【発明の詳細な説明】
湿潤強度紙製造方法 本発明の背景
製紙の分野において、尿、血液、月経排泄液、体液および、これらとは別の人
体排泄物のような人体流体を含む、水または水溶液で濡れたときの紙の強度を改
善するための化学材料がある。この材料は、湿潤強度剤として知られており、広
い範囲のメーカから入手できる。ペーパウェブまたはシートに添加されると、0.
1の湿潤引張強度:乾燥引張強度比をシートに与えることになるような材料を、
本明細書において、湿潤強度剤とする。一般的にこれらの材料は、永久湿潤紙力
増強剤または“一時的”湿潤紙力増強剤といわれる。永久湿度強度と一時的湿度
強度との違いを明白にすると、永久とは、ペーパまたはティッシュ製品に組込ま
れると、少なくとも5分間、水に曝されると50パーセントか、それ以上の湿潤強
度を保持する製品を形成することになる。一時的湿潤紙力増強剤は、5分間水に
曝されると、元の湿潤強度の50パーセント未満を示すものである。双方の種類の
分類が、本発明に適応することがわかる。
多くのカチオン湿潤紙力増強剤の本質性と効率性が、セルロース繊維上に湿潤
強度剤を低レベルで保持することにより制限される。付与された化学物質の多く
が繊維に保持されず、溶液内に保持される、すなわち付与後に洗われる。なぜな
らば、電荷された湿潤強度剤に作用するためアニオン部位がセルロース表面上に
ほとんどないからであり、コロイド粒子または湿潤強度剤の多くの部分を吸収す
る繊維懸濁物内の別の粒子に、多数のアニオン部位となる場合がある。カチオン
活性剤がコロイド粒子状の過度のアニオン部位、すなわち懸濁液中の“アニオン
ごみ”を中和する助けとなるように使用されることが多く、引き続き添加される
カチオン湿潤強度樹脂を繊維面につけることができ、非繊維成分上に吸収できな
いようにする。
パルプにアニオン添加剤またはアニオン剤が存在することは、カチオン湿潤強
化剤の効率に有害作用を与えることになる。この悪影響は、製紙の分野において
知られているように、カチオン促進剤をストックに添加することによって減少で
きる。カチオン促進剤は、約0.75から3.5ミリ当量/グラムのカチオン電荷を有す
るポリエチレンイミン、一般的に、塩化ポリジアリルジメチルアンンモニウムの
よう第4ポリアミンカチオンスターチを含む。一般的に使用されるカチオン樹脂
は、第4アミンを含み、登録商標名CRPRO514,515,516としてサイテックイ
ンダストリーズから入手される。カチオン促進剤が湿潤強度樹脂に先立ってスト
ックに添加され、繊維を適切に混合し、繊維と適切に接触するようにする。使用
時には、カチオン促進剤は、一般的に0から5重量パーセント、すなわち0.05か
ら0.5パーセントで使用される。カチオン促進剤は、一般的に0から0.5重量パー
セントで使用でき、樹脂は約0.02から0.3重量パーセントの量で、好ましくは0.1
から02重量パーセントの量で使用される。促進剤のメーカはその使用に関しpH
を一般的に薦めている。Cypro樹脂は、約4から9のpHにわたり有効である。
しかし、カチオン促進剤の使用は、繊維表面自体に複数のアニオン部位を増大
させず、このような部位の数を減少させて、湿度強度を高めるためのカチオン湿
潤強度剤の極限可能性が、セルロース面上での不適切な結合部位によって制限さ
れたままとなっている。セルロース上のアニオンの程度は、セルロースのカルボ
キシル基の内容によって測定でき、これは一般的にセルロース100グラムあたり
約2から5か、それ以上のミリ当量であるように測定される。
このように、繊維を予め処理することによって、製紙繊維の面のアニオン部位
の数を増大させ、引続き付加された、セルロースと共有結合するカチオン湿潤強
度剤の本質性を増大させるようにすることである。本発明の更なる目的は、所定
の用量の湿潤強度剤で達成できるペーパの湿度強度を実質的に高めることである
。詳細には、本発明の目的は、所定量の湿潤強度樹脂で得ることができる湿度強
度を20%以上の係数、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、最も好ま
しくは70%以上の係数だけ増大させることである。本発明の別の目的は、60gsmT
appiのハンドシートに基き、1500、好ましくは2000g/in以上、最も好ましくは23
00g/in以上の、実質的に非精製紙における湿潤強度値を達成できる。ホン発明の更
なる目的は、約0.2以上、好ましくは、約0.3以上、さらに好ましく
は約0.4以上、さらに好ましくは0.2から0.5であり、最も好ましくは0.5以上であ
る。
本発明の概要
本発明は、セルロース繊維が繊維反応性アニオン化合物で予め処理され、カチ
オン湿潤強度剤の実質性を高めるように方法に関する。この方法において、製紙
繊維の水溶性スラリーが実質的に無色の繊維反応アニオン化合物で処理され、繊
維反応性アニオン化合物が、ヒドロキシルまたはセルロース面の別の基で共有結
合(例えば、エーテルタイプの結合)を形成するのに適した繊維反応部分からな
る。スラリーのpHは、セルロースとの反応性アニオン化合物の反応を促進する
のに十分高くなることを確実にするように調整されなければならない。スラリー
は高繊維密度を有しており、約5から50%であるのが好ましい。高密度が好まし
いのは、化学反応処理によって影響を受ける水の量を減少させるからであり、繊
維反応性アニオン化合物がより効率的にできるからである。続いて、所望であれ
ばスラリーが稀釈され、カチオン湿潤紙力増強剤と混合される。処理繊維が、本
分野において公知の処理を用いてペーパウェブに形成され、湿潤強度剤をカール
するのに適した状態で乾燥される。
本発明は、カチオン湿潤強度剤とイオン結合を確立するのに適したスルホン基
またはカルボキシル基の少なくとも一方からなる無色の反応性アニオン化合物を
トライアジンまたは別の反応基と反応させ、続いて、カチオンポリマーを付加し
てアルカリ化を行い、反応性アニオン化合物とセルロースとの反応を促進するこ
とによって、セルロース上のカチオンポリマーのアニオン結合部位の数を増大さ
せる化学処理プロセスに関する。
本発明は、第1に、前記繊維反応アニオン化合物でセルロース繊維のアニオン
部位を増大させ、次に、化学はく離剤とカチオン湿潤強度剤とを添加することに
よって、比較的高湿度強度と、低乾燥強度とを有する紙を製造する方法に関する
。繊維が溶液中にあるとき、はく離剤が繊維に付与され、次にカチオン湿潤紙力
増強剤が添加され、脱水され、乾燥される。あるいは、繊維反応アニオン化合物
およびカチオン湿潤強度剤で形成された、乾燥されたか、または部分的に乾燥
されたペーパウェブに、はく離剤が付与されればよい。いずれの場合においても
、はく離剤が水素結合生成に干渉し、ペーパの乾燥強度を減少させ、共有結合生
成にほとんど影譬を及ぼさない。この結果として得られるのが、湿潤:乾燥引張
強度比が高まったペーパである。このようなペーパは、水素結合の程度が減少す
るために減少した剛性と改善された柔軟性とを有する一方で、高湿潤強度を有す
る。
本発明の詳細な説明
本発明の方法の第1段階は、製紙繊維の水溶液スラリーを形成することである
。全変数における木材パルプは、本発明に使用される製紙繊維を通常構成すると
考える。しかし、コットンライナー、バガス、レーヨン、ケナフ、トウワタ繊維
等のような別のセルロース繊維パルプも使用できる。本明細書において有効な木
材パルプは亜硫酸パルプおよび硫酸塩パルプの双方、および本分野において公知
の、化学熱機械的パルプおよびブリーチされた化学熱機械的パルプを含む、機械
的および熱化学的パルプを含む。化学的にブリーチされたパルプを含む極めて白
色度の高いパルプが、特にティッシュ製造に好まれるが、ブリーチされているか
、半ブリーチのパルプが使用されてもよい。落葉樹および針葉樹を使用できる。
再生繊維も本発明の範囲に含まれている。
本発明の第2の段階は、有効量の繊維反応性アニオン化合物を繊維スラリーに
加えることによって繊維の化学前処理を行うことである。繊維スラリーに加えら
れた好ましい量の繊維反応性アニオン化合物は、乾燥重量に基いて約0.0.01か
ら約4重量パーセントであり、好ましくは約0.05から約2重量、より好ましくは
約0.08から約1.5パーセントであり、最も好ましくは約0.1から約1重量パーセン
トである。(本明細書に記載されている全重量%は、特に記載されていなければ
乾燥重量を基本にしている。)アニオン化合物への本質性を高めるための製紙繊
維の前処理は、発色団なしに変性された、さらに必要であればスルホンまたはカ
ルボキシル基のような少なくとも一つのアニオン成分の存在を確実にするために
変性された無色の繊維反応性染料で達成される。アニオン成分は、カチオン湿潤
強度剤のカチオン群とイオン結合するための部位として利用し、繊維と湿潤紙力
増強剤との橋を作る助けとなり、製紙繊維紙料における湿潤紙力増強剤
の所定用量の有効性を高めることになる。
スルホニルまたはカルボキシル基のような少なくとも一つのアニオン成分と、
モノハロトリアジン、ジハロトリアジン、トリハロピリミジン、ジハロピリダジ
ノン、ジハロキノキサリン、ジハロフタラジン、ハロベンゾチアゾール、アクリ
ルアミド、ビニールスルホン、βサルフェートエチルシルフォナミド、βハロエ
チッルスルフォン、およびメチロールからなる群から選択されたセルロース上の
ヒドロキシル基に対するエーテル式の結合のような共有結合を形成できる少なく
とも一つの繊維反応性群とからなる有機分子であり、ジハロトリアジンは、一部
モノハロトリアジンおよび関連した化合物よりも低い温度で発生するように、繊
維と反応できる能力のために、特に有効であると考えられ、塩素は好ましいハロ
ゲンとして考えられる。塩素と、エーテル式の結合のような共有結合を形成でき
る少なくとも一つの繊維反応性群と、から構成されている有機分子である。反応
性アニオン化合物は、さらに繊維反応性分子とアニオン基との間の橋群から構成
され、この橋群は、低吸収可視光を特徴とする、脂肪族、芳香族、不活性または
主に不活性に置換された芳香族、環式、複素環式、不活性または主に不活性に置
換された複素環式基から構成される。1実施例において、橋詳はNH-基によって
、または
ペプチド結合によって繊維反応性成分に結合されている。
別の好ましい実施例において反応性アニオン化合物が実質的に水溶性であり、
5,000未満、好ましくは3000未満、より好ましくは、1500未満、好ましくは、300
から1000の分子重量を有する。
適当な反応性アニオン化合物のより特定の例が次の式W−R−Y−X−Bによ
り得られる。
ここで、Wはスルホニルまたはカルボキシルまたはこれらの塩であり、Rは、
低吸収性可視光により特徴づけられ、pHの範囲が6から8、好ましくは6から
9、より好ましくは5から9、最も好ましくは4から10の範囲内で70度Cにおい
て作用、すなわち開裂に対し抵抗のある脂肪族、芳香族、不活性化、すなわち
主として不活性に置換された芳香族、環式、複素環式または不活性的にあるいは
主として不活性的に置換された複素環式基のいずれかであり、Yは、NHすなわ
ち、
Xは、スルホニルまたはカルボキシル基のような少なくとも一つのアニオン成
分と、モノハロトリアジン、ジハロトリアジン、トリハロピリミジン、ジハロピ
リダジノン、ジハロキノキサリン、ジハロフタラジン、ハロベンゾチアゾール、
アクリルアミド、ビニールスルホン、βサルフェートエチルシルフォナミド、β
ハロエチルスルフォン、およびメチロールからなる群から選択されたセルロース
上のヒドロキシル基に対するエーテル式結合のような共有結合を形成するのに適
した成分であり、ジハロトリアジンは、モノハロトリアジンおよび関連した化合
物よりも低い温度で発生するように、繊維と反応できる能力のために、特に有効
であると考えられ、塩素は、好ましいハロゲンと考えられる。
Bは、YおよびRが上述のように定義されている式Y−Rの基、またはY,R
およびWが上述のように定義されている式Y−R−Wの基にいずれかである。本
発明に有効であると発見された、適当な繊維反応性アニオン化合物に適した特定
の商業的に入手可能な例は、ノースカロライナ州チャルロット、クラアリアント
コーポレーションにより製造されているナイロン染遅延剤サンドスペースSであ
ある。サンドスペースSの式は適切であるが、メーカからの化学分析および部分
的な情報では、塩素化トリアジン基、芳香族構造およびスルフォン基を有するこ
とを確認している。上述の式では、適切な構造の一つの分類を与える。本発明の
範囲内の関連した構造では、橋群のセグメント上を含む、あるいは繊維反応性群
の一部に直接取付けられた分子の様々な位置に取り付けられたカルボキシル基で
ある。複数の繊維反応基が1つか、2つ以上の橋群にとりつけられ、反応性アニ
オン化合物を、セルロース面上の複数の結合部位に取付けることができる。
繊維反応性染料での処理は、一般的に約2%の濃度の稀釈スラリーで実行され
、本発明の反応は5%以上、好ましくは5から50%、好ましくは10%以上、
よ
り好ましくは、15%以上、もっと好ましくは約20%以上、および好ましくは
10から30%の濃度を有する高濃度繊維スラリーを含む、低量の液体でうまく
実行できる。水の使用を減少させることは、過程効率を改善し、水処理の負担量
を減少させることになる。高濃度処理に関し、製紙およびブリーチ分野において
最近知られてきたように、高濃度のミキサーを用いることが望まれる。例えば、
ホバートバッチミキサーが効能でスラリーを準備するのに有効である。有効な連
続した高濃度のミキサーは、ジョージア州、ノークロス、サンズ・デフィブレー
タにより製造されている。最も有効な結果に関し、混合は、試薬を繊維スラリー
都全体的にそして均一になされなければ成らない。
第3の段階は、繊維反応性アニオン化合物と繊維との反応を効率的に促進する
ようにスラリーのpHと温度を調整することである。水性繊維スラリーに付与さ
れると、第2の段階において付与された反応性アニオンは、pHと温度ともが充
分に高くなるまで、セルロースと反応しない。アルカリ化は、pHを6以上に,
好ましくは7以上、さらに好ましくは8以上に、さらに好ましくは8から11に
上昇させるために必要である。水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、重炭酸
ナトリウム、および炭酸ナトリウム、単体で、もしくはこれらを組み合せたアル
カリ剤が、低費用、化学的効率性、ティッシュ製造操作の全体的な相溶性、処理
取り扱いやすさのために好まれるが、別のアルカリ化合物も、酸化カルシウム、
水酸化カリウム、炭酸カリウムおよびこれらに関連する化合物を含むが、これら
に制限されるものではない。
繊維スラリーのアルカリ化は、第2段階において、反応性アニオン化合物を繊
維に付加する前、付加している間、もしくは付加した後のいずれかで行うことも
できる。経験的な結果から、反応性アニオン化合物の付加後のアルカリ化が、よ
り大きな生産性と効率性(所定用量の湿潤紙力増強剤で紙の湿潤強度をより高く
することによって明白なような、湿潤紙力増強剤のより高い本質性)となるため
に好まれる。制限することなく、工程における早すぎるアルカリ化では、反応性
アニオン化合物の反応基の加水分解の原因となり、生産量が減少することになる
。
本発明の特定の好ましい実施例において、反応性アニオン化合物とセルロース
のヒドロキシル基との間の酸性副産物を中和するのに必要とされるよりも、わず
かに多くのアルカリ化合物がスラリーに添加される。例えば、反応基がモノクロ
ロトリアジンの場合、酸化副産物は塩化水素である。塩化水素をより中和化する
するために、後アルカリ処理において充分な水酸化ナトリウムを加え屡ことは、
完全な反応を前提として、所望の反応と所望の湿潤紙力増強剤特性を達成するの
に有効であることが証明された。アルカリ化の間、スラリーの完全な混合が好ま
しい。
アルカリ化と同時に、またはこれに引き続き、20度Cから150度Cの温度
が、実践的な急速な反応速度に必要とされ、好ましい温度範囲は、20から12
0度Cであり、より好ましくは、20度Cから100度Cであり、より好ましく
は、40から85度Cであり、最も好ましくは、50から80度Cである。もち
ろん最適な温度は、繊維反応性アニオン化合物が使用されることによる。スラリ
ーが適切な温度以下である場合には、温度上昇は、熱交換器、加熱容器壁、流れ
噴射、あるいは本分野において公知の手段を使用することによる接触熱により達
成される。反応の均一性のために、加熱中のスラリーの良好な攪拌が好まれる。
温度調整はアルカリ化合物を添加すると同時に、または繊維反応アニオン化合物
を添加するとき同時に行う必要はないが、アルカリ化合物の添加の後であるのが
好ましい。適切な温度が、有効な程度に完了するまで反応を促進するように充分
な時間長さの間維持されなければならない。
第4の段階は、有効な量のカチオン湿潤紙料増強剤と水を、水溶性スラリーに
付与し、製紙紙料を作り出すことである。先に記載したような、相溶性湿潤強度
樹脂の混合物が、本発明の実施に使用できる。別の化合物、充填剤または固定成
分が付加されてもよい。この段階は第2段階と同時になされてもよく、所望であ
れば、より有効な効率は、繊維の化学前処理の後に、カチオン湿潤強度剤の添加
実行することによって得られるが、第2の段階の前に行うことも可能である。い
かなる量の湿潤紙力増強剤を添加してもよいが、効率的な使用と、合法的な費用
のためには、約30ポンド/トンすなわち添加される乾燥繊維を基本にして1.5
重量パーセント未満、好ましくは、約0.02から1.5重量%、より好ましくは、0.0
2から1.0重量%、最も好ましくは約0.05から約0.8重量%である。製紙に適応し
たカチオン湿潤紙力補強剤が使用されてもよい。高湿潤弾性ティッシュに関し、
好ましい湿潤剤は、セルロースと共有結合を形成できなければならない。通常の
場台において、湿度強度樹脂は水溶性のカチオン材料である。すなわち、樹脂は
製紙紙料に添加されるとき水溶性である。架橋のような連続した事象を水不溶性
にすることも可能である。さらに、樹脂によっては、限られたpHの範囲のよう
な特定の状態でのみ水溶性のものもある。湿度紙力増強剤は、一般的に架橋を行
ったり、製紙繊維の中で、もしくはこれらの間に堆積された後にカール加工反応
を行うものと考えられる。架橋またはカール加工は、相当量の水が存在する限り
、通常発生しない。
本発明に利用できる特定の永久湿度紙力補強剤は、一般的に水溶性のカチオン
オリゴマーまたはポリマー樹脂であり、これ自体で架橋したり(単独架橋)、セ
ルロースまたは木材繊維の成分と架橋できる。このような成分は、製紙の分野に
おいて長い間知られてきた。例えば、米国特許第2,345,543号(1944)、同第2,9
26,116(1965)、および同第2,926,154(1960)を参照する。これらは全て本特
許明細書の引例として組込む。このような薬剤の1つの分類にはポリアミン−エ
ピクロロヒドリン、ポリアミド・エピクロロヒドリンまたはポリアミド−アミン
・エピクロロヒドリン樹脂、集合的には、PAE樹脂といわれる。これらの材料は
、ケイムに付与され、例えばKymene557Hとしてデラウェア州ウィルミントン所在
のハーカル社により販売されている特許(米国特許第3,700,623号、同第3,772,07
6号)に開示されている。関連する湿潤紙力補強剤が、例えばAmres8855としてジ
ョージアパシフィックにより販売されている。別の適当な材料は、ノースカロラ
イナ州チャーロット所在のハンケルケミカル社により販売されている。モンサン
トにより開発され、サント・レスラベルで販売されている材料が本発明に使用で
きる塩基活性式ポリアミドーエピクロロヒドリン樹脂である。これらの材料は、
ペトロビッチに付与された特許(米国特許第3,885,158、同第3,899,388号、同第
4,129,528号、および同第4,147,586号)およびバンエナムに付与された特許(米
国特許第4,222,921号)に開示されており、これらの特許を本明細書の引例とし
て組み入れる。
消費製品には一般的に使用されていないが、ポリエチレンイミン樹脂も繊維と
繊維の結合を不動にするのに適している。別の分類の永久式湿潤紙力増強剤は、
アミノプラスト樹脂(例えば、ウレアフォルムアルデヒドおよびメラミンフォル
ムアルデヒド)を含む。
永久湿潤紙力補強剤は、一般的に約20ポンド/トンすなわち1.0重量%の量で
紙繊維に添加される。正確な量は、繊維の特性および製品に要求される湿潤紙力
補強剤の量に依存する。一時的湿潤補強剤の場合には、これらの樹脂は、一般的
に樹脂の特性に依存する特定のpH範囲内での使用が薦められる。Amres樹脂は
一般的に嫉く4.5から9のpHで使用される。
一時的湿潤紙力補強剤は、本発明の方法にも有効である。適当なカチオン一時
的湿潤紙力補教剤は、ジアルデヒドスターチ、ポリエチレンイミン、マノガラク
タンガム、グリオキサールおよびジアルデヒド・マノガラクタンのような本分野
において公知の薬剤から選択できる。1971年1月19日にコシア他に付与された米
国特許第3,556,932および1995年11月14日に、ウィリアムB.ダーリントンおよ
びウィリアムG.ラニエールに付与された同第5,466,337号“再パルプ化湿潤強化
ペーパに記載されているようなカチオン・グリオキシレート・ビニールアミド湿
潤強度樹脂も有効である。有効な水溶性カチオン樹脂は、概略的に上述したカス
アル他に付与された特許、1971年1月19日にウィリアムに付与された米国特許第
3,556,933号に記載されている、スタンフォード所在のアメリカン・サイナミド
。カンパニーにより、登録商標パレズ(Parez)例えばパレズ631NCとして販売され
ているポリアクリルアミドを含む。1986年8月12日にグエロ他に付与された同第
4,605,702号は、ビニールアミドポリマーをグリオキサールで作用させ、ポリマ
ーに水ベースの処理を与えることによって一時的湿潤強度樹脂を開示している。
この製品は中性pHで水に浸されると、湿度強度の一部を失うティッシュペーパ
を形成するとされる。1986年7月29日にブジョクイストおよびシュミットに付与
された米国特許第4,603,176号羽、これに関連した一時的湿潤紙力補強樹脂を開
示している。一般的に、カチオン一時的湿潤強度剤は水溶液としてメーカにより
形成されており、約0.05から0.4重量%の量でパルプに添加される。樹脂の特性
によって、パルプのpHが樹脂に加えられる前に調整される。樹脂のメーカは、
通常樹脂に使用するためのpH範囲を推奨している。パレズ631NC樹脂は、約4
から8のpHで使用できる。
第5の段階は、製紙紙料を生成面に堆積して初期ウェブを形成する。この段階
は更に脱水段階および、ウェブを乾燥させる前に本分野において公知の別の操作
を行う段階とからなる。
第6および最終段階は、ウェブを乾燥させる段階である。湿潤繊維ウェブを乾
燥させるための製紙分野における当業者に公知の技術のいずれをも使用できる。
一般的に、ウェブの周り、ウェブの上、またはウェブを通って動く空気により供
給される熱により、加熱面と接触させることによって、赤外線により、超加熱流
れに曝すことにより、またはこのような方法を組み合せることによって乾燥され
る。湿潤繊維ウェブを乾燥中にカールを開始させる正確な点は、不明瞭である。
本発明において要求されるのは、繊維ウェブが実質的に乾燥されること、および
湿潤強度樹脂により得られる性質がどんなものであろうとも湿潤強度結合が作ら
れるようになることである。これらの結合生成の程度は、次に続く工程段階が、
最終的な完成品およびこれに対応する湿度強度の発生をかなり干渉しない程度に
進行されなければならない。全ての場合に必要であるとは限らないが、ウェブの
温度は、湿潤強度剤を効率的にカールさせる(すなわち乾燥が高温カールを必要
とするかもしれないし、必要としないかもしれない)のに充分に高いことが必要
とされる。乾燥ウェブの湿度:乾燥引張強度比は、工程が適切に実行された場合
に、少なくとも0.1、好ましくは少なくとも約0.2、より好ましくは約0.3でなけ
ればならない。本明細書に使用する、湿潤:乾燥比とは、幾何平均乾燥引張強度
により除算された幾何平均湿潤引張強度の割合のことをいう。幾何平均引張強度
(GMT)は、ウェブの機械方向引張強度と機械横方向の引張強度の積の平方根で
ある。引張強度は、50%の相対湿度と、少なくとも24時間」72度Fの状態で、3
インチ幅のティッシュストリップを用いた4インチジョースパンを有する標準イ
ンストロン試験装置で測定され、引張試験は10インチ/分のクロスヘッド速度で
作動する。
所定用量の湿潤強度剤に関する紙の最終湿潤強度は、反応性アニオン化合物を
添加することなく、湿潤強度剤を使用することによって達成される場合よりも少
なくとも10%高くなければならない。
本発明は、湿潤強度を高める従来技術を解決する複数の利点を提供する。本発
明は、繊維の着色または乾燥を必要としないし、白色のシートを維持するのに発
色団をブリーチすなわち色抜きを必要としない。本発明は、NaC1の添加を必要と
しないし、反応性アニオン化合物と繊維との反応を促進するための塩素も必要と
しない。さらに、本発明は、繊維前処理段階において、極めて高い稀釈繊維スラ
リーを必要としないが、30%の高い繊維密度でうまく示された。更に、本発明は
、強度を高めるためのイオン結合に依存しておらず、イオン結合は、カチオンポ
リマーと反応性アニオン化合物のスルホン基との初期の結合を行うが、セルロー
スの面と共有結合を形成する反応性湿潤強度剤を利用する。
本発明における繊維反応性アニオン化合物の新規な使用では、化学的なはく離
剤と結合し、紙を比較的高湿潤強度にし、低乾燥強度にする。1つか2つ以上の
繊維反応性アニオン化合物は、カチオン湿度強度樹枝に使用され、耐水性共有結
合を確立するが、化学的はく離剤は繊維間の水素結合の数を減少するのに使用さ
れ、紙の乾燥強度を減少させることになる。このことは、第1にセルロース繊維
のアニオン部位を、繊維反応性アニオン化合物で上昇させ、次に、前述した段階
1から3に従って、化学的はく離剤とカチオン湿潤強度剤を付与する。はく離剤
は、繊維が水溶性である間、段階3の後に繊維に付与されてもよく、この後に段
階4のようなカチオン湿潤強度剤を添加し、この後に、紙が形成され、脱水され
、上述した段階5と6に従って乾燥される。本例において、はく離剤は、スラリ
ーの形態である間、繊維に付与されようになっており、はく離剤がスラリーに付
与された後にカチオン湿潤強度剤が付与されることが好ましい。そうでない場合
には、カチオン湿潤強度剤が繊維上でほとんどのアニオン部位を占有し、化学的
はく離剤の保持を干渉するようになっている。化学的はく離剤は、一般的に、脂
肪酸鎖を有する第4アンモニウム塩のような単一のカチオン部位を有する。
そうでない場合には、スプレー、印刷、コーティング等のような既知の手段に
よって、段階6の間、乾燥した、または部分的に乾燥したペーパウェブに、はく
離剤が付与される。ウェブはウェブ内で共有結合の生成を開始するのに充分に乾
燥されていることが好ましい。次いで、ウェブの固体レベルが好ましくは、少な
くとも40%であり、より好ましくは少なくとも60%であり、より好ましくは
少なくとも70%であり、最も好ましくは少なくとも80%であり、望ましくは60か
ら90%である。はく離剤は他の時に付与されてもよいが、最良の結果のためには
、上述に記載の段階3と4の間か、もしくは段階6の間のいずれかでなければな
らない。
適当に付与されると、はく離剤が繊維間の水素結合の生成を妨害し、共有結合
の生成にほとんど影響を与えないで、紙の乾燥強度を小さくすることになる。こ
の結果、湿潤:乾燥引張強度比が高まった紙となる。このような紙の剛性が減少
し、高湿潤強度を有しながら、水素結合の減少程度のために、柔軟性が改善され
ることになる。
好ましい化学はく離剤は、1分子あたり5個未満のカチオン部位、好ましくは
セルロース繊維面上のアニオン部位と結合できる1つを超えないカチオン部位を
有するのが好ましい。多数のカチオン部位は、共有結合が形成される前にはく理
財が繊維に添加される場合には、繊維反応性アニオン化合物により形成されたア
ニオン部位を妨害する。有効な化学的はく離剤の例は、エカ・ノベル社(ジョー
ジア州マリエッタ所在)により製造されているべろセ584、エトキシレートされ
たQASのような脂肪鎖第4アンモニウム塩(QAS)、C−6027,イミダゾリンQAS
、アドゲン444、セチルトリミエチルQAS、バリソフト3690PG、イミダゾリンQAS
、アロサーフPA801、混合されたQASを含む。ティッシユ製造の分野における柔軟
剤として知られている薬剤は、化学的はく離剤に適するものである。繊維の乾燥
質量に関し、はく離剤が0.1から2%の範囲で、好ましくは0.2%から1.5%、より
好ましくは0.5%から1%の範囲で添加されていればよい。
例
例1
100gmの乾燥ブリーチされたバージン北洋針葉樹クラフトパルプ(キンバリー
クラークLL−19パルプ)が1200mlの水で飽和され、ホバートミキサーにおいて、
攪拌によってスラリーに分散された。スラリーは約25%の繊維濃度に脱水された
。このことは、高濃度のパルプの複数のバッチを得るために何回か反復された。
各パルプのバッチごとに、1から4グラムまでのサンドスペースS(NC,
チャーロット所在のクラリアント・コーポレーション)が、準備され試薬1部あ
たり、水5部で稀釈される(従って、稀釈水の量は、水5から20グラムの範囲で
ある)。バッチあたり100gmからなる繊維スラリーの各バッチは、ホボートミキ
サーに再荷重され、1から4gmのサンドスペースSを含むサンドスペースS溶液
が、パルプの攪拌中に添加された。混合物が25分間の間、25度Cで全体的に混合
された。次いで、NaHCO3がサンドスペースS1gmあたり、NAHCO30.5gmの用量で各
バッチに付与され(0.5から2gmのNaHCO3)、繊維、水、およびサンドスペースS
の混合物に添加する前に、NmlCO3が最初に5から10mlの水に分散された。NaHCO3
の添加に続いて、混合物が25度Cで20分間ホバートミキサーの中に混合された。
この後、混合物は、オーブンの中で100度Cに加熱され、混合されることなく2
時間この温度に維持された。スラリーを後洗いすることなく、スラリーを25度C
に冷却後、スラリーが、標準Tappi手順を用いて60gsmのハンドシートに形成され
た。Kymene557LX湿潤紙力補強剤が、乾燥繊維を基本にして1%のKymeneのレベ
ルで稀釈されたハンドシートスラリーに添加された。これらのハンドシートの特
性が図2−5に図示されている。シート湿潤強度性は、湿潤強度剤の量が一定であ
る場合でも、サンドスペースSのレベルが上昇するにつれて、実質的に上昇した
ことを表している。このことは、カチオン湿潤強度剤であるKymeneの効率と本質
性を改善するための、繊維反応性アニオン化合物の能力を表している。
1%のKymeneを有する不処理LL19繊維ハンドシートが1411グラム/インチの湿
潤強度と、24.6%の湿潤:乾燥引張強度比を有していた。サンドスペースS繊維
反応性アニオン化合物による前処理で、1%のサンドスペースSが添加されると
、同一レベルのKymeneの湿潤強度が2374グラム/インチ、30.1%の湿潤:乾燥引
張強度比となった。引張試験からの結果が表1に図示されている。湿度強度の68
%までの上昇は、1%のKymeneだけの使用に対し、繊維反応性アニオン化合物で
可能であった。
表1:例1からの結果(後アルカリ化)
例2
NaHCO3溶液がサンドスペースS溶液の添加前に付与されたことを除いて、全段
階が例1と同様になされ、後アルカリ化ではなく前アルカリ化となった。繊維反
応性アニオン化合物で湿潤強度性の46%上昇が、Kymeneだけで形成された紙に対
し可能となった。1%のRACで(反応性アニオン化合物)1606gの湿潤強度が、後
アルカリ化で達成された2374グラムと比べて、前アルカリ化で達成された。
表2:例2からの結果(前アルカリ化)
例3
45キログラムのブリーチされた針葉樹クラフトパルプが8%の濃度で高密度パ
ルパーにおいて20分間25度Cでパルプ化された。クラリアントコーポレーション
から入手できる3.6キログラム(繊維質量に対し8%)のサンドスペースSペース
トがパルパーの中でスラリーに添加され、されに20分間混合された。0.9キログ
ラムの炭酸ナトリウム粉末が、パルパー内のスラリーに添加され、さらに20分間
混合されている。次いでスラリーが60度Cに加熱され、2時間その温度
に維持され、遠心機を使って35%の濃度に脱水された。繊維が洗浄することなく
、製紙に使用される。
35%濃度繊維が水で稀釈され、ハンドシート製造に関するTappi手順に従って
ハンドシートを作った。ベロセル584液体(EkaNobelコーポレーション)が繊維1
00グラムあたり1グラム(乾燥繊維につき1%のベロセル)のベロセル液体用量で
稀釈スラリーに添加され、20分間攪拌された。この後、乾燥繊維に基き、1%のK
ymene557LXがスラリーに添加され、20分間撹拌された。次いで、60gsmのハンド
シートがTappi手順に従って形成され、乾燥および湿潤引張強度特性を試験した
。
60gsmのハンドシートは、2160グラム/インチの平均湿潤強度と4929グラム/イ
ンチの平均乾燥強度を有していた。この例のハンドシートの湿潤:乾燥引張強度
比は、例1のように、はく離剤はないが、Kymeneを有するシートの一般的値30-3
5%に対し、43.8%であった。この例に従っているが、添加されるべきはく離剤
のないハンドシートが、35.1%の湿潤:乾燥引張強度を有していた。
例4
ハンドシートが、はく離剤が繊維スラリーに付与されなかったことを除いて、
例3に記載したように準備された。ベロセル液体の1重量パーセントの水溶液が
準備され、一般的な家庭用ハンドスプレーを用いて、ハンドシートにスプレーし
、これを乾燥した。添加された液体質量が乾燥ハンドシート質量の約100%に
なるまでハンドシートの両面に均等にスプレーされ、乾燥繊維に基き繊維に1%
の純粋なベルセル(100グラム繊維あたり1グラムの添加ベルセル)を付与す
ることになった。次いでハンドシートが20分間105度Cで乾燥され、冷却され
、調整され引張強度に関し試験された。平均湿潤強度が2897g/インチ、乾燥強度
が6551g/インチであり、44.3%の湿潤:乾燥比を作り出した。
図示のために、前述の例は、半発明の範囲を制限するものとして構成されてお
らず、以下の請求の範囲およびこれに均等なものによって定義されるものである
。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP
,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,
LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M
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