JP2001502930A - 踵骨に使用するボーンプレート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 踵骨骨折を治療するのに使用するボーンプレートは、踵骨表面の物理的形状に適合し、圧縮スクリュー開口(６)を備えることを特徴とする。好ましい具体例においては、ボーンプレートはＴ字形状であって、長手方向部分(４)と、長手方向部分(４)の中央に連結された横断方向部分(５)とを有している。長手方向部分(４)は、踵骨粗面から前突起までの距離にほぼ等しい長さを有し、横断方向部分(５)に対してオフセットされたアーチ部を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】 踵骨に使用するボーンプレート 本発明は、踵骨骨折の治療に使用するボーンプレートに関する。 踵骨は、その湾曲した表面の複雑な物理的形状のため、骨折の後において表面 形状を正確に復元することが困難である。困難な問題は比較的一般的である 後]。元の位置に復元された骨折片を安定させるために、主として、Ｈ字型およ びＴ字型のプレートが使用される。これらのプレートは平坦であって、場合によ っては、踵骨の湾曲形状に適合するような湾曲形状とされている(FR-A-2622431) 。これは、手先がかなり器用であることを要求するだけでなく、骨折した骨の表 面形状を正確に示す写真を手術医が所持していることが必要となる。しかしなが ら、粉砕骨片が存在するためそのような正確な写真を撮ることは困難である。さ らに、Ｈ字形状やＴ字形状の利用できる表面形状は、多くの場合、骨折パターン には適合しない。輪郭および物理的形状の不適切なプレートを選択すると、好ま しくない結果を招くが、これに対する配慮は払われない。骨折部分の隙間が大き くて、治療が十分でないということも起こり得る。 本発明は、上記の不利益を最小限に抑えることをその目的とする。本発明にお いては、踵骨骨折を治療するボーンプレートが、踵骨表面の物理的形状に適合す るものであって圧縮スクリュー開口を備えているという事実によって、それが達 成される。 踵骨表面の物理的形状に適合するのは、主として、踵骨粗面(calcaneal tuber osity)と前突起(anterior process)との間における側面形状に関連する。しかし ながら、踵骨粗面の中央突起(medial process)と載距突起(sustentaculum tali) との間の中央面もまた関連している。プレート形状が踵骨の平均的な表面形状に 適合するので、各骨の形状が平均的な形状からずれていても、ボーンプレートの 形状に起因して、骨折した骨の位置の復元が不適切になるのを排除できる。 さらに、極端な場合には、手術医が簡単にプレートを僅かに変形させることがで きる。手術医が行う修正は形状の僅かな変更に限られているので、形状合わせに 失敗する危険もない。多数のスクリュー開口による圧縮効果により、各骨折片は 互いに隙間無く引き合わせられる。このこと自体は知られている(DE-U-9217769) 。 踵骨の骨折片は非常に多様であるが(ZWIPP、loc．cit．)、ある代表的なパタ ーンが顕著である。本発明は、一般的な骨折パターンの大部分のものに適したボ ーンプレートを提供する。第１具体例は、長手方向部分と、長手方向部分のほぼ 中央に連結された横断方向部分と、を有するＴ字型のものである。長手方向部分 は、踵骨粗面と前突起との間の面の拡がりにほぼ対応する長さを有している。長 手方向部分は、横断方向部分に対してオフセットされたアーチ部を備える。アー チ部は、埋め込まれたとき、横断方向部分の前方に位置し、腓骨平滑面のための スペースを与える。２つの端部開口のうち少なくとも１つが圧縮スクリュー開口 として設計されているので有利である。このプレートは、背面側滑面骨折片(pos terior facet fragment)を塊茎状部分(tuberous)または支柱骨折片(sustentacul ar main fragment)に連結させる治療に極めて適している(専門用語については、 ZWIPP、Ioc．cit．第238頁を参照)。圧縮スクリュー開口が互いに向かいあって いると、各骨折片が互いに引き合う。 この横方向に配置されたプレートを、中央に配置したプレートによって補足し 、Ｈ字形状に近い形にすることができる。この場合には、骨中央の凹状面に配置 することができる。このプレートは、踵骨粗面の中央突起と載距突起との間に配 置され、縦軸周りに30〜50°（好ましくは35〜45°）だけ捩られる。自然な傾斜 を呈する踵骨上において、このプレートはほぼ平行に、または後端に向かってや や上向きに配置される。その２つの端部は、それぞれ、一対の圧縮スクリュー開 口を有する。各開口は、互いに近づき、かつプレート中央に向かって斜めに延び る締付方向に向けられている。 本発明のボーンプレートの他の具体例は、横方向に配置され、いわゆる舌状骨 折(tongue fracture)に特に適している。この具体例は、ほぼ中央が湾曲した長 手方向部分と、長手方向部分の後端から両側に突出した横断方向部分と、長手方 向部分の前端から下方に突出した第１突出部分と、この他端近傍から頭上側に突 出し第１突出部分からオフセットして形成された第２突出部分と、を備える。こ れら２つの突出部分(適切な場合には長手方向部分も含めて)は、長手方向部分と 平行に延びる軸の周りに互いに捩られ、または湾曲されており、これにより、そ の間に存在する長手方向部分は湾曲し、とくに第１突出部分は内側に下降する。 舌状骨折においては、長手方向部分の後端部に配置された横断方向部分は、背面 側滑面骨折片と、その下方に存在する塊茎状骨折片とを互いに引き合わせるのに 適している。第１突出部分は、前突起を保持するために踵骨のネック部周囲をグ リップすることができる。一方、背面側滑面下方に位置する第２突出部分は、背 面側滑面骨折片またはこの位置にある他の骨折片を位置決めする。 この場合においても、中央側において、上述のほぼＨ型形状のプレートを使用 することが有益である。 具体例を示す添付の図面を参照して、以下に本発明をさらに詳細に説明する。 図１は、ほぼ自然な姿勢にある踵骨を示す側面図である。本発明の第１具体例 に係るボーンプレートが取り付けられている。 図２は、図１のボーンプレートを矢印II方向から見た図である。 図３は、本発明の第２具体例に係るボーンプレートが取り付けられた踵骨を示 す図である。 図４および図５は、図３のボーンプレートをそれぞれ矢印IVおよびＶの方向か ら見た図である。 図６は、本発明の第３具体例に係るボーンプレートが取り付けられた踵骨を示 す図である。 図７は、図６のボーンプレートを矢印VIIの方向から見た図である。 図１および図２に示した第１具体例のボーンプレートは、Ｔ字型プレートであ る。このボーンプレートは、図１に破線で示したような、塊茎状骨折片１と、背 面側滑面骨折片２と、支柱骨折片３との間における骨折に適用される。特に背面 側滑面骨折片２は、さらに別の骨折片または挫傷を伴うことがある。 このボーンプレートは、長手方向部分４および横断方向部分５で構成される。 長手方向部分４は、その後端を踵骨粗面の側面に、その前端をネックまたは前突 起の側面に、それぞれ位置させた状態で取り付けられている。横断片の端部は、 距骨後方の関節面端縁から僅かに距離をおいたところに位置する。ボーンプレー トの端部には、締付方向が中央に向いた圧縮スクリュー開口６が形成されている 。プレートの中央領域に２つの開口７を設けてもよい。 図２から分かるように、長手方向部分４は、アーチ部８を有している。アーチ 部８の中央は、横断方向部分５つまりその中央よりもやや前方側に位置している 。これに対して、横断方向部分５の端部は、長手方向部分４の端部とほぼ同一平 面内に位置している。前突起の側面中央が下方領域に向けて後退することを考慮 して、長手方向部分４の前端を僅かに湾曲させたり、後端に対して捩れさせても よい。 図３の第２具体例は、長手方向部分10と、その後端部に設けられた横断方向部 分11とを備えており、Ｔ字型に近い形状である。横断方向部分11は、長手方向部 分10から上下に突出しており、各部に圧縮スクリュー開口６が形成されている。 ２つの圧縮スクリュー開口６は、互いに向かい合う方向に形成されており、上方 に位置する背面側滑面骨折片12を下方側の塊茎状骨折片に連結し、これらの骨折 片を引き合わせる。長手方向部分10の前端付近には、上方に突出する突出部分14 が形成されている。この突出部分14には、圧縮スクリュー開口６が形成されてお り、同様に背面側滑面骨折片と係合する。突出部分14の中心は、長手方向部分10 からの距離が１〜２cmであることが好ましい。長手方向部分10の前端には、下方 に突出する突出部分15が形成されている。突出部分15に形成されたスクリュー開 口16は、前突起を固定するのに使用される。長手方向部分10の長さ方向に沿って 、さらに別のスクリュー開口を形成してもよい。 上方突出部分14に形成された圧縮スクリュー開口６は、下方に向かうとともに やや前方側に向けられている。 長手方向部分10は、前方側の１/３においてその中央部分が外側に向かって湾 曲している。さらに、上下の突出部分14、15は、その長手方向に平行に延びる軸 の周りに外側に湾曲しており、下方突出部分15の方が踵骨のネック部周りにより 良く適合する。さらに各突出部分は、図５に示すように、後方側の横断方向部分 11に対して僅かに捩れている。 かなり短い突出部分を備えたこのボーンプレートの利点は以下のごときである 。 すなわち、これらの突出部分は関節部分(例えば距骨)近傍に向かう方向に向けら れているが、その長さが短いために、その関節内に危険なほどの長さで突出する ことはない。 本発明の第３具体例のプレート18は、図６および７に示したように、Ｈ字型ま たは、両端がやや拡がったエクレアのような形状である。これらの両端には、そ れぞれ、一対の圧縮スクリュー開口６が形成されている。各対を構成する圧縮ス クリュー開口６は、互いに向き合うとともにプレート中央に向かって傾斜してい る。プレートの拡がった２つの端部は、図７に示したように、互いにほぼ40°捩 れている。したがって、このプレートは、親指のための長い屈筋の溝に対して平 行にされる必要はなく、ほとんど平行または後方に向かってやや上向きに配置す ることができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．踵骨骨折の治療に使用するボーンプレートであって、骨表面の物理的形状に 適合し、圧縮スクリュー開口を備えていることを特徴とする、ボーンプレート。 ２．長手方向部分(４)と、長手方向部分(４)のほぼ中央に連結された横断方向部 分(５)と、を有するＴ字型の請求項１記載のボーンプレートであって、 長手方向部分(４)は、踵骨粗面から前突起までの距離にほぼ等しい長さを有し 、横断方向部分(５)に対してオフセットされたアーチ部(８)を備える、ボーンプ レート。 ３．長手方向部分(４)の対向する２つの端部開口のうち少なくとも１つが圧縮ス クリュー開口(６)として設計されていることを特徴とする、請求項２記載のボー ンプレート。 ４．横断方向部分(５)の端部開口が圧縮スクリュー開口(６)として設計されてい ることを特徴とする、請求項２または３記載のボーンプレート。 ５．中央において前方１/３が湾曲した長手方向部分(10)と、長手方向部分(10) の一端から両側に突出した横断方向部分(11)と、長手方向部分(10)の他端から片 側に突出した第１突出部分(15)と、第１突出部分(15)からオフセットして形成さ れており上記他端近傍から上記片側とは反対側へ突出する第２突出部分(14)と、 を備えることを特徴とする請求項１記載のボーンプレートであって、 上記２つの突出部分(14、15)が、適当な場合には長手方向部分の上記他端とと もに、長手方向部分(10)と平行に延びる軸の周りに互いに角度をつけられ、また は捩れている、ボーンプレート。 ６．横断方向部分(11)の両端に、互いに近づく方向成分を有して圧縮スクリュー 開口(６)が形成されていることを特徴とする、請求項５記載のボーンプレート。 ７．第２突出部分(14)に、長手方向部分(10)に向かう方向成分を有する圧縮スク リュー開口(６)が形成されていることを特徴とする、請求項５記載のボーンプレ ート。 ８．第１突出部分(15)に、長手方向部分(10)に向かう方向成分と横断方向部分(1 1)に向かう方向成分とを有する圧縮スクリュー開口(６)が形成されていることを 特徴とする、請求項５記載のボーンプレート。 ９．Ｈ字型プレート(18)状に設計されており、その長手軸周りに30〜50°捩られ たことを特徴とする、請求項１記載のボーンプレート。 10．Ｈ字型プレート(18)状に設計されており、その２つの端部にそれぞれ一対の 圧縮スクリュー開口(６)が形成されており、当該開口は、互いに近づき、かつプ レート中央に向かって斜めに延びる締付方向に向けられていることを特徴とする 、請求項１または８記載のボーンプレート。