')PHF形成またはPHF様フィラメント形成を起こしやすい、または起こすことが できるポリアニオンを細胞内に導入か、または上記ポリアニオンを上記細胞内で 過剰発現させる工程、 を含んでなることが望ましい。 上記のようなポリアニオンは従来の方法、たとえばマイクロインジェクショ ンまたはエレクトロポレーション、によって、上記の細胞内に導入することがで きる。ポリアニオンは、阻害剤と予想されるものの前後または同時に細胞内に導 入することができる。本発明のこの実施形態は、特に、ポリアニオンを導入する ことによって阻害剤の試験が促進されるという利点を有する。さらに、そのよう にして、ひとたび阻害剤を同定すると、たとえば滴定実験によって、アルツハイ マー病の始まりに関する詳細な研究を行なうことができる。 さらに、本発明は、 (a)タウタンパク質もしくはその誘導体を細胞内に導入するか、またはタウタン パク質もしくはその誘導体を細胞内で過剰発現させる工程; (b)ポリアニオンを上記細胞内に導入するか、または細胞内でポリアニオンを過 剰に発現させる工程;および (c)PHFまたはPHF様形成の誘発を試験する工程; を含んでなる方法に関する。 本発明の方法のこの実施形態は、アルツハイマー病の始まりについての研究 に特に適している。さらに、種々の細胞内ポリアニオンまたはそれらの誘導体の 、アルツハイマー病の始まりにおける役割について研究することができる。この 役割は直接的なものであってもよいし、間接的なものであってもよい。 本発明の方法で使用されるポリアニオンはRNA、ポリアニオン性のタンパ ク質もしくはペプチド、またはその誘導体が望ましい。上記のRNAは核RNA または細胞質RNA、特にrRNA、tRNAまたはmRNA、がもっとも望ま しいが、一方、上記のポリアニオン性ペプチドは、ポリグルタミン酸、またはチ ューブリンから誘導されたアニオン性ペプチドがもっとも望ましく、またはチュ ーブリンもしくはその誘導体のC-末端領域を含んでなることがもっとも望ましい 。 本発明の方法において、PHFの形成は、たとえばチオフラビンを用いた、蛍 光染色によって検出することが望ましい。もちろん、チオフラビンを用いた蛍光 染色は、当業者にPHF形成の阻害に関する情報を提供する。 発明の方法に関する上記の実施形態は、in vitro法であってもよいし、in v ivo法であってもよい。 最後に、本発明は、ヒトにおいてアルツハイマー病を予防し、または治療す る方法であって、その必要性のある患者に、上記のようなPHF形成阻害剤を含ん でなる医薬組成物を投与することを含んでなる前記方法に関する。投与の条件お よび経路は上記にも明記されており、あるいは、このような症例を扱う医師がこ れを導くことができる。 本発明の方法に従って同定された治療上有用な化合物を、特定の化合物に対 して適したあらゆる方法によって、たとえば、経口で、静脈内に、非経口的に、 経皮的に、経粘膜的に、または化合物の効果を必要とする部位もしくはその近傍 に手術もしくは移植することによって(たとえば、その化合物が固体または半固 体の、生物学的に許容され、再吸収されるマトリクスの形である場合)、患者に 投与することができる。治療上の投与量は当業者によって適当な値に決定される 。投与されるべき用量は1日当り、体重kgあたり1ngから10mgまでの範囲が望ま しい。 上記の、および他の実施形態は、本発明の明細書および実施例によって開示 され、包含される。たとえば、本発明にしたがって用いられる方法、使用、およ び化合物に関するさらなる文献は、いずれも、公立図書館から、たとえば電子機 器の装置を用いて検索することができる。たとえば、http://www.ncbi.nlm.nih. gov/PubMed/Medline.htmlのもとで、インターネット上で利用可能な公のデータ ベース「Medline」を利用することができる。さらに、http://www.ncbi.nlm.nih .gov/、http://www.infobiogcn.fr/、http://www.fmi.ch/biology/rescarch_too ls.html、http://www.tigr.org/といったデータベースおよびアドレスが当業者 に知られており、また、たとえば、http://www.lycos.com.を利用して入手する こともできる。バイオテクノロジー分野の特許情報の概観、およびに過去にさか のぼっての検索や現在の知見に有用な特許情報を検索できる情報源の調査は、Be rks,TIBTECH 12(1994),352-364において与えられる。 本発明の使用および方法を、アルツハイマー病に関連した、またはアルツハ イマー病に依存する、これまでに知られていないあらゆる種類の病気の治療に利 用することができる。動物の治療も本明細書に記載の方法および使用に包含され るが、上記の方法および使用を、ヒトに使用することが望ましい。 図面および表の説明: 図1:3リピート構築物K19から集合したPHF。(a)0.2M TrisHCl,0.2M酢酸ナトリ ウム;2mM K19,7週間、(b)全RNA(0.5mg/ml)、200μM K19,14時間、(c )tRNA(0.5mg/ml)、200μM K19、14時間。 図2:0.5mg/ml tRNAの存在下で、3リピートおよび伸長部分を含有する構築 物から集合したPHF。(a)40μM K10(3リピート+C-末端部)、(b)40μM K44 (3リピートおよびN-末端ドメイン)、(c)40μM htau39(2番目に大きいタウ のアイソフォーム)。 図3:4リピートタウ構築物またはアイソフォームから集合したPHF。(a)0.5mg/m l tRNAおよび(b)10μMヘパリンと共存するK11(400μM)、または(c)0.5mg/ ml tRNAおよび(d)10μMヘパリンと共存するK11変異体Cys291Ala(400μM)。 (e)0.5mg/ml tRNAと共存する40μMhtau40(もっとも長いタウアイソフォー ム)または(f)10μMヘパリンと共存する40μMhtau40。完全な長さのタウはリピ ートドメインよりも非常に集合しにくく、フィラメントはより多くの多形性を示 すことに留意すべきである。 図4:tRNAの影響下での、2種類のリピートを有するタウ構築物の集合実験 。(a)K29 6001μM(リピート1および2)、(b)K6 200μM(リピート3および4) 、(c)K5 400μM(リピート1および3)。リピートの除去によって、タウがPHFを 形成する傾向が減少する。 図5:0.2mg/ml全RNA有り、または無しの条件下で、htau40(2μM)の存在下 での微小管(10μM)の集合。タウタンパク質に対してチューブリンと拮抗する 、RNAによる微小管集合の阻害に留意すべきである。 図6:RNAまたは他のアニオンの、タウタンパク質からのPHFの集合に対する影 響のモデル。PHFを形成するために、タウ分子をまずリピートドメインを用いて 二量体化する(Wille,H.ら、(1992)J.Cell Biol.118,573-584)。片側でリ ピートに隣接するタウの領域(特に酸性のN-末端およびC-末端部)は、リピート の上に正常に折り畳まれ、それによって二量体化とそれに続くPHF集合を妨げる 。ボリアニオンは折り畳み構造に反して作用し、二量体化してPHF集合に至るま でリピートを開かせる。 表1:この実験に用いたタウアイソフォームおよび構築物の一覧図、およびそれ らが0.5mg/ml tRNAを含有する標準バッファー中でPHF様フィラメントを形成 する性質。 実施例により本発明を説明する。 実施例1 細胞内ポリアニオンRNAによる、タウタンパク質からのPHF集合の 刺激。 タウタンパク質の構築物(表1参照)を、文献に記載のように(Biernat,J .ら、(1992)EMBO J.11,1593-1597)設計し、大腸菌(E.coli)において発現 させた。アミノ酸の番号は441残基を含有するアイソフォームhtau40の番号であ る(Goedert,M.ら、(1989)EMBO J.8,393-399)。タンパク質を発現させ、他に 記載されたように、熱安定性およびFPLC Mono S(Pharmacia)クロマトグラフィー を利用して精製した(Gustkc,N.ら、(1994)Biochemistry 33,9511-9522)。 タンパク質の純度はSDS-PAGEによって分析した。 タウのPHFへの集合に対するさまざまなポリアニオンの影響を評価するため に、まず、本質的にリピートからなる構築物を選択した。これらの構築物および 他の構築物がPHF様フィラメントとなる集合を、以下のように測定した: 15から500μlの容量で、さまざまな濃度のタウアイソフォームまたはタウ構築 物(典型的には40-400μMの範囲)を、37℃で、さまざまな陰イオンコフアクタ ーを含有する100mM TrisHCl,pH6.8において、インキュベートした:酵母由来の (Boehringer)もしくはウシ肝臓由来の(Sigma)全RNA、ウシ肝臓由来のt RNA(Sigma)、ウシ肝臓由来のrRNA(Sigma)、またはヘパリン(Sigma )を、0.05から0.5mg/mlまで変化させた。インキュベーション時間は、2時間か ら数日まで変化させた。ポリアニオン無しでの集合反応は、Schweers,O.ら(199 5)Proc.Natl.Acad.Sci.USA92,8463-8467に記載のように実施した。電子顕 微鏡を用いて集合をモニターしたが、そのためにタンパク質溶液を600メッシュ の炭素被覆銅グリッド上に載せ、2%酢酸ウラニルを用いてネガティブ染色した 。この試料を、100kVでPhilips CM12電子顕微鏡を用いて調べた。 構築物K12(=3リピート+C-末端伸長、表1)は二量体および高度の凝集体 を形成しやすいので、非常にPHFを形成しやすいことが既に明らかにされておリ (Wille,H.ら、(1992)J.Cell Biol.118,573-584)、さらに、これは、シス テインを1つだけ含有するが(Cys 322)、これは分子間ジスルフィド結合の形 成に有利である(Schweers,O.ら、(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,846 3-8467)。構築物K19(=3リピートのみ)は、さらによく集合する(図1)。バ ッファー濃度を上げることによって(たとえば、0.4M Tris HCl pH6.8,0.4M酢 酸ナトリウムまで)、集合を促進することができる;バッファーをゆっくりと蒸 発さ せ、これによりタンパク質および塩濃度を上昇させることによって、効果は特に 明らかになった。フィラメントは典型的なPHF様の外観を示し、10から20nmまで の様々な幅、および約75nmの交差型リピートを有する。 数種類のRNA(酵母またはウシ肝臓由来の全RNA、rRNA、tRNA 、またはポリ(A))によって、K19の集合が顕著に促進され、集合に要する時間は 日単位から時間単位に減少し、さらに、典型的なPHF様の構造を形成することが できた(図1)。その効果は、ヘパリンのような細胞外マトリクスのポリアニオ ンについて報告されているものと類似している(図1;Pcrez,M.ら、(1996)J.N eurochem.67,1183-1190,Goedert,M.ら、(1996)Nature 383,550-553)。 次に取り組む問題は、どのタウアイソフォームまたは構築物がRNAの影響 下で集合するかということであった。すでに指摘されているように、少なくとも 高イオン強度および高タンパク質濃度によって集合を盛んにするような条件では 、複数のリピートまたは第2のリピートの外側にドメインを有する構築物からPH Fを得ることは困難である(Crowther,R.A.ら、(1994)FEBS Lett.337,135-13 8;Wille,H.ら、(1992)J.Cell Biol.118,573-584)。これは、タウのいくつ かのリピートのないドメインが、PHF形成を妨げることを示唆する。ここでも同 じような傾向がみられるが、この阻害はほとんどの場合RNAによって容易に克 服することができることが明らかになっている。図2は、完全なC-末端部が3-リ ピートドメインに付加された構築物K10から作製されたPHFの例を示す。この構築 物は、高い塩濃度(0.4M TrisHCl,pH6.8,0.4M酢酸ナトリウム)において、高 いタンパク質濃度(約1mM)のもとで数日間以上にわたってインキュベートした ときに、ゆっくりとPHFを生じる。これに対して、tRNA(0.5mg/ml)を用い ると数時間以内に迅速にフィラメントが得られる(図2a)。次の段階は、3リピ ートプラスN-末端ドメイン(構築物K44)を取り上げることとした:これもtR NAの存在下では容易にフィラメントを形成する(図2b)。最後に、完全な長さ の3リピートアイソフォームhtau39を試験した。高い塩濃度のもとで、このアイ ソフォームはほとんどPHFを形成することができないが、tRNAを用いると、 タンパク質濃度が低くても数時間でPHFが得られる(図2c)。しかしながら、hta u39の凝集は3−リピート構築物単独(K19)の場合ほど速くなく、効率がよいわ け ではないことに留意すべきである。本発明者らの初期の研究において、4-リピー トアイソフォームは、その2つのシステインが、「コンパクトな」単量体を安定 化して二量体化を妨げる分子内ジスルフィド結合を形成することができるので、 PHF集合において効率的でないことが見出された。二量体がPHFの塊を作っている ので、余分のリピート(no.2)はPHF阻害剤として有効に作用した(Schweers,O .ら、(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,8463-8467)。しかしながら、こ の阻害はtRNAによってうち消すことができる。4-リピートドメインK11はフ ィラメントを形成するが、その一部は確実なねじれた外観を有する一方で、まっ すぐなものもある(図3a)。第2のリピート中にあるCys291が変異してAlaに代 わると(第3のリピート中にある1つのCys322だけが残る)、PHFの集合は非常に 効率がよくなる(図3c,d)。これらのフィラメントの幾つかは、直径40-100nm 、ピッチ150-200nmのスーパーコイルを示す。N-およびC-末端方向に伸長したK11 は、最大のタウアイソフォームhtau40と同等である。この場合、tRNAを用い ても、真正なPHFを得ることは困難である。その代わりに、細くてまっすぐなフ ィラメント、ねじれたフィラメント、および〜20nm間隔で突起部を有する「とげ 状の」フィラメントを含有する、多様な形をもつフィラメントの混合物が認めら れる(図3e,f)。 リピートがPHF集合にとって重要であると考えられるので、次に、リピート の除去がプロセスにどのように影響を与えるかを調べた。アイソフォームhtau40 から誘導された、リピートの数が3.2.1または0に減少した数個の構築物を作製 した。リピートの減少によって、tRNAの存在下でもPHF集合が減少する。2 つのリピートを有する構築物の効率は低かったが、1つのリピートのみを有する 構築物(K13,K14,K15)またはリピートをもたない構築物(K23)は、PHF様フ ィラメントを全く形成しなかった(図4a-c,表1)。 RNAによって誘発されるPHFの集合は、3-リピート構築物K19についてもっ ともよく機能するが、これに対して複数のリピートまたは第2のリピートの外側 にドメインを加えることは、タンパク質濃度をもっと高くしたリインキュベーシ ョン時間を長くすることによってうち消されるべき阻害効果を有することが、異 なるタウドメインの比較によって示される。以前に提案された二量体化モデル の延長である図6のモデルにより、データを要約することができる。リピート1. 3.および4からなるドメインは、分子間ジスルフィド結合を導入することができ る、第3のリピートに1つ存在するCys322のおかげで、もっとも容易に二量体化 する。得られる逆平行の二量体は、他と相互作用してPHFを形成する傾向が強く 、その過程を、DTTのような試薬を減らすことによって阻害することができる( 実施例2も参照)。余分のCys291が分子内ジスルフィド結合を形成することがで き、分子をコンパクトにして(未変性ゲル上での泳動から判定されるように)、 二量体化することができないため、第2のリピートは阻害的である。実際、ジス ルフィド結合が分子内であるか、分子間であるかは、タンパク質濃度、分子の衝 突頻度、酸化速度および他のパラメーターによって決まると考えられる。これに よって、4リピートのドメインでさえ、高濃度では、容易ではないが二量体を形 成することができる理由が説明される。 N-およびC-末端部の阻害効果は、そのコンホメーションによって説明するこ とができる。両末端部は酸性であり、したがってリピートドメインの上に戻るよ うに折り重なると考えられる。こうした相互作用は、ポリペプチド鎖のフレキシ ブルな性質と矛盾せず(Schweers,O.ら、(1994)J.Biol.Chem.269,24290-24 297)、特定の抗体の反応性とも(Lichtenberg-Kraag,B.ら、(1992)Proc.Natl .Acad.Sci.USA 89,5384-5388)、さらに電子顕微鏡または蛍光によるエネル ギー転移実験とも矛盾しない(Schwcers,O.ら、(1995)Proc.Natl.Acad.Sci .USA 92,8463-8467,Wille,H.ら、(1992)J.Cell Biol.118.573-584)。モ デルでは、折りたたまれた末端部は、リピートドメインをともかく保護して、リ ピートドメインを二量体化およびPHF集合に利用できないようにする、と思われ る。しかしながら、折りたたみ状態をRNAのようなポリアニオンによって「こ じ開ける」ことができる。このようなことが起こった場合、二量体化が再び可能 となり、ひとたび二量体が分子間ジスルフィド結合によって安定化されると、そ れは安定にPHFに組み込まれる。より大きなタウ構築物はポリアニオンが存在し ない場合集合しにくく、その集合が、ジスルフィドの役割に対向するDTTによっ て妨げられる理由は、このようにして説明される。こうしたモデルにおいて、タ ウの「開いた」コンホメーションは他のタウ分子と相互作用することができる。 さらに、同 様のコンホメーションは、別のポリアニオン、特に微小管、と相互作用するコン ホメーションでもあると考えられる。このように、開いたコンホメーションは、 生理学的に活性のあるコンホメーションであるとみなすことができ、一方、折リ たたみコンホメーションは不活性な貯蔵型を表わすと思われる。 実施例2 PHF集合の構造および速度論 おそらく、種々のタウ構築物からのPHF集合のもっとも顕著な特徴は、結果 として得られる構造における類似性である。大多数の繊維は幅10-20nmで、およ そ75nmの交差型リピートを有する、2本のストランドが互いにより合わさった( ねじれた)外観を示す(しかしながら、約120nm(100-130)の交差周期を有するフ ィラメント群も存在した)。構築物のタイプおよび組成、または集合を促進する 試薬は、副次的な見積もりにおいて重要であるにすぎないと思われる。もっとも 単純な説明は、PHFが共通の原則の下に作られるということである。PHFを形成す るもっとも小さな構築物は構築物K19(3リピート)であり、したがって、PHF集 合は少なくとも1つの(おそらくは数個の)リピートのあいだの相互作用に基づ いているようである。PHF調製物では、ねじれた繊維が支配的であるが、直線で あると思われる部分も通常存在する。ただし、これはねじれた繊維と同程度に太 い(20nm)。よく似た直線状のフィラメントが、別の条件でのタウの集合で認め られ(たとえば、de Ancos,J.G.ら、(1993)J.Biol.Chem.268,7976-7982, Lichtenberg-Kraag,B.およびMandelkow,E.M.(1990)J.Struct.Biol.105, 46-53,Wilson,D.M.およびBinder,L.I.(1995)J.Biol.Chem.270,24306- 3-24314)、アルツハイマーPHFにおいても認められた(Crowther,R.A.(1991) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,2288-2292)。フィラメントの直線状またはね じれ状の部分へのタウドメインの明白な影響は認められなかった。この点に関し て、ここで与えられた結果は、以前ヘパリンについて報告された結果とは多少異 なる。Goedertら(Goedcrt,M.ら、(1996)Nature 383,550-553)は、4-リピー トアイソフオームについては直線状のフィラメントのみを認めたが、本発明者ら は直線のフィラメントおよびねじれたフィラメントを認めた(図3d、矢印)。Pe rezら((1996)J.Neurochem.67,1183-1190)は、3-および4-リピートタウ構築 物の両方につ いて、ほとんどねじれていないフィラメントを報告した。直線状のフィラメント は徐々にねじれた形に変わり、またその逆もあるので、二つの外観は密接に関連 していると思われる(Crowther,R.A.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88 ,2288-2292)。 前に示したように(実施例1参照)、タウ単量体が最初に二量体を形成する ことができて、Cys322の関与する分子間ジスルフィド結合によって安定化される ならば、PHF集合の速度は増強される。したがって、RNAによって誘起されるP HFの集合への、ジスルフィド結合形成の影響を調べた。実際、還元剤(たとえば DTT)によってジスルフィド結合を妨げると、繊維の形成は非常に減少した。Cys を変異させてAlaとすることによっても同様の効果が得られた。これらの結果は ジスルフィド−架橋タウ二量体に基づいて以前提案された集合モデルと一致する (Schweers,O.ら、(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,8463-8467)。一方 、このモデルは、1つのシステインを有する構築物のみが二量体(さらにはPHF )を形成するが、2つのシステイン(リピート2および3中のCys291および322 )を有する他の構築物は分子内ジスルフィド結合を形成し、PHF集合に寄与しな いタウの「コンパクトな」形成に至ることも前提として仮定した。本発明のデー タは、4-リピートタウ(2つのシステインを有する)でさえも、RNAの存在下 では、効率は低いが集合してPHFとなることができることを示す(図3)。もっと も単純な説明は、RNAによって、分子内結合に至るコンパクトなコンホメーシ ョンが、少なくとも一部の分子については妨げられ、その結果、分子間の二量体 化が可能になるということである。このような解釈と一致して、変異体Cys291-A laは、孤立したCys322が分子間スルフィド結合を導入することしかできないため 、大量のPHF集合を示す(図3c,d)。 実施例3 微小管集合アッセイ タウの「スカベンジャー」としてのRNAの役割は、微小管集合アッセイに よって、もっとも直接的に実証することができる。図5の実験において(上の曲 線)、微小管の集合は、Kontron UVIKON 810分光光度計を用いて350nmでの吸光 によって、光散乱でモニターした。10μMチューブリン二量体(Mandelkow,E. M.ら、(1985)J.Mol.Biol.185,311-327に記載のように精製した)を、10mmキ ュベット内で、0.2mg/mlRNAの添加あり、またはなしの条件で、80mM PIPES、 1mM EGTA、1mM MgCl2、1mM DTT、1mM GTP、pH6.8中でインキュベートした。重合 は37℃で最終濃度2μMとなる少量のタウの添加によって開始した。チューブリ ンの濃度(10μM)は、自己集合を起こさないように選択されたが、核形成およ び安定化のためにタウを必要とした。しかしながら、さらにRNAを添加すると 、タウは競合して除外され、微小管の集合は阻害された(下の曲線)。 実施例4 チオフラビン蛍光によるPHF集合または阻害のモニタリング チオフラビンは、アルツハイマー神経原繊維変化を検出するために脳切片を 染色するために一般に用いられる蛍光色素である。チオフラビンは、アルツハイ マー脳組織において、神経原繊維変化を構成している原繊維である、ペアードヘ リカルフィラメント(PHF)と結合すると、その蛍光が変化する(たとえば、LeV ine,H.(1993)Protein Science 2,404-410参照)。in vitroで、タウまたはタ ウ誘導体のPHFへの集合をモニターするために、チオフラビンの蛍光を迅速法と して利用することができることが最近明らかになった(Friedhoffら、準備中の 原稿)。この方法は、種々のタウ構築物の集合能力、さまざまなポリアニオン性 物質(たとえば、RNA、ポリグルタミン酸、またはチューブリンペプチド)が PHF集合を促進する能力、および潜在的な薬物のPHF集合阻害効果、を測定する際 に有用である。タンパク質は、実施例3と同様に調製し、これをチオフラビンの 存在下で標準的な蛍光光度計のキュベット内に入れることができる。さらに、励 起波長440nmを使用し、発光波長480-500nmで蛍光を観察して、PHF集合をモニタ ーする。同じ原理を、PHF集合の阻害剤の大規模スクリーニングに有用な96ウェ ルプレートおよび蛍光検出に適用することができる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成11年2月22日(1999.2.22) 【補正内容】 請求の範囲 1.アルツハイマー病の予防および/または治療のための医薬組成物を調製する ための、細胞内ポリアニオンまたはその誘導体に対する阻害剤の使用。 2.前記ポリアニオンがRNA、またはRNAから誘導されるものである、請求 項1に記載の使用。 3.前記RNAが核RNAまたは細胞質RNAである、請求項2に記載の使用。 4.前記RNAがリボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)、ま たはメッセンジャーRNA(mRNA)である、請求項2または3に記載の使用 。 5.前記ポリアニオンが細胞内に存在するポリアニオン性ポリペプチドもしくは ペプチド、またはその誘導体である、請求項1に記載の使用。 6.前記ポリアニオンがポリグルタミン酸である、請求項1に記載の使用。 7.前記ペプチドがチューブリンから誘導されたアニオン性ペプチドである、請 求項5に記載の使用。 8.前記ペプチドがチューブリンのC-末端領域を含んでなる、請求項7に記載の 使用。 9.前記阻害剤がポリカチオンまたはリボザイムである、請求項1〜4のいずれ か1項に記載の使用。 10.(a)組換えによって作製されたタウタンパク質またはその誘導体;および (b)ポリアニオン を含んでなるキット。 11.前記ポリアニオンがRNA、またはポリアニオン性タンパク質、ペプチドも しくはその誘導体である、請求項10に記載のキット。 12.前記RNAが、tRNAまたはrRNAである、請求項11に記載のキット。 13.(a)テストバイアル内でタウタンパク質またはその誘導体をポリアニオンお よび阻害剤と予想されるものと混合する工程;および (b)阻害剤と予想されるものがPHF形成を減らすか、または阻害するかどうかを試 験する工程 を含んでなる、ペアードヘリカルフィラメント(PHF)形成またはPHF様形成の阻 害剤をin vitroで試験する方法。 14.前記ポリアニオンが、請求項2〜4のいずれか1項で定義されたRNA、ポ リグルタミン酸、または請求項7もしくは8で定義されたチューブリンから誘導 されたペプチドである、請求項13に記載の方法。 15.(a)タウタンパク質もしくはその誘導体を細胞内で過剰に発現させるか、ま たはタウタンパク質もしくはその誘導体を細胞内に導入する工程;および (b)PHF形成またはPHF様フィラメント形成の阻害剤と予想されるものを試験する 工程、 を含んでなる、PHF形成またはPHF様フィラメント形成の阻害または減少について 試験する方法。 16.(a')PHF形成またはPHF様フィラメント形成を起こしやすい、または起こすこ とができるポリアニオンを前記細胞内に導入するか、または前記細胞内で前記ポ リアニオンを過剰に発現させる工程、 をさらに含んでなる、請求項15に記載の方法。 17.(a)タウタンパク質もしくはその誘導体を細胞内に導入するか、またはタウ タンパク質もしくはその誘導体を細胞内で過剰に発現させる工程; (b)ポリアニオンを前記細胞内に導入するか、またはポリアニオンを細胞内で過 剰に発現させる工程:および (c)PHF形成またはPHF様フィラメント形成の誘発を試験する工程、 を含んでなる方法。 18.前記ポリアニオンがRNA、ポリアニオン性タンパク質もしくはペプチド、 またはその誘導体である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。 19.前記RNAが核RNAまたは細胞質RNAであり、前記ペプチドがポリグル タミン酸、チューブリンから誘導されるもの、またはチューブリンもしくはその 誘導体のC-末端領域を含んでなるものである、請求項18に記載の方法。 20.前記RNAがrRNA,tRNAまたはmRNAである、請求項18または19 に記載の方法。 21.PHFの形成がチオフラビンを用いた蛍光染色によって検出される、請求項13 〜20のいずれか1項に記載の方法。 22.ヒトにおいて、アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、その 必要性のある患者に、請求項1〜21のいずれか1項において定義されたPHF形成に 対する阻害剤を含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる前記方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GM,GW,HU,ID,IL ,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC, LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,M K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO ,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ, TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,Y U,ZW (72)発明者 ビエルナット,ジェイセック ドイツ連邦共和国 ディー―20459 ハン ブルグ,ゼウアウスストラーセ 12 (72)発明者 フリードホフ,ペーター ドイツ連邦共和国 ディー―25469 ハル ステンベック,セーストラーセ 226エー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.アルツハイマー病の予防および/または治療のための医薬組成物を調製する ための、細胞内ポリアニオンまたはその誘導体に対する阻害剤の使用。 2.前記ポリアニオンがRNA、またはRNAから誘導されるものである、請求 項1に記載の使用。 3.前記RNAが核RNAまたは細胞質RNAである、請求項2に記載の使用。 4.前記RNAがリボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)、また はメッセンジャーRNA(mRNA)である、請求項2または3に記載の使用。 5.前記ポリアニオンが細胞内に存在するポリアニオン性ポリペプチドもしくは ペプチド、またはその誘導体である、請求項1に記載の使用。 6.前記ポリアニオンがポリグルタミン酸である、請求項1に記載の使用。 7.前記ペプチドがチューブリンから誘導されたアニオン性ペプチドである、請 求項5に記載の使用。 8.前記ペプチドがチューブリンのC-末端領域を含んでなる、請求項7に記載の 使用。 9.前記阻害剤がポリカチオンまたはリボザイムである、請求項1〜4のいずれ か1項に記載の使用。 10.(a)組換えによって作製されたタウタンパク質またはその誘導体;および (b)ポリアニオン を含んでなるキット。 11.前記ポリアニオンがRNA、またはポリアニオン性タンパク質、ペプチドも しくはその誘導体である、請求項10に記載のキット。 12.前記RNAが、tRNAまたはrRNAである、請求項11に記載のキット。 13.(a)テストバイアル内でタウタンパク質またはその誘導体をポリアニオンお よび阻害剤と予想されるものと混合する工程;および (b)阻害剤と予想されるものがPHF形成を減らすか、または阻害するかどうかを試 験する工程 を含んでなる、ペアードヘリカルフィラメント(PHF)形成またはPHF様形成の阻害 剤をin vitroで試験する方法。 14.前記ポリアニオンが、請求項2〜4のいずれか1項で定義されたRNA、ポリ グルタミン酸、または請求項7もしくは8で定義されたチューブリンから誘導され たペプチドである、請求項13に記載の方法。 15.(a)タウタンパク質もしくはその誘導体を細胞内で過剰に発現させるか、ま たはタウタンパク質もしくはその誘導体を細胞内に導入する工程;および (b)阻害剤と予想されるものを、PHF形成またはPHF様フィラメント形成の阻害ま たは減少について試験する工程、 を含んでなるアルツハイマー病の始まりを試験する方法。 16.(a')PHF形成またはPHF様フィラメント形成を起こしやすい、または起こすこ とができるポリアニオンを前記細胞内に導入するか、または前記細胞内で前記ポ リアニオンを過剰に発現させる工程、 をさらに含んでなる、請求項15に記載の方法。 17.(a)タウタンパク質もしくはその誘導体を細胞内に導入するか、またはタウ タンパク質もしくはその誘導体を細胞内で過剰に発現させる工程; (b)ポリアニオンを前記細胞内に導入するか、またはポリアニオンを細胞内で過 剰に発現させる工程:および (c)PHF形成またはPHF様フィラメント形成の誘発を試験する工程、 を含んでなる方法。 18.前記ポリアニオンがRNA、ポリアニオン性タンパク質もしくはペプチド、 またはその誘導体である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。 19.前記RNAが核RNAまたは細胞質RNAであり、前記ペプチドがポリグル タミン酸、チューブリンから誘導されるもの、またはチューブリンもしくはその 誘導体のC-末端領域を含んでなるものである、請求項18に記載の方法。 20.前記RNAがrRNA,tRNAまたはmRNAである、請求項18または19 に記載の方法。 21.PHFの形成がチオフラビンを用いた蛍光染色によって検出される、請求項12 〜20のいずれか1項に記載の方法。 22.ヒトにおいて、アルツハイマー病を治療または予防する方法であって、その 必要性のある患者に、請求項1〜21のいずれか1項において定義されたPHF形成 に対する阻害剤を含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる前記方法。
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