JP2001503095A - ２サイクル潤滑油組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 適当な粘度を有し及びJASOテストにおける煙性能を向上させた高分子量及び低分子量ポリブテンポリマー、溶剤及び鉱油を含有する２サイクル油組成物を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 ２サイクル潤滑油組成物 本発明は、２サイクル油として有用な潤滑油組成物に関する。特に本発明は、 十分に煙生成特性を下げた、適当な粘度を有することを特徴とする２サイクル油 に関する。２ストロークサイクルガソリンエンジンは、50cc未満のエンジンの小 さなものから200〜500ccの高性能のものまで及ぶ。そのような高性能エンジンの 開発は、新規な２サイクル油標準及びテスト方法に対する要求を生み出してきた 。 ２サイクルエンジンは、燃料と潤滑油とを混合し、その混合した組成物をエン ジンを通過させることにより滑らかにされる。燃料と相溶性の、種々のタイプの ２サイクル油が当業界において記載されている。一般的に、そのような油は、油 が工業標準テストを通過して２サイクルエンジンにおける使用を可能にするよう に種々の添加剤成分を含有する。 英国特許第1,287,579号明細書（1972）には、低分子量及び高分子量ポリイソ ブチレンを２サイクル油に使用することが記載されているが、その油は鉱油をベ ースにしたものではない。 米国特許第5,498,353号明細書（1996）には、低煙特性を示すが、３種のポリ イソブチレンを有する油が開示されている。 本発明は、適当なバランスの低分子量及び高分子量のポリブテンポリマー、溶 剤及び鉱油により、煙生成が減少し、6,000cps未満（ブルックフィールド、−25 ℃）の望ましい粘度を有する２サイクルエンジン油を提供することができるとい う発見に基づく。 したがって、−25℃におけるブルックフィールド粘度が6,000cps以下である２ サイクル潤滑油組成物であって、 a)数平均分子量が約900〜1500のポリブテン、ポリイソブチレン、又はポリブテ ンポリマー及びポリイソブチレンの混合物であるポリブテンポリマー 9〜15重 量％； b)数平均分子量が約200〜250のポリブテンポリマー 5〜30重量％； c)窒素含有カルボン酸潤滑油分散剤 18〜23％； d)300℃までの沸点を有する、常態では液体の炭化水素溶剤 16〜20％； e)40℃において20〜40cStの粘度を有する鉱物潤滑油 20〜40％； の混合物を含有する前記組成物を発見した。 本発明の燃料油組成物中の成分a)として有用なポリブテンポリマーは、通常は C₄オレフィンの重合により得られ、一般的には約900〜1500の数平均分子量(Mn) を有するポリ−ｎ−ブテンとポリイソブチレンとの混合物である。成分a)として 、数平均分子量が約950〜1300のポリイソブチレン又はポリブテンが特に好まし い。最も好ましいのは、数平均分子量約950のポリブテン及びポリイソブチレン の混合物である。数平均分子量（Mn）は、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測 定される。100％ポリイソブチレン又は100％ポリ−ｎ−ブテンから構成されるポ リマーもまた本発明の範囲内であり、用語“ポリブテンポリマー”の意味の範囲 内である。 成分b)として、ポリブテンポリマーは同一であり、約200〜210のMn分子量を有 するのが好ましい。 成分a)又はb)として好ましいポリブテンポリマーは、約６重量％〜50重量％の イソブチレンを含有し、残部がブテン(シス-及びトランス-)イソブチレンと１重 量％未満のブタジエンの混合物であるC₄オレフィン精油所流から製造されるポリ ブテンとポリイソブチレンの混合物である。特に、好ましいのは6〜45重量％イ ソブチレン、25〜35重量％飽和ブテン及び15〜50重量％1-及び2-ブテンから構成 されるC₄流から製造されるポリマーである。ポリマーはルイス酸触媒により製造 される。 本発明の２サイクル油のc)成分は、約18〜25重量％、好ましくは約20〜22重量 ％の量で存在する潤滑油窒素含有カルボン酸分散剤である。これらのパーセンテ ージは分散剤製品に通常使用されている鉱油担体を含む。そのような分散剤の有 効成分量は一般的に約50〜95重量％である。 窒素含有カルボン酸分散剤は、置換したカルボン酸又はそれらの誘導体等のヒ ドロカルビル−置換カルボン酸アシル化剤のアミン反応製品を含む。一般的に、 アミンはポリアミンであり、好ましくはアミンはエチレンアミン、アミン残留物 (bottom)又はアミン縮合物である。ヒドロカルビル−置換カルボン酸アシル化剤 とポリアミンは、約0℃、好ましくは約50℃から、約200℃まで、好ましくは約15 0℃までの温度で反応する。通常、１等量のアシル化剤は、1〜4等量のポリアミ ン、好ましくは2〜4等量と反応する。 水素−置換カルボン酸アシル化剤は、モノカルボン酸又はポリカルボン酸から 誘導できる。一般的にポリカルボン酸が好ましい。アシル化剤は、カルボン酸又 はハライド、エステル、無水物等のカルボン酸の誘導体であり得、好ましくは、 酸、エステル又は無水物であり、より好ましくは無水物である。好ましくは、カ ルボン酸アシル化剤は琥珀酸アシル化剤である。 ヒドロカルビル−置換カルボン酸アシル化剤は、ポリアルケンから誘導される ヒドロカルビル基を有する試薬を含む。ポリアルケンの炭素数は、少なくとも約 8、好ましくは少なくとも約30、より好ましくは少なくとも35から約300まで、好 ましくは200まで、より好ましくは100までであることを特徴とする。一態様にお いて、ポリアルケンは少なくとも約500のMn（数平均分子量）値を特徴とする。 一般的に、ポリアルケンは、約500〜約5000、好ましくは約800〜約2500のMn値を 特徴とする。他の態様において、Mnは約500〜約1200又は1300の間で変化する。 本発明の油中で使用するのに好ましいのは、ポリイソブテニル基が約950又は 約450のMnを有し、それと、イソステアリン酸、テトラエチレンペンタアミン及 び無水マレイン酸を反応させることにより形成される分散剤との混合物であるポ リイソブテニルスクシンイミド分散剤である。 ポリアルケンは、炭素数2〜約16;通常は2〜約6、好ましくは2〜約４、より好 ましくは４の重合性オレフィンモノマーのホモポリマー及びインターポリマーを 含む。オレフィンは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン及び1-オク テン等のモノオレフィン;又はポリオレフィン性モノマー、好ましくは1,3-ブタ ジエン及びイソプレン等のジオレフィン性モノマーであり得る。好ましくは、イ ンターポリマーは、ホモポリマーである。好ましいホモポリマーの例は、ポリブ テン、好ましくは約50％のポリマーがイソブチレンから誘導されているポリ ブテンである。ポリアルケンは慣用の方法により製造される。 ヒドロカルビル−置換カルボン酸アシル化剤は、一種以上のポリアルケンと一 種以上の不飽和カルボン酸試薬との反応により製造される。不飽和カルボン酸試 薬は一般的にα−βオレフィン性不飽和を含有する。カルボン酸試薬は、カルボ ン酸試薬自体及び無水物、エステル、アミド、イミド、塩、アシルハライド及び ニトリル等のそれらの機能性誘導体であり得る。これらのカルボン酸試薬の性質 は、一塩基性又は多塩基性のいずれでもよい。多塩基性であるとき、トリ−及び テトラカルボン酸も使用し得るが、ジカルボン酸が好ましい。有用な一塩基性不 飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロト ン酸、2-フェニルプロペン酸等があげられる。多塩基酸の例としては、マレイン 酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸及びシトラコン酸があげられる。一般的 に、不飽和カルボン酸又は誘導体は、無水マレイン酸又はマレイン酸又はフマル 酸又はエステル、好ましくはマレイン酸又は無水マレイン酸、より好ましくは無 水マレイン酸である。 本発明のd)成分として有用な溶剤は、一般的に、常態では液体のガソリン又は 大気圧における沸点が約300℃以下の合成炭化水素溶剤として特徴付けることが できる。そのような溶剤はまた、本発明の２サイクル油のフラッシュ点が70℃よ りも高くなるよう、約60〜120℃の範囲のフラッシュ点を有していなければなら ない。一般的な例としては、ケロセン、水素化処理したケロセン、中間留出燃料 、イソパラフィン性及びナフテン性脂肪炭化水素溶剤、プロピレンブテン及び同 様のオレフィンの二量体及びより高級のオリゴマー並びにパラフィン性及び芳香 族炭化水素溶剤及びそれらの混合物があげられる。そのような溶剤は、２サイク ル油の性能に悪影響を及ぼさない炭素と水素以外の官能基を含有することができ る。好ましいのは、約199〜288℃の範囲の沸点及び40℃における粘度が1.71cSt の脂肪族水素化分解した軽炭化水素留出物である。 本発明の潤滑油のe)成分は、潤滑粘度、すなわち40℃において約55〜180cStの 粘度を有する炭化水素鉱油である。 適当な油としては、液体ガソリン油及び溶媒処理したか又は酸処理した、パラ フィン性、ナフテン性又は混合したパラフィン−ナフテンタイプの鉱物潤滑油等 の鉱物潤滑油が挙げられる。石炭又は頁岩から誘導される潤滑粘度の油もまた有 用な基油である。 本発明の油はまた、少量の種々の特定の目的の慣用の潤滑油添加剤を含有する ことができる。 本発明の組成物中に存在できる潤滑油用のさらなる慣用の添加剤としては、粘 度改質剤、腐食抑制剤、酸化防止剤、摩擦改質剤、分散剤、起泡抑制剤、磨耗抑 制剤、流動点降下剤、清浄剤、錆抑制剤等があげられる。 一般的な油溶性粘度改質ポリマーは一般的に、ゲル濾過クロマトグラフィーで 測定される平均分子量が約10,000〜1,000,000である。 腐食抑制剤の具体例は、リン酸硫化した(phosphosulfurized)炭化水素及びリ ン酸硫化した炭化水素とアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物とを反応させる ことにより得られる生成物である。 酸化防止剤は、カルシウムノニルフェノールスルフィド、バリウムt-オクチル フェノールスルフィド、ジオクチルフェニルアミン等の好ましくはC₅-C₁₂アルキ ル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステル並びに硫化又はリン酸硫化した 炭化水素のアルカリ土類金属塩により例示される抗酸化剤である。C₁₀〜C₁₈油溶 性脂肪酸の銅の塩等の油溶性抗酸化銅化合物もまた含むことができる。 摩擦改質剤はまた、脂肪酸エステル及びアミド、二量化した脂肪酸のグリセロ ールエステル及びスクシネートエステル又はそれらの金属塩をあげることができ る。 潤滑油流動性向上剤としても知られている流動点降下剤は、流体が流れる温度 を下げることができ、一般的なこれらの添加剤はC₈-C₁₈ジアルキルフマレートビ ニルアセテートコポリマー、ポリメタクリレート及びワックスナフタレンである 。 起泡コントロールはまた、シリコーン油及びポリジメチルシロキサン等のポリ シロキサンタイプの起泡抑制剤により提供され得る。 耐磨耗剤は金属部分の磨耗を低減し、代表的な物質はジアルキルジチオリン酸 亜鉛及びジアルキルジリン酸亜鉛である。 清浄剤及び金属錆抑制剤としては、スルホン酸、アルキルフェノール、硫化ア ルキルフェノール、アルキルサリチラート、ナフテネート及び他の油溶性モノ及 びジカルボン酸の金属塩があげられる。非常に塩基性のアルカリ土類金属スルホ ネート（特にカルシウム及びマグネシウム塩）等の天然又は非常に塩基性の金属 塩がそのような清浄剤としてしばしば用いられている。ノニルフェノールスルフ ィドもまた有用である。同様の物質も、アルキルフエノールと市販のサルファジ クロリドとを反応させることにより製造される。適当なアルキルフェノールスル フィドはまた、アルキルフェノールと硫黄元素とを反応させることにより製造で きる。 清浄剤として適当なのはまた、フェナートとして一般的に知られているフェノ ールの中性及び塩基性塩である。ここで、フェノールは一般的にアルキル置換し たフェノール基であり、置換基は炭素数約4〜400の脂肪族炭化水素基である。 本発明の油は、前述の成分を室温で簡単に混合することにより製造でき、本発 明のさらなる観点は前述の成分a)、b)、c)、d)及びe)を一緒に混合することによ り製造される油である。 本発明の特別の利点は、比較的低分子量のポリマー、すなわちMn約200〜250、 特に200〜210のポリブテンポリマーを使用することにより、ブルックフィールド 粘度が6,000cps(-25℃)未満、例えば約1,500〜3,000cpsであり、低分子量ポリブ テンポリマーを含有しない同様の成分の油よりも煙性能が実質的に向上している 油を製造できることである。このポリマーを使用することにより、２サイクル油 の煙生成に悪影響を及ぼすと考えられる、習慣的に比較的多量の高分子量ポリブ テン及び溶剤を含有せずに製品が効率的に機能できるようになる。 本発明の潤滑油組成物は、そのような２サイクルエンジンに使用される燃料と 自由に混合される。そのような潤滑油と燃料との混合物は、さらに本発明の態様 を含有する。２サイクルエンジンに有用な燃料は当業者には周知であり、一般的 には、炭化水素ガソリン留出燃料、例えばASTM規格D-439-73により規定されるモ ーターガソリン等の、常態では液体である燃料を多量に含有する。そのような燃 料はまた、アルコール、エーテル、オルガノニトロ化合物等、例えばメタノール 、エタノール、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ニトロメタン等の非 炭化水素材料も含有し、コーン、アルファ頁岩及び石炭等の植物及び鉱 物原料から誘導される液体燃料等の燃料も本発明の範囲内である。そのような燃 料混合物の例は、ガソリンとエタノール、ディーゼル燃料とエーテル、ガソリン とニトロメタン等の組み合わせである。そのとき、10％蒸留点におけるASTM沸点 が60℃であり、90％蒸留点におけるASTM沸点が約205℃である炭化水素の混合物 よりも好ましいものとしてガソリンを使用する。 本発明の潤滑油は、潤滑油１重量部あたり約20〜250重量部、より一般的には 潤滑油１重量部あたり約30〜100重量部の量の燃料と混合して使用する。 本発明をさらに以下の実施例により説明するが、実施例により本発明の趣旨を 制限的に解してはならない。 実施例 JASO M345試験方法、JASO M340、M341、M342及びM343により、３種の油の煙生 成特性を評価した。これは、２サイクルガソリンエンジン油について日本自動車 エンジニア協会(JSAE)により確立されたものである。1994年７月１日現在、２サ イクルエンジンにおいて使用される油は、日本自動車標準機関(JASO)により公表 されたJASO-M345標準により分類されている。JASOは、JASO M345標準を1994年４ 月に発行している。 これらのテストの一つ（M342）は、テストサイクルの一部の排気ガスの形成を 測定する方法を含む。結果は、煙指数として表し、煙指数100にランクされる標 準２ストローク油に対して内部に参照として記載した。煙指数が大きくなるにつ れて、煙の排出が少なくなる。テストは、70ccの、SUZUKI発電機SX800Rを使用し た。煙形成テストは、発電機を付けたSUZUKI 70cc２ストロークエンジンで、体 積比10:1でガソリンと油とを前もって混合した燃料を使用することにより行った 。テスト開始前、エンジンの排気パイプをガラスウール製のマフラーで覆った。 60Hz/800Wの高負荷でエンジンを操作し、エンジン排ガスにより加熱して排気パ イプからあらゆる残留油堆積物を除去した。エンジンをストップさせて冷まし、 その間マフラーを除去した。エンジンをスタートさせて50Hz/負荷ゼロ(0W)で20 分間運転した。さらにエンジンに負荷をかけて50Hz/700Wにして運転した。最大 排ガス密度は、煙メーターにより測定した。候補の油の煙指数は、対照油の煙指 数を100として計算した。 テストした２サイクル油 油EC35365及びEC35374は比較目的のためであり、低分子量ポリマー(PIB=ポリ イソブチレン)を使用することに帰する粘度及び煙指数の向上を示す。JASO煙指 数の合格値は少なくとも85であり、100を越える値が優れていると考えられてい る。 分散剤：14％ポリイソブテニル（Mn 950）スクシンイミドと、(i)油EC35373及び 35365中、8％ポリイソブテニル（Mn 450）スクシンイミドとの混合物、(ii)油EC 35364及びEC35374中、4％ポリイソブテニル(Mn 450)スクシンイミド及び4％イソ ステアリン酸テトラエチレンポリアミンと無水マレイン酸との反応物との混合物 溶剤:脂肪族炭化水素水素化分解留出物、沸点199〜288℃、粘度1.71cSt(40℃)LO FI：ジアルキルフマレート／ビニルアセテートコポリマー（潤滑油流動性向上剤 ） ポリオールエステル：混合したC₈-C₁₀モノカルボン酸のペンタエリトリトールエ ステル 鉱油:溶媒抽出した中性油、8.0cSt(100℃)

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｃ１０Ｎ 20:02 20:04 40:26 (72)発明者 ホフマン チャールズ フレデリック アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08853 ネシャニック ステーション ミ ル レーン 732

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 1．−25℃におけるブルックフィールド粘度が少なくとも6,000cpsであり、少な くとも85のJASO煙指数を示す２サイクル潤滑油組成物であって、 a)約900〜1500のMnを有するポリブテンポリマー 9〜15重量％； b)約200〜250のMnを有するポリブテンポリマー 5〜30重量％； c)窒素含有カルボン酸潤滑油分散剤 18〜23％； d)300℃までの沸点を有する常態では液体の溶剤 16〜20％； e)40℃において20〜40cStの粘度を有する鉱物潤滑油 20〜40％； の混合物を含有する前記組成物。 2．約200〜210のMnを有するb)成分の約10％が存在する請求項１記載の組成物。 3．ブルックフィールド粘度が約1500cps〜3000cpsである請求項１記載の組成物 。 4．a)成分のMnが950又は1300である請求項１記載の組成物。 5．JASO煙指数が100より大きい請求項１記載の組成物。