【発明の詳細な説明】
生物学的有害生物防除剤をコーテイングする方法及び組成物
発明の分野
本発明は耐久性TiO2(durable TiO2)でコーティングされた生
物学的有害生物防除剤(biological pesticides)の粒子
を含有して成る生物学的有害生物防除組成物(biological pest
icide composition)及びその製造に有用な有利な方法に関す
る。
発明の背景
本発明の1つの観点は、殺虫剤活性を有することが知られているバキュロウイ
ルス(baculovirus)に関する。バキュロウイルスは、特別な処方を
しなければ、日光の紫外線により容易に不活化されるので、その商業的有用性は
限られている。種々の方法で紫外線保護剤を導入することが知られており、或る
ものはこれらのウイルスの安定性を高めることができるが、このような組成物は
複雑で、製造するのに費用がかかり、安定性及びウイルスとの適合性の更なる改
良が必要である。
ウイルスを安定化させる1つの方法は、水溶性紫外線吸収物質を噴霧タンク中
でウイルスと混合することである。1つのこのような材料は、カテキンとロイコ
シアニジンとのスルホン化コポリマー(米国特許第4094969号)である。
或る程度の安定化は達成されるけれども、ウイルスと保護物質との間に結合性が
ないため、降雨又は露によりそれらは容易に分離することがある。成分の大抵の
簡単なタンク混合物は、この一般的な問題に悩まされておりそしてこれらのウイ
ルスの紫外線安定性の欠如により十分な作物保護を与えない。
別法として、様々な方法を用いるマイクロカプセル化が使用される。しかしな
がらこれらのシステムは、多くのカプセル化前駆体に対するウイルスの感受性及
び製造用の全コストのため限定されている。多くは、日光の紫外線A及びB領域
におけるそれらの透明性(transparency)により、追加の遮光剤を
必要とする。典型的には、遮光剤は米国特許第4844896号、同第4948
586号、ヨーロッパ特許公開公報第0653158号及びWO96/0304
1における如くカプセル壁に導入される。これらの調製物に関する主要な問題は
、適当な誘発放出マトリックス(triggered release mat
rix)がないことである。換言すれば、カプセル化されたウイルスはマトリッ
クス内に束縛されており、これはウイルスを作用場所に放出させるのに或るプロ
セスを必要とする。これらの放出プロセスは典型的には加水分解、脱着又は分散
を包含し、そしてそれらの性質により起こるのに時間がかかる。昆虫の中腸(m
itgut)、即ち感染部位におけるウイルスの限られた滞留時間のため、ウイ
ルスの十分な感染ポテンシャルに達するためには速い且つ完全な放出が必要であ
る。
鉱物紫外線遮光剤の使用も述べられている。大抵は紫外線を吸収しないで、む
しろ紫外線を反射及び回折させることにより機能する。この一般化の主要な例外
は強い紫外線吸収バンドを有する酸化亜鉛及び二酸化チタンである。二酸化チタ
ン(TiO2)は紫外線に対するウイルス安定性を高めることが日本で特許請求
されているけれども[WPI Acc.♯90−228659/30,J.Ec
on.Entomol.69,731(1976)及び英国特許出願第2043
448号]、日光からの紫外線にさらされるとそれは反応性になることも知られ
ている。
例えば、日光照射された水性懸濁液TiO2はヒドロキシル基を生成させ、この
ヒドロキシル基は廃水処理におけるウイルスを不活化させた[Water Re
search 29(1)95,1995]。
耐久性TiO2と呼ばれる(米国特許第4125412号、ヨーロッパ特許公
開公報第0654509号に例示されたとおりの)変性された形態のTiO2は
、既知の安定剤よりも良好で容易なバキュロウイルスの安定化手段を与えること
が見いだされた。さらに、耐久性TiO2の使用の他の利点はこれ以降の記載に
より明らかになる。
発明の要約
本発明は、生物学的有害生物防除剤の粒子と、このような生物学的有害生物防
除剤の粒子を実質的にコーティングするのに十分な量の耐久性TiO2、即ち変
性された形態のTiO2の粒子を含有して成る有害生物防除組成物(pesti
cidal composition)及びその有利な製造方法に関する。更に
特定的には、本組成物は改良された安定剤を有する殺虫バキュロウイルス(in
secticidal baculovirus)に関する。
耐久性TiO2は生物学的有害生物防除剤の粒子の表面に実質的にコーティン
グされるのが好ましいけれども、耐久性TiO2は生物学的有害生物防除剤と簡
単に混合することができる。本発明の1つの好ましい態様によれば、中性pHに
おけるバキュロウイルスの撹拌された水性スラリーへの耐久性TiO2の水性ス
ラリーの添加(又は耐久性TiO2スラリーへのウイルスの添加)は耐久性Ti
O2とバキュロウイルスを共沈させる(co−precipitate)。好ま
しくは次いでこの材料を噴霧乾燥して50ミクロンより小さい中位容積径(me
dian
volume diameter)(mvd)の粒子とする。
写真の簡単な説明
第1図は噴霧乾燥された生成物の拡大写真(40,000倍)であり、単一の
コーティングされたウイルスを示す。
発明の詳細な説明
生物学的有害生物防除剤には有害生物防除剤として作用するときの下記の生物
が包含される。
1)原生動物(protozoa)、藻類(algae)及び菌・カビ類(f
ungi)を包含する真核微生物、2)バクテリアを包含する原核微生物、及び
3)ウイルス。特に本発明によって強められる生物学的有害生物防除剤は、紫外
線により劣化される、従ってそれらの有効性を急速に失う生物学的有害生物防除
剤である。このような紫外線劣化性有害生物防除剤にはバキュロウイルス(ba
culovirus)、グラヌロシスウイルス(granulosis vir
us)、バチルス・スリゲンシス(bacillus thurigensis
)、メタルヒジウム属の種(Metarhizium spp)及びボーベリア
属の種(Beauveria spp)が包含されるが、これらに限定されるも
のではない。
本発明の1つの態様は、昆虫から単離された多数の科(families)に
属する多くの異なるウイルスに関する。これらの中でも、バキュロウイルス科(
Baculoviridae)のウイルスは商業的な昆虫防除に最も有望である
と考えられる。生物学的有害生物防除剤としてのバキュロウイルスの種々の面に
関する更に詳細な情報は下記の刊行物に見いだすことができる。Ignoffo
(1968),Viruse
s−Living Insecticides,Current Topics
in Microbiology and Immunology,42,1
29−167;Arif and Jamieson(1989),The B
acuroviruses,Biocontrol of Plant Dis
eases,Vol.1(K.G.Mukerji & K.L.Garg,e
ds);Blissard and Rohrmann(1990),Bacu
rovirus Diversity and Molecular Biol
ogy,Annual Review of Entomology 35,1
27−155;Adams and Bonami(1991),Atlas
of Invertebrate Viruses,CRC Press,Bo
ca Raton;Leisy and van Beek(1992),Ba
culoviruses,Possible Alternatives to
Chemical Insecticides,Chemistry & I
ndustry,April 1992,pp.250−254;Vlak(1
993),Genetic engeneering of baculovi
ruses for insect control in:“Molecul
ar Approaches to Fundamental and App
lied Entomology”(Oakeshott and Whitt
en,eds.),Springer Verlag,New York;WO
96/36712。
本発明に関して、用語バキュロウイルスは、核多角体病ウイルス(nucle
ar polyhedrosis virus)又は顆粒病ウ
イルス(granulosis virus)を含有する殺虫剤(insect
icides)を包含する。認められるように、微生物殺虫剤(microbi
al insecticides)に関して、一般に閉鎖体(occlusio
n bodies)として知られた微生物病原体それ自体は、それらを製造しそ
して処理する培地から実際には単離されないが、栄養源(nutrients)
から宿主の代謝廃物生成物の範囲の材料を含有する不均質混合物中で使用するこ
とができる。本発明の特に好ましい態様は、ボールワーム(bollworm)
(Hericoverpa zea)、オオタバコガ(cotton boll
worm)(H.armigera)、タバコ・バッドワーム(tobacco
budworm)(Heliothis virescens)、キャベッジ
・ルーパー(cabbage looper)(Trichoplusia n
i)、フォール・アーミーワーム(fall armyworm)(Spodo
ptera frugiperda)、シロイチモジヨトウ(beet arm
yworm)(S.exigua)、ハスモンヨトウ(cotton leaf
worm)(S.littoralis)、ワタアカミムシ(pink bol
lworm)(Pectinophora gossypiella)、ベイマ
ツドクガ(Dougls−fir tussock moth)(Orgya
pseudotsugata)、スプルース・バッドワーム(spruce b
udworm)(Choristoneura fumiferana)、ウエ
スターン・スプルース・バッドワーム(western spruce bud
worm)(C.occidentalis)、マイマイガ(gypsy mo
th)(Lymantria
dispar)、マツノキハバチ(European pine sawfly
)(Neodiprion sertifer)、コナガ(diamondba
ck moth)(Plutella xylostella)、グレープリー
フ・スケルトナイザー(grapeleaf skeltonizer)(Ha
rrisina americana)、ジャガイモガ(potate tub
er worm)(Phthorimeaea operculella)、タ
マナヤガ(black cutworm)(Agrotis ipsilon)
、コドリング・モス(codling moth)(Cydia pomene
lla)、ナシヒメシンクイ(Oriental fruit moth)(C
.molesta)及びネーブル・オレンジワーム(navel orange
worm)(Amyelois transitella)に対する核多角体病
ウイルス及び顆粒病ウイルスを含有する殺虫剤を包含するが、これらに限定はさ
れない。
バキュロウイルス生成は当業者には知られており、培養された昆虫細胞中での
発酵により行われ(Vlak et al.,1990,Bioreactor
Development for Production of Vial
Pesticides or Heterologous Proteins
in“Insect Cell Cultures”,Ann.N.Y.Aca
d.Sci.589,399−418;Taticek et al.,199
5,Overview of issues in bioreactor d
esign and scale−up in:“Baculovirus E
xpression Systems and Biopesti
cides”Shuler,Wood,Granados and Hamme
r,eds.Wiley−Liss,New York)、又は大量に飼育した
昆虫幼虫において生体内で行われる(Ignoffo,1967,Possib
ilities of Mass−Producing Insect Pat
hogens,Internat.Colloq.Insect Pathol
.Netherlands,pp.99−117;Shapiro 1986,
In Vivo Production of Baculoviruses
in:The Biology of Baculoviruses,Vol.
II,CRC Press;Shieh 1989,Industrial pr
oduction of viral pesticides,Adv.Vir
us Res.36,315−343)。
耐久性TiO2は、アルミナ、シリカ又はこれら両者の組み合わせから成る酸
化物コーティングでTiO2粒子をコーティングすることにより耐久性にしたT
iO2(アナターゼ又はルチル)を意味する。このような材料の例は、ディラウ
エア州、ウイルミントンのデュポン・カンパニーにより製造される“TI−PU
RER”二酸化チタン顔料R−706である。それは、TiO2の表面にTiO2
の光化学反応性を大幅に減少させるシリカ及びアルミナの引き続く層が付着して
いるTiO2である。シリカ又はアルミナ又は両者のいかなる組み合わせも意図
することができるが、アルミナを外側層として有するものが好ましい。これらの
材料の製造は、Inorganic Pigments,Manufactur
ing Processes,Chemical Technology Re
view No.166,M.H.Gutcho,e
d.Noyes Data Corp.Park Ridge,NJ1980及
びその引例に記載されている。重要な特徴は、アルミナ、シリカ等がTiO2粒
子上に連続的な非極性コーティングを形成するべきであり、単純な混合物として
存在するべきではないということである。典型的には、これらの材料は、TiO2
の重量を基準としてシリカ1〜4%(SiO2として)及び/又はアルミナ4〜
9%(Al2O3として)を含有する。
耐久性TiO2は10対90%重量/重量のTiO2対ウイルスの重量比でウイ
ルスと簡単に混合することができる。しかし、耐久性TiO2はウイルスの表面
に実質的にコーティングされるのが好ましい。実質的にコーティングされたとは
、TiO2がウイルス粒子の表面に静電気的に固定されることを意味する。ウイ
ルスと耐久性TiO2の組み合わせは当業界で知られている標準的手段により行
うことができるが[J.Econ.Entomol.69,731(1976)
]、本発明の方法により個々のウイルス粒子上に有利にコーティングされる。生
物学的有害生物防除剤粒子は個々の粒子として又はヘテロフロキュレーテッド(
hetroflocculated)粒子(即ち、いくらかの内部粒子はコーテ
ィングされていなくてもよいか又は部分的にコーティングされているが、ヘテロ
フロキュレーテッド粒子の外側は完全にコーティングされている)として完全に
コーティングされることが最も好ましい。
本発明の1つの好ましい態様によれば、中性pH(典型的には約5.5〜8.
0)でのバキュロウイルスの撹拌された水性スラリーへのR−706耐久性Ti
O2粒子の水性スラリーの添加は、TiO2粒子とバキュロウイルス固体を共沈さ
せて液体の上部に幾分透明な層を残しそして底
部に濃密なフロック(綿状沈澱物)を残す。このことは、コーティングされてい
ないTiO2製品(アナターゼ又はルチル)又はアニオン性表面を含むTiO2製
品、例えばシリカコーティングされたTiO2製品又はアニオン性界面活性剤を
含むTiO2製品では観察されない。アルミナコーティングによって耐久性Ti
O2粒子は中性pHの水性懸濁液中で正に荷電され、これに対して核多角体病ウ
イルスは負であり、そして推測によればバキュロウイルス中の他の不純物も負で
ある。存在する電荷の差及び相互の誘引は系を“崩壊させ(collapse)
”、そして観察されたフロキュレーション(綿状沈澱)を生じさせる。このこと
は、TiO2をウイルスの表面に静電気的に結合させ(共有結合により結合させ
るのではなく)、それにより可逆的に付着できる(reversibly at
tachable)紫外線遮断材料で各ウイルス粒子を取り囲む極めて有効な手
段を与えるという点で、非常に有利な効果である。次いでこの材料を噴霧乾燥し
てフロックを50ミクロンより小さい平均体積径(mean volume d
iameter)の粒子に凝集させる(agglomerate)。このステッ
プは、攻撃的な水(aggressive waters)、或いは湿潤剤又は
展着剤−固着剤(spreader−stickers)のような農業的噴霧に
よく使用される界面活性剤の存在下に使用中に起こりうるウイルスからの耐久性
TiO2の再分散に対して抵抗性を与える一方、pH≧10.5でありうる標的
昆虫中腸の高アルカリ性条件下においては急速な再分散を与える。
光フィルタリング特性を有するが負の電荷を有する或る種の粒子は正の電荷を
有するように転換させることができ、その場合に耐久性TiO2
で観察されるプロセス及び利点も観察される。例えば、エトクアッド(Eth
oquad)T/13−27W(アクゾ・ノーべル・ケミカルズ・インコーポレ
ーテッド)0.5%重量/重量を含有するラベン430カーボン(Raben
430 Carbon)(コロンビアン・ケミカルズ・コンパニー)の5%懸濁
液は正に帯電する。この懸濁液は耐久性TiO2のようにウイルスとのフロキュ
レーシヨンの能力もある。光フィルタリング特性を有する粒子にはTiO2、カ
ーボン及び酸化亜鉛が包含されるが、これらに限定はされない。正の電荷を有す
るように粒子を転換させるいかなる手段も許容できるが、耐久性TiO2のとこ
ろで述べたように粒子をコーティングすること及びエトクワッドのような適当な
第四級アンモニウム界面活性剤の使用は好ましい。
商業的操業では、本組成物は通常水性マトリックス中に希釈されそして処理さ
れるべき場所に噴霧されるが、必ずしも希釈はされない。
本組成物は随時農業用配合物中に典型的に見いだされる不活性成分、例えば鉱
物担体又は希釈剤、噴霧標的の湿潤を高めるための界面活性剤、植物粉、動物タ
ンパク質又は配合物に対する摂食(feeding)を助長する他の味覚剌激剤
、配合物の最適pHを維持するための緩衝剤、消泡剤及び微生物増殖又は他の分
解プロセスを抑制するための保存剤又は安定剤を含むことができる。
本組成物は約50%重量/重量以下の或る種の蛍光増白剤又はスチルベンを含
有することもでき、又は別法として、本組成物の水性噴霧溶液に別々に加えるこ
とができる。これらの材料は或る範囲のバキュロウイルスのそれらの宿主に対す
る高められた活性を与えることが周知されており、そして典型的には噴霧液の0
.01〜1重量%の範囲の濃度で活
性であるがより高い濃度で有用である。適当なスチルベン材料は米国特許第51
24149号及び第5246936号に記載されている。
好ましいスチルベン化合物は4,4’−ジアミノ−2,2’−スチルベンジス
ルホン酸の類似体、即ち、ブランコフォール(Blancophor)(ペンシ
ルバニア州、ピッツバーグのモベイ・ケミカルズから入手可能)、例えばブラン
コフォールBBH、ブランコフォールMBBH、ブランコフォールBHC等、カ
ルシフルオール・ホワイト(Calcifluor White)(ミズーリ州
、セントルイスのシグマ・ケミカルから入手可能)、例えばカルシフルオール・
ホワイト、カルシフルオール・ホワイトM2R、カルシフルオール・ホワイトA
BT、カルシフルオール・ホワイトLD、カルシフルオール・ホワイトRWP等
、ロイコフォール(Luecophor)(ノースカロライナ州、シャルロット
のサンド・ケミカルズ・コーポレーションから入手可能)、例えばロイコフォー
ルBS、ロイコフォールBSB、ロイコフォールEKB、ロイコフォールPAB
等、フォールバイト(Phorwite)(ペンシルバニア州、ピッツバーグの
モベイ・ケミカルズから入手可能)、例えばフォールバイトAR、フォールバイ
トBBU、フォールバイトBKL、フォールバイトCL、フォールバイトRKK
等であり、ブランコフォールBBH、カルシフルオール・ホワイトM2R及びフ
ォールバイトARが最も好ましいスチルベン化合物である。
実施例1
この実施例はフロキュレーシヨンした耐久性TiO2/ウイルス混合物を製造
する一般的方法を説明する。耐久性TiO2粒子(デュポンTI−PURE G
rade R−706)100グラムを脱イオン水1
00gと共に20分間ビーズ粉砕した(bead−milled)。粉砕中pH
を水酸化ナトリウムの滴加により7.0〜8.0の範囲に調節した。この正に帯
電した懸濁液の得られる粒子サイズは0.8ミクロンmvd(平均体積径)であ
った。このスラリーを、ヘリオシス・ビレッセンス(Heliothis vi
rescens)幼虫の感染により得られたウイルス[オートグラファ・カリフ
ォルニカ・マルチカプシド・核多角体病ウイルス(Autographa ca
lifornicamulticapsid nuclear polyhed
rosis virus(MNPV)]水性スラリー(15%重量/重量懸濁固
体)500gに高速混合しながら加えた。スラリーを遠心分離により脱油した。
ウイルス固体は典型的にはグラム当たり1×1010〜1×1011ウイルス閉鎖体
(virus occlusion bodies)OBsを含有し、この実施
例で使用したウイルスは乾燥重量1グラム当たり2.4×1010(OBs)を含
んでいた。得られるスラリーのpHを塩酸の滴加により6.5に下げ、そして短
時間撹拌してプロセスを完了させた。得られる混合物を185℃の入り口温度及
び60〜65℃の出口温度でパイロットスケールの噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。
名目上42%(グラム当たり1×1010ウイルスOBs)含有する耐久性TiO2
コーテッドウイルス配合物(総計100g)を回収した。ウイルス濃度はこれ
らの系では直接測定できなかった。何故ならばマトリックスからの放出はウイル
ス粒子を溶解し始めるのに十分に高いpHレベルでのみ達成されるからである。
噴霧乾燥した材料の粒子サイズは20.2ミクロンmvdであり、単一のコーテ
ッドウイルス(single coated virus)の例が第1図に示さ
れる。実施例2
この実施例は異なるウイルスで且つ蛍光増白剤を添加して実施例1と同様に混
合物を製造するための一般的方法を説明する。耐久性TiO2粒子[デュポンの
TI−PURE Grade R−706)]50グラム及びスチルベン増白剤
(ブランコフォールBBH)25.2gを脱イオン水75gと共に20分間ビー
ズ粉砕した。粉砕中pHを水酸化ナトリウムの滴加により7.0〜8.0の範囲
に調節した。得られる粒子サイズは1.1ミクロンmvdであった。このスラリ
ーを、ウイルス[ヘリコベルパ・ゼア SNPV(Helicoverpa Z
ea SNPV)水性スラリー(20%重量/重量懸濁固体)547gに高速混
合しながら加えた。ウイルス固体は典型的にはグラム当たり1×1010〜1×1
011ウイルスOBsを含有し、この実施例で使用したウイルスは乾燥重量1グラ
ム当たり5.9×1010(OBs)を含んでいた。得られるスラリーのpHを塩
酸の滴加により6.5に下げた。得られる混合物を185℃の入り口温度及び6
0〜65℃の出口温度で実施例1の場合と同じ噴霧乾燥機で乾燥した。耐久性T
iO2コーテッドウイルス材料はグラム当たり5.3×109OBsを含有するも
のと計算された。噴霧乾燥した材料の粒子サイズは18.9ミクロンmvdであ
った。
実施例3
この実施例は異なるウイルスを用いそして摂食刺激剤を添加して実施例1の場
合と同様に混合物を製造する一般的方法を説明する。耐久性TiO2粒子(デュ
ポンTI−PURE Grade R−706)35g及びトウモロコシ粉65
gを脱イオン水516gと共に20分間ビーズ粉砕した。粉砕中pHを水酸化ナ
トリウムの滴加により7.0〜8.
0の範囲に調節した。得られる粒子サイズは2.2ミクロンmvdであった。こ
のスラリーを実施例1のウイルス(オートグラファ・カリフォルニカ・MNPV
)スラリー(25%重量/重量懸濁固体)500gの水性スラリーに高速混合し
ながら加えた。ウイルス固体は典型的にはグラム当たり1×1010〜1×1011
OBsを含有しており、この実施例で使用したウイルスは乾燥重量1グラム当た
り2.4×1010OBsを含んでいた。得られるスラリーのpHを塩酸の滴加に
より6.5に下げた。得られる混合物を実施例1と同様に噴霧乾燥機で乾燥させ
た。耐久性TiO2コーテッド材料はグラム当たり1.3×1010ウイルスOB
sを含むと計算された。噴霧乾燥した材料の粒子サイズは26.8ミクロンmv
dであった。
実施例4
この実施例は異なるウイルスを用いそして結合剤を添加して実施例1と同様に
混合物を製造する一般的方法を説明する。耐久性TiO2(デュポンTI−PU
RE Grade R−706)25g及びトウモロコシデンプン10gを脱イ
オン水75gと共に20分間ビーズ粉砕した。粉砕中pHを水酸化ナトリウムの
滴加により7.O〜8.0の範囲に調節した。このスラリーをウイルス(オート
グラファ・カリフォルニカ・MNPV)スラリー(20%重量/重量懸濁固体)
の水性スラリー200gに高速混合しながら加えた。ウイルス固体は典型的には
グラム当たり1×1010〜1×1011OBsを含有しており、この実施例で使用
したウイルスは乾燥重量1グラム当たり2.4×1010OBsを含んでいた。得
られるスラリーのpHを塩酸の滴加により6.5に下げた。得られる混合物を実
施例1と同様に噴霧乾燥機で噴霧乾燥させた。耐久性T
iO2コーテッド材料はグラム当たり1.3×1010ウイルスOBsを含むと計
算された。
実施例5
この実施例は実施例1に示された材料及びプロセスを使用して達成された野外
安定性(field stability)を説明する。試験区(plot)は
4つの25フィートの反復試験区(replicates)に分割された2つの
100フィートの条(row)から成っていた。エーカー当たり2.5×1011
OBs(ウイルス1グラム当たり1×1010OBs)の施用率を用いて配合され
ていない(unformulated)ウイルス(オートグラファ・カリフォル
ニカ・MNPV)の0.125%重量/重量水性懸濁液によりエーカー当たり2
0ガロン(ヘクタール当たり0.18m3)で処理を行った。他の条の綿を実施
例1に記載の粉末の0.66%重量/重量水性懸濁液を使用して同じ方式及び閉
鎖体率(occlusion body rate)で処理した。種々の時間間
隔で全体の綿の葉のサンプルを汚染されていない対照条(check row)
と共に各処理された条から採取した。施用に続いて、植物を乾燥させ、次いで反
復試験区当たり16の葉を実験室バイオアッセイのために切り取った。1つの葉
を16セルのゼリートレー(16 celled jelly tray)の各
セルに入れた。1つの3日齢のヘリオシス・ビレッセンス幼虫も各セルに加えた
。試験ユニットを総計5日間14時間の日光で28℃に保持した。死亡率を5日
目に評価した。反復した葉の採集及びバイオアッセイを施用の1,2及び4日後
に行った。表1に示された結果は耐久性TiO2粒子の添加により達成された安
定化を示す。表1 配合されたウイルスおよび配合されていないウイルスの比較 実施例6
この実施例は、実施例1及び3(噴霧乾燥あり及びなし)と同様に製造した配
合物を比較したものであって、異なる表面(ガラス)で活性の差異が維持される
ことを示している。そして、よく使用される農業用界面活性剤ツイーン20が添
加されている。この実施例では、顕微鏡スライドカバースリップを各調製物中に
含まれた量から計算した1ml当たり1×108OBsを含有するウイルス調製
物10μlで処理しそして懸濁液は0.2%重量/重量のツイーン20界面活性
剤も含有していた。処理されたカバースリップの半分を自然の真昼の日光に4時
間暴露させ、そして他の半分を暗所に保った。蒸留水10ml中の超音波処理(
10秒)によりカバースリップの各々からウイルスを除去した。脱皮した鱗翅目
の食餌(molten lepidopteran diet)を各サンプルの
懸濁液に加え、次いで2〜25ウエルのバイオアッセイトレーに注いだ。各レプ
リケート(replicate)は50の3日齢ヘリオシス・ビレッセンス幼虫
から成っていた。暴露から144時間後に死亡率評価を行った。残存している活
性百分率は紫外線暴露していないウイルスに対して紫外線暴露したウイルスを比
較することにより計算
された。この実施例は使用の前に製品を噴霧乾燥することの重要性も説明してい
る。
表2 太陽暴露の4時間後の実施例1および実施例3 に従って製造された配合物の比較
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成10年9月23日(1998.9.23)
【補正内容】
表2 太陽暴露の4時間後の実施例1及び3 に従って製造された配合物の比較 請求の範囲
1.ウイルス有害生物防除剤の粒子とウイルス有害生物防除剤の粒子を実質的
にコーティングするのに十分な量の耐久性TiO2の粒子を含有して成る有害生
物防除組成物。
2.ウイルス有害生物防除剤がバキュロウイルスの粒子である請求の範囲1に
記載の有害生物防除組成物。
3.該バキュロウイルスが殺虫タンパク質をコードしている遺伝子を含有する
請求の範囲2に記載の有害生物防除組成物。
4.耐久性TiO2で実質的にコーティングされたバキュロウイルスの粒子が
約50μmより小さい平均粒子サイズ分布を有する請求の範囲2に記載の有害生
物防除組成物。
5.界面活性剤、固体希釈剤又は液体希釈剤の少なくとも1つを含有して成る
請求の範囲1に記載の有害生物防除組成物。
6.蛍光増白剤もさらに含有する請求の範囲5に記載の有害生物防除組成物。
7.耐久性TiO2をウイルス有害生物防除剤粒子の水性スラリーと混合する
ことを含んで成る請求の範囲1に記載の組成物を製造する方法。
8.スラリーのpHが6〜8である請求の範囲7に記載の方法。
9.得られる水性スラリーを噴霧乾燥させる請求の範囲7に記載の方法。
10.有害生物又はそれらの環境に有害生物防除有効量の請求の範囲1に記載
の有害生物防除組成物を施用することを含んで成る農業的有害生物を処理する方
法。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
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