【発明の詳細な説明】
洗浄組成物 技術分野
この発明は顆粒状の義歯洗浄組成物に関する。とくに、この発明は、優れた洗
浄効果と使用時の効能とともにプラーク防止効果を高めるために義歯洗浄錠剤な
どに圧縮成形することかできる歯または義歯を清浄にするのに適した顆粒状の洗
浄組成物に関する。
発明の背景
義歯などを洗浄する錠剤や粉末は、当該技術においてよく知られている。義歯
洗浄製品の目的は、できるだけ迅速、かつ、完全に、義歯を清浄にし、そしてと
くに義歯装着中に蓄積したプラーク、粘着性および微生物などの沈着物を除去す
ることである。プラークや微生物などの沈着物を完全に除去していない義歯を装
着することは、不衛生というだけでなく、短期間で粘膜に対して有害な作用をも
たらす結果になる。その上、微生物沈着物は、義歯の作成に使われているプラス
チック材料のいわゆる微生物腐食に導き、変色や悪臭発生の原因になる。
義歯洗浄剤は、通常、コップに入れた温水に溶かして使用する。効果を発揮さ
せるためには、第1に、錠剤や粉末を迅速に溶解させる必要がある。このことは
、とくに圧縮成形した錠剤について言えることである。錠剤が溶解するときに発
生する泡が、錠剤の崩壊を助長し、泡の発生は消費者にとっては洗浄剤の効能の
しるしでもある。処方に界面活性剤を入れると、泡の発生と浄化作用を増進する
。さらに、薬剤が歯や義歯に沈積し、プラークの沈着を防止することが望ましい
。この目的に多くのシリコーン類が適していることが、たとえば、WO 96/1956
3とWO 96/19191に記載されている。しかし、シリコーン類には泡抑制作用もあ
る。その上、界面活性剤はシリコーンの沈積を妨害し、錠剤の溶解を遅くする作
用もある。
したがって、この発明の一つの目的は、プラークの沈着を防止し、発泡作
用の優れた顆粒状の義歯洗浄組成物を提供することである。
この発明のもう一つの目的は、錠剤に成形することができ、かつ、溶液に迅速
に溶解することができる顆粒状の義歯洗浄組成物を提供することである。
発明の概要
この発明は、無機過酸塩漂白剤、シリコーン油およびアニオン性界面活性剤、
非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびそれらの混合物から選択した0.
55〜3.8%の泡形成界面活性剤を含み、シリコーン油と泡形成界面活性剤が
別々の顆粒に入っている、顆粒状の義歯洗浄組成物を提供している。
顆粒状組成物は発泡活性が高く、義歯や歯にプラークが沈着するのを防ぐのに
役立つ。顆粒は自由に流動し、錠剤に成形しても迅速に溶解する。
この明細書のパーセンテージや比はすべて、とくに明記しないかぎり、組成物
の重量による。
発明の詳細な説明
この発明の顆粒状の義歯洗浄組成物は、錠剤でも顆粒でも、または粉末でもよ
いが、この明細書では錠剤の形態をした組成物が非常に好適である。錠剤の形態
をした組成物は、単層でも複数の層からなる錠剤でもよい。
組成物には、必須成分として無機過酸塩漂白剤、シリコーン油およびアニオン
性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびそれらの混合物か
ら選択した0.55〜3.8%の泡形成界面活性剤が含まれ、さらに、いくつか
の随意成分が含まれている。これらの各々について以下に説明する。過酸塩漂白剤
この発明の第1の必須成分は、過酸塩漂白剤である。漂白剤は、アルカリ金属
とアンモニウムの過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩およびアルカリ
金属とアルカリ土類金属の過酸化物などの、義歯洗浄剤で使用する周知の漂白剤
から選択することができる。適切な漂白剤の例には、カリウム、アンモニウム、
ナトリウム、リチウムの過硫酸塩と過ホウ酸塩の1および4水和物、ピロリン酸
ナトリウム‐パーオキシヒドレートおよびマグネシウム、カルシウム、ストロン
チウム、亜鉛の過酸化物がある。これらの内、この明
細書で使用するのに好適なのは、アルカリ金属の過硫酸塩と過ホウ酸塩およびそ
れらの混合物で、非常に好適なのはアルカリ金属過ホウ酸塩である。この明細書
の錠剤組成物は、アルカリ金属過硫酸塩がなくても、優れた抗菌活性を示すこと
が、この発明の一つの特徴である。
組成物全体に対する漂白剤の量は、一般的には約5〜約70%、好適には約2
0〜約60%である。好適な組成物には、過硫酸塩と過ホウ酸塩が共に含まれて
いる。過硫酸塩と過ホウ酸塩はいかなる比率でもよいが、良好な泡立ちは、重量
比が約0.8:1〜約5:1、好適には約1.5:1〜約4:1、より好適には約
2:1〜約3.5:1の場合に得られることが見いだされている。これら両成分
は、洗浄組成物の汚れ除去活性に寄与する有効な漂白剤である。
過硫酸塩として適当な化合物は、アルカリ金属とアンモニウムの過硫酸塩であ
る。モノ過硫酸カリウムまたはそれらの混合塩が好適である。モノ過硫酸カリウ
ム、硫酸カリウムおよび硫酸水素カリウムの2:1:1混合物で、活性酸素の含
有量が約4.5%である、Degussa社から販売されている
の商業的に利用できる混合塩がとくに好適である。過硫酸塩のレベルは、組成物
の重量で、約5〜約60%が適切で、好適には約20〜約50%、より好適には
約35〜約45%である。
適切な過ホウ酸塩類は、アルカリ金属過ホウ酸塩、とくに過ホウ酸ナトリウム
である。過ホウ酸ナトリウムは、1水和物または無水物として用いるのが好適で
あるが、4水和物も使用できる。過ホウ酸ナトリウムの1水和物または1水和物
と無水物の混合物がとくに好適である。無水物と1水和物の比は、0:100〜
30:70が適切である。過ホウ酸塩の総レベルは、組成物の重量で、一般的に
は約6〜約30%、好適には約10〜約25%、より好適には約12〜約18%
である。シリコーン油
粉末の第2の必須成分はシリコーン油である。この明細書で「シリコーン油」
は25℃で水に不溶性または混和できず、25℃で液体である、珪素ま
たはシロキサン骨格を有するポリマーまたはそれらの混合物を意味する。適切な
種類のシリコーン油には、ジメチコン類、ジメチコノール類、ジメチコン‐コポ
リオール類およびアミノアルキルシリコーン類があるか、これらに限定するわけ
ではない。
非常に好適なシリコーン油は、WO 96/19563とWO 96/19554に記載されてい
る、ジメチコン‐コポリオールやアミノアルキル‐シリコーン抗プラーク剤であ
る。
適切なアミノアルキルシリコーン類は、2つの基本ユニットを含む化学式を有
する非環式疎水性アミノアルキルシリコーン類から選択する:
1)(R1)m,(R)nSiO(4-m-n)/2、式中、m+nは1〜3の整数、nは1〜3
の整数、mは0か1か2であり、
2)(R1)a(R2)bSiO(4-a-b)/2、式中、a+bは1〜3の整数、aとbは整
数であり、R1とR2は独立に、随意にフロロまたはシアノ基、ヒドロキシ、アル
コキシおよびアセトキシで置換した約1〜約10個の炭素からなるアルキルとア
ルケニルおよびHから選択し、たとえば、R1とR2は独立に、メチル、エチル、
フェニル、ビニル、トリフロロプロピルおよびシアノプロピルから選択し、そし
てRは下記式で表され
式中、R3は、酸素原子により随意に置換または遮断された炭素原子数約1〜2
0個、好適には約3〜5個の2価アルキレンであり;R4、R5とR6は、同じで
あるか別であり、窒素および/または酸素原子により随意に置換または遮断され
た炭素原子数約1〜20個、好適には約1〜10個、より好適には約1〜4個の
アルキルまたは水素から選択し;そしてX-はハライド、ハイドロオキサイドお
よびトシレートなどのアニオンであり;前記アミノアルキルシリコーンは反復ユ
ニット骨格に約0.1〜2%、好適には約0.5〜2%
のユニット(1)を含んでいる。
好適なアミノアルキルシリコーン類にはアモジメチコン類か含まれている。ア
モジメチコン類は、アミノアルキル基を含むポリジメチルシロキサン、ポリマー
である。アミノアルキル基は、ペンダントとしてまたはポリジメチルシロキサン
鎖の一つ以上の末端に存在する。アミノアルキル部分Rを、
(CH2)3NH2
(CH2)3NHCH2CH2NH2
(CH2)3N(CH2CH2OH)2
(CH2)3NH3 +X-および
(CH2)3N(CH3)2(C18H37)+X-および
とくに、(CH2)3NH2と(CH2)3NHCH2CH2NH2
から選択するアミノアルキルシリコーン類が好適である。平均分子量が約5,000
以上、好適には約5,000〜約100,000、より好適には約5,000〜約30,000のアミノ
アルキル‐シリコーン類も好適である。
この明細書で使用するのに適したアミノアルキルシリコーン化合物はよく知ら
れている。アミノアルキルシリコーン類の調製方法は、たとえば、米国特許第2,
930,809号に記載されている。
アモジメチコン類の例には、OSIのMagnasoft流体がある。これらのポリマ
ーには、主にポリジメチルシロキサン構造に結合したアミノアルキル基が含まれ
ている。Magnasoftのアミノアルキル基含有ユニットの代表的構造は、下記のと
おりである:
OSi(Me)C3H6NHCH2CH2NH2
この明細書で用いるのに好適なアルコキシまたはアルコキシ‐ジメチコン‐コ
ポリオール類の化学式(I)は下記のとおりである:式中、Xは約1〜約16個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシおよびアシ
ル基および水素から選択し、Yは約8〜約22個の炭素原子を有するアルキルお
よびアルコキシ基から選択し、nは0〜約200であり、mは約1〜約40であ
り、qは約1〜約100であり、残基(C2H4O-)x(C3H6O-)yXの分子量は約
50〜約2000、好適には約250〜約1000であり、xとyはオキシエチ
レン:オキシプロピレンの重量比が100:0〜0:100、好適には100:
0〜約20:80になるようなものである。
好適な実施態様では、ジメチコンコポリオールはC12〜C20アルキル‐ジメチ
コンポリオール類およびそれらの混合物から選択する。商品名Abil EM90として
販売されているセチル‐ジメチコンポリオールが非常に好適である。
シリコーン抗プラーク剤は一般には、重量で、約0.1〜約5%、好適には約
0.2〜約3%、より好適には約0.3〜約1.5%のレベルで存在している。
この発明の義歯洗浄組成物の望ましい追加成分は、一般式(I)のシリコーン界
面活性剤である:
式中、Xは約1〜約16個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシおよびアシ
ル基および水素から選択し、Yはメチルであり、qは0であり、nは約1〜約1
00であり、mは約1〜約40であり、残基(C2H4O-)x(C3H6O-)yXの分子
量は約50〜約2000、xとyはオキシエチレン:オキシプロピレンの重量比
が100:0〜0:100になるようなものである。
ジメチコンポリオールである、シリコーン界面活性剤は、シリコーン抗プラー
ク剤か水性媒体に再分散するのを促進し、一方では、抗プラーク剤を歯、ゴムま
たは人工義歯に沈着させる。好適な実施態様では、シリコーン界面活性剤は、H
LB値か約8〜約14、より好適には約9〜約12であるジメチコンポリオール
類、およびそれらの混合物から選択する。この種の物質の適切な例には、Silwet
L7230という商品名で販売されているものがある。シリコーン界面活性剤は、組
成物の重量で、一般には、約0.1〜約5%、好適には約0.2〜約3%、より好
適には約0.3〜約1.5%のレベルで存在する。一般には、シリコーン界面活性
剤のレベルは、シリコーン界面活性剤とシリコーン抗プラーク剤の比が、重量で
約0.5:1〜約5:1、より好適には約0.8:1〜約3:1、最も好適には約
0.9:1〜約2:1になるように選択する必要がある。
シリコーン抗プラーク剤および/またはシリコーン界面活性剤の添加は、後で
くわしく説明するスプレイ乾燥した粉末を介して行う方法が好適である。
粉末には、水溶性キャリアが含まれている。この明細書で「水溶性キャリア」
とは、25℃で固体であり、顆粒状に加工することができ、約1重量%溶液で2
5℃において透明または半透明の水溶性になりうるもので、かつ、ヒトの皮膚や
粘膜で安全に使用できる物質を意味する。適切なキャリアには、ポリエチレン‐
グリコール、澱粉、アラビアゴム、トラガカントゴム、アカシアゴム、カラギー
ナン、セルローズ誘導体およびそれらの混合物があるが、これらに限定されるわ
けではない。好適には、キャリアはスプレイ乾燥して、自由流動性の粉末にする
ことができる。とくに好適な実施態様では、水溶性キャリアは、澱粉、アラビア
ゴム、トラガカントゴム、アカシアゴムおよびそれらの混合物から選択した食品
グレードのキャリアである。とくに好適なキャリアは、イギリス、マンチェスタ
ーのNational Starch & ChemicalからCapsul Eという商品名で利用できる変性澱
粉である。随意に、キャリアには、ソルビトール、マニトールまたはマルトデキ
ストリンなどの砂糖アルコールまたは糖類が含まれる。理論的な根拠はないが、
砂糖アルコールまたは糖類は、粒子表面に膜をつくり、粉末粒子によるオイルの
カプセル封入を改善するのに役立つと考えられている。好適なキャリアは澱粉と
ソルビトールの混合物であり、その比率はキャリアの重量で、好適には約2.5
:1〜約4:1、より特別には約3:1である。アカシアゴムとマルトデキスト
リンの混合物は、約1:2〜約2:1の比率にて適切に使用することができる。
水溶性キャリアは、一般に、スプレイ乾燥した粉末の重量で、約50〜約99
%、好適には約60〜約90%、より好適には約65〜約90%のレベルで存在
する。
粉末は一般に顆粒状で、粉末の容積平均粒子サイズは約20〜約500μm、
好適には約50〜約250μm、より好適には約80〜約150μmの範囲にあ
る。平均粒子サイズは、当該技術で周知の標準フルイを用いて測定することがで
きる。また、平均粒子サイズは、イギリスWorcs.のマルバーンにあるMalvern In
strument Ltd.から入手できるMalvern Mastersizer Xなどの市販の機器を用い
て測定することもできる。Mastersizerには好適には、MSX64 Dry Powder Feeder
および1.2〜600ミクロンの範囲で粒子を
測定する300mmレンズを取り付ける。
粉末は、シリコーン抗プラーク剤および/またはシリコーン界面活性剤を水溶
性キャリアの水溶液に分散させ、次いで得られた分散体をスプレイ乾燥してつく
ることができる。キャリア溶液の濃さは非常に重要というほどではないが、非常
に薄い溶液は乾燥にかなりのエネルギーを必要とすることが分かっている。キャ
リアの水溶液には、溶液の重量で、適切には約25〜約50%、より好適には約
30〜約45%、より特別には約35〜約40%のキャリアが含まれている。
この明細書の粉末に望ましい特性を持たせるには、分散体の中でシリコーン液
滴のサイズを制御することが重要である。一般には、シリコーンは約0.5〜約
20μmの範囲の容積平均液滴サイズを有する不連続な液滴の形で分散体に存在
する必要がある。さらに、平均スプレイ乾燥粒子サイズと平均液滴サイズの比は
、約2.5:1以上にする必要がある。好適な実施態様では、平均スプレイ乾燥
粒子サイズと平均液滴サイズの比は、約4:1以上、好適には約6:1以上、よ
り好適には10:1以上である。最終的なスプレイ乾燥粒子サイズと比べて小さ
な液滴は、粉末の流動特性とさらには加工性の改善に役立つ。所望の液滴サイズ
は、剪断混合を用いて分散体を形成し、そして位相差光学顕微鏡を用いて測定す
ることにより実現することができる。固定焦点長さを持ち、レチクルを取り付け
たNikon Labophot 2を400倍にて用いるのが、適切な操作である。サンプリン
グ誤差を小さくするためには、適切な観察回数が必要であると認識されている。
正確な回数は、たとえば、実現された液滴サイズ分布に左右される。所望の液滴
サイズが得られるまで、必要により剪断速度を調節して、分散体を混合する。
スプレイ乾燥シリコーン粉末には、好適には、香料や香油も含まれる。この明
細書で用いている「香料や香油」という用語は、粉末または粉末が加えられる最
終製品の風味および/または臭いまたは他の感覚的感じを変えることを主な目的
として粉末に加えられる香料や香料エッセンスおよび同等の合成成分を意味する
。上で述べたシリコーン抗プラーク剤やシリコーン界面活性剤は除外されている
が、親油性生理冷却剤は含まれる。
この明細書で使用するのに適した親油性香料には、ウインターグリーン油、オ
レガノ油、ベイリーフ油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブ油、サル
ビア油、サッサフラス油、レモン油、オレンジ油、アニス油、ベンズアルデヒド
、苦扁桃油、しょうのう、シダーリーフ油、マヨラナ油、シトロネラ油、ラベン
ダー油、からし油、松油、松葉油、ローズマリー油、タイム油、シナモンリーフ
油、およびそれらの混合物から選択した一つ以上の香料成分がある。
この明細書で用いるのに適した生理冷却剤には、カルポキサミド類、メタン‐
エステル類とメタン‐エーテル類およびそれらの混合物がある。この明細書で用
いるのに適した好適な冷却剤の例には、Takasago International社からのTakasa
go 10[3‐1-メントキシ‐プロパン‐1,2‐ジオール(MPD)]および1979年1月2
3日のWatsonらの米国特許第4,136,163号、1980年10月28日のRawsellらの米国特
許第4,230,688号に記載されているカルボキサミド類がある。
用いる香料や香油の量は、普通、望ましい香料の種類、ベースの種類および濃
さなどの要因による好みの問題である。この発明の組成物における香料や香油の
レベルは、一般に、スプレイ乾燥した粉末の重量で、約1〜約15%の範囲にあ
る。シリコーン抗プラーク剤と香料や香油(および使用する場合はシリコーン界
面活性剤も共に)の密着したプレミックスをつくり、次いで上で述べたキャリア
溶液においてプレミックスの分散体を形成して、香料や香油を組み込むのが好ま
しい。
水性キャリア溶液に混合物を分散させる前に香料や香油をシリコーン抗プラー
ク剤と密着した混合材を形成すると、分散油の液滴サイズを縮小し、粉末の流動
特性やさらには加工性を改善する作用があることが見いだされている。
香料や香油をシリコーン抗プラーク剤と密着した混合材を形成すると、歯や義
歯への香料や香油の本質的必要性を高め、それにより感覚的インパクトを高めた
り持続する作用があることがさらに見いだされている。同様に、親油性抗菌性化
合物が、香料や香油と同じ方法で有利に加えられ、抗菌効能を
高めたり持続させることができる。この明細書で使用するのに適した親油性抗菌
化合物には、チモール、メントール、トリクロサン、4-ヘキシルレゾルシノー
ル、フェノール、ユーカリプトール、安息香酸、過酸化ベンゾイル、ブチル‐パ
ラベン、メチル‐パラベン、プロピル‐パラベン、サリチルアミド類およびそれ
らの混合物がある。泡形成界面活性剤
この発明の第3の必須成分は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤
、両性界面活性剤およびそれらの混合物から選択した泡形成界面活性剤である。
この明細書で用いている「泡形成界面活性剤」というフレーズには、先に述べた
シリコーン界面活性剤は入っていない。この発明の義歯洗浄組成物で用いた泡形
成界面活性剤は、組成物の他の成分と、乾燥状態と溶液中の両方で、親和性があ
る多くの界面活性剤から選択することができる。
適切なアニオン性界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル‐
サルフェート類、アルキル‐エーテル‐サルフェート類、ドデシルベンゼン‐ス
ルホン酸ナトリウム(SDBS)などのアルキルアリル(aryl)-スルホネート
類、アルキル‐サルコシネート類およびアルキル‐スルホサクシネート
業的に利用できるラウリルスルホ酢酸ナトリウムである。主界面活性剤と追加の
補助界面活性剤を含む界面活性剤混合物を用いて、泡立たせ、界面活性剤全体の
レベルを下げることができることも見いだされている。泡形成界面活性剤の全体
量は、組成物の重量で、適切には約0.55〜約3.8%、好適には約0.7〜約
3%、より好適には約0.9〜約2%であり;補助界面活性剤の適切なレベルは
、組成物の重量で、約0.1〜約1%、好適には約0.2〜約0.5%である。泡
形成界面活性剤の総レベルが高すぎると、組成物、とくに錠剤組成物は溶けるの
が遅くなる。このレベルが低すぎると泡立ちが損なわれる。
適切な非イオン性および両性界面活性剤には、たとえば、脂肪族アルコール類
、フェノール類、脂肪族アミン類または脂肪酸アルカノールアミド類と酸化エチ
レンまたはプロピレンなどのアルキレン‐オキサイド類の縮合生成物、
脂肪酸アルカノールアミド類自身、多価アルコール類または砂糖類と長鎖(C8
−C22)脂肪酸のエステル類、たとえば、グリセリル‐モノステアレートまたは
サッカローズ‐モノラウレートまたはソルビトールポリオキシエチレンモノ‐ま
たはジ‐ステアレート、ベタイン類、スルホベタイン類または長鎖アルキルアミ
ノカルボン酸がある。
この発明の組成物の重要な特徴は、シリコーン油と泡形成界面活性剤が別々の
顆粒に入っていることである。「別々の顆粒」とは、泡形成界面活性剤がシリコ
ーン油とは本質的に別の顆粒に組み込まれていることを意味する。泡形成界面活
性剤をシリコーン油から物理的に分離していると、界面活性剤がシリコーンの沈
積プロセスを妨害することを防止するのに役立つことが見いだされている。これ
を実現する一つの方法は、上で述べたようにシリコーン油を含むスプレイ乾燥粉
末をつくり、かつ、泡形成界面活性剤を含む別の顆粒状プレミックスをつくるか
、または錠剤化する前の最終混合段階で賦形剤とともに泡形成界面活性剤を含め
ることである。泡形成界面活性剤を賦形剤とともに含める時は、結合作用が発揮
されて、錠剤の崩壊を遅延させる作用があるポリエチレン‐グリコールなどの追
加の結合剤の必要性をなくしたりまたは量を減らせることが見いだされている。随意成分
この発明の義歯洗浄組成物には、追加発泡剤、漂白活性剤、乾燥剤、キレート
化剤、酵素、香料、生理冷却剤、抗菌化合物、染料、甘味料、錠剤結合材と充填
材、脂肪酸砂糖エステル類などの泡安定剤、防腐剤、タルク、ステアリン酸マグ
ネシウム、微粉砕した無定形発熱性シリカなどの潤滑剤、などの通常の処方成分
を追加することができる。最終組成物の自由水の含有量は、約1%未満が望まし
く、好適には約0.5%末満である。
上で述べた過ホウ酸塩と過硫酸塩の組合せにより酸素気泡が発生する。好適な
実施態様では、重炭酸塩と酸を含む追加の二酸化炭素気泡発生剤が含まれている
。二酸化炭素気泡発生剤は、組成物がまず、pHが中性かやや酸性である水に加
えられる場合、迅速に初期気泡を発生させるのに有用である。初期気泡発生は、
固体組成物を水に分散させ、かつ、乱流を生じてその溶解
を助長する場合に価値がある。好適な重炭酸塩は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カ
リウムおよびそれらの混合物などの迅速に溶けるアルカリ金属重炭酸塩、とくに
重炭酸ナトリウムである。重炭酸塩は、酒石酸、フマル酸、クエン酸、りんご酸
、マレイン酸、グルコン酸、こはく酸、サリチル酸、アジピン酸またはスルファ
ミン酸などの有機または無機酸、およびフマル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム
またはカリウム、ベタイン塩化水素またはそれらの混合物などの1種以上の毒性
のない生理的に受け入れられるものとの混合材として提供される。これらの内、
スルファミン酸が好適である。
錠剤の形をした好適な義歯洗浄組成物では、二酸化炭素気泡発生剤は、水があ
ると二酸化炭素の気泡を遊離する、重炭酸ナトリウムとスルファミン酸を含む固
体プレミックスの形をしている。このプレミックスは、さらに、添加剤および炭
酸ナトリウムや染料などの賦形剤を含むことができる。炭酸ナトリウム自身は二
酸化炭素気泡を発生できるが、可溶性が重炭酸塩ほどではないので、この点から
利用価値が劣る。
重炭酸塩が存在することは利用価値があるが、二酸化炭素が多すぎると初期に
発生する泡を壊してしまうことも見いだされている。このような理由で、この組
成物が完全に溶解し始めたら酸素の発生が優勢になるように、重炭酸塩の比率は
過ホウ酸塩の比率をかなり下回るように制限するのが好ましい。過ホウ酸塩と重
炭酸の重量比は、両方が使用される場合、約2:1〜約20:1の範囲にあるの
が適切で、好適には約2.5:1〜約10:1、より好適には約3:1〜約5:
1である。
使用する場合、重炭酸塩は、一般には、全組成物の約1〜約20%、好適には
約3〜約10%、より好適には約4〜約6%を占めている。酸成分は、一般には
、全組成物の約2〜約15%、好適には約3〜約10%を占めている。
この発明のとくに好適な追加成分は漂白活性剤である。好適な漂白活性剤は有
機過オキシ酸前駆体で、これは一般的には、下記過酸生成テストにおいて0.1
Nのチオ硫酸ナトリウムの滴定量が1.5ml以上の化合物であると定義するこ
とができる。
テスト溶液は下記物質を1000mlの蒸留水に溶かして調製する:
この溶液に60℃で、存在する利用可能な酸素の各原子について、1分子当量
の活性剤が導入されるような量の活性剤を加える。
活性剤を加えて得られた混合物を激しく撹拌し、60℃に保つ。添加から5分
後に、ピペットで溶液を100ml取り出し、直ちに、250gの砕氷と15m
lの氷酢酸の混合物に加える。次いで沃化水素(0.4g)を加え、遊離した沃
素を、澱粉を指示薬として青い色が最初に消えるまで0.1Nチオ硫酸ナトリウ
ムで滴定する。用いたチオ硫酸ナトリウム溶液の量(ml)が義歯洗浄活性剤の
滴定量である。
有機過酸前駆体は、通常、過加水分解を受けやすい一つ以上のアシル基を含有
する化合物である。好適な活性剤はアシル基R‐CO(ここで、Rは好適には約
1〜約20個の炭素原子を有する炭化水素基または置換炭化水素基である)を含
むN-アシルまたはO-アシル化合物タイプの活性剤である。適切な過酸前駆体の
例には下記のようなものがある:
1)米国特許第3,117,148号で開示されている、化学式RCONR1R2のアシル
有機アミド類、式中、RCOはカルボン酸アシル基、R1はアシル基そしてR2は
有機基である。このグループに入る化合物の例には下記の化合物がある:
a) N,N‐ジアセチルアニリンとN-アセチルフタルイミド;
b) N,N‐ジアセチル‐5,5‐ジメチルヒダントインなどのN-アシル
ヒダントイン類;
c) GB-A-907,356,GB-A-907,357,GB-A-907,358,で開示され
ている、N,N,N’,N’‐テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)および
対応するヘキサメチレンジアミン(TAHD)誘導体;
d)GB-A-1,246,338,GB-A-1,246,339,GB-A-1,247,429,で開示
されている、テトラアセチルグリコルリルなどのアシル化グリコルリル類。
2) GB-A-3,183,266で開示されている、N-メチル‐N-ベンゾイル‐メン
タンスルホンアミドやN‐フェニル‐N‐アセチル‐メンタン‐スルホンアミド
などのアシル化スルホンアミド類。
3) GB-A-836,988,GB-A-963,135,GB-A-1,147,871,で開示されて
いるカルボン酸エステル類。この種の化合物の例には、フェニルアセテート、ア
セトキシ‐ベンゼン‐スルホン酸ナトリウム、トリクロロエチルアセテート、ソ
ルビトール‐ヘキサアセテート、フラクトース‐ペンタアセテート、p-ニトロ
ベンズアルデヒド‐ジアセテート、イソプロペニル‐アセテート、アセチルアセ
ト‐ヒドロキサミン酸およびアセチル‐サルチル酸がある。他の例は、米国特許
第3,130,165号に開示されているクロロアセチルフェノールやクロロアセチルサ
リチル酸などのアルファ塩素化低級脂肪族カルボン酸とフェノールまたは置換フ
ェノールのエステル類である。
4)一般式AcLのカルボン酸エステル類、式中、Acは随意に置換された、線
状または分岐C6−C20アルキルまたはアルケニル部分またはC6−C20アルキル
置換アリル(aryl)部分を含む有機カルボン酸のアシル部分、そしてLは残りの
基で、その共役酸のpKaは4〜13の範囲にあり、たとえば、オキシベンゼン
スルホネートまたはオキシベンゾエートである。この種の好適な化合物には下記
のようなものがある:
a) AcはR3−COで、R3は6〜20個、好適には6〜12個、より好
適には7〜9個の炭素原子を含む線状または分岐アルキル基であり、そして最長
の線状アルキル鎖は5〜18個、好適には5〜10個の炭素原子を含むカルボニ
ル炭素から伸び、かつ、このカルボニル炭素を含み、R3は随意にCl、Br、
OCH3またはOC2H5により置換(好適にはカルボニル部分に対してアルファ
の位置で)されている。この部類の物質の例には、3,5,5‐トリメチルヘキサ
ノイルオキシベンゼン‐スルホン酸ナトリウム、3,5,5‐トリメチルヘキサノ
イルオキシ安息香酸ナトリウム、2-エチルヘキサノ
イルオキシベンゼン‐スルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼン‐スル
ホン酸ナトリウムおよびオクタノイルオキシベンゼン‐スルホン酸ナトリウムが
あり、各例のアシルオキシ基は好適にはp-置換体である;
b) Acの化学式はR3(AO)mXAであり、式中、R3はアルキル部分に
6〜20個、好適には6〜15個の炭素原子を含む線状または分岐アルキルまた
はアルキルアリル(aryl)基であり、R5はCl、Br、OCH3またはOC2H5に
より置換されており、AOはオキシエチレンまたはオキシプロピレンであり、m
は0〜100であり、XはO、NR4またはCO‐NR4であり、そしてAはCO
、CO‐CO、R6‐CO、CO‐R6‐COまたはCO‐NR4‐R6-COであ
り、式中、R4はC1‐C4アルキルでありそしてR6は、アルキレンまたはアルケ
ニレン部分に1〜8個の炭素原子を含むアルキレン、アルケニレン、アリレンま
たはアルカリレンである。この種の義歯洗浄活性剤化合物には、
化学式R3(AO)mOCOLのカルボン酸誘導体、
化学式R3OCO(CH2)2COLのこはく酸誘導体、
化学式R3OCH2COLのグルコール酸誘導体、
化学式R3OCH2CH2COLのヒドロキシプロピオン酸誘導体、
化学式R3OCOCOLのシュウ酸誘導体、
化学式R3OCOCH=CHCOLのマレイン酸とフマル酸の誘導体、
化学式R3CONR1(CH2)6COLのアシルアミノカプロン酸誘導体、
化学式R3CONR1CH2COLのアシルグリシン誘導体、および
化学式R3N(R1)CO(CH2)4COLのアミノ‐6-オキソカプロン酸誘導
体がある。上の式で、mは好適には0〜10であり、R3は、mがゼロである場
合は、好適にはC6‐C12、より好適にはC6‐C10アルキルであり、mがゼロで
ない場合は、C9‐C15である。残りの基Lは上で規定したとおりである。
5)米国特許第3,332,882号で開示された、トリアセチル‐またはトリベンゾイ
ルシアヌレートなどのアシル‐シアヌレート類。
6)随意に置換した安息香酸またはフタル酸の無水物、たとえば、安息香酸無水
物、m‐クロロ安息香酸無水物とフタル酸無水物。
上で述べた化合物の内、タイプ1(c)と4(a)の有機過酸前駆体が好適である
。TAEDがとくに好適である。
漂白活性剤のレベルは、全組成物の重量で、好適には約0.1〜約10%、よ
り好適には約0.5〜約5%である。
この発明による義歯洗浄剤は、さらに、一つ以上の追加の漂白剤を含むことが
できる。追加の漂白剤の適切な例には、ピロリン酸ナトリウム‐パーオキシヒド
レートおよびマグネシウム、カルシウム、ストロンチウムと亜鉛の各過酸化物が
ある。
この発明で使用するのに適した錠剤結合材と充填材には、ポリビニル‐ピロリ
ドン、分子量20,000〜500,000のポリオキシエチレン、分子量約1,000〜約50,000
のポリエチレン‐グリコール類、分子量4,000〜20,000のカーボワックス、脂肪
酸類、カルボキシメチル‐セルローズーナトリウム、ゼラチン、脂肪族アルコー
ル、粘土、ポリマー性ポリカルボキシレート類、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウ
ム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化炭酸マグネシウム、硫酸ナト
リウム、たんぱく質、セルローズ‐エーテル類、セルローズ‐エステル類、ポリ
ビニルアルコール、アルギニン酸エステル類およびトリグリセリド類がある。上
述のものの内、ポリエチレンーグリコール類、とくに分子量が約1,000〜約30,00
0、好適には約12,000〜約30,000のポリエチレン‐グリコール類、およびトリグ
リセリド類が非常に好適である。
キレート化剤は、カルシウム、マグネシウムなどの金属イオン、および重金属
カチオンを溶液中に保持することによりクリーニングと義歯洗浄安定性を効果的
に助長する。適切なキレート剤の例には、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン
酸ナトリウム、ピロリン酸テトラナトリウム、ニトリロトリ酢酸、エチレンジア
ミン四酢酸(EDTA)およびそれらの塩類などのアミノポリカルボキシレート
類、およびヒドロキシエタンジホスホン酸、エチレンジアミン‐テトラメチレン
ホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸などのポリリン酸
類とアミノポリリン酸類およびそれらの塩類がある。キレート化剤は、乾燥状態
でも、また、水溶液中でも、義歯洗浄剤の他の成分と親和性があればよい。ED
TAとその塩類、とくに四ナトリウム
塩が好適である。組成物中のキレート化剤の含有量は、重量で、約0.1〜約2
0%が有利であり、好適には約0.5〜約5%である。しかし、組成物中のホス
ホン酸キレート化剤の含有量は、重量で、約0.1〜約1%が好ましく、好適に
は約0.1〜約0.5%である。
この明細書で使用するのに適した酵素の代表例には、プロテアーゼ、アルカラ
ーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、グルカナーゼな
どがある。
以下実施例により、この発明の範囲にある好適な実施態様について説明し、実
証する。
実施例I〜III
以下はこの発明による代表的義歯洗浄錠剤である。パーセンテージは義歯洗浄
錠剤の重量によるものである。
以下の実施例において、青と白の粒状体は、ローラコンパクションにより別々
につくっている。シリコーン含有スプレイ乾燥粉末は、先に説明した方法でつく
っている。2種類の粒状体とスプレイ乾燥粉末と賦形剤をプラネタリミキサで混
合し、次いで、この混合物を、punch and dye回転式錠剤プレスで約2×105kP
aの圧力にて圧縮して錠剤をつくる。
2Goldschmidtからのセチルジメチコン‐コポリオール3
Union Carbideからのジメチコン‐コポリオール、シリコーン界面活性剤4
National Starch & Chemicalからの変性澱粉5
Ingelheim Boehringerから入手できる大豆油からの硬化トリグリセリド類の混
合物
上の実施例IV〜VIIにおいて、錠剤の重さは3g、直径は25mmである。
実施例IV〜VIIの義歯洗浄錠剤は、凝集力や他の物理的特性並びに使用時の効
能が優れているとともに、抗プラーク活性や洗浄並びに抗菌活性が改善されてい
る。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C11D 3/43 C11D 3/43
17/06 17/06