JP2001502564A - 改良された外傷用傷当材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 基準マーク（２５）を帯びている裏地層（２０）と、親水コロイド層（３０）と、そして剥し取り層（４０）とを有している改良された外傷用傷当材（１０）を提供する。親水コロイド（３０）は使用されると膨潤する。この膨潤は、裏地層（２０）を通して見たり感じたりすることができる。この膨潤が基準マーク（２５）に到達するかこれを越えると、液が漏れないように傷当材（１０）を交換しなければならない。このようにすると、傷当材（１０）をできるだけ長く着けておけて、しかも、その下の皮膚に損傷を与えるほど長くはならない。

Description

【発明の詳細な説明】 改良された外傷用傷当材 技術分野 本発明は、傷の手当に有用な外傷用傷当材に関する。 発明の背景 ここでいう傷の治療と手当に関連して、「傷」という用語は、圧迫潰瘍（Ｉ− IV段階）や下肢潰瘍などの慢性外傷、外科的創傷（例えば、術後の外傷）などの 急性外傷、軽い擦過傷や裂傷などの外傷性の傷、火傷（第１および第２度）、刺 し傷、モー手術、皮膚切除などを意味する。外傷の治療で重要なことは、上皮組 織、即ち、その外傷の上に新しい細胞が治癒過程の間に成長する領域の要求を考 慮に入れて、治癒がうまく行くようにするということである。外傷の治療で、も う一つ考慮しなければならないのはその回りの傷ついていない皮膚の要求である 。 傷は、一般には周辺内部からの成長によって上皮組織が変移しながら治癒して いくということが判っているので、治療は、この新しい領域や既存の中継ぎをし てくれる組織を必要以上に損傷したり刺激したりしないように行われる。従来の 傷当材では、非常に長期間、傷当材が交換されるまで傷に付けられたままになっ ていることでしばしば問題が起こり得るのである。例えば、傷当材が上皮組織に くっついてしまい、肉芽組織や新しい細胞の成長が傷当材の母材の中で絡み合っ てしまうことがある。これらの例では、傷当材を取り除くことは繊細な組織や新 たに成長したものに損傷を与え、傷の治癒の進行を退行させてしまう危険性があ る。 従って、傷の治療において考慮すべき別の重要なことがらは傷当材の交換頻度 である。傷が大量の分泌液を出しているときは、頻繁に傷当材を取り替え、傷の 分泌液が少ないときはあまり頻繁に換えないのが望ましいであろう。それでも、 傷当材を交換するときはいつも、繊細な組織や新たに成長したものに必要以上に 損傷を与えてしまう危険がある。更に、傷の液の中の正の成長因子が必要以上に 傷床から取り除かれてしまって、その正の効力を阻害してしまうのである。従っ て、傷当材を適切なときに、しかも、繊細な組織や新たに成長したものに不必要 な損傷を与えないような、あるいは正の成長因子を必要以上に取り除かかいよう な、頻度で交換することが重要である。 残念ながら、従来の傷当材は、看護者あるいは患者に傷当材を交換すべきかど うかの決定を委ねているものが大部分である。特に、医療の非専門家や患者のみ の場合、傷当材を交換すべき時期を知るのは困難であろう。例えば、現在使われ ている外傷、具体的には下肢潰瘍に対するある種の治療法は、潰瘍にガーゼを当 て、圧迫巻きをしてガーゼを潰瘍に固定している。看護者は、本質的に、傷当材 を交換するのはいつが適切なのか単なる推測しかできない。傷当材をあまりにも 頻繁に交換すると、その下の組織に損傷を与え、傷当材の有効寿命を無駄にして しまう。逆に、ガーゼをあまりにも長期間にわたってそのままにしておくと、傷 からの分泌液が患者の周辺の皮膚を過度に濡らし浸解し始めることになる。 下の皮膚や傷の状態を監視する手段を与えられた傷当材も幾つかある。例えば 、ある傷当材が米国特許第５，１８１，９０５号に開示されている。この傷当材 には、下の皮膚や傷の状態を感知することのできる電気・機械的指示手段を設け るのが好ましい。この指示器は、一連の封入された感温・色感応液晶である。 別に、米国特許第３，６７５，６５４号に示されている包帯のような指示器付 きの包帯もある。この包帯は、非透水性材料の透明な裏地シートに設けた吸収パ ッドを含んでいる。水分で作動する指示剤がパッドと裏地シートの間にある。こ の指示剤は水溶性の色素である。使用されていて吸収パッドと指示剤が濡れると 、結果としてこのパッドと裏地シートの間にできた溶液は、裏地シートを通して 見えるようになり、濡れているということを示すことになる。しかしながら、濡 れているといことを示すだけでは、包帯を交換しなければならないということを 示すには不十分である。実際、濡れたという度に包帯を交換すると、頻繁に包帯 を代えすぎてしまい、繊細な組織や新たに成長したものがその度に損傷を受けて しまう危険性がある。 包帯にマークするというのもあり、例えば、患者の皮膚から包帯を取り除くと きの適正な方向を示してその下の治癒中の傷への損傷を最小限にしたり（例えば 米国特許第４，３３４，５３０号を参照）、傷の大きさが小さくなるのを監視で きるようにしたり（例えば米国特許５，０００，１７２号を参照）、圧迫して止 血するのに最適な部位に印を付けたり（例えば米国特許第５，３１０，４０２ 号）するものがある。 傷にはさまざまなタイプのものがあり、入手できる傷当材も数多あり、治癒に もいろいろな段階があることを考慮しても、早まった傷当材の交換、特に、非医 療専門家による交換を最小限にして包帯の使用期間を最適にし、しかも、頻繁に 傷当材を交換することによって周辺の皮膚、組織および新たに成長したものに損 傷を与えるのを防止するように機能する傷当材に対するニーズがある。 発明の要約 そこで、本発明によって改良された外傷用傷当材を提供する。この傷当材は、 基準マークを帯びた裏地層と、親水コロイド層と、そして剥し取り(release)層 即ち取出し(delivery)システムとを有する。使用するときは傷当材を傷に被せる 。傷は分泌液を出すが親水コロイド層がこれを取り込み、この親水コロイド層は 膨潤する。好適実施例においては、親水コロイド層が膨潤すると、白色に変わる 。この膨潤は、裏地層から見て取れるし触っても分かる。膨潤が基準マークまで 到達するか、これを越えると、傷当材を交換しなければならない。このようにす れば、傷当材をできるだけ長い間着けたままにしておくことができ、頻繁に傷当 材を交換することによってその下の皮膚に損傷を与えることもなく、液が漏れる こともない。このようにすれば、本発明の外傷用傷当材は、傷当材交換の回数を 最小限にし、頻繁に傷当材を交換することによる傷の周辺の繊細な治癒中の皮膚 に損傷を与える恐れも最小限に抑えられる。更に、分泌液が漏れる危険性も最小 限になり、特に非医療専門家にとっての外傷用傷当材の管理全体が簡単になり医 療コストも下がるのである。 図面の簡単な説明 図１は、本発明の一実施態様の斜視図である。 図２は、傷当材を交換するばかりになった状態の、図１に示す本発明の実施態 様の斜視図である。 発明の詳細な説明 図１を参照すると、本発明の外傷用傷当材１０の実施態様が示され、基準マー ク２５の付いた裏地層２０を有していて、これは親水コロイド層３０を覆ってい る。剥し取り層４０も示されている。 親水コロイド層３０は、通常、分泌液を出す傷の治療用として既知であって、 具体的には、高分子マトリックスに分散せしめられている（例えば、エラストマ ー・マトリックスに懸濁された）親水コロイドである液体相互作用接着剤を有し ている。これらの材料は、濡れた表面にくっ付くことができるものが好ましい。 例えば、チェンは、米国特許第３，３３９，５４６号において、１種類または それ以上の水溶性または膨潤性の親水コロイドとポリイソブチレンなどの粘性物 質を混ぜたものを有する接着剤を開示している。本件の場合の裏地層に対応する 非水溶性材料のフィルムが接着剤の一方の面に貼り付けてある。 ドイル等も、米国特許第４，５５１，４９０号において、本発明の傷当材の親 水コロイド層として使用するのに適した感圧接着剤を開示している。この接着剤 は、５ないし３０重量％の１つまたはそれ以上のポリイソブチレン、あるいは１ つまたはそれ以上のポリイソブチレンとブチル・ゴムの混合物と、３ないし２０ 重量％の１つまたはそれ以上のスチレン放射状あるいはブロックタイプの共重合 体と、８ないし４０重量％の鉱物油と、１５ないし６５重量％の１つまたはそれ 以上の水溶性親水コロイド・ゴムと、１つまたはそれ以上の膨潤粘着強化剤であ って、親水コロイドと強化剤がともに１５から６５重量％の間の量であれば、１ ５重量％以内の強化剤と、７．５ないし１５重量％の粘着性付与剤とを有してい る。 親水コロイド層３０としては、コンバテックのデュラヒーシブ(登録商標)、デ ュオダーム(登録商標)、デュオダーム(登録商標)ＣＧＦ(登録商標)およびストマ ヒーシブ(登録商標)など市販されているものが好ましい。とは言え、これらの親 水コロイドあるいは接着剤は本発明によく適しているものではあるが、あくまで も例の意味でしかない。皮膚に適合した親水コロイドであれば使用しても構わな い。同様に、親水コロイドの層の厚さは都合のよい厚さであればよいが、これは 当業者であれば容易に理解できよう。例えば、この層は、約１ミルから２００ミ ルまで、好適には１０ミルから１００ミルまで、更に好適には２０ミルないし５ ０ミル、３５ミルないし４５ミルの厚さが最適である。 本発明の一実施例においては、外傷用傷当材の親水コロイド材料は、更に、抗 菌性の外傷治癒剤、および／または臭気抑制剤などの補助剤を含んでいてもよい 。 更に、変色添加剤を含有させて、親水コロイドが見えるようにすることもできる 。具体的には、変色添加剤を親水コロイド層に入れて、基準マーク（下記に詳述 する）と一致させることができる。広がっていく膨潤の前縁が基準マークに到達 するか、これを越えたら、変色剤が機能して基準マークの所の親水コロイド層を 見えるようにすることができる。外傷の治療に通常使用される他の添加剤を更に 含めてもよい。例えば、約２から２０重量％の間の酸化亜鉛を、好適には約１０ 重量％の酸化亜鉛を親水コロイド層に含めてもよい。酸化亜鉛は、傷の周辺の皮 膚の治療の助けになるだけでなく、液相互接着材料が、含有されている酸化亜鉛 に対して更に柔軟になるようにもする。 外傷用傷当材の裏地層２０は、適切な高分子材料であることが好ましい。これ は、既知の、高分子フィルム、不織材料、織物など、あるいはこれらを組み合わ せた物でもよい。これは、薄くて柔軟性があり、快適であり、弾性を有し、しな やかでグニャグニャした薄い材料であって、解剖学上の身体の部位などの不規則 な面あるいは輪郭をなぞって撓んだり曲がる物でできていることが好ましい。裏 地層２０は、透明か半透明であることが好ましいが、不透明であってもよい。裏 地層２０は、酸素が傷当材に入って行けるように透気性があるとともに、皮膚面 からの水分が傷当材を通して逃げていけるように透湿性も持っているとよい。更 に、当業者の選択によっては、裏地層２０は、特定の傷あるいは治療対象の表面 に対して液体、空気、バクテリアを通さないようにすることもできる。ポリウレ タン層あるいはポリエチレン・フィルムが本発明の裏地層として使用するのには 特に好ましい。 裏地層２０は基準マーク２５を帯びている。基準マークは都合のよい様式なら どんな形にしてもよい。例えば、基準マークは、裏地層に印刷しても型押しして もよいし、裏地層を通して見えるか触ることができるようにして別の層にしても よい。基準マークは、傷当材を交換する必要があることを指示するように付ける 。即ち、吸収された傷からの分泌液が基準マークに到達するか、これを越えたと き、傷当材を交換しなければならないということである。基準マークは、例えば 、傷当材の寸法と形、親水コロイド層の構成と厚さ、傷当材をされる外傷などに よって都合のよい寸法、形、形態であればよい。基準マークは、例えば、実線、 破線、 文言、濃淡、記号などのどんな構成からできていてもよい。当業者であれば、基 準マークを、例えば傷当材の縁に隣接させるなど裏地などの適切な位置に付けて 、傷当材ができるだけ長く使えて傷当材の交換を最小限にするようにすることは 容易にできるであろう。勿論、特定の状況では、傷当材の最大有効期間よりも短 い期間を示す位置に基準マークを付ける方が有用であることもあるであろう。本 発明は、基準マークが適切な場所に付けてある傷当材を包含している。 剥し取り層４０は、既知の都合のよい剥し取り層あるいはシステムでよい。例 えば、シリコン処理したポリエステル剥し取りタブとシリコン処理した剥し取り 紙の組合せを含むものでよい。 図２は、本発明による外傷用傷当材の一実施態様を、傷当材が交換するばかり になっている状態で斜視図に示している。図１のように、外傷用傷当材１０に基 準マーク２５を付けて示している。傷が分泌液を出すと、親水コロイド層がこの 分泌液を取り込む。親水コロイド層が膨潤し、ある好適な実施例では白く変わる 。（ある添加着色剤などの薬剤を欠くと、親水コロイドは水和されて白く変わる のである。）これは裏地層を通して見える。この膨潤５０が基準マークに到達す るか、これを越えると、傷当材は交換しなければならない。このように傷当材を 交換すると、傷当材の寿命を最長にし、周辺の皮膚、組織および新たな細胞の成 長が必要以上の頻度の傷当材交換によって妨害されることがないようにするので ある。 外傷用傷当材、および上記のような基準マークは、傷当材をすべき外傷に合わ せて都合のよい寸法、形状にすればよい。簡単にするために、それらは中心が同 じの矩形だけで示した。 当業者であれば、説明した実施態様を本発明の主旨および範囲から逸脱しない で修正することができるであろう。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スミス，サリーナ アメリカ合衆国18914ペンシルベニア州 チャルフォント、カーディナル・ロード 184番

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．基準マークを帯びた裏地層と、親水コロイド層と、剥し取り層とを有する外 傷用傷当材。 ２．前記親水コロイド層がエラストマー・マトリックスの中に懸濁されている親 水コロイドを含んでいる請求項１の傷当材。 ３．前記親水コロイド層が抗菌性の外傷治癒剤あるいは臭気抑制剤を含んでいる 請求項１の傷当材。 ４．前記裏地層が高分子フィルムである請求項１の傷当材。 ５．前記裏地層がポリウレタン層である請求項４の傷当材。 ６．前記剥し取り層が、シリコン処理した剥し取りタブとシリコン処理した剥し 取り紙とを含んでいる請求項１の傷当材。 ７．その基準マークが親水コロイド層の膨潤が監視できるような位置にある請求 項１の傷当材。 ８．親水コロイド層の膨潤がその基準マークの周縁に到達するかこれを越えたと いうことが傷当材を交換しなければならないということを示すような位置にその 基準マークがある請求項７の傷当材。 ９．傷当材の有効寿命が最長になり、傷当材交換の必要性が最小になるようにな されている請求項８の傷当材。 １０．基準マークを帯びた裏地層と、親水コロイド層と、剥し取り層とを有する 外傷用傷当材において、前記裏地層がポリウレタン層で、前記親水コロイド層が エラストマー・マトリックスの中に懸濁されている親水コロイドを含んでおり、 そして前記親水コロイド層の膨潤がその基準マークの周縁に到達するかこれを越 えたということが傷当材を交換しなければならないということを示すような位置 にその基準マークがある外傷用傷当材。 １１．傷当材を外傷部位に当てるステップを有する外傷治療の方法において、前 記傷当材が基準マークを帯びた裏地層と親水コロイド層と、そして剥し取り層と を有している方法。 １２．前記親水コロイド層がエラストマー・マトリックスの中に懸濁されている 親水コロイドを含んでいる請求項１１の方法。 １３．前記親水コロイド層が抗菌性の外傷治癒剤あるいは臭気抑制剤を含んでい る請求項１１の方法。 １４．前記裏地層が高分子フィルムである請求項１１の方法。 １５．前記裏地層がポリウレタン層である請求項１４の方法。 １６．前記剥し取り層が、シリコン処理した剥し取りタブとシリコン処理した剥 し取り紙とを含んでいる請求項１１の方法。 １７．その基準マークが親水コロイド層の膨潤が監視できるような位置にある請 求項１１の方法。 １８．親水コロイド層の膨潤がその基準マークの周縁に到達するかこれを越えた ということが傷当材を交換しなければならないということを示すような位置にそ の基準マークがある請求項１７の方法。 １９．傷当材の有効寿命が最長になり、傷当材交換の必要性が最小になるように なされている請求項１８の方法。 ２０．傷当材を外傷部位に当てるステップを有する外傷治療の方法において、基 準マークを帯びた裏地層と、親水コロイド層と、剥し取り層とを有する前記外傷 用傷当材において、前記裏地層がポリウレタン層で、前記親水コロイド層がエラ ストマー・マトリックスの中に懸濁されている親水コロイドを含んでおり、そし て前記親水コロイド層の膨潤がその基準マークの周縁に到達するかこれを越えた ということが傷当材を交換しなければならないということを示すような位置にそ の基準マークがある方法。 ２１．基準マークを帯びた裏地層の付いた親水コロイド傷当材を外傷部位に当て るステップと、傷当材の親水コロイドの膨潤を監視するステップと、そして前記 親水コロイドの前記膨潤が前記基準マークに到達するかこれを越えると傷当材を 交換するステップとを有する外傷治療の方法。 ２２．前記基準マークが前記裏地層に印刷されている請求項１の傷当材。